(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】包装体
(51)【国際特許分類】
B65D 81/02 20060101AFI20240611BHJP
B65D 85/68 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B65D81/02
B65D85/68 Z
(21)【出願番号】P 2020103023
(22)【出願日】2020-06-15
【審査請求日】2023-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100154612
【氏名又は名称】今井 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】末廣真也
【審査官】杉田 剛謙
(56)【参考文献】
【文献】特開平10-017026(JP,A)
【文献】実開平05-044865(JP,U)
【文献】特開平11-130143(JP,A)
【文献】特開2001-315856(JP,A)
【文献】特開平11-130147(JP,A)
【文献】特開平07-101486(JP,A)
【文献】米国特許第05341934(US,A)
【文献】中国特許出願公開第109573327(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/00-81/17
B65D 85/68
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被包装体を収容する収容空間を形成する本体部と、該本体部の端部に設けられて前記収容空間の外側に配置される衝撃緩衝用リブとを具備する包装体であって、
前記衝撃緩衝用リブは、当該リブの両側で前記本体部に繋がる根元部と、前記両側の根元部と根元部の間にある中央部とを有し、
前記本体部の、前記収容空間の外側に向いた面からの前記中央部のリブ高さをHaとし、前記根元部のリブ高さをHbとするとき、Ha>Hbであることを特徴とする包装体。
【請求項2】
前記衝撃緩衝用リブは、前記収容空間に対する先端側で前記根元部に段差を設けることで前記根元部のリブ高さHbが前記中央部のリブ高さHaよりも小さくなるように構成していることを特徴とする、請求項1に記載の包装体。
【請求項3】
前記衝撃緩衝用リブは、前記収容空間に対する内部側で前記根元部に段差を設けることで前記根元部のリブ高さHbが前記中央部のリブ高さHaよりも小さくなるように構成していることを特徴とする、請求項1に記載の包装体。
【請求項4】
前記衝撃緩衝用リブは、前記収容空間に対する先端側と内部側の双方で前記根元部に段差を設けることで前記根元部のリブ高さHbが前記中央部のリブ高さHaよりも小さくなるように構成していることを特徴とする、請求項1に記載の包装体。
【請求項5】
前記衝撃緩衝用リブの前記中央部が少なくとも1つの屈曲部を有しており、
該屈曲部を持つ一本で繋がった衝撃緩衝用リブの中央部が、当該包装体における被包装体収容面と被包装体との当接面領域内に収まるように設けられていることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項6】
前記衝撃緩衝用リブの前記中央部は、要求される衝撃緩衝性能を発揮できる有効長さを備えており、該有効長さの範囲内に前記少なくとも1つの屈曲部が配置されることを特徴とする、請求項5に記載の包装体。
【請求項7】
前記衝撃緩衝用リブの前記中央部は、前記屈曲部が1つで「く」の字形となるように、または、前記屈曲部が2つで「コ」の字形となるように、あるいは前記屈曲部が3つで「M」の字形となるように設けられていることを特徴とする、請求項6に記載の包装体。
【請求項8】
前記衝撃緩衝用リブの前記中央部は、前記有効長さを除く部分である近傍構造部のリブ高さHfが、前記有効長さ部分のリブ高さHaよりも小さくなるように設けられていることを特徴とする、請求項6又は7に記載の包装体。
【請求項9】
当該包装体の上下左右の4側面に前記衝撃緩衝用リブを備えていることを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項10】
当該包装体の転倒を防止する転倒防止部を前記衝撃緩衝用リブに設けていることを特
徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項11】
前記転倒防止部が前記根元部の端部に設けられており、前記転倒防止部のリブ高さが前記中央部のリブ高さと同等であることを特徴とする、請求項10に記載の包装体。
【請求項12】
前記収容空間の背面側に位置する当該包装体の枠部空間に、衝撃緩衝用リブ材を嵌合させて配備することを特徴とする、
請求項1~11のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項13】
前記衝撃緩衝用リブ材が段ボールシートにより形成されることを特徴とする、請求項12に記載の包装体。
【請求項14】
前記衝撃緩衝用リブ材が、凸部付きの成形品部材で形成され、該成形品部材が発泡樹脂部材又はパルプモールド部材であることを特徴とする、請求項12に記載の包装体。
【請求項15】
前記衝撃緩衝用リブの前記中央部は、リブ高さが高い部分と低い部分とを有し、その境界部を、前記収容空間に対する先端側から内部側に向かって傾斜するテーパー部として設けたことを特徴とする、請求項1~14のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項16】
シート状形成部材を折り曲げることにより前記本体部と前記衝撃緩衝用リブとが形成されるとともに、
2枚の前記シート状形成部材を組み合わせることで前記収容空間が構成されることを特徴とする、請求項1~15のいずれか1項に記載の包装体。
【請求項17】
前記シート状形成部材が段ボールであることを特徴とする、請求項16に記載の包装体。
【請求項18】
前記段ボールが、両面段ボール又は複両面段ボールであることを特徴とする、請求項17に記載の包装体。
【請求項19】
前記段ボールの波目状中芯構造の空洞部開口方向が、前記衝撃緩衝用リブの高さ方向と平行もしくは垂直になるように設けられていることを特徴とする、請求項17又は18に記載の包装体。
【請求項20】
画像形成装置用作像系ユニットまたは画像形成装置を被包装体として包装することを特徴とする、請求項1~19のいずれか1項に記載の包装体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装体に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今の環境問題に対する意識の高まりを受け、化石資源由来のプラスチック製包装材あるいは梱包材等の海洋上での廃棄問題等が取り沙汰されている。そのため、各種製品等を包装・梱包する包装体として、資源回収性及びリサイクル性に優れる段ボール製包装体の使用価値が一層高まっている。なお、以下では、包装体・梱包材・梱包体等のことを包装体と記す。
【0003】
ところで、化石資源由来のプラスチック製包装体においては、衝撃緩衝性を発揮させるための、材料の技術知見・設計技法が解明・確立されており、優れた衝撃緩衝性を有していた。一方で、段ボール製包装体においては、材料の技術知見や設計技法について、いまだ解明が進んでおらず、相対的に衝撃緩衝性が劣るものであった。
【0004】
段ボール製の組み立て式緩衝包装体に関し、被包装体が物流過程において受け得る振動や落下衝撃に対し、被包装体にかかる衝撃すなわち衝撃加速度を包装体による変形・座屈作用により緩衝し、本来包装体無しでは最大数百Gの衝撃加速度が被包装体に掛かるのに対し、緩衝包装体を用いることで百G以下の衝撃加速度に低減する技術が考案されすでに知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1(特許第3369617号、特開平06-183461号公報)には、梱包材本体に緩衝部材の側板部が挿入される挿入溝を設け、挿入溝に側板部を挿入した状態で梱包材本体に緩衝部材を装着している構成が開示されている。
【0006】
しかしながらこの構成では、折り曲げた構造として緩衝部材の長さを確保することで衝撃を吸収しているが、緩衝部材端部の高さ位置がどこもほぼ同じであるため、複合的に作用する力の影響により、衝撃緩衝機能を損なうという問題があった。
また、緩衝部材が2点で構成され、1つに繋がっていないことから、折り曲げた構造部が荷重のバラツキや繰り返し荷重を受けた場合に衝撃を吸収できないという問題があった。
【0007】
本発明は、従来の包装体における上記の問題を解決し、被包装体に掛かる衝撃値を格段に低減することができ、また、傾いた姿勢で動的荷重を受けることや繰り返し動的荷重を受けることによる誤差の発生に対しても、厳しい誤差基準をクリアし、いかんなく衝撃緩衝機能を発揮することのできる包装体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この課題を解決するため、本発明は、被包装体を収容する収容空間を形成する本体部と、該本体部の端部に設けられて前記収容空間の外側に配置される衝撃緩衝用リブとを具備する包装体であって、前記衝撃緩衝用リブは、当該リブの両側で前記本体部に繋がる根元部と、前記両側の根元部と根元部の間にある中央部とを有し、前記本体部の、前記収容空間の外側に向いた面からの前記中央部のリブ高さをHaとし、前記根元部のリブ高さをHbとするとき、Ha>Hbであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の包装体においては、上記のHa>Hbである構成により、包装体に衝撃荷重が掛かった際に複合的に作用する応力の作用を抑制でき、これにより、被包装体に掛かる衝撃値を格段に低減することができる。また、傾いた姿勢で動的荷重を受けることや繰り返し動的荷重を受けることによる誤差の発生に対しても、厳しい誤差基準をクリアし、いかんなく衝撃緩衝機能を発揮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態にかかる包装体の一例を模式的に示す斜視図である。
【
図4】折り畳み途中の第一部材の状態を側方から見た状態を示す模式図である。
【
図5】使用時の状態に折り曲げた第二部材を模式的に示す斜視図である。
【
図6】本発明の構成を備えていない包装体の一例における衝撃緩衝用リブの作用と問題点について説明する部分斜視図である。
【
図7】衝撃緩衝用リブの特徴的な構成について説明するための部分斜視図である。
【
図8】応力複合作用の抑制検証に用いた衝撃緩衝用リブを示す部分斜視図である。
【
図9】衝撃緩衝用リブの変形例を示す部分斜視図である。
【
図10】衝撃緩衝用リブの中央部が被包装体収容面と被包装体との当接面領域内に収まる構成を示す模式図である。
【
図11】断面係数/断面二次モーメントの増加によるバラツキ抑制検証に用いた衝撃緩衝用リブを示す模式図である。
【
図12】衝撃緩衝用リブの近傍構造部の高さについて説明するための部分斜視図である。
【
図13】従来技術における剪断応力発生について示す模式図である。
【
図14】剪断応力による影響について検証するためのモデルを示す斜視図である。
【
図15】包装体の重心が衝撃緩衝用リブ上にない場合を示す模式図である。
【
図16】実施形態の包装体を背面側から見た斜視図である。
【
図17】その枠部空間に衝撃緩衝用リブ材を嵌合させた様子を示す斜視図である。
【
図18】衝撃緩衝用リブ材の展開図及び斜視図である。
【
図19】衝撃緩衝用リブ材の別例を示す斜視図である。
【
図20】衝撃緩衝用リブの別例を示す部分斜視図である。
【
図21】段ボールシートの波目状中芯構造の空洞部開口方向を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態にかかる包装体の一例を模式的に示す斜視図である。この図に示す包装体100は、第一部材1と第二部材2の二つの主要部材で構成されている。なお、各種製品を包装あるいは梱包して出荷や搬送するための包装体としては、主要部材の他に外装箱や小部品等を備えていてもよいが、それらについての図示及び説明は省略し、主要部材に焦点を絞って説明する。
【0012】
図2は、第一部材1の展開図である。また、
図3は、第二部材2の展開図である。第一部材1と第二部材2は、例えば平板状の段ボールを型抜きして形成可能である。
図1,2に示すように、第一部材1は、天板部(外面)11、天板部(内面)12、後側板部13、底板部(内面)14、底板部(外面)15の各部を有している。上記各部の境界には、折れ線(折り曲げるための線)s1~s4が設けられている。s1とs2は、山折りするための折れ線である。s3とs4は、谷折りするための折れ線である。また、 天板部(外面)11と底板部(外面)15には、それぞれ2個所ずつ、計4個所に切り込みk1が設けられている。
【0013】
後側板部13の両側には、衝撃緩衝用リブ16,16が設けられている。 両側の衝撃緩衝用リブ16,16と後側板部13の間には、それぞれ切り込みk2が設けられている。また、衝撃緩衝用リブ16の長手方向(図では上下方向)の中央には、山折りするための折れ線s5が設けられている。衝撃緩衝用リブ16の中央部16aは、折れ線s6(谷折り)を介して根元部16bに繋がっている。
【0014】
なお、上記各部の呼称において、天板、底板、後側板という名称は、第一部材1の概要を把握しやすくするために便宜的に付けた名称であって、この名称によって各部の上下左右等が限定されるわけではない。例えば、
図2からわかるように、第一部材1は、部材中心を基準として対称な形状のため、上下を逆にして使用することも可能であり、その場合には天板部(外面)11が底板に、底板部(外面)15が天板となる。また、前後を逆にして、後側板部13が前側の側板となるようにして使用することも可能である。
【0015】
図1,3に示すように、第二部材2は、右側板部21、左側板部22の各部を有している。そして各側板部を連結するように、図における上下方向の両側に衝撃緩衝用リブ23,23が設けられている。この衝撃緩衝用リブ23には、長手方向の中央部にある折れ線s7と、リブの根元部にある2つの折れ線s8,s8が設けられている。s7は山折りするための折れ線である。s8は谷折りするための折れ線である。そして、衝撃緩衝用リブ23,23と左右の側板部21,22との間には、計4か所の切り込みk3が設けられている。
【0016】
なお、第二部材2における右側板部および左側板部という呼称も第二部材2の概要を把握しやすくするために便宜的に付けた名称であって、この名称によって各部の上下左右等が限定されるわけではない。例えば、
図3からわかるように、第二部材2は、部材中心を基準として対称な形状のため、左右を逆にして使用することも可能であり、その場合には右側板部21が左側板に、左側板部22が右側板となる。
【0017】
図4は、折り畳み途中の第一部材1の状態を側方から見た状態を示す模式図である。 天板部(外面)11と天板部(内面)12、および底板部(内面)14と底板部(外面)15は、実際には180度に折り畳まれて折り重ねられる(
図1参照)。両側の衝撃緩衝用リブ16,16は、「く」の字状となって側面に位置することになる。
【0018】
図5は、使用時の状態に折り曲げた第二部材2を模式的に示す斜視図である。第二部材2の衝撃緩衝用リブ23は、
図3,5に示すように、中央部23a,23aと、根元部23b,23bとを有している。
【0019】
上記のように構成された第一部材1と第二部材2において、折り重ねられて平板状となった第一部材1の天板部11,12および底板部14,15が、第二部材2の切り込みk3,k3に挿入されて填め込まれ、また、第二部材2の左右側板部21,22の挿入部21a,22aが、第一部材1の切り込みk2,k2に挿入されて填め込まれることにより、
図1に示すような箱状の包装体100が形成される。箱状となった包装体100の上面と下面(底面)及び左右両側面の外側に位置して、衝撃緩衝用リブ23,23及び衝撃緩衝用リブ16,16が設けられていることになる。
【0020】
ここで、本発明の構成を備えていない包装体の一例における衝撃緩衝用リブの作用と問題点について
図6を参照して説明する。
図6に示す包装体の一例において、底板115の下面に衝撃緩衝用リブ123が配置されている。この衝撃緩衝用リブ123は、中央部123a,123aと、根元部123b,123bとを有している。リブの中央部123aと根元部123bは同じ高さとなっている。このような構成において、底板115上に被包装体を搭載した包装体を落下させてしまった場合、底板115に入力荷重が掛かる。入力荷重による衝撃を衝撃緩衝用リブ123が緩衝する際に、リブの根元部123b,123bを支点として曲げ作用が発生し、これにより底板115に曲げ応力が生じる。この曲げ応力は、衝撃緩衝時のリブ123における垂直圧縮・座屈現象による圧縮応力と複合的に作用することになる。そのため、衝撃緩衝用リブ123による緩衝機能が低下してしまう。
【0021】
次に、本例の包装体100における衝撃緩衝用リブ23の特徴的な構成について、
図7及び
図3を参照して詳しく説明する。
衝撃緩衝用リブ23の中央部23aの高さをHaとし、衝撃緩衝用リブ23の根元部23bの高さをHbとすると、本発明ではHa>Hbであることを特徴とする。すなわち、包装体の端部側に位置する根元部23bと中央側に位置する中央部23aの高さが異なるように設けられており、中央部23aの高さHaが根元部23bの高さHbよりも大きいことを特徴としている。この衝撃緩衝用リブリブ23の構成は底板部においても同様である。
【0022】
上記衝撃緩衝用リブリブ23の構成による作用について説明する。底板部14,15あるいは天板部11,12が被包装体等の落下荷重を受けたときに、衝撃緩衝用リブ23の中央部23aの高さHaと根元部23bの高さHbとが異なっており、Ha>Hbであることにより、複合的に作用する底板部14,15(天板部11,12)の曲げ応力と圧縮応力の値が従来の包装体よりも小さくなる。すなわち複合的に作用する応力の作用を抑制できることによって、包装体としての衝撃緩衝機能が従来例と比較して格段に向上する。本実施形態の包装体100と
図6の包装体を用いて実施した落下実験における検証結果を以下に記す。
【0023】
<検証1>
検証1は、衝撃緩衝用リブの構成の相違すなわちリブの根元部と中央部とで高さが同一な構成(
図6)と異なる構成(
図7)における曲げ応力複合作用の抑制を検証したものである。
図8において、左側が本発明の構成を備えていない包装体、右側が本実施形態の包装体100である。いずれも底板部を底板の下方から見た状態で示してある。衝撃緩衝用リブの受け面積は0.0007m^2、リブ高さ(最大値)を30mmとしている。また、図示していない被包装体の落下高さは65cm、被包装体の重量は3.5kgfとした。本実施形態の包装体100では、上記のように、衝撃緩衝用リブ23の中央部23aの高さHaと根元部23bの高さHbとが異なっており、Ha>Hbとなるように設定し、曲げ応力作用を意図的に抑制するモデルの効果検証を行った。
図6の包装体と本例の包装体100における検証結果を次の表1に示す。
【0024】
【0025】
上記検証1から、本発明における衝撃緩衝用リブ23の中央部23aの高さHaと根元部23bの高さHbとが異なっており、Ha>Hbであることにより、包装体に衝撃荷重が掛かった際に複合的に作用する応力の作用を抑制でき、これにより、被包装体に掛かる衝撃値を格段に低減することができ、また、傾いた姿勢で動的荷重を受けることや繰り返し動的荷重を受けることによる誤差の発生に対しても、厳しい誤差基準をクリアし、いかんなく衝撃緩衝機能を発揮することのできる効果が明らかとなった。なお、包装体側面に位置する衝撃緩衝用リブ16,16も、
図2に示すように、リブ中央部16aの高さHaと根元部16bの高さHbとが異なっており、Ha>Hbとなるように構成されている。これにより、包装体の側面方向においても同様に、優れた衝撃緩衝機能を発揮することができるものである。
【0026】
図9は、衝撃緩衝用リブ23の変形例を示す部分斜視図である。
図9では包装体の天板側で示してあるが、底板側でも同様に構成可能である。
図1の構成例では、衝撃緩衝用リブ23の中央部23aの高さHaに対し、根元部23bにおける先端側で段差を設けることで高さHbを小さくし、Ha>Hbとした構成であった。これに対し、
図9左側の例では、衝撃緩衝用リブ23の根元部23bの内部側(包装体内部側)に段差を設けることで高さHbを小さくし、Ha>Hbとした構成である。また、
図9右側の例では、衝撃緩衝用リブ23の根元部23bの先端側と内部側の双方に段差を設けることで高さHbを小さくし、Ha>Hbとした構成である。
図9のいずれの構成においても、
図1の構成例と同様の効果を奏することができる。
【0027】
ところで、
図3に示されているように、衝撃緩衝用リブ23の中央部23a,23aは、屈曲部となる折れ線s6を持つ一本で繋がった衝撃緩衝用リブである。このような衝撃緩衝用リブ23の中央部23a,23aが、包装体100における被包装体収容面と被包装体との当接面上に収まる(当接面領域内に収まる)ようにして包装体側面上に配置される構成とする。該構成について
図10を参照して説明する。
【0028】
図10において、被包装体50が、衝撃緩衝用リブ23の両側の根元部23b,23bの間に位置している。ハッチング(斜線)を付して示すのが包装体における被包装体収容面と被包装体との当接面領域である。図に示す3例は、衝撃緩衝用リブ23の構成が異なる3例であるが、左側の構成例が2辺構成の中央部23aを有する実施形態の構成である。図中央の構成例は3辺構成の中央部23aを有する例である。そして、図右側の構成例は4辺構成の中央部23aを有する例である。いずれの構成例においても、衝撃緩衝用リブ23の中央部23aは斜線で示す当接面領域内に収まる構成となっている。このような構成により、衝撃緩衝用リブの断面係数を高め、衝撃緩衝用リブが垂直に圧縮されることを促すことができる。そのため、傾いた姿勢で被包装体の動的荷重を受けるといった誤差条件の中で衝撃緩衝用リブが曲がり倒れてしまうことを防ぐことができ、衝撃緩衝機能を損なうことが抑制される。
【0029】
上記の、屈曲部を持つ一本で繋がった衝撃緩衝用リブの中央部が、当該包装体における被包装体収容面と被包装体との当接面領域内に収まる構成による効果を検証した結果を以下に記す。
【0030】
<検証2>
検証2は、衝撃緩衝用リブの断面係数/断面二次モーメントの増加によるバラツキ抑制を検証したものである。
図11において、左側が従来例の包装体、右側が実施例の包装体100である。従来例の包装体は衝撃緩衝用リブ123の中央部123aに屈曲部が無く、リブの中央部123aと根元部123bとの接続部が屈曲部となっているが、その屈曲部は斜線で示す被包装体収容面と被包装体との当接面領域の外部に位置している。
検証実験において、衝撃緩衝用リブの受け面積は0.0014m^2、リブ高さ(最大値)を30mmとしている。また、被包装体50の落下高さは65cm、被包装体の重量は3.5kgfとした。そして、衝撃緩衝リブ断面二次モーメントを変化させた場合の衝撃加速度を比較分析した。検証結果を次の表2に示す。
【0031】
【0032】
従来技術においては、衝撃緩衝用リブの屈曲部が被包装体の動的荷重を受ける当接面領域の外に設けられている構成や、屈曲部を含む衝撃緩衝用リブが1本に繋がっていない構成の場合には、構造上曲げ剛性が弱く、倒れに対する剛性を確保できていなかった。
【0033】
それに対し、本実施形態の包装体100においては、屈曲部を持つ一本で繋がった衝撃緩衝用リブの中央部が、当該包装体における被包装体収容面と被包装体との当接面領域内に収まる構成によって、検証2で説明したように、衝撃緩衝用リブが垂直に圧縮されることを促すことができ、被包装体の動的荷重を受けるといった誤差条件の中で衝撃緩衝用リブが曲がり倒れてしまうことを防ぐことができ、衝撃緩衝機能を損なうことが効果的に抑制される。
【0034】
また、本実施形態においては、衝撃緩衝用リブの有効長さを除く部分である近傍構造部の高さHfが、衝撃緩衝用リブの高さHaよりも小さくなるように構成している。該構成について
図12を参照して説明する。
【0035】
図12において、衝撃緩衝用リブ23の有効長さは、リブ中央部23aの側面に太い両矢印で示すLaである。本実施形態の包装体100では、衝撃緩衝用リブ23の有効長さは、被包装体の質量及び落下高さからなる運動エネルギーに対し相応する長さとなるように(要求される衝撃緩衝性能を発揮できるように)設けられている。そして、その有効長さを除く部分である近傍構造部(有効長さ部分に隣接する構造部)の高さHfが、衝撃緩衝用リブ23の高さすなわち有効長さ部分の高さHaよりも小さくなるように構成している。すなわちHa>Hfである。この構成により、衝撃緩衝の機能損失を生じることなく確実に衝撃緩衝メカニズムを発揮し、被包装体に掛かる衝撃値を最大限に抑制することが可能となる。またこの構成は、上記の、屈曲部を持つ一本で繋がった衝撃緩衝用リブの中央部が、当該包装体における被包装体収容面と被包装体との当接面領域内に収まる構成とも同時に実現でき、これによる効果も同時に発揮することができる。
【0036】
上記近傍構造部の高さHfが衝撃緩衝用リブ23の高さHaよりも小さくなる構成によって、衝撃緩衝用リブが被包装体の動的荷重を受けながら衝撃緩衝する際の、衝撃緩衝用リブと被包装体外形線の境界部に剪断応力が生じることで被包装体に加わる応力が増加する影響を抑制できる効果がある。そのため、被包装体に掛かる衝撃値を低減することができる。
【0037】
図13は、従来技術における剪断応力発生について示す模式図である。この図において、衝撃緩衝用リブ123と被包装体50の外形線の境界部に剪断応力(図に矢印で示している)が生じる様子が示されている。上記境界部において剪断応力が発生することで、被包装体50に加わる応力が増加する影響によって、衝撃緩衝用リブによる衝撃値低減効果が十分に発揮できない問題があった。
【0038】
これに対し、本実施形態の包装体100では、上述したように、近傍構造部の高さHfが衝撃緩衝用リブ23の高さHaよりも小さくなる構成によって、剪断応力による影響を抑制でき、被包装体に掛かる衝撃値を低減することができる。この効果について検証した結果を以下に記す。
【0039】
<検証3>
検証3は、衝撃緩衝用リブの剪断応力による影響について検証したものである。衝撃緩衝用リブの受け面積は0.0040m^2、リブ高さ(最大値)を30mmとして、同じ受け面積としながらも衝撃緩衝用リブと被包装体外形線の境界部の設定を、剪断応力発生モデルと剪断応力抑制モデルに分別した場合の双方の衝撃加速度を比較した。なお、被包装体の落下高さは65cm、被包装体の重量は5.8kgfとした。
図14において、左側が従来例すなわち剪断応力発生モデル、右側が実施形態に相当する剪断応力抑制モデルである。剪断応力発生モデルと剪断応力抑制モデルの違いは、被包装体50を載置する衝撃緩衝部材の構造の違いによっている。検証結果を次の表3に示す。
【0040】
【0041】
上記表3からわかるように、剪断応力発生モデルでは衝撃値の平均が66.22であるのに対し、実施形態に相当する剪断応力抑制モデルでは、衝撃値の平均が57.70であり、有意な差があることが分かる。
【0042】
ところで、本実施形態の包装体100は、
図1~3等で分かるように、衝撃緩衝用リブ23や衝撃緩衝用リブ16など、衝撃緩衝用リブあるいは衝撃緩衝補助構造が包装体の4側面上に配備された構成となっている。
【0043】
このような構成において、包装体100の底面(
図1では底板部14,15の下面)には衝撃緩衝用リブ23が存在する(
図5、
図8参照)。衝撃緩衝用リブ23については先に説明したように、 中央部23aの高さHaが根元部23bの高さHbよりも大きいことを特徴としている。もし仮に、衝撃緩衝用リブ23の根元部23bの全体が中央部23aの高さHaよりも小さかった場合、包装体を机上あるいは床等に置いた際に、
図15に示すように包装体の重心Jが衝撃緩衝部材である衝撃緩衝用リブ23上にない場合は、バランスが崩れて包装体が転倒してしまう可能性がある。
【0044】
そこで、本実施形態では、包装体100の転倒を防止するための転倒防止部24を衝撃緩衝用リブ23に設けている。実施例では
図12及び
図15に示すように、衝撃緩衝用リブ23の根元部23bの端部に転倒防止部24を設けている。この転倒防止部24は
図12に示すように、高さHgを有しているが、転倒防止部24の高さHgが衝撃緩衝用リブ23の中央部23aの高さHaと同等となる(Hg≒Ha)ように構成している。衝撃緩衝用リブ23の2本の根元部23bの端部にそれぞれ転倒防止部24を設けることで、中央部23aと合わせて3か所に同等の高さ部分を備えることになり、包装体の重心Jが支点(中央部23a、転倒防止部24、24)間に位置することとなり、包装体の転倒が防止される。なお、
図10に示すような、「コ」の字状あるいは「M」または「W」字状の衝撃緩衝用リブ23の場合にも、転倒防止部24を設けることで同等の効果を得られる。なお、転倒防止部24は、被包装体質量面から離れた位置に設けたほうが、曲げ応力の作用を抑制する点で有利である。
【0045】
図16は、実施形態の包装体100を背面側から見た斜視図である。
図16において、被包装体収容部の背面に開口して枠部空間101が形成される。この枠部空間101には、
図17に示すような衝撃緩衝用リブ材(補助リブ材)102又は103を填め込む(嵌合させる)ことができる。
図17に、枠部空間101に衝撃緩衝用リブ材102を嵌合させた様子を示す。枠部空間101に衝撃緩衝用リブ材102を填め込むことで、衝撃緩衝機能を高めることができる。
【0046】
図18(a)に示すように、衝撃緩衝用リブ材102は、リブ本体部102aと立ち上げ部102b,102bとを有している。リブ本体部102aと立ち上げ部102bとの境界に折れ線s8が設けられている。このような衝撃緩衝用リブ材102は段ボール等のシート材により形成できる。
【0047】
そして、
図18(b)に示すように、折れ線s8,s8を折り曲げて立ち上げ部102b,102bを立ち上げることで、包装体100の枠部空間101に填め込んで使用する衝撃緩衝用リブ材とすることができる。
【0048】
図17に示した衝撃緩衝用リブ材(補助リブ材)103は、衝撃緩衝用リブ材102よりも幅の狭いリブ材2枚からなるものである。構成自体は衝撃緩衝用リブ材102と同様であり、2枚の段ボール等のシート材により形成できる。こちらの衝撃緩衝用リブ材103は、立ち上げ部を4つ備えているので、衝撃緩衝機能がより高くなっている。
【0049】
なお、包装体100の枠部空間101に填め込んで使用する衝撃緩衝用リブ材としては、立ち上げ部の数が2つ又は4つに限定されるものではなく、任意の数の立ち上げ部を備える構成でも良い。衝撃緩衝用リブ材(補助リブ材)が上記立ち上げ部を有することで、リブ本体部だけの構成よりも衝撃緩衝性能が向上することは明らかであり、上記立ち上げ部は、リブ材としての機能を向上させる機能向上部ということができる。
【0050】
図19は、包装体100の枠部空間101に填め込んで使用する衝撃緩衝用リブ材の別例を示す図である。
図19に示す衝撃緩衝用リブ材104は、本体部104aに、衝撃緩衝用凸形状部104bを設けた構成となっている。本体部104aと凸形状部104bは、いずれも中実構造品であり、例えば発泡樹脂系成形品を用いることができる。
【0051】
また、
図19に示す衝撃緩衝用リブ材105は、本体部105aに、衝撃緩衝用凸形状部105bを設けた構成となっている。本体部105aと凸形状部105bは、いずれも中空構造品であり、例えばパルプモールド成形部材を用いることができる。
【0052】
これらの衝撃緩衝用リブ材104又は105は、先に説明した衝撃緩衝用リブ材102及び103と同様に、包装体100の枠部空間101に填め込むことにより、衝撃緩衝機能を高めることができる。
【0053】
なお、衝撃緩衝用リブ材102~105を填め込む包装体100の枠部空間としては、背面側の枠部空間101に限定されない。すなわち、
図1において示されている、包装体前面側の開口部空間にも衝撃緩衝用リブ材102~105を填め込むことは可能である。その場合には、包装体100の前面側において衝撃緩衝機能を高めることができる。
【0054】
図20は、衝撃緩衝用リブ23の別例を示す部分斜視図である。この図に示す衝撃緩衝用リブ23の中央部23aは、リブ高さが高い部分(高さHaの部分)から低い部分(高さHbの部分)となる境界部を、リブの先端側から内部側に向かって傾斜するテーパー部23cとして設けたものである。このテーパー部23cは、リブ側面方向から見た場合、先端側から内部側に向かって勾配を持ち幅が広がるテーパー形状となっている。この構成により、衝撃緩衝用リブ構造の断面積が増加し、衝撃吸収エネルギー容量が増え、質量の大きい被包装体に適応可能となる。
【0055】
実施形態の包装体100を構成する材料としては、シート状形成部材例えば段ボールシートを用いることが可能である。さらに、段ボールシートとしては両面段ボールシート、もしくは複両面段ボールシートを用いることが可能である。そして、被包装体の質量に合わせて的確なシートを選択可能である。基本的には被包装体の質量が大きく、包装体にも相応な剛性を必要とする場合は、複両面段ボールシートを選択する。また段ボールシートの波目状中芯構造の空洞部開口方向の設定として、衝撃緩衝用リブの高さ方向と、空洞部開口方向が平行になる場合、もしくは垂直になる場合いずれにおいても構成可能であり、被包装体の質量に合わせて的確な方向を選択可能である。基本的には被包装体の質量が大きく、相応な衝撃緩衝リブの剛性を必要とする場合は、衝撃緩衝リブの高さ方向と、空洞部開口方向が平行になる方向を選択する。
図21に、衝撃緩衝リブ23の高さ方向と、段ボールシートの空洞部開口方向が平行になる設定例を示す。
【0056】
なお、包装体を構成する材料としてのシート状形成部材は段ボールシートに限定されるものではなく、任意の形成部材を使用可能である。現状では衝撃緩衝性や環境性能、重量、価格、入手性、資源回収性及びリサイクル性等、多くの点で段ボールシートは優れており、実施形態でも材料として段ボールシートを使用している。将来的に有利な材料が開発・実現された場合には、そのような素材を用いて本発明を実施可能である。また、シート状形成部材を型抜き等の加工をして形成するのではなく、3Dプリンタを用いて
図2,3の第一部材1及び第二部材2を形成することも考えられる。
【0057】
本発明による包装体は、収容空間に収まるものであれば任意の製品等を包装可能である。そして、衝撃緩衝用リブにより優れた衝撃緩衝性能を発揮できることから、画像形成装置用作像系ユニットや画像形成装置を包装して運搬・納品等する場合に適したものであり、万一の落下事故等においても被包装体である作像系ユニットや画像形成装置に掛かる衝撃値を格段に低減して、作像系ユニットや画像形成装置の故障や破損を未然に防止することが可能となる。
【0058】
本発明の包装体においては、衝撃緩衝用リブの中央部のリブ高さをHaとし、根元部のリブ高さをHbとするとき、Ha>Hbである構成により、包装体に衝撃荷重が掛かった際に複合的に作用する応力の作用を抑制でき、これにより、被包装体に掛かる衝撃値を格段に低減することができる。また、傾いた姿勢で動的荷重を受けることや繰り返し動的荷重を受けることによる誤差の発生に対しても、厳しい誤差基準をクリアし、いかんなく衝撃緩衝機能を発揮することができる。
【0059】
また、衝撃緩衝用リブの先端側で根元部に段差を設けることでHa>Hbとすることにより、衝撃緩衝用リブの構成を簡易なものとして本発明を実施することができる。
また、衝撃緩衝用リブの内部側で根元部に段差を設けることでHa>Hbとすることにより、多様な構成での衝撃緩衝用リブを実現することが可能となる。
また、衝撃緩衝用リブの先端側と内部側の双方で根元部に段差を設けることでHa>Hbとすることにより、衝撃緩衝機能をより確実なものとすることができる。
【0060】
また、屈曲部を持つ一本で繋がった衝撃緩衝用リブの中央部が被包装体収容面と被包装体との当接面領域内に収まるように設けられていることで、衝撃緩衝用リブが垂直に圧縮されることを促すことができるため、傾いた姿勢で被包装体の動的荷重を受けるといった誤差条件の中で衝撃緩衝用リブが曲がり倒れてしまうことを防ぐことができ、衝撃緩衝機能を損なうことが抑制される。
【0061】
また、衝撃緩衝用リブの中央部は、「く」の字形、「コ」の字形、あるいは「M」の字形となるように設けられていることで、多様な構成による効果を実現でき、多様な被包装体への対応が可能となる。また、被包装体の運動エネルギーに対し的確で、かつ誤差影響に強い衝撃緩衝構造を形成することができる。
【0062】
また、衝撃緩衝用リブの近傍構造部のリブ高さHfが、有効長さ部分のリブ高さHaよりも小さくなるように設けられていることで、衝撃緩衝用リブが被包装体の動的荷重を受けながら衝撃緩衝する際の、衝撃緩衝用リブと被包装体外形線の境界部に剪断応力が生じることで被包装体に加わる応力が増加する影響を抑制できる効果がある。そのため、被包装体に掛かる衝撃値を低減することができる。
【0063】
また、包装体の上下左右の4側面に前記衝撃緩衝用リブを備えていることで、多方面に衝撃緩衝機能を備えた包装体構成とすることができる。
また、包装体の転倒を防止する転倒防止部を衝撃緩衝用リブに設けていることで、包装体の転倒が防止される。
また、転倒防止部がリブ根元部の端部に設けられており、転倒防止部のリブ高さが中央部のリブ高さと同等であることにより、包装体の転倒が確実に防止される。
【0064】
また、収容空間の背面側に位置する包装体の枠部空間に、衝撃緩衝用リブ材を嵌合させて配備することで、衝撃緩衝機能を高めることができる。
また、衝撃緩衝用リブ材が段ボールシートにより形成されることで、低コストで衝撃緩衝機能を高めることが可能となる。
また、衝撃緩衝用リブ材が、凸部付きの成形品部材で形成され、該成形品部材が発泡樹脂部材又はパルプモールド部材であることにより、低コストで衝撃緩衝機能を高めることが可能となる。
【0065】
また、衝撃緩衝用リブの中央部は、リブ高さが高い部分と低い部分とを有し、その境界部をテーパー部として設けたことで、衝撃緩衝構造の断面積が増加し、衝撃吸収エネルギー容量が増え、質量の大きい被包装体に適応可能となる。
【0066】
また、シート状形成部材を折り曲げることにより本体部と衝撃緩衝用リブとが形成されるとともに、2枚のシート状形成部材を組み合わせることで収容空間が構成されることにより、包装体のコスト低下と、優れた衝撃緩衝機能との両立を図ることができる。
【0067】
また、シート状形成部材が段ボールであることにより、コスト低下を図るとともに、衝撃緩衝性や環境性能、重量、価格、入手性、資源回収性及びリサイクル性等を高い水準でバランス良く実現することが可能となる。
【0068】
また、その段ボールが、両面段ボール又は複両面段ボールであることにより、多様な性能要求に対応することができる。被包装体の質量が大きく、包装体にも相応な剛性を必要とする場合には複両面段ボールで適応できる。
【0069】
また、段ボールの波目状中芯構造の空洞部開口方向が、前記衝撃緩衝用リブの高さ方向と平行もしくは垂直になるように設けられていることにより、多様な性能要求に対応することができる。被包装体の質量が大きく、包装体にも相応な剛性を必要とする場合には、空洞部開口方向が衝撃緩衝用リブの高さ方向と平行になるように設けることで適応できる。
【0070】
また、画像形成装置用作像系ユニットや画像形成装置を被包装体として包装することにより、万一の落下事故等においても 被包装体に掛かる衝撃値を格段に低減して、作像系ユニットや画像形成装置の故障や破損を未然に防止することができる。
【0071】
以上、本発明を図示例に基づき説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。包装体の形状や大きさ、あるいは衝撃緩衝用リブの高さや形状、位置なども、適宜に設定できるものである。
【0072】
被包装体としての画像形成装置用作像系ユニットは、作像部本体のユニットに限らず、各種内蔵ユニットであっても良い。また、画像形成装置はプリンタに限らず、複写機やファクシミリあるいは複数の機能を備える複合機であっても良い。
【符号の説明】
【0073】
1 第一部材
2 第二部材
11,12 天板部
13 後側板部
14,15 底板部
16,23 衝撃緩衝用リブ
21,22 側板部
23a 中央部
23b 根元部
24 転倒防止部
50 被包装体
100 包装体
k1~k3 切り込み
s1~s7 折れ線
【先行技術文献】
【特許文献】
【0074】