(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】液体を吐出する装置
(51)【国際特許分類】
B41J 2/165 20060101AFI20240611BHJP
【FI】
B41J2/165 207
(21)【出願番号】P 2020121788
(22)【出願日】2020-07-16
【審査請求日】2023-05-11
(31)【優先権主張番号】P 2019239266
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】230100631
【氏名又は名称】稲元 富保
(72)【発明者】
【氏名】依田 和久
(72)【発明者】
【氏名】福田 洋介
【審査官】中村 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-177675(JP,A)
【文献】特開2014-188777(JP,A)
【文献】特開2017-128113(JP,A)
【文献】特開2004-291483(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0178526(US,A1)
【文献】特開2014-024249(JP,A)
【文献】特開2020-175601(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出手段と、
前記液体吐出手段から吐出される前記液体を受ける吐出受けと、
前記液体吐出手段のフラッシング動作を制御する手段と、を備え、
前記制御する手段は、
前記吐出受け及び前記液体を付与するシート材に対してフラッシングを行わせ、
前記吐出受けに対するフラッシングでは、前記吐出受けの長手方向にお
いて、前記シート材上の印刷領域に対応する領域と前記印刷領域に対応する領域より外側となる領域との間で、各フラッシング量を異ならせる制御をする
ことを特徴とする液体を吐出する装置。
【請求項2】
前記液体吐出手段は、液体を吐出する複数のヘッドを配列したヘッドアレイであり、
前記制御する手段は、前記吐出受け内で、1ノズル当たりのフラッシング量をヘッド単位で変化させる制御をする
ことを特徴とする請求項
1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項3】
前記制御する手段は、前記吐出受け内で、1ノズル当たりのフラッシング量をノズル単位で変化させる制御をする
ことを特徴とする請求項
1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項4】
前記制御する手段は、先行の前記シート材の後端部、前記吐出受け、後行の前記シート材の先端部に対するフラッシングを制御し、
先行の前記シート材の後端部に対するフラッシングに加えて、後行の前記シート材の先端及び前記吐出受けの少なくともいずれかに対してフラッシングを行う制御をする
ことを特徴とする請求項
1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項5】
前記制御する手段は、前記シート材に対する印刷条件に基づいて、先行の前記シート材の後端部及び/又は後行の前記シート材の先端部に対するフラッシングを制御する
ことを特徴とする請求項
1に記載の液体を吐出する装置。
【請求項6】
前記シート材に対してフラッシングを行うとき、前記シート材の搬送方向と直交する方向の幅に基づいて前記シート材の搬送方向と直交する方向のフラッシング領域の幅を変化させる
ことを特徴とする請求項1ないし
5のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項7】
前記吐出受けは前記シート材と対向しない領域を含み、
前記吐出受けに対してフラッシングを行うとき、前記シート材と対向しない領域に対するフラッシングは前記シート材が通過する毎には行わない
ことを特徴とする請求項1ないし
6のいずれかに記載の液体を吐出する装置。
【請求項8】
フラッシングを行う領域の数に応じて1ノズル当たりのフラッシング量を変化させる
ことを特徴とする請求項1ないし
7のいずれかに記載の液体を吐出する装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は液体を吐出する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液体を吐出するヘッドを備える装置では、ヘッドの状態を維持、回復(メンテナンス)するために、例えば、吐出受け、あるいは、シート材に向けて、液体を付与する付与対象に付着しない液体を吐出するフラッシング(空吐出、パージなどともいう。)などを行うことがある。
【0003】
従来、用紙上にフラッシングを行う場合、印刷条件に応じてフラッシングする領域を決定するようにしたものがある(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、吐出受けに対してフラッシングを行う場合には、吐出受けが満杯になると、吐出受けの交換(吐出受けに収容されている液体保持部材の交換を含む。)を行わなければならない。吐出受けの交換作業によるダウンタイムを少なくなるためには、吐出受けの交換頻度を抑える必要がある。
【0006】
本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、吐出受けの交換頻度を低くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するため、本発明に係る液体を吐出する装置は、
液体を吐出するノズルを有する液体吐出手段と、
前記液体吐出手段から吐出される前記液体を受ける吐出受けと、
前記液体吐出手段のフラッシング動作を制御する手段と、を備え、
前記制御する手段は、
前記吐出受け及び前記液体を付与するシート材に対してフラッシングを行わせ、
前記吐出受けに対するフラッシングでは、前記吐出受けの長手方向において、前記シート材上の印刷領域に対応する領域と前記印刷領域に対応する領域より外側となる領域との間で、各フラッシング量を異ならせる制御をする
構成とした。
【0008】
本発明によれば、吐出受けの交換頻度を低くできる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置の概略説明図である。
【
図2】同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
【
図3】同印刷装置の吐出受けの配置の説明に供する説明図である。
【
図4】同印刷装置のフラッシングの制御に係る部分の説明に供するブロック図である。
【
図5】本発明の第1実施形態におけるフラッシング動作の制御の説明に供するフロー図である。
【
図6】同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【
図7】本発明の第2実施形態におけるフラッシング動作の制御の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【
図8】本発明の第3実施形態におけるフラッシング動作の制御の説明に供するフロー図である。
【
図9】同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【
図10】本発明の第4実施形態におけるフラッシング動作の制御の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【
図11】本発明の第5実施形態におけるフラッシング動作の制御の説明に供するフロー図である。
【
図12】同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【
図13】本発明の第6実施形態におけるフラッシング動作の制御の説明に供するフロー図である。
【
図14】同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【
図15】本発明の第7実施形態におけるフラッシング動作の制御の一例の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【
図16】同じく他の例の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【
図17】本発明の第8実施形態におけるフラッシング動作の制御の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【
図18】フラッシングを行う後端領域F1、領域F2、先端領域F3の組合せと1ノズル当たりに必要なフラッシング量の一例の説明に供する説明図である。
【
図19】本発明の第9実施形態の説明に供する印刷条件とシート材に対するフラッシングの可否の関係の一例を説明する説明図である。
【
図20】本発明の第10実施形態の説明に供する吐出受け内のフラッシング領域の説明図である。
【
図21】同第10実施形態に使用する吐出受けの一例をフラッシング動作とともに説明する短手方向に沿う断面説明図である。
【
図22】本発明の第11実施形態におけるフラッシング制御での各ヘッドのノズル列からのフラッシングのタイミング調整の説明に供する説明図である。
【
図23】本発明の第12実施形態における印刷部周りの説明図である。
【
図25】本発明の第13実施形態におけるフラッシング制御の説明に供する説明図である。
【
図26】本発明の第14実施形態の説明に供するシート材Pに対するフラッシング制御の条件の説明に供する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明する。本発明の第1実施形態に係る液体を吐出する装置としての印刷装置について図ないし
図3を参照して説明する。
図1は同印刷装置の概略説明図、
図2は同印刷装置の吐出ユニットの平面説明図である。
図3は同印刷装置の吐出受けの配置の説明に供する説明図である。
【0011】
印刷装置1は、シート材Pを搬入する搬入部10と、塗布部である前処理部20と、印刷部30と、第1乾燥部40と、第2乾燥部50と、反転機構部60と、搬出部70とを備えている。
【0012】
印刷装置1は、搬入部10から搬入(供給)されるシート材Pに対し、前処理部20で必要に応じて塗布液としての前処理液を付与(塗布)し、印刷部30でシート材Pに対して所要の液体を付与して所要の印刷を行う。
【0013】
そして、印刷装置1は、第1乾燥部40、第2乾燥部50でシート材Pに付着した液体を乾燥させた後、反転機構部60を介して、そのまま、又は、シート材Pの両面に印刷を行った後、シート材Pを搬出部70に排出する。
【0014】
搬入部10は、複数のシート材Pを収容する搬入トレイ11(下段搬入トレイ11A、上段搬入トレイ11B)と、搬入トレイ11からシート材Pを1枚ずつ分離して送り出す給送装置12(12A、12B)とを備え、シート材Pを前処理部20に供給する。
【0015】
前処理部20は、例えばインクを凝集させ、裏写りを防止する作用効果を有する処理液をシート材Pの印刷面に付与する処理液付与手段である塗布手段21などを備えている。
【0016】
印刷部30は、シート材Pを周面に担持して回転する担持部材(回転部材)であるドラム31と、ドラム31に担持されたシート材Pに向けて液体を吐出する液体吐出部32を備えている。
【0017】
印刷部30は、前処理部20から送り込まれたシート材Pを受け取ってドラム31との間でシート材Pを渡す渡し胴34と、ドラム31によって搬送されたシート材Pを受け取って第1乾燥部40に渡す受け渡し胴35を備えている。
【0018】
前処理部20から印刷部30へ搬送されてきたシート材Pは、渡し胴34に設けられた把持手段(シートグリッパ)によって先端が把持され、渡し胴34の回転に伴って搬送される。渡し胴34により搬送されたシート材Pは、ドラム31との対向位置でドラム31へ受け渡される。
【0019】
ドラム31の表面にも把持手段(シートグリッパ)が設けられており、シート材Pの先端が把持手段(シートグリッパ)によって把持される。ドラム31の表面には、複数の吸引穴が分散して形成され、吸引手段によってドラム31の所要の吸引穴から内側へ向かう吸い込み気流を発生させる。
【0020】
そして、渡し胴34からドラム31へ受け渡されたシート材Pは、シートグリッパによって先端が把持されるとともに、吸引手段による吸い込み気流によってドラム31上に吸着担持され、ドラム31の回転に伴って搬送される。
【0021】
液体吐出部32は、液体付与手段である吐出ユニット33(33A~33E)を備えている。例えば、吐出ユニット33Aはシアン(C)の液体を、吐出ユニット33Bはマゼンタ(M)の液体を、吐出ユニット33Cはイエロー(Y)の液体を、吐出ユニット33Dはブラック(K)の液体を、それぞれ吐出する。吐出ユニット33Eは、その他、白色、金色(銀色)などの特殊な液体の吐出に使用する。
【0022】
吐出ユニット33は、例えば、
図2に示すように、複数のノズル111を配列したノズル列112を複数列有する複数の液体吐出ヘッド(以下、単に「ヘッド」という。)101をベース部材103に千鳥状に配置したフルライン型ヘッドを含む液体吐出手段であるヘッドアレイ100を有している。また、ヘッドアレイ100の各ヘッド101に供給する液体を貯留するサブタンク(液体収容容器)も備える。
【0023】
液体吐出部32の各吐出ユニット33は、印刷情報に応じた駆動信号によりそれぞれ吐出動作が制御される。ドラム31に担持されたシート材Pが液体吐出部32との対向領域を通過するときに、吐出ユニット33から各色の液体が吐出され、当該印刷情報に応じた画像が印刷される。
【0024】
また、ドラム31には、
図3に示すように、複数(ここでは3つ)の吐出受け500(500A,500B,500C)がほぼ等角度で配置されている。吐出ユニット33のヘッド101の維持回復を行うときに、吐出受け500に対してはシート材Pに付与しない液体(空吐出滴)を吐出する空吐出動作が行われる。吐出受け500は、縁なし印刷を行うときなどにシート材Pをはみ出す液体も受ける。
【0025】
第1乾燥部40は、例えばIRヒータなどの加熱手段42を備え、搬送部41で搬送される液体が付与されたシート材Pに赤外線を照射して加熱乾燥する。第2乾燥部50は、例えば紫外線照射部などの加熱手段52を備え、第1乾燥部40を通過し、搬送部51で搬送される液体が付与されたシート材Pに紫外線を照射して加熱乾燥する。なお、搬送部41と搬送部51は同じ搬送手段の一部で構成されている。
【0026】
反転機構部60は、第1乾燥部40及び第2乾燥部50を通過して一面に液体が付与されて乾燥されたシート材Pに対して両面印刷を行うときに、スイッチバック方式で、シート材Pを反転する反転部61と、反転されたシート材Pを印刷部30の渡し胴34よりも上流側に逆送する両面搬送部62とを備えている。
【0027】
搬出部70は、複数のシート材Pが積載される搬出トレイ71を備えている。反転機構部60から搬送されてくるシート材Pは、搬出トレイ71上に順次積み重ねられて保持される。
【0028】
なお、本実施形態では、シート材がカットシート材である例で説明しているが、壁紙などの大判のシート材を使用する装置などにも本発明を適用することができる。
【0029】
次に、フラッシングの制御に係る部分について
図4のブロック図を参照して説明する。
【0030】
フラッシング制御手段801は、吐出受け300に対するフラッシング動作及びシート材Pに対するフラッシング動作の制御を司る。
【0031】
フラッシング制御手段801は、ホーム位置センサ811、エンコーダ812、シート材検知手段813、及び、記憶手段814の記憶情報を入力ないし読み込む。
【0032】
ホーム位置センサ811は、ドラム31に回転とともに周回移動するホーム位置フィラがホーム位置を通過したときにホーム位置検知信号を出力する。エンコーダ812は、ドラム31とともに回転するエンコーダホイールをエンコーダセンサで読み取ってパルスを出力する。
【0033】
シート材検知手段813は、
図3に示すように、ドラム31の回転方向において吐出ユニット33Aよりも上流側の位置でシート材Pの有無(先端、後端、幅方向両端)を検知する。なお、シート材検知手段813の設置位置は、
図3に示す位置に限られず、渡し胴34より上流側に位置していてもよい。
【0034】
記憶手段814には、例えば、印刷条件に応じたシート材Pへのフラッシングの可否、ヘッド101の吐出を安定させるために必要なフラッシング量(フラッシング量)などの情報が記憶されている。
【0035】
フラッシング制御手段801は、ドラム駆動制御手段802を介してドラム駆動手段821を駆動してドラム31を回転させ、吐出受け300をヘッドアレイ100に対向する位置に移動させる制御をする。
【0036】
フラッシング制御手段801は、ヘッド駆動制御手段803を介して各吐出ユニット33のヘッドアレイ100の各ヘッド101を駆動制御して画像形成に寄与しない液体を吐出するフラッシングを行わせる。
【0037】
次に、フラッシング制御手段801による吐出受け300及びシート材Pに対するフラッシング動作の制御の概要について説明する。
【0038】
フラッシング制御手段801は、ホーム位置センサ811がドラム31のホーム位置を検知したときからエンコーダ812の出力パルスのカウントを開始し、最初の吐出受け300Aに到達するまでのパルス数をカウントする。
【0039】
そして、吐出受け300Aに到達するカウント値になったとき、ヘッド駆動制御手段803を介してヘッドアレイ100の各ヘッド101にフラッシング用の駆動情報を与えて、ヘッド101から吐出受け300Aに対してフラッシングを行わせる。なお、吐出受け300Aに到達するカウント値になったとき、さらに別のカウント情報を用いて、吐出受け300A内の移動方向(ドラム31の回転方向)の位置を特定してもよい。
【0040】
フラッシング制御手段801は、ホーム位置センサ811がドラム31のホーム位置を検知したときからエンコーダ812の出力パルスのカウントを開始し、最初の吐出受け300Aに到達するまでのパルス数をカウントする。
【0041】
また、フラッシング制御手段801は、エンコーダ812の出力パルスのカウントを開始し、次の吐出受け300Bに到達するまでのパルス数をカウントする。
【0042】
そして、吐出受け300Bに到達するカウント値になったとき、ヘッド駆動制御手段803を介してヘッドアレイ100の各ヘッド101にフラッシング用の駆動情報を与えて、ヘッド101から吐出受け300Bに対してフラッシングを行わせる。なお、吐出受け300Bに到達するカウント値になったとき、さらに別のカウント情報を用いて、吐出受け300B内の移動方向(ドラム31の回転方向)の位置を特定してもよい。
【0043】
さら、フラッシング制御手段801は、エンコーダ812の出力パルスのカウントを開始し、次の吐出受け300Cに到達するまでのパルス数をカウントする。
【0044】
そして、吐出受け300Cに到達するカウント値になったとき、ヘッド駆動制御手段803を介してヘッドアレイ100の各ヘッド101にフラッシング用の駆動情報を与えて、ヘッド101から吐出受け300Cに対してフラッシングを行わせる。なお、吐出受け300Cに到達するカウント値になったとき、さらに別のカウント情報を用いて、吐出受け300C内の移動方向(ドラム31の回転方向)の位置を特定してもよい。
【0045】
次いで、ドラム31が1回転したときには、ホーム位置センサ811がドラム31のホーム位置を検知するので、それまでのカウント値をリセットし、ドラム31とともに回転するエンコーダ812の出力パルスのカウントを開始する。
【0046】
また、フラッシング制御手段801は、シート材検知手段813によるシート材Pの先端検知結果に基づいて、ヘッド駆動制御手段803を介してヘッドアレイ100の各ヘッド101からシート材Pの先端部及び後端部に対してフラッシングを行わせる。
【0047】
シート材Pの先端部及び後端部のフラッシング位置の検出(決定)は、シート材検知手段813によるシート材Pの先端検知からエンコーダ812のエンコーダ信号をカウントして行っている。例えば、シート材検知手段813が検出したシート材Pの先端から、シート材Pの先端部及び後端部に当たる、所定の長さ分の信号の数をカウントして、フラッシング位置を決定する。
【0048】
ここで、フラッシング制御手段801は、吐出受け300内で、1ノズル当たりのフラッシング量をヘッド単位(ヘッド101毎に)変化させる制御をする構成とできる。これにより、シート材Pに対するフラッシングができないとき、吐出受け300への吐出量を低減することができる。
【0049】
また、フラッシング制御手段801は、吐出受け300内で、1ノズル当たりのフラッシング量をノズル単位(ノズル111毎に)変化させる制御をする構成とできる。これにより、シート材Pに対するフラッシングができないとき、吐出受け300への吐出量を低減することができる。
【0050】
例えば、シート材Pに対するフラッシングができない場合には、吐出受け300へ吐出するヘッドやノズルを、個々に、もしくは、列や所定の数ごとに変えて、順に吐出させてもよい。あるいは、前回フラッシング時に吐出受け300へ吐出させていないヘッドやノズルの吐出を行ってもよい。
【0051】
次に、本発明の第1実施形態におけるフラッシング動作の制御について
図5及び
図6を参照して説明する。
図5は同フラッシング動作の制御の説明に供するフロー図、
図6は同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【0052】
ここでは、
図6に示すように、2枚の連続するシート材Pの内、ドラム31の搬送方向下流側のシート材Pを先行シート材P1とし、搬送方向上流側のシート材Pを後行シート材P2とする。また、シート材Pの後端部のフラッシング領域を後端領域F1、シート材Pの先端部のフラッシング領域を先端領域F3とする。吐出受け300のフラッシング領域を領域F2とする。以下の実施形態でも同様である。
【0053】
本実施形態では、吐出受け300に対するフラッシング量とシート材Pに対するフラッシング量とを異ならせている。
【0054】
まず、ヘッド101から液体を吐出するときのフラッシング条件を決定する(ステップS1、以下、単に「S1」と表記する。)。フラッシング条件は記憶手段814に記憶している。ここでは、先行シート材P1の後端領域F1と、吐出受け300Aの領域F2と、後行シート材P2の先端領域F3に対するフラッシング情報を取得する。
【0055】
そして、先行シート材P1の後端領域F1がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S2)。先行シート材P1の後端領域F1がフラッシング位置に到達したときに、先行シート材P1の後端領域F1に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S3)。
【0056】
このとき、フラッシング制御手段801は、ヘッド駆動制御手段803に入力したフラッシング信号をカウントし、このカウント値が記憶手段814に格納しているカウント値と一致するまで、ヘッド101から液体を吐出する。
【0057】
次いで、吐出受け300Aがフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S4)。
そして、吐出受け300Aがフラッシング位置に到達したとき、吐出受け300Aの領域F2に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S5)。
【0058】
このとき、フラッシング制御手段801は、ヘッド駆動制御手段803に入力したフラッシング信号をカウントし、このカウント値が記憶手段814に格納しているカウント値と一致するまで、ヘッド101から液体を吐出する。
【0059】
次いで、後行シート材P2の先端領域F3がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S6)。後行シート材P2の先端領域F3がフラッシング位置に到達したときに、後行シート材P2の先端領域F3に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S7)。
【0060】
このとき、フラッシング制御手段801は、ヘッド駆動制御手段803に入力したフラッシング信号をカウントし、このカウント値が記憶手段814に格納しているカウント値と一致するまで、ヘッド101から液体を吐出する。
【0061】
ここで、吐出受け300の領域F2に対するフラッシングで吐出する量であるフラッシング量(1つのノズルから吐出する滴数)と、シート材P1の後端領域F1及び/又はシート材P2の先端領域F3に対するフラッシング量とを異ならせている。なお、シート材P1の後端領域F1とシート材P2の先端領域F3に対するフラッシング量とは同じでも異なってもよい。
【0062】
これにより、吐出受け300に対するフラッシング量を減らすことができ、吐出受け300の交換寿命を延ばすことができ、吐出受けの交換頻度を低くできる。また、液体消費量を低減できる。
【0063】
なお、後端領域F1と先端領域F3とでフラッシングのフラッシング量を異ならせてもよい。また、後端領域F1と先端領域F3のいずれか一方と領域F2のフラッシングのフラッシング量を同じとしてもよい。
【0064】
また、後端領域F1、領域F2、先端領域F3に対して1つのノズル111から吐出する滴数(フラッシング量)の総和V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上としている。
【0065】
つまり、先行シート材P1の後端領域F1、吐出受け300Aの領域F2及び後行シート材P2の先端領域F3に対するフラッシングを制御し、先行シート材P1の後端領域F1に対するフラッシングで必要なフラッシング量をまかなえる場合でも、後端領域F1に加えて、後行シート材P2の先端領域F3及び吐出受け300Aの少なくともいずれかの領域に対してフラッシングを行う制御をしている。
【0066】
これにより、先行シート材P1の後端領域F1と後行シートP2の印刷領域が離れている場合、すなわち、デキャップ時間が長い場合でも、印刷品質を保証できる。
【0067】
次に、本発明の第2実施形態におけるフラッシング動作の制御について
図7を参照して説明する。
図7は同フラッシング動作の制御の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【0068】
本実施形態では、後端領域F1、領域F2、先端領域F3に対する1つのノズル111から吐出する各滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上のフラッシング量を分配している。
【0069】
例えば、後行シート材P2の印刷領域Paに安定的に吐出できるようにするために、1ノズル111当たりに必要なフラッシング量を「6」とする。このとき、先行シート材P1の後端領域F1、吐出受け300Aの領域F2の内の中央部の領域F2a、後行シート材P2の先端領域F3の内の領域F3aへの各フラッシング量を「2」ずつ分配設定する。
【0070】
一方、吐出受け300Aの領域F2の内の幅方向両端部の領域F2b、F2cへの各フラッシング量は、ノズル111のメニスカス表面が乾かない程度の滴数(フラッシング量)とする。これは、領域F2b及びF2cの搬送方向上流側に後行シート材P2の印刷領域がないためである。
【0071】
この場合、吐出受け300の領域F2aと領域F2b、F2cとで滴数(フラッシング量)を異ならせることができる。
【0072】
また、後端領域F1、領域F2a及び先端領域F3の内の領域F3aの各領域に対するフラッシング量を異ならせる場合は、例えば、後端領域F1を2滴、領域F2aを1滴、領域F3aを3滴とすることができる。
【0073】
このように、吐出受け300に対するフラッシングでは、幅方向(搬送方向と直交する方向)において印刷領域より外側となる領域に対するフラッシングのフラッシング量(滴数)の分配については、第1実施形態及び第3実施形態以降の実施形態にも同様に適用することができる。
【0074】
また、吐出受け300のシート材Pと対向しない領域F2b、F2cに対するフラッシング動作の回数は、所定回数に1回の割合で行うこともできる。つまり、シート材Pが通過する毎にはフラッシングを行わない構成とできる。
【0075】
次に、本発明の第3実施形態におけるフラッシング動作の制御について
図8及び
図9を参照して説明する。
図8は同フラッシング動作の制御の説明に供するフロー図、
図9は同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【0076】
まず、ヘッド101から液体を吐出するときのフラッシング条件を決定する(S11)。フラッシング条件は記憶手段814に記憶している。ここでは、先行シート材P1の後端領域F1と、後行シート材P2の先端領域F3に対するフラッシング情報を取得する。
【0077】
そして、先行シート材P1の後端領域F1がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S12)。先行シート材P1の後端領域F1がフラッシング位置に到達したときに、先行シート材P1の後端領域F1に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S13)。
【0078】
次いで、後行シート材P2の先端領域F3がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S14)。後行シート材P2の先端領域F3がフラッシング位置に到達したときに、後行シート材P2の先端領域F3に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S15)。
【0079】
このように、吐出受け300の領域F2に対してフラッシングを行わず、フラッシング量=0としている。これにより、吐出受け300に対するフラッシング量とシート材P1の後端領域F1及び/又はシート材P2の先端領域F3に対するフラッシング量とを異ならせている。なお、シート材P1の後端領域F1とシート材P2の先端領域F3に対するフラッシング量とは同じでも異なってもよい。
【0080】
これにより、吐出受け300に対するフラッシング量を更に減らすことができ、吐出受け300の交換寿命を延ばすことができ、吐出受けの交換頻度を低下できる。また、液体消費量を一層低減できる。
【0081】
なお、後端領域F1と先端領域F3とでフラッシング量を異ならせてもよい。
【0082】
また、後端領域F1と先端領域F3に対して1つのノズル111から吐出する滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上としている。
【0083】
また、第2実施形態と同様に、後端領域F1、先端領域F3に対する1つのノズル111から吐出する各滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上のフラッシング量を分配する構成とできる。
【0084】
次に、本発明の第4実施形態におけるフラッシング動作の制御について
図10を参照して説明する。
図10は同フラッシング動作の制御の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【0085】
本実施形態は、吐出受け300に対するフラッシングの領域幅を異ならせた例である。
【0086】
後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が、安定して液吐出させることができるようにすればよいので、吐出受け300Aの幅方向の全域にわたってヘッド101からフラッシングの液体を吐出しなくてもよい。
【0087】
そこで、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111についてフラッシングを行っており、吐出受け300Aのフラッシング領域F2は先端領域F3と同じ幅、又は、先端領域F3にシート材Pの幅方向バラツキ分を加えて先端領域F3より若干広い幅とする。
【0088】
このとき領域F2と後端領域F1、領域F2と先端領域F3とでそれぞれフラッシング量を異ならせている。
【0089】
したがって、上記各実施形態に比べて、吐出受けに対するフラッシング量をさらに低減して、交換寿命を延ばすことができ、吐出受けの交換頻度を低くできる。また、液体消費量を低減できる。
【0090】
なお、吐出受け300Aに対してフラッシングを行うノズル111は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111よりも幅方向に多くしてもよい。
【0091】
このようにすることで、後行シート材P2が幅方向にずれた場合、あるいは、シート材Pのサイズにばらつきがあった場合でも、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111から安定した吐出を行える。
【0092】
次に、本発明の第5実施形態におけるフラッシング動作の制御について
図11及び
図12を参照して説明する。
図11は同フラッシング動作の制御の説明に供するフロー図、
図12は同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【0093】
まず、ヘッド101から液体を吐出するときのフラッシング条件を決定する(S21)。フラッシング条件は記憶手段814に記憶している。ここでは、吐出受け300の領域F2と、後行シート材P2の先端領域F3に対するフラッシング情報を取得する。
【0094】
そして、先行シート材P1の後端領域F1がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達した時でもフラッシングを行うことなく、吐出受け300Aがヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S22)。吐出受け300Aの領域F2がフラッシング位置に到達したときに、吐出受け300Aの領域F2に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S23)。
【0095】
次いで、後行シート材P2の先端領域F3がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S24)。後行シート材P2の先端領域F3がフラッシング位置に到達したときに、後行シート材P2の先端領域F3に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S25)。
【0096】
このとき、吐出受け300の領域F2に対するフラッシング量とシート材P2の先端領域F3に対するフラッシング量とを異ならせている。
【0097】
これにより、吐出受け300に対するフラッシング量を減らすことができ、吐出受け300の交換寿命を延ばすことができ、吐出受けの交換頻度を低くできる。また、液体消費量を低減できる。
【0098】
ここでも、吐出受け300Aの領域F2及び先端領域F3に対して1つのノズル111から吐出する滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上としている。
【0099】
また、第2実施形態と同様に、領域F2及び先端領域F3に対する1つのノズル111から吐出する各滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上のフラッシング量を分配する構成とできる。
【0100】
次に、本発明の第6実施形態におけるフラッシング動作の制御について
図13及び
図14を参照して説明する。
図13は同フラッシング動作の制御の説明に供するフロー図、
図14は同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【0101】
まず、ヘッド101から液体を吐出するときのフラッシング条件を決定する(S31)。フラッシング条件は記憶手段814に記憶している。ここでは、先行シート材P1の後端領域F1と、吐出受け300Aの領域F2に対するフラッシング情報を取得する。
【0102】
そして、先行シート材P1の後端領域F1がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S32)。先行シート材P1の後端領域F1がフラッシング位置に到達したときに、先行シート材P1の後端領域F1に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S33)。
【0103】
次いで、吐出受け300Aがヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したか否かを判別する(S34)。吐出受け300Aの領域F2がフラッシング位置に到達したときに、吐出受け300Aの領域F2に対してヘッド101から液体を吐出するフラッシングを行う(S35)。
【0104】
その後、後行シート材P2の先端領域F3がヘッドアレイ100に対向するフラッシング位置に到達したときでもフラッシングを行わないで処理を終了する。
【0105】
このとき、先行シート材P1の後端領域F1に対するフラッシング量と吐出受け300の領域F2に対するフラッシング量とを異ならせている。
【0106】
これにより、吐出受け300に対するフラッシング量を減らすことができ、吐出受け300の交換寿命を延ばすことができる。また、液体消費量を低減できる。
【0107】
ここでも、後端領域F1、吐出受け300Aの領域F2に対して1つのノズル111から吐出する滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上としている。
【0108】
また、第2実施形態と同様に、後端領域F1、領域F2に対する1つのノズル111から吐出する各滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上のフラッシング量を分配する構成とできる。
【0109】
次に、本発明の第7実施形態におけるフラッシング動作の制御の異なるについて
図15及び
図16を参照して説明する。
図15は同フラッシング動作の制御の説明に供するドラム展開状態での平面説明図、
図16は同じくドラム展開状態での平面説明図である。
【0110】
本実施形態は、先行シート材P1の幅W1と後行シート材P2の幅Wが異なるときにフラッシングする例である。また、
図15は先行シート材P1の印刷領域Paの幅と後行シート材P2の印刷領域Paの幅とが同じである例、
図16は先行シート材P1の印刷領域Paの幅と後行シート材P2の印刷領域Paの幅とが異なる例である。
【0111】
本実施形態において、吐出受け300Aにヘッド101からフラッシングする領域F2の幅は、後行シート材P2の印刷領域Paの幅に合わせて決められている。また、後行シート材P2の先端領域F3の幅も、後行シート材P2の印刷領域Paの幅に合わせて決められている。
【0112】
このように、後行シート材P2の印刷領域Paの幅に合わせて、領域F3、F2を決めてノズル111からフラッシングを行うことで、安定した吐出を行うことができる。
【0113】
このとき領域F2と後端領域F1、領域F2と先端領域F3とでそれぞれフラッシング量を異ならせている。
【0114】
したがって、上記各実施形態に比べて、吐出受けに対するフラッシング量をさらに低減して、交換寿命を延ばすことができ、吐出受けの交換頻度を低くできる。また、液体消費量を低減できる。
【0115】
なお、吐出受け300Aに対してフラッシングを行うノズル111は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111よりも幅方向に多くしてもよい。
【0116】
このようにすることで、後行シート材P2が幅方向にずれた場合、あるいは、シート材Pのサイズにばらつきがあった場合でも、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111から安定した吐出を行える。
【0117】
次に、本発明の第8実施形態におけるフラッシング動作の制御について
図17を参照して説明する。
図17は同フラッシング動作の制御の説明に供するドラム展開状態での平面説明図である。
【0118】
本実施形態では、前記第7実施形態において、後端領域F1、領域F2及び先端領域F3に対する1つのノズル111から吐出する各滴数の総和(フラッシング量)V1は、後行シート材P2の印刷領域Paで使用するノズル111が安定した吐出を行うことができる予め定めたフラッシング量V2以上のフラッシング量を分配している。
【0119】
例えば、後行シート材P2の印刷領域Paに安定的に吐出できるようにするために、1ノズル111当たりに必要なフラッシング量を「6」とする。このとき、先行シート材P1の後端領域F1、吐出受け300Aの領域F2の内の中央部の領域F2a、後行シート材P2の先端領域F3の内の領域F3aへの各フラッシング量を「2」ずつ分配設定する。
【0120】
一方、吐出受け300Aの領域F2の内の端部の領域F2b、後行シート材P2の先端領域F3の内の領域F3bへの各フラッシング量を「3」ずつにする。
【0121】
また、後端領域F1の領域F1a、領域F2a、F2b,領域F3a、F3bへのフラッシング量を異ならせることもできる。例えば、領域F1aを2滴、領域F2aを1滴、領域F3aを3滴とし、領域F2bを4滴、領域F3bを2滴とする。
【0122】
この場合、吐出受け300の領域F2aと領域F2bとで滴数(フラッシング量)を異ならせることができる。
【0123】
次に、フラッシングを行う後端領域F1、領域F2及び先端領域F3の組合せと1ノズル当たりに必要なフラッシング量の一例について
図18を参照して説明する。
【0124】
前述した記憶手段814には、例えば、
図18に示すような、フラッシングを行う後端領域F1、領域F2及び先端領域F3の組み合わせと1ノズル当たりに必要なフラッシング量との関係を示す情報が格納されている。
【0125】
図18の例では、後端領域F1、領域F2及び先端領域F3のいずれにもフラッシング行うとき「8」滴とする。後端領域F1及び領域F2、又は、後端領域F1及び先端領域F3、又は、領域F2及び先端領域F3にフラッシングを行うとき「7」滴とする。領域F2のみにフラッシングを行うとき「6」滴としている。なお、ここで、挙げた滴数は例であって、これに限るものではない。
【0126】
記憶手段814に記憶された上述した例のようなフラッシングを行う後端領域F1、領域F2及び先端領域F3の組合せと1ノズル当たりに必要なフラッシング量とを読み出して、前記各実施形態で説明したフラッシング条件を決定することができる。
【0127】
このように、フラッシングを行う領域の組み合わせ、又は、領域の数に応じて、1ノズル当たりに必要なフラッシング量を異ならせることができる。
【0128】
次に、本発明の第9実施形態について
図19を参照して説明する。
図19は同実施形態の説明に供する印刷条件とシート材に対するフラッシングの可否の関係の一例を説明する説明図である。
【0129】
本実施形態では、印刷条件A、B、Cについて、先行シート材P1の後端領域F1、後行シート材P2の先端領域F3に対するフラッシングの可否を定めて記憶手段814に格納している。
【0130】
印刷条件としては、画質、速度、印刷面などを挙げることができる。例えば、画質については、高画質、中画質、低画質に分けられる。速度については、高速、中速、低速に分けられる。また、印刷面については、両面印刷と片面印刷に分けられる。
【0131】
図19の例において、印刷条件Aでは、後端領域F1にフラッシングを行い、先端領域F3にフラッシングを行わない。印刷条件Bでは、後端領域F1及び先端領域F3のいずれにもフラッシングを行う。印刷条件Cでは、後端領域F1にフラッシングを行わず、先端領域F3にフラッシングを行う。
【0132】
記憶手段814に記憶された上述した例のような印刷条件とフラッシングを行う領域の関係を読み出して、前記各実施形態で説明したフラッシング条件を決定することができる。
【0133】
このように、印刷条件に応じてフラッシングを行う領域の異ならせることができる。
【0134】
次に、本発明の第10実施形態について
図20を参照して説明する。
図20は同実施形態の説明に供する吐出受け内のフラッシング領域の説明図である。
【0135】
本実施形態では、吐出受け300のフラッシング領域F2のシート搬送方向の位置を変更するようにしている。
【0136】
例えば、ドラム31の回転方向(吐出受け300Aの移動方向)を
図20の矢印方向とするとき、まず、
図20(a)に示すように、吐出受け300Aの最下流の位置にヘッド101からフラッシング動作で液体を吐出する。次に、吐出受け300Aがヘッド101と対向する位置に来たとき、又は、
図20(a)の位置で所定量付着したときには、
図20(B)に示すように、フラッシング領域F2を搬送方向に移動させた位置とする。さらに、同様にして、
図20(c)に示すように、フラッシング領域F2を搬送方向に移動させる。
【0137】
このように、吐出受け300内でフラッシングを行う領域F2を変更することで、吐出受けの交換寿命を延ばすことができ、吐出受けの交換頻度を低くできる。
【0138】
次に、上記第10実施形態に使用する吐出受けの一例について
図21を参照して説明する。
図21は同吐出受けの一例をフラッシング動作とともに説明する短手方向に沿う断面説明図である。
【0139】
吐出受け300は、吸収体311と、吸収体311を収容した収容部材である収容ケース312とを備えている。
【0140】
吸収体311には、長手方向(ドラム31の軸方向、搬送方向と直交する方向)に沿ってスリット313が設けられている。スリット313は、本実施形態では、上述したように、領域F2を3つの位置に変更するので、搬送方向に並ぶ3本のスリット313(313A~313C)を設けている。
【0141】
本実施形態では、吸収体311は、長さの異なる吸収部材311C、311Dを使用し、吸収部材311C、311Dを、長さの短い吸収部材311Dを長さの長い吸収部材311Cで挟むように、交互に並べて配置している。吸収部材311Dの上方がスリット313となる。
【0142】
そして、吐出対象スリットの選択処理を行って、第1スリット313Aに対して一定量を吐出済か否かを判別し、第1スリット313に対して一定量を吐出済でなければ、第1スリット313を吐出対象スリットとして選択する。これにより、例えば
図21(a)に示すように、スリット313Aを領域F2としてヘッド101から液体900が吐出される。
【0143】
第1スリット313Aに対して一定量を吐出済であれば、第2スリット313Bに対して一定量を吐出済か否かを判別し、第2スリット313Bに対して一定量を吐出済でなければ、第2スリット313を吐出対象スリットとして選択する。これにより、例えば
図21(b)に示すように、第2スリット313Bが領域F2としてヘッド101から液体900が吐出される。
【0144】
第2スリット313Bに対して一定量を吐出済であれば、第3スリット313Cを吐出対象スリットとして選択する。これにより、例えば
図21(c)に示すように、第3スリット313Cが選択されてヘッド101から液体900が吐出される。
【0145】
そして、第3スリット313Cに一定量を吐出したときには、各スリット313の一定量吐出済フラグをリセットする。これにより、次回は、再度、第1スリット313Aから吐出を開始することになる。
【0146】
このように、複数のスリット313を有するとき、一定量を吐出する毎に、吐出対象のスリットを変更することにより、廃液の堆積をスリット毎に分散することができ、廃液が堆積できる領域が広くなる。また、一定量まで同じスリット313に吐出し続けることで、乾燥しやすい液体を使用したときに、吐出受け300に着弾した廃液の表面が乾燥しにくくなり、廃液の堆積速度を低下させることができる。
【0147】
以上の実施形態においては、1ノズル当たりに必要なフラッシング量をフラッシング量としたが、ヘッドアレイ100を構成する1つのヘッド101当たりに必要なフラッシング量をフラッシング量としてよい。
【0148】
次に、本発明の第11実施形態について
図22を参照して説明する。
図22は同実施形態におけるフラッシング制御での各ヘッドのノズル列からのフラッシングのタイミング調整の説明に供する説明図である。
【0149】
ここで、各ヘッド101は、複数のノズル111が配列された4つのノズル列112(112a~112d)を有している。また、シート材搬送方向に並ぶ2つのヘッド101を組とするデュアルヘッドDH(DHA、DHB)を、シート材搬送方向と直交する方向に千鳥状に配置している。
【0150】
前記実施形態で説明したヘッド駆動制御手段803は、各ヘッド101にフラッシング用の駆動情報が入力された後、各ヘッド101のノズル列112毎にフラッシングを開始するタイミングとフラッシングデータを生成し、フラッシングを行う。このとき、各ノズル列112の物理的な位置関係を考慮し、吐出受け300(300A~300C)内にライン状にフラッシングできるようにタイミング調整を行う。
【0151】
フラッシングのタイミング調整は、ノズル列112毎に、エンコーダ信号を逓倍した信号を用いて行っている。ノズル列112毎に、エンコーダ信号を逓倍した信号が任意のパルス分入力されることをカウントし、フラッシングを開始するようにしており、ドラム31の回転変動を考慮しつつ、タイミング調整の精度をあげることができる。
【0152】
具体的には、例えば1200dpiでシート材Pに吐出するときには、エンコーダ信号を逓倍した信号を、1200dpiの吐出の周期に合わせて発生させるようにし、
図22の各ノズル列112毎に遅延分の周期の数(P1~P10)で制御して吐出させている。
【0153】
この場合、エンコーダ信号を逓倍した信号以外でタイミング調整してもよい。例えば、一般的な水晶振動子で発生するパルスをノズル列112毎にカウントし、ノズル列112毎にフラッシングを開始する構成とすることもできる。
【0154】
次に、本発明の第12実施形態について
図23及び
図24を参照して説明する。
図23は同実施形態における印刷部周りの説明図、
図24は同じく吐出受け前後の展開説明図である。
【0155】
本実施形態では、渡し胴34の上流側に搬送手段38を配置し、渡し胴35の下流側に搬送手段39を配置している。
【0156】
搬送手段38は、シート材Pを搬送する無端状のベルト381と、ベルト381を掛け回した駆動ローラ382及び従動ローラ383とを備え、ベルト381が周回移動することでシート材Pを搬送する。ベルト381から渡し胴34にシート材Pが受け渡される。
【0157】
搬送手段39は、シート材Pを搬送する無端状のベルト391と、ベルト391を掛け回した駆動ローラ392及び従動ローラ393とを備え、ベルト391が周回移動することでシート材Pを搬送する。搬送手段39は、シート材Pを渡し胴35から渡され、受け取ったシート材Pを第1乾燥部40に搬送する。
【0158】
なお、本実施形態では、第1実施形態の搬送部41と搬送部51は、搬送手段39を備えていることで、第1乾燥部40及び第2乾燥部50に跨ってシート材Pを搬送する構成としている。
【0159】
本実施形態では、ドラム31の周方向位置を検出するエンコーダ812は、ドラム31の周面に配置したエンコーダシート831と、エンコーダシート831を読み取るエンコーダセンサ832とによって構成したリニアエンコーダとしている。
【0160】
このように、エンコーダ812として、リニアエンコーダを使用することにより、ドラム31の偏心の影響を低減してより高精度に位置検出(回転量検出)を行うことができる。
【0161】
これにより、例えば、より高精度なタイミングで、前記第11実施形態で説明したようなノズル列112毎のフラッシング制御を行うことができる。
【0162】
同様に、前記第1実施形態で説明したように、シート材Pの先端を検知してエンコーダ信号をカウントすることでシート材Pの先端部及び後端部に対するフラッシング位置を決定するときの位置精度を高めることができる。
【0163】
同様に、前記第1実施形態で説明したような吐出受け300の位置検出精度、第10実施形態で説明した同じ吐出受け300内でのドラム回転方向におけるフラッシング位置の検出精度を高めることができる。
【0164】
次に、本発明の第13実施形態について
図25も参照して説明する。
図25は同実施形態におけるフラッシング制御の説明に供する説明図である。
【0165】
ここでは、前記第11実施形態と同様に、吐出ユニット33は、シート材搬送方向に並ぶ2つのヘッド101を組とするデュアルヘッドDH(DH0~DH10)を、シート材搬送方向と直交する方向に千鳥状に配置している。
【0166】
そして、
図25に示すように、フラッシング領域を、フラッシング領域-左(領域F2c)、フラッシング領域-中央(領域F2a)、フラッシング領域-右(領域F2b)に分けて、フラッシング量(例えば、前記第8実施形態で説明したように滴数)を異ならせている制御を行っている。
【0167】
つまり、前記第11実施形態で説明したと同様に、ヘッド駆動制御手段803は、各ノズル列112の物理的な位置関係を考慮し、各ヘッド101のノズル列112毎にフラッシングを開始し、フラッシングデータを生成し、フラッシングを行っている。
【0168】
例えば、空吐出受け300Aに対して、領域F2b、領域F2c用のフラッシングの滴数をコントロールするために、上位より、
図25に示すように、フラッシングのノズル境界-左端Nlとノズル境界-右側Nrの設定が入力される。
【0169】
そして、ヘッド駆動制御手段803にて、各デュアルヘッドDH毎(ヘッド101毎でもよい。)の境界設定に変換される。各デュアルヘッドDHの境界設定が、各デュアルヘッドDHのノズル列112の境界設定に変換され、各デュアルヘッドDHの各ノズル列112毎のフラッシングデータの生成制御部に入力される。各ノズル列毎のフラッシングデータ制御部は、境界の左側と右側のデータ生成制御部を備えており、境界を境に、フラッシングデータで二種類のフラッシング制御を行う。
【0170】
例えば、ヘッド駆動制御手段803は、ノズル境界の設定を、シート材Pの幅に応じて、デュアルヘッドDH1とデュアルヘッドDH9とにおけるノズル列の中央付近(ノズル列の途中の何れか部分でもよい)に変更して定める。ヘッド内に定められた境界の左右のノズルで、異なるフラッシング制御を行う。
【0171】
これによりヘッド毎のノズル数に関わらず、シート材の幅や搬送状況に応じて、中央の領域F2aと左右の領域F2b・F2cとでフラッシングの吐出量を異ならせることができる。
【0172】
次に、本発明の第14実施形態について
図26も参照して説明する。
図26は同実施形態の説明に供するシート材Pに対するフラッシング制御の条件の説明に供する説明図である。
【0173】
本実施形態では、シート材P上にフラッシングを行う場合に、表裏位置合わせ(表面の画像位置と裏面の画像位置を合わせること)を行う印刷条件に応じてフラッシングする領域を決定している。
【0174】
つまり、シート材Pの表面の先端、後端に、裏面に印刷するときの位置合わせを実施するために、位置合わせ用マークをつけるため、位置合わせが「有」の場合は、シート材Pの表面の先端領域F3及び後端領域F1に対するフラッシングは実施しない。
【0175】
シート材Pの表面に印刷した後に裏面を印刷するため、裏面には位置合わせ用マークを打つ必要性がなく、シート材Pの裏面に対するフラッシングは、先端領域F3及び後端領域F1で実施する。
【0176】
一方、シート材Pの表裏面の位置合わせが「無」いときには、位置合わせ用マークを打たないので、シート材Pの表面及び裏面のそれぞれの先端領域F3及び後端領域F1に対するフラッシングを実施できる。
【0177】
本願において、吐出される液体は、ヘッドから吐出可能な粘度や表面張力を有するものであればよく、特に限定されないが、常温、常圧下において、または加熱、冷却により粘度が30mPa・s以下となるものであることが好ましい。より具体的には、水や有機溶媒等の溶媒、染料や顔料等の着色剤、重合性化合物、樹脂、界面活性剤等の機能性付与材料、DNA、アミノ酸やたんぱく質、カルシウム等の生体適合材料、天然色素等の可食材料、などを含む溶液、懸濁液、エマルジョンなどであり、これらは例えば、インクジェット用インク、表面処理液、電子素子や発光素子の構成要素や電子回路レジストパターンの形成用液、3次元造形用材料液等の用途で用いることができる。
【0178】
液体を吐出するエネルギー発生源として、圧電アクチュエータ(積層型圧電素子及び薄膜型圧電素子)、発熱抵抗体などの電気熱変換素子を用いるサーマルアクチュエータ、振動板と対向電極からなる静電アクチュエータなどを使用するものが含まれる。
【0179】
また、「液体を吐出する装置」には、液体が付着可能なものに対して液体を吐出することが可能な装置だけでなく、液体を気中や液中に向けて吐出する装置も含まれる。
【0180】
この「液体を吐出する装置」は、液体が付着可能なものの給送、搬送、排紙に係わる手段、その他、前処理装置、後処理装置なども含むことができる。
【0181】
例えば、「液体を吐出する装置」として、インクを吐出させて用紙に画像を形成する装置である画像形成装置、立体造形物(三次元造形物)を造形するために、粉体を層状に形成した粉体層に造形液を吐出させる立体造形装置(三次元造形装置)がある。
【0182】
また、「液体を吐出する装置」は、吐出された液体によって文字、図形等の有意な画像が可視化されるものに限定されるものではない。例えば、それ自体意味を持たないパターン等を形成するもの、三次元像を造形するものも含まれる。
【0183】
上記「液体が付着可能なもの」とは、液体が少なくとも一時的に付着可能なものであって、付着して固着するもの、付着して浸透するものなどを意味する。具体例としては、用紙、記録紙、記録用紙、フィルム、布などの被記録媒体、電子基板、圧電素子などの電子部品、粉体層(粉末層)、臓器モデル、検査用セルなどの媒体であり、特に限定しない限り、液体が付着するすべてのものが含まれる。
【0184】
上記「液体が付着可能なもの」の材質は、紙、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチック、ガラス、木材、セラミックスなど液体が一時的でも付着可能であればよい。
【0185】
また、「液体を吐出する装置」は、液体吐出ヘッドと液体が付着可能なものとが相対的に移動する装置があるが、これに限定するものではない。具体例としては、液体吐出ヘッドを移動させるシリアル型装置、液体吐出ヘッドを移動させないライン型装置などが含まれる。
【0186】
また、「液体を吐出する装置」としては、他にも、用紙の表面を改質するなどの目的で用紙の表面に処理液を塗布するために処理液を用紙に吐出する処理液塗布装置、原材料を溶液中に分散した組成液を、ノズルを介して噴射させて原材料の微粒子を造粒する噴射造粒装置などがある。
【0187】
なお、本願の用語における、画像形成、記録、印字、印写、印刷、造形等はいずれも同義語とする。
【符号の説明】
【0188】
1 印刷装置
10 搬入部
20 前処理部
30 印刷部
32 吐出ユニット
40 第1乾燥部
50 第2乾燥部
60 反転機構部
70 搬出部
100 ヘッドアレイ
101 ヘッド
300 吐出受け
801 フラッシング制御手段