(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電子機器およびプログラム
(51)【国際特許分類】
H04M 1/72415 20210101AFI20240611BHJP
H04M 1/72457 20210101ALI20240611BHJP
H04N 7/18 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H04M1/72415
H04M1/72457
H04N7/18 U
(21)【出願番号】P 2020533468
(86)(22)【出願日】2019-07-25
(86)【国際出願番号】 JP2019029222
(87)【国際公開番号】W WO2020026939
(87)【国際公開日】2020-02-06
【審査請求日】2022-06-07
(31)【優先権主張番号】P 2018144083
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】110001678
【氏名又は名称】藤央弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】山下 尚剛
(72)【発明者】
【氏名】小野 有夏
【審査官】永井 啓司
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-054769(JP,A)
【文献】特開2011-077727(JP,A)
【文献】特開2017-034390(JP,A)
【文献】特開2016-046596(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B7/24-7/26
H04M1/00
1/24-3/00
3/16-3/20
3/38-3/58
7/00-7/16
11/00-11/10
99/00
H04N7/18
23/66
H04W4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器であって、
前記位置情報を取得する取得部と、
前記外部機器へ情報を送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、前記電子機器から受信した前記位置情報の前記データへの付与をしないことを指示する命令を前記外部機器に送信する電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器であって、
前記送信部は、前記電子機器から受信した前記データへの前記位置情報の付与をしないことを指示する命令として、前記電子機器から受信した前記位置情報を破棄することを指示する命令を前記外部機器に送信する電子機器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の電子機器であって、
前記送信部は、前記位置情報を、前記取得部による前記位置情報の取得時刻とともに前記外部機器に送信する電子機器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか一項に記載の電子機器であって、
前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をする第1の設定と、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない第2の設定と、を設定する設定部と、を備える電子機器。
【請求項5】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記送信部による前記外部機器に対する情報の送信ができない場合、前記設定部は、前記第2の設定に設定する電子機器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の電子機器であって、
前記送信部による前記外部機器に対する情報の送信ができない場合、前記設定部は、前記第1の設定および前記第2の設定の設定操作を無効にする電子機器。
【請求項7】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記第2の設定から前記第1の設定に変更された場合、前記取得部は、前記位置情報を取得し、前記送信部は、前記外部機器に対して前記取得部によって取得された前記位置情報を送信する電子機器。
【請求項8】
請求項4に記載の電子機器であって、
前記送信部による前記外部機器に対する情報の送信ができない状態で、前記第1の設定から前記第2の設定に変更された場合、前記送信部は、前記送信部による前記外部機器に対する情報の送信ができる状態になった後に、前記第1の設定から前記第2の設定に変更された変更時刻を、前記電子機器から受信した前記データへの前記位置情報の付与をしないことを指示する命令とともに前記外部機器に送信する電子機器。
【請求項9】
位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器であって、
前記位置情報を取得する取得部と、
前記外部機器へ情報を送信する送信部と、を備え、
前記送信部は、前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、無効な位置情報を前記外部機器に送信する電子機器。
【請求項10】
データを生成する生成部と、
外部機器から情報を受信する受信部と、
前記受信部によって前記外部機器から受信された位置情報を記憶する記憶部と、
前記生成部によって生成されたデータに前記位置情報を付与する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記受信部によって前記データへの前記位置情報の付与をしないことを指示する命令が受信された場合、前記記憶部に記憶された前記位置情報の前記データへの付与を行わないようにし、前記受信部によって前記命令とともに前記データへの前記位置情報の付与をしない設定に変更された変更時刻が受信された場合、前記変更時刻以降に前記位置情報が付与された前記データから、前記付与された位置情報を削除する電子機器。
【請求項11】
請求項10に記載の電子機器であって、
前記生成部は、被写体を撮像して画像データを生成する撮像部であり、
前記制御部は、前記画像データに前記位置情報を付与する電子機器。
【請求項12】
位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器のプロセッサに、
前記位置情報を取得する取得処理と、
前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、前記電子機器から受信した前記位置情報の前記データへの付与をしないことを指示する命令を前記外部機器に送信する送信処理と、
を実行させるプログラム。
【請求項13】
請求項12に記載のプログラムであって、
前記送信処理では、前記電子機器から受信した前記データへの前記位置情報の付与をしないことを指示する命令として、前記電子機器から受信した前記位置情報を破棄することを指示する命令を前記外部機器に送信する処理を前記プロセッサに実行させるプログラム。
【請求項14】
請求項12または13のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記送信処理では、前記位置情報を、前記取得処理による前記位置情報の取得時刻とともに前記外部機器に送信する処理を前記プロセッサに実行させるプログラム。
【請求項15】
請求項12から14のいずれか一項に記載のプログラムであって、
前記プロセッサに、
前記外部機器による前記データへの位置情報の付与をする第1の設定と、前記外部機器による前記データへの位置情報の付与をしない第2の設定と、を設定する設定処理を実行させる、
プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載のプログラムであって、
前記設定処理では、前記送信処理による前記外部機器に対する情報の送信ができない場合、前記第2の設定に設定する処理を前記プロセッサに実行させるプログラム。
【請求項17】
請求項15または16に記載のプログラムであって、
前記設定処理では、前記送信処理による前記外部機器に対する情報の送信ができない場合、前記第1の設定および前記第2の設定の設定操作を無効にする処理を前記プロセッサに実行させるプログラム。
【請求項18】
請求項15に記載のプログラムであって、
前記プロセッサに、
前記第2の設定から前記第1の設定に変更された場合、前記取得処理を実行させ、
前記送信処理では、前記外部機器に対して前記取得処理によって取得された前記位置情報を送信する処理を前記プロセッサに実行させるプログラム。
【請求項19】
請求項15に記載のプログラムであって、
前記送信処理では、前記外部機器に対する情報の送信ができない状態で、前記第1の設定から前記第2の設定に変更された場合、前記送信処理では、前記送信処理による前記外部機器に対する情報の送信ができる状態になった後に、前記第1の設定から前記第2の設定に変更された変更時刻を、前記電子機器から受信した前記位置情報の前記データへの付与をしないことを指示する命令とともに前記外部機器に送信する処理を前記プロセッサに実行させるプログラム。
【請求項20】
位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器のプロセッサに、
前記位置情報を取得する取得処理と、
前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、無効な位置情報を前記外部機器に送信する送信処理と、
を実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【参照による取り込み】
【0001】
本出願は、平成30年(2018年)7月31日に出願された日本出願である特願2018-144083の優先権を主張し、その内容を参照することにより、本出願に取り込む。
【技術分野】
【0002】
本発明は、電子機器およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0003】
カメラと携帯電話との間で位置情報(位置データ)を通信する情報通信システムが知られている(特許文献1)。従来の情報通信システムでは、機器の状態に応じたきめ細かな制御を行うことは十分にできていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
本願において開示される発明の第1の側面となる電子機器は、位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器であって、前記位置情報を取得する取得部と、前記外部機器へ情報を送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、前記電子機器から受信した前記位置情報の前記データへの付与をしないことを指示する命令を前記外部機器に送信する。
【0006】
本願において開示される発明の第2の側面となる電子機器は、位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器であって、前記位置情報を取得する取得部と、前記外部機器へ情報を送信する送信部と、を備え、前記送信部は、前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、無効な位置情報を前記外部機器に送信する。
【0007】
本願において開示される発明の第3の側面となる電子機器は、データを生成する生成部と、外部機器から情報を受信する受信部と、前記受信部によって前記外部機器から受信された位置情報を記憶する記憶部と、前記生成部によって生成されたデータに前記位置情報を付与する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部によって前記データへの前記位置情報の付与をしないことを指示する命令が受信された場合、前記記憶部に記憶された前記位置情報の前記データへの付与を行わない。
【0008】
本願において開示される発明の第4の側面となる電子機器は、データを生成する生成部と、外部機器から情報を受信する受信部と、前記受信部によって前記外部機器から受信された位置情報を記憶する記憶部と、前記生成部によって生成されたデータに前記位置情報を付与する制御部と、を備え、前記制御部は、前記受信部によって前記外部機器から無効な位置情報が受信された場合、前記記憶部に記憶された前記位置情報の前記データへの付与を行わない。
【0009】
本願において開示される発明の一側面となるプログラムは、位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器のプロセッサに、前記位置情報を取得する取得処理と、前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、前記電子機器から受信した前記位置情報の前記データへの付与をしないことを指示する命令を前記外部機器に送信する送信処理と、を実行させる。
【0010】
本願において開示される発明の他の側面となるプログラムは、位置情報をデータに付与する外部機器に対して前記位置情報を送信する電子機器のプロセッサに、前記位置情報を取得する取得処理と、前記電子機器が、前記外部機器による前記データへの前記位置情報の付与をしない設定となっている場合、無効な位置情報を前記外部機器に送信する送信処理と、を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、位置情報の付与および無効化例を示す説明図である。
【
図2】
図2は、デジタルカメラのキャッシュメモリの記憶内容例を示す説明図である。
【
図3】
図3は、スマートフォンのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、デジタルカメラのハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、通信システムの機能的構成例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、通信システムにおける接続シーケンス例を示すシーケンス図である。
【
図7】
図7は、スマートフォンのスキャンおよび接続処理例を示すフローチャートである。
【
図8】
図8は、
図6に示したデジタルカメラのデータ処理(ステップS612)の処理手順例を示すフローチャートである。
【
図9】
図9は、デジタルカメラの画像ファイル生成処理手順例を示すフローチャートである。
【
図10】
図10は、キャッシュメモリの更新処理手順例1を示すフローチャートである。
【
図11】
図11は、キャッシュメモリの更新処理手順例2を示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、位置情報の事後的削除例を示す説明図である。
【
図13】
図13は、スマートフォンによる設定変更時刻送信処理手順例を示すフローチャートである。
【
図14】
図14は、デジタルカメラによる事後的位置情報削除処理手順例を示すフローチャートである。
【
図15】
図15は、実施例3にかかる位置情報付与処理手順例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を用いて、本実施の形態にかかる電子機器およびプログラムについて説明する。以下の各実施例において、電子機器としてスマートフォンを例に挙げて説明し、電子機器と通信可能な外部の電子機器(以下、外部機器)としてデジタルカメラ(撮像装置)を例に挙げて説明する。なお、電子機器は、外部機器と通信可能で、かつ、位置情報を取得可能であれば、スマートフォンに限らず、ユーザが所持可能な携帯電話機、ゲーム機、タブレットでもよく、自律移動可能なドローンやロボットでもよい。
【0013】
また、外部機器は、電子機器と通信可能で、かつ、電子機器からの位置情報と関連付けされるデータを生成可能であれば、デジタルカメラに限らず、デジタルビデオカメラ、ゲーム機、タブレット、ドローン、ロボットでもよい。また、外部機器は、内部処理で位置情報をできない、または、電子機器と同様、位置情報を取得可能であっても、位置情報の取得を不能に設定できるものとする。
【実施例1】
【0014】
<位置情報の付与および無効化例>
図1は、位置情報の付与および無効化例を示す説明図である。(A)は、スマートフォン101からデジタルカメラ102への位置情報Pの付与を示し、(B)は、スマートフォン101からデジタルカメラ102への位置情報の無効化を示す。ユーザは、たとえば、スマートフォン101を所持しながら、デジタルカメラ102で被写体を撮影するものとする。また、位置情報Pは、たとえば、緯度および経度によりスマートフォン101の位置を特定する情報である。
【0015】
設定画面111は、位置情報付与設定項目112にスライダ113を表示する。スライダ113は、ユーザ操作により左右に移動可能なインタフェースである。スライダ113が右端に位置する場合は、位置情報の付与(ON)を意味し、左端に位置する場合は、位置情報の非付与(OFF)を意味する。また、デジタルカメラ102は、位置情報Pの付与設定および非付与設定の機能を有しない。
【0016】
(A)において、スマートフォン101では、位置情報付与設定が「ON」である。したがって、スマートフォン101は、たとえば、衛星測位により位置情報Pを取得してデジタルカメラ102に逐次送信する。デジタルカメラ102は、逐次受信された位置情報Pをキャッシュメモリにスタックする。デジタルカメラ102は、被写体を撮像して被写体の画像データ121を生成する。
【0017】
そして、デジタルカメラ102は、最新の位置情報Pをキャッシュメモリから読み出して、読み出した位置情報Pを画像データ121に付与し、画像ファイル122を生成する。位置情報Pは、たとえば、Exif(Exchangable image file)情報として画像ファイル122に格納される。これにより、デジタルカメラ102は、衛星測位の機能を有していなくても、画像データ121を生成したときの撮影位置の位置情報Pを当該画像データ121に関連付けることができる。
【0018】
(B)において、スマートフォン101は、その位置情報付与設定が「ON」から「OFF」に設定変更された状態である。この場合、スマートフォン101は、位置情報Pを送信せず、その代わりに、たとえば、デジタルカメラ102に送信された位置情報Pを無効化する無効化データをデジタルカメラ102に送信する。
【0019】
無効化データは、たとえば、位置情報Pの破棄命令である。デジタルカメラ102は、位置情報Pの破棄命令を受信すると、キャッシュメモリをクリアする。デジタルカメラ102は、被写体を撮像して被写体の画像データ121を生成する。そして、デジタルカメラ102は、最新の位置情報Pをキャッシュメモリから読み出そうとしても、キャッシュメモリはクリアされているため、位置情報Pを読み出せない。したがって、デジタルカメラ102は、位置情報Pを画像データ121に付与できずに画像ファイル123を生成する。スマートフォン101で位置情報Pの非付与設定がされると、位置情報Pが画像データ121に付与されなくなる。
【0020】
これにより、スマートフォン101の設定のみで、デジタルカメラ102で撮影した画像データ121に対し、位置情報Pを付与したり、付与しなかったりすることができる。すなわち、デジタルカメラ102での位置情報Pの付与設定が不要となるため、ユーザは、デジタルカメラ102での煩雑な設定をする必要がなく、デジタルカメラ102の利便性の向上を図ることができる。
【0021】
なお、無効化データの一例として位置情報Pの破棄命令とし、位置情報Pがスタックされたキャッシュメモリのクリアを例に挙げて説明したが、これに限られない。たとえば、スマートフォン101は、無効化データの他の例として無効な位置情報PXをデジタルカメラ102に送信し、デジタルカメラ102は、無効な位置情報PXをキャッシュメモリにスタックしてもよい。
【0022】
無効な位置情報PXとは、たとえば、実際にはありえない緯度および経度の値とする。これにより、デジタルカメラ102は、キャッシュメモリから最新の位置情報として無効な位置情報PXを読み出して、読み出した無効な位置情報PXを画像データ121に付与し、画像ファイル123を生成することになる。
【0023】
<キャッシュメモリの記憶内容例>
図2は、デジタルカメラ102のキャッシュメモリの記憶内容例を示す説明図である。(A)は、
図1(A)と同様、位置情報付与設定ONの場合のデジタルカメラ102内のキャッシュメモリ200の記憶内容例を示す。(B1)および(B2)は、
図1(B)と同様、位置情報付与設定がONからOFFに切り替わった場合のデジタルカメラ102内のキャッシュメモリ200の記憶内容例を示す。
【0024】
デジタルカメラ102は、キャッシュメモリ200に、時刻201と位置202とを対応付けてレコードとして記録する。位置202は、時刻201におけるスマートフォン101の位置である。本例では、ユーザがスマートフォン101およびデジタルカメラ102を所持しているため、デジタルカメラ102の位置に対応する。
【0025】
(A)において、スマートフォン101は、位置情報Pが示す位置202とともに時刻201の値T1~Tn(nは2以上の整数)をデジタルカメラ102に送信する。ここでは、nが小さいほど過去の値を示し、n=1の時刻T1および位置P1が最古の値とする。
【0026】
時刻201は、スマートフォン101が衛星測位により位置情報を取得した時刻でもよく、位置情報Pをデジタルカメラ102に送信する送信時刻でもよい。これにより、位置情報取得時の正確なスマートフォン101の位置情報Pを、位置情報取得時にデジタルカメラ102で生成されたデータに付与することができる。また、時刻201がスマートフォン101から送信されない場合は、時刻201は、デジタルカメラ102が位置情報Pを受信した時刻でもよい。これにより、スマートフォン101からの送信データ量の削減を図ることができる。
【0027】
(B1)は、無効化データが位置情報Pの破棄命令である場合に、当該破棄命令により位置情報Pが破棄されたときのキャッシュメモリ200の記憶内容例を示す。デジタルカメラ102は、位置情報Pの破棄命令をスマートフォン101から受信すると、時刻201および位置202を破棄する。
【0028】
(B2)は、無効化データが無効な位置情報PXである場合に、当該無効な位置情報PXが記録されたときのキャッシュメモリ200の記憶内容例を示す。デジタルカメラ102は、無効な位置情報PXをスマートフォン101から受信すると、時刻201にその時刻Tnを記録し、位置202に無効な位置情報PXを記録する。
【0029】
デジタルカメラ102は、スマートフォン101の位置情報Pの付与設定がONであるかOFFであるかにかかわらず、常にキャッシュメモリ200の位置202を読みに行く。したがって、キャッシュメモリ200が(A)の状態であれば、デジタルカメラ102は、位置情報Pnを読み出し、(B1)の状態であれば、何も読み出せず、(B2)の状態であれば、無効な位置情報PXを読み出す。これにより、デジタルカメラ102での位置情報Pの付与設定が不要となり、デジタルカメラ102の利便性の向上を図ることができる。
【0030】
<スマートフォン101のハードウェア構成例>
図3は、スマートフォン101のハードウェア構成例を示すブロック図である。スマートフォン101は、プロセッサ301と、記憶デバイス302と、操作デバイス303と、表示デバイス304と、撮像ユニット305と、衛星信号受信機306と、第1通信インタフェース(IF)307と、第2通信IF308と、第3通信IF309と、を有する。これらは、バス310により通信可能に接続される。
【0031】
プロセッサ301は、スマートフォン101を制御する。プロセッサ301は、プログラムを実行する。プロセッサ301は、たとえば、受信した衛星信号に基づいて位置情報Pを生成する。記憶デバイス302は、プロセッサ301の作業エリアとなる。また、記憶デバイス302は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス302としては、たとえば、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、フラッシュメモリがある。
【0032】
操作デバイス303は、データの入力を受け付ける。操作デバイス303としては、たとえば、ボタンやタッチパネルがある。表示デバイス304は、表示画面に情報を表示する。表示デバイス304は、設定画面111を表示する。撮像ユニット305は、被写体を撮像して画像信号を出力するためのレンズおよび撮像素子を含む。衛星信号受信機306は、測位衛星から送信されてくる衛星信号を受信する。
【0033】
第1通信IF307は、たとえば、WiFiなど、無線LAN(Local Area Network)ルータを介して、インターネットに接続可能な通信モジュールである。デジタルカメラ102がアドホックモードでのWi-Fi接続のようにソフトウェア的にアクセスポイントとして機能する場合は、第1通信IF307は、デジタルカメラ102と接続される。
【0034】
第2通信IF308は、BLE(Bluetooth(登録商標、以下省略) Low Energy)など、第1通信IF307よりも低速な通信をするための通信モジュールである。第3通信IF309は、たとえば、4GやLTE(Long Term Evolution)など、無線基地局を介して、インターネットに接続可能な通信モジュールである。
【0035】
<デジタルカメラ102のハードウェア構成例>
図4は、デジタルカメラ102のハードウェア構成例を示すブロック図である。デジタルカメラ102は、静止画撮影および動画撮影可能な撮像装置である。
【0036】
デジタルカメラ102は、プロセッサ401と、記憶デバイス402と、駆動部403と、光学系404と、撮像素子405と、AFE(Analog Front End)406と、LSI(Large Scale Integration)407と、操作デバイス408と、センサ409と、表示デバイス140と、第1通信IF411と、第2通信IF412と、バス413と、を有する。プロセッサ401、記憶デバイス402、駆動部403、LSI407、操作デバイス408、センサ409、表示デバイス140、第1通信IF411および第2通信IF412は、バス413に接続される。
【0037】
プロセッサ401は、デジタルカメラ102を制御する。プロセッサ401は、プログラムを実行する。記憶デバイス402は、プロセッサ401の作業エリアとなる。また、記憶デバイス402は、各種プログラムやデータを記憶する非一時的なまたは一時的な記録媒体である。記憶デバイス402としては、たとえば、ROM、RAM、HDD、フラッシュメモリがある。
図2に示したキャッシュメモリ200は、記憶デバイス402に含まれる。記憶デバイス402は、デジタルカメラ102に複数実装されてもよく、そのうちの少なくとも1つは、デジタルカメラ102に対し着脱自在でもよい。
【0038】
駆動部403は、光学系404を駆動制御する。駆動部403は、駆動回路403aと駆動源403bとを有する。駆動回路403aは、プロセッサ401からの指示により駆動源403bを制御する。駆動源403bは、たとえば、モータであり、駆動回路403aの制御により、光学系404内のズーミングレンズ441bおよびフォーカシングレンズ441cを光軸方向に移動させたり、絞り442を開閉制御する。
【0039】
光学系404は、光軸方向に配列された複数のレンズ(レンズ441a、ズーミングレンズ441b、およびフォーカシングレンズ441c)と、絞り442と、を含む。光学系404は、被写体光を集光し、撮像素子405に出射する。
【0040】
撮像素子405は、光学系404からの被写体光を受光して電気信号に変換する。撮像素子405は、たとえば、XYアドレス方式の固体撮像素子(たとえば、CMOS(Complementary Metal‐Oxide Semiconductor)センサ)であってもよく、順次走査方式の固体撮像素子(たとえば、CCD(Charge Coupled Device))であってもよい。
【0041】
撮像素子405の受光面には、複数の受光素子(画素)がマトリクス状に配列されている。そして、撮像素子405の画素には、それぞれが異なる色成分の光を透過させる複数種類のカラーフィルタが所定の色配列(たとえば、ベイヤ配列)に従って配置される。そのため、撮像素子405の各画素は、カラーフィルタでの色分解によって各色成分に対応するアナログの電気信号を出力する。
【0042】
AFE406は、撮像素子405からのアナログの電気信号に対して信号処理を施すアナログフロントエンド回路である。AFE406は、電気信号のゲイン調整、アナログ信号処理(相関二重サンプリング、黒レベル補正など)、A/D変換処理、デジタル信号処理(欠陥画素補正など)を順次実行してRAW画像データを生成し、LSI407に出力する。上述した駆動部403、光学系404、撮像素子405、およびAFE406は、撮像部420を構成する。
【0043】
LSI407は、AFE406からのRAW画像データについて、色補間、ホワイトバランス調整、輪郭強調、ガンマ補正、階調変換などの画像処理や符号化処理、復号処理、圧縮伸張処理など、特定の処理を実行する集積回路である。LSI407は、具体的には、たとえば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field-Programmable Gate Array)などのPLD(Programmable Logic Device)によって実現してもよい。
【0044】
操作デバイス408は、コマンドやデータを入力する。操作デバイス408としては、たとえば、レリーズボタンを含む各種ボタン、スイッチ、ダイヤル、タッチパネルがある。センサ409は、情報を検出するデバイスであり、たとえば、AF(Automatic Focus)センサ、AE(Automatic Exposure)センサ、ジャイロセンサ、加速度センサ、温度センサなどがある。表示デバイス140は、画像データ121や設定画面111を表示する。表示デバイス140には、デジタルカメラ102の背面にある背面モニタと、電子ビューファインダと、がある。
【0045】
第1通信IF411は、たとえば、アドホックモードでのWi-Fi接続により、スマートフォン101と通信可能な通信モジュールである。第2通信IF412は、BLEなど、第1通信IF411よりも低速な通信をするための通信モジュールである。
【0046】
<通信システムの機能的構成例>
図5は、通信システムの機能的構成例を示すブロック図である。通信システム500は、スマートフォン101とデジタルカメラ102とにより構成される。まず、スマートフォン101の構成について説明する。
【0047】
[スマートフォン101の構成例]
スマートフォン101は、第1送信部511と、第1受信部512と、第1記憶部513と、取得部514と、設定部515と、を有する。第1送信部511は、位置情報Pや無効化データを、デジタルカメラ102に送信する。具体的には、たとえば、第1送信部511は、BLEまたはアドホックモードでのWi-Fi接続により、位置情報Pや無効化データを、デジタルカメラ102に送信する。
【0048】
BLEで送信することにより、低消費電力化を図ることができる。また、アドホックモードでのWi-Fi接続で送信することによりデジタルカメラ102に直接高速なデータ転送を図ることができる。第1送信部511は、デジタルカメラ102に位置情報Pの取得時刻または送信時刻を送信してもよい。第1送信部511は、具体的には、たとえば、
図3に示した第1通信IF307または第2通信IF308により実現される。
【0049】
第1受信部512は、デジタルカメラ102からのデータを受信する。デジタルカメラ102からのデータは、たとえば、デジタルカメラ102からの画像ファイルや動画像ファイルである。第1受信部512は、具体的には、たとえば、アドホックモードでのWi-Fi接続により、デジタルカメラ102からのデータを受信する。アドホックモードでのWi-Fi接続で受信することにより大容量データをデジタルカメラ102から直接受信することができる。第1受信部512は、具体的には、たとえば、
図3に示した第1通信IF307により実現される。
【0050】
第1記憶部513は、第1受信部512によって受信されたデータを記憶する。第1記憶部513は、具体的には、たとえば、
図3に示した記憶デバイス302により実現される。
【0051】
取得部514は、位置情報Pを取得する。具体的には、たとえば、衛星信号受信機306によって受信された4つの測位衛星からの衛星信号を用いて緯度および経度を測位することで、位置情報Pとして測位した緯度および経度を取得する。取得部514によって位置情報Pが取得される都度、位置情報Pは、第1送信部511から送信される。取得部514は、具体的には、たとえば、記憶デバイス302に記憶されたプログラムをプロセッサ301に実行させることにより実現される。
【0052】
設定部515は、デジタルカメラ102によって生成されるデータに位置情報Pを付与する設定(第1設定)と、付与しない設定(第2設定)とのいずれかを設定する。具体的には、たとえば、
図1に示したように、(A)では、スライダ113を右端にスライドさせることで第1設定、すなわち、位置情報付与設定ONとなり、(B)では、スライダ113を左端にスライドさせることで第2設定、すなわち、位置情報付与設定OFFとなる。
【0053】
第1設定(位置情報付与設定ON)であれば、取得部514は、位置情報Pの取得を繰り返し実行し、第1送信部511は、取得部514によって逐次取得された位置情報Pをデジタルカメラ102に送信する。第2設定(位置情報付与設定OFF)であれば、設定部515は、無効化データを第1送信部511に設定し、第1送信部511は、当該設定された無効化データを第1送信部511に送信する。
【0054】
また、第1設定(位置情報付与設定ON)においてデジタルカメラ102との通信ができない場合、設定部515は、第1設定(位置情報付与設定ON)から第2設定(位置情報付与設定OFF)に変更する。通信ができない場合とは、たとえば、デジタルカメラ102との未接続状態の場合や、デジタルカメラ102と接続されていたが通信障害により切断された場合である。これにより、通信できない状態では、第1送信部511は、位置情報Pを送信しなくなる。
【0055】
その後、通信できる状態となった場合、設定部515は、第2設定(位置情報付与設定OFF)から第1設定(位置情報付与設定ON)に変更する。これにより、取得部514は、再度、位置情報Pの取得を繰り返し実行し、第1送信部511は、取得部514によって逐次取得された位置情報Pをデジタルカメラ102に送信する。
【0056】
また、デジタルカメラ102との通信ができない場合、スマートフォン101は、その旨を音声によりまたは表示画面に通知してもよい。これにより、ユーザは、第1設定(位置情報付与設定ON)から第2設定(位置情報付与設定OFF)に自動的に変更されたことを確認することができる。
【0057】
また、デジタルカメラ102との通信ができない場合、設定部515は、第1設定および第2設定のユーザによる設定操作を無効としてもよい。具体的には、たとえば、スマートフォン101は、
図1の設定画面111において、位置情報付与設定項目112自体を非表示にしたり、位置情報付与設定項目112を表示させるが、スライダ113を操作不能にしたりする。
【0058】
位置情報付与設定項目112自体を非表示にすることにより、通信不能中でのユーザの付与設定の意図を反映させないようにする。また、スライダ113を操作不能とすることにより、通信不能中でのユーザの付与設定の意図を反映させないようにし、かつ、現状の付与設定が第1設定(位置情報付与設定ON)および第2設定(位置情報付与設定OFF)のいずれであるかをユーザは確認することができる。
【0059】
また、デジタルカメラ102と通信が接続されていたが通信障害により切断された場合や接続が終了した場合、設定部515は、ユーザによる第1設定(位置情報付与設定ON)および第2設定(位置情報付与設定OFF)のユーザによる設定操作を無効にするとともに、第1設定(位置情報付与設定ON)から第2設定(位置情報付与設定OFF)に変更してもよい。これにより、再接続後においてユーザの意図に反した位置情報Pの送信による電力消費を抑制することができる。設定部515は、具体的には、たとえば、記憶デバイス302に記憶されたプログラムをプロセッサ301に実行させることにより実現される。
【0060】
[デジタルカメラ102の構成例]
デジタルカメラ102は、第2受信部521と、第2記憶部522と、第2送信部523と、生成部524と、制御部525と、を有する。第2受信部521は、スマートフォン101からの情報を受信する。スマートフォン101からの情報は、たとえば、スマートフォン101で取得された位置情報やスマートフォン101で設定された無効化データ(位置情報Pの破棄命令または無効な位置情報PX)である。第2受信部521は、具体的には、たとえば、BLEまたはアドホックモードでのWi-Fi接続によりスマートフォン101からの情報を受信する。第2受信部521は、具体的には、たとえば、
図4に示した第1通信IF411または第2通信IF412により実現される。
【0061】
第2記憶部522は、第2受信部521によって受信された情報を記憶する。具体的には、たとえば、第2記憶部522は、
図2に示したように、位置情報Pや位置情報Pの取得時刻を位置202および時刻201として記憶する。また、第2記憶部522は、生成部524によって生成されたデータを記憶する。第2記憶部522は、具体的には、たとえば、
図4に示した記憶デバイス402により実現される。
【0062】
第2送信部523は、第2記憶部522に記憶された情報をスマートフォン101に送信する。具体的には、たとえば、第2送信部523は、生成部524によって生成され第2記憶部522に記憶されたデータを送信する。より具体的には、たとえば、第2送信部523は、第2記憶部522に記憶された画像ファイル122,123や動画像ファイルをアドホックモードでのWi-Fi接続によりスマートフォン101に送信する。アドホックモードでのWi-Fi接続で送信することにより大容量データを直接高速転送することができる。第2送信部523は、具体的には、たとえば、
図4に示した第1通信IF411により実現される。
【0063】
生成部524は、データを生成する。具体的には、たとえば、生成部524は、撮像部420を有し、撮像部420からの画像信号に基づいて画像データ121を生成する。そして、生成部524は、画像データ121から画像ファイル122,123を生成したり、一連の画像データ121を時系列に並べた動画ファイルを生成したりする。
【0064】
制御部525は、キャッシュメモリ200を制御する。具体的には、たとえば、制御部525は、第2受信部521によって位置情報Pが受信された場合、
図2(A)に示したように、位置情報Pをキャッシュメモリ200にスタックする。これにより、制御部525は、最後にスタックされた位置情報Pを読み出すことになる。
【0065】
制御部525は、取得時刻が受信された場合も位置情報Pとともにキャッシュメモリ200にスタックする。これにより、制御部525は、位置情報Pとともに最後にスタックされた取得時刻を読み出すことになる。なお、制御部525は、キャッシュメモリ200に一定量のレコード(時刻201および位置202の組み合わせ)を蓄積して、一定量を超えると最古のレコードから消去してもよい。これにより、キャッシュメモリ200の容量を一定量以下に制限することができる。
【0066】
また、制御部525は、位置情報Pがスタックされてから一定時間(たとえば、2時間)経過した場合、その位置情報Pをキャッシュメモリ200から削除する。具体的には、たとえば、制御部525は、時刻201を起算時点として、時刻201から一定時間経過した位置202のレコードを削除する。
【0067】
スタックから長時間経過すると、ユーザはその位置202にはいないと考えられる。一方、ユーザがスマートフォン101を所持したまま、デジタルカメラ102から離れてしまい、スマートフォン101とでデジタルカメラ102との間の通信が切断される場合がある。この場合、一定時間以内にユーザがデジタルカメラ102の位置に戻ってくると、スマートフォン101とデジタルカメラ102とが再接続される。したがって、ユーザの利便性を考慮して、デジタルカメラ102は、一定時間以内は、位置情報Pをキャッシュメモリ200に保持しておき、一定時間経過後は、キャッシュメモリ200から位置情報Pを消去するのが好ましい。
【0068】
また、制御部525は、生成部524によって生成されたデータが第2記憶部522に記憶されると、キャッシュメモリ200に最後にスタックされた位置情報Pを読み出して、当該データに付与する。具体的には、たとえば、制御部525は、
図1(A)に示したように、生成された画像データ121に位置情報Pを付与することにより、画像ファイル122を生成する。
【0069】
これにより、デジタルカメラ102に、スマートフォン101のような衛星信号受信機306が実装されていなくても、画像データ121に位置情報Pを関連付けることができる。したがって、画像ファイル122を参照することで、その画像データ121がどこで撮像されたかを特定可能となる。
【0070】
制御部525は、第2受信部521によって無効化データが受信された場合、無効化データの種類に応じてキャッシュメモリ200を制御する。具体的には、たとえば、制御部525は、無効化データが、位置情報Pの破棄命令である場合、
図2(B1)に示したように、キャッシュメモリ200をクリアする。
【0071】
これにより、以降は、制御部525がキャッシュメモリ200を読みに行ってもレコードがないため、位置情報Pを読み出せないことになる。したがって、デジタルカメラ102に「位置情報Pを付与しない設定」が実装されていなくても、必然的に生成部524からのデータに位置情報Pは付与されない。
【0072】
また、制御部525は、無効化データが無効な位置情報PXである場合、
図2(B2)に示したように、無効な位置情報PXをキャッシュメモリ200にスタックする。これにより、以降は、制御部525がキャッシュメモリ200を読みに行くと無効な位置情報PXを読み出す。
【0073】
したがって、デジタルカメラ102に「位置情報Pを付与しない設定」が実装されていなくても、生成部524からのデータに無効な位置情報PXは付与される。この無効な位置情報PXは、実際に存在しない位置を示すため、無効な位置情報PXがデータに付与されても、『その位置情報Pが示す位置で生成されたデータ』であると誤認識されることはない。
【0074】
また、制御部525は、第2受信部521によりスマートフォン101から情報が受信できない状態の場合、第2記憶部522内のキャッシュメモリ200に記憶された位置情報を破棄してもよい。具体的には、たとえば、スマートフォン101とのBLE接続確立後、通信障害またはスマートフォン101の通信圏外への移動により接続が切断された場合、制御部525は、これまでにキャッシュメモリ200に蓄積された位置情報Pを破棄する。
【0075】
これにより、切断中に生成された画像データ121に位置情報が付与されない。切断中では、スマートフォン101とデジタルカメラ102との位置が異なる場合があるため、切断時に位置情報Pを破棄することで位置情報Pの誤付与を抑制することができる。また、再接続後は、あらたにスマートフォン101から受信した最新の位置情報Pがキャッシュメモリ200に記録されるため、位置情報Pの画像データ121への付与が可能となる。
【0076】
<通信システム500における接続シーケンス例>
図6は、通信システム500における接続シーケンス例を示すシーケンス図である。
図6では、BLEを用いて、デジタルカメラ102とスマートフォン101とが通信可能に接続されるシーケンス例を説明する。
図6では、デジタルカメラ102を、アドバタイズパケットをブロードキャストするアドバタイザ(ブロードキャスタともいう)とし、スマートフォン101を、アドバタイズパケットをスキャンするスキャナ(オブザーバともいう)とする。
【0077】
スマートフォン101は、事前設定またはユーザからの操作入力により、アドバタイズパケットのスキャンを開始する(ステップS601)。また、デジタルカメラ102は、事前設定またはユーザからの操作入力により、アドバタイズを開始する(ステップS602)。これにより、デジタルカメラ102は、コネクション可能なアドバタイズパケットADV_INDを一定間隔で繰り返し配信する(ステップS602)。アドバタイズパケットADV_INDは、デジタルカメラ102が位置情報Pを要求することを規定する識別情報を含む。
【0078】
アクティブスキャン方式の場合、スマートフォン101は、アドバタイズパケットADV_INDを受信すると、スキャン要求SCAN_REQをデジタルカメラ102に送信し(ステップS604)、デジタルカメラ102は、スキャン要求SCAN_REQを受信すると、スキャン応答SCAN_RSPをスマートフォン101に返す(ステップS605)。
【0079】
パッシブスキャン方式の場合は、ステップS604、S605は実行されない。パッシブスキャン方式の場合は、デジタルカメラ102は、ステップS603でコネクション可能でかつスキャン不可を規定するアドバタイズパケットADV_DIRECT_INDをブロードキャストする。
【0080】
このあと、スマートフォン101は、BLE接続要求確認を実行する(ステップS606)。具体的には、たとえば、スマートフォン101は、受信したアドバタイズパケットADV_INDが、デジタルカメラ102が位置情報Pの要求することを規定する識別情報を含むか否かを確認する。そして、当該識別情報が含まれている場合、デジタルカメラ102は、アドバタイズパケットADV_INDの配信元のデジタルカメラ102に接続要求CONNECT_REQを送信する(ステップS607)。
【0081】
そして、スマートフォン101は、自身をマスタに決定し(ステップS608)、接続要求CONNECT_REQを受信したデジタルカメラ102は、自身をスレーブに決定する(ステップS609)。これにより、スマートフォン101とデジタルカメラ102との間でBLE接続が確立する。
【0082】
このあと、スマートフォン101は、位置情報付与設定を確認する(ステップS610)。具体的には、たとえば、スマートフォン101は、位置情報付与設定が「ON」であれば、位置情報Pを取得してスレーブ(デジタルカメラ102)に送信可能であり、位置情報付与設定が「OFF」であれば、無効化データをスレーブ(デジタルカメラ102)に送信可能である。
【0083】
そして、スマートフォン101は、位置情報付与設定確認(ステップS610)での確認結果にしたがって、スレーブとなったデジタルカメラ102にデータ(位置情報Pまたは無効化データ)を送信する(ステップS611)。デジタルカメラ102は、受信したデータに基づいて、
図1に示したようなデータ処理を実行する(ステップS612)。データ処理(ステップS612)の詳細な処理手順例については
図8で後述する。
【0084】
<スマートフォン101のスキャンおよび接続処理例>
図7は、スマートフォン101のスキャンおよび接続処理例を示すフローチャートである。
図7のフローチャートは、
図6のステップS601でスキャン開始となった場合にプロセッサ301に実行されるアプリケーションプログラムの処理例である。スマートフォン101のプロセッサは、バックグラウンドまたはフォアグラウンドでこのアプリケーションプログラムを実行可能である。なお、フォアグラウンドの場合は、このアプリケーションプログラムの明示的な起動が必要である。また、フォアグラウンドの場合は、位置情報送付設定のON/OFFを手動で変更可能である。
【0085】
スマートフォン101が、ステップS603のアドバタイズパケットを受信し(ステップS701:Yes)、かつ、マスタに決定された場合(ステップS702:Yes)、デジタルカメラ102との接続が確立する。この場合、スマートフォン101は、位置情報Pの付与設定がONであるかOFFであるかを確認する(ステップS703)。
【0086】
ONである場合(ステップS703:ON)、スマートフォン101は、取得部514により位置情報を逐次取得して、取得した位置情報をデジタルカメラ102に順次送信する(ステップS705)。この場合、スマートフォン101は、位置情報Pとともに当該位置情報Pの取得時刻も送信してもよい。
【0087】
なお、今回取得した位置情報Pが前回取得した位置情報Pと同じまたは異なっていてもその差分が許容範囲内である場合は、スマートフォン101は、設定部515により、今回取得した位置情報Pが含まれていないエンプティパケットを設定して、デジタルカメラ102に送信してもよい。
【0088】
これにより、送信データ量の低減化を図ることができる。また、デジタルカメラ102は、エンプティパケットを受信した場合、キャッシュメモリ200にスタックすべき位置情報Pがないため、スタック処理を実行しない。これにより、デジタルカメラ102の消費電力の低減化を図ることができる。
【0089】
一方、ステップS703において、OFFである場合(ステップS703:OFF)、スマートフォン101は、設定部515により、送信済みの位置情報Pを無効化する無効化データを設定し(ステップS706)、無効化データをデジタルカメラ102に送信する(ステップS707)。
【0090】
また、スマートフォン101が、ステップS603のアドバタイズパケットを受信し(ステップS701:Yes)、かつ、マスタに決定されていない場合(ステップS702:No)、デジタルカメラ102との接続が確立していない。この場合、ステップS701に移行する。
【0091】
また、スマートフォン101が、ステップS603のアドバタイズパケットを受信していない場合(ステップS701:No)、スマートフォン101は、デジタルカメラ102からのアドバタイズパケットの通信圏外である。この場合、スマートフォン101は、位置情報付与設定を設定不可状態に設定し(ステップS708)、ステップS701に戻る。
【0092】
具体的には、たとえば、スマートフォン101は、位置情報付与設定項目112(スライダ113含む)をユーザによる操作不能な状態で表示したり、スライダ113を非表示にしたりする。これにより、ユーザによる位置情報Pの付与または非付与についての意図の受付を拒否することができる。特に、操作不能に表示することで、現状の位置情報付与設定がONであるかOFFであるかをユーザは視認することができる。
【0093】
<デジタルカメラ102のデータ処理例>
図8は、
図6に示したデジタルカメラ102のデータ処理(ステップS612)の処理手順例を示すフローチャートである。
図8のフローチャートは、デジタルカメラ102のプロセッサ401に実行されるファームウェアの処理手順例である。デジタルカメラ102は、ステップS611でスマートフォン101から送信されてくるデータ(位置情報Pまたは無効化データ)の受信を待ち受ける(ステップS801:No)。
【0094】
当該データが受信された場合(ステップS801:Yes)、デジタルカメラ102は、受信したデータの種類を特定する(ステップS802)。受信したデータが位置情報Pまたは無効な位置情報PXである場合(ステップS802:位置情報、無効な位置情報)、デジタルカメラ102は、
図2(A)または(B2)に示したように、受信したデータ(位置情報Pまたは無効な位置情報PX)をキャッシュメモリ200にスタックして(ステップS803)、データ処理(ステップS612)を終了する。
【0095】
また、受信したデータに取得時刻が含まれている場合、デジタルカメラ102は、位置情報Pまたは無効な位置情報PXとともにキャッシュメモリ200にスタックする。これにより、デジタルカメラ102は、位置情報Pとその取得時刻を関連付けて管理することができる。
【0096】
また、受信したデータに取得時刻が含まれていない場合、デジタルカメラ102は、受信したデータの受信時刻を取得時刻の替わりにキャッシュメモリ200にスタックしてもよい。これにより、スマートフォン101からデジタルカメラ102へのデータ転送量の低減化を図ることができる。
【0097】
一方、受信したデータが位置情報Pの破棄命令である場合(ステップS802:破棄命令)、デジタルカメラ102は、
図2(B1)に示したように、キャッシュメモリ200をクリアして(ステップS804)、データ処理(ステップS612)を終了する。
【0098】
<デジタルカメラ102の画像ファイル生成処理例>
図9は、デジタルカメラ102の画像ファイル生成処理手順例を示すフローチャートである。なお、デジタルカメラ102は、キャッシュメモリ200にスタックされた位置情報Pが、実在する位置情報であるか無効な位置情報PXであるかを意識することなく読み出す。したがって、
図9に示す「位置情報P」は、実在する位置情報Pのほか、無効な位置情報PXも含むものとする。
【0099】
デジタルカメラ102は、手動またはセルフタイマでのレリーズボタンの押下を待ち受ける(ステップS901:No)。レリーズボタンの押下が検出された場合(ステップS901:Yes)、デジタルカメラ102は、撮像部420により被写体を撮像して画像信号を出力し、LSI407により、画像データ121を生成する(ステップS902)。そして、デジタルカメラ102は、キャッシュメモリ200から最新の位置情報Pの読出しを試行する(ステップS903)。
【0100】
位置情報Pが読み出された場合(ステップS904:Yes)、デジタルカメラ102は、位置情報Pを画像データ121に付与して(ステップS905)、
図1(A)に示したように、画像ファイル122を生成して、記憶デバイス402に記録する(ステップS906)。
【0101】
一方、位置情報Pが読み出されなかった場合(ステップS904:No)、すなわち、
図2(B1)に示したように、キャッシュメモリ200が空である場合、デジタルカメラ102は、
図1(B)に示したように、位置情報Pが含まれない画像ファイル123を生成して、記憶デバイス402に記録する(ステップS906)。
【0102】
<キャッシュメモリ200の更新処理例>
図10は、キャッシュメモリ200の更新処理手順例1を示すフローチャートである。まず、デジタルカメラ102は、キャッシュメモリ200の更新タイミングを待ち受ける(ステップS1001:No)。更新タイミングとは、たとえば、周期的に設定された更新時期またはユーザの操作によって更新指示があったタイミングである。更新タイミングである場合(ステップS1001:Yes)、デジタルカメラ102は、デジタルカメラ102内の時計から現在時刻を取得する(ステップS1001)。
【0103】
デジタルカメラ102内の時計の現在時刻を修正にするため、デジタルカメラ102は、スマートフォン101から位置情報Pとともに送信される取得時刻により、デジタルカメラ102内の時計の現在時刻が取得時刻となるよう時刻合わせを実行してもよい。これにより、デジタルカメラ102の時計は、スマートフォン101の時計と同期する。
【0104】
デジタルカメラ102は、現在時刻を取得すると(ステップS1001)、現在時刻から所定時間(たとえば、上述した2時間)以前の位置情報Pをキャッシュメモリ200から消去する(ステップS1002)。これにより、最新の位置情報Pの取得時刻から所定時間経過していない位置情報Pがキャッシュメモリ200に保持される。
【0105】
図11は、キャッシュメモリ200の更新処理手順例2を示すフローチャートである。
図11のフローチャートは、
図6におけるデジタルカメラ102とスマートフォン101とのBLE接続の確立をトリガにして実行される。デジタルカメラ102は、接続相手のスマートフォン101が変更されたか否かを判断する(ステップS1101)。変更されていない場合(ステップS1101:No)、デジタルカメラ102は更新処理を終了する。変更された場合(ステップS1101:Yes)、デジタルカメラ102は、キャッシュメモリ200をクリアする(ステップS1102)。
【0106】
このように、変更前の接続相手のスマートフォン101の位置情報Pは、接続相手の変更後のデジタルカメラ102では不要である。したがって、デジタルカメラ102は、上述した所定時間の経過を待たずに全消去する。一方、接続相手に変更がない場合、ユーザがスマートフォン101を所持したままデジタルカメラ102から離れることで、一時的に通信が切断され、その後当該ユーザがデジタルカメラ102の位置に戻ってきた可能性がある。したがって、デジタルカメラ102は、ステップS1102のように、キャッシュメモリ200をクリアせず、
図10のようにキャッシュメモリ200を更新することになる。
【0107】
このように、実施例1によれば、スマートフォン101での位置情報付与設定(ONまたはOFF)により、位置情報Pの付与設定機能および測位機能がないデジタルカメラ102で生成された被写体の画像データ121に、被写体撮像時の位置情報Pを付与することができる。位置情報Pの付与設定機能をデジタルカメラ102に実装せずにスマートフォン101での位置情報付与設定で管理することにより、スマートフォン101およびデジタルカメラ102の両方の煩雑な操作を解消して、使いやすさの向上を図ることができる。また、デジタルカメラ102の位置情報Pの測位機能がなくても撮影時の位置情報Pがスマートフォン101から取得可能であるため、デジタルカメラ102の軽量化、小型化、および低コスト化を図ることができる。
【実施例2】
【0108】
実施例2は、デジタルカメラ102が事後的に画像ファイル122から位置情報Pを削除する例である。なお、実施例2では、事後的に位置情報Pを削除する点を中心に説明するため、実施例1との共通部分については、実施例1と同一符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
図12は、位置情報Pの事後的削除例を示す説明図である。デジタルカメラ102とスマートフォン101とは、BLE接続されており、スマートフォン101の位置情報付与設定はONとする。これにより、デジタルカメラ102は、時刻t0以前の最新の位置情報Pを取得済みとする。デジタルカメラ102とスマートフォン101との間の通信が、通信障害やスマートフォン101の通信圏外への移動により、時刻t0で切断されたとする。
【0110】
時刻t0以降、デジタルカメラ102のキャッシュメモリ200の最新の位置情報をPとする。また、デジタルカメラ102は、時刻t0でアドバタイズパケットの配信を再開する。時刻t0以降、デジタルカメラ102は、切断中であっても、スマートフォン101の位置情報付与設定のON/OFFにかかわらず、画像データ121が生成される都度、キャッシュメモリ200を読みに行く。
【0111】
時刻t1で、スマートフォン101の位置情報付与設定がONからOFFに設定変更される。スマートフォン101は、時刻t1を設定変更時刻として記憶デバイス302に記録する。時刻t2でデジタルカメラ102は被写体を撮影し、キャッシュメモリ200の最新の位置情報Pを画像データ121に付与して、画像ファイル122を生成する。
【0112】
時刻t3で、デジタルカメラ102とスマートフォン101とのBLE接続が確立する。このとき、スマートフォン101は、設定変更時刻である時刻t1をデジタルカメラ102に送信する。また、位置情報付与設定がOFFであるため、スマートフォン101は、無効化データをデジタルカメラ102に送信する。
【0113】
デジタルカメラ102は、設定変更時刻t1を受信すると、切断中に生成された画像ファイルから、設定変更時刻t1以降に付与された位置情報Pを削除する。時刻t2でのデジタルカメラ102の位置は、位置情報Pが示す位置とは限られない。一方、切断中は、スマートフォン101から情報を受信できない。
【0114】
したがって、デジタルカメラ102は事後的に位置情報Pを削除する。これにより、位置情報Pの誤付与を抑制することができる。また、デジタルカメラ102は、時刻t3で無効化データを受信する。これにより、時刻t3以降の撮影で生成された画像データ121に、位置情報Pが付与されることはない。
【0115】
<設定変更時刻送信処理例>
図13は、スマートフォン101による設定変更時刻送信処理手順例を示すフローチャートである。
図13のフローチャートは、
図6のステップS610で位置情報付与設定確認が実行された場合にプロセッサ301に実行されるアプリケーションプログラムの処理例である。
【0116】
スマートフォン101は、デジタルカメラ102とBLE接続中であるか否かを判断する(ステップS1301)。BLE接続中である場合(ステップS1301:Yes)、スマートフォン101は、ステップS1301を再判断する。BLE接続中でない場合(ステップS1301:No)、スマートフォン101とデジタルカメラ102とのBLE接続が切断されたことになる。
【0117】
このあと、スマートフォン101は、位置情報付与設定がONからOFFに変更されたか否かを判断する(ステップS1302)。変更されていない場合(ステップS1302:No)、ステップS1301に戻る。一方、変更された場合(ステップS1302:Yes)、スマートフォン101は、設定変更時刻を記憶デバイス302に記録する(ステップS1303)。
【0118】
そして、スマートフォン101は、設定変更時刻の記録後にデジタルカメラ102との再接続を待ち受ける(ステップS1304:No)。再接続された場合(ステップS1304:Yes)、スマートフォン101は、設定変更時刻を記憶デバイス302から読み出してデジタルカメラ102に送信する(ステップS1305)。
【0119】
<事後的位置情報削除処理例>
図14は、デジタルカメラ102による事後的位置情報削除処理手順例を示すフローチャートである。デジタルカメラ102は、スマートフォン101との再接続時に設定変更時刻の受信を待ち受ける(ステップS1401:No)。設定変更時刻が受信された場合(ステップS1401:Yes)、デジタルカメラ102は、撮影時刻が設定変更時刻以降の画像ファイル122を記憶デバイス402から特定する(ステップS1402)。そして、デジタルカメラ102は、特定した画像ファイル122から位置情報Pを削除する(ステップS1403)。これにより、事後的位置情報削除処理を終了する。
【0120】
このように、デジタルカメラ102は、位置情報Pの付与設定機能および測位機能を実装していないため、スマートフォン101との通信が切断されると、位置情報Pの付与をOFFにできないため、切断前の位置情報Pを読みに行くことになる。しかしながら、実施例2によれば、再接続後に位置情報付与設定がONからOFFに変更された設定変更時刻を受信することで、デジタルカメラ102は、切断中にスマートフォン101で位置情報付与設定がONからOFFに変更された時刻を特定することができる。したがって、デジタルカメラ102は、切断中に生成された画像データ121に、切断前に受信した位置情報Pが付与された場合でも、事後的に削除することができる。これにより、位置情報Pの誤付与の低減化を図ることができる。
【0121】
また、実施例2では、デジタルカメラ102は、実施例1と同様、位置情報Pの付与設定機能および測位機能を実装していない。したがって、位置情報Pの付与設定機能をデジタルカメラ102に実装せずにスマートフォン101での位置情報付与設定で管理することができ、スマートフォン101およびデジタルカメラ102の両方の煩雑な操作を解消して、使いやすさの向上を図ることができる。また、デジタルカメラ102の位置情報Pの測位機能がなくても撮影時の位置情報Pがスマートフォン101から取得可能であるため、デジタルカメラ102の軽量化、小型化、および低コスト化を図ることができる。
【実施例3】
【0122】
実施例3は、BLE接続からアドホックモードでのWi-Fi接続に切り替えて、デジタルカメラ102からスマートフォン101に画像ファイル122,123を転送する場合の位置情報付与処理例を示す。実施例3では、位置情報Pを送信する第1通信方式の一例としてBLEを用い、画像ファイル122,123を転送する第2通信方式にアドホックモードでのWi-Fi接続を用いるが、第1通信方式は、第2通信方式よりも低速であれば、Bluetoothなど、BLE以外の他の通信方式でもよい。同様に、第2通信方式は、第1通信方式よりも高速であれば、WiFi Direct(登録商標、以下省略)など、アドホックモードでのWi-Fi接続以外の他の通信方式でもよい。なお、実施例3では、この位置情報付与処理例を中心に説明するため、実施例1および実施例2と同一内容には同一符号を付し、その説明を省略する。
【0123】
<位置情報付与処理シーケンス>
図15は、実施例3にかかる位置情報付与処理手順例を示すシーケンス図である。
図15では、すでにデジタルカメラ102とスマートフォン101とはBLE接続されているものとする。また、スマートフォン101の位置情報付与設定はONとする。スマートフォン101は、取得部514により位置情報を取得する都度(ステップS1501)、取得した位置情報をBLE通信でデジタルカメラ102に転送する(ステップS1502)。
【0124】
デジタルカメラ102は、位置情報Pが転送されてくる都度(ステップS1502)、キャッシュメモリ200にスタックする(ステップS1503)。このあと、デジタルカメラ102は、アドホックモードでのWiFi接続指示を受け付ける(ステップS1504)。当該WiFi接続指示(ステップS1504)は、たとえば、ユーザからの明示的な操作により受け付けられる。
【0125】
また、デジタルカメラ102は、被写体撮影による画像ファイル122の生成完了をトリガとして、WiFi接続指示(ステップS1504)を受け付けてもよい。デジタルカメラ102は、被写体撮影による画像ファイル122の生成完了をトリガとして、背面モニタにアドホックモードでのWi-Fi接続を促す画面を表示し、ユーザからの明示的な操作によりWiFi接続指示(ステップS1504)を受け付けてもよい。
【0126】
デジタルカメラ102は、WiFi接続指示(ステップS1504)を受け付けると、BLE切断要求(TERMINATEパケット)をスマートフォン101に送信する(ステップS1505)。これにより、スマートフォン101およびデジタルカメラ102は、BLE接続を切断する(ステップS1506)。このように、アドホックモードでのWi-Fi接続に先立ってBLE接続を切断することにより、スマートフォン101およびデジタルカメラ102の無駄な電力消費を抑制することができる。
【0127】
このあと、スマートフォン101およびデジタルカメラ102は、アドホックモードでのWi-Fi接続を実行する(ステップS1507)。
【0128】
アドホックモードでのWi-Fi接続(ステップS1507)後も、スマートフォン101は、取得部514により位置情報を取得する都度(ステップS1508)、取得した位置情報をアドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に転送する(ステップS1509)。デジタルカメラ102は、位置情報Pが転送されてくる都度(ステップS1509)、キャッシュメモリ200にスタックする(ステップS1510)。
【0129】
このあと、デジタルカメラ102は、アドホックモードでのWi-Fi接続による画像ファイルの転送指示を受け付ける(ステップS1511)。具体的には、たとえば、デジタルカメラ102は、転送すべき画像ファイル122がユーザ操作で指定されて、当該画像ファイル122の転送指示を受け付ける。当該転送指示(ステップS1511)は、たとえば、ユーザからの明示的な操作により受け付けられる。
【0130】
また、デジタルカメラ102は、画像ファイル122が記憶デバイス402に所定容量以上蓄積されたことをトリガとして、転送指示(ステップS1511)を受け付けてもよい。また、デジタルカメラ102は、画像ファイル122が記憶デバイス402に所定容量以上蓄積されたことをトリガとして、背面モニタにアドホックモードでのWi-Fi接続によるファイル転送および転送すべき画像ファイル122の指定を促す画面を表示し、ユーザからの明示的な操作により画像ファイル122の指定および転送指示(ステップS1511)を受け付けてもよい。
【0131】
デジタルカメラ102は、転送指示を受け付けると(ステップS1511)、画像ファイル122を転送する(ステップS1512)。画像ファイル122の転送(ステップS1512)が完了すると、スマートフォン101は、取得部514により位置情報Pを取得して(ステップS1513)、取得した位置情報PをアドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に転送する(ステップS1514)。
【0132】
デジタルカメラ102は、位置情報Pが転送されてくる都度(ステップS1514)、キャッシュメモリ200にスタックする(ステップS1515)。位置情報Pの転送(ステップS1514)が完了すると、デジタルカメラ102は、つぎの画像ファイル122をアドホックモードでのWi-Fi接続でスマートフォン101に転送する(ステップS1512)。
【0133】
このように、スマートフォン101とデジタルカメラ102は、ステップS1512~S1515をファイル単位での画像ファイル122の転送を繰り返し実行したが、ファイル単位ではなく、サイズ単位で転送してもよい。ファイル単位での転送の場合、画像ファイル122ごとにサイズが異なるため、スマートフォン101からの位置情報Pの転送間隔にばらつきが生じるが、サイズ単位での転送の場合、スマートフォン101からの位置情報Pの転送間隔のばらつきを抑制することができる。また、サイズ単位での転送の場合、サイズ単位をより小さくするほど、スマートフォン101からの位置情報Pの転送頻度を多くすることができる。
【0134】
また、自動車や電車などの移動体に乗車した状態でユーザがデジタルカメラ102で撮影しながらデジタルカメラ102からスマートフォン101に画像ファイル122を転送する場合、画像ファイル122の転送が完了するまで位置情報Pが取得できないため、位置情報Pにずれが生じる。このため、デジタルカメラ102は、移動体の移動速度が所定速度以上であれば、アドホックモードでのWi-Fi接続での画像ファイル122の転送(ステップS1512)を停止してもよい。
【0135】
具体的には、たとえば、スマートフォン101は、連続的に取得した位置情報Pと取得した時間間隔とに基づいて、移動体の移動速度を算出する。スマートフォン101は、算出した移動速度を位置情報Pとともに、または、位置情報Pのかわりに、アドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に転送する(ステップS1514)。
【0136】
この場合、デジタルカメラ102は、移動速度を受信して、所定速度以上であれば、画像ファイルの転送を停止する。これにより、スマートフォン101は、画像ファイルの転送完了を待たずに、位置情報PをアドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に転送することができる。この場合、デジタルカメラ102は、受信した移動速度が所定速度未満となれば、画像ファイル122の転送を再開することになる。
【0137】
また、スマートフォン101は、移動体の移動速度をデジタルカメラ102に送信するのではなく、移動体の移動速度が所定速度以上である場合に画像ファイルの転送停止指示を位置情報Pとともに、または、位置情報Pのかわりに、アドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に送信してもよい(ステップS1514)。
【0138】
この場合、デジタルカメラ102は、画像ファイル122の転送停止指示を受信して、画像ファイル122の転送を停止する。これにより、スマートフォン101は、画像ファイル122の転送完了を待たずに、位置情報PをアドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に転送することができる。
【0139】
この場合、スマートフォン101は、算出した移動速度が所定速度未満となれば、画像ファイル122の転送再開指示をデジタルカメラ102に送信する。そして、デジタルカメラ102は、当該転送再開指示を受信すると、画像ファイル122の転送を再開することになる。
【0140】
また、上述した2つの転送停止制御例は、いずれも画像ファイル122の転送の停止と再開とを制御したが、移動体の移動速度が速くなるほど、サイズ単位を小さくしてもよい。
【0141】
具体的には、たとえば、スマートフォン101は、連続的に取得した位置情報Pと、位置情報Pを取得した時間間隔とに基づいて、移動体の移動速度を算出する。スマートフォン101は、算出した移動速度を位置情報Pとともに、または、位置情報Pのかわりに、アドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に転送する(ステップS1514)。
【0142】
この場合、デジタルカメラ102は、移動速度を受信して、前回受信した移動速度から増加すると、サイズ単位を縮小し、前回受信した移動速度から減少するとサイズ単位を拡大する。これにより、デジタルカメラ102は、移動体の移動速度の変化に応じて、位置情報Pの転送頻度を制御することができる。
【0143】
また、スマートフォン101は、移動体の移動速度をデジタルカメラ102に送信するのではなく、前回算出した移動速度から増加すると、サイズ単位の縮小指示を、前回算出した移動速度から減少するとサイズ単位の拡大指示を、位置情報Pとともに、または、位置情報Pのかわりに、アドホックモードでのWi-Fi接続でデジタルカメラ102に送信してもよい(ステップS1514)。
【0144】
この場合、デジタルカメラ102は、サイズ単位の縮小指示を受信すると、サイズ単位を縮小し、縮小後のサイズ単位で画像ファイルをアドホックモードでのWi-Fi接続でスマートフォン101に転送し、サイズ単位の拡大指示を受信すると、サイズ単位を拡大して、拡大後のサイズ単位で画像ファイル122をアドホックモードでのWi-Fi接続でスマートフォン101に転送する。これにより、スマートフォン101は、移動体の移動速度の変化に応じて、位置情報Pの転送頻度を制御することができる。
【0145】
また、上述した説明では、スマートフォン101の位置情報付与設定はONとして説明したが、位置情報付与設定がONからOFFに切り替わった場合、スマートフォン101は、位置情報Pに替えて、無効化データをデジタルカメラ102に送信する(ステップS1502、S1508、S1513)。
【0146】
この場合、実施例1と同様、無効化データが位置情報Pの破棄命令であれば、デジタルカメラ102は、
図2(B1)に示したように、キャッシュメモリ200の位置情報Pを破棄する。したがって、転送される画像ファイル123には、
図1(B)に示したように、位置情報Pが付与されていない。
【0147】
また、無効化データが、無効な位置情報PXである場合、デジタルカメラ102は、
図2(B2)に示したように、キャッシュメモリ200に無効な位置情報PXをスタックする。したがって、転送される画像ファイル123には、
図1(B)に示したように、無効な位置情報PXが付与される。
【0148】
このように、実施例3によれば、デジタルカメラ102からスマートフォン101に画像ファイルをアドホックモードでのWi-Fi接続で転送する合間に、スマートフォン101からデジタルカメラ102に位置情報Pや無効化データをアドホックモードでのWi-Fi接続で転送することができる。したがって、位置情報Pや無効化データの転送に使用しないBLE接続を切断することで、スマートフォン101およびデジタルカメラ102の無断な電力消費を抑制することができる。
【0149】
なお、上述した実施例1~3では、スマートフォン101からデジタルカメラ102に無効化データを送信する例について説明したが、スマートフォン101は、位置情報Pをデータに付与しないことを指示する命令(以下、非付与指示命令)をデジタルカメラに送信してもよい。デジタルカメラ102は、非付与指示命令を受信した場合、2通りのデータ処理のいずれか一方を実行する。
【0150】
1つは、デジタルカメラ102は、非付与指示命令を上述した位置情報Pの破棄命令と認識して、
図2(B)に示したように、キャッシュメモリ200内をクリアするデータ処理である。
【0151】
もう1つは、デジタルカメラ102は、非付与指示命令を上述した位置情報Pの破棄命令と認識せずに、最新(時刻Tn)の位置情報Pnの画像データ121への付与をしないというデータ処理である。すなわち、デジタルカメラ102は、非付与指示命令を受信した場合、それ以降は、最新(時刻Tn)の位置情報Pnのキャッシュメモリ200からの読み出しを停止する。これにより、位置情報Pの読出しによる負荷の低減を図ることができる。
【0152】
なお、その後、スマートフォン101において第2設定(位置情報付与設定OFF)から第1設定(位置情報付与設定ON)に変更されたことで、デジタルカメラ102は、スマートフォン101から位置情報Pを受信する。このあらたな位置情報Pの受信により、デジタルカメラ102は、位置情報Pnのキャッシュメモリ200からの読み出し停止を解除する。このように、スマートフォン101において第2設定(位置情報付与設定OFF)の期間中におけるキャッシュメモリ200からの位置情報Pの読み出し処理を停止して、デジタルカメラ102の処理負荷低減および無駄な電力消費を抑制することができる。
【0153】
なお、本発明は上記の内容に限定されるものではなく、これらを任意に組み合わせたものであってもよい。また、本発明の技術的思想の範囲で考えられるその他の態様も本発明の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0154】
101 スマートフォン、102 デジタルカメラ、121 画像データ、122,123 画像ファイル、200 キャッシュメモリ、420 撮像部、511 第1送信部、512 第1受信部、513 第1記憶部、514 取得部、515 設定部、521 第2受信部、522 第2記憶部、523 第2送信部、524 生成部、525 制御部