(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】シリコン単結晶のDLTS評価方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/66 20060101AFI20240611BHJP
C30B 29/06 20060101ALI20240611BHJP
C30B 15/00 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01L21/66 L
C30B29/06 Z
C30B29/06 502Z
C30B15/00 Z
(21)【出願番号】P 2021012312
(22)【出願日】2021-01-28
【審査請求日】2023-01-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000190149
【氏名又は名称】信越半導体株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102532
【氏名又は名称】好宮 幹夫
(74)【代理人】
【識別番号】100194881
【氏名又は名称】小林 俊弘
(72)【発明者】
【氏名】石引 涼太
【審査官】平野 崇
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-082170(JP,A)
【文献】特開2010-232323(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
C30B 29/06
C30B 15/00
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリコン単結晶中に存在する不純物準位をDLTS法により評価する方法であって、
測定対象のシリコン単結晶としてP型の試料を準備する工程と、
前記試料の表面にAlを真空蒸着させる工程と、
前記試料のC-V測定を行う工程と、
前記C-V測定の結果から、さらに前記試料のI-V測定工程を行うか否かを判定する工程と、
前記I-V測定工程を行った前記試料に対し、I-V測定結果から、前記試料の裏面にGaを塗布するか否かを判定する工程と、
前記試料のDLTS測定を行う工程とを有し、
前記I-V測定工程を行わないと判定された前記試料、及び、前記I-V測定結果から試料の裏面にGaを塗布すると判定された前記試料は、前記試料の裏面にGaを塗布してDLTS測定を行い、
前記I-V測定結果から、前記試料の裏面にGaを塗布しないと判定された前記試料はGaを塗布せずにDLTS測定を行うことを特徴とするシリコン単結晶のDLTSの評価方法。
【請求項2】
前記測定対象のシリコン単結晶としてP型の試料を準備する工程において、150~300℃の熱処理温度で前記試料の表面に熱酸化膜を形成することを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶のDLTSの評価方法。
【請求項3】
前記C-V測定結果から、さらに前記試料のI-V測定工程を行うか否かを判定する工程において、
前記試料に逆バイアス電圧を印加したときのキャパシタンスの変化が単調減少の場合は、前記I-V測定工程において前記試料に逆バイアス電圧を印加してI-V測定を行うと判定し、
前記試料に逆バイアス電圧を印加したときのキャパシタンスの変化が単調減少でない場合は、前記試料の前記I-V測定工程を行わないと判定することを特徴する請求項1または請求項2に記載のシリコン単結晶のDLTSの評価方法。
【請求項4】
前記試料の裏面にGaを塗布するか否かを判定する工程において、
前記I-V測定結果がP型ショットキーの特性を示した場合は、前記試料の裏面にGaを塗布しないと判定し、
前記I-V測定結果がP型ショットキーの特性を示さなかった場合は、前記試料の裏面にGaを塗布すると判定することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のシリコン単結晶のDLTSの評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シリコンウェーハ中に存在する不純物準位をDLTS法で評価する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンウェーハの製造過程において導入される金属不純物や炭素、酸素等の不純物は、シリコンのバンドギャップ中に深い準位を形成し、デバイスの電気特性に影響を及ぼすため、前記不純物により形成される不純物準位の評価は重要である。
【0003】
前記シリコン中の不純物による深い準位を検出する手法として、DLTS(Deep Level Transient Spectroscopy)測定(「DLTS評価」ということもある)が知られている。DLTS測定を実施する場合、シリコンウェーハにショットキー接合を形成する金属電極を形成し、裏面にオーミック接合を形成する金属電極を形成する。電極間に逆バイアス電圧を印加して空乏層を広げ、順パルス電圧を与えることで空乏層内に存在する深い準位にキャリアが捕獲される。前記捕獲されたキャリアが放出される過程を静電容量変化として検出、評価する。通常、温度掃引を行いながら測定を行うが、各不純物準位を形成するエネルギー準位に対応した温度にピークが観察されるため、そのピーク位置から不純物を特定できる。また、ピークの強度から不純物準位の密度を算出できる。
【0004】
P型シリコンウェーハのDLTS測定を行う場合、例えば特許文献1に記載されているように、ショットキー電極としてAlを真空蒸着し、オーミック電極としてGaを塗布するのが一般的である。また、特許文献1には、シリコンウェーハとAl電極間に薄い酸化膜を形成することで、シリコンウェーハに直接Al電極を形成するよりも良いショットキー特性が得られたと記載されている。
【0005】
また、DLTS測定において、例えば特許文献2には、P型シリコンウェーハのDLTS測定を実施する前に、ドナーキラー熱処理を行うことで酸素ドナーを不活性化することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2016-082170号公報
【文献】特開2017-109883号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
例えばドナーキラー熱処理をされていないP型シリコンウェーハでは結晶位置や熱履歴によって、P型のキャリア濃度よりも酸素ドナー起因キャリア濃度が多くなりN型に変化してしまう、いわゆるN転している場合がある。このようなN転しているサンプルでは多くのケースで、前記特許文献1に記載されているような従来技術ではショットキー特性が得られないことがあり、特許文献1にはこのようなサンプルのDLTS測定手法は開示されていない。そのため、前記サンプルをDLTSで評価するためには、ドナーキラー熱処理が必要であるという問題があった。一方、特許文献2のようなドナーキラー熱処理を行うと、熱処理により本来サンプルが持つ準位を検出できなくなる可能性があるという問題があった。
【0008】
本発明の目的は、前記従来の技術で測定出来ないP型シリコンウェーハを含むサンプルを、ドナーキラー熱処理せずにDLTS測定を実施する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明では、シリコン単結晶中に存在する不純物準位をDLTS法により評価する方法であって、
測定対象のシリコン単結晶としてP型の試料を準備する工程と、
前記試料の表面にAlを真空蒸着させる工程と、
前記試料のC-V測定を行う工程と、
前記C-V測定の結果から、さらに前記試料のI-V測定工程を行うか否かを判定する工程と、
前記I-V測定工程を行った前記試料に対し、I-V測定結果から、前記試料の裏面にGaを塗布するか否かを判定する工程と、
前記試料のDLTS測定を行う工程とを有し、
前記I-V測定工程を行わないと判定された前記試料、及び、前記I-V測定結果から試料の裏面にGaを塗布すると判定された前記試料は、前記試料の裏面にGaを塗布してDLTS測定を行い、
前記I-V測定結果から、前記試料の裏面にGaを塗布しないと判定された前記試料はGaを塗布せずにDLTS測定を行うシリコン単結晶のDLTSの評価方法を提供する。
【0010】
このようなシリコン単結晶のDLTSの評価方法であれば、従来技術で測定出来ないP型シリコンウェーハを含むサンプルをドナーキラー熱処理せずにDLTS測定を実施することができる。
【0011】
また、本発明では、前記測定対象のシリコン単結晶としてP型の試料を準備する工程において、150~300℃の熱処理温度で前記試料の表面に熱酸化膜を形成することができる。
【0012】
これにより、P型の試料とAlの電極とのより良好なショットキー特性を得ることができる。
【0013】
また、本発明では、前記C-V測定結果から、さらに前記試料のI-V測定工程を行うか否かを判定する工程において、
前記試料に逆バイアス電圧を印加したときのキャパシタンスの変化が単調減少の場合は、前記I-V測定工程において前記試料に逆バイアス電圧を印加してI-V測定を行うと判定し、
前記試料に逆バイアス電圧を印加したときのキャパシタンスの変化が単調減少でない場合は、前記試料の前記I-V測定工程を行わないと判定することができる。
【0014】
これにより、従来技術で測定出来ないP型シリコンウェーハを含むサンプルをドナーキラー熱処理せずにDLTS測定を実施する方法を効率的に提供できる。
【0015】
また、本発明では、前記試料の裏面にGaを塗布するか否かを判定する工程において、
前記I-V測定結果がP型ショットキーの特性を示した場合は、前記試料の裏面にGaを塗布しないと判定し、
前記I-V測定結果がP型ショットキーの特性を示さなかった場合は、前記試料の裏面にGaを塗布すると判定することができる。
【0016】
これにより、従来技術で測定出来ないP型シリコンウェーハを含むサンプルをドナーキラー熱処理せずにDLTS測定を実施する方法をより効率的に提供できる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のDLTSの評価方法を用いれば、従来法で測定出来ないシリコンウェーハをドナーキラー熱処理することなくDLTS法で評価が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明のDLTSの評価方法の一例を示すフローチャートである。
【
図2】実施例1で示すC-V測定結果の一例である。
【
図3】実施例1で示すI-V測定結果の一例である。
【
図4】実施例1で示すDLTS測定結果の一例である。
【
図5】実施例2で示すC-V測定結果の一例である。
【
図6】実施例2で示すI-V測定結果の一例である。
【
図7】実施例2で示すDLTS測定結果の一例である。
【
図8】実施例3で示すC-V測定結果の一例である。
【
図9】実施例3で示すDLTS測定結果の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
上述のように、従来技術で測定出来ないP型シリコンウェーハを含むサンプルを、ドナーキラー熱処理せずにDLTS測定を実施する方法の開発が求められていた。
【0020】
本発明では、前記課題を解決するために、様々なP型シリコンウェーハを用意し、C-V測定及びI-V測定を実施し電極や測定条件を鋭意検討した結果、
図1に示す測定フローに則り評価を実施した際に所定の基準を満たしたP型シリコンウェーハは、前記特許文献1で示されているような、裏面にオーミック電極としてGaを塗布しDLTS測定を実施するという従来の方法では評価出来ない一方で、裏面にGaを塗布しないことでショットキー特性を示し、DLTS測定が可能になることを新たに見出し、本発明を完成させた。
【0021】
即ち、本発明は、シリコン単結晶中に存在する不純物準位をDLTS法により評価する方法であって、
測定対象のシリコン単結晶としてP型の試料を準備する工程と、
前記試料の表面にAlを真空蒸着させる工程と、
前記試料のC-V測定を行う工程と、
前記C-V測定の結果から、さらに前記試料のI-V測定工程を行うか否かを判定する工程と、
前記I-V測定工程を行った前記試料に対し、I-V測定結果から、前記試料の裏面にGaを塗布するか否かを判定する工程と、
前記試料のDLTS測定を行う工程とを有し、
前記I-V測定工程を行わないと判定された前記試料、及び、前記I-V測定結果から試料の裏面にGaを塗布すると判定された前記試料は、前記試料の裏面にGaを塗布してDLTS測定を行い、
前記I-V測定結果から、前記試料の裏面にGaを塗布しないと判定された前記試料はGaを塗布せずにDLTS測定を行うシリコン単結晶のDLTSの評価方法である。
【0022】
以下、本発明について詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
図1は、本発明に係るシリコンウェーハのDLTSの評価方法の一例を示すフローチャートである。
【0024】
(試料を準備する工程)
図1のS1のように、DLTS評価用の試料(被評価シリコンウェーハ)として、P型シリコンウェーハを準備する。例えば、シリコン単結晶インゴットから切り出されたシリコン単結晶であれば特に形状に制限はなく、円盤状のウェーハであっても、数cm角のシリコンチップでも構わない。前記シリコンウェーハを、フッ化水素酸(フッ化水素水溶液)に浸漬した後に純水でリンスすることで、自然酸化膜を除去し表面を清浄にする。
【0025】
次に、S2のように、150~300℃の熱処理温度で試料の表面に熱酸化膜を形成する。例えば、前記シリコンウェーハをホットプレート上にて150℃~300℃で加熱し、表面に薄い熱酸化膜を形成してもよい。このステップは省略することが出来るが、より良いショットキー特性を得るために実施することが望ましい。このような温度で熱処理することにより、不純物準位の測定に影響を与えることなく試料の表面に熱酸化膜を形成することができる。
【0026】
(Alを真空蒸着させる工程)
次に、S3のように、試料(P型シリコンウェーハ)の表面に、P型シリコンとショットキー接合を形成することが出来るAlを真空中で蒸着することで、ショットキー電極を形成する。電極の大きさは使用したマスク基板に形成されたパターンに依存し、例えばφ0.5mm~φ2mm等で形成することが出来る。
【0027】
(C-V測定を行う工程)
次に、S4のように、前記シリコンウェーハのC-V測定を実施する。印加する電圧に制限はないが、DLTS測定における逆バイアス印加時のキャパシタンスの挙動を調査するために、後に行うDLTS測定時に印加する逆バイアスよりも大きな電圧を終了電圧とすることが好ましい。例えば開始電圧を0Vとし、終了電圧を5Vとすることができる。
【0028】
(I-V測定工程を行うか否かを判定する工程)
次に、C-V測定で得られた結果から、さらに前記試料のI-V測定工程を行うか否かを判定する(S5)。具体的には、C-V測定で得られた結果が表1に示す判断基準Aを満たすか否か判定することができる。基準Aを満たす(キャパシタンスが単調減少する)場合は、逆バイアス電圧増大に伴いシリコン試料表層の空乏層が正常に広がる様子が観察出来ていると推測される。この場合、I-V測定工程を行うと判定する。一方、基準Aを満たさない(キャパシタンスが単調減少しない)場合は、裏面にGaを塗布していないことにより、前記試料表層のキャパシタンスを正しく測定出来ていないと推測される。この場合、I-V測定工程を行わないと判定する。そして後述するように、裏面にGaを塗布してDLTS測定を行うこととする。
【0029】
【0030】
(Gaを塗布するか否かを判定する工程)
次に、S6のように、S5でI-V測定工程を行う(基準Aを満たす:キャパシタンスが単調減少する)と判定されたサンプルについてI-V測定を実施する。I-V測定において印加する電圧に制限はないが、DLTS測定に最適な逆バイアス電圧の検討のために、後に行うDLTS測定時に印加する逆バイアスよりも大きな電圧を終了電圧とすることが好ましい。例えば開始電圧を-1Vとし、終了電圧を5Vとすることができる。そして、I-V測定で得られた結果から、前記試料の裏面にGaを塗布するか否かを判定する(S8)。具体的には、表1に示す判断基準Bを満たすか否か判定することができる。基準Bを満たさない(P型ショットキー特性を示さない)と判定された試料は、裏面にGaを塗布していないために整流性が無いと推測される。したがって、従来法のように裏面にオーミック電極としてGaを塗布すると判定する。前記基準Bを満たす(P型ショットキー特性を示す)と判定された試料は、裏面にGaを塗布しない状態で整流性を有しているため、裏面にGaを塗布しないと判定する。
【0031】
(DLTS測定を行う工程)
次に、試料のDLTS測定を行う。S7のように、前記S4でI-V測定工程を行わない(基準Aを満たさない:キャパシタンスが単調減少しない)と判定された試料と、S8でGaを塗布すると判定した試料は、従来法のように裏面にオーミック電極としてGaを塗布してDLTS測定を実施する。
【0032】
また、S9のように、S8において前記I-V測定の結果に基づき、裏面にGaを塗布しない(基準Bを満たす)と判定されたサンプルは、裏面にGaを塗布せずにDLTS測定を実施する。
【0033】
以上説明した評価方法により、従来法で測定出来ないシリコンウェーハをドナーキラー熱処理することなくDLTS法で評価が可能になる。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0035】
[実施例1]
CZ法で引き上げたP型シリコンウェーハを、フッ化水素酸に浸漬し自然酸化膜を除去後、大気中にて200℃で加熱し薄い熱酸化膜を形成した。その後、ショットキー電極としてAlを真空蒸着した。開始電圧を0V、終了電圧を5VとしてC-V測定を実施した結果、
図2のようになり、表1における基準Aを満たしたため、開始電圧を-1V、終了電圧を5VとしてI-V測定を実施した。その結果、
図3に示す結果が得られ、表1における基準Bを満たしたため
図1のフローに則りGaを塗布せずに、逆バイアスを3V、順パルス電圧を0V、測定周波数を300Hzとし、300K-40Kの温度を掃引してDLTS測定を実施した。その結果、
図4のDLTSスペクトルが得られ、酸素及び炭素の複合欠陥起因と考えられる不純物準位が観察された。
【0036】
[実施例2]
CZ法で引き上げたP型シリコンウェーハを、フッ化水素酸に浸漬し自然酸化膜を除去後、大気中にて200℃で加熱し薄い熱酸化膜を形成した。その後、ショットキー電極としてAlを真空蒸着した。開始電圧を0V、終了電圧を5VとしてC-V測定を実施した結果、
図5のようになり、表1における基準Aを満たしたため、開始電圧を-1V、終了電圧を5VとしてI-V測定を実施した。その結果、
図6に示す結果が得られ、表1における基準Bを満たさなかったため、
図1のフローに則り裏面にGaを塗布し、逆バイアスを5V、順パルス電圧を2V、測定周波数を300Hzとし、300K-40Kの温度を掃引してDLTS測定を実施した。その結果、
図7に示すDLTSスペクトルが得られ、不純物準位は観察されなかった。
【0037】
[実施例3]
CZ法で引き上げたP型シリコンウェーハを、フッ化水素酸に浸漬し自然酸化膜を除去後、大気中にて200℃で加熱し薄い熱酸化膜を形成した。その後、ショットキー電極としてAlを真空蒸着した。開始電圧を0V、終了電圧を5VとしてC-V測定を実施した結果、
図8のようになり、表1における基準Aを満たさなかったため、
図1のフローに則り裏面にGaを塗布し、逆バイアスを5V、順パルス電圧を2V、測定周波数を300Hzとし、300K-40Kの温度を掃引してDLTS測定を実施した。その結果、
図9に示すDLTSスペクトルが得られ、不純物準位は観察されなかった。
【0038】
[比較例]
前記実施例1と同一水準のシリコンウェーハについて、フッ化水素酸に浸漬し自然酸化膜を除去後、大気中にて200℃で加熱し薄い熱酸化膜を形成した。その後、ショットキー電極としてAlを真空蒸着し、裏面にGaを塗布した。開始電圧を-1V、終了電圧を5VとしてI-V測定を実施したところ、測定中にリーク電流が10mAを上回ったため、I-V測定が中断された。整流性が得られなかったため、DLTS測定を実施出来なかった。
【0039】
実施例1~3と比較例との比較より、
図1に示される本発明のDLTS評価方法によれば、従来技術で測定出来ないP型シリコンウェーハを含むサンプルをドナーキラー熱処理せずにDLTS測定を実施できることが分かった。
【0040】
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。