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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】加工システム及び加工方法
(51)【国際特許分類】
   B23K 26/342 20140101AFI20240611BHJP
   B23K 26/21 20140101ALI20240611BHJP
   B23K 26/34 20140101ALI20240611BHJP
   B33Y 30/00 20150101ALI20240611BHJP
【FI】
B23K26/342
B23K26/21 Z
B23K26/34
B33Y30/00
【請求項の数】 25
(21)【出願番号】P 2021508424
(86)(22)【出願日】2019-03-25
(86)【国際出願番号】 JP2019012511
(87)【国際公開番号】W WO2020194450
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2022-02-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000004112
【氏名又は名称】株式会社ニコン
(74)【代理人】
【識別番号】100104765
【弁理士】
【氏名又は名称】江上 達夫
(72)【発明者】
【氏名】上野 和樹
(72)【発明者】
【氏名】盛 信一
(72)【発明者】
【氏名】竹味 智亮
【審査官】岩見 勤
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-221789(JP,A)
【文献】特開2017-077578(JP,A)
【文献】特開平04-089189(JP,A)
【文献】特開2001-269783(JP,A)
【文献】中国実用新案第208006258(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/342
B23K 26/21
B23K 26/34
B33Y 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
造形物を造形する加工システムにおいて、
材料を貯蔵する貯蔵部からの前記材料を供給する供給部を備え、造形データに基づき、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、
前記造形データと、前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量とに基づいて得られる前記材料の量に関する情報を出力する出力装置と、
前記供給部による前記材料の供給位置を移動させる移動装置と
を備え、
前記造形データは、前記移動装置による前記供給位置の移動に関する情報を含み、
前記出力装置は、前記移動に関する情報と前記貯蔵量とに基づいて得られる前記材料の量に関する情報を出力する加工システム。
【請求項2】
前記移動装置は、前記供給部と前記造形物との少なくとも一方を移動させることで前記材料の供給位置を移動させる
請求項1に記載の加工システム。
【請求項3】
前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量を計測して前記貯蔵量に関する情報を出力する計測部を備える、
請求項1又は2に記載の加工システム。
【請求項4】
前記出力装置は、前記供給位置の移動に関する情報に基づいて得られる前記供給部からの前記材料の供給時間に関する情報と前記貯蔵量とに基づいて得られる前記材料の量に関する情報を出力する
請求項1から3のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項5】
前記移動装置は、前記供給部による前記材料の供給位置に対して前記造形物を移動させることで、前記材料の供給位置を移動させ、
前記造形データは、前記移動装置による前記造形物の移動に関する情報を含む
請求項1から4のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項6】
前記出力装置は、前記供給部からの前記材料の単位時間当たりの供給量に関する情報を用いて前記材料の量に関する前記情報を出力する
請求項1から5のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項7】
前記加工処理を行うか否かに関する情報を入力する入力装置をさらに備える
請求項1から6のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項8】
前記出力装置は、前記造形データを用いて得られる、造形物を造形するために必要な前記材料の量の見積もり結果に関する情報を出力する
請求項1から7に記載の加工システム。
【請求項9】
前記出力装置は、前記見積もり結果と前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量とに基づいて得られる前記材料の量に関する情報を出力する
請求項8に記載の加工システム。
【請求項10】
前記出力装置は、前記見積もり結果が前記貯蔵量よりも少ないときに、前記材料に関する警告情報を出力する
請求項8または9に記載の加工システム。
【請求項11】
前記造形物は複数の層から造形され、
前記供給部は、造形面に沿って前記材料が層状になるように前記材料を供給し、
前記見積もり結果に関する情報は、前記材料の層数に関する情報を含む
請求項8から10のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項12】
前記出力装置は、前記材料の前記貯蔵量と前記見積もり結果に関する情報とを関連付けて、前記材料の量に関する情報として出力する
請求項8から11のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項13】
前記出力装置は、前記見積もり結果に関する情報と前記貯蔵量との関係を表す情報を、前記材料の量に関する情報として出力する
請求項8から12のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項14】
前記関係を表す情報は、前記貯蔵量と前記見積もり結果との大小関係を表す
請求項13に記載の加工システム。
【請求項15】
前記関係を表す情報は、前記見積もり結果と前記貯蔵部の最大貯蔵量との関係を表す情報である
請求項13に記載の加工システム。
【請求項16】
前記出力装置は、前記加工処理によって造形される造形物の寸法に関する情報を出力する
請求項1から15のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項17】
前記出力装置は、前記加工処理を行う前に前記材料の量に関する情報を出力する
請求項1から16のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項18】
前記貯蔵部は前記材料を外部から観察するための窓部を有し、
前記出力装置は、前記造形物を造形するために必要な前記材料の量を前記窓部に表示する
請求項1から17のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項19】
前記出力装置は、前記材料の量に関する情報の少なくとも一部を視認可能な形態で表示する表示部を含む、
請求項1から18のいずれか一項に記載の加工システム。
【請求項20】
造形物を造形する加工システムにおいて、
材料を貯蔵する貯蔵部からの前記材料を供給する供給部を備え、造形データに基づき、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、
前記供給部による前記材料の供給位置を移動させる移動装置と、
制御装置と
を備え、
前記制御装置は、前記造形データを用いて得られる前記加工処理を行うために必要な前記材料の量を見積もり、
前記造形データは、前記移動装置による前記供給位置の移動に関する情報を含み、
前記制御装置は、前記移動に関する情報に基づいて得られる前記必要な材料の量を見積もる
加工システム。
【請求項21】
前記制御装置は、前記見積もり結果を用いて、前記加工装置を制御する
請求項20に記載の加工システム。
【請求項22】
造形物を造形する加工方法において、
造形データに基づき、材料を貯蔵する貯蔵部からの供給部を介して供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行うことと、
前記造形データと前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量とに基づいて得られる前記材料の量に関する情報を出力することと
を含み、
前記造形データは、前記供給部による前記材料の供給位置の移動に関する情報を含み、
前記材料の量に関する情報は、前記移動に関する情報と前記貯蔵量とに基づいて得られる
加工方法。
【請求項23】
造形物を造形する加工方法において、
造形データに基づき、材料を貯蔵する貯蔵部から供給部を介して供給される材料を用いて造形物を形成する加工処理を行うことと、
前記造形データを用いて得られる前記加工処理を行うために必要な前記材料の量を見積もることと
を含み、
前記造形データは、前記供給部による前記材料の供給位置の移動に関する情報を含み、
前記必要な材料の量は、前記移動に関する情報に基づいて見積もられる
加工方法。
【請求項24】
前記材料の量に関する前記情報は、前記供給位置の移動に関する情報に基づいて得られる前記供給部からの前記材料の供給時間に関する情報と前記貯蔵量とに基づいて得られる
請求項22に記載の加工方法。
【請求項25】
前記材料の量に関する前記情報は、前記供給部からの前記材料の単位時間当たりの供給量に関する情報を用いて得られる
請求項22から24のいずれか一項に記載の加工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、造形物を形成するための加工システムの技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、粉状の材料をエネルギビームで溶融した後に、溶融した材料を固化させることで造形物を形成する加工システムが記載されている。このような加工システムでは、材料の不足に起因した異常の発生を抑制することが技術的課題となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】米国特許第5,038,014号
【発明の概要】
【0004】
本発明の第1の態様によれば、造形物を造形する加工システムにおいて、材料を貯蔵する貯蔵部からの前記材料を供給する供給部を備え、造形データに基づき、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、前記造形データと、前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量とに基づいて得られる前記材料の量に関する情報を出力する出力装置とを備える加工システムが提供される。
【0005】
本発明の第2の態様によれば、造形データに基づいて造形物を造形する加工システムにおいて、材料を貯蔵する貯蔵部からの前記材料を供給する供給部を備え、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、前記造形データを用いて得られる前記造形物を造形するために必要な前記材料の量と前記材料の貯蔵量との関係を表す情報を出力する出力装置とを備える加工システムが提供される。
【0006】
本発明の第3の態様によれば、造形データに基づいて造形物を造形する加工システムにおいて、材料を貯蔵する貯蔵部からの前記材料を供給する供給部を備え、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、前記造形データを用いて前記加工処理を行うために必要な前記材料の量を見積もる見積もり装置とを備える加工システムが提供される。
【0007】
本発明の作用及び他の利得は次に説明する実施するための形態から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、第1実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
図2図2は、第1実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図3図3は、第1実施形態の材料供給装置の構造を示す断面図である。
図4図4は、材料供給装置が備える保持部材の構造を示す側面図である。
図5図5(a)は、材料供給装置が備える搬送部材の第1の例の構造を示す斜視図であり、図5(b)は、搬送部材の第1の例の構造を示す正面図である。
図6図6(a)は、材料供給装置が備える搬送部材の第2の例の構造を示す斜視図であり、図6(b)から図6(c)のそれぞれは、搬送部材の第2の例の構造を示す断面図である。
図7図7は、材料供給装置による造形材料の供給動作を示す断面図である。
図8図8(a)から図8(e)のそれぞれは、ワーク上のある領域において光を照射し且つ造形材料を供給した場合の様子を示す断面図である。
図9図9(a)から図9(c)のそれぞれは、3次元構造物を形成する過程を示す断面図である。
図10図10は、加工システムが行う第2加工動作の流れを示すフローチャートである。
図11図11は、ディスプレイにおける表示例を示す平面図である。
図12図12(a)から図12(b)のそれぞれは、ディスプレイにおける表示例を示す平面図である。
図13図13は、ディスプレイにおける表示例を示す平面図である。
図14図14は、ディスプレイにおける表示例を示す平面図である。
図15図15は、ディスプレイにおける表示例を示す平面図である。
図16図16は、加工処理の状況を示す情報の表示例を示す平面図である。
図17図17は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図18図18は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図19図19は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図20図20は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図21図21は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図22図22は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図23図23は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図24図24は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図25図25は、警告情報の表示例を示す平面図である。
図26図26は、第2実施形態のホッパの構造を示す側面図である。
図27図27は、第3実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図28図28は、第4実施形態の加工システムのシステム構成を示すシステム構成図である。
図29図29は、第5実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
図30図30は、第6実施形態の加工システムの構造を示す断面図である。
図31図31(a)は、加工光のフォーカス位置が造形面に設定されている場合における造形面上での複数のガイド光のビームスポットを示す平面図であり、図31(b)は、加工光のフォーカス位置が造形面と異なる位置に設定されていない場合における造形面上での複数のガイド光のビームスポットを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、加工システムの実施形態について説明する。以下では、物体の一例であるワークWに付加加工を行う加工システムSYSを用いて、加工システムの実施形態を説明する。特に、以下では、レーザ肉盛溶接法(LMD:Laser Metal Deposition)に基づく付加加工を行う加工システムSYSを用いて、加工システムの実施形態を説明する。レーザ肉盛溶接法に基づく付加加工は、ワークWに供給した造形材料Mを加工光ELで溶融することで、ワークWと一体化された又はワークWから分離可能な3次元構造物(つまり、造形物)STを形成する(つまり、造形する)付加加工である。尚、レーザ肉盛溶接法(LMD)は、ダイレクト・メタル・デポジション、ディレクテッド・エナジー・デポジション、レーザクラッディング、レーザ・エンジニアード・ネット・シェイピング、ダイレクト・ライト・ファブリケーション、レーザ・コンソリデーション、シェイプ・デポジション・マニュファクチャリング、ワイヤ-フィード・レーザ・デポジション、ガス・スルー・ワイヤ、レーザ・パウダー・フージョン、レーザ・メタル・フォーミング、セレクティブ・レーザ・パウダー・リメルティング、レーザ・ダイレクト・キャスティング、レーザ・パウダー・デポジション、レーザ・アディティブ・マニュファクチャリング、レーザ・ラピッド・フォーミングと称してもよい。
【0010】
また、以下の説明では、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸から定義されるXYZ直交座標系を用いて、加工システムSYSを構成する各種構成要素の位置関係について説明する。尚、以下の説明では、説明の便宜上、X軸方向及びY軸方向のそれぞれが水平方向(つまり、水平面内の所定方向)であり、Z軸方向が鉛直方向(つまり、水平面に直交する方向であり、実質的には上下方向)であるものとする。また、X軸、Y軸及びZ軸周りの回転方向(言い換えれば、傾斜方向)を、それぞれ、θX方向、θY方向及びθZ方向と称する。ここで、Z軸方向を重力方向としてもよい。また、XY平面を水平方向としてもよい。
【0011】
(1)第1実施形態の加工システムSYSa
初めに、第1実施形態の加工システムSYS(以降、第1実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSa”と称する)について説明する。
【0012】
(1-1)第1実施形態の加工システムSYSaの全体構造
初めに、図1及び図2を参照しながら、第1実施形態の加工システムSYSaの構造について説明する。図1は、第1実施形態の加工システムSYSaの構造の一例を示す断面図である。図2は、第1実施形態の加工システムSYSaのシステム構成の一例を示すシステム構成図である。
【0013】
加工システムSYSaは、3次元構造物ST(つまり、3次元方向のいずれの方向においても大きさを持つ3次元の物体であり、立体物たる造形物)を形成可能である。加工システムSYSaは、3次元構造物STを形成するための基礎となるワークW上に、3次元構造物STを形成可能である。このワークWを基材又は台座と称してもよい。加工システムSYSaは、ワークWに付加加工を行うことで、3次元構造物STを形成可能である。ワークWが後述するステージ31である場合には、加工システムSYSaは、ステージ31上に、3次元構造物STを形成可能である。ワークWがステージ31によって保持されている(或いは、ステージ31に支持又は載置されている)既存構造物である場合には、加工システムSYSaは、既存構造物上に、3次元構造物STを形成可能である。この場合、加工システムSYSaは、既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成してもよい。既存構造物と一体化された3次元構造物STを形成する動作は、既存構造物に新たな構造物を付加する動作と等価とみなせる。尚、既存構造物は例えば欠損箇所がある要修理品であってもよい。加工システムSYSaは、要修理品の欠損箇所を埋めるように、要修理品に3次元構造物を形成してもよい。或いは、加工システムSYSaは、既存構造物と分離可能な3次元構造物STを形成してもよい。尚、図1は、ワークWが、ステージ31によって保持されている既存構造物である例を示している。また、以下でも、ワークWがステージ31によって保持されている既存構造物である例を用いて説明を進める。
【0014】
上述したように、加工システムSYSaは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。つまり、加工システムSYSaは、積層造形技術を用いて物体を形成する3Dプリンタであるとも言える。尚、積層造形技術は、ラピッドプロトタイピング(Rapid Prototyping)、ラピッドマニュファクチャリング(Rapid Manufacturing)、又は、アディティブマニュファクチャリング(Additive Manufacturing)とも称される。
【0015】
3次元構造物STを形成するために、加工システムSYSaは、図1及び図2に示すように、材料供給装置1と、加工装置2と、ステージ装置3と、光源4と、ガス供給装置5と、筐体6と、制御装置7と、ディスプレイ8とを備える。加工装置2とステージ装置3とのそれぞれの少なくとも一部は、筐体6の内部のチャンバ空間63IN内に収容されている。
【0016】
材料供給装置1は、加工装置2に造形材料Mを供給する。材料供給装置1は、加工装置2が3次元構造物STを形成するために単位時間あたりに必要とする分量の造形材料Mが加工装置2に供給されるように、当該必要な分量に応じた供給レートで造形材料Mを供給する。つまり、材料供給装置1は、単位時間当たりの造形材料Mの供給量が、当該必要な分量に応じた所望の供給量となるように、造形材料Mを供給する。尚、材料供給装置1の構造については、図3等を参照しながら後に詳述するため、ここでの詳細な説明を省略する。
【0017】
造形材料Mは、所定強度以上の加工光ELの照射によって溶融可能な材料である。このような造形材料Mとして、例えば、金属材料及び樹脂材料の少なくとも一方が使用可能である。但し、造形材料Mとして、金属材料及び樹脂材料とは異なるその他の材料が用いられてもよい。造形材料Mは、粉状の材料である。つまり、造形材料Mは、粉体である。粉体は、粉状の材料に加えて、粒状の材料を含んでいてもよい。造形材料Mは、例えば、90マイクロメートル±40マイクロメートルの範囲に収まる粒径の粉体を含んでいてもよい。造形材料Mを構成する粉体の平均粒径は、例えば、75マイクロメートルであってもよいし、その他のサイズであってもよい。但し、造形材料Mは、粉体でなくてもよく、例えばワイヤ状の造形材料やガス状の造形材料が用いられてもよい。尚、加工システムSYSaは、造形材料Mを荷電粒子線等のエネルギビームで加工して造形物を形成してもよい。
【0018】
加工装置2は、材料供給装置1から供給される造形材料Mを用いて3次元構造物STを形成する。造形材料Mを用いて3次元構造物STを形成するために、加工装置2は、加工ヘッド21と、ヘッド駆動系22とを備える。更に、加工ヘッド21は、照射光学系211と、材料ノズル(つまり造形材料Mを供給する供給系)212とを備えている。加工ヘッド21と、ヘッド駆動系22とは、チャンバ空間63IN内に収容されている。但し、加工ヘッド21及び/又はヘッド駆動系22の少なくとも一部が、筐体6の外部の空間である外部空間64OUTに配置されていてもよい。尚、外部空間64OUTは、加工システムSYSaのオペレータが立ち入り可能な空間であってもよい。
【0019】
照射光学系211は、射出部213から加工光ELを射出するための光学系(例えば、集光光学系)である。具体的には、照射光学系211は、加工光ELを発する光源4と、光ファイバやライトパイプ等の光伝送部材41を介して光学的に接続されている。照射光学系211は、光伝送部材41を介して光源4から伝搬してくる加工光ELを射出する。照射光学系211は、加工光ELがチャンバ空間63INを進むように加工光ELを射出する。照射光学系211は、照射光学系211から下方(つまり、-Z側)に向けて加工光ELを照射する。照射光学系211の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが載置されている場合には、照射光学系211は、ワークWに向けて加工光ELを照射する。具体的には、照射光学系211は、加工光ELが照射される(典型的には、集光される)領域としてワークW上に設定される照射領域EAに加工光ELを照射可能である。更に、照射光学系211の状態は、制御装置7の制御下で、照射領域EAに加工光ELを照射する状態と、照射領域EAに加工光ELを照射しない状態との間で切替可能である。尚、照射光学系211から射出される加工光ELの方向は真下(つまり、-Z軸方向と一致)には限定されず、例えば、Z軸に対して所定の角度だけ傾いた方向であってもよい。
【0020】
材料ノズル212は、造形材料Mを供給する供給アウトレット214を有する。材料ノズル212は、供給アウトレット214から造形材料Mを供給する(例えば、噴射する、噴出する、又は、吹き付ける)。図1において材料ノズル212は、チューブ状に描かれているが、材料ノズル212の形状は、この形状に限定されない。材料ノズル212は、チャンバ空間63INに向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル212は、材料ノズル212から下方(つまり、-Z側)に向けて造形材料Mを供給する。材料ノズル212の下方には、ステージ31が配置されている。ステージ31にワークWが搭載されている場合には、材料ノズル212は、ワークWに向けて造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル212から供給される造形材料Mの進行方向はZ軸方向に対して所定の角度(一例として鋭角)だけ傾いた方向であるが、-Z側(つまり、真下)であってもよい。
【0021】
第1実施形態では、材料ノズル212は、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAに向けて造形材料Mを供給するように、照射光学系211に対して位置合わせされている。つまり、材料ノズル212が造形材料Mを供給する領域としてワークW上に設定される供給領域MAと照射領域EAとが一致する(或いは、少なくとも部分的に重複する)ように、材料ノズル212と照射光学系211とが位置合わせされている。尚、照射光学系211から射出された加工光ELによって形成される溶融池MPに、材料ノズル212が造形材料Mを供給するように位置合わせされていてもよい。
【0022】
材料ノズル212は、造形材料Mの供給源である材料供給装置1と、パイプ等の材料供給管191を介して物理的に接続されている。材料ノズル212は、材料供給管191を介して材料供給装置1から供給される造形材料Mを供給する。材料ノズル212は、材料供給管191を介して材料供給装置1から供給される造形材料Mを圧送してもよい。即ち、材料供給装置1からの造形材料Mと搬送用の気体(例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス)とを混合して材料供給管191を介して材料ノズル212に圧送してもよい。
【0023】
材料供給管191には、バルブ192が配置されていてもよい。バルブ192の状態は、制御装置7の制御下で、材料供給管191を閉塞する閉状態と、材料供給管191を開放する開状態との間で切り替えられてもよい。バルブ192が閉状態にある場合には、材料供給管191を介して材料供給装置1から加工装置2に対して造形材料Mが供給されることはない。一方で、バルブ192が開状態にある場合には、材料供給管191を介して材料供給装置1から加工装置2に対して造形材料Mが供給可能となる。更に、バルブ192が開状態にある場合には、バルブ192は、バルブ192の開度を調整することで、材料供給管191を介して加工装置2に供給される造形材料Mの供給量を調整可能であってもよい。尚、バルブ192は、制御装置7による制御とは無関係に、材料供給管191を閉塞する閉状態と、材料供給管191を開放する開状態との間で切り替えられてもよい。例えば、バルブ192の状態を手動で閉状態と開状態との間で切り替えてもよい。
【0024】
ヘッド駆動系22は、加工ヘッド21を移動させる。ヘッド駆動系22は、例えば、チャンバ空間63IN内で加工ヘッド21を移動させる。ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿って加工ヘッド21を移動させる。加工ヘッド21がX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上をX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動する。更に、ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに加えて、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの回転方向に沿って加工ヘッド21を移動させてもよい。言い換えると、ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りに加工ヘッド21を回転させてもよい。ヘッド駆動系22は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つの軸回りに加工ヘッド21の姿勢を変えてもよい。ヘッド駆動系22は、例えば、モータ等のアクチュエータを含む。
【0025】
尚、ヘッド駆動系22は、照射光学系211と材料ノズル212とを別々に移動させてもよい。具体的には、例えば、ヘッド駆動系22は、射出部213の位置、射出部213の向き、供給アウトレット214の位置及び供給アウトレット214の向きの少なくとも一つを調整可能であってもよい。この場合、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAと、材料ノズル212が造形材料Mを供給する供給領域MAとが別々に制御可能となる。
【0026】
ステージ装置3は、ステージ31を備えている。ステージ31は、チャンバ空間63INに収容される。ステージ31は、ワークWを支持可能である。尚、ここで言う「ステージ31がワークWを支持する」状態は、ワークWがステージ31によって直接的に又は間接的に支えられている状態を意味していてもよい。ステージ31は、ワークWを保持可能であってもよい。つまり、ステージ31は、ワークWを保持することでワークWを支持してもよい。或いは、ステージ31は、ワークWを保持可能でなくてもよい。この場合、ワークWは、ステージ31に載置されていてもよい。つまり、ステージ31は、ステージ31に載置されたワークWを支持してもよい。このとき、ワークWは、クランプレスでステージ31に載置されていてもよい。従って、本実施形態における「ステージ31がワークWを支持する」状態は、ステージ31がワークWを保持する状態及びワークWがステージ31に載置される状態をも含んでいてもよい。ステージ31がチャンバ空間63INに収容されるため、ステージ31が支持するワークWもまた、チャンバ空間63INに収容される。更に、ステージ31は、ワークWが保持されている場合には、保持したワークWをリリース可能である。上述した照射光学系211は、ステージ31がワークWを支持している期間の少なくとも一部において加工ビームPLを照射する。更に、上述した材料ノズル212は、ステージ31がワークWを支持している期間の少なくとも一部において造形材料Mを供給する。尚、材料ノズル212が供給した造形材料Mの一部は、ワークWの表面からワークWの外部へと(例えば、ステージ31の周囲へと)散乱する又はこぼれ落ちる可能性がある。このため、加工システムSYSaは、ステージ31の周囲に、散乱した又はこぼれ落ちた造形材料Mを回収する回収装置を備えていてもよい。尚、ステージ31は、ワークWを保持するために、機械的なチャックや真空吸着チャック等を備えていてもよい。
【0027】
ステージ装置3は、ステージ駆動系32を備えていてもよい。ステージ31は、ステージ駆動系32によって移動可能であってもよい。この場合、ステージ駆動系32は、例えば、チャンバ空間63IN内でステージ31を移動させてもよい。ステージ駆動系32は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに沿ってステージ31を移動させてもよい。ステージ31がX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動すると、照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上をX軸及びY軸の少なくとも一方に沿って移動する。更に、ステージ駆動系32は、X軸、Y軸及びZ軸の少なくとも一つに加えて、θX方向、θY方向及びθZ方向の少なくとも一つの回転方向に沿ってステージ31を移動させてもよい。ステージ駆動系32は、例えば、モータ等のアクチュエータを含む。ステージ装置3がステージ駆動系32を備えている場合には、加工装置2は、ヘッド駆動系22を備えていなくてもよい。同様に、加工装置2がヘッド駆動系22を備えている場合には、ステージ装置3は、ステージ駆動系32を備えていなくてもよい。
【0028】
光源4は、例えば、赤外光及び紫外光のうちの少なくとも一つを、加工光ELとして射出する。但し、加工光ELとして、その他の波長の光、例えば可視域の波長の光が用いられてもよい。加工光ELは、レーザ光である。この場合、光源4は、半導体レーザ等のレーザ光源を含んでいてもよい。レーザ光源の一例としては、レーザダイオード(LD:Laser Diode)、ファイバ・レーザ、COレーザ、YAGレーザ及びエキシマレーザ等の少なくとも一つがあげられる。但し、加工光ELはレーザ光でなくてもよいし、光源4は任意の光源(例えば、LED(Light Emitting Diode)及び放電ランプ等の少なくとも一つ)を含んでいてもよい。
【0029】
ガス供給装置5は、チャンバ空間631INをパージするためのパージガスの供給源である。パージガスは、不活性ガスを含む。不活性ガスの一例として、窒素ガス又はアルゴンガスがあげられる。ガス供給装置5は、チャンバ空間63INにパージガスを供給する。具体的には、ガス供給装置5は、ガス供給装置5と筐体6(特に、筐体6の内部のチャンバ空間63IN)とをつなぐガス供給管51を介して、チャンバ空間63INにパージガスを供給する。その結果、チャンバ空間63INは、パージガスによってパージされた空間となる。
【0030】
ガス供給装置5は更に、材料供給装置1に対しても不活性ガスを供給する。具体的には、ガス供給装置5は、ガス供給装置5と材料供給装置1とをつなぐガス供給管52を介して、材料供給装置1にパージガスを供給する。材料供給装置1に供給されたパージガスは、後述するように、主として材料供給装置1から材料ノズル212へと造形材料Mを圧送するために用いられる。このため、ガス供給装置5は、材料供給装置1に対して、加圧されたパージガスを供給する。尚、ガス供給装置5は、窒素ガスやアルゴンガス等のパージガスが格納されたボンベであってもよい。パージガスが窒素ガスである場合には、ガス供給装置5は、大気を原料として窒素ガスを発生する窒素ガス発生装置であってもよい。
【0031】
ガス供給管52には、バルブ53が配置されていてもよい。バルブ53の状態は、制御装置7の制御下で、ガス供給管52を閉塞する閉状態と、ガス供給管52を開放する開状態との間で切り替えられてもよい。バルブ53が閉状態にある場合には、ガス供給管52を介してガス供給装置5からチャンバ空間63INに対してパージガスが供給されることはない。一方で、バルブ53が開状態にある場合には、ガス供給管52を介してガス供給装置5からチャンバ空間63INに対してパージガスが供給可能となる。更に、バルブ53が開状態にある場合には、バルブ53は、バルブ53の開度を調整することで、ガス供給管52を介してチャンバ空間63INに供給されるパージガスの供給量を調整可能であってもよい。尚、バルブ53は、制御装置7による制御とは無関係に、閉状態と開状態との間で切り替えられてもよい。例えば、バルブ53の状態を手動で閉状態と開状態との間で切り替えてもよい。
【0032】
ガス供給装置5は、チャンバ空間63INへのガス供給態様と、材料供給装置1へのガス供給態様とを、別々に制御してもよい。例えば、ガス供給装置5は、チャンバ空間63INへのパージガスの単位時間当たりの供給量と、材料供給装置1へのパージガスの単位時間当たりの供給量とが異なるように、チャンバ空間63IN及び材料供給装置1のそれぞれへのガス供給態様を制御してもよい。例えば、ガス供給装置5は、チャンバ空間63IN及び材料供給装置1のいずれか一方へのパージガスの供給を停止した状態で、チャンバ空間63IN及び材料供給装置1のいずれか他方にパージガスを供給するように、チャンバ空間63IN及び材料供給装置1のそれぞれへのガス供給態様を制御してもよい。また、チャンバ空間63INに供給されるパージガスと材料供給装置1に供給されるパージガスとで、特性(例えば、温度など)が異なっていてもよい。チャンバ空間63INに供給されるパージガスと材料供給装置1に供給されるパージガスとで、組成が異なっていてもよい。尚、加工システムSYSaは、チャンバ空間63INにパージガスを供給するガス供給装置と、材料供給装置1にパージガスを供給するガス供給装置とを別々に備えていてもよい。
【0033】
筐体6は、筐体6の内部空間であるチャンバ空間63INに少なくとも加工装置2及びステージ装置3のそれぞれの少なくとも一部を収容する収容装置である。筐体6は、チャンバ空間63INを規定する隔壁部材61を含む。隔壁部材61は、チャンバ空間63INと、筐体6の外部空間64OUTとを隔てる部材である。隔壁部材61は、その内壁611を介してチャンバ空間63INに面し、その外壁612を介して外部空間64OUTに面する。この場合、隔壁部材61によって囲まれた空間(より具体的には、隔壁部材61の内壁611によって囲まれた空間)が、チャンバ空間63INとなる。尚、隔壁部材61には、開閉可能な扉が設けられていてもよい。この扉は、ワークWをステージ31に載置する際、およびステージ31からワークWおよび/または造形物を取り出す際に開かれ、且つ造形中には閉じられていてもよい。
【0034】
制御装置7は、加工システムSYSaの動作を制御する。制御装置7は、例えば、CPU(Central Processing Unit)(或いは、CPUに加えて又は代えてGPU(Graphics Processing Unit))と、メモリとを含んでいてもよい。制御装置7は、CPUがコンピュータプログラムを実行することで、加工システムSYSaの動作を制御する装置として機能する。このコンピュータプログラムは、制御装置7が行うべき後述する動作を制御装置7(例えば、CPU)に行わせる(つまり、実行させる)ためのコンピュータプログラムである。つまり、このコンピュータプログラムは、加工システムSYSaに後述する動作を行わせるように制御装置7を機能させるためのコンピュータプログラムである。CPUが実行するコンピュータプログラムは、制御装置7が備えるメモリ(つまり、記録媒体)に記録されていてもよいし、制御装置7に内蔵された又は制御装置7に外付け可能な任意の記憶媒体(例えば、ハードディスクや半導体メモリ)に記録されていてもよい。或いは、CPUは、実行するべきコンピュータプログラムを、ネットワークインタフェースを介して、制御装置7の外部の装置からダウンロードしてもよい。
【0035】
例えば、制御装置7は、照射光学系211による加工光ELの射出態様を制御してもよい。射出態様は、例えば、加工光ELの強度及び加工光ELの射出タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。加工光ELがパルス光である場合には、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さとパルス光の発光周期との比(いわゆる、デューティ比)を含んでいてもよい。また、射出態様は、例えば、パルス光の発光時間の長さそのものや、発光周期そのものを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、ヘッド駆動系22による加工ヘッド21の移動態様を制御してもよい。移動態様は、例えば、移動量、移動速度、移動方向及び移動タイミングの少なくとも一つを含んでいてもよい。更に、制御装置7は、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様を制御してもよい。材料ノズル212による造形材料Mの供給態様は、主として、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様によって定まる。このため、材料供給装置1による造形材料Mの供給態様を制御することは、材料ノズル212による造形材料Mの供給態様を制御することと等価とみなせる。供給態様は、例えば、供給量(特に、単位時間当たりの供給量)及び供給タイミングの少なくとも一方を含んでいてもよい。
【0036】
制御装置7は、加工システムSYSaの内部に設けられていなくてもよく、例えば、加工システムSYSa外にサーバ等として設けられていてもよい。この場合、制御装置7と加工システムSYSaとは、有線及び/又は無線のネットワーク(或いは、データバス及び/又は通信回線)で接続されていてもよい。有線のネットワークとして、例えばIEEE1394、RS-232x、RS-422、RS-423、RS-485及びUSBの少なくとも一つに代表されるシリアルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、パラレルバス方式のインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。有線のネットワークとして、10BASE-T、100BASE-TX及び1000BASE-Tの少なくとも一つに代表されるイーサネット(登録商標)に準拠したインタフェースを用いるネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、電波を用いたネットワークが用いられてもよい。電波を用いたネットワークの一例として、IEEE802.1xに準拠したネットワーク(例えば、無線LAN及びBluetooth(登録商標)の少なくとも一方)があげられる。無線のネットワークとして、赤外線を用いたネットワークが用いられてもよい。無線のネットワークとして、光通信を用いたネットワークが用いられてもよい。この場合、制御装置7と加工システムSYSaとはネットワークを介して各種の情報の送受信が可能となるように構成されていてもよい。また、制御装置7は、ネットワークを介して加工システムSYSaにコマンドや制御パラメータ等の情報を送信可能であってもよい。加工システムSYSaは、制御装置7からのコマンドや制御パラメータ等の情報を、上記ネットワークを介して受信する受信装置を備えていてもよい。
【0037】
尚、制御装置7は、一部が加工システムSYSaの内部に設けられ、他の一部が加工システムSYSaの外部に設けられていてもよい。
【0038】
尚、CPUが実行するコンピュータプログラムを記録する記録媒体としては、CD-ROM、CD-R、CD-RWやフレキシブルディスク、MO、DVD-ROM、DVD-RAM、DVD-R、DVD+R、DVD-RW、DVD+RW及びBlu-ray(登録商標)等の光ディスク、磁気テープ等の磁気媒体、光磁気ディスク、USBメモリ等の半導体メモリ、及び、その他プログラムを格納可能な任意の媒体の少なくとも一つが用いられてもよい。記録媒体には、コンピュータプログラムを記録可能な機器(例えば、コンピュータプログラムがソフトウェア及びファームウェア等の少なくとも一方の形態で実行可能な状態に実装された汎用機器又は専用機器)が含まれていてもよい。更に、コンピュータプログラムに含まれる各処理や機能は、制御装置7(つまり、コンピュータ)がコンピュータプログラムを実行することで制御装置7内に実現される論理的な処理ブロックによって実現されてもよいし、制御装置7が備える所定のゲートアレイ(FPGA、ASIC)等のハードウェアによって実現されてもよいし、論理的な処理ブロックとハードウェアの一部の要素を実現する部分的ハードウェアモジュールとが混在する形式で実現してもよい。
【0039】
(1-2)材料供給装置1
続いて、加工システムSYSaが備える材料供給装置1について更に説明する。
【0040】
(1-2-1)材料供給装置3の構造
初めに、図3を参照しながら、材料供給装置1の構造について説明する。図3は、材料供給装置1の構造を示す断面図である。尚、図3は、材料供給装置1の構造の一例を示すに過ぎず、加工システムSYSaは、図3に示す構造とは異なる構造を有する材料供給装置1を備えていてもよい。加工システムSYSaは、内部に貯蔵した造形材料Mを加工装置2に供給可能な任意の構造を有する任意の材料供給装置1を備えていてもよい。尚、材料供給装置1は、外部に貯蔵されている造形材料Mを加工装置2に供給可能な構造であってもよい。例えば、造形材料Mは加工システムSYSaの外部の貯蔵部に貯蔵されていてもよい。この外部の貯蔵部から複数の加工システムSYSaに材料を供給可能であってもよい。
【0041】
図3に示すように、材料供給装置1は、ホッパ11と、保持部材12と、搬送部材13と、駆動装置14と、材料送出部材15と、筐体(言い換えれば、容器)16と、連結管17と、支持部材18と、重量計測装置19とを備えている。保持部材12と、搬送部材13と、材料送出部材15とは、箱型形状(或いは、その他の形状)の筐体16の隔壁部材161によって取り囲まれた空間(つまり、筐体16の内部空間16IN)に収容されている。ホッパ11と、駆動装置14とは、隔壁部材161を介して内部空間16INと隔てられた外部空間16OUTに配置されている。但し、ホッパ11と駆動装置14との少なくとも一方が、内部空間16INに配置されていてもよい。
【0042】
ホッパ11は、造形材料Mを貯蔵するための装置である。ホッパ11は、造形材料Mの供給源となる。ホッパ11は、漏斗状の形状(つまり、逆円錐状の形状)を有している。漏斗状の形状を有する隔壁部材111によって囲まれた空間が、造形材料Mを貯蔵するための貯蔵空間112に相当する。但し、ホッパ11は、その他の形状を有していてもよい。例えば、ホッパ11の形状は、逆角錐状(一例として逆四角錐状)の形状であってもよい。
【0043】
ホッパ11の下端(つまり、貯蔵空間112の下方)には、供給口113が形成されている。供給口113は、ホッパ11の底部において隔壁部材111をZ軸方向に沿って貫通する開口(つまり、貫通孔)である。或いは、隔壁部材111がホッパ11の下端に形成されない場合には、隔壁部材111が形成されていないホッパ11の下部の開放端が、供給口113として用いられてもよい。供給口113の断面(具体的には、XY平面に沿った断面)の形状は、円形であるが、その他の形状(例えば、長丸形、楕円形、矩形および多角形の少なくとも一つ)であってもよい。供給口113は、ホッパ11からホッパ11の下方に(つまり、-Z側に)造形材料Mを供給するための開口である。つまり、ホッパ11が貯蔵空間112に貯蔵している造形材料Mは、供給口113を介してホッパ11の外部へと供給される(言い換えれば、排出される又は落とされる)。
【0044】
ホッパ11は、筐体16の隔壁部材161に配置されている。具体的には、ホッパ11は、隔壁部材161のうち内部空間16INの上方に位置する天井部材1611に配置されている。天井部材1611には、供給口162が形成されている。供給口162は、外部空間16OUTから内部空間16INに向かって天井部材1611を貫通する開口(つまり、貫通孔)である。筐体16の供給口162は、ホッパ11の供給口113につながっている。このため、供給口162は、実質的には、供給口113から内部空間16INに向かって天井部材1611を貫通する開口(つまり、貫通孔)である。このため、ホッパ11が貯蔵空間112に貯蔵している造形材料Mは、供給口113及び供給口162を介して、筐体16の内部空間16INへと供給される(言い換えれば、排出される又は落とされる)。
【0045】
ホッパ11の上端には、材料補充口114が形成されている。材料補充口114は、ホッパ11の上端において隔壁部材111をZ軸方向に沿って貫通する開口である。或いは、隔壁部材111がホッパ11の上端に形成されない場合には、隔壁部材111が形成されていないホッパ11の上部の開放端が、材料補充口114として用いられてもよい。材料補充口114は、ホッパ11(特に、貯蔵空間112)に造形材料Mを補充するための開口である。材料補充口114は、通常は(具体的には、ホッパ11に造形材料Mを補充していない期間中は)、蓋115によって密閉されている。この場合、蓋115は、隔壁部材111と共に貯蔵空間112を規定する隔壁部材として機能してもよい。蓋115は、隔壁部材111と共に貯蔵空間112の密閉性を維持する隔壁部材として機能してもよい。蓋115は、ホッパ11に造形材料Mを補充する期間中に開けられる。尚、材料補充口114は、造形材料Mの補充以外の目的(たとえば、ホッパ11のメンテナンス等の目的)で使用されてもよい。尚、ホッパ11の隔壁部材111と蓋115とを蝶番で連結してもよい。また、ホッパ11の上部に異物混入防止のための金網を設けてもよい。
【0046】
ホッパ11の隔壁部材111(例えば、相対的に上方に位置する部分であって且つ材料補充口114よりも下方に位置する部分)には、開口116が形成されている。開口116は、貯蔵空間111からホッパ11の外部の空間(具体的には、筐体16の外部空間16OUT)に向かって隔壁部材111を貫通する貫通孔である。このため、貯蔵空間112は、開口116を介して外部空間16OUTにつながる。但し、後に詳述するように、開口116には、連結管17が取り付けられている。このため、開口116に連結管17が取り付けられている場合には、貯蔵空間112は外部空間16OUTと隔てられている。尚、隔壁部材111に形成された貫通孔に加えて又は代えて、蓋115に形成された貫通孔が、開口116として用いられてもよい。
【0047】
保持部材12は、ホッパ11の供給口113から供給口162を介して内部空間16INに供給される造形材料Mを保持する。ホッパ11から供給される造形材料Mを保持するために、保持部材12は、供給口113及び供給口162のそれぞれの下方に配置される。保持部材12は、保持部材12の一部が供給口113及び供給口162のそれぞれの直下に位置するように配置される。保持部材12は、保持部材12の一部が供給口113及び供給口162からの造形材料Mの落下経路に位置するように配置される。保持部材12は、保持部材12の一部がZ軸方向に沿って供給口162のそれぞれに対向するように配置される。
【0048】
保持部材12は、筐体6の隔壁部材161(特に、天井部材1611)によって支持される。但し、保持部材12は、その他の任意の部材によって支持されていてもよい。例えば、保持部材12は、隔壁部材161のうちの内部空間16INの側方に位置する側壁部材1612によって支持されていてもよい。例えば、保持部材12は、隔壁部材161のうちの内部空間16INの下方に位置する底部材1613によって支持されていてもよい。例えば、保持部材12は、不図示の支持部材によって支持されていてもよい。
【0049】
保持部材12は、図3及び保持部材12の構造を示す側面図である図4に示すように、筒状の部材(つまり、中空状の部材)である。具体的には、保持部材12は、Z軸方向に交差する方向に沿って延びる筒状の空間121が内部に形成された部材である。つまり、保持部材12は、Z軸方向に交差する方向が長手方向となる部材である。尚、図3及び図4は、空間121がY軸方向に沿って延びる空間である例を示しているが、空間121は、X軸方向に沿って延びる空間であってもよいし、Z軸に対して傾斜した方向に沿って延びる空間であってもよい。空間121は、保持部材12の内壁面122によって囲まれた空間である。内壁面122のZ軸を含む断面の形状は、円形である。この場合、筒状の空間121のZ軸を含む断面の形状は、円形となる。つまり、保持部材12は、円筒部材となる。尚、ここで言う「円筒部材」は、内壁面122の断面の形状が円形となる部材を意味する。このため、保持部材12の外壁面の断面の形状は、円形に限らず、任意の形状(例えば、長丸形、楕円形、矩形および多角形の少なくとも一つ)であってもよい。但し、内壁面122のZ軸を含む断面の形状は、その他の形状(例えば、長丸形、楕円形、矩形および多角形の少なくとも一つ)であってもよい。保持部材12が内部空間16INに配置されているがゆえに、空間121は、内部空間16INの少なくとも一部を構成する。
【0050】
保持部材12には、供給口123が形成されている。供給口123は、保持部材12をZ軸方向に沿って貫通する開口(つまり、貫通孔)である。供給口123は、空間121から一の方向に向かって保持部材12を貫通する貫通孔である。供給口123は、空間121が延びる方向(例えば、Y軸方向)に交差する方向(例えば、Z軸方向(上方))に向かって保持部材12を貫通する貫通孔である。供給口123は、保持部材12の上方に位置する供給口162につながる。つまり、保持部材12は、供給口123が供給口162につながるように配置される。この場合、保持部材12が供給口162の下方に配置されるがゆえに、供給口123は、空間121から上方に向かって保持部材12を貫通する貫通孔である。供給口123が供給口162につながっているため、貯蔵空間112と空間121とは、供給口113、162及び123を介してつながる。このため、貯蔵空間112から供給口113及び供給口162を介して内部空間16INに供給される造形材料Mは、供給口123を介して空間121に供給される。つまり、造形材料Mは、貯蔵空間112から供給口113、供給口162及び供給口123を介して空間121に供給される。造形材料Mは、貯蔵空間112から供給口113、供給口162及び供給口123を介して空間121に向かって落下するように、ホッパ11から保持部材12に供給される。
【0051】
空間121に供給された造形材料Mは、内壁面122に堆積する。具体的には、空間121に供給された造形材料Mは、内壁面122のうちの供給口113、供給口162及び供給口123の下方に位置する面部分に落下して堆積する。内壁面122は、内壁面122の少なくとも一部の上に堆積している造形材料Mを保持する。このため、内壁面122は、ホッパ11から供給される造形材料Mを保持するための保持面1221を備える。内壁面122の少なくとも一部は、保持面1221として機能する。例えば、重力が作用することで下方に落下してくる造形材料Mを保持面1221が保持するがゆえに、内壁面122のうちの上方(つまり、+Z側)を向いている面部分の少なくとも一部が、保持面1221として機能する。例えば、供給口113、162及び123から落下してくる造形材料Mを保持面1221が保持するがゆえに、内壁面122のうちの供給口113、162及び123から下方に離れた位置に位置する面部分の少なくとも一部が、保持面1221として機能する。また、内壁面122の少なくとも一部である保持面1221が造形材料Mを保持するがゆえに、内壁面122が規定する空間121は、ホッパ11から供給される造形材料Mを保持するための空間として機能する。このため、以下の説明では、空間121を、“保持空間121”と称する。
【0052】
保持空間121には、搬送部材13の少なくとも一部が配置される。このため、図3及び図4に示すように、搬送部材13の少なくとも一部は、保持空間121を規定する内壁面122によって取り囲まれる。搬送部材13と内壁面122との間には、間隙SPが形成されている。従って、保持空間121に供給された造形材料Mは、内壁面122と搬送部材13との間において保持される。つまり、保持空間121に供給された造形材料Mは、保持部材12と搬送部材13との間において保持される。このため、内壁面122のうちの搬送部材13と対向する面部分の少なくとも一部もまた、上述した保持面1221として機能してもよい。
【0053】
搬送部材13は、保持部材12によって保持された造形材料Mを、保持部材12から保持部材12の外部に搬送するための部材である。搬送部材13は、保持空間121によって保持された造形材料Mを、保持空間121から保持空間121の外部に搬送するための部材である。搬送部材13は、内壁面122(特に、保持面1221)によって保持された造形材料Mを、内壁面122から内壁面122の外部に搬送するための部材である。
【0054】
搬送部材13は、保持空間121が延びる方向に沿って造形材料Mを搬送する。その結果、搬送部材13は、保持空間121によって保持された造形材料Mを、保持空間121から、保持空間121の端部を規定する保持部材12の開口(つまり、開放端)124を介して、保持空間121の外部に搬送する。つまり、開口124は、保持部材12から保持部材12の外部へと造形材料Mを搬送するための搬送口として用いられる。このため、以下では、開口124を“搬送口124”と称する。
【0055】
供給口113、162及び123から保持空間121に落下してくる造形材料Mを搬送部材13が搬送するため、搬送部材13の少なくとも一部は、供給口113、162及び123の下方に位置する。内壁面122(特に、保持面1221)に落下してくる造形材料Mを搬送部材13が搬送するため、搬送部材13の少なくとも一部は、内壁面122(特に、保持面1221)の少なくとも一部の上方に位置する。つまり、搬送部材13の少なくとも一部は、供給口113、162及び123と内壁面122(特に、保持面1221)との間に位置する。その結果、ホッパ11からは搬送部材13に対して、重力方向に沿って造形材料Mが供給される。
【0056】
搬送部材13は、造形材料Mを搬送可能である限りは、どのような構造を有していてもよい。以下、搬送部材13の構造の一例について、図3と共に図5(a)から図5(b)及び図6(a)から図6(c)を参照しながら説明する。図5(a)は、材料供給装置1が備える搬送部材13の第1の例の構造を示す斜視図であり、図5(b)は、材料供給装置1が備える搬送部材13の第1の例の構造を示す正面図である。図6(a)は、材料供給装置1が備える搬送部材13の第2の例の構造を示す斜視図であり、図6(b)から図6(c)のそれぞれは、材料供給装置1が備える搬送部材13の第2の例の構造を示す断面図である。
【0057】
図3並びに図5(a)から図6(c)に示すように、搬送部材13は、所望方向に沿って延びる部材である。具体的には、搬送部材13は、保持空間121が延びる方向に沿って延びる部材である。つまり、搬送部材13は、保持部材12の長手方向に沿って延びる部材である。保持空間121がZ軸に交差する方向に延びているがゆえに、搬送部材13は、Z軸に交差する方向に沿って延びる部材である。図5は、搬送部材13は、Y軸方向に沿って延びる部材である例を示しているが、搬送部材13は、X軸方向に沿って延びる部材であってもよいし、Z軸に対して傾斜した方向に沿って延びる部材であってもよい。搬送部材13は、保持空間121内において、保持空間121が延びる方向に沿って搬送部材13が延びるように配置される。
【0058】
搬送部材13がZ軸に交差する方向に沿って延びる部材である場合、搬送部材13は、Z軸に交差する方向に沿って延びる軸部材131を備えていてもよい。軸部材131は、Z軸を含む断面の形状が円形となる部材である。但し、軸部材131は、Z軸を含む断面の形状がその他の形状(例えば、長丸形、楕円形及び矩形の少なくとも一つ)となる部材であってもよい。搬送部材13は、保持空間121内において、保持空間121が延びる方向に沿って軸部材131が延びるように配置される。
【0059】
搬送部材13は、その側面にらせん状の溝132が形成された部材である。具体的には、搬送部材13は、搬送部材13が延びる方向に沿った軸周りに回転しながら搬送部材13が延びる方向に沿って延びる(つまり、進む)溝132がその側面に形成された部材である。搬送部材13は、搬送部材13の側面を周回しながら搬送部材13が延びる方向に沿って延びる(つまり、進む)溝132がその側面に形成された部材である。らせん状の溝132のピッチ(つまり、周期であり、例えば、溝132が1回転する間に溝132が延びる(つまり、進む距離)は、一定であるが、変動してもよい。このような溝132が側面に形成された搬送部材13の一例が、図5(a)から図5(b)及び図6(a)から図6(c)に示されている。
【0060】
図5(a)から図5(b)は、溝132が側面に形成された搬送部材13の第1の例を示している。図5(a)から図5(b)に示すように、軸部材131の側面には、らせん状の溝132を規定する(つまり、形成する)ように軸部材131の側面から突き出る突起133が形成されていてもよい。この場合、溝132は、隣り合う2つの突起133の間に形成される。つまり、隣り合う2つの突起133によって挟まれる空間が、溝132となる。このため、溝132は、突起133と平行に形成される。尚、ここで言う「溝132と突起133とが平行な状態」とは、溝132が延びる方向と突起133が延びる方向とが文字通り完全に平行な状態のみならず、溝132が延びる方向と突起133が延びる方向とが厳密な意味での平行ではないものの実質的に平行であるとみなすことができる状態(つまり、溝132が延びる方向と突起133が延びる方向とがほぼ平行な状態)をも含む。この場合、突起133は、溝132を規定する隔壁として機能してもよい。尚、図5(a)から図5(b)に示した軸部材131と突起133との寸法は単なる一例であり、図5(a)から図5(b)に示したものとは異なる寸法であってもよい。例えば、軸部材131の直径に対する突起133の半径方向の寸法は、図5(a)から図5(b)に示した例よりも小さくてもよく、大きくてもよい。
【0061】
突起133がらせん状の溝132を形成するがゆえに、突起133もまた、らせん状の部材となる。具体的には、突起133は、軸部材131の側面においてらせんを描くように形成される。突起133は、軸部材131の側面を周回しながららせんを描くように形成される。軸部材131の側面上において突起133が形成される位置は、軸部材131の側面においてらせんを描く。突起133は、軸部材131の側面において、軸部材131が延びる方向に沿った軸周りに回転しながら軸部材131が延びる方向に沿って延びる。
【0062】
図6(a)から図6(c)は、溝132が側面に形成された搬送部材13の第2の例を示している。図6(a)から図6(c)に示すように、軸部材131の側面に、らせん状の溝132を規定する窪み(つまり、凹部分)が形成されていてもよい。つまり、溝132を形成するように軸部材131の側面にくぼみを形成する加工が軸部材131の側面に施されることで、溝132が側面に形成された搬送部材13が形成されてもよい。溝132を形成する彫りこみ加工が軸部材131の側面に施されることで、溝132が側面に形成された搬送部材13が形成されてもよい。この場合、軸部材131のうち溝132が形成されていない部分(例えば、彫りこみ加工が施されなかった部分又は溝132に対して突き出た凸部分)が、実質的には、溝132を規定する突起133として機能してもよい。従って、以下の説明では、説明の便宜上、搬送部材13の第2の例もまた、搬送部材13の第1の例と同様に、軸部材131の側面に突起133が形成された部材であるものとして説明を進める。
【0063】
尚、軸部材131の側面に形成される溝132のXZ平面に沿った断面の形状は、どのような形状であってもよい。図6(b)は、軸部材131の側面に形成される溝132のXZ平面に沿った断面の形状が、矩形の形状(例えば、台形の形状)となる例を示している。図6(c)は、軸部材131の側面に形成される溝132のXZ平面に沿った断面の形状が、円弧の形状となる例を示している。尚、図6(a)から図6(c)に示した軸部材131と溝132との寸法は、単なる一例であり、図6(a)から図6(c)に示したものとは異なる寸法であってもよい。例えば、軸部材131の直径に対する溝132の半径方向の寸法は、図6(a)から図6(c)に示した例よりも小さくともよく、大きくてもよい。
【0064】
搬送部材13の第1の例及び第2の例のいずれにおいても、搬送部材13は、スクリューとしても機能し得る。従って、図5(a)から図5(b)及び図6(a)から図6(c)に示す構造を有する搬送部材13に限らず、スクリューとして機能し得る部材が、搬送部材13として用いられてもよい。また、搬送部材13の第1の例は、アルキメディアン・スクリューとしても機能し得る。従って、図5(a)から図5(b)及び図6(a)から図6(c)に示す構造を有する搬送部材13に限らず、アルキメディアン・スクリューとして機能し得る部材が、搬送部材13として用いられてもよい。また、搬送部材13の第2の例は、ねじとして機能し得る。従って、図5(a)から図5(b)及び図6(a)から図6(c)に示す構造を有する搬送部材13に限らず、ねじとして機能し得る部材が、搬送部材13として用いられてもよい。
【0065】
搬送部材13は、溝132を介して、造形材料Mを搬送する。搬送部材13は、保持空間121内において溝132を介して造形材料Mが移動するように、造形材料Mを搬送する。搬送部材13は、保持空間121内において溝132を伝って造形材料Mが移動するように、造形材料Mを搬送する。搬送部材13は、溝132を用いて、保持空間121から、保持部材12の搬送口124を介して、保持部材12の外部へと搬送する。このため、搬送部材13は、搬送口124を貫通するように配置される。
【0066】
溝132を介して造形材料Mを搬送するために、溝132は、保持空間121から搬送口124に向かって延びるように形成される。より具体的には、溝132は、少なくとも、保持空間121のうち供給口123の直下に位置する部分から搬送口124に向かって延びるように形成される。溝132は、少なくとも、搬送部材13のうち供給口123の直下に位置する部分から搬送部材13のうち搬送口124に位置する部分に向かって延びるように形成される。
【0067】
更に、溝132を介して造形材料Mを搬送するために、駆動装置14は、溝132が形成された搬送部材13を駆動する。このため、駆動装置14は、搬送部材13を駆動するために、モータ等の動力源を備えている。具体的には、駆動装置14は、軸部材131が延びる方向に沿った軸(典型的には、軸部材131の中心軸)を回転軸として軸部材131が回転するように、搬送部材13を回転駆動する。その結果、保持空間121に保持されている造形材料Mは、回転する搬送部材13の側面に形成されたらせん状の溝132を伝って、軸部材131が延びる方向(つまり、保持空間121が延びる方向であって、保持部材12の長手方向)に沿って移動する。つまり、造形材料Mは、Z軸に交差する方向に沿って移動する。造形材料Mは、側方に向かって移動する。この場合、駆動装置14は、溝132を介して造形材料Mを搬送口124に向かって移動させる(図3に示す例では、-Y側に向かって移動させる)ことが可能な回転方向に軸部材132が回転するように、搬送部材13を回転駆動する。その結果、保持空間121に保持されている造形材料Mは、搬送口124を介して、保持空間121の外部に落下する。内壁面122に保持されている造形材料Mは、搬送口124を介して、内壁面122の外部に落下する。つまり、搬送部材13は、造形材料Mを搬送して搬送口124を通過させることで、造形材料Mを保持部材12の外部に搬送する。
【0068】
搬送部材13を駆動するために、搬送部材13は、駆動装置14に連結されている。具体的には、搬送部材13(特に、軸部材131)は、搬送口124とは反対側の端部を規定する保持部材12の開口(つまり、開放端)125及び筐体16に形成された開口163を介して、内部空間16IN(特に、保持空間121)から外部空間16OUTへと延びる。開口163は、筐体16の側壁部材1612を内部空間16INから外部空間16OUTへと貫通する貫通孔である。搬送部材13(特に、軸部材131)は、開口126及び163を介して、外部空間16OUTに配置されている駆動装置14に連結される。
【0069】
隔壁部材161に形成される開口163には、搬送部材13(特に、軸部材131)と隔壁部材161の隙間を埋めるためのシール部材164が形成されていてもよい。シール部材164が形成されると、内部空間16IN(特に、保持空間121)の造形材料Mが開口163を介して外部空間16OUTに意図せず放出されることを抑制することができる。更に、シール部材164が形成されると、内部空間16IN(特に、保持空間121)のパージガスが開口163を介して外部空間16OUTに意図せず放出されることを抑制することができる。また、シール部材164がグリスを使用したシール部材である場合には、シール部材のグリス切れを防ぐために、シール部材164の周囲に、シール部材164に補充するためのグリスを貯蔵する貯蔵室が形成されていてもよい。貯蔵室に貯蔵されたグリスは、例えば毛細管現象等を利用してシール部材164に補充されてもよい。
【0070】
上述したように、搬送部材13と保持空間121を規定する内壁面122との間には、間隙SPが形成されている。その結果、搬送部材13と内壁面122との間に間隙SPが形成されない場合と比較して、搬送部材13がスムーズに回転する。つまり、搬送部材13が内壁面122に接触する場合と比較して、搬送部材13がスムーズに回転する。
【0071】
一方で、搬送部材13と内壁面122との間に相対的に大きな間隙SPが形成されると、当該間隙SPに相対的に多くの造形材料Mが侵入してしまう。その結果、本来は回転する搬送部材13の溝132を介して造形材料Mが搬送されるべき状況にも関わらず、搬送部材13の溝132を介することなく間隙SPを介して造形材料Mが搬送されてしまう可能性がある。このような溝132を介さない造形材料Mの搬送は、材料供給装置1から加工装置2に供給される造形材料Mの供給レートの変動を引き起こしかねない。そこで、間隙SPのサイズ(つまり、搬送部材13と内壁面122との間の間隔)dは、間隙SPを介した造形材料Mの搬送を抑制する(典型的には、防止する)状態を実現可能な所望間隔以下に設定されてもよい。
【0072】
尚、第1実施形態における「間隙SPのサイズd」は、搬送部材13のうちの内壁面122に最も近い部分と内壁面122との間の間隔を意味していてもよい。つまり、「間隙SPのサイズd」は、搬送部材13と内壁面122との間の間隔の最小値を意味していてもよい。上述した図3図5(a)から図5(b)及び図5(a)から図5(c)を見ると分かるように、搬送部材13のうちの内壁面122に最も近い部分は、突起133(特に、突起133のうちの最も外周側に位置する部分)になる。このため、第1実施形態における「間隙SPのサイズd」は、突起133(特に、突起133のうちの最も外周側に位置する部分)と内壁面122との間の間隔を意味していてもよい。
【0073】
間隙SPのサイズdは、造形材料Mの特性に応じて設定されてもよい。例えば、造形材料Mが粉体であるがゆえに、造形材料Mの大きさ(例えば、粒径)が小さくなればなるほど、間隙SPにより多くの造形材料Mが侵入してしまう。このため、間隙SPのサイズdは、造形材料Mの大きさ(例えば、粒径)に応じて設定されてもよい。例えば、間隙SPのサイズdは、造形材料Mの最大粒径(つまり、造形材料Mの粒径として想定される最大の大きさ)に応じて設定されてもよい。例えば、間隙SPのサイズdは、造形材料Mの最大粒径の2倍以下になるように設定されてもよい。間隙SPのサイズdが造形材料Mの最大粒径の2倍以下になるように設定されている場合には、間隙SPのサイズdが造形材料Mの最大粒径の2倍より大きくなるように設定されている場合と比較して、間隙SPを介した造形材料Mの搬送が抑制される。或いは、例えば、間隙SPのサイズdは、造形材料Mの最大粒径の1倍以下になるように設定されてもよい。間隙SPのサイズdが造形材料Mの最大粒径の1倍以下になるように設定されている場合には、間隙SPのサイズdが造形材料Mの最大粒径の1倍より大きくなるように設定されている場合と比較して、間隙SPを介した造形材料Mの搬送が抑制される。
【0074】
再び図4において、材料送出部材15は、保持部材12から搬送部材13によって搬送された造形材料Mを受け取る。搬送部材13は、保持部材12から造形材料Mが落下するように造形材料Mを搬送する。このため、材料送出部材15は、保持部材12から落下してくる造形材料Mを受け取る。この場合、材料送出部材15は、保持部材12から搬送された造形材料Mを受け取ることが可能な位置に配置される。例えば、材料送出部材15は、保持部材12の下方及び斜め下方の少なくとも一方に配置されていてもよい。例えば、材料送出部材15は、保持部材12からの造形材料Mの落下経路上に配置されていてもよい。典型的には、材料送出部材15は、搬送口124の下方に配置される。造形材料Mを受け取るために、材料送出部材15は、漏斗状の形状(例えば、逆円錐状の形状)を有していてもよい。材料送出部材15は、漏斗状の形状を有する隔壁部材によって、保持部材12から搬送された造形材料Mを収集するように受け取る。但し、材料送出部材15は、その他の形状(例えば、逆角錐状の形状、一例として逆四角錐形状)を有していてもよい。
【0075】
材料送出部材15は、更に、保持部材12から受け取った造形材料Mを、材料供給装置1の外部へと(つまり、加工装置2へと)送り出す。造形材料Mを加工装置2へと送り出すために、材料送出部材15の下端には、送出口151が形成されている。送出口151は、材料送出部材15の底部の隔壁をZ軸方向に沿って貫通する開口(つまり、貫通孔)である。或いは、隔壁部材が材料送出部材15の下端に形成されない場合には、隔壁部材が形成されていない材料送出部材15の下部の開放端が、送出口151として用いられてもよい。送出口151の断面(具体的には、XY平面に沿った断面)の形状は、円形であるが、その他の形状であってもよい。その他の形状は長円形、楕円形、矩形及び多角形のうち少なくとも一つを含む。
【0076】
筐体16には、送出口165が形成されている。送出口165は、内部空間16INから外部空間16OUTに向かって隔壁部材161(図3に示す例では、底部材1613)を貫通する開口(つまり、貫通孔)である。送出口165は、材料送出部材15の送出口151につながっている。送出口165には、加工装置2につながる上述した材料供給管91(図3では不図示)が接続されている。従って、材料送出部材15が送り出した造形材料Mは、送出口151及び164並びに材料供給管91を介して、加工装置2へと送り出される。
【0077】
筐体16には更に、流入口166が形成されている。流入口166は、内部空間16INから外部空間16OUTに向かって隔壁部材161(図3に示す例では、側壁部材1612であるが、天井部材1611又は底部材1613であってもよい)を貫通する開口(つまり、貫通孔)である。流入口166は、上述したガス供給装置5に接続されている。従って、筐体16の内部空間16INには、流入口166を介して、上述したガス供給装置6から、加圧されたパージガスが供給される。
【0078】
内部空間16INには、流入口166から内部空間16INに供給されたパージガスの流れを制御するための整流部材(例えば、整流板等)が形成されていてもよい。整流部材は、保持部材12から材料送出部材15に落下する造形材料Mに対して、流入口166から供給されるパージガスが与える影響を低減するように形成されていてもよい。例えば、整流部材は、流入口166から供給されるパージガスが保持部材12から材料送出部材15に落下する造形材料Mを吹き飛ばしてしまう又は巻き上げてしまうという影響を低減するように形成されていてもよい。保持部材12から材料送出部材15に落下する造形材料Mが吹き飛ばされる又は巻き上げられると、保持部材12から材料送出部材15に実際に落下する造形材料Mの分量が変動し、結果として、材料供給装置1から加工装置2に供給される造形材料Mの供給レートが変動しかねない。このため、パージガスが造形材料Mを吹き飛ばす又は巻き上げるという影響を低減するように形成される整流部材は、材料供給装置1から加工装置2に供給される造形材料Mの供給レートの変動を抑制するための部材として機能してもよい。
【0079】
筐体16には更に、開口167が形成されている。開口167は、内部空間16INから外部空間16OUTに向かって隔壁部材161(図3に示す例では、天井部材1611であるが、側壁部材1612又は底部材1613であってもよい)を貫通する貫通孔である。開口167には、上述したホッパ11の開口116につながる連結管17がつながっている。具体的には、連結管17の一方の端部が開口116につながり、連結管17の他方の端部が開口167につながっている。その結果、ホッパ11の貯蔵空間112と筐体16の内部空間16INとは、連結管17並びに開口116及び開口167を介してつながる。つまり、加工システムSYSaには、貯蔵空間112と内部空間16INとをつなげる経路として、供給口113、162及び123を介した経路のみならず、連結管17並びに開口116及び開口167を介した経路が形成されている。言い換えれば、連結管17は、供給口113、162及び123とは別の位置において、貯蔵空間112と内部空間16INとを連結する。
【0080】
このため、貯蔵空間112に造形材料Mが貯蔵されている(その結果、貯蔵空間112と内部空間16INとをつなげる経路としての供給口113、162及び123を介した経路が造形材料Mによってふさがっている)場合であっても、貯蔵空間112は、内部空間16INと同様に、パージガスによってパージされた空間となる。更に、貯蔵空間112に造形材料Mが貯蔵されている(その結果、貯蔵空間112と内部空間16INとをつなげる経路としての供給口113、162及び123を介した経路が造形材料Mによってふさがっている)場合であっても、連結管17を介して、貯蔵空間112のパージガスが内部空間16INに流入する(つまり、移動する)及び/又は内部空間16INのパージガスが貯蔵空間112に流入する。その結果、貯蔵空間112の圧力と内部空間16INの圧力との間の差が低減される。このため、貯蔵空間112の圧力と内部空間16INの圧力との間に不均衡が発生することは殆どない。従って、貯蔵空間112の圧力と内部空間16INの圧力との間に発生する不均衡に起因してホッパ11から保持部材12に対して造形材料Mが突発的に供給されるという不都合が生ずることは殆どなくなる。また、貯蔵空間112の圧力と内部空間16INの圧力との間に発生する不均衡に起因してホッパ11から造形材料Mがスムーズに供給されないことは殆どなくなる。また、貯蔵空間112の圧力と内部空間16INの圧力との間に発生する不均衡に起因して、ホッパ11から内部空間16IN(特に、保持空間121)に供給された造形材料Mが、供給口113、162及び123を介してホッパ11の貯蔵空間112に逆流してしまうことは殆どなくなる。
【0081】
尚、加工システムSYSaが連結管17を備えることに加えて又は代えて、ホッパ11が内部空間16INに配置されていてもよい。この場合、開口116に連結管17がつなげられていなくても、開口116を介して貯蔵空間112と内部空間16INとがつながる。このため、貯蔵空間112の圧力と内部空間16INの圧力との間に不均衡が発生することは殆どない。尚、加工システムSYSaが連結管17を備えていない場合には、筐体16には、開口167が形成されていなくてもよい。
【0082】
支持部材18は、床面等の支持面Fから筐体16(図3に示す例では、底部材1613)に延びる部材である。筐体16を含む材料供給装置1は、支持部材18を介して支持面Fによって支持される。
【0083】
重量計測装置19は、ホッパ11が貯蔵する造形材料Mの重量を計測可能である。重量計測装置19は、ホッパ11が貯蔵する造形材料Mの重量を直接的に計測可能であってもよい。或いは、重量計測装置19は、ホッパ11が貯蔵する造形材料Mの重量を間接的に計測可能であってもよい。例えば、重量計測装置19は、ホッパ11を含む材料供給装置1の一部(或いは、全体)の重量を計測可能であってもよい。この場合、制御装置7は、重力計測装置19の計測結果から、ホッパ11以外の部材の重量を差し引くことで、ホッパ11が貯蔵する造形材料Mの重量を推定してもよい。尚、重量計測装置19は、ホッパ11が貯蔵する造形材料Mの重量を計測可能である限りは、どのような構造を有していてもよいし、どのような位置に配置されていてもよい。
【0084】
(1-3-2)材料供給装置1による造形材料Mの供給動作
続いて、図7を参照しながら、材料供給装置1による造形材料Mの供給動作について説明する。図7は、材料供給装置1による造形材料Mの供給動作を示す断面図である。
【0085】
図7に示すように、ホッパ11の貯蔵空間112に貯蔵された造形材料Mは、供給口113、162及び123を介して、保持部材12の保持空間121に落下する。ホッパ11の貯蔵空間112に貯蔵された造形材料Mは、供給口113、162及び123を介して、保持部材12の保持面1221に落下する。つまり、ホッパ11から保持部材12(特に、保持空間121に対して、更には、保持空間121に配置されている搬送部材13に対して)、重力方向に向かって造形材料Mが供給される。このような造形材料Mの供給を実現するために、供給口123は、内壁面122のうちの搬送部材13(特に、軸部材131と交差しない面部分に形成される)。その結果、保持空間121は、保持空間121の大きさに応じた分量の造形材料Mを保持する。保持面1221上には、保持空間121の大きさに応じた分量の造形材料Mが堆積される。
【0086】
保持面1221上に堆積した造形材料Mは供給口123、162及び113と接触している。この場合、搬送部材113が静止している(つまり、回転していない)状況下では、堆積した造形材料Mは供給口123、162及び113を塞いでそれ以上の造形材料Mが保持部材12に供給されることを抑制している。この状態において、搬送部材13は、駆動装置14によって回転駆動される。搬送部材13が回転し始めると、上述したように、保持空間121に保持されていた造形材料Mは、搬送部材13に形成された溝132を介して移動し始める。造形材料Mは、溝132を規定する突起133に押されて、搬送口124に向かって徐々に移動する。つまり、搬送部材13は、搬送口124に向かって造形材料Mを搬送する。つまり、搬送部材13は、ホッパ11から搬送部材13に対して造形材料Mが供給される方向(例えば、重力方向であり、Z軸方向)に交差する方向(例えば、Y軸方向)に沿って造形材料Mを搬送する。
【0087】
その結果、搬送部材13が搬送した造形材料Mは、保持部材12の開口124から保持部材12の外部(つまり、材料送出部材15)へと落下する(つまり、こぼれ落ちる)。具体的には、造形材料Mは、溝132の端部又は内部空間16INに露出した溝132に相当する隙間Gから材料送出部材15へと落下する。つまり、造形材料Mは、開口124が形成された位置において溝132が形成する隙間Gから材料送出部材15へと落下する。隙間Gは、開口124が形成されている位置において保持部材12と搬送部材13との間に溝132が形成する隙間である。隙間Gは、開口124が形成されている位置において、保持部材12のうち搬送口124を規定する縁部分125と搬送部材13との間に溝132が形成する隙間である。隙間Gは、開口124が形成されている位置において、縁部分125と搬送部材13の突起133との間に溝132が形成する隙間である。隙間Gは、開口124が形成されている位置において、縁部分125と突起133のうち外部空間16INに位置する部分)との間に溝132が形成する隙間である。
【0088】
らせん状の溝132のピッチ(つまり、周期であり、例えば、溝132が1回転する間に溝132が延びる(つまり、進む距離)が一定であるがゆえに、搬送部材13が継続的に且つ同じように回転し続けると、保持空間121に保持されていた造形材料Mは、一定の搬送レートで搬送される。その結果、単位時間当たりに一定量の造形材料Mが、保持部材12の搬送口124から保持部材12の外部(つまり、材料送出部材15)へとこぼれ落ちる。その結果、保持部材12からは、単位時間当たりに一定量の造形材料Mが材料送出部材15へと搬送(つまり、搬送)される。このため、搬送部材13は、溝132を介して造形材料Mを搬送することで、実質的には、単位時間当たりに一定量の造形材料Mを保持部材12の外部に切り出す部材として機能する。
【0089】
一方で、駆動装置14による搬送部材13の回転が停止すると、保持空間121に保持された造形材料Mは移動することを止め、保持部材12から造形材料Mがこぼれ落ちなくなる。つまり、保持部材12から材料送出部材15への造形材料Mの搬送が停止される。その結果、材料供給装置1から加工装置2への造形材料Mの供給も停止される。従って、駆動装置14は、制御装置7の制御下で、加工装置2へ造形材料Mを供給しなくてもよいタイミング(例えば、材料ノズル212が造形材料Mを供給しなくてもよいタイミング)で、搬送部材13の回転を停止する。
【0090】
単位時間あたりに保持部材12から保持部材12の外部へと搬送される造形材料Mの分量(つまり、単位時間当たりの造形材料Mの搬送量)は、搬送部材13の回転の状態で制御可能である。このため、制御装置7は、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へ搬送される造形材料Mの分量が、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートに応じた所望搬送量となるように、搬送部材13の回転の状態を設定してもよい。更に、駆動装置33は、制御装置7の制御下で、加工装置2が3次元構造物STを形成している間(より具体的には、材料ノズル212が造形材料Mを供給し続けている間)は、設定した回転の状態で搬送部材13が回転し続けるように、搬送部材13を回転させてもよい。その結果、保持部材12から材料送出部材15へと、加工装置2が3次元構造物STを形成するために単位時間あたりに必要とされる一定量の造形材料Mが搬送される。
【0091】
回転の状態は、例えば、回転速度(つまり、単位時間当たりの回転数)を含んでいてもよい。例えば、回転速度が速くなるほど(つまり、単位時間当たりの回転数が大きくなるほど)、溝132を介して移動する造形材料Mの移動速度もまた速くなる。このため、回転速度が速くなるほど、単位時間あたりに保持部材12から保持部材12の外部へと搬送される造形材料Mの分量が多くなる。単位時間あたりに保持部材12から保持部材12の外部へと搬送される造形材料Mの分量が多くなるほど、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと供給される造形材料Mの分量(つまり、供給量)が多くなる。従って、回転速度が速くなるほど、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと供給される造形材料Mの供給量が多くなる。制御装置7は、このような搬送部材13の回転速度と造形材料Mの供給量との間の関係を考慮した上で、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へ搬送される造形材料Mの分量が、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートに応じた所望搬送量となるように、搬送部材13の回転速度を設定してもよい。つまり、制御装置7は、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レート(つまり、材料供給装置1が単位時間あたりに供給するべき造形材料Mの量)に基づいて、搬送部材13の回転速度を設定してもよい。更に、駆動装置14は、制御装置7が設定した回転速度で搬送部材13が回転するように、搬送部材13を回転駆動してもよい。
【0092】
但し、搬送部材13が他の部材に接触している場合には、搬送部材13が回転すると、搬送部材13と他の部材との接触に起因して、搬送部材13及び他の部材の少なくとも一方が磨耗する可能性がある。尚、搬送部材13に接触する可能性がある部材の一例として、シール部材164があげられる。この場合、搬送部材13の回転速度が速くなりすぎると、搬送部材13及びシール部材164の少なくとも一方が過度に速く磨耗する可能性がある。このため、搬送部材13の回転速度には、許容可能な上限速度が設定されていてもよい。この場合、搬送部材13の回転速度は、上限速度以下に設定される。
【0093】
搬送部材13の回転の状態が同じであっても、単位時間あたりに保持部材12から搬送される第1の状態の造形材料Mの分量と、単位時間あたりに保持部材12から搬送される第2の状態(但し、第2の状態は、第1の状態とは異なる)の造形材料Mの分量とが同じにならない可能性がある。つまり、ある状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される第1の状態の造形材料Mの分量と、同じ状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される異なる第2の状態の造形材料Mの分量とが同じにならない可能性がある。具体的には、例えば、ある状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される第1の種類の造形材料Mの分量と、同じ状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される第2の種類(但し、第2の種類は、第1の種類とは異なる)の造形材料Mの分量とが同じにならない可能性がある。例えば、ある状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される第1の粒径の造形材料Mの分量と、同じ状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される第2の粒径(但し、第2の粒径は、第1の粒径とは異なる)の造形材料Mの分量とが同じにならない可能性がある。例えば、ある状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される第1の形状(特に、外形)の造形材料Mの分量と、同じ状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される第2の形状(但し、第2の形状は、第1の形状とは異なる)の造形材料Mの分量とが同じにならない可能性がある。例えば、ある状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される、表面の摩擦係数が第1値となる造形材料Mの分量と、同じ状態で回転する搬送部材13によって保持部材12から単位時間あたりに搬送される、表面の摩擦係数が第2値(但し、第2値は、第1値とは異なる)の造形材料Mの分量とが同じにならない可能性がある。従って、制御装置7は、搬送部材13の回転の状態と造形材料Mの供給量との間の関係に加えて又は代えて、造形材料Mの状態と造形材料Mの供給量との間の関係を考慮した上で、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へと搬送される造形材料Mの分量が、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートに応じた所望搬送量となるように、搬送部材13の回転の状態を設定してもよい。つまり、制御装置7は、造形材料Mの状態と3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートとに基づいて、搬送部材13の回転の状態を設定してもよい。ここで、造形材料Mの状態は、造形材料Mの種類、造形材料Mの大きさ(例えば、粒径)、造形材料Mの形状及び造形材料Mの表面の摩擦係数のうち少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0094】
単位時間あたりに保持部材12から保持部材12の外部へと搬送される造形材料Mの分量(つまり、単位時間当たりの造形材料Mの搬送量)は、搬送部材13そのものの特性によっても制御可能である。このため、搬送部材13の特性は、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へ搬送される造形材料Mの分量が、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートに応じた所望搬送量となる状態を実現可能な所望特性に設定されていてもよい。つまり、搬送部材13の特性は、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートに基づいて設定されていてもよい。搬送部材13の特性は、搬送部材13が所望の回転速度で回転した場合に単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へ搬送される造形材料Mの分量が所望搬送量となる状態を実現可能な所望特性に設定されていてもよい。つまり、搬送部材13の特性は、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートと搬送部材13の回転速度とに基づいて設定されてもよい。
【0095】
一例として、溝132が形成するらせん1周分の溝132の体積(つまり、1ピッチ(1周期)あたりの溝132の体積)が小さくなるほど、材料供給装置1から加工装置2に供給される造形材料Mの供給レートが小さくなる。このため、溝132のらせん1周分の体積が必要以上に小さくなると、搬送部材13が上限速度で回転したとしても、材料供給装置1が3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートで造形材料Mを供給することができなくなるという第1の技術的問題が生ずる可能性がある。従って、溝132のらせん1周分の体積が、上述した第1の技術的問題を生じさせないという観点から設定される第1の所定量以上となるように、搬送部材13の特性が設定されていてもよい。その結果、溝132のらせん1周分の体積が第1の所定量以上となることで、搬送部材13が上限速度で回転している状況下(つまり、搬送部材13が上限速度以下の回転速度で回転している状況下)で、材料供給装置1が3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートで造形材料Mを供給することができるようになる。
【0096】
一方で、溝132のらせん1周分の体積が必要以上に大きくなると、搬送部材13が単位時間あたりに材料送出部材15に搬送する造形材料Mの搬送量が変動しやすくなる。なぜならば、溝132のらせん1周分の体積が大きくなるほど、溝132内において自重によって崩れ落ちる造形材料Mの分量が多くなり、意図しないタイミングで隙間Gから落下する造形材料Mの分量が多くなる可能性があるからである。その結果、材料供給装置1から加工装置2に供給される造形材料Mの供給レートが変動してしまうという第2の技術的問題が生ずる可能性がある。従って、溝132のらせん1周分の体積が、上述した第2の技術的問題を生じさせないという観点から設定される第2の所定量(但し、第2の所定量は、第1の所定量未満)以下となるように、搬送部材13の特性が設定されていてもよい。その結果、溝132のらせん1周分の体積が第2の所定量以下となることで、材料供給装置1から加工装置2に供給される造形材料Mの供給レートの変動が抑制される。
【0097】
逆に言えば、制御装置7は、搬送部材13の特性を考慮した上で、ある特性を有する搬送部材13を用いることで単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へ搬送される造形材料Mの分量が、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートに応じた所望搬送量となるように、搬送部材13の回転速度を設定してもよい。つまり、搬送部材13の回転速度(或いは、搬送部材13の回転の状態)は、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートと搬送部材132の特性とに基づいて設定されてもよい。
【0098】
搬送部材13の特性は、搬送部材13に形成される溝132の特性を含んでいてもよい。なぜならば、溝132の特性が変わると、当該溝132に収まる造形材料Mの分量が変わる可能性があり、その結果、溝132を介して単位時間当たりに搬送される造形材料Mの分量が変わる可能性があるからである。溝132に収まる造形材料Mの分量は、溝132の体積に依存する。このため、溝132の特性は、溝132の体積(例えば、らせん1周分の溝132の体積)を含んでいてもよい。溝132の特性は、らせん1周分の溝132の体積に影響を与える特性を含んでいてもよい。らせん1周分の溝132の体積に影響を与える特性の一例として、溝132の形状、溝132の深さ、溝132の幅及び溝132のピッチの少なくとも一つを含んでいてもよい。溝132の形状は、溝132の断面形状(具体的には、軸部材131が延びる方向に交差する面に沿った断面の形状)を含んでいてもよい。
【0099】
保持部材12から材料送出部材15へと造形材料Mが搬送されると、保持部材12が保持する造形材料Mの分量が減る。一方で、保持部材12がホッパ11の供給口113の下方に位置しているがゆえに、保持部材12が保持する造形材料Mの分量が減ると、造形材料M自身の重量によって、供給口113を介してホッパ11から保持部材12へと新たな造形材料Mが供給される。つまり、保持部材12には、保持部材12から材料送出部材15へと搬送された造形材料Mの分量に応じた分量の造形材料Mが、新たにホッパ11から供給される。例えば、保持部材12には、保持部材12から材料送出部材15へと搬送された造形材料Mの分量と概ね同じ分量の造形材料Mが、新たにホッパ11から供給される。従って、保持部材12からの造形材料Mの搬送に起因して保持部材12から造形材料Mがなくなることはない。典型的には、保持部材12は、概ね同じ分量の造形材料Mを保持することになる。
【0100】
保持部材12から搬送された造形材料Mは、保持部材12から材料送出部材15へと落下していく。その結果、材料送出部材15は、保持部材12から搬送された造形材料Mを受け取る。材料送出部材15が受け取った造形材料Mは、材料供給装置1の外部へと(つまり、加工装置2へと)送り出される。ここで、上述したように、材料送出部材15が配置されている筐体16の内部空間16INには、流入口166を介してガス供給装置5から加圧されたパージガスが供給される。材料送出部材15は、加圧されたパージガスによる圧送で、造形材料Mを加工装置1へと送り出す。つまり、材料送出部材15が受け取った造形材料Mは、内部空間16INに供給されたパージガスの圧力によって送出口151及び164を介して材料供給管91内を押し出されるように送り出される。材料供給管91を介して送り出された造形材料Mは、材料ノズル212から供給される。
【0101】
材料送出部材15が圧送で造形材料Mを送り出しているがゆえに、単位時間あたりに材料送出部材15が送り出す造形材料Mの分量は、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15に搬送される造形材料Mの分量に依存する。このため、材料送出部材15は、単位時間あたりに一定量の造形材料Mを加工装置2に送り出すことができる。その結果、材料供給装置1は、単位時間あたりに一定量の造形材料Mを加工装置2に供給することができる。つまり、材料供給装置1は、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと供給される造形材料Mの分量が、3次元構造物STの形成に必要な造形材料Mの供給レートに応じた一定の供給量となるように、加工装置2に造形材料Mを供給することができる。
【0102】
尚、上述した説明では、加工装置2が3次元構造物STを形成している間は、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へと搬送される造形材料Mの分量が一定になっている。つまり、加工装置2が3次元構造物STを形成している間は、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと供給される造形材料Mの分量が一定になっている。しかしながら、材料供給装置1は、制御装置7の制御下で、加工装置2が3次元構造物STを形成している間に、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと供給される造形材料Mの分量を変更してもよい。具体的には、上述したように、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へと搬送される造形材料Mの分量は、搬送部材の回転の状態に依存する。従って、制御装置7は、加工装置2が3次元構造物STを形成している期間の少なくとも一部において、搬送部材13の回転の状態を変更するように駆動装置14を制御してもよい。その結果、搬送部材13の回転の状態の変更に伴い、単位時間あたりに保持部材12から材料送出部材15へと搬送される造形材料Mの分量が変更される。つまり、搬送部材13の回転の状態の変更に伴い、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと搬送される造形材料Mの分量が変更される。
【0103】
単位時間あたりに材料供給装置1から供給される造形材料Mの分量を変更する場面の一例として、ヘッド駆動系22による加工ヘッド21の移動速度が変化する場面があげられる。この場合、制御装置7は、加工ヘッド21の移動速度に基づいて(つまり、加工ヘッド21の移動速度に関する情報)に基づいて、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと搬送される造形材料Mの分量を変更してもよい。具体的には、ワークW上のある単位領域(或いは、ワークW上に形成済みの構造層SL上のある単位領域、以下同じ)に向けて材料ノズル212が造形材料Mを供給する時間は、加工ヘッド21の移動速度が速くなるほど短くなる。従って、加工ヘッド21の移動速度が速くなるほど、単位領域に供給される造形材料Mの分量が少なくなる。その結果、加工ヘッド21の移動速度が変化すると、ワークW上のある一の単位領域に供給される造形材料Mの分量と、ワークW上の他の単位領域に供給される造形材料Mの分量とが同じにならない可能性がある。この場合、形成される3次元構造物STの精度に影響が出る可能性がある。そこで、制御装置7は、ワークW上の複数の単位領域のそれぞれに供給される造形材料Mの分量が同じになるように、加工ヘッド21の移動速度に基づいて、単位時間あたりに材料供給装置1から供給される造形材料Mの分量を変更してもよい。具体的には、制御装置7は、加工ヘッド21の移動速度が速くなるほど単位時間あたりに材料供給装置1から供給される造形材料Mの分量(つまり、単位時間当たりの造形材料Mの供給量)が多くなるように、単位時間当たりの造形材料Mの供給量を変更してもよい。
【0104】
搬送部材13の回転速度に許容可能な上限速度が設定されている場合には、制御装置7は、当該上限速度に基づいて材料供給装置1が加工装置2に供給できる単位時間当たりの造形材料Mの供給量を逆算し、当該供給量に基づき加工装置2における加工ヘッド21の移動速度の上限を定めてもよい。
【0105】
尚、上述した場面に限らず、制御装置7は、加工ヘッド21の移動速度に関する情報及び加工光ELの照射に関する情報の少なくとも一方に基づいて、単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと搬送される造形材料Mの分量を変更してもよい。尚、加工光ELの照射に関する情報の一例としては、加工光ELの強度、加工光ELの照射位置及び加工光ELの照射タイミングの少なくとも一つがあげられる。例えば、制御装置7は、加工光ELの強度の変化に合わせて単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと搬送される造形材料Mの分量を変更してもよい。例えば、制御装置7は、加工光ELの照射タイミングの変化に合わせて単位時間あたりに材料供給装置1から加工装置2へと搬送される造形材料Mの分量を変更してもよい。
【0106】
(1-3)加工システムSYSaの動作
続いて、加工システムSYSaが行う動作について説明する。
【0107】
(1-3-1)3次元構造物STを形成するための第1加工動作
上述したように、加工システムSYSaは、3次元構造物STを形成するための第1加工動作を行う。具体的には、上述したように、加工システムSYSaは、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成する。このため、加工システムSYSaは、レーザ肉盛溶接法に準拠した既存の加工動作(この場合、造形動作)を行うことで、3次元構造物STを形成してもよい。以下、レーザ肉盛溶接法を用いて3次元構造物STを形成する第1加工動作の一例について簡単に説明する。
【0108】
加工システムSYSaは、形成するべき3次元構造物STの3次元モデルデータ(例えば、CAD(Computer Aided Design)データ)等に基づいて、ワークW上に3次元構造物STを形成する。3次元モデルデータとして、加工システムSYSa内に設けられた不図示の計測装置で計測された立体物の計測データ、及び、加工システムSYSaとは別に設けられた3次元形状計測機の計測データの少なくとも一方を用いてもよい。3次元形状計測機の一例として、ワークWに対して移動可能でワークWに接触可能なプローブを有する接触型の3次元座標測定機があげられる。3次元形状計測機の一例として、非接触型の3次元計測機があげられる。非接触型の3次元計測機の一例として、パターン投影方式の3次元計測機、光切断方式の3次元計測機、タイム・オブ・フライト方式の3次元計測機、モアレトポグラフィ方式の3次元計測機、ホログラフィック干渉方式の3次元計測機、CT(Computed Tomography)方式の3次元計測機、及び、MRI(Magnetic resonance imaging)方式の3次元計測機等の少なくとも一つがあげられる。尚、3次元モデルデータとしては、例えばSTL(Stereo Lithography)フォーマット、VRML(Virtual Reality Modeling Language)フォーマット、AMF(Additive Manufacturing File Format)、IGES(Initial Graphics Exchange Specification)フォーマット、VDA-FS(Association of German Automotive Manufactures-Surfaces Interface)フォーマット、HP/GL(Hewlett-Packard Graphics Language)フォーマット、ビットマップフォーマット等を用いることができる。
【0109】
加工システムSYSaは、3次元構造物STを形成するために、例えば、Z軸方向に沿って並ぶ複数の層状の部分構造物(以下、“構造層”と称する)SLを順に形成していく。例えば、加工システムSYSaは、3次元構造物STをZ軸方向に沿って輪切りにすることで得られる複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していく。その結果、複数の構造層SLが積層された積層構造体である3次元構造物STが形成される。以下、複数の構造層SLを1層ずつ順に形成していくことで3次元構造物STを形成する動作の流れについて説明する。
【0110】
まず、各構造層SLを形成する動作について図8(a)から図8(e)を参照して説明する。加工システムSYSaは、制御装置7の制御下で、ワークWの表面又は形成済みの構造層SLの表面に相当する造形面MS上の所望領域に照射領域EAを設定し、当該照射領域EAに対して照射光学系211から加工光ELを照射する。尚、照射光学系211から照射される加工光ELが造形面MS上に占める領域を照射領域EAと称してもよい。第1実施形態においては、加工光ELのフォーカス位置(つまり、集光位置)が造形面MSに一致している。その結果、図8(a)に示すように、照射光学系211から射出された加工光ELによって造形面MS上の所望領域に溶融池(つまり、加工光ELによって溶融した金属のプール)MPが形成される。更に、加工システムSYSaは、制御装置7の制御下で、造形面MS上の所望領域に供給領域MAを設定し、当該供給領域MAに対して材料ノズル212から造形材料Mを供給する。ここで、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAは、溶融池MPが形成された領域に設定されている。このため、加工システムSYSaは、図8(b)に示すように、溶融池MPに対して、材料ノズル212から造形材料Mを供給する。その結果、溶融池MPに供給された造形材料Mが溶融する。加工ヘッド21の移動に伴って溶融池MPに加工光ELが照射されなくなると、溶融池MPにおいて溶融した造形材料Mは、冷却されて固化(つまり、凝固)する。その結果、図8(c)に示すように、固化した造形材料Mが造形面MS上に堆積される。つまり、固化した造形材料Mの堆積物による造形物が形成される。
【0111】
このような加工光ELの照射による溶融池MPの形成、溶融池MPへの造形材料Mの供給、供給された造形材料Mの溶融及び溶融した造形材料Mの固化を含む一連の造形処理が、図8(d)に示すように、造形面MSに対して加工ヘッド21をXY平面に沿って相対的に移動されながら繰り返される。つまり、造形面MSに対して加工ヘッド21が相対的に移動すると、造形面MSに対して照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれもまた相対的に移動する。従って、一連の造形処理が、造形面MSに対して照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれをXY平面に沿って(つまり、二次元平面内において)相対的に移動されながら繰り返される。この際、加工光ELは、造形面MS上において造形物を形成したい領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射される一方で、造形面MS上において造形物を形成したくない領域に設定された照射領域EAに対して選択的に照射されない(造形物を形成したくない領域には照射領域EAが設定されないとも言える)。つまり、加工システムSYSaは、造形面MS上を所定の移動軌跡に沿って照射領域EAを移動させながら、造形物を形成したい領域の分布の態様に応じたタイミングで加工光ELを造形面MSに照射する。尚、造形物を形成したい領域の分布の態様を分布パターンとも構造層SLのパターンとも称してもよい。その結果、溶融池MPもまた、照射領域EAの移動軌跡に応じた移動軌跡に沿って造形面MS上を移動することになる。具体的には、溶融池MPは、造形面MS上において、照射領域EAの移動軌跡に沿った領域のうち加工光ELが照射された部分に順次形成される。更に、上述したように照射領域EAと供給領域MAとが一致しているため、供給領域MAもまた、照射領域EAの移動軌跡に応じた移動軌跡に沿って造形面MS上を移動することになる。つまり、材料ノズル212は、造形面MSに沿って造形材料Mが層状になるように造形材料Mを供給する。その結果、図8(e)に示すように、造形面MS上に、凝固した造形材料Mによる造形物の集合体に相当する構造層SLが形成される。つまり、溶融池MPの移動軌跡に応じたパターンで造形面MS上に形成された造形物の集合体に相当する構造層SL(つまり、平面視において、溶融池MPの移動軌跡に応じた形状を有する構造層SL)が形成される。なお、造形物を形成したくない領域に照射領域EAが設定されている場合、加工光ELを照射領域EAに照射するとともに、造形材料Mの供給を停止してもよい。また、造形物を形成したくない領域に照射領域EAが設定されている場合に、造形材料Mを照射領域ELに供給するとともに、溶融池MPができない強度の加工光ELを照射領域ELに照射してもよい。尚、上述した説明では、造形面MSに対して照射領域EAを移動させたが、照射領域EAに対して造形面MSを移動させてもよい。
【0112】
加工システムSYSaは、このような構造層SLを形成するための処理を、制御装置7の制御下で、3次元モデルデータに基づいて繰り返し行う。具体的には、まず、制御装置7は、3次元モデルデータを積層ピッチでスライス処理することでスライスデータを作成する。スライスデータは、複数の構造層SLを形成するための加工処理(つまり、上述した一連の造形処理を含む加工処理)の内容を定めるデータを含む。つまり、スライスデータは、3次元構造物STを造形するための加工処理の内容を定めるデータを含む。このため、スライスデータは、加工データ又は造形データと称されてもよい。制御装置7は、スライサと称されるコンピュータプログラムを実行することで、3次元モデルデータに対するスライス処理を行ってもよい。
【0113】
スライスデータは、加工処理の内容を定めるデータとして、3次元構造物STを構成する複数の構造層SLのそれぞれのモデルデータ(特に、3次元モデルデータ)を含んでいてもよい。この場合、3次元モデルデータは、ソリッドデータを含んでいてもよいし、サーフェスデータを含んでいてもよい。
【0114】
スライスデータは、加工処理の内容を定めるデータとして、3次元構造物STを構成する複数の構造層SLを形成するように加工システムSYSaを制御するためのコマンドデータを含んでいてもよい。コマンドデータは、加工ヘッド21の移動に関するデータを含んでいてもよい。コマンドデータは、ステージ31の移動に関するデータを含んでいてもよい。尚、ステージ31にワークWが載置されるがゆえに、コマンドデータは、ステージ31に載置されたワークWの移動に関するデータを含んでいてもよい。加工ヘッド21及びステージ31の少なくとも一方が移動すると、上述したように、照射領域EA及び供給領域MAのそれぞれは、ワークW上を移動する。このため、コマンドデータは、照射領域EA及び供給領域MAの少なくとも一つの移動に関するデータを含んでいてもよい。この場合、コマンドデータは、加工ヘッド21、ステージ31、ワークW、照射領域EA及び供給領域MAの少なくとも一つの移動軌跡(言い換えれば、移動パス)を指定する加工パスデータを含んでいてもよい。加工パスデータは、加工光ELの照射に起因した熱の影響(特に、造形面MSに対する熱の影響)を加味した状況下で3次元構造物STを形成するための移動軌跡を指定していてもよい。或いは、加工パスデータは、加工光ELの照射に起因した熱の影響(特に、造形面MSに対する熱の影響)を加味しない状況下で3次元構造物STを形成するための移動軌跡を指定していてもよい。コマンドデータは、加工ヘッド21、ステージ31、ワークW、照射領域EA及び供給領域MAの少なくとも一つの移動速度を指定する加工速度データを含んでいてもよい。コマンドデータは、加工ヘッド21、ステージ31、ワークW、照射領域EA及び供給領域MAの少なくとも一つの移動に同期して照射光学系211が加工光ELを射出するタイミングを指定する射出データを含んでいてもよい。コマンドデータは、加工ヘッド21、ステージ31、ワークW、照射領域EA及び供給領域MAの少なくとも一つの移動に同期して材料ノズル212が造形材料Mを供給するタイミングを指定する射出データを含んでいてもよい。尚、このようなコマンドデータの一例として、いわゆるGコードがあげられる。
【0115】
尚、制御装置7が3次元構造物STの3次元モデルデータからスライスデータを生成することに加えて又は代えて、制御装置7が、加工システムSYSaの外部の装置(例えば、コンピュータ等)からスライスデータを取得してもよい。例えば、加工システムSYSaの外部の装置が3次元構造物STの3次元モデルデータからスライスデータを生成する場合には、制御装置7が、加工システムSYSaの外部の装置からスライスデータを取得してもよい。例えば、加工システムSYSaの外部の装置がスライスデータを保有(言い換えれば、記憶)している場合には、制御装置7が、加工システムSYSaの外部の装置からスライスデータを取得してもよい。
【0116】
その後、加工システムSYSaは、複数の構造層SLを形成するための加工処理を開始する。具体的には、加工システムSYSaは、ワークWの表面に相当する造形面MS上に1層目の構造層SL#1を形成するための処理を、構造層SL#1に対応するスライスデータに基づいて行う。その結果、造形面MS上には、図9(a)に示すように、構造層SL#1が形成される。その後、加工システムSYSaは、構造層SL#1の表面(つまり、上面)を新たな造形面MSに設定した上で、当該新たな造形面MS上に2層目の構造層SL#2を形成するための処理を行う。構造層SL#2を形成するために、制御装置7は、まず、スライスデータ(特に、加工パスデータ)に基づいて、造形面MSに対して加工ヘッド21がZ軸に沿って移動するようにヘッド駆動系22及びステージ駆動系32の少なくとも一方を制御する。具体的には、制御装置7は、ヘッド駆動系22及びステージ駆動系32の少なくとも一方を制御して、照射領域EA及び供給領域MAが構造層SL#1の表面(つまり、新たな造形面MS)に設定されるように、造形面MSから+Z側に向かって加工ヘッド21を相対移動させる。これにより、加工光ELのフォーカス位置が新たな造形面MSに一致する。その後、加工システムSYSaは、制御装置7の制御下で、構造層SL#1を形成する処理と同様に、構造層SL#2に対応するスライスデータに基づいて、構造層SL#1上に構造層SL#2を形成するための処理を行う。その結果、図9(b)に示すように、構造層SL#2が形成される。以降、同様の処理が、ワークW上に形成するべき3次元構造物STを構成する全ての構造層SLが形成されるまで繰り返される。その結果、図9(c)に示すように、複数の構造層SLが積層された積層構造物によって、3次元構造物STが形成される。
【0117】
(1-3-2)3次元構造物STを形成するための第2加工動作
加工システムSYSaは、材料供給装置1のホッパ11に貯蔵された造形材料Mを用いて3次元構造物STを構成する複数の構造層SLを形成するための加工処理を行う。ホッパ11に貯蔵された造形材料Mの分量(つまり、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量)が、3次元構造物STを形成するために必要な造形材料Mの分量よりも多い場合には、3次元構造物STを形成する過程で造形材料Mが不足することはない。このため、加工システムSYSaは、複数の構造層SLを形成するための加工処理を完了することができる。一方で、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が、3次元構造物STを形成するために必要な造形材料Mの分量よりも少ない場合には、3次元構造物STを形成する過程で造形材料Mが不足する。このため、加工システムSYSaが複数の構造層SLを形成する加工処理を完了する前に、ホッパ11に貯蔵された造形材料Mが枯渇してしまう。つまり、加工システムSYSaが複数の構造層SLの全てを形成する前に、ホッパ11に貯蔵された造形材料Mが枯渇してしまう。造形材料Mが枯渇した場合には、材料ノズル212が造形面MSに造形材料Mを供給していないにも関わらず、照射光学系211から加工光ELが造形面MSに照射されてしまう可能性がある。その結果、造形面MSが不必要に溶融してしまう可能性がある。また、本来は溶融した後に固化した造形材料Mの堆積物による造形物が形成されるべき位置において、当該造形物が形成されなくなってしまう可能性がある。このため、加工システムSYSaは、本来形成したい3次元構造物STを形成することができなくなる可能性がある。
【0118】
そこで、加工システムSYSaは、造形材料Mの不足に生ずる上述した技術的問題を解決するために、3次元構造物STを形成する際にホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を考慮する第2加工動作を行ってもよい。つまり、加工システムSYSaは、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量に基づいて3次元構造物STを形成する第2加工動作を行ってもよい。この場合、第2加工動作は、上述した第1加工動作と比較して、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量に応じた処理が追加されているという点で異なっていてもよい。以下、図10を参照しながら、第2加工動作について説明する。図10は、第2加工動作の流れを示すフローチャートである。
【0119】
尚、第2加工動作は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされている状況で行われる。第2加工動作は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされている状況で開始される。但し、第2加工動作は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされていない状況で開始されてもよい。この場合、加工処理が実際に開始される前に、チャンバ空間63INがパージガスでパージされる。
【0120】
図10に示すように、制御装置7は、加工処理の内容を定めるスライスデータを取得する(ステップS101)。例えば、制御装置7は、加工システムSYSaの外部の装置(例えば、コンピュータ等)からスライスデータを取得してもよい。この場合、制御装置7と外部の装置とは、有線又は無線のネットワーク網を介して接続されていてもよい。例えば、制御装置7は、制御装置7に外付け可能な記録媒体から、スライスデータを取得してもよい。或いは、制御装置7は、スライスデータを取得することに代えて、3次元構造物STの3次元モデルデータを取得してもよい。この場合、制御装置7は、取得した3次元モデルデータからスライスデータを生成してもよい。
【0121】
その後、制御装置7は、ステップS101で取得したスライスデータに基づいて、3次元構造物STを形成するために必要な造形材料Mの分量を推定する(つまり、見積もる)(ステップS102)。具体的には、制御装置7は、スライスデータに基づいて、3次元構造物STを形成する処理を完了するために必要な造形材料Mの分量を推定する。つまり、制御装置7は、スライスデータに基づいて、3次元構造物STの全体を形成するために必要な造形材料Mの分量を推定する。
【0122】
スライスデータは、上述したようにコマンドデータを含んでいる。このため、制御装置7は、コマンドデータに基づいて、3次元構造物STを形成する過程での加工システムSYSaの動作内容を特定することができる。具体的には、制御装置7は、コマンドデータ(例えば、加工ヘッド21等の移動に関する情報)に基づいて、3次元構造物STを形成する過程で材料ノズル212から造形材料Mが供給される供給時間を特定することができる。また、材料ノズル212から単位時間当たりに供給される造形材料Mの分量は、材料供給装置1から加工装置2に単位時間当たりに供給される造形材料Mの分量に依存する。その結果、制御装置7は、3次元構造物STを形成する過程で材料ノズル212から造形材料Mが供給される供給時間と材料供給装置1から加工装置2に単位時間当たりに供給される造形材料Mの分量とに基づいて、3次元構造物STを形成する過程で材料ノズル212からどれだけの分量の造形材料Mが供給されるかを推定することができる。その結果、制御装置7は、3次元構造物STを形成するために必要な造形材料Mの分量(以降、“造形材料Mの必要分量”と称する)を推定することができる。つまり、制御装置7は、造形材料Mが不足する事態を引き起こすことなく加工処理を完了するために必要な造形材料Mの分量(つまり、造形材料Mの必要分量)を推定することができる。尚、制御装置7は、造形材料Mの必要分量として、3次元構造物STを形成するために必要な造形材料Mの重量を推定してもよい。制御装置7は、造形材料Mの必要分量として、3次元構造物STを形成するために必要な造形材料Mの体積(つまり、容積)を推定してもよい。
【0123】
上述したように、各構造層SLを形成する際に、材料ノズル212は、造形面MSに沿って造形材料Mが層状になるように造形材料Mを供給する。従って、複数の構造層SLを形成するために、材料ノズル212は、実質的には、造形材料Mの層を複数形成するように造形材料Mを供給することになる。従って、造形材料Mの必要分量は、造形材料Mの層の数に依存する。このため、制御装置7は、造形材料Mの必要分量に関する情報の少なくとも一部として、造形材料Mの層の数を推定してもよい。この場合、造形材料Mの1つの層の分量(つまり、一つの構造層SLを形成するために必要な造形材料Mの分量)に対して造形材料Mの層の数を掛け合わせることで得られる値が、造形材料Mの必要分量として用いられてもよい。尚、このような造形材料Mの層の数に関する情報は、レーザ肉盛溶接法に基づく付加加工を行う場合に加えて又は代えて、後述する粉末床溶融結合法(Powder Bed Fusion)等に基づく付加加工を行う場合においても有用な情報として利用可能である。尚、粉末床溶融結合方に基づく付加加工動作では、造形材料Mの必要分量は、粉末床の面積と造形物の高さとに応じて決まることが多い。従って、制御装置7は、造形材料Mの必要分量を粉末床の面積と造形物の高さとを用いて推定してもよい。
【0124】
造形材料Mの必要分量を推定した場合には、制御装置7は、ディスプレイ8における表示例を示す平面図である図11に示すように、造形材料Mの必要分量を表示するようにディスプレイ8を制御してもよい。この場合、加工システムSYSaのユーザは、造形材料Mの必要分量を認識することができる。尚、第1実施形態では、ディスプレイ8が表示する情報は、テキストをふくんでいてもよいし、図形を含んでいてもよいし、画像を含んでいてもよいし、アイコンを含んでいてもよいし、ユーザが視認可能な任意の表示物を含んでいてもよい。
【0125】
制御装置7は、ディスプレイ8における表示例を示す平面図である図12(a)及び図12(b)に示すように、造形材料Mの必要分量に加えて又は代えて、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量(つまり、ホッパ11における造形材料Mの残量であり、重量計測装置19の計測結果に関する情報)を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。この場合、加工システムSYSaのユーザは、造形材料Mの貯蔵量を認識することができる。尚、図12(a)は、造形材料Mの必要分量に加えてホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が表示される例を示している。また、図12(b)に示すように、造形材料の必要分量とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量とは、画像で示されていてもよい。
【0126】
造形材料Mの必要分量に加えてホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を表示する場合には、制御装置7は、造形材料Mの必要分量とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量との関係を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。つまり、制御装置7は、造形材料Mの必要分量とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量とを関連付けて表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。例えば、制御装置7は、ディスプレイ8における表示例を示す平面図である図13に示すように、造形材料Mの必要分量とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量との大小関係を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。この場合、加工システムSYSaのユーザは、造形材料Mの貯蔵量が十分であるか否かを認識することができる。尚、造形材料Mの必要分量は、スライスデータから得られる情報である。このため、造形材料Mの必要分量とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量との関係を表示する動作は、スライスデータ及びホッパ11における造形材料Mの貯蔵量に基づいて得られる造形材料Mの分量に関する情報を表示する動作の一具体例である。このため、制御装置7は、スライスデータ及びホッパ11における造形材料Mの貯蔵量に基づいて得られる造形材料Mの分量に関する情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。尚、上述の図12(b)に示したディスプレイ8における表示例は、造形材料Mの必要分量とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量との関係を表示しているとも言える。
【0127】
制御装置7は、造形材料Mの必要分量及びホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の少なくとも一方に加えて又は代えて、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の許容上限値を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。この場合、制御装置7は、造形材料Mの必要分量及びホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の少なくとも一方とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の許容上限値との関係を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。つまり、制御装置7は、造形材料Mの必要分量及びホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の少なくとも一方とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の許容上限値とを関連付けて表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。例えば、制御装置7は、ディスプレイ8における表示例を示す平面図である図14に示すように、造形材料Mの必要分量及びホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の少なくとも一方とホッパ11における造形材料Mの貯蔵量との大小関係を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。この場合、加工システムSYSaのユーザは、許容上限値に相当する分量の造形材料Mによって3次元構造物STを形成することが可能か否かを認識することができる。
制御装置7は、造形材料Mの分量に関する情報に加えて又は代えて、3次元構造物STに関する情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。例えば、制御装置7は、ディスプレイ8における表示例を示す平面図である図15に示すように、3次元構造物STの形状及び寸法の少なくとも一方に関する情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。この場合、加工システムSYSaのユーザは、加工動作によって形成される3次元構造物STがどのような造形物であるかを認識することができる。
【0128】
その後、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵しているか否かを判定する(ステップS103)。つまり、制御装置7は、加工システムSYSaが加工処理を開始する前に、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵しているか否かを判定する。具体的には、制御装置7は、重量計測装置19の計測結果に基づいて、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を特定する。その後、制御装置7は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が、第1所定量よりも多いか否かを判定する。第1所定量として、ステップS102で推定した造形材料Mの必要分量が用いられる。但し、第1所定量として、その他の値が用いられてもよい。ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が造形材料Mの必要分量よりも多い場合には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していると判定する。ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が造形材料Mの必要分量よりも少ない場合には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定する。尚、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が造形材料Mの必要分量と同じである場合には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していると判定してもよいし、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定してもよい。尚、ステップS103は、ディスプレイ8に造形材料Mの分量に関する情報及び/又は3次元構造物STに関する情報を表示する前に実行されてもよい。
【0129】
ステップS103における判定の結果、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していると判定された場合には(ステップS103:Yes)、加工システムSYSaは、造形材料Mが不足するという事態を引き起こすことなく加工処理を完了することができる。このため、この場合には、加工システムSYSaは、加工処理を開始する(ステップS111)。つまり、加工システムSYSaは、上述した図8(a)から図8(e)及び図9(a)から図9(c)に示すように、複数の構造層SLを順に形成する。
【0130】
加工処理が行われている間は、制御装置7は、加工処理の状況を示す情報を表示するようにディスプレイ8を制御してもよい。加工処理の状況を示す情報の表示例は、図16に示されている。図16に示すように、制御装置7は、3次元構造物STのうち既に形成された部分を示す画像を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。図16に示すように、制御装置7は、3次元構造物STのうち未だ形成されていない部分(つまり、これから形成される部分)を示す画像を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。尚、図16は、四角錐の形状の3次元構造物STを形成する加工処理が行われている状況下で、3次元構造物STのうち既に形成された部分が実線で示され、且つ、3次元構造物STのうち未だ形成されていない部分が点線で示される画像が表示される例を示している。この際、制御装置7は、3次元構造物STのうち既に形成された部分及び3次元構造物STのうち未だ形成されていない部分の少なくとも一方の寸法に関する情報も合わせて表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。図16に示すように、制御装置7は、加工処理の完了度を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。完了度は、3次元構造物STのうち既に形成された部分の3次元構造物STに対する割合を示していてもよい。図16に示すように、制御装置7は、チャンバ空間63INにおける酸素の濃度を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。図16に示すように、制御装置7は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量(つまり、ホッパ11における造形材料Mの残量)を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。
【0131】
他方で、ステップS103における判定の結果、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には(ステップS103:No)、3次元構造物STを形成する過程で造形材料Mが不足する可能性がある。つまり、加工システムSYSaが加工処理を完了する前に、造形材料Mが枯渇してしまう可能性がある。この場合、加工システムSYSaは、加工処理を開始しない。つまり、制御装置7は、加工処理を開始しないように、加工装置2等を制御する。更に、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないことを加工システムSYSaのユーザに警告するための警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御する(ステップS104)。つまり、制御装置7は、加工システムSYSaが加工処理を開始する前に警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御する。
【0132】
警告情報は、テキストメッセージを含んでいてもよい。警告情報は、図形を含んでいてもよい。警告情報は、画像を含んでいてもよい。警告情報は、アイコンを含んでいてもよい。警告情報は、ユーザが視認可能な任意の表示物を含んでいてもよい。
【0133】
ホッパ11が貯蔵している造形材料Mの不足に関する警告情報が表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図17に示すように、例えば、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないことをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。例えば、造形材料Mが不足していることをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。図17は、“材料が不足しています!”というテキストメッセージを含む警告表示が表示される例を示している。
【0134】
図17に示す警告情報に加えて又は代えて、加工処理の状況に関する警告情報が表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図18に示すように、例えば、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないがゆえに加工処理を開始することができないことをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。加工処理を開始することができない理由が、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないことであることをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。図18は、“材料が不足しているため、加工開始できません!”というテキストメッセージを含む警告表示が表示される例を示している。
【0135】
図17から図18の少なくとも一方に示す警告情報に加えて又は代えて、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量及び造形材料Mの必要分量の少なくとも一方に関する警告情報が表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図19に示すように、例えば、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を示す警告情報が表示されてもよい。例えば、造形材料Mの必要分量を示す警告情報が表示されてもよい。図19は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が2.1kgであることを示す警告情報と、造形材料Mの必要分量が3.5kgであることを示す警告情報との双方が表示される例を示す。例えば、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量と造形材料Mの必要分量との差分(つまり、造形材料Mの不足量)を示す警告情報が表示されてもよい。尚、造形材料Mの貯蔵量及び造形材料Mの必要分量の少なくとも一方に関する警告情報が表示される場合には、制御装置7は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の許容上限値に関する情報を合わせて表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。
【0136】
図17から図19の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、ホッパ11に対する造形材料Mの補充の必要性に関する警告情報が表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図20に示すように、例えば、ホッパ11に対して造形材料Mを補充する必要があることをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。図20は、“材料を補充して下さい”というテキストメッセージを含む警告表示が表示される例を示している。
【0137】
図17から図20の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、ホッパ11に対して補充するべき造形材料Mの分量(以降、“必要補充量”と称する)に関する警告情報が表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図21に示すように、必要補充量を示す警告情報が表示されてもよい。図21は、必要補充量が1.4kgであることを示すテキストメッセージを含む警告表示が表示される例を示している。尚、制御装置7は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量と造形材料Mとの必要分量との差分(つまり、造形材料Mの不足量)に基づいて必要補充量を設定してもよい。例えば、制御装置7は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量と造形材料Mとの必要分量との差分を、必要補充量に設定してもよい。例えば、制御装置7は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量と造形材料Mとの必要分量との差分に所定のマージンを加味した分量を、必要補充量に設定してもよい。
【0138】
図17から図21の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、ホッパ11に対して造形材料Mを補充する行動をユーザが取る場合に選択される表示物が、警告情報として表示されてもよい。図17から図21の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、ホッパ11に対して造形材料Mを補充する行動をユーザが取らない場合に選択される表示物が、警告情報として表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図21に示すように、例えば、ホッパ11に対して造形材料Mを補充する行動をユーザが取る場合に選択されるボタン(具体的には、「YES」というラベルが付与されたボタン)と、ホッパ11に対して造形材料Mを補充する行動をユーザが取らない場合に選択されるボタン(具体的には、「No」というラベルが付与されたボタン)が、警告情報として表示されてもよい。この場合、ボタンの選択結果から、制御装置7は、ホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定することができる。
【0139】
ユーザが選択可能な表示物がディスプレイ8に表示される場合には、ディスプレイ8は、タッチパネルであってもよい。この場合には、ユーザは、タッチパネルを操作することで、所望の表示物を選択してもよい。この場合、ディスプレイ8は、所望の表示物に対する選択を希望するユーザの入力を受け付ける入力装置として機能する。或いは、ユーザは、その他の任意の入力装置(例えば、キーボード、タッチパッド、マウス及びポインティングデバイスの少なくとも一つ)を用いて、所望の表示物を選択してもよい。
【0140】
図17から図22の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、形成可能な3次元構造物STに関する警告情報が表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図23に示すように、材料供給装置1に貯蔵されている造形材料Mでは、3次元構造物STの一部しか形成することができないことをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。材料供給装置1に貯蔵されている造形材料Mでは、3次元構造物STの全体を形成することができないことをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。材料供給装置1に貯蔵されている造形材料Mでは、3次元構造物STを形成するための加工処理が完了できないことができないことをユーザに警告する警告情報が表示されてもよい。図23は、“材料が不足しているため、3次元構造物STの一部しか形成できません!”というテキストメッセージを含む警告表示が表示される例を示している。
【0141】
図17から図23の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、3次元構造物STのうちホッパ11が貯蔵している造形材料Mで形成可能な部分に関する警告情報が表示されてもよい。図17から図23の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、3次元構造物STのうちホッパ11が貯蔵している造形材料Mでは形成することができない部分に関する警告情報が表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図24に示すように、3次元構造物STのうちホッパ11が貯蔵している造形材料Mで形成可能な部分を示す警告情報が表示されてもよい。3次元構造物STのうちホッパ11が貯蔵している造形材料Mでは形成することができない部分を示す警告情報が表示されてもよい。図24は、四角錐の形状の3次元構造物STを形成する加工処理が行われている状況下で、3次元構造物STのうちホッパ11が貯蔵している造形材料Mで形成可能な部分が実線で示され、且つ、3次元構造物STのうちホッパ11が貯蔵している造形材料Mでは形成することができないが点線で示される画像が表示される例を示している。
【0142】
図17から図24の少なくとも一つに示す警告情報に加えて又は代えて、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない状況下ではあるものの加工処理を開始するか否かをユーザに選択させる表示物が、警告情報として表示されてもよい。具体的には、警告情報の表示例を示す平面図である図25に示すように、例えば、加工処理を開始することを希望する場合にユーザに選択されるボタン(具体的には、「YES」というラベルが付与されたボタン)と、加工処理を開始することを希望しない場合に選択されるボタン(具体的には、「No」というラベルが付与されたボタン)が、警告情報として表示されてもよい。この場合、ボタンの選択結果から、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない状況下ではあるものの加工処理を開始することをユーザが希望しているか否か判定することができる。
【0143】
再び図10において、警告情報が表示された後、制御装置7は、ホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定する(ステップS105)。より具体的には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵するようになるまでホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定する。制御装置7は、ホッパ11に造形材料Mが補充されたことでホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵することになったか否かを判定する。尚、ステップS105の処理は、上述したステップS103の処理と同一であってもよいため、その詳細な説明は省略する。
【0144】
造形材料Mの補充は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされている状況下で行われてもよい。造形材料Mの補充は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされたまま行われてもよい。具体的には、チャンバ空間63INがパージガスでパージされたまま造形材料Mが補充される場合には、ガス供給装置5と材料供給装置1とをつなぐガス供給管52に配置されているバルブ53の状態が、ガス供給管52を閉塞する状態に設定される。更に、材料供給装置1と加工装置2とをつなぐ材料供給管191に配置されているバルブ192の状態が、材料供給管191を閉塞する状態に設定される。その結果、材料供給装置1の内部空間16IN及び貯蔵空間112が、加工装置2及びガス供給装置5から空間的に切り離される。この状況で、ホッパ11の材料補充口114をふさいでいた蓋115が開けられる共に、材料補充口114から貯蔵空間112に造形材料Mが補充される。但し、造形材料Mの補充は、チャンバ空間63INがパージガスでパージされていない状況下で行われてもよい。造形材料Mの補充は、パージガスでパージされたチャンバ空間63INからパージガスを排出した後に行われてもよい。
【0145】
ステップS105における判定の結果、ホッパ11に造形材料Mが補充された(ホッパ11に造形材料Mが補充されたことでホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵することになった)と判定された場合には(ステップS105:Yes)、加工システムSYSaは、造形材料Mが不足するという事態を引き起こすことなく加工処理を完了することができる。このため、この場合には、加工システムSYSaは、加工処理を開始する(ステップS111)。
【0146】
他方で、ステップS105における判定の結果、ホッパ11に造形材料Mが補充されなかった又はホッパ11に造形材料Mが補充されたとしてもホッパ11が未だに十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には(ステップS105:No)、3次元構造物STを形成する過程で造形材料Mが不足する可能性が依然として残っている。つまり、加工システムSYSaが加工処理を完了する前に、造形材料Mが枯渇してしまう可能性が依然として残っている。この場合、制御装置7は、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うか否かを判定する(ステップS106)。例えば、制御装置7は、図25に示す警告情報に対するユーザの反応(例えば、ボタンの選択状況)に基づいて、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うか否かを判定してもよい。この場合、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない状況下ではあるものの加工処理を開始することをユーザが希望している場合には、制御装置7は、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うと判定してもよい。他方で、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない状況下で加工処理を開始することをユーザが希望していない場合には、制御装置7は、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行わないと判定してもよい。
【0147】
ステップS106における判定の結果、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行わないと判定された場合には(ステップS106:No)、加工システムSYSaは、第2加工動作を終了する。つまり、加工システムSYSaは、3次元構造物STを形成しない。
【0148】
他方で、ステップS106における判定の結果、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うと判定された場合には(ステップS106:Yes)、加工システムSYSaは、加工処理を開始する(ステップS111)。但し、この場合には、加工システムSYSaは、3次元構造物STのうちの一部を形成した段階で、加工処理を中断するように、加工処理を行う。尚、加工処理を中断する動作は、照射光学系211からの加工光ELの照射を停止する動作を含む。加工処理を中断する動作は、材料ノズル212からの造形材料Mの供給を停止する動作を含んでいてもよい。加工処理を中断する動作は、加工ヘッド21及び/又はステージ31を停止させる動作を含んでいてもよい。
【0149】
例えば、加工システムSYSaは、3次元構造物STのうちのホッパ11が貯蔵している造形材料Mで形成可能な部分を形成した段階で加工処理を中断するように、加工処理を行ってもよい。つまり、加工システムSYSaは、ホッパ11が貯蔵している造形材料Mが枯渇する前に加工処理を中断するように、加工処理を行ってもよい。
【0150】
例えば、加工システムSYSaは、3次元構造物STのうち、その部分が形成された段階で加工処理を中断すれば、別の部分が形成された段階で加工処理を中断した場合と比較して加工処理を再開しやすくなる部分を形成した段階で、加工処理を中断するように、加工処理を行ってもよい。具体的には、加工システムSYSaは、一つの構造層SLの形成が完了した段階で加工処理を中断するように、加工処理を行ってもよい。つまり、加工システムSYSaは、一つの構造層SLを形成している途中で加工処理を中断しないように、加工処理を行ってもよい。なぜならば、一つの構造層SLの形成が完了した段階で加工処理を中断した場合には、一つの構造層SLを形成している途中で加工処理を中断した場合と比較して、造形面MSが平面になりやすいがゆえに、加工処理を再開しやすくなるからである。つまり、一つの構造層SLの形成が完了した段階で加工処理を中断した場合には、一つの構造層SLを形成している途中で加工処理を中断した場合と比較して、構造層SLが形成済みの部分と本来形成されるべきはずの構造層SLが未だ形成されていない部分との間に生ずる段差等に起因した凹凸が造形面MSに生じにくいがゆえに、加工処理を再開しやすくなるからである。
【0151】
例えば、加工システムSYSaは、造形面MSのうち加工光ELから伝達される熱に対する特性が所望条件を満たす部分に対して造形物を形成した段階で加工処理を中断するように、加工処理を行ってもよい。具体的には、加工システムSYSaは、造形面MSのうち他の部分と比較して加工光ELから伝達される熱が拡散しやすい部分に対して造形物を形成した段階で加工処理を中断するように、加工処理を行ってもよい。なぜならば、熱が相対的に拡散しやすい部分における造形物の形成が完了した段階で加工処理を中断した場合には、熱が相対的に拡散しにくい部分における造形物の形成が完了した段階で加工処理を中断した場合と比較して、中断した加工処理によって造形面MSに照射された加工光ELから伝達される熱の影響が加工処理を将来再開する時点で相対的に残りにくいがゆえに、加工処理を再開しやすくなるからである。
【0152】
加工処理が開始された後には、制御装置7は、加工処理が完了したか否かを判定する(ステップS121)。つまり、制御装置7は、3次元構造物STの全体の形成が完了したか否かを判定する。3次元構造物STの全体の形成が完了したと判定された場合には、制御装置7は、加工処理が完了したと判定する。但し、ステップS106において3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うと判定された場合には、制御装置7は、3次元構造物STのうちの一部(つまり、加工処理によって形成することが予定されていた3次元構造物STのうちの一部)の形成が完了したか否かを判定する。3次元構造物STの一部の形成が完了したと判定された場合には、制御装置7は、加工処理が完了したと判定する。
【0153】
ステップS121における判定の結果、加工処理が完了したと判定された場合には(ステップS121:Yes)、加工システムSYSaは、第2加工動作を終了する。尚、3次元構造物STのうちの一部の形成が完了したことに起因して加工処理が完了したと判定された場合には、3次元構造物STは完成していない。3次元構造物STが完成していない場合には、加工システムSYSaは、第2加工動作が終了した後にホッパ11に造形材料Mが補充されたことを条件に、3次元構造物STのうちの形成済みの部分を含むワークWを新たなワークWとみなして、3次元構造物STのうちの未だ形成していない残りの部分を新たなワークWに形成するための第2加工動作を行ってもよい。より具体的には、加工システムSYSaは、ステップS101で取得されたスライスデータのうちの一部である第1のデータ部分に基づいて加工処理を行うことで、3次元構造物STのうちの一部を形成した後に、第2加工動作を終了してもよい。その後、ホッパ11に造形材料Mが補充されたことを条件に、加工システムSYSaは、取得済みのスライスデータのうちの第1データとは異なる第2データ部分に基づいて加工処理を行うように、加工処理を再開してもよい。つまり、加工システムSYSaは、ステップS101で取得されたスライスデータのうちの第1のデータ部分に基づく加工処理が完了した段階で第2加工動作を終了し、その後ホッパ11に造形材料Mが補充されたことを条件に、取得済みのスライスデータのうちの第2データ部分に基づいて、加工処理を再開してもよい。但し、3次元構造物STを2回(或いは、複数回)の加工処理で形成する場合には、3次元構造物STを1回の加工処理で形成する場合と比較して、2回目の加工処理を再開する段階での造形面MSの温度が異なる可能性がある。なぜならば、加工処理の中断に伴って造形面MSが冷える可能性があるからである。このため、制御装置7は、取得済みのスライスデータのうちの第2データ部分に基づいて加工処理を再開する場合には、第2データ部分に対して、造形面MSの温度による影響を反映させるための更新処理を施してもよい。この場合、制御装置7は、更新した第2データ部分に基づいて加工処理を再開してもよい。
【0154】
他方で、ステップS121における判定の結果、加工処理が未だ完了していないと判定された場合には(ステップS121:No)、加工処理が継続される。更に、加工処理が継続されている状況下で、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵しているか否かを判定する(ステップS122)。つまり、制御装置7は、加工システムSYSaが加工処理を行っている期間の少なくとも一部において、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵しているか否かを判定する。
【0155】
具体的には、制御装置7は、重量計測装置19の計測結果に基づいて、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を特定する。その後、制御装置7は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が、第2所定量よりも多いか否かを判定する。第2所定量として、3次元構造物STのうち未だ形成されていない部分を形成するために必要な造形材料Mの分量(つまり、造形材料Mの必要分量)が用いられてもよい。或いは、第2所定量として、材料供給装置1が加工装置2に対して造形材料Mを供給する状態を維持するために最小限必要な造形材料Mの貯蔵量である必要貯蔵量が用いられてもよい。必要貯蔵量は、造形材料Mの貯蔵量の許容下限値を意味していてもよい。或いは、必要貯蔵量は、造形材料Mの貯蔵量の許容下限値に対して所定のマージンを加算した値を意味していてもよい。造形材料Mの貯蔵量の許容下限値は、材料供給装置1が加工装置2に対して造形材料Mを供給する状態を維持するために最小限必要な造形材料Mの貯蔵量を意味していてもよい。ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が必要貯蔵量(或いは、許容下限値)を下回った場合には、ホッパ11に造形材料Mが残っていたとしても、材料供給装置1は、加工装置2に対して造形材料Mを適切に(例えば、一定の供給レートで)供給することができなくなる可能性がある。尚、通常、造形材料Mの貯蔵量の許容下限値は、造形材料Mの必要分量よりも少なくなる。但し、第2所定量として、その他の値が用いられてもよい。ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が第2所定量よりも多い場合には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していると判定する。ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が第2所定量よりも少ない場合には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定する。尚、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が第2所定量と同じである場合には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していると判定してもよいし、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定してもよい。
【0156】
尚、加工処理が行われるのは、加工処理が開始される前にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していると判定されている場合、加工処理が開始される前にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定されたもののホッパ11に造形材料Mが補充された場合、又は、加工処理が開始される前にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定されたもののホッパ11に貯蔵されている造形材料Mで形成可能な3次元構造物STの一部を形成すると判定された場合に限られる。このため、本来であれば、加工処理が開始された後にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定される可能性は低い。しかしながら、加工処理が開始される前にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵しているか否かの判定は、スライスデータに基づいて推定された造形材料Mの必要分量に基づいて行われるがゆえに、造形材料Mの必要分量の推定精度によっては、加工処理が開始された後にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定される可能性がある。また、材料ノズル212が必ずしも想定どおりの分量の造形材料Mを供給するとは限らない(例えば、材料ノズル212が想定よりも多い分量の造形材料Mを供給するかもしれない)がゆえに、加工処理が開始された後にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定される可能性がある。
【0157】
ステップS122における判定の結果、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していると判定された場合には(ステップS122:Yes)、加工処理が継続される。更に、加工処理が継続されている状況下で、制御装置7は、加工処理が完了したか否か及び/ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵している否かを判定する(ステップS121及び/又はステップS122)。
【0158】
他方で、ステップS122における判定の結果、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には(ステップS122:No)、3次元構造物STを形成する過程で造形材料Mが不足する可能性がある。この場合、加工システムSYSaは、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないことを加工システムSYSaのユーザに警告するための警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御する(ステップS123)。ステップS123における警告情報の表示は、上述したステップS104における警告情報の表示と同一であってもよいため、その詳細な説明を省略する。
【0159】
警告情報の表示と並行して又は相前後して、加工システムSYSaは、加工処理を中断する(ステップS124)。尚、加工システムSYSaは、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定されてすぐに加工処理を中断してもよい。或いは、加工システムSYSaは、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定されてから一定時間が経過した後に加工処理を中断してもよい。
【0160】
その後、制御装置7は、ホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定する(ステップS125)。より具体的には、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵するようになるまでホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定する。制御装置7は、ホッパ11に造形材料Mが補充されたことでホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵することになったか否かを判定する。尚、ステップS125におけるホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵する状態は、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が第2所定量よりも多い状態を意味する。それ以外は、ステップS125の処理は、上述したステップS105の処理と同一であってもよいため、その詳細な説明は省略する。
【0161】
尚、ステップS125において、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定されてから一定時間が経過した後に、ホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定してもよい。この場合、ホッパ11に造形材料Mを補充するための時間が確保される。逆に言えば、制御装置7は、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定されてから、警告情報が表示されてからホッパ11に造形材料Mを補充するために必要な時間が経過した後に、ホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定してもよい。
【0162】
ステップS125における判定の結果、ホッパ11に造形材料Mが補充されたことでホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵することになった)と判定された場合には(ステップS125:Yes)、加工システムSYSaは、造形材料Mが不足するという事態を引き起こすことなく加工処理を完了することができる。このため、この場合には、加工システムSYSaは、中断した加工処理を再開する(ステップS111)。
【0163】
他方で、ステップS125における判定の結果、ホッパ11に造形材料Mが補充されなかった又はホッパ11に造形材料Mが補充されたとしてもホッパ11が未だに十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には(ステップS125:No)、3次元構造物STを形成する過程で造形材料Mが不足する可能性が依然として残っている。この場合、加工システムSYSaは、中断した加工処理を再開することなく、第2加工動作を終了する。つまり、加工システムSYSaは、3次元構造物STを完成させることなく、第2加工動作を終了する。この場合も、3次元構造物STが完成していないがゆえに、加工システムSYSaは、上述したように、第2加工動作が終了した後にホッパ11に造形材料Mが補充されたことを条件に、3次元構造物STのうちの形成済みの部分を含むワークWを新たなワークWとみなして、3次元構造物STのうちの未だ形成していない残りの部分を新たなワークWに形成するための第2加工動作を行ってもよい。
【0164】
(1-4)第1実施形態の加工システムSYSaの技術的効果
以上説明したように、第1実施形態の加工システムSYSaによれば、ワークWに対して適切に付加加工を行うことができる。
【0165】
加工システムSYSaは、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を考慮する第2加工動作を行うことができる。このため、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を考慮しない加工動作が行われる場合と比較して、造形材料Mの不足(特に、枯渇)に起因した異常の発生が抑制される。
【0166】
具体的には、加工システムSYSaは、造形材料Mの分量に関する情報(例えば、上述した造形材料Mの必要分量、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量及びホッパ11における造形材料Mの貯蔵量の許容上限値の少なくとも一つに関する情報)を表示することができる。その結果、加工システムSYSaは、表示された情報を確認したユーザに、適切な対応をとるように促すことができる。つまり、ユーザは、表示された情報に基づいて、適切な対応をとることができる。
【0167】
具体的には、加工システムSYSaは、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合には、警告情報を表示することができる。その結果、加工システムSYSaは、警告情報を確認したユーザに、適切な対応をとるように促すことができる。つまり、ユーザは、表示された警告情報に基づいて、適切な対応をとることができる。
【0168】
また、加工システムSYSaは、加工処理を開始する前にホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵しているか否かを判定すると共に、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合には、加工処理をそもそも開始しない。このため、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合であっても加工処理を開始する場合と比較して、3次元構造物STを形成する過程で造形材料Mが不足する可能性が小さくなる。つまり、加工処理が行われている間にホッパ11が貯蔵している造形材料Mが枯渇する可能性が小さくなる。
【0169】
また、加工システムSYSaは、加工処理を開始した後に(つまり、加工処理を行っている間に)ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵しているか否かを判定すると共に、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合には、加工処理を中断する。このため、造形材料Mが不足しそうな状況(或いは、造形材料Mが枯渇してしまった状況)において加工処理が継続される(例えば、加工光ELの照射が継続される)ことに起因した上述した技術的問題の発生が抑制される。
【0170】
また、加工システムSYSaは、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合であっても、造形材料Mが補充されたことを条件に、加工処理を行うことができる。このため、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合には無条件に加工処理が行われない場合と比較して、加工処理を行うことができる機会が相対的に多く確保される。
【0171】
また、加工システムSYSaは、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合であっても、3次元構造物STのうちホッパ11が貯蔵している造形材料Mで形成可能な部分を形成する加工処理を行うことができる。このため、ホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していない場合には無条件に加工処理が行われない場合と比較して、加工処理を行うことができる機会が相対的に多く確保される。
【0172】
(1-5)第1実施形態の加工システムSYSaの変形例
制御装置7は、図10のステップS105においてホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定しなくてもよい。この場合、図10のステップS103においてホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には、制御装置7は、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うか否かを判定してもよい(図10のステップS106)。
【0173】
同様に、制御装置7は、図10のステップS125においてホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定しなくてもよい。この場合、図10のステップS122においてホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には、加工システムSYSaは、第2加工動作を終了してもよい。この場合、加工システムSYSaは、第2加工動作が終了した後にホッパ11に造形材料Mが補充されたことを条件に、3次元構造物STのうちの形成済みの部分を含むワークWを新たなワークWとみなして、3次元構造物STのうちの未だ形成していない残りの部分を新たなワークWに形成するための第2加工動作を行ってもよい。
【0174】
制御装置7は、図10のステップS106において3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うか否かを判定しなくてもよい。この場合、図10のステップS103においてホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には又は図10のステップS105においてホッパ11に造形材料Mが補充されなかったと判定された場合には、加工システムSYSaは、第2加工動作を終了してもよい。
【0175】
制御装置7は、図10のステップS104において警告情報を表示しなくてもよい。この場合、図10のステップS103においてホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には、制御装置7は、ホッパ11に造形材料Mが補充されたか否かを判定してもよい(図10のステップS105)。或いは、図10のステップS103においてホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には、制御装置7は、3次元構造物STのうちの一部のみを形成する加工処理を行うか否かを判定してもよい(図10のステップS106)。或いは、図10のステップS103においてホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には、加工システムSYSaは、第2加工動作を終了してもよい。
【0176】
同様に、制御装置7は、図10のステップS123において警告情報を表示しなくてもよい。この場合、図10のステップS122においてホッパ11が十分な分量の造形材料Mを貯蔵していないと判定された場合には、加工システムSYSaは、加工処理を中断してもよい。
【0177】
上述した説明では、警告情報は、ディスプレイ8に表示される。つまり、警告情報は、ユーザが視覚可能な形態で出力される。しかしながら、警告情報は、その他の出力形態で出力されてもよい。例えば、警告情報は、音声として出力されてもよい。この場合、加工システムSYSaは、ディスプレイ8に加えて又は代えて、警告情報を音声として出力可能なスピーカを備えていてもよい。
【0178】
上述した説明では、ホッパ11は1つであったが、加工システムSYSaは複数のホッパ11を備えていてもよい。
【0179】
(2)第2実施形態の加工システムSYSb
続いて、第2実施形態の加工システムSYS(以降、第2実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSb”と称する)について説明する。第2実施形態の加工システムSYSbは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、材料供給装置1に代えて材料供給装置1bを備えているという点で異なる。加工システムSYSbのその他の特徴は、加工システムSYSaのその他の特徴と同一であってもよい。材料供給装置1bは、上述した材料供給装置1と比較して、ホッパ11に代えてホッパ11bを備えているという点で異なる。材料供給装置1bのその他の特徴は、材料供給装置1のその他の特徴と同一であってもよい。従って、以下では、図26を参照しながら、第2実施形態のホッパ11bについて説明する。図26は、第2実施形態のホッパ11bの構造を示す側面図である。
【0180】
図26に示すように、第2実施形態のホッパ11bは、上述したホッパ11と比較して、隔壁部材111に観察窓115が形成されているという点で異なる。ホッパ11bのその他の特徴は、ホッパ11のその他の特徴と同一であってもよい。
【0181】
観察窓117bは、ユーザがホッパ11bの外部(例えば、外部空間16OUT)から貯蔵空間112の状態を観察するための窓として用いられる。このため、観察窓117bは、隔壁部材111を貫通する貫通孔に配置されていると共に光を通過させる光通過部材を含んでいてもよい。その結果、ユーザは、観察窓117bを介して、ホッパ11bにおける造形材料Mの貯蔵量を把握することができる。
【0182】
観察窓117bには更に、造形材料Mの必要分量に関する情報が合わせて表示されてもよい。例えば、図26に示すように、観察窓117bには、必要分量の造形材料Mをホッパ11が貯蔵していると仮定した場合のホッパ11内での貯蔵材料Mの上端部の位置を示すインジケータ118bが表示されてもよい。この場合、インジケータ118bは、造形材料Mの必要分量に応じて上下に移動可能である。尚、インジケータ118bは、物理的な物体であるインジケータであってもよい。或いは、観察窓117bがディスプレイを兼ねる場合には、インジケータ118bは、ディスプレイに表示される表示物であってもよい。
【0183】
以上説明したように、第2実施形態の加工システムSYSbは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。
【0184】
(3)第3実施形態の加工システムSYSc
続いて、図27を参照しながら、第3実施形態の加工システムSYS(以降、第3実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSc”と称する)について説明する。図27は、第3実施形態の加工システムSYScのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0185】
図27に示すように、第3実施形態の加工システムSYScは、上述した第1実施形態の加工システムSYSa及び第2実施形態の加工システムSYSbの少なくとも一方と比較して、材料供給装置1に代えて材料供給装置1cを備えているという点で異なる。加工システムSYScのその他の特徴は、加工システムSYSa及び第2実施形態の加工システムSYSbの少なくとも一方のその他の特徴と同一であってもよい。材料供給装置1cは、上述した材料供給装置1及び材料供給装置1bの少なくとも一方と比較して、圧力計測装置19cを備えているという点で異なる。材料供給装置1cのその他の特徴は、材料供給装置1及び材料供給装置1bの少なくとも一方のその他の特徴と同一であってもよい。
【0186】
圧力計測装置19cは、材料供給装置1cの内部の圧力を計測可能である。具体的には、圧力計測装置19cは、材料供給装置1cの筐体16の内部空間16IN(図3参照)の圧力を計測可能である。
【0187】
制御装置7は、重力計測装置19及び圧力計測装置19cの少なくとも一方の計測結果に基づいて、材料供給装置1cの状態を特定してもよい。制御装置7は更に、材料供給装置1cの状態に関する情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。
【0188】
具体的には、例えば、制御装置7は、重力計測装置19及び圧力計測装置19cの少なくとも一方の計測結果に基づいて、材料供給装置1cに異常が生じているか否かを判定する。第3実施形態における「材料供給装置1cの異常」は、上述した第1実施形態における「造形材料Mの不足(特に、枯渇)」という異常に限らず、材料供給装置1cに生じ得る任意の異常を含んでいてもよい。このため、第3実施形態の加工システムSYScは、第1実施形態の加工システムSYSaと比較して、造形材料Mの不足という異常とは異なる種類の異常が生じているか否かをも判定することができるという点で異なる。
【0189】
制御装置7は更に、材料供給装置1cに異常が生じていると判定した場合には、異常が生じていることをユーザに警告する警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。この際、制御装置7は、異常の種類を含む警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。制御装置7は、異常が生じている部分を含む警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。制御装置7は、異常の解決方法の示唆を含む警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。
【0190】
制御装置7は更に、材料供給装置1cに異常が生じていると判定した場合には、異常に対処するための動作を行ってもよい。例えば、制御装置7は、上述した加工処理を開始する前に材料供給装置1cに異常が生じていると判定した場合には、生じた異常が解消されるまでは加工処理を開始しないように、加工装置2等を制御してもよい。例えば、制御装置7は、上述した加工処理を行っている間に材料供給装置1cに異常が生じていると判定した場合には、生じた異常が解消されるまでは加工処理を中断するように、加工装置2等を制御してもよい。或いは、例えば、制御装置7は、上述した加工処理を行っている間に材料供給装置1cに異常が生じていると判定した場合には、加工動作(つまり、上述した第1又は第2加工動作)自体を終了してもよい。加工処理を中断する又は加工動作を終了する場合には、加工ヘッド21と造形面MSとの接触を防止するために、制御装置7は、造形面MSから加工ヘッド21が離れるようにヘッド駆動系22及びステージ駆動系32の少なくとも一方を制御してもよい。或いは、例えば、制御装置7は、上述した加工処理を開始する前に材料供給装置1bに異常が生じていると判定した場合には、生じた異常が解消されるまでは加工処理を開始しないように、加工装置2等を制御してもよい。
【0191】
材料供給装置1cの異常の一例として、「材料供給装置1cが加工装置2に対して造形材料Mを供給することができない」という材料供給異常があげられる。従って、制御装置7は、重力計測装置19及び圧力計測装置19cの少なくとも一方の計測結果に基づいて、材料供給異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0192】
材料供給異常が生じている場合には、材料ノズル212から造形面MSに対して造形材料Mが供給されないがゆえに、加工システムSYScは、造形物を形成することができなくなるという技術的問題が生ずる可能性がある。更には、第1実施形態で説明した造形材料Mの不足(特に、枯渇)という異常が生じた場合にも材料ノズル212から造形面MSに対して造形材料Mが供給されなくなるがゆえに、材料供給異常が生じた場合においても、第1実施形態で説明した造形材料Mの不足(特に、枯渇)に起因した技術的問題が発生する可能性が。第3実施形態では、材料供給異常に起因した技術的問題の発生の抑制が期待される。
【0193】
材料供給異常が生ずる原因の第1例として、保持部材12から材料送出部材15へと造形材料Mを搬送することができないという異常があげられる。なぜならば、材料送出部材15を介して材料供給装置1cから加工装置2に対して造形材料Mが供給されるがゆえに、材料送出部材15に造形材料Mが搬送されなければ、材料供給装置1cが加工装置2に対して造形材料Mを供給することができないからである。このような異常は、保持部材12から材料送出部材15へと造形材料Mを搬送する搬送部材13の異常(例えば、破損)及び搬送部材13を駆動する駆動装置14の異常の少なくとも一方に起因して生じ得る。
【0194】
保持部材12から材料送出部材15へと造形材料Mを搬送することができない場合には、材料供給装置1c内で造形材料Mが滞留することになる。このため、材料供給装置1c内の造形材料Mの分量が減少しなくなる。つまり、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量が減少しなくなる。このため、ホッパ11が貯蔵する造形材料Mの重量を計測する重量計測装置19の計測結果が変動しなくなる可能性が高い。そこで、制御装置7は、保持部材12から材料送出部材15へと造形材料Mを搬送することができないという異常が生じているか否かを判定するために、重量計測装置19の計測結果が第1所定時間(例えば、数秒)以上変動しないか否かを判定してもよい。尚、ここで言う「重量計測装置19の計測結果が変動しない」という状態は、重量計測装置19の計測結果が文字通りまったく変動しない状態のみならず、重量計測装置19の計測結果がわずかに変動するものの材料供給装置1cが加工装置2に対して造形材料Mを供給しているときほどには変動していない状態をも含む。更に、制御装置7は、重量計測装置19の計測結果が第1所定時間以上変動しないと判定した場合に、保持部材12から材料送出部材15へと造形材料Mを搬送することができないという異常が生じている(つまり、材料供給異常が生じている)と判定してもよい。
【0195】
材料供給異常が生ずる原因の第2例として、材料供給装置1cと加工装置2とをつなぐ材料供給管191が詰まる(例えば、造形材料M又はその他の物質によって詰まる)という異常があげられる。なぜならば、材料供給管191を介して材料供給装置1bから加工装置2に対して造形材料Mが供給されるがゆえに、材料供給管191が詰まってしまうと、材料供給管191を介して材料供給装置1cが加工装置2に対して造形材料Mを供給することができないからである。
【0196】
材料供給管191が詰まっている場合には、材料供給管191が詰まっていない場合と比較して、材料供給装置1cの内部空間16INの圧力が高くなる可能性がある。なぜならば、材料供給管191が詰まっていない場合には、ガス供給装置5から内部空間16INに供給されたパージガスは材料供給管191に抜けていく一方で、材料供給管191が詰まっている場合には、ガス供給装置5から内部空間16INに供給されたパージガスは材料供給管191を抜けることができずに内部空間16IN内に滞留するからである。そこで、制御装置7は、材料供給管191が詰まるという異常が生じているか否かを判定するために、圧力計測装置19cの計測結果が第1閾値以上であるか否かを判定してもよい。第1閾値は、材料供給管191が詰まっていない場合における内部空間16INの圧力と、材料供給管191が詰まっている場合における内部空間16INの圧力とを区別可能な適切な値に設定される。更に、制御装置7は、圧力計測装置19cの計測結果が第1閾値以上であると判定した場合に、材料供給管191が詰まるという異常が生じている(つまり、材料供給異常が生じている)と判定してもよい。
【0197】
材料供給異常が生ずる原因の第3例として、内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常があげられる。なぜならば、内部空間16INの圧力を利用して材料供給装置1bから加工装置2に対して造形材料Mが圧送されるがゆえに、内部空間16INの圧力が低すぎると、造形材料Mを圧送できなくなるからである。このような異常は、筐体16に形成された開口(具体的には、供給口162、開口163、送出口165、流入口166及び開口167の少なくとも一つ)に配置されるシール部材の劣化という異常、ホッパ11の蓋115の閉め忘れという異常、パージガスの流出入に用いられる部材(例えば、継ぎ手部材及び樹脂部材の少なくとも一方)の劣化、及び、材料供給装置1cを構成する各部材の組み付け不良という異常の少なくとも一つに起因して生じ得る。
【0198】
内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができない場合には、内部空間16INの圧力が適切で材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができる場合と比較して、材料供給装置1cの内部空間16INの圧力が低くなる。そこで、制御装置7は、内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常が生じているか否かを判定するために、圧力計測装置19cの計測結果が第2閾値以下となる状態が第2所定時間(例えば、数秒)以上継続しているか否かを判定してもよい。第2閾値は、内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができない場合における内部空間16INの圧力と、内部空間16INの圧力が適切で材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができる場合における内部空間16INの圧力とを区別可能な適切な値に設定される。更に、制御装置7は、圧力計測装置19cの計測結果が第2閾値以下となる状態が第2所定時間以上継続していると判定した場合に、内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常が生じている(つまり、材料供給異常が生じている)と判定してもよい。
【0199】
材料供給装置1cの異常の一例として、「ホッパ11が許容量以上の分量の造形材料Mを貯蔵している」という材料過剰異常があげられる。従って、制御装置7は、重力計測装置19及び圧力計測装置19cの少なくとも一方の計測結果に基づいて、材料過剰異常が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置7は、重量計測装置19の計測結果から、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を算出し、算出した貯蔵量が第3所定量以上であるか否かを判定してもよい。第3所定量は、材料供給装置1cにおける造形材料Mの貯蔵量の許容上限値(或いは、許容上限値よりも所定のマージンだけ小さい値)に設定されてもよい。更に、制御装置7は、算出した貯蔵量が第1所定時間以上変動しないと判定した場合に、材料過剰異常が生じていると判定してもよい。
【0200】
材料過剰異常は、ホッパ11から保持部材12に供給される造形材料Mの供給量の異常につながる可能性がある。ホッパ11から保持部材12に供給される造形材料Mの供給量の異常は、材料供給装置1cから加工装置2に供給される造形材料Mの供給量の異常につながる可能性がある。材料供給装置1cから加工装置2に供給される造形材料Mの供給量の異常は、3次元構造物STの精度の悪化という技術的問題につながる可能性がある。第3実施形態では、材料供給異常に起因した技術的問題の発生の抑制が期待される。
【0201】
材料供給装置1cの異常の一例として、「重量計測装置19の計測結果が制御装置7において更新されない」という計測異常があげられる。このような計測異常が生じている場合、制御装置7は、重量計測装置19の計測結果を把握できない可能性がある。或いは、制御装置7が把握している重量計測装置19の計測結果が長時間に渡って同じままになる可能性がある。そこで、計測異常が生じているか否かを判定するために、制御装置7は、重量計測装置19の計測結果を把握できるか否か及び/又は制御装置7が把握している重量計測装置19bの計測結果が長時間に渡って同じままになっているか否かを判定してもよい。更に、制御装置7は、重量計測装置19の計測結果を把握できない及び/又は制御装置7が把握している重量計測装置19bの計測結果が長時間に渡って同じままになっていると判定した場合に、計測異常が生じていると判定してもよい。
【0202】
計測異常が生じている場合には、ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を制御装置7が正確に把握することができないがゆえに、材料供給装置1cから加工装置2に供給される造形材料Mの供給量の異常につながる可能性がある。このため、第1実施形態で説明した「ホッパ11における造形材料Mの貯蔵量を考慮した第2加工動作」を適切に行うことができないという異常につながる可能性がある。その結果、3次元構造物STの精度に影響が出る可能性があるという技術的問題が生ずる可能性がある。第3実施形態では、計測異常に起因した技術的問題の発生の抑制が期待される。
【0203】
以上説明したように、第3実施形態の加工システムSYScは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaが享受可能な効果と同様の効果を享受しつつ、造形材料Mの不足という異常とは異なる種類の異常が生じた場合に適切な動作を行うことができる。
【0204】
尚、制御装置7は、材料供給装置1cに異常が生じているか否か(つまり、実際に生じているか否か)を判定することに加えて又は代えて、重力計測装置19及び圧力計測装置19cの少なくとも一方の計測結果に基づいて、将来的に材料供給装置1cに異常が生ずることになるか否かを判定(つまり、予測)してもよい。つまり、制御装置7は、材料供給装置1cに実際に異常が生ずる前に、材料供給装置1cに異常が生ずることになるか否かを予測してもよい。
【0205】
例えば、上述した材料供給管191が詰まるという異常に起因して材料供給異常が生ずる場合には、材料供給管191が徐々に詰まっていく可能性がある。この場合、材料供給装置1cの内部空間16INの圧力は、徐々に増加していく可能性がある。そこで、制御装置7は、材料供給管191が詰まるという異常が将来生ずることになるか否かを予測するために、圧力計測装置19cの計測結果が徐々に増加しており且つ第3閾値以上であるか否かを判定してもよい。第3閾値は、材料供給管191が詰まるという異常が実際に生じているか否かを判定するために用いられる上述した第1閾値よりも小さい。更に、制御装置7は、圧力計測装置19cの計測結果が徐々に増加しており且つ第3閾値以上であると判定した場合に、材料供給管191が詰まるという異常が今は生じていないものの、将来的に材料供給管191が詰まるという異常が生ずることになると判定してもよい。
【0206】
例えば、上述した内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常に起因して材料供給異常が生ずる場合には、内部空間16INの圧力は、徐々に減少していく可能性がある。そこで、制御装置7は、内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常が将来生ずることになるか否かを予測するために、圧力計測装置19cの計測結果が徐々に減少しており且つ第4閾値以下であるか否かを判定してもよい。第4閾値は、内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常が実際に生じているか否かを判定するために用いられる上述した第3閾値よりも大きい。更に、制御装置7は、圧力計測装置19cの計測結果が徐々に減少しており且つ第4閾値以下であると判定した場合に、内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常が今は生じていないものの、将来的に内部空間16INの圧力が低すぎて材料供給装置1cから加工装置2へと造形材料Mを圧送することができないという異常が生ずることになると判定してもよい。
【0207】
(4)第4実施形態の加工システムSYSd
続いて、図28を参照しながら、第4実施形態の加工システムSYS(以降、第4実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSd”と称する)について説明する。図28は、第4実施形態の加工システムSYSdのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0208】
図28に示すように、第4実施形態の加工システムSYSdは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaから第3実施形態の加工システムSYScの少なくとも一つと比較して、異常監視装置9dを更に備えているという点で異なる。加工システムSYSdのその他の特徴は、加工システムSYSaからSYScの少なくとも一方のその他の特徴と同一であってもよい。
【0209】
異常監視装置9dは、加工システムSYSdに生じ得る任意の異常を監視する装置である。具体的には、異常監視装置9dは、監視対象の異常の種類に応じたセンサを含む。制御装置7は、異常監視装置9dの監視結果(例えば、センサの検出結果)に関する情報(つまり、加工システムSYSdの状態に関する情報)を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。
【0210】
制御装置7は、異常監視装置9dの監視結果(例えば、センサの検出結果)に基づいて、加工システムSYSdに異常が生じているか否かを判定する。このため、第4実施形態の加工システムSYSdは、第3実施形態の加工システムSYScと比較して、材料供給装置1に異常が生じているか否かを判定することに限らず、加工システムSYSdに任意の異常が生じているか否かをも判定することができるという点で異なる。
【0211】
制御装置7は更に、材料供給装置1dに異常が生じていると判定した場合には、異常が生じていることをユーザに警告する警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。この際、制御装置7は、異常の種類を含む警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。制御装置7は、異常が生じている部分を含む警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。制御装置7は、異常の解決方法の示唆を含む警告情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。
【0212】
制御装置7は更に、加工システムSYSdに異常が生じていると判定した場合には、異常に対処するための動作を行ってもよい。例えば、制御装置7は、上述した加工処理を開始する前に加工システムSYSdに異常が生じていると判定した場合には、生じた異常が解消されるまでは加工処理を開始しないように、加工装置2等を制御してもよい。例えば、制御装置7は、上述した加工処理を行っている間に加工システムSYSdに異常が生じていると判定した場合には、生じた異常が解消されるまでは加工処理を中断するように、加工装置2等を制御してもよい。或いは、例えば、制御装置7は、上述した加工処理を行っている間に加工システムSYSdに異常が生じていると判定した場合には、加工動作(つまり、上述した第1又は第2加工動作)自体を終了してもよい。加工処理を中断する又は加工動作を終了する場合には、加工ヘッド21と造形面MSとの接触を防止するために、制御装置7は、造形面MSから加工ヘッド21が離れるようにヘッド駆動系22及びステージ駆動系32の少なくとも一方を制御してもよい。或いは、例えば、制御装置7は、上述した加工処理を開始する前に加工システムSYSdに異常が生じていると判定した場合には、生じた異常が解消されるまでは加工処理を開始しないように、加工装置2等を制御してもよい。
【0213】
加工システムSYSdの異常の一例として、加工ヘッド21が、移動可能範囲を超えて移動する(つまり、加工ヘッド21が、移動可能範囲を超えた位置に位置する)という異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、加工ヘッド21の位置を計測可能なヘッド位置センサを含んでいてもよい。ヘッド位置センサは、例えば、エンコーダ及び干渉計の少なくとも一方を含んでいてもよい。制御装置7は、ヘッド位置センサの検出結果に基づいて、加工ヘッド21が移動可能範囲を超えて移動するという異常が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置7は、ヘッド位置センサの検出結果から特定される加工ヘッド21の位置が、移動可能範囲を超えた位置(例えば、移動可能範囲よりも外側の位置)である場合には、加工ヘッド21が移動可能範囲を超えて移動するという異常が生じていると判定してもよい。
【0214】
加工システムSYSdの異常の一例として、ステージ31が、移動可能範囲を超えて移動する(つまり、ステージ31が、移動可能範囲を超えた位置に位置する)という異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、ステージ31の位置を計測可能なステージ位置センサを含んでいてもよい。ステージ位置センサは、例えば、エンコーダ及び干渉計の少なくとも一方を含んでいてもよい。制御装置7は、ステージ位置センサの検出結果に基づいて、ステージ31が移動可能範囲を超えて移動するという異常が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置7は、ステージ位置センサの検出結果から特定されるステージ31の位置が、移動可能範囲を超えた位置(例えば、移動可能範囲よりも外側の位置)である場合には、ステージ31が移動可能範囲を超えて移動するという異常が生じていると判定してもよい。
【0215】
加工システムSYSdの異常の一例として、照射光学系211から造形面MSに向けて射出される加工光ELの光量が許容上限量を上回る又は許容下限量を下回るという異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、照射光学系211から造形面MSに向けて射出される加工光ELの光量を検出可能な光量センサを含んでいてもよい。尚、加工光ELによる加工を妨げないように、光量センサは、加工光ELの造形面MSからの戻り光の光量を検出可能であってもよい。この場合、制御装置7は、加工光ELの造形面MSからの戻り光の光量から、照射光学系211から造形面MSに向けて射出される加工光ELの光量を推定可能である。制御装置7は、光量センサの検出結果に基づいて、照射光学系211から造形面MSに向けて射出される加工光ELの光量が許容上限量を上回る又は許容下限量を下回るという異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0216】
加工システムSYSdの異常の一例として、光源4と加工装置2(特に、照射光学系211)とをつなぐ光伝送部材41(例えば、光ファイバ又はライトパイプ)が断線するという異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、光伝送部材41に沿って延びると共に光伝送部材41の断線に伴って切断される電線と、当該電線の断線を検出可能な断線センサとを含んでいてもよい。制御装置7は、断線センサの検出結果に基づいて、光伝送部材41が断線するという異常が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置7は、断線センサの検出結果に基づいて電線が断線しているか否かを判定してもよい。更に、制御装置7は、電線が断線していると判定した場合には、光伝送部材41が断線するという異常が生じていると判定してもよい。
【0217】
加工システムSYSdの異常の一例として、造形面MSに対して加工ヘッド21が移動していない(つまり、停止している)にもかかわらず照射光学系211から加工光ELが射出されているという異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、上述したヘッド位置センサ及び/又はステージ位置センサと、光源4における加工光ELの射出状態を検出可能な光源センサとを含んでいてもよい。制御装置7は、ヘッド位置センサ及び/又はステージ位置センサと光源センサとの検出結果に基づいて、造形面MSに対して加工ヘッド21が移動していないにもかかわらず照射光学系211から加工光ELが射出されているという異常が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置7は、ヘッド位置センサ及び/又はステージ位置センサの検出結果に基づいて加工ヘッド21及び/又はステージ31が移動しているか否かを判定すると共に、光源センサの検出結果に基づいて光源4が加工光ELを射出しているか否かを判定してもよい。更に、制御装置7は、加工ヘッド21及びステージ31が移動していないにも関わらず光源4が加工光ELを射出していると判定した場合には、造形面MSに対して加工ヘッド21が移動していないにもかかわらず照射光学系211から加工光ELが射出されているという異常が生じていると判定してもよい。
【0218】
加工システムSYSdの異常の一例として、ヘッド駆動系22が加工ヘッド21を適切に移動させることができないという異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、上述したヘッド位置センサを含んでいてもよい。制御装置7は、ヘッド位置センサの検出結果に基づいて、ヘッド駆動系22が加工ヘッド21を適切に移動させることができないという異常が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置7は、上述したスライスデータに基づいて加工ヘッド21が移動するようにヘッド駆動系22を制御する。従って、制御装置7は、スライスデータに基づいて、加工ヘッド21の本来の移動態様(或いは、位置)を特定することができる。更に、制御装置7は、ヘッド位置センサの検出結果から、加工ヘッド21の実際の移動態様(或いは、位置)を特定することができる。制御装置7は、加工ヘッド21の本来の移動態様(或いは、位置)と加工ヘッド21の実際の移動態様(或いは、位置)との差分が許容量以上である場合には、ヘッド駆動系22が加工ヘッド21を適切に移動させることができないという異常が生じていると判定してもよい。
【0219】
加工システムSYSdの異常の一例として、ステージ駆動系32がステージ31を適切に移動させることができないという異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、上述したステージ位置センサを含んでいてもよい。制御装置7は、ステージ位置センサの検出結果に基づいて、ステージ駆動系32がステージ31を適切に移動させることができないという異常が生じているか否かを判定してもよい。具体的には、制御装置7は、上述したスライスデータに基づいてステージ31が移動するようにステージ駆動系32を制御する。従って、制御装置7は、スライスデータに基づいて、ステージ31の本来の移動態様(或いは、位置)を特定することができる。更に、制御装置7は、ステージ位置センサの検出結果から、ステージ31の実際の移動態様(或いは、位置)を特定することができる。制御装置7は、ステージ31の本来の移動態様(或いは、位置)とステージ31の実際の移動態様(或いは、位置)との差分が許容量以上である場合には、ステージ駆動系32がステージ31を適切に移動させることができないという異常が生じていると判定してもよい。
【0220】
加工システムSYScの異常の一例として、チャンバ空間63INの圧力が許容上限圧力を上回る又は許容下限圧力を下回るという異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、チャンバ空間63INの圧力を検出可能な圧力センサを含んでいてもよい。制御装置7は、圧力センサの検出結果に基づいて、チャンバ空間63INの圧力が許容上限圧力を上回る又は許容下限圧力を下回るという異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0221】
加工システムSYSdの異常の一例として、チャンバ空間63INの温度が許容上限温度を上回る又は許容下限温度を下回るという異常があげられる。この場合、異常監視装置9cは、チャンバ空間63INの温度を検出可能な温度センサを含んでいてもよい。制御装置7は、温度センサの検出結果に基づいて、チャンバ空間63INの温度が許容上限温度を上回る又は許容下限温度を下回るという異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0222】
加工システムSYSdの異常の一例として、加工ヘッド21が何らかの物体に接触するという異常があげられる。加工ヘッド21が衝突する可能性のある物体の一例として、例えば、ワークW、ステージ31及びワークW上に形成した造形物の少なくとも一つがあげられる。この場合、異常監視装置9dは、加工ヘッド21と物体との接触を検出可能な接触センサを含んでいてもよい。或いは、異常監視装置9dは、上述したヘッド位置センサを含んでいてもよい。制御装置7は、接触センサ及び/又はヘッド位置センサの検出結果に基づいて、加工ヘッド21が何らかの物体に接触するという異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0223】
加工システムSYSdの異常の一例として、加工ヘッド21と何らかの物体との距離が許容下限距離を下回るという異常があげられる。加工ヘッド21に接近する可能性のある物体の一例として、例えば、ワークW、ステージ31及びワークW上に形成した造形物の少なくとも一つがあげられる。この場合、異常監視装置9dは、加工ヘッド21と物体との間の距離を検出可能な距離センサを含んでいてもよい。或いは、異常監視装置9dは、上述したヘッド位置センサを含んでいてもよい。制御装置7は、距離センサ及び/又はヘッド位置センサの検出結果に基づいて、加工ヘッド21と何らかの物体との距離が許容下限距離を下回るという異常という異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0224】
加工システムSYSdの異常の一例として、チャンバ空間63INにおける酸素の濃度が許容上限濃度を上回るという異常があげられる。この場合、異常監視装置9dは、チャンバ空間63INにおける酸素の濃度を検出可能な濃度センサを含んでいてもよい。制御装置7は、濃度センサの検出結果に基づいて、チャンバ空間63INにおける酸素の濃度が許容上限濃度を上回るという異常が生じているか否かを判定してもよい。
【0225】
以上説明したように、第4実施形態の加工システムSYSdは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaから第3実施形態の加工システムSYScの少なくとも一つが享受可能な効果と同様の効果を享受しつつ、加工システムSYSdに何らかの異常が生じた場合に適切な動作を行うことができる。
【0226】
尚、第4実施形態においても、第3実施形態と同様に、制御装置7は、加工システムSYSdに異常が生じているか否か(つまり、実際に生じているか否か)を判定することに加えて又は代えて、異常監視装置9dの監視結果に基づいて、将来的に加工システムSYSdに異常が生ずることになるか否かを判定(つまり、予測)してもよい。つまり、制御装置7は、加工システムSYSdに実際に異常が生ずる前に、加工システムSYSdに異常が生ずることになるか否かを予測してもよい。
【0227】
(5)第5実施形態の加工システムSYSe
続いて、図29を参照しながら、第5実施形態の加工システムSYS(以降、第5実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSe”と称する)について説明する。図29は、第5実施形態の加工システムSYSeのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0228】
図29に示すように、第5実施形態の加工システムSYSeは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaから第4実施形態の加工システムSYSdの少なくとも一つと比較して、観察装置9eを更に備えているという点で異なる。加工システムSYSeのその他の特徴は、加工システムSYSaからSYSdの少なくとも一つのその他の特徴と同一であってもよい。
【0229】
観察装置9eは、制御装置7の制御下で、チャンバ空間63INの少なくとも一部の状態を観察可能であってもよい。上述したように、チャンバ空間63INには、加工装置2、ステージ装置3及びワークWが収容されている。このため、観察装置9eは、加工装置2、ステージ装置3及びワークWの少なくとも一部の状態を観察可能であってもよい。上述したように、チャンバ空間63IN内において上述した加工処理が行われる。このため、観察装置9eは、加工処理の状態を観察可能であってもよい。加工処理の状態は、加工処理が行われる造形面MSの状態、加工光ELの照射状態、造形材料Mの供給状態及び溶融池MPの状態の少なくとも一つを含んでいてもよい。
【0230】
観察装置9eの観察結果は、制御装置7に出力されてもよい。制御装置7は、観察結果9eの観察結果に基づいて加工処理を行うように、加工装置2等を制御してもよい。制御装置7は、観察結果9eの観察結果を示す情報を表示するように、ディスプレイ8を制御してもよい。
【0231】
観察装置9eは、例えば、撮像装置を含んでいてもよい。この場合、観察装置9eは、チャンバ空間63INの少なくとも一部の状態を撮像可能であってもよい。観察装置9eは、チャンバ空間63INの少なくとも一部の状態を示す画像を、制御装置7に出力可能であってもよい。観察装置9eは、加工装置2、ステージ装置3及びワークWの少なくとも一部の状態を撮像可能であってもよい。観察装置9eは、加工装置2、ステージ装置3及びワークWの少なくとも一部の状態を示す画像を、制御装置7に出力可能であってもよい。観察装置9dは、加工処理の状態を撮像可能であってもよい。観察装置9eは、加工処理の状態を示す画像を、制御装置7に出力可能であってもよい。
【0232】
観察装置9eは、隔壁部材93eによってチャンバ空間63INから隔離されていてもよい。観察装置9eは、隔壁部材93eによってチャンバ空間63INから隔離された空間に配置されていてもよい。この場合、チャンバ空間63INに存在する物質の観察装置9eに対する付着が抑制される。尚、チャンバ空間63INに存在する物質の一例として、材料ノズル212からチャンバ空間63INに供給される造形材料M、及び、加工光ELの照射に起因して造形面MSから発生する物質が存在する可能性がある。加工光ELの照射に起因して造形面MSから発生する物質の一例として、溶融した造形材料Mの微粒子及び溶融したワークWを構成する材料の微粒子の少なくとも一方を含むヒュームがあげられる。
【0233】
隔壁部材93eは、光が通過可能である一方で上述した物質を遮断可能な光透過部材94eを備えている。その結果、観察装置9eが隔壁部材93eによってチャンバ空間63INから隔離されていたとしても、観察装置9eは、光透過部材94eを介して、観察対象の状態を観察することができる。
【0234】
以上説明したように、第5実施形態の加工システムSYSeは、上述した第1実施形態の加工システムSYSaから第4実施形態の加工システムSYSdの少なくとも一つが享受可能な効果と同様の効果を享受することができる。更に、加工システムSYSeは、観察装置9eを用いて、観察対象を適切に観察することができる。
【0235】
(6)第6実施形態の加工システムSYSf
続いて、図30を参照しながら、第5実施形態の加工システムSYS(以降、第6実施形態の加工システムSYSを、“加工システムSYSf”と称する)について説明する。図30は、第6実施形態の加工システムSYSfのシステム構成を示すシステム構成図である。
【0236】
図30に示すように、第6実施形態の加工システムSYSfは、上述した第5実施形態の加工システムSYSeと比較して、加工装置2に代えて加工装置2fを備えているという点で異なる。加工システムSYSfのその他の特徴は、加工システムSYSeのその他の特徴と同一であってもよい。加工装置2fは、加工装置2と比較して、複数のガイド光射出装置23fを備えているという点で異なる。加工装置2fのその他の特徴は、加工装置2のその他の特徴と同一であってもよい。
【0237】
ガイド光射出装置23fは、加工ヘッド21に配置されている。ガイド光射出装置23fは、ガイド光GLを射出する。ガイド光射出装置23fは、ガイド光GLがチャンバ空間63INを進むようにガイド光GLを射出する。複数のガイド光射出装置23fは、複数のガイド光射出装置23fからそれぞれ射出される複数のガイド光GLが、加工ヘッド21の下方のある位置において互いに交差するように、互いに位置合わせされている。
【0238】
第6実施形態では特に、複数のガイド光射出装置23fは、複数のガイド光GLが加工光ELのフォーカス位置において互いに交差するように、互いに位置合わせされていてもよい。この場合、加工システムSYSfは、複数のガイド光GLを用いて、加工光ELのフォーカス位置を所望の位置に設定してもよい。具体的には、制御装置7は、複数のガイド光GLを用いて、加工光ELのフォーカス位置が所望の位置に設定されるように加工ヘッド21をZ軸方向に沿って移動させてよい。以下、複数のガイド光GLを用いて加工光ELのフォーカス位置を所望の位置に設定する動作について説明する。
【0239】
上述したように、加工光ELのフォーカス位置は、通常は造形面MSに設定される。加工光ELのフォーカス位置が造形面MSに設定されている場合に複数のガイド光射出装置23fからそれぞれ複数のガイド光GLが射出されると、加工光ELのフォーカス位置が造形面MSに設定されている場合における造形面MS上での複数のガイド光GLのビームスポットを示す図31(a)に示すように、造形面MS上において複数のガイド光GLのビームスポットが重なる。一方で、加工光ELのフォーカス位置が造形面MSとは異なる位置に設定されている場合に複数のガイド光射出装置23fからそれぞれ複数のガイド光GLが射出されると、加工光ELのフォーカス位置が造形面MSとは異なる位置に設定されている場合における造形面MS上での複数のガイド光GLのビームスポットを示す図31(b)に示すように、造形面MS上において複数のガイド光GLのビームスポットが重ならない。このため、制御装置7は、造形面MS上において複数のガイド光GLのビームスポットが重なるように加工ヘッド21をZ軸方向に移動させれば、加工光ELのフォーカス位置を造形面MSに設定することができる。
【0240】
造形面MS上での複数のガイド光GLのビームスポットの状態は、観察装置9eの観察結果から特定可能である。従って、制御装置7は、観察装置9eの観察結果に基づいて、造形面MS上において複数のガイド光GLのビームスポットが重なっているか否かを判定することができる。つまり、制御装置7は、観察装置9eの観察結果に基づいて、加工光ELのフォーカス位置が造形面MSに設定されているか否かを判定することができる。造形面MS上において複数のガイド光GLのビームスポットが重なっていなければ、制御装置7は、造形面MS上において複数のガイド光GLのビームスポットが重なるように、加工ヘッド21をZ軸方向に沿って移動させる。その結果、加工光ELのフォーカス位置が造形面MSに設定される。
【0241】
以上説明したように、第6実施形態の加工システムSYSfは、上述した第5実施形態の加工システムSYSeが享受可能な効果と同様の効果を享受しつつ、加工光ELのフォーカス位置を所望の位置(例えば、造形面MS)に設定することができる。
【0242】
(7)その他の変形例
加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、その稼働時間がモニタされていてもよい。一例として、材料供給装置1の稼働時間がモニタされていてもよい。材料供給装置1の稼働時間のモニタ結果から、材料供給管191の寿命を推測してもよい。
【0243】
上述した説明では、制御装置7が材料の量に関する情報をディスプレイ8に表示させている。しかしながら、材料の量に関する情報は、音声出力の形態で出力されてもよい。
【0244】
上述した説明では、加工装置2及び加工装置2fは、造形材料Mに加工光ELを照射することで、造形材料Mを溶融させている。しかしながら、加工装置2及び加工装置2fは、任意のエネルギビームを造形材料Mに照射することで、造形材料Mを溶融させてもよい。この場合、加工装置2は、照射光学系211に加えて又は代えて、任意のエネルギビームを照射可能なビーム照射装置を備えていてもよい。任意のエネルギビームは、限定されないが、電子ビーム、イオンビーム等の荷電粒子ビーム又は電磁波を含む。
【0245】
上述した説明では、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、レーザ肉盛溶接法により3次元構造物STを形成可能である。しかしながら、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、造形材料Mに加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射することで3次元構造物STを形成可能なその他の方式により造形材料Mから3次元構造物STを形成してもよい。その他の方式として、例えば、粉末焼結積層造形法(SLS:Selective Laser Sintering)等の粉末床溶融結合法(Powder Bed Fusion)、結合材噴射法(Binder Jetting)又は、レーザメタルフュージョン法(LMF:Laser Metal Fusion)があげられる。或いは、加工システムSYSは、造形材料Mに加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射することで3次元構造物STを形成可能な方式とは異なる、付加加工のための任意の方式により3次元構造物STを形成してもよい。
【0246】
上述した説明では、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、照射光学系211が加工光ELを照射する照射領域EAに向けて材料ノズル212から造形材料Mを供給することで、3次元構造物STを形成している。しかしながら、加工システムSYSは、照射光学系211から加工光ELを照射することなく、材料ノズル212から造形材料Mを供給することで3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYSは、材料ノズル212から、造形面MSに対して造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、材料ノズル212から造形面MSに対して造形材料Mを含む気体を超高速で吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。例えば、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、材料ノズル212から造形面MSに対して加熱した造形材料Mを吹き付けることで、造形面MSにおいて造形材料Mを溶融させると共に、溶融した造形材料Mを固化させることで、3次元構造物STを形成してもよい。このように照射光学系211から加工光ELを照射することなく3次元構造物STを形成する場合には、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)(特に、加工ヘッド21)は、照射光学系211を備えていなくてもよい。
【0247】
或いは、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、付加加工に加えて又は代えて、ワークW等の物体に加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射して物体の少なくとも一部を除去可能な除去加工を行ってもよい。或いは、加工システムSYS(つまり、加工システムSYSaからSYSfの少なくとも一つ)は、付加加工及び除去加工の少なくとも一方に加えて又は代えて、ワークW等の物体に加工光EL(或いは、任意のエネルギビーム)を照射して物体の少なくとも一部にマーク(例えば、文字、数字又は図形)を形成可能なマーキング加工を行ってもよい。この場合であっても、上述した効果が享受可能である。
【0248】
(8)付記
以上説明した実施形態に関して、更に以下の付記を開示する。
[付記1]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、
前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満である場合に警告情報を出力する出力装置と
を備える加工システム。
[付記2]
前記出力装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始する前に、前記警告情報を出力する
付記1に記載の加工システム。
[付記3]
前記出力装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始した後に、前記警告情報を出力する
付記1又は2に記載の加工システム。
[付記4]
前記貯蔵量が前記所定量未満であるか否かを判定すると共に、前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定した場合に前記警告情報を出力するように前記出力装置を制御する制御装置を更に備える
付記1から3のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記5]
前記制御装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始する前に、前記貯蔵量が前記所定量未満であるか否かを判定する
付記4に記載の加工システム。
[付記6]
前記制御装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始する前に前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定した場合には、前記加工処理を開始しないように前記加工装置を制御する
付記5に記載の加工システム。
[付記7]
前記制御装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始する前に前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定した場合、前記材料が前記供給装置に補充されたことを条件に前記加工処理を開始するように前記加工装置を制御する
付記2から7のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記8]
前記制御装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始した後に、前記貯蔵量が前記所定量未満であるか否かを判定する
付記4から7のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記9]
前記制御装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始した後に前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定した場合には、前記加工処理を中断するように前記加工装置を制御する
付記8に記載の加工システム。
[付記10]
前記制御装置は、前記材料が前記供給装置に補充されたことを条件に、前記中断した前記加工処理を再開するように前記加工装置を制御する
付記9に記載の加工システム。
[付記11]
前記制御装置は、前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定されてから一定時間を経過した後に、前記加工処理を中断するように前記加工装置を制御する
付記9又は10に記載の加工システム。
[付記12]
前記制御装置は、前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定されてから一定時間以内に前記材料が前記供給装置に補充された場合には、前記加工処理を中断せず、前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定されてから一定時間以内に前記材料が前記供給装置に補充されなかった場合には、前記加工処理を中断するように前記加工装置を制御する
請求項9から11のいずれかい一項に記載の加工システム。
[付記13]
前記貯蔵量を検出する検出装置を更に備え、
前記制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記貯蔵量が前記所定量未満であるか否かを判定する
付記4から12のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記14]
前記制御装置は、前記加工処理の内容を定める造形データに基づいて前記所定量を設定する
付記4から13のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記15]
前記制御装置は、前記造形データに基づいて、前記加工処理を行うために必要な前記材料の分量を推定し、前記推定した分量を前記所定量に設定する
付記14に記載の加工システム。
[付記16]
前記警告情報は、前記供給装置が貯蔵している前記材料の不足に関する情報を含む
付記1から15のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記17]
前記警告情報は、前記貯蔵量に関する情報を含む
付記1から16のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記18]
前記警告情報は、前記加工装置が前記加工処理を行うために必要な前記材料の分量に関する情報を含む
付記1から17のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記19]
前記警告情報は、前記供給装置に対する前記材料の補充の必要性に関する情報を含む
付記1から18のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記20]
前記警告情報は、前記供給装置に対して補充することが望まれる前記材料の分量に関する情報を含む
付記1から19のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記21]
前記警告情報は、前記供給装置が貯蔵している前記材料では前記造形物の一部しか形成することができないことを通知するための情報を含む
付記1から20のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記22]
前記警告情報は、前記造形物のうち前記供給装置が貯蔵している前記材料を用いて形成可能な部分に関する情報を含む
付記1から21のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記23]
前記警告情報は、前記造形物のうち前記供給装置が貯蔵している前記材料では形成することができない部分に関する情報を含む
付記1から22のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記24]
前記警告情報は、前記加工処理を開始することができないことを通知するための情報を含む
付記1から23のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記25]
前記警告情報は、前記供給装置が貯蔵している前記材料を用いて前記加工処理を行うか否かを前記加工システムのユーザに選択させる情報を含む
付記1から24のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記26]
前記加工装置は、前記貯蔵量が前記所定量未満である場合には、前記造形物の一部を形成した段階で前記加工処理を中断する
を備える付記1から25のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記27]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、
前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と
を備え、
前記加工装置は、前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるには、前記造形物の一部を形成した段階で前記加工処理を中断する
を備える加工システム。
[付記28]
前記加工装置は、前記造形物のうち前記供給装置が貯蔵している前記材料で形成可能な部分を形成した段階で前記加工処理を中断する
付記26又は27に記載の加工システム。
[付記29]
前記造形物は、複数の層状構造物が積層された構造体であり、
前記加工装置は、前記複数の層状構造物うちの一の層状構造物の形成が完了した段階で前記加工処理を中断する
付記26から28のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記30]
前記加工装置は、物体の表面にエネルギビームを照射することで前記造形物を形成し、
前記加工装置は、前記表面のうち前記エネルギビームから伝達される熱に対する特性が所望条件を満たす部分に対する前記エネルギビームの照射が完了した段階で前記加工処理を中断する
付記26から29のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記31]
前記表面のうち前記所望条件を満たす部分は、前記表面のうち前記所望条件を満たさない部分と比較して、前記エネルギビームから伝達される熱が拡散しやすい部分を含む
付記30に記載の加工システム。
[付記32]
前記加工装置は、前記加工処理を中断した後に前記材料が前記供給装置に補充されたことを条件に、前記加工処理を再開する
付記26から31のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記33]
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるか否かを判定すると共に、前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であると判定した場合に前記造形物の一部が形成された段階で前記加工処理を中断するように前記加工装置を制御する制御装置を更に備える
付記26から32のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記34]
前記制御装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始する前に、前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるか否かを判定する
付記33に記載の加工システム。
[付記35]
前記制御装置は、前記加工装置が前記加工処理を開始した後に、前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるか否かを判定する
付記33又は34に記載の加工システム。
[付記36]
前記供給装置による前記材料の貯蔵量を検出する検出装置を更に備え、
前記制御装置は、前記検出装置の検出結果に基づいて、前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるか否かを判定する
付記33から35のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記37]
前記制御装置は、前記加工処理の内容を定める造形データに基づいて前記所定量を設定する
付記33から36のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記38]
前記制御装置は、前記造形データに基づいて、前記加工処理を行うために必要な前記材料の分量を推定し、前記推定した分量を前記所定量に設定する
付記37に記載の加工システム。
[付記39]
前記制御装置は、前記貯蔵量が前記所定量未満であると判定した場合に、(i)前記造形データのうちの第1データ部分に基づいて前記造形物のうちの第1部分を形成した段階で前記加工処理を中断し、(ii)前記加工処理を中断した後に前記材料が前記供給装置に補充されたことを条件に、前記造形データのうちの第2データ部分に基づいて前記造形物のうちの第2部分を形成するために前記加工処理を再開するように、前記加工装置を制御する
付記33から38のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記40]
前記貯蔵量が前記所定量未満である場合に、(i)前記加工処理の内容を定める造形データのうちの第1データ部分に基づいて前記造形物のうちの第1部分を形成した段階で前記加工処理を中断し、(ii)前記加工処理を中断した後に前記材料が前記供給装置に補充されたことを条件に、前記造形データのうちの第2データ部分に基づいて前記造形物のうちの第2部分を形成するために前記加工処理を再開するように、前記加工装置を制御する制御装置を更に備える
付記1から39のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記41]
前記所定量は、前記加工処理に必要な前記材料の分量である
付記1から40のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記42]
前記所定量は、前記加工処理を完了するために必要な前記材料の分量である
付記1から40のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記43]
前記所定量は、前記供給装置が前記材料を前記加工装置に供給する状態を維持可能な前記材料の貯蔵量である
付記1から40のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記44]
前記所定量は、前記供給装置が前記材料を前記加工装置に供給する状態を維持するために必要な前記材料の最小限の貯蔵量である
付記1から40のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記45]
前記供給装置が前記材料を貯蔵する貯蔵空間は、パージガスによってパージされており、
前記貯蔵空間が前記パージガスによってパージされた状態で前記貯蔵空間に前記材料を補充可能である
付記1から44のいずれか一項に記載の加工システム。
[付記46]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、
前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、
情報を出力可能な出力装置と、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満である場合に警告情報を出力するように前記出力装置を制御する制御信号を受信する受信装置と
を備える加工システム。
[付記47]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、
前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるには、前記造形物の一部を形成した段階で前記加工処理を中断するように前記加工装置を制御する制御信号を受信する受信装置と
を備える加工システム。
[付記48]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、情報を出力可能な出力装置とを備える加工システムを制御するコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満である場合に警告情報を出力するように前記出力装置を制御する処理を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
[付記49]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置とを備える加工システムを制御するコンピュータに実行させるコンピュータプログラムであって、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるには、前記造形物の一部を形成した段階で前記加工処理を中断するように前記加工装置を制御する処理を前記コンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
[付記50]
付記48又は49に記載のコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
[付記51]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、情報を出力可能な出力装置とを備える加工システムを制御する制御装置であって、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満である場合に警告情報を出力するように前記出力装置を制御する処理を行う制御装置。
[付記52]
材料を貯蔵すると共に、貯蔵している前記材料を供給する供給装置と、前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置とを備える加工システムを制御する制御装置であって、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるには、前記造形物の一部を形成した段階で前記加工処理を中断するように前記加工装置を制御する処理を行う制御装置。
[付記53]
供給装置が貯蔵している材料を前記供給装置から供給することと、
前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行うことと、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満である場合に警告情報を出力することと
を含む加工方法。
[付記54]
供給装置が貯蔵している材料を前記供給装置から供給することと、
前記供給装置から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行うことと、
前記供給装置における前記材料の貯蔵量が所定量未満であるには、前記造形物の一部を形成した段階で前記加工処理を中断することと
を含む加工方法。
[付記55]
造形データに基づいて造形物を造形する加工方法において、
材料を貯蔵部に貯蔵することと、
貯蔵している前記材料を供給することと、
供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行うことと、
前記造形データと、前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量とに基づいて得られる前記材料の量に関する情報を出力することと
を含む加工方法。
[付記56]
造形データに基づいて造形物を造形する加工方法において、
材料を貯蔵部に貯蔵することと、
貯蔵している前記材料を供給することと、
供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行うことと、
前記造形データを用いて得られる前記造形物を造形するために必要な前記材料の量と前記材料の貯蔵量との関係を表す情報を出力することと
を含む加工方法。
[付記57]
造形データに基づいて造形物を造形する加工方法において、
材料を貯蔵部に貯蔵することと、
貯蔵している前記材料を供給することと、
供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行うことと、
前記造形データを用いて前記加工処理を行うために必要な前記材料の量を見積もることと
を含む加工方法。
[付記58]
付記53から付記57のいずれか一項に記載の加工方法をコンピュータに実行させるコンピュータプログラム。
[付記59]
付記58に記載のコンピュータプログラムが記録された記録媒体。
[付記60]
材料を貯蔵する貯蔵部と、貯蔵している前記材料を供給する供給部とを備え、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置を備え、造形データに基づいて造形物を造形する加工システムに接続される出力装置において、
前記造形データと、前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量とに基づいて、前記材料の量に関する情報を出力する
出力装置。
[付記61]
材料を貯蔵する貯蔵部と、貯蔵している前記材料を供給する供給部とを備え、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置を備え、造形データに基づいて造形物を造形する加工システムに接続される出力装置において、
前記造形データを用いて、前記造形物を造形するために必要な前記材料の量と前記材料の貯蔵量との関係を表す情報を出力する
出力装置。
[付記62]
材料を貯蔵する貯蔵部と、貯蔵している前記材料を供給する供給部とを備え、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、前記材料の量に関する情報を出力する出力装置とを備え、造形データに基づいて造形物を造形する加工システムを制御する制御装置において、
前記造形データと、前記貯蔵部が貯蔵している前記材料の貯蔵量とに基づいて、前記材料の量に関する情報を前記出力装置から出力する制御を行わせる
制御装置。
[付記63]
材料を貯蔵する貯蔵部と、貯蔵している前記材料を供給する供給部とを備え、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、前記材料の量に関する情報を出力する出力装置とを備え、造形データに基づいて造形物を造形する加工システムを制御する制御装置において、
前記造形データを用いて、前記造形物を造形するために必要な前記材料の量と前記材料の貯蔵量との関係を表す情報を前記出力装置から出力する制御を行わせる
制御装置。
[付記64]
材料を貯蔵する貯蔵部と、貯蔵している前記材料を供給する供給部とを備え、前記供給部から供給される前記材料を用いて造形物を形成する加工処理を行う加工装置と、前記材料の量に関する情報を出力する出力装置とを備え、造形データに基づいて造形物を造形する加工システムに接続される演算装置において、
前記造形データを用いて前記加工処理を行うために必要な前記材料の量を見積もる演算を行う
演算装置。
【0249】
上述の各実施形態の構成要件の少なくとも一部は、上述の各実施形態の構成要件の少なくとも他の一部と適宜組み合わせることができる。上述の各実施形態の構成要件のうちの一部が用いられなくてもよい。また、法令で許容される限りにおいて、上述の各実施形態で引用した全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【0250】
本発明は、上述した実施例に限られるものではなく、特許請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨或いは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う加工システム、加工方法、コンピュータプログラム、記録媒体、受信装置、制御装置、出力装置及び演算装置もまた本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0251】
SYS 加工システム
1 材料供給装置
11 ホッパ
12 保持部材
13 搬送部材
14 駆動装置
15 材料送出部材
16 筐体
19 重量計測装置
2 加工装置
21 加工ヘッド
211 照射光学系
212 材料ノズル
22 ヘッド駆動系
31 ステージ
7 制御装置
8 ディスプレイ
W ワーク
M 造形材料
SL 構造層
MS 造形面
EA 照射領域
MA 供給領域
MP 溶融池
EL 加工光
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