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特許7501769電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途
(51)【国際特許分類】
   C25B 1/21 20060101AFI20240611BHJP
   H01M 4/06 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
C25B1/21
H01M4/06 E
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023191521
(22)【出願日】2023-11-09
(65)【公開番号】P2024073376
(43)【公開日】2024-05-29
【審査請求日】2024-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2022184032
(32)【優先日】2022-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(72)【発明者】
【氏名】深田 由布子
【審査官】祢屋 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-139960(JP,A)
【文献】特開2009-117246(JP,A)
【文献】特開2009-289728(JP,A)
【文献】特公昭47-002426(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01G 45/02
C25B 1/21
H01M 4/06
H01M 4/50-4/505
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Scopus
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルカリ電位が290mV以上350mV未満であり、乾燥状態でのマンガン含有量が60.3質量%以上63.0質量%以下であり、110℃から240℃の質量減少で規定される構造水量が2.60質量%以上で、かつ、全構造水量が4.10質量%以上である電解二酸化マンガン。
【請求項2】
アルカリ電位が310mVを超える、請求項1に記載の電解二酸化マンガン。
【請求項3】
硫酸根(SO)の含有量が1.5質量%以下である請求項1又は請求項2に記載の電解二酸化マンガン。
【請求項4】
ナトリウム含有量が10質量ppm以上5,000質量ppm以下である請求項1又は請求項2に記載の電解二酸化マンガン。
【請求項5】
電解時の電流密度J(A/dm)、電解液中のマンガンイオン濃度[Mn2+](mol/L)と水素イオン濃度[H](mol/L)の2乗の比をXと置いたとき、電解開始時よりも電解終了時の方が[Mn2+]が小さい電解方法であり、かつ、以下の1)式及び2)式の両方を満たす期間が6日間を超えて存在する請求項1又は請求項2に記載の電解二酸化マンガンの製造方法。
X = [Mn2+]/[Hとするとき、
J ≦ X+0.22 ・・・1)
X/J ≦ 2.10 ・・・2)
【請求項6】
電解液が硫酸マンガンと硫酸の混合溶液である請求項5に記載の電解二酸化マンガンの製造方法。
【請求項7】
電解開始時のマンガンイオン濃度が25g/L以上である請求項5に記載の電解二酸化マンガンの製造方法。
【請求項8】
請求項1又は請求項2に記載の電解二酸化マンガンを含む電池用正極活物質。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電解二酸化マンガン及びその製造方法並びにその用途に関する。より詳しくは、例えば、マンガン乾電池、特にアルカリマンガン乾電池において、正極活物質として使用される電解二酸化マンガン及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化マンガンは、例えば、マンガン乾電池、特にアルカリマンガン乾電池の正極活物質として知られており、保存性に優れ、かつ安価であるという利点を有する。特に、電解二酸化マンガンを正極活物質として用いたアルカリマンガン乾電池は、幅広い負荷における放電特性に優れていることから、電子カメラ、携帯情報機器、さらにはゲーム機や玩具にまで幅広く使用されており、更なる性能向上が望まれている。
【0003】
これまで、アルカリマンガン乾電池の高負荷特性を高くするため、CuKα線を光源とするXRD測定による(110)面の半値幅が1.8°以上2.2°未満で、かつX線回折ピーク(110)/(021)のピーク強度比が0.70以上1.00以下であり、さらにJIS-pH(JIS K 1467 5.9:pH値)が1.5以上5.0未満であることを特徴とする電解二酸化マンガン(特許文献1)、40wt%KOH水溶液中で水銀/酸化水銀参照電極を基準として測定した時の電位(以下、アルカリ電位)が高い電解二酸化マンガン(特許文献2~4)、メソ細孔の平均径が6.5nm以上10nm以下である電解二酸化マンガン(特許文献5)、及び、構造水が多い電解二酸化マンガン(特許文献6)が提案されている。
【0004】
電解二酸化マンガンの構造水は、220~240℃で脱離する構造水が結晶構造に大きく影響する(非特許文献1)。
【0005】
電解二酸化マンガン中には、酸化剤として有効ではない価数の低いマンガン等の不純物が存在する。「JIS K 1467 (電池用電解二酸化マンガン) 3.品質」では、電池用電解二酸化マンガン中の、酸化剤として有効な物質の量が規定されている。つまり、当該酸化剤として有効な物質の量が多いほど電池における正極材料としての容量が大きくなる。
【0006】
高負荷特性の高い電解二酸化マンガンとして、例えば、電解液の硫酸濃度などの電解条件を制御することにより得られた電解二酸化マンガンが提案されているが(特許文献2)、電解液の硫酸濃度が高い製造条件での電解では、電解中に電析した電解二酸化マンガンが電解電極から脱落し、安定な製造ができない。
【0007】
そこで、電解電極からの脱落の対策として、電解開始時の電解液の硫酸濃度を低くし、電解中に硫酸濃度を上昇させる方法が提案されている(特許文献4~5)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特許6862763号公報
【文献】特許4827501号公報
【文献】米国特許6527941号公報
【文献】特許5428163号公報
【文献】特開2021-39930号公報
【文献】特許5136004号公報
【非特許文献】
【0009】
【文献】東ソー研究・技術報告49巻86号21頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
特許文献4及び5の方法により、電解液の硫酸濃度が高くても電解二酸化マンガンが脱落しにくくなるが、電解二酸化マンガンの詳細な脱落条件については不明確であり、高負荷特性にも改善の余地があった。
【0011】
特許文献1乃至4及び特許文献6に記載された特徴を有する電解二酸化マンガンは高負荷特性が十分ではない。また、特許文献6の電解二酸化マンガンは硫酸で処理するという製法の都合上、残留した硫酸が電池内部で電池缶の腐食を引き起こす恐れがある。
【0012】
特許文献5の電解二酸化マンガンは高負荷特性が良好であるものの、当該酸化剤として有効な物質の量が小さい。
【0013】
本開示の目的は、電池性能、特に高負荷特性に優れ、かつ容量の大きいマンガン乾電池及びアルカリマンガン乾電池の正極活物質として使用される電解二酸化マンガンであって、一定以上のマンガンを含有し、かつ110℃から240℃の質量減少で規定される構造水量が多い電解二酸化マンガン及び、電解中に脱落を起こすことのない電解二酸化マンガンの製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本開示において、マンガン乾電池、特にアルカリマンガン乾電池の正極活物質として使用される電解二酸化マンガンについて検討を重ねた。その結果、乾燥状態でのマンガン含有量を一定の含有量とすることで二酸化マンガン中の有効酸素が多くなることに加え、110℃から240℃の質量減少で規定される構造水及び全構造水の量を一定の範囲とすることにより、高負荷特性が良好になることを見出した。
【0015】
すなわち、本発明は特許請求の範囲のとおりであり、本開示の要旨は以下のとおりである。
[1]アルカリ電位が290mV以上350mV未満であり、乾燥状態でのマンガン含有量が60.3質量%以上63.0質量%以下であり、110℃から240℃の質量減少で規定される構造水量が2.60質量%以上で、かつ、全構造水量が4.10質量%以上である電解二酸化マンガン。
[2]アルカリ電位が310mVを超える、上記[1]に記載の電解二酸化マンガン。
[3]硫酸根(SO)の含有量が1.5質量%以下である上記[1]又は[2]に記載の電解二酸化マンガン。
[4]ナトリウム含有量が10質量ppm以上5,000質量ppm以下である上記[1]乃至[3]のいずれかひとつに記載の電解二酸化マンガン。
[5]電解時の電流密度J(A/dm)、電解液中のマンガンイオン濃度[Mn2+](mol/L)と水素イオン濃度[H](mol/L)の2乗の比をXと置いたとき、電解開始時よりも電解終了時の方が[Mn2+]が小さい電解方法であり、かつ、以下の1)式及び2)式の両方を満たす期間が6日間を超えて存在する上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載の電解二酸化マンガンの製造方法。
X = [Mn2+]/[Hとするとき、
J ≦ X+0.22 ・・・1)
X/J ≦ 2.10 ・・・2)
[6]電解液が硫酸マンガンと硫酸の混合溶液である上記[5]に記載の電解二酸化マンガンの製造方法。
[7]電解開始時のマンガンイオン濃度が25g/L以上である上記[5]又は[6]に記載の電解二酸化マンガンの製造方法。
[8]上記[1]乃至[4]のいずれかひとつに記載の電解二酸化マンガンを含む電池用正極活物質。
【発明の効果】
【0016】
本開示により、従来の電解二酸化マンガンと比べ、高負荷特性が良好な電解二酸化マンガンを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】全ての実施例及び比較例のXに対するJをプロットした図である。
図2】全ての実施例及び比較例1乃至5のX/Jに対する電位をプロットした図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本開示について、その実施形態の一例を示して説明する。また、本開示には、本明細書で開示した各構成及びパラメータは任意の組合せを含むものとし、また、本明細書で開示した値の上限及び下限の任意の組合せの範囲も本開示に含まれるものとする。本実施形態における主な用語は以下の通りである。
【0019】
本実施形態の電解二酸化マンガンは、アルカリ電位が290mV以上350mV未満である。アルカリ電位が290mVより低いと、電池性能、特に高負荷放電特性が低くなり、350mV以上だと、電池の出力は高くなるが、電池のサイクル特性が低くなる。アルカリ電位は310mVを超え350mV未満が好ましく、320mV以上350mV未満がより好ましく、330mV以上350mV未満が更に好ましい。
【0020】
本実施形態の電解二酸化マンガンは、乾燥状態におけるマンガン含有量が60.3質量%以上63.0質量%以下である。マンガン含有量が60.3質量%未満であると、結晶構造が好ましくない方向に歪む。これにより、酸化剤として有効に機能する割合、つまり「JIS K 1467 3.品質」で規定される電池用電解二酸化マンガン中の二酸化マンガンとして規定される物質の割合(以下、「MnO含有率」ともいう。)が低下する。マンガン含有量が63.0質量%を超えると、構造水が電解二酸化マンガン中に存在できない。本実施形態の電解二酸化マンガン中の乾燥状態におけるマンガン含有量は60.3質量%以上62.0質量%以下が好ましく、60.3質量%以上61.5質量%以下がより好ましい。
【0021】
ここで、「乾燥状態」とは、本実施形態の電解二酸化マンガンから付着水分が除かれた状態であり、該付着水分の量は後述する<付着水分量の測定>に記載されている、「JIS K 1467 5.3 水分量の測定」に従って測定することができる。
【0022】
本実施形態の電解二酸化マンガンは、110℃から240℃の質量減少で規定される構造水量(以下、「240℃構造水量」ともいう。)が2.60質量%以上である。質量240℃構造水量が2.60質量%未満であると、結晶構造の歪みが小さくなり、出力が低下し高負荷特性が著しく悪くなる。240℃構造水量は2.70質量%以上が好ましく、2.80質量%以上がより好ましい。また、結晶構造の歪みが増大し、構造が崩壊するため、240℃構造水量は4.0質量%以下が好ましい。質量240℃構造水量の測定は実施例に記載の<構造水量の測定>によって行う。
【0023】
本実施形態の電解二酸化マンガンは、全構造水量(熱分析における、110℃から320℃の質量減少で規定される構造水量)が4.10質量%以上である。240℃の質量減少で規定される構造水量以外の構造水は出力そのものには影響しない。しかしながら、全構造水量が4.10質量%未満であると、プロトンの拡散が妨げられ放電特性が悪化する。全構造水量は4.20質量%以上が好ましく、4.30質量%以上がより好ましい。また、過剰な構造水を含有すると組成中のマンガン量が減少するため、全構造水量は5.0質量%以下が好ましい。全構造水量の測定は実施例に記載の<構造水量の測定>によって行う。
【0024】
構造水量の測定は、熱分析装置(商品名:STA300、日立ハイテク社製)を使用し、窒素流通下、昇温速度10℃/分で所定の温度プログラムで測定することができる。
【0025】
具体的には、110℃まで昇温して16時間保持することで吸着水を除去する。次に240℃まで昇温して12時間保持する。さらに320℃まで昇温して12時間保持。最後に620℃まで昇温して1時間保持後の電解二酸化マンガンの質量を、最終的な質量とする。
【0026】
最終的な質量に対する、110℃乃至240℃までの質量減少の割合を240℃構造水量(質量%)とし、また、最終的な質量に対する、110℃乃至320℃までの質量減少の割合を全構造水量(質量%)とする。
【0027】
本実施形態の電解二酸化マンガンは、硫酸根(SO)を含んでいてもよく、硫酸根(SO)の含有量が0質量%以上1.5質量%以下であることが好ましい。これにより、アルカリマンガン乾電池とした際に高負荷放電特性がより優れるとともに、乾電池の保存特性を高く維持する質量ことができる。硫酸根(SO)の含有量は、0質量%以上1.3質量%以下がより好ましい。
【0028】
本実施形態の電解二酸化マンガンは、ナトリウム含有量が10質量ppm以上5,000質量ppm以下であることが好ましい。これにより、アルカリマンガン乾電池とした際に缶体等の金属材料に対する腐食性がより低くなるとともに、高負荷放電特性を維持できる。ナトリウム含有量は、10質量ppm以上3,000質量ppm以下であることがより好ましい。電解二酸化マンガンに含まれるナトリウムは、主に中和剤として使用される水酸化ナトリウムに由来する。
【0029】
本実施形態の電解二酸化マンガン中の硫酸根(SO)及びナトリウムの含有量(質量%)は、それぞれ、一般的なICP装置(例えば、装置名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)を使用したICP測定により求めることできる。また、SOの含有量(質量%)は、電解二酸化マンガンの質量に対する、電解二酸化マンガンに含まれるS元素をSO換算した質量の割合であり、ICP測定で求まるS元素の濃度(質量%)に、SO/S(原子量比)をかけてSO換算することで求めることができる。
【0030】
本実施形態の電解二酸化マンガンのXRD測定による(110)面の半値幅(以下、単に「半値幅」ともいう。)は、2.00°以上2.31°以下が好ましく、2.05°以上2.20°未満であることがより好ましい。半値幅がこの範囲であれば出力特性向上に適する適度な結晶性となる。
【0031】
半値幅は、実施例の<XRDによる半値幅の測定>に記載した方法により測定すればよい。すなわち、測定装置(例えば、Ultima IV、Rigaku社製)を使用し、以下の条件で測定して、粉末X線回折パターン(XRDパターン)を得る。
ターゲット(光源) : CuKα(λ=1.5418Å)
出力 : 1.6kW(40mA-40kV)
フィルター : Kβフィルター
発散スリット : 1°
発散縦制限スリット : 10mm
散乱スリット : 解放
受光スリット : 解放
走査モード : 連続
スキャンスピード : 4.000°/分
サンプリング幅 : 0.04°(2θ/θ)
積算回数 : 1回
測定範囲 : 10~90°(2θ/θ)
【0032】
得られたXRDパターン(XRDデータ)は解析ソフト(例えば、PDXL2)を使用して解析し、2θ=22±1°にピークトップを有するXRDピークを(110)面のピークとみなし、その積分幅を求める。得られた積分幅から標準物質(α型石英粉末、NIST製)の半値幅を差し引くことで、装置誤差を補正し、得られる値を半値幅とすればよい。
【0033】
次に、本実施形態の電解二酸化マンガンの製造方法について説明する。
【0034】
本実施形態の電解二酸化マンガンの製造方法は、電解液中のマンガンイオンの濃度を電解開始時よりも電解終了時の方が低くなるよう調整しながら、電解時の電流密度J(A/dm)、電解液中のマンガンイオン濃度[Mn2+](mol/L)及び水素イオン濃度[H](mol/L)の2乗の比をX(すなわち、X = [Mn2+]/[H)と置いたとき、以下の関係式1)及び2)の両方を満たす期間が6日間を超えて存在するように電解液組成及び電流密度を調整する。
J ≦ X+0.22 ・・・1)
X/J ≦ 2.10 ・・・2)
【0035】
換言すると、本実施形態の電解二酸化マンガンの製造方法は、電解開始時より電解終了時の電解液中のマンガンイオンの濃度が低く、なおかつ、関係式1)及び2)を満たす期間が6日間を超える、電解二酸化マンガンの製造方法、である。
J ≦ X+0.22 ・・・1)
X/J ≦ 2.10 ・・・2)
【0036】
関係式1)及び2)において、Jは電流密度(A/dm)、及び、Xは電解液中の水素イオン濃度[H](mol/L)の二乗に対するマンガンイオン濃度[Mn2+](mol/L)の比である。
【0037】
これにより、アルカリ電位が290mV以上350mV未満であり、乾燥状態でのマンガン割合が60.3質量%以上63.0質量%以下であり、質量240℃構造水量が2.60質量%以上かつ、全構造水量が4.10質量%以上である電解二酸化マンガンを電極から脱落させることなく製造できる。関係式1)(すなわち、J ≦ X+0.22)を満たさない場合、電解中に電解二酸化マンガンが電極から脱落し、製造の妨げとなる。関係式2)(すなわち、X/J ≦ 2.10)を満たさない場合、電解二酸化マンガンの電位が低下し、高負荷特性が悪化する。電解液中のマンガンイオン濃度が電解開始時よりも電解終了時の方が低くなるよう調整すること(電解開始時より電解終了時の電解液中のマンガンイオンの濃度が低いこと)で、電解二酸化マンガン中のマンガン含有量を増加させられる。
【0038】
電解槽内の電解液には硫酸-硫酸マンガン混合溶液を使用することが好ましい。
【0039】
本実施形態の電解二酸化マンガンの製造方法は、上記電解時の電流密度、マンガンイオンの濃度及び水素イオン濃度が、関係式1)及び関係式2)を満たしていれば、特に限定するものではないが、電解時の電流効率を高くするため、電解液の温度が80℃以上98℃以下であることが好ましく、95℃以上98℃以下であることがより好ましい。
【0040】
電解補給液には、硫酸マンガン水溶液を使用することが好ましい。
【0041】
本実施形態の電解二酸化マンガンの製造方法における、電解補給液による電解液組成の調整方法は、特に限定するものではないが、例えば硫酸マンガン水溶液(電解補給液)の補給と電解液の抜出によって行うことができる。すなわち、電解により電解液中のマンガンイオンが電解二酸化マンガンとなり析出する。その結果、電解液中の硫酸イオンの濃度が高くなる。電解補給液を電解液に補給することにより、電解液中のマンガンイオン濃度が高くなる。その結果、連続的な電解二酸化マンガンの製造が可能となる。したがって、電解二酸化マンガンの析出によって消費されるマンガンイオン量を、電解補給液により供給されるマンガンイオン量より多くなるよう、電解補給液の補給と電解液の抜出を制御することで電解液中のマンガンイオンの濃度を電解開始時よりも電解終了時の方が低くなるよう電解液組成を調整することができる。
【0042】
本実施形態の電解二酸化マンガンの製造方法における、電解時の電流密度は、特に限定するものではないが、例えば0.2A/dm以上0.7A/dm以下とすることが好ましく、0.3A/dm以上0.6A/dm以下とすることがより好ましい。
【0043】
本実施形態の電解二酸化マンガンの製造方法は、上記電解時の電流密度、マンガンイオンの濃度及び水素イオン濃度が、関係式1)及び2)を満たしていれば、特に限定するものではないが、電解中にマンガンイオン濃度を低下させていく製法の都合上、電解開始時にある程度電解液中にマンガンイオンが存在する必要があり、例えば、電解開始時のマンガンイオン濃度は25g/L以上50g/L以下が好ましい。
【0044】
本開示の電解二酸化マンガンの製造方法では、電解で得られた電解二酸化マンガンを粉砕する工程を有していてもよい。
【0045】
粉砕には、例えば、ローラーミル、ジェットミル等が使用できる。
【0046】
ローラーミルは、例えば、遠心式ローラーミル、竪型のロッシェミルが挙げられる。ローラーミルのうち、コストや耐久性に優れ、工業的な使用に適しているため、マイクロビッカース硬度が400HV(JIS Z 2244)以上の硬度を有する原料を粉砕可能で、20kW以上150kW以下のミルモーターを有するローラーミルが好ましい。
【0047】
本実施形態の電解二酸化マンガンを、アルカリマンガン乾電池の正極活物質とする方法は、周知の方法で添加物と混合して正極合剤を得る方法を経れば特に限定するものではないが、例えば、電解二酸化マンガン(正極活物質)に導電性を付与するための黒鉛、電解液を加えた混合粉末を調製し、円盤状又はリング状に加圧成型した粉末成型体として正極合剤とすることができる。該正極活物質、負極、負極集電体、セパレータ及び電解液を正極缶内に入れ、封止することにより電池(すなわち、アルカリマンガン乾電池)となる。
【実施例
【0048】
以下、本開示を実施例及び比較例により詳細に説明するが、本開示はこれら実施例に限定されるものではない。
【0049】
<アルカリ電位の測定>
本実施形態の電解二酸化マンガンのアルカリ電位は、40wt%KOH水溶液中で次のように測定した。
【0050】
本実施形態の電解二酸化マンガン3g及び導電剤として黒鉛を0.9g加えて混合粉体とし、この混合粉体に40wt%KOH水溶液4mLを加え、電解二酸化マンガン、黒鉛及びKOH水溶液の混合物スラリーとした。この混合物スラリーの電位を水銀/酸化水銀参照電極を基準として測定し、得られた値を本実施形態の電解二酸化マンガンのアルカリ電位とした。
【0051】
<構造水量の測定>
本実施形態の電解二酸化マンガンの構造水量は、熱分析装置(商品名:STA300、日立ハイテク社製)を使用して次のように測定した。
【0052】
本実施形態の電解二酸化マンガンを熱分析装置内に設置し、窒素流通下、110℃まで昇温して16時間保持することで吸着水を除去した。次に240℃まで昇温し12時間保持し、さらに320℃まで昇温し12時間保持し、次に620℃まで昇温し1時間保持することで電解二酸化マンガンから脱離できる物質を除去し、最終的な質量とした。110℃乃至240℃までの質量減少を110℃から240℃の質量減少により規定する構造水の質量を240℃構造水の質量、110℃乃至320℃までの質量減少を全構造水の質量とした。構造水の質量を最終的な質量で除することにより、本実施形態の電解二酸化マンガンの構造水量(質量%)を求めた。
【0053】
構造水量の測定における熱分析の昇温速度は10℃/分とした。240℃から320℃までの脱離物がHOであることは、脱離物の質量分析により確認した。
【0054】
上記質量分析は質量分析装置(装置名:MS9610、ブルカーエイエックスエス社製)を用い、m/z=18に相当するスペクトルを測定することにより、行った。
【0055】
<付着水分量の測定>
サンプル(電解二酸化マンガン)の付着水分量の測定は、「JIS K 1467 5.3水分量の測定」に従い測定した。
【0056】
すなわち、試料約5gを平形はかり瓶にはかりとり、厚さがほぼ均一になるように広げ、ふたをした。
【0057】
天秤を用いて0.1mgの桁まで測定した質量をS1(g)とする。
【0058】
さらに、107±2℃に保った乾燥器中でふたを取り、2時間加熱乾燥後、ふたをしてデシケーターに入れ、室温になるまで放冷した。
【0059】
その後、天秤を用いて0.1mgの桁まで測定した質量をS0(g)とした。
【0060】
付着水分量Hは、上記S0(g)及びS1(g)を用い、以下の式によって算出した。
付着水分量H(質量%)=(S1―S0)/S1×100
【0061】
<乾燥時のマンガン(Mn)含有量の測定>
乾燥時(すなわち、上記付着水分量を除いた時)のサンプル(電解二酸化マンガン)に含まれるマンガン(Mn)含有量は、「JIS M 8232 5.3 過マンガン酸カリウム滴定方法(電位差滴定法)」に従い、以下の方法により求めた。
【0062】
二りん酸ナトリウム十水和物120gを純水に溶解させ、1000mlの水溶液とした(以下、「二りん酸ナトリウム水溶液」ともいう。)。
【0063】
サンプル(電解二酸化マンガン)1gを秤量し、1mgの桁まで測定した。このときの秤量値をM(g)とする。
【0064】
秤量したサンプル(電解二酸化マンガン)をビーカーに移し、35質量%塩酸30mLを加え、100℃で10分間加熱した。
【0065】
さらに60質量%硝酸5mL及び70質量%過塩素酸10mLを加え、10分間100℃で加熱した。
【0066】
その後、室温まで放冷し、塩酸(1+4)20mLを添加して、サンプル(電解二酸化マンガン)を全て溶解させた。得られた溶液を全て250mLメスフラスコに移し、純水でメスアップした。
【0067】
メスアップ後の溶液50mLを、ビーカーに移し、手動で撹拌しながら二りん酸ナトリウム溶液250mLを加えた。その後、pHメーター(装置名:D-51、堀場製作所製)を用い、塩酸(1+4)を添加しつつ、pHを6.5乃至7.0に調整した。
【0068】
pH調整後の溶液に、20mmol/Lの過マンガン酸カリウム溶液を添加し、電位差計(商品名:AT-610、京都電子工業製)を用いて電位差滴定を行った。終点は、電位差の指示値の変化が最大となる点とした。終点到達時の過マンガン酸カリウム標準溶液添加量をV1(mL)とする。
【0069】
上記操作を、サンプルを添加せずに行ったときの過マンガン酸カリウム標準溶液添加量V2(mL)とする。
【0070】
得られたV1(mL)及びV2(mL)から、以下の式を用いて、乾燥時のサンプル(電解二酸化マンガン)中のマンガン(Mn)含有量を算出した。
サンプル(電解二酸化マンガン)中のマンガン(Mn)含有量(質量%)
=(V1―V2)×F1×0.004395
/(m1/5)×100×K
F1:20mmol/Lの過マンガン酸カリウム標準溶液の規定度
m1:サンプル(電解二酸化マンガン)の秤量値(g)
K:乾燥試料への換算係数=100/(100―付着水分量H(質量%))
【0071】
<MnO含有率の測定>
サンプル(電解二酸化マンガン)中のMnO含有率の測定は「JIS K 1467 5.2 二酸化マンガン(MnO)」に従い、以下に記載の方法により、測定した。
【0072】
しゅう酸二水和物9.8gを800mLの純水に溶解させ、さらに硫酸(1+1)200mLを加え、しゅう酸溶液(7g/L)を調製した。
【0073】
サンプル(電解二酸化マンガン)0.25gを三角フラスコに0.1mgの桁まで測定し、ホールピペットでしゅう酸溶液(7g/L)を50mL添加した。フラスコ内の液温が60℃になるよう、ウォーターバスで保温しながらマグネチックスターラーで20分間撹拌し、サンプル(電解二酸化マンガン)を全て溶解させた。その後、溶液量を60mlに調整した。
【0074】
マグネチックスターラーで撹拌しつつ、0.02mol/Lの過マンガン酸カリウム溶液を用いて滴定を行った。終点は、30秒以上薄い紅色が消えなくなった時点とし、終点到達時の過マンガン酸カリウム溶液の滴下量をv1(mL)とした。
【0075】
上記操作を、サンプルを添加せずに行ったときの過マンガン酸カリウム溶液の滴下量v2(mL)とする。
【0076】
得られたv1(mL)及びv2(mL)から、以下の式を用いてサンプル(電解二酸化マンガン)中のMnO含有率(質量%)を算出した。
サンプル(電解二酸化マンガン)中のMnO含有率(質量%)
=(v1―v2)×F2×0.004347
/m2×100×K
F2:0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液の規定度
m2:サンプルの秤量値(g)
K:乾燥試料への換算係数=100/(100-付着水分H(質量%))
【0077】
<硫酸根、ナトリウム含有量の測定>
電解二酸化マンガンの硫酸根、ナトリウム含有量は、サンプル(電解二酸化マンガン)を、硝酸及び過酸化水素水の混合溶液に溶解し、得られた溶液をICP(装置名:OPTIMA3000DV、PERKIN ELMER製)で測定して定量した。
【0078】
また、SOの含有量(質量%)は、ICP測定で求めたS元素の濃度(質量%)に、SO/S(原子量比)をかけてSO換算することで求めた。
【0079】
<XRDによる半値幅の測定>
半値幅は、粉末X線回折測定装置(商品名:Ultima IV、Rigaku製)を使用し、以下の条件で測定したXRDパターンから、上述の方法で求めた。
・ターゲット(線源) :CuKα(λ=1.5418Å)
・出力 :1.6kW(40mA-40kV)
・フィルター :Kβフィルター
・発散スリット :1°
・発散縦制限スリット :10mm
・散乱スリット :解放
・受光スリット :解放
・走査モード :連続
・スキャンスピード :4.000°/分
・サンプリング幅 :0.04°(2θ/θ)
・積算回数 :1回
・測定範囲 :10-90°(2θ/θ)
【0080】
得られたXRDデータパターンを、粉末X線回折測定装置に付属の解析ソフト(PDXL2)を用いて解析し、2θ=22°付近の(110)面の積分幅を求めた。
【0081】
また、測定装置の誤差を補正するため、予めXRD用標準物質(NIST製α型石英粉末)の測定を行い、LMOの積分幅から標準物質の積分幅を差し引いて半値幅を求めた。
【0082】
<高負荷放電特性の測定>
高負荷放電特性は次のように測定した。
【0083】
サンプル(電解二酸化マンガン)65g、黒鉛2.9g及び37wt%水酸化カリウム水溶液5.1gをV型混合器(装置名:VM-2、筒井理化学製)で20分間混合した後、ローラーコンパクタ(装置名:16-056、西村マシナリー製)を使用して圧力30MPaで圧延し、さらに篩で目開き180μmの篩上、及び、目開き1mmの篩下に分級して正極合剤顆粒を得た。
【0084】
正極合剤顆粒3.5gを、外径13mmφ、内径9mmφの金型を使用して2.7t/cmで加圧してリング状成型体を作製した。リング状成型体3個を単三乾電池用の正極缶に入れた後、2.7t/cmで加圧して二次成型を行った。
【0085】
リング状に二次成型した正極合剤の内側に円筒状セパレータをセットし、乾電池底部に37wt%水酸化カリウム水溶液を1.6g滴下して30分間静置し、ポリアクリル酸を溶解した37wt%水酸化カリウム水溶液にZn粒子を68wt%混合した負極ゲル6gを円筒状セパレータの内側に注入した後、集電棒を備えた負極缶で封止し乾電池(アルカリマンガン乾電池)を作製した。
実施例及び比較例の電解二酸化マンガンを用いた乾電池(アルカリマンガン乾電池)を20℃の恒温器内に保管して7日間静置した後、米国国家標準協会(ANSI)の定める「1.5W放電方法」に従い1.5Wパルス回数を測定し、リファレンスとして同様に乾電池の作製を行い、放電試験を行ったサンプル(後述の比較例4)を用いて作製した乾電池の1.5Wパルス回数に対する放電回数の割合を高負荷特性とした(すなわち、リファレンス(後述の比較例4)の1.5Wパルス回数に対する、実施例及び比較例の電解二酸化マンガンの1.5Wパルス回数の割合を高負荷特性とした。)。
【0086】
実施例及び比較例の「1.5W放電方法」による1.5Wパルス回数(以下、単に「1.5Wパルス回数」ともいう。)は、以下の方法によって測定した。
【0087】
20±1℃の温度で、作製した乾電池1個を1500mWで2秒間放電後、650mWで28秒間放電させ、30秒間の放電工程とした。上記放電工程を1パターンとして10パターン、計5分間行い、その後55分間休止した。放電工程及び休止の1時間を1サイクルとして繰り返し、乾電池の閉路電圧が1.05Vに到達した時のサイクル回数を計測した。計測は3回行い、3回のサイクル回数の算術平均値を1.5Wパルス回数とした。
【0088】
高負荷特性(%)は以下の式で表される。
高負荷特性(%)=(実施例及び比較例の1.5Wパルス回数(回))
/(リファレンス(後述の比較例4)の1.5Wパルス回数(回))×100
【0089】
(マンガンイオン濃度、硫酸濃度及び水素イオン濃度)
電解液及び電解補給液のマンガンイオン濃度、硫酸濃度及び水素イオン濃度は以下のように求めた。すなわち、水素イオン濃度及び硫酸濃度は中和滴定により求め、中和滴定で求まる水素イオン濃度と、当該水素イオン濃度の1/2倍の濃度を硫酸濃度とした。マンガンイオン濃度は、ICP分析により求めた。
【0090】
実施例1
加温装置を有し、陽極として高さ250mm、幅200mm、厚さ5mmのチタン板、陰極として高さ250mm、幅200mm、厚さ10mmの黒鉛板をそれぞれ向かい合うように懸垂せしめた電解槽を用いて電解を行った。
【0091】
水素イオン濃度0.571mol/L及びマンガンイオン濃度0.570mol/Lである硫酸-硫酸マンガン混合水溶液を電解開始時の電解液とした。陽極及び黒鉛版が電解液に浸漬するように、所定量の電解液を電解槽に張り込んだ。温度97℃、電解時の電流密度(以下「電解電流密度」という)0.34A/dmとして、電解を開始した。電解補給液はマンガン濃度38g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解槽に流通させた。電解による電解二酸化マンガンの析出に伴い、電解中の電解液の硫酸濃度(及び水素イオン濃度)は増加し、一方、マンガンイオン濃度は減少する。そのため、電解液を適宜採取して、その硫酸濃度及びマンガンイオン濃度を適宜分析しながら電解補給液の供給量を調整し、電解開始から5日後に、電解液の水素イオン濃度が1.16mol/L及びマンガンイオン濃度が0.197mol/Lに到達したことを確認した。その後、この状態(すなわち、電解液中の水素イオン濃度が1.16mol/L及びマンガンイオン濃度が0.197mol/Lである状態)を10日間維持しながら、電解を続けた(全電解期間:15日)。
【0092】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までのX(すなわち、電解液中のマンガンイオン濃度[Mn2+]及び水素イオン濃度[H](mol/L)の2乗の比;X=[Mn2+]/[H)は0.146であり、以下のとおり、10日間、関係式1)及び2)を満たした。
(0.34) ≦ (0.146)+0.22=(0.366) ・・・1)
(0.146)/(0.34)=(1.26) ≦ 2.10 ・・・2)
【0093】
電解後、電着した板状の電解二酸化マンガンを純水にて洗浄後、粉砕して電解二酸化マンガンの粉砕物を得た。次に、粉砕物を水槽に入れてスラリーとした。撹拌しながら水酸化ナトリウム水溶液をスラリーのpHが4.2となるようにスラリーに添加して中和処理を行った。次に、電解二酸化マンガンの水洗、ろ過分離、乾燥を行った後、目開き63μmの篩を通し、電解二酸化マンガン粉末を得た。
【0094】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.31°であった。
【0095】
各実施例で得られた電解二酸化マンガンの評価結果を下表に示す。
【0096】
実施例2
電解電流密度を0.40A/dmとしたこと、電解補給液にマンガン濃度43g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.12mol/L、マンガンイオン濃度を0.331mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0097】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までXは0.264で、以下のとおり、10日間関係式1)及び2)を満たした。
(0.40) ≦ (0.264)+0.22=(0.484) ・・・1)
(0.264)/(0.40)=(1.65) ≦ 2.10 ・・・2)
【0098】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.26°であった。
【0099】
実施例3
電解電流密度を0.37A/dmとしたこと以外は実施例2と同様の方法で電解を行った。電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までのXは0.264で、以下のとおり、10日間、関係式1)及び2)式を満たした。
(0.37) ≦ (0.264)+0.22=(0.484) ・・・1)
(0.264)/(0.37)=(1.93) ≦ 2.10 ・・・2)
【0100】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.24°であった。
【0101】
実施例4
電流密度を0.34A/dm、電解開始時の電解液の水素イオン濃度を0.765mol/L、マンガンイオン濃度を0.501mol/Lとして電解を行い、7日間液組成を保ったまま電解を行った。電解開始から7日間のXは0.856で、以下のとおり、関係式1)式は満たしたが、関係式2)式は満たさなかった。
(0.34) ≦ (0.856)+0.22=(1.08) ・・・1)
(0.856)/(0.34)=(7.41) > 2.10 ・・・2)
【0102】
その後、電解を継続しながら電解開始8日目から9日目にかけて電解補給液にマンガン濃度45g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解液組成を連続的に変更した。電解開始9日目から水素イオン濃度が1.22mol/L及びマンガンイオン濃度が0.306mol/Lである状態を維持したまま、更に7日間電解を行った(全電解期間:15日)。
【0103】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始9日目から電解終了時までXは0.206で、以下のとおり、電解後半の7日間、関係式1)及び2)を満たした。
(0.34) ≦ (0.206)+0.22=(0.426) ・・・1)
(0.206)/(0.34)=(1.78) ≦ 2.10 ・・・2)
【0104】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.05°であった。
【0105】
電解終了後の処理は実施例1と同様に行った。
【0106】
実施例5
電解電流密度を0.37A/dmとしたこと、及び、電解補給液にマンガン濃度43g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.22mol/L、マンガンイオン濃度を0.273mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0107】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までXは0.183で、以下のとおり、10日間、関係式1)及び2)を満たした。
(0.37) ≦ (0.183)+0.22=(0.403) ・・・1)
(0.183)/(0.37)=(1.34) ≦ 2.10 ・・・2)
【0108】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.19°であった。
【0109】
実施例6
電解開始時の電解液の水素イオン濃度を0.734mol/L、マンガンイオン濃度を0.491mol/Lとしたこと、及び、電解補給液にマンガン濃度45g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の水素イオン濃度を1.12mol/L、マンガンイオン濃度を0.300mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0110】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までXは0.239で、以下のとおり、10日間、関係式1)及び2)式を満たした。
(0.34) ≦ (0.239)+0.22=(0.459) ・・・1)
(0.239)/(0.34)=(2.07) ≦ 2.10 ・・・2)
【0111】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.01°であった。
【0112】
実施例7
電解電流密度を0.40A/dmとしたこと、電解補給液にマンガン濃度43g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.18mol/L、マンガンイオン濃度を0.295mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0113】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までのXは0.212で、以下のとおり、10日間、関係式1)及び2)式を満たした。
(0.40) ≦ (0.212)+0.22=(0.432) ・・・1)
(0.212)/(0.40)=(1.32) ≦ 2.10 ・・・2)
【0114】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.23°であった。
【0115】
実施例8
電解補給液にマンガン濃度41g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.24mol/L、マンガンイオン濃度を0.222mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0116】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までのXは0.144で、以下のとおり、10日間、関係式1)及び2)を満たした。
(0.34) ≦ (0.144)+0.22=(0.364) ・・・1)
(0.144)/(0.34)=(1.24) ≦ 2.10 ・・・2)
【0117】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.12°であった。
【0118】
実施例9
電解補給液にマンガン濃度38g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.16mol/L、マンガンイオン濃度を0.207mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0119】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までのXは0.154で、以下のとおり、10日間、関係式1)及び2)を満たした。
(0.34) ≦ (0.154)+0.22=(0.374) ・・・1)
(0.154)/(0.34)=(1.33) ≦ 2.10 ・・・2)
【0120】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.12°であった。
【0121】
実施例10
電解補給液にマンガン濃度36g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.08mol/L、マンガンイオン濃度を0.193mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0122】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までのXは0.165で、以下のとおり、10日間、関係式1)式及び2)式を満たした。
(0.34) ≦ (0.165)+0.22=(0.385) ・・・1)
(0.165)/(0.34)=(1.43) ≦ 2.10 ・・・2)
【0123】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.14°であった。
【0124】
比較例1
特開2021-39930号公報の実施例1と同様に、電解補給液をマンガン濃度45g/Lの硫酸マンガン水溶液とし、電解電流密度0.34A/dmで電解液中のマンガン/硫酸濃度比を0.25に保持しつつ、電解液の硫酸濃度を電解開始時と電解終了時でそれぞれ38g/L、63g/Lとし、電解液の硫酸濃度及びマンガンイオン濃度を連続的に増加させて15日間電解を行った。電解液の温度は硫酸濃度が40g/Lに到達するまでは93℃とし、40g/Lに到達した時点で97℃に変更した。
【0125】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。このとき、電解開始時の電解液のマンガンイオン濃度は0.175mol/L、水素イオン濃度は0.775mol/Lであり、電解開始から5日目にマンガンイオン濃度は0.211mol/L、水素イオン濃度は0.943mol/L、液組成のXは0.237で、Xと電流密度Jの関係は以下のとおりであった。
(0.34) ≦ (0.237)+0.22=(0.457) ・・・1)
(0.237)/(0.34)=(2.05) ≦ 2.10 ・・・2)
【0126】
電解終了時の電解液のマンガンイオン濃度は0.286mol/L、水素イオン濃度は1.28mol/Lであり、電解終了時の液組成のXは0.175で、以下のとおり、電解開始5日目から15日目までの11日間1)式、2)式を満たした。
(0.34) ≦ (0.175)+0.22=(0.395) ・・・1)
(0.175)/(0.34)=(1.51) ≦ 2.10 ・・・2)
【0127】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.30°であった。
【0128】
比較例2
電解開始時の液組成(すなわち、水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度)を9日間維持したこと、電解開始10日目から11日目にかけて液組成の変更を行ったこと、変更後の液組成におけるマンガンイオン濃度を0.335mol/Lとしたこと、及び、電解開始11日目から15日目(電解終了時)までの5日間、変更後の液組成を維持したこと以外は実施例4と同様の方法で電解を行った。
【0129】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始から9日間のXは0.856で、以下のとおり、関係式1)式は満たしたが、2)式は満たさなかった。
(0.34) ≦ (0.856)+0.22=(1.076) ・・・1)
(0.856)/(0.34)=(7.41) > 2.10 ・・・2)
【0130】
電解開始11日目から電解終了時までのXは0.225で、以下のとおり、5日間の間、関係式1)及び2)を満たした。
(0.34) ≦ (0.225)+0.22=(0.445) ・・・1)
(0.25)/(0.34)=(1.95) ≦ 2.10 ・・・2)
【0131】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は1.94°であった。
【0132】
比較例3
電解補給液にマンガン濃度35g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を0.958mol/L、マンガンイオン濃度を0.240mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。
【0133】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始6日目から電解終了時までのXは0.262で、以下のとおり、関係式1)は満たしたが、関係式2)を満たさなかった。
(0.34) ≦ (0.262)+0.22=(0.482) ・・・1)
(0.262)/(0.34)=(2.26) > 2.10 ・・・2)
【0134】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.14°であった。
【0135】
比較例4
電解開始時の電解液の水素イオン濃度を0.734mol/L、マンガンイオン濃度を0.519mol/Lとしたこと、及び、電解開始11日目から電解終了時の水素イオン濃度を1.06mol/L、マンガンイオン濃度を0.346mol/Lとしたこと以外は比較例2と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始11日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0136】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始から9日間のXは0.963で、以下のとおり、関係式1)は満たしたが、関係式2)を満たさなかった。
(0.34) ≦ (0.963)+0.22=(1.183) ・・・1)
(0.963)/(0.34)=(8.33) > 2.10 ・・・2)
【0137】
電解開始11日目から電解終了時までのXは0.308で、以下のとおり、関係式1)は満たしたが、関係式2)式を満たさなかった。すなわち、全期間を通して関係式2)を満たさなかった。
(0.34) ≦ (0.308)+0.22=(0.528) ・・・1)
(0.308)/(0.34)=(2.66) > 2.10 ・・・2)
【0138】
得られた電解二酸化マンガンの半値幅は2.02°であった。
【0139】
比較例5
電解開始から7日間の電解液の水素イオン濃度を0.754mol/L、マンガンイオン濃度を0.491mol/Lとしたこと、及び、電解開始9日目から電解終了までの7日間の電解液の水素イオン濃度を0.979mol/L、マンガンイオン濃度を0.437mol/Lとしたこと以外は実施例4と同様の方法で電解を行った。
【0140】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落しなかった。電解開始から7日間のXは0.864で、以下のとおり、関係式1)は満たしたが、関係式2)は満たさなかった。
(0.34) ≦ (0.864)+0.22=(1.08) ・・・1)
(0.864)/(0.34)=(7.47) > 2.10 ・・・2)
【0141】
電解開始9日目から電解終了時までのXは0.456で、以下のとおり、関係式1)は満たしたが、関係式2)は満たさなかった。すなわち、全期間を通して関係式2)を満たさなかった。
(0.34) ≦ (0.456)+0.22=(0.676) ・・・1)
(0.456)/(0.34)=(3.94) > 2.10 ・・・2)
【0142】
比較例6
電解電流密度を0.37A/dm、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.31mol/L、マンガンイオン濃度を0.233mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0143】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落し、回収できなかった。電解開始6日目から電解終了時のXは0.137で、以下のとおり、関係式2)は満たしたが、関係式1)は満たさなかった。
(0.37) > (0.136)+0.22=(0.356) ・・・1)
(0.136)/(0.37)=(0.992) ≦ 2.10 ・・・2)
【0144】
比較例7
電解電流密度を0.40A/dm、電解補給液にマンガン濃度33g/Lの硫酸マンガン水溶液を使用し、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.02mol/L、マンガンイオン濃度を0.173mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0145】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落し、回収できなかった。電解開始6日目から電解終了時のXは0.166で、以下のとおり、関係式2)は満たしたが、関係式1)は満たさなかった。
(0.40) > (0.166)+0.22=(0.386) ・・・1)
(0.166)/(0.40)=(1.04) ≦ 2.10 ・・・2)
【0146】
比較例8
電解電流密度を0.40A/dmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。
【0147】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落し、回収できなかった。電解開始6日目から電解終了時のXは0.146で、以下のとおり、関係式2)は満たしたが、関係式1)式を満たさなかった。
(0.40) > (0.146)+0.22=(0.366) ・・・1)
(0.146)/(0.40)=(0.915) ≦ 2.10 ・・・2)
【0148】
比較例9
電解電流密度を0.45A/dm、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度を1.18mol/L、マンガンイオン濃度を0.295mol/Lとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。なお、電解開始6日目から電解終了時の電解液の水素イオン濃度及びマンガンイオン濃度は同濃度である。
【0149】
電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落し、回収できなかった。電解開始6日目から電解終了時のXは0.211で、以下のとおり、関係式2)は満たしたが、関係式1)を満たさなかった。
(0.45) > (0.211)+0.22=(0.431) ・・・1)
(0.211)/(0.45)=(1.05) ≦ 2.10 ・・・2)
【0150】
比較例10
電解電流密度を0.45A/dmとしたこと以外は実施例1と同様の方法で電解を行った。電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落し、回収できなかった。電解開始6日目から電解終了時のXは0.146で、以下のとおり、関係式2)は満たしたが、関係式1)を満たさなかった。
(0.45) > (0.146)+0.22=(0.366) ・・・1)
(0.146)/(0.45)=(0.723) ≦ 2.10 ・・・2)
【0151】
比較例11
電解電流密度を0.45A/dmとしたこと以外は比較例7と同様の方法で電解を行った。電解時、二酸化マンガンは陽極から脱落し、回収できなかった。電解開始6日目から電解終了時のXは0.166で、以下のとおり、関係式2)は満たしたが、関係式1)を満たさなかった。
(0.45) > (0.166)+0.22=(0.386) ・・・1)
(0.166)/(0.45)=(0.821) ≦ 2.10 ・・・2)
【0152】
【表1】
【0153】
比較例1から、開始時マンガンイオン濃度よりも終了時のマンガンイオン濃度が低い電解方法でなければ乾燥時のマンガン割合が60.3質量%以上にならず、マンガン割合が60.3質量%未満であるとMnO含有率が低下した。
【0154】
実施例4及び比較例2から、電解液組成が1)式、2)式を満たす期間が6日間を超えない場合、240℃構造水量は増加するものの全構造水量が低下し、高負荷特性も低下した。
【0155】
比較例4から、全構造水量が十分であっても、240℃構造水量が少ない場合、アルカリ電位及び高負荷特性が低下した。
【0156】
比較例3乃至5から、電解終了時の電解液組成が2)式を満たさない場合、240℃構造水量が減少し、高負荷特性が低下した。
【0157】
比較例6乃至11は、電解時に電解二酸化マンガンが陽極から脱落し高負荷特性が測定できなかったため表から除いた。電解終了時の液組成が1)を満たさない場合に、二酸化マンガンが陽極から脱落した。
【0158】
全ての実施例・比較例のXに対するJのプロットを図1に示す。1)式:J=X+0.22を境界に電解二酸化マンガンの脱落又は非脱落が分かれた。
【0159】
全ての実施例及び、比較例1乃至5のX/Jに対する電位のプロットを図2に示す。電解終了時の液組成が2)式を満たさない場合、電位が低下し、高負荷特性が低下した。
【産業上の利用可能性】
【0160】
本発明の電解二酸化マンガンは特異的なマンガン割合、構造水量を有するため、放電性能、特に高負荷放電特性及び容量に優れたマンガン乾電池、特にアルカリマンガン乾電池の正極活物質として使用することができる。
図1
図2