(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】基材処理装置および方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/324 20060101AFI20240611BHJP
H01L 21/683 20060101ALI20240611BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01L21/324 Q
H01L21/68 N
H01L21/324 T
H01L21/324 K
C23C16/46
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019172753
(22)【出願日】2019-09-24
【審査請求日】2022-09-09
(32)【優先日】2018-10-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519237203
【氏名又は名称】エーエスエム・アイピー・ホールディング・ベー・フェー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100188329
【氏名又は名称】田村 義行
(72)【発明者】
【氏名】テオドルス・オーステルラーケン
【審査官】桑原 清
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-218117(JP,A)
【文献】特表2005-533378(JP,A)
【文献】特開2001-156005(JP,A)
【文献】国際公開第2018/150537(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/324
H01L 21/683
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
その上に基材担体を支持するための基材担体支持体を備える基材処理装置であって、前記担体支持体は、
基材担体を支持するための上部支持面と、
断熱性材料の断熱体と、
前記担体支持体を加熱するための一次ヒーター
および二次ヒーターと、を備え、
前記断熱体が少なくとも前記支持面と前記一次ヒーターとの間に提供され
、
前記二次ヒーターが前記支持面を形成する表面を有する、基材処理装置。
【請求項2】
前記担体支持体がサイドプレートを備え、前記断熱体が前記サイドプレートと前記一次ヒーターとの間に提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記担体支持体が下部プレートを備え、前記断熱体が前記下部プレートと前記一次ヒーターとの間に提供される、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記断熱体が前記一次ヒーターを実質的に囲む、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記断熱体が、前記一次ヒーターをその周囲から断熱する、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記一次ヒーターが、前記二次ヒーターよりも大きな加熱力を備える、請求項
1に記載の装置。
【請求項7】
前記一次ヒーターが0.5~10キロワットの電力を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記二次ヒーターが0.1~3キロワットの電力を有する、請求項
1に記載の装置。
【請求項9】
前記装置が、反応空間を画定する反応チャンバと、それを介して前記担体支持体上に支持された基材担体を前記反応空間内で移動させることができる開口部とを備え、前記装置は熱制御装置を備えて前記担体支持体の温度を制御し、前記基材担体が反応空間外にある時に、前記二次ヒーターをオフに切り替えるようにプログラムされる前記二次ヒーターに動作可能に接続される、請求項
1に記載の装置。
【請求項10】
前記熱制御装置が、前記一次ヒーターに動作可能に接続され、前記基材担体が前記反応空間外にある時に、前記一次ヒーターが作動したままであるようにプログラムされている、請求項
9に記載の装置。
【請求項11】
前記支持面と前記一次ヒーターとの間の断熱体の厚さが0.5~12cmである、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記断熱性材料が0.05W/mK~5W/mKを絶縁する、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記装置が、反応空間を画定する反応チャンバと、それを介して前記担体支持体上に支持された基材担体を前記反応空間内で移動させることができる開口部とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記担体支持体が、上部プレートおよび下部プレートを備え、これらのプレートが円筒形のサイドプレートと接続して略円筒形の容器を画定し、前記上部プレートの外部表面が前記担体支持体の前記支持面を画定し、略円筒形の容器が前記反応空間を少なくとも部分的に閉じる、請求項
13に記載の装置。
【請求項15】
前記装置が、前記担体支持体が前記反応チャンバ内を垂直方向に移動するように構成および配置されたエレベーターを備える、請求項
13に記載の装置。
【請求項16】
前記装置が、前記一次ヒーターに動作可能に接続され、前記基材担体が反応空間外にある時に、前記一次ヒーターを作動させたままにするようにプログラムされた前記担体支持体の温度を制御するための熱制御装置を備える、請求項
13に記載の装置。
【請求項17】
前記担体支持体の前記支持面に接続され、少なくとも一つの基材を保持するように構成される、基材担体をさらに備える、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記基材担体が10~300の間で保持するように構成されている、請求項
17に記載の装置。
【請求項19】
請求項1に記載の基材処理装置を提供することと、
前記担体支持体上に基材担体を支持することと、
前記基材担体の少なくとも一つの基材を交換することと、一方で前記担体支持体の前記担体支持体を前記一次ヒーターで加熱することとを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は基材処理装置および方法の分野に関する。より具体的には、本開示は、その上に基材担体を支持するための基材担体支持体を備えた基材処理装置に関する。担体支持体は、基材担体を支持するための上部支持面、断熱性材料の断熱体、および担体支持体を加熱するための一次ヒーターを備える。
【背景技術】
【0002】
垂直バッチ炉内の複数の基材(例えば、半導体ウエハ)の同時処理は、基材担体(例えば、ウエハボート)に積み重ねられたすべてのウエハを、それぞれの表面領域にわたって実質的に同じプロセス条件にどのようにさらすかという問題を提示する。一つのこうしたプロセス条件は、温度均一性である。バッチのウエハにわたって均一な処理結果をうるために、その各ウエハは、好ましくは、反応チャンバの側壁に近接し、反応チャンバの上部壁に近接して配置される加熱手段によって、共通の温度に実質的に均一に加熱することができる。
【0003】
特に基材のボートの上側ウエハに関しては、ウエハからウエハ温度の均一性は、一般的に著しい問題ではない一方、内側ウエハ温度均一性(炉の構造における非対称性による)は任意のボート回転機構によって強化されうる。しかしながら、垂直バッチ炉では、ウエハボートの下側ウエハの温度均一性は、改善が困難であることが判明しうる。これは、それらが反応チャンバの比較的冷たい下部ドアゾーンに近接して位置するという事実に起因しうる。それらの場所の影響を軽減するために、下からウエハボートを支持する台座に、下側ウエハを加熱するための一次ヒーターが提供されてもよい。
【0004】
基材担体内の基材を反応チャンバから移動して冷却し、新しい基材と交換するためには、基材担体が次のロードのために反応チャンバ内に戻された時に、温度を安定化するのに必要な時間を減少させるために一次ヒーターを保持してもよい。従って、一次ヒーターは、担体支持体が反応チャンバ外にある時に、担体支持体および周囲も加熱することができる。この加熱は、基材ラックの不均一な加熱、基材支持体内の基材のより遅い冷却および/または基材の取り扱い中の気流の乱れにつながる場合があり、これらは望ましくない場合がある。また、一次ヒーターの電力消費量は、担体支持体が反応チャンバ外にあり、一次ヒーターが作動されたままである時に大きくなりうる。
【発明の概要】
【0005】
改善された基材処理装置および方法を提供するための目的である。
【0006】
一実施形態によれば、改善された基材処理装置が提供される。基材処理装置は、その上に基材を支持するための基材担体支持体を備えてもよい。担体支持体は、基材担体を支持するための上部支持面、断熱性材料の断熱体、および担体支持体を加熱するための一次ヒーターを備えうる。断熱体は、少なくとも支持面と一次ヒーターとの間に提供されうる。
【0007】
更なる実施形態によれば、
その上に基材を支持するための基材担体支持体を備える基材処理装置を提供することを含み、該装置は、
基材担体を支持するための上部支持面と、
断熱性材料の断熱体と、
担体支持体を加熱するための一次ヒーターと、を備え、断熱体が少なくとも支持面と一次ヒーターとの間に提供されてもよく、この方法は、
担体支持体上に基材担体を支持することと、
一次ヒーターで基材支持体の担体支持体を加熱しながら、基材担体の少なくとも一つの基材を交換することと、をさらに含む。
【0008】
従来の技術を超えて達成される本発明および利点を要約するために、本発明のある目的および利点について、本明細書において上に記載してきた。当然のことながら、必ずしもこうした目的または利点の全てが本発明の任意の特定の実施形態によって達成されなくてもよいことが理解されるべきである。それゆえ、例えば、本明細書に教授または示唆する通り、一つの利点または利点の一群を達成または最適化する形式で、本明細書に教授または示唆されてもよい、他の目的または利点を必ずしも達成することなく、本発明が具体化または実行されてもよいことを、当業者は認識するであろう。
【0009】
これらの実施形態の全ては、本明細書に開示する本発明の範囲内であることが意図されている。当業者には、これらのおよび他の実施形態は、添付の図面を参照して、以下のいくつかの実施形態の発明を実施するための形態から容易に明らかとなり、本発明は、開示される全ての特定の実施形態にも限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本明細書は、本発明の実施形態と見なされるものを特に指摘し、明確に主張して、特許請求の範囲で結論付けるものの、本開示の実施形態の利点は、添付の図面と併せて読むと、本開示の実施形態のある例についての記載から、より容易に解明されてもよい。
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態による一次ヒーターを備える垂直バッチ炉の一部の概略断面側面図である。
【0012】
【
図2】
図2は、第二の実施形態による一次ヒーターを備える反応チャンバの下部にある基材担体支持体の拡大断面側面図である。
【0013】
【
図3】
図3A~3Cは、第三の実施形態による例示的な垂直熱炉を概略的に図示する。
【0014】
【
図4】
図4は、第四の実施形態による基材担体支持体の概略断面側面図である。
【0015】
【
図5A】
図5Aは、従来技術と比較して、
図1、2、3A、3B、3Cまたは4に従った基材担体支持体の一部の結果を描写するものである。
【
図5B】
図5Bは、従来技術と比較して、
図1、2、3A、3B、3Cまたは4に従った基材担体支持体の一部の結果を描写するものである。
【
図5C】
図5Cは、従来技術と比較して、
図1、2、3A、3B、3Cまたは4に従った基材担体支持体の一部の結果を描写するものである。。
【発明を実施するための形態】
【0016】
いくつかの実施形態および実施例を以下に開示するが、本発明が、具体的に開示する本発明の実施形態および/または用途、並びにその明白な変更および均等物を超えて拡大することは、当業者により理解されるであろう。それゆえ、開示する本発明の範囲は、以下に記載し具体的に開示する実施形態によって限定されるべきでないことが意図される。本明細書に示される図は、何らかの特定の材料、構造またはデバイスの実際の図であることを意味せず、本開示の実施形態について記載するために使用される、単に理想化された表現にすぎない。
【0017】
本明細書で使用する通り、「基材」または「ウエハ」という用語は、使用される場合がある、またはその上にデバイス、回路もしくはフィルムが形成される場合がある、あらゆる下層材料または複数の下層材料を指してもよい。「半導体デバイス構造」という用語は、半導体基材上または半導体基材内に形成される半導体デバイスの能動的または受動的な構成要素の少なくとも一部分を含む、または画定する、処理されたまたは部分的に処理された半導体構造の任意の部分を示しうる。例えば、半導体デバイス構造は、例えば、トランジスタ、メモリ素子、変換器、コンデンサ、抵抗器、導電線、導電性バイア、および導電性コンタクトパッドなど、集積回路の能動的および受動的構成要素を含んでもよい。
【0018】
図1は、垂直熱処理炉1の一部の断面側面図に概略的に図示している。炉1は、単一または二重管型のものであってもよく、略ベルジャー形状の反応チューブ10を含んでもよい。反応チューブ10は、基材、例えば、ウエハが処理されうる、反応空間14を画定する反応チャンバ12を区切ってもよい。
【0019】
反応チューブ10は、電力供給源(図示せず)によって給電される電気抵抗性の加熱コイル18などの、反応空間14内に受け入れられる加熱ウエハのためのチューブヒーターによって取り囲まれ、または包囲されうる。チューブヒーター18は、反応チューブ10を包囲するまたは取り囲む断熱性スリーブ16に固定されうる。反応チューブ10は、略管状の、例えば円形または多角形の断面形状を有してもよく、中心軸Lに沿って延びてもよい。製造材料に関しては、反応チューブ10は、石英、炭化ケイ素、シリコンまたは別の適切な耐熱材料で作製されてもよい。その下部、開放端では、反応チューブ10は、ウエハボート24が反応チャンバ12に入るおよび/または出ることができる中央炉開口部22を画定するフランジ20上に支持されてもよい。
【0020】
ウエハボート24(基材担体)は、例えば半導体ウエハ28(そのうち一つのみが
図1および2に示されている)などと同数の基材を保持するための複数のスロット26(例えば10~300、好ましくは25~250)を含むことができ、支持アセンブリ30の基材担体支持体32(例えば台座)の上部支持面34上に支持することができる。基材担体支持体32は、ベアリング44、例えば、ローラー、流体または磁気軸受などの手段によって、ドアプレートまたはシールキャップ42上に取り付けられてもよい。
【0021】
エレベーターまたはリフト(図示せず)を使用して、それぞれ処理の開始および終了時に担体支持体32および基材担体24を、上昇させて反応チャンバ12に入れるおよび下降させて反応チャンバ12から出すように使用できる。反応チャンバ12が確実に気密シールされるように、いくつかのエラストマーOリング46を、炉1の下部、特に反応チューブ10とフランジ20との間、およびフランジ20とドアプレート42との間に用いることができる。
【0022】
基材担体支持体32は、一次ヒーター50を収容しうる。一次ヒーター50は、0.5~10キロワット、好ましくは1~6キロワット、最も好ましくは2~4キロワットの電力を有しうる。担体支持体32は、断熱性材料の断熱体38で少なくとも部分的に充填されうる。断熱性材料は、0.05W/mK~5W/mK、または0.2~2W/mK、0.3~1W/mK、を断熱する。
【0023】
断熱体38は、基材担体24内の基材が反応チャンバ12から外へ出されて冷却し、新鮮な基材と置き換えられる場合、上部支持面34と一次ヒーター50との間に熱シールドとして役立つように提供されてもよい。次に一次ヒーター50は、基材担体24が次のロードで反応チャンバ12内に戻された時に、温度を安定化するのに必要な時間を減少させるために作動したままであってもよい。支持面34と一次ヒーター50との間の断熱体の厚さは、0.5~12cm、好ましくは1~8cm、最も好ましくは2~6cmでありうる。
【0024】
断熱性材料の断熱体38は、担体支持体32が反応チャンバ12の外側にあるときに一次ヒーター50が担体支持体32およびその周囲を加熱する可能性があるという問題を軽減することができる。こうした加熱は、基材担体の不均一な加熱、および/または基材担体内の基材のより遅い冷却につながりうる。さらに、基材の取り扱い中の気流の乱れにつながる場合があり、これは下向きの流れが基材28上の粒子汚染を回避するのに好ましく、乱れが上向きの流れを生み出す可能性があるため、望ましくない場合がある。また、一次ヒーター50の電力消費量は、担体支持体32が反応チャンバ外にある時に、絶縁体によって減少しうる。
【0025】
担体支持体32は、サイドプレート36bを備えうる。断熱体38は、サイドプレート36bと一次ヒーター50との間に提供されて、担体支持体が反応チャンバ12外にある時に、サイドプレート36bを通して熱損失を減少させうる。また、反応チャンバ12が閉じている時に、例えば、ドアプレート42およびフランジ20などの炉1の下部分を通して熱損失を減少させることができる。
【0026】
担体支持体32は、下部プレート36cを備えてもよく、断熱体38は、下部プレート36cと一次ヒーター50との間に提供され、担体支持体32が反応チャンバ12外にある時に熱損失を減少させてもよい。また、反応チャンバが閉じている時に、例えば、ドアプレート42およびフランジ20などの炉1の下部分を通して熱損失を減少させることができる。絶縁材料38は、容器36a、b、cの壁に対して移動可能(回転可能)なベースプレート39上に置かれてもよい。
【0027】
支持表面34の下では、一次ヒーター50は、上部支持面34の面積に対してより小さいかまたはほぼ等しい領域を覆うために広がりうる。これは、基材担体24内の(下側)ウエハ28をその全表面にわたって加熱するために必要とされうる。
【0028】
一次ヒーター50は、絶縁体38内に固定され、かつ実質的に囲まれていてもよい。一次ヒーター50に(電気的に)接続するための上方に延びる接続部分52は、断熱体38内に埋め込まれてもよい。断熱体38は、一次ヒーター50をその周囲から実質的に断熱する場合がある。
【0029】
モーター駆動は、反応チャンバ12の中央軸Lの周りを担体支持体32が回転するように提供されうる。基材担体24は、担体支持体32に接続されうるので、それと共に回転してもよい。ドアプレート42および炉1の固定構造の残りの部分、例えば、反応チューブ10および断熱性スリーブ16は、担体支持体32の容器36a、b、cの回転中に静止したままでありうる。ベースプレート39、絶縁体38、および一次ヒーター50も、容器36の回転中に静止したままであってもよい。これは、ドアプレート42などの担体サポート32の回転軸Lに対して回転不能に取り付けられた炉1の静止部分に、絶縁体38および一次ヒーター50を備えるベースプレート39を、固定的または堅固に接続することによって行われてもよい。
【0030】
別の方法として、回転可能に取り付けられた支持ヒーター50には、専用のモーター駆動も提供されうる。モーター駆動は、一次ヒーター50を、基材支持体32が駆動される方向とは異なる角速度でまたは反対方向に回転させるように構成されうる。
【0031】
担体支持体32は、上部プレート36A、円筒形サイドプレート36Bおよび下部プレート36Cを備えてもよく、これらのプレートは略円筒形の容器36を画定するように相互接続されてもよい。上部プレート36Aの外部表面は、担体支持体30の支持面34を画定しうる。容器36A、B、cは、上部プレート36Aと下部プレート36Cとの間に延在してもよく、本体は一次ヒーター50の少なくとも一部を収容する。
【0032】
図2~
図4は、実施形態による例示的な垂直熱炉を概略的に図示する。
図2~
図4の考察を不明瞭にするために、
図1と同一の参照番号が類似の構成要素に使用される。しかしながら、
図2~
図4に図示された様々な構成要素の物理的特性および関係は、
図1のものとは異なる場合があることが理解される。
図2~
図4に示す垂直熱炉のその他の構成要素は、上述の従来的な炉1の対応する構成要素と略同一でありうる。
【0033】
図2は、第二の実施形態による一次ヒーター50を有する反応チャンバの下部における基材担体支持体の拡大断面側面図である。一次ヒーター50は、一次ヒーター50が回転可能な担体支持体32に機械的に結合されることによって、第二の実施形態では回転可能に取り付けられてもよく、それにより構築がより容易になりうる。
【0034】
基材担体支持体32は、一次ヒーター50を収容してもよく、断熱性材料の断熱体38で少なくとも部分的に充填されてもよい。一次ヒーター50は、0.5~10キロワット、好ましくは1~6キロワット、最も好ましくは2~4キロワットの電力を有しうる。断熱性材料は、0.05W/mK~5W/mK、または0.2~2W/mK、0.3~1W/mK、を断熱する。
【0035】
断熱体38は、基材担体24内の基材が反応チャンバ12から外へ出されて冷却し、新鮮な基材と置き換えられる場合、上部支持面34と一次ヒーター50との間に絶縁体として役立つように提供されてもよい。支持面34と一次ヒーター50との間の断熱体の厚さは、0.5~12cm、好ましくは1~8cm、最も好ましくは2~6cmでありうる。
【0036】
一次ヒーター50は、基材担体24が次のロードで反応チャンバ12内に戻された時に、温度を安定化するのに必要な時間を減少させるために作動したままであってもよい。断熱性材料の絶縁体38は、担体支持体32が反応チャンバ12外にある時に、一次ヒーター50が担体支持体32および周囲を加熱することを部分的に防ぐことができる。このような加熱は、さもなければ、基材担体の不均一な加熱、基材担体内の基材のより遅い冷却および/または基材の取り扱い中の気流の乱れにつながる場合があり、これらは望ましくない場合がある。また、一次ヒーター50の電力消費量は、担体支持体32が反応チャンバ外にある時に、絶縁体によって減少しうる。
【0037】
担体支持体32は、サイドプレート36bを備えうる。断熱体38は、サイドプレート36bと一次ヒーター50との間に提供されて、担体支持体が反応チャンバ12外にある時に、サイドプレート36bを通して熱損失を減少させうる。また、反応チャンバ12が閉じている時に、炉1の下部分を通して熱損失を減少させることができる。
【0038】
担体支持体32は、下部プレート36cを備えてもよく、断熱体38は、下部プレート36cと一次ヒーター50との間に提供され、担体支持体32が反応チャンバ12外にある時に、下部プレート36cを通して熱損失を減少させてもよい。また、ドアプレート42およびフランジ20を通した熱損失は、反応チャンバが閉じている時に低減されうる。支持表面34の下では、一次ヒーター50は、上部支持面34の面積に対してより小さいかまたはほぼ等しい領域を覆うために広がりうる。一次ヒーター50は、基材担体24内の(下側)ウエハ28をその全表面にわたって加熱することができる。
【0039】
一次ヒーター50は、絶縁体38内に固定され、かつ実質的に囲まれていてもよい。一次ヒーター50に(電気的に)接続するための上方に延びる接続部分52は、断熱体38内に埋め込まれてもよい。断熱体38は、一次ヒーター50をその周囲から実質的に断熱する場合がある。
【0040】
モーター駆動は、反応チャンバ12の中央軸Lの周りを担体支持体32が回転するように提供されうる。ドアプレート42および炉1の固定構造の残りの部分、例えば、反応チューブ10および断熱性スリーブ16は、担体支持体32の容器36a、b、cの回転中に静止したままでありうる。絶縁材料38および一次ヒーター50は、容器36と共に回転しうる。これは、絶縁体38および一次ヒーター50を備える容器36に固定的または堅固に接続することによって行われてもよい。基材担体支持体32は、ベアリング44、例えば、ローラー、流体または磁気軸受などの手段によって、ドアプレートまたはシールキャップ42上に取り付けられてもよい。一次ヒーター50への(電気的)接続のための接続部分52は、回転を可能にするコネクタと接続されうる。
【0041】
図3Aでは、担体支持体32上に支持された基材担体24の基材は、反応チャンバ12内で処理されうる。反応チャンバ12は、ドアプレート42で閉じてもよく、基材はチューブヒーター(図示せず)と支持ヒーター50とで加熱されてもよい。
【0042】
基材28が反応チャンバ12内で処理された後、担体支持体32内の基材は、反応チャンバ12から外へ出て冷却することができる(
図3B参照)。したがって装置は、熱遮蔽および担体支持体32のうちの少なくとも一つを相互に対して移動させるよう構成および配置されたアクチュエータを備えうる。例えば、装置は、担体支持体32が反応チャンバ12に入るおよび反応チャンバ12から出る垂直方向に移動させるように構成および配置されたエレベーター59を備えうる。エレベーター59は、モーター67によって駆動されるスピンドル65に沿って移動可能な可動部分63を有しうる。
【0043】
図3Cに示すように、基材担体24は、反応チャンバ12から完全に出てもよい。その後、反応チャンバ12を反応チャンバドア35で閉じてもよい。反応チャンバドア35が閉じられると、周囲を過剰に加熱せずに、反応チャンバ12を正しい温度に保持することがより容易になりうる。
【0044】
図4は、第三の実施形態による基材担体支持体の概略断面側面図である。基材担体支持体32は、一次ヒーター50を収容してもよく、断熱性材料の断熱体38で少なくとも部分的に充填されてもよい。断熱性材料は、0.05W/mK~5W/mK、または0.2~2W/mK、0.3~1W/mK、を断熱しうる。
【0045】
断熱体38は、基材担体内の基材が反応チャンバから外へ出されて冷却し、新鮮な基材と置き換えられる場合、上部支持面34と一次ヒーター50との間に熱シールドとして役立つように提供されてもよい。支持面34と一次ヒーター50との間の断熱体38の厚さは、0.5~12cm、好ましくは1~8cm、最も好ましくは2~6cmでありうる。
【0046】
一次ヒーター50は、基材担体が次のロードで反応チャンバ内に戻された時に、温度を安定化するのに必要な時間を減少させるために作動したままであってもよい。断熱性材料の絶縁体38は、担体支持体が反応チャンバ外にある時に、一次ヒーター50が担体支持体32および周囲を加熱することを部分的に防ぐことができる。このような加熱は、さもなければ、基材担体の不均一な加熱、基材担体内の基材のより遅い冷却および/または基材の取り扱い中の気流の乱れにつながる場合があり、これらは望ましくない場合がある。また、一次ヒーター50の電力消費量は、担体支持体32が反応チャンバ外にある時に、絶縁体によって減少しうる。
【0047】
担体支持体32は、サイドプレート36bを備えうる。断熱体38は、サイドプレート36bと一次ヒーター50との間に提供されて、担体支持体32が反応チャンバ12外にある時に、サイドプレート36bを通して熱損失を減少させうる。また、反応チャンバが閉じている時に、炉の下部分を通して熱損失を減少させることもできる。
【0048】
担体支持体32は、下部プレート36cを備えてもよく、断熱体38は、下部プレート36cと一次ヒーター50との間に提供され、担体支持体32が反応チャンバ外およびまたは内側にある時に熱損失を減少させてもよい。支持表面34の下では、一次ヒーター50は、上部支持面34の面積に対してより小さいかまたはほぼ等しい領域を覆うために広がりうる。
【0049】
一次ヒーター50は、絶縁体38内に固定され、かつ実質的に囲まれていてもよい。一次ヒーターに、電気的に接続するための上方に延びる接続部分は、断熱体内に埋め込まれてもよい。断熱体38は、一次ヒーター50をその周囲から実質的に断熱する場合がある。
【0050】
担体支持体32は、支持表面34と断熱体38との間に二次ヒーター71を備えうる。二次ヒーター71は、支持表面34を形成する表面を有してもよく、または支持表面34に熱的に非常によく接続されていてもよい。
【0051】
二次ヒーター71は、断熱体38内に若干埋め込まれていてもよい。これにより、二次ヒーター71に近いサイドプレート36bに対する熱損失を減少させうる。
【0052】
一次ヒーター50は、二次ヒーター71よりも大きな加熱力を有してもよい。一次ヒーター50は、0.5~10キロワット、好ましくは1~6キロワット、最も好ましくは2~4キロワットの電力を有しうる。二次ヒーター71は、0.1~3キロワット、好ましくは0.3~2キロワット、最も好ましくは0.5~1.2キロワットの電力を有しうる。
【0053】
装置は、反応空間を画定する反応チャンバ(
図1、2、3A、3Bおよび3Cを参照)と、それを介して担体支持体上に支持された基材担体を反応空間内で移動させることができる開口部とを有することができる。装置は、担体支持体32の温度を制御するための熱制御装置73を備えうる。
【0054】
熱制御装置73は、二次ヒーターコネクター75で二次ヒーター71に動作可能に接続されてもよく、基材担体24が反応空間外にある時に二次ヒーター71を切り替えるようにプログラムされてもよい。熱制御装置73は、基材担体32が反応空間内にある時に二次ヒーター71を切り替えるようにプログラムされてもよい。二次ヒーター71のこのスイッチングで加熱することによって、二次ヒーター71による環境が低減されうる。
【0055】
熱制御装置73は、一次ヒーター50にも動作可能に接続されてもよい。熱制御装置73は、一次ヒーターコネクター77で一次ヒーター50に動作可能に接続されてもよく、基材担体24が反応空間外にある時に一次ヒーターを作動させたままにするようにプログラムされてもよい。担体サポート32内の温度を安定化させるのに必要な時間は、担体支持体が反応チャンバ外にある時にも、一次ヒーターをオンにしておくことによって減少させることができる。
【0056】
図示した熱制御装置73は、担体支持体の内側に提供されてもよく、また装置の残りの部分を接続部分52と接続してもよい。接続部分52ならびに一次および二次ヒーターコネクター73、75は、単一ケーブルとして示されているが、ケーブルは二重配線で提供されてもよい。熱制御装置73はまた、装置のその他の部品に提供されてもよく、一次および二次ヒーターコネクター73、75を一次および二次ヒーターと接続してもよい。
【0057】
一次ヒーター50は、上部支持面34の面積に対してより小さいかまたは等しい領域を覆うために広がりうる。二次ヒーター71も同様に、上部支持面34の面積に対してより小さいかまたはほぼ等しい領域を覆うために広がりうる。それによって、基材担体24内の(下側)ウエハ28を、それらの全表面にわたって加熱することができる。一次ヒーター50の面積は、二次ヒーター71の面積よりも大きくてもよい。
【0058】
下側ウエハの温度均一性を最適化するために、一次ヒーター50および/または二次ヒーター71は、複数のゾーンを備えてもよい。各ゾーンの熱生成部分は、上部支持面34の一部の上に延びてもよい。例えば、第一のゾーンは、支持表面34の中央領域の上に延びてもよく、第二のゾーンは支持表面34の外側領域の上に延びてもよい。
【0059】
別の実施形態では、第一のゾーンは、支持面34の第一の接線方向に延びる領域上に延在してもよく、第二のゾーンは、支持表面34の第二の接線方向に延びる領域上に延在してもよい。各ゾーンは、個別の制御を可能にするために熱制御装置73への配線を含みうる。
実験結果
【0060】
図5Bおよび5Cは、従来技術による実施形態と比較して、実施形態による基材担体支持体の一部の結果を示す。図は、上面34から下部プレート36cまでの担体支持体の高さにわたる温度分布が経時的であることを示す。0で示される線は最低レベル、例えば、担体支持体の下部プレート36cの温度を示し、線0.1は最高レベル、例えば、担体支持体の担体支持面34の温度を示す。線0.01~0.09は、担体支持体の高さを通して均等に間隔を置いたレベルの温度を示す。
【0061】
図5Aは、担体支持体を反応器外で約1時間冷却させ、この期間中に一次ヒーターをオフに切り替えた時、温度分布が担体支持体の高さ全体にわたることを示す。すべてのレベルで担体支持体が完全に冷却されることが示されている。次のロードを行う時、担体支持体は上昇し、一次ヒーターは再びオンに切り替えてもよい。すべての温度線が時間の経過とともに水平になることによって示される温度の安定化は、1時間以内に達成されない場合があり、これは垂直炉を効率的に操作するには長すぎる。
【0062】
図5Bでは、担体支持体が
図1、2、3A、3Bまたは3Cに従って一次ヒーターおよび絶縁体を有する時、温度分布が担体支持体の高さを超えることが示されている。一次ヒーター50は、担体支持体を反応器から出す時にオンにされていてもよい。レベル0.08~レベル0.1での担体支持体は、若干冷却されうるが、
図5Aで示すものよりはかなり少ないことが示されている。さらなるレベル0.7(例えば、一次ヒータ50のレベル)~レベル0(例えば、下部プレート36Cのレベル)までは、一次ヒーター50がオンに保たれることによって同じ温度に留まる。
【0063】
反応器内の次のロードを移動させるとき、時間の経過とともに温度のすべての線が水平になることによって示される温度の安定化は、ほとんどの担体支持体が依然として同じ温度であったので数分以内に達成されうる。これにより、垂直炉をより迅速に操作できる。この例では、3.2kWの一次ヒーターのみが使用されうるが、これはこの解決策の効率を示す。
【0064】
図5Cでは、担体支持体が
図4に従って一次ヒーターおよび二次ヒーターを有する時、温度分布が担体支持体の高さを超えることが示されている。二次ヒーターが一時的にオフにされうる間に、担体支持体が次のロードのために反応器から出される時、一次ヒーターはオンに保たれうる。レベル0.08からレベル0.1(例えば、二次ヒーター71のレベル)での担体支持体が、
図5Bよりも若干速く冷却しうることを示している。さらなるレベル0.7(例えば、一次ヒータ50のレベル)~レベル0(例えば、下部プレート36Cのレベル)までは、一次ヒーターがオンに留まるので、同じ温度に留まる。
【0065】
反応器内の次のロードを移動させ、二次ヒーター71をオンに切り替える時、経時的な温度のすべての線が水平になることによって示される温度の安定化は、再び数分以内に達成される場合があり、これは
図5Aの例よりもずっと迅速である。この例では、0.9kWの二次ヒーターおよび2.5kWの一次ヒーターを使用しうる。この例における消失電力は、同じことをしている純粋な二次ヒーターのわずか20%であり得、これはこの解決策の効率を証明する。
【0066】
本発明の例示的な実施形態が上記の添付図面を参照して既に記載されてきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されないことが理解されるべきである。本開示の実施形態への変更は、本発明を実施する当業者によって、図面、本開示および添付の特許請求の範囲から、理解され達成され得る。
【0067】
本明細書全体を通して、「一実施形態(one embodiment)」または「一実施形態(an embodiment)」とは、実施形態に関連して説明した特定の特徴、構造または特性が、本発明の少なくとも一つの実施形態に含まれることを意味する。したがって、本明細書全体を通して様々な場所での「一実施形態では(in one embodiment)」または「一実施形態では(in an embodiment)」の使用は、必ずしも同じ実施形態を指すわけではない。さらに、一つ以上の実施形態の特定の特徴、構造、または特性を、新しく明示的に記述されていない実施形態を形成するための適切な任意の方法で組み合わせうることに留意されたい。