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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 23/00 20060101AFI20240611BHJP
   B65D 25/20 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B65D23/00 Z
B65D25/20 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020006400
(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公開番号】P2021113070
(43)【公開日】2021-08-05
【審査請求日】2022-10-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000224101
【氏名又は名称】藤森工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【弁理士】
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】平田 陽
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 真一郎
(72)【発明者】
【氏名】飯塚 宏和
【審査官】小原 一郎
(56)【参考文献】
【文献】実開昭60-163232(JP,U)
【文献】特表2004-527424(JP,A)
【文献】特開2012-236644(JP,A)
【文献】実開平07-015566(JP,U)
【文献】特開2007-161299(JP,A)
【文献】特開昭53-137243(JP,A)
【文献】特開平06-170838(JP,A)
【文献】特開2010-222061(JP,A)
【文献】特開2004-099115(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0165669(US,A1)
【文献】実開昭48-042970(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 23/00
B65D 25/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状、半固形状、固形状、粉状、粒状の各物質を収容するための容器であって、
少なくとも一部が透明な本体容器に、その本体容器とは異なる材料で形成された扁平な筒状の外枠が取り付けられたものであり、
前記本体容器が、ガラスによって形成されているとともに、
前記外枠が、表面をアセチル化処理したスギ材の粒子および相溶化剤である酸変性ポリオレフィンを添加した直鎖状低密度ポリエチレンによって形成されていることを特徴とする容器。
【請求項2】
前記外枠が、下部に平担面を形成したものであることを特徴とする請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記外枠が、複数の部品に分割されており、それらの部品を前記本体容器の外周で組み付けることによって一体的に形成されたものであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器本体が、内容物を収容するための収容部の上部に内容物を注出するための筒状の注出部を設けたものであるとともに、
前記外枠が、前記注出部を挿通させるための切り欠きを設けたものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の容器。
【請求項5】
前記容器本体が、内容物を収容するための収容部の上部に内容物を注出するための筒状の注出部を設けたものであるとともに、
前記外枠が、前記注出部を挿通させるための欠落部を設けたものであることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化粧品、薬剤、食品等を収容(収納)するための容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
化粧品、薬剤、食品等の液状物、半固形物、粉状物、粒状物等の各物質を収容するための容器として、特許文献1の如く、内容物を収容可能な本体容器の上部に、キャップ状の蓋部材を螺着可能に設けたものが知られている。また、そのような容器においては、本体容器として、ガラスや透明な合成樹脂等によって一体的に形成されたものが使用され、蓋部材として、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリアクリル等の各種の合成樹脂を射出成形することによって一体的に形成されたものが使用されることが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-211931号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の如き従来の容器は、ガラスや合成樹脂等の単一の素材によって一体的に形成された本体容器の上部に、射出成形によって形成された単色の蓋部材が取り付けられているだけであるため、装飾性に乏しく、美観に優れているとは言い難い。また、特許文献1の如き従来の容器は、誤って落下させた場合に、本体容器が破損し易く、本体容器がガラス製のものであると、その傾向が顕著なものとなる。
【0005】
本発明の目的は、上記従来の化粧品、薬剤等の容器が有する問題点を解消し、美観に優れているとともに、強度が高く破損しにくい上、容易に製造することが可能な容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内、請求項1に記載された発明は、液状、半固形状、固形状、粉状、粒状の各物質を収容するための容器であって、少なくとも一部が透明な本体容器に、その本体容器とは異なる材料で形成された扁平な筒状の外枠が取り付けられたものであり、前記本体容器が、ガラスによって形成されているとともに、前記外枠が、表面をアセチル化処理したスギ材の粒子および相溶化剤である酸変性ポリオレフィンを添加した直鎖状低密度ポリエチレンによって形成されていることを特徴とするものである。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記外枠が、下部に平担面を形成したものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、前記外枠が、複数の部品に分割されており、それらの部品を前記本体容器の外周で組み付けることによって一体的に形成されたものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1~3のいずれかに記載された発明において、前記容器本体が、内容物を収容するための収容部の上部に内容物を注出するための筒状の注出部を設けたものであるとともに、前記外枠が、前記注出部を挿通させる(係止させる)ための切り欠きを設けたものであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1~3のいずれかに記載された発明において、前記容器本体が、内容物を収容するための収容部の上部に内容物を注出するための筒状の注出部を設けたものであるとともに、前記外枠が、前記注出部を挿通させるための欠落部を設けたものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の容器は、少なくとも一部が透明な本体容器に、その本体容器とは異なる材料で形成された扁平な筒状の外枠が取り付けられているので、本体容器および本体容器内の内容物が無色透明であっても、外枠が本体容器とは異なる質感を醸し出すため、装飾性が高く美観に優れている。また、請求項1に記載の容器は、外枠が筒状であるので、外枠の外周面に印刷や一体的な装飾を施し易く製造が容易である。さらに、請求項1に記載の容器は、本体容器の周囲が外枠で覆われているので、強度が高く、誤って落下させた場合でも本体容器が破損しにくい。
【0014】
請求項2に記載の容器は、外枠が下部に平担面を形成したものであるため、本体容器の形状がどのような形状をしている場合でも、安定した状態で起立させることができる。
【0015】
請求項3に記載の容器は、外枠が分割された複数の部品を本体容器の外周で組み付けることによって一体的に形成されたものであるため、外枠を本体容器の周囲に簡単に取り付けることができるので、製造が容易である。
【0016】
請求項4に記載の容器は、外枠の切り欠きに本体容器の注出部を挿通させる(係止させる)ことによって、外枠を本体容器に簡単に取り付けることができるため、製造が容易である。
【0017】
請求項5に記載の容器は、外枠の切落部に本体容器の注出部を挿通させることによって、外枠を本体容器に非常に簡単に取り付けることができるため、製造がきわめて容易である。
【0019】
請求項1に記載の容器は、本体容器がガラスによって形成されているとともに外枠が植物由来材含有樹脂によって形成されているので、植物由来材含有樹脂製の外枠が高い強度を発現するため、本体容器を構成するガラスを薄肉にすることによって軽量なものとすることができる。また、植物由来材含有樹脂製の外枠の表面が粗面であるので、手で把持したときに滑りにくく、誤って落下させる事態を効果的に防止することができる。さらに、請求項1に記載の容器は、外枠が植物由来材含有樹脂製であるため、高級な質感(木質感)を醸し出すことができるので、きわめて美観が良好である。加えて、請求項1に係る容器は、外枠が植物由来材含有樹脂というカーボンニュートラルな材料によって構成されているので、燃焼時におけるCOの排出量が少ないため、(廃棄時の)環境負荷が小さい。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】第一実施形態の容器を示す説明図である(aは斜視図であり、bは右側面図であり、cはbにおけるA-A線断面図(蓋部材を取り外した状態)である)。
図2】第一実施形態の容器の本体容器を示す説明図(斜視図)である。
図3】第一実施形態の容器の外枠を示す説明図である(aは斜視図であり、bは正面図であり、cは側面図であり、dは鉛直断面図(cにおけるB-B線断面図)である)。
図4】第二実施形態の容器を示す説明図である(aは斜視図であり、bは分解した状態の正面図である)。
図5】第三実施形態の容器を示す説明図である(aは斜視図であり、bは分解した状態の正面図である)。
図6】外枠の変更例を示す説明図(斜視図)である(aは左右に分割可能な外枠を示したものであり、bは前後に分割可能な外枠を示したものであり、c~eは上下に分割可能な外枠を示したものである)。
図7】外枠の各部材の接合方法を示す説明図(外枠の板面に対して垂直な方向の断面図)である(aは外枠の各部材に接合可能な薄肉部を互い違いに設ける方法を示したものであり、bは外枠の各部材に嵌合可能な鉤状部を互い違いに設ける方法を示したものである)。
図8】外枠の変更例を示す説明図である(aは切り欠きを設けた外枠の斜視図であり、b~dは、種々の形状の切り欠きを設けた外枠の平面図である)。
図9】容器の変更例を示す説明図である(aは斜視図であり、bは分解した状態の斜視図である)。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る容器は、少なくとも一部が透明な本体容器に、その本体容器とは異なる材料で形成された扁平な筒状の外枠が取り付けられたものである。本体容器は、合成樹脂製のものでも良いし、ガラス製のものでも良い。また、本体容器を合成樹脂によって形成する場合には、合成樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリオレフィン等の各種のものを目的に合わせて利用することができる。加えて、本体容器は、少なくとも一部が透明であることが必要であり、全体が透明なものでも良い。
【0022】
また、本体容器の形状は、特に限定されないが、前後に扁平な円柱状、楕円柱状、角柱状であると、周縁(側周縁)を外枠で覆い易くなり、ガラス等の壊れやすい素材で形成した場合でも、外枠によって補強し易くなるので好ましい。
【0023】
一方、枠体の形状は、扁平な筒状であれば、本体容器の周囲を覆うことが可能となるので特に限定されないが、前後に扁平な円柱状、楕円柱状、角柱状であると、周縁を外枠で覆い易くなり、ガラス等の壊れやすい素材で形成した場合でも、外枠によって補強し易くなるので好ましい。また、外枠を形成する材料は、本体容器の材料と異なるものであれば、本体容器と異なる質感を醸し出すことが可能となるので特に限定されないが、合成樹脂であると、表面への印刷や塗装によって容器の装飾性が向上するので好ましい。また、外枠を形成する材料が、木質材、あるいは植物由来材含有樹脂であると、木材独特の高級感が醸し出されて容器の装飾性が一段と向上する上、容器を廃棄する際の環境負荷を小さくすることが可能となるので特に好ましい。
【0024】
外枠を合成樹脂や植物由来材含有樹脂によって形成する場合には、合成樹脂としては、ポリエステル、ポリアミド、ポリアクリル、ポリオレフィン等を用いることができるが、それら合成樹脂の中でも、ポリオレフィンを主成分とするポリオレフィン系樹脂(すなわち、ポリオレフィンの比率が概ね80質量%以上である樹脂)を用いると、外枠の製造が容易なものとなるので好ましい。また、そのようなポリオレフィンとしては、ポリプロピレン、LLDPE(直鎖状低密度ポリエチレン)等の低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンを、単独で、あるいは、それらの内の2種以上を混合して用いることができる。加えて、ポリオレフィンとして、LLDPEを用いると、合成樹脂と植物由来材の粒子との馴染み(親和性)が良好なものとなり、外枠の内部にボイドやクラックがきわめて形成されにくくなるので好ましい。
【0025】
外枠を植物由来材含有樹脂によって形成する場合には、合成樹脂原料中に充填する植物由来材の粒子としては、木質材、竹、竹炭、食品残渣からなるセルロース、あるいはそれらの混合物を粒子状に粉砕したものを好適に用いることができる。また、植物由来材として木質材を利用する場合には、スギ、ヒノキ、パイン(松)、スプルース等の針葉樹や、ローズウッド、カリン、チーク、マホガニー、ウォールナット、ナラ(オーク)、ブナ、タモ、キリ、サクラ、ラワン、カバ等の広葉樹、あるいはそれらを混合したものを好適に用いることができる。そのような植物由来材の粒子の中でも、スギを粒子状に粉砕したものを用いると、合成樹脂中での植物由来材の粒子の分散性がきわめて良好なものとなり、均一に分散しやすくなるので好ましい。
【0026】
加えて、上述した植物由来材の粒子の大きさは、特に限定されないが、粒子径(粒子の最大径の平均値)が10~500μmであると、合成樹脂と混ざりやすくなり、外枠を成形した際に、斑のない均一な物性を有するものが得られるので好ましく、粒子径が20~100μmであるとより好ましく、粒子径が40~60μmであると特に好ましい。なお、粒子の最大径は、数平均径として、顕微鏡の画像解析により得ることができ、粒子100点の直径(粒子が円形でない場合には粒子径の長さが最も長くなる径)の平均値を採用することができる。また、植物由来材の粒子として、表面をアセチル化処理(アセチレンによる処理等)した粒子を用いると、合成樹脂中での分散性が一段と良好なものとなるので好ましい。さらに、植物由来材の粒子として針状のものを用いると、外枠の強度が良好なものとなるので特に好ましい。
【0027】
また、植物由来材の粒子は、合成樹脂に対して、1~70質量%の割合で添加すると好ましい。植物由来材の粒子の添加量が1質量%未満であると、容器(外枠)を廃棄する際の環境負荷が大きくなるので好ましくない。反対に、植物由来材の粒子の添加量が70質量%を上回ると、合成樹脂と混ざりにくくなって外枠を成形しにくくなる上、合成樹脂本来の特性が発現されにくくなるので好ましくない。植物由来材の粒子の添加量は、樹脂の強度の観点から、好ましくは5~50%であり、さらに好ましくは10~30%である。
【0028】
さらに、植物由来材含有樹脂中には、植物由来材の粒子とともに、相溶化剤を添加することも可能である。かかる相溶化剤としては、ワックス成分、界面活性剤、酸変性樹脂組成物、脂肪族エステル化合物、多価アルコールエステル、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、ステアリン酸、ポリアルキレングリコール等を好適に用いることができる。加えて、それらの相溶化剤の中でも、酸変性樹脂組成物を用いるのがより好ましく、酸変性ポリオレフィン(マレイン酸変性ポリエチレンやマレイン酸変性ポリプロピレン等)を用いるのが特に好ましい。そのように相溶化剤を添加することによって、植物由来材含有樹脂中での植物由来材の粒子の分散性が一段と良好なものとなる。さらに、相溶化剤を添加する際には、相溶化剤の添加量を、0.1~30重量%に調整すると、合成樹脂と植物由来材の粒子との親和性が良好なものとなり、外枠の内部にボイドやクラックが形成されにくくなるので好ましい。加えて、植物由来材含有樹脂中には、防カビ剤を添加することも可能であり、添加することが好ましい。
【0029】
また、本発明に係る容器の外枠には、合成樹脂や金属等で形成された装飾部材を取り付けることも可能である。そのように、装飾部材を外枠に取り付けることによって、容器の装飾性を飛躍的に向上させることが可能になる。なお、装飾部材を合成樹脂によって形成する場合には、装飾部材の表面に金属色の塗装を施したり、金属蒸着を施したりすることによって、装飾部材を金属のように見せかけることも可能である。
【実施例
【0030】
以下、本発明に係る容器について、実施例によって詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
【0031】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態の容器を示したものであり、容器1は、内容物を収容するための本体容器2と、その本体容器2の上端の開口部Oを閉栓するための蓋部材3と、装飾および補強の目的で本体容器2の側周縁を覆う外枠4によって構成されており、直径(外径)×高さ=70mm×100mmの大きさを有している。
【0032】
図2は、本体容器2を示したものであり、本体容器2は、透明なガラスによって一体的に形成されている。そして、前後に扁平な中空の四角柱状(コーナーをR状に面取りした四角柱状)に形成された収容部2aの上側に、円筒状の注出部2bが連設された状態になっている。さらに、その注出部2bの外周には、蓋部材3と螺合させるためのネジ山(スクリュー)2cが設けられている。
【0033】
一方、蓋部材3は、直鎖状低密度ポリエチレン(植物由来材を含有していないもの)によって一体的に形成されており、本体容器2の注出部2bより一回り大径の円筒体3aの上側に天板3bを連設したキャップ状になっている(図1参照)。そして、円筒体3aの内周には、本体容器2の注出部2bと螺合させるためのネジ山(スクリュー)3cが設けられている。さらに、天板3bの下面には、容器1の密封性を向上させるための突起体3dが円形に設けられている。
【0034】
また、図3は、外枠4を示したものであり、外枠4は、下記の組成を有する植物由来材含有樹脂組成物Aによって、内側の寸法(高さ、左右の幅)が本体容器2の収容部2aの外側の寸法(高さ、左右の幅)と略同一の一定の前後幅(20mm)および一定の厚み(5mm)を有する扁平な中空の四角柱状(コーナーをR状に面取りした四角柱状)に形成されている。そして、上部の中央には、本体容器2の注出部2bを挿通させるための円形の挿通孔5が穿設されている。さらに、図3(d)の如く、外枠4の表面には、前後方向に沿って多数の(横幅10mm当たり30本)微細な筋状の凹部(深さ=0.1~0.5mm)6,6・・が形成されており、それらの筋状の凹部6,6・・によって木質調の装飾が施された状態になっている。筋状の凹部6,6・・は、ヤスリ等の加工で施すことができる。
[植物由来材含有樹脂組成物Aの組成]
・直鎖状低密度ポリエチレン 77.5重量部
・木質材(スギを乾燥させたもの)を粉砕してなる粒子(粒子の最大径=250μm) 20質量部
・マレイン酸変性ポリプロピレン(相溶加剤) 2.5重量部
【0035】
上記した外枠4を成形する際には、ロ字状の吐出孔を有するダイを備えた溶融押出装置を用いた押出成形法を利用することができる。そして、上記した植物由来材含有樹脂組成物Aを押出機に投入し、150~200℃の成形温度で溶融混練した後、溶融させた植物由来材含有樹脂組成物Aをダイから押し出す。そして、ダイから溶融押出しされた筒状(中空な四角柱状)で長尺な成形品を、押出し直後に、ダイの後方に設置された水冷(水温=約20℃)用の冷却水槽を通過させて急冷することによって固化させる。しかる後、その固化した長尺な成形品を、所定の長さ(20mm)毎にカッターで裁断することによって、筒状(中空な四角柱状)の外枠4,4・・を得ることができる。
【0036】
容器1においては、本体容器2が注出部2bを外枠4の挿通孔5に挿通させた状態で外枠4の内部に嵌め込まれており、外枠4が本体容器2の側周縁を覆った状態になっている。そして、外枠4の挿通孔5から上方へ突出した注出部2bに蓋部材3が装着されている(螺着されている)。さらに、外枠4の右側には、容器1の装飾性を高める目的で、合成樹脂の表面に金属色(金色)の塗装を施した矩形の平板状の装飾部材7が、内側に突出するように固着(接着)されている。
【0037】
<第一実施形態の容器の効果>
容器1は、上記の如く、透明な本体容器2に、その本体容器2とは異なる材料で形成された扁平な筒状の外枠4が取り付けられているので、本体容器2内の内容物が無色透明であっても、外枠4が本体容器2とは異なる質感を醸し出すため、装飾性が高く美観に優れている。さらに、容器1は、外枠4が筒状であるので、外枠4の外周面に印刷や一体的な装飾を施し易く製造が容易である。また、容器1は、外枠4が植物由来材含有樹脂によって形成されており高い強度を発現するため、本体容器2を構成するガラスを薄肉にすることによって軽量なものとすることができる。また、植物由来材含有樹脂製の外枠4の表面が粗面であるので、手で把持したときに滑りにくく、誤って落下させる事態を効果的に防止することができる。また、容器1は、外枠4が植物由来材含有樹脂製であるため、高級な木質感を醸し出すことができる上、(廃棄時の)環境負荷が小さい。
【0038】
[第二実施形態]
図4は、第二実施形態の容器を示したものであり、容器11は、内容物を収容するための本体容器12と、その本体容器12の上端の開口部Oを閉栓するための第一実施形態と同じ蓋部材3と、装飾および補強の目的で本体容器2の側周縁を覆う外枠14によって構成されており、直径(外径)×高さ=70mm×70mmの大きさを有している。
【0039】
本体容器12は、第一実施形態の本体容器2と同様に、透明なガラスによって一体的に形成されている。そして、前後に扁平な中空の楕円柱状(鉛直断面形状がトラック形である略楕円柱状)に形成された収容部12aの上側に、第一実施形態の本体容器2の注出部2bと同様な円筒状の注出部12bが連設された状態になっている。また、収容部2aの上部の中央および下部の中央には、それぞれ、平坦面が形成されている。
【0040】
一方、外枠14は、下記の組成を有する植物由来材含有樹脂組成物Bによって、内側の形状、寸法(高さ、左右の幅等)が本体容器12の収容部12aの外側の形状、寸法(高さ、左右の幅等)と略同一の一定の前後幅(20mm)および一定の厚み(5mm)を有する扁平な中空の楕円柱状(鉛直断面形状がトラック形である略楕円柱状)に形成されている。そして、上部の中央および下部の中央には、それぞれ、平坦面が形成された状態になっており、上部の中央には、本体容器12の注出部12bを挿通させるための円形の挿通孔15が穿設されている。さらに、外枠14の表面にも、第一実施形態の外枠4と同様に、前後方向に沿って多数の微細な筋状の凹部が形成されており、それらの筋状の凹部によって木質調の装飾が施された状態になっている。
[植物由来材含有樹脂組成物Bの組成]
・直鎖状低密度ポリエチレン 57.5重量部
・木質材(スギを乾燥させたもの)を粉砕してなる粒子 40質量部
・マレイン酸変性ポリプロピレン(相溶加剤) 2.5重量部
【0041】
上記した外枠14を成形する際には、O字状の吐出孔を有するダイを備えた溶融押出装置を用いた押出成形法を利用することができる。そして、上記した植物由来材含有樹脂組成物Bを押出機に投入し、150~200℃の成形温度で溶融混練した後、溶融させた植物由来材含有樹脂組成物Bをダイから押し出す。そして、ダイから溶融押出しされた筒状(断面が略楕円状の筒状)で長尺な成形品を、押出し直後に、ダイの後方に設置された水冷(水温=約20℃)用の冷却水槽を通過させて急冷することによって固化させる。しかる後、その固化した長尺な成形品を、所定の長さ(20mm)毎にカッターで裁断することによって、筒状(断面が略楕円状の筒状)の外枠14,14・・を得ることができる。
【0042】
容器11においては、本体容器12が注出部12bを外枠14の挿通孔15に挿通させた状態で外枠14の内部に嵌め込まれており、外枠14が本体容器12の側周縁を覆った状態になっている。そして、外枠14の挿通孔15から上方へ突出した注出部12bに蓋部材3が装着されている(螺着されている)。さらに、外枠14の右側には、容器11の装飾性を高める目的で、第一実施形態と同様な装飾部材7が、内側に突出するように固着されている。
【0043】
<第二実施形態の容器の効果>
容器11は、第一実施形態の容器1と同様に、透明な本体容器12に、その本体容器12とは異なる材料で形成された扁平な筒状の外枠14が取り付けられているので、本体容器12内の内容物が無色透明であっても、外枠14が本体容器12とは異なる質感を醸し出すため、装飾性が高く美観に優れている。また、容器11は、外枠14が筒状であるので、外枠14の外周面に印刷や一体的な装飾を施し易く製造が容易である。加えて、容器11は、外枠14が下部に平担面を形成したものであるため、安定した状態で起立させることができる。さらに、容器11は、外枠14が植物由来材含有樹脂によって形成されており高い強度を発現するため、本体容器12を構成するガラスを薄肉にすることによって軽量なものとすることができる。また、植物由来材含有樹脂製の外枠14の表面が粗面であるので、手で把持したときに滑りにくく、誤って落下させる事態を効果的に防止することができる。また、容器11は、外枠14が植物由来材含有樹脂製であるため、高級な木質感を醸し出すことができる上、(廃棄時の)環境負荷が小さい。
【0044】
[第三実施形態]
図5は、第三実施形態の容器を示したものであり、容器21は、内容物を収容するための本体容器22と、その本体容器22の上端の開口部Oを閉栓するための第一実施形態と同じ蓋部材3と、装飾および補強の目的で本体容器22の側周縁を覆う外枠24によって構成されており、直径(外径)×高さ=70mm×100mmの大きさを有している。
【0045】
本体容器22は、第一実施形態の本体容器2と同様に、透明なガラスによって一体的に形成されている。そして、前後に扁平な中空の四角柱状(鉛直断面形状が台形である四角柱状)に形成された収容部22aの上側に、第一実施形態の本体容器2の注出部2bと同様な円筒状の注出部22bが連設された状態になっている。
【0046】
一方、外枠24は、直鎖状低密度ポリエチレン(植物由来材を含有していないもの)によって、内側の形状、寸法(高さ、左右の幅等)が本体容器22の収容部22aの外側の形状、寸法(高さ、左右の幅等)と略同一の一定の前後幅(20mm)および一定の厚み(5mm)を有する扁平な中空の四角柱状(鉛直断面形状が台形である四角柱状)に形成されている。そして、上部の中央には、本体容器22の注出部22bを挿通させるための円形の挿通孔25が穿設されている。さらに、外枠24の表面にも、第一実施形態の外枠4と同様に、前後方向に沿って多数の微細な筋状の凹部が形成されており、それらの筋状の凹部によって木質調の装飾が施された状態になっている。
【0047】
上記した外枠24を成形する際には、ロ字状(輪郭が台形のロ字状)の吐出孔を有するダイを備えた溶融押出装置を用いた押出成形法を利用することができる。そして、上記した直鎖状低密度ポリエチレンを押出機に投入し、150~200℃の成形温度で溶融混練した後、溶融させた直鎖状低密度ポリエチレンをダイから押し出す。そして、ダイから溶融押出しされた筒状(中空な四角柱状)で長尺な成形品を、押出し直後に、ダイの後方に設置された水冷(水温=約20℃)用の冷却水槽を通過させて急冷することによって固化させる。しかる後、その固化した長尺な成形品を、所定の長さ(20mm)毎にカッターで裁断することによって、筒状(中空な四角柱状)の外枠24,24・・を得ることができる。
【0048】
容器21においては、本体容器22が注出部22bを外枠24の挿通孔25に挿通させた状態で外枠24の内部に嵌め込まれており、外枠24が本体容器22の側周縁を覆った状態になっている。そして、外枠24の挿通孔25から上方へ突出した注出部22bに蓋部材3が装着されている(螺着されている)。さらに、外枠24の右側には、容器1の装飾性を高める目的で、第一実施形態と同じ装飾部材7が、内側に突出するように固着されている。
【0049】
<第三実施形態の容器の効果>
容器21は、上記の如く、透明な本体容器22に、その本体容器22とは異なる材料(直鎖状低密度ポリエチレン)で形成された扁平な筒状の外枠24が取り付けられているので、本体容器22内の内容物が無色透明であっても、外枠24が本体容器22とは異なる質感を醸し出すため、装飾性が高い。さらに、容器21は、外枠24が筒状であるので、外枠24の外周面に印刷や一体的な装飾を施し易く製造が容易である。また、容器21は、外枠24が合成樹脂によって形成されており高い強度を発現するため、本体容器22を構成するガラスを薄肉にすることによって軽量なものとすることができる。また、合成樹脂製の外枠24の表面が粗面であるので、手で把持したときに滑りにくく、誤って落下させる事態を効果的に防止することができる。また、容器21は、外枠24が木質調の表面処理を施した合成樹脂によって形成されているため、低コストで製造できるにもかかわらず美観が良好である。
【0050】
<容器の変更例>
本発明に係る容器は、上記実施形態の態様に何ら限定されるものではなく、本体容器、蓋部材、外枠の材質、形状、構造、大きさ等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0051】
たとえば、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、本体容器がガラスによって形成されているものに限定されず、本体容器が透明な合成樹脂によって形成されたもの等に変更することも可能である。また、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、外枠内に本体容器が隙間なく嵌め込まれているものに限定されず、本体容器と外枠とが接着されているもの等に変更することも可能である。さらに、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、外枠が合成樹脂(植物由来材を含有しないもの)あるいは植物由来材含有樹脂によって形成されているものに限定されず、外枠が木質材によって形成されているもの等に変更することも可能である。また、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、本体容器の正面および背面が平坦であるものに限定されず、本体容器の正面および背面が外側に膨出しているもの等に変更することも可能である。なお、上記実施形態の如く、本体容器の正面および背面を平坦にして外枠の前後面と面一にすることによって、本体容器の損傷防止効果を飛躍的に向上させることが可能となる。
【0052】
加えて、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、外枠が一体的に形成されているものに限定されず、図6(a)の如く、外枠34が左右に分割されているもの、図6(b)の如く、外枠44が前後に分割されているものや、図6(c)~(e)の如く、外枠54,64,74が上下に分割されているもの等に変更することが可能である。なお、本発明に係る容器を外枠が左右に分割されているものや、外枠が前後に分割されているものとする場合には、本体容器の注出部を挿通させる挿通孔等の部位において外枠を分割すると、製造時に外枠内に本体容器を装着し易くなるので好ましい。なお、扁平な四角柱状の外枠を、上下に分割されているものとする場合には、図6(c)の如く、底板54bのみを別部材としたり、図6(d)の如く、側板の中央部分で上下の2つの部材64a,64bに分割したり、図6(e)の如く、天板74aのみを別部材としたりすることができる。
【0053】
また、本発明に係る容器を、上記の如く、外枠が分割されているものとする場合には、図7(a)の如く、各部材の分割端縁に互い違いに(左右互い違い、上下互い違いあるいは前後互い違いに)薄肉部を設けて、それらの薄肉部の内面同士を接着する方法や、図7(b)の如く、各部材の分割端縁に互い違いに(左右互い違い、上下互い違いあるいは前後互い違いに)鉤状部(嵌入部分および凹状溝)を設けて、それらの鉤状部同士を嵌合させる(あるいは、嵌合させて接着する)方法等を採用することによって、分割された外枠の組み立てを容易にすることも可能である。
【0054】
さらに、本発明に係る容器は、上記実施形態の如く、筒状の外枠の上部に形成された挿通孔に本体容器の注出部(筒状部分)を挿通させた状態で、本体容器と外枠とを一体的に組み付けたものに限定されず、図8の如く、筒状の外枠84の上面に形成された切り欠き85に本体容器の注出部(筒状部分)を挿通させた状態(係止させた状態)で、本体容器と外枠85とを一体的に組み付けたものに変更することも可能である。なお、そのように外枠の上部に注出部を係止させる切り欠きを形成する場合には、図8(b)の如く、U字状の切り欠き85aにしたり、図8(c)の如く、コ字状の切り欠き85bにしたりすることも可能であるし、図8(d)の如く、切り欠き85cの開口部際を内側に突出させて嵌め込んだ注出部が外れにくくなるようにすることも可能である。
【0055】
また、本発明に係る容器は、図9の如く、筒状の外枠の上部の一部を裁断する(欠落させる)ことによって欠落部Sを形成し、その欠落部Sに本体容器2の注出部2aを挿通させた状態で、本体容器2と外枠94とを一体的に組み付けるものに変更することも可能である。なお、そのように外枠の上部に欠落部を形成する場合には、外枠の上部を直線状に裁断することも可能であるし、円弧状(外向きに凸な円弧状)にすることも可能である。加えて、裁断部分(裁断面)をテーパ状(上方から下方にかけて欠落部が幅狭となるテーパ状)にすることも可能である(図9のテーパ面98)。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明に係る容器は、上記の如く優れた効果を奏するものであるので、化粧品や薬品をはじめとする各種の液状物、半固形物、粉状物、粒状物を収容するための容器として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0057】
1,11,21・・容器
2,12,22・・本体容器
2a,12a,22a・・収容部
2b,12b,22b・・注出部
3・・蓋部材
4,14,24,34、44,54,64,74,84,94・・外枠
5・・挿通孔
6・・凹部
7・・装飾部材
85,85a,85b,85c・・切り欠き
S・・欠落部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9