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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】洗浄部材取付機構及び基板洗浄装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/304 20060101AFI20240611BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H01L21/304 644C
H01L21/304 644G
H01L21/68 N
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020097110
(22)【出願日】2020-06-03
(65)【公開番号】P2021190643
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-06-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】230112025
【弁護士】
【氏名又は名称】小林 英了
(74)【代理人】
【識別番号】230117802
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100106840
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 耕司
(74)【代理人】
【識別番号】100131451
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 理
(74)【代理人】
【識別番号】100167933
【弁理士】
【氏名又は名称】松野 知紘
(74)【代理人】
【識別番号】100174137
【弁理士】
【氏名又は名称】酒谷 誠一
(74)【代理人】
【識別番号】100184181
【弁理士】
【氏名又は名称】野本 裕史
(72)【発明者】
【氏名】宮▲崎▼ 充
(72)【発明者】
【氏名】藤本 友章
(72)【発明者】
【氏名】井上 拓也
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-139283(JP,A)
【文献】特開2000-301079(JP,A)
【文献】特開2003-318149(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/304
H01L 21/683
B08B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を備え
前記洗浄部材保持部は周縁外方で突出した周縁突出部を有し、
前記周縁突出部が前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部の内面と面接触し、前記周縁突出部が前記収容部の内面に押し付けられることで、前記洗浄部材保持部の回転が規制され、
前記周縁突出部は1つ以上の溝部を有する洗浄部材取付機構。
【請求項2】
基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を備え、
前記洗浄部材保持部は周縁外方で突出した周縁突出部を有し、
前記周縁突出部が前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部の内面と面接触し、前記周縁突出部が前記収容部の内面に押し付けられることで、前記洗浄部材保持部の回転が規制され、
前記周縁突出部は、縦断面において、洗浄部材側の厚みが洗浄部材とは反対側の厚みよりも厚くなる洗浄部材取付機構。
【請求項3】
基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を備え、
前記洗浄部材保持部が周縁外方に突出した第一突出部を有し、前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に前記第一突出部を収容する第一凹部を有する、又は前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に第二突出部を有し、前記洗浄部材保持部が前記第二突出部を収容する第二凹部を有する洗浄部材取付機構。
【請求項4】
前記第一突出部が設けられる場合において前記第一凹部が複数設けられ、又は前記第二突出部が設けられる場合において前記第二凹部が複数設けられる請求項に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項5】
前記移動部は弾性部材である請求項1乃至4のいずれか1項に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項6】
前記洗浄部材保持部は、前記部材回転部によって回転される駆動部側の洗浄部材保持部と、従動的に回転される従動部側の洗浄部材保持部とを有し、
前記移動部は従動部側の洗浄部材保持部に設けられる請求項1乃至5のいずれか1項に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項7】
前記洗浄部材保持部は周縁外方で突出した周縁突出部を有し、
前記周縁突出部が前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部の内面と面接触し、前記周縁突出部が前記収容部の内面に押し付けられることで、前記洗浄部材保持部の回転が規制される請求項3又は4に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項8】
前記周縁突出部は1つ以上の溝部を有する請求項に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項9】
前記周縁突出部は、縦断面において、洗浄部材側の厚みが洗浄部材とは反対側の厚みよりも厚くなる請求項1、7及び8のいずれか1項に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項10】
前記洗浄部材保持部が周縁外方に突出した第一突出部を有し、前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に前記第一突出部を収容する第一凹部を有する、又は前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に第二突出部を有し、前記洗浄部材保持部が前記第二突出部を収容する第二凹部を有する請求項1又は2に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項11】
前記第一突出部が設けられる場合において前記第一凹部が複数設けられ、又は前記第二突出部が設けられる場合において前記第二凹部が複数設けられる請求項10に記載の洗浄部材取付機構。
【請求項12】
基板を支持するための基板支持部と、
前記基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を有し、
前記洗浄部材保持部は周縁外方で突出した周縁突出部を有し、
前記周縁突出部が前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部の内面と面接触し、前記周縁突出部が前記収容部の内面に押し付けられることで、前記洗浄部材保持部の回転が規制され、
前記周縁突出部は1つ以上の溝部を有する基板洗浄装置。
【請求項13】
基板を支持するための基板支持部と、
前記基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を有し、
前記洗浄部材保持部は周縁外方で突出した周縁突出部を有し、
前記周縁突出部が前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部の内面と面接触し、前記周縁突出部が前記収容部の内面に押し付けられることで、前記洗浄部材保持部の回転が規制され、
前記周縁突出部は、縦断面において、洗浄部材側の厚みが洗浄部材とは反対側の厚みよりも厚くなる基板洗浄装置。
【請求項14】
基板を支持するための基板支持部と、
前記基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を有し、
前記洗浄部材保持部が周縁外方に突出した第一突出部を有し、前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に前記第一突出部を収容する第一凹部を有する、又は前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に第二突出部を有し、前記洗浄部材保持部が前記第二突出部を収容する第二凹部を有する基板洗浄装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洗浄部材アセンブリを取り付け可能となり、洗浄部材アセンブリを取り付けた状態で回転可能な洗浄部材保持部を有する洗浄部材取付機構及び基板洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ポリッシングを終了したウエハ等の基板を高い洗浄度で洗浄する方法として、基板の洗浄面にブラシやスポンジからなる洗浄部材を擦り付けて行うスクラブ洗浄(1次洗浄)を行った後に、基板に向けて高圧水(高速ジェット流)を噴射し、キャビテーションによる気泡を発生させて仕上げ洗浄(2次洗浄)を行うことが知られている。
【0003】
洗浄部材としては例えばロール洗浄部材やペンシル洗浄部材が知られている。一例として、特許文献1では、基板をほぼ水平面内で回転させつつ保持する基板保持部と、基板の被洗浄面をスクラブ洗浄する洗浄具と、洗浄具をその軸線まわりに回転可能に保持する洗浄具保持部と、を有する基板洗浄装置が開示されている。ロール洗浄部材やペンシル洗浄部材等の洗浄部材は適宜洗浄されて利用されるが、一定の周期で取り換えも行われている。洗浄部材を取り換える際には、洗浄部材を含む洗浄部材アセンブリを洗浄部材保持部に取り付けることになるが、洗浄部材保持部が回転自在となっていることから、取り付け作業に手間がかかることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2000-301079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、このような点を鑑みてなされたものであり、洗浄部材アセンブリを洗浄部材保持部に容易に取り付けることができる洗浄部材取付機構及び基板洗浄装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明による洗浄部材取付機構は、
基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を備えてもよい。
【0007】
本発明による洗浄部材取付機構において、
前記移動部は弾性部材であってもよい。
【0008】
本発明による洗浄部材取付機構において、
前記洗浄部材保持部は、前記部材回転部によって回転される駆動部側の洗浄部材保持部と、従動的に回転される従動部側の洗浄部材保持部とを有し、
前記移動部は従動部側の洗浄部材保持部に設けられてもよい。
【0009】
本発明による洗浄部材取付機構において、
前記洗浄部材保持部は周縁外方で突出した周縁突出部を有し、
前記周縁突出部が前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部の内面と面接触し、前記周縁突出部が前記収容部の内面に押し付けられることで、前記洗浄部材保持部の回転が規制されてもよい。
【0010】
本発明による洗浄部材取付機構において、
前記周縁突出部は1つ以上の溝部を有してもよい。
【0011】
本発明による洗浄部材取付機構において、
前記周縁突出部は、縦断面において、洗浄部材側の厚みが洗浄部材とは反対側の厚みよりも厚くなってもよい。
【0012】
本発明による洗浄部材取付機構において、
前記洗浄部材保持部が周縁外方に突出した第一突出部を有し、前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に前記第一突出部を収容する第一凹部を有する、又は前記洗浄部材保持部の少なくとも一部を収容する収容部は内面に第二突出部を有し、前記洗浄部材保持部が前記第二突出部を収容してもよい。
【0013】
本発明による洗浄部材取付機構において、
前記第一突出部が設けられる場合において前記第一凹部が複数設けられ、又は前記第二突出部が設けられる場合において前記第二凹部が複数設けられてもよい。
【0014】
本発明による基板洗浄装置は、
基板を支持するための基板支持部と、
基板を洗浄するための洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリを取り付け可能となる洗浄部材保持部と、
前記洗浄部材保持部で保持された前記洗浄部材アセンブリを回転させる部材回転部と、
前記洗浄部材アセンブリを取り外した状態で前記洗浄部材保持部を軸方向に沿って移動させ、前記洗浄部材保持部の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部と、
を備えてもよい。
【本発明の効果】
【0015】
本発明によれば、洗浄部材アセンブリを洗浄部材保持部に容易に取り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、本発明の実施の形態による基板処理装置の全体構成を示す概略平面図である。
図2図2は、本発明の実施の形態で用いられうる基板洗浄装置を示した斜視図である。
図3図3は、本発明の実施の形態の一例として用いられる基板洗浄装置の概略を示した図である。
図4図4は、本発明の実施の形態の別の例として用いられる基板洗浄装置の概略を示した図である。
図5図5は、本発明の実施の形態で用いられ得る洗浄部材保持部に洗浄部材アセンブリが取り付けられている際の構成を示した側方断面図である。
図6図6は、本発明の実施の形態で用いられ得る洗浄部材保持部から洗浄部材アセンブリが取り外されている際の構成を示した側方断面図である。
図7図7は、本発明の実施の形態で用いられ得るロール洗浄部材の一例を示した斜視図である。
図8図8は、本発明の実施の形態で用いられ得るロール洗浄部材の別の例を示した斜視図である。
図9図9は、本発明の実施の形態で用いられ得る洗浄部材保持部を洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様を示した図である。
図10図10は、本発明の実施の形態で用いられ得る周縁突出部を有する洗浄部材保持部の第一例を洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様を示す図である。
図11図11は、本発明の実施の形態で用いられ得る周縁突出部を有する洗浄部材保持部の第二例を洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様を示す図である。
図12図12は、本発明の実施の形態で用いられ得る周縁突出部を有する洗浄部材保持部の第三例を洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様を示す図である。
図13図13は、本発明の実施の形態で用いられ得る、第一突出部を有する洗浄部材保持部と、第一突出部を収容する第一凹部を有する収容部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第一例を示す図である。
図14図14は、本発明の実施の形態で用いられ得る、第一突出部を有する洗浄部材保持部と、第一突出部を収容する第一凹部を有する収容部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第二例を示す図である。
図15図15は、本発明の実施の形態で用いられ得る、第二突出部を有する収容部と、第二突出部を収容する第二凹部を有する洗浄部材保持部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第一例を示す図である。
図16図16は、本発明の実施の形態で用いられ得る、第二突出部を有する収容部と、第二突出部を収容する第二凹部を有する洗浄部材保持部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第二例を示す図である。
図17図17は、本発明の実施の形態で用いられ得る、周縁突出部及び第一突出部を有する洗浄部材保持部と、第一突出部を収容する第一凹部を有する収容部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様を示す図である。
図18図18は、本発明の実施の形態で用いられ得る、第二突出部を有する収容部と、周縁突出部及び第二突出部を収容する第二凹部を有する洗浄部材保持部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様を示す図である。
図19A図19Aは、第一突出部を有する洗浄部材保持部と、第一突出部を収容する第一凹部を有する収容部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第三例を示す図である。
図19B図19Bは、図19Aに示す態様の側方断面図である。
図20A図20Aは、本発明の実施の形態で用いられ得る、第二突出部を有する収容部と、第二突出部を収容する第二凹部を有する洗浄部材保持部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第三例を示す図である。
図20B図20Bは、図20Aに示す態様の側方断面図である。
図21A図21Aは、第一突出部を有する洗浄部材保持部と、第一突出部を収容する第一凹部を有する収容部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第四例を示す図である。
図21B図21Bは、図21Aに示す態様の側方断面図である。
図22A図22Aは、第二突出部を有する収容部と、周縁突出部及び第二突出部を収容する第二凹部を有する洗浄部材保持部とを洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様の第四例を示す図である。
図22B図22Bは、図22Aに示す態様の側方断面図である。
図23A図23Aは、本発明の実施の形態で用いられ得る、周縁突出部の厚みが均一になった態様を示した洗浄部材アセンブリの回転軸に沿って見た際の態様を示す図である。
図23B図23Bは、図23Aに示す態様の側方断面図である。
図24図24は、本発明の実施の形態で用いられ得る、洗浄部材保持部の取付部に切欠き等の印が設けられている態様を示した側方断面図である。
図25A図25Aは、本発明の実施の形態で用いられ得る周縁突出部が弾性部材を有する態様であって、当該弾性部材が収容部に当接していない様子を示した側方断面図である。
図25B図25Bは、本発明の実施の形態で用いられ得る周縁突出部が弾性部材を有する態様であって、当該弾性部材が収容部に当接している様子を示した側方断面図である。
図26図26は、本発明の実施の形態による基板処理装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
実施の形態
《構成》
基板洗浄装置等を含む基板処理装置の実施の形態について説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施の形態の基板処理装置は、略矩形状のハウジング310と、多数の基板Wをストックする基板カセットが載置されるロードポート312と、を有している。ロードポート312は、ハウジング310に隣接して配置されている。ロードポート312には、オープンカセット、SMIF(Standard Mechanical Interface)ポッド、又はFOUP(Front Opening Unified Pod)を搭載することができる。SMIFポッド、FOUPは、内部に基板カセットを収納し、隔壁で覆うことにより、外部空間とは独立した環境を保つことができる密閉容器である。基板Wとしては、例えば半導体ウエハ等を挙げることができる。
【0019】
ハウジング310の内部には、複数(図1に示す態様では4つ)の研磨ユニット314a~314dと、研磨後の基板Wを洗浄する第1洗浄ユニット316及び第2洗浄ユニット318と、洗浄後の基板Wを乾燥させる乾燥ユニット320とが収容されている。研磨ユニット314a~314dは、基板処理装置の長手方向に沿って配列され、洗浄ユニット316、318及び乾燥ユニット320も基板処理装置の長手方向に沿って配列されている。本実施の形態の基板処理装置によれば、直径300mm又は450mmの半導体ウエハ、フラットパネル、CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)やCCD(Charge Coupled Device)等のイメージセンサ、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)における磁性膜の製造工程において、種々の基板Wを、研磨処理することができる。なお、別の実施の形態の基板処理装置としては、ハウジング310内に基板Wを研磨する研磨ユニットを設けず、基板Wの洗浄処理及び乾燥処理を行う装置としてもよい。
【0020】
ロードポート312、ロードポート312側に位置する研磨ユニット314a及び乾燥ユニット320に囲まれた領域には、第1搬送ロボット322が配置されている。また、研磨ユニット314a~314d並びに洗浄ユニット316、318及び乾燥ユニット320と平行に、搬送ユニット324が配置されている。第1搬送ロボット322は、研磨前の基板Wをロードポート312から受け取って搬送ユニット324に受け渡したり、乾燥後の基板Wを乾燥ユニット320から取り出してロードポート312に戻したりする。
【0021】
第1洗浄ユニット316と第2洗浄ユニット318との間に、これら第1洗浄ユニット316と第2洗浄ユニット318の間で基板Wの受け渡しを行う第2搬送ロボット326が配置され、第2洗浄ユニット318と乾燥ユニット320との間に、これら第2洗浄ユニット318と乾燥ユニット320の間で基板Wの受け渡しを行う第3搬送ロボット328が配置されている。さらに、ハウジング310の内部には、基板処理装置の各機器の動きを制御する制御部350が配置されている。本実施の形態では、ハウジング310の内部に制御部350が配置されている態様を用いて説明するが、これに限られることはなく、ハウジング310の外部に制御部350が配置されてもよいし、制御部350は遠隔地に設けられてもよい。
【0022】
第1洗浄ユニット316として、洗浄液の存在下で、基板Wの直径のほぼ全長にわたって直線状に延びるロール洗浄部材110を接触させ、基板Wに平行な中心軸周りに自転させながら基板Wの表面をスクラブ洗浄するロール洗浄装置が使用されてもよい。また、第2洗浄ユニット318として、洗浄液の存在下で、鉛直方向に延びる円柱状のペンシル洗浄部材の接触面を接触させ、ペンシル洗浄部材を自転させながら一方向に向けて移動させて、基板Wの表面をスクラブ洗浄するペンシル洗浄装置が使用されてもよい。また、乾燥ユニット320として、水平に保持しつつ回転する基板Wに向けて、移動する噴射ノズルからIPA蒸気を噴出して基板Wを乾燥させ、さらに基板Wを高速で回転させて遠心力によって基板Wを乾燥させるスピン乾燥ユニットが使用されてもよい。
【0023】
なお、第1洗浄ユニット316としてロール洗浄装置ではなく、第2洗浄ユニット318と同様のペンシル洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。また、第2洗浄ユニット318としてペンシル洗浄装置ではなく、第1洗浄ユニット316と同様のロール洗浄装置を使用したり、二流体ジェットにより基板Wの表面を洗浄する二流体ジェット洗浄装置を使用したりしてもよい。
【0024】
本実施の形態の洗浄液には、純水(DIW)等のリンス液と、アンモニア過酸化水素水(SC1)、塩酸過酸化水素水(SC2)、硫酸過酸化水素水(SPM)、フッ酸等の薬液が含まれている。本実施の形態で特に断りのない限り、洗浄液は、リンス液、薬液、又は、リンス液及び薬液の両方を意味している。
【0025】
図2に示すように、基板洗浄装置は、半導体ウエハ等の基板Wの周縁部を支持しながら基板Wを水平回転させる複数本(図2では4本)のスピンドル(基板支持部)40を有してもよい。これらスピンドル40は、図2の矢印で示すように、水平方向に移動可能となっている。また、基板洗浄装置は、基板Wの上方に昇降自在に配置される上側ロールアーム42と、基板Wの下方に昇降自在に配置される下側ロールアーム44とを有してもよい。
【0026】
スピンドル40は、上部で基板支持部であるローラー80を有してもよい。ローラー80の外周側面には、嵌合溝80aが形成されている。そして、この嵌合溝80a内に基板Wの周縁部を位置させ、ローラー80を基板Wに押付けて回転させる。これにより、基板Wが図2に矢印Eで示すように水平に回転させられる。ここに図示した実施形態では、4個全てのローラー80を図示しない駆動機構に連結して、基板Wに回転力を付与するようにしている。なお、4個のうち2個のローラー80が基板Wに回転力を与え(駆動機構は図示せず)、他の2個のローラー80は、基板Wの回転を受けるベアリングとして機能させてもよい。
【0027】
図2に示す上側ロールアーム42には、円柱状で水平に延びるロール洗浄部材110(ロールスポンジ)110が回転自在に支持されている。このロール洗浄部材110は、例えば図2の矢印F1に示すように回転する。図2に示す下側ロールアーム44には、円柱状で水平に延びるロール洗浄部材110(ロールスポンジ)110が回転自在に支持されている。このロール洗浄部材110は、図2の矢印F2に示すように回転する。上側ロールアーム42は水平方向に延びるサポートアーム58にロードセル54を介して設けられてもよい。ロードセル54とサポートアーム58の自由端との間に、上側ロールアーム42を傾動可能に支持するチルト機構70が設置されてもよい。このようなチルト機構は下側ロールアーム44にも設けられてもよい。
【0028】
図2に示す態様では、スピンドル40で支持されながら回転させられる基板Wの上方に位置して、基板Wのおもて面(上面)に薬液及び純水(リンス液)を供給する2本の上側供給ノズル50が配置されている。2本の上側供給ノズル50のうちの一方が薬液を、他方が純水を供給するようにしてもよい。また、スピンドル40で支持されながら回転させられる基板Wの下方に位置して、基板Wの裏面(下面)に薬液及び純水(リンス液)を供給する2本の下側供給ノズル52が配置されてもよい。2本の下側供給ノズル52のうちの一方が薬液を、他方が純水を供給するようにしてもよい。
【0029】
スピンドル40は基板Wを支持する基板支持部の一例であるが、基板支持部は基板Wを水平方向に延在するようにして保持してもよいし、鉛直方向に延在するようにして保持してもよいし、水平方向から傾斜して保持してもよい。基板支持部としては前述したようなスピンドル40とは異なり、基板Wをチャック又は吸着して保持しながら回転する態様を採用してもよい。
【0030】
図3及び図4に示すように、基板洗浄装置は、基板Wを洗浄するためのロール洗浄部材110等の洗浄部材を有する洗浄部材アセンブリ100を取り付け可能となり、洗浄部材アセンブリ100を取り付けた状態で回転可能な洗浄部材保持部200と、洗浄部材保持部200で保持された洗浄部材アセンブリ100を回転させる部材回転部180と、を有している。
【0031】
洗浄部材アセンブリ100は、洗浄部材取付部105と、洗浄部材取付部105の表面に取り付けられる洗浄部材とを有してもよい。以下では、一例として、洗浄部材としてロール洗浄部材110を用いて説明する。図7に示すように、ロール洗浄部材110は複数のノジュール(突起部材)115を有するスポンジからなってもよい。ノジュール115の頂部の面積を5cm2以下としてもよい。洗浄部材取付部105の材料として、PVDFやPTFEを使用してもよい。また、図8に示すように、ロール洗浄部材110はノジュール(突起部材)115を有さない態様であってもよい。
【0032】
図8に示す洗浄部材取付部105は取付部である端部に一対の突出部105aを有し、一対の突出部105aの間にキー凹部105bが形成されている。図8及び図9に示す態様では、キー凹部105bに洗浄部材保持部200のキー凸部205bが嵌め込まれることで、洗浄部材保持部200に洗浄部材アセンブリ100が取り付けられることになる。この際、一対になった突出部105aの間にキー凸部205bの設けられた突出部205aが位置付けられることになる。このように図8及び図9に示す態様では、洗浄部材取付部105及び洗浄部材保持部200は方向特性を有しており、定まった方向でないと両者を取り付けることができない構成となっている。
【0033】
洗浄部材アセンブリ100は、洗浄部材取付部105とロール洗浄部材110とが一体に構成されてもよく、洗浄部材取付部105上にロール洗浄部材110が成形されてもよい。また、洗浄部材取付部105とロール洗浄部材110は別部材として構成され、取り外し自在となってもよい。ロール洗浄部材110はPVA(polyvinyl alcohol)スポンジ材料やPVAを反応させたPVFM(polyvinyl formal)からなってもよい。このPVAスポンジ材料は、ポリビニルアセテートのホモポリマー等から調整できる。ロール洗浄部材110の材料としては、ナイロン、ポリウレタン、又は、ポリウレタン及びPVAの組合せ、あるいは基板W表面にかき傷をつけず、プロセスのための適した材料除去を提供する他のコポリマー等の他の成形可能材料を使用することができる。
【0034】
図3及び図4に示すように、基板洗浄装置は、ロール洗浄部材110内に洗浄液を供給するインナー洗浄液供給部410と、ロール洗浄部材110の外方から洗浄液を供給するアウター洗浄液供給部420と、を有してもよい。ロール洗浄部材110の回転速度は例えば50rpm(回転/分)~400rpmである。
【0035】
インナー洗浄液供給部410とアウター洗浄液供給部420とで同じ洗浄液を供給してもよいが、このような態様に限られることはなく、インナー洗浄液供給部410とアウター洗浄液供給部420とで異なる洗浄液を供給してもよい。
【0036】
インナー洗浄液及びアウター洗浄液の洗浄液を供給する際には網目が10nm程度からなるフィルター412,422を用いてもよい(図3及び図4参照)。このようなフィルター412,422を用いることで、洗浄液に含まれるゴミを除去することができる。アウター洗浄液供給部420は、前述したノズル50,52等からなるアウター洗浄液供給部材と、アウター洗浄液供給部材に連結され、アウター洗浄液供給部材に洗浄液を供給するアウター洗浄液貯留部424とを有してもよい。この場合、アウター洗浄液貯留部424とアウター洗浄液供給部材との間にフィルター422が設けられてもよい。また、インナー洗浄液供給部410と洗浄部材保持部200との間にフィルター412が設けられてもよい。
【0037】
図3及び図4に示すように、洗浄部材取付部105は、本体130と、本体130の内部で延在する洗浄液導入部(空隙)135と、洗浄液導入部135に連通された複数の洗浄液供給孔140と、を有してもよい。洗浄部材取付部105は中空領域を有する円筒形状から構成されてもよい。この中空領域が洗浄液導入部135となり、洗浄液導入部135に洗浄液供給孔140が連通され、洗浄液導入部135に供給された洗浄液がロール洗浄部材110に浸み込み、基板Wを洗浄する際に利用されてもよい。図3及び図4はノジュール115が設けられていない箇所でロール洗浄部材110等を切断した断面である。
【0038】
洗浄液導入部135への洗浄液は、洗浄部材保持部200の内部に設けられた供給管215を介して導入されてもよい。
【0039】
図5及び図6に示すように、基板洗浄装置は、洗浄部材アセンブリ100を取り外した状態で洗浄部材保持部200を軸方向に沿って移動させ、洗浄部材保持部200の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部150を有している。移動部150はバネ等の弾性部材150aであってもよい。弾性部材150aは収容部120内に収容されており、ロール洗浄部材110が保持される側とは反対側(図5及び図6では左側)の端部に設けられてもよい。このような弾性部材150aが設けられる場合には、洗浄部材アセンブリ100が洗浄部材保持部200から取り外されると、弾性部材150aからの弾性力を受けて洗浄部材保持部200が軸方向に沿って移動され、図6で示す回転固定位置に位置づけられることになる。但し、このような態様に限られることはなく、移動部150はモータ等の駆動部(図示せず)を有し、駆動部が洗浄部材保持部200を軸方向に沿って移動させるようにしてもよい。
【0040】
洗浄部材保持部200は、保持本体部210と、保持本体部210から周縁外方に突出した周縁突出部220を有してもよい。保持本体部210と周縁突出部220は一体に構成されてもよい。周縁突出部220は保持本体部210から2mm~5mm程度で周縁外方に突出してもよい。
【0041】
図5は洗浄部材アセンブリ100が洗浄部材保持部200に取り付けられている状態であるが、この状態では、洗浄部材アセンブリ100によって弾性部材150aが洗浄部材アセンブリ100と反対側に押されて、周縁突出部220が収容部120から離間した状態となっている。図6は洗浄部材アセンブリ100が洗浄部材保持部200から取り外されている状態であるが、この状態では、弾性部材150aによって洗浄部材保持部200が押されて、周縁突出部220が収容部120に当接した状態となっている。
【0042】
図6に示すように、周縁突出部220が洗浄部材保持部200の少なくとも一部を収容する収容部120の内面と面接触し、周縁突出部220が収容部120の内面に押し付けられることで、洗浄部材保持部200の回転が規制(固定)されるようになってもよい。移動部150がバネ等の弾性部材150aからなる場合には、弾性部材150aからの弾性力を受けて周縁突出部220が収容部120の内面と面接触することで、洗浄部材保持部200の回転が規制されることになる。周縁突出部220はロール洗浄部材110の回転軸に対して周縁方向全体で突出してもよいが(図10参照)、複数の周縁突出部220が間隔を設けて配置されるようにしてもよい(図11参照)。但し、収容部120の内面との接触面積が大きい方が洗浄部材保持部200の回転を規制しやすくなることから、この観点からすると、周縁突出部220はロール洗浄部材110の回転軸に対して周縁方向全体で突出する態様が有益である。
【0043】
周縁突出部220の収容部120の内面と面接触する面は凹凸形状を有してもよく、荒らし面となってもよい。また、周縁突出部220の収容部120の内面と面接触する面にはゴム等の弾性部材220aが設けられ、周縁突出部220が収容部120の内面に押し付けられる際にはゴム等の弾性部材220aが変形するようにしてもよい(図25A及び図25B参照)。このような態様を採用することで、収容部120の内面との間の抵抗値を高めることができる。また、移動部150がバネ等の弾性部材150aからなる場合には、弾性部材150aとしてバネ定数の極端に高いものを採用する必要もなくなる。バネ定数としては例えば0.03kg/mm~0.10kg/mmのものを用いることが考えられる。
【0044】
周縁突出部220の収容部120の内面と面接触する面は平坦面からなってもよい。この場合には、移動部150からの力を均一に収容部120の内面に伝えることができ、収容部120の内面の全体で周縁突出部220との間で摩擦力を作り出すことができる。また、このような平坦面を採用することで、周縁突出部220が収容部120の内面と当接する際に予期せぬ粉塵等が発生してしまうことを防止できる。
【0045】
洗浄部材アセンブリ100の一端部は洗浄部材保持部200によって従動的に保持され、他端部はモータ等の駆動部を有する部材回転部180によって駆動されてもよい(図3参照)。この場合、洗浄部材保持部200は、部材回転部180によって駆動される第二洗浄部材保持部205bと、従動的に駆動される第一洗浄部材保持部200aとを有することになる。このような態様では、弾性部材150a等からなる移動部150は従動部に設けられてもよい。
【0046】
ロール洗浄部材110は両持ち構造である必要はなく、図4に示すように片持ち構造であってもよい。この場合には、ロール洗浄部材110が保持されている側に部材回転部180が設けられることになる。
【0047】
周縁突出部220は、縦断面において、洗浄部材アセンブリ100側の厚み(図5及び図6では右側)がロール洗浄部材110とは反対側(図5及び図6では左側)の厚みよりも厚くなってもよい。図5及び図6に示す態様では、縦断面において、洗浄部材アセンブリ100側に向かうにつれて周縁突出部220の厚みが厚くなる態様となっている。但し、このような態様に限られることはなく、断続的に(例えば階段状で)洗浄部材アセンブリ100側に向かうにつれて周縁突出部220の厚みが厚くなる態様を採用してもよい。また、図23A及び図23Bに示すように、周縁突出部220は横断面で四角形状となり、その厚みが均一なものとなってもよい。
【0048】
図13に示すように、洗浄部材保持部200が周縁外方に突出した第一突出部230を有し、洗浄部材保持部200を収容する収容部120は内面に第一突出部230を収容する第一凹部190を有してもよい。この場合には、第一突出部230が第一凹部190内に収容されることで、洗浄部材保持部200の回転が規制されることになる。また、一つ又は複数の第一突出部230が設けられる場合において、第一凹部190が複数設けられてもよい(図14参照)。第一突出部230の数と第一凹部190の数が合致する必要はなく、第一凹部190の数が第一突出部230の数よりも多くなっていればよい。この場合には、第一突出部230がいずれかの第一凹部190内に収容されることで、洗浄部材保持部200の回転が規制されることになる。第一突出部230はピン形状であってもよく、その長さは2~5mm程度であってもよい。
【0049】
また、上記態様とは異なり、図15に示すように、洗浄部材保持部200を収容する収容部120が内面に第二突出部195を有し、洗浄部材保持部200が第二突出部195を収容する第二凹部240を有してもよい。この場合には、第二突出部195が第二凹部240内に収容されることで、洗浄部材保持部200の回転が規制されることになる。また、一つ又は複数の第二突出部195が設けられる場合において、第二凹部240が複数設けられてもよい(図16参照)。第二突出部195の数と第二凹部240の数が合致する必要はなく、第二凹部240の数が第二突出部195の数よりも多くなっていればよい。第二突出部195もピン形状であってもよく、その長さは2mm~5mm程度であってもよい。
【0050】
また、上記態様が組み合わされてもよい。例えば、周縁突出部220と第一突出部230及び第一凹部190の組み合わせとが採用されてもよいし、周縁突出部220と第二突出部195及び第二凹部240の組み合わせの両方が採用されてもよい。
【0051】
図17に示す態様では、周縁突出部220と第一突出部230及び第一凹部190の組み合わせとを採用した態様が示されている。図18に示す態様では、周縁突出部220と第二突出部195及び第二凹部240の組み合わせとを採用した態様が示されている。
【0052】
また、周縁突出部220と第一突出部230及び第一凹部190の組み合わせとが採用される場合には、図19A及び図19Bに示す態様であってもよい。また、図21A及び図21Bに示すように、複数の第一突出部230及び第一凹部190が採用されてもよい。
【0053】
また、周縁突出部220と第二突出部195及び第二凹部240の組み合わせとが採用される場合には、図20A及び図20Bに示す態様であってもよい。また、図22A及び図22Bに示すように、複数の第二突出部195及び第二凹部240が採用されてもよい。
【0054】
図5及び図6に示すように、ベアリング260は、2つ以上の軸受部材261を有してもよい。軸受部材261の軸方向の間にベアリング260を濡らすための潤滑流体が供給されてもよい。この潤滑流体は洗浄液からなってもよく、特にリンス液であってもよい。また、内側部材280の周縁外方には密閉部290が設けられてもよい。この密閉部は、第一密閉部291と、第一密閉部291に隣接して設けられた第二密閉部292とを有してもよい。第一密閉部291及び第二密閉部292の各々はOリングであってもよい。
【0055】
図12に示すように、周縁突出部220は1つ以上の溝部220aを有してもよい。この溝部220aを介してベアリング260を濡らすための潤滑流体が収容部120の洗浄部材アセンブリ100側に流れるようにすることができる。
【0056】
洗浄部材アセンブリ100を洗浄部材保持部200に取り付ける際及び洗浄部材アセンブリ100を洗浄部材保持部200から取り外す際の手順について、図5図6図8及び図9に示す態様を用いて説明する。
【0057】
洗浄部材アセンブリ100を洗浄部材保持部200に取り付ける際には、洗浄部材アセンブリ100を従動部側の洗浄部材保持部200に押し込むことで弾性部材150aが縮むことになる。図8及び図9に示す態様では、一対の突出部105aの間に突出部205aを位置づけた後で、キー凹部105bにキー凸部205bを嵌め込んで、洗浄部材アセンブリ100を洗浄部材保持部200側に押し込む。この状態では、洗浄部材保持部200の取付部201は自在に回転するので、洗浄部材アセンブリ100を適切な位置まで回転させて、駆動部側(部材回転部180側)の洗浄部材保持部200に洗浄部材アセンブリ100の他端を取り付ける。なお、駆動部側の洗浄部材保持部200でも、一対の突出部105aの間に突出部205aを位置づけた後で、キー凹部105bにキー凸部205bを嵌め込むようにする。
【0058】
洗浄部材アセンブリ100を洗浄部材保持部200から取り外す際には、洗浄部材アセンブリ100を従動部側の洗浄部材保持部200に押し込むことで弾性部材150aを縮ませた後、駆動部側(部材回転部180側)の洗浄部材保持部200から洗浄部材アセンブリ100の他端を取り外す。その後で、洗浄部材アセンブリ100の一端を従動部側の洗浄部材保持部200から取り外す。このように洗浄部材保持部200から洗浄部材アセンブリ100を取り外すことで、弾性部材150aによって、周縁突出部220が洗浄部材保持部200を収容する収容部120の内面と面接触する。このように周縁突出部220が収容部120の内面に押し付けられることで、洗浄部材保持部200の回転が規制(固定)されることになる。
【0059】
なお、洗浄部材取付部105とロール洗浄部材110とが別体になっている洗浄部材アセンブリ100である場合には、洗浄部材取付部105にロール洗浄部材110を固定するためのナット等の取付部材を取り外し、新しい又は洗浄後のロール洗浄部材110を洗浄部材取付部105に取り付けることで、ロール洗浄部材110を交換することができる。
【0060】
図26に示すように、制御部350には、インナー洗浄液供給部410、アウター洗浄液供給部420、部材回転部180、基板支持部であるスピンドル40、操作者が情報を入力する入力部400等が有線又は無線で接続されており、これらから情報を受け取ったり、これらに指令を与えたりするように構成されている。なお、図26では、第1搬送ロボット322、搬送ユニット324、第2搬送ロボット326、第3搬送ロボット328等の搬送機構を総称して搬送部300として示している。
【0061】
《効果》
次に、上述した構成からなる本実施の形態による効果であって、未だ説明していないものを中心に説明する。「構成」で記載されていない場合であっても、「効果」で説明するあらゆる構成を本件発明において採用することができる。
【0062】
一般的に洗浄部材保持部200はベアリング260を有していることから、自在に回転する構成となっている。このため、本実施の形態の態様を採用しない場合には、洗浄部材保持部200の洗浄部材アセンブリ100側の部分(図5の右側部分)が自在に回転してしまう。取り付け現場では、洗浄部材保持部200の回転位置を目視することができないことから、洗浄部材保持部200にロール洗浄部材110に取り付けることに手間がかかってしまう。一例として、図8及び図9に示す構成では、キー凹部105b内にキー凸部205bが嵌め込まれることで、洗浄部材保持部200に洗浄部材アセンブリ100が取り付けられることになるが、目視することができない状態で洗浄部材保持部200の取付部201が自在に回転してしまうので、突出部205aを一対の突出部105aの間に位置づけるのに手間がかかってしまう。なお、図8及び図9に示すように突出部205a及び一対の突出部105aが設けられている態様とは異なり、これらが設けられておらず、洗浄部材保持部200のいずれの方向においても洗浄部材アセンブリ100を取り付けることができる態様(方向特性を全く有していない態様)を採用した場合には、取り付けの手間に関する問題は解消されるが、洗浄部材保持部200から洗浄部材アセンブリ100へと回転動力を適切に伝えることができないという別の問題が生じ得る。
【0063】
本実施の形態において、洗浄部材アセンブリ100を取り外した状態で洗浄部材保持部200を軸方向に沿って移動させ、洗浄部材保持部200の回転を規制する回転固定位置に位置づける移動部150を採用した場合には、洗浄部材アセンブリ100を取り外した状態で洗浄部材保持部200の回転を規制(固定)することができる。このため、洗浄部材保持部200への洗浄部材アセンブリ100の取り付けを容易に行うことができる。従来の態様では、前述したとおり洗浄部材保持部200が自在に回転してしまっていたことから、洗浄部材保持部200に洗浄部材アセンブリ100を取り付けようとしても、手間と時間がかかっていた。本態様によれば、このような問題を解決することができる。なお、洗浄部材アセンブリ100の洗浄部材保持部200への取り付けに時間がかかってしまうと、ロール洗浄部材150が汚れてしまい、洗浄度が低下してしまうという問題が生じ得る。
【0064】
移動部150がバネ等の弾性部材150aからなる場合には、モータ等の駆動部を導入することなく、洗浄部材保持部200の回転を規制することができる。このため、簡易かつ安価に洗浄部材保持部200の回転を規制することができる。
【0065】
洗浄部材保持部200の従動部側ではモータ等の部材回転部180によるロック機構が存在しないため、洗浄部材保持部200が自在に回転してしまう問題が生じやすい。この点、洗浄部材保持部200の回転を規制する移動部150を従動部に設けられることで、当該問題を解決することができる。他方、部材回転部180ではサーボロックといったロック機構によって回転が規制されているので、自在に回転することにはならない。但し、サーボロックといったロック機構を解除した場合には、駆動部側(部材回転部180側)の洗浄部材保持部200も自在に回転することになるので、洗浄部材保持部200を回転固定位置に位置づける移動部150が駆動部側(部材回転部180側)に設けられてもよい。
【0066】
図10及び図11に示すように、洗浄部材保持部200が周縁外方で突出した周縁突出部220を有し、周縁突出部220が洗浄部材保持部200を収容する収容部120の内面と面接触し、周縁突出部220が収容部120の内面に押し付けられることで、洗浄部材保持部200の回転が規制される態様を採用した場合には、周縁突出部220の面での抵抗(摺動抵抗)によって洗浄部材保持部200の回転を規制することができる。移動部150として弾性部材150aを用いる場合には、洗浄部材保持部200の回転を規制するためにバネ定数の大きな弾性部材150aを用いることが考えられるが、周縁突出部220を収容部120の内面と面接触させることで、バネ定数の極端に大きな弾性部材150aを用いることなく、洗浄部材保持部200の回転を規制することができる点で有益である。
【0067】
図12に示すように周縁突出部220が1つ以上の溝部220aを有する態様を採用した場合には、溝部220aを介してベアリング260に供給される潤滑流体を洗浄部材アセンブリ100側に導くことができる。このため、仮に周縁突出部220の洗浄部材アセンブリ100側の面にゴミ等が付着していても、潤滑流体で洗い流すことができる。洗浄部材アセンブリ100が取り付けられ、基板Wを洗浄する際には、周縁突出部220は収容部120から離間し、自在に回転しているので、潤滑流体によって周縁突出部220の洗浄部材アセンブリ100側の面を容易に洗浄することができる。
【0068】
図5及び図6に示すように、周縁突出部220が、縦断面において、洗浄部材アセンブリ100側の厚みがロール洗浄部材110とは反対側の厚みよりも厚くなる態様を採用する場合には、潤滑流体供給管121から供給される潤滑流体が周縁突出部220を乗り越えて洗浄部材アセンブリ100側に導きやすくなる。このため、前述したとおり、仮に周縁突出部220の洗浄部材アセンブリ100側の面にゴミ等が付着していても、潤滑流体で洗い流すことができる。また、この態様を採用した場合には、周縁突出部220の回転軸側(根本)での厚みを厚くすることができ、強度を高めることができる。
【0069】
図13及び図14に示すように、洗浄部材保持部200が周縁外方に突出した第一突出部230を有し、洗浄部材保持部200を収容する収容部120は内面に第一突出部230を収容する第一凹部190を有する態様を採用した場合には、第一突出部230を第一凹部190に収容することで洗浄部材保持部200の回転を規制することができる。この場合には、洗浄部材保持部200の洗浄部材アセンブリ100側の端部(取付部)が回転することをより確実に防止できる。但しこの態様では、第一突出部230を第一凹部190に収容する必要があるので、周縁突出部220が保持本体部210の周縁で突出する態様と比較して便益性は劣る。なお、第一突出部230を第一凹部190に収容させるには、洗浄部材保持部200の洗浄部材アセンブリ100側の端部(取付部201)を回転させることで、第一突出部230が第一凹部190内に自動的に収まることになる。
【0070】
第一凹部190が複数設けられる場合には、第一突出部230を収容できる第一凹部190の数を増やすことができるので、洗浄部材アセンブリ100を取り外す際に第一突出部230を第一凹部190に収容する手間を簡易なものにすることができる。第一突出部230及び第一凹部190が一つずつ設けられる場合には、洗浄部材アセンブリ100を取り外した際に、常に同じ位置に洗浄部材保持部200を位置付けることができる。このため、図8及び図9に示すような構成を採用する場合には、洗浄部材アセンブリ100を取り外したときに突出部205aを概ね同じ位置に位置づけることができ、突出部205aを一対の突出部105aの間に位置付けることが容易になる。
【0071】
図15及び図16に示すように、洗浄部材保持部200を収容する収容部120が内面に第二突出部195を有し、洗浄部材保持部200が第二突出部195を収容する第二凹部240を有する態様を採用した場合には、第二突出部195を第二凹部240に収容することで洗浄部材保持部200の回転を規制することができる。但しこの態様でも、第二突出部195を第二凹部240に収容する必要があるので、洗浄部材アセンブリ100を取り外す際には、第二突出部195と第二凹部240の位置を確認する必要がある点では、周縁突出部220が保持本体部210の周縁で突出する態様と比較して便益性は劣る。第二凹部240及び第二突出部195が一つずつ設けられる場合には、前述した態様と同様、洗浄部材アセンブリ100を取り外した際に、常に同じ位置に洗浄部材保持部200を位置付けることができる。このため、図8及び図9に示すような構成を採用する場合には、洗浄部材アセンブリ100を取り外したときに突出部205aを概ね同じ位置に位置づけることができ、突出部205aを一対の突出部105aの間に位置付けることが容易になる。
【0072】
周縁突出部220が採用される態様では、図24に示すように、洗浄部材保持部200の取付部201に切欠き等の印270が設けられてもよい。この印270は1箇所にだけ設けられてもよいし、180度の位置関係で1対設けられてもよい。このような印270を設けることで、回転方向においていずれの位置にも定まり得る洗浄部材保持部200の取付部201を所定の位置に位置付けることができ、駆動部側(部材回転部180側)の洗浄部材保持部200との関係から取り付け易い位置に取付部201を位置付けることできる。
【0073】
第二凹部240が複数設けられる場合には、第二突出部195を収容できる第二凹部240の数を増やすことができるので、洗浄部材アセンブリ100を取り外す際に第二突出部195を第二凹部240に収容する手間を簡易なものにすることができる。
【0074】
製造のしやすさからすると、第一突出部230及び第一凹部190の組み合わせの方が、第二突出部195及び第二凹部240の組み合わせよりも優れている。
【0075】
なお、一実施態様における、洗浄部材が洗浄する処理対象物は、半導体ウエハに限られず、シリコンウエハ、ガラス基板、プリント配線基板、液晶パネル、太陽光パネルであってもよい。また、処理対象物の平面の形状は円形であっても矩形であってもよく、平面の厚みが面内のたわみを許容する厚みであってもよい。処理する基板は、角形基板、円形基板を含む。また、角形基板は、矩形等の多角形のガラス基板、液晶基板、プリント基板、その他の多角形のめっき対象物を含む。円形基板は、半導体ウエハ、ガラス基板、その他の円形のめっき対象物を含む。
【0076】
洗浄液としては、高温の純水、APM(Ammonium Hydrogen-peroxide Mixture、アンモニアと過酸化水素水との混合液)、SPM(Sulfuric- Acid Hydrogen Peroxide Mixture、硫酸と過酸化水素水との混合液)、炭酸水、超音波水、オゾン水等を適用できる。
【0077】
上述した各実施の形態の記載及び図面の開示は、特許請求の範囲に記載された発明を説明するための一例に過ぎず、上述した各実施の形態の記載又は図面の開示によって特許請求の範囲に記載された発明が限定されることはない。また、出願当初の請求項の記載はあくまでも一例であり、明細書、図面等の記載に基づき、請求項の記載を適宜変更することもできる。
【符号の説明】
【0078】
40 スピンドル(基板支持部)
100 洗浄部材アセンブリ
120 収容部
150 移動部
180 部材回転部
190 第一凹部
195 第二突出部
200 洗浄部材保持部
220 周縁突出部
220a 溝部
230 第一突出部
240 第二凹部
W 基板
図1
図2
図3
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図19B
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図20B
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図21B
図22A
図22B
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図23B
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図25B
図26