(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】路側装置、通信システム、鉄道車両用装置、プログラム及び通信方法
(51)【国際特許分類】
B61L 23/00 20060101AFI20240611BHJP
H04W 60/00 20090101ALI20240611BHJP
H04W 88/04 20090101ALI20240611BHJP
【FI】
B61L23/00 A
H04W60/00
H04W88/04
(21)【出願番号】P 2021196841
(22)【出願日】2021-12-03
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005290
【氏名又は名称】古河電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114292
【氏名又は名称】来間 清志
(74)【代理人】
【識別番号】100205659
【氏名又は名称】齋藤 拓也
(72)【発明者】
【氏名】下大迫 和隆
(72)【発明者】
【氏名】望月 崇弘
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 若
【審査官】井古田 裕昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-002486(JP,A)
【文献】特開2020-082800(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B61L 23/00
H04W 60/00
H04W 88/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体
に備えられている移動体用装置から受信する受信部と、
前記第1の移動体情報には、少なくとも、前記移動体の位置情報が含まれており、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記移動体が軌道の外部から軌道内に侵入したことを検知した場合、前記移動体が軌道に侵入したことを示す第2の移動体情報を生成し、前記第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する送信部と、を備え、
前記受信部は、V2Xに対応する機能を有しており、所定のタイミングで少なくとも移動体の位置情報を出力している前記移動体用装置と通信を行う路側装置。
【請求項2】
前記移動体の位置情報を用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する検知部をさらに備える、請求項1に記載の路側装置。
【請求項3】
前記軌道周辺に設置されたセンサーを用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する検知部をさらに備える、請求項1に記載の路側装置。
【請求項4】
前記センサーは、踏切保安装置である、請求項3に記載の路側装置。
【請求項5】
前記受信部による受信と前記送信部による送信とは、異なる周波数の無線通信を用いる、請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項6】
前記第1の移動体情報は、前記移動体の速度を含む、請求項1乃至
請求項5のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項7】
前記第1の移動体情報は、前記移動体の異常を示す情報を含む、請求項1乃至
請求項6のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項8】
前記第2の移動体情報は、前記移動体がどの軌道内にあるかを示す情報を含む、請求項1乃至
請求項7のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項9】
前記第2の移動体情報は、前記移動体が存在する位置の地形を示す情報を含む、請求項1乃至
請求項8のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項10】
前記受信部は、前記鉄道の軌道に侵入しそうな移動体に関する第3の移動体情報を、前記移動体が搭載又は携帯する移動体用装置から受信し、
前記送信部は、前記第3の移動体情報を、前記列車に送信する請求項1乃至
請求項9のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項11】
前記第2の移動体情報を、第1の他の路側装置に送信する中継部をさらに備える、請求項1乃至
請求項10のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項12】
前記中継部は、前記第2の移動体情報を受信し、
前記送信部は、前記中継部によって受信された前記第2の移動体情報を前記列車に送信する、
請求項11に記載の路側装置。
【請求項13】
前記中継部は、前記第2の移動体情報を受信し、前記第2の移動体情報の送信元の前記路側装置とは異なる第2の他の路側装置に送信する、
請求項11又は
請求項12に記載の路側装置。
【請求項14】
前記中継部は、前記第2の移動体情報を受信し、受信した前記第2の移動体情報が既に他の路側装置に送信した前記第2の移動体情報と同じである場合、受信した前記第2の移動体情報を他の路側装置に送信しない、
請求項11乃至
請求項13のいずれか1項に記載の路側装置。
【請求項15】
路側装置及び鉄道車両用装置を含み、
前記路側装置は、
鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体
に備えられている移動体用装置から受信する受信部と、
前記第1の移動体情報には、少なくとも、前記移動体の位置情報が含まれており、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記移動体が軌道の外部から軌道内に侵入したことを検知した場合、前記移動体が軌道に侵入したことを示す第2の移動体情報を生成し、前記第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する送信部と、を備え
前記受信部は、V2Xに対応する機能を有しており、所定のタイミングで少なくとも移動体の位置情報を出力している前記移動体用装置と通信を行い、
前記鉄道車両用装置は、
前記第1の移動体情報を受信する鉄道受信部と、
前記第1の移動体情報を報知する報知部と、を備える、通信システム。
【請求項16】
前記鉄道車両用装置は、前記移動体の位置情報を用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する鉄道検知部をさらに備える、
請求項15に記載の通信システム。
【請求項17】
前記移動体用装置は、前記移動体の位置情報を用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する移動体検知部を備える、
請求項15に記載の通信システム。
【請求項18】
鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体
に備えられている移動体用装置から受信する受信部、及び
前記第1の移動体情報には、少なくとも、前記移動体の位置情報が含まれており、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記移動体が軌道の外部から軌道内に侵入したことを検知した場合、前記移動体が軌道に侵入したことを示す第2の移動体情報を生成し、前記第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する送信部を備え、
前記受信部は、V2Xに対応する機能を有しており、所定のタイミングで少なくとも移動体の位置情報を出力している前記移動体用装置と通信を行う路側装置とともに通信システムを構成し、
前記第1の移動体情報を受信する鉄道受信部と、
前記第1の移動体情報を報知する報知部と、を備える、鉄道車両用装置。
【請求項19】
受信装置及び送信装置を備える路側装置が備えるプロセッサーを、
鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報であって、
少なくとも、前記移動体の位置情報が含まれている第1の移動体情報を、前記移動体
に備えられている移動体用装置から受信し
、V2Xに対応する機能を有しており、所定のタイミングで少なくとも移動体の位置情報を出力している前記移動体用装置と通信を行うように前記受信装置を制御する受信制御部と、
、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記移動体が軌道の外部から軌道内に侵入したことを検知した場合、前記移動体が軌道に侵入したことを示す第2の移動体情報を生成し、前記第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信するように前記送信装置を制御する送信制御部と、して機能させるプログラム。
【請求項20】
鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報であって、
少なくとも、前記移動体の位置情報が含まれている第1の移動体情報を、前記移動体
に備えられている移動体用装置から受信し、
V2Xに対応する機能により、所定のタイミングで少なくとも移動体の位置情報を出力している前記移動体用装置と通信を行い、
前記移動体の位置情報に基づいて、前記移動体が軌道の外部から軌道内に侵入したことを検知した場合、前記移動体が軌道に侵入したことを示す第2の移動体情報を生成し、前記第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する、通信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、路側装置、通信システム、鉄道車両用装置、プログラム及び通信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
車などの移動体が線路内に侵入する場合がある。このような場合、列車に異常を伝えることで事故を防ぐことができる場合がある。特許文献1に記載の装置は、踏切の異常を示す信号を列車に通知することができる。しかしながら、この装置では、通知できるのは踏切の異常に限られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、移動体が線路内に侵入したことを列車に通知することができる路側装置、通信システム、鉄道車両用装置、プログラム及び通信方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の路側装置は、受信部及び送信部を備える。受信部は、鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体が搭載又は携帯する移動体用装置から受信する。送信部は、前記第1の移動体情報を含む第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する。
【0006】
実施形態の路側装置は、検知部をさらに備えても良い。検知部は、前記移動体の位置情報を用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する。
【0007】
実施形態の路側装置は、検知部をさらに備えても良い。検知部は、前記軌道周辺に設置されたセンサーを用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する。
【0008】
実施形態のセンサーは、踏切保安装置であっても良い。
【0009】
実施形態の路側装置は、前記受信部による受信と前記送信部による送信とは、異なる周波数の無線通信を用いても良い。
【0010】
第1の移動体情報は、前記移動体の位置情報を含んでも良い。
【0011】
第1の移動体情報は、前記移動体の速度を含んでも良い。
【0012】
第1の移動体情報は、前記移動体の異常を示す情報を含んでも良い。
【0013】
第2の移動体情報は、前記移動体がどの軌道内にあるかを示す情報を含んでも良い。
【0014】
第2の移動体情報は、前記移動体が存在する位置の地形を示す情報を含んでも良い。
【0015】
実施形態の受信部は、前記鉄道の前記軌道に侵入しそうな移動体に関する第3の移動体情報を、前記移動体が搭載又は携帯する移動体用装置から受信しても良い。実施形態の送信部は、前記第3の移動体情報を、前記列車に送信しても良い。
【0016】
実施形態の路側装置は、中継部をさらに備えても良い。中継部は、前記第2の移動体情報を、第1の他の路側装置に送信する。
【0017】
実施形態の中継部は、前記第2の移動体情報を受信しても良い。実施形態の送信部は、前記中継部によって受信された前記第2の移動体情報を前記列車に送信しても良い。
【0018】
実施形態の中継部は、前記第2の移動体情報を受信し、前記第2の移動体情報の送信元の前記路側装置とは異なる第2の他の路側装置に送信しても良い。
【0019】
実施形態の中継部は、前記第2の移動体情報を受信し、受信した前記第2の移動体情報が既に他の路側装置に送信した前記第2の移動体情報と同じである場合、受信した前記第2の移動体情報を他の路側装置に送信しなくても良い。
【0020】
実施形態の通信システムは、路側装置及び鉄道車両用装置を含む。路側装置は、受信部及び送信部を備える。受信部は、鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体が搭載又は携帯する移動体用装置から受信する。送信部は、前記第1の移動体情報を含む第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車が搭載する前記鉄道車両用装置に送信する。前記鉄道車両用装置は、鉄道受信部及び報知部を備える。鉄道受信部は、前記第1の移動体情報を受信する。報知部は、前記第1の移動体情報を報知する。
【0021】
実施形態の鉄道車両用装置は、鉄道検知部をさらに備えても良い。鉄道検知部は、前記移動体の位置情報を用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する。
【0022】
実施形態の通信システムは、前記移動体用装置をさらに含んでも良い。移動体用装置は、移動体検知部を備える。移動体検知部は、前記移動体の位置情報を用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する。
【0023】
実施形態の鉄道車両用装置は、鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体が搭載又は携帯する移動体用装置から受信する受信部、及び前記第1の移動体情報を含む第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車が搭載する鉄道車両用装置に送信する送信部を備える路側装置とともに通信システムを構成する。実施形態の鉄道車両用装置は、鉄道受信部及び報知部を備える。鉄道受信部は、前記第1の移動体情報を受信する。報知部は、前記第1の移動体情報を報知する。
【0024】
実施形態のプログラムは、受信装置及び送信装置を備える路側装置が備えるプロセッサーを、受信制御部及び送信制御部として機能させる。受信制御部は、鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体が搭載又は携帯する移動体用装置から受信するように前記受信装置を制御する。送信制御部は、前記第1の移動体情報を含む第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信するように前記送信装置を制御する。
【0025】
実施形態の通信方法は、鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報を、前記移動体が搭載又は携帯する移動体用装置から受信する。実施形態の通信方法は、前記第1の移動体情報を含む第2の移動体情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する。
【発明の効果】
【0026】
本発明は、移動体が線路内に侵入したことを列車に通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】実施形態に係る通信システムの概要を示す図である。
【
図2】実施形態に係る通信システム及び当該通信システムに含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図2中の路側装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】
図2中の鉄道車両用装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、実施形態に係る通信システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。
【0029】
実施形態に係る通信システムの構成について
図1及び
図2を用いて説明する。
図1は、実施形態に係る通信システム1の概要を示す図である。
図2は、実施形態に係る通信システム1及び通信システム1に含まれる構成要素の要部構成の一例を示すブロック図である。
通信システム1は、一例として、路側装置100、列車200の鉄道車両用装置210、及び車300の車載装置310を含む。ただし、通信システム1は、このうちの一部の構成要素のみを含んでも良い。例えば、通信システム1は、路側装置100及び鉄道車両用装置210を含む。通信システム1は、線路TR内に進入した車300を検知して、当該車300についての情報を、路側装置100を介して列車200に送信するシステムである。なお、通信システム1は、典型的には路側装置100、列車200の鉄道車両用装置210、及び車300の車載装置310をそれぞれ複数含む。
図1には、路側装置100a~路側装置100eの5つの路側装置100を示している。また、
図1には、一例として、線路TR1~線路TR4の4つの線路TRを示している。
【0030】
路側装置100は、例えば、線路TRの沿線又は線路TRの周辺などに設置される装置である。路側装置100は、例えば、線路TRに沿って、間隔を開けて複数設置される。路側装置は、車300の車載装置310などにV2X(vehicle-to-everything)通信サービスなどを提供する。また、路側装置100は、列車200の鉄道車両用装置210と無線通信する。路側装置100は、一例として、プロセッサー101、ROM(read-only memory)102、RAM(random-access memory)103、補助記憶装置104、センサー105、路側通信I/F(interface)106、鉄道通信I/F107及び中継通信I/F108を含む。そして、バス109などが、これら各部を接続する。
【0031】
プロセッサー101は、路側装置100の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー101は、例えば、CPU(central processing unit)、MPU(micro processing unit)、SoC(system on a chip)、DSP(digital signal processor)、GPU(graphics processing unit)、ASIC(application specific integrated circuit)、PLD(programmable logic device)又はFPGA(field-programmable gate array)などである。あるいは、プロセッサー101は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー101は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー101は、ROM102又は補助記憶装置104などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、路側装置100の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー101は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー101の回路内に組み込まれていても良い。
【0032】
ROM102及びRAM103は、プロセッサー101を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM102は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM102は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM102は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM103は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM103は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM103は、典型的には揮発性メモリである。
【0033】
補助記憶装置104は、プロセッサー101を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置104は、例えばEEPROM(electric erasable programmable read-only memory)、HDD(hard disk drive)又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置104は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置104は、プロセッサー101が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー101での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0034】
センサー105は、線路TRに侵入した車300を検知するセンサーである。センサー105は、例えば、カメラ、レーダー、LIDAR(light detection and ranging)、赤外線センサー、又は超音波センサーなどの種々のセンサーである。センサー105は、路側装置100に内蔵されていても良いし、外付けであっても良い。
また、センサー105は、路側装置100とは別に線路TRの周辺などに設置され、路側装置100にセンシング結果を送信するような構成であっても良い。この場合のセンサー105は、踏切に設置される踏切保安装置等であっても良い。踏切保安装置は、踏切内に進入した車300を検知するセンサーを備える。
なお、通信システム1は、センサー105を備えていなくても良い。この場合の通信システム1は、例えば、後述の位置情報を用いた方法で線路TRに侵入した車300を検知する。
なお、センサー105は、軌道周辺に設置されたセンサーの一例である。
【0035】
路側通信I/F106は、路側装置100が車載装置310と通信するためのインターフェースである。路側通信I/F106は、例えば、V2X通信などの無線通信で車載装置310と通信する。
なお、路側通信I/F106は、受信装置の一例である。
【0036】
鉄道通信I/F107は、路側装置100が鉄道車両用装置210と通信するためのインターフェースである。鉄道通信I/F107は、例えば、V2X通信などの無線通信で鉄道車両用装置210と通信する。
なお、鉄道通信I/F107は、送信装置の一例である。
【0037】
中継通信I/F108は、路側装置100が他の路側装置100と無線通信などによって通信するためのインターフェースである。
【0038】
なお、路側装置100は、路側通信I/F106、鉄道通信I/F107及び中継通信I/F108のうちのいずれか2つに代えて、当該2つのインターフェースの機能を兼ねるインターフェースを備えていても良い。あるいは、路側装置100は、路側通信I/F106、鉄道通信I/F107及び中継通信I/F108の3つのインターフェースに代えて、当該3つのインターフェースの機能を兼ねるインターフェースを備えていても良い。
【0039】
路側通信I/F106、鉄道通信I/F107及び中継通信I/F108の使用する通信規格は、それぞれ異なっていても良いし、いずれか2つ以上が同じであっても良い。
【0040】
路側通信I/F106、鉄道通信I/F107及び中継通信I/F108は、それぞれ異なる無線周波数チャンネルを用いることで、通信を区別しても良い。
【0041】
バス109は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、路側装置100の各部で授受される信号を伝送する。
【0042】
列車200は、線路TRを走行する列車である。列車200は、1両又は連結された2両以上の鉄道車両を含む。列車200中の少なくとも1車両は、鉄道車両用装置210を搭載する。例えば、運転席を有する車両(制御車)が鉄道車両用装置210を搭載する。
【0043】
鉄道車両用装置210は、路側装置100から情報を受信する装置である。また、鉄道車両用装置210は、路側装置100から受信した情報に基づき列車200の運転手などの乗務員に必要な情報などを報知する装置である。鉄道車両用装置210は、一例として、プロセッサー211、ROM212、RAM213、補助記憶装置214、通信I/F215、出力デバイス216及び入力デバイス217を含む。そして、バス218などが、これら各部を接続する。
【0044】
プロセッサー211は、鉄道車両用装置210の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー211は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー211は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー211は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー211は、ROM212又は補助記憶装置214などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、鉄道車両用装置210の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー211は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー211の回路内に組み込まれていても良い。
【0045】
ROM212及びRAM213は、プロセッサー211を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM212は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM212は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM212は、プロセッサー211が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM213は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM213は、プロセッサー211が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM213は、典型的には揮発性メモリである。
【0046】
補助記憶装置214は、プロセッサー211を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置214は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置214は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置214は、プロセッサー211が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー211での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0047】
通信I/F215は、鉄道車両用装置210が路側装置100と通信するためのインターフェースである。通信I/F215は、例えば無線通信によって路側装置100と通信する。
【0048】
出力デバイス216は、鉄道車両用装置210の操作者に各種情報を通知するための画面を表示する。出力デバイス216は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機EL(electro-luminescence)ディスプレイなどのディスプレイを含む。また、出力デバイス216は、光の点灯及び消灯で情報を通知するランプなどを含んでも良い。また、出力デバイス216は、スピーカーなどを含んでも良い。スピーカーは、入力される音声信号を音波として出力する。
【0049】
入力デバイス217は、鉄道車両用装置210の操作者による操作を受け付ける。入力デバイス217は、例えば、キーボード、キーパッド、タッチパッド、マウス又はコントローラーなどである。また、入力デバイス217は、音声入力用のデバイスであっても良い。また、出力デバイス216及び入力デバイス217としては、タッチパネルを用いることもできる。この場合、タッチパネルが備える表示パネルは、出力デバイス216として機能する。そして、タッチパネルが備える、タッチ入力によるポインティングデバイスは、入力デバイス217として機能する。
【0050】
バス218は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、鉄道車両用装置210の各部で授受される信号を伝送する。
【0051】
車300は、自動車、自動二輪車及び軽車両などである。車300は、車載装置310を搭載する。なお、車300は、有人であっても無人であっても良い。また、車300は、自動運転車であっても良い。車300は、移動体の一例である。
【0052】
車載装置310は、車300に関する情報などを路側装置100などに送信する装置である。車載装置310は、一例として、プロセッサー311、ROM312、RAM313、補助記憶装置314、通信I/F315及び測位部316を含む。そして、バス317などが、これら各部を接続する。車載装置310は、移動体用装置の一例である。
【0053】
プロセッサー311は、車載装置310の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー311は、例えば、CPU、MPU、SoC、DSP、GPU、ASIC、PLD又はFPGAなどである。あるいは、プロセッサー311は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー311は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー311は、ROM312又は補助記憶装置314などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、車載装置310の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー311は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー311の回路内に組み込まれていても良い。
【0054】
ROM312及びRAM313は、プロセッサー311を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ROM312は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ROM312は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ROM312は、プロセッサー311が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
RAM313は、データの読み書きに用いられるメモリである。RAM313は、プロセッサー311が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。RAM313は、典型的には揮発性メモリである。
【0055】
補助記憶装置314は、プロセッサー311を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置314は、例えばEEPROM、HDD又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置314は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置314は、プロセッサー311が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー311での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。
【0056】
また、補助記憶装置314は、車300に関する情報として、車300の車種を示す情報なども記憶する。
【0057】
通信I/F315は、車載装置310が路側装置100と通信するためのインターフェースである。通信I/F315は、例えば、V2X通信などの無線通信によって路側装置100と通信する。
【0058】
測位部316は、GPS(Global Positioning System)などのGNSS(global navigation satellite system)を用いて車300の位置を測位するICチップ、モジュール又は回路などである。測位部316は、例えば、GNSS衛星からGNSS信号を受信するアンテナを含む。また、測位部316は、測位のための演算を行う演算部を含む。当該演算部は、ICチップ、モジュール又は回路などを含む。測位部316は、測位結果を出力する。当該測位結果は、車300の位置情報である。
なお、車載装置310は、プロセッサー311が測位のための演算を行う構成であっても良い。この場合、測位部316は、演算部を備えていなくても良い。
また、測位部316は、GNSS以外の方法で車300の位置を測位しても良い。また、測位部316は、GNSSとGNSS以外の方法を併用して車300の位置を測位しても良い。
【0059】
バス317は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、車載装置310の各部で授受される信号を伝送する。
【0060】
以下、実施形態に係る通信システム1の動作を
図3及び
図4などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。
図3は、路側装置100のプロセッサー101による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー101は、例えば、ROM102又は補助記憶装置104などに記憶されたプログラムに基づいて
図3の処理を実行する。
図4は、鉄道車両用装置210のプロセッサー211による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー211は、例えば、ROM212又は補助記憶装置214などに記憶されたプログラムに基づいて
図4の処理を実行する。
【0061】
車載装置310は、車情報を定期的に路側装置100に送信する。送信先の路側装置100は、例えば、最も近い路側装置100又は最も通信状態が良い路側装置100などである。車載装置310は、車情報をブロードキャストで送信しても良い。この場合、通信範囲の路側装置100が車情報を受信する。車情報は、車300に関する情報である。車情報は、例えば、車300の位置情報、速度、加速度、アクセル開度、ブレーキ開度、エンジンの回転数、エンジンが動作しているか停止しているかを示す情報、残量情報、ハザードの状態、車種、車ID、車内情報、運転手情報及びセンサー情報などを含む。なお、残量情報は、バッテリー残量、水素残量又はガソリン残量などの、車300の動力源となるものの残量である。車IDは、例えば、自動車登録番号、車両番号、WCN(wireless call number)、車載器管理番号又はETCカード番号などの車300又は車載装置310ごとにユニークな識別情報である。車内情報は、車300の車内の状況を示す情報である。車内情報は、例えば、車内に何人人間がいるかを示す情報を含む。運転手情報は、車300の運転手の状態を示す情報である。運転手情報は、例えば、運転手の意識があるか否か、及び運転手の意識に異常があるか否かなどを示す情報を含む。センサー情報は、車300が搭載する各種センサーにより得られる情報である。当該センサーは、例えば、カメラ、レーダー、LIDAR、赤外線センサー、又は超音波センサーなどの種々のセンサーである。センサー情報は、車300の車内の映像及び車外の映像を含んでも良い。
なお、線路内に侵入した車300の車情報又は当該車情報の一部は、鉄道の軌道に侵入した移動体に関する第1の移動体情報の一例である。また、車情報中の、エンジンが停止していることを示す情報、動力源となるものの残量がゼロであることを示す残量情報、及びハザードが付いていることを示す情報は、移動体の異常を示す情報の例である。
【0062】
図3のステップST11において路側装置100のプロセッサー101は、路側通信I/F106によって車情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー101は、車情報が受信されないならば、ステップST11においてNoと判定してステップST12へと進む。
【0063】
ステップST12においてプロセッサー101は、中継通信I/F108によって侵入情報、注意情報又は解消情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー101は、侵入情報、注意情報又は解消情報が受信されないならば、ステップST12においてNoと判定してステップST11へと戻る。かくして、プロセッサー101は、車情報、侵入情報、注意情報又は解消情報が受信されるまでステップST11及びステップST12を繰り返す待受状態となる。なお、侵入情報、注意情報及び解消情報については後述する。
【0064】
プロセッサー101は、ステップST11及びステップST12の待受状態にあるときに車情報が受信されたならば、ステップST11においてYesと判定してステップST13へと進む。なお、以下の説明において車300は、車情報の送信元の車300を示すものとする。
以上より、プロセッサー101は、路側通信I/F106と協働して、車情報を受信することで、鉄道の軌道(線路)に侵入した移動体(車両300)に関する第1の移動体情報(車情報)を、移動体が搭載又は携帯する移動体用装置(車載装置310)から受信する受信部の一例として機能する。また、プロセッサー101は、路側通信I/F106を制御して車情報を受信することで、受信装置(路側通信I/F106)を制御する受信制御部の一例として機能する。
【0065】
ステップST13においてプロセッサー101は、車300が線路内に侵入しているか否かを判定する。プロセッサー101は、例えば、車300の位置情報を用いて、車300が線路侵入範囲内にある場合に車300が線路内に侵入していると判定する。線路侵入範囲は、車300が範囲内にあった場合に当該車300が線路に侵入したとみなす予め定められた所定の範囲である。なお、線路侵入範囲は、線路上だけでなく、線路横の鉄道用の土地なども含んでよい。ただし、プロセッサー101は、車300が線路侵入範囲内にあっても、車300が踏切内にあり且つ当該踏切の遮断機が上がっている状態の場合には、車300が線路内に侵入しているとは判定しなくても良い。プロセッサー101は、線路侵入範囲を示す情報を例えば補助記憶装置104から取得する。補助記憶装置104は、当該情報を記憶している。また、プロセッサー101は、サーバーなどの他の装置から当該情報を取得しても良い。
以上より、プロセッサー101は、車300の位置情報を用いてステップST13の処理を行うことで、移動体(車300)の位置情報を用いて、移動体が軌道(線路内)に侵入したことを検知する検知部の一例として機能する。
あるいは、プロセッサー101は、センサー105を用いて車300が線路内に侵入しているか否かを判定しても良い。プロセッサー101は、センサー105を用いてステップST13の処理を行うことで、軌道周辺に設置されたセンサー105を用いて、前記移動体が前記軌道に侵入したことを検知する検知部の一例として機能する。
プロセッサー101は、車300が線路内に侵入していると判定するならば、ステップST13においてYesと判定してステップST14へと進む。
【0066】
ステップST14においてプロセッサー101は、線路に侵入している車300を記憶する。このために、プロセッサー101は、例えば、ステップST11で受信された車情報に含まれる車IDに、侵入状態情報を関連付けてRAM103又は補助記憶装置104などに記憶する。侵入状態情報は、関連付けられた車IDで特定される車300が線路内に侵入していることを示す情報である。なお、プロセッサー101は、当該車IDに注意状態情報が関連付けられていた場合には、例えば、当該車IDに関連付けられている注意状態情報を削除して当該車IDに侵入状態情報を関連付ける。なお、注意状態情報については後述する。
【0067】
ステップST15においてプロセッサー101は、車300がどの線路TR内にあるか、あるいは線路横の土地にあるかを特定する。プロセッサー101は、例えば、車300の位置情報と各線路TRの位置を示す線路位置情報を用いて、車300がどの線路TR内にあるか、あるいは線路横の土地にあるかを特定する。なお、プロセッサー101は、例えば、車300の位置が線路TRの中央から所定の距離D1以内であれば線路TR内にあると判定する。当該所定の距離D1は、典型的には線路の幅の半分より大きい。鉄道車両の幅が線路の幅より大きいためである。当該所定の距離D1は、例えば、車両限界の幅の半分に所定のマージンを加えた距離である。プロセッサー101は、例えば、どの線路TR内にも車300が無いと判定するならば、車300は線路横の土地にあると判定する。あるいは、プロセッサー101は、センサー105から得られる情報を用いて車300がどの線路TR内にあるか、あるいは線路横の土地にあるかを特定しても良い。一例として、
図1に示す車300は、線路TR1内及び線路TR2内にある。
なお、プロセッサー101は、線路位置情報を、例えば補助記憶装置104から取得する。補助記憶装置104は、線路位置情報を記憶している。また、プロセッサー101は、サーバーなどの他の装置から線路位置情報を取得しても良い。
【0068】
ステップST16においてプロセッサー101は、侵入情報を生成する。侵入情報は、例えば、侵入ID、ステップST11で受信された車情報、線路特定情報、路側センサー情報、路線情報及び地形情報を含む。侵入IDは、生成される侵入情報ごとにユニークな識別情報である。なお、プロセッサー101は、生成した侵入情報の侵入IDをRAM103などに記憶しておく。線路特定情報は、ステップST15の処理結果を示す情報であり、車300がどの線路TR内にあるか、あるいは線路横の土地にあるかを示す情報である。路側センサー情報は、センサー105によって得られる情報である。路側センサー情報は、車300が映っている映像などを含んでも良い。侵入情報中の路線情報は、路側装置100が設置されている場所をどの路線が通っているかを特定する情報である。なお、路側装置100が設置されている場所を複数の路線が通っている場合には路線情報は複数の路線を示す。地形情報は、車300が存在する位置及びその周囲の地形を示す情報である。ここで、周囲とは、例えば、車300が存在する位置から線路TRに沿って所定の距離D2以内の範囲及び車300から直線距離で所定の距離D3以内の範囲である。地形情報は、例えば、カーブの位置及びカーブの半径、坂道の位置及び坂道の勾配、崖の位置、並びに橋の位置などを含む。なお、プロセッサー101は、車300が存在する位置及びその周囲の地形を示す情報を例えば補助記憶装置104から取得する。補助記憶装置104は、当該情報を記憶している。また、プロセッサー101は、サーバーなどの他の装置から当該情報を取得しても良い。侵入情報は、車300が線路内に侵入していることを通知する情報である。プロセッサー101は、侵入情報を生成した後、当該侵入情報を通信範囲内の鉄道車両用装置210に送信するように鉄道通信I/F107に対して指示する。この送信の指示を受けて鉄道通信I/F107は、当該侵入情報を通信範囲内の鉄道車両用装置210に送信する。送信された当該侵入情報は、鉄道車両用装置210の通信I/F215によって受信される。
【0069】
鉄道通信I/F107は、例えば、侵入情報をブロードキャストによって鉄道車両用装置210に送信する。侵入情報を送信する路側装置100の通信範囲内に鉄道車両用装置210があった場合、当該鉄道車両用装置210は当該侵入情報を受信する。当該通信範囲内に鉄道車両用装置210が無かった場合、どの鉄道車両用装置210も侵入情報を受信しない。なお、ここで通信範囲とは、例えば、鉄道通信I/F107が送信する情報を受信可能な範囲を示す。あるいは、鉄道通信I/F107は、通信範囲内の鉄道車両用装置210にユニキャスト又はマルチキャストで侵入情報を送信しても良い。
【0070】
なお、侵入情報は、第2の移動体情報の一例である。また、線路特定情報は、移動体がどの軌道内にあるかを示す情報の一例である。
以上より、プロセッサー101は、鉄道通信I/F107と協働して、ステップST16の処理を行うことで、第1の移動体情報(車情報)を含む第2の移動体情報(侵入情報)を、鉄道の軌道を走行する列車200に送信する送信部の一例として機能する。また、プロセッサー101は、ステップST16の処理を行うことで、送信装置(鉄道通信I/F107)を制御する送信制御部の一例として機能する。
【0071】
ステップST17においてプロセッサー101は、ステップST16で生成した侵入情報を他の路側装置100に送信するように中継通信I/F108に対して指示する。当該他の路側装置100は、例えば、侵入情報を生成した路側装置100から線路に沿って進んだ先にある、線路に沿って進んだ方向ごとの最初の路側装置100である。線路の分岐などが無ければ線路の一方及びその逆方向の2方向に進んだ先にある2つの路側装置100が当該他の路側装置100である。例えば、
図1では、侵入情報を生成した路側装置100が路側装置100bである場合、当該他の路側装置100は、路側装置100a及び路側装置100cである。この送信の指示を受けて中継通信I/F108は、当該侵入情報を当該他の路側装置100に送信する。送信された当該侵入情報は、当該他の路側装置100の中継通信I/F108によって受信される。なお、中継通信I/F108は、ブロードキャスト通信によって他の路側装置100に当該侵入情報を送信しても良い。この場合、通信範囲内の路側装置100が当該侵入情報を受信する。プロセッサー101は、ステップST17の処理の後、ステップST11へと戻る。
【0072】
以上より、プロセッサー101は、中継通信I/F108と協働して、ステップST17の処理を行うことで、第2の移動体情報(侵入情報)を、第1の他の路側装置に送信する中継部の一例として機能する。
【0073】
また、プロセッサー101は、車300が線路内に侵入していると判定しないならば、ステップST13においてNoと判定してステップST18へと進む。
ステップST18においてプロセッサー101は、車300が線路内に侵入しそうであるか否かを判定する。プロセッサー101は、例えば、車300の位置情報を用いて、車300が侵入注意範囲内にある場合に車300が線路内に侵入しそうであると判定する。侵入注意範囲は、車300が範囲内にあった場合に当該車300が線路に侵入しそうであるとみなす予め定められた所定の範囲である。侵入注意範囲は、例えば、線路侵入範囲の外側に設定される。侵入注意範囲は、例えば、線路侵入範囲から所定の距離D4以内である範囲のうち、道路などの車300が入っても問題ない場所を除いた範囲である。なお、プロセッサー101は、車300が侵入注意範囲内にあり、且つ車300の進行方向が線路TRに近付く方向である場合に車300が線路内に侵入しそうであると判定しても良い。プロセッサー101は、侵入注意範囲を示す情報を例えば補助記憶装置104から取得する。補助記憶装置104は、当該情報を記憶している。また、プロセッサー101は、サーバーなどの他の装置から当該情報を取得しても良い。
あるいは、プロセッサー101は、センサー105を用いて車300が線路内に侵入しそうであるか否かを判定しても良い。
プロセッサー101は、車300が線路内に侵入しそうであると判定するならば、ステップST18においてYesと判定してステップST19へと進む。
【0074】
ステップST19においてプロセッサー101は、線路に侵入しそうな車300を記憶する。このために、プロセッサー101は、例えば、ステップST11で受信された車情報に含まれる車IDに、注意状態情報を関連付けてRAM103又は補助記憶装置104などに記憶する。注意状態情報は、関連付けられた車IDで特定される車300が線路内に侵入しそうであることを示す情報である。なお、プロセッサー101は、当該車IDに侵入状態情報が関連付けられていた場合には、例えば、当該車IDに関連付けられている侵入状態情報を削除して当該車IDに注意状態情報を関連付ける。
【0075】
ステップST20においてプロセッサー101は、注意情報を生成する。注意情報は、例えば、注意ID、ステップST11で受信された車情報、線路特定情報、路側センサー情報及び路線情報を含む。注意IDは、生成される注意情報ごとにユニークな識別情報である。なお、プロセッサー101は、生成した注意情報の注意IDをRAM103などに記憶しておく。注意情報は、車300が線路内に侵入しそうであることを通知する情報である。プロセッサー101は、注意情報を生成した後、当該注意情報を鉄道車両用装置210に送信するように鉄道通信I/F107に対して指示する。この送信の指示を受けて鉄道通信I/F107は、当該注意情報を鉄道車両用装置210に送信する。送信された当該注意情報は、鉄道車両用装置210の通信I/F215によって受信される。
なお、鉄道通信I/F107は、例えば、注意情報をブロードキャストによって鉄道車両用装置210に送信する。注意情報を送信する路側装置100の通信範囲内に鉄道車両用装置210があった場合、当該鉄道車両用装置210は当該注意情報を受信する。当該通信範囲内に鉄道車両用装置210が無かった場合、どの鉄道車両用装置210も注意情報を受信しない。あるいは、鉄道通信I/F107は、通信範囲内の鉄道車両用装置210にユニキャスト又はマルチキャストで注意情報を送信しても良い。
【0076】
なお、線路内に侵入しそうな車300の車情報又は当該車情報の一部は、鉄道の軌道に侵入しそうな移動体に関する第3の移動体情報の一例である。
以上より、プロセッサー101は、鉄道通信I/F107と協働して、ステップST20の処理を行うことで、第3の移動体情報を、列車200に送信する送信部の一例として機能する。
【0077】
ステップST21においてプロセッサー101は、ステップST20で生成した注意情報を他の路側装置100に送信するように中継通信I/F108に対して指示する。当該他の路側装置100は、例えば、路側装置100から線路に沿って進んだ先にある、線路に沿って進んだ方向ごとの最初の路側装置100である。この送信の指示を受けて中継通信I/F108は、当該注意情報を当該他の路側装置100に送信する。送信された当該注意情報は、当該他の路側装置100の中継通信I/F108によって受信される。なお、中継通信I/F108は、ブロードキャスト通信によって他の路側装置100に当該注意情報を送信しても良い。この場合、通信範囲内の路側装置100が当該注意情報を受信する。プロセッサー101は、ステップST21の処理の後、ステップST11へと戻る。
【0078】
また、プロセッサー101は、車300が線路内に侵入しそうであると判定しないならば、ステップST18においてNoと判定してステップST22へと進む。
ステップST22においてプロセッサー101は、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300が線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となったか否かを判定する。プロセッサー101は、例えば、ステップST11で受信された車情報に含まれる車IDと同じ車IDが、侵入状態情報又は注意状態情報が関連付けられてRAM103又は補助記憶装置104などに記憶されている場合、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300が線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となったと判定する。プロセッサー101は、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300が線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となったと判定しないならば、ステップST22においてNoと判定してステップST11へと戻る。対して、プロセッサー101は、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300が線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となったと判定するならば、ステップST22においてYesと判定してステップST23へと進む。
【0079】
ステップST23においてプロセッサー101は、解消情報を生成する。解消情報は、例えば、解消ID、及びステップST11で受信された車情報に含まれる車IDを含む。解消IDは、生成される解消情報ごとにユニークな識別情報である。解消情報は、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300が線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となったかことを通知する情報である。プロセッサー101は、解消情報を生成した後、当該解消情報を鉄道車両用装置210に送信するように鉄道通信I/F107に対して指示する。この送信の指示を受けて鉄道通信I/F107は、当該解消情報を鉄道車両用装置210に送信する。送信された当該解消情報は、鉄道車両用装置210の通信I/F215によって受信される。
なお、鉄道通信I/F107は、例えば、解消情報をブロードキャストによって鉄道車両用装置210に送信する。解消情報を送信する路側装置100の通信範囲内に鉄道車両用装置210があった場合、当該鉄道車両用装置210は当該解消情報を受信する。当該通信範囲内に鉄道車両用装置210が無かった場合、どの鉄道車両用装置210も解消情報を受信しない。あるいは、鉄道通信I/F107は、通信範囲内の鉄道車両用装置210にユニキャスト又はマルチキャストで解消情報を送信しても良い。
【0080】
ステップST24においてプロセッサー101は、ステップST23で生成した解消情報を他の路側装置100に送信するように中継通信I/F108に対して指示する。当該他の路側装置100は、例えば、路側装置100から線路に沿って進んだ先にある、線路に沿って進んだ方向ごとの最初の路側装置100である。この送信の指示を受けて中継通信I/F108は、当該解消情報を当該他の路側装置100に送信する。送信された当該解消情報は、路側装置100の中継通信I/F108によって受信される。なお、中継通信I/F108は、ブロードキャスト通信によって他の路側装置100に当該解消情報を送信しても良い。この場合、通信範囲内の路側装置100が当該解消情報を受信する。
【0081】
ステップST25においてプロセッサー101は、ステップST11で受信された車情報に含まれる車IDと同じ車IDが、侵入状態情報又は注意状態情報が関連付けられてRAM103又は補助記憶装置104などに記憶されている状態を解消する。プロセッサー101は、例えば、RAM103又は補助記憶装置104などに記憶されている当該車IDを削除する。プロセッサー101は、例えば、当該車IDに関連付けられた侵入状態情報又は注意状態情報を削除する。プロセッサー101は、ステップST25の処理の後、ステップST11へと戻る。
【0082】
また、プロセッサー101は、ステップST11及びステップST12の待受状態にあるときに侵入情報、注意情報又は解消情報が受信されたならば、ステップST12においてYesと判定してステップST26へと進む。ただし、プロセッサー101は、1又は複数の路側装置100から同じ侵入情報を複数回受信した場合には、最初に受信した侵入情報以外は破棄する。プロセッサー101は、例えば、同じ侵入IDの侵入情報を複数受信した場合に、同じ侵入IDの侵入情報のうちの2番目以降に受信した侵入情報を破棄する。また、プロセッサー101は、1又は複数の路側装置100から同じ注意情報を複数回受信した場合には、最初に受信した注意情報以外は破棄する。プロセッサー101は、例えば、同じ注意IDの注意情報を複数受信した場合に、同じ注意IDの注意情報のうちの2番目以降に受信した注意情報を破棄する。また、プロセッサー101は、1又は複数の路側装置100から同じ解消情報を複数回受信した場合には、最初に受信した解消情報以外は破棄する。プロセッサー101は、例えば、同じ解消IDの解消情報を複数受信した場合に、同じ解消IDの解消情報のうちの2番目以降に受信した解消情報を破棄する。また、プロセッサー101は、生成した侵入情報と同じ侵入情報を受信した場合も、受信した侵入情報を破棄する。プロセッサー101は、例えば、生成した侵入情報の侵入IDと受信した侵入情報の侵入IDが同じ場合に、受信した侵入情報を破棄する。また、プロセッサー101は、生成した注意情報と同じ注意情報を受信した場合も、受信した注意情報を破棄する。プロセッサー101は、例えば、生成した注意情報の注意IDと受信した注意情報の注意IDが同じ場合に、受信した注意情報を破棄する。また、プロセッサー101は、生成した解消情報と同じ解消情報を受信した場合も、受信した解消情報を破棄する。プロセッサー101は、例えば、生成した解消情報の解消IDと受信した解消情報の解消IDが同じ場合に、受信した解消情報を破棄する。なお、プロセッサー101は、侵入ID、注意ID又は解消IDが同じであることを確認するために、侵入ID、注意ID又は解消IDをRAM103などに記憶しておく。プロセッサー101は、侵入情報、注意情報を又は解消情報を受信した場合でも、当該侵入情報、注意情報又は解消情報を破棄した場合には、例えば、侵入情報、注意情報又は解消情報を受信していないものとみなしてステップST12でYesと判定しない。
以上より、プロセッサー101は、中継通信I/F108と協働して、侵入情報を受信することで、第2の移動体情報を受信する中継部の一例として機能する。また、プロセッサー101は、上記のように侵入情報を受信していないものとみなしてステップST12でYesと判定しないことで、第2の移動体情報(侵入情報)を受信し、受信した第2の移動体情報が既に他の路側装置に送信した第2の移動体情報と同じである場合、受信した第2の移動体情報を他の路側装置に送信しない中継部の一例として機能する。
【0083】
ステップST26においてプロセッサー101は、ステップST12で受信された侵入情報、注意情報又は解消情報を鉄道車両用装置210に送信するように鉄道通信I/F107に対して指示する。この送信の指示を受けて鉄道通信I/F107は、当該侵入情報、注意情報又は解消情報を鉄道車両用装置210に送信する。送信された当該侵入情報、注意情報又は解消情報は、鉄道車両用装置210の通信I/F215によって受信される。
なお、鉄道通信I/F107は、例えば、侵入情報、注意情報又は解消情報をブロードキャストによって鉄道車両用装置210に送信する。侵入情報、注意情報又は解消情報を送信する路側装置100の通信範囲内に鉄道車両用装置210があった場合、当該鉄道車両用装置210は当該侵入情報、注意情報又は解消情報を受信する。当該通信範囲内に鉄道車両用装置210が無かった場合、どの鉄道車両用装置210も侵入情報、注意情報又は解消情報を受信しない。あるいは、鉄道通信I/F107は、通信範囲内の鉄道車両用装置210にユニキャスト又はマルチキャストで侵入情報、注意情報又は解消情報を送信しても良い。
【0084】
プロセッサー101は、鉄道通信I/F107と協働して、ステップST26の処理を行うことで、中継部によって受信された第2の移動体情報を列車に送信する送信部の一例として機能する。
【0085】
ステップST27においてプロセッサー101は、ステップST12で受信された侵入情報、注意情報又は解消情報を中継するか否かを判定する。プロセッサー101は、例えば、当該プロセッサー101を備える路側装置100の設置位置から車300の位置情報が示す位置までの距離が所定の距離D5未満である場合に侵入情報、注意情報又は解消情報を中継すると判定する。当該距離は、直線距離であっても線路TRに沿った距離であっても良い。線路TRに沿った距離は、例えば路側装置100の位置から車300の位置までの営業キロである。プロセッサー101は、侵入情報、注意情報又は解消情報を中継しないならば、ステップST27においてNoと判定してステップST11へと戻る。対して、プロセッサー101は、侵入情報、注意情報又は解消情報を中継するならば、ステップST27においてYesと判定してステップST22へと進む。
【0086】
ステップST28においてプロセッサー101は、ステップST12で受信された侵入情報、注意情報又は解消情報を中継するべく、当該侵入情報、注意情報又は解消情報を他の路側装置100に送信するように中継通信I/F108に対して指示する。当該他の路側装置100は、例えば、当該侵入情報、注意情報又は解消情報を中継する路側装置100から、当該侵入情報、注意情報又は解消情報を生成した路側装置100がある方向とは逆方向に線路に沿って進んだ先にある路側装置100である。例えば、
図1では、侵入情報、注意情報又は解消情報を生成した路側装置100が路側装置100bであり、侵入情報、注意情報又は解消情報を中継する路側装置100が路側装置100cである場合、当該他の路側装置100は、路側装置100dである。この送信の指示を受けて中継通信I/F108は、当該侵入情報、注意情報又は解消情報を当該他の路側装置100に送信する。送信された当該侵入情報、注意情報又は解消情報は、当該他の路側装置100の中継通信I/F108によって受信される。プロセッサー101は、ステップST28の処理の後、ステップST11へと戻る。
【0087】
以上より、プロセッサー101は、ステップST28の処理を行うことで、第2の移動体情報(侵入情報)を受信し、第2の移動体情報の送信元の路側装置とは異なる第2の他の路側装置に送信する中継部の一例として機能する。
【0088】
侵入情報及び注意情報は、車300からの距離が所定の距離D5以上とならない範囲で1又は複数の路側装置100によって中継されることでより遠くの鉄道車両用装置210まで到達する。
なお、侵入情報を受信する路側装置は、第1の他の路側装置の一例である。また、侵入情報を受信して他の路側装置に送信する場合、当該他の路側装置は、第2の他の路側装置の一例である。
【0089】
一方、
図4のステップST31において鉄道車両用装置210のプロセッサー211は、通信I/F215によって侵入情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー211は、侵入情報が受信されないならば、ステップST31においてNoと判定してステップST32へと進む。
【0090】
ステップST32においてプロセッサー211は、通信I/F215によって注意情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー211は、注意情報が受信されないならば、ステップST32においてNoと判定してステップST33へと進む。
【0091】
ステップST33においてプロセッサー211は、通信I/F215によって解消情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー211は、解消情報が受信されないならば、ステップST33においてNoと判定してステップST31へと戻る。かくして、プロセッサー211は、侵入情報、注意情報又は解消情報が受信されるまでステップST31~ステップST33を繰り返す待受状態となる。
【0092】
プロセッサー211は、ステップST31~ステップST33の待受状態にあるときに侵入情報が受信されたならば、ステップST31においてYesと判定してステップST34へと進む。ただし、プロセッサー211は、複数の路側装置100から同じ侵入情報を受信した場合には、最初に受信した侵入情報以外は破棄しても良い。プロセッサー211は、例えば、同じ侵入IDの侵入情報を複数受信した場合に、同じ侵入IDの侵入情報のうちの2番目以降に受信した侵入情報を破棄する。
【0093】
以上より、プロセッサー211は、通信I/F215と協働して、侵入情報を受信することで、第1の移動体情報を受信する鉄道受信部の一例として機能する。
【0094】
ステップST34においてプロセッサー211は、車300が線路内に侵入したことを報知するか否かを判定する。プロセッサー211は、侵入情報中の路線情報の示す路線全てが、列車200が走行中の路線とは関係無い路線である場合には、車300が線路内に侵入したことを報知しないと判定する。どの路線とどの路線が関係あるかは予め定められる。列車200が走行中の路線とは関係無い路線は、例えば、列車200が走行中の路線とは異なる区間のみを走る路線である。また、列車200が走行中の路線とは関係無い路線は、例えば、列車200が走行している路線と立体交差している路線、列車200が走行している路線と異なる敷地を走る路線である。また、プロセッサー211は、列車200の進行方向が、車300の位置とは逆方向である場合も、車300が線路内に侵入したことを報知しないと判定する。プロセッサー211は、車300が線路内に侵入したことを報知しないならば、ステップST34においてNoと判定してステップST31へと戻る。対して、プロセッサー211は、車300が線路内に侵入したことを報知するならば、ステップST34においてYesと判定してステップST35へと進む。
【0095】
ステップST35においてプロセッサー211は、車300が線路TR内に侵入したことを列車200の運転手などの乗務員に報知するための処理を開始する。例えば、プロセッサー211は、侵入通知画面に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー211は、生成したこの画像を表示するように出力デバイス216に対して指示する。表示の指示を受けて出力デバイス216は、侵入通知画面を表示する。プロセッサー211は、ステップST35の処理の後、ステップST31へと戻る。
【0096】
侵入通知画面は、車300が線路TR内に侵入したことを列車200の乗務員に報知するための画面である。侵入通知画面は、例えば、車300が線路TR内に侵入したことを示す画像、及びステップST31で受信された侵入情報に含まれる各種情報を含む。
【0097】
なお、出力デバイス216は、画面を表示する以外の方法で列車200の運転手に車300が線路TR内に侵入したことを報知しても良い。
【0098】
また、プロセッサー211は、ステップST35で開始した報知のための処理に、ステップST31で受信された侵入情報に含まれる車IDを関連付けておく。
【0099】
以上より、プロセッサー211は、出力デバイス216と協働して、ステップST35の処理を行うことで、第1の移動体情報を報知する報知部の一例として機能する。
【0100】
プロセッサー211は、ステップST31~ステップST33の待受状態にあるときに注意情報が受信されたならば、ステップST32においてYesと判定してステップST36へと進む。ただし、プロセッサー211は、複数の路側装置100から同じ注意情報を受信した場合には、最初に受信した注意情報以外は破棄しても良い。プロセッサー211は、例えば、同じ注意IDの注意情報を複数受信した場合に、同じ注意IDの注意情報のうちの2番目以降に受信した注意情報を破棄する。
【0101】
ステップST36においてプロセッサー211は、車300が線路内に侵入しそうであることを報知するか否かを判定する。プロセッサー211は、侵入情報中の路線情報の示す路線全てが、列車200が走行中の路線とは関係無い路線である場合には、車300が線路内に侵入しそうであることを報知しないと判定する。また、プロセッサー211は、列車200の進行方向が、車300の位置とは逆方向である場合も、車300が線路内に侵入しそうであることを報知しないと判定する。プロセッサー211は、車300が線路内に侵入しそうであることを報知しないならば、ステップST36においてNoと判定してステップST31へと戻る。対して、プロセッサー211は、車300が線路内に侵入しそうであることを報知するならば、ステップST36においてYesと判定してステップST37へと進む。
【0102】
ステップST37においてプロセッサー211は、車300が線路TR内に侵入しそうであることを列車200の乗務員に報知するための処理を開始する。例えば、プロセッサー211は、注意画面に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー211は、生成したこの画像を表示するように出力デバイス216に対して指示する。表示の指示を受けて出力デバイス216は、注意画面を表示する。プロセッサー211は、ステップST37の処理の後、ステップST31へと戻る。
【0103】
注意画面は、車300が線路TR内に侵入しそうであることを列車200の乗務員に通知するための画面である。注意画面は、例えば、車300が線路TR内に侵入しそうであることを示す画像、及びステップST31で受信された侵入情報に含まれる各種情報を含む。
【0104】
なお、出力デバイス216は、画面を表示する以外の方法で列車200の乗務員に車300が線路TR内に侵入しそうであることを報知しても良い。
【0105】
また、プロセッサー211は、ステップST37で開始した報知のための処理に、ステップST31で受信された侵入情報に含まれる車IDを関連付けておく。
【0106】
プロセッサー211は、ステップST31~ステップST33の待受状態にあるときに解消情報が受信されたならば、ステップST33においてYesと判定してステップST38へと進む。ただし、プロセッサー211は、複数の路側装置100から同じ解消情報を受信した場合には、最初に受信した解消情報以外は破棄しても良い。プロセッサー211は、例えば、同じ解消IDの解消情報を複数受信した場合に、同じ解消IDの解消情報のうちの2番目以降に受信した解消情報を破棄する。
【0107】
ステップST38においてプロセッサー211は、車300についての報知を終了するか否かを判定する。ただし、当該車300は、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300であり、線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となった車300である。プロセッサー211は、例えば、ステップST35で開始した報知のための処理及びステップST37で開始した報知のための処理の少なくともいずれかを実行中であり、且つ実行中の報知のための処理の少なくとも1つ以上に関連付けられている車IDが、ステップST33で受信された解消情報中の車IDと同一であるならば、報知を終了すると判定する。プロセッサー211は、報知を終了すると判定しないならば、ステップST38においてNoと判定してステップST39へと進む。対して、プロセッサー211は、報知を終了するならば、ステップST38においてYesと判定してステップST40へと進む。
【0108】
ステップST39においてプロセッサー211は、車300についての報知を終了する。ただし、当該車300は、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300であり、線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となった車300である。プロセッサー211は、ステップST35で開始した報知のための処理及びステップST37で開始した報知のための処理のうち、ステップST33で受信された解消情報中の車IDと同一の車IDで関連付けられた処理を終了する。
また、プロセッサー211は、線路内に侵入していた車300又は線路内に侵入しそうであった車300が線路内に侵入していない状態且つ侵入しそうでもない状態となったことを報知しても良い。プロセッサー211は、線路内に侵入していた車300が線路内に侵入していない状態となったことを報知しても良い。プロセッサー211は、線路内に侵入しそうであった車300が線路内に侵入しそうではない状態となったことを報知しても良い。プロセッサー211は、例えば、出力デバイス216に画像を表示させるなどしてこれらの報知を行う。
プロセッサー211は、ステップST39の処理の後、ステップST31へと戻る。
【0109】
実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、線路内に侵入している車両300に関する車情報を、当該車両300に搭載された車載装置310から受信する。そして、路側装置100は、当該車情報を含む侵入情報を列車200に送信する。これにより、列車200の乗務員は、車両300が線路内に侵入していることを知ることができる。また、これによって、衝突事故の発生を防ぐことに繋がる。
【0110】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、車両300の位置情報を用いることで車両300が線路内に侵入したことを検知することができる。
【0111】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、センサー105を用いることで車両300が線路内に侵入したことを検知することができる。また、センサー105は、踏切保安装置であっても良い。実施形態の通信システム1は、既存の踏切保安装置を利用することで、コストの削減が可能である。
【0112】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、車載装置310との通信と、鉄道車両用装置210との通信とを、異なる周波数で無線通信を行う。これにより、実施形態の通信システム1は、混信を防ぐことができる。
【0113】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、列車200に車両300の位置情報を送信する。これにより、列車200の乗務員は、車両300の位置を知ることができる。
【0114】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、列車200に車両300の速度を送信する。これにより、列車200の乗務員は、車両300の速度を知ることができる。
【0115】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、列車200に車両300の異常を示す情報を送信する。これにより、列車200の乗務員は、車両300にどのような異常が起きているかを知ることができる。
【0116】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、列車200に車両300がどの線路内にあるかを示す情報を送信する。これにより、列車200の乗務員は、車両300がどの線路内にあるかを知ることができる。
【0117】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、列車200に車両300が存在する位置の地形を示す情報を送信する。これにより、列車200の乗務員は、当該地形を知ることができる。また、列車200の運転手は、当該地形に応じた列車200の運転が可能となる。
【0118】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、線路内に侵入しそうな車両300に関する車情報を、当該車両300に搭載された車載装置310から受信する。そして、路側装置100は、当該車情報を含む注意情報を列車200に送信する。これにより、列車200の乗務員は、車両300が線路内に侵入しそうなことを知ることができる。また、これによって、衝突事故の発生を防ぐことに繋がる。
【0119】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、他の路側装置100に侵入情報を送信する。これにより、実施形態の通信システム1は、より広い範囲に侵入情報を送信することができる。
【0120】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、他の路側装置100から受信した侵入情報を列車200に送信する。これにより、実施形態の通信システム1は、より広い範囲に侵入情報を送信することができる。
【0121】
また、実施形態の通信システム1によれば、路側装置100は、他の路側装置100から受信した侵入情報をさらに別に路側装置100に送信する。これにより、実施形態の通信システム1は、より広い範囲に侵入情報を送信することができる。
【0122】
上記の実施形態は、以下のような変形も可能である。
上記の実施形態では、路側装置100が、車300が線路内に侵入していること及び侵入しそうであることを判定する。しかしながら、鉄道車両用装置210が、車300が線路内に侵入していること及び侵入しそうであることを判定しても良い。この場合、路側装置100は、車情報を受信した場合、車情報を、例えば、上記の実施形態における侵入情報及び注意情報と同様の送信経路で鉄道車両用装置210に送信する。そして、鉄道車両用装置210のプロセッサー211は、当該車情報中の車300の位置情報などを用いて車300が線路内に侵入していること及び侵入しそうであることを判定する。
プロセッサー211は、車300が線路内に侵入していることを判定することで、移動体の位置情報を用いて、移動体が軌道に侵入したことを検知する鉄道検知部の一例として機能する。
【0123】
上記の実施形態では、路側装置100が、車300が線路内に侵入していること及び侵入しそうであることを判定する。しかしながら、車載装置310が、車300が線路内に侵入していること及び侵入しそうであることを判定しても良い。この場合、車載装置310のプロセッサー311は、例えば、車300の位置情報を用いて車300が線路内に侵入していること及び侵入しそうであることを判定する。そして、車載装置310は、車300が線路内に侵入しているか否か及び侵入しそうであるか否かを示す情報を含む車情報を路側装置100に送信する。
プロセッサー311は、移動体の位置情報を用いて、移動体が前記軌道に侵入したことを検知する移動体検知部の一例として機能する。
【0124】
上記の実施形態では、通信システム1は、車300が線路に侵入したこと及び侵入しそうであることを検知して通知する。しかしながら通信システム1は、車300以外の移動体が線路に侵入したこと及び侵入しそうであることを検知して通知しても良い。当該移動体は、例えば歩行者などの人などである。歩行者などは、車載装置310を携帯する。歩行者が携帯する車載装置310は、例えば、スマートホンなどである。この場合の車情報は、当該移動体に関する情報である。また、この場合の測位部316が出力する位置情報は、当該移動体の位置情報である。
【0125】
上記の実施形態において路側装置100が行う処理の一部を車載装置310が行っても良い。上記の実施形態において路側装置100が行う処理の一部を鉄道車両用装置210が行っても良い。上記の実施形態において鉄道車両用装置210が行う処理の一部を路側装置100が行っても良い。
【0126】
上記の実施形態では、通信システム1は、線路に侵入したことの検知などを行う。しかしながら、通信システム1は、線路に代えて、線路以外の軌道に侵入したことの検知などを行っても良い。線路以外の軌道は、例えば、案内軌条式鉄道用の案内軌条、モノレール用の単軌条、又は磁気浮上式鉄道用の軌道などである。
【0127】
プロセッサー101、プロセッサー211及びプロセッサー311は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。
【0128】
実施形態の処理を実現するプログラムは、例えば装置に記憶された状態で譲渡される。しかしながら、当該装置は、当該プログラムが記憶されない状態で譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に譲渡され、当該装置へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、リムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はLAN(local area network)などのネットワークを介したダウンロードによって実現できる。
【0129】
以上、本発明の実施形態を説明したが、例として示したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施可能である。
【符号の説明】
【0130】
1 通信システム
100 路側装置
101,211,311 プロセッサー
102,212,312 ROM
103,213,313 RAM
104,214,314 補助記憶装置
105 センサー
106 路側通信I/F
107 鉄道通信I/F
108 中継通信I/F
109,218,317 バス
200 列車
210 鉄道車両用装置
215,315 通信I/F
216 出力デバイス
217 入力デバイス
300 車
310 車載装置
316 測位部