特許 7502253 路側装置、通信システム、鉄道車両用装置、プログラム及び通信方法

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】特許公報(B2)

(11)【特許番号】

(24)【登録日】2024-06-10

(45)【発行日】2024-06-18

(54)【発明の名称】路側装置、通信システム、鉄道車両用装置、プログラム及び通信方法

(51)【国際特許分類】

   B61L 29/00 20060101AFI20240611BHJP

   B61L 23/00 20060101ALI20240611BHJP

   H04W 88/04 20090101ALI20240611BHJP

   H04W 60/00 20090101ALI20240611BHJP

   H04W 48/10 20090101ALI20240611BHJP

【ＦＩ】

B61L29/00 Z

B61L23/00 E

B61L29/00 A

H04W88/04

H04W60/00

H04W48/10

【請求項の数】 13

(21)【出願番号】P 2021196842

(22)【出願日】2021-12-03

(65)【公開番号】P2023082865

(43)【公開日】2023-06-15

【審査請求日】2023-06-22

(73)【特許権者】

【識別番号】000005290

【氏名又は名称】古河電気工業株式会社

(74)【代理人】

【識別番号】100114292

【弁理士】

【氏名又は名称】来間 清志

(74)【代理人】

【識別番号】100205659

【弁理士】

【氏名又は名称】齋藤 拓也

(72)【発明者】

【氏名】下大迫 和隆

(72)【発明者】

【氏名】望月 崇弘

(72)【発明者】

【氏名】斎藤 若

【審査官】井古田 裕昭

(56)【参考文献】

【文献】特開２０２１－０９３５６５（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０００－２８０９０９（ＪＰ，Ａ）

【文献】特開２０１６－０４６９９８（ＪＰ，Ａ）

【文献】米国特許出願公開第２０２０／０２７６９９５（ＵＳ，Ａ１）

(58)【調査した分野】(Int.Cl.，ＤＢ名)

Ｂ６１Ｌ ２９／００

Ｂ６１Ｌ ２３／００

Ｈ０４Ｗ ８８／０４

Ｈ０４Ｗ ６０／００

Ｈ０４Ｗ ４８／１０

(57)【特許請求の範囲】

【請求項1】

信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信する受信部と、
前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する送信部と、
前記第２の情報を、第１の他の路側装置に送信する中継部とを備え、
前記中継部は、１又は複数の路側装置から同じ前記第２の情報を複数回受信した場合には、最初に受信した前記第２の情報以外は破棄する路側装置。

【請求項2】

前記送信部は、前記第２の情報をブロードキャスト送信する、請求項１に記載の路側装置。

【請求項3】

前記第２の情報は、前記踏切内に存在する移動体の位置情報を含む、請求項１又は請求項２に記載の路側装置。

【請求項4】

前記第２の情報は、前記踏切内に存在する移動体がどの軌道内にあるかを示す情報を含む、請求項１乃至請求項３のいずれか１項に記載の路側装置。

【請求項5】

前記第２の情報は、前記踏切内に存在する移動体が存在する位置の地形を示す情報を含む、請求項１乃至請求項４のいずれか１項に記載の路側装置。

【請求項6】

前記第２の情報は、前記信号機を目立たせるための画像を含む、請求項１乃至請求項５のいずれか１項に記載の路側装置。

【請求項7】

前記受信部は、前記信号機が前記第１の状態でなくなったことを示す第３の情報を受信し、
前記送信部は、前記第３の情報が受信された場合、前記信号機が前記第１の状態でなくなったことを示す第４の情報を、前記列車に送信する、請求項１乃至請求項６のいずれか１項に記載の路側装置。

【請求項8】

前記中継部は、前記第２の情報を受信し、
前記送信部は、前記中継部によって受信された前記第２の情報を前記列車に送信する、請求項１に記載の路側装置。

【請求項9】

前記中継部は、前記第２の情報を受信し、前記第２の情報の送信元の前記路側装置とは異なる第２の他の路側装置に送信する、請求項１に記載の路側装置。

【請求項10】

保安装置、路側装置及び鉄道車両用装置を含み、
前記保安装置は、
鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知した、又は、列車の停止が要求された場合、信号機を、前記踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態にする制御部と、
前記信号機が前記第１の状態となったことを示す第１の情報を前記路側装置に送信する保安送信部と、を備え
前記路側装置は、
前記第１の情報を受信する受信部と、
前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が前記第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する送信部と、
前記第２の情報を、第１の他の路側装置に送信する中継部とを備え、
前記鉄道車両用装置は、
前記第２の情報を受信する鉄道受信部と、
前記信号機が前記第１の状態になったことを報知する報知部と、を備え、
前記路側装置の前記中継部は、１又は複数の路側装置から同じ前記第２の情報を複数回受信した場合には、最初に受信した前記第２の情報以外は破棄する通信システム。

【請求項11】

信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信する受信部、前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する送信部、及び前記第２の情報を、第１の他の路側装置に送信する中継部を備え、１又は複数の路側装置から同じ前記第２の情報を複数回受信した場合には、最初に受信した前記第２の情報以外は破棄する路側装置とともに通信システムを構成し、
前記第２の情報を受信する鉄道受信部と、
前記信号機が前記第１の状態になったことを報知する報知部と、を備える鉄道車両用装置。

【請求項12】

受信装置、送信装置、及び中継装置を備える路側装置が備えるプロセッサーを、
信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信するように前記受信装置を制御する受信制御部と、
前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信するように前記送信装置を制御する送信制御部と、
前記第２の情報を、第１の他の路側装置に送信し、同じ前記第２の情報を複数回受信した場合には、最初に受信した前記第２の情報以外は破棄するように前記中継装置を制御する中継制御部と、して機能させるプログラム。

【請求項13】

信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信し、
前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信し、
前記第２の情報を、第１の他の路側装置に送信し、１又は複数の路側装置から同じ前記第２の情報を複数回受信した場合には、最初に受信した前記第２の情報以外は破棄する通信方法。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、路側装置、通信システム、鉄道車両用装置、プログラム及び通信方法に関する。

【背景技術】

【0002】

踏切において異常が発生する場合がある。このような場合、特殊信号発光機を発光させることで列車に異常を伝えることで事故を防ぐことができる場合がある。しかしながら、特殊信号発光機が見えなかったり見えづらかったりして列車の運転手などの乗務員が特殊信号発光機の発光に気が付かない場合がある。
特許文献１に記載のシステムは、踏切の異常を示す信号を列車に通知することができる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0003】

【文献】特開２０２１－７９８５８号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0004】

しかしながら、このシステムでは、中央指令室などとの通信が必要となる。本発明の実施形態が解決しようとする課題は、特殊信号発光機の発光を列車の乗務員に気付かせやすくすることができる路側装置、通信システム、鉄道車両用装置、プログラム及び通信方法を提供することである。

【課題を解決するための手段】

【0005】

実施形態の路側装置は、受信部及び送信部を備える。受信部は、信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信する。送信部は、前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する。

【0006】

送信部は、前記第２の情報をブロードキャスト送信しても良い。

【0007】

第２の情報は、前記踏切内に存在する移動体の位置情報を含んでも良い。

【0008】

第２の情報は、前記踏切内に存在する移動体がどの軌道内にあるかを示す情報を含んでも良い。

【0009】

第２の情報は、前記踏切内に存在する移動体が存在する位置の地形を示す情報を含んでも良い。

【0010】

第２の情報は、前記信号機を目立たせるための画像を含んでも良い。

【0011】

受信部は、前記信号機が前記第１の状態でなくなったことを示す第３の情報を受信しても良い。送信部は、前記第３の情報が受信された場合、前記信号機が前記第１の状態でなくなったことを示す第４の情報を、前記列車に送信しても良い。

【0012】

実施形態の路側装置は、中継部をさらに備えても良い。中継部は、前記第２の情報を、第１の他の路側装置に送信する。

【0013】

中継部は、前記第２の情報を受信しても良い。送信部は、前記中継部によって受信された前記第２の情報を前記列車に送信しても良い。

【0014】

中継部は、前記第２の情報を受信し、前記第２の情報の送信元の前記路側装置とは異なる第２の他の路側装置に送信しても良い。

【0015】

実施形態の通信システムは、保安装置、路側装置及び鉄道車両用装置を含む。保安装置は、制御部及び保安送信部を備える。制御部は、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知した、又は、列車の停止が要求された場合、信号機を、前記踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態にする。保安送信部は、前記信号機が前記第１の状態となったことを示す第１の情報を前記路側装置に送信する。路側装置は、受信部及び送信部を備える。受信部は、前記第１の情報を受信する。送信部は、前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が前記第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する。鉄道車両用装置は、鉄道受信部及び報知部を備える。鉄道受信部は、前記第２の情報を受信する。報知部は、前記信号機が前記第１の状態になったことを報知する。

【0016】

実施形態の鉄道車両用装置は、路側装置とともに通信システムを構成する。路側装置は、受信部及び送信部を備える。受信部は、信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信する。送信部は、前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する。実施形態の鉄道車両用装置は、鉄道受信部及び報知部を備える。鉄道受信部は、前記第２の情報を受信する。報知部は、前記信号機が前記第１の状態になったことを報知する。

【0017】

実施形態のプログラムは、受信装置及び送信装置を備える路側装置が備えるプロセッサーを受信制御部及び送信制御部として機能させる。受信制御部は、信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信するように前記受信装置を制御する。送信制御部は、前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信するように前記送信装置を制御する。

【0018】

実施形態の通信方法は、信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態となったことを示す第１の情報を受信する。実施形態の通信方法は、前記第１の情報が受信された場合、前記信号機が第１の状態であることを示す第２の情報を、前記鉄道の軌道を走行する列車に送信する。

【発明の効果】

【0019】

本発明は、特殊信号発光機の発光を列車の乗務員に気付かせやすくすることができる。

【図面の簡単な説明】

【0020】

【図1】実施形態に係る通信システム１の概要を示す図である。

【図2】図１中の路側装置、鉄道車両用装置及び車載装置の要部構成の一例などを示すブロック図である。

【図3】図１中の踏切保安装置の要部構成の一例などを示すブロック図である。

【図4】図３中の踏切保安装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャートである。

【図5】図２中の路側装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャートである。

【図6】図２中の鉄道車両用装置のプロセッサーによる処理の一例を示すフローチャートである。

【図7】信号画像の一例を示す図である。

【発明を実施するための形態】

【0021】

以下、実施形態に係る通信システムについて図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、各部の縮尺を適宜変更している場合がある。また、以下の実施形態の説明に用いる各図面は、説明のため、構成を省略して示している場合がある。また、各図面及び本明細書中において、同一の符号は同様の要素を示す。

【0022】

実施形態に係る通信システムの構成について図を用いて説明する。
図１は、実施形態に係る通信システム１の概要を示す図である。通信システム１は、一例として、路側装置１００、列車２００の鉄道車両用装置２１０、車３００の車載装置３１０、踏切保安装置４００、特殊信号発光機５００、センサー６００及び踏切装置７００を含む。通信システム１は、特殊信号発光機５００の表示内容などを列車２００に送信するシステムである。これにより、通信システム１は、当該列車２００の運転手などの乗務員が特殊信号発光機５００の表示内容を確認することの支援をする。また、通信システム１は、鉄道の線路ＴＲと道路ＲＤが交差する踏切ＲＣ内に進入した車３００などの障害物を検知して、当該車３００についての情報を、路側装置１００を介して列車２００に送信するシステムである。なお、通信システム１は、典型的には路側装置１００、列車２００の鉄道車両用装置２１０、車３００の車載装置３１０、踏切保安装置４００、特殊信号発光機５００、センサー６００及び踏切装置７００をそれぞれ複数含む。図１には、一例として、線路ＴＲ１～線路ＴＲ４の４つの線路ＴＲを示している。また、図１には、１つの道路ＲＤ及び１つの踏切ＲＣを示しているが、道路ＲＤは複数あっても良く、踏切ＲＣは複数あっても良い。ただし、以下の説明では１つの踏切ＲＣを例に説明を行う。特殊信号発光機５００は、落石、雪崩、又は強風などにより、踏切などに対して警戒を要する地点（支障箇所）に設けられる装置である。また、本実施例では、特殊信号発光機５００は、主に、踏切内に自動車などが立ち往生した際に踏切を挟むようにして設置されている踏切障害物検知装置が自動車を検知したり、非常ボタン４０８が操作された場合に、停止信号を現示する装置として説明するが、この説明に限定されない。

【0023】

図２は、路側装置１００、鉄道車両用装置２１０及び車載装置３１０の要部構成の一例などを示すブロック図である。路側装置１００は、例えば、線路ＴＲの沿線又は線路ＴＲの周辺などに設置される装置である。路側装置１００は、例えば、線路ＴＲに沿って、間隔を開けて複数設置される。路側装置１００は、車３００の車載装置３１０などにＶ２Ｘ（vehicle-to-everything）通信サービスなどを提供する。また、路側装置１００は、列車２００の鉄道車両用装置２１０と無線通信する。なお、図１には、路側装置１００ａ～路側装置１００ｅの５つの路側装置１００を示している。このうち、路側装置１００ｂは、踏切ＲＣに最も近い位置に設置される路側装置１００である。路側装置１００ｂは、当該踏切ＲＣに設置された踏切保安装置４００と接続する。
路側装置１００は、一例として、プロセッサー１０１、ＲＯＭ（read-only memory）１０２、ＲＡＭ（random-access memory）１０３、補助記憶装置１０４、センサー１０５、路側通信Ｉ／Ｆ（interface）１０６、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７、中継通信Ｉ／Ｆ１０８及び踏切通信Ｉ／Ｆ１０９を含む。そして、バス１１０などが、これら各部を接続する。

【0024】

プロセッサー１０１は、路側装置１００の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー１０１は、例えば、ＣＰＵ（central processing unit）、ＭＰＵ（micro processing unit）、ＳｏＣ（system on a chip）、ＤＳＰ（digital signal processor）、ＧＰＵ（graphics processing unit）、ＡＳＩＣ（application specific integrated circuit）、ＰＬＤ（programmable logic device）又はＦＰＧＡ（field-programmable gate array）などである。あるいは、プロセッサー１０１は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー１０１は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー１０１は、ＲＯＭ１０２又は補助記憶装置１０４などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、路側装置１００の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー１０１は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー１０１の回路内に組み込まれていても良い。

【0025】

ＲＯＭ１０２及びＲＡＭ１０３は、プロセッサー１０１を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ＲＯＭ１０２は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ＲＯＭ１０２は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ＲＯＭ１０２は、プロセッサー１０１が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
ＲＡＭ１０３は、データの読み書きに用いられるメモリである。ＲＡＭ１０３は、プロセッサー１０１が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。ＲＡＭ１０３は、典型的には揮発性メモリである。

【0026】

補助記憶装置１０４は、プロセッサー１０１を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置１０４は、例えばＥＥＰＲＯＭ（electric erasable programmable read-only memory）、ＨＤＤ（hard disk drive）又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置１０４は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置１０４は、プロセッサー１０１が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー１０１での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。

【0027】

センサー１０５は、各種のセンサーである。

【0028】

路側通信Ｉ／Ｆ１０６は、路側装置１００が車載装置３１０と通信するためのインターフェースである。路側通信Ｉ／Ｆ１０６は、例えば、Ｖ２Ｘ通信などの無線通信で車載装置３１０と通信する。

【0029】

鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、路側装置１００が鉄道車両用装置２１０と通信するためのインターフェースである。鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、例えば、Ｖ２Ｘ通信などの無線通信で鉄道車両用装置２１０と通信する。
なお、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、送信装置の一例である。

【0030】

中継通信Ｉ／Ｆ１０８は、路側装置１００が他の路側装置１００と無線通信などによって通信するためのインターフェースである。

【0031】

踏切通信Ｉ／Ｆ１０９は、路側装置１００が踏切保安装置４００と通信するためのインターフェースである。踏切通信Ｉ／Ｆ１０９は、有線及び無線のいずれで通信するものであっても良い。なお、路側装置１００ｂなどの踏切ＲＣに設置される路側装置１００以外の路側装置１００は、踏切通信Ｉ／Ｆ１０９を備えていなくても良い。
なお、踏切通信Ｉ／Ｆ１０９は、受信装置の一例である。

【0032】

なお、路側装置１００は、路側通信Ｉ／Ｆ１０６、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７、中継通信Ｉ／Ｆ１０８及び踏切通信Ｉ／Ｆ１０９のうちのいずれか２つ以上に代えて、当該２つ以上のインターフェースの機能を兼ねるインターフェースを備えていても良い。

【0033】

路側通信Ｉ／Ｆ１０６、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７、中継通信Ｉ／Ｆ１０８及び踏切通信Ｉ／Ｆ１０９の使用する通信規格は、それぞれ異なっていても良いし、いずれか２つ以上が同じであっても良い。

【0034】

路側通信Ｉ／Ｆ１０６、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７、中継通信Ｉ／Ｆ１０８及び踏切通信Ｉ／Ｆ１０９は、それぞれ異なる無線周波数チャンネルを用いることで、通信を区別しても良い。

【0035】

バス１１０は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、路側装置１００の各部で授受される信号を伝送する。

【0036】

列車２００は、線路ＴＲを走行する列車である。列車２００は、１両又は連結された２両以上の鉄道車両を含む。列車２００中の少なくとも１車両は、鉄道車両用装置２１０を搭載する。例えば、運転席を有する車両（制御車）が鉄道車両用装置２１０を搭載する。

【0037】

鉄道車両用装置２１０は、路側装置１００から情報を受信する装置である。また、鉄道車両用装置２１０は、路側装置１００から受信した情報に基づき列車２００の乗務員に必要な情報などを報知する装置である。鉄道車両用装置２１０は、一例として、プロセッサー２１１、ＲＯＭ２１２、ＲＡＭ２１３、補助記憶装置２１４、通信Ｉ／Ｆ２１５、出力デバイス２１６及び入力デバイス２１７を含む。そして、バス２１８などが、これら各部を接続する。

【0038】

プロセッサー２１１は、鉄道車両用装置２１０の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー２１１は、例えば、ＣＰＵ、ＭＰＵ、ＳｏＣ、ＤＳＰ、ＧＰＵ、ＡＳＩＣ、ＰＬＤ又はＦＰＧＡなどである。あるいは、プロセッサー２１１は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー２１１は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー２１１は、ＲＯＭ２１２又は補助記憶装置２１４などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、鉄道車両用装置２１０の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー２１１は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー２１１の回路内に組み込まれていても良い。

【0039】

ＲＯＭ２１２及びＲＡＭ２１３は、プロセッサー２１１を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ＲＯＭ２１２は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ＲＯＭ２１２は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ＲＯＭ２１２は、プロセッサー２１１が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
ＲＡＭ２１３は、データの読み書きに用いられるメモリである。ＲＡＭ２１３は、プロセッサー２１１が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。ＲＡＭ２１３は、典型的には揮発性メモリである。

【0040】

補助記憶装置２１４は、プロセッサー２１１を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置２１４は、例えばＥＥＰＲＯＭ、ＨＤＤ又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置２１４は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置２１４は、プロセッサー２１１が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー２１１での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。

【0041】

通信Ｉ／Ｆ２１５は、鉄道車両用装置２１０が路側装置１００と通信するためのインターフェースである。通信Ｉ／Ｆ２１５は、例えば無線通信によって路側装置１００と通信する。

【0042】

出力デバイス２１６は、鉄道車両用装置２１０の操作者に各種情報を通知するための画面を表示する。出力デバイス２１６は、例えば、液晶ディスプレイ又は有機ＥＬ（electro-luminescence）ディスプレイなどのディスプレイを含む。また、出力デバイス２１６は、光の点灯及び消灯で情報を通知するランプなどを含んでも良い。また、出力デバイス２１６は、スピーカーなどを含んでも良い。スピーカーは、入力される音声信号を音波として出力する。

【0043】

入力デバイス２１７は、鉄道車両用装置２１０の操作者による操作を受け付ける。入力デバイス２１７は、例えば、キーボード、キーパッド、タッチパッド、マウス又はコントローラーなどである。また、入力デバイス２１７は、音声入力用のデバイスであっても良い。また、出力デバイス２１６及び入力デバイス２１７としては、タッチパネルを用いることもできる。この場合、タッチパネルが備える表示パネルは、出力デバイス２１６として機能する。そして、タッチパネルが備える、タッチ入力によるポインティングデバイスは、入力デバイス２１７として機能する。

【0044】

バス２１８は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、鉄道車両用装置２１０の各部で授受される信号を伝送する。

【0045】

車３００は、自動車、自動二輪車及び軽車両などである。車３００は、車載装置３１０を搭載する。なお、車３００は、有人であっても無人であっても良い。また、車３００は、自動運転車であっても良い。車３００は、移動体の一例である。

【0046】

車載装置３１０は、車３００に関する情報などを路側装置１００などに送信する装置である。車載装置３１０は、一例として、プロセッサー３１１、ＲＯＭ３１２、ＲＡＭ３１３、補助記憶装置３１４、通信Ｉ／Ｆ３１５及び測位部３１６を含む。そして、バス３１７などが、これら各部を接続する。

【0047】

プロセッサー３１１は、車載装置３１０の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー３１１は、例えば、ＣＰＵ、ＭＰＵ、ＳｏＣ、ＤＳＰ、ＧＰＵ、ＡＳＩＣ、ＰＬＤ又はＦＰＧＡなどである。あるいは、プロセッサー３１１は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー３１１は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー３１１は、ＲＯＭ３１２又は補助記憶装置３１４などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、車載装置３１０の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー３１１は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー３１１の回路内に組み込まれていても良い。

【0048】

ＲＯＭ３１２及びＲＡＭ３１３は、プロセッサー３１１を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ＲＯＭ３１２は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ＲＯＭ３１２は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ＲＯＭ３１２は、プロセッサー３１１が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
ＲＡＭ３１３は、データの読み書きに用いられるメモリである。ＲＡＭ３１３は、プロセッサー３１１が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。ＲＡＭ３１３は、典型的には揮発性メモリである。

【0049】

補助記憶装置３１４は、プロセッサー３１１を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置３１４は、例えばＥＥＰＲＯＭ、ＨＤＤ又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置３１４は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置３１４は、プロセッサー３１１が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー３１１での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。

【0050】

また、補助記憶装置３１４は、車３００に関する情報として、車３００の車種を示す情報なども記憶する。

【0051】

通信Ｉ／Ｆ３１５は、車載装置３１０が路側装置１００と通信するためのインターフェースである。通信Ｉ／Ｆ３１５は、例えば、Ｖ２Ｘ通信などの無線通信によって路側装置１００と通信する。

【0052】

測位部３１６は、ＧＰＳ（Global Positioning System）などのＧＮＳＳ（global navigation satellite system）を用いて車３００の位置を測位するＩＣチップ、モジュール又は回路などである。測位部３１６は、例えば、ＧＮＳＳ衛星からＧＮＳＳ信号を受信するアンテナを含む。また、測位部３１６は、測位のための演算を行う演算部を含む。当該演算部は、ＩＣチップ、モジュール又は回路などを含む。測位部３１６は、測位結果を出力する。当該測位結果は、車３００の位置情報である。
なお、車載装置３１０は、プロセッサー３１１が測位のための演算を行う構成であっても良い。この場合、測位部３１６は、演算部を備えていなくても良い。
また、測位部３１６は、ＧＮＳＳ以外の方法で車３００の位置を測位しても良い。また、測位部３１６は、ＧＮＳＳとＧＮＳＳ以外の方法を併用して車３００の位置を測位しても良い。

【0053】

バス３１７は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、車載装置３１０の各部で授受される信号を伝送する。

【0054】

図３は、踏切保安装置４００の要部構成の一例などを示すブロック図である。踏切保安装置４００は、例えば、踏切ＲＣ内又は踏切ＲＣ周辺などに設置される。ただし踏切保安装置４００の一部が踏切ＲＣから離れた位置にあっても良い。踏切保安装置４００は、踏切ＲＣの異常などを検知する。踏切保安装置４００は、踏切ＲＣの異常を検知した場合特殊信号発光機５００を発光させる。また、踏切保安装置４００は、特殊信号発光機５００の状態を示す情報を出力する。踏切保安装置４００は、一例として、プロセッサー４０１、ＲＯＭ４０２、ＲＡＭ４０３、補助記憶装置４０４、通信Ｉ／Ｆ４０５、信号Ｉ／Ｆ４０６、センサーＩ／Ｆ４０７、非常ボタン４０８及び復帰ボタン４０９を含む。そして、バス４１０などが、これら各部を接続する。なお、踏切保安装置４００は、保安装置の一例である。

【0055】

プロセッサー４０１は、踏切保安装置４００の動作に必要な演算及び制御などの処理を行うコンピューターの中枢部分であり、各種演算及び処理などを行う。プロセッサー４０１は、例えば、ＣＰＵ、ＭＰＵ、ＳｏＣ、ＤＳＰ、ＧＰＵ、ＡＳＩＣ、ＰＬＤ又はＦＰＧＡなどである。あるいは、プロセッサー４０１は、これらのうちの複数を組み合わせたものである。また、プロセッサー４０１は、これらにハードウェアアクセラレーターなどを組み合わせたものであっても良い。プロセッサー４０１は、ＲＯＭ４０２又は補助記憶装置４０４などに記憶されたファームウェア、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどのプログラムに基づいて、踏切保安装置４００の各種の機能を実現するべく各部を制御する。また、プロセッサー４０１は、当該プログラムに基づいて後述する処理を実行する。なお、当該プログラムの一部又は全部は、プロセッサー４０１の回路内に組み込まれていても良い。

【0056】

ＲＯＭ４０２及びＲＡＭ４０３は、プロセッサー４０１を中枢としたコンピューターの主記憶装置である。
ＲＯＭ４０２は、専らデータの読み出しに用いられる不揮発性メモリである。ＲＯＭ４０２は、上記のプログラムのうち、例えばファームウェアなどを記憶する。また、ＲＯＭ４０２は、プロセッサー４０１が各種の処理を行う上で使用するデータなども記憶する。
ＲＡＭ４０３は、データの読み書きに用いられるメモリである。ＲＡＭ４０３は、プロセッサー４０１が各種の処理を行う上で一時的に使用するデータを記憶するワークエリアなどとして利用される。ＲＡＭ４０３は、典型的には揮発性メモリである。

【0057】

補助記憶装置４０４は、プロセッサー４０１を中枢としたコンピューターの補助記憶装置である。補助記憶装置４０４は、例えばＥＥＰＲＯＭ、ＨＤＤ又はフラッシュメモリなどである。補助記憶装置４０４は、上記のプログラムのうち、例えば、システムソフトウェア及びアプリケーションソフトウェアなどを記憶する。また、補助記憶装置４０４は、プロセッサー４０１が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサー４０１での処理によって生成されたデータ及び各種の設定値などを記憶する。

【0058】

通信Ｉ／Ｆ４０５は、踏切保安装置４００が路側装置１００などと通信するためのインターフェースである。通信Ｉ／Ｆ４０５は、有線及び無線のいずれで通信するものであっても良い。また、通信Ｉ／Ｆ４０５は、Ｖ２Ｘ通信で通信しても良い。

【0059】

信号Ｉ／Ｆ４０６は、踏切保安装置４００が特殊信号発光機５００と通信するためのインターフェースである。踏切保安装置４００は、信号Ｉ／Ｆ４０６を介して特殊信号発光機５００を制御する。信号Ｉ／Ｆ４０６は、有線及び無線のいずれで通信するものであっても良い。

【0060】

センサーＩ／Ｆ４０７は、踏切保安装置４００がセンサー６００と通信するためのインターフェースである。踏切保安装置４００は、センサーＩ／Ｆ４０７を介してセンサー６００を制御する。センサーＩ／Ｆ４０７は、有線及び無線のいずれで通信するものであっても良い。

【0061】

非常ボタン４０８は、踏切ＲＣで異常があった場合に人が操作するためのボタンである。また、非常ボタン４０８は、踏切ＲＣを通る線路ＴＲを走る列車２００に対して停止を要求する場合に操作するためのボタンである。非常ボタン４０８は、一例として押しボタンであるがこの限りではない。異常の一例を挙げると、踏切ＲＣ内が進入禁止状態である場合において踏切ＲＣ内に車３００又は歩行者などが存在する状態である。進入禁止状態とは、例えば、踏切ＲＣ内への進入を制限又は禁止する状態のことである。踏切ＲＣは、列車２００が踏切ＲＣへ近付いている場合などにおいて進入禁止状態となる。

【0062】

復帰ボタン４０９は、非常ボタン４０８が操作された後、踏切ＲＣ内の安全が確認された場合に鉄道会社の係員などが操作するためのボタンである。

【0063】

バス４１０は、コントロールバス、アドレスバス及びデータバスなどを含み、踏切保安装置４００の各部で授受される信号を伝送する。

【0064】

特殊信号発光機５００は、ＬＥＤ（light-emitting diode）などの光源を備える。特殊信号発光機５００は、光源が発光している状態（以下「発光状態」という。）と発光していない状態（以下「停止状態」という。）の２種類の状態に切り替え可能である。発光状態の特殊信号発光機５００は、列車２００に対して停止信号を現示する。すなわち、発光状態の特殊信号発光機５００は、列車２００に対して停止するように指示する表示をしている状態である。
なお、発光状態は、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に設置されている装置が障害物を検知したこと、又は、列車の停止が要求されたことを示す第１の状態の一例である。

【0065】

センサー６００は、踏切ＲＣ内に存在する歩行者又は車３００などを検知するセンサーなどの装置である。センサー６００は、例えば、前述の踏切障害物検知装置などである。センサー６００は、例えば、カメラ、レーダー、ＬＩＤＡＲ（light detection and ranging）、赤外線センサー、超音波センサー又は重量センサーなどの種々のセンサーである。なお、通信システム１は、複数種類のセンサー６００を備えていてもよい。また、センサー６００は、踏切保安装置４００に内蔵されていても良いし、外付けであっても良い。なお、センサー６００が検知する物体は、歩行者及び車３００に限らない。センサー６００は、踏切ＲＣが進入禁止状態である場合において踏切ＲＣ内へ進入してはいけない物体（以下「進入禁止物」という。）を検知する。進入禁止物は、例えば、列車２００以外の物体である。進入禁止物は、障害物の一例である。

【0066】

踏切装置７００は、踏切ＲＣが進入禁止状態である場合において車３００、歩行者及びその他の進入禁止物などが踏切ＲＣ内へ進入することを防ぐ装置である。踏切装置７００は、例えば、遮断機及び警報機を備える。遮断機は、遮断棹などを用いて道路ＲＤを閉鎖することで、進入禁止物が踏切ＲＣ内へ進入することを防ぐ。警報機は、例えばスピーカー及び表示灯などの表示装置を備える。スピーカーは、踏切ＲＣが進入禁止状態であることを示す音を発することで、車３００の運転手及び歩行者などに対して踏切ＲＣが進入禁止状態であること報知し、進入禁止物が踏切ＲＣ内へ進入することを防ぐ。表示装置は、踏切ＲＣが進入禁止状態であることなどを示す光を発することで、車３００の運転手及び歩行者などに対して踏切ＲＣが進入禁止状態であること報知し、進入禁止物が踏切ＲＣ内へ進入することを防ぐ。

【0067】

以下、実施形態に係る通信システム１の動作を図４～図６などに基づいて説明する。なお、以下の動作説明における処理の内容は一例であって、同様な結果を得ることが可能な様々な処理を適宜に利用できる。図４は、踏切保安装置４００のプロセッサー４０１による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー４０１は、例えば、ＲＯＭ４０２又は補助記憶装置４０４などに記憶されたプログラムに基づいて図４の処理を実行する。図５は、路側装置１００のプロセッサー１０１による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー１０１は、例えば、ＲＯＭ１０２又は補助記憶装置１０４などに記憶されたプログラムに基づいて図５の処理を実行する。図６は、鉄道車両用装置２１０のプロセッサー２１１による処理の一例を示すフローチャートである。プロセッサー２１１は、例えば、ＲＯＭ２１２又は補助記憶装置２１４などに記憶されたプログラムに基づいて図６の処理を実行する。

【0068】

図４のステップＳＴ１において踏切保安装置４００のプロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００を発光させるか否かを判定する。プロセッサー４０１は、センサー６００が、進入禁止状態である踏切ＲＣ内に進入禁止物を検知した場合、特殊信号発光機５００を発光させると判定する。また、プロセッサー４０１は、非常ボタン４０８が操作された場合、特殊信号発光機５００を発光させると判定する。プロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００を発光させると判定しないならば、ステップＳＴ１においてＮｏと判定してステップＳＴ１の処理を繰り返す。対して、プロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００を発光させると判定するならば、ステップＳＴ１においてＹｅｓと判定してステップＳＴ２へと進む。なお、進入禁止状態である踏切ＲＣ内の進入禁止物を以下「進入物」という。また、進入物が車３００である場合、当該進入物を以下「進入車両」という。

【0069】

ステップＳＴ２においてプロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００を制御して発光状態にする。例えば、プロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００に対して信号Ｉ／Ｆ４０６を介して、発光を行うように指示する発光信号を入力する。この入力に応じて特殊信号発光機５００は、発光状態になる。
したがって、プロセッサー４０１は、信号Ｉ／Ｆ４０６と協働して、ステップＳＴ２の処理を行うことで、鉄道の軌道（線路ＴＲ）と道路ＲＤが交差する踏切ＲＣに異常がある場合、信号機（特殊信号発光機５００）を、踏切ＲＣに異常があることを示す第１の状態（発光状態）にする制御部の一例として機能する。

【0070】

ステップＳＴ３においてプロセッサー４０１は、発光通知を路側装置１００ｂに送信するように通信Ｉ／Ｆ４０５に対して指示する。発光通知は、特殊信号発光機５００が発光状態になったことを通知する情報である。発光通知は、例えば、当該特殊信号発光機５００の信号ＩＤを含む。信号ＩＤは、特殊信号発光機５００ごとにユニークな識別情報である。なお、発光信号と発光通知は同一であっても良い。この送信の指示を受けて通信Ｉ／Ｆ４０５は、当該発光通知を路側装置１００ｂに送信する。送信された当該発光通知は、踏切保安装置４００に接続された路側装置１００の踏切通信Ｉ／Ｆ１０９によって受信される。
なお、発光通知は、信号機が、鉄道の軌道と道路が交差する踏切に異常があることを示す第１の状態となったことを示す第１の情報の一例である。
以上より、プロセッサー４０１は、通信Ｉ／Ｆ４０５と協働して、発光通知を送信することで、信号機（特殊信号発光機５００）が第１の状態（発光状態）となったことを示す第１の情報（発光通知）を路側装置に送信する保安送信部の一例として機能する。

【0071】

一方、図５のステップＳＴ１１において路側装置１００のプロセッサー１０１は、踏切通信Ｉ／Ｆ１０９によって発光通知が受信されたか否かを判定する。プロセッサー１０１は、発光通知が受信されないならば、ステップＳＴ１１においてＮｏと判定してステップＳＴ１２へと進む。
以上より、プロセッサー１０１は、踏切通信Ｉ／Ｆ１０９と協働して、発光通知を受信することで、信号機（特殊信号発光機５００）が、鉄道の軌道（線路ＴＲ）と道路ＲＤが交差する踏切ＲＣに異常があることを示す第１の状態（発光状態）となったことを示す第１の情報（発光通知）を受信する受信部の一例として機能する。また、プロセッサー１０１は、踏切通信Ｉ／Ｆ１０９を制御して発光通知を受信することで、受信装置（踏切通信Ｉ／Ｆ１０９）を制御する受信制御部の一例として機能する。

【0072】

ステップＳＴ１２においてプロセッサー１０１は、踏切通信Ｉ／Ｆ１０９によって停止通知が受信されたか否かを判定する。プロセッサー１０１は、停止通知が受信されないならば、ステップＳＴ１２においてＮｏと判定してステップＳＴ１３へと進む。なお、停止通知については後述する。

【0073】

ステップＳＴ１３においてプロセッサー１０１は、中継通信Ｉ／Ｆ１０８によって発光情報又は停止情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー１０１は、発光情報又は停止情報が受信されないならば、ステップＳＴ１３においてＮｏと判定してステップＳＴ１１へと戻る。かくして、プロセッサー１０１は、発光通知、停止通知、発光情報又は停止情報が受信されるまでステップＳＴ１１～ステップＳＴ１３を繰り返す待受状態となる。なお、発光情報及び停止情報については後述する。

【0074】

プロセッサー１０１は、ステップＳＴ１１～ステップＳＴ１３の待受状態にあるときに発光通知が受信されたならば、ステップＳＴ１１においてＹｅｓと判定してステップＳＴ１４へと進む。

【0075】

ステップＳＴ１４においてプロセッサー１０１は、進入車両の車載装置３１０から車情報を取得する。ただし、プロセッサー１０１は、踏切ＲＣ内に車載装置３１０が無い場合には車情報を取得せずスキップＳＴ１４の処理をスキップする。
車載装置３１０は、例えば、車情報を定期的に路側装置１００に送信する。あるいは、路側装置１００からの要求に応じて車情報を路側装置１００に送信する。車載装置３１０の送信先の路側装置１００は、例えば、最も近い路側装置１００又は最も通信状態が良い路側装置１００などである。したがって、踏切ＲＣ内の車載装置３１０による車情報の送信先は、路側装置１００ｂである。車載装置３１０は、車情報をブロードキャストで送信しても良いしユニキャストで送信しても良い。

【0076】

車情報は、車３００に関する情報である。車情報は、例えば、車３００の位置情報、速度、加速度、アクセル開度、ブレーキ開度、エンジンの回転数、エンジンが動作しているか停止しているかを示す情報、残量情報、ハザードの状態、車種、車内情報、運転手情報及びセンサー情報などを含む。なお、残量情報は、バッテリー残量、水素残量又はガソリン残量などの、車３００の動力源となるものの残量である。車内情報は、車３００の車内の状況を示す情報である。車内情報は、例えば、車内に何人人間がいるかを示す情報を含む。運転手情報は、車３００の運転手の状態を示す情報である。運転手情報は、例えば、運転手の意識があるか否か、及び運転手の意識に異常があるか否かなどを示す情報を含む。センサー情報は、車３００が搭載する各種センサーにより得られる情報である。当該センサーは、例えば、カメラ、レーダー、ＬＩＤＡＲ、赤外線センサー、又は超音波センサーなどの種々のセンサーである。センサー情報は、車３００の車内の映像及び車外の映像を含んでも良い。
なお、以下の説明において車３００は、車情報の送信元の車３００を示すものとする。

【0077】

ステップＳＴ１５においてプロセッサー１０１は、車３００などの進入物が踏切ＲＣ内のどの線路ＴＲ内にあるか、あるいは踏切ＲＣ内のどの線路ＴＲ内でもない場所にあるかを特定する。プロセッサー１０１は、例えば、車３００の位置情報と各線路ＴＲの位置を示す線路位置情報を用いて、車３００がどの線路ＴＲ内にあるか、あるいはどの線路ＴＲ内でもない場所にあるかを特定する。なお、プロセッサー１０１は、例えば、車３００の位置が線路ＴＲの中央から所定の距離Ｄ１以内であれば線路ＴＲ内にあると判定する。当該所定の距離Ｄ１は、典型的には線路の幅の半分より大きい。鉄道車両の幅が線路の幅より大きいためである。当該所定の距離Ｄ１は、例えば、車両限界の幅の半分に所定のマージンを加えた距離である。プロセッサー１０１は、例えば、どの線路ＴＲ内にも車３００が無いと判定するならば、車３００はどの線路ＴＲ内でもない場所にあると判定する。あるいは、プロセッサー１０１は、センサー６００から得られる情報を用いて車３００などの進入物がどの線路ＴＲ内にあるか、あるいはどの線路ＴＲ内でもない場所にあるかを特定しても良い。一例として、図１に示す車３００は、線路ＴＲ１内及び線路ＴＲ２内にある。
なお、プロセッサー１０１は、線路位置情報を、例えば補助記憶装置１０４から取得する。補助記憶装置１０４は、線路位置情報を記憶している。また、プロセッサー１０１は、サーバーなどの他の装置から線路位置情報を取得しても良い。

【0078】

ステップＳＴ１６においてプロセッサー１０１は、発光情報を生成する。発光情報は、発光ＩＤ、信号ＩＤ、画像情報及び侵入情報を含む。発光情報は、当該信号ＩＤで特定される特殊信号発光機５００が発光状態になったことを示す情報である。

【0079】

発光ＩＤは、生成される発光情報ごとにユニークな識別情報である。なお、プロセッサー１０１は、生成した発光情報の発光ＩＤをＲＡＭ１０３などに記憶しておく。
発光情報中の信号ＩＤは、ステップＳＴ１１で受信された発光通知中の信号ＩＤである。

【0080】

画像情報は、特殊信号発光機５００の位置を示す信号画像ＩＭ１を含む。図７は、信号画像ＩＭ１の一例を示す図である。信号画像ＩＭ１は、例えば、画像ＩＭ１１及び画像ＩＭ１２を含む画像である。画像ＩＭ１１は、特殊信号発光機５００が映っている画像である。画像ＩＭ１１は、例えば、列車２００の運転席又は運転席付近から見たような風景となるように撮影された画像である。画像ＩＭ１２は、画像ＩＭ１１中の特殊信号発光機５００が映っている部分を目立たせるための画像である。図７に示す画像ＩＭ２は、破線で特殊信号発光機５００が映っている部分を囲う画像ある。信号画像は、例えば、画像ＩＭ１１に画像ＩＭ１２を重ねる処理を行うことで作成される。

【0081】

なお、画像情報は、複数の信号画像ＩＭ１を含んでも良い。複数の信号画像ＩＭ１は、それぞれ特殊信号発光機５００からの距離が異なる場所からの風景を示す画像ＩＭ１１を含む。この場合、各信号画像ＩＭ１は、それぞれの特殊信号発光機５００からの距離を示す距離情報が関連付けられている。

【0082】

画像ＩＭ１１は、列車２００の運転席又は運転席付近から見たような風景を再現したようなＣＧ（computer graphics）であっても良い。当該ＣＧは２Ｄ（two-dimensional）ＣＧであっても３Ｄ（three-dimensional）ＣＧであっても良い。

【0083】

また、信号画像ＩＭ１は、動画であっても良い。動画の信号画像ＩＭ１は、特殊信号発光機５００に近付いていく風景を撮影した動画である画像ＩＭ１１を含む。

【0084】

なお、プロセッサー１０１は、信号画像ＩＭ１を、例えば補助記憶装置１０４から取得する。補助記憶装置１０４は、信号画像ＩＭ１を記憶している。また、プロセッサー１０１は、サーバーなどの他の装置から信号画像ＩＭ１を取得しても良い。

【0085】

なお、信号画像ＩＭ１は、信号機（特殊信号発光機５００）を目立たせるための画像の一例である。画像ＩＭ１２は、信号機を目立たせるための画像の一例である。

【0086】

侵入情報は、踏切ＲＣ内の進入物に関する情報である。侵入情報は、例えば、ステップＳＴ１４で取得された車情報、線路特定情報、踏切センサー情報、路線情報及び地形情報を含む。ただし、ステップＳＴ１４の処理がスキップされていた場合、侵入情報は、車情報を含まなくても良い。線路特定情報は、ステップＳＴ１５の処理結果を示す情報であり、車３００がどの線路ＴＲ内にあるか、あるいはどの線路ＴＲ内でもない場所にあるかを示す情報である。踏切センサー情報は、センサー６００によって得られる情報である。踏切センサー情報は、車３００が映っている映像などを含んでも良い。侵入情報中の路線情報は、路側装置１００が設置されている場所をどの路線が通っているかを特定する情報である。なお、路側装置１００が設置されている場所を複数の路線が通っている場合には路線情報は複数の路線を示す。地形情報は、車３００が存在する位置及びその周囲の地形を示す情報である。ここで、周囲とは、例えば、車３００が存在する位置から線路ＴＲに沿って所定の距離Ｄ２以内の範囲及び車３００から直線距離で所定の距離Ｄ３以内の範囲である。地形情報は、例えば、カーブの位置及びカーブの半径、坂道の位置及び坂道の勾配、崖の位置、並びに橋の位置などを含む。なお、プロセッサー１０１は、車３００が存在する位置及びその周囲の地形を示す情報を例えば補助記憶装置１０４から取得する。補助記憶装置１０４は、当該情報を記憶している。また、プロセッサー１０１は、サーバーなどの他の装置から当該情報を取得しても良い。

【0087】

プロセッサー１０１は、発光情報を生成した後、当該発光情報を通信範囲内の鉄道車両用装置２１０に送信するように鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７に対して指示する。この送信の指示を受けて鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、当該発光情報を通信範囲内の鉄道車両用装置２１０に送信する。送信された当該発光情報は、鉄道車両用装置２１０の通信Ｉ／Ｆ２１５によって受信される。

【0088】

鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、例えば、発光情報をブロードキャストによって鉄道車両用装置２１０に送信する。発光情報を送信する路側装置１００の通信範囲内に鉄道車両用装置２１０があった場合、当該鉄道車両用装置２１０は当該発光情報を受信する。当該通信範囲内に鉄道車両用装置２１０が無かった場合、どの鉄道車両用装置２１０も発光情報を受信しない。なお、ここで通信範囲とは、例えば、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７が送信する情報を受信可能な範囲を示す。あるいは、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、通信範囲内の鉄道車両用装置２１０にユニキャスト又はマルチキャストで発光情報を送信しても良い。

【0089】

なお、発光情報は、信号機が第１の状態であることを示す第２の情報の一例である。また、線路特定情報は、移動体がどの軌道内にあるかを示す情報の一例である。
以上より、プロセッサー１０１は、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７と協働して、ステップＳＴ１６の処理を行うことで、第１の情報（発光通知）が受信された場合、信号機（特殊信号発光機５００）が第１の状態（発光状態）であることを示す第２の情報（発光情報）を、鉄道の軌道を走行する列車２００に送信する送信部の一例として機能する。また、プロセッサー１０１は、ステップＳＴ１５の処理を行うことで、送信装置（鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７）を制御する送信制御部の一例として機能する。

【0090】

ステップＳＴ１７においてプロセッサー１０１は、ステップＳＴ１６で生成した発光情報を他の路側装置１００に送信するように中継通信Ｉ／Ｆ１０８に対して指示する。当該他の路側装置１００は、例えば、発光情報を生成した路側装置１００から線路に沿って進んだ先にある、線路に沿って進んだ方向ごとの最初の路側装置１００である。線路の分岐などが無ければ線路の一方及びその逆方向の２方向に進んだ先にある２つの路側装置１００が当該他の路側装置１００である。例えば、図１では、発光情報を生成した路側装置１００が路側装置１００ｂである場合、当該他の路側装置１００は、路側装置１００ａ及び路側装置１００ｃである。この送信の指示を受けて中継通信Ｉ／Ｆ１０８は、当該発光情報を当該他の路側装置１００に送信する。送信された当該発光情報は、当該他の路側装置１００の中継通信Ｉ／Ｆ１０８によって受信される。あるいは、中継通信Ｉ／Ｆ１０８は、ブロードキャストによって発光情報を他の路側装置１００に送信しても良い。この場合、通信範囲内の路側装置１００が発光情報を受信する。プロセッサー１０１は、ステップＳＴ１７の処理の後、ステップＳＴ１１へと戻る。
以上より、プロセッサー１０１は、中継通信Ｉ／Ｆ１０８と協働して、ステップＳＴ１７の処理を行うことで、第２の情報（発光情報）を、第１の他の路側装置に送信する中継部の一例として機能する。

【0091】

一方、図６のステップＳＴ３１において鉄道車両用装置２１０のプロセッサー２１１は、通信Ｉ／Ｆ２１５によって発光情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー２１１は、発光情報が受信されないならば、ステップＳＴ３１においてＮｏと判定してステップＳＴ３２へと進む。
以上より、プロセッサー２１１は、通信Ｉ／Ｆ２１５と協働して、発光情報を受信することで、第２の情報（発光情報）を受信する鉄道受信部の一例として機能する。

【0092】

ステップＳＴ３２においてプロセッサー２１１は、通信Ｉ／Ｆ２１５によって停止情報が受信されたか否かを判定する。プロセッサー２１１は、停止情報が受信されないならば、ステップＳＴ３２においてＮｏと判定してステップＳＴ３１へと戻る。かくして、プロセッサー２１１は、発光情報又は停止情報が受信されるまでステップＳＴ３１及びステップＳＴ３２を繰り返す待受状態となる。

【0093】

プロセッサー２１１は、ステップＳＴ３１及びステップＳＴ３２の待受状態にあるときに発光情報が受信されたならば、ステップＳＴ３１においてＹｅｓと判定してステップＳＴ３３へと進む。ただし、プロセッサー２１１は、１又は複数の路側装置１００から同じ発光情報を複数回受信した場合には、最初に受信した発光情報以外は破棄しても良い。プロセッサー２１１は、例えば、同じ発光ＩＤの発光情報を複数受信した場合に、同じ発光ＩＤの発光情報のうちの２番目以降に受信した発光情報を破棄する。

【0094】

ステップＳＴ３３においてプロセッサー２１１は、特殊信号発光機５００が発光状態であることを報知するか否かを判定する。プロセッサー２１１は、発光情報中の信号ＩＤで特定される特殊信号発光機５００が、列車２００が走行中の線路ＴＲを対象とする特殊信号発光機５００である場合に、報知すると判定する。どの特殊信号発光機５００がどの線路ＴＲを対象とするかは予め定められる。例えば、踏切ＲＣに向かう列車２００が走る線路ＴＲが対象の線路ＲＴである。また、１つの特殊信号発光機５００が複数の線路ＴＲを対象としていても良い。なお、プロセッサー２１１は、どの特殊信号発光機５００がどの線路ＴＲを対象とするかを示す情報を例えば補助記憶装置２１４から取得する。補助記憶装置２１４は、当該情報を記憶している。また、プロセッサー２１１は、サーバーなどの他の装置から当該情報を取得しても良い。プロセッサー２１１は、特殊信号発光機５００が発光状態であることを報知しないならば、ステップＳＴ３３においてＮｏと判定してステップＳＴ３１へと戻る。対して、プロセッサー２１１は、特殊信号発光機５００が発光状態であることを報知するならば、ステップＳＴ３３においてＹｅｓと判定してステップＳＴ３４へと進む。

【0095】

ステップＳＴ３４においてプロセッサー２１１は、特殊信号発光機５００が発光状態であることを列車２００の運転手などの乗務員に報知するための処理を開始する。例えば、プロセッサー２１１は、発光通知画面に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー２１１は、生成したこの画像を表示するように出力デバイス２１６に対して指示する。表示の指示を受けて出力デバイス２１６は、発光通知画面を表示する。プロセッサー２１１は、ステップＳＴ３４の処理の後、ステップＳＴ３１へと戻る。

【0096】

発光通知画面は、特殊信号発光機５００が発光状態であることを列車２００の乗務員に報知するための画面である。発光通知画面は、例えば、特殊信号発光機５００が発光状態であることを示す画像、及びステップＳＴ３１で受信された発光情報に含まれる各種情報を含む。

【0097】

発光通知画面は、発光情報に含まれる各種情報の１つとして信号画像ＩＭ１も含む。画像情報が距離別の複数の信号画像ＩＭ１を含む場合、プロセッサー２１１は、列車２００と特殊信号発光機５００との距離（以下「信号距離」という。）に応じて発光通知画面中の信号画像ＩＭ１を変化させる。すなわち、プロセッサー２１１は、例えば、複数の信号画像ＩＭ１の中から、関連付けられた距離情報の示す距離が最も信号距離に近い信号画像ＩＭ１を選択し、発光通知画面上に表示させる。

【0098】

なお、出力デバイス２１６は、画面を表示する以外の方法で列車２００の乗務員に特殊信号発光機５００が発光状態であることを報知しても良い。例えば、出力デバイス２１６は、音声によって特殊信号発光機５００が発光状態であることを報知する。

【0099】

以上より、プロセッサー２１１は、出力デバイス２１６と協働して、ステップＳＴ３４の処理を行うことで、信号機（特殊信号発光機５００）が第１の状態（発光状態）になったことを報知する報知部の一例として機能する。

【0100】

一方、図４のステップＳＴ４において踏切保安装置４００のプロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００の発光を停止させるか否かを判定する。プロセッサー４０１は、例えば、センサー６００が、踏切ＲＣ内の進入物が踏切ＲＣ外に出たことを検知した場合、特殊信号発光機５００の発光を停止させると判定する。また、プロセッサー４０１は、復帰ボタン４０９が操作された場合、特殊信号発光機５００の発光を停止させると判定する。プロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００の発光を停止させると判定しないならば、ステップＳＴ４においてＮｏと判定してステップＳＴ４の処理を繰り返す。対して、プロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００の発光を停止させると判定するならば、ステップＳＴ４においてＹｅｓと判定してステップＳＴ５へと進む。

【0101】

ステップＳＴ５においてプロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００を制御して停止状態にする。例えば、プロセッサー４０１は、特殊信号発光機５００に対して信号Ｉ／Ｆ４０６を介して、消灯するように指示する停止指示信号を入力する。この入力に応じて特殊信号発光機５００は、停止状態になる。

【0102】

ステップＳＴ６においてプロセッサー４０１は、停止通知を路側装置１００ｂに送信するように通信Ｉ／Ｆ４０５に対して指示する。停止通知は、特殊信号発光機５００が停止状態になったことを通知する情報である。停止通知は、例えば、当該特殊信号発光機５００の信号ＩＤを含む。なお、停止指示信号と停止通知は同一であっても良い。この送信の指示を受けて通信Ｉ／Ｆ４０５は、当該停止通知を路側装置１００に送信する。送信された当該停止通知は、路側装置１００の踏切通信Ｉ／Ｆ１０９によって受信される。プロセッサー４０１は、ステップＳＴ６の処理の後、ステップＳＴ１へと戻る。
なお、停止通知は、信号機が、第１の状態でなくなったことを示す第３の情報の一例である。

【0103】

一方、路側装置１００のプロセッサー１０１は、ステップＳＴ１１～ステップＳＴ１３の待受状態にあるときに停止通知が受信されたならば、ステップＳＴ１２においてＹｅｓと判定してステップＳＴ１８へと進む。
以上より、プロセッサー１０１は、踏切通信Ｉ／Ｆ１０９と協働して、停止通知を受信することで、第３の情報（停止通知）を受信する受信部の一例として機能する。

【0104】

ステップＳＴ１８においてプロセッサー１０１は、停止情報を生成する。停止情報は、例えば停止ＩＤ、発光ＩＤ及び信号ＩＤを含む。停止ＩＤは、生成される停止情報ごとにユニークな識別情報である。なお、プロセッサー１０１は、生成した停止情報の停止ＩＤをＲＡＭ１０３などに記憶しておく。発光ＩＤは、ステップＳＴ１で生成された発光情報の発光ＩＤである。停止情報は、当該発光ＩＤで特定される発光情報が示す、特殊信号発光機５００の発光が停止したことを示す情報である。プロセッサー１０１は、停止情報を生成した後、当該停止情報を鉄道車両用装置２１０に送信するように鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７に対して指示する。この送信の指示を受けて鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、当該停止情報を鉄道車両用装置２１０に送信する。送信された当該停止情報は、鉄道車両用装置２１０の通信Ｉ／Ｆ２１５によって受信される。
なお、停止情報は、信号機が第１の状態でなくなったことを示す第４の情報の一例である。したがって、プロセッサー１０１は、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７と協働して、ステップＳＴ１８の処理を行うことで、第３の情報が受信された場合、第４の情報を、列車に送信する送信部の一例として機能する。

【0105】

鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、例えば、停止情報をブロードキャストによって鉄道車両用装置２１０に送信する。停止情報を送信する路側装置１００の通信範囲内に鉄道車両用装置２１０があった場合、当該鉄道車両用装置２１０は当該停止情報を受信する。当該通信範囲内に鉄道車両用装置２１０が無かった場合、どの鉄道車両用装置２１０も停止情報を受信しない。なお、ここで通信範囲とは、例えば、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７が送信する情報を受信可能な範囲を示す。あるいは、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、通信範囲内の鉄道車両用装置２１０にユニキャスト又はマルチキャストで停止情報を送信しても良い。

【0106】

ステップＳＴ１９においてプロセッサー１０１は、ステップＳＴ１８で生成した停止情報を他の路側装置１００に送信するように中継通信Ｉ／Ｆ１０８に対して指示する。当該他の路側装置１００は、例えば、停止情報を生成した路側装置１００から線路に沿って進んだ先にある、線路に沿って進んだ方向ごとの最初の路側装置１００である。線路の分岐などが無ければ線路の一方及びその逆方向の２方向に進んだ先にある２つの路側装置１００が当該他の路側装置１００である。例えば、図１では、停止情報を生成した路側装置１００が路側装置１００ｂである場合、当該他の路側装置１００は、路側装置１００ａ及び路側装置１００ｃである。この送信の指示を受けて中継通信Ｉ／Ｆ１０８は、当該停止情報を当該他の路側装置１００に送信する。送信された当該停止情報は、当該他の路側装置１００の中継通信Ｉ／Ｆ１０８によって受信される。プロセッサー１０１は、ステップＳＴ１９の処理の後、ステップＳＴ１１へと戻る。

【0107】

一方、鉄道車両用装置２１０のプロセッサー２１１は、ステップＳＴ３１及びステップＳＴ３２の待受状態にあるときに停止情報が受信されたならば、ステップＳＴ３２においてＹｅｓと判定してステップＳＴ３５へと進む。ただし、プロセッサー２１１は、１又は複数の路側装置１００から同じ停止情報を複数回受信した場合には、最初に受信した停止情報以外は破棄しても良い。プロセッサー２１１は、例えば、同じ停止ＩＤの停止情報を複数受信した場合に、同じ停止ＩＤの停止情報のうちの２番目以降に受信した停止情報を破棄する。

【0108】

ステップＳＴ３５においてプロセッサー２１１は、特殊信号発光機５００が発光状態であることの報知を終了するか否かを判定する。プロセッサー２１１は、例えば、特殊信号発光機５００が発光状態であることを報知中であり、且つ当該報知を行うために用いた発光情報に含まれる発光ＩＤとステップＳＴ３２で受信された停止情報に含まれる発光ＩＤとが一致する場合に、特殊信号発光機５００が発光状態であることの報知を終了すると判定する。プロセッサー２１１は、特殊信号発光機５００が発光状態であることの報知を終了すると判定しないならば、ステップＳＴ３５においてＮｏと判定してステップＳＴ３１へと戻る。対して、プロセッサー２１１は、特殊信号発光機５００が発光状態であることの報知を終了すると判定するならば、ステップＳＴ３５においてＹｅｓと判定してステップＳＴ３６へと進む。

【0109】

ステップＳＴ３６においてプロセッサー２１１は、ステップＳＴ３４で開始した報知を終了する。ただし、当該報知を行うために用いられた発光情報に含まれる発光ＩＤとステップＳＴ３２で受信された停止情報に含まれる発光ＩＤは同一である。
また、プロセッサーは、停止画面に対応した画像を生成する。そして、プロセッサー２１１は、生成したこの画像を表示するように出力デバイス２１６に対して指示する。表示の指示を受けて出力デバイス２１６は、停止画面を表示する。プロセッサー２１１は、ステップＳＴ３６の処理の後、ステップＳＴ３１へと戻る。

【0110】

停止画面は、特殊信号発光機５００が発光状態から停止状態になったことを列車２００の乗務員に報知するための画面である。停止画面は、例えば、特殊信号発光機５００が発光状態から停止状態になったことを示す画像を含む。

【0111】

なお、出力デバイス２１６は、画面を表示する以外の方法で列車２００の乗務員に特殊信号発光機５００が発光状態から停止状態になったことを報知しても良い。

【0112】

一方、路側装置１００のプロセッサー１０１は、ステップＳＴ１１～ステップＳＴ１３の待受状態にあるときに発光情報又は停止情報が受信されたならば、ステップＳＴ１３においてＹｅｓと判定してステップＳＴ２０へと進む。ただし、プロセッサー１０１は、１又は複数の路側装置１００から同じ発光情報を複数回受信した場合には、最初に受信した発光情報以外は破棄する。プロセッサー１０１は、例えば、同じ発光ＩＤの発光情報を複数受信した場合に、同じ発光ＩＤの発光情報のうちの２番目以降に受信した発光情報を破棄する。また、プロセッサー１０１は、１又は複数の路側装置１００から同じ停止情報を複数回受信した場合には、最初に受信した停止情報以外は破棄する。プロセッサー１０１は、例えば、同じ停止ＩＤの停止情報を複数受信した場合に、同じ停止ＩＤの停止情報のうちの２番目以降に受信した停止情報を破棄する。また、プロセッサー１０１は、生成した発光情報と同じ発光情報を受信した場合も、受信した発光情報を破棄する。プロセッサー１０１は、例えば、生成した発光情報の発光ＩＤと受信した発光情報の発光ＩＤが同じ場合に、受信した発光情報を破棄する。また、プロセッサー１０１は、生成した停止情報と同じ停止情報を受信した場合も、受信した停止情報を破棄する。なお、プロセッサー１０１は、発光ＩＤ又は停止ＩＤが同じであることを確認するために、発光ＩＤ又は停止ＩＤをＲＡＭ１０３などに記憶しておく。プロセッサー１０１は、例えば、生成した停止情報の停止ＩＤと受信した停止情報の停止ＩＤが同じ場合に、受信した停止情報を破棄する。プロセッサー１０１は、発光情報又は停止情報を受信した場合でも、当該発光情報又は停止情報を破棄した場合には、例えば、発光情報又は停止情報を受信していないものとみなしてステップＳＴ１３でＹｅｓと判定しない。
以上より、プロセッサー１０１は、中継通信Ｉ／Ｆ１０８と協働して、発光情報を受信することで、第２の情報を受信する中継部の一例として機能する。

【0113】

ステップＳＴ２０においてプロセッサー１０１は、ステップＳＴ１２で受信された発光情報又は停止情報を鉄道車両用装置２１０に送信するように鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７に対して指示する。この送信の指示を受けて鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、当該発光情報又は停止情報を鉄道車両用装置２１０に送信する。送信された当該発光情報又は停止情報は、鉄道車両用装置２１０の通信Ｉ／Ｆ２１５によって受信される。
なお、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、例えば、発光情報又は停止情報をブロードキャストによって鉄道車両用装置２１０に送信する。発光情報又は停止情報を送信する路側装置１００の通信範囲内に鉄道車両用装置２１０があった場合、当該鉄道車両用装置２１０は当該発光情報又は停止情報を受信する。当該通信範囲内に鉄道車両用装置２１０が無かった場合、どの鉄道車両用装置２１０も発光情報又は停止情報を受信しない。あるいは、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７は、通信範囲内の鉄道車両用装置２１０にユニキャスト又はマルチキャストで発光情報又は停止情報を送信しても良い。
以上より、プロセッサー１０１は、鉄道通信Ｉ／Ｆ１０７と協働して、ステップＳＴ２０の処理を行うことで、中継部によって受信された第２の移動体情報を列車に送信する送信部の一例として機能する。

【0114】

ステップＳＴ２１においてプロセッサー１０１は、ステップＳＴ１２で受信された発光情報又は停止情報を中継するか否かを判定する。プロセッサー１０１は、例えば、当該プロセッサー１０１を備える路側装置１００の設置位置から車３００の位置情報が示す位置までの距離が所定の距離Ｄ５未満である場合に発光情報又は停止情報を中継すると判定する。当該距離は、直線距離であっても線路ＴＲに沿った距離であっても良い。線路ＴＲに沿った距離は、例えば路側装置１００の位置から車３００の位置までの営業キロである。プロセッサー１０１は、発光情報又は停止情報を中継しないならば、ステップＳＴ２１においてＮｏと判定してステップＳＴ１１へと戻る。対して、プロセッサー１０１は、発光情報又は停止情報を中継するならば、ステップＳＴ２１においてＹｅｓと判定してステップＳＴ２２へと進む。

【0115】

ステップＳＴ２２においてプロセッサー１０１は、ステップＳＴ１２で受信された発光情報又は停止情報を中継するべく、当該発光情報又は停止情報を他の路側装置１００に送信するように中継通信Ｉ／Ｆ１０８に対して指示する。当該他の路側装置１００は、例えば、当該発光情報又は停止情報を中継する路側装置１００から、当該発光情報又は停止情報を生成した路側装置１００がある方向とは逆方向に線路に沿って進んだ先にある路側装置１００である。例えば、図１では、発光情報又は停止情報を生成した路側装置１００が路側装置１００ｂであり、発光情報又は停止情報を中継する路側装置１００が路側装置１００ｃである場合、当該他の路側装置１００は、路側装置１００ｄである。この送信の指示を受けて中継通信Ｉ／Ｆ１０８は、当該発光情報又は停止情報を当該他の路側装置１００に送信する。送信された当該発光情報又は停止情報は、当該他の路側装置１００の中継通信Ｉ／Ｆ１０８によって受信される。あるいは、中継通信Ｉ／Ｆ１０８は、ブロードキャスト送信によって発光情報又は停止情報を中継しても良い。この場合、通信範囲内の路側装置１００が発光情報又は停止情報を受信する。プロセッサー１０１は、ステップＳＴ２２の処理の後、ステップＳＴ１１へと戻る。

【0116】

以上より、プロセッサー１０１は、ステップＳＴ２２の処理を行うことで、第２の情報（発光情報）を受信し、第２の情報の送信元の路側装置とは異なる第２の他の路側装置に送信する中継部の一例として機能する。

【0117】

発光情報及び停止情報は、車３００からの距離が所定の距離Ｄ５以上とならない範囲で１又は複数の路側装置１００によって中継されることでより遠くの鉄道車両用装置２１０まで到達する。

【0118】

実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、特殊信号発光機５００が発光した場合、発光していることを示す発光通知を受信する。そして、路側装置１００は、特殊信号発光機５００が発光していることを示す発光情報を列車２００に送信する。これにより、列車２００の乗務員は、特殊信号発光機５００が発光していることを知ることができる。また、これによって、衝突事故の発生を防ぐことに繋がる。
また、実施形態の通信システム１は、中央指令室などとの通信が不要である。

【0119】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、ブロードキャスト送信によって列車２００に発光情報を送信する。これにより、路側装置１００は、列車との通信を確立せずに発光情報を送信できるため、発光情報の送信までにかかる時間を短くすることができる。また、これにより、路側装置１００は、発光情報の送信にかかる処理負荷を軽くすることができる。

【0120】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、列車２００に車３００の位置情報を送信する。これにより、列車２００の乗務員は、車３００の位置を知ることができる。

【0121】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、列車２００に車３００がどの線路内にあるかを示す情報を送信する。これにより、列車２００の乗務員は、車３００がどの線路内にあるかを知ることができる。

【0122】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、列車２００に車３００が存在する位置の地形を示す情報を送信する。これにより、列車２００の乗務員は、当該地形を知ることができる。また、列車２００の運転手は、当該地形に応じた列車２００の運転が可能となる。

【0123】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、特殊信号発光機５００を目立たせるための画像として信号画像ＩＭ１を送信する。列車２００の乗務員は、信号画像ＩＭ１を見ることで、特殊信号発光機５００がどこにあるかを探しやすくなる。

【0124】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、他の路側装置１００に発光情報を送信する。これにより、実施形態の通信システム１は、より広い範囲に発光情報を送信することができる。

【0125】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、他の路側装置１００から受信した発光情報を列車２００に送信する。これにより、実施形態の通信システム１は、より広い範囲に発光情報を送信することができる。

【0126】

また、実施形態の通信システム１によれば、路側装置１００は、他の路側装置１００から受信した発光情報をさらに別に路側装置１００に送信する。これにより、実施形態の通信システム１は、より広い範囲に発光情報を送信することができる。

【0127】

上記の実施形態は、以下のような変形も可能である。
上記の実施形態では、センサー６００が、車３００が踏切ＲＣ内に存在することを検知する。しかしながら、通信システム１は、車３００の位置情報を用いて車３００が踏切ＲＣ内に存在することを判定しても良い。この場合、通信システム１は、車３００の位置が踏切ＲＣ内である場合に車３００が踏切ＲＣ内に存在すると判定する。当該判定は、例えば、路側装置１００のプロセッサー１０１、鉄道車両用装置２１０のプロセッサー２１１、車載装置３１０のプロセッサー３１１又は踏切保安装置４００のプロセッサー４０１が行う。

【0128】

上記の実施形態では、通信システム１は、踏切ＲＣ内に存在する車３００の車載装置３１０から車情報を取得する。しかしながら通信システム１は、車３００以外の移動体が携帯する車載装置３１０から車情報を取得しても良い。この場合の車情報は、当該移動体に関する情報である。また、この場合の測位部３１６が出力する位置情報は、当該移動体の位置情報である。移動体は、例えば、歩行者などの人などである。また、車載装置３００は、人が携帯するスマートホンなどであっても良い。

【0129】

上記の実施形態において鉄道車両用装置２１０、車載装置３１０及び踏切保安装置４００が行う処理の一部を路側装置１００が行っても良い。上記の実施形態において路側装置１００、車載装置３１０及び踏切保安装置４００が行う処理の一部を鉄道車両用装置２１０が行っても良い。上記の実施形態において路側装置１００、鉄道車両用装置２１０及び踏切保安装置４００が行う処理の一部を車載装置３１０が行っても良い。上記の実施形態において路側装置１００、鉄道車両用装置２１０及び車載装置３１０が行う処理の一部を踏切保安装置４００が行っても良い。

【0130】

上記の実施形態における線路ＴＲは、線路ＴＲに代えて、線路以外の軌道であっても良い。線路以外の軌道は、例えば、案内軌条式鉄道用の案内軌条、モノレール用の単軌条、又は磁気浮上式鉄道用の軌道などである。

【0131】

上記の実施形態では、信号画像ＩＭ１は、予め用意された画像である。しかしながら、信号画像ＩＭ１は、リアルタイムで生成される画像であっても良い。例えば、鉄道車両用装置２１０のプロセッサー２１１は、列車２００に設置されたカメラで撮影された画像ＩＭ１１から特殊信号発光機５００の位置を特定し、当該位置に画像ＩＭ２を重ねることで信号画像ＩＭ１を生成する。プロセッサー２１１は、例えば画像認識によって特殊信号発光機５００の画像ＩＭ１１中の位置を特定する。

【0132】

また、信号画像ＩＭ１はＡＲ（augmented reality）の技術を利用したものであっても良い。例えば、プロセッサー２１１は、運転手の眼と特殊信号発光機５００との間にある列車２００の前面ガラス、ＨＵＤ（head-up display）又はＨＭＤ（head-mounted display）などに画像ＩＭ２を表示させることで、特殊信号発光機５００の位置を分かりやすくする。

【0133】

踏切保安装置４００と通信する路側装置１００以外の路側装置１００、すなわち路側装置１００ａ及び路側装置１００ｃ～路側装置１００ｅなどは、図５のステップＳＴ１１、ステップＳＴ１２及びステップＳＴ１４～ステップＳＴ１９の処理を行わなくても良い。この場合、路側装置１００のプロセッサー１０１は、例えば、図５に示す処理を開始したならばステップＳＴ１３へと進む。また、プロセッサー１０１は、ステップＳＴ１１に戻ることに代えて、ステップＳＴ１３に戻る。

【0134】

プロセッサー１０１、プロセッサー２１１、プロセッサー３１１及びプロセッサー４０１は、上記実施形態においてプログラムによって実現する処理の一部又は全部を、回路のハードウェア構成によって実現するものであっても良い。

【0135】

実施形態の処理を実現するプログラムは、例えば装置に記憶された状態で譲渡される。しかしながら、当該装置は、当該プログラムが記憶されない状態で譲渡されても良い。そして、当該プログラムが別途に譲渡され、当該装置へと書き込まれても良い。このときのプログラムの譲渡は、例えば、リムーバブルな記憶媒体に記録して、あるいはインターネット又はＬＡＮ（local area network）などのネットワークを介したダウンロードによって実現できる。

【0136】

以上、本発明の実施形態を説明したが、例として示したものであり、本発明の範囲を限定するものではない。本発明の実施形態は、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施可能である。

【符号の説明】

【0137】

１ 通信システム
１００ 路側装置
１０１，２１１，３１１，４０１ プロセッサー
１０２，２１２，３１２，４０２ ＲＯＭ
１０３，２１３，３１３，４０３ ＲＡＭ
１０４，２１４，３１４，４０４ 補助記憶装置
１０５，６００ センサー
１０６ 路側通信Ｉ／Ｆ
１０７ 鉄道通信Ｉ／Ｆ
１０８ 中継通信Ｉ／Ｆ
１０９ 踏切通信Ｉ／Ｆ
１１０，２１８，３１７，４１０ バス
２００ 列車
２１０ 鉄道車両用装置
２１５，３１５，４０５ 通信Ｉ／Ｆ
２１６ 出力デバイス
２１７ 入力デバイス
３００ 車
３１０ 車載装置
３１６ 測位部
４００ 踏切保安装置
４０６ 信号Ｉ／Ｆ
４０７ センサーＩ／Ｆ
４０８ 非常ボタン
４０９ 復帰ボタン
５００ 特殊信号発光機
７００ 踏切装置

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】