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特許7502308固体投与形態を製造する方法および固体投与形態
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】固体投与形態を製造する方法および固体投与形態
(51)【国際特許分類】
   A61K 9/20 20060101AFI20240611BHJP
   A61K 47/32 20060101ALI20240611BHJP
   A61J 3/06 20060101ALI20240611BHJP
   B33Y 80/00 20150101ALI20240611BHJP
   B33Y 10/00 20150101ALI20240611BHJP
   A61K 31/519 20060101ALN20240611BHJP
   A61K 31/522 20060101ALN20240611BHJP
【FI】
A61K9/20
A61K47/32
A61J3/06 Z
B33Y80/00
B33Y10/00
A61K31/519
A61K31/522
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021541208
(86)(22)【出願日】2020-01-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-04-21
(86)【国際出願番号】 EP2020051167
(87)【国際公開番号】W WO2020148442
(87)【国際公開日】2020-07-23
【審査請求日】2023-01-16
(31)【優先権主張番号】19152579.9
(32)【優先日】2019-01-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591032596
【氏名又は名称】メルク パテント ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Merck Patent Gesellschaft mit beschraenkter Haftung
【住所又は居所原語表記】Frankfurter Str. 250,D-64293 Darmstadt,Federal Republic of Germany
(74)【代理人】
【識別番号】110003971
【氏名又は名称】弁理士法人葛和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ルブダ,ディーター
(72)【発明者】
【氏名】キッピング,トマス
【審査官】三上 晶子
(56)【参考文献】
【文献】3D printing in pharmaceutics: A new tool for designing customized drug delivery systems,International Journal of Pharmaceutics,2016年,Vol.499, No.1,pp.376-394
【文献】Advanced pharmaceutical applications of hot-melt extrusion coupled with fused deposition modeling(FDM) 3D printing for personalised drug delivery,Pharmaceutics,2018年,Vol.10, No.4,203,pp.1-23
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 9/00- 9/72
A61K 47/00- 47/69
A61K 31/00- 33/44
A61J 3/06
B33Y 80/00
B33Y 10/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの活性医薬成分を含む、顆粒であるか、または粒子の混合物である、流動性複合材料(16、20、25、26、27)が一緒に添加され、および硬化されて固体投与形態(2)が生成する、少なくとも1つの活性医薬成分を含む固体投与形態(2)を製造する方法であって、流動性複合材料(16、20、25、26、27)が液化されて、少なくとも1つの排出ユニット(3)に送達されること、および液化された複合材料(16、20、25、26、27)の小部分(12)が排出ユニット(3)の出口を介して硬化ユニット(13)に断続的に排出され、そこで小部分(12)の硬化が起こり、それにより徐々に固体投与形態(2)が生成されることを特徴とする、前記方法。
【請求項2】
流動性複合材料(16、20、25、26、27)が、ポリマーまたは異なるポリマーの組み合わせ、およびポリマー内で分散または溶解される少なくとも1つのアモルファス活性医薬成分を含むことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
流動性複合材料(16、20、25、26、27)が、固体投与形態(2)の特性を変更または向上させるために不溶性多孔質または非多孔質担体粒子を包含することを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
流動性複合材料(16、20、25、26、27)が、排出ユニット(3)への送達中に作成されることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
流動性複合材料(16、20、25、26、27)が、既知の方法、例として、加熱溶融押出、湿式造粒、乾式圧縮または二軸スクリュー造粒のような方法によって調製された顆粒であることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
液化された複合材料(16、20、25、26、27)の小部分(12)が液滴であること、および固体投与形態(2)が、液化された複合材料(16、20、25、26、27)の硬化前または硬化中に、結合または付着する液滴を添加することによって生成されることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
液滴の平均直径が、350μm未満であること、および液滴の平均直径が20μmより大きいことを特徴とする、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
互いに隣接して配置される少なくともいくつかの小部分(12)の間に空隙(14、24)があり、固体投与形態(2)の多孔質構造をもたらすことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
予め決められた第1の量の複合材料(16)を排出する前または後に、予め決められた第2の量の第2の材料(18)が排出され、それにより第2の材料の材料(18)が複合材料(16)とは異なることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
複合材料(16、20、25、26、27)が異なるサイズを有する、1より多い排出ユニット(3)から排出されることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
複合材料(16、20、25、26、27)の小部分(12)が、固体投与形態(2)が活性医薬成分の異なる特徴および任意に異なる多孔性を有する少なくとも2つの領域を含むように、小部分(12)の配置に排出される、請求項1~10のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの活性医薬成分を含む固体投与形態を製造する方法であって、少なくとも1つの活性医薬成分を含む流動性であるが硬化する複合材料が一緒に添加されて、および硬化されて固体投与形態を生成する、前記方法に関する。
【背景技術】
【0002】
疾患処置の今後の改善は、遺伝子検査、ならびにプロテオミクスおよびメタボロミクス分析などの新しく出現した技術に関連するポイントオブケアおよび在宅診断によって推進されると考えられている。これは、個々の患者へのヘルスケアのカスタマイズを予見する個別化医療の概念につながってきた。薬剤は、所望の適用方法、例えば、経口(口腔内または舌下を包含する)、直腸、経鼻、局所(口腔内、舌下または経皮を包含する)、膣内または非経口(皮下、筋肉内、静脈内または皮内を包含する)適用、に適合した異なる医薬製剤を使用することによって患者に適用することができる。
【0003】
一般に、経口適用が、かかる適用が容易および便利であり、非経口適用などの他の適用方法に伴い得る害を引き起こさないので好ましい。経口投与に使用できる医薬製剤は、例えば、カプセルまたは錠剤;粉末または顆粒;水性または非水性液体の溶液または懸濁液;食用泡(edible foams)または泡食品(foam foods);あるいは水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションである。
【0004】
経口投与用の錠剤は、群を抜いて最も一般的な剤形であり、一般に、単一のまたは複数のいずれかの圧縮(および場合によっては成形を伴う)プロセスによって調製される。錠剤は大抵、粉砕、ふるい分け、混合および造粒(乾式および湿式)などの複数のプロセスステップを使用することによって調製される。これらの各ステップは、薬の製造に困難(例として、薬物分解および形態の変化)をもたらし得、起こり得るバッチの失敗および製剤の最適化の問題につながり得る。
【0005】
錠剤は、1世紀以上もの間、概念が本質的に変わらないタブレットプレスを使用したこれらのプロセスを介して大規模な集中型プラントでほぼ普遍的に製造されている。この製造ルートは、個別化医療には明らかに適しておらず、および加えて剤形で達成可能な複雑さ(例として、複数の放出プロファイルおよび形状など)に対する厳しい制限を与え、長期安定性が証明された剤形の開発が必要である。
【0006】
大抵、錠剤は、好適なバインダー剤と組み合わされた活性医薬成分の事前作成された粉末の単一のまたは複数の圧縮によって調製される。ほとんどの場合において、錠剤は集中型製造プラントで大量に製造され、その後患者に配布される。しかしながら、かかる製造は、錠剤の個々の構成を容易にさせず、錠剤を一人の患者のニーズおよび好みに適合させることは不可能である。さらにまた、集中型製造およびこれに続く保管および患者への配布には、長期安定性が証明された剤形の開発が必要であり、剤形で達成可能な複雑さに対する厳しい制限を与える。
【0007】
固体投与形態は、経口投与に限定されず、他の適用方法のために、例として、直腸または皮下投与のために、ならびに様々な用途分野で放出または吸収剤の種類のデバイスとして機能する固体形態のために使用することもできる。しかしながら、既知の製造方法の上に記載の制限は、すべてではないにしても、ほとんどの固体投与形態にあてはまる。
【0008】
付加製造方法、つまり3D印刷の使用は、ポイントオブケアで錠剤などの個々の固体投与形態の製造を可能にする。よって、個別化された錠剤は、患者が消費する直前に製造し得る。固体投与形態の3D印刷は、各患者のためおよび錠剤の各投与のための活性医薬成分の最適化された投薬量、それぞれの患者のニーズまたは好みに適合した個々のバインダー剤の使用、および錠剤の所望の溶解性または固体投与形態の異なる放出特性をもたらす個々の錠剤の形状および構造、を包含する多くの利点を提供する。個々の患者に対して放出が慎重に制御された錠剤などのカスタマイズ可能な固体投与形態の設計、および周知の3D印刷プロセスを使用したオンデマンドでの生成は、個別化治療の効果的な実現をサポートし、現在適用されている治療方法の改善をもたらし得る。
【0009】
テストおよび評価が成功した後、3D印刷された錠剤の正式な承認後、固体投与形態の3D印刷の開発および製造への関心が高まっている。多くの異なる製造分野に好適であり、およびその中で使用されている多くの既知の3D印刷方法および対応する3D印刷デバイスがある。これらの3D印刷方法は、例として、光造形印刷、粉末床印刷、選択的レーザー焼結、半固体押出および熱溶解積層法を包含する。例として、「Defined drug release from 3D-printed composite tablets consisting of drug-loaded polyvinyl alcohol and a water-soluble or water-insoluble polymer filler」, Tatsuaki Tagami et al., International Journal of Pharmaceutics 543 (2018), 361-367, Elsevier B.V.または「Adaptation of pharmaceutical excipients to FDM 3D printing for the fabrication of patient-tailored immediate release tablets」, Muzna Sadia et al., International Journal of Pharmaceutics 513 (2016), 659-668, Elsevier B.V.などの科学刊行物が参照される。より一般的な刊行物は、3D印刷方法、例として、物体のラピッドプロトタイピングの使用、に関し、例として、US 5,204,055, US 5,518,680またはEP 2 720 854 B1を包含する。
【0010】
しかしながら、3D印刷のすべての実行可能なおよび既知の方法が、活性医薬成分を有する固体投与形態の付加製造に好適であるわけではない。バインダー剤は、3D印刷ならびに活性医薬成分の投与に対する特定の要件を満たさなければならない。投薬量は明確に定義され、これに続く多くの製造プロセスで再現可能であり、および錠剤の製造中に容易に制御可能でなければならない。製造プロセスは迅速であり、および費用効果が高くなくてはならない。
【0011】
医薬産業の研究開発のパイプラインにおける水難溶性原薬の数が増加していることに起因して、これらの不溶性原薬の経口バイオアベイラビリティを高める必要がある。
【0012】
プラスチック産業で広く使用されている加熱溶融押出(hot-melt extrusion)は、難溶性薬物の溶解性に対処する強力な技術と見なすことができ、それにより、溶解性は、細胞への薬物の浸透、バイオアベイラビリティの前提条件である。過去20年にわたって、医薬開発およびドラッグデリバリーにおける加熱溶融押出の適用が拡大し、さまざまな投与経路をカバーするいくつかの商業的に承認された製品につながった。
【0013】
特定の原薬の物理化学的特性に基づいて、バイオアベイラビリティの向上のメカニズムは、以下の少なくとも3つのカテゴリー:アモルファス固体分散体の形成、結晶性固体分散体の形成、および共結晶の形成に分けられる。
【0014】
アモルファス固体分散体の製剤は、水難溶性原薬の溶解性能を改善するための実行可能なアプローチである。それは、医薬の塩を形成できない非イオン化原薬に特に好適である。アモルファス原薬は、あらゆる再結晶を防ぐためにマトリックス内で安定化される。
【0015】
アモルファス薬物は結晶性薬物よりも高いエネルギー状態で存在し、およびこれは、より高い動力的溶解性およびより速い溶解速度をもたらすことができる。これは、アモルファス固体分散体に存在する薬物分子を胃腸管からより容易に吸収することを可能にする。
【0016】
溶解の速度を増加させるために、難溶性化合物の製剤を固体分散体の形態で調製することは周知である。様々なプロセスを使用して、固体分散体を作ることができる。一般に、これらの系は、溶媒を利用するプロセス、または1以上の添加された物質の融解を必要とするプロセスのいずれかによって産生され得る。これらの固体分散体は、これらに限定されないが、噴霧乾燥、溶融押出、および熱動力学的配合を包含する数多の方法によって作ることができる。難溶性薬物の溶解性をサポートするために近年適用された技術は、担体、例として多孔質シリカへのアモルファス相の薬物の堆積である。
【0017】
溶融押出プロセスと噴霧乾燥プロセスの両方が、生物薬剤学分類システム(biopharmaceutics classification system)のクラスIIおよびIVの薬物のバイオアベイラビリティを向上させるためのアモルファス固体分散体を調製するのに幅広く使用されている。
【0018】
噴霧乾燥を介したアモルファス分散を達成するために、例えば、利用される溶媒または共溶媒系は、ポリマー担体ビヒクルと目的の化合物の両方を溶解するのに適していなければならない。要約すれば、これらの方法は、不活性担体および活性原薬を溶解するために、溶媒系、しばしば有機性のものの使用を必要とする(Serajuddin A. T. M.; Solid dispersion of poorly water-soluble drugs: early promises, subsequent problems, and recent breakthroughs. J Pharm Sci. (1999), 88(10), 1058-1066)。溶液が形成されると、続いて、選択した製造技術に応じた物質移動メカニズムによって溶媒が除去される。噴霧乾燥などの溶媒ベースの技術は比較的一般的であるが、それらはいくつかの不利な点に悩まされる。活性物質および担体ポリマーと適合する溶媒系の選択は困難であること、または極めて大量の有機溶媒を必要とすることが判明し得る。これは、環境への影響を制限するために有機溶剤を適切に回収および廃棄しなければならないため、製造施設に安全上の問題を提起する。
【0019】
熱溶解積層法は、錠剤またはカプセルまたはインプラントなどの固体投与形態の3D印刷に対して、最も有望なアプローチであると目下考えられており、幅広く受け入れられている。付加製造錠剤に対する熱溶解積層法の使用、ならびに、錠剤を生成する3Dプリンターに供給される好適なフィラメントの必要な調製は、例として「Coupling 3D printing with hot-melt extrusion to produce controlled-release tablets」, Jiaxian Zhang et al., International Journal of Pharmaceutics 519 (2017), 186-197, Elsevier B.V.に記載されている。
【0020】
しかしながら、好適なバインダー剤と、1またはいくつかの活性医薬成分との混合物からフィラメントを製造することは大変であるが、熱溶解積層法には必要である。活性医薬成分は、溶解性を向上させ、その結果として活性医薬成分のバイオアベイラビリティをも向上させるために、安定化された結晶またはアモルファスの形態でバインダー剤、大抵、好適なポリマーまたは複合材料に導入されなければならないため、フィラメントを含有する活性医薬成分の製造は、標準的なポリマーフィラメントの場合よりもはるかに複雑である。バインダー剤の特徴は、巻き上げられたものおよびスプール形態内でフィラメントを産生および保管することを可能にしなければならない。これは大抵、バインダー剤への可塑剤または安定剤の添加を必要とし、これは錠剤が産生されるフィラメントの健康上の安全性を妨げ得る。よって、固体投与形態の製造のための熱溶解積層法の使用は、バインダー剤および活性医薬成分に好適な材料の選択および調製に厳しい制限を課す。
【0021】
したがって、容易におよび費用効果的に実施することができるが、単一の固体投与形態の個別化された製造も可能にする固体投与形態を製造する方法が必要とされている。
【発明の概要】
【0022】
本発明は、少なくとも1つの活性医薬成分を含む固体投与形態を製造する方法であって、少なくとも1つの活性医薬成分を含む流動性であるが硬化する複合材料が一緒に添加され、硬化して固体投与形態を生成し、それにより、流動性複合材料は液化されて、排出ユニットに送達され、およびそれにより液化された複合材料の小部分が排出ユニットの出口を介して硬化ユニットに断続的に排出され、そこで小部分の硬化が起こり、それによって徐々に固体投与形態が生成される、前記方法に関する。
【0023】
請求項1~11に記載のこの製造方法は、既知の3D印刷デバイスを用いた付加製造を可能にするが、3D印刷デバイスに供給されるフィラメントの面倒な事前作成を必要としない。むしろ、バインダー剤ならびに活性医薬成分を含む複合材料は、加熱溶融押出、湿式造粒、乾式圧縮、二軸スクリュー造粒のような異なる方法によって調製された顆粒であり得る。排出ユニットへの送達の直前に調製される好適な流動性を有する混合物を形成する、活性医薬成分およびバインダー剤の粒子状形態の、異なる材料の混合物または組成物を利用することもまた可能である。顆粒およびかかる粒子混合物は、フィラメントと比較してはるかに容易に調製できる。プロセシングに先立ち、医薬成分とバインダー剤の均一な分布を達成するために、共粉砕プロセシングを使用できる。
【0024】
フィラメントの寸法または柔軟性に関連する直径および制限を満たす必要はない。さらにまた、混合前の顆粒、粒子、および他の種類の混合物または単一成分は、保管がより容易であり、必要な場合に、保管および輸送中の化学的および機械的ストレスの影響を受けにくい。フィラメントの事前作成の必要がないので、複合材料の別の溶融およびこれに続くフィラメントの製造の必要はない。排出ユニットへの複合材料の送達直前に複合材料を調製する場合において、結晶性またはアモルファス形態の活性医薬成分を利用して、他では難溶性の活性医薬成分の溶解度が改善された固体分散体または固溶体を作ることが可能である。熱溶解積層法とは反対に、結晶性または不溶性活性医薬成分または他の不溶性添加剤を複合材料に容易に添加することができる。
【0025】
さらにまた、大変な調製、とりわけ複合材料の溶融およびこれに続く硬化の必要がない。よって、対応するバインダー剤の融点よりも高い融点を有する活性医薬成分を利用することもまた可能である。
【0026】
本発明の有利な使用のための適用分野の例は、これらに限定されないが、ポイントオブケアによる疾患処置、個々の患者へのヘルスケアのカスタマイズによる個別化医療、小さなバッチサイズの最終投与形態の費用効果の高い調製、または製品の保管が制限されている薬物用を包含する。臨床段階の供給のための製品を送達するには、小さくて柔軟なバッチサイズが必要である。また、ジェネリック製剤プロセスを確立することにより、前臨床から最終承認までのいくつかの異なる製剤形態の使用を簡素化し、これは、最終薬物のより速い承認によって、登録プロセスをスピードアップし得る。本発明はまた、希少疾病用薬物の製剤のまたは高毒性化合物を含有する最終投与形態の商業的提供、ならびにポイントオブケア、例として診療所での癌治療のためのポイントオブケアを可能にする。固体形投与形態を調製するために他の方法を使用することと比較して、より高い薬物負荷、すなわち、より高い含有量の活性医薬成分、を有する製品が可能である。
【0027】
発明の核は、高齢者医療および小児科に深く関する医療の個別化の傾向に対処するための製薬業界のツールを提供する。異なる薬物を含有する高齢者製品カクテル向けに特別に提供するオプション、すなわち、顧客の利便性の向上、一般的な使用および小児科で必要な錠剤サイズへの極めて容易な適合に焦点を当てる。結果的に、一般的な技術では調製するのが難しい直径1mm~6mmの直径の錠剤サイズを調製することができる。発明の追加の製造上の利点は、連続製造プロセシングをこれまでのところ可能な限りはるかに容易に接続できること、モジュール式セットアップからの柔軟性、および容易なスケールアップを包含する。サイズ、デザイン、および外側と内側の形態に応じた投与形態の最終的な外観も極めて柔軟に調製することができる。
【0028】
好適なバインダー剤は、当業者に知られている薬学的に許容し得る賦形剤を含んでもよく、これは本明細書に開示される複合物および組成物を作成するために使用され得る。本発明との使用のための賦形剤の例は、これらに限定されないが、例として、薬学的に許容し得るポリマー、または非ポリマー賦形剤を包含する。賦形剤の他の非限定的な例は、ラクトース、グルコース、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶性セルロース、ケイ酸、水、単純なシロップ、グルコース溶液、デンプン溶液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、シェラック、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、粉末寒天、カルメロースカルシウム、デンプンとラクトースの混合物、スクロース、バター、水素化油、第四級アンモニウム塩基とラウリル硫酸ナトリウムの混合物、グリセリンおよびデンプン、ラクトース、ベントナイト、コロイド状ケイ酸、タルク、ステアラートおよびポリエチレングリコール、ソルビタンエステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポロキサマー(ポリエチレン-ポリプロピレングリコールブロックコポリマー)、スクロースエステル、ラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸、ラウリン酸、ポリオキシエチル化グリコール化グリセリド、ジパルミトイルホスファジチルコリン、グリコール酸および塩、デオキシコール酸および塩、シクロデキストリン、ポリエチレングリコール、ポリグリコシル化グリセリド、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタート、ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー、ポリアクリラート、ポリメタクリラート、ポリビニルピロリドン、ホスファチジルコリン誘導体、セルロース誘導体、以下のポリ-(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド-コ-グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸-コグリコール酸)から選択される生体適合性ポリマーおよびそれらのブレンド、組み合わせ、およびコポリマーを包含する。
【0029】
ポリマー担体系の選択は、製剤および製造プロセスの開発を成功させるために重要であると考えられている。ポリマーおよび原薬の物理化学的および機械的特性を注意深く評価する必要がある。
【0030】
熱的および機械的プロセスの両方として、加熱溶融押出は、加熱溶融押出プロセスにかけられる材料に有意な量の熱および剪断応力を加える。結果として、原薬および高分子担体が化学反応を受け得る。したがって、分解の懸念を排除するために、製剤成分の化学的特性および安定性を監視しなければならない。化学反応は主鎖反応および側鎖反応に分けられる。主鎖反応は、鎖の切断および架橋を含み;一方、側鎖反応は、側鎖の脱離および側鎖の環化を含む。
【0031】
可塑剤を必要とし得るまたは必要とし得ない好適なサーマルバインダー剤は、例えば、Eudragit(登録商標)RS PO、Eudragit(登録商標)SlOO、Kollidon(登録商標)SR(ポリビニルアセタート-ポリビニルピロリドン混合物)、Kollidon(登録商標)VA 64(ビニルピロリドン-ビニルアセタートコポリマー)、Kollicoat IR(ポリビニルアルコール/ポリエチレングリコールグラフトコポリマー)、Soluplus(登録商標)(ポリビニルカプロラクタム-ポリビニルアセタート-ポリエチレングリコールグラフトコポリマー)、Ethocel(登録商標)(エチルセルロース)、HPC(ヒドロキシプロピルセルロース)、セルロースアセタートブチラート、ポリ(ビニルピロリドン)(PVP)、ポリ(エチレングリコール)(PEG)、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ナトリウムカルボキシメチル-セルロース(CMC)、
【0032】
ジメチルアミノエチルメタクリラート-メタクリル酸エステルコポリマー、エチルアクリラート-5メチルメタクリラートコポリマー(GA-MMA)、C-5または60 SH-50 (Shin-Etsu Chemical Corp.)、セルロースアセタートフタラート(CAP)、セルロースアセタートトリメレタート(CAT)、ポリ(ビニルアセタート)フタラート(PVAP)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタラート(HPMCP)、ポリ(メタクリラートエチルアクリラート)(1:1)コポリマー(MA-EA)、ポリ(メタクリラートメチルメタクリラート)(1:1)コポリマー(MA-MMA)、ポリ(メタクリラートメチルメタクリラート)(1:2)コポリマー、Eudragit(登録商標)L-30-D (MA-EA、1:1)、10 Eudragit(登録商標)L-100-55TM (MA-EA、1:1)、Eudragit(登録商標)E (EPO)(ジメチルアミノエチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、およびメチルメタクリラートに基づくコポリマー)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセタートスクシナート(HPMCAS)、Coateric(登録商標)(PV AP)、Aquateric(登録商標)(CAP)、およびAQUACOAT(登録商標)(HPMCAS)、ポリカプロラクトン、デンプン、ペクチン;トラガカント、アラビアガム、グアーガムおよびキサンタンガムなどの多糖類を包含する。
【0033】
活性医薬成分とバインダー剤との二成分分散体は、それらの混和性に応じて、単相系または多相系として存在することができる。一般に、以下の理由から、単相アモルファス固体分散系が所望される。まず第一に、単相系は多相系に比べてより良好な安定性を有している傾向がある。相分離に起因して、多相系は薬物に富むドメインおよびポリマーに富むドメインを含む。ほとんどの場合において、薬物に富むドメインは比較的低いガラス転移温度を有し、薬物分子の保護は弱くなる。したがって、薬物に富むドメインは再結晶の影響を受けやすく、物理的安定性の懸念が生じる。アモルファス状態で良好な物理的安定性を有する原薬については、相分離が製剤の溶解性能に負の影響を与え得る。水溶性ポリマーマトリックスは、難溶性原薬の溶解プロセスを促進する。
【0034】
本発明のさらに別の態様は、1以上の医薬ポリマーを、オリゴマー、コポリマー、油、有機分子、脂肪族ヒドロキシルを有するポリオール、エステル型可塑剤、グリコールエーテル、ポリ(プロピレングリコール)、マルチブロックポリマー、シングルブロックポリマー、ポリ(エチレンオキシド)、リン酸エステル;フタル酸エステル、アミド、鉱油、脂肪酸およびそれらのポリエチレングリコールとのエステル、グリセリンまたは糖、脂肪アルコールおよびそれらのポリエチレングリコールとのエーテル、グリセリンまたは糖、および植物油からなる群から選択される1以上の可塑剤とブレンドすることによって、凝集に先立ち混合することによって、1以上のポリマーと1以上の可塑剤を複合体へと処理することによって、1以上の医薬ポリマーを予備可塑化する方法を包含する。
【0035】
承認済みまたは新規で開発中の活性医薬成分の例は、これらに限定されないが、抗生物質、鎮痛薬、ワクチン、抗けいれん薬;抗糖尿病薬、抗真菌薬、抗新生物薬、抗パーキンソン病薬、抗リウマチ薬、食欲抑制薬、生物学的反応修飾薬、心血管作動薬、中枢神経系刺激薬、避妊剤、栄養補助食品、ビタミン、ミネラル、脂質、糖類、金属、アミノ酸および前駆体、核酸および前駆体、造影剤、診断用薬、ドーパミン受容体アゴニスト、勃起不全薬、不妊治療薬、胃腸薬、ホルモン、免疫調節薬、抗高カルシウム血症薬、肥満細胞安定剤、筋弛緩薬、栄養薬、眼科薬、骨粗鬆症薬、精神治療薬、副交感神経刺激薬、副交感神経抑制薬、呼吸薬、鎮静催眠薬、皮膚および粘膜薬、禁煙薬、ステロイド、交感神経薬、尿路薬、子宮弛緩薬、膣薬、血管拡張薬、抗高血圧薬、甲状腺機能亢進症、抗甲状腺機能亢進症、抗喘息薬およびめまい薬を包含する。ある態様において、活性医薬成分は、水難溶性薬物または高融点を有する薬物である。活性医薬成分は、それらの薬学的に許容される塩、エステル、誘導体、類似体、プロドラッグ、および溶媒和物の1以上の形態で見出し得る。
【0036】
本発明の一側面によれば、流動性複合材料は、ポリマー、およびポリマーと共にまたはポリマー内で機械的に混合、分散、または溶解される少なくとも1つのアモルファス活性医薬成分を含む。多くの医薬用途では、活性医薬成分の溶解性またはバイオアベイラビリティの低さは、複合材料の加熱溶融押出によって対処され、これは、活性医薬成分をアモルファスの形態でポリマーに組み込むことを可能にする。しかしながら、熱溶解積層法とは反対に、機械的ストレスをもたらし、複合材料内の活性医薬効成分の所望の溶解度を、例として、スプール上のコイル状フィラメントの保管中、低下させる、スプールに直後に巻かれるフィラメントを作る必要がない。
【0037】
さらにまた、複合材料内に、より脆弱な領域を作ることによって再度機械的ストレスおよび不安定性を引き起こす、これに続く、熱溶解積層法プリンターの排出ユニットへのフィラメントの巻き戻しおよび供給中にアモルファス形態を保存するために、フィラメント内のアモルファス形態を安定化する必要もない。また、活性医薬成分の結晶形について、減少された熱応力、および複合材料の小部分が排出されるまでの溶融中のそのアモルファス形態への一度だけの変換は、難溶性の活性医薬成分の溶解性およびバイオアベイラビリティを有意に向上させる。したがって、潜在的な第2の加熱ステップ中の多形転移のリスクが回避される。
【0038】
本発明のさらに別の態様において、流動性であるが硬化する複合材料は、固体投与形態の特性を変更または向上させるために不溶性多孔質または非多孔質担体粒子を包含する。担体粒子を添加することにより、適用される活性医薬成分の溶解性を改善することが可能である。さらにまた、添加された担体粒子は、放出特性を変化させること、または製造プロセス中の熱分解に対して活性医薬成分を安定化することができる。
【0039】
本発明の有利な態様によれば、流動性複合材料は、排出ユニットへの送達中に、すなわち、複合材料の液化した小部分が排出ユニットで断続的に排出されるすぐ前にまたは直前に作成される。よって、複合材料の長期保管に起因する、または事前作成した複合材料の排出ユニットへの輸送に起因する、活性医薬品成分および/または複合材料の分解はないであろう。排出ユニットへの送達の直前に加熱され、および液化される顆粒を利用することもまた可能である。代替的に、粒子の混合物を使用して、粒子の混合物を加熱および溶融すること、およびこれに続いて粒子生成された複合材料の溶融混合物を排出ユニットに送達することによって複合材料を生成することができる。
【0040】
多くの用途では、固体投与形態の付加製造用の複合材料を最終的に使用するまで、複合材料を長期保管する必要がないため、複合材料に安定化材料を添加する必要がない。しかしながら、いくつかの用途では、複合材料の特性、とりわけ機械的特性およびその結果得られる固体投与形態を夫々の用途の個々の要件に適合させるために、複合材料に安定剤および/または可塑剤を添加することが有利であり得る。
【0041】
本発明の別の好ましい側面によれば、液化された複合材料の小部分が液滴であり、固体投与形態は、液化された複合材料の硬化前または硬化中に結合するまたは付着する液滴を添加することによって生成される。例として、インク印刷プロセス中の表面への流体の投与のために、流体の液滴を断続的に排出することは、周知の方法である。液化された複合材料を断続的に排出することは、それらの方法と同様であり、当業者は、排出され、続いて硬化される液滴を所望の形状の固体投与形態に配置することによって、固体投与形態を作るために好適なデバイスを利用することが可能である。熱溶解積層法とは反対に、中断のない堆積ラインに沿った複合材料の連続的な堆積など、対象物の付加製造に制限を課す連続的なフィラメントはない。
【0042】
さらにまた、特性および、例として、固体投与形態の多孔性、を改変することが可能であり、およびよって、それは崩壊、ならびに固体投与形態を生成するために断続的に排出されるそれぞれの小部分または液滴の結合または付着を事前設定および制御することによる、その中の活性医薬成分の溶解性およびバイオアベイラビリティである。複合材料の最終硬化後の単一の小部分または液滴があまり密接に結びついていないほど、その結果得られる固体投与形態はより多孔性である。固体投与形態の体積内で固体投与形態の多孔性を変化させることもまた可能である。
【0043】
本発明の有利な態様によれば、液滴の平均直径は、350μm未満、好ましくは200μm未満である。単一の液滴のサイズが小さいほど、固体投与形態のより複雑な形状および構造が可能であり、かなり正確に付加的に生成することができる。適正な大量の複合材料を含む固体投与形態を適正な短い時間で製造できるようにするために、単一の液滴のサイズは、20μmより大きく、および好ましくは50μmより大きくなければならない。
【0044】
本発明の別の態様において、異なる平均直径の液滴から調製される固体投与形態の構造の調製は、他の技術を使用して調製することが不可能な独特の特性を有する構造をもたらすことができる。排出ユニットの単一のノズルを介して毎秒数100の液滴を排出することが可能であると考えられるので、錠剤および同様の固体投与形態の相当に迅速な生成が可能である。さらにまた、小さい直径の単一の液滴は、個々の、しかし明確に定義された含有量の活性医薬成分(単数または複数)を有する錠剤の生成を可能にする。本発明の別の態様において、投与形態および含有する活性医薬成分の機能が、結果として生じるより速い調製によって影響されない場合、液滴の平均直径は、350μmよりも大きい。
【0045】
本発明のさらに別の態様おいて、互いに隣接して置かれた少なくともいくつかの小部分の間に空隙があり、固体投与形態の多孔質構造をもたらす。固体投与形態は、複合材料の多数の小部分から構成され、それにより各小部分が排出ユニットから別個に排出されるので、隣接する小部分または液滴のそれぞれの位置に関して制限はない。よって、隣接する小部分または液滴間の距離は、極めて高密度で、均一なおよび一様な固体投与形態を生成するために、あるいは固体投与形態内の複合材料の隣接部分間に多くの空隙を有する細線細工および多孔質構造を生成するために、事前設定することができる。
【0046】
本発明の別の態様によれば、複合材料の小部分は、固体投与形態が活性医薬成分の異なる特徴を有する少なくとも2つの領域を含むように、小部分の配置に排出される。先に説明したとおり、本発明による方法を利用することにより、固体投与形態の生成された基体に連続フィラメントを適用することによって固体投与形態を生成する必要はない。それとは反対に、各小部分は、最後または次に排出される小部分に対して意のままにおよび予め決められた距離で置くことができる。よって、不均一であるか、または単一の固体投与形態内に異なる構造または組成を有するセクションを含む固体投与形態を製造することは容易に可能である。
【0047】
本発明の別の側面によれば、予め決められた第1の量の複合材料を排出する前または後に、予め決められた第2の量の第2の材料が排出され、それにより第2の材料の材料は複合材料とは異なる。よって、単一の固体投与形態内で2以上の異なる複合材料を利用することもまた可能である。例えば、難溶性または急速に溶解する活性医薬成分を有する第1の複合材料の多孔質構造は、例として、事前設定されたシールド特性、装飾または味覚マスキングを有する、あるいは事前定義された腸溶特性を有する固体投与形態を調製するために、活性医薬成分を含まないバインダー剤の周囲層で包まれていてもよい。第1および第2の複合材料は、次々に排出ユニットに送達することおよび排出ユニットから排出することができ、複合材料を送達および排出するために同じ手段を利用できる。加えて、製造デバイスに応じて、第1の複合材料と組み合わせて使用される異なる組成の混合物を提供することができるさらなる排出ユニットがあってもよい。これは、製造デバイスが2より多い排出ユニットの数を包含することができ、ノズルの直径が異なり得ることを意味する。
【0048】
換言すれば、製造デバイスは、1または2より多い排出ユニットを有していてもよい。加えて、排出ユニットは異なる断面を有していてもよく、その結果、分配される複合ユニットのサイズは時間単位で異なっていてもよく、よって、生産される生成物の内部構造は、使用されるユニットおよびユニットあたりに排出される組成物に応じて異なり得る。
【0049】
しかしながら、製造速度を向上させるために、および固体投与形態の一部を生成するために使用されるそれぞれの複合材料の望ましくない汚染を低減するために、単一の固体投与形態の付加製造に使用される異なる複合材料ごとに別個の送達および排出手段を提供することが有利であると考えられる。例えば、排出ユニットは、排出ユニットの専用ノズルに供給される別個の送達チャネルを含んでいてもよく、それにより、各送達チャネルおよび対応するノズルは、別個に始動および使用され得る。
【0050】
固体投与形態の体積内で固体投与形態の多孔性または組成を変化させること、例として、固体投与形態の体積内に活性医薬成分の勾配を作ることは、長期間の投与にわたる活性医薬成分の溶解性およびバイオアベイラビリティの制御の向上を可能にする。よって、皮下投与および長期堆積のためのインプラントとして固体投与形態を生成することが可能であり、これは、数週間、数ヶ月、さらには数年の間、事前設定された一定量の活性医薬成分を調剤するであろう。
【0051】
排出ユニットに対して移動することができる製造プレートまたはテーブルの上に配置された、堅固に取り付けられた排出ユニットを提供することが有利であると考えられる。製造プレートは、平面内で任意に移転することができるXYテーブルであり得る。XYZテーブルの使用をもたらす、製造プレートと排出ユニットの出口との間の距離を変化させること、例として、製造プロセス中に段階的に成長する、付加製造された固体投与形態の高さおよび上面に適合させることも可能である。
【0052】
もちろん、複合材料を同時に排出する、よっていくつかの固体投与形態を同時に製造するためのいくつかの手段を備えた排出ユニットを提供することも可能である。排出ユニットは、液化された複合材料をノズルに送達するための同じまたは別個の手段に接続されたいくつかのノズルを含んでいてもよい。
【0053】
本発明はまた、少なくとも1つの活性医薬成分を含む固体投与形態に関する。
【0054】
本発明の一側面によれば、固体投与形態は、流動性複合材料を液化することおよび液化された複合材料を排出ユニットに送達することによって製造され、それにより、液化された複合材料の小部分が、排出ユニットの出口を介して、断続的に硬化ユニットに排出され、ここでは小部分の硬化が生じ、それによって徐々に固体投与形態を生成する。活性医薬成分を含む複合材料の予め決められた数の小部分を排出することにより、各サンプルの固体投与形態内の活性医薬成分の含有量を正確に定義することが可能である。よって、固体投与形態は、巨視的特徴、例として、重量または寸法などによって定義されないが、固体投与形態を付加製造するために続いて排出された小部分の数および空間的配置によってさらに正確に定義される。
【0055】
本発明の有利な態様によれば、固体投与形態は、2つの異なる複合材料の小部分を含む。第1および第2の複合材料の小部分は、固体投与形態内の別個であるが隣接する領域に配置することができる。それぞれの第1および第2の複合材料の第1および第2の小部分の均一な分布を配置することもまた可能である。さらにまた、活性医薬成分を有する複合材料を、固体投与形態の経口投与中にのみ心地よい味を提供する活性医薬成分を有しない材料でコーティングすることができる。
【0056】
本発明のさらに別の態様において、固体投与形態内の複合材料の小部分の密度は、固体投与形態内の異なる領域間で変化する。多孔性の内部領域を高密度のケーシングまたはコーティングで包むことが可能であり、それにより、多孔性の内部領域における隣接する小部分のそれぞれの中心間の平均距離は、高密度のケーシングまたはコーティング中の隣接する小部分のそれぞれの中心間の平均距離よりも大きい。密度の勾配、すなわち、固体投与形態の内側中央から外面まで変化する隣接する小部分の中心間の平均距離の勾配を作ることも可能である。
【0057】
さらにまた、本発明の有利な側面によれば、中空構造、例として、固体投与形態内に空隙があるメッシュ状の構造、を有する固体投与形態を作ることが可能である。よって、個々のニーズおよび個人の好みに従って、固体投与形態内の活性医薬成分の溶解性およびバイオアベイラビリティを適合させることが可能である。
【0058】
本発明のさらに別の態様によれば、固体投与形態内に含まれる小部分は、複合材料の別個の液滴であり、それにより、液滴は、液化された複合材料の硬化中に互いに隣接して配置され、結び付く表面を介して結びつく。
【0059】
発明の詳細な説明
図1は、固体投与形態2の付加製造のための製造デバイス1の概略図を示す。製造デバイス1は、XYテーブル6の上部に取り付けられた製造プラットフォーム5に向けられたノズル4を備えた排出ユニット3を含む。XYテーブル6の助けを借りて、製造プラットフォーム5は、排出ユニット3のノズル4の排出方向7に垂直な2つの方向に並進運動を行うことができる。XYテーブル6の高さ調整を提供すること、すなわち、XYZテーブルを利用することもまた可能である。これは、固体投与形態2の付加製造中に、ノズル4と製造プラットフォーム5の表面との間の距離を制御および調整することを可能にする。
【0060】
製造デバイス1はまた、供給ホッパー9または供給ライン10(精度をさらに高めるために、重量分析投与デバイスを追加することができる)を使用して、異なる技術によって調製されたポリマー顆粒のような基本原料、または均一な粒子および流体様材料および活性医薬成分で満たすことができる保管容器8を含む。保管容器8は、スクリューコンベヤ11を介して排出ユニット3に接続されている。
【0061】
本発明の異なる態様によれば、スクリューコンベヤ11は、滑らかなまたは溝のあるバレルを備えた一軸スクリュー押出機、共回転または逆回転スクリューならびに噛み合いまたは非噛み合いスクリューを備えた二軸スクリュー押出機、あるいは調整可能なスクリュー形状を使用する一般的な可能性を備えた静的または回転中心シャフトを備えたマルチスクリュー押出機であってもよい。基本原料はスクリューコンベヤ11を介して排出ユニット3に供給される。スクリューコンベヤ11または排出ユニット3内で、基本原料が一緒に混合され、均一化され、および液化されて複合材料になる。目標温度プロファイルを調整するために、温度制御を具備した加熱オプションを追加することもできる。均一な溶融を達成し、複合材料の液化をサポートするために排出ユニット3またはスクリューコンベヤ11に輸送するために、異なる加熱セクションを使用することができる。複合材料は、ノズル4を介して製造プラットフォーム5に断続的に排出される。ノズル4を介して排出される各小部分12は、他の小部分12と結びつき、および固化して、固体投与形態2を徐々に生成する。
【0062】
固体投与形態2の形状および寸法は、ノズル4を介して排出される小部分12の数によって、および小部分12の排出中のXYテーブルの動きによって決定される。オプションで、直径の異なるいくつかのノズル4(異なる平均直径を有する複合材料の別個の液滴を生成する)を使用できる。固体投与形態2内に堆積した活性医薬成分の含有量は、複合材料内の活性医薬成分の含有量によって、および固体投与形態2の製造中に排出される小部分12の数によって決定される。よって、固体投与形態2の付加生成のために添加、組成および硬化される小部分12の総数を事前設定することにより、活性医薬成分の総含有量を、製造デバイス1を使用して生成された固体投与形態2ごとに正確におよび個別に制御することができる。
【0063】
製造プラットフォーム5を、例として温度、照明または湿度に関して制御された製造条件、を提供するハウジング内に囲むことができる。製造プラットフォーム5およびハウジング、ならびに製造条件のための制御デバイスは、硬化ユニット13の一部であり、これは固体投与形態2の所望の形および構造を作るために複合材料の予め液化された小部分12の硬化を制御することを可能にする。
【0064】
図2、3および4は、それぞれが複合材料の多数の小部分12から構成される固体投与形態2の3つの異なる態様の概略斜視図を表す。各小部分12は、少なくとも1つの好適なポリマー材料および少なくとも1つの活性医薬成分を含む複合材料の単一の液滴である。
【0065】
図2に示される固体投与形態2は、互いに極めて近接して配置された極めて多数の小部分12から構成され、これにより、小部分12の連続的な硬化後に極めて高密度でほぼ均一な固体が作られる。小部分12の平均直径は、好ましくは50μmより大きいが、150μm未満であり、および断続的に排出される小部分12の頻度は、1秒あたりおよそ50~150の液滴の間である。単一の小部分12の硬化の持続時間は非常に短いが、後続の各小部分12は、すでに前に排出された小部分12と融合し、よって、固体投与形態2の極めて均一な本体を生成する。小部分12の固化の持続時間は、例として、熱または冷気を製造プラットフォーム5または製造プラットフォーム5の上部の製造スペースに伝達することによって制御することができる。例として、固化プロセスを向上または遅延させ得るUV照射または電気の影響を受けやすいポリマーを含む複合材料を利用することも可能である。
【0066】
図3に示される固体投与形態2は、図2の固体投与形態2と比較して、より少数の小部分12から構成される。小部分12の平均直径は、図2よりも大きく、それにより、小部分12は、例として、およそ350μmの平均直径を有する。小部分12は、互いに短い距離で配置され、それによって、多孔質の固体投与形態2を生成する。構成された固体投与形態2の密度は、図2に示される固体投与形態2の密度よりも有意に低い。隣接する小部分12間の平均距離は、小部分12の平均直径と同様である。固体投与形態2の多孔性および密度は、小部分12の平均直径および隣接する小部分12の平均距離を事前設定することにより、意のままに広い範囲で調整可能である。
【0067】
図4は、固体投与形態2内に空隙14を含む固体投与形態2を概略的に表す。空隙14は、いくつかの隣接する小部分12の間に、小部分12の平均直径よりも大きい平均距離を導入することによって作られる。さらにまた、これに続く小部分12を排出する頻度は、予め排出された小部分12の少なくともいくらかの硬化を可能にするために適合させることができ、固体投与形態2の既に生成された部分の予め決められた位置に次の小部分を追加する前に、固体投与形態2の既に生成された部分の改善された機械的安定性をもたらす。従来の錠剤の圧縮成形とは反対に、空隙14を作ることは、固体投与形態2の付加製造中にXYテーブルの動きを制御することによって容易に達成される。例として、熱溶解積層法のような既知の付加製造法と比較すると、本発明に従う方法は、製造プロセス中に断続的に排出される小部分12の配置のより多くのバリエーションを可能にし、固体投与形態2のより複雑な形状および構造をもたらす。
【0068】
図5および6は、固体投与形態2の別の態様の概略斜視図および断面図を表す。固体投与形態2の中央領域15内に、第1の複合材料16の第1の数の小部分12が配置され、互いに結びついている。第2の材料18の第2の数の小部分17は、中央領域15を包み、それによって、中央領域15のケース19を作る。中央領域15の第1の複合材料16のみが活性医薬成分を含み、一方、第2の材料18は、活性医薬成分を有する第1の複合材料16の吸収を遅らせる。よって、第2の材料のケース19の組成および厚さによって予め決めることができる、活性医薬成分のための貯蔵所効果(repository effect)を有する固体投与形態2を生成することが可能である。
【0069】
図7および8は、固体投与形態2のさらに別の態様を概略的に表す。固体投与形態2の中央から始まり、固体投与形態2は、2つの異なる第1および第2の複合材料16、20から構成され、それにより、第1の複合材料16または第2の複合材料20のいずれかの交互の層が、固体投与形態2の囲まれた内部部分のためのそれぞれのケースを作る。第1の複合材料16および第2の複合材料20は、異なる活性医薬成分を含む。これは、固体投与形態2の溶解中に2つの異なる活性医薬成分を交互に吸収することを可能にする。固体投与形態2のより複雑な形状および構造をもたらす追加のバリエーションは、異なる特性(例として、活性医薬成分の速い、遅い、標的化された、または他の種類の放出)を生成するオプションを伴う。
【0070】
図9および10は、図5および6に示される態様と同様の固体投与形態2の態様を概略的に表すが、活性医薬成分を含む第1の複合材料16を有する大きな中央領域15を包む1または少数の小部分17のみの厚さを有する、第2の材料18の極めて薄いケース19を有する。第2の材料18の薄いケース19を、例として、第1の複合材料16の味をマスキングするため、または滑走面(gliding surface)を追加するために使用することができ、これは、両方の場合において、固体投与形態2の経口投与に対する患者の受容を増加させる。
【0071】
図11および12は、固体投与形態2の別の態様を概略的に表しており、それにより、第1の複合材料16のいくつかの層が、第2の材料18の介在して配置された層と一緒に結合される。
【0072】
図13は、固体投与形態2の中央領域15から外面21まで増加する、隣接する小部分12の密度を有する固体投与形態2のさらに別の態様の断面図を表す。図14は、固体投与形態2の中央領域15から外面21まで減少する、隣接する小部分12の密度を有する固体投与形態2のさらに別の態様の断面図を表す。
【0073】
上に記載の記の製造方法はまた、複雑な形状および構造を有する固体投与形態2の製造を可能にする。一例として、図15および16は、環状の外部構造22を有し、環状の外部構造22の内側に十字形の構造23を有する固体投与形態2のかかる複雑な態様の上面図を概略的に表す。環状の外部構造22の内側に配置された大きな空隙24があり、これは、固体投与形態2の迅速な溶解を向上させる。図15に示すように、同じ第1の複合材料16から固体投与形態2を作ること、または図16に示すように、同じ活性医薬成分の含有量が異なるか、あるいは活性医薬成分が異なる2つまたは3つの異なる第1、第2および第3の複合材料16、20および25を利用することが可能である。活性医薬成分を有しない第2の材料18でできている部分または構造要素を包含することも可能である。
【0074】
図17および18は、それぞれが異なる複合材料16、20、25、26および27を含む5つの帯状の構造から構成される固体投与形態2のさらに別の態様を概略的に表す。
【0075】
図19、20および21は、固体投与形態2の複雑な形状の例示的な態様を概略的に表す。図19はメッシュ状のケーシング28を有するボール形の中空固体投与形態2を示し、図20は錠剤形の固体投与形態2を表し、および図21はトーラス形の固体投与形態2を表す。
【図面の簡単な説明】
【0076】
図1図1:固体投与形態の付加製造用の製造デバイスの概略図。
図2図2:多数の複合材料の小部分で構成された固体投与形態の概略斜視図。
図3図3図2に示される態様よりも大きな小部分から構成された固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図4図4:固体投与形態内に空隙を含む固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図5図5:固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図6図6図5に示される固体投与形態の図5の線VI-VIに沿った断面図。
【0077】
図7図7:固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図8図8図7に示される固体投与形態の図7の線VIII-VIIIに沿った断面図。
図9図9:固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図10図10図9に示される固体投与形態の図9の線X-Xに沿った断面図。
【0078】
図11図11:固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図12図12図11に示される固体投与形態の上面図
図13図13:固体投与形態の中央から外面に増加する、隣接する小部分の密度を有する固体投与形態のさらに別の態様の断面図
図14図14:固体投与形態の中央から外面に減少する、隣接する小部分の密度を有する固体投与形態のさらに別の態様の断面図。
図15図15:環状の外部構造を有し、および環状の外部構造の内側に十字形の構造を有する固体投与形態のさらに別の態様の上面図。
【0079】
図16図16図15に示される態様と同様であるが、3つの異なる複合材料を含む固体投与形態のさらに別の態様の上面図。
図17図17:それぞれが異なる複合材料を含む5つの帯状の構造から構成される固体投与形態のさらに別の態様の側面図。
図18図18図17に示される固体投与形態の上面図
図19図19:メッシュ状のケーシングを有するボール形の中空固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図20図20:錠剤形またはカプセル形の固体投与形態の別の態様の概略斜視図
【0080】
図21図21:トーラス形の固体投与形態の別の態様の概略斜視図。
図22図22:例7:好適なサーマルバインダーとして純粋なPVAを100%充填率で含む3D印刷された錠剤。
図23図23:実施例8:好適なサーマルバインダーとしてのPVAと、活性医薬成分としての10%カフェインとの二成分分散体を100%充填率で含む3D印刷された錠剤。
図24図24:実施例9:PVAと、10%カフェインとの二成分分散体を50%充填率で含む3D印刷された錠剤。
【0081】
図25図25:例10;PVAと10%ジピリダモールとの二成分分散体を100%充填率で含む3D印刷された錠剤。
図26図26:例11;PVAと10%ジピリダモールとの二成分分散体を50%充填率で含む3D印刷された錠剤。
図27図27:例12;PVAと10%ジピリダモールとの二成分分散体を30%充填率で含む3D印刷された錠剤。
図28図28:例13:純粋なPVAの外殻(100%充填率)、および好適なサーマルバインダーとしてのPVAと、活性医薬成分としてのジピリダモール(黄色/オレンジ色)との2成分分散体を含む内部コアを有する3D印刷された錠剤。原理の良好な視認性のために、高さ2mmで印刷を停止した。
【0082】
図29図29:例13:純粋なPVAの外殻(50%充填率)、および好適なサーマルバインダーとしてのPVAと、活性医薬成分としてのジピリダモール(黄色/オレンジ色)との2成分分散体を含む内部コアを有する3D印刷された錠剤。
図30図30:ジピリダモールの放出:リン酸緩衝液pH6.8中で3D印刷されたジピリダモール含有錠剤(例10、11および12)の溶解測定によって達成された結果
図31図31:カフェインの放出:0.1nHCl中で3D印刷されたカフェイン含有錠剤(例8および例9)の溶解測定によって達成された結果。
【0083】

本明細書は、当業者が本発明を包括的に適用することを可能にする。さらなる注釈がなくても、当業者は上記の記載を最も広い範囲で活用でき得るであろうと想定される。
実践者は、本明細書の教示を使用して、ルーチンの実験室作業で、新しいプロセスにおいて上に定義されるとおりの製剤を含む活性成分を調製することができるであろう。
【0084】
例1
加熱溶融押出(HME)による、3D印刷プロセスで使用される顆粒の形態の好適なサーマルバインダーの調製
材料の事前処理:
HMEによる3D印刷プロセス用の顆粒の形態の好適なサーマルバインダーの調製について、HMEに対して最適化された粒度分布を有する2.0kgのポリビニル-アルコール=PVA(Parteck MXP, Cat No 141360、Merck KGaAドイツから)を真空オーブン内で85℃で乾燥する。
押出は、投薬ユニットの投薬速度および押出機のスクリュー速度を、0.35kg/hおよび350rpmの標的パラメータに達するまで少しずつ増やして調整することによって開始される。これは、プロセスを開始してから、ノズルからの押出物の最初の出口まで約5分かかる。押出物は、ノズル(直径2mm)から極めて均一で、透明なストランドとして現れ、黄橙色を有している。
【0085】
使用した押出機の条件:
ノズルの圧力 14-15バール。
融解温度 192℃および41-42%のトルク、
加熱ゾーン HZ 1=80℃/HZ 2‐HZ 7=200℃
ノズル温度=200℃
押出物ストランドは、ダイスから均一に現れるまで約10分間廃棄される。その後、ストランドはコンベヤベルトを用いてペレタイザに運ばれ始め、これは押出物に室温で短い冷却段階を与え、次いでそれは長さ1.5mmのペレットに切断される。最終的に、材料を、それが3D印刷デバイスで使用される前に、85℃で真空条件下、LOD<0.1%まで乾燥する。
【0086】
例2
加熱溶融押出(HME)による、3D印刷プロセスにおいて使用される顆粒の形態の、活性医薬成分(API)としてのジピリダモールとサーマルバインダーとしてのPVAとを含む二成分分散体の調製
混合物の調製:
PVAポリマー(真空オーブンで85℃で乾燥された)と10%APIとの二成分混合物を、1.8kgのPVA4-88(Parteck MXP, Cat No 141360Merck KGaAドイツから)および黄色を有するモデルAPIとしての0.2kgのジピリダモールPh .Eur(LGM Pharma)を、Roehnradmischerを使用して、15分間、10Lドラム中で混合することによって調製する。
押出は、投薬ユニットの投薬速度および押出機のスクリュー速度を、0.35kg/hおよび350rpmの標的パラメータに達するまで少しずつ増やして調整することによって開始される。これは、プロセスを開始してから、ノズルからの押出物の最初の出口まで約5分かかる。押出物は、ノズル(直径2mm)から極めて均一で、透明なストランドとして現れ、黄橙色を有している。
【0087】
使用した押出機の条件:
ノズルの圧力 14-15バール。
融解温度 192℃および41-42%のトルク、
加熱ゾーン HZ 1=80℃/HZ 2‐HZ 7=200℃
ノズル温度=200℃
押出物ストランドは、ダイスから均一に現れるまで約10分間廃棄される。その後、ストランドはコンベヤベルトを用いてペレタイザに運ばれ始め、これは押出物に室温で短い冷却段階を与え、次いでそれは長さ1.5mmのペレットに切断される。最終的に、材料を、3D印刷デバイスにおける使用の前に、85℃で真空条件下、LOD<0.1%まで乾燥する。
【0088】
例3
「乾式圧縮(Dry Compaction)」による、3D印刷プロセスにおける使用のための好適なサーマルバインダーの調製
3D印刷プロセス用の乾式圧縮された顆粒の形態の好適なサーマルバインダーの調製のために、2.6kgのポリビニル-アルコール(PVA; Parteck MXP, Cat No 141360、MerckKGaAドイツから)を物理的乾式圧縮プロセスによって圧縮する。
【0089】
乾式圧縮プロセスのために、2.24mmメッシュサイズのふるいを備えたPowtec-Kompaktor RCC 100x20(Powtec Maschinen und Engineering GmbH、Remscheid、Deutschland)を使用する。PVA粉末の製品導入は30rpmで行う。圧縮のために、ラインおよび3rpmのランバ-速度が提供されたランバ-(lumber)、2.1mmのランバ-スリットならびに50rpmのふるい分けミル速度を有する125バールの水圧が使用される。
乾式圧縮されたPVA4-88顆粒(>710μm)を、前に記載のとおりの条件下で2.28kgの収量で調製する。最終的に、材料を、3D印刷デバイスにおける使用の前に、85℃で真空条件下、LOD<0.1%まで乾燥する。
【0090】
例4
「乾式圧縮」による、3D印刷プロセスにおける使用のための、顆粒形態の、APIと好適なサーマルバインダーとしてのPVAとの2成分分散体の調製
混合物の調製:
PVAポリマーと10%APIとの二成分混合物を、1.8kgのPVA4-88(Parteck MXP, Art No 141360、Merck KGaAドイツから)と、モデルAPIとしての0.2kgのカフェイン(Shandong Xinhua Pharmaceuticals Chinaから)とを、12Lドラム中でRoehnradmischer Elte 650(Engelsmann AG, Ludwigshafen, Deutschland)を使用して、5分間(36rpm)混合することによって調製する。最初の混合時間の後、PVAポリマーとカフェインとの混合物を710μmのふるいを使用して均一化し、その後さらに5分混合する。
【0091】
乾式圧縮のために、1.9kgのその結果得られる混合物を、メッシュサイズ2.24mmのふるいを備えたPowtec-Kompaktor RCC 100x20(Powtec Maschinen und Engineering GmbH, Remscheid, Deutschland)を使用して乾式圧縮する。PVA粉末の製品導入は30rpmで行う。圧縮のために、ラインおよび3rpmのランバ-速度が提供されたサンバー、1.5mmのランバ-スリットならびに50rpmのふるい分けミル速度を有する125バールの水圧を使用する。
先に記載したとおりの条件を使用して調製した、1.66kgのPVA4-88/カフェイン顆粒(>710μm)の収量で乾式圧縮された混合物が得られる。最終的に、材料を、3D印刷デバイスにおける使用の前に、85℃で真空条件下、LOD<0.1%まで乾燥する。
【0092】
例5
二軸スクリュー湿式造粒(TSG)による、3D印刷プロセスにおける使用のための好適なサーマルバインダーの調製
造粒:
1.6kgのPVA4-88(Parteck MXP, Cat. No 141360, Merck KGaA ドイツ)をステンレス鋼のボウルに量り取り、1mmのふるいを介して5Lのステンレス鋼のバレルにふるいにかけ、ドラムフープミキサーで10分間混合する。
造粒のために、TSG変換キット(ThermoFisher Scientific)で改変されたPharma11加熱溶融押出機を使用する。粉末混合物を重量分析フィーダー(Brabender Congrav OP1T)で添加し、およびDI水を蠕動ポンプ(Cole-Parmer Masterflex L / S)で添加する。各スクリューは、4 Long Helix Feed Screws 3/2 L/D、Feed Screws 1 L/D、7 mixing elements 60° offset、26 Feed Screws 1 L/D、1 Distributive Feed Screw(前から端)からなる。
【0093】
造粒前に、バレル温度を30℃に設定する。次いで、バレルに低速のスクリュー速度(10rpm)および~200mL/hの水の添加で水をあふれさせる。顆粒を調製するために、水の添加を30.1mL/hに減少させ、これは、0.086のL/S比に相当する。スクリュー速度を50rpmに増加させ、0.1kg/hの量で粉末の添加を開始する。次いで、所望のスクリュー速度500rpmに到達し、および粉末供給速度が0.35kg/h(0.05kg/hステップ)に増加するまで、スクリュー速度および粉末供給速度を段階的に(50-、次いで100rpmステップ)増加させる。
【0094】
この方法で処理された最初の材料は廃棄する。トルクが一定レベルに達したら(およそ5分後)、得られた顆粒をステンレス鋼のボウルに集める。所望の量の1kgの顆粒を得るために、造粒はほぼ3時間実行される。得られた顆粒を真空オーブンで50℃/0.1バールで24時間、LOD<0.1%までトレイ乾燥する。
3D印刷プロセス材料における使用の前に、含有される粗い粒子による3Dプリンターへの顆粒の投与のブロッキングを回避するために、生成物を5mmのふるいを介してさらにふるいにかける。
【0095】
例6
二軸スクリュー湿式造粒による、3D印刷プロセスにおける使用のための好適なサーマルバインダーとしてのAPIとPVAの二成分分散体の調製
a)混合物の調製:
1.6kgのPVA4-88(Parteck MXP, Cat. No 141360, Merck KGaA ドイツ)および0.4kgのジピリダモールPh.Eur(LGM Pharma)をステンレス鋼のボウルに量り取る。次いで、1mmのふるいを介して5Lのステンレス鋼のバレルにふるいにかけ、ドラムフープミキサーで10分間混合する。
【0096】
b)造粒:
造粒のために、TSG変換キット(ThermoFisher Scientific)で改変されたPharma11加熱溶融押出機を使用する。粉末混合物を重量分析フィーダー(Brabender Congrav OP1T)で添加し、DI水を蠕動ポンプ(Cole-Parmer Masterflex L / S)で添加する。各スクリューは、4 Long Helix Feed Screws 3/2 L/D、Feed Screws 1 L/D、7 mixing elements 60° offset、26 Feed Screws 1 L/D、1 Distributive Feed Screw(前から端)からなる。
造粒前に、バレル温度を30℃に設定する。次いで、バレルに低速のスクリュー速度(10rpm)および~200mL/hの水の添加で水をあふれさせる。顆粒を調製するために、水の添加を30.1mL/hに減少させ、これは、0.086のL/S比に相当する。スクリュー速度を50rpmに増加させ、0.1kg/hの量で粉末の添加を開始する。次いで、所望のスクリュー速度500rpm(50-、次いで100rpmステップ)、および粉末供給速度が0.35kg/h(0.05kg/hステップ)に到達するまで、スクリュー速度および粉末供給速度を段階的に増加させる。
【0097】
この方法で処理された最初の材料は廃棄する。トルクが一定レベルに達したら(およそ5分後)、得られた顆粒をステンレス鋼のボウルに集める。所望の量の1kgの顆粒を得るために、造粒はほぼ3時間実行される。得られた顆粒を真空オーブンで50℃/0.1バールで24時間、LOD<0.1%までトレイ乾燥する。
3D印刷プロセスにおける使用の前に、含有される粗い粒子による3Dプリンターへの顆粒の投薬のブロッキングを回避するために、材料を5mmのふるいを介してさらにふるいにかける。
【0098】
c)APIの添加有りおよび無しの複合材料として好適なサーマルバインダーを使用した3D印刷プロセス:
印刷のプロセスは、流動性複合材料が液化されて、排出ユニットに送達され、それによって液化された複合材料の小部分が排出ユニットの出口を介して、硬化ユニットに断続的に排出され、そこで小部分の硬化が起こり、それにより、徐々に固体投与形態を生成する。付加製造のこの製造方法は、3D印刷デバイスに供給されるフィラメントの面倒な事前作成を必要としない。
純粋なポリマーまたは例1~6で調製されたポリマーとAPI添加剤の混合物としての好適なサーマルバインダーを、ARBURG GmbH + Co KG, Lossburg, Germanyからの「Freeformer」を備えた付加製造プロセス(3D印刷)において、固体投与形態の印刷に使用する。
【0099】
例7
100%充填率の、好適なサーマルバインダーとしての純粋なPVAの錠剤の3D印刷
例1で調製され、1.27g/cmの材料密度を有する、顆粒形態の好適なサーマルバインダーは、印刷デバイスに供給する前に予備乾燥した。残留水分(目標<0.5%)は、120℃の温度でAquatracゲージで測定され、0.32%を有する。
前処理された、例1で調製された顆粒材料を使用する場合、実験シリーズ全体を通して、架橋または供給の問題は観察されない。
【0100】
印刷パラメータの評価と固体投与形態の印刷:
a)処理パラメータ&排出特性の決定:
例1で調製された顆粒材料は、十分に分離可能な液滴を形成し、ノズルから均一に落下する。220℃のノズル温度で、材料は半透明の液滴を示す。必要な落下高さ200μm+10~20%は、70%の排出で達成された。
b)印刷プロセスに使用される条件:
排出ユニット温度:200℃
ゾーン2温度:190℃
ゾーン1温度:180℃
印刷室温度:80℃
動圧:40バール
計量ストローク:6mm
減圧速度:2mm/s
減圧スペース:5mm
排出量:70%
【0101】
好適なアスペクト比を見つけるために、異なるスライサーボリューム(幅と層の厚さの比)でテスト印刷を調整する。例1で調製された材料を使用して、1.36のアスペクト比で最良の特性を達成することができる。
先に記載したとおりに条件を使用する場合および例1のバインダーを使用する場合、最適化された3D印刷プロセスを行って、図2に表現および図解されているとおりの固体投与形態を生成することができる。得られたポリビニルアルコールの充填率100%の固体投与形態を光学的方法で分析した(図22)。
【0102】
例8
100%充填率の、好適なサーマルバインダーとしてのPVAと活性医薬成分としての10%カフェインとの二成分分散体の錠剤の3D印刷
例4で調製された顆粒形態の好適なサーマルバインダー(PVA+10%カフェイン)を、印刷デバイスに供給する前に予備乾燥する。残留水分(目標<0.5%)は、120℃の温度でAquatracゲージで測定され、0.07%を有する。
前処理された、例4で調製された顆粒材料を使用する場合、実験シリーズ全体を通して、架橋または供給の問題は観察されない。
【0103】
-印刷パラメータの評価および固体投与形態の印刷:
処理パラメータ&排出特性の決定:
例4で調製された顆粒材料は、十分に分離可能な液滴を形成し、ノズルから均一に落下する。200℃のノズル温度で、材料は半透明の液滴を示す。必要な落下高さ200μm+10~20%は、65%の排出で達成された。
印刷プロセスに使用される条件:
排出ユニット温度:190℃
ゾーン2温度:180℃
ゾーン1温度:170℃
印刷室温度:80℃
動圧:80バール
計量ストローク:5mm
減圧速度:2mm/s
減圧スペース:5mm
排出量:65%
【0104】
好適なアスペクト比を見つけるために、異なるスライサーボリューム(幅と層の厚さの比)でテスト印刷を調整する。例4で調製された材料を使用して、1.34のアスペクト比で最良の特性を達成することができる。
先に記載したとおりに条件を使用することによって、例4の好適なバインダー(ポリビニルアルコール+10%カフェイン)で、最適化された3D印刷プロセスが行われ、図2に表現および図解されているとおりの固体投与形態が生成される。得られた充填率100%の、ポリビニルアルコール+APIとしての10%カフェインのバインダー混合物の固体投与形態を光学的方法で分析する(図23)。
【0105】
例9
50%充填率の、好適なサーマルバインダーとしてのPVAと活性医薬成分としての10%カフェインとの二成分分散体の錠剤の3D印刷:
例4で調製された、顆粒形態の好適なサーマル二成分バインダー(PVA+10%カフェイン)を、印刷デバイスに供給する前に予備乾燥する。残留水分(目標<0.5%)は、120℃の温度でAquatracゲージで測定され、0.07%を有する。
前処理された、例4で調製された顆粒材料を使用する場合、実験シリーズ全体を通して、架橋または供給の問題は観察されない。
【0106】
印刷パラメータの評価および固体投与形態の印刷:
-処理パラメータおよび排出特性の決定:
例4で調製された顆粒材料は、十分に分離可能な液滴を形成し、ノズルから均一に落下する。200℃のノズル温度で、材料は半透明の液滴を示す。必要な落下高さ200μm+10~20%は、65%の排出で達成される。
-印刷プロセスに使用される条件:
排出ユニット温度:190℃
ゾーン2温度:180℃
ゾーン1温度:170℃
印刷室温度:80℃
動圧:80バール
計量ストローク:5mm
減圧速度:2mm/s
減圧スペース:5mm
排出量:65%
【0107】
好適なアスペクト比を見つけるために、異なるスライサーボリューム(幅と層の厚さの比)でテスト印刷を調整する。例4で調製された材料を使用して、1.34のアスペクト比で最良の特性を達成することができる。
先に記載したとおりの条件を使用することによって、例4の好適なバインダー(ポリビニルアルコール+10%カフェイン)で、最適化された3D印刷プロセスが行われ、図3に表現および図解されているとおりの固体投与形態が生成される。得られた充填率50%の、ポリビニルアルコール+APIとしての10%カフェインのバインダー混合物の固体投与形態を光学的方法で分析する(図24)。
【0108】
例10
100%充填率の、好適なサーマルバインダーとしてのPVAと10%ジピリダモールとの二成分分散体の錠剤の3D印刷:
例2で調製された、顆粒形態の好適なサーマル二成分バインダー(PVA+10%ジピリダモール)を、印刷デバイスに供給する前に予備乾燥する。残留水分(目標<0.5%)は、120℃の温度でAquatracゲージで測定され、0.28%を有する。
前処理された、例2で調製された顆粒材料を使用する場合、実験シリーズ全体を通して、架橋または供給の問題は観察されない。
【0109】
印刷パラメータの評価および固体投与形態の印刷:
-処理パラメータおよび排出特性の決定:
例2で調製された顆粒材料は、十分に分離可能な液滴を形成し、ノズルから均一に落下する。200℃のノズル温度で、材料は半透明の液滴を示す。必要な落下高さ200μm+10~20%は、65%の排出で達成される。
-印刷プロセスに使用される条件:
排出ユニット温度:190℃
ゾーン2温度:170℃
ゾーン1温度:160℃
印刷室温度:80℃
動圧:80バール
計量ストローク:6mm
減圧速度:2mm/s
減圧スペース:5mm
排出量:65%
【0110】
好適なアスペクト比を見つけるために、異なるスライサーボリューム(幅と層の厚さの比)でテスト印刷を調整する。例2で調製された材料を使用して、1.31のアスペクト比で最良の特性を達成することができる。
先に記載した条件を使用することによって、例2の好適なバインダー(ポリビニルアルコール+10%ジピリダモール)で、最適化された3D印刷プロセスが行われ、図2に表現および図解されているとおりの固体投与形態が生成される。得られた充填率100%の、ポリビニルアルコール+APIとしての10%ジピリダモールのバインダー混合物の固体投与形態を光学的方法で分析する(図25)。
【0111】
例11
50%充填率の、好適なサーマルバインダーとしてのPVAと10%ジピリダモールとの二成分分散体の錠剤の3D印刷
例2で調製された、顆粒形態の好適なサーマル二成分バインダー(PVA+10%ジピリダモール)を、印刷デバイスに供給する前に予備乾燥する。残留水分(目標<0.5%)は、120℃の温度でAquatracゲージで測定され、0.28%を有する。
前処理された、例2で調製された顆粒材料を使用する場合、実験シリーズ全体を通して、架橋または供給の問題は観察されない。
【0112】
印刷パラメータの評価および固体投与形態の印刷:
-処理パラメータ&排出特性の決定:
例2で調製された顆粒材料は、十分に分離可能な液滴を形成し、ノズルから均一に落下する。200℃のノズル温度で、材料は半透明の液滴を示す。必要な落下高さ200μm+10~20%は、65%の排出で達成される。
-印刷プロセスに使用される条件:
排出ユニット温度:190℃
ゾーン2温度:170℃
ゾーン1温度:160℃
印刷室温度:80℃
動圧:80バール
計量ストローク:6mm
減圧速度:2mm/s
減圧スペース:5mm
排出量:65%
【0113】
好適なアスペクト比を見つけるために、異なるスライサーボリューム(幅と層の厚さの比)でテスト印刷を調整する。例2で調製された材料を使用して、1.31のアスペクト比で最良の特性を達成することができる。
先に記載されたとおりの条件を使用することによって、例2の好適なバインダー(ポリビニルアルコール+10%ジピリダモール)で、最適化された3D印刷プロセスが行われ、図3に表現および図解されているとおりの固体投与形態が生成される。得られた充填率50%のポリビニルアルコール+APIとしての10%ジピリダモールのバインダー混合物の固体投与形態を光学的方法で分析する(図26)。
【0114】
例12
30%充填率の、好適なサーマルバインダーとしてのPVAと10%ジピリダモールとの二成分分散体の錠剤の3D印刷
例2で調製された、顆粒形態の好適なサーマル二成分バインダー(PVA+10%ジピリダモール)を、印刷デバイスに供給する前に予備乾燥する。残留水分(目標<0.5%)は、120℃の温度でAquatracゲージで測定され、0.28%を有する。
前処理された、例2で調製された顆粒材料を使用する場合、実験シリーズ全体を通して、架橋または供給の問題は観察されない。
【0115】
-印刷パラメータの評価および固体投与形態の印刷:
処理パラメータ&排出特性の決定:
例2で調製された顆粒材料は、十分に分離可能な液滴を形成し、ノズルから均一に落下する。200℃のノズル温度で、材料は半透明の液滴を示す。必要な落下高さ200μm+10~20%は、65%の排出で達成される。
-印刷プロセスに使用される条件:
排出ユニット温度:190℃
ゾーン2温度:170℃
ゾーン1温度:160℃
印刷室温度:80℃
動圧:80バール
計量ストローク:6mm
減圧速度:2mm/s
減圧スペース:5mm
排出量:65%
【0116】
好適なアスペクト比を見つけるために、異なるスライサーボリューム(幅と層の厚さの比)でテスト印刷を調整する。例2で調製された材料を使用して、1.31のアスペクト比で最良の特性を達成することができる。
先に記載された条件を使用することによって、例2の好適なバインダー(ポリビニルアルコール+10%ジピリダモール)で、最適化された3D印刷プロセスが行われ、図4に表現および図解されているとおりの固体投与形態が生成される。得られた充填率30%のポリビニルアルコール+APIとしての10%ジピリダモールのバインダー混合物の固体投与形態を光学的方法で分析する(図27)。
【0117】
例13
純粋なPVAの外殻(充填率100%)および好適なサーマルバインダーとしてのPVAと活性医薬成分としてのジピリダモール(黄色/オレンジ色)との二成分分散体の内部コアを有する錠剤の3D印刷
図5および6に図解されているとおりの固体投与形態を調製するために、2つのノズルを備えた機器プリンターのセットアップを使用する。両方のノズルを使用して交互に印刷する前に、両方の好適なサーマルバインダーの印刷特性を評価する必要がある。
直径5mmおよび高さ2mmのAPI混合物のコアを含有する、総直径10mm、高さ4mmで計画された錠剤の寸法:
【0118】
第1のノズルの特性として、例1で調製された好適な適切なサーマルバインダーとしての純粋なPVAの印刷、例7で評価されたものと同じ結果が使用される:
第2のノズル材料を使用することによって印刷される、例6で調製された好適なサーマル2成分バインダー(PVA+20%ジピリダモール)は、印刷デバイスに供給する前に予備乾燥される。残留水分(目標<0.5%)は、120℃の温度でAquatracゲージで測定され、0.44%を有する。
前処理された、例1および6で調製された顆粒材料を使用する場合、実験シリーズ全体を通して、架橋または供給の問題は観察されない。
【0119】
-印刷パラメータ(第2のノズル)の評価および固体投与形態の印刷:
処理パラメータおよび排出特性の決定:
例6で調製された顆粒材料は、十分に分離可能な液滴を形成し、ノズルから均一に落下する。200℃のノズル温度で、材料は半透明の液滴を示す。必要な落下高さ200μm+10~20%は、60%の排出で達成される。
印刷プロセスに使用される条件:
排出ユニット温度:190℃
ゾーン2温度:180℃
ゾーン1温度:170℃
印刷室温度:80℃
動圧:80バール
計量ストローク:5mm
減圧速度:2mm/s
減圧スペース:5mm
排出量:60%
【0120】
好適なアスペクト比を見つけるために、異なるスライサーボリューム(幅と層の厚さの比)でテスト印刷を調整する。例6で調製された材料を使用して、1.32のアスペクト比で最良の特性を達成することができる。
先に記載されたとおりの条件を使用することによって、例1の好適なバインダー(純粋なポリビニルアルコール)で、固体投与形態の外側部分のための最適化された3D印刷プロセスが行われる。PVAと20%ジピリダモールとの混合物(例6)を含有するコアは、第2のノズルによって印刷される。セットアップを使用して、図5および6に表現および図解されているとおりの固体投与形態が印刷される。
【0121】
図5は、固体投与形態の一態様の概略斜視図を表す。図6は、図5の線VI-VIに沿った図5に示される固体投与形態の断面図を表す。
外側部分の純粋なPVAおよび好適なサーマルバインダーとしてのPVAと活性医薬成分としての20%のジピリダモール(黄色)との二成分分散体の内部コアを含有する、得られた100%の充填率の固体投与形態を光学的方法で分析する(図28)。
【0122】
例14
純粋なPVAの外殻(充填率50%)および好適なサーマルバインダーとしてのPVAと活性医薬成分としてのジピリダモール(黄色/オレンジ色)との二成分分散体の内部コアを有する錠剤の3D印刷
固体投与形態を調製するために、2つのノズルを備えた機器プリンターのセットアップを使用する。両方のノズルを使用して交互に印刷する前に、両方の好適なサーマルバインダーの印刷特性を評価する必要がある。
直径5mmおよび高さ2mmのAPI混合物のコアを含有する、総直径10mm、高さ4mmを有する錠剤寸法の錠剤を調製する。
【0123】
好適なサーマルバインダーとして例1で調製されたとおりの純粋なPVAの印刷のために、例7の評価に見られるのと同じパラメータを第1のノズルに設定する。
第2のノズルの特性として、例6で調製されたとおりの好適な二成分サーマルバインダーとして純粋なPVA+20%ジピリダモールを印刷するために、例13の評価で見られるのと同じパラメータを設定する。
【0124】
先に記載されたとおりの条件を使用することによって、例1の好適なバインダー(純粋なポリビニルアルコール)の50%充填率で、固体投与形態の外側部分のための最適化された3D印刷プロセスが行われる。PVAと20%ジピリダモールとの混合物(例6)を含有するコアは、第2のノズルによって印刷される。
外側部分の純粋なPVAおよび好適なサーマルバインダーとしてのPVAと活性医薬成分としての20%のジピリダモール(黄色)との二成分分散体の100%充填率の内部コアを含有する、得られた50%の充填率の固体投与形態を光学的方法で分析する(図29)。
【0125】
3D印刷プロセスで調製された錠剤の分析評価(溶解)。
活性成分としてのジピリダモールの放出を、Sotax Freisetzungsapparatur Sotax AT 7smart(Sotax AG、Loerrach、ドイツ)を使用して決定する。
放出決定を、リン酸緩衝液pH6.8(900ml)を溶解媒体として使用し、攪拌(パドル速度:50rpm)し、10mmキュベットを使用した298nmでのオンラインUV-分光法で吸光度を測定し、実施する。
各サンプルを、自動サンプラーで試験管に集める。
【0126】
有効成分の放出(Sotax)
デバイス:放出装置:Sotax AT 7smart(Sotax AG, Loerrach, Germany)、Photometer Agilent 8453 (Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)
槽の数:6
方法:パドル
媒体:リン酸緩衝液pH6.8
媒体の量:900mL
媒体の温度:37°C
回転:50rpm
持続時間:2時間
サンプリング時間:5、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105、120分
最終スピン:なし
キュベット層の厚さ:10mm
波長:289nm
【0127】
図30は、900mlのリン酸緩衝液pH6.8中の3D印刷されたジピリダモール含有錠剤の溶解測定によって達成された結果を表す。異なる充填率の3D印刷された錠剤を比較した放出研究(例10=100%錠剤充填率/例11=50%錠剤充填率/例12=30%錠剤充填率)は、活性成分(ジピリダモール)の放出の実質的な違いを示している。100%充填された錠剤の総API量を溶解および放出するために150分が測定される、一方50%充填された3D印刷された錠剤は、およそ60分後に溶解機器においてすでにそのAPI量の100%を放出する。予想どおり、30%充填された3D印刷された錠剤ははるかに速く溶解し、テスト時間のおよそ30分後にそのAPI量の100%放出を達成することができた。
【0128】
PP、pH6.8中の3D印刷錠(ジピリダモール)の標準化された放出リリース
0.1MHCl中の3D印刷された錠剤(カフェイン)放出
図31
3D印刷プロセスで調製された錠剤の分析評価(溶解)。
活性成分としてのカフェインの放出を、Sotax Freisetzungsapparatur Sotax AT 7smart(Sotax AG、Loerrach、ドイツ)を使用して決定する。
放出決定を、リン酸緩衝液pH6.8(900ml)を溶解媒体として50rpmで使用し、パドル速度および放出決定は、オンラインUV、298nm 10mmキュベットで実施する。
各サンプルを、自動サンプラーで試験管に集める。
【0129】
有効成分の放出(Sotax)
デバイス:放出装置:Sotax AT 7smart(Sotax AG, Loerrach, Germany)、Photometer Agilent 8453 (Agilent Technologies, Waldbronn, Germany)
槽の数:6
方法:パドル
媒体:0.1MHCl
媒体の量:900mL
媒体の温度:37°C
回転:100rpm
持続時間:6時間
サンプリング時間:5、10、15、20、25、30、45、60、75、90、105、120、150、180、240、300、360分
最終スピン:なし
キュベット層の厚さ:10mm
波長:272nm
【0130】
図31は、900mlの0.1nHCl中の3D印刷されたカフェイン含有錠剤の溶解測定によって達成された結果を表す。異なる充填率の3D印刷された錠剤を比較した放出研究(例8=100%錠剤充填率/例9=50%錠剤充填率)は、活性成分(カフェイン)の放出の実質的な違いを示している。充填された錠剤(100%)の総API量を溶解および放出することは、含むAPIの全放出のために360分を必要とする、一方50%充填された3D印刷された錠剤は、およそ30分後に溶解機器において、含むAPI量の100%をすでに放出する。およそ5分後の100%と比較すると、測定された時間は、テストされた純粋な結晶性カフェイン粒子を溶解するよりも、あまり速くはない。
図1
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図31