(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】半導体回路
(51)【国際特許分類】
H03K 3/356 20060101AFI20240611BHJP
G06K 19/07 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
H03K3/356 Z
G06K19/07 230
(21)【出願番号】P 2022083833
(22)【出願日】2022-05-23
(62)【分割の表示】P 2018099621の分割
【原出願日】2018-05-24
【審査請求日】2022-05-23
(73)【特許権者】
【識別番号】308033711
【氏名又は名称】ラピスセミコンダクタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】四辻 哲章
【審査官】竹内 亨
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-042038(JP,A)
【文献】特開2010-193432(JP,A)
【文献】特開2008-271526(JP,A)
【文献】特開2013-066052(JP,A)
【文献】特開平04-207310(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 3/00-3/86
G06K 19/07
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源電圧を供給する電源に対して互いに直列接続され且つ当該直列接続の接続部が第1のノードに接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタからなる第1トランジスタ対を含み、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタに共通に供給される入力信号に応じて前記第1のノードへの前記電源電圧の供給又は当該電源電圧の供給の遮断を行うフラグ設定部と、
前記第1のノードに一端が接続されるとともに他端が接地され、前記電源電圧により充電される第1の容量と、
前記第1のノードに接続され、前記第1の容量の充電電圧に基づいてフラグを判定するフラグ判定部と、
前記第1のノードに接続され、前記第1の容量の充電電圧に応じて前記フラグ判定部から出力された出力信号に基づき前記第1の容量を放電する放電部と、
を有し、
前記第1の容量は、前記フラグ判定部と前記放電部とを接続する第1のラインに一端が接続されるとともに他端が接地され、
前記フラグ判定部は、
前記フラグ判定部と前記放電部とを接続する第2のラインに前記第1のラインの電圧を反転させた反転電圧を出力し、
前記電源に一端が接続された第1の電流源と、
前記第1の電流源の他端と接地電位との間に直列接続された第3トランジスタ及び第4トランジスタからなる第2トランジスタ対と、
前
記第2のラインに入力端が接続され、前記第1の容量の充電電圧と第1の閾値及び第2の閾値との比較結果に基づいて、前記
出力信号を出力するシュミットインバータと、
を含み、
前記第3トランジスタは、第1導電型のMOSトランジスタから構成され、ソースが前記第1の電流源の他端に接続され、ゲートが前記第1のラインに接続され、ドレインが前記第2のラインに接続され、
前記第4トランジスタは、前記第1導電型とは反対導電型である第2導電型のMOSトランジスタから構成され、ソースが接地され、ゲートが前記第1のラインに接続され、ドレインが前記第2のラインに接続されている、
ことを特徴とする半導体回路。
【請求項2】
前記第1トランジスタは、前記第1導電型のMOSトランジスタから構成され、ソースが前記電源に接続され、ドレインが前記第2トランジスタに接続され、ゲートに前記入力信号が供給され、
前記第2トランジスタは、前記第2導電型のMOSトランジスタから構成され、ソースが接地され、ドレインが前記第1トランジスタに接続され、ゲートに前記入力信号が供給され、
前記第1のノードは、前記第1トランジスタのドレイン及び前記第2トランジスタのドレインの間の第2のノードに接続されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の半導体回路。
【請求項3】
前記フラグ設定部は、MOSトランジスタからなるリーク抑制スイッチを含み、
前記リーク抑制スイッチは、ソース又はドレインのいずれか一方が前記第1のラインに接続され、他方が前記入力信号に応じて前記電源又は接地電位に接続され、前記第1の容量の充電時にオンとなるように制御される、
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の半導体回路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、RFIDのタグにおいてフラグを保持するフラグ保持回路及びフラグ保持方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ID(IDentification)等の情報を埋め込んだタグから近距離の無線通信を用いて情報を取得するRFID(Radio Frequency Identification)の技術が注目されている。RFIDの無線通信システムは、ID等の情報を埋め込んだタグと、電波を用いてタグに対して非接触での情報の読み書きを行うリーダライタと、から構成されている。自らが電源を持たないパッシブ型のタグを用いたRFIDの無線通信システム(以下、パッシブ型RFIDと称する)は、タグと、電波を用いてタグに対して電源を供給するとともに非接触での情報の読み書きを行うリーダライタと、から構成されている。
【0003】
パッシブ型RFIDでは、“0”及び“1”の情報からなるフラグをタグにおいて一定期間保持するためのパーシステンスタイムが設けられている(例えば、特許文献1)。例えば、EPC(Electronic Product Code)のEPCTMglobal規格では、リーダライタからタグへの電源供給の有無にかかわらず、セッションS1において0.5秒~5秒の間フラグを保持することが規定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
パッシブ型RFIDのタグでは、フラグ保持回路に設けられた容量(キャパシタ)の充電電圧によりフラグを保持する。フラグ保持回路は、例えば容量に電荷を充電して“0”又は“1”のフラグを設定するフラグ設定部と、フラグの判定を行うフラグ判定部と、容量の放電を行う放電部と、から構成されている。容量の充電はフラグ設定部によるフラグの設定時に行われ、その後、放電部による容量の放電が行われる。放電部には、トランスコンダクタンス素子と、パワーオンリセット信号に応じてオン又はオフとなる制御スイッチが設けられており、制御スイッチの状態から決まる電圧をトランスコンダクタンス素子が変換した電流で容量の放電が行われる。
【0006】
セッションS1のフラグ保持期間は、電源供給の有無にかかわらず同じ数値で規定されており、タイマーとしての役割を求められている。しかし、パワーオンリセット信号の信号レベルは、リーダライタからの電源供給がある場合には 電源電圧(“H”)レベル、電源供給が無い場合にはグランド(“L”)レベルとなる。このため、電源供給がある場合には制御スイッチがオンとなり、安定した電圧からトランスコンダクタンス素子により変換される一定の電流で放電が行われるのに対し、電源供給がない場合には制御スイッチがオフとなり、制御スイッチの寄生ダイオードで発生するリーク電流により徐々に落ちていく電圧からトランスコンダクタンス素子により変換される電流で、容量の放電が行われる。従って、電源供給の有無に応じて放電部の動作が変わるため、保持期間の長さも電源供給の有無に応じて変わってしまうという問題があった。また、一定の保持期間を持たせ難いため、タイマーとしての精度が低いという問題があった。
【0007】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたものであり、電源供給の有無にかかわらず一定の期間フラグを保持することが可能な半導体回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る半導体回路は、電源電圧を供給する電源に対して互いに直列接続され且つ当該直列接続の接続部が第1のノードに接続された第1トランジスタ及び第2トランジスタからなる第1トランジスタ対を含み、前記第1トランジスタ及び前記第2トランジスタに共通に供給される入力信号に応じて前記第1のノードへの前記電源電圧の供給又は当該電源電圧の供給の遮断を行うフラグ設定部と、前記第1のノードに一端が接続されるとともに他端が接地され、前記電源電圧により充電される第1の容量と、前記第1のノードに接続され、前記第1の容量の充電電圧に基づいてフラグを判定するフラグ判定部と、前記第1のノードに接続され、前記第1の容量の充電電圧に応じて前記フラグ判定部から出力された出力信号に基づき前記第1の容量を放電する放電部と、を有し、前記第1の容量は、前記フラグ判定部と前記放電部とを接続する第1のラインに一端が接続されるとともに他端が接地され、前記フラグ判定部は、前記フラグ判定部と前記放電部とを接続する第2のラインに前記第1のラインの電圧を反転させた反転電圧を出力し、前記電源に一端が接続された第1の電流源と、前記第1の電流源の他端と接地電位との間に直列接続された第3トランジスタ及び第4トランジスタからなる第2トランジスタ対と、前記第2のラインに入力端が接続され、前記第1の容量の充電電圧と第1の閾値及び第2の閾値との比較結果に基づいて、前記出力信号を出力するシュミットインバータと、を含み、前記第3トランジスタは、第1導電型のMOSトランジスタから構成され、ソースが前記第1の電流源の他端に接続され、ゲートが前記第1のラインに接続され、ドレインが前記第2のラインに接続され、前記第4トランジスタは、前記第1導電型とは反対導電型である第2導電型のMOSトランジスタから構成され、ソースが接地され、ゲートが前記第1のラインに接続され、ドレインが前記第2のラインに接続されている、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る半導体回路によれば、電源供給の有無にかかわらず一定の期間フラグを保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】セッション毎のフラグの保持期間を模式的に示す図である。
【
図2】本実施例のフラグ保持回路の構成を示す回路図である。
【
図3】リーク抑制スイッチドライバの構成を示す回路図である。
【
図4】リーク抑制スイッチドライバの動作を示すタイムチャートである。
【
図5】フラグ保持回路の動作における入出力信号及び内部ノードの電位の時間変化を示すタイムチャートである。
【
図6】フラグ保持回路の構成を示す回路図に寄生ダイオードを加えた図である。
【
図7】比較例のフラグ保持回路の構成を示す回路図である。
【
図8A】比較例におけるトランスコンダクタンス素子の入力電圧の時間変化を模式的に示す図である。
【
図8B】比較例におけるトランスコンダクタンス素子の電流変化を模式的に示す図である。
【
図8C】比較例におけるフラグ電圧の時間変化を模式的に示す図である。
【
図9】フラグ保持回路の変形例の構成を示す回路図である。
【
図10】フラグ保持回路の変形例の構成を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の好適な実施例を詳細に説明する。なお、以下の説明及び添付図面においては、実質的に同一または等価な部分には同一の参照符号を付している。
【0012】
本実施例のフラグ保持回路100は、RFID(Radio Frequency Identification)のタグ回路に搭載されている。タグ回路は、近距離無線通信を介してリーダライタからの電源供給を受ける。従って、タグ回路がリーダライタから所定の範囲内に位置している場合にのみ電源供給が行われ、当該所定の範囲内から外れた場合には電源供給が停止する。以下の説明では、リーダライタからの電源供給が有る場合を単に「電源供給が有る」と称し、リーダライタからの電源供給が無い場合を単に「電源供給が無い」と称する。
【0013】
また、RFIDのタグ回路では、インベントリのためのフラグを設定し、これをEPC(Electronic Product Code)のEPCTMglobal規格に従って、所定期間に亘って保持する必要がある。フラグの保持期間は、S0、S1、S2、S3及びSLの各セッションについて定められている。
【0014】
図1は、セッションS1、S2、S3及びSLについてのセッション毎のフラグの保持期間を模式的に示す図である。なお、ここではセッションS0については図示を省略している。
【0015】
セッションS0では、電源供給が無い場合にはフラグを保持しなくてもよく、電源供給が有る場合は常にフラグを保持する必要がある。セッションS1では、フラグ“1”が設定されると、電源供給の有無にかかわらず0.5秒~5秒の所定期間に亘ってフラグ“1”を保持しなければならない。これに対し、セッションS2、S3及びSLでは、フラグ“1”が設定されると、電源供給が無くなった後、2秒超の所定期間に亘ってフラグ“1”を保持しなければならない。
【0016】
本実施例のフラグ保持回路100は、セッションS1におけるフラグを保持する回路である。
【0017】
図2は、本実施例のフラグ保持回路100の構成を示す回路図である。フラグ保持回路100は、容量CFを有し、ロジック回路(図示せず)から入力信号in、クロック信号clk及び制御信号w_enの供給を受けて容量CFの充放電を行い、“0”又は“1”のフラグとして出力する。また、上記の通り、フラグ保持回路100を搭載するタグ回路がリーダライタから所定の範囲内に位置している場合にのみ、フラグ保持回路100に電源供給が行われる。
【0018】
フラグ保持回路100は、容量CF、フラグ設定部10、放電部11及びフラグ判定部12を有する。容量CFは、一方の端子が放電部11とフラグ判定部12との間の第1の接続ラインであるノードNVFに接続され、他方の端子が接地されている。
【0019】
フラグ設定部10は、インバータFSI、トランジスタMSP、トランジスタMSN、リーク抑制スイッチMSL及びリーク抑制スイッチドライバSDを含む。
【0020】
インバータFSIは、ロジック回路(図示せず)から入力信号inの供給を受け、入力信号inの論理レベルを反転した信号(以下、反転入力信号と称する)をトランジス
タMSP及びMSNの各々のゲートに供給する。
【0021】
トランジスタMSPは、第1導電型のMOSトランジスタであるPチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMSPのソースは電源(電源電圧VDD)に接続されている。トランジスタMSNは、第1導電型とは反対導電型の第2導電型のMOSトランジスタであるNチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMSNのソースは接地されている。トランジスタMSP及びMSNのドレインは互いに接続されるとともに、ノードNFSに接続されている。トランジスタMSP及びMSNは、ゲートに供給された反転入力信号に応じてオン又はオフに制御される。
【0022】
リーク抑制スイッチMSLは、例えばNチャネル型MOSトランジスタから構成されている。リーク抑制スイッチMSLのドレインは、ノードNFSを介してトランジスタMSP及びMSNのドレインに接続されている。リーク抑制スイッチMSLのソースはノードNVFに接続されている。リーク抑制スイッチMSLのバックゲートは接地されている。リーク抑制スイッチMSLをオンさせるには、ドレインソース間の電圧の最大値である電源電圧VDDよりも大きい電圧をゲートに供給する必要がある。
【0023】
リーク抑制スイッチドライバSDは、リーク抑制スイッチMSLのゲートを制御する制御回路である。リーク抑制スイッチドライバSDは、ロジック回路(図示せず)からクロック信号clk及び制御信号w_enの供給を受け、リーク制御信号NCSを生成してリーク抑制スイッチMSLのゲートに供給する。
【0024】
図3は、リーク抑制スイッチドライバSDの構成を示す回路図である。リーク抑制スイッチドライバSDは、例えばトランジスタMSD1、トランジスタMSD2、容量CSD1、容量CSD2、NANDゲートND1、インバータSDI1、インバータSDI2及びインバータSDI3から構成されている。
【0025】
トランジスタMSD1及びMSD2は、例えばNチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMSD1及びMSD2のソースは電源(電源電圧VDD)に接続されている。トランジスタMSD1のゲートは、ノードNBSTに接続されている。トランジスタMSD2のドレインは、ノードNBSTに接続されている。
【0026】
容量CSD1の一端は、トランジスタMSD1のドレイン及びトランジスタMSD2のゲートに接続されている。容量CSD1の他端は、NANDゲートND1の出力及びインバータSDI1の入力に接続されている。
【0027】
容量CSD2の一端は、ノードNBSTを介して、トランジスタMSD1のゲート及びトランジスタMSD2のドレインに接続されている。容量CSD2の他端は、インバータSDI1の出力に接続されている。
【0028】
NANDゲートND1は、クロック信号clk及び制御信号w_enの入力を受け、クロック信号clkと制御信号w_enとの否定論理積の信号を出力する。
【0029】
インバータSDI1は、入力端がNANDゲートND1の出力端及び容量CSD1の他
端に接続されている。インバータSDI1は、入力端に供給された信号を反転して容量CSD2に供給する。
【0030】
インバータSDI2は、制御信号w_enの入力を受け、制御信号w_enの論理レベルを反転した信号を出力する。
【0031】
インバータSDI3は、インバータSDI2の出力信号(すなわち、制御信号w_enの論理レベルを反転した信号)の入力を受け、論理レベルを反転した信号をリーク制御信号NCSとして出力する。インバータSDI3の正の電源端子はノードNBSTに接続され、負の電源端子は接地されている。従って、リーク制御信号NCSは、ノードNBSTの電位に応じた信号レベルを有する信号となる。
【0032】
図4は、リーク抑制スイッチドライバSDの動作を示すタイムチャートである。電源供給が有る場合、NANDゲートND1にはクロック信号clkが供給される。制御信号w_enは、信号レベルが論理レベル“0”及び“1”に変化する信号であり、リーク抑制スイッチドライバSDによるリーク抑制スイッチMSLの制御のトリガとなる信号である。
【0033】
制御信号w_enが論理レベル“0”(すなわち、オフ)の期間では、容量CSD1及び容量CSD2に電源電圧VDDが充電される。従って、ノードNBSTの電位は電源電圧VDDレベルとなる。インバータSDI3から出力されるリーク制御信号NCSは、制御信号w_enと同様に論理レベル“0”であり、接地電位の信号レベルとなる。
【0034】
制御信号w_enが論理レベル“1”(すなわち、オン)になると、ノードNBSTの電位は、電源電圧VDDレベルの電位に、クロック信号clkに同期して電源電圧VDDレベルに変化する信号が加算された電位となる。すなわち、ノードNBSTの電位レベルは、クロック信号clkに同期したタイミングでVDDと2×VDDとに変化する。
【0035】
インバータSDI3から出力されるリーク制御信号NCSは、信号レベルがクロック信号clkに同期してVDD及び2×VDDに変化する信号となる。従って、制御信号w_enがオンの間、信号レベルが最大で2×VDDとなるリーク制御信号NCSがリーク抑制スイッチMSLのゲートに供給される。
【0036】
このように、フラグ設定部10は、電源(電源電圧VDD)と第1のノードであるノードNVFとに接続され、入力信号inに基づいてノードNVFへの電源電圧VDDの供給又は電源供給の遮断を行う。
【0037】
再び
図2を参照すると、放電部11は、電流源ID、トランジスタMD1、容量CD、トランジスタMDS及びトランジスタMD2を含む。
【0038】
電流源IDの一端は、電源に接続されている。トランジスタMD1は、Nチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMD1のゲート及びドレインは、電流源IDの他端に接続されている。トランジスタMD1のソース及びバックゲートは、接地されている。トランジスタMD1は、電流源IDが流す電流を直流電圧に変換する。容量CDは、一端がノードNVDに接続され、他端が接地されている。
【0039】
トランジスタMD2は、ノードNVFを介して容量CFを放電するトランスコンダクタンス素子である。トランジスタMD2は、例えばNチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMD2のソース(第1出力端)及びバックゲートは接地されている。トランジスタMD2のドレイン(第2出力端)は、ノードNVFに接続されてい
る。トランジスタMD2のゲート(制御入力端)は、ノードNVDに接続されている。
【0040】
トランジスタMDSは、トランジスタMD2の入力電圧を制御する制御スイッチである。トランジスタMDSは、例えばNチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMDSのソース(第1端)は、ノードNVDに接続されている。トランジスタMDSのドレイン(第2端)は、電流源IDの他端、トランジスタMD1のゲート及びドレインに接続されている。すなわち、トランジスタMDSのドレインは、電流源IDの電流がトランジスタMD1により変換された直流電圧のノードに接続されている。トランジスタMDSのゲート(制御端)は、放電部11とフラグ判定部12との間の第2の接続ラインであるノードNCDに接続されている。トランジスタMDSのバックゲートは接地されている。
【0041】
フラグ判定部12は、容量CFの充電電圧に基づいてフラグを判定する判定部である。フラグ判定部12は、電流源IJ、トランジスタMJP、トランジスタMJN及びシュミットインバータSIを含む。
【0042】
トランジスタMJPは、Pチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMJPのゲートはノードNVFに接続されている。トランジスタMJNは、Nチャネル型MOSトランジスタから構成されている。トランジスタMJNのソースは接地されている。トランジスタMJNのゲートはノードNVFに接続されている。トランジスタMJPのドレイン及びMJNのドレインは、互いに接続されている。
【0043】
電流源IJは、一端が電源に接続され、他端がトランジスタMJPのソースに接続されている。すなわち、トランジスタMJP及びMJNは、電流源IJの他端と接地電位との間に直列接続されたトランジスタ対を構成している。電流源IJは、トランジスタMJPに大電流が流れないように電流値を制限する役割を果たす。
【0044】
トランジスタMJPのドレイン及びMJNのドレインは、シュミットインバータSIの入力端に接続されている。トランジスタMJP及びMJNのドレインとシュミットインバータSIの入力端との間の接続点と放電部11のトランジスタMDSのゲートとの間には、フィードバックライン(ノードNCD)が設けられている。
【0045】
フラグ判定部12の前段部分を構成するトランジスタMJP及びMJNは、ノードNVFの電位(すなわち、容量CFの充電電圧)に応じて動作が定まる。例えば、ノードNVFの電位が電源電圧VDD付近のとき、トランジスタMJPはオフ、トランジスタMJNはオンのため、ノードNCDはLレベル(グランド)となる。また、ノードNVFがグランド付近のとき、トランジスタMJPはオン、トランジスタMJNはオフのため、ノードNCDは電流源IJによりHレベル(電源電圧VDD)まで上昇している。
【0046】
すなわち、ノードNVFが電源電圧VDD付近の場合、トランジスタMJPはオフ、トランジスタMJNはオン、ノードNCDはLレベルとなる。ノードNVFがグランド付近の場合、トランジスタMJPはオン、トランジスタMJNはオフ、ノードNCDはHレベルとなる。
【0047】
ノードNVFが電源電圧VDD付近から徐々に低下していくと、トランジスタMJPはオフの状態からオンの状態に向かうにつれてソースドレイン間の抵抗が低くなり、トランジスタMJNはオンの状態からオフの状態に向かうにつれてドレインソース間の抵抗が高くなる。ここで、トランジスタMJNがグランドに流す電流よりも電流源IJがトランジスタMJP経由で流す電流の方が大きくなると、ノードNCDはLレベルからHレベルへと変化する。
【0048】
なお、トランジスタMJPに流れる電流は、電流源IJにより制限されている。従って、ノードNVFの電位が電源電圧VDDとグランドとの中間電圧になっても、トランジスタMJP及びトランジスタMJNに大きな貫通電流は流れない。
【0049】
シュミットインバータSIは、フラグ判定部12の後段部分を構成している。シュミットインバータSIは、ノードNCDの電圧レベルに応じて、Lレベル又はHレベルの出力信号OUTを出力する。
【0050】
シュミットインバータSIは、入出力がヒステリシス特性を有するシュミットトリガインバータである。シュミットインバータSIは、出力電圧がL(ロー)レベルからH(ハイ)レベルに変化する際の入力閾値電圧Vth_LHと、出力電圧がHレベルからLレベルに変化する際の入力閾値電圧Vth_HLと、を有する(Vth_HL>Vth_LH)。このため、ノードNCDが電源電圧VDD及びグランドの中間電圧である場合にも出力論理が決まり、貫通電流が流れたままの状態を回避することができる。
【0051】
出力信号OUTがHレベルからLレベルへと変化するノードNVFの電圧が、フラグ判定の閾値電圧Vth_FLとなる。従って、電源供給が有り、ノードNVFの電圧が閾値電圧Vth_FL以上の場合、ノードNCDはLレベル、出力信号OUTはHレベルとなる。また、電源供給が有り、ノードNVFの電圧が閾値電圧Vth_FL未満の場合、ノードNCDはHレベル、出力信号OUTはLレベルとなる。一方、電源供給が無い場合、ノードNVFの電圧と閾値電圧Vth_FLとの大小にかかわらず、ノードNCDはLレベル、出力信号OUTはLレベルとなる。
【0052】
次に、本実施例のフラグ保持回路100の動作について、
図5のタイムチャートを参照して説明する。なお、
図5では、フラグ“1”を書き込むまでの期間を「~10μsec」のオーダー、フラグ“1”を保持する期間を「~1sec」のオーダーで示している。
【0053】
まず、フラグ保持回路100は、電源供給が有る状態において、フラグ“0”の書き込みを行う。フラグ設定部10には、“0”を表すLレベルの入力信号inが供給される。トランジスタMSP及びMSNのゲートには入力信号inの論理レベルを反転したHレベルの信号が供給され、トランジスタMSPはオフ、トランジスタMSNはオンとなる。これにより、ノードNFSはグランド付近の電位となる。
【0054】
リーク抑制スイッチドライバSDには、クロック信号clk、Hレベルの制御信号w_enが供給される。リーク抑制スイッチドライバSDは、これに応じてリーク抑制スイッチMSLをオンに制御する。リーク抑制スイッチMSLがオンになると、容量CFが放電され、ノードNVFの電位はグランド付近となる。
【0055】
ノードNVFの電位がグランド付近のためノードNCDの電位がHレベル(電源電圧VDDレベル)となる。フラグ判定部12は、これを反転したLレベル(グランドレベル)の出力信号OUTを出力する。
【0056】
放電部11では、ノードNCDの電位がHレベル(電源電圧VDDレベル)であるためトランジスタMDSがオンとなる。ノードNVDの電位は、電流源IDからの電流によって定まるトランジスタMD1のゲート電圧Vg_MD1と等しくなる。
【0057】
次に、フラグ保持回路100は、電源供給が有る状態において、フラグ“1”の書き込みを行う。フラグ設定部10には、“1”を表すHレベルの入力信号inが供給される。トランジスタMSP及びMSNのゲートには入力信号inの論理レベルを反転したLレベ
ルの信号が供給され、トランジスタMSPはオン、トランジスタMSNはオフとなる。これにより、ノードNFSは電源電圧VDD付近の電位となる。
【0058】
リーク抑制スイッチドライバSDには、クロック信号clk、Hレベルの制御信号w_enが供給される。リーク抑制スイッチドライバSDは、これに応じてリーク抑制スイッチMSLをオンに制御する。リーク抑制スイッチMSLがオンになると、容量CFが充電され、ノードNVFの電位は電源電圧VDD付近となる。
【0059】
ノードNVFの電位が電源電圧VDD付近であるためノードNCDの電位がLレベル(グランドレベル)となる。フラグ判定部12は、これを反転したHレベル(電源電圧VDDレベル)の出力信号OUTを出力する。
【0060】
放電部11では、ノードNCDの電位がLレベル(グランドレベル)であるためトランジスタMDSがオフとなる。容量CDには、電流源IDからの電流によって定まるトランジスタMD1のゲート電圧Vg_MD1が充電されている。このため、ノードNVDの電位は、フラグ“0”の書き込み時と同様、Vg_MD1となる。
【0061】
次に、フラグ保持回路100は、フラグ“1”の保持動作を行う。この動作は、電源供給が有る場合と無い場合とで同様の動作となる。
【0062】
フラグ“1”が設定された後、容量CFには電源電圧VDD付近の電圧が充電されているため、ノードNVFの電位は電源電圧VDD付近となっている。このとき、トランジスタMJPがオフ、トランジスタMJNがオンとなるため、ノードNCDの電位はLレベル(グランドレベル)となる。ノードNCDの電位がグランドレベルであるため、トランジスタMDSはオフの状態となる。ノードNVDには、電流源IDからの電流によって定まるトランジスタMD1のゲート電圧Vg_MD1が充電されているが、トランジスタMDSの寄生ダイオードで発生する逆方向リーク電流により、徐々に放電されていく。
【0063】
図6は、トランジスタMDSの寄生ダイオードPD1を模式的に示す図である。寄生ダイオードPD1は、容量CDに対して並列となるようにノードNVDとグランドとの間に生じている。この寄生ダイオードPD1において発生する逆方向のリーク電流により、容量CDが徐々に放電され、ノードNVDの電位が徐々に低下する。
【0064】
トランジスタMD2は、ゲートに接続されるノードNVDの電位をドレイン電流に変換する。変換されるドレイン電流の電流値は、ノードNVDの電位の低下に伴い、徐々に小さくなる。トランジスタMD2のドレイン電流は、リーク抑制スイッチMSL及びトランジスタMD2の寄生ダイオードで発生する逆方向リーク電流と共に、容量CFを徐々に放電していく。
【0065】
リーク抑制スイッチMSL及びトランジスタMD2の寄生ダイオードPD2は、
図6に示すように、容量CFに対して並列となるようにノードNVFとグランドとの間に生じている。この寄生ダイオードPD2において発生する逆方向のリーク電流、及びトランジスタMD2のドレイン電流によって、容量CFは徐々に放電され、ノードNVFの電位が徐々に低下する。
【0066】
ノードNVFの電位がフラグ判定の閾値電圧Vth_FLを下回るまで、フラグ“1”は保持される。フラグ“1”の設定動作の終了時点から、ノードNVFの電位がフラグ判定の閾値電圧Vth_FLを下回る時点までの期間が、フラグ“1”の保持期間となる。
【0067】
フラグ“1”の保持期間は、フラグ保持回路100の3つの内部ノードであるノードN
VF、ノードNCD及びノードNVDの電位の変化によって定まる。すなわち、フラグ“1”の保持動作は、3つのノードNVF、NCD及びNVDで完結している。
【0068】
フラグ“1”の保持期間において、ノードNVFには、容量CFの一端、オフの状態のリーク抑制スイッチMSLのソース、トランジスタMD2のドレイン、トランジスタMJPのゲート、及びトランジスタMJNのゲートが接続されている。そして、当該期間において、ノードNVFの電位は、徐々に低下する。
【0069】
また、フラグ“1”の保持期間において、ノードNCDには、オフの状態のトランジスタMJPのドレイン、オン状態のトランジスタMJNのドレイン、及びトランジスタMDSのゲートが接続されている。そして、当該期間において、ノードNCDの電位は、Lレベル(グランドレベル)となる。
【0070】
また、フラグ“1”の保持期間において、ノードNVDには、容量CDの一端、オフ状態のトランジスタMDSのソース、及びトランジスタMD2のゲートが接続されている。そして、当該期間において、ノードNVDの電位は、徐々に低下する。
【0071】
このように、各ノードの状態変化(電位レベルの変化)には、容量CD、容量CF、トランジスタMJP(オフの状態)、トランジスタMJN(オンの状態)、トランジスタMDS(オフの状態)、リーク抑制スイッチMSL(オフの状態)及びトランジスタMD2が関わる。これらの素子は、電源に直接接続される素子ではなく、状態及び動作(例えば、容量CDの充電電圧により決まるトランジスタMD2のドレイン電流や、容量CFの充電電圧)は電源供給の有無にかかわらず同様となる。
【0072】
図7は、本実施例のフラグ保持回路100とは異なる比較例のフラグ保持回路200の構成を示す回路図である。
【0073】
フラグ保持回路200のフラグ設定部20は、フラグ“1”の設定時にHレベルとなる入力信号ctrlの供給を受ける。リーク抑制スイッチMSWのゲートには、電源電圧VDDを動作電圧とするインバータINV1及びINV2を介して、入力信号ctrlの信号レベルを電源電圧VDDレベルにした信号が印加される。その際、リーク抑制スイッチMSWのドレインには、電源電圧VDDよりも小さい基準電圧VREFを動作電圧とするインバータINV3を介して、入力信号ctrlの信号レベルを基準電圧VREFレベルにした信号が供給される。リーク抑制スイッチMSWがオンとなることにより、容量CFは基準電圧VREFのレベルまで充電される。
【0074】
フラグ判定部22は、容量CFの充電電圧を反映したノードNVFの電位を所定の閾値電圧と比較することにより、フラグが“0”か“1”かの判定を行う。
【0075】
放電部21は、電流源ID、トランジスタMD1、トランジスタMD2、容量CD及びトランジスタMDSを有する。電流源IDの一端は、電源に接続されている。トランジスタMD1は、Nチャネル型MOSトランジスタから構成され、ゲート及びドレインは電流源IDの他端に接続され、ソース及びバックゲートは接地されている。
【0076】
トランジスタMD2はNチャネル型MOSトランジスタから構成され、ドレインがノードNVFに接続され、ゲートがノードNVDに接続され、ソース及びバックゲートが接地されている。容量CDは、一端がノードNVDに接続され、他端が接地されている。トランジスタMDSは、Nチャネル型MOSトランジスタから構成され、ソースがノードNVD、ドレイン又がMD1のゲート及びドレインと電流源IDの他端に接続されている。
【0077】
トランジスタMDSのゲートには、パワーオンリセット部PORからパワーオンリセット信号PRが供給される。リーダライタからタグ回路への電源供給が有る場合には、パワーオンリセット部PORは、電源電圧VDDレベルの信号をパワーオンリセット信号PRとしてトランジスタMDSのゲートに印加する。リーダライタからタグ回路への電源供給が無い場合には、パワーオンリセット部PORは、グランドレベルの信号をパワーオンリセット信号PRとしてトランジスタMDSのゲートに印加する。従って、電源供給が有る場合にはトランジスタMDSはオンとなり、電源供給が無い場合にはトランジスタMDSはオフとなる。
【0078】
図8Aは、トランジスタMDSがオンの場合(すなわち、電源供給が有る場合)と、トランジスタMDSがオフの場合(すなわち、電源供給が無い場合)とにおけるトランジスタMD2のゲート電圧(すなわち、容量CDの充電電圧)の変化を示す図である。
【0079】
トランジスタMDSがオンの場合、トランジスタMD2のゲートは、トランジスタMD1及び電流源IDを介して電源に接続される。従って、トランジスタMD2のゲート電圧は一定となる。一方、トランジスタMDSがオフの場合、トランジスタMD2のゲートは電源から切り離される。容量CDは、トランジスタMDSの寄生ダイオードPD1で発生する逆方向リーク電流により、徐々に放電される。
【0080】
図8Bは、トランジスタMDSがオンの場合(すなわち、電源供給が有る場合)と、トランジスタMDSがオフの場合(すなわち、電源供給が無い場合)とにおけるトランジスタMD2のドレイン電流(すなわち、トランジスタMD2による放電電流)の変化を示す図である。
【0081】
トランジスタMDSがオンの場合、容量CFの充電電圧が0に近づくまでの間、放電電流はほぼ一定となる。容量CFの充電電圧が0に近づくと、放電電流は一気に0に落ちる。一方、トランジスタMDSがオフの場合、容量CDの放電によるトランジスタMD2のゲート電圧の減少に伴い、放電電流は徐々に減少する。
【0082】
図8Cは、トランジスタMDSがオンの場合(すなわち、電源供給が有る場合)と、トランジスタMDSがオフの場合(すなわち、電源供給が無い場合)とにおける容量CFの充電電圧の変化(すなわち、フラグ電圧の変化)を示す図である。
【0083】
容量CFは、トランジスタMD2のドレイン電流と、リーク抑制スイッチMSW及びトランジスタMD2の寄生ダイオードで発生する逆リーク電流と、により放電される。トランジスタMDSがオンの場合、トランジスタMD2のドレイン電流(放電電流)がほぼ一定であるため、容量CFの充電電圧の減少率はほぼ一定となる。一方、トランジスタMDSがオフの場合、トランジスタMD2のドレイン電流(放電電流)が徐々に減少するのに応じて、容量CFの充電電圧の減少率が変化する。
【0084】
従って、容量CFの充電電圧がフラグ判定の閾値電圧Vth_flagを下回るタイミングは、トランジスタMDSがオンの場合とオフの場合とで異なり、オンの場合のタイミング(
図8Cにtp_onとして示す)の方がオフの場合のタイミング(
図8Cにtp_offとして示す)よりも早い。すなわち、トランジスタMDSがオンの場合の方が、オフの場合よりもフラグ“1”の保持期間が短い。従って、電源供給がある場合と無い場合とで、フラグの保持期間に差異が生じることになる。
【0085】
これに対し、
図2に示すように、本実施例のフラグ保持回路100は、フラグ判定部12の内部ノードであるノードNCDを放電部11のトランジスタMDSのゲートに接続(すなわち、フィードバック)させることにより、容量CFの充電電圧によって、トランジ
スタMDSのドレイン電流(放電電流)を制御している。すなわち、放電部11は、容量CFの充電電圧に応じてフラグ判定部12から出力された信号に基づき容量CFの放電を行う。
【0086】
このため、フラグ判定部12によって“1”と判定されるような高い充電電圧が容量CFに充電されているときでも、トランジスタMJP(オフの状態)、トランジスタMJN(オンの状態)、トランジスタMDS(オフの状態)及びリーク抑制スイッチMSL(オフの状態)、トランジスタMD2、及び容量CDの充電電圧(すなわち、ノードNVD)だけで動作が完結している。これらの素子は、いずれも直接電源に接続されていないため、フラグ保持回路100の動作は、電源供給の有無にかかわらず同様の動作となる。
【0087】
従って、本実施例のフラグ保持回路100によれば、フラグの保持期間を決める放電部11の動作(放電電流)が電源供給の有無にかかわらず同じであるため、電源供給の有無にかかわらずフラグ保持期間を一定にすることができる。
【0088】
なお、本発明は上記実施形態に限定されない。例えば、上記実施例では、ノードNCDが電源電圧VDD及びグランドの中間電圧である場合に貫通電流が流れたままの状態となることを回避するため、フラグ判定部12の後段部分にシュミットインバータSIを用いる構成について説明した。しかし、フラグ判定部12の後段部分の構成はこれに限られない。
【0089】
図9は、フラグ判定部12の後段部分にNANDゲートND2を用いた場合の回路構成を示す図である。NANDゲートND2の入力端の一方はノードNCDに接続されている。NANDゲートND2の入力端の他方には、出力制御信号r_enが供給される。
【0090】
出力制御信号r_enは、Hレベル(電源電圧VDDレベル)及びLレベル(グランドレベル)に変化する信号である。出力制御信号r_enがHレベルの場合、NANDゲートND2は、ノードNCDの電位を論理反転した信号を出力信号OUTとして出力する。これにより、ノードNVFの電圧(容量CFの充電電圧)が判定される。
【0091】
一方、出力制御信号r_enがLレベルの場合、NANDゲートND2は、ノードNCDの電位にかかわらず、Hレベル(電源電圧レベル)の信号を出力信号OUTとして出力する。すなわち、フラグ判定部12は判定動作を行わず、出力論理が固定される。
【0092】
かかる構成によれば、ノードNCDが中間電圧のときはLレベルの出力制御信号r_enを供給することにより出力論理を固定し、判定動作を行う場合にのみHレベルの出力制御信号r_enを供給して出力論理の固定を解除することができる。
【0093】
図10は、フラグ判定部12の後段部分にNORゲートNRを用いた場合の回路構成を示す図である。NORゲートNRの入力端の一方はノードNCDに接続されている。NORゲートNRの入力端の他方には、出力制御信号r_enbが供給される。
【0094】
出力制御信号r_enbは、Hレベル(電源電圧VDDレベル)及びLレベル(グランドレベル)に変化する信号である。出力制御信号r_enbがLレベルの場合、NORゲートNRは、ノードNCDの電位を論理反転した信号を出力信号OUTとして出力する。これにより、ノードNVFの電圧(容量CFの充電電圧)が判定される。
【0095】
一方、出力制御信号r_enbがHレベルの場合、NORゲートNRは、ノードNCDの電位にかかわらず、Lレベル(グランドレベル)の信号を出力信号OUTとして出力する。すなわち、フラグ判定部12は判定動作を行わず、出力論理が固定される。
【0096】
かかる構成によれば、ノードNCDが中間電圧のときはHレベルの出力制御信号r_enbを供給することにより出力論理を固定し、判定動作を行う場合にのみLレベルの出力制御信号r_enbを供給して出力論理の固定を解除することができる。
【0097】
NANDゲートND2を用いる構成(
図9)及びNORゲートNRを用いる構成(
図10)のいずれによっても、フラグ判定時以外には出力論理を固定することにより、上記実施例のようにシュミットインバータSIを用いた場合と同様、貫通電流を回避し、出力を2値化することができる。また、これらの構成は、出力側で論理レベルのトグルを伝搬させたくない場合(すなわち、余計なトグルによる貫通電流を発生させたくない場合)には特に有用となる。
【0098】
また、上記実施例では、Nチャネル型MOSトランジスタからなるリーク抑制スイッチMSLのソースがノードNVFに接続され、ドレインがNFSに接続されている場合について説明した。しかし、リーク抑制スイッチMSLのソース及びドレインは、いずれか一方がノードNFSに接続され、他方がノードNVFに接続されていればよい。
【0099】
また、上記実施例では、トランジスタMDSのドレインが電流源IDの他端に接続され、ソースがノードNVDに接続されている場合について説明した。しかし、トランジスタMDSのソース及びドレインは、いずれか一方が電流源IDに接続され、他方がノードNVDに接続されていればよい。
【符号の説明】
【0100】
100,200 フラグ保持回路
10,20 フラグ設定部
11,21 放電部
12,22 フラグ判定部
FSI インバータ
SD リーク抑制スイッチドライバ
MSL リーク抑制スイッチ
SI シュミットインバータ
ND1、ND2 NANDゲート
NR NORゲート
INV1,INV2,INV3 インバータ
SDI1,SDI2,SDI3 インバータ