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特許7502414化学機械研磨のための二重膜キャリアヘッド
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-10
(45)【発行日】2024-06-18
(54)【発明の名称】化学機械研磨のための二重膜キャリアヘッド
(51)【国際特許分類】
   B24B 37/30 20120101AFI20240611BHJP
   B24B 37/10 20120101ALI20240611BHJP
   B24B 37/005 20120101ALI20240611BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240611BHJP
【FI】
B24B37/30 E
B24B37/10
B24B37/005 A
H01L21/304 621D
H01L21/304 622K
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022510788
(86)(22)【出願日】2020-08-20
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-11-04
(86)【国際出願番号】 US2020047256
(87)【国際公開番号】W WO2021035080
(87)【国際公開日】2021-02-25
【審査請求日】2023-03-07
(31)【優先権主張番号】62/890,570
(32)【優先日】2019-08-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/711,369
(32)【優先日】2019-12-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ズニガ, スティーブン エム.
(72)【発明者】
【氏名】グルサミー, ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】ナーゲンガスト, アンドリュー ジェー.
【審査官】須中 栄治
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2002/0039879(US,A1)
【文献】特表2005-520357(JP,A)
【文献】特開2001-079754(JP,A)
【文献】特表2015-536575(JP,A)
【文献】特開2001-060572(JP,A)
【文献】特開2008-131049(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B37/00-37/34
H01L21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学機械研磨のためのキャリアヘッドであって、
ベースアセンブリと、
前記ベースアセンブリに接続された膜アセンブリと
を備え、前記膜アセンブリは、
膜支持体と、
前記膜支持体に固定された内部膜であって、前記内部膜が前記内部膜の上部表面と前記膜支持体の間に複数の個別に加圧することができる部チャンバを形成し、前記複数の個別に加圧することができる部チャンバのチャンバが前記内部膜の床部分および2つの側壁部分によって提供され、隣接するチャンバに対する側壁部分が間隙によって分離されている、内部膜と、
前記膜支持体に固定され、前記内部膜の下方に延在する外部膜であって、前記外部膜が内部表面および外部表面を有し、前記外部膜が前記外部膜の前記内部表面と前記内部膜の下部表面の間に下部加圧可能チャンバを画定し、前記内部表面が、前記複数のチャンバのうちの1つまたは複数が加圧されると、前記内部膜の前記下部表面と接触するように配置されており、前記外部表面が基板と接触するように構成されている、外部膜と
を含み、
隣接するチャンバに対する側壁部分が、前記側壁部分の頂部エッジから延在しているブリッジ部分によって接続され、
前記間隙は、前記ブリッジ部分の下方において解放されており、前記下部加圧可能チャンバと連通し、
前記下部加圧可能チャンバが加圧されると、前記外部膜の前記外部表面が、前記基板と接触するよう構成されている、化学機械研磨のためのキャリアヘッド。
【請求項2】
別に加圧することができる内部チャンバ毎に、前記内部膜は、隣接する前記壁部分の頂部エッジから内側に向かって延在し、前記ブリッジ部分に接続されたフランジ部分を含む、請求項に記載のキャリアヘッド。
【請求項3】
前記内部膜が、各チャンバを有する前記複数の個別に加圧することができる内部チャンバの複数のクランプによって前記膜支持体に固定されており、前記フランジ部分を前記膜支持体に締め付けるクランプをチャンバが有する、請求項に記載のキャリアヘッド。
【請求項4】
前記外部膜が、基板受取り表面を有する中心部分と、前記中心部分の外部エッジから上に向かって延在している周囲部分と、前記膜支持体の一部の上を内側に向かって延在している第1のフラップとを備える、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項5】
前記外部膜が、前記膜支持体の前記部分の上を内側に向かって延在している第2のフラップと、前記第1のフラップと前記第2のフラップの間の、リップチャンバを画定している空間領域とを備える、請求項に記載のキャリアヘッド。
【請求項6】
2個~20個の個別に加圧することができる内部チャンバを備える、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項7】
前記個別に加圧することができる内部チャンバが同心である、請求項1に記載のキャリアヘッド。
【請求項8】
化学機械研磨のためのシステムであって、
複数の圧力源と、
請求項1から7のいずれかに記載のキャリアヘッド
前記複数の圧力源の少なくとも1つに接続されたコントローラであって、1つまたは複数の個別に加圧することができる部チャンバに対応する前記外部膜の一部分で前記外部膜から前記基板に印加される圧力を補うために、前記1つまたは複数の個別に加圧することができる内部チャンバ前記下部加圧可能チャンバの圧力以上の圧力に加圧されるよう、前記圧力源に前記個別に加圧することができる内部チャンバおよび前記下部加圧可能チャンバを加圧させるように構成されている、コントローラと
を備える、化学機械研磨のためのシステム。
【請求項9】
前記ベースアセンブリと基板バッキングアセンブリを接続する撓み部材をさらに備える、請求項に記載のシステム。
【請求項10】
請求項1から7のいずれかに記載のキャリアヘッドを用いた化学機械研磨のための方法であって、
前記キャリアヘッド内に前記基板を保持することと、
前記内部膜と前記外部膜の間の前記下部加圧可能チャンバを第1の圧力に加圧することと、
個別に加圧することができる前記複数の内部チャンバのうちの少なくともいくつかを前記第1の圧力以上の第2の圧力に加圧することと、
前記下部加圧可能チャンバからの圧力が第1の速度での前記基板の研磨をもたらし、また、前記1つまたは複数の内部チャンバの圧力が、前記個別に加圧することができる内部チャンバに対応する領域における前記基板の研磨を補助的に増加させるよう、前記基板と研磨パッドの間の相対運動を発生させることと
を含む、化学機械研磨のための方法。
【請求項11】
2個~20個の個別に加圧することができる内部チャンバに対応する領域における前記基板の研磨を補助的に増加させることを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記内部チャンバが同心である、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学機械研磨(CMP)に使用するためのキャリアヘッドに関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、一般に、半導体ウエハ上への導電性、半導電性または絶縁性の層の連続した堆積によって基板の上に形成される。様々な製造プロセスには、基板上の層の平坦化が必要である。例えば1つの製造ステップは、非平面表面に充填層を堆積させること、および充填層を平坦化することを含む。特定のアプリケーションでは、充填層は、パターン化された層の頂面が露出するまで平坦化される。例えば絶縁層中のトレンチおよび孔を充填するために、パターン化された絶縁層の上に金属層を堆積させることができる。平坦化の後、パターン化された層のトレンチおよび孔中の金属の残り部分がビア、プラグおよび線を形成し、基板上の薄膜回路間に導電性経路を提供する。別の例として、パターン化された導電層の上に誘電体層を堆積させ、次に、平坦化して、後続するフォトリソグラフィステップを可能にすることも可能である。
【0003】
化学機械研磨(CMP)は、一般に認められている平坦化方法の1つである。この平坦化方法には、典型的には、基板がキャリアヘッドの上に取り付けられることが必要である。基板の露出した表面は、典型的には、回転する研磨パッドに接して置かれる。キャリアヘッドは、制御可能な荷重を基板に提供し、基板を研磨パッドに押し付ける。典型的には、研磨粒子を有する研磨スラリが研磨パッドの表面に供給される。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、化学機械研磨のためのキャリアヘッドは、ベースアセンブリと、ベースアセンブリに接続された膜アセンブリとを含む。膜アセンブリは、膜支持体と、膜支持体に固定された内部膜と、膜支持体に固定され、内部膜の下方に延在し、内部表面および外部表面を有する外部膜とを含む。内部膜は、膜の上部表面と膜支持体の間に個別に加圧することができる複数の内部チャンバを形成する。外部膜は、外部膜の内部表面と内部膜の下部表面の間に下部加圧可能チャンバを画定する。内部表面は、複数のチャンバのうちの1つまたは複数が加圧されると、内部膜の下部表面と接触するように配置され、また、外部表面は基板と接触するように構成される。
【0005】
別の態様では、化学機械研磨のためのシステムは、複数の圧力源と、キャリアヘッドと、圧力源に接続されたコントローラとを含む。キャリアヘッドは、ベースアセンブリと、膜アセンブリとを含む。膜アセンブリは、膜支持体と、膜支持体に固定された内部膜と、膜支持体に固定され、内部膜の下方に延在する外部膜とを有する。内部膜は、内部膜の上部表面と膜支持体の間に個別に加圧することができる複数の内部チャンバを形成する。外部膜は内部表面および外部表面を有する。外部膜は、外部膜の内部表面と内部膜の下部表面の間に下部加圧可能チャンバを画定する。内部表面は、複数のチャンバのうちの1つまたは複数が加圧されると、内部膜の下部表面と接触するように配置され、また、外部表面は基板と接触するように構成される。コントローラは、個別に加圧することができる1つまたは複数の内部チャンバに対応する外部膜の一部分で外部膜によって基板に印加される圧力を補うために、内部膜の個別に加圧することができる内部チャンバのうちの1つまたは複数が下部チャンバの圧力以上の圧力に加圧されるよう、圧力源に内部チャンバおよび下部チャンバを加圧させるように構成される。
【0006】
別の態様では、キャリアヘッドを有する化学機械研磨のための方法は、外部膜と、個別に加圧することができる複数の内部チャンバを画定する内部膜とを有する膜アセンブリを含むキャリアヘッド内で基板を保持することと、内部膜と外部膜の間の下部チャンバを第1の圧力に加圧することと、個別に加圧することができる複数の内部チャンバのうちの少なくともいくつかを第1の圧力以上の第2の圧力に加圧することと、下部チャンバからの圧力が第1の割合の基板の研磨をもたらし、また、1つまたは複数の内部チャンバの圧力が、個別に加圧することができる内部チャンバに対応する領域における基板の研磨を補助的に増加するよう、基板と研磨パッドの間の相対運動を発生させることとを含む。
【0007】
別の態様では、キャリアヘッドのための膜は複数のチャンバ画定部分を含み、個々のチャンバ画定部分は、2つの側壁と、該2つの側壁の底部エッジ部分の、該2つの側壁に接続された床と、2つの側壁から内側に向かって延在している2つのフランジ部分とを含む。膜の隣接するチャンバ画定部分はブリッジ部分によって接続され、隣接するチャンバ画定部分の隣接する側壁と、隣接するチャンバ画定部分の隣接する側壁との間の頂部エッジは、ブリッジ部分の下方の間隙によって分離される。
【0008】
実施態様は、以下の特徴のうちの1つまたは複数を含むことができる。
【0009】
ハウジングをベースアセンブリに接続することができる。ベースアセンブリは、ハウジングに対して垂直方向に移動することができる。ベースアセンブリは、ジンバル機構によってハウジングに接続することができる。ベースアセンブリは、ジンバル機構の周りを回転するように構成することができ、回転の中心は内部膜の上方に置かれる。撓み部材はベースアセンブリと膜アセンブリを接続することができる。撓み部材は、膜アセンブリの中心をベースアセンブリの下方に維持するために、横方向の運動に対抗するだけの十分な硬さにすることができる。
【0010】
可能な利点には、それらに限定されないが、以下のうちの1つまたは複数を含むことができる。二重膜キャリアヘッドを使用して、基板の異なる部分に異なる圧力を印加することができ、それにより研磨操作の間、所望の基板プロファイルを達成することができる。例えば基板プロファイルの変化を小さくすることができる。これは、ウエハ内均一性を改善することができる。研磨操作の間、内部膜を摩耗にさらす必要はなく、また、交換する必要があるとしてもその頻度ははるかに低い。したがって故障の危険を小さくして、内部膜をより複雑にすることができる。内部膜材料は、外部膜ほどには耐薬品性および耐摩耗性である必要はない。したがって内部膜はより低コストであり得る。
【0011】
1つまたは複数の実施形態の詳細が添付の図面に示されており、また、以下で説明される。他の特徴、態様および利点は、説明、図面および特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】キャリアヘッドの略横断面図である。
図1B図1Aのキャリアヘッドの一部の略横断面図である。
図1C図1Aのキャリアヘッドの一部の略横断面図である。
図2A】キャリアヘッドの別の実施態様の略横断面図である。
図2B図2Aのキャリアヘッドの一部の略横断面図である。
図2C図2Aのキャリアヘッドの一部の略横断面図である。
図3】エッジ制御ゾーンを有する内部膜の略横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図面における同様の参照番号および記号表示は同様の要素を示している。
【0014】
いくつかの研磨システムでは、研磨の間、キャリアヘッド内の膜を使用して実質的に一様な圧力が基板に印加される。しかしながらこの実質的に一様な圧力は、研磨プロセスにおける、例えばスラリ分布の変化による非均一性、あるいは研磨に先立つ基板の非均一性に対して有効に対処することができない。
【0015】
非均一性に対処するための解決法の1つは、個々のチャンバが異なる圧力を基板の局部領域に印加する、独立して加圧することができる複数のチャンバを有することである。複数のチャンバを提供する膜は場合によっては製造が高価であり、また、このような膜が基板と接触すると、膜が摩耗にさらされ、引き裂かれる危険が存在し、したがって高価な部品を交換する必要が生じる。しかしながら外部膜は、複数のチャンバを提供する内部膜の上に提供することができる。内部膜の複数のチャンバは、隣接するチャンバを分離している壁による「壁効果」または「クロストーク」を小さくする間隙によって分離することができる。外部膜が基板と接触し、内部膜が接触していない場合、摩耗すると外部膜を交換することができる。研磨操作の間、内部膜を摩耗にさらす必要はなく、また、交換する必要があるとしてもその頻度ははるかに低く、それはコストを低減し得る。外部膜は、耐薬品性および耐摩耗性材料でコーティングすることができるが、内部膜にはコーティングの必要はなく、したがってより低いコストで製造することができる。さらに、外部膜はより単純であり、したがって外部膜が実際に引き裂かれても、その交換はより低いコストであり得る。一方、内部膜材料は、外部膜ほどには耐薬品性および耐摩耗性である必要はない。内部膜はキャリアヘッドに締め付けることができ、例えば膜支持体に、より恒久的な方法、例えばエポキシなどの接着剤によって締め付けることができる。これは、チャンバからの漏れを低減することができる。さらに、内部膜はもはや消耗品ではないため、キャリアベースへの取付けを促進するより複雑な特徴を有する型で内部膜を製造することができ、これはコストに対する影響がより小さく、一方、優れた取付けを可能にし、例えば漏れを低減する。
【0016】
図1A図1Cを参照すると、基板10は、キャリアヘッド100を有する化学機械研磨(CMP)装置によって研磨することができる。キャリアヘッド100は、上部キャリア本体104および下部キャリア本体106を有するハウジング102、ジンバル機構108(下部キャリア本体106の部品と見なすことができる)、ローディングチャンバ110、ハウジング102に接続された(例えば上部キャリア本体104および/または下部キャリア本体106に接続された)保持リングアセンブリ(以下で考察される)、ハウジング102に接続された(例えば上部キャリア本体104および/または下部キャリア本体106に接続された)外部リング400、および膜アセンブリ500を含む。いくつかの実施態様では、上部キャリア本体104および下部キャリア本体106は単一の一体本体に置き換えられる。いくつかの実施態様では、単一のリングのみが存在し、保持リング205または外部リング400のどちらかが存在していない。
【0017】
上部キャリア本体104は、キャリアヘッド100全体を回転させるために回転式駆動シャフトに固定することができる。上部キャリア本体104の形状は概ね円形であってもよい。上部キャリア本体104を通って延在している、キャリアヘッド100の空気圧を制御するための通路が存在していてもよい。
【0018】
下部キャリア本体106は上部キャリア本体104の真下に配置され、上部キャリア本体104に対して垂直方向に移動することができる。ローディングチャンバ110は、下部キャリア本体106に荷重すなわち下向きの圧力または重量を加えるために、上部キャリア本体104と下部キャリア本体106の間に配置されている。研磨パッドに対する下部キャリア本体106の垂直位置はローディングチャンバ110によっても制御される。いくつかの実施形態では、研磨パッドに対する下部キャリア本体106の垂直位置はアクチュエータによって制御される。
【0019】
ジンバル機構108は、下部キャリア本体106が旋回し上部キャリア本体104に対して垂直方向に移動することを可能にし、一方、上部キャリア本体104に対する下部キャリア本体106の横方向の運動を防止する。
【0020】
いくつかの実施形態では、ジンバル機構108は、ハウジング102中の凹部の中へ延在しているシャフト122の下部端に配置された球面軸受120を有している(図1Cを参照されたい)。球面軸受120は、回転の中心、例えば球面軸受120の中心の周りのベースアセンブリ104の回転を可能にする。ジンバル機構108の球面軸受は、滑油して摩擦を小さくするか、あるいはTeflonでコーティングすることができる。球面軸受120は、ロック機構128を使用して、ベースアセンブリ104の中のジンバルハウジング126の中に保持することができる。例えばロック機構128は、球面軸受120およびシャフト122をジンバルハウジング126の中の所定の位置にロックすることができるばね荷重ロックであってもよい。ジンバルハウジング126は、ベースアセンブリ104への移動から球面軸受120によって生じる振動および摩擦の影響を小さくするための緩衝装置124、例えば振動ガスケットを使用して、ベースアセンブリ104の残りの部分に接続することができる。しかしながらいくつかの実施態様ではジンバルは存在していない。
【0021】
基板10は、保持リング205によって膜アセンブリ500の下方に保持することができる。保持リングアセンブリ200は、保持リング205、および保持リング205に対する圧力を制御するための環状チャンバ350を提供するように形状化された可撓性の膜300を含むことができる。保持リング205は可撓性の膜300の真下に配置されており、例えばクランプ250によって可撓性の膜300に固定することができる。保持リング205にかかる荷重は、研磨パッド30に対する荷重を提供する。保持リング205にかかる独立した荷重は、リングが摩耗する際のパッドにかかる一貫した荷重を可能にすることができる。
【0022】
保持リング205は、基板10を保持し、また、アクティブエッジプロセス制御を提供するように構成することができるが、外部リング400は、研磨パッドの表面に対するキャリアヘッドの位置決めまたは照合を提供することができる。
【0023】
キャリアヘッド内の個々のチャンバは、通路によって、上部キャリア本体104および下部キャリア本体106を介して、ポンプまたは圧力ラインあるいは真空ラインなどの関連する圧力源(例えば圧力源922)に流体結合することができる。可撓性の膜300の環状チャンバ350のための、ローディングチャンバ110のための、下部加圧可能チャンバ722のための、サイドチャンバ724のための、および個別に加圧することができる内部チャンバ650の各々のための1つまたは複数の通路が存在し得る。下部キャリア本体106からの1つまたは複数の通路は、ローディングチャンバ110の内側またはキャリアヘッド100の外側に延在している可撓性の配管によって上部キャリア本体104の中の通路にリンクさせることができる。個々のチャンバの加圧は独立して制御することができる。詳細には、個々のチャンバ650の加圧は独立して制御することができる。これは、研磨の間、基板10の異なる半径方向の領域への異なる圧力の印加を可能にし、それにより非一様な研磨率を補償することができる。
【0024】
膜アセンブリ500は、膜支持体716、外部膜700および内部膜600を含むことができる。膜支持体716は、概ね円板形の本体であってもよく、また、剛直な材料、例えばステンレス鋼、アルミニウムまたは硬質プラスチックで形成することができる。
【0025】
外部膜700は、内部膜600に接触するように配置することができる内部表面702、および基板10のための取付け表面を提供することができる外部表面704を有している。外部膜700は、取付け表面を提供している円形の主部分から上に向かって延在している周囲部分726を有することができる。また、外部膜700は、周囲部分から内側に向かって延在している2つのフラップ734、738をも含むことができる。外部膜700の第1のフラップ734は、膜支持体716に固定されたリップ714を有することができ、また、膜支持体716とクランプ736の間に締め付けることができる。第2のフラップ734も同様に、膜支持体716に固定され、例えば2つのクランプ736の間に締め付けられたリップ714を有することができる。クランプ736は、締め具、ねじ、ボルトまたは他の同様の締め具によって下部キャリア本体106に固定することができる。第1のフラップ734は、下部加圧可能チャンバ722を2つのフラップ734、738の間に配置されたサイドチャンバ724から分離することができる。下部加圧可能チャンバ722は、内部膜600の底部および内部膜600の側面を横切って延在するように構成されている。内部膜600は、下部加圧可能チャンバ722と膜支持体716の間に配置されている。
【0026】
外部膜700は、基板10のほとんどの部分または全体に下向きの圧力を印加することができる。下部加圧可能チャンバ722の中の圧力は、外部膜700の外部表面704による基板10への圧力の印加を可能にするように制御することができる。
【0027】
内部膜600は、互いに対して垂直方向に広がることができる、個別に加圧することができる複数の内部チャンバ650を画定することができる。例えば個々のチャンバ650は、膜600の床部分654および2つの側壁部分656によって画定することができる。フランジ部分652は、チャンバ毎に、両方の側壁部分656から内側に向かって延在することができる。個別に加圧することができる2個から20個の内部チャンバ650が存在し得る。フランジ部分652は、チャンバ650毎に、クランプ660と膜支持体716の間に捕獲することができ、したがって膜600を膜支持体716に固定することができる。クランプ660は、締め具、ねじ、ボルトまたは他の同様の締め具によって膜支持体716に固定することができる。別法としては、接着剤によってフランジ部分652を膜支持体716に固定することも可能である。
【0028】
隣接するチャンバの側壁部分656は、それらの頂部エッジで、例えばフランジ部分652と同一平面上の架橋部分658によって接続することができる。それとは対照的に、架橋部分658の下方では、隣接する側壁部分656は間隙655によって分離されている。下方の個別の側壁部分656は膜600のクランプ660によって分離されている。側壁部分656は、個別に加圧することができる個々の内部チャンバ650による、隣接する加圧可能チャンバ650に対する、クロストークが低減された垂直方向の広がりを可能にする。
【0029】
個々の内部チャンバ650は、内部膜600の対応する部分に下向きの圧力を個別に印加することができ、内部膜600のこの対応する部分は、次に、外部膜700の対応する部分に下向きの圧力を印加することができ、外部膜700のこの対応する部分は、次に、基板10の対応する部分に下向きの圧力を印加することができる。さらに、内部膜600と、基板10に下向きの力を加える外部膜700との組合せは、内部チャンバ650間の間隙655の影響を小さくすることができる。内部チャンバ650間の間隙(例えば間隙655)に対応する基板10の部分は、外部膜がなくても、低減された研磨を経験することが可能である。しかしながら外部膜700は、間隙中の外側チャンバ722によって最低の圧力を印加することができるため、この影響を小さくすることができ、それにより、内部チャンバ650間の間隙によってもたらされる不完全を取り繕い、低減することになる。
【0030】
内部膜600の底面および/または外部膜700の頂面は、内部膜600と外部膜700の間の封止を防止するために、テクスチャード加工を施すことができ、例えば膜の他の部分に対して粗さが増した表面を有することができ、あるいは溝を付けることができる。
【0031】
図2A図2Cを参照すると、浮動二重膜アセンブリを有するキャリアヘッドは、図1A図1Cを参照して考察したキャリアヘッドと類似しているが、ベースアセンブリ102は、例えば撓み部材900を使用して膜アセンブリ500に移動可能に接続されている。
【0032】
膜アセンブリ500は、膜支持体716、外部膜700および内部膜600を含むことができる。外部膜700は、内部膜600に接触するように配置することができる内部表面702、および基板10に取付け表面を提供することができる外部表面704を有している。外部膜700は、周囲部分から内側に向かって延在している2つのフラップ734、738をも含むことができる。外部膜700の第1のフラップ734は、膜支持体716に固定されたリップ714を有することができ、また、膜支持体716とクランプ736の間に締め付けることができる。第2のフラップ734も同様に、膜支持体716に固定され、例えば2つのクランプ736の間に締め付けられたリップ714を有することができる。クランプ736は、締め具、ねじ、ボルトまたは他の同様の締め具によって下部キャリア本体106に固定することができる。第1のフラップ734は、下部加圧可能チャンバ722を2つのフラップ734、738の間に配置されたサイドチャンバ724から分離することができる。下部加圧可能チャンバ722は、内部膜600の底部および内部膜600の側面を横切って延在するように構成されている。内部膜600は、下部加圧可能チャンバ722と膜支持体716の間に配置されている。上部加圧可能チャンバ726は、膜アセンブリ500(膜支持体716を含む)および下部キャリア本体106によって形成されている。上部加圧可能チャンバ726は、撓み部材900によって撓み部材900の上方のチャンバ728(キャリアヘッド100の外部に通気することができる)から封止されている。
【0033】
下部キャリア本体106は、撓み部材900によって膜アセンブリ500に接続することができる。撓み部材900は環状シートであってもよい。撓み部材900は、締め具902、例えばいくつかの例を挙げると、接着剤、ねじ、ボルト、クランプを使用して、あるいはインタロック機構によってハウジング102(例えば下部キャリア本体106)および膜アセンブリ500に接続することができる。撓み部材900は、シリコーンゴムまたは他の同様のエラストマ、あるいはプラスチック、金属、または繊維補強シリコーンなどの複合材料などの可撓性の材料から構成することができる。撓み部材900は、膜アセンブリ500の中心をハウジング102の下方に維持するために、横方向の運動に対抗するだけの十分な硬さにすることができる。しかしながら撓み部材900は、キャリア本体106に対する膜アセンブリ500の垂直方向の運動を可能にするために、垂直方向に十分な可撓性にすることができる。
【0034】
撓み部材900は、撓み部材900の撓み、例えば湾曲可能偏向を可能にすることにより、下部キャリア本体106に対する膜アセンブリ500の垂直方向の移動を可能にすることができる。撓み部材900が撓むと、撓み部材900によって膜支持体716、延いては基板10に印加される圧力を高くし、あるいは低くすることができる。
【0035】
図1Aおよび図2Aを参照すると、コントローラ910を使用してキャリアヘッド100の様々なチャンバの圧力を調整することができる。コントローラ910は、圧力源922、圧力源924および圧力源926に結合することができる。圧力源922、924、926は、例えば圧力チャンバ、水圧チャンバ、ガスチャンバなどであってもよい。圧力源922は個別に加圧することができる内部チャンバ650に接続することができ、また、圧力源924は外部膜700に接続することができ、また、圧力源926は上部加圧可能チャンバ726に接続することができる(図2A図2Cを参照されたい)。センサ930は、圧力源922、924、926、個別に加圧することができる内部チャンバ650、外部膜700および上部加圧可能チャンバ726の圧力を測定することができ(図2A図2Cを参照されたい)、また、測定した圧力をコントローラ910に通信することができる。コントローラ910は、圧力源922、924、926に、個別に加圧することができる内部チャンバ650、外側チャンバ722、リップチャンバ724および/または上部加圧可能チャンバ726の圧力を高くし、および/または低くさせることができる。
【0036】
図3を参照すると、別の実施態様ではキャリアヘッドは、エッジ制御ゾーン680の上に個別のコントロールを有している。エッジ制御ゾーン680は、膜部分600aによって取り囲まれている個別に加圧することができる内部チャンバ650aによって画定されている。膜部分600aは、撓み部材682を使用して内部膜600の残りの部分に撓み可能に接続されている。アクチュエータ、例えば圧力を高くし、あるいは低くすることができるベローズ684は、内部チャンバ650aをヒンジ撓みさせることができ、それにより的が絞られたエッジ荷重を提供することができる。すなわち内部チャンバ650aは、内部膜600および内部チャンバ650から半独立的に移動することができる。利点は、内部チャンバ650aが基板10(示されていない)上でエッジ制御研磨を実施することができ、それによりエッジ均一性を改善することができ、例えばチェックマークプロファイルを小さくすることができることである。
【0037】
コントローラ(または「制御システム」)はデジタル電子回路機構の中で、有形的に具体化されたコンピュータソフトウェアまたはファームウェアの中で、コンピュータハードウェアの中で、またはそれらのうちの1つまたは複数の組合せの中で実現することができる。本明細書において説明されている主題の実施形態は、1つまたは複数のコンピュータプログラムとして実現することができ、すなわちデータ処理装置による実行のために、あるいはデータ処理装置の動作を制御するために、有形の非一時的記憶媒体上に符号化されたコンピュータプログラム命令の1つまたは複数のモジュールとして実現することができる。
【0038】
本明細書は、制御システムに関連して「構成される(された)」という用語を使用している。特定の操作または行為を実施するように構成される1つまたは複数のコンピュータのシステムの場合、動作中、そのシステムがその操作または行為を実施することになるソフトウェア、ファームウェア、ハードウェアまたはそれらの組合せをそのシステムが搭載していることを意味する。特定の操作または行為を実施するように構成される1つまたは複数のコンピュータプログラムの場合、その1つまたは複数のプログラムは、データ処理装置によって実行されると、その装置がその特定の操作または行為を実施することになる命令を含むことを意味する。
【0039】
本発明の多くの実施形態が説明されている。しかしながら本発明の精神および範囲を逸脱することなく様々な修正を加えることができることは理解されよう。例えば図1Bは、間隙によって分離された側壁を有するものとして内部膜の隣接するチャンバを示しているが、隣接するチャンバは共通の側壁を共有することが可能である。したがって他の実施態様は、以下の特許請求の範囲の範囲内である。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図2C
図3