(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】発光装置および基板
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20240612BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20240612BHJP
H01L 33/04 20100101ALI20240612BHJP
【FI】
H01L33/62
H01L33/08
H01L33/04
(21)【出願番号】P 2021209267
(22)【出願日】2021-12-23
【審査請求日】2023-01-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101683
【氏名又は名称】奥田 誠司
(74)【代理人】
【識別番号】100155000
【氏名又は名称】喜多 修市
(74)【代理人】
【識別番号】100180529
【氏名又は名称】梶谷 美道
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【氏名又は名称】三宅 章子
(74)【代理人】
【識別番号】100184985
【氏名又は名称】田中 悠
(74)【代理人】
【識別番号】100202197
【氏名又は名称】村瀬 成康
(74)【代理人】
【識別番号】100218981
【氏名又は名称】武田 寛之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 尚人
【審査官】右田 昌士
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-100515(JP,A)
【文献】特開平11-040918(JP,A)
【文献】特開平05-299212(JP,A)
【文献】特開2011-023484(JP,A)
【文献】特開2014-220336(JP,A)
【文献】特開2020-088381(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0094414(US,A1)
【文献】特開平11-307870(JP,A)
【文献】特開2015-046495(JP,A)
【文献】特開2018-060835(JP,A)
【文献】特開2017-050354(JP,A)
【文献】特表2009-510762(JP,A)
【文献】特開2011-082363(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 33/00 - 33/64
H01S 5/00 - 5/50
H01L 21/44 - 21/449
H01L 21/60 - 21/607
H05K 1/00 - 1/18
H05K 3/30 - 3/34
H05K 13/00 - 13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向に延びる長辺および前記第1方向に直交する第2方向に延びる短辺によって規定される長方形状の上面を有する基材、ならびに、前記基材の前記上面上に前記第1方向に沿って配置された第1配線、第2配線および第3配線を含む基板であって、前記第1配線、前記第2配線および前記第3配線は、それぞれ、第1ランド、第2ランドおよび第3ランドを有する、基板と、
上面および前記上面とは反対側の下面を有し、前記下面上に前記第1方向に沿って配置された第1電極、第2電極および第3電極を含む発光素子と、
前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極をそれぞれ前記第1ランド、前記第2ランドおよび前記第3ランドに電気的および機械的に接続する第1接合部材、第2接合部材および第3接合部材と
を備え、
前記基材の前記上面の法線方向に見た平面視において、前記第1ランドおよび前記第3ランドのそれぞれは、前記第2方向と比較して前記第1方向に長い形状を有しており、
前記第2ランドの前記第2方向における最大幅は、前記第1ランドの前記第2方向における最大幅および前記第3ランドの前記第2方向における最大幅よりも大き
く、
前記第2ランドは、前記第2方向において、前記第1ランドおよび前記第3ランドのいずれにも重なる部分を有さず、
前記第1電極、前記第2電極、および前記第3電極は前記発光素子を駆動するためのものであり、
前記第2ランドは、前記第2方向と比較して前記第1方向に長い形状を有している、発光装置。
【請求項2】
前記基材の前記上面の法線方向に見た平面視において、前記第2ランドの前記第2方向における最大幅は、前記発光素子の前記第2電極の前記第2方向における最大幅よりも大きい、請求項1に記載の発光装置。
【請求項3】
前記第1ランド、前記第2ランドおよび前記第3ランドの面積は、互いに等しい、請求項1または2に記載の発光装置。
【請求項4】
前記第1配線、前記第2配線および前記第3配線は、それぞれ、前記第1ランド上に位置する第1凸部、前記第2ランド上に位置する第2凸部および前記第3ランド上に位置する第3凸部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項5】
前記第1凸部の前記第2配線とは反対側の端部から前記第1ランドの前記第2配線とは反対側の外縁までの前記第1方向に沿った距離は、前記第1凸部の前記第2配線側の端部から前記第1ランドの前記第2配線側の外縁までの前記第1方向に沿った距離よりも大きく、
前記第3凸部の前記第2配線とは反対側の端部から前記第3ランドの前記第2配線とは反対側の外縁までの前記第1方向に沿った距離は、前記第3凸部の前記第2配線側の端部から前記第3ランドの前記第2配線側の外縁までの前記第1方向に沿った距離よりも大きい、請求項4に記載の発光装置。
【請求項6】
前記基板の前記第1ランドおよび前記第3ランド、ならびに、前記発光素子の前記第1電極および前記第3電極のそれぞれは、前記第1方向に延びる概ね長方形状を有しており、
前記基材の前記上面の法線方向に見た平面視において、前記第1電極における前記第2電極側の端部は、前記第1凸部における前記第2ランド側の端部に重なりを有し、前記第3電極における前記第2電極側の端部は、前記第3凸部における前記第2ランド側の端部に重なりを有する、請求項4または5に記載の発光装置。
【請求項7】
前記第2接合部材は、前記第2凸部の全体を覆い、かつ、前記第2ランドの前記第2方向における外縁にまで達している、請求項4から6のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項8】
前記発光素子の前記上面の法線方向に見た平面視において、前記第2電極は、前記第1方向における中央部がくびれた形状を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項9】
前記第1電極の外形は、前記第2電極側に、前記第2方向における幅が減少する部分を含み、
前記第3電極の外形は、前記第2電極側に、前記第2方向における幅が減少する部分を含む、請求項1から8のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項10】
前記発光素子は、
第1導電型の第1半導体層および第2導電型の第2半導体層を有する第1発光構造と、
前記第1発光構造の下方に位置し、第1導電型の第3半導体層および第2導電型の第4半導体層を有する第2発光構造と、
前記第1電極を前記第1半導体層に接続する第1導電部と、
前記第3電極を前記第3半導体層に接続する第2導電部と、
前記第2電極を前記第4半導体層に接続する第3導電部と
を含む、請求項1から9のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項11】
前記第2方向において、前記第1ランドの端部から前記基材の端部までの最短距離は、前記第2ランドから前記基材の端部までの最短距離よりも大きく、
前記第2方向において、前記第3ランドの端部から前記基材の端部までの最短距離は、前記第2ランドの端部から前記基材の端部までの最短距離よりも大きい、請求項1から10のいずれか1項に記載の発光装置。
【請求項12】
前記第1方向において、前記第2ランドの長さは、前記第1ランドの長さよりも短く、前記第3ランドの長さよりも短い、請求項3に記載の発光装置。
【請求項13】
前記第2方向における前記第2凸部の端部から前記第2ランドの端部までの最短距離は、前記第1方向における前記第2凸部の端部から前記第2ランドの端部までの最短距離よりも大きい、請求項4に記載の発光装置。
【請求項14】
前記第1電極は、前記第2方向における前記第1電極の幅を減少させる第1凹部および第2凹部を有し、
前記第3電極は、前記第2方向における前記第3電極の幅を減少させる第3凹部および第4凹部を有し、
前記第2方向において前記第1電極の外形のうち前記第1凹部と前記第2凹部の間に挟まれる部分の少なくとも一部が、前記第1凸部の端部と重なり、
前記第2方向において前記第3電極の外形のうち前記第3凹部と前記第4凹部の間に挟まれる部分の少なくとも一部が、前記第3凸部の端部と重なる、請求項4に記載の発光装置。
【請求項15】
上面および前記上面とは反対側の下面を有し、前記下面上に第1方向に沿って配置された第1電極、第2電極および第3電極を含む発光素子を実装するための基板であって、
前記第1方向に延びる長辺および前記第1方向に直交する第2方向に延びる短辺によって規定される長方形状の上面を有する基材と、
前記基材の前記上面上に前記第1方向に沿って配置された第1配線、第2配線および第3配線と
を備え、
前記第1配線、前記第2配線および前記第3配線は、それぞれ、第1ランド、第2ランドおよび第3ランドを有し、
前記基材の前記上面の法線方向に見た平面視において、前記第1ランドおよび前記第3ランドのそれぞれは、前記第2方向と比較して前記第1方向に長い形状を有しており、
前記第2ランドの前記第2方向における最大幅は、前記第1ランドの前記第2方向における最大幅および前記第3ランドの前記第2方向における最大幅よりも大き
く、
前記第2ランドは、前記第2方向において、前記第1ランドおよび前記第3ランドのいずれにも重なる部分を有さず、
前記第1電極、前記第2電極、および前記第3電極は前記発光素子を駆動するためのものであり、
前記第2ランドは、前記第2方向と比較して前記第1方向に長い形状を有している、基板。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、発光素子を含む発光装置に関する。本開示は、発光素子を支持する基板にも関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置用バックライトの光源として、LEDをその一部に含む発光装置が広く用いられている。例えば下記の特許文献1は、側面発光型のLEDパッケージを開示している。下記の特許文献2は、下部発光ダイオードと上部発光ダイオードとを積層し、p側電極および2つのn側電極の合計3つの電極を光取出し面とは反対側に配置した発光素子を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-036713号公報
【文献】特表2009-510762号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配線を有する基板上に発光素子を実装した発光装置(例えば、いわゆるサイドビュー型発光装置)において、発光素子を基板の配線上に精度よく配置できると有益である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示のある実施形態による発光装置は、第1方向に延びる長辺および前記第1方向に直交する第2方向に延びる短辺によって規定される長方形状の上面を有する基材、ならびに、前記基材の前記上面上に前記第1方向に沿って配置された第1配線、第2配線および第3配線を含む基板であって、前記第1配線、前記第2配線および前記第3配線は、それぞれ、第1ランド、第2ランドおよび第3ランドを有する、基板と、上面および前記上面とは反対側の下面を有し、前記下面上に前記第1方向に沿って配置された第1電極、第2電極および第3電極を含む発光素子と、前記第1電極、前記第2電極および前記第3電極をそれぞれ前記第1ランド、前記第2ランドおよび前記第3ランドに電気的および機械的に接続する第1接合部材、第2接合部材および第3接合部材とを備え、前記基材の前記上面の法線方向に見た平面視において、前記第1ランドおよび前記第3ランドのそれぞれは、前記第2方向と比較して前記第1方向に長い形状を有しており、前記第2ランドの前記第2方向における最大幅は、前記第1ランドの前記第2方向における最大幅および前記第3ランドの前記第2方向における最大幅よりも大きい。
【0006】
本開示の他のある実施形態による基板は、第1方向に延びる長辺および前記第1方向に直交する第2方向に延びる短辺によって規定される長方形状の上面を有する基材と、前記基材の前記上面上に前記第1方向に沿って配置された第1配線、第2配線および第3配線とを備え、前記第1配線、前記第2配線および前記第3配線は、それぞれ、第1ランド、第2ランドおよび第3ランドを有し、前記基材の前記上面の法線方向に見た平面視において、前記第1ランドおよび前記第3ランドのそれぞれは、前記第2方向と比較して前記第1方向に長い形状を有しており、前記第2ランドの前記第2方向における最大幅は、前記第1ランドの前記第2方向における最大幅および前記第3ランドの前記第2方向における最大幅よりも大きい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の実施形態によれば、より高い精度で基板上に実装された発光素子を含む発光装置を提供し得る。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本開示のある実施形態による発光装置を正面側から見た外観の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図1に示す発光装置を背面側から見た外観の一例を示す斜視図である。
【
図3】
図1および
図2に示す発光装置の模式的な断面図である。
【
図4】
図1~
図3に示す発光装置から基板を取り出して示す斜視図である。
【
図5】
図1~
図3に示す発光装置から基板を取り出して示す斜視図である。
【
図6】基材上の各配線のランドの例示的な幾何的性状を説明するための模式的な上面図である。
【
図7】セルフアラインメントによる、発光素子の傾きの抑制の効果を説明する模式図である。
【
図8】発光素子の電極の配置と、基板の配線の配置との間の対応を説明するための模式的な上面透視図である。
【
図9】セルフアラインメントによる、発光素子の傾きの抑制の効果を説明する模式図である。
【
図10】セルフアラインメントによる、発光素子の傾きの抑制の効果を説明する模式的な上面図である。
【
図11】基材の上面のうち光反射性部材に接する部分の範囲を説明するための模式的な上面図である。
【
図12】
図1~
図3に示す発光装置から基材上の配線と発光素子の電極とを取り出して示す模式的な上面透視図である。
【
図13】本開示の他のある実施形態による基板の例を示す模式的な上面図である。
【
図14】基材上の配線の変形例を示す模式的な上面図である。
【
図15】
図4および
図5に示す基板から基材と絶縁層とを取り除いた構造を示す斜視図である。
【
図16】発光素子の外観の一例を示す模式的な下面図である。
【
図17】発光素子を構成する各部材の積層構造を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳細に説明する。以下の実施形態は、例示であり、本開示による発光装置および基板は、以下の実施形態に限られない。例えば、以下の実施形態で示される数値、形状、材料、ステップ、そのステップの順序などは、あくまでも一例であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の改変が可能である。以下に説明する各実施形態は、あくまでも例示であり、技術的に矛盾が生じない限りにおいて種々の組み合わせが可能である。
【0010】
図面が示す構成要素の寸法、形状などは、分かりやすさのために誇張されている場合があり、実際の発光装置または基板における寸法、形状および構成要素間の大小関係を反映していない場合がある。また、図面が過度に複雑になることを避けるために、一部の要素の図示を省略して模式的に示すことがある。
【0011】
以下の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素は共通の参照符号で示し、説明を省略することがある。以下の説明では、特定の方向または位置を示す用語(例えば、「上」、「下」、「右」、「左」およびそれらの用語を含む別の用語)を用いる場合がある。しかしながら、それらの用語は、参照した図面における相対的な方向または位置を便宜的に示しているに過ぎない。それらの用語の使用は、本開示の発光装置または基板の使用時の姿勢を限定する意図ではない。例えば、参照した図面における「上」、「下」などの用語による相対的な方向または位置の関係が同一であれば、本開示以外の図面、実際の製品、製造装置などにおいて、参照した図面と同一の配置でなくてもよい。
【0012】
本開示において「平行」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面などが0°から±5°程度の範囲にある場合を含む。また、本開示において「垂直」または「直交」とは、特に他の言及がない限り、2つの直線、辺、面などが90°から±5°程度の範囲にある場合を含む。
【0013】
図1および
図2は、本開示のある実施形態による発光装置の外観の一例を示す。なお、
図1および
図2には、説明の便宜のために、互いに直交するX方向、Y方向およびZ方向を示す矢印をあわせて図示している。本開示の他の図面においてもこれらの方向を示す矢印を図示することがある。
【0014】
図1および
図2に示す発光装置100は、X方向に延ばされた概ね直方体の形状を有する。発光装置100は、XY面に平行な正面100fを有する。発光装置100の正面100fは、Y方向と比較してX方向に長い長方形状を有する。ここでは、正面100fの長方形状の長手方向は、X方向に平行であり、短手方向は、Y方向に平行である。以下、本明細書では、X方向を第1方向、Y方向を第2方向と呼ぶことがある。
【0015】
発光装置100は、基板130と、光反射性部材140と、透光性部材150とを含む。後述するように、透光性部材150は、蛍光体などの波長変換部材を含有し得る。
図1に示すように、透光性部材150は、XY面に平行とされた光取出し面150aを有する。ここでは、光取出し面150aは、正面100fの一部を構成し、光取出し面150aの周囲には光反射性部材140が位置している。
【0016】
図2に例示する構成において、発光装置100は、正面100fとは反対側の背面100rに、3つの背面配線31R、背面配線32Rおよび背面配線33Rを有し、さらに、これらの配線のそれぞれの一部を覆う絶縁層180を有している。
図2に示す例において、背面配線31R、背面配線32Rおよび背面配線33Rは、X方向に沿って直線状に並んでいる。
【0017】
この例では、発光装置100の背面100rと底面100mとに開口する3つの凹部34が基板130に設けられている。発光装置100の底面100mは、発光装置100を配線基板等などの支持体に実装する際に支持体に対向させられる面である。底面100mは、正面100fと背面100rとの間に位置する。
図2に示す例において、各凹部34の、背面100rに現れた開口の形状は、いずれも半円状とされている。上述の背面配線31R、背面配線32Rおよび背面配線33Rのそれぞれは、対応する凹部34の内側面を覆う部分を含む。
【0018】
図3は、発光装置100の断面の一部を模式的に示す。
図3は、発光装置100の中央付近で発光装置100を図のZX面に平行に(すなわち第2方向に垂直に)切断したときの断面を示している。
図3に示すように、基板130は、上面30aを有する基材30をその一部に含む。光反射性部材140は、基材30の上面30a上に配置され、その一部は、上面30aに接している。
【0019】
発光装置100は、基板130に支持された少なくとも1つの発光素子を含む。
図3に例示する構成において、発光装置100は、発光素子120を含んでいる。発光素子120は、上面120aと、上面120aとは反対側の下面120bとを有する。発光装置100において、発光素子120の下面120bは、基材30の上面30a側に位置する。
図3中に拡大して示すように、発光素子120は、下面120bに第1電極21、第2電極22および第3電極23を有する。第1電極21、第2電極22および第3電極23は、X方向に沿って下面120b上に一列に並んでいる。
【0020】
発光素子120が第1電極21、第2電極22および第3電極23の3つの電極を有することに対応して、基板130は、基材30の上面30a上に、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tの3つの配線を有する。第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tは、発光素子120の第1電極21、第2電極22および第3電極23と同様に、X方向に沿って基材30の上面30a上に一列に配置される。
【0021】
発光素子120は、ハンダなどを含有する接合部材によって基板130の第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33T上に実装される。
図3に示す例では、発光素子120は、第1接合部材161、第2接合部材162および第3接合部材163によって基板130上に実装されている。第1接合部材161は、発光素子120の第1電極21と基板130の第1配線31Tとの間に位置する。同様に、第2接合部材162は、第2電極22と第2配線32Tとの間に位置し、第3接合部材163は、第3電極23と第3配線33Tとの間に位置する。
【0022】
図3に示す例において、基板130は、基材30内部に配置された第1導電部31V、第2導電部32Vおよび第3導電部33Vをさらに有している。第1導電部31V、第2導電部32Vおよび第3導電部33Vは、それぞれ、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tに接続される。第1導電部31V、第2導電部32Vおよび第3導電部33Vは、基材30に設けられた貫通孔30hの内部に位置する。この例では、第1導電部31V、第2導電部32Vおよび第3導電部33Vのそれぞれは、対応する貫通孔30hの内側面上の導電膜36と、導電膜36によって囲まれた空間を占める充填部材38とを含んでいる。
【0023】
発光素子120の上方には、透光性部材150が配置される。
図3に示す例では、透光性部材150は、保護層52および波長変換層54の積層構造を有する。波長変換層54は、保護層52と発光素子120との間に位置する。この例では、保護層52の上面は、光取出し面150aとしての透光性部材150の上面を構成している。
【0024】
透光性部材150は、導光部材170により発光素子120の上面120aに固定される。導光部材170の外面170cは、光反射性部材140に接する。
図3に例示する構成において、光反射性部材140は、保護層52の側面52cおよび波長変換層54の側面54cにも接している。換言すれば、この例において、保護層52の側面52cおよび波長変換層54の側面54cは、光反射性部材140に覆われている。光反射性部材140の一部は、発光素子120の下面120bと、基材30の上面30aとの間にも位置し得る。
【0025】
以下、
図4~
図11を参照しながら、基板130の特に第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tの形状の詳細を説明する。
【0026】
図4および
図5は、発光装置100から基板130を取り出して示す。
図4および
図5に示す例において、基材30の上面30aは、Y方向と比較してX方向に長い長方形状を有している。ここでは、上面30aの長方形状の長辺および短辺は、それぞれ、X方向およびY方向に平行である。
【0027】
図3を参照しながら説明したように、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tは、基材30の上面30a上に位置する。
図4および
図5に示すように、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tは、それぞれ、第1ランド31g、第2ランド32gおよび第3ランド33gを含む。ここでは、第1ランド31g、第2ランド32gおよび第3ランド33gのいずれも、矩形状とされている。
【0028】
図4および
図5に示す例では、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tのそれぞれは、+Z方向に突出する部分を含んでいる。すなわち、
図4および
図5に例示する構成において、第1配線31Tは、第1ランド31g上に位置する第1凸部31pを含む。同様に、第2配線32Tは、第2ランド32g上に位置する第2凸部32pを含んでおり、第3配線33Tは、第3ランド33g上に位置する第3凸部33pを含んでいる。ここでは、第1凸部31p、第2凸部32pおよび第3凸部33pのそれぞれは、X方向に長い長方形状を有している。
【0029】
第1凸部31pおよび第3凸部33pのY方向における最大幅は、それぞれ、第1ランド31gおよび第3ランド33gのY方向における最大幅の例えば45%以上80%以下の範囲である。第2凸部32pのY方向における最大幅は、第2ランド32gのY方向における最大幅の例えば25%以上65%以下の範囲である。第1凸部31pと第2凸部32pとの間の最短距離、および、第2凸部32pと第3凸部33pとの間の最短距離は、例えば120μm以上300μm以下の範囲である。第1凸部31p、第2凸部32pおよび第3凸部33pのそれぞれの高さは、例えば0μm以上70μm以下、好ましくは、5μm以上60μm以下の範囲である。
【0030】
図6は、基材30の上面30aの法線方向に見たときの、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tのそれぞれの形状の典型例を示す。第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tは、発光素子120における第1電極21、第2電極22および第3電極23の配置に対応するように、基材30の上面30a上にX方向に沿って設けられる。
【0031】
図6に示す例において、第1配線31Tの第1ランド31g、第2配線32Tの第2ランド32gおよび第3配線33Tの第3ランド33gのそれぞれは、いずれも長方形状を有している。例えば第1ランド31gおよび第3ランド33gに注目すると、第1ランド31gおよび第3ランド33gのそれぞれは、Y方向と比較してX方向に長い長方形状を有している。第2配線32Tの第2ランド32gも同様に長方形状を有する。ただし、
図6に模式的に示すように、ここでは、第2ランド32gのY方向における幅W2は、第1ランド31gのY方向における幅W1および第3ランド33gのY方向における幅W3と比較して大きくされている。
【0032】
本開示の実施形態において、第2ランド32gのY方向における最大幅は、第1ランド31gのY方向における最大幅および第3ランド33gのY方向における最大幅のいずれよりも大きい。なお、本明細書において、ある方向におけるランドの最大幅は、その方向に平行な直線とランドの外形との交点間の距離のうち最も大きなものを指す。
【0033】
以下に説明するように、例えば第2方向に関する第1ランド31gの最大幅、第2ランド32gの最大幅および第3ランド33gの最大幅を上述の関係とすることにより、発光素子120の基板130への実装の際にセルフアラインメントの効果を発揮させて、実装時の発光素子120の傾きを抑制し得る。すなわち、より精度よく基板130上に発光素子120を実装することが可能になる。
【0034】
図7は、基板上の発光素子の配置を模式的に示す図である。
図7は、第2配線32Tと交差する位置で、発光装置100を第1方向に垂直に切断したときの断面を模式的に示している。ただし、簡単のために、
図7では、基板130上の構造のうち、光反射性部材140などの図示を省略している。
【0035】
図7に示すように、発光素子120は、接合部材(この図では第2接合部材162のみが表れている)により、基材30の上面30a上の配線(この図では第2配線32Tのみが表れている)に接合される。典型的には、接合部材の材料を基板の配線上に配置し、接合部材の材料上に発光素子を配置した後、リフローなどにより発光素子を配線に接合する。
【0036】
接合部材(例えば第1接合部材161、第2接合部材162および第3接合部材163)は、ハンダに加えてフラックスなどをさらに含有し得る。リフローにおける加熱により、接合部材中のハンダが溶融し、配線のランド上に拡がる。このとき、本実施形態では第1ランド31gおよび第3ランド33gと比較して第2ランド32gのY方向における最大幅が大きくされているので、第2ランド32g上のハンダは、溶融により、第2方向に関してより広範囲に拡がる。そのため、第2接合部材162のうち
図7に示す断面(YZ断面)において第2電極22と第2ランド32gとの間に位置する表面積を相対的に大きくできる。
【0037】
第2ランド32g上において発光素子120からより遠くまでハンダを拡げることにより、溶融したハンダの表面張力を利用して、YZ面内におけるセルフアラインメントの効果をより強力に発揮させ得る。すなわち、本開示の実施形態によれば、
図7中に点線で模式的に示すような発光素子120の傾き(X方向に平行な軸周りの発光素子120の回転Rx)を抑制する効果が得られ、より精度よく基板130に発光素子120を実装することが可能になる。YZ面内での発光素子120の傾きが抑制される結果、光反射性部材140に光が遮られることによるYZ面内での配光の不均衡(あるいは光取出し効率の低下)を抑制し得る。また、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tの複数の組を有する集合基板上に発光素子120の複数個を実装した後、複数の発光素子120上に一括して透光性部材を配置するような工程を採用する場合には、傾いている発光素子に透光性部材が強く押されることによる発光素子の破損を防止し得る。
【0038】
また、溶融したハンダの表面張力を、Y方向における発光素子120の両側において働かせることができるので、Y方向に関する発光素子120の位置ずれを低減する効果も得られる。第2接合部材162中のハンダの硬化後は、Y方向において発光素子120が両側から第2接合部材162に支持されることになり、例えば発光装置100のピックアップ時に発光装置100の中央部がコレットなどにより-Y方向に押された際に発光素子120が中央部から破損することを回避し得る。
【0039】
図7に模式的に示すように、第2接合部材162は、第2配線32Tの第2凸部32pの全体を覆い得る。YZ面内におけるセルフアラインメントを効果的に発揮させる観点から、第2接合部材162は、第2ランド32gのY方向における外縁にまで達していてもよい。
【0040】
第2ランド32gの幅がY方向に拡大されていることに対し、上述したように、本実施形態では、第1ランド31gおよび第3ランド33gのそれぞれは、Y方向と比較してX方向に長い形状とされる。ここで、第1凸部31pおよび第3凸部33pの配置に注目する。
図6に例示する構成において、第1凸部31pは、第1ランド31gの長方形状の中央部には設けられておらず、平面視において第2ランド32g側に近づけられている。同様に、第3凸部33pも、第3ランド33gの長方形状の中央部には位置しておらず、第2ランド32g側に近づけられている。より詳細には、
図6に示す例において、第1凸部31pの第2配線32Tとは反対側の端部から第1ランド31gの第2配線32Tとは反対側の外縁までのX方向に沿った距離D1は、第1凸部31pの第2配線32T側の端部から第1ランド31gの第2配線32T側の外縁までのX方向に沿った距離D2よりも大きい。また、第3凸部33pの第2配線32Tとは反対側の端部から第3ランド33gの第2配線32Tとは反対側の外縁までのX方向に沿った距離D3は、第3凸部33pの第2配線32T側の端部から第3ランド33gの第2配線32T側の外縁までのX方向に沿った距離D4よりも大きい。
【0041】
図8は、発光素子の電極の配置と、基板の配線の配置との間の対応を模式的に示す。本実施形態において、発光素子120は、Y方向と比較してX方向に長い形状を有する。発光素子120の第1電極21、第2電極22および第3電極23は、発光素子120の長手方向に沿って一列に配置される。この例では、発光素子120の第1電極21、第2電極22および第3電極23は、それぞれ、第1凸部31p、第2凸部32pおよび第3凸部33pの長方形状に概ね整合した大きさを有する。
【0042】
上述したように、第1接合部材161は、発光素子120の第1電極21と基板130の第1配線31Tとの間に位置し、第3接合部材163は、第3電極23と第3配線33Tとの間に位置する。
図8に示す例において、第1配線31Tの第1ランド31gおよび第3配線33Tの第3ランド33gは、基材30の外縁に向かって発光素子120の外縁を越えて+X方向または-X方向に延びている。この場合、第1接合部材161および第3接合部材163は、
図8中に網掛けで示すように、発光素子120と重ならない領域まで拡がり得る。
【0043】
その結果、第1接合部材161および第3接合部材163のうち平面視において発光素子120の外側に拡がった部分の表面張力を利用して、
図9中に点線で模式的に示すような発光素子120の傾き(Y方向に平行な軸周りの発光素子120の回転Ry)を抑制し得る。また、発光素子120の、X方向に関する位置ずれを抑制し得る。
【0044】
第1ランド31gおよび第3ランド33gが基材30の外縁に向かって発光素子120の外縁を越えて+X方向または-X方向に延びているので、溶融したハンダの表面張力は、発光素子120の中心から発光素子120の長手方向に離れた位置において働く。したがって、基材30上の第1ランド31g、第2ランド32gおよび第3ランド33gの配列に整合するように発光素子120を配置し得る。すなわち、
図10中に点線で模式的に示すような、発光素子120のXY面内における回転(Z方向に平行な軸周りの発光素子120の回転Rz)を抑制する効果が得られる。
【0045】
このように、第1配線31Tの第1ランド31gの形状および第1凸部31pの配置、ならびに、第3配線33Tの第3ランド33gの形状および第3凸部33pの配置を調整することにより、第2ランド32g上の第2接合部材162によって発揮されるセルフアラインメントの効果と相まって、発光素子120を所期の姿勢で基板130上に精度よく実装させ得る。
【0046】
第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33T上にそれぞれ配置される第1接合部材161、第2接合部材162および第3接合部材163の量(体積と言ってもよい)は、これらの間で概ね等しくされ得る。その場合、所期の方向に沿って接合部材を流す観点からは、第1ランド31g、第2ランド32gおよび第3ランド33gの面積が、互いに等しいと有益である。ここで、本明細書において、「ランドの面積が等しい」とは、注目した2つのランドのうち一方の面積を基準としたときの他方の面積が90%以上110%以下の範囲にあることを指す。
【0047】
第1ランド31g、第2ランド32gおよび第3ランド33gのそれぞれの形状あるいは面積に応じて、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33T上に配置する第1接合部材161、第2接合部材162および第3接合部材163の量を調整してもよい。第1接合部材161、第2接合部材162および第3接合部材163の量を適切に調整することにより、Y方向に平行な軸周りの発光素子120の回転Ryをより効果的に抑制し得る。
【0048】
なお、
図8から理解されるように、平面視において、第2ランド32gのY方向における最大幅W2(
図6を参照)は、典型的には、発光素子120の第2電極22のY方向における最大幅W4よりも大きい。W2>W4の関係が満たされるようにすることにより、Y方向に関して例えば発光素子120の外側まで第2接合部材162を拡げやすくなり、発光素子120の長手方向周りの傾き(
図7に示す回転Rx)をより効果的に抑制することが可能になる。
【0049】
また、第2ランド32gのY方向における幅を拡大しつつ、第1ランド31gおよび第3ランド33gのY方向における幅を第2ランド32gに対して小さくすることにより、基材30の上面30aと光反射性部材140との間の接触領域の過度の縮小を回避し得る。例えば、第1ランド31gおよび第3ランド33gのY方向における幅を第2ランド32gと同じとした場合と比較して、基材30の上面30aのうち、
図11中にハッチングで示す領域に光反射性部材140を接触させることができる。すなわち、光反射性部材140のうち配線上に位置する部分の割合を低減して、基材30からの光反射性部材140の剥離を抑制する効果が得られる。
【0050】
さらに、発光装置100の製造過程においては、例えばトランスファーモールドによって光反射性部材140を形成する際、光反射性部材140の材料を第1ランド31gと第2ランド32gとの間のギャップG12および第2ランド32gと第3ランド33gとの間のギャップG23から発光素子120の下側に流しやすくなる。すなわち、第1ランド31gおよび第3ランド33gのY方向における幅を過度に拡大しないことにより、基材30と発光素子120との間に光反射性部材140の材料を配置しやすくなる。発光素子120から発せられて基材30に向かう光を、アンダーフィルとしての光反射性部材140で反射させることができるので、基材30と発光素子120との間への光反射性部材140の材料の配置は、発光装置100の光取出し効率の向上に寄与する。
【0051】
次に、基材上の配線の形状および配置と、発光素子の電極の形状および配置との関係の例を説明する。
図12は、発光装置から基材上の配線と発光素子の電極とを取り出してこれらを模式的に示す。
【0052】
図12に示す例では、第1配線31Tの第1凸部31p、第2配線32Tの第2凸部32pおよび第3配線33Tの第3凸部33pは、いずれも長方形状とされている。発光素子120の第1電極21、第2電極22および第3電極23は、それぞれ、第1凸部31p、第2凸部32pおよび第3凸部33pの直上に位置する。この例では、第1電極21を第1凸部31pに平行投影(このときの投影面は基材30の上面30aに平行であるとする)した形状は、第2ランド32g側の端部に2つの凹部21rを有しているものの、第1凸部31pの長方形状に収まる概ね長方形状とされている。同様に、第3電極23を第3凸部33pに垂直投影した形状は、第2ランド32g側の端部に2つの凹部23rを有しているものの、第3凸部33pの長方形状に収まる概ね長方形状とされている。第2電極22を第2凸部32pに垂直投影した形状は、中央部に2つの凹部22rを有しているものの、第2凸部32pの長方形状に収まる概ね長方形状とされている。
【0053】
第1電極21における第2電極22側の端部は、第1凸部31pにおける第2ランド32g側の端部に重なりを有し得る。
図12中に破線の楕円ELで示すように、ここでは、第1電極21の外形のうち第2電極22側の端部においてY方向に延びる部分は、第1凸部31pの長方形状の、第2ランド32g側の短辺に平面視において重なっている。同様に、第3電極23における第2電極22側の端部は、第3凸部33pにおける第2ランド32g側の端部に重なりを有し得る。この例では、第3電極23の外形のうち第2電極22側の端部においてY方向に延びる部分は、第3凸部33pの長方形状の、第2ランド32g側の短辺に平面視において重なっている。ここで、本明細書において「電極(例えば第1電極21)の端部が配線の凸部(例えば第1凸部31p)の端部に重なっている」とは、電極の外形の一部と、配線の凸部の外形の一部との間の最短距離が、基材30の上面30aに垂直に見た平面視において0μm以上50μm以下の範囲にあることを指す。
【0054】
このように、例えば第1電極21の外形のうち第2電極22に最も近い部分が、第1凸部31pの外形のうち第2ランド32gに最も近い部分と重なるようにすることにより、第1接合部材161によるセルフアラインメントの効果をより効果的に発揮させ得る。同様に、例えば第3電極23の外形のうち第2電極22に最も近い部分が、第3凸部33pの外形のうち第2ランド32gに最も近い部分と重なるようにすることにより、第3接合部材163によるセルフアラインメントの効果をより効果的に発揮させ得る。
【0055】
(基材上の配線の形状に関する変形例)
図13は、本開示の他のある実施形態による基板を示す。
図4および
図5に示す基板130と比較して、
図13に示す基板130Bは、第1配線31Tおよび第3配線33Tに代えて、第1配線31Uおよび第3配線33Uを有する。基板130Bも基板130と同様に、発光素子120の支持体として発光装置100に適用され得る。
【0056】
第1配線31Uは、第1ランド31gおよび第1ランド31g上の第1凸部31pに加えて、第1T字状部31tを有する。
図13に示すように、第1T字状部31tは、第1ランド31gにおける第2配線32Tとは反対側の端部から基材30の外縁に向かって延びる細い第1セグメント3sと、第1セグメントに直交する短い第2セグメント3tとを含む。第3配線33Uも同様に、第3ランド33gにおける第2配線32Tとは反対側の端部から基材30の外縁に向かって延びる第2T字状部32tを有する。この例では、第2T字状部32tは、第1配線31Uの第1T字状部31tを基材30の中央部に関して左右反転させた形状を有している。
【0057】
第1配線31Uの第1T字状部31tおよび第3配線33Uの第2T字状部32tは、画像認識などを利用して発光素子120を基板130Bに実装する際の目印として利用できる。したがって、
図13に破線で模式的に示すように、第1T字状部31tおよび第2T字状部32tのそれぞれは、基板130Bに発光素子120を実装した際に発光素子120に重ならない。換言すれば、第1T字状部31tは、第1配線31Uと発光素子120の第1電極21との間の電気的および機械的な接続には実質的に寄与せず、また、第2T字状部32tは、第3配線33Uと発光素子120の第3電極23との間の電気的および機械的な接続には実質的に寄与しない。なお、本明細書における「ランド」には、基材30の上面30a上の配線のうち、発光素子の電極との間の電気的および機械的な接続に実質的に寄与しない、第1T字状部31tおよび第2T字状部32tのような付加的な構造は含まれない。
【0058】
図14は、基材上の配線の形状に関する他の例を示す。
図4および
図5に示す基板130と比較して、
図14に示す基板130Cは、第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tに代えて、第1配線31W、第2配線32Wおよび第3配線33Wを有する。
【0059】
これまでに説明した例と同様に、第1配線31W、第2配線32Wおよび第3配線33Wは、それぞれ、第1ランド31g、第2ランド32gおよび第3ランド33gを含んでいる。ただし、
図14に示す例では、第1ランド31gおよび第3ランド33gの形状が、X方向において基材30の外縁に向かって幅の狭まる台形状とされている。また、第2ランド32gの形状は、基材30の上面30aの長方形状の長辺に向かってX方向における幅が小さくされた多角形状とされている。あるいは、これとは逆に、第1ランド31g、第2ランド32gまたは第3ランド33gの形状として、基材30の外縁に向かって拡がる形状も採用し得る。このように、基材30上の各配線のランドの形状は、長方形状に限定されない。
【0060】
以下、発光装置100中の各部材の詳細を説明する。
【0061】
[基板130]
基板130の基材30は、その上面30aに第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tが配置される概ね直方体状の絶縁部材である。X方向(ここでは上面30aの長方形状の長手方向)における基材30の寸法は、例えば、1800μm以上5000μm以下の範囲である。Y方向における基材30の寸法は、例えば、400μm以上800μm以下の範囲である。Z方向における基材30の寸法は、例えば、200μm以上1000μm以下の範囲である。
【0062】
基材30の材料の例は、樹脂、セラミックスまたはガラスなどである。基材30の材料として、例えば、ビスマレイミドトリアジン(BT)を適用し得る。基材30は、繊維強化樹脂などの複合材料から形成されてもよく、例えばガラスエポキシ基板を基材30に適用してもよい。
【0063】
図2および
図5に例示するように、基板130には、それぞれが発光装置100の背面100rと底面100mとに開口する複数の凹部34が設けられ得る。凹部34のそれぞれは、発光装置100を配線基板に実装する際にハンダなどの接合部材を配置する空間となる。ただし、このような凹部34が省略されることもあり得る。
【0064】
凹部34の個数は、典型的には、2以上である。
図2および
図5に示す例では、基板130が背面配線31R~33Rを含むことに対応して、合計で3つの凹部が基材30に設けられている。
図2および
図5に示す例において、これら3つの凹部は、X方向に関し、基材30の中央に対称な配置を有する。
【0065】
上述したように、基板130は、背面配線31R~33Rに加えて、基材30の上面30aに位置する第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33Tを有する。第1配線31T、第2配線32Tおよび第3配線33T、ならびに、背面配線31R、背面配線32Rおよび背面配線33Rの材料としては、銅、鉄、ニッケル、タングステン、クロム、アルミニウム、銀、白金、金、チタン、パラジウム、ロジウム、または、これらの1種以上を含有する合金を用いることができる。放熱性の観点からは、これらの配線の材料に銅または銅合金を適用することが有利である。基材30の上面30a側の配線および/または背面配線は、単層膜でも積層膜でもよい。これら配線の最表面が、銀、白金、アルミニウム、ロジウムもしくは金、または、これらの1種以上を含有する合金であると、ハンダに対する良好な濡れ性を得られるので有益である。
【0066】
図3を参照しながら説明したように、基板130は、基材30の内部に配置された複数の導電部をさらに有する。
図15は、基板130から基材30と絶縁層180とを取り除いた構造を示す。
図15に示すように、第1導電部31Vは、第1配線31Tを背面配線31Rに電気的に接続する。また、第2導電部32Vは、第2配線32Tを背面配線32Rに電気的に接続し、第3導電部33Vは、第3配線33Tを背面配線33Rに電気的に接続する。
図15から理解されるように、基材30内部の第1導電部31V~第3導電部33Vは、いずれも、背面視において基材30の凹部に重ならない位置に設けられ得る。
【0067】
第1導電部31V~第3導電部33Vのそれぞれは、基材30に設けられた貫通孔30h内部の全体を占める導電部材であってもよいし、
図3に例示する構成のように、貫通孔30hの内側面に配置された導電膜36と、充填部材38との組み合わせであってもよい。貫通孔30hの内側面を覆う導電膜には、例えば、基材30の上面30a上の配線と同様の材料を適用できる。充填部材38の例は、エポキシ樹脂などの絶縁材料である。
【0068】
図2に示すように、基板130は、基材30の上面30aとは反対側に位置する下面上に絶縁層180を有し得る。絶縁層180の材料としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂が挙げられる。いわゆるソルダーレジストを絶縁層180に用いてもよい。
図2に模式的に示すように、絶縁層180は、基材30の下面上の背面配線31R~33Rのそれぞれの一部を覆う形状を有する。
【0069】
[発光素子120]
図16は、発光素子120を下面120b側から見た外観の一例を示す。
図17は、発光素子120を構成する各部材の積層構造を模式的に示す。
図18は、
図16および
図17のXVIII-XVIII線断面を模式的に示す。
【0070】
発光素子120は、素子基板10と、素子基板10上に配置された半導体積層体90とを有する。素子基板10の材料の典型例は、サファイアである。
【0071】
本開示の典型的な実施形態において、半導体積層体90は、発光ピーク波長が互いに異なる2つの発光構造を含む。
図18に例示する構成において、半導体積層体90は、素子基板10上の第1発光構造91と、第1発光構造91の下方に位置する第2発光構造92とを含む。この例では、第1発光構造91と第2発光構造92との間にトンネル接合層94が介在されている。
【0072】
半導体積層体90は、窒化物半導体を含有していてもよい。本明細書における「窒化物半導体」は、例えば一般式InxAlyGa1-x-yN(0≦x≦1,0≦y≦1,x+y≦1)で表される半導体を指す。なお、本明細書における「窒化物半導体」には、上記一般式においてN(窒素)以外のV族元素をさらに含む化合物、および、導電型などの各種の物性を制御するための各種の元素がさらに添加された化合物も含まれるように解釈される。
【0073】
第1発光構造91は、素子基板10上に配置された第1導電型の第1半導体層11と、第2導電型の第2半導体層13と、第1半導体層11と第2半導体層13との間に位置する第1活性層12とを有する。第2発光構造92は、第1導電型の第3半導体層15と、第2導電型の第4半導体層17と、第3半導体層15と第4半導体層17との間に位置する第2活性層16とを有する。トンネル接合層94は、第2半導体層13と第3半導体層15との間に設けられる。第1導電型は、例えばn型であり、その場合、第2導電型は、p型である。以下、第1発光構造91の第1半導体層11を第1n型半導体層11と呼び、第2半導体層13を第1p型半導体層13と呼ぶことがある。また、第2発光構造92の第3半導体層15を第2n型半導体層15と呼び、第4半導体層17を第2p型半導体層17と呼ぶことがある。
【0074】
第1n型半導体層11および第2n型半導体層15は、n型不純物として例えばSiまたはGeを含有する。第1p型半導体層13および第2p型半導体層17は、p型不純物として例えばMgを含有する。第1活性層12および第2活性層16は、例えば、複数の障壁層と、複数の井戸層とを含むMQW(Multiple Quantum well)構造を有する。
【0075】
本開示の典型的な実施形態において、第1活性層12から出射される第1の光の発光ピーク波長は、第2活性層16から出射される第2の光の発光ピーク波長と異なる。ここで、第1の光の発光ピーク波長が、第2の光の発光ピーク波長よりも短いと有益である。例えば、第1の光の発光ピーク波長が430nm以上480nm以下の範囲にあり、第2の光の発光ピーク波長が500nm以上540nm以下の範囲にあってもよい。この場合、第1活性層12からは青色光が得られ、第2活性層16からは緑色光が得られる。第1活性層12からの第1の光および第2活性層16からの第2の光は、主に素子基板10を介して半導体積層体90の外部に取り出される。第1の光を発する第1発光構造91を、素子基板10と第2発光構造92との間に配置することにより、第1発光構造91による第2の光の吸収を抑制できる。
【0076】
図18に例示するように、第1発光構造91と第2発光構造92との間には、トンネル接合層94が介在させられ得る。トンネル接合層94は、第1p型半導体層13よりも高いp型不純物濃度を有するp型層と、第2n型半導体層15よりも高いn型不純物濃度を有するn型層のうち少なくとも1つを含む。
【0077】
図18に例示する構成において、発光素子120は、第1n型半導体層11に電気的に接続された第1導電部41と、第2n型半導体層15に電気的に接続された第2導電部42と、第2p型半導体層17上の中間電極44と、中間電極44に電気的に接続された第3導電部43とを有する。また、発光素子120は、第1絶縁膜61と、第2絶縁膜62と、カバー膜63とを有する。
【0078】
カバー膜63は、SiN膜、SiO2膜などの絶縁膜であり、中間電極44の側面および上面を覆うことにより中間電極44を保護する。第1絶縁膜61は、半導体積層体90およびカバー膜63を覆う。第2絶縁膜62は、第1絶縁膜61、第1導電部41、第2導電部42および第3導電部43を覆う、これらの部材の保護膜である。第1絶縁膜61および第2絶縁膜62のそれぞれの例は、SiN膜、SiO2膜などである。
【0079】
第1導電部41の一部は、第1絶縁膜61に設けられた第1開口61hを介して第1n型半導体層11に接しており、第2導電部42の一部は、第1絶縁膜61に設けられた第2開口61kを介して第2n型半導体層15に接している。第3導電部43は、第1絶縁膜61上に位置し、第1絶縁膜61に設けられた第3開口61mおよびカバー膜63に設けられた第4開口63hを介してその一部が中間電極44に接することにより、中間電極44に電気的に接続される。
【0080】
中間電極44は、第2p型半導体層17上に位置し、第2p型半導体層17と電気的に接続されている。中間電極44の材料の例は、Ag、Al、Rh、Ni、Ti、Ptなどの金属、または、これらの金属の1種以上を含む合金である。上述の第3導電部43は、中間電極44を介して第2p型半導体層17に電気的に接続される。中間電極44は、第2p型半導体層17よりも低い抵抗率を有し、第3導電部43を介して供給される電流を第2p型半導体層17の面内に拡散させる機能を有する。
【0081】
発光素子120は、さらに、第2絶縁膜62上に配置された、第1電極21、第2電極22および第3電極23を有する。第1電極21は、その一部が第2絶縁膜62の第5開口62hを介して第1導電部41に接することにより、第1導電部41に電気的に接続される。第1導電部41は、第1電極21を第1n型半導体層11に電気的に接続する。第2電極22は、その一部が第2絶縁膜62の第6開口62kを介して第3導電部43に接することにより、第3導電部43に電気的に接続される。第3導電部43は、中間電極44を介して第2電極22を第2p型半導体層17に電気的に接続する。第3電極23は、その一部が第2絶縁膜62の第7開口部62mを介して第2導電部42に接することにより、第2導電部42に電気的に接続される。第2導電部42は、第3電極23を第2n型半導体層15に電気的に接続する。
【0082】
第1電極21、第2電極22および第3電極23は、単層構造を有していてもよいし、複数の層を含む積層構造を有していてもよい。例えば、素子基板10に近い側から、Ti層、Pt層およびAu層がこの順に積層された積層構造を第1電極21、第2電極22および第3電極23の少なくとも1つに適用してもよい。
【0083】
以下に説明するように、
図18に例示する構成によれば、第1電極21、第2電極22および第3電極23のうち電圧を印加する電極の組み合わせに応じて、発光素子120から得られる光の色度調整が可能である。
【0084】
例えば、第3電極23と第1電極21との間に電圧を印加することにより、第1活性層12を選択的に発光させることができる。このとき、発光素子120からは、第1活性層12からの例えば青色光が取り出される。第2電極22と第3電極23との間に電圧を印加すると、第2活性層16を選択的に発光させることができる。このとき、発光素子120からは、第2活性層16からの例えば緑色光が取り出される。第2電極22と第1電極21との間に電圧を印加してもよい。この場合、第2活性層16と第1活性層12との両方に順方向電圧を印加でき、第2活性層16および第1活性層12の両方が発光する。このとき、発光素子120からは、第1活性層12からの例えば青色光と第2活性層16からの例えば緑色光とが混合された光が取り出される。なお、このとき、トンネル接合層94におけるトンネル接合(pn接合)には逆方向のバイアスがかかることになるが、トンネル効果により電流を流すことが可能である。
【0085】
第2電極22と第1電極21との間に電圧を印加するだけでなく、第3電極23と第1電極21との間にも電圧を印加してもよい。第2電極22と第1電極21との間に電圧を印加し、第1活性層12および第2活性層16の両方を発光させるとともに、第1活性層12および第2活性層16のそれぞれに供給する電流値を個別に調整したり、オンオフのデューティー比を制御したりすることにより、第1活性層12の発光と第2活性層16の発光のとの間のバランスを調整し得る。すなわち、発光素子120からの光の色度を調整可能である。
【0086】
図16に示すように、第1電極21、第2電極22および第3電極23は、素子基板10の長方形状の長手方向(X方向)に沿って互いに間隔をあけて配置される。
図16に示す例では、第1電極21の第2方向における重心および第3電極23の第2方向における重心は、第2電極22の第2方向における重心を通り第1方向に平行な直線上に位置する。
図16に例示するような電極の配置によれば、第1電極21、第2電極22および第3電極23のうちの2つまたは3つを素子基板10の長方形状の短手方向(Y方向)に沿って配置する構成と比較して、第1電極21、第2電極22および第3電極23の面積の縮小を回避できる。すなわち、第1電極21と第1接合部材161との間、第2電極22と第2接合部材162との間、および、第3電極23と第3接合部材163との間の界面の面積を拡大でき、発光素子120と基板130との間の結合を強固として、発光装置100の信頼性向上の効果が期待できる。また、接続抵抗低減の効果も得られる。
【0087】
第1電極21、第2電極22および第3電極23のそれぞれの平面視における形状は、長方形状に限定されない。
図16に例示する構成において、第2電極22は、中央部がくびれた形状を有している。より詳細には、
図16に示す例において、第2電極22の外形は、第2電極22のX方向における中央部に、それぞれが第2電極22の中心に向かってくぼむ2つの凹部22rを有している。
【0088】
電極の外形に例えば凹部22rのようなくぼんだ部分を設けることにより、電極の外形を直線状の辺のみの組み合わせ(例えば長方形)とした場合と比較して、発光素子の電極と基板の配線との間に配置される接合部材の表面積を拡大できる。接合部材の表面積の拡大により、セルフアラインメントの効果をより強力に発揮させることが可能になる。
【0089】
また、
図16に示す例では、第1電極21の外形は、第2電極22側の端部に、それぞれが四分円状を有し、Y方向において互いに対向する2つの凹部21rを有している。換言すれば、
図16に例示する構成において、第1電極21の外形は、第2電極22側に、Y方向における幅が減少する部分を含んでいる。同様に、
図16に示す例では、第3電極23の外形も、第2電極22側の端部に2つの凹部23rが設けられることにより、第2電極22側に、Y方向における幅が減少する部分を有している。このように、電極の外形の第2電極22側に、Y方向における幅が減少する部分を設けることにより、電極の外周の長さが増大し、接合部材の表面積が拡大され得る。その結果、より強力なセルフアラインメントの効果を発揮させることが可能になる。
【0090】
図16に示す例では、凹部21r、凹部22rおよび凹部23rのそれぞれは、X方向に平行な直線に関して対称な配置を有する。ただし、凹部21r、凹部22rおよび凹部23rの配置は、この例に限定されない。例えば、素子基板10の長方形状の一方の長辺に近い位置にX方向に沿って凹部21r、凹部22rおよび凹部23rを1つずつ配置することも可能である。なお、この例では、第1電極21の外形は、第2電極22とは反対側の端部に凹部21qをさらに有している。凹部21qの有無により、第1電極21および第3電極23のそれぞれの極性を識別できる。
【0091】
[第1接合部材161、第2接合部材162、第3接合部材163]
図3に示すように、第1接合部材161は、発光素子120の第1電極21と第1配線31Tの第1ランド31gとの間に配置され、第1電極21を第1ランド31gに電気的および機械的に接続する。同様に、第2接合部材162は、第2電極22を第2ランド32gに電気的および機械的に接続し、第3接合部材163は、第3電極23を第3ランド33gに電気的および機械的に接続する。典型的な実施形態において、第1接合部材161、第2接合部材162および第3接合部材163は、ハンダおよびフラックスを含有する。ハンダとしては、錫-銀-銅(SAC)系または錫-ビスマス(SnBi)系などのハンダを適用できる。
【0092】
[透光性部材150]
透光性部材150は、発光素子120を保護する機能を有する板状の部材であり、その上面は、発光装置100の光取出し面150aを構成する(例えば
図1参照)。透光性部材150は、典型的には、発光素子120の発光ピーク波長を有する光に対して、60%以上の透過率を有する。
【0093】
透光性部材150の母材の例は、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、変性エポキシ樹脂、ユリア樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート樹脂、トリメチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂もしくはフッ素樹脂、または、これらの2種以上を含む樹脂である。透光性部材150の母材に、蛍光体などの波長変換部材を含有させてもよい。
【0094】
図3に例示する構成において、透光性部材150は、保護層52と、波長変換層54とを含んでいる。保護層52は、波長変換層54よりも基板130から遠くに位置する。つまり、この例では、波長変換層54は、発光素子120と保護層52との間に位置する。透光性部材150は、波長変換層54よりも基板130側に、波長変換部材を含まない透光性の層を含んでいてもよい。
【0095】
波長変換層54は、波長変換部材を含有する板状の部材であり、入射した光の一部を波長変換して、波長の異なる光を出射する。波長変換層54の母材に含有させる波長変換部材としては、公知の蛍光体を用いることができる。蛍光体としては、イットリウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Y3(Al,Ga)5O12:Ce)、ルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Lu3(Al,Ga)5O12:Ce)、テルビウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(例えば、Tb3(Al,Ga)5O12:Ce)、CCA系蛍光体(例えば、Ca10(PO4)6Cl2:Eu)、SAE系蛍光体(例えば、Sr4Al14O25:Eu)、クロロシリケート系蛍光体(例えば、Ca8MgSi4O16Cl2:Eu)、酸窒化物系蛍光体、窒化物系蛍光体、フッ化物系蛍光体、ペロブスカイト構造を有する蛍光体(例えば、CsPb(F,Cl,Br,I)3)、または、量子ドット蛍光体(例えば、CdSe、InP、AgInS2またはAgInSe2)などを用いることができる。酸窒化物系蛍光体の代表例は、βサイアロン系蛍光体(例えば、(Si,Al)3(O,N)4:Eu)およびαサイアロン系蛍光体(例えば、Ca(Si,Al)12(O,N)16:Eu)などである。窒化物系蛍光体の代表例は、SLA系蛍光体(例えば、SrLiAl3N4:Eu)、CASN系蛍光体(例えば、CaAlSiN3:Eu)およびSCASN系蛍光体(例えば、(Sr,Ca)AlSiN3:Eu)などである。フッ化物系蛍光体の代表例は、KSF系蛍光体(例えば、K2SiF6:Mn)、KSAF系蛍光体(例えば、K2Si0.99Al0.01F5.99:Mn)およびMGF系蛍光体(例えば、3.5MgO・0.5MgF2・GeO2:Mn)などである。なお、波長変換層54の母材として、ガラスを選択してもよい。
【0096】
波長変換層54には、上述した蛍光体のうちの1種を単体で含有させてもよいし、これらの蛍光体のうち2種以上を組み合わせて含有させてもよい。波長変換層54に2種以上の蛍光体を含有させる場合、それら蛍光体のうち、より短波長の光を放出する蛍光体が発光素子120の近くに位置するように、波長変換層54中の波長変換部材の分布を調整すると有益である。あるいは、波長変換層を2層として、各層に互いに異なる種類の蛍光体を含有させてもよい。このとき、励起により放出する光がより短波長側にある蛍光体を、発光素子120に近い側の層に含有させると有益である。
【0097】
波長変換層54の材料に、母材とは屈折率の異なる材料を分散させることにより、波長変換層54に光拡散の機能を付与してもよい。例えば、波長変換層54が光拡散材を含んでいてもよい。
【0098】
保護層52は、透光性部材150において発光素子120とは反対側の最表面に位置する透光性の層である。保護層52の上面は、透光性部材150の光取出し面150aを構成し、
図3に示す例において、保護層52の上面は、発光装置100の正面100fに整合している。
【0099】
保護層52の母材には、シリコーン樹脂またはエポキシ樹脂など、波長変換層54の母材と同様の材料を用いることができる。保護層52に効率的に光を導入する観点からは、保護層52の材料が波長変換層54の材料よりも高い屈折率を有すると有益である。母材とは異なる屈折率を有する光拡散材を母材中に分散させることにより、保護層52に光拡散機能を与えてもよい。
【0100】
[導光部材170]
図3に例示する構成において、発光装置100は、透光性の導光部材170をさらに有する。導光部材170は、発光素子120の、上面120aと下面120bとの間に位置する側面120cに接する部分を少なくとも含む。
図3に示す例では、導光部材170により、発光素子120の上面120aの上方に透光性部材150が固定されている。導光部材170は、発光素子120の上面120aと波長変換層54との間に位置する部分を含んでいてもよい。
【0101】
導光部材170の外面170cの断面視における形状は、曲線状または直線状などであり得る。外面170cの断面視における形状は、折れ線状、発光素子120に近づく方向に凸の曲線状、発光素子120から離れる方向に凸の曲線状などであってもよい。
【0102】
[光反射性部材140]
光反射性部材140は、基板130上において、発光素子120と、透光性部材150とを取り囲む。なお、本明細書において、「光反射性」とは、発光素子120の発光ピーク波長における反射率が60%以上であることを指す。光反射性部材140の、発光素子120の発光ピーク波長における反射率が70%以上であるとより有益であり、80%以上であるとさらに有益である。
【0103】
光反射性部材140の材料としては、例えば、光拡散材が分散された樹脂材料が挙げられる。光反射性部材140の母材としては、例えば、シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ユリア樹脂、ポリカーボネート樹脂、フェノール樹脂、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、フッ素樹脂もしくはこれらの変性樹脂、または、これらの2種以上を含む材料を用いることができる。光拡散材としては、母材よりも高い屈折率を有する、無機材料もしくは有機材料の粒子を用いることができる。光拡散材の例は、酸化チタン、酸化マグネシウム、二酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライト、酸化ニオブ、硫酸バリウム、酸化ケイ素、各種希土類酸化物(例えば、酸化イットリウム、酸化ガドリニウム)などの粒子である。光反射性部材140は、白色を呈し得る。
【0104】
図3に示すように、光反射性部材140は、透光性部材150の光取出し面150aを除き、基材30の上面30a上の構造を覆う。これらの図に例示する構成において、光反射性部材140は、保護層52の側面52cおよび波長変換層54の側面54cに接している。また、光反射性部材140の少なくとも一部は、発光素子120の側面120cに対向する。換言すれば、光反射性部材140の少なくとも一部は、発光素子120の側面120cに接し得る。
【0105】
光反射性部材140の一部は、発光素子120と基板130との間にも位置し得る。発光素子120の下面120b側に光反射性部材140を配置することにより、発光素子120の下面120b側からの光の出射を抑制でき、光の利用効率向上の効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本開示の実施形態は、各種照明用光源、車載用光源、ディスプレイ用光源などに有用であり、例えば、いわゆるサイドビュー型の発光装置として利用できる。本開示の実施形態は、特に、液晶表示装置用バックライトユニットに有利に適用できる。
【符号の説明】
【0107】
100 発光装置
120 発光素子
130、130B、130C 基板
140 光反射性部材
150 透光性部材
161 第1接合部材
162 第2接合部材
163 第3接合部材
21 第1電極
22 第2電極
23 第3電極
30 基材
31T、31U、31W 第1配線
31g (第1配線の)第1ランド
31p (第1配線の)第1凸部
32T、32W 第2配線
32g (第2配線の)第2ランド
32p (第2配線の)第2凸部
33T、33U、33W 第3配線
33g (第3配線の)第3ランド
33p (第3配線の)第3凸部