(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】モノリス孔充填型相分離構造体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/26 20060101AFI20240612BHJP
C08G 59/18 20060101ALI20240612BHJP
C08F 2/44 20060101ALI20240612BHJP
C08F 283/10 20060101ALI20240612BHJP
C08J 9/40 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
C08J9/26 CFC
C08G59/18
C08F2/44 C
C08F283/10
C08J9/40 CFF
C08J9/40 CEZ
(21)【出願番号】P 2020036360
(22)【出願日】2020-03-04
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2019064155
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 1.予稿集への掲載 1-1.刊行物:第31回高分子ゲル研究討論会講演要旨集 第141頁 1-2.タイトル:エポキシモノリスを応用した共連続架橋体の作製と特性解析 1-3.発行日:令和2年1月9日 2.口頭発表 2-1.集会名:第31回高分子ゲル研究討論会 2-2.発表タイトル:エポキシモノリスを応用した共連続架橋体の作製と特性解析 2-3.発表日:令和2年1月17日
(73)【特許権者】
【識別番号】519135633
【氏名又は名称】公立大学法人大阪
(73)【特許権者】
【識別番号】390028897
【氏名又は名称】阪本薬品工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】松本 章一
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 祥仁
(72)【発明者】
【氏名】谷畑 由紀子
【審査官】増永 淳司
(56)【参考文献】
【文献】特表2006-504848(JP,A)
【文献】特開2013-209509(JP,A)
【文献】特開2014-088491(JP,A)
【文献】国際公開第2006/073173(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/078650(WO,A1)
【文献】特開2010-207777(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0321191(US,A1)
【文献】特表2004-503776(JP,A)
【文献】特開2015-121539(JP,A)
【文献】特表2004-507769(JP,A)
【文献】特開2017-57373(JP,A)
【文献】特開2009-19187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 9/26
C08G 59/18
C08F 2/44
C08F 283/10
C08J 9/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続した骨格と貫通孔を有するモノリス構造体からなり、モノリス構造体は硬化性モノマーaの硬化物からなり、前記モノリス構造体の空隙内部に硬化性モノマーbの硬化物が充填されていることを特徴とする前記モノリス孔充填型相分離構造体。
【請求項2】
硬化性モノマーaおよび硬化性モノマーbがそれぞれエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、メルカプト基、ビニル基を有する化合物からなる群より選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載のモノリス孔充填型相分離構造体。
【請求項3】
硬化性モノマーaがエポキシ基を有する化合物であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のモノリス孔充填型相分離構造体。
【請求項4】
硬化性モノマーbがエポキシ基であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載のモノリス孔充填型相分離構造体。
【請求項5】
硬化性モノマーaとポロゲンを含有する混合物を硬化し、モノリス構造体を作製する工程と、
モノリス構造体に硬化性モノマーbを含浸する工程と、
硬化性モノマーbを硬化する工程と、
を有している請求項1~4のいずれかに記載のモノリス孔充填型相分離構造体の製造方法。
【請求項6】
請求項1~4のいずれかに記載のモノリス孔充填型相分離構造体からなる成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はモノリス構造体の空隙内部を充填したモノリス孔充填型相分離構造体に関する。
【背景技術】
【0002】
モノリス構造体とは、連続した骨格と貫通孔を有する共連続多孔体であり、次世代型の高機能性多孔材料として多くの用途で検討されている。例えば、シリカベースの無機系モノリスは、高速液体クロマトグラフィー用カラム充填剤として提案されている(特許文献1)。また、(メタ)アクリロイル基やエポキシ基を有するポリマーベースのモノリスは、モノリス骨格表面に触媒金属を担持させたカラムリアクター(特許文献2)やリチウムイオン二次電池用セパレーター(特許文献3)が提案されている。さらに、エポキシモノリスを異種材料の接合に利用した技術(特許文献4)や、モノリスの空隙に撥水性充填剤を充填した撥水性構造体(特許文献5)なども提案されている。
【0003】
ポリマーベースのモノリスは、シリカベースのモノリスに比べて、pH安定性や官能基修飾による機能化が容易であるといった利点があり、様々な化学構造のポリマーモノリスについて、さらなる開発と応用が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2006/126387号
【文献】特開2010-207777号公報
【文献】特開2013-004210号公報
【文献】特開2018-058336号公報
【文献】特開2013-209509号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、モノリス構造体の新たな用途に適用する材料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、モノリス構造体の新たな用途に適用する材料を見出すべく鋭意検討し、モノリス構造体の空隙内部に硬化性モノマーを充填して硬化させることで、全く新規の構造体であるモノリス孔充填型相分離構造体が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
即ち、本発明は、連続した骨格と貫通孔を有するモノリス構造体からなり、モノリス構造体は硬化性モノマーaの硬化物からなり、前記モノリス構造体の空隙内部に硬化性モノマーbの硬化物が充填されていることを特徴とする前記モノリス孔充填型相分離構造体に関するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明のモノリス孔充填型相分離構造体は、モノリス構造体に充填する硬化性モノマーの機能によって影響を受けるため、充填するモノマーを替えることにより様々な機能を有する構造体、およびそれを含有する成形体を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施例1、実施例2、比較例1の応力-ひずみ曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、実施形態に基づいて本発明を説明するが、本発明の範囲はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を損なわない範囲で変更が加えられた形態も本発明に属する。なお、範囲を表す「~」は上限と下限を含むものである。
【0011】
本発明のモノリス孔充填型相分離構造体とは、硬化性モノマーaの硬化物からなるモノリス構造体の空隙内部に硬化性モノマーbを充填し、充填後に硬化させることにより硬化性モノマーaの硬化物と硬化性モノマーbの硬化物同士が共連続相となっている構造体のことである。このモノリス孔充填型相分離構造体は、硬化性モノマーbによりモノリス構造体の空隙が全て埋まっていても、空隙が一部残っていても構わない。
【0012】
モノリス構造体の作製方法としては、ミクロ相分離を利用する方法が主流であり、重合誘起相分離法、非溶媒誘起相分離法、熱誘起相分離法等が挙げられるが、本発明におけるモノリス構造体は、当該方法で作製されるものに限定されない。重合誘起相分離法を例に挙げると、硬化性モノマーa、ポロゲン、必要に応じて硬化剤を所定量入れ、混合溶液を作製する。混合溶液を基板に塗布し、オーブンで40℃~200℃、10分~10時間、好ましくは100~150℃、20分~2時間加熱する。その後、イオン交換水中で超音波洗浄を行い、基板からモノリスを剥離する。そして、イオン交換水で洗浄した後、乾燥を行うことでモノリス構造体を作製することができる。なお、作製時に使用する基板の種類、親水化処理や基板からの剥離の有無は特に限定されない。また、作製したモノリス構造体のスキン層の有無についても特に限定されない。
【0013】
本発明に係るモノリス構造体のアミン活性水素のエポキシ基に対する比であるγ値(2[NH2]/[epoxy])は、孔を形成することができれば特に限定されないが、通常0.1~4.0に設定される。
【0014】
モノリス孔充填型相分離構造体は、モノリス構造体の孔に硬化性モノマーbを含浸させながら充填し、硬化させることで得られる。具体的には、モノリス構造体に、硬化性モノマーbと硬化剤を混合した溶液を真空引きしながら含浸し、80~250℃で加熱硬化する。なお、本発明におけるモノリス孔充填型相分離構造体は、当該方法で作製されるものに限定されない。
【0015】
モノリス構造体を形成する硬化性モノマーaとしては、モノリス構造体を形成できるものであれば特に限定されないが、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、メルカプト基、ビニル基を有する化合物等が挙げられる。
【0016】
エポキシ基を有する化合物としては例えば、n-ブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o-クレジルグリシジルエーテル、m,p-クレジルグリシジルエーテル、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル等の単官能エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA-アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF-アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性 3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0017】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系アルキル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、アルコキシシリル基含有(メタ)アクリレート、エチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート等のグリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、キシリトール等の多価アルコールの(メタ)アクリレート、及び多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマー等が挙げられる。特に、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0018】
イソシアネート基を有する化合物としては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、2,4,6-トリメチルフェニル-1,3-ジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピルフェニル-1,3-ジイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0019】
メルカプト基を有する化合物としては、ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、ヘキサンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、エタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、2,2’-(エチレンジチオ)ジエタンチオール、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、オクタンジオールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ビス(3-メルカプト-2-メチルプロピル)フタレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ビス(1-メルカプトエチル)フタレート、ビス(2-メルカプトプロピル)フタレート、ビス(3-メルカプトブチル)フタレート、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4-メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(4-メルカプトイソバレレート)、ジエチレングリコールビス(4-メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4-メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4-メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3-メルカプトバレレート)等の1分子中に2個の2級のメルカプト基を有する化合物や、エチレングリコールビス(2-メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(4-メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトバレレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプト-2-プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4-メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトイソブチレート)等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0020】
ビニル基を有する化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド等のスチレン系モノマー、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等、フタル酸ジアリル、トリアリルイソシアネート、アリルアルコール、アクリル酸アリルなどのアリル系モノマーが挙げられる。また、ジビニルベンゼンなどの2つ以上のビニル基を有する化合物を用いても良い。また、末端や側鎖にビニル基を含むポリマーあるいはオリゴマーを用いても良い。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0021】
モノリス構造体を形成する際、必要に応じて硬化性モノマーa以外の化合物を反応させることができる。硬化性モノマーa以外の化合物としては、例えばヒドロキシル基を有する化合物等が挙げられる。ヒドロキシル基を有する化合物は特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルキレンオキサイド開環重合物、グリセリンアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリンアルキレンオキサイド付加物などの多価アルコールアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0022】
モノリス構造体を形成する硬化性モノマーaを硬化させるため、必要に応じて硬化剤を使用してもよい。硬化性モノマーaの硬化剤としては、顕在性硬化剤、潜在性硬化剤の何れも用いることができる。顕在性硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、触媒型のカチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤などが挙げられる。また、潜在性硬化剤としては加熱により硬化作用を発揮する通常の硬化剤で、一般に80~250℃の温度範囲で活性化するものが使用できる。これらの硬化剤は、単独で用いても2種類以上を併用しても良い。
【0023】
酸無水物系硬化剤の具体例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート等が挙げられる。
【0024】
ポリフェノール系硬化剤の具体例としては、各種フェノールを原料とするフェノールノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、テルペン骨格含有フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。上記で使用される各種フェノールとしてはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAP、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル-4,4’-ビフェノール、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン、1,1-ジ-4-ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ナフトール類等が挙げられる。
【0025】
アミン系硬化剤は常温型および加熱型硬化剤ともに使用できる。本発明におけるアミン系硬化剤の具体例としては、ポリアミノアミド、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシブチレンジアミン、ポリオキシペンチレンジアミン、ポリオキシエチレントリアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシブチレントリアミン、ポリオキシペンチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m-キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、ラロミンC-260等の脂肪族アミンや、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルベンゼン、N-アミノエチルピペラジン等の芳香族アミンが挙げられる。また、これらの変性物、例えばMXDA変性物、IPDA変性物等を用いても良い。
【0026】
カチオン重合開始剤としては、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウムなどから選ばれる少なくとも1種のカチオンと、BF4、PF6、SbF6等から選ばれる少なくとも1種のアニオンから構成されるオニウム塩等が挙げられる。このようなカチオン重合開始剤は単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0027】
ラジカル重合開始剤の具体例としては、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンジルケタール類、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のα-ヒドロキシアセトフェノン類、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のアミノアセトフェノン類、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、モノアシルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0028】
潜在性硬化剤の具体例としては、ジシアンジアミド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、2-n-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N-ジアルキル尿素誘導体、N,N-ジアルキルチオ尿素誘導体、メラミン誘導体等が挙げられる。
【0029】
ポロゲンは、硬化性モノマーaを硬化させる際に硬化性モノマーaから分離することで、孔を形成しうる材料であることが好ましい。硬化性モノマーa及び硬化剤を溶かすことができ、硬化性モノマーaと硬化剤が重合した後、重合物と相分離するなどして分離可能な材料を使用できる。具体的には、メチルセロソルブエチルセロソルブのようなセロソルブ類、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等のエステル類、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のグリコール類、ポリオキシエチレンモノメチルエーテル、ポリオキシエチレンジメチルエーテル等のエーテル類等が挙げられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら具体的なポロゲンのうち、分子量600以下のポリエチレングリコールを用いることが好ましい。また、ポロゲンの使用量は、硬化性モノマーa100重量部に対して、10~400重量部であることが好ましい。
【0030】
モノリス構造体を形成する硬化性モノマーbは、モノリス構造体の空隙内部に充填できるものであれば特に限定されないが、例えば、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、イソシアネート基、メルカプト基、ビニル基を有する化合物等が挙げられる。また、これらの化合物を併用して充填することもできる。中でも、モノリス構造体の空隙内部への充填が容易である点から、エポキシ基、又は(メタ)アクリロイル基を有する化合物を用いることが好ましい。
【0031】
エポキシ基を有する化合物としては例えば、n-ブチルグリシジルエーテル、高級アルコールグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、2-エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、o-クレジルグリシジルエーテル、m,p-クレジルグリシジルエーテル、o-フェニルフェノールグリシジルエーテル等の単官能エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA-アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールF-アルキレンオキサイド付加体のジグリシジルエーテル、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールA型エポキシ樹脂、テトラメチルビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ε-カプロラクトン変性 3’,4’-エポキシシクロヘキシルメチル 3,4-エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、ヘキサヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル等の多官能エポキシ樹脂が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0032】
(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、2-エチルへキシル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート等の脂環式アルキル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の芳香族系アルキル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート等のアルコキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、フタル酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のカルボキシル基含有(メタ)アクリレート、アルコキシシリル基含有(メタ)アクリレート、エチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールのジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールのジ(メタ)アクリレート等のグリコールのジ(メタ)アクリレート、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリスリトール、キシリトール等の多価アルコールの(メタ)アクリレート、及び多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等のオリゴマー等が挙げられる。特に、多価アルコールのアルキレンオキサイド付加物の(メタ)アクリレートが好ましい。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0033】
イソシアネート基を有する化合物としては、2,4-トルエンジイソシアネート、2,6-トルエンジイソシアネート、1,2-フェニレンジイソシアネート、1,3-フェニレンジイソシアネート、1,4-フェニレンジイソシアネート、クロロフェニレン-2,4-ジイソシアネート、2,4,6-トリメチルフェニル-1,3-ジイソシアネート、2,4,6-トリイソプロピルフェニル-1,3-ジイソシアネート、1,4-ナフタレンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート、2,2’-ジフェニルメタンジイソシアネート、3,3’-ジメチルジフェニルメタン-4,4’-ジイソシアネート、4,4’-ジフェニルエーテルジイソシアネート、3,3’-ジメトキシジフェニル-4,4’-ジイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート、クルードトリレンジイソシアネート等の芳香族ポリイソシアネート、1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、1,4-テトラメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチル-1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、デカメチレンジイソシアネート、リジンジイソシアネート等の脂肪族ポリイソシアネート、o-キシリレンジイソシアネート、m-キシリレンジイソシアネート、p-キシリレンジイソシアネート等の芳香脂肪族ポリイソシアネート、1,4-シクロヘキシルジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水素添加トルエンジイソシアネート、水素添加キシリレンジイソシアネート、水素添加ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環族ポリイソシアネート等が挙げられる。これらは単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0034】
メルカプト基を有する化合物としては、ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、ヘキサンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、エタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトアセテート)、2,2’-(エチレンジチオ)ジエタンチオール、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ブタンジオールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、オクタンジオールビス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ビス(3-メルカプト-2-メチルプロピル)フタレート、1,4-ビス(3-メルカプトブチリルオキシ)ブタン、ビス(1-メルカプトエチル)フタレート、ビス(2-メルカプトプロピル)フタレート、ビス(3-メルカプトブチル)フタレート、エチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトブチレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、オクタンジオールビス(3-メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトプロピオネート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトプロピオネート)、エチレングリコールビス(4-メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(4-メルカプトイソバレレート)、ジエチレングリコールビス(4-メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(4-メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(4-メルカプトバレレート)、エチレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、プロピレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、ジエチレングリコールビス(3-メルカプトバレレート)、ブタンジオールビス(3-メルカプトバレレート)、オクタンジオールビス(3-メルカプトバレレート)等の1分子中に2個の2級のメルカプト基を有する化合物や、エチレングリコールビス(2-メルカプトイソブチレート)、プロピレングリコールビス(2-メルカプトイソブチレート)、ジエチレングリコールビス(2-メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(2-メルカプトイソブチレート)、オクタンジオールビス(2-メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトアセテート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(2-メルカプトプロピオネート)、トリメチロールプロパントリス(4-メルカプトバレレート)、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトバレレート)、1,3,5-トリス(3-メルカプトブチルオキシエチル)-1,3,5-トリアジン-2,4,6(1H,3H,5H)-トリオン、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトアセテート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプト-2-プロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(4-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトバレレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(2-メルカプトイソブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプト-2-メチルプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトブチレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(4-メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトバレレート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(2-メルカプトイソブチレート)等が挙げられる。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0035】
ビニル基を有する化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルベンジルクロライド等のスチレン系モノマー、エチレン、プロピレン、1-ブテン、イソブテン等のα-オレフィン、ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系モノマー、塩化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、テトラフルオロエチレン等のハロゲン化オレフィン、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル等、フタル酸ジアリル、トリアリルイソシアネート、アリルアルコール、アクリル酸アリルなどのアリル系モノマーが挙げられる。また、ジビニルベンゼンなどの2つ以上のビニル基を有する化合物を用いても良い。また、末端や側鎖にビニル基を含むポリマーあるいはオリゴマーを用いても良い。これらは、単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0036】
硬化性モノマーbを硬化させる際、必要に応じて硬化性モノマーb以外の化合物を反応させることができる。硬化性モノマーb以外の化合物としては、例えばヒドロキシル基を有する化合物等が挙げられる。ヒドロキシル基を有する化合物は特に限定されないが、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、ポリグリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールなどの多価アルコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのアルキレンオキサイド開環重合物、グリセリンアルキレンオキサイド付加物、ポリグリセリンアルキレンオキサイド付加物などの多価アルコールアルキレンオキサイド付加物等が挙げられる。これらは単独で用いても2種以上併用しても良い。
【0037】
硬化性モノマーbを硬化させるため、必要に応じて硬化剤を使用してもよい。硬化性モノマーbの硬化剤としては、顕在性硬化剤、潜在性硬化剤の何れも用いることができる。顕在性硬化剤としては、酸無水物系硬化剤、ポリフェノール系硬化剤、アミン系硬化剤、触媒型のカチオン重合開始剤、ラジカル重合開始剤などが挙げられる。また、潜在性硬化剤としては加熱により硬化作用を発揮する通常の硬化剤で、一般に80~250℃の温度範囲で活性化するものが使用できる。これらの硬化剤は、単独で用いても2種類以上を併用しても良い。
【0038】
酸無水物系硬化剤の具体例としては、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルナジック酸無水物、水素化メチルナジック酸無水物、トリアルキルテトラヒドロ無水フタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸無水物、メチルシクロヘキセンテトラカルボン酸二無水物、無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、ドデセニル無水コハク酸、無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビスアンヒドロトリメリテート、グリセリンビス(アンヒドロトリメリテート)モノアセテート等が挙げられる。
【0039】
ポリフェノール系硬化剤の具体例としては、各種フェノールを原料とするフェノールノボラック樹脂、キシリレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック樹脂、ビフェニル骨格含有フェノールノボラック樹脂、フルオレン骨格含有フェノールノボラック樹脂、テルペン骨格含有フェノールノボラック樹脂等が挙げられる。上記で使用される各種フェノールとしてはビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールS、ビスフェノールAP、ビスフェノールC、ビスフェノールE、ビスフェノールZ、ビフェノール、テトラメチルビスフェノールA、ジメチルビスフェノールA、テトラメチルビスフェノールF、ジメチルビスフェノールF、テトラメチルビスフェノールS、ジメチルビスフェノールS、テトラメチル-4,4’-ビフェノール、トリスヒドロキシフェニルメタン、レゾルシノール、ハイドロキノン、ピロガロール、ジイソプロピリデン、1,1-ジ-4-ヒドロキシフェニルフルオレン等のフルオレン骨格を有するフェノール類、フェノール化ポリブタジエン、フェノール、クレゾール類、エチルフェノール類、ブチルフェノール類、オクチルフェノール類、ナフトール類等が挙げられる。
【0040】
アミン系硬化剤は常温型および加熱型硬化剤ともに使用できる。本発明におけるアミン系硬化剤の具体例としては、ポリアミノアミド、ポリオキシエチレンジアミン、ポリオキシプロピレンジアミン、ポリオキシブチレンジアミン、ポリオキシペンチレンジアミン、ポリオキシエチレントリアミン、ポリオキシプロピレントリアミン、ポリオキシブチレントリアミン、ポリオキシペンチレントリアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、m-キシレンジアミン、トリメチルヘキサメチレンジアミン、2-メチルペンタメチレンジアミン、ジエチルアミノプロピルアミン、イソフォロンジアミン、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、ノルボルネンジアミン、1,2-ジアミノシクロヘキサン、ラロミンC-260等の脂肪族アミンや、メタフェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホン、ベンジルジメチルアミン、ジメチルアミノメチルベンゼン、N-アミノエチルピペラジン等の芳香族アミンが挙げられる。また、これらの変性物、例えばMXDA変性物、IPDA変性物等を用いても良い。
【0041】
カチオン重合開始剤としては、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウムなどから選ばれる少なくとも1種のカチオンと、BF4、PF6、SbF6等から選ばれる少なくとも1種のアニオンから構成されるオニウム塩等が挙げられる。このようなカチオン重合開始剤は単独で用いても、2種類以上を併用しても良い。
【0042】
ラジカル重合開始剤の具体例としては、過酸化ラウリル、過酸化ベンゾイル、クメンヒドロペルオキシド、ラウリルパーオキシド、ジ-t-ブチルパーオキシド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキサノエート等の有機過酸化物、2,2-アゾビスイソブチロニトリル、2,2-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)等のアゾ系化合物、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン等のベンジルケタール類、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン等のα-ヒドロキシアセトフェノン類、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)ブタノン-1、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等のアミノアセトフェノン類、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、モノアシルフォスフィンオキサイド等のアシルフォスフィンオキサイド類、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン類、ベンゾフェノン、メチルベンゾフェノン、4,4’-ビスジエチルアミノベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド等のベンゾフェノン類、2,4-ジエチルチオキサントン、2-クロロチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類等が挙げられる。これらは単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
【0043】
潜在性硬化剤の具体例としては、ジシアンジアミド、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、2-n-ヘプタデシルイミダゾール等のイミダゾール誘導体、イソフタル酸ジヒドラジド、N,N-ジアルキル尿素誘導体、N,N-ジアルキルチオ尿素誘導体、メラミン誘導体等が挙げられる。
【0044】
硬化性モノマーaと硬化性モノマーbは同一であっても良いが、異なる機能を有する化合物同士を組み合わせることで特異な効果が発現するため、硬化性モノマーaと硬化性モノマーbは異なる化合物であることが好ましい。
【0045】
本発明のモノリス孔充填型相分離構造体からなる成形体は、土木建築材料、電気電子部品の絶縁材料、スポーツ用品、自動車、船舶、及び鉄道車両等の移動体の構造材等に適用することができる。
【実施例】
【0046】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれによって何らの限定を受けるものではない。
【0047】
[モノリス構造体の作製]
(作製例1)
試薬瓶にビスフェノールAジグリシジルエーテル(以下、DGEBA)を0.4584g、アミン硬化剤(4 , 4 '- メチレンビス(シクロヘキシルアミン))(以下、BACM)を0.1416g、ポリエチレングリコール(以下、PEG200 東京化成工業社製)を1.4000g入れ、混合溶液を作製した。混合溶液を70mm×70mmのアルミニウム(Al、Hikari)板に塗布し、オーブンで120℃、20分間加熱した。その後、イオン交換水中で超音波洗浄5分間行い、アルミニウム板からモノリスを剥離した。イオン交換水に一晩浸漬した後、真空乾燥2時間行い、γ値が1.0のモノリス構造体(モノリス細孔サイズ10.1~13.9μm)を得た。
(作製例2)
DGEBAを0.4329g、BACMを0.1671gに変更したこと以外は作製例1と同様に行い、γ値0.8のモノリス構造体(モノリス細孔サイズ5.58~7.08μm)を得た。
(作製例3)
DGEBAを0.4772g、BACMを0.1228gに変更したこと以外は作製例1と同様に行い、γ値1.2のモノリス構造体(モノリス細孔サイズ15.2~20.0μm)を得た。
(作製例4)
DGEBAを0.4915g、BACMを0.1085gに変更したこと以外は作製例1と同様に行い、γ値1.4のモノリス構造体(モノリス細孔サイズ29.7~40.1μm)を得た。
(作製例5)
試薬瓶にDGEBAを0.480g、BACMを0.148g、PEG200を1.469g入れ、混合溶液を作製した。混合溶液を70mm×70mmのガラス板(アセトン洗浄処理)に塗布し、オーブンで120℃、60分間加熱した。その後、イオン交換水中で超音波洗浄5分間行い、ガラス板からモノリスを剥離した。イオン交換水に一晩浸漬した後、真空乾燥2時間行い、γ値が1.0のモノリス構造体(モノリス細孔サイズ10.0~15.0μm)を得た。
【0048】
[モノリス孔充填型相分離構造を有する硬化物の作製]
(実施例1)
トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル(SR-TPG、阪本薬品工業株式会社製)2.0000g、BACM0.6917gをエポキシ基/アミン活性水素が1.0となるように混合し、混合溶液を調製した。10mm×40mm、厚さ約0.2~0.5mmの作製例1のモノリス構造体と、混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例2)
ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(SR-8EGS、阪本薬品工業株式会社製)2.0013g、BACM0.3999gをエポキシ基/アミン活性水素が1.0となるように混合し、混合溶液を調製した。10mm×40mm、厚さ約0.2~0.5mmの作製例1のモノリス構造体と、混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例3)
ポリグリセリンEO変性アクリレート(SA-TE60、阪本薬品工業株式会社製)2.022g、過酸化ベンゾイル(BPO、ナカライテスク株式会社製)0.1026g(アクリレートに対して5重量%)を混合し、混合溶液を調製した。作製例1のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状(厚さ0.2~0.5mm)にはさみで切り、短冊状のモノリス構造体と混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例4)
実施例1と同様にして、SR-TPGとBACMをエポキシ基/アミン活性水素が1.0となるように混合し、混合溶液を調製した。10mm×40mm、厚さ約0.2~0.5mmの作製例2のモノリス構造体と、混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例5)
実施例1と同様にして、SR-TPGとBACMをエポキシ基/アミン活性水素が1.0となるように混合し、混合溶液を調製した。10mm×40mm、厚さ約0.2~0.5mmの作製例3のモノリス構造体と、混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例6)
実施例1と同様にして、SR-TPGとBACMをエポキシ基/アミン活性水素が1.0となるように混合し、混合溶液を調製した。10mm×40mm、厚さ約0.2~0.5mmの作製例2のモノリス構造体と、混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例7)
SA-TE60 1.628g、ブチルアクリレート(以下、BA)0.423g、および、BPO100mg(25%含水、アクリレートに対して3.75重量%)を混合し(SA-TE60:BA=8:2重量比)、混合溶液を調製した。作製例5のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状(厚さ0.2~0.5mm)にはさみで切り、短冊状のモノリス構造体と混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、アルゴン雰囲気下、オーブンで90℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例8)
SA-TE60 1.402g、BA0.604g、および、BPO100mg(25%含水、アクリレートに対して3.75重量%)を混合し(SA-TE60:BA=7:3重量比)、混合溶液を調製した。作製例5のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状(厚さ0.2~0.5mm)にはさみで切り、短冊状のモノリス構造体と混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、アルゴン雰囲気下、オーブンで90℃、60分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例9)
SA-TE60 1.807g、エチレングリコールビス(3-メルカプトプロピオナート)(以下、EGTP)0.396gを混合し(チオール基/アクリロイル基=1)、混合溶液を調製した。作製例5のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状(厚さ0.2~0.5mm)にはさみで切り、短冊状のモノリス構造体と混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、真空下、オーブンで160℃、120分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例10)
SA-TE60 1.805g、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオナート)(以下,TMMP)0.441gを混合し(チオール基/アクリロイル基=1)、混合溶液を調製した。作製例5のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状(厚さ0.2~0.5mm)にはさみで切り、短冊状のモノリス構造体と混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、真空下、オーブンで160℃、120分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例11)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(以下、DPHA)0.836g、TMMP1.150gを混合し(チオール基/アクリロイル基=1)、混合溶液を調製した。作製例5のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状(厚さ0.2~0.5mm)にはさみで切り、短冊状のモノリス構造体と混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、真空下、オーブンで160℃、120分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
(実施例12)
DPHA0.854g、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)(DPMP)1.155gを混合し(チオール基/アクリロイル基=1)、混合溶液を調製した。作製例5のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状(厚さ0.2~0.5mm)にはさみで切り、短冊状のモノリス構造体と混合溶液をそれぞれ試験管に入れ、ダイヤフラムポンプで真空引きしながら含浸し、真空下、オーブンで160℃、120分間加熱硬化して本発明のモノリス孔充填型相分離構造体を得た。
【0049】
(比較例1)
作製例1のモノリス構造体を10mm×40mmの短冊状にはさみで切り、比較例1のモノリス構造体として使用した。
[エポキシ樹脂硬化物の作製]
(比較例2)
DGEBA0.8257g、SR-TPG0.6750g、BACM0.4888gをエポキシ基/アミン活性水素が1.0となるように混合し(DGEBA:SR-TPG=55:45重量比)、混合溶液を調製した。混合溶液をテフロン(登録商標)製の鋳型(20mm×40mm×1mm)に入れ、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して、バルク状の硬化物を得た。
(比較例3)
SR-TPG2.0000g、BACM0.6917gをエポキシ基/アミン活性水素が1.0となるように混合し、混合溶液を調製した。混合溶液をテフロン(登録商標)製の鋳型(20mm×40mm×1mm)に入れ、オーブンで120℃、60分間加熱硬化して、バルク状の硬化物を得た。
【0050】
[引張試験]
実施例1~11のモノリス孔充填型相分離構造体、比較例1のモノリス構造体、比較例2、3のエポキシ樹脂硬化物を引張速度1mm/min、つかみ具間距離20mm、室温の条件で万能試験機(AUTOGRAPH AGS-X 1kN、島津製作所)を用いて引張試験を行った。結果を表1~3に示した。また、実施例1、実施例2、比較例1の応力-ひずみ曲線を
図1に示した。
【0051】
【0052】
モノリス構造体にSR-TPGを充填した実施例1の構造体は、モノリス構造体である比較例1に比べてひずみや引張弾性率が小さくなり、引張応力や破壊エネルギーが大きくなることが明らかとなった。SR-8EGSを充填した実施例2の構造体は、比較例1に比べてひずみが大きくなり、引張応力、引張弾性率、破壊エネルギーは小さくなった。SA-TE60を充填した実施例3の構造体は、ひずみや引張弾性率、破壊エネルギーが小さくなり、引張応力が大きくなった。また、
図1のグラフからSR-TPGを充填した実施例1は、弾性変形領域と塑性変形領域を有しており、弾塑性材料に類似の曲線を描いた。また、SR-8EGSを充填した実施例2の応力-ひずみ曲線は、延性材料に類似の曲線を描いた。
γ値の異なるモノリス構造体を用いた実施例1、4~6の結果より、γ値を1.0からずらすことで引張応力や引張弾性率が低下し、破壊エネルギーが大きくなることが明らかとなった。
【0053】
【0054】
モノリス構造体にSA-TE60と、BA、EGTP、TMMPそれぞれを組み合わせて充填した実施例7~10の構造体は、ひずみが小さくなり、引張弾性率、破壊エネルギー、引張応力が大きくなった。
【0055】
【0056】
モノリス構造体にDPHAと、TMMP、DPMPそれぞれを組み合わせて充填することにより、硬化収縮が抑制され、高強度、高弾性率を示した。