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特許7502756エポキシ樹脂組成物、硬化物、及び半導体装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】エポキシ樹脂組成物、硬化物、及び半導体装置
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/50 20060101AFI20240612BHJP
   C08L 63/00 20060101ALI20240612BHJP
   C08K 5/18 20060101ALI20240612BHJP
   C08K 5/16 20060101ALI20240612BHJP
   C08L 83/12 20060101ALI20240612BHJP
   C08K 3/013 20180101ALI20240612BHJP
   C08K 5/5419 20060101ALI20240612BHJP
   H01L 23/29 20060101ALI20240612BHJP
   H01L 23/31 20060101ALI20240612BHJP
【FI】
C08G59/50
C08L63/00 C
C08K5/18
C08K5/16
C08L83/12
C08K3/013
C08K5/5419
H01L23/30 R
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023210537
(22)【出願日】2023-12-13
【審査請求日】2024-04-11
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】591252862
【氏名又は名称】ナミックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002239
【氏名又は名称】弁理士法人G-chemical
(72)【発明者】
【氏名】岩谷 留香
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/198992(WO,A1)
【文献】特開2017-171754(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 59/00-59/72
C08L 63/00-63/10
C08K 5/18
C08K 5/16
C08L 83/12
H01L 23/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂(A)と、
芳香族アミン化合物(B)と、
ジシアンジアミド(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物であって、
ジシアンジアミド(C)の含有量が0.001~0.1質量%であって、
芳香族アミン化合物(B)の25℃における粘度が10~3000mPa・sである、エポキシ樹脂組成物。
【請求項2】
さらに、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(D)を含む、請求項1に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項3】
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(D)の含有量が、0.0001~0.1質量%である、請求項2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項4】
ジシアンジアミド(C)の含有量が0.001~0.049質量%である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項5】
エポキシ樹脂(A)の25℃における粘度が2000mPa・s以下、及び/又は芳香族アミン化合物(B)の25℃における粘度が10~2000mPa・sである、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項6】
さらに、無機充填材(E)を含み、
無機充填材(E)の含有量が40~80質量%である、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項7】
さらに、エラストマー(F)を含む、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項8】
さらに、カップリング剤(K)を含む、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項9】
さらに、顔料(H)を含む、請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項10】
半導体封止用である請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項11】
アンダーフィルである請求項10に記載のエポキシ樹脂組成物。
【請求項12】
請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物の硬化物。
【請求項13】
基板と、
前記基板上に配置された半導体素子と、
前記半導体素子を封止する請求項12に記載の硬化物と、
を備える半導体装置。
【請求項14】
基板と、前記基板上に配置された半導体素子とのギャップを請求項1又は2に記載のエポキシ樹脂組成物で充填する工程と、
前記エポキシ樹脂組成物を加熱して硬化する工程と、
を含む半導体装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はエポキシ樹脂組成物に関する。より具体的には、半導体封止用エポキシ樹脂組成物、硬化物、半導体装置、及び半導体装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体チップを配線基板に実装する技術に、フリップチップ実装がある。フリップチップ実装は、半導体チップの表面に突起状電極(バンプ)を形成し、バンプが形成された表面を配線基板に配向させ、半導体チップと配線基板とをバンプを介して直接的に接続する実装方法である。接続された半導体チップ、配線基板、及びこれらの間(ギャップ)に存在するバンプを保護することを目的として、ギャップにアンダーフィルを充填し、硬化することで、半導体部品が製造される。
【0003】
アンダーフィルをギャップに充填する際に、アンダーフィルの樹脂成分が半導体チップにおけるバンプが形成された面の背面に這い上がる現象(クリーピング)が発生する場合がある。クリーピングの発生を防ぐ方法として、半導体チップの表面(すなわち、上記の背面)にクリーピング成分をはじくような処理を行うこと(特許文献1)、シリコーン系添加剤をアンダーフィルに配合すること(特許文献2)等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-188539号公報
【文献】特開2018-172546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの特許文献にて開示されるアンダーフィルであっても、クリーピングの抑制という観点からは不十分であった。また、経時的な硬化反応の進行により粘度が上昇し、アンダーフィルとしての性能が経時的に低下してしまう(すなわちポットライフが短い)という問題もあった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、クリーピングが発生しにくく、ポットライフが長いエポキシ樹脂組成物を提供することにある。また、上記エポキシ樹脂組成物の硬化物、上記硬化物を備える半導体装置、上記半導体装置の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、特定の構成を有する組成物を用いることで課題を解決できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づいて完成させたものである。
【0008】
すなわち、本発明では、
エポキシ樹脂(A)と、
芳香族アミン化合物(B)と、
ジシアンジアミド(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物であって、
ジシアンジアミド(C)の含有量が0.001~0.1質量%である、エポキシ樹脂組成物を提供する。
【0009】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(D)を含むことが好ましい。
【0010】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(D)の含有量が0.0001~0.1質量%であることが好ましい。
【0011】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、ジシアンジアミド(C)の含有量が0.001~0.049質量%であることが好ましい。
【0012】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)及び/又は芳香族アミン化合物(B)の粘度が2000mPa・s以下であることが好ましい。
【0013】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、無機充填材(E)を含み、
無機充填材(E)の含有量が40~80質量%であることが好ましい。
【0014】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、エラストマー(F)を含むことが好ましい。
【0015】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、カップリング剤(K)を含むことが好ましい。
【0016】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、さらに、顔料(H)を含むことが好ましい。
【0017】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、半導体封止用であることが好ましい。
【0018】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、アンダーフィルであることが好ましい。
【0019】
本発明では、上記エポキシ樹脂組成物の硬化物も提供する。
【0020】
本発明では、基板と、
上記基板上に配置された半導体素子と、
上記半導体素子を封止する上記硬化物と、
を備える半導体装置も提供する。
【0021】
本発明では、基板と、上記基板上に配置された半導体素子とのギャップを上記エポキシ樹脂組成物で充填する工程と、
上記エポキシ樹脂組成物を加熱して硬化する工程と、
を含む半導体装置の製造方法も提供する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のエポキシ樹脂組成物は、クリーピングが発生しにくく、ポットライフが長い。したがって、上記エポキシ樹脂組成物の硬化物を備える半導体装置は、高い信頼性を発揮する。
【発明を実施するための形態】
【0023】
(エポキシ樹脂組成物)
本発明のエポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、芳香族アミン化合物(B)、及びジシアンジアミド(C)を含み、ジシアンジアミド(C)の含有量が0.001~0.1質量%であることを特徴とする。上記エポキシ樹脂組成物は、さらに、ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(D)(以下、「シロキサン(D)」と称する)、無機充填材(E)、エラストマー(F)、カップリング剤(G)、顔料(H)、分散剤(I)、硬化剤(J)、及び硬化促進剤(K)のいずれか1つ以上を含んでいてもよい。
【0024】
・エポキシ樹脂(A)
上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)を含むことにより、高い電気絶縁性を備える硬化物を形成することができる。エポキシ樹脂(A)が有するエポキシ基の個数は1以上であれば特に限定されないが、2以上であること(すなわち、多官能タイプのエポキシ樹脂であること)が好ましい。エポキシ樹脂(A)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0025】
エポキシ樹脂(A)は、常温(25℃)で液状であってもよいし、固体状であってもよいが、ジシアンジアミド(C)の溶解性の観点からは液状であることが好ましい。固体状のエポキシ樹脂であっても、液状のエポキシ樹脂と併用することにより、混合物として液状を示す場合は好ましく用いることができる。
【0026】
エポキシ樹脂(A)が25℃において液状である場合、その粘度は特に限定されないが、例えば、5000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは3000mPa・s以下、さらに好ましくは2000mPa・s以下である。また、例えば、1mPa・s以上が好ましく、より好ましくは10mPa・s以上である。エポキシ樹脂(A)の粘度が上記範囲内にあることにより、ジシアンジアミド(C)の溶解性が向上するため、ジシアンジアミド(C)の含有量が少量(すなわち、0.1質量%以下)であってもこれを含むことによるクリーピング抑制効果が向上する傾向がある。なお、上記粘度は、例えば、トキメック粘度計(型番:TVB-10M、東機産業株式会社製)を用い、液温25℃において、50rpmで1分間回転させたときの粘度として測定することができる。
【0027】
エポキシ樹脂(A)は特に限定されないが、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、シクロヘキサン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、トリスフェノール型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、tert-ブチル-カテコール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ナフトール型エポキシ樹脂、アントラセン型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂(芳香族構造を有しないグリシジルアミン型エポキシ樹脂又は芳香族構造を有するグリシジルアミン型エポキシ樹脂)、グリシジルエステル型エポキシ樹脂(芳香族構造を有しないグリシジルエステル型エポキシ樹脂又は芳香族構造を有するグリシジルエステル型エポキシ樹脂)、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、線状脂肪族エポキシ樹脂(芳香族構造を有しない線状脂肪族エポキシ樹脂又は芳香族構造を有する線状脂肪族エポキシ樹脂)、ブタジエン構造を有するエポキシ樹脂(芳香族構造を有しないブタジエン構造を有するエポキシ樹脂又は芳香族構造を有するブタジエン構造を有するエポキシ樹脂)、脂環式エポキシ樹脂(芳香族構造を有しない脂環式エポキシ樹脂又は芳香族構造を有する脂環式エポキシ樹脂)、複素環式エポキシ樹脂、スピロ環含有エポキシ樹脂(芳香族構造を有しないスピロ環含有エポキシ樹脂又は芳香族構造を有するスピロ環含有エポキシ樹脂)、シクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂(芳香族構造を有しないシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂又は芳香族構造を有するシクロヘキサンジメタノール型エポキシ樹脂)、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、トリメチロール型エポキシ樹脂(芳香族構造を有しないトリメチロール型エポキシ樹脂又は芳香族構造を有するトリメチロール型エポキシ樹脂)、テトラフェニルメタン型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、及びシリコーン変性エポキシ樹脂等の芳香族又は脂肪族エポキシ樹脂等が挙げられる。
【0028】
この中でも、エポキシ樹脂(A)は、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂、アミノフェノール型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、及び脂環式エポキシ樹脂からなる群より選択される少なくとも1つを含むことがより好ましく、アミノフェノール型エポキシ樹脂を含むことがさらに好ましい。特に、アミノフェノール型エポキシ樹脂を含むことにより、ジシアンジアミド(C)の溶解性が向上するためか、ジシアンジアミド(C)の含有量が少量(すなわち、0.1質量%以下)であってもこれを含むことによるクリーピング抑制効果が向上する傾向がある。
【0029】
液状のエポキシ樹脂の具体例としては、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「YDF-8170」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「YDF-8125」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「ZX-1658」、「ZX-1658GS」(液状1,4-グリシジルシクロヘキサン)、DIC株式会社製の「HP-4032」、「HP-4032D」、「HP-4032SS」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製の「jER828US」、「jER828EL」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER806」、「jER807」(ビスフェノールF型エポキシ樹脂)、「jER152」(フェノールノボラック型エポキシ樹脂)、「jER630」、「jER630LSD」、「EP3980S」(アミノフェノール型エポキシ樹脂)、「YX7400」(高反発弾性エポキシ樹脂)、新日鉄住金化学株式会社製の「ZX1059」(ビスフェノールA型エポキシ樹脂とビスフェノールF型エポキシ樹脂の混合品)、ナガセケムテックス株式会社製の「EX-721」(グリシジルエステル型エポキシ樹脂)、及び株式会社ダイセル製の「セロキサイド2021P」(脂環式エポキシ樹脂)が挙げられる。
【0030】
固体状のエポキシ樹脂の具体例としては、DIC株式会社製の「HP-4032H」(ナフタレン型エポキシ樹脂)、「HP-4700」、「HP-4710」(ナフタレン型4官能エポキシ樹脂)、「N-690」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「N-695」(クレゾールノボラック型エポキシ樹脂)、「HP-7200」、「HP-7200L」、「HP-7200HH」、「HP-7200H」、「HP-7200HHH」(ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂)、「EXA850CRP」、「EXA7311」、「EXA7311-G3」、「EXA7311-G4」、「EXA7311-G4S」、「HP6000」(ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂)、日本化薬株式会社製の「EPPN-502H」(トリスフェノール型エポキシ樹脂)、「NC-7000-L」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、「NC-3000-H」、「NC-3000」、「NC-3000-L」、「NC-3100」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製の「ESN475V」(ナフトール型エポキシ樹脂)、「ESN485」(ナフトールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製の「YX4000H」、「YL6121」(ビフェニル型エポキシ樹脂)、「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YL7760」(ビスフェノールAF型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル株式会社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学株式会社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製の「jER1010」(固体状ビスフェノールA型エポキシ樹脂)、「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)、「jER157S70」(ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂)、三菱化学株式会社製の「YX4000HK」(ビキシレノール型エポキシ樹脂)、「YX8800」(アントラセン型エポキシ樹脂)、大阪ガスケミカル株式会社製の「PG-100」、「CG-500」、三菱化学株式会社製の「YL7800」(フルオレン型エポキシ樹脂)、及び三菱化学株式会社製の「jER1031S」(テトラフェニルエタン型エポキシ樹脂)が挙げられる。
【0031】
エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は特に限定されないが、例えば、30~1000g/eqであることが好ましく、より好ましくは40~500g/eq、さらに好ましくは50~300g/eqである。
【0032】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエポキシ樹脂(A)の含有量は特に限定されないが、例えば、5質量%以上であることが好ましく、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは12質量%以上、特に好ましくは15質量%以上、最も好ましくは18質量%以上である。また、例えば、60質量%以下であることが好ましく、より好ましくは50質量%以下、さらに好ましくは45質量%以下、特に好ましくは40質量%以下、最も好ましくは35質量%以下である。エポキシ樹脂(A)の含有量が上記範囲内にあることにより、硬化物の熱膨張性が低減されるとともに、靭性が向上する傾向がある。
【0033】
・芳香族アミン化合物(B)
芳香族アミン化合物(B)は、エポキシ樹脂の重合を開始、進行、又は促進する特徴を有する。このため、本発明のエポキシ樹脂組成物をアンダーフィルとして使用した場合に、組成物がチップ上に濡れ広がる前に粘度が上昇し、クリーピングを抑制することが可能となる。芳香族アミン化合物(B)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0034】
芳香族アミン化合物(B)は、常温(25℃)で液状であってもよいし、固体状であってもよいが、液状であることが好ましい。芳香族アミン化合物(B)が25℃において液状である場合、その粘度は特に限定されないが、例えば、5000mPa・s以下が好ましく、より好ましくは3000mPa・s以下、さらに好ましくは2000mPa・s以下、特に好ましくは1000mPa・s以下、最も好ましくは500mPa・s以下である。また、例えば、1mPa・s以上が好ましく、より好ましくは10mPa・s以上である。芳香族アミン化合物(B)の粘度が上記範囲内にあることにより、ジシアンジアミド(C)の溶解性が向上するためか、ジシアンジアミド(C)の含有量が少量(すなわち、0.1質量%以下)であっても、ジシアンジアミドを含むことによるクリーピング抑制効果が発揮される傾向がある。
【0035】
この中でも、芳香族アミン化合物(B)として、25℃における粘度が2000mPa・s以下の芳香族アミン化合物(「低粘度の芳香族アミン化合物」と称する)を含む場合、芳香族アミン化合物(B)に対する上記低粘度の芳香族アミン化合物の含有量は特に限定されないが、例えば、10~90質量%であることが好ましく、より好ましくは20~80質量%、さらに好ましくは30~60質量%である。
【0036】
芳香族アミン化合物(B)としては、例えば、4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、ジエチルトルエンジアミン、ジメチルチオトルエンジアミン、メチレンジアニリン、m-フェニレンジアミン、4,4’-ジアミノジフェニルスルホン、及び3,3’-ジアミノジフェニルスルホン等が挙げられる。
【0037】
芳香族アミン化合物(B)の当量(官能基一個当たりの分子量)は特に限定されないが、例えば、10~600g/eqであることが好ましく、より好ましくは20~400g/eq、さらに好ましくは30~200g/eqである。
【0038】
本発明のエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する芳香族アミン化合物(B)の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1~90質量%であることが好ましく、より好ましくは0.5~60質量%、さらに好ましくは1~40質量%、特に好ましくは2~30質量%である。芳香族アミン化合物(B)の含有量が上記範囲内にあることにより、クリーピング抑制効果が向上する傾向がある。また、硬化物の熱膨張性が低減されるとともに、靭性が向上する傾向がある。
【0039】
・ジシアンジアミド(C)
ジシアンジアミド(C)は、エポキシ樹脂の重合を開始、進行、又は促進させるものである。ジシアンジアミドの市販品としては、エボニック株式会社の「CG1400」等が挙げられる。
【0040】
本発明のエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するジシアンジアミド(C)の含有量は、0.001~0.1質量%であれば特に限定されないが、例えば、0.001~0.08質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001~0.06質量%、さらに好ましくは0.001~0.049質量%である。ジシアンジアミド(C)の含有量が上記範囲内にあることにより、クリーピング抑制効果が向上するとともに、ポットライフも長くなる傾向がある。
【0041】
・シロキサン(D)
ポリエーテル変性ポリジメチルシロキサン(D)は、ジメチルシロキサン鎖の一部又は全部のメチル基をポリエーテル鎖に置換した化合物である。上記ジメチルシロキサン鎖は疎水性であり、上記ポリエーテル鎖は親水性であるため、シロキサン(D)全体としては界面活性剤様の特性を備える。本発明のエポキシ樹脂組成物にシロキサン(D)を配合させることで表面張力が調整できるため、クリーピングをより効果的に抑制することができる。シロキサン(D)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0042】
シロキサン(D)は特に限定されないが、例えば、下記式(1)で示されるシロキサンであることが好ましい。
【化1】
【0043】
上記式(1)中、R1は同一又は異なって、メチル基又はポリエーテル鎖である。R2は同一又は異なって、メチル基又はポリエーテル鎖である。ただし、R1及びR2の少なくとも1つはポリエーテル鎖である。nは1~105の整数である。
【0044】
上記式(1)で示されるシロキサンが有するポリエーテル鎖は少なくとも1つであれば特に限定されないが、1~5個であることが好ましく、より好ましくは1~3個である。すなわち、R1及びR2のうち、ポリエーテル鎖は1~5個であることが好ましく、より好ましくは1~3個である。
【0045】
シロキサン(D)は、下記式(2)又は(3)で示されるシロキサンであることがより好ましい。
【化2】

【化3】
【0046】
上記式(2)及び(3)中、R1及びR2は式(1)と同様であり、同一又は異なって、メチル基又はポリエーテル鎖であり、メチル基であることが好ましい。n1は1~100の整数である。n2は1~5の整数である。なお、n1及びn2は括弧内の構造における繰り返し単位数を示す。式中のPはポリエーテル鎖であって、ポリエーテル鎖の左端がジメチルシロキサン鎖のSi原子に結合している。mは1~30である。
【0047】
本発明のエポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するシロキサン(D)の含有量は特に限定されないが、例えば、0.0001~1質量%であることが好ましく、より好ましくは0.0005~0.1質量%、さらに好ましくは0.001~0.05質量%、特に好ましくは0.002~0.01質量%である。シロキサン(D)の含有量が上記範囲内にあることにより、クリーピング抑制効果が向上するとともに、ポットライフも長くなる傾向がある。
【0048】
・無機充填材(E)
無機充填材(E)は特に限定されないが、(1)エポキシ樹脂組成物の硬化反応に起因する体積収縮(硬化収縮)を抑制する特性を有するもの、(2)硬化物の加熱による体積変化(熱収縮)を抑制する特性を持つもの、すなわち、添加により線膨張係数を下げる効果を有するもの、又は(3)これらの双方の特性を有するものであることが好ましい。
【0049】
無機充填材(E)としては、例えば、シリカ(二酸化ケイ素)、炭化ケイ素、窒化ケイ素、アルミナ(酸化アルミニウム)、窒化アルミニウム、水酸化アルミニウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸カルシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、酸化チタン、硫酸石灰、チタン酸カリウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、窒化ホウ素、ジルコニア(酸化ジルコニウム)、及びこれらの表面が処理された無機粒子が挙げられる。この中でも、充填量を高くできる観点からシリカが好ましい。無機充填材(E)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0050】
無機充填材(E)は、エポキシ樹脂組成物の粘性を適切な範囲とする観点からエポキシ基、(メタ)アクリロイル基、又はアミノ基(特にフェニルアミノ基)等の官能基を有するカップリング剤により表面処理がなされたものであることが好ましい。上記カップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。無機充填材(E)に対する表面処理には上記カップリング剤の1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0051】
無機充填材(E)の形状は特に限定されないが、例えば、球状(真球状、略真球状等)、多面体状、棒状(円柱状、角柱状等)、平板状、りん片状、不定形状が挙げられる。この中でも、高い充填量を達成できる観点からは球状が好ましい。
【0052】
無機充填材(E)の平均粒径は特に制限されないが、例えば、1nm~10μmが好ましく、より好ましくは0.1~5μmが好ましく、さらに好ましくは0.2~2μmである。無機充填材(E)の平均粒径が上記範囲内にあることによって、粒径が大きすぎないことから、狭いギャップであってもエポキシ樹脂組成物の注入性の低下が生じにくく、エポキシ樹脂組成物をディスペンスしやすい粘度に調整可能である。なお、エポキシ樹脂組成物の粘度を調整する目的で平均粒径が異なる2種以上のフィラーを併用してもよい。本明細書において、無機充填材(E)の平均粒径の測定方法は特に限定されないが、例えば、レーザー回析・散乱法粒度分布測定装置(製品名:LS 13 320、ベックマン・コールター株式会社製)を用いて測定することができる。
【0053】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する無機充填材(E)の含有量は特に限定されないが、例えば、20質量%以上であることが好ましく、より好ましくは30質量%以上、さらに好ましくは40質量%以上、特に好ましくは45質量%以上、最も好ましくは50質量%以上である。また、特に限定されないが、例えば、90質量%以下であることが好ましく、より好ましくは80質量%以下、さらに好ましくは75質量%以下である。無機充填材(E)の含有量が上記範囲内にあることにより、硬化収縮や熱収縮の抑制効果が向上する傾向がある。また、クリーピング抑制効果が向上するとともに、ポットライフも長くなる傾向がある。
【0054】
・エラストマー(F)
エラストマー(F)は、硬化物に対して靭性を付与することができる。したがって、エラストマー(F)を配合した上記エポキシ樹脂組成物をアンダーフィルとして使用した際、クラックの発生を低減し、高い製品信頼性を発揮する。エラストマー(F)は特に限定されないが、例えば、ブタジエン系エラストマー、シリコーン系エラストマー、アクリルコポリマー、スチレンブタジエン系エラストマー、ブタジエン・アクリロニトリル・2,3-エポキシプロピルメタクリラート・ジビニルベンゼン共重合物、ブタジエン・アクリロニトリル・メタクリル酸・ジビニルベンゼン共重合物、アミノ基末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合物、及びカルボキシル基末端ブタジエン・アクリロニトリル共重合物が好ましい。エラストマー(F)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0055】
エラストマー(F)は、コアシェルゴム粒子であることが好ましい。すなわち、コアシェルゴム型エラストマーであることが好ましい。コアシェルゴム粒子とは、コア部と、上記コア部を覆う1以上のシェル層とで構成されるゴム粒子を指す。コアシェルゴム粒子は、コア部を柔軟性に優れた材料で構成し、シェル層をエポキシ樹脂組成物に含まれる成分、特に、エポキシ樹脂(A)に対する親和性に優れた材料で構成することにより、エポキシ樹脂組成物に対する良好な分散性を発揮すると共に、その硬化物に高い靭性を付与し得る。また、クリーピング抑制効果が向上する傾向がある。
【0056】
上記コアシェルゴム粒子において、コア部は柔軟性に優れた材料により形成される。コア部を形成する材料は、例えば、シリコーン系ゴム、ブタジエン系ゴム、スチレン系ゴム、アクリル系ゴム、ポリオレフィン系ゴム、及びシリコーン/アクリル系複合系ゴムが挙げられる。シェル層を形成する材料は、本発明のエポキシ樹脂組成物に含まれる成分(特に、エポキシ樹脂(A))に対する親和性に優れる材料が好ましく用いられる。シェル層を形成する材料は、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂及びビスフェノールF型エポキシ樹脂、グリシジルメタクリレート等のエポキシ樹脂やアクリル樹脂が挙げられる。コアシェルゴム粒子は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0057】
エラストマー(F)の市販品としては、株式会社カネカ製の「カネエース MX-153」、「カネエース MX-257」、「カネエース MX-154」、「カネエース MX-960」、「カネエース MX-136」、「カネエース MX-137」、「カネエース MX-965」、「カネエース MX-217」、「カネエース MX-227M75」、「カネエース MX-334M75」、「カネエース MX-416」、「カネエース MX-451」、三菱ケミカル株式会社製の「メタブレン C-223A」、「メタブレン C-140A」、「メタブレン E-860A」、「メタブレン E-870A」、「メタブレン E-875A」、「メタブレン S-2100」、「メタブレン S-2200」、「メタブレン S-2260」、アイカ工業株式会社製の「スタフィロイド IM-203」、「スタフィロイド IM-401」、「スタフィロイド IM-601」、「スタフィロイド AC3355」、「スタフィロイド AC3816」、株式会社日本触媒製の「アクリセット BPA328」、「アクリセット BPF307」、エボニック株式会社製の「EP 2240 A」、「EP 5340」、「PU 5640」、「VE3340」、「XP1/0767」等が挙げられる。
【0058】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するエラストマー(F)の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.3質量%以上、さらに好ましくは0.5質量%以上、特に好ましくは1.0質量%以上である。また、その含有量は特に限定されないが、例えば、20.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは10.0質量%以下、さらに好ましくは7.5質量%以下、特に好ましくは5.0質量%以下、最も好ましくは3.0質量%以下である。
【0059】
・カップリング剤(G)
カップリング剤(G)としては特に限定されないが、例えば、ビニル系、グリシドキシ系、メタクリル系、アミノ系、メルカプト系、又はイミダゾール系等のシランカップリング剤;アルコキシド系、キレート系、又はアシレート系等のチタンカップリング剤;グリシドキシオクチルトリメトキシシラン、又はメタクリロオクチルトリメトキシシラン等の長鎖スペーサー型カップリング剤等の各種カップリング剤が挙げられる。カップリング剤(G)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0060】
上記シランカップリング剤としては、例えば、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等が挙げられる。
【0061】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するカップリング剤(G)の含有量は特に限定されないが、例えば、0.1質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.2質量%以上である。また、その含有量は特に限定されないが、例えば、5.0質量%以下であることが好ましく、より好ましくは3.0質量%以下である。カップリング剤(G)の含有量が上記範囲内にあることにより、クリーピング抑制効果が向上する傾向がある。
【0062】
・顔料(H)
顔料(H)は特に限定されないが、例えば、カーボンブラック、チタン窒化物等のチタンブラック、黒色有機顔料、混色有機顔料、及び無機顔料等を用いることができる。黒色有機顔料としては、ペリレンブラック、アニリンブラック等;混色有機顔料としては、赤、青、緑、紫、黄色、マゼンダ、シアン等から選ばれる少なくとも2種類以上の顔料を混合して疑似黒色化されたものが;無機顔料としては、グラファイト、およびチタン、銅、鉄、マンガン、コバルト、クロム、ニッケル、亜鉛、カルシウム、銀等の金属微粒子、金属酸化物、複合酸化物、金属硫化物、金属窒化物等が挙げられる。この中でも、カーボンブラック又はチタンブラックが好ましい。顔料(H)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0063】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する顔料(H)の含有量は特に限定されないが、例えば、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上である。また、その含有量は特に限定されないが、例えば、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0064】
・分散剤(I)
分散剤(I)はジシアンジアミド(C)と併用することにより、クリーピング抑制効果が向上する傾向がある。分散剤(I)は特に限定されないが、酸性基又は塩基性基を有する樹脂型分散剤が好ましい。上記酸性基は、例えば、カルボキシル基、スルホ基、リン酸基等が挙げられる。上記塩基性基は、1級~3級のアミノ基、4級アンモニウム塩基等が挙げられる。
【0065】
酸性基を有する樹脂型分散剤は、例えば、ポリウレタン等のウレタン系分散剤、ポリアクリレート等のポリカルボン酸エステル、不飽和ポリアミド、ポリカルボン酸、ポリカルボン酸(部分)アミン塩、ポリカルボン酸アンモニウム塩、ポリカルボン酸アルキルアミン塩、ポリシロキサン、長鎖ポリアミノアマイドリン酸塩、水酸基含有ポリカルボン酸エステルや、これらの変性物;ポリ(低級アルキレンイミン)と遊離のカルボキシル基を有するポリエステルとの反応により形成されたアミドやその塩;(メタ)アクリル酸-スチレン共重合体、(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン-マレイン酸共重合体、ポリビニルアルコ-ル、ポリビニルピロリドン等;ポリエステル、変性ポリアクリレート、エチレンオキサイド/プロピレンオキサイド付加化合物、リン酸エステル系等が挙げられる。塩基性基を有する樹脂型分散剤は、例えば、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂等の樹脂種に対して、窒素原子含有グラフト共重合体、側鎖に3級アミノ基、4級アンモニウム塩基、含窒素複素環などを含む官能基を有する、窒素原子含有アクリル系ブロック共重合体又はウレタン系高分子分散剤等が挙げられる。この中でも、分散剤(I)は1級~3級のアミノ基等の塩基性基を有する樹脂型分散剤が、クリーピング抑制効果がより顕著である点で好ましい。
【0066】
分散剤(I)の市販品としては、BASFジャパン株式会社製の「JONCRYL67」、「JONCRYL678」、「JONCRYL586」、「JONCRYL611」、「JONCRYL683」、「JONCRYL690」、「JONCRYL57J」、「JONCRYL60J」、「JONCRYL61J」、「JONCRYL62J」、「JONCRYL63J」、「JONCRYLHPD-96J」、「JONCRYL501J」、「JONCRYLPDX-6102B」、ビックケミー株式会社製の「DISPERBYK109」、「DISPERBYK180」、「DISPERBYK185」、「DISPERBYK187」、「DISPERBYK190」、「DISPERBYK191」、「DISPERBYK192」、「DISPERBYK194」、「DISPERBYK2010」、「DISPERBYK2015」、「DISPERBYK2090」、「DISPERBYK2091」、「DISPERBYK2095」、「DISPERBYK2155」、日本ルーブリゾール株式会社製の「SOLSPERSE24000」、「SOLSPERSE32000」、「SOLSPERSE39000」、「SOLSPERSE41000」、サートマー株式会社製の「SMA1000H」、「SMA1440H」、「SMA2000H」、「SMA3000H」、「SMA17352H」等が挙げられる。この中でも、無溶剤の分散剤である「DISPERBYK180」、「DISPERBYK185」、「DISPERBYK109」、「DISPERBYK192」、「DISPERBYK191」等が好ましい。
【0067】
分散剤(I)のアミン価は特に限定されないが、例えば、5~200mgKOH/gであることが好ましく、より好ましくは10~150mgKOH/g、さらに好ましくは20~120mgKOH/g、特に好ましくは30~100mgKOH/g、最も好ましくは40~80mgKOH/g、である。
【0068】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対する分散剤(I)の含有量は特に限定されないが、例えば、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.005質量%以上、さらに好ましくは0.01質量%以上である。また、その含有量は特に限定されないが、例えば、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0069】
・硬化剤(J)
硬化剤(J)は、エポキシ樹脂の重合を開始、進行、又は促進させるものであれば特に限定されないが、例えば、酸無水物系硬化剤、フェノール系硬化剤、イミダゾール系硬化剤が挙げられる。なお、本発明において、芳香族アミン化合物(B)は硬化剤(J)には含まれない。硬化剤(J)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0070】
上記酸無水物系硬化剤としては、例えば、メチルテトラヒドロフタル酸無水物等のアルキル化テトラヒドロフタル酸無水物、メチルヘキサヒドロフタル酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、フタル酸無水物、ドデセニル無水コハク酸、及びメチルナド酸無水物が挙げられる。上記フェノール系硬化剤としては、例えば、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトール修飾フェノール樹脂、ジシクロペンタジエン修飾フェノール樹脂、及びp-キシレン修飾フェノール樹脂が挙げられる。上記イミダゾール系硬化剤としては、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-イミダゾール、2-フェニルイミダゾール、及び2-フェニル-4-メチルイミダゾールが挙げられる。また、イミダゾール系硬化剤としては、マイクロカプセル型イミダゾール系硬化剤も挙げられる。
【0071】
・硬化促進剤(K)
硬化促進剤(K)は、エポキシ樹脂の硬化を促進する特性を有する。硬化促進剤としては特に限定されないが、例えば、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、及び2-フェニル-4-メチルイミダゾール等が挙げられる。市販品としては、2-フェニル-4-メチルイミダゾール(四国化成株式会社製、製品名「2P4MZ」)、及び2,4-ジアミノ-6-[2’-メチルイミダゾリル-(1’)]-エチル-s-トリアジン(四国化成株式会社製、製品名「2MZA」)、ジシアンジアミド等が挙げられる。また、マイクロカプセル型イミダゾールやエポキシアダクト型イミダゾールと呼ばれるカプセル化イミダゾールを用いてもよい。例えば、「HX3941HP」、「HXA3942HP」、「HXA3922HP」、「HXA3792」、「HX3748」、「HX3721」、「HX3722」、「HX3088」、「HX3741」、「HX3742」、「HX3613」(いずれも旭化成ケミカルズ株式会社製)等、「PN-23J」、「PN-40J」、「PN-50」(味の素ファインテクノ株式会社製)、FXR-1121(富士化成工業株式会社製)等が挙げられる。硬化促進剤(K)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0072】
硬化促進剤(K)は、エポキシ樹脂の硬化を促進する特性を有するため、エポキシ樹脂組成物が硬化促進剤(K)を含むことで、クリーピングが発生するまでに硬化反応が完了し得る。したがって、クリーピングを抑制する観点からは、本発明のエポキシ樹脂組成物は硬化促進剤(K)を含むことが好ましい。
【0073】
・その他の成分(L)
上記エポキシ樹脂組成物は、エポキシ樹脂(A)、芳香族アミン化合物(B)、ジシアンジアミド(C)、シロキサン(D)、無機充填材(E)、エラストマー(F)、カップリング剤(G)、顔料(H)、分散剤(I)、硬化剤(J)、及び硬化促進剤(K)以外の成分(以下、「その他の成分(L)」と称する)を含んでいてもよい。その他の成分(L)としては、例えば、エポキシ樹脂(A)以外の硬化性化合物、ポリエチレン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、及びポリアミド樹脂等の熱可塑性樹脂、シロキサン(D)以外の界面活性剤、イオントラップ剤、レベリング剤、酸化防止剤、消泡剤、難燃剤、反応性希釈剤、溶剤等が挙げられる。その他の成分(L)は1種を単独で使用することもできるし、2種以上を組み合わせて使用することもできる。
【0074】
上記エポキシ樹脂組成物(100質量%)に対するその他の成分(L)の含有量は、本発明の効果を損なわない限り特に限定されないが、例えば、10質量%以下であることが好ましく、より好ましくは5質量%以下、さらに好ましくは3質量%以下、特に好ましくは1質量%以下である。また、特に限定されないが、例えば、0.001質量%以上であることが好ましく、より好ましくは0.01質量%以上、さらに好ましくは0.1質量%以上である。
【0075】
(エポキシ樹脂組成物の物性及び製造方法)
上記エポキシ樹脂組成物のクリーピング長さ(μm)は特に限定されないが、例えば、660μm未満が好ましく、より好ましくは650μm以下、さらに好ましくは600μm以下、特に好ましくは550μm以下、最も好ましくは500μm以下である。クリーピング長さ(μm)は後述の実施例に記載した方法により求めることができる。
【0076】
上記エポキシ樹脂組成物の25℃における粘度(Pa・s、初期粘度)は特に限定されないが、例えば、0.1~300Pa・sが好ましく、より好ましくは0.3~150Pa・s、さらに好ましくは0.5~80Pa・s、特に好ましくは0.8~50Pa・s、最も好ましくは1~30Pa・sである。粘度が上記範囲内にあることにより、ギャップへの充填が容易となる傾向がある。上記粘度は、後述の実施例の通り、ブルックフィールド粘度計(型番:HBDV-1、ブルックフィールド株式会社製)を用い、液温25℃において、50rpmで1分間回転させたときの粘度として測定することができる。
【0077】
上記エポキシ樹脂組成物を25℃で24時間保持した後の粘度(Pa・s、24時間保持後の試料の粘度)は特に限定されないが、例えば、0.1~500Pa・sが好ましく、より好ましくは0.3~300Pa・s、さらに好ましくは0.5~100Pa・s、特に好ましくは0.8~80Pa・s、最も好ましくは1~60Pa・sである。粘度が上記範囲内にあることにより、ギャップへの充填が容易となる傾向がある。上記粘度の測定方法は上述のとおりである。
【0078】
上記エポキシ樹脂組成物の下記式で算出される、25℃における増粘倍率は特に限定されないが、例えば、1.8未満が好ましく、より好ましくは1.75以下、さらに好ましくは1.7以下、特に好ましくは1.6以下、最も好ましくは1.5以下である。
増粘倍率=24時間保持後の試料の粘度(Pa・s)/初期粘度(Pa・s)
【0079】
上記エポキシ樹脂組成物は公知慣用の方法により調製することができる。例えば、エポキシ樹脂(A)、芳香族アミン化合物(B)、及びジシアンジアミド(C)、並びに、必要に応じてシロキサン(D)、無機充填材(E)、エラストマー(F)、カップリング剤(G)、顔料(H)、分散剤(I)、硬化剤(J)、硬化促進剤(K)、及びその他の成分(L)からなる群より選択される少なくとも1つを、同時に又は別々に適切な混合機に導入して、必要に応じて加熱することで溶融しつつ撹拌・混合することにより、上記エポキシ樹脂組成物を得ることができる。エポキシ樹脂(A)が固形の場合は、加熱により液状化又は流動化して混合することが好ましい。エポキシ樹脂組成物中に無機充填材(E)を均一に分散させることが困難な場合、エポキシ樹脂(A)及び無機充填材(E)を加熱混合して、エポキシ樹脂(A)中に無機充填材(E)を均一に分散させた後、必要に応じて冷却し、さらに芳香族アミン化合物(B)等の成分を混合することで、上記エポキシ樹脂組成物を調製してもよい。
【0080】
上記混合機は特に限定されないが、撹拌装置及び加熱装置を備えるロールミル、ライカイ機、ヘンシェルミキサー、タンブラー、自公転ミル、プラネタリーミキサー等が挙げられる。各成分の混合比は、エポキシ樹脂組成物中の各成分の含有割合に応じて適宜設定される。
【0081】
上記エポキシ樹脂組成物は、半導体装置における半導体素子、配線、はんだ(はんだバンプ)等の基板上に配置された材料を封止するための材料(半導体封止用エポキシ樹脂組成物)として好ましく使用できる。上記エポキシ樹脂組成物を半導体封止用エポキシ樹脂組成物として使用することにより、信頼性の高い封止体を製造することができる。また、上記エポキシ樹脂組成物は、フリップチップ型の半導体装置における基板上に配置された半導体素子等を封止するための材料(フリップチップ型半導体封止用エポキシ樹脂組成物)として好ましく使用できる。具体的に説明すると、半導体素子等と基板とのギャップに上記エポキシ樹脂組成物を充填させて熱硬化を施すことにより、上記ギャップに存在するバンプ電極を封止しつつ、封止体として半導体素子と基板とを互いに固定することで耐サーマルサイクル性を向上させることができる。
【0082】
上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、例えば、キャピラリーアンダーフィル、液状モールドアンダーフィル、セカンダリーアンダーフィル、先供給型アンダーフィル等のアンダーフィル、グラブトップ材、液状コンプレッションモールド材として用いられる。上記エポキシ樹脂組成物は、上述の半導体封止用エポキシ樹脂組成物としての用途に限定されず、例えば、電子部品を構成する部品同士を固定、接合、又は保護するための接着剤等として用いることができる。
【0083】
上記半導体封止用エポキシ樹脂組成物は、特に、基板と、上記基板上に配置された半導体素子とを封止する用途であって、上記半導体素子が、上記基板との配向面に対する裏側表面がバックサイドメタライゼーション処理されたことを特徴とする用途に用いられることが好ましい。
【0084】
(エポキシ樹脂組成物の硬化物)
上記エポキシ樹脂組成物を硬化することにより硬化物が形成される。その硬化方法は特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂組成物に加熱処理を施すことにより行われる。加熱処理の温度は特に限定されないが、例えば、60~200℃が好ましく、80~180℃がより好ましい。加熱処理の時間は特に限定されないが、例えば、0.1~5時間が好ましく、0.5~3時間がより好ましい。
【0085】
(半導体装置)
本発明の半導体装置は、基板と、上記基板上に配置された半導体素子と、上記半導体素子を封止する上記エポキシ樹脂組成物の硬化物とを備える。上記半導体装置は、フリップチップ型の半導体装置であることが好ましい。フリップチップ型の半導体装置は、バンプ電極を介して基板上の電極部と半導体素子とが接続された構造を備える。また、半導体装置では、上記半導体素子と上記基板とのギャップが、上記エポキシ樹脂組成物の硬化物(封止体)により封止されている。
【0086】
上記半導体装置は、特に、基板と、上記基板上に配置された半導体素子と備え、上記半導体素子が、上記基板との配向面に対する裏側表面がバックサイドメタライゼーション処理されたものであることが好ましい。
【0087】
上記基板と、上記基板上に配置された半導体素子とのギャップを上記エポキシ樹脂組成物で充填し(充填工程)、上記エポキシ樹脂組成物を加熱して硬化すること(封止工程)により、半導体装置を製造することができる。上記エポキシ樹脂組成物のギャップへの充填方法は特に限定されないが、例えば、基板を50~120℃に加熱しながら、基板又は半導体素子の一端に上記エポキシ樹脂組成物を塗布することにより、毛細管現象によって、基板と半導体素子とのギャップに上記エポキシ樹脂組成物が充填される。上記ギャップに上記エポキシ樹脂組成物を充填させた後、上記基板を所定温度で所定時間、具体的には、上記の硬化物の形成における加熱処理で説明した温度及び時間で加熱することで、上記ギャップは封止される。
【実施例
【0088】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明は実施例により限定されるものではない。
【0089】
表1に示す配合割合となるように、エポキシ樹脂(A)、芳香族アミン化合物(B)、ジシアンジアミド(C)、無機充填材(E)、カップリング剤(G)、及び顔料(H)、並びに、必要に応じてシロキサン(D)、エラストマー(F)、及び分散材(I)からなる群より選択される1以上を適宜選択して混合することで、実施例1~17、比較例1及び2のエポキシ樹脂組成物を調製した。表1中の各組成に関する数値は質量部を示す。
【0090】
以下、表1中の各成分について以下に説明する。
・エポキシ樹脂(A)
YDF-8170(製品名):ビスフェノールF型エポキシ樹脂、エポキシ当量160g/eq、25℃の粘度は1000~1500mPa・s(液状)、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製
jER630(製品名):アミノフェノール型エポキシ樹脂、エポキシ当量98g/eq、25℃の粘度は700mPa・s(液状)、三菱ケミカル株式会社製
HP-4032D(製品名):ナフタレン型エポキシ樹脂、エポキシ当量142g/eq、50℃の粘度は520mPa・s(液状)、DIC株式会社製
ZX-1658GS(製品名):環状脂肪族ジグリジルエ-テル、エポキシ当量133g/eq、25℃の粘度は50mPa・s以下(液状)、日鉄ケミカル&マテリアル株式会社製
・芳香族アミン化合物(B)
HD A-A/製品名は「KAYAHARD A-A」:4,4’-ジアミノ-3,3’-ジエチルジフェニルメタン、アミン当量64g/eq、25℃の粘度は2500mPa・s(液状)、日本化薬株式会社製
エタキュア100 Plus(製品名):ジエチルトルエンジアミン、アミン当量45g/eq、25℃の粘度は160mPa・s(液状)、アルベマール株式会社製
・ジシアンジアミド(C)
CG1400(製品名):ジシアンジアミド、エボニック株式会社製
・シロキサン(D)
KF-6013(製品名):ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、シリコーン系界面活性剤、信越化学工業株式会社製
・無機充填材(E)
SE2200-SEE(製品名):平均粒径1.5μm、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランにより表面が処理された二酸化ケイ素、株式会社アドマテックス製
SE1050-SEO(製品名):平均粒径0.3μm、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシランにより表面が処理された二酸化ケイ素、株式会社アドマテックス製
YA010A-JGP(製品名):平均粒径10nm、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランにより表面が処理された二酸化ケイ素(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:二酸化ケイ素の質量比は7:3)、株式会社アドマテックス製、表1中の数値はエラストマーの質量、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の質量分はYDF-8170に加算
・エラストマー(F)
MX965:製品名/カネエース MX965、株式会社カネカ製、コアシェル型シリコーン系エラストマーを含むビスフェノールF型エポキシ樹脂(ビスフェノールF型エポキシ樹脂:コアシェル型シリコーン系エラストマーの質量比は75:25)、エポキシ当量は224、表1中の数値はエラストマーの質量、ビスフェノールF型エポキシ樹脂の質量分はYDF-8170に加算
・カップリング剤(G)
KBM-403(製品名):3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、信越化学工業株式会社製
・顔料(H)
ブラック4:製品名/スペシャルブラック4、カーボンブラック、オリオンエンジニアドカーボンズ株式会社製
・分散剤(K)
BYK180:製品名/DISPERBYK180、高分子湿潤分散剤、アミン価94mgKOH/g、ビックケミー株式会社製
【0091】
(評価1:クリーピング評価)
Siチップ(半導体素子)を基板(FR4)上に固定した試験片を作製し、プラズマ処理を行った。この試験片を110℃のホットプレート上で加熱しながら、Siチップ端面に実施例1~17、比較例1及び2のエポキシ樹脂組成物を塗布し、フィレットを形成した、その後、送風定温恒温機(ヤマト科学株式会社製)により165℃、120分で硬化させた後、顕微鏡でクリーピングの長さを測定した。結果を表1の「クリーピング長さ(μm)」に記載する。
【0092】
(評価2:25℃における粘度の測定)
実施例1~17、比較例1及び2のエポキシ樹脂組成物の調製直後の25℃における粘度(Pa・s)について、ブルックフィールド粘度計(型番:RVDV-1、ブルックフィールド社製、スピンドルSC4-14を使用)を用い、液温25℃において、50rpmで1分間回転させたときの粘度(初期粘度)を測定した。結果を表1の「粘度(Pa・s)」に記載する。
【0093】
上記エポキシ樹脂組成物を密閉容器に入れ、25℃で24時間保持した。得られた試料の粘度を上記と同様の手順で測定し、ポットライフの指標となる増粘倍率を下記式により求めた。結果を表1の「増粘倍率」に記載する。
増粘倍率=24時間保持後の試料の粘度(Pa・s)/初期粘度(Pa・s)
【0094】
【表1】
【要約】
【課題】
クリーピングが発生しにくく、ポットライフが長いエポキシ樹脂組成物を提供する。
【解決手段】
エポキシ樹脂(A)と、
芳香族アミン化合物(B)と、
ジシアンジアミド(C)と、を含むエポキシ樹脂組成物であって、
ジシアンジアミド(C)の含有量が0.001~0.1質量%である、エポキシ樹脂組成物。
【選択図】なし