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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】光学式位置測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01D 5/347 20060101AFI20240612BHJP
【FI】
G01D5/347 110D
G01D5/347 110M
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020069011
(22)【出願日】2020-04-07
(65)【公開番号】P2021015114
(43)【公開日】2021-02-12
【審査請求日】2022-11-14
(31)【優先権主張番号】10 2019 210 274.3
(32)【優先日】2019-07-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】390014281
【氏名又は名称】ドクトル・ヨハネス・ハイデンハイン・ゲゼルシヤフト・ミツト・ベシユレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】DR. JOHANNES HEIDENHAIN GESELLSCHAFT MIT BESCHRANKTER HAFTUNG
(74)【代理人】
【識別番号】100069556
【弁理士】
【氏名又は名称】江崎 光史
(74)【代理人】
【識別番号】100111486
【弁理士】
【氏名又は名称】鍛冶澤 實
(74)【代理人】
【識別番号】100191835
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 真介
(72)【発明者】
【氏名】ヴォルフガング・ホルツアプフェル
(72)【発明者】
【氏名】ダーニエール・フレーゼ
(72)【発明者】
【氏名】クリストフ・リングク
【審査官】細見 斉子
(56)【参考文献】
【文献】特開平03-042518(JP,A)
【文献】特開2000-055698(JP,A)
【文献】特開2001-004411(JP,A)
【文献】特開2010-112949(JP,A)
【文献】特開2012-068124(JP,A)
【文献】特開2014-199933(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01D 5/26- 5/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射格子として構成された、回転軸を中心に回転する格子型基準尺(11;111)であって、この基準尺の走査から、回転軸を中心に方位方向の回転運動に関する位置情報も、格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフトに関する位置情報も生成することが可能である格子型基準尺と、
方位方向の回転角(φmess(θ))と格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフト(Δrmess(θ))を計測するために、回転する格子型基準尺(11;111)を走査する少なくとも一つの検出ユニットと、
を有する、互いに回転運動する二つの物体の間の回転角を検出する光学式位置測定装置であって、
前記の回転角を計測するための格子型基準尺(11;111)の走査の中立的な回転ポイントとシフトを計測するための格子型基準尺(11;111)の走査の中立的な回転ポイントが同じ面内に有り、この面が、格子型基準尺(11;111)に対して平行であるとともに、この中立的な回転ポイントは、走査により生成された光パターンがずれて前記検出ユニットに当たり、結果として変わらない位置からずれた位置を検出することなしに、格子型基準尺(11;111)又は検出ユニットが当該中立的な回転ポイントを中心にして理想的に配置された場合から傾斜可能である箇所を表す光学式位置測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光学式位置測定装置において、
格子型基準尺(11)が、半径方向目盛(11.1)と、当該半径方向目盛に対して同心に配置された円環目盛(11.2)とを有し、前記半径方向目盛(11.1)および前記円環目盛(11.2)は、目盛円板(10)上の二つの別個の円環形状のトラックに配置されている光学式位置測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の光学式位置測定装置において、
半径方向目盛(11.1)を走査する第一の検出ユニット(22)と、円環目盛(11.2)を走査する第二の検出ユニット(23)とを有する光学式位置測定装置。
【請求項4】
請求項1に記載の光学式位置測定装置において、
格子型基準尺(111)は、長手延存方向が半径方向を向いた、円環形状に第一の基準尺周期(MVP1)で周期的に配置されたストライプエレメント(111.1,111.2,111.3,....)から構成され、
これらのストライプエレメント(111.1,111.2,111.3,....)が、絶対位置符号化のために、それらの長手延存方向に沿って第二の基準尺周期(MVP2)による周期的な構造を有する、
光学式位置測定装置。
【請求項5】
請求項4に記載の光学式位置測定装置において、
前記の検出ユニットが、単一の光源(121)と、単一の検出器配列(122)とを有する光学式位置測定装置。
【請求項6】
請求項5に記載の光学式位置測定装置において、
前記の検出器配列(122)が、複数の検出器エレメントを備えた二次元の検出器配列として構成されて、複数の検出器エレメントからそれぞれ構成された複数の検出器スリットを有し、これらの検出器スリットが、円環形状の配列方向に沿って第一の検出周期で周期的に配置されるとともに、これらの検出器エレメントが、検出器スリット内において、第二の検出周期で周期的に配置されている光学式位置測定装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか一つに記載の光学式位置測定装置において、
前記の格子型基準尺(111)の光学走査部が、投影倍率β=2による中心投影走査部として構成されていて、拡散光源(121)と、少なくとも一つの方向に沿って周期的に構成された検出器配列(122)とを有する光学式位置測定装置。
【請求項8】
請求項1から7までのいずれか一つに記載の光学式位置測定装置において、
本装置が信号処理ユニット(30;130)を有し、この信号処理ユニットが、
校正動作において格子型基準尺(11;111)の少なくとも1回の全回転に渡って得られる、格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフト(Δrmess(θ))に関する回転角に応じた測定値を更に処理して、回転角に応じた補正値(φkorr)として信号処理ユニット(30;130)のメモリに保存することが可能であり、
測定動作において、この信号処理ユニット(30;130)によって、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して測定した方位方向の回転角(φmess(θ))を補正するために、このメモリに保存された回転角に応じた補正値(φkorr)を使用する、ように装備及び構成されている、
光学式位置測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の光学式位置測定装置において、
前記の信号処理ユニット(30;130)は、この信号処理ユニット(30;130)によって、校正動作において得られた格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフト(Δrmess(θ))に関する回転角に応じた測定値が、測定動作において、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して、90°ずれた回転角を補正するために使用されるように装備及び構成されている光学式位置測定装置。
【請求項10】
請求項8に記載の光学式位置測定装置において、
前記の信号処理ユニット(30;130)は、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して回転角を次の式の通り
φout=φmess-φkorr(φmess-π/2)
ここで、
φout:出力される補正された角度位置
φmess(θ):方位方向の走査の回転角値
φkorr(θ):回転角に応じた補正値
補正する光学式位置測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、互いに回転運動する二つの物体の間の回転角を検出する光学式位置測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
そのような位置測定装置は、通常、所謂目盛円板上に配置された、回転軸を中心に回転する格子型基準尺を有する。その格子型基準尺は、一般的に半径方向目盛として構成され、その目盛を好適な走査ユニットを用いて走査することから、目盛円板の回転運動に関する位置信号を生成することが可能であり、そのようにして生成された位置信号は、互いに回転運動する二つの物体の間の方位方向の回転角を特徴付けるものである。そのために、所要の走査ユニットは、特に、好適に構成された少なくとも一つの光電式検出器配列を有する。互いの位置又は角度に関する相対的な向きを計測すべき二つの物体は、一方の回転する目盛円板とそれに対する他方の位置測定装置の静止部分、即ち、走査ユニットとに接続されている。典型的な用途では、そのような位置測定装置によって、例えば、回転する駆動シャフトのそれに対して静止している駆動筐体に対する回転運動が計測される。それによって検出された位置信号又は回転角は、周知の手法により駆動制御に用いることができる。
【0003】
ここで、特に、回転する目盛円板とそれに対して静止している位置測定装置の構成部品が既に工場側で互いに組み立てられているのではなく、例えば、別個に供給される目盛円板と走査ユニットの組立てが顧客側で行なわれる場合に問題が起こる。その場合、目盛円板が、そのため、走査される格子型基準尺が実際の回転軸に対して精確に芯合わせされて組み立てられていることが容易に保証されない。しかし、そのことは、生成された位置信号を評価する際の重要な前提条件である。その結果、実際の多くの場合に、所謂偏心誤差を含む位置信号が得られ、その誤差は、実際の回転軸が回転する目盛円板又は格子型基準尺の軸と一致しないことに起因して、偏心の度合いに応じて変化する。目盛円板の偏心した姿勢によって生じる誤差は、顧客側で組み立てる場合に大きく、それに対応する位置測定装置の最大測定精度に重大な影響を及ぼす。
【0004】
以下において、図1A~1Dの図面に基づき、それに対応する関係を詳しく説明する。それらの図は、それぞれ回転軸M を中心に回転する目盛円板TSを異なる回転位置A~Dで図示しており、格子型基準尺又は目盛円板TSの軸MTSは、回転軸Mに対して偏心eを有する。更に、図では、それぞれ目盛円板TSの当該の回転位置A~Dにおける偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)が表示されている。図には、半径方向目盛として構成され、格子型基準尺又は目盛円板TSの軸MTSの周りに平均走査半径Rの円環形状の目盛トラックとして配置された、目盛円板TS上の格子型基準尺は図示されていない。
【0005】
そのような場合には、格子型基準尺の走査箇所において、目盛円板TSの接線方向のシフトΔt(θ)が次の式の通り生じる。
【0006】
【数1】
ここで、
Δt(θ):目盛円板の接線方向のシフト
θ:目盛円板の回転角
e:偏心
Δθ:偏心に起因する回転角誤差の位相位置
【0007】
目盛円板TS上の格子型基準尺の方位方向の走査は、以下の関係式の通り、存在する偏心eに起因する回転角誤差Δφexz(θ)を有する回転角値φmess(θ)を提供する。
【0008】
【数2】
この場合、
【数3】
ここで、
φmess(θ):方位方向の走査の回転角値
Δφexz(θ):偏心に起因する回転角誤差
θ:目盛円板の回転角
e:偏心
Δθ:偏心に起因する回転角誤差の位相位置
R:走査半径
【0009】
図1A~1D及び式3から明らかな通り、偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)は周期的であり、目盛円板TSの一回の全回転の周期で繰り返す。図1A及び1Cにおける目盛円板TSの回転位置A及びCでは、偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)が最大となり、図1B及び1Dにおける目盛円板TSの回転位置B及びDでは、偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)が消失する。
【0010】
回転位置測定装置における偏心誤差を解消するために、既に多くの解決策が提案されている。それに関して周知の解決策のアプローチの中の一つである特許文献1では、例えば、回転する目盛円板上に、半径方向目盛を備えた、回転運動の検出に使用される円環形状の目盛トラックとそれに対する検出ユニット又は走査箇所の外に、同心状かつ円環形状に配置された目盛線又は格子線から成る別の円環形状の目盛トラックを平行に配置すると規定している。第一の検出ユニットと同じ方位方向の位置に有る、追加の目盛トラックに割り当てられた検出ユニットによって、半径方向における目盛円板の場合によっては起こる偏位を定量的に検出して、回転軸の周りの目盛円板の回転を記述する、本来関心を寄せている位置信号又は回転角を補正するために用いることができる。
【0011】
以下において、図2A~2Dを用いて、特許文献1に基づく偏心誤差を補正する原理を説明する。当該の図は、それぞれ使用する二つの目盛トラックS1,S2を備えた使用する目盛円板TSと、それらに対応する検出ユニットD1,D2とを異なる回転位置A~Dで図示しており、格子型基準尺又は目盛円板TSの軸MTSは回転軸Mに対して偏心eを有する。図2A~2Dでは、更に、各回転位置A~Dに対して、それぞれ半径方向における目盛円板TSの偏心に起因する偏位Δrexz(θ)(上の図面)と偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)(下の図面)が表示されている。
【0012】
目盛円板TSが偏心運動する場合、その半径方向の偏位Δrexz(θ)は、以下の関係式によって接線方向のシフトΔt(θ)と関連付けられる。
【0013】
【数4】
ここで、
Δrexz(θ):目盛円板の半径方向の偏位
Δt(θ):目盛円板の接線方向のシフト
θ:目盛円板の回転角
【0014】
従って、偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)に関して、次の式が成り立つ。
【0015】
【数5】
ここで、
Δφexz(θ):偏心に起因する回転角誤差
Δrexz(θ):目盛円板の半径方向の偏位
R:走査半径
θ:目盛円板の回転角
【0016】
図2A~2Dから、目盛トラックS2における円環形状に配置された目盛線の走査によって得られる目盛円板の半径方向の偏位Δrexz(θ)の測定値が、偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)に対して精確に90°位相シフトしていることが明らかである。この関係は、目盛円板TSの組立後の校正動作において、目盛円板TSの一回の全回転に渡って目盛円板の半径方向の偏位Δrexz(θ)の測定値を記録して、それを更に処理し、その際、係数1/Rでスケーリングして、例えば、表に、以下の式の回転角に応じた補正値φkorr(θ)として保存することによって、補正のために利用することができる。
【0017】
【数6】
ここで、
φkorr(θ):回転角に応じた補正値
Δrexz(θ):目盛円板の半径方向の偏位
R:走査半径
θ:目盛円板の回転角
【0018】
そして、測定動作において、実際に出力される補正された角度位置φoutは、表からの90°ずれた補正値φkorr(θ)によって補正される。
【0019】
この措置は、その場合に方位方向の回転角値を校正するための外部の基準系を必要とするのではなく、位置測定装置が全ての必要な補正情報を自身で算出するので、その限りにおいて有利である。
【0020】
透過光により動作する光学式位置測定装置に関しては、そのようにして、目盛円板又は格子型基準尺の場合によっては生じる偏心により引き起こされる測定誤差を簡単な手法で補正することができる。しかし、特に、反射光式走査による光学式回転位置測定装置の場合、測定精度を著しく損なう可能性の有る更に別の誤差が発生する。そのような誤差は、目盛円板が理想的に配置又は軸支されていない時に場合によっては起こる目盛円板のタンブリング運動によって引き起こされる。そのような誤差の補正に関して、特許文献1は解決策のアプローチを何ら記載していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0021】
【文献】ドイツ特許出願第112005002253号明細書
【文献】ドイツ特許出願第102018200449.8号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明の課題は、回転角の計測時に偏心に起因する誤差の外に、走査される格子型基準尺又は目盛円板のタンブリングによって引き起こされる誤差も補正することが可能である相対的な回転運動を検出する光学式位置測定装置を提示することである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本課題は、本発明に基づく請求項1の特徴を有する光学式位置測定装置によって解決される。
【0024】
本発明の有利な実施構成は、従属請求項に記載された措置から明らかとなる。
【0025】
本発明による互いに回転運動する二つの物体の間の回転角を検出する光学式位置測定装置は、回転軸を中心に回転する格子型基準尺を有し、この基準尺は、反射格子として構成され、この基準尺の走査によって、回転軸の周りの方位方向の回転運動に関する位置情報も、格子型基準尺の半径方向のシフトに関する位置情報も生成することが可能である。更に、方位方向の回転角と格子型基準尺の半径方向のシフトを計測するために、回転する格子型基準尺を走査する少なくとも一つの検出ユニットが配備されている。この場合、回転角を計測するための格子型基準尺の走査の中立的な回転ポイントシフトを計測するための格子型基準尺の走査の中立的な回転ポイントは同じ面内に有り、この面は、格子型基準尺に対して平行であり、この中立的な回転ポイントは、その回転ポイントを中心に格子型基準尺又は検出ユニットが位置のずれ無しに傾斜することが可能である箇所を表す。
【0026】
格子型基準尺が半径方向目盛とそれに隣接して配置された円環目盛とを有することが可能である。
【0027】
この場合、第一の検出ユニットが半径方向目盛を走査する役割を果たし、第二の検出ユニットが円環目盛を走査する役割を果たすことができる。
【0028】
更に、格子型基準尺が、円環形状に第一の基準尺周期で周期的に配置されたストライプエレメントから構成され、これらのストライプエレメントの長手延存方向が半径方向を向いており、これらのストライプエレメントは、絶対位置符号化のために、それらが長手延存方向に沿って第二の基準尺周期による周期的な構造を有することが可能である。
【0029】
この場合、検出ユニットは、有利には、単一の光源と単一の検出器配列を有する。
【0030】
この検出器配列は、複数の検出器エレメントを備えた二次元の検出器配列として構成するとともに、それぞれ複数の検出器エレメントから成る複数の検出器スリットを有することができ、これらの検出器スリットは、円環形状の配列方向に沿って第一の検出周期で周期的に配置され、検出器スリット内において、これらの検出器エレメントは第二の検出周期で周期的に配置されている。
【0031】
有利には、格子型基準尺の光学走査部は、投影倍率β=2の中心投影式走査として構成され、拡散光源と少なくとも一つの方向に沿って周期的に構成された検出器配列とを有する。
【0032】
更に、本光学式位置測定装置は信号処理ユニットを有し、この信号処理ユニットは、
校正動作において格子型基準尺の少なくとも一回の全回転に渡って得られる格子型基準尺の半径方向のシフトに関する回転角に応じた測定値が更に処理されて、回転角に応じた補正値として信号処理ユニットのメモリに保存することが可能であり、
測定動作において、このメモリに保存された回転角に応じた補正値が、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して、測定された方位方向の回転角を補正するために、信号処理ユニットによって用いられる、
ように装備及び構成されることが可能である。
【0033】
この場合、信号処理ユニットは、校正動作において得られる格子型基準尺の半径方向のシフトに関する回転角に応じた測定値が、信号処理ユニットによって、測定動作における存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して90°ずれた回転角を補正するために使用されるように装備及び構成することができる。
【0034】
有利には、信号処理ユニットは、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して、回転角を次の式の通り補正する。
【0035】
φout=φmess-φkorr(φmess-π/2)
ここで、
φout:出力される補正された回転位置
φmess(θ):方位方向の走査の回転角値
φkorr(θ):回転角に応じた補正値
【0036】
本発明による措置によって、位置測定装置により測定される回転角は、格子型基準尺又は目盛円板の場合によっては生じる偏心誤差に関しても、場合によっては生じるタンブリング誤差に関しても同時に補正することができる。後者は、特に、反射光式走査による光学式位置測定装置において、無視できない誤差の源である。
【0037】
特に有利な実施構成では、特別に構成された格子型基準尺によって、そのために必要な情報を単一の走査箇所から得ることができる。その結果、それに対応する位置測定装置の非常にコンパクトな構造形体が得られる。
【0038】
本発明による装置の図面と関連した実施例の記述に基づき、本発明の更なる詳細及び利点を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1A】第一の回転位置における同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する偏心に起因する角度偏位のグラフ図
図1B】第二の回転位置における同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する偏心に起因する角度偏位のグラフ図
図1C】第三の回転位置における同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する偏心に起因する角度偏位のグラフ図
図1D】第四の回転位置における同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する偏心に起因する角度偏位のグラフ図
図2A】従来技術による第一の回転位置における追加の目盛トラックを備えた同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する目盛円板の半径方向の偏位及び回転角誤差のグラフ図
図2B】従来技術による第二の回転位置における追加の目盛トラックを備えた同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する目盛円板の半径方向の偏位及び回転角誤差のグラフ図
図2C】従来技術による第三の回転位置における追加の目盛トラックを備えた同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する目盛円板の半径方向の偏位及び回転角誤差のグラフ図
図2D】従来技術による第四の回転位置における追加の目盛トラックを備えた同心状に配置された目盛円板の模式図とそれに対応する目盛円板の半径方向の偏位及び回転角誤差のグラフ図
図3】反射光式走査におけるタンブリングする目盛円板の場合の状況説明図
図4A図1Aにより測定した回転角へのタンブリングする目盛円板の影響を説明する模式図
図4B図1Bにより測定した回転角へのタンブリングする目盛円板の影響を説明する模式図
図4C図1Cにより測定した回転角へのタンブリングする目盛円板の影響を説明する模式図
図4D図1Dにより測定した回転角へのタンブリングする目盛円板の影響を説明する模式図
図5】測定した回転角において偏心及びタンブリングにより引き起こされる誤差に関する模式図
図6A】第一の変化形態による走査の中立的な回転ポイントを説明する模式図
図6B】第一の変化形態による走査の中立的な回転ポイントを説明する模式図
図6C】第一の変化形態による走査の中立的な回転ポイントを説明する模式図
図7A】第二の変化形態による走査の中立的な回転ポイントを説明する模式図
図7B】第二の変化形態による走査の中立的な回転ポイントを説明する模式図
図7C】第二の変化形態による走査の中立的な回転ポイントを説明する模式図
図8A】本発明による位置測定装置の校正動作時の措置を説明する模式図
図8B】本発明による位置測定装置の測定動作時の措置を説明する模式図
図9A】本発明による第一の実施例の位置測定装置の目盛円板の模式図
図9B】本発明による第一の実施例の位置測定装置の断面図
図10A】本発明による第二の実施例の位置測定装置の目盛円板の模式図
図10B】本発明による第二の実施例の位置測定装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0040】
本発明による光学式位置測定装置の具体的な実施例を図8A,8B,9A,9B,10A及び10Bに基づき説明する前に、先ずは、本発明と関連する様々な理論的な考えを説明する。
【0041】
格子型基準尺を透過光により走査する光学式回転位置測定装置は、前に考察した特許文献1によると、位置計測に対する誤差成分として、基本的に偏心誤差だけを有する。反射光式走査による光学式回転位置測定装置では、それ以外に、格子型基準尺又は目盛円板の場合によっては起こるタンブリング運動により引き起こされる別の誤差成分が存在する。そのようなタンブリング運動は、目盛円板がその時々の測定装置に正しく軸支されていないか、或いは組み立てられていない時に起こる可能性が有る。
【0042】
先ずは、位置測定に対する反射光により走査されるタンブリングする目盛円板の影響を図3の模式図に基づき説明し、この場合、上の図面は、目盛円板TSの平面図を図示し、下の図面は、位置測定装置の側面図を図示している。ここで、この図の下の部分には、正しく組み立てられたタンブリング運動しない目盛円板TSが破線で図示され、回転ポイントD’の周りに傾斜した、そのため、タンブリングする目盛円板TS’が実線で図示されている。
【0043】
図3の側面図では、タンブリングする目盛円板TS’が、その図面において傾斜した法線ベクトルNにより明示されている。検出ユニットDETの光を検知する面は、走査面AE内に有り、図示されていない光源から検出ユニットDETに放出された単に模式的に表示された走査光ビームASが、図示された状態では傾斜している目盛円板TS’によって反射されて、走査により生成された光パターンは、ずれて検出ユニットDETに当たる。これは、検出ユニットDETが、変わらない位置からずれた、即ち、偏位した位置を検出してしまうとの作用を及ぼす。ここで、目盛円板TSが回転した場合、目盛円板TSの法線ベクトルNの先端が、図3の上の部分に図示されている通り、回転ポイントDの周りに円軌道を描く。
【0044】
その結果生じる測定誤差に対する目盛円板TSの場合によっては起こるタンブリング運動の影響も、図1A~1Dの前の考察と同様に表すことができる。それは、図4A~4Dに図解されている。
【0045】
図から明らかな通り、目盛円板TSの回転位置A及びCでは、タンブリングに起因する回転角誤差Δφtiltが最大になり、それに対して、光パターンの半径方向のシフトだけが生じる回転位置B及びDでは、タンブリングに起因する回転角誤差Δφtiltが消失する。
【0046】
反射光式走査時に目盛円板TSのタンブリング運動により引き起こされる回転角誤差Δφtiltは、次の式により与えられる。
【0047】
【数7】
ここで、
Δφtilt:タンブリングに起因する回転角誤差
b:タンブリングに起因する回転角誤差の振幅
θ:目盛円板の回転角
Δθ:タンブリングに起因する回転角誤差の位相位置
【0048】
そして、位置計測時の全体測定誤差Δφtotalは、全体として、関係式3及び7に基づく偏心に起因する回転角誤差Δφ exz とタンブリングに起因する回転角誤差Δφtiltの成分の合計から次の通りに得られる。
【0049】
【数8】
ここで、
Δφtotal:全体測定誤差
Δφexz:偏心に起因する回転角誤差
Δφtilt:タンブリングに起因する回転角誤差
a=e/R:偏心に起因する回転角誤差の振幅
b:タンブリングに起因する回転角誤差の振幅
θ:目盛円板の回転角
Δθ:偏心に起因する回転角誤差の位相位置
Δθ:タンブリングに起因する回転角誤差の位相位置
【0050】
図5には、目盛円板の一回の全回転に渡る回転角誤差Δφexz,Δφtiltの異なる成分とその結果得られる関係式8に基づく全体測定誤差Δφtotalとが図示されている。この場合、偏心に起因する回転角誤差Δφexzとタンブリングに起因する回転角誤差Δφtiltの位相位置と振幅は、それらが一致せず、それにより全体測定誤差Δφtotalの位相位置も異なる誤差成分の位相位置と異なるように選定されている。図5から分かる通り、その結果得られる全体測定誤差Δφtotalも360°の周期を有する。
【0051】
回転する格子型基準尺の反射光式走査時における偏心に起因する回転角誤差Δφ exz とタンブリングに起因する回転角誤差Δφtiltを同時に確実に補正できるようにするために、特に、冒頭で考察した特許文献1による補正方式を用いる場合には、ここで規定した走査に関する所定の措置が必要である。この場合、回転角及びシフトを計測する走査の所謂中立的な回転ポイントの位置が重要である。以下において、より良い理解のために、光学式走査の二つの異なる変化形態と関連して、走査の中立的な回転ポイントを何であると理解すべきなのかを説明する。
【0052】
この場合、図6A~6Cは、第一の光学走査の場合を図示しており、それに関して、例えば、走査の中立的な回転ポイントの概念を以下で説明する。
【0053】
図6Aは、走査ユニットAEHを用いた基準目盛板T上の反射格子型基準尺の光学走査形態を模式的な形で図示している。走査ユニットAEHには、光源LQが有り、その光は、コリメータレンズKLによってコリメートされた後、基準目盛板T上の格子型基準尺に当たる。そして、基準目盛板Tによって反射されたビームは、基準目盛板Tの上方の走査間隔dの所に配置された走査ユニットAEH内のセンサーSに到達する。ここで、例えば、走査ビームの推移に関して、基準目盛板T上の点P,Q及びRに入射する、コリメータレンズKLの中央ビームと二つの周縁ビームを考察する。基準目盛板T上の点P,Q及びRから反射されたビームは、図示されている通り、それぞれセンサーS上の点P’,Q’及びR’に当たる。
【0054】
ここで、基準目盛板Tが傾斜している場合、その結果得られる各走査ビームの推移は、如何なる点を中心に操作ユニットAEHが回転しているか、或いは如何なる回転軸DAを中心に走査ユニットAEHが傾斜しているのかに依存する。図6Bの場合、角度Rの傾斜を生じるさせる回転軸DAは点Qの所にあり、したがって基準目盛板T上に有る。この選定された走査形態では、入射角は出射角と同じであるので、傾斜して配置されていると、点Qから反射されてセンサーS上に当たるビームは、最早傾斜していない状態のように点Q’上に当たるのではなく、センサーSの検出面内の大きさΔxだけずれた点Q’’上に当たる。それと同様に、傾斜した状態において基準目盛板T上の点P及びRから反射されたビームは、それぞれセンサーS内の点P’’及びR’’に当たる。傾斜に起因するずれΔxの大きさは、基本的に公式に基づき精確に規定することができるが、以下における考察に関しては、何らの役割も果たさない。即ち、結局は、走査ユニットAEHが位置に関して変化せず、依然として同じx位置に存在するにも関わらず、センサーS上の光パターンが傾斜に起因して更に変化してしまうので、回転軸DAを中心とする傾斜は、センサーSが位置のずれを検出してしまうとの作用を及ぼす。
【0055】
傾斜生じる回転軸DAのその時々の位置の意味を図解するために、回転軸DAが基準目盛板Tの表面から間隔2dだけ離れた所に有る場合が図6Cに図示されている。ここで、走査ユニットAEHが存在する回転軸DAを中心に角度Rだけ回転した場合、基準目盛板T上の点P,Q及びRで反射されたビームは、図6Aに基づく傾斜していない状態と同様にセンサーS上の点P’,Q’及びR’に当たる。即ち、この位置の回転軸DAでは、走査ユニットAEHが傾斜しているにも関わらず、位置のずれは検出されない。
【0056】
そのため、図6A~6Cに図示された走査形態では、走査ユニットAEHの傾斜が生じ得るが、位置の変化引き起こされない回転軸DA又は点が系内に存在することが明らかである。以下において、対応する回転軸DAを中立的な回転軸と称し、対応する点を中立的な回転ポイントと称する。ここで説明する図6A~6Cの例では、中立的な回転ポイントは、基準目盛板Tの表面から二倍の走査間隔2dだけ離れた所に有る。
【0057】
図7A~7Cを用いて、例えば、光学式位置測定装置の別の走査形態と関連して、中立的な回転ポイントの概念を更に説明する。この場合、陰影走査が最早行われず、前の例と異なり、基準目盛板Tが、投影レンズALによって、センサーS上に投影される。この場合、図7A~7Cの図示された例では、1対-1の投影又は像の反転が起こり、その結果、基準目盛板T上に有る点P,Q及びRは、反転した順番のR’,Q’,P’でセンサーS上に投影される。見易くするために、図では、中央の点Qに関するビーム推移だけが図示されている。
【0058】
この場合、図7Bには、回転軸DAが基準目盛板T上の点Qを通って延びて、走査ユニットAEHが回転軸DAを中心に角度Rだけ傾斜する場合が図解されている。ここで、それは投影系であるので、照明方向が変化しているにも関わらず、点Qは、又もやセンサーS内の点Q’に投影される。
【0059】
それと異なり、回転軸DAがセンサーS内に有る点Q’を通って延びる状況を見ると、図7Cには、この回転軸DAを中心にする角度R 傾斜が図示されている。投影レンズALの光軸が傾斜している場合、投影する物体、即ち、基準目盛板T上の点Qは、ずれるように動くので、この点Qは、大きさΔxだけずれてセンサーS上の点Q’に投影される。
【0060】
即ち、図7A~7Cによる走査形態の例では、中立的な回転ポイントの別の位置が得られ、この場合、中立的な回転ポイントは、図6A~6Cの前の例と異なり、基準目盛板T上に有る。そこに有る点を中心にする走査ユニットAEHの回転又は傾斜は位置のずれを引き起こさない。
【0061】
図6A~6Cと図7A~7Cにより説明した二つの例は、光学式位置測定装置における中立的な回転ポイントが走査の各変化形態に関して重要な幾何学的な変数であることを図解している。特に、これら二つの例は、中立的な回転ポイントが任意の走査形態において必ずしも一致する必要がないことを示している。
【0062】
即ち、基本的に、
光学式位置測定装置において、系が中立的な回転ポイントを中心に傾斜していても、測定される位置は変わらないままであることと、
系がそれ以外の点を中心に傾斜している場合、実際の位置変化が生じていないのに、測定される位置が変化してしまうことと、
に留意することができる。この場合、傾斜は、走査ユニット又は検出ユニットの傾斜から成るか、さもなければ格子型基準尺の傾斜から成ることができる。
【0063】
本発明では、特許文献1により周知の回転位置測定装置における偏心に起因する誤差を補正する措置が、校正動作において行なわれる格子型基準尺の回転角に応じた半径方向のずれの測定と、測定動作における、この半径方向のずれの値を用いて行なわれる90°ずれた位置値の補正とに基づき、反射光式走査におけるタンブリング誤差の補正に拡張されている。そのために、この校正動作において行なわれる格子型基準尺の半径方向の走査は、偏心による偏位も、回転する目盛円板のタンブリングによる偏位も正しい手法で検出しなければならない。
【0064】
これに関連して、タンブリング運動を正しく検出するためには、方位方向(x軸に沿った測定方向)の走査におけるRの傾斜による位置シフトが半径方向(y軸に沿った測定方向)の走査におけるRの傾斜による位置シフトと同じ大きさでなければならないことが分かった。この条件は、補正の規定された90°のずれから導かれて、結局は、方位方向の走査と半径方向の走査の中立的な回転ポイントが目盛円板又は格子型基準尺に対して同じ間隔の所に存在しなければならないことを意味する。言い換えると、回転角を計測するための格子型基準尺の走査の中立的な回転ポイントとシフトを計測するための格子型基準尺の走査の中立的な回転ポイントが同じ面内に存在しなければなら、この面は、格子型基準尺に対して平行である。
【0065】
これらの関係は、以下の通り公式により記述することができる。
【0066】
先ずは、方位方向の反射光式走査の測定される回転角値に関して、式2を拡張して、次の式が成り立つ。
【0067】
【数9】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
φmess(θ):方位方向の走査の回転角値
φexz(θ):偏心に起因する回転角誤差
φtilt(θ):タンブリングに起因する回転角誤差
【0068】
そのため、反射格子型基準尺の反射光式走査の場合、タンブリングに起因する回転角誤差φtilt(θ)による誤差の大きさが、偏心に起因する回転角誤差φexz(θ)に加算され、その誤差の大きさは、次の通り記述することができる。
【0069】
【数10】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
Δφtilt(θ):タンブリングに起因する回転角誤差
R:走査半径
Δz:目盛円板からの方位方向の走査の中立的な回転ポイントの間隔
(θ):走査箇所におけるy軸を中心にする目盛円板の傾斜
【0070】
そして、関係式9及び10から、次の式が得られる。
【0071】
【数11】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
φmess(θ):方位方向の走査の回転角値
Δφexz(θ):偏心に起因する回転角誤差
R:走査半径
Δz:目盛円板からの方位方向の走査の中立的な回転ポイントの間隔
(θ):走査箇所におけるy軸を中心にする目盛円板の傾斜
【0072】
この場合、座標系は、目盛円板の中心点が座標の原点に有るとともに、方位方向の走査箇所が座標x=0,y=Rの所に有るように選定される。
【0073】
関係式9と同様に、半径方向の反射光式走査の測定値Δrmess(θ)に関して、次の式が成り立つ。
【0074】
【数12】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
Δrmess(θ):半径方向の反射光式走査の測定値
Δrexz(θ):偏心に起因する半径方向の測定値
【0075】
この場合、変数Δrtilt(θ)、即ち、タンブリングに起因する測定値に関して、次の式が成り立つ。
【0076】
【数13】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
Δrtilt(θ):タンブリングに起因する半径方向の測定値
Δz:目盛円板からの半径方向の走査の中立的な回転ポイントの間隔
(θ):走査箇所におけるx軸を中心にする目盛円板の傾斜
【0077】
関係式12による半径方向の反射光式走査の測定値Δrmess(θ)が、目盛円板の実際の偏心に起因する偏位Δrexz(θ)も、ここでは、Δrtilt(θ)と表示され、以下において、タンブリングに起因する半径方向の測定値と称する、光パターンのタンブリングに起因する半径方向のシフトも含むことに留意されたい。
【0078】
そして、関係式12及び13から、次の式が得られる。
【0079】
【数14】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
Δrmess(θ):半径方向の反射光式走査の測定値
Δrexz(θ):偏心に起因する半径方向の測定値
Δz:目盛円板からの半径方向の走査の中立的な回転ポイントの間隔
(θ):走査箇所におけるx軸を中心にする目盛円板の傾斜
【0080】
目盛円板のタンブリング運動は、以下の関係式により記述される。
【0081】
【数15】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
(θ):走査箇所におけるx軸を中心にする目盛円板の傾斜
(θ):走査箇所におけるy軸を中心にする目盛円板の傾斜
【0082】
関係式14をRで除算して、関係式5及び関係式15を関係式14に代入すると、次の式が得られる。
【0083】
【数16】
【0084】
前に述べた方法による偏心及びタンブリングの補正は、基本的に方位方向の走査(関係式11)と半径方向の走査(関係式16)において、タンブリングの大きさが同じであること、即ち、次の式の通りであることを前提としている。
【0085】
【数17】
ここで、
Δz:目盛円板からの方位方向の走査の中立的な回転ポイントの間隔
Δz:目盛円板からの半径方向の走査の中立的な回転ポイントの間隔
【0086】
そして、偏心による偏位とタンブリングによる偏位の完全な角度補正は、関係式6と同様に次の関係式に基づき行なうことができる。
【0087】
【数18】
ここで、
θ:目盛円板の回転角
φkorr(θ):回転角に応じた補正値
R:走査半径
Δrmess(θ):半径方向の反射光式走査の測定値
【0088】
実際には、角度θは、近似的に又もや測定された(誤差を含む)角度値φmess(θ)により置き換えることができる。そのため、出力される補正された角度位置φoutが次の通り得られる。
【0089】
【数19】
ここで、
φout:出力される補正された角度位置
φmess(θ):方位方向の走査の回転角値
φkorr(θ):回転角に応じた補正値
【0090】
二つの走査における目盛円板又は格子型基準尺からの中立的な回転ポイントの間隔が同じである時に上記の関係式17が順守されない場合、確かに前述した補正によって、偏心に起因する回転角誤差Δφexz(θ)は補正されるが、タンブリングに起因する回転角誤差Δφtilt(θ)は補正されない(図5を参照)。この残る残留誤差は、特に、相応の大きな許容範囲によるシャフト及び/又は目盛円板のハブの安価な製造が望まれており、そのため、大きなタンブリング運動が発生する場合に大きくなる。
【0091】
要約すると、本発明による互いに回転運動する二つの物体の間の回転角を検出する光学式位置測定装置は、以下の通り特徴付けることができる。
【0092】
即ち、それに対応する位置測定装置は、反射格子として構成された格子型基準尺を備えた回転する目盛円板を有する。その走査から、回転軸を中心にする方位方向の回転運動に関する位置情報も、格子型基準尺の半径方向のシフトに関する位置情報も取得する。少なくとも一つの検出ユニットが、方位方向の回転角と格子型基準尺の半径方向のシフトを計測するために、回転する格子型基準尺を走査する役割を果たす。この場合、それぞれの用途において目盛円板及び検出ユニットが組み立てられた後、校正動作において、好適なソフトウェア及び/又はハードウェアにより構成された信号処理ユニットを用いて、一回の回転に渡って回転角に応じた目盛円板の半径方向のシフトが算出される。次に、それによって得られる目盛円板の半径方向のシフトに関する測定値が信号処理ユニットのメモリに表形式で保存され、その際、例えば、サンプリングポイントの形で、それに対応する補正曲線を保存することもできる。測定動作において、方位方向の走査で測定された回転角値が、信号処理ユニットによって、メモリからの90°ずれた補正値を用いて、例えば、関係式19に基づき、偏心に起因する誤差及びタンブリングに起因する誤差補正されて、補正された角度位置φoutが出力される。この場合、補正は、メモリに保存されたサンプリングポイントの間の直線補間によって行なうこともできるサンプリングポイントによる補正の代わりに、正弦又は余弦の形の補正関数による補正を行なうこともでき、それらの振幅及び位相位置は、測定値Δrmessとそれに対応する適合とから決定しなければならない。この措置のため、特に、反射光式走査時に望まれているタンブリング補正のためには、回転角を計測するための格子型基準尺の走査の中立的な回転ポイントとシフトを計測するための格子型基準尺の走査の中立的な回転ポイントが同じ面に有るとともに、格子型基準尺に対して平行であることが必要である。それが保証されない場合、出力される角度位置φoutの補正が、そのようにならず小さ過ぎるか、或いは大き過ぎることとなる。
【0093】
図8A及び8Bには、本発明による光学式位置測定装置の一つの実施例に関する校正動作(図8A)と測定動作(図8B)における措置が大きく模式化されて図示されている。
【0094】
図8Aによると、校正動作において、本方法の工程S10a,S10bでは、目盛円板又は格子型基準尺が一回完全に回転している間に、当該の走査によって、半径方向のシフトと目盛円板の回転角に関する信号が生成され、以下において、それらに対応する信号をS(半径方向のシフト)及びSφ(方位方向の回転角)と称する。その次に、本方法の工程S11a,S11bでは、生成された信号S,Sφが、好適に構成された信号処理ユニットにおいて補間されて、それらに対応する位置信号Δrmess,φmessに変換され、ここで、Δrmess 半径方向の測定の位置値を表し、φmessは方位方向の測定の位置値を表す。そして、本方法の次の工程S12では、補正表が信号処理ユニットのメモリに保存され、そのために、偏心に起因する回転角誤差とタンブリングに起因する回転角誤差の補正に用いられる角度θについての補正値φkorr(θ)が計算される。この場合、当然のことながら、目盛円板の周囲に渡る所定のサンプリングポイントにおいてのみ、これらの補正値φkorr(θ)を記録することもできる。
【0095】
本方法の工程S12では、所定のサンプリングポイントにおいて記録された位置信号Δrmess,φmessから、適合によって、振幅や位相などの(正弦波状の)補正関数のパラメータを取得することもできる。
【0096】
図8Bには、本発明による位置測定装置の測定動作が大きく模式化されて図示されている。その図から明らかな通り、測定動作では、最早目盛円板の半径方向のシフトの検出は行なわれず、本方法の工程S20では、目盛円板の方位方向の回転角に関する信号Sφの生成だけが行われる。これらの信号Sφは、本方法の工程S21において、信号処理ユニットによって補間されて、位置信号φmessに変換される。本方法の工程S22では、信号処理ユニットによって、校正動作における本方法の工程S12から明らかになった関係式又は補正関数による補正値φkorr(θ)を用いて、回転角θついての補正値φkorrが算出されて、本方法の工程S23において、測定値φmessと組み合わされて、所与の関係式に基づき、出力される補正されたφoutに換算される。補正表は、当然に有限の多さのサンプリングポイントにおいてのみ保存されているので、本方法の工程S22における補正値の算出のためには、一般的に通常の手法による補間が必要である。
【0097】
最後に、大幅に簡略化した図9A,9B及び10A,10Bに基づき、当該の光学式位置測定装置の二つの実施例を詳しく説明する。この場合、二つの実施例は、一方においてそれぞれ使用する格子型基準尺が異なり、他方において格子型基準尺又は目盛円板の方位方向の回転角と半径方向のシフトを検出する走査形態が異なる。
【0098】
図9A,9Bによる第一の実施例は、例えば、特許文献1により既に知られている通りの格子型基準尺を備えた目盛円板10を使用する。図9Aの目盛円板の平面図によると、反射格子として構成された格子型基準尺11は、内側の半径方向目盛11.1とそれに隣接して外側に配置された円環目盛11.2とを有し、これら二つの目盛11.1,11.2は、ここでは、目盛円板10上の二つの別個の円環形状のトラックに配置されている。この半径方向目盛11.1は、そこに入射する光に関して異なる反射特性を有する半径方向を向いた格子領域から構成され、円環目盛11.2は円環形状の格子領域から構成される。この場合、図で異なる目盛11.1,11.2において明るく表示された格子領域は、大きく反射するように構成され、暗い格子領域は小さく反射するように構成されている。図9Aでは、半径目盛11.1上の第一の検出ユニットの走査箇所が符号14により表され、この第一の検出ユニットは、校正動作と測定動作において、半径目盛11.1を走査する役割と、目盛円板10の方位方向の回転角θを測定する役割とを果たす。図9Aでは、符号13は、円環目盛11.2上の第二の検出ユニットの走査箇所を表し、この第二の検出ユニットは、校正動作において、円環目盛11.2を走査する役割を、そのため目盛円板10の半径方向の偏位を測定する役割を果たす。
【0099】
図9Bには、本発明による位置測定装置の第一の実施例が模式的な側面図で図示されている。この図から明らかな通り、目盛円板10は、その上に配置された半径目盛11.1と円環目盛11.2の形の格子型基準尺11と共に、回転ポイントD’を中心に傾斜しており、その結果、回転軸を中心にする回転時に、目盛円板10のタンブリング運動が起こる。図9Bでは、理想的に配置された場合の傾斜していない目盛円板10’が点線で表示されている。同様に、図9Bでは、走査ユニット20に割り当てられた、半径目盛11.1を走査する役割を果たす第一の検出ユニット22を見ることができ、円環目盛11.2を走査する役割を果たす第二の検出ユニットが符号23により表示されている。これら二つの検出ユニット22,23は、それぞれ、例えば、構造化されたフォトダイオードとして構成された光電検出器を有する。この実施例では、二つの検出ユニット22,23は、光ビームを目盛円板10の方向に拡散させて放出する、走査ユニット20内の板26上の中央に配置された光源21によって分けられており、目盛円板では、光ビームが、格子型基準尺11の二つのトラックから二つの検出ユニット22,23の方に逆向きに反射される。
【0100】
更に、図9Bには、特に、検出ユニット22,23によって検出された、目盛円板の半径方向のシフト及び方位方向の回転角に関する信号S,Sφを再処理する役割を引き受ける、位置測定装置に割り当てられた信号処理ユニット30が模式的に表示されている。信号処理ユニット30では、二つの補間ユニット31,32によって、校正動作及び測定動作における半径方向の偏位の測定値Δrmess及び目盛円板10の回転角に関する測定値φmessを決定して、前に説明した措置に基づき、ユニット33によって、偏心及びタンブリングに関して補正された、出力される角度位置φoutとして再処理することができる。
【0101】
この実施例では、第一の検出ユニット22によって方位方向の回転角を検出する走査の中立的な回転ポイントは、本発明に基づき第二の検出ユニット23によって目盛円板10の半径方向の偏位を検出する走査の中立的な回転ポイントと同じ面内に有る。具体的には、二つの中立的な回転ポイントは、二つの検出ユニット22,23の検出面25内に有り、そのため、格子型基準尺11に対して平行である。
【0102】
この実施例と関連して、更に、半径方向測定方向に傾斜した照明方向による半径方向の走査が、目盛円板10のタンブリングに付随する間隔の変化による付加的な測定誤差を被らないことに言及しておきたい。それは、検出面25内に配置された拡散光源21によって保証されている。
【0103】
最後に、前の例と同様に又もや目盛円板110の平面図及び本発明による位置測定装置の別の構成要素と関連した本装置の側面図を図示した図10A及び10Bに基づき、本発明による光学式位置測定装置の別の実施例を説明する。以下において、第一の実施例との大きな違いだけを説明し、それ以外の点は、第一の実施例の記述と図9A及び9Bを引用する。
【0104】
この実施例で用いられる格子型基準尺111及びそれに対応する走査ユニット又は検出ユニットに関しては、特許文献2の開示内容をここに引用する。
【0105】
図10Aによると、第二の実施例では、前に説明した変化形態と比べて異なる形態で構成された格子型基準尺111が配備されており、この基準尺は、目盛円板110上の円環形状のトラックに配置されている。図10Aでは、この実施例の唯一つ規定された走査箇所が符号114で表示されている。この場合、又もや反射格子として構成された格子型基準尺111は、長手延存方向が半径方向を向いた、円環形状に第一の基準尺周期MVP1で配置されたストライプエレメント111.1,111.2,111.3,...から構成される。これらのストライプエレメント111.1,111.2,111.3,...は、絶対位置符号化のために、その長手延存方向に沿って、更に、第二の基準尺周期MVP2を有する構造エレメント112から成る周期的な構造を備えている。例えば、構造エレメント112の位相位置が、ストライプエレメント111.1,111.2,111.3,...の絶対位置を符号化する役割を果たし、そのようにして、各ストライプエレメント111.1,111.2,111.3,...に所定の符号ワードを割り当てることができる。即ち、円周方向に渡って、360°内の一つの角度位置を一義的に特徴付ける符号シーケンスを構成することができる。
【0106】
図10Aにおいて格子型基準尺の暗く表示された格子領域は、前の実施例と異なり、大きく反射するように構成され、明るい格子領域は小さく反射するように構成されている。
【0107】
前の実施例と同様に、図10Bには、本発明による位置測定装置の第二の実施例が模式的な側面図で図示されている。ここで、図から明らかな通り、一つのトラックに配置された格子型基準尺111を走査する走査ユニット120には、一つの検出ユニットだけが配備されている。この場合、検出ユニットは、拡散光源121、例えば、LEDと、少なくとも一つの方向に沿って周期的に構成された単一の検出器配列122とを有する。この光源121は、走査ユニット120において、回路基板126上に検出器配列に隣接して配置されている。
【0108】
この場合、格子型基準尺111の光学走査のために、投影倍率β=2の中心投影式走査が規定されている。この場合、光源121から放出された光は、格子型基準尺111から検出器配列122の検出面に逆方向に反射される。そして、格子型基準尺111に対する光源121の間隔が検出面に対する格子型基準尺111の面の間隔と精確に同じである場合に、投影倍率β=2が与えられる。この場合、格子型基準尺111上の構造は、検出器配列122上に精確に二倍の大きさで投影される。これに関しては、前に言及した特許文献2の図6及び7の記述を補完して引用する。
【0109】
当然に、この実施例を変化させた変化形態では、即ち、光源の光放出面が精確に検出面内に存在しない場合には、別の投影倍率β≠2を選定することもできる。
【0110】
第一の実施例の通り、検出面内に配置された拡散光源は、目盛円板のタンブリング運動による間隔の変化が付加的な測定誤差を引き起こさないことを保証する。
【0111】
有利な実施構成では、検出器配列122は、複数の検出器エレメントを備えた二次元の検出器配列として構成され、この検出器配列は、複数の検出器エレメントからそれぞれ構成された複数の検出器スリットを有する。この場合、検出器スリットは、円環形状の配列方向に沿って第一の検出周期で周期的に配置される一方、検出器エレメントは、検出器スリット内において第二の検出周期で配置される。それに関しても、明示的に上記の特許文献2を補完して引用する。
【0112】
この実施例では、ここで規定した走査が、目盛円板上の格子型基準尺111の単一トラックから、目盛円板110の方位方向の回転角の検出と、目盛円板110の半径方向の偏位の検出とを可能にする。これに関しては、同じく明示的に特許文献2の説明における図8a及び8bの記述を補完して引用し、そこには、そのような走査を用いて目盛円板と走査ユニットの接線方向又は半径方向のずれに関する情報を取得することが記載されている。
【0113】
そのため、目盛円板110の回転角検出とシフト検出に関連する中立的な回転ポイントが一致する、具体的には、この場合、中立的な回転ポイントは検出器配列122の検出面125内に有る。
【0114】
その他の点に関して、目盛円板の半径方向のシフトと方位方向の回転角に関して検出された信号S,Sφから偏心に起因する回転角誤差とタンブリングに起因する回転角誤差を補正する措置は前に説明した例の通り行なわれる。
【0115】
当然のことながら、本発明の範囲内には、ここで具体的に述べた実施例以外に、更に別の実施形態も存在する。
【0116】
即ち、補正値を校正動作の間に記録するだけでなく、測定動作の間においても絶えず更新することも可能である。そのためには、測定動作の間においても半径方向の測定値を計測して、それに対応して補正値を適合させなければならない。この適合は、直接的に大きさ全体に関して、或いはその前に得られた補正値を用いた平均により緩和された形で行なうことができる。
【0117】
更に、半径方向の走査と方位方向の走査を同じ方位方向の位置で行なわないことも可能である。そのような場合、関係式19によって記述される補正は、90°ずらした形で行なわれるのではなく、それ以外の相応の値だけずらした形などで行なわれる。
なお、本願は、特許請求の範囲に記載の発明に関するものであるが、他の態様として以下の構成も包含し得る:
1.
反射格子として構成された、回転軸の周りを回転する格子型基準尺(11;111)であって、この基準尺の走査から、回転軸の周りの方位方向の回転運動に関する位置情報も、格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフトに関する位置情報も生成することが可能である格子型基準尺と、
方位方向の回転角(φ mess (θ))と格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフト(Δr mess (θ))を計測するために、回転する格子型基準尺(11;111)を走査する少なくとも一つの検出ユニットと、
を有する、互いに回転運動する二つの物体の間の回転角を検出する光学式位置測定装置であって、
前記の回転角とシフトを計測するための格子型基準尺(11;111)の走査の中立的な回転ポイントが同じ面内に有り、この面が、格子型基準尺(11;111)に対して平行であるとともに、この中立的な回転ポイントは、その回転ポイントの周りに格子型基準尺(11;111)又は検出ユニットが位置のずれ無しに傾斜することが可能である箇所を表す光学式位置測定装置。
2.
上記1に記載の光学式位置測定装置において、
格子型基準尺(11)が、半径方向目盛(11.1)と、それに対して隣接して配置された円環目盛(11.2)とを有する光学式位置測定装置。
3.
上記2に記載の光学式位置測定装置において、
半径方向目盛(11.1)を走査する第一の検出ユニット(22)と、円環目盛(11.2)を走査する第二の検出ユニット(23)とを有する光学式位置測定装置。
4.
上記1に記載の光学式位置測定装置において、
格子型基準尺(111)は、長手延存方向が半径方向を向いた、円環形状に第一の基準尺周期(MV P1 )で周期的に配置されたストライプエレメント(111.1,111.2,111.3,....)から構成され、
これらのストライプエレメント(111.1,111.2,111.3,....)が、絶対位置符号化のために、それらの長手延存方向に沿って第二の基準尺周期(MV P2 )による周期的な構造を有する、
光学式位置測定装置。
5.
上記4に記載の光学式位置測定装置において、
前記の検出ユニットが、単一の光源(121)と、単一の検出器配列(122)とを有する光学式位置測定装置。
6.
上記5に記載の光学式位置測定装置において、
前記の検出器配列(122)が、複数の検出器エレメントを備えた二次元の検出器配列として構成されて、複数の検出器エレメントからそれぞれ構成された複数の検出器スリットを有し、これらの検出器スリットが、円環形状の配列方向に沿って第一の検出周期で周期的に配置されるとともに、これらの検出器エレメントが、検出器スリット内において、第二の検出周期で周期的に配置されている光学式位置測定装置。
7.
上記1から6までのいずれか一つに記載の光学式位置測定装置において、
前記の格子型基準尺(111)の光学走査部が、投影倍率β=2による中心投影走査部として構成されていて、拡散光源(121)と、少なくとも一つの方向に沿って周期的に構成された検出器配列(122)とを有する光学式位置測定装置。
8.
上記1から7までのいずれか一つに記載の光学式位置測定装置において、
本装置が信号処理ユニット(30;130)を有し、この信号処理ユニットが、
校正動作において格子型基準尺(11;111)の少なくとも1回の全回転に渡って得られる、格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフト(Δr mess (θ))に関する回転角に応じた測定値を更に処理して、回転角に応じた補正値(φ korr )として信号処理ユニット(30;130)のメモリに保存することが可能であり、
測定動作において、この信号処理ユニット(30;130)によって、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して測定した方位方向の回転角(φ mess (θ))を補正するために、このメモリに保存された回転角に応じた補正値(φ korr )を使用する、ように装備及び構成されている、
光学式位置測定装置。
9.
上記8に記載の光学式位置測定装置において、
前記の信号処理ユニット(30;130)は、この信号処理ユニット(30;130)によって、校正動作において得られた格子型基準尺(11;111)の半径方向のシフト(Δr mess (θ))に関する回転角に応じた測定値が、測定動作において、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して、90°ずれた回転角を補正するために使用されるように装備及び構成されている光学式位置測定装置。
10.
上記8に記載の光学式位置測定装置において、
前記の信号処理ユニット(30;130)は、存在する偏心誤差及びタンブリング誤差に関して回転角を次の式の通り
φ out =φ mess -φ korr (φ mess -π/2)
ここで、
φ out :出力される補正された角度位置
φ mess (θ):方位方向の走査の回転角値
φ korr (θ):回転角に応じた補正値
補正する光学式位置測定装置。
【符号の説明】
【0118】
10 傾斜している目盛円板
10’ 傾斜していない目盛円板
11 格子型基準尺
11.1 半径方向目盛
11.2 円環目盛
13 第一の検出ユニットによる走査箇所
14 第二の検出ユニットによる走査箇所
20 走査ユニット
21 光源
22,23 検出ユニット
25 検出面
26 板
30 信号処理ユニット
31,32 補間ユニット
33 再処理ユニット
110 傾斜している目盛円板
110’ 傾斜していない目盛円板
111 格子型基準尺
111.1,111.2,111.3 ストライプエレメント
112 構造エレメント
114 走査箇所
120 走査ユニット
121 拡散光源
122 検出器配列
125 検出面
126 回路基板
130 信号処理ユニット
131,132 補間ユニット
133 再処理ユニット
d 走査間隔
e 偏心
x,y,z 座標軸
A~D 回転位置
AE 走査面
AEH 走査ユニット
AS 走査光ビーム
D’ 回転ポイント
DA 回転軸
DET 検出ユニット
D1,D2 検出ユニット
KL コリメータレンズ
LQ 光源
回転軸
TS 目盛円板TSの軸
MVP1 第一の基準尺周期
MVP2 第二の基準尺周期
N 法線ベクトル
P,Q,R 基準目盛板T上の点
P’,Q’,R’;P’’,Q’’,R’’ センサーS上の点
R 走査半径
傾斜角度
S センサー
S1,S2 目盛トラック
半径方向のシフトの信号
φ 方位方向の回転角の信号
T 基準目盛板
TS タンブリング運動しない目盛円板
TS’ タンブリング運動する目盛円板
θ 目盛円板の回転角
φkorr 回転角に応じた補正値
φout 出力される角度位置
φmess 方位方向の回転角
Δrmess 半径方向のシフト
Δφ 回転角誤差
Δφexz 偏心に起因する回転角誤差
Δφtilt タンブリングに起因する回転角誤差
Δφtotal 全体測定誤差
図1A
図1B
図1C
図1D
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9A
図9B
図10A
図10B