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特許7503097マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置
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  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図1
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図2
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図3a
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図3b
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図4a
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図4b
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図5
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図6a
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図6b
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図7
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図8a
  • 特許-マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置 図8b
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-11
(45)【発行日】2024-06-19
(54)【発明の名称】マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G03F 1/84 20120101AFI20240612BHJP
【FI】
G03F1/84
【請求項の数】 19
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022086725
(22)【出願日】2022-05-27
(65)【公開番号】P2022183129
(43)【公開日】2022-12-08
【審査請求日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】10 2021 113 764.0
(32)【優先日】2021-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】503263355
【氏名又は名称】カール・ツァイス・エスエムティー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100158469
【弁理士】
【氏名又は名称】大浦 博司
(72)【発明者】
【氏名】マリオ レングル
(72)【発明者】
【氏名】ドミトリー クロチコフ
【審査官】今井 彰
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-285898(JP,A)
【文献】特開2002-202586(JP,A)
【文献】国際公開第2021/206144(WO,A1)
【文献】特開平10-289318(JP,A)
【文献】特開2021-077229(JP,A)
【文献】特開2005-302445(JP,A)
【文献】特開2020-276504(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 1/20-1/86、7/20-7/24、9/00-9/02
H01L 21/64-21/66
G06T 1/00-1/40、3/00-5/50
G01N 23/00-23/2276
G01B 15/00-15/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法であって、前記像中では、多数のピクセルの各々に強度値が割り当てられており、前記方法が、
- 前記像の中の複数のエッジフラグメントを分離するステップ(ステップS130)と、
- 分離された前記エッジフラグメントの各々を、関連エッジフラグメントまたは無関連エッジフラグメントとして分類し、ここで、前記関連エッジフラグメントは、前記像を解析する間に最終的に分離されるセグメント間の実際の境界であると考えられるエッジフラグメントであり、前記無関連エッジフラグメントは、前記像を解析する間に最終的に分離されるセグメント間の境界を実際には表していないと考えられるエッジフラグメントであるステップ(ステップS140)と、
- 前記関連エッジフラグメントに基づいて、前記像の中の連続したセグメントを突き止めるステップ(ステップS150)と
を含み、
連続したセグメントを突き止める前記ステップ(ステップS150)に関して、1つのエッジフラグメントの周囲のエリアに位置するピクセルが、距離ベースの手法で、このエッジフラグメントによって分離された2つの領域のそれぞれ1つに割り当てられ、それにより、前記ピクセルの各々について、前記ピクセルが、隣接する前記2つの領域の一方の領域、または隣接する前記2つの領域の他方の領域のどちらにより近く位置するかが突き止められる
方法。
【請求項2】
分離された前記エッジフラグメントの各々を分類する前記ステップ(ステップS140)が、分離されたエッジフラグメントの平均強度勾配に基づいて実行されることを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
分離された前記エッジフラグメントの各々が、分離されたエッジフラグメントのそれぞれの平均強度勾配がしきい値を上回っているかどうかに基づいて分類される(ステップS140)ことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記しきい値を規定することに関して、分離された前記エッジフラグメントの一部が考慮されないことを特徴とする、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記連続したセグメントが、前記エッジフラグメント間に存在する間隙を事前に閉じることなく突き止められる(ステップS150)ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
さらに、連続したセグメントを突き止める前記ステップ(ステップS150)中に無関連エッジフラグメントが排除されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
連続したセグメントを突き止める前記ステップ(ステップS150)の後に、エッジフラグメントが結合されてオブジェクトエッジにされ、サブピクセルに及ぶ手法でエッジ座標が計算される(ステップS160)ことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
オブジェクトエッジへのエッジフラグメントの前記結合の後に、無関連オブジェクトエッジが排除される(ステップS170)ことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
無関連オブジェクトエッジを排除する前記ステップ(ステップS170)の後に、セグメント像が計算される(ステップS180)ことを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
複数のエッジフラグメントが分離される前に、ノイズ成分を低減させるための像前処理(ステップS110)が実行されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
複数のエッジフラグメントを分離するステップ(ステップS130)が、指定された値よりも短い長さを有する枝を排除することを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
複数のエッジフラグメントを分離するステップ(ステップS130)が、少なくとも3つのエッジが交わる交点を排除することを含むことを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
前記像が、前記セグメントとして、それぞれの領域に位置する材料に関して異なる合計2つの異なる領域に分割されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
前記微細構造化要素がマスクであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
前記マスクが、250nm未満の作業波長に対して設計されていることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記マスクが、200nm未満の作業波長に対して設計されていることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記マスクが、15nm未満の作業波長に対して設計されていることを特徴とする、請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記微細構造化要素がウェーハであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する装置であって、請求項1~4のいずれか1項に記載の方法を実行するように設計されていることを特徴とする装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月27日に出願されたドイツ特許出願DE 10 2021 113 764.0の優先権を主張するものである。この出願の内容は参照によって本明細書に組み込まれている。
【0002】
本発明は、マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素(microlithographic microstructured component)の像、特にマスクまたはウェーハの像を解析するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
マイクロリソグラフィは、例えば集積回路またはLCDなどの微細構造化構成要素を製造するために使用される。マイクロリソグラフィプロセスは投影照射装置と呼ばれるものの中で実施され、投影照射装置は照射装置および投影レンズを備える。このプロセスでは、基板の感光性コーティング上にマスク構造を転写するため、照射装置によって照射されたマスク(=レチクル)の像が、投影レンズの像平面に配置された、感光性の層(フォトレジスト)でコーティングされた基板(例えばシリコンウェーハ)上に、投影レンズによって投影される。
【0004】
リソグラフィプロセスで使用されるマスクの構造サイズとマイクロリソグラフィによって構造化されたウェーハの構造サイズの両方がますます小さくなるにつれて、これらの構成要素の解析および処理または修復は実際に、ますます要求の厳しい難題となっている。
【0005】
顕微鏡によって取得された像、とりわけ電子ビームまたはイオンビームを使用して取得された像は、それぞれの測定像とマスクの所望の構造を有する設計像との間の違いを解析によって突き止めるため、および、それらの違いを、マスクまたはウェーハを修復するベースとして使用するために使用される。ここでは、解析対象の像(例えばマスクまたはウェーハの走査電子顕微鏡(SEM)記録)が一般に多数のピクセルからなり、それぞれのピクセルには強度値が「グレースケール値」として割り当てられている。
【0006】
実際には、輪郭抽出または検出として、マスクまたはウェーハのコーティングされた領域または構造を担持した領域をコーティングされていない領域または構造のない領域と区別する異なる手法が知られている。従来の手法は、例えば、既存の輪郭を閉じるためのさまざまなフィルタ機構およびアルゴリズムの適用に関連したグレースケール値プロファイルの2次導関数に基づく輪郭抽出または輪郭検出を含む。知られているさらなる手法は、しきい値を上回る強度値自体(すなわちグレースケール値プロファイルのゼロ次導関数)に基づく。
【0007】
実際には、比較的に強くピクセル化された、ことによると非常にノイズの多い像の解析中に、互いから分離するセグメント(すなわちコーティングされていない領域または構造を担持した領域とコーティングされた領域または構造のない領域)を高い信頼性で識別することは難しいことがしばしば示されている。これは特に、分離する対象領域が、平均して、顕著なピクセル化の結果とほぼ同じ明るさを有する場合にそうある。
【0008】
上述の背景により、非常に多様な異なるシナリオまたは顕微鏡記録に対して正しい結果を提供するロバストな方法を提供することは実際にはかなりの難問である。
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法および装置であって、信頼性の高い特徴づけを容易にし、その一方で、上述の問題を少なくとも部分的に回避する、方法および装置を提供することにある。
【0010】
この目的は、それぞれ択一の独立特許請求項の特徴による方法および装置によって達成される。
【0011】
本発明は、特に、マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する方法であって、像中では、多数のピクセルの各々に、場合ごとに強度値が割り当てられており、この方法が、
- 像の中の複数のエッジフラグメント(edge fragment:端の断片)を分離するステップと、
- 分離されたエッジフラグメントの各々を、関連エッジフラグメント(relevant edge fragment)または無関連エッジフラグメント(irrelevant edge fragment)として分類するステップと、
- 関連エッジフラグメントに基づいて、像の中の連続したセグメント(contiguous segment:近接したセグメント)を突き止めるステップと
を含む方法に関する。
【0012】
この概要および以下の説明では、「関連」エッジフラグメントが、本発明による像解析中に最終的に分離されるセグメント間の実際の境界、すなわちコーティングされた領域または構造を担持した領域とコーティングされていない領域または構造のない領域との間の境界、であると考えられるエッジフラグメントを意味することが理解される。
【0013】
本発明は特に、顕微鏡によって取得された像の中の全てのエッジピクセルを最初に見つけ、取得された像を解析し、その全てのエッジピクセルから複数のエッジフラグメントを分離し、そこで初めて、分離されたエッジフラグメントの中から、無関連エッジフラグメント(コーティングされた領域または構造を担持した領域とコーティングされていない領域または構造のない領域との間の境界を実際には表していないエッジフラグメント)を除去するという発想に基づく。
【0014】
本発明の実施形態では、後により詳細に説明するように、エッジフラグメントを分離することが、特に、ピクセル化された像の骨格化(skeletonization)(その間に、より幅の広いエッジフラグメントが1ピクセルだけの幅を有するエッジフラグメントに置き換えられる)の後に、比較的に短い枝(branch)(特に1ピクセルだけの長さを有する枝)を消去もしくは排除すること、および/または交点(すなわち骨格化された像の中の少なくとも3本の線が交わる点)を消去もしくは排除することを含む。ここで、本発明は特に、枝および/または交点の前述の排除にもかかわらず、最初に、この場合には残っている、すなわち本方法のこの段階ではまだ排除していないエッジフラグメントを維持し、後の方法ステップ中にのみ、この点に関する「関連」および「無関連」への分類を請け負う原理を含む。
【0015】
実施形態では、「関連」および「無関連」エッジフラグメントへの前述の分類が、分離されたエッジフラグメントの平均強度勾配に基づいて実行され、適切に規定されたしきい値を上回る値または下回る値を、定量的な判定基準のベースとして逐次使用することができる。
【0016】
本発明の実施形態では、前記しきい値が、好ましくは、特定のエッジフラグメント(または関連する平均強度勾配)がしきい値を規定するときに考慮されず、または勾配値に関して特定のエッジフラグメントが引き下げられるような態様で逐次規定される。
【0017】
実施形態では、考慮しないエッジフラグメントまたは排除するエッジフラグメントを、特に、特に短いエッジフラグメント、特に高コントラストのエッジフラグメント、特に低コントラストのエッジフラグメントおよび/または比較的に明るいエッジフラグメントの近くに位置するエッジフラグメントとすることができる。しきい値を規定するため、最初に、比較的に高コントラストのエッジフラグメントの近くに位置するエッジフラグメントを平均勾配値に関してさらに引き下げる(したがって「弱める」)こともできる。このような前処理は、分類(「関連」エッジフラグメントと「無関連」エッジフラグメントとの区別)のためのしきい値を規定するときに、この点に関して、平均強度勾配の値のピクセル分布における「異常値」のためにその使用がセンシブル(sensible:感じることができる)であるしきい値の錯誤を回避するために、例えば比較的に高い強度コントラストを有する比較的に短いエッジフラグメントが「排除されている」ことを保証することができる。
【0018】
本発明の実施形態では、関連エッジフラグメントに基づいて、連続したセグメントが、エッジフラグメント間の間隙を事前に閉じることなく突き止められる。本発明の実施形態では、後により詳細に説明するように、連続するエッジフラグメント間の中断の領域に位置するピクセルが、距離ベースの手法で、完全に閉じたエッジ経路が存在しなくても、前記ピクセルの各々に対する、前記ピクセルが、隣接する領域の一方の領域の近くに配置されているのか、またはもう一方の領域の近くに配置されているのか(すなわちコーティングされた領域に近いのかまたはコーティングされていない領域に近いのか)に関する突き止めによって正確になるように、割り当てられる。ここで、連続したセグメントが突き止められる前に、エッジフラグメント間に存在する間隙を予め閉じないことには、本発明による方法が加速される(すなわち必要な計算時間が短縮される)という利点、さらに、この方法が、誤りの影響を受けにくいという利点がある。誤りの影響を受けにくくなるのは、予めエッジを閉じないと決めることによって、そのようなステップに関連した誤りがさらに回避されるためである。
【0019】
一実施形態によれば、さらに、連続したセグメントを突き止めるステップ中に無関連エッジフラグメントが排除される。
【0020】
一実施形態によれば、連続したセグメントが突き止められた後に、エッジフラグメントが結合されてオブジェクトエッジ(object edge:オブジェクト端)にされ、サブピクセルに及ぶ手法で(in a subpixel-wise manner)エッジ座標が計算される。
【0021】
一実施形態によれば、このようにしてエッジフラグメントが結合されてオブジェクトエッジにされた後に、無関連オブジェクトエッジが排除される。
【0022】
一実施形態によれば、無関連オブジェクトエッジが排除された後に、セグメント像が計算される。
【0023】
一実施形態によれば、複数のエッジフラグメントが分離される前に、ノイズ成分を低減させるための像前処理が実行される。
【0024】
一実施形態によれば、複数のエッジフラグメントを分離するステップが、指定された値よりも短い長さを有する枝を排除することを含む。
【0025】
一実施形態によれば、複数のエッジフラグメントを分離するステップが、少なくとも3つのエッジが交わる交点を排除することを含む。
【0026】
一実施形態によれば、像が、セグメントとして、それぞれの領域に位置する材料に関して異なる合計2つの異なる領域に分割される。
【0027】
一実施形態によれば、微細構造化構成要素がマスクである。このマスクは特に、250nm未満の作業波長、特に200nm未満の作業波長、とりわけ15nm未満の作業波長に対して設計されたものとすることができる。
【0028】
さらなる実施形態によれば、微細構造化構成要素がウェーハである。
【0029】
本発明はさらに、マイクロリソグラフィ微細構造化構成要素の像を解析する装置であって、上述の特徴を有する方法を実行するように設計された装置に関する。
【0030】
この装置の利点および好ましい構成に関しては、本発明による方法に関する上記の説明を参照されたい。
【0031】
この説明および従属請求項から本発明のさらなる改良を得ることができる。
【0032】
以下では、添付図に示された例示的な実施形態に基づいて本発明をより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明による方法の一実施形態の可能な配列を説明するための流れ図である。
図2図1の本発明による方法の一部として実行されるエッジ検出の例示的な結果を示す図である。
図3a】枝(図3a)および交点(図3b)の排除を含む、本発明による方法の一部として実行されるエッジフラグメントの分離の結果を示す図である。
図3b】枝(図3a)および交点(図3b)の排除を含む、本発明による方法の一部として実行されるエッジフラグメントの分離の結果を示す図である。
図4a】枝(図4a)および交点(図4b)の排除を説明するための概略図である。
図4b】枝(図4a)および交点(図4b)の排除を説明するための概略図である。
図5】本発明による方法の一部として実行される、エッジフラグメントのしきい値ベースの分類を説明するための図である。
図6a】本発明による方法の一部として実行される、完全に閉じられたエッジ経路がない状態における連続したセグメントの突き止めの概略図である。
図6b】本発明による方法の一部として実行される、完全に閉じられたエッジ経路がない状態における連続したセグメントの突き止めの概略図である。
図7】動的輪郭法(active contour method)の一部としてのさらなる像処理を説明するための概略図である。
図8a】ウェーハのSEM像の解析に適用されたときの本発明による方法のさらなる実施形態を説明するための概略図である。
図8b】ウェーハのSEM像の解析に適用されたときの本発明による方法のさらなる実施形態を説明するための概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下では、図1に示された流れ図および図2図8の概略図を参照して本発明による方法の実施形態をより詳細に説明する。
【0035】
図1によれば、最初に、ステップS100で、顕微鏡によって取得された像、例えば走査電子顕微鏡(SEM)によって記録されたマスクまたはウェーハの像を提供する。
【0036】
次いで、場合ごとにコーティングまたは構造を担持した領域を構造のない領域またはコーティングされていない領域と区別するという趣意で、この像を、後述する方法ステップを有する本発明による方法を使用して解析する。コーティングされた領域に関して、以下では、「エッジ」によってそれぞれ境界が画定された用語「セグメント」が使用される。さらに、以下では、そのようなエッジの区間を「エッジフラグメント」と呼ぶ。さらに、解析対象の像は多数のピクセルからなり、それぞれのピクセルには強度値が(「グレースケール値」として)割り当てられている。
【0037】
解析対象の像は通常、顕著なノイズ成分を有する(例えば、低い強度値を有するピクセルと比較的に大きな強度値を有するピクセルとが互いにじかに隣り合っていることがある)。前記ノイズを低減させるため、最初に、ステップS110で、像前処理を実行する。この像前処理では、原則として、適当な複数の像平滑化法を互いに組み合わせることができる。適当な方法には例えば、ビニング(binning)、ガウスフィルタリング(Gaussian filtering)、ローパスフィルタリング(low-pass filtering)などがある。単なる例として、ここでは、互いに隣り合う例えば4つの(またはことによると5つ以上のまたは3つ以下の)ピクセルを、場合ごとに、単一のピクセルに置き換えることが可能であり、このピクセルには次いで、それらの4つのピクセルの平均強度値が割り当てられる。
【0038】
後続のステップS120で、最初に、相応して前処理された像または平滑化された像からエッジピクセルを識別または抽出する。この場合、できれば全てのエッジピクセルを捕捉するために、場合ごとにそれ自体が知られている複数のエッジ抽出法を使用すること、または異なるパラメータを用いて同じエッジ抽出法を複数回にわたって適用することが好ましい。知られている適当な方法は例えば「Canny」、「Laplacian of Gaussian」、「Sobel」などである。
【0039】
さらに、このステップS120で見つかったまたは抽出されたエッジは通常、図2に例として示されるように、少なくとも部分的に1ピクセルの幅を超える幅を有する(ことによるとこの幅はそれぞれのエッジに沿って変化する)。
【0040】
後続のステップS130で、最初に、以前にステップS120で見つかったエッジピクセルの骨格化を実行する。この骨格化では、より幅の広いエッジフラグメントを、場合ごとに、1ピクセルだけの幅を有するエッジフラグメントに置き換える(図3a参照)。この場合には、特に、元はより幅の広い1つのエッジフラグメントを、(各々が1ピクセルの幅を有する)2つ以上の幅の狭いエッジフラグメントに置き換えることも可能である。
【0041】
さらに、ステップS130では枝または交点も処理する。この場合には、図4aに概略的かつ高度に簡略化された形で示されているように、比較的に短い枝(特に1ピクセルだけの長さを有する枝)を消去する。対照的に、枝が、より大きな長さ(例えば2ピクセル以上の長さ)を有する場合には、図4bに概略的かつ高度に簡略化された形態で示されているように、関連交点を消去する。その結果、もともと前記交点から延びていた線は、分離されたエッジフラグメントの形態で存在する。これは、2つの異なるタイプの領域(例えばコーティングされたマスク領域とコーティングされてないマスク領域)だけを有する「バイナリ」像では、原則として、そのような交点の実際の存在が排除されることを考慮したものである。言い換えると、この点に関して、前記交点で交わる線のうち少なくとも1本の線は「無関連」である。すなわち、その線は、コーティングされた領域とコーティングされてない領域との間の実際の遷移を表していない。
【0042】
続いて、再び図1を参照すると、さらなるステップS140で、以前に分離したエッジフラグメントを、「関連エッジフラグメント」(コーティングされた領域とコーティングされてない領域との間の遷移を実際に表しているエッジフラグメント)、または「無関連エッジフラグメント」(すなわちそのような遷移を表していないエッジフラグメント)に分類する。(関連のないまたは「偽りの」エッジフラグメントの「排除」に基づく)この分類に関しては、場合ごとに、個々のエッジフラグメントに対して平均強度勾配を使用し、その平均強度勾配を、適切な手法で突き止められたしきい値と比較する。ここでは、平均強度勾配が突き止められたしきい値を上回るエッジフラグメントだけが、上記の意味の範囲において「関連」とみなされる。
【0043】
図5に示された図は、単なる例として、像中に存在するエッジフラグメントの平均強度勾配の値の例示的な分布に基づくしきい値の潜在的な規定を示しており、横軸のそれぞれのインデックスはエッジフラグメントに対応し、関連する平均強度勾配値が縦軸に記されている。
【0044】
前記しきい値は、本発明に従って、しきい値を規定するときに、特定のエッジフラグメント(すなわち関連する平均強度勾配)が考慮されないか、または勾配値に関して引き下げられる(すなわち「弱められる」)ような態様で逐次規定されることが好ましい。特に、特に短いエッジフラグメント、特に高コントラストのエッジフラグメント、特に低コントラストのエッジフラグメント、および/または比較的に明るいエッジフラグメントの近くに位置するエッジフラグメントは、ことによるとしきい値の規定中に考慮されない。さらに、しきい値を規定する前に、最初に、比較的に明るいエッジフラグメントの近くに位置するエッジフラグメントですら、「弱める」こと、すなわち平均強度勾配の値に関してそのようなエッジフラグメントを引き下げることもできる。
【0045】
前述の前処理は、エッジフラグメントまたは平均強度勾配のそれぞれの値の中の「異常値」を最初に排除することができるという利点を有し、その結果、最終的に区別される領域(すなわち「明るい」領域と「暗い」領域)の平均強度勾配の値のそれぞれの分散が小さくなり、または関連値の範囲が言わば「均質化される」。
【0046】
後に説明するが、以前に分類した関連エッジフラグメントに基づいて連続したセグメントが突き止められる。連続したセグメントのこの突き止めは、前記関連エッジフラグメント間に依然として存在する可能性がある間隙を前もって閉じることなしに、すなわち完全に閉じられたエッジ経路がまだない状態で逐次実行することが好ましい(図6a参照)。
【0047】
再び図1を参照すると、ステップS150で、エッジフラグメントをクラスタ化して像オブジェクトにし、さらに無関連クラスタまたはその部分を消去する。
【0048】
具体的には、ステップS150で、連続したエッジフラグメント間の中断領域に位置するピクセルを、間隔ベースの手法で、隣接する領域の一方またはもう一方の領域(すなわち、コーティングされた領域もしくはコーティングされてない領域または明るいセグメントもしくは暗いセグメント)に割り当てる。この距離ベースの割当てにより、特に、場合ごとに、既存のエッジフラグメントの両側に、場合ごとに1ピクセルの幅を有するさらなる仮想エッジを補うことが可能であり、その結果、中断領域内の最も近くに位置するエッジフラグメントについて、そのエッジフラグメントが、一方の領域(例えば「明るい」領域またはコーティングされていない領域)のより近くにあるにあるのか、またはもう一方の領域(例えば「暗い」領域またはコーティングされた領域)のより近くにあるのかを突き止めることが可能である。次いで、この距離比較の結果に応じて、ステップS150の結果として事実上閉じられたセグメントが得られるような態様で、それぞれのピクセルを一方の領域またはもう一方の領域に割り当てる(図6b参照)。
【0049】
上述のとおり、本発明による閉じられたセグメントの生成において、エッジ経路またはエッジフラグメントを事前に閉じることが不要になることにより、本発明による方法は加速または単純化され、さらに、エッジ経路を閉じることに関連して生じる可能性がある誤りが回避される。
【0050】
この段階で、全てのエッジフラグメントが「オブジェクトコンテキスト(object context)で」使用可能である(すなわち、この段階で、全てのエッジフラグメントを、場合ごとに、コーティングされた領域またはコーティングされていない領域の一体の部分であるとみなすことができる)ため、ステップS150で、像中の、コーティングされた領域とコーティングされていない領域との間の遷移を実際には明らかに表していない残りのオブジェクトまたはエッジフラグメントを同様に排除することができる。それらは、特に、比較的に少数のエッジピクセルを有するオブジェクト、1つの閉じていないエッジフラグメントだけを有するオブジェクト、または閉じた多角形鎖から枝分かれしたオブジェクト内のエッジフラグメントとすることができる。個々のオブジェクトまたはエッジフラグメントの前記排除が、この方法のこの段階だけで(すなわち先行するステップの1つのステップではなしに)実行されることは、本発明による方法の信頼性に対して有利な効果を有する。これは、特定のオブジェクトまたはエッジフラグメントの無許可の消去が回避されるためであり、これが許可されないのは、前記オブジェクトコンテキストがまだ知られていない間に消去がなされるためである。
【0051】
次に、ステップS160で、サブピクセルに及ぶ手法でエッジ座標を計算する。この目的のため、エッジフラグメントを結合してオブジェクトエッジにする。サブピクセルまで正確な位置計算は、好ましくは動的輪郭法を使用して達成することができる。ここでは、エッジに沿ってできるだけ一定の外部エネルギーを達成するために、場合ごとに、勾配像の平滑化および/または均質化を達成することができる。さらに、動的輪郭法の一部または全ての繰り返しステップ間のエッジ経路の支持点(support point)を、場合ごとにそれぞれのエッジに沿った2つの支持点間の距離が実質的に一定となるように適合させることができる。さらに、動的輪郭法の一部または全ての繰り返しステップ間でさえ、そのエッジ経路の支持点を、比較的に顕著なエッジ湾曲の領域のエッジに沿った2つの支持点間の距離が短くなるように適合させることもできる。あるいは、最大勾配の箇所に対して垂直な方向にエッジを変位させることによって、エッジ位置のサブピクセルに及ぶ計算を実行することもできる。
【0052】
次に、ステップS170で、オブジェクトエッジを選択する。この目的のため、ステップS140と同様の手法で無関連オブジェクトエッジを排除することができる。次に、ステップS180で、オブジェクトエッジからセグメント像を計算する。その際、トーナリティ(tonality)は、それぞれのエッジに沿った強度勾配から決定することができる。さらに、結果として生じる像の中のグレースケール値に基づいて、エッジ位置のサブピクセル情報を表現することができる。
【0053】
図8a~8bは、本発明による方法のさらなる実施形態を説明するための概略図を示しており、これらの図では、前述の例示的な実施形態とは対照的に、解析対象の像がウェーハのSEM像である。
【0054】
この点に関して、図8aは、図2と同様の手法で、ステップS120の結果として(すなわちエッジ抽出を実行した結果として)得られた結果を示しており、この場合には、単なる例として、Cannyアルゴリズムを使用してエッジ検出または抽出を実行した。図8aから明らかなとおり、ここで検出されたエッジは、それぞれ「A」および「B」によって示された領域に中断を有する。
【0055】
原則として、図8aに示された像に基づく実施形態では、図1~7を参照して以前に説明した例示的な実施形態と同様のさらなる処理を実行することが可能である。しかしながら、例示的なさらなる実施形態では、領域「A」および「B」においてエッジ経路の「修復」または閉鎖を達成することができる。これもやはり、領域「A」および「B」に位置する中断の隣接環境に比較的に単純なしきい値ベースの方法を適用することによって実行することができる。この目的のため、中断領域「A」および「B」を識別した後に、図8aによる像を取得する。このようにして生み出されたそれぞれの細部において、それ自体が知られているしきい値ベースの方法を用いてエッジまたは輪郭が生成され、その際には、端セクションに位置するピクセルのグレースケール値が、エッジ検出または輪郭生成のためのしきい値として使用される。したがって、この方法で抽出されるエッジまたは輪郭は必ず、元のエッジの前記端部セクションを通る。追加的に抽出されたエッジまたは輪郭を有する2つの細部が図8bに従って重なっている場合、これは、この例示的な実施形態において、以前から存在する端セクション間の接続、したがって中断の領域のエッジ経路の「修復」につながる。逐次、エッジの幅を例えば場合ごとに1ピクセルに限定するため、このようにして「修復された」エッジ経路に対して、図1以降の図を参照して以前に説明した例示的な実施形態と同様に、エッジの骨格化を次いで実行することができる。
【0056】
特定の実施形態に基づいて本発明を説明したが、当業者には、例えば個々の実施形態の特徴の結合および/または交換による多数の変形および代替実施形態が明らかとなろう。したがって、当業者には、そのような変形および代替実施形態も本発明に包含されること、ならびに本発明の範囲が添付の特許請求項およびその等価物の範囲だけに限定されることが明らかとなろう。
図1
図2
図3a
図3b
図4a
図4b
図5
図6a
図6b
図7
図8a
図8b