(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】集光レンズユニット及びレーザ加工装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/142 20140101AFI20240613BHJP
B23K 26/70 20140101ALI20240613BHJP
【FI】
B23K26/142
B23K26/70
(21)【出願番号】P 2020000707
(22)【出願日】2020-01-07
【審査請求日】2022-12-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】松田 浩
【審査官】黒石 孝志
(56)【参考文献】
【文献】実開昭48-084095(JP,U)
【文献】実開昭60-151686(JP,U)
【文献】特開2003-39187(JP,A)
【文献】特開平5-123886(JP,A)
【文献】特開2011-121099(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 26/00 - 26/70
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を集光させる集光レンズと、
前記集光されたレーザ光が通過するレーザ通過口が底に配置された有底形状のノズルであって、前記ノズルの内部の空間と外部とを連通する吸引口が前記底以外に配置されたノズルと、
内部の空間に前記集光レンズを収納する集光レンズホルダであって、前記集光レンズホルダの内部の空間が前記ノズルの内部の空間と連通する集光レンズホルダと、を備え、
前記集光レンズホルダは、エアが前記集光レンズホルダの内周面を沿うように供給される供給口を有する、集光レンズユニット。
【請求項2】
前記集光レンズと前記レーザ通過口との間に配置され、前記集光されたレーザ光が透過する集光レンズ保護板を備え、
前記集光レンズ保護板は、前記エアに冷却される、請求項1に記載の集光レンズユニット。
【請求項3】
前記集光レンズホルダ
と前記ノズル
との間に配置され、前記集光レンズ保護板を支持する集光レンズ保護板支持部材を備え、
前記集光レンズ保護板
と前記集光レンズ保護板支持部材との間には、前記供給口から前記吸引口に向かうエアが通る隙間が設けられている、請求項2に記載の集光レンズユニット。
【請求項4】
レーザ光を出射するレーザ光源と、
前記レーザ光を集光させる集光レンズと、
前記集光されたレーザ光が通過するレーザ通過口が底に配置された有底形状のノズルであって、前記ノズルの内部の空間と外部とを連通する吸引口が前記底以外に配置されたノズルと、
前記ノズルの外部において前記吸引口に接続されるエア吸引装置と、
内部の空間に前記集光レンズを収納する集光レンズホルダであって、前記集光レンズホルダの内部の空間が前記ノズルの内部の空間と連通し、前記内部の空間にエアを供給する供給口が配置された集光レンズホルダと、
前記集光レンズホルダの外部において前記供給口に接続されるエア供給装置と、を備え、
前記エア供給装置は、前記供給口を介して前記集光レンズホルダの内周面を沿うように前記エアを供給する、レーザ加工装置。
【請求項5】
前記エア吸引装置によるエアの吸引量を、前記エア供給装置によるエアの供給量よりも大きい値に制御する制御装置を備える請求項4に記載のレーザ加工装置。
【請求項6】
前記集光レンズと前記レーザ通過口との間に配置され、前記集光されたレーザ光が透過する集光レンズ保護板を備え、
前記集光レンズ保護板は、前記エアに冷却される、請求項4又は5に記載のレーザ加工装置。
【請求項7】
前記集光レンズホルダ
と前記ノズル
との間に配置され、前記集光レンズ保護板を支持する集光レンズ保護板支持部材を備え、
前記集光レンズ保護板
と前記集光レンズ保護板支持部材との間には、前記供給口から前記吸引口に向かうエアが通る隙間が設けられている、請求項6に記載のレーザ加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は集光レンズユニット及びレーザ加工装置に係り、特にレーザ加工により発生するデブリを除去する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスや電子部品などが形成されたウェーハを個々のチップに分割するブレードダイシング加工に先立ち、レーザ光を被加工物へ照射して予め各種膜および金属パターンを除去するレーザ加工が行われている。
【0003】
このレーザ加工では、デブリと呼ばれる加工屑が発生する。飛散したデブリが集光レンズに付着すると、集光レンズの透過率が下がり加工不良や、集光レンズのコーティングへのダメージとなることがある。また、飛散したデブリがウェーハ表面に付着し、洗浄後に残留し、歩留りを低下させる恐れがある。
【0004】
集光レンズへのデブリの付着を防止するために、集光レンズに対して10mm程度離れた位置からエアを吹きかけることが行われている。しかしながら、十分にデブリを除去することは困難であるという問題点があった。
【0005】
これに対し、特許文献1、特許文献2には、デブリを吸引してデブリの飛散を抑制する技術が開示されいてる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2014-136239号公報
【文献】国際公開第2003/095140号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1、特許文献2に記載の技術であっても、デブリの飛散の抑制が十分でなく、集光レンズにデブリが付着する場合があるという問題点があった。
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、集光レンズにデブリが付着することを防止する集光レンズユニット及びレーザ加工装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するための集光レンズユニットの一の態様は、レーザ光を集光させる集光レンズと、集光されたレーザ光が通過するレーザ通過口が底に配置された有底形状のノズルであって、ノズルの内部の空間と外部とを連通する吸引口が底以外に配置されたノズルと、を備える集光レンズユニットである。
【0010】
本態様によれば、有底形状のノズルの底にレーザ通過口を設けたので、レーザ光が照射された被加工物から発生するデブリが集光レンズに飛散する確率を減らすことができる。また、吸引口からノズルの内部のエアを吸引することができるので、被加工物とノズルの底との間のエアの流速を速くし、レーザ通過口を介して吸引口からデブリを適切に吸引することができる。したがって、集光レンズにデブリが付着することを防止することができる。
【0011】
内部の空間に集光レンズを収納する集光レンズホルダであって、集光レンズホルダの内部の空間がノズルの内部の空間と連通する集光レンズホルダを備え、集光レンズホルダは、集光レンズを冷却するためのエアを供給する供給口が配置されることが好ましい。これにより、供給口からのエアによって集光レンズを冷却することができる。また、集光レンズへ飛散するデブリを抑制し、集光レンズにデブリが付着することを防止することができる。
【0012】
集光レンズとレーザ通過口との間に配置され、集光されたレーザ光が透過する集光レンズ保護板を備えることが好ましい。デブリが集光レンズ側に飛散した場合であっても、集光レンズ保護板によりデブリを遮断することで、集光レンズにデブリが付着することを防止することができる。
【0013】
上記目的を達成するためのレーザ加工装置の一の態様は、レーザ光を出射するレーザ光源と、レーザ光を集光させる集光レンズと、集光されたレーザ光が通過するレーザ通過口が底に配置された有底形状のノズルであって、ノズルの内部の空間と外部とを連通する吸引口が底以外に配置されたノズルと、ノズルの外部において吸引口に接続されるエア吸引装置と、を備えるレーザ加工装置である。
【0014】
本態様によれば、有底形状のノズルの底にレーザ通過口を設けたので、デブリが集光レンズに飛散する確率を減らすことができる。また、エア吸引装置により吸引口から内部のエアを吸引することで、被加工物とノズルの底との間のエアの流速を速くすることができるので、レーザ通過口を介して吸引口からデブリを適切に吸引することができる。したがって、集光レンズにデブリが付着することを防止することができる。
【0015】
内部の空間に集光レンズを収納する集光レンズホルダであって、集光レンズホルダの内部の空間がノズルの内部の空間と連通する集光レンズホルダを備え、集光レンズホルダは、集光レンズを冷却するためのエアを供給する供給口が配置され、さらに、集光レンズホルダの外部において供給口に接続されるエア供給装置と、を備えることが好ましい。エア供給装置により供給口から内部の集光レンズに向けてエアを供給することで集光レンズを冷却することができる。また、集光レンズへ飛散するデブリを抑制することができ、集光レンズにデブリが付着することを防止することができる。
【0016】
エア吸引装置によるエアの吸引量を、エア供給装置によるエアの供給量よりも大きい値に制御する制御装置を備えることが好ましい。エアの吸引量を供給量よりも相対的に大きくすることで、レーザ通過口を介して吸引口からデブリを適切に吸引することができる。
【0017】
集光レンズとレーザ通過口との間に配置され、集光されたレーザ光が透過する集光レンズ保護板を備えることが好ましい。デブリが集光レンズ側に飛散した場合であっても集光レンズ保護板によりデブリを遮断することで、集光レンズにデブリが付着することを防止することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、集光レンズにデブリが付着することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】
図1は、レーザ加工装置の構成を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、集光レンズユニットを上面側から見た斜視図である。
【
図3】
図3は、集光レンズユニットを下面側から見た斜視図である。
【
図4】
図4は、集光レンズユニットを上面側から見た分解斜視図である。
【
図5】
図5は、集光レンズユニットを下面側から見た分解斜視図である。
【
図6】
図6は、レーザ加工装置の作用を説明するための図である。
【
図7】
図7は、変形例に係る集光レンズユニットの下面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施形態について詳説する。
【0021】
<レーザ加工装置>
図1は、レーザ加工装置10の構成を示すブロック図である。レーザ加工装置10は、表面に金属膜を含む積層膜が形成された被加工物であるウェーハWの分割予定ラインに沿ってレーザ加工を施すウェーハ加工装置である。レーザ加工装置10は、レーザ源12と、安全シャッタ14と、集光レンズ16と、集塵部18と、エア供給装置50と、エア吸引装置52と、制御装置54と、を備える。
【0022】
レーザ源12は、制御装置54の制御によりレーザ光を発振する不図示のレーザ発振器を含むレーザ光源である。レーザ源12は、レーザ発振器によって発振されたレーザ光Lを出射する。
【0023】
安全シャッタ14は、レーザ光を遮光可能な遮光部材を含む。安全シャッタ14は、レーザ源12から出射するレーザ光Lの光路に遮光部材が挿入されてレーザ光を遮断する遮断状態と、レーザ光Lの光路から遮光部材が退避されてレーザ光Lを通過させる通過状態と、を有する。安全シャッタ14は、制御装置54により遮断状態と通過状態とのいずれかの状態に制御される。
【0024】
集光レンズ16は、レーザ光を集光する不図示の集光光学系を含む。集光レンズ16は、レーザ源12から出射され、安全シャッタ14を通過したレーザ光Lを被加工物であるウェーハWに集光する。
【0025】
集塵部18は、集光レンズ16で集光されたレーザ光LがウェーハWに照射されることで発生するデブリを集塵する。集光レンズ16と集塵部18とにより、集光レンズユニット20が構成される。集塵部18には、エア供給装置50とエア吸引装置52とが接続される。
【0026】
エア供給装置50は、所定の供給量でエアを供給するファン又はブロア等の送風機である。エア吸引装置52は、所定の吸引量でエアを吸引する真空ポンプである。
【0027】
制御装置54は、例えばパーソナルコンピュータやマイクロコンピュータ等の汎用のコンピュータによって実現されるものである。制御装置54は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、及び入出力インターフェース等を備えている。制御装置54では、ROMに記憶されている制御プログラム等の各種プログラムがRAMに展開され、RAMに展開されたプログラムがCPUによって実行されることにより、レーザ加工装置10内の各部の機能が実現され、入出力インターフェースを介して各種の演算処理や制御処理が実行される。制御装置54は、ウェーハWの分割予定ラインに沿ってレーザ光Lを照射させる制御を行う。また、制御装置54は、エア供給装置50によるエアの供給と、エア吸引装置52によるエアの吸引とを制御する。
【0028】
<集光レンズユニットの構成>
図2は、集光レンズユニット20を上面側から見た斜視図であり、
図3は、集光レンズユニット20を下面側から見た斜視図である。また、
図4は、集光レンズユニット20を上面側から見た分解斜視図であり、
図5は、集光レンズユニット20を下面側から見た分解斜視図である。
【0029】
集光レンズユニット20は、主として集光レンズ16と、アダプタ22と、上板24と、集光レンズホルダ28と、集光レンズ保護板支持部材32と、集光レンズ保護板34と、ノズル36と、を備えて構成される。
【0030】
アダプタ22は、レーザ源12及び安全シャッタ14(
図1参照)を含む不図示のレーザ発生装置と集光レンズユニット20とを光学的に接続するための部材である。アダプタ22は、中央部に円形状の貫通孔22Aを有する。
【0031】
上板24は、中央部に円形状の貫通孔24Aを有する板状部材である。貫通孔22Aと貫通孔24Aとは、レーザ発生装置が発生したレーザ光を集光レンズ16へ入射させるためのレーザ光の光路となる。
【0032】
集光レンズ16は、所定の直径の円筒形状の筐体を有する。集光レンズ16は、上面に上方(Z方向)に向けて延びる円筒形状の接続部16Aを備える。集光レンズ16の接続部16Aは、上板24の貫通孔24Aを介してアダプタ22の貫通孔22Aと嵌合する。
【0033】
集光レンズホルダ28は、内部をZ方向に貫通する円柱形状の貫通孔28Aを有する。集光レンズ16は、集光レンズホルダ28の貫通孔28Aに収納される。集光レンズ16とアダプタ22との間に挟み込まれた上板24は、4本のねじ26により集光レンズホルダ28に固定される。
【0034】
集光レンズホルダ28の側面には、2つの冷却エア供給口28BがZ方向に沿って配置される。2つの冷却エア供給口28Bは、上面視(XY平面視)において、それぞれ集光レンズ16の筐体の接線と集光レンズホルダ28の側面とが交差する位置に、集光レンズ16の筐体の接線に向けて配置される。2つの冷却エア供給口28Bは、それぞれ集光レンズホルダ28の内部の空間に相当する貫通孔28Aと集光レンズホルダ28の外部とを連通し、集光レンズ16に向けてエアが供給される。2つの冷却エア供給口28Bには、それぞれ貫通孔を有する供給コネクタ30が接続される。冷却エア供給口28Bの数は2つに限定されず、適宜決めることができる。
【0035】
集光レンズ保護板支持部材32は、集光レンズ保護板34を支持する。集光レンズ保護板支持部材32は、載置部32Aと、凹部32Bと、貫通孔32Cと、導光部32Dと、を有する。
【0036】
載置部32Aは、集光レンズ保護板支持部材32の上面に配置される。載置部32Aは、集光レンズ保護板34の形状に対応した矩形状の凹部である。載置部32Aは、横方向の3方向が外周縁で囲まれており、1方向には外周縁を有さない。載置部32Aは、底面に円柱形状の凹部32Bを有する。また、凹部32Bの中央には、内部をZ方向に貫通する貫通孔32Cを有する。
【0037】
導光部32Dは、集光レンズ保護板支持部材32の下面に配置される。導光部32Dは、円柱形状を有し、内部に貫通孔32Cを有する。貫通孔32Cは、下方に向かって(凹部32Bから離れるにしたがって)狭くなるテーパ形状を有する。
【0038】
集光レンズ保護板34は、ガラス製の薄板状部材である。集光レンズ保護板34は、集光レンズ保護板支持部材32の載置部32Aの上面に載置される。
【0039】
ノズル36は、有底の直方体形状(有底形状の一例)を有する。ノズル36は、上面中央部に集光レンズ保護板支持部材32の導光部32Dの大きさに対応した円形状の凹部36Aを有する。ノズル36は、下面に平面のノズル底36Bを有する。ノズル底36Bは、一辺が50mm~60mmの矩形状である。ノズル底36Bの中央には、凹部36Aとノズル底36Bとを連通するレーザ通過口36Cが配置される。
【0040】
ノズル36の凹部36Aには、集光レンズ保護板支持部材32の導光部32Dが収納される。集光レンズホルダ28と、集光レンズ保護板支持部材32と、ノズル36とは、ノズル36のノズル底36Bから挿入される4本のねじ40によりそれぞれ固定される。
【0041】
集光レンズ保護板34は、集光レンズホルダ28と、集光レンズ保護板支持部材32と、ノズル36とがねじ40により固定された状態で、載置部32Aの外周縁で囲まれてない方向から一部が突出する。ユーザは、集光レンズ保護板34の突出した部分を把持することで、集光レンズ保護板34を集光レンズユニット20から抜去、及び集光レンズユニット20に挿入することができる。したがって、集光レンズ保護板34の清掃及び交換が容易となる。
【0042】
また、集光レンズホルダ28と、集光レンズ保護板支持部材32と、ノズル36とがねじ40により固定された状態で、集光レンズホルダ28の貫通孔28Aと集光レンズ保護板支持部材32の載置部32Aとの間には隙間が存在する。これにより、集光レンズホルダ28の内部の空間とノズル36の内部の空間とが連通する。
【0043】
ノズル36の側面(底以外の一例)には、2つのデブリ吸引口36DがZ方向に沿って配置される。2つのデブリ吸引口36Dは、それぞれノズル36の内部の空間に相当する凹部36Aとノズル36の外部とを連通する。2つのデブリ吸引口36Dには、それぞれ貫通孔を有する吸引コネクタ38が接続される。デブリ吸引口36Dの数は2つに限定されず、適宜決めることができる。
【0044】
<レーザ加工装置の作用>
図6は、レーザ加工装置10の作用を説明するための図である。
図6では、集光レンズユニット20を断面で示している。
図6に示すように、集光レンズユニット20の供給コネクタ30には、エア供給装置50が接続される。また、集光レンズユニット20の吸引コネクタ38には、エア吸引装置52が接続される。
【0045】
制御装置54(
図6では不図示)は、ノズル36のノズル底36BをウェーハWと距離dだけ離して対向させる。また、制御装置54は、レーザ源12(
図6では不図示)にレーザ光Lを出射させ、安全シャッタ14を通過状態にする。
【0046】
レーザ源12から集光レンズ16に入射したレーザ光Lは、集光レンズ16によって集光される。集光レンズ16によって集光されたレーザ光Lは、集光レンズ保護板34を透過する。集光レンズ保護板34を透過したレーザ光Lは、集光レンズ保護板支持部材32の貫通孔32Cと、ノズル36のレーザ通過口36Cとを通過し、ウェーハWに入射する。
【0047】
制御装置54は、集光レンズユニット20とウェーハWとを相対移動させ、レーザ光LをウェーハWの分割予定ラインに沿って照射させる。レーザ光LがウェーハWの加工点に照射されることで、デブリDが発生する。ここで、レーザ通過口36Cの直径を限りなく小径にすることで、飛散するデブリが集光レンズ16側に飛散する確率を減らすことができる。
【0048】
また、制御装置54は、エア供給装置50によってエアを供給させ、エア吸引装置52によってエアを吸引させる。
【0049】
エア供給装置50によってエアを供給すると、供給されたエアは、2つの冷却エア供給口28Bを介して集光レンズホルダ28の貫通孔28Aに供給される。貫通孔28Aに供給されたエアは、集光レンズ16に向けて供給され、集光レンズ16の周囲を螺旋状に循環し、集光レンズ16を冷却する。集光レンズ16を冷却したエアは、さらに集光レンズ保護板34に到達して集光レンズ保護板34を冷却する。集光レンズ保護板34を冷却したエアは、集光レンズホルダ28の貫通孔28Aと集光レンズ保護板支持部材32の載置部32Aとの間の隙間を通過した後、集光レンズ保護板支持部材32の貫通孔32Cと、ノズル36のレーザ通過口36Cとを通過し、加工点に導かれる。
図6に示した線Aは、エア供給装置50によって供給されたエアの流れを示している。このように、エア供給装置50によって供給されたエアは、集光レンズ16を満遍なく冷却し、レーザ光Lと同軸でレーザ通過口36Cから供給される。
【0050】
エア吸引装置52によってエアを吸引すると、2つのデブリ吸引口36Dを介してレーザ通過口36Cからエアが吸引される。エア供給装置50によって供給され、加工点に導かれたエアもレーザ通過口36Cから吸引されたエアと合流し、2つのデブリ吸引口36Dを経由してエア吸引装置52に吸引される。
【0051】
また、レーザ光LがウェーハWに照射されることで発生したデブリDも、レーザ通過口36Cから吸引され、ノズル36の凹部36Aに侵入する。凹部36Aに侵入したデブリDは、2つのデブリ吸引口36Dを経由してエア吸引装置52に吸引され、集塵される。
図6に示した線Bは、エア吸引装置52によって吸引されたエアの流れを示している。
【0052】
ここで、制御装置54は、エア吸引装置52によるエアの吸引量を、エア供給装置50によるエアの供給量よりも大きい値に制御する。これにより、レーザ通過口36Cからエアを吸引することができるので、デブリDのウェーハW側への移動を抑制することができる。
【0053】
また、ノズル36のノズル底36BとウェーハWとの距離dをできるだけ狭くすることで、ノズル底36BとウェーハWとの間のエアの流速を速くすることができる。距離dは、例えば1mm~2mmとすることができる。
【0054】
以上のように、レーザ加工装置10によれば、集光レンズ16にデブリが付着することを防止することができる。
【0055】
また、ウェーハWを加工する際に集光レンズ16や集光レンズ保護板34が熱膨張すると、レーザ光が集光している高さやレーザ光のスポット形状が変化することで、集光状態が変化し加工品質が異常となることがある。レーザ加工装置10の集光レンズユニット20によれば、エア供給装置50によって供給されたエアが集光レンズ16の周囲を螺旋状に循環して集光レンズ保護板34に到達することで、集光レンズ16や集光レンズ保護板34を適切に冷却することができる。
【0056】
<変形例>
上記の例では、ノズル36のノズル底36Bに配置されたレーザ通過口36Cからデブリを吸引したが、レーザ通過口36C以外からデブリを吸引してもよい。
【0057】
図7は、変形例に係る集光レンズユニット20の下面図である。
図7に示すように、変形例に係る集光レンズユニット20のノズル36のノズル底36Bには、レーザ通過口36Cの周囲に円形の吸引溝36Eが配置される。
【0058】
吸引溝36Eは、ノズル36の凹部36Aと連通している。エア吸引装置52によってエアを吸引すると、デブリがエアとともにレーザ通過口36Cと吸引溝36Eとから吸引され、ノズル36の凹部36Aと、2つのデブリ吸引口36Dとを経由してエア吸引装置52に吸引され、集塵される。
【0059】
<その他>
本発明の技術的範囲は、上記の実施形態に記載の範囲には限定されない。各実施形態における構成等は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各実施形態間で適宜組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0060】
10…レーザ加工装置
12…レーザ源
14…安全シャッタ
16…集光レンズ
16A…接続部
18…集塵部
20…集光レンズユニット
22…アダプタ
22A…貫通孔
24…上板
24A…貫通孔
28…集光レンズホルダ
28A…貫通孔
28B…冷却エア供給口
30…供給コネクタ
32…集光レンズ保護板支持部材
32A…載置部
32B…凹部
32C…貫通孔
32D…導光部
34…集光レンズ保護板
36…ノズル
36A…凹部
36B…ノズル底
36C…レーザ通過口
36D…デブリ吸引口
36E…吸引溝
38…吸引コネクタ
50…エア供給装置
52…エア吸引装置
54…制御装置
A…線
B…線
D…デブリ
L…レーザ光