(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】回転装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
F16C 35/067 20060101AFI20240613BHJP
F16C 35/063 20060101ALI20240613BHJP
F16C 19/06 20060101ALI20240613BHJP
F16C 19/54 20060101ALI20240613BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240613BHJP
F16H 55/36 20060101ALN20240613BHJP
【FI】
F16C35/067
F16C35/063
F16C19/06
F16C19/54
G03G21/16 195
F16H55/36 A
(21)【出願番号】P 2019230260
(22)【出願日】2019-12-20
【審査請求日】2022-10-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】高木 広彰
【審査官】西藤 直人
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-002313(JP,A)
【文献】特開2011-021668(JP,A)
【文献】実開平07-041116(JP,U)
【文献】特開2006-170392(JP,A)
【文献】特開2003-345177(JP,A)
【文献】特開平10-184854(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16C 35/00-35/12
F16C 19/06
F16C 19/54
G03G 21/16
F16H 55/32-55/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸部材と、
前記軸部材が挿入される軸挿入部を有する相手部材と、
内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された転動体とを有し、前記相手部材と前記軸部材との間に介在し相対的に回転可能にする前記軸挿入部内に
およそ同軸上に設けられた
異なる内輪の内径をもつ2つの軸受と、
前記軸部材の軸方向の一方側の端部に取り付けられた抜け止め部材とを備えた回転装置において、
2つの軸受のうち内輪の内径が短い軸受は、前記軸部材の前記一方側に配置されており、
前記相手部材は、前記
2つの軸受の外輪と一体的に回転するとともに、前記軸方向において、前記抜け止め部材と
内輪の内径が短い軸受との間に配置される対向部を有し、
前記抜け止め部材は、前記対向部には接触可能だが、前記
内輪の内径が短い軸受には接触不能であることを特徴とする回転装置。
【請求項2】
請求項1に記載の回転装置において、
前記相手部材の前記対向部は、樹脂で構成されており、
前記抜け止め部材及び前記
内輪の内径が短い軸受
の前記外輪および前記内輪は、金属で構成されていることを特徴とする回転装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の回転装置において、
前記相手部材の前記対向部は、前記
内輪の内径が短い軸受の前記内輪に当接しないことを特徴とする回転装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の回転装置において
、
前記
内輪の内径が短い軸受は、もう一方の軸受よりも外径が短いことを特徴とする回転装置。
【請求項5】
請求項4に記載の回転装置において、
前記対向部の内径は、前記
内輪の内径が短い軸受の外径よりも小径であり、
前記軸挿入部の内周面には、前記
内輪の内径が短い軸受を案内するガイドリブを有することを特徴とする回転装置。
【請求項6】
請求項1乃至5いずれか一項に記載の回転装置において、
前記軸部材の前記一方側の端部は、他の箇所よりも小径な小径部であり、
前記軸挿入部の前記一方側と、前記軸方向の他方側
とに軸受が圧入されており、
前記軸部材の前記小径部
に前記内輪の内径が短い軸受が配置され、大径な部分にもう一方の軸受が配置されることを特徴とする回転装置。
【請求項7】
請求項6に記載の回転装置において、
前記相手部材は、前記軸部材の前記小径部に配置された
前記内輪の内径が短い軸受を位置決めする第一位置決め部と、前記軸部材の前記小径部よりも大径な部分に配置された
もう一方の軸受を位置決めする第二位置決め部とを有し、
前記軸部材は、前記相手部材を前記軸部材に組み付ける際に、前記軸部材の前記小径部に配置された
前記内輪の内径が短い軸受を前記第一位置決め部に当接させる第一段差面と、前記相手部材を前記軸部材に組み付ける際に、前記軸部材の前記小径部よりも大径な部分に配置された
もう一方の軸受を前記第二位置決め部に当接させる第二段差面とを有することを特徴とする回転装置。
【請求項8】
請求項1乃至6いずれか一項に記載の回転装置において、
前記内輪の内径が短い軸受の一端が、前記軸部材の前記軸方向に対して対向する面に突き当たり、
前記内輪の内径が短い軸受の他端が、前記相手部材の前記軸方向に対して対向する面に突き当たっていることを特徴とする回転装置。
【請求項9】
請求項1乃至8いずれか一項に記載の回転装置において、
前記相手部材は、前記軸部材と非接触であることを特徴とする回転装置。
【請求項10】
請求項1乃至9いずれか一項に記載の回転装置において、
前記相手部材が、駆動伝達部材であり、
前記軸部材が、前記駆動伝達部材を支持する支持軸であることを特徴とする回転装置。
【請求項11】
請求項1乃至10いずれか一項に記載の回転装置において、
前記相手部材が、樹脂材であり、
2つの軸受が、玉軸受であることを特徴とする回転装置。
【請求項12】
回転装置を備え、シート材に画像を形成する画像形成装置において、
前記回転装置として、請求項1乃至11いずれか一項に記載の回転装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、軸部材と、軸部材が挿入される軸挿入部を有する相手部材と、相手部材と軸部材との間に介在し相対的に回転可能にする軸挿入部内に設けられた軸受と、軸部材の軸方向の一方側の端部に取り付けられた抜け止め部材とを備えた回転装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記回転装置として、軸部材としてのパドル軸の軸方向一方側が、軸受たる玉軸受によって相手部材たる軸受ケースに回転自在に支持されているものが記載されている。パドル軸の玉軸受よりも軸方向一方側にはEリング溝が設けられており、このEリング溝に抜け止め部材としてのEリングが玉軸受の軸方向一方側端部に接するように取り付けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、異音が発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、軸部材と、前記軸部材が挿入される軸挿入部を有する相手部材と、内輪と、外輪と、前記内輪と前記外輪との間に配置された転動体とを有し、前記相手部材と前記軸部材との間に介在し相対的に回転可能にする前記軸挿入部内におよそ同軸上に設けられた異なる内輪の内径をもつ2つの軸受と、
前記軸部材の軸方向の一方側の端部に取り付けられた抜け止め部材とを備えた回転装置において、2つの軸受のうち内輪の内径が短い軸受は、前記一方側に配置されており、前記相手部材は、前記2つの軸受の外輪と一体的に回転するとともに、前記軸方向において、前記抜け止め部材と内輪の内径が短い軸受との間に配置される対向部を有し、前記抜け止め部材は、前記対向部には接触可能だが、前記内輪の内径が短い軸受には接触不能であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、異音の発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図2のA方向から見た排紙駆動装置の概略構成図。
【
図8】Eリングが、第一玉軸受の外輪に接触する構成を示す図。
【
図9】本実施形態における第一中継プーリと、第一支持軸と、Eリングとを示す概略構成図。
【
図10】本実施形態における第一中継プーリと、第一支持軸と、Eリングとを示す斜視図。
【
図11】第一玉軸受及び第二玉軸受の第一中継プーリへの組み付けについて説明する斜視図。
【
図12】第一玉軸受及び第二玉軸受の第一中継プーリへの組み付けについて説明する断面図。
【
図13】各玉軸受が組み付けられた第一中継プーリの第一支持軸への組み付けについて説明する斜視図。
【
図15】変形例1における第一中継プーリの組み付けについて説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機に適用した実施形態について説明する。まず、
図1を用いて、この複写機の概略について説明する。この複写機は、原稿を走査して読み取って得た画像情報をデジタル化して画像形成に用いるいわゆるデジタルカラー複写機としての機能を有している。また、この複写機は、原稿の画像情報を遠隔地と授受するファクシミリの機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷するいわゆるプリンタの機能も有している。
【0009】
図1において、複写機は、中間転写ベルト11を用いた中間転写方式で記録シートに画像を形成するものであって、かつ、各色のトナー像をそれぞれ専用のプロセスカートリッジで作像するタンデム方式の電子写真装置である。複写機の鉛直方向における最下部には、多段状の給送部2が設けられている。また、その上方に画像形成部1、さらにその情報にスキャナ部3がそれぞれ設けられている。給送部2の各段には、記録部材である普通紙や、OHPシート、第二原図などの記録シートからなるシート束を収容する給送トレイ21や、給送トレイ21に収容されたシート束のシートを給送する給送装置21aが配設されている。給送装置21aは、給送トレイ21から記録シートを送り出すピックアップローラ21a1と、送り出されたシートを分離して給送する分離給送手段21a2等を有している。
【0010】
画像形成部1のほぼ中央には、ベルトループ内側に配設された複数のローラによって無端状の中間転写ベルト11を張架している転写装置10が配設されている。中間転写ベルト11は、図中時計回り方向に回転(表面移動)する。中間転写ベルト11の上方には、中間転写ベルト11の表面移動方向に沿って、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像を作像するための4つのプロセスカートリッジ40Y,40M,40C,40Kが配設されている。以下、色分け符号であるY,M,C,Kについては、適宜省略する。また、4つのプロセスカートリッジ40の上方には2つの潜像書込手段としての第一書き込みユニット20aと第二書き込みユニット20bが設けられている。
【0011】
各プロセスカートリッジ40には、潜像担持体としてのドラム状の感光体41が設けられている。各感光体41は、それぞれ、図中反時計回り方向に回転可能に設けられており、その周囲には、公知の帯電装置、現像装置、感光体クリーニング装置、潤滑剤塗布装置が設けられている。
【0012】
転写装置10は、中間転写ベルト11やベルトクリーニング装置17、4つの一次転写ローラ46などを有している。張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写対向ローラ16を含む複数のローラが、中間転写ベルト11をテンション張架している。ベルト駆動モータは、駆動ローラ15を回転駆動し、中間転写ベルト11を図中時計回りに無端移動させる。
【0013】
4つの一次転写ローラ46は、それぞれ中間転写ベルト11の内周面側に接触するように配設され、電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、4つの一次転写ローラ46は、中間転写ベルト11をその内周面側から感光体41に向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。一次転写ローラは、一次転写バイアスにより、各一次転写ニップの感光体と一次転写ローラとの間に一次転写電界を形成する。一次転写ローラは、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト11上に感光体41上のトナー像を一次転写する。
【0014】
また、転写装置10は、二次転写手段を構成する二次転写ユニット22を中間転写ベルト11の下方に有している。二次転写ユニット22は、中間転写ベルト11を介して二次転写対向ローラ16に圧接する二次転写ローラ22aを備えている。そして、この二次転写ローラ22aが、自らと中間転写ベルト11との間に送り込まれる記録シートに対し、中間転写ベルト11上のトナー画像を一括二次転写する。二次転写対向ローラ16よりも中間転写ベルト11表面移動方向下流側には、ベルトクリーニング装置17が設けられている。このベルトクリーニング装置17は、画像転写後に中間転写ベルト11の表面に残留する残留トナーを除去する。また、ベルトクリーニング装置17は、潤滑剤塗布機構を備えている。潤滑剤塗布機構は、中間転写ベルト11の表面に潤滑剤を塗布する。
【0015】
二次転写ローラ22aの紙搬送方向下流側には、記録シート上に形成されたトナー画像をシート表面に定着せしめる定着装置25が設けられている。無端状の定着ベルト26は、定着加圧ローラ27に圧接している。二次転写ユニット22と定着装置25との間には、一対のローラ間に架け渡された無端状の搬送ベルト24が設けられている。搬送ベルト24は、画像転写後の記録シートを定着装置25へ搬送する。また、二次転写ローラ22aの下方には、シート表裏両面に画像を形成する際に反転させたシートを搬送する反転搬送装置28が設けられている。
【0016】
また、画像形成部1の図中の右側には、手差し給送部4が設けられている。手差し給送部4は、手差しの記録シートを載置する手差しトレイ51と、手差しトレイ51に載置された記録シートを給送する手差し給送装置150とを有している。手差し給送装置150は、手差しトレイ51から記録シートを送り出す手差しピックアップローラ52と、送り出されたシートを分離して給送する手差し分離給送手段53等を有している。
【0017】
以上の構成を具備する複写機でカラー原稿のコピーをとるとき、複写機は、コンタクトガラス上にセットされた原稿の画像をスキャナ部3によって読み取る。また、複写機は、中間転写ベルト11を回転させて、公知の画像形成プロセスによって各感光体41上にそれぞれトナー像を形成する。次に複写機は、各感光体上に形成したトナー像を順次重ね合わせて中間転写ベルト11に一次転写して、中間転写ベルト11上に4色重ね合わせトナー像を形成する。
【0018】
一方、中間転写ベルト11に対する4色重ね合わせトナー像の画像形成動作と並行して、給送装置21aは、給送部2の選択された給送トレイ21から記録シートを1枚ずつ分離給送して、レジストローラ29に向けて搬送する。
【0019】
このような給送トレイ21からの給送に代えて、手差しトレイ51からの給送が行われる場合もある。この場合、手差し給送装置150は、手差しトレイ51上の記録シートを1枚ずつ分離給送して、レジストローラ29に向けて搬送する。
【0020】
レジストローラ29は、分離搬送された記録シートをニップに突き当てることによって搬送を一時止め、記録しシートを待機させる。レジストローラ29は、中間転写ベルト11上に形成された4色重ね合わせトナー像と、記録シートの先端との位置関係を所定の位置にするように、タイミングをとって回転駆動を開始する。このレジストローラ29は、回転することにより待機されている記録シートを再び給送する。二次転写ローラ22aは、この記録シートの所定位置に対し、中間転写ベルト11上の4色重ね合わせトナー像を二次転写し、記録シート上にフルカラートナー像を形成する。
【0021】
搬送ベルト24は、このようにしてフルカラートナー像が形成された記録シートを、二次転写ローラ22aよりも搬送経路の下流側にある定着装置25に送り込む。この定着装置25は、二次転写ローラ22aによって二次転写されたフルカラートナー像を記録シート上に定着する。
【0022】
画像が形成された面を上にして排出するフェイスアップモードのときは、排紙前ローラ対31によってフルカラートナー像が定着された記録シートを搬送し、排紙ローラ対30によって装置外部へ排紙する。一方、画像が形成された面を上にして排出するフェイスダウンモードのときは、フルカラートナー像が定着された記録シートをスイッチバック搬送装置33へ搬送する。スイッチバック搬送装置33は、記録シートをスイッチバック排紙前ローラ対32へ向けて記録シートをスイッチバック搬送し、スイッチバック排紙前ローラ対32は、記録シートを排紙ローラ対30へ向けて記録シートを搬送する。そして、排紙ローラ対30は、記録シートを装置外部へ排紙する。
【0023】
記録シートの両面に画像を形成する両面プリントモードにおいて、第一面だけにフルカラートナー像を定着させた記録シートが定着装置25から排出された場合は、その記録シートを排紙ローラ対30ではなく、スイッチバック搬送装置33に送る。スイッチバック搬送装置33は、記録シートをスイッチバック搬送してシートを反転させて反転搬送装置28へ搬送する。反転搬送装置28は、記録シートを、レジストローラ29に再搬送する。その後、画像形成装置は、記録シートを二次転写ローラ22aと定着装置25とを経由させ、第二面にもフルカラー画像を形成する。
【0024】
図2は、排紙ローラ対30、排紙前ローラ対31及びスイッチバック排紙前ローラ対32を駆動する回転装置としての排紙駆動装置100の概略斜視図であり、
図3は、
図2のA方向から見た排紙駆動装置100の概略構成図である。なお、
図3では、排紙駆動装置100の部材をわかりやすくするため、
図2とは部材の配置を若干異ならせている。
【0025】
排紙ローラ対30の駆動ローラ130は、2つのローラ部130aと、ローラ軸130bとを有している。2つのローラ部130aは、軸方向に所定の間隔を開けてローラ軸130bに固定されている。排紙前ローラ対31の駆動ローラ131は、排紙ローラ対30の駆動ローラ130と同様な構成である。すなわち、2つのローラ部131aと、ローラ軸131bとを有する構成である。また、スイッチバック排紙前ローラ対32の駆動ローラ132も同様な構成で、2つのローラ部132aと、ローラ軸132bとを有している。
前側板1bと、後側板1aは、各駆動ローラのローラ軸130b,131b,131cを、軸受120,121,122を介して支持している。
【0026】
排紙駆動装置100は、軸方向の一方側である装置の後側に設けられており、駆動源としての排紙モータ101を有している。排紙モータ101は、スタッド101bを介して装置の後側板1aに取り付けられている。排紙駆動装置100は、排紙モータ101のモータギヤ101aと噛み合う減速ギヤ102を有している。減速ギヤ102は、スイッチバック排紙前ローラ対32の駆動ローラ131のローラ軸131bの後側端部に固定されている。
【0027】
排紙駆動装置100は、第一タイミングベルト108を備えている。第一タイミングベルト108は、駆動プーリ103と、第一中継プーリ105の入力プーリ部105aと、第二中継プーリ107とに巻き付いている。また、排紙駆動装置100は、タイトナローラ104を有している。タイトナローラ104は、第一タイミングベルト108の外周面に当接して、第一タイミングベルト108にテンションを付与するものである。
【0028】
タイトナローラ104は、後側板1aに固定されたタイトナ支持軸104aに回転自在に支持されている。タイトナ支持軸104aは、タイトナホルダ104bに支持されている。タイトナホルダ104bは、タイトナローラ104が第一タイミングベルト108に対して接離する方向に移動可能に後側板1bに保持されている。タイトナホルダ104bは、付勢手段としてのバネ104cにより第一タイミングベルト108側に付勢されている。バネ104cが、タイトナホルダ104bを第一タイミングベルト108側に付勢することで、タイトナローラ104は、第一タイミングベルト108に対して所定のテンションを付与する。
【0029】
駆動プーリ103は、排紙前ローラ対31の駆動ローラ131のローラ軸131bに固定されている。第一中継プーリ105は、後側板1aに固定された第一支持軸115に回転自在に支持されている。第一中継プーリ105は、入力プーリ部105aと、出力プーリ部105bとを有している。入力プーリ部105aは、第一タイミングベルト108が、巻き付いている。出力プーリ部105bは、第二タイミングベルト116が巻き付いている。第一支持軸115の先端部に、抜け止め部材としてのEリング113が取り付けられている。第一支持軸115の先端部にEリング113を取り付けることで、第一中継プーリ105の第一支持軸115からの抜けを止めることができる。
【0030】
第二タイミングベルト116は、第一タイミングベルト108よりもベルト幅が狭くなっている。第二タイミングベルト116は、第一中継プーリ105と、排紙出力プーリ106とに巻き付いている。排紙出力プーリ106は、排紙ローラ対30の駆動ローラ130のローラ軸130bの後側端部に固定されている。また、排紙ローラ対30の駆動ローラ130のローラ軸130bの後側端部には、抜け止め部材としてのEリング114が固定されている。このEリング114により、排紙出力プーリ106のローラ軸130bからの抜けを止めている。
【0031】
また、第一タイミングベルト108が巻き付いている第二中継プーリ107は、後側板1aに固定された第二支持軸117に回転自在に支持されている。第二中継プーリ107は、排紙出力ギヤ110に噛み合う中継ギヤ109と樹脂の一体成型品である。第二支持軸117の先端には、抜け止め部材としてのEリング112が取り付けられている。このEリング112により、第二中継プーリ107と中継ギヤ109とからなる一体成型品の第二支持軸117からの抜けを止めている。
【0032】
排紙出力ギヤ110は、スイッチバック排紙前ローラ対32の駆動ローラ132のローラ軸132bの後側端部に固定されている。また、スイッチバック排紙前ローラ対32の駆動ローラ132のローラ軸132bの後側端部には、抜け止め部材としてのEリング111が固定されている。このEリング111により排紙出力ギヤ110のローラ軸130bからの抜けを止めている。
【0033】
排紙モータ101の駆動力が、モータギヤ101aから減速ギヤ102に伝達されることで排紙前ローラ対31の駆動ローラ131が回転駆動する。また、排紙モータ101の駆動力は、減速ギヤ102と同軸上に配置された駆動プーリ103、第一タイミングベルト108を介して第一中継プーリ105に伝達される。第一中継プーリ105に伝達された駆動力は、第二タイミングベルト116を介して排紙出力プーリ106に伝達される。これにより、排紙ローラ対30の駆動ローラ130が回転駆動する。また、排紙モータ101の駆動力は、第一タイミングベルト108を介して第二中継プーリ107、中継ギヤ109を介して排紙出力ギヤ110に伝達される。これにより、スイッチバック排紙前ローラ対32の駆動ローラ132が回転駆動する。
【0034】
第一タイミングベルト108には、排紙ローラ対30、排紙前ローラ対31及びスイッチバック排紙前ローラ対32の3つの負荷トルクが加わる。一方、第二タイミングベルト116は、排紙ローラ対30の負荷トルクのみ加わる。このように、第一タイミングベルト108は、第二タイミングベルト116よりも大きな負荷トルクが加わるため、第一タイミングベルト108のベルト幅を、第二タイミングベルト116のベルト幅よりも広くしている。また、第二タイミングベルト116のベルト幅を、第一タイミングベルト108のベルト幅よりも狭くすることで、排紙駆動装置100のトータルの軸方向長さが長くなるのを抑制できる。
【0035】
図4は、従来の第一中継プーリ105Aの概略構成図である。
図4に示すように、第一中継プーリ105Aは、第一寄り止め突起105cを、入力プーリ部105aと出力プーリ部105bとの間に設けている。第一寄り止め突起105cは、第一タイミングベルト108の寄りを止めるものである。また、第一中継プーリ105Aは、第二寄り止め突起105dを、軸方向の一方側である後側端部に設けている。第二寄り止め突起105dは、第二タイミングベルト116の寄りを止めるものである。入力プーリ部105aは、ベルト幅が第二タイミングベルト116よりも幅広の第一タイミングベルト108が巻き付く。そのため、入力プーリ部105aの軸方向長さが、出力プーリ部105bの軸方向長さよりも長くなっている。
【0036】
第一中継プーリ105Aは、互いに軸方向長さが異なる入力プーリ部105aと、出力プーリ部105bとを有し、入力プーリ部105aと出力プーリ部105bとの間に第一寄り止め突起105cを有する構造をしている。したがって、逆付けで第一中継プーリ105を第一支持軸115に組み付けた場合、第一タイミングベルト108及び第二タイミングベルト116を第一中継プーリ105Aに巻き付けることができない。なお、逆付けとは、第一中継プーリ105Aが、出力プーリ部105bが前側に位置する正規の組み付けに対して逆の組み付けのことである。
【0037】
そのため、従来は、
図4(b)に示すような構成として第一中継プーリ105Aの逆付けを防止するようにしていた。具体的には、第一支持軸115に、第一小径部115aと第二小径部115bとを設ける。また、第一中継プーリ105Aの軸挿入部105gに、第一内周面105hと、第二内周面105iとを設ける。第一内周面105hは、第一小径部115aの外周面に接触し、第二内周面105iは、第二小径部115bの外周面に接触する構成である。かかる構成により、第一中継プーリ105Aを第一支持軸115に対して逆向きに挿入しようとすると、第二内周面105iの挿入方向下流側端部が、第一小径部115aの挿入方向下流側端部に突き当たる。これにより、第一中継プーリ105Aを、第一支持軸115に組み付けることができず、逆付けが防止できる。
【0038】
図4に示す従来の第一中継プーリ105Aは、排紙モータ101の駆動力が伝達され回転駆動すると、第一内周面105h及び第二内周面105iが、第一支持軸115に摺動する。第一中継プーリ105Aは樹脂で構成しており、使用条件によって摩耗が発生することがある。そのため、第一中継プーリ105Aにかかる負荷などの使用条件によっては、第一支持軸115との摺動による第一内周面105h及び第二内周面105iの摩耗量が大きくなる。その結果、早期に第一中継プーリ105Aの寿命が来てしまうおそれがある。また、第一支持軸115と第一中継プーリ105Aとの摺動抵抗による負荷が第一タイミングベルト108などに加わる。その結果、排紙駆動装置100の第一タイミングベルト108などの駆動伝達部材の寿命を早めてしまうおそれもある。
【0039】
図5は、
図4の従来の第一中継プーリ105Aを改良した他の従来例を示す図である。
図4に示す構成の問題を改良するために、
図5に示す他の従来例は、次の構成を有している。すなわち、第一中継プーリ105Bの軸挿入部105gの後側端部(図中左側)に軸受としての第一玉軸受141を圧入し、第一中継プーリ105Bの軸挿入部105gの前側端部(図中左側)に軸受としての第二玉軸受142を圧入する構成である。また、第一玉軸受141は、第二玉軸受142よりも小サイズであり、内径が第二玉軸受142の内径よりも短くなっている。このように、第一玉軸受141の内径を第二玉軸受142の内径よりも短くすることで、第一中継プーリ105Bを第一支持軸115に対し逆向きに組み付けようとした場合、第一玉軸受141が第一小径部115aの端部に突き当たる。これにより、第一中継プーリ105Bを、第一支持軸115に組み付けることができず、他の従来例においても、第一中継プーリ105Bの逆付けが防止できる。
【0040】
また、他の従来例では、軸部材である第一支持軸115は、玉軸受141,142を介して、相手部材である第一中継プーリ105Bを回転自在に支持する。これにより、第一中継プーリ105Bは、第一支持軸115に摺動せずに回転駆動する。よって、第一中継プーリ105Bの摩耗が抑制され、第一中継プーリ105Bの耐久性を高めることができる。また、第一中継プーリ105Bと第一支持軸115との間に摺動抵抗が発生することがない。したがって、
図4に示す従来例に比べて、排紙駆動装置100の第一タイミングベルト108などの駆動伝達部材にかかる負荷を低減することができる。
【0041】
図6は、第一玉軸受141の概略構成図である。
図6に示すように、第一玉軸受141は、金属からなる内輪141aと、金属から外輪141bと、内輪141aと外輪141bとの間に配置された転動体としてのボール141cとを有している。なお、第二玉軸受142は、第一玉軸受141と同様な構成である。
【0042】
第一玉軸受141の外輪141bは、第一中継プーリ105Bとともに回転する。一方、内輪141aは、第一支持軸115との静止摩擦力が、ボール141cとの摩擦力よりも上回り、第一支持軸115とともに静止状態となる。
【0043】
第一支持軸115の先端部に取り付けられた抜け止め部材としてのEリング113は、金属からなり、Eリング113は第一玉軸受141の内輪141aにのみ接触することが好ましい。そのため、Eリング113の外径は、
図7に示すように、外輪141bの内径Lよりも短くするのが好ましい。これは、外輪141bは、第一中継プーリ105とともに回転するが、第一支持軸115に取り付けられたEリング113は回転しない。そのため、
図8に示すように、Eリング113が外輪141bと接触する構成とした場合、Eリング113は、外輪141bに摺動する。Eリング113と外輪141bは金属であるため、Eリング113の外輪141bへの摺動は、金属同士の摺動となり、異音が発生するおそれがあるからである。また、摺動性が無い金属同士だと使用条件によっては、焼き付きが発生して引っ付いてしまうおそれもある。
【0044】
上述したように、第一中継プーリ105Bの逆付け防止のため、第一玉軸受141は、第二玉軸受142よりも小サイズの玉軸受である。この小サイズの第一玉軸受141の外輪に接触しないようにするために、Eリング113は、一般サイズに比べて小サイズのものを使用する必要が生じる。
【0045】
図3に示すように、本排紙駆動装置100は、第一支持軸115のみならず、第二支持軸117、排紙ローラ対30の駆動ローラ130のローラ軸130b及びスイッチバック排紙前ローラ対32の駆動ローラ132のローラ軸132bにもEリング111が取り付けられている。
【0046】
駆動ローラ132のローラ軸132bに取り付けられたEリング111は、排紙出力ギヤ110とともに回転する。したがって、Eリング111が排紙出力ギヤ110に接触する構成でも、Eリング111が排紙出力ギヤ110に摺動することがない。よって、スイッチバック排紙前ローラ対32の駆動ローラ132のローラ軸132bに取り付けられるEリング111については、特に制約がなく、安価な一般サイズのEリングを使用することができる。
【0047】
同様に、排紙ローラ対30の駆動ローラ130のローラ軸130bに取り付けられるEリング114についても、排紙出力プーリ106とともに回転し、排紙出力プーリ106に摺動することがない。したがって、排紙ローラ対30の駆動ローラ130のローラ軸130bに取り付けられるEリング114も、一般サイズのEリングを使用することができる。
【0048】
後側板1aに固定された第二支持軸117に固定されているEリング112は、このEリング112に軸方向から対向する中継ギヤ109に摺動する。しかし、中継ギヤ109は、POMなどの摺動性を持つ樹脂で構成している。したがって、Eリング112が中継ギヤ109に摺動しても異音が発生することがない。よって、第二支持軸117に取り付けられているEリング112についても、特に制約がない。
【0049】
このように、他の従来例では、排紙駆動装置100に用いられる4つのEリング111,112,113,114のうち、3つのEリング111,112,114には、一般サイズの安価なEリングを使用することができる。しかし、第一支持軸115に固定されるEリング113は、他のEリング111,112,114よりも小サイズのEリングを使用する必要が生じた。その結果、第一支持軸115に固定されるEリング113と、他のEリング111,112,114の2つのEリングについて管理する必要が生じる。これにより、部品管理コストの増大を招くおそれがある。
【0050】
また、他の従来例では、第一支持軸115に他のEリング111,112,114を固定してしまうなどのEリングの誤組付けが発生するおそれがある。また、誤組み付けが発生しないように、Eリングのサイズを確認して、軸に取り付ける必要がある。その結果、組立て効率が悪化するおそれもある。
【0051】
他の従来例において、その他のEリング111,112,114を、第一支持軸115に固定されるEリング113と同様、小サイズにすることも考えられる。しかし、小サイズとすることで、軸への組み付け性が悪化し、組立て効率が悪化するおそれもある。
【0052】
本実施形態の排紙駆動装置100は、上述した他の従来例を改良したものである。具体的には、第一支持軸115に固定されるEリング113として、その他のEリング111,112,114と同様の一般サイズのEリングを用いても、Eリング113が第一玉軸受141の外輪に接触しない構成とした。以下に、本実施形態の排紙駆動装置100について、具体的に説明する。
【0053】
図9は、本実施形態における第一中継プーリ105と、第一支持軸115と、Eリング113とを示す概略構成図である。
図10は、本実施形態における第一中継プーリ105と、第一支持軸115と、Eリング113とを示す斜視図である。
なお、以下の説明では、特徴部について説明し、
図4、
図5に示した従来と同様な構成は、適宜、説明を省略する。
【0054】
本実施形態の第一中継プーリ105は、第一玉軸受141よりも軸方向の一方側である後側に延びて、Eリング113と軸方向から対向する対向部105eを有している。このように、第一中継プーリ105に対向部105eを設けることで、Eリング113は、対向部105eに接触し、第一玉軸受141には接触しない構造となる。第一中継プーリ105は、POMなどの摺動性を持つ樹脂で構成されている。よって、Eリング113の対向部105eに対する摺動は、金属と樹脂との摺動となる。したがって、金属同士の摺動とは異なり、異音の発生が抑制される。
【0055】
また、Eリング113の外径を、第一玉軸受141の外輪の内径以下にするという制約がなくなる。よって、本排紙駆動装置100は、第一支持軸115に固定するEリング113を、その他のEリング111,112,114と同形の安価な一般サイズのEリングにできる。よって、従来課題であった誤組み付けの発生が防止できる。また、部品管理コストの低減が図れる。さらに、組立て効率の向上が図れる。
【0056】
図9(b)に示すように、本実施形態の第一中継プーリ105は、ガイドリブ105jと、の第一位置決め部105kと、第二位置決め部105fとを有している。ガイドリブ105jは、後述するように、第一玉軸受141をガイドするものである。ガイドリブ105jは、第一中継プーリ105の軸挿入部105gの内周面に設けられている。第一位置決め部105kは、第一玉軸受141を位置決めするものである。第二位置決め部105fは、第二玉軸受142を位置決めするものである。第二位置決め部105fは、ガイドリブ105jの軸方向に対して直交する先端面である。
【0057】
第二玉軸受142の外輪の後側端部(図中左端)が、第二位置決め部105fに突き当たっている。これにより、第二玉軸受142は、第一中継プーリの前側に位置決めされる。また、第二玉軸受142の内輪の前側端部(図中右端)が、第一支持軸115の第二段差面115dに突き当たっている。第二段差面115dは、軸の外周面と第二小径部115bとの段差である軸方向に直交する面である。このように、第二玉軸受142は、軸方向において、第一支持軸115の第二段差面115dと、第一中継プーリ105の第二位置決め部105fとに軸方向から挟まれている。
【0058】
第一玉軸受141の外輪の後側端部(図中左端)が、第一中継プーリ105の第一位置決め部105kに突き当たっている。これにより、第一玉軸受141は、第一中継プーリ105の後側に位置決めされる。また、第一玉軸受141の内輪の前側端部(図中右端)が、第一支持軸115の第一段差面115cに突き当たっている。第一段差面115cは、第二小径部115bと第一小径部115aとの段差である軸方向に直交する面である。このように、第一玉軸受141は、軸方向において、第一支持軸115の第一段差面115cと、第一中継プーリ105の第一位置決め部105kとに軸方向から挟まれている。
【0059】
第一中継プーリ105は、樹脂で構成されているため熱膨張率が大きい。そのため、第一中継プーリ105は、温度上昇した際の径方向の変動が大きい。第一玉軸受141及び第二玉軸受142は、第一中継プーリ105に圧入されている。しかし、第一中継プーリ105は、温度上昇した際の径方向の変動が大きいため、第一中継プーリ105の熱膨張で第一中継プーリ105と各玉軸受141、142との間の圧入力が低下する場合がある。第一中継プーリ105と各玉軸受141、142との間の圧入力が低下すると、玉軸受141,142が第一支持軸115及び第一中継プーリ105に対して相対的に軸方向へ移動可能となる。本実施形態では、上述したように、各玉軸受141は、第一支持軸115と第一中継プーリ105とに軸方向から挟まれる形で組付けられる。よって、第一中継プーリ105と各玉軸受141,142との間の圧入力が低下しても、各玉軸受141、142が、第一中継プーリ105に対して第一支持軸115の固定端部側へ移動するのを、第一支持軸155の段差面115c,115dが規制する。これにより、各玉軸受141,142が、第一中継プーリ105の圧入部から外れるのを防止することができる。また、第一中継プーリ105が第一支持軸155の固定端部側へ移動するのを各玉軸受141,142が規制し、第一中継プーリ105を所定の位置に位置させることができる。
【0060】
また、
図9(b)に示すように、本実施形態の第一中継プーリ105の対向部105eの内径dは、第一玉軸受141の外径よりも短くなっている。したがって、第一玉軸受141は、第一中継プーリ105の後側(図中左側)から挿入することができない。そのため、第一玉軸受141は、第一中継プーリ105の前側(図中右側)から挿入することになる。
【0061】
図11は、第一玉軸受141及び第二玉軸受142の第一中継プーリ105への組み付けについて説明する斜視図であり、
図12は、第一玉軸受141及び第二玉軸受142の第一中継プーリ105への組み付けについて説明する断面図である。
【0062】
図11、
図12に示すように、ガイドリブ105jは、軸挿入部105gの内周面に円周方向に所定の間隔を開けて複数設けられている。各ガイドリブ105jの頂部を結ぶ内接円の直径は、第一玉軸受141の外径とほぼ同一となっている。第一玉軸受141は、第一中継プーリ105の前側から外周面が各ガイドリブ105jの頂部に接触するように、軸挿入部105gに挿入される。
【0063】
軸挿入部105gに挿入された第一玉軸受141を、複数のガイドリブ105jに案内されながら、外輪が第一位置決め部105kに突き当たるまで後側へ移動させる。これにより、第一玉軸受141が第一中継プーリ105の軸挿入部105gの内周面よりも内径が一段短くなった第一圧入部105mに圧入され、第一玉軸受141が第一中継プーリ105に組付けられる。このように、第一玉軸受141は、複数のガイドリブ105jに案内されながら組み付けられる。これにより、組み付け時に、第一玉軸受141が軸方向に対して倒れてしまうなどの不具合が発生することなく、容易に第一玉軸受141を第一中継プーリ105に組み付けることができる。
【0064】
第一玉軸受141の組み付けが完了したら、第二玉軸受142を第一中継プーリ105の前側から軸挿入部105gに圧入し、ガイドリブ105jの先端の第二位置決め部105fに突き当てる。これにより、第二玉軸受142が第一中継プーリ105に組み付けられる。
【0065】
図13は、各玉軸受141,142が組み付けられた第一中継プーリ105の第一支持軸115への組み付けについて説明する斜視図である。
第一中継プーリ105を、図中矢印A方向に移動させ、後側板1aにカシメなどにより固定された第一支持軸115の先端を第一中継プーリ105の前側から軸挿入部105gに挿入していく。すると、第一支持軸115の先端が第一中継プーリ105を貫通する。また、第一玉軸受141の内輪が、第一支持軸115の第一段差面115cに突き当たり、第二玉軸受142の内輪が、第一支持軸115の第二段差面115dに突き当たる。これにより、第一中継プーリ105が第一支持軸115に組み付けられる。第一中継プーリ105組付け後に、第一支持軸115の溝部115eにEリング113を嵌め込む。
【0066】
上述のように、第一中継プーリ105を第一支持軸115に組み付ける際に、第一玉軸受141の内輪が、第一支持軸115の第一段差面115cに突き当たり、第一玉軸受141を第一段差面115cにより後側へ押し込む。したがって、第一玉軸受141の外輪が第一位置決め部105kに当接しておらず、正しく組み付けられていない場合でも、第一段差面115cによる押し込みで第一玉軸受141の外輪が第一位置決め部105kに当接させることができる。これにより、第一玉軸受141を第一中継プーリ105に正しく組み付けることができる。
【0067】
同様に第二玉軸受142の外輪が第二位置決め部105fに当接しておらず、正しく組み付けられていない場合でも、第二段差面115dによる押し込みで第二玉軸受142の外輪を第二位置決め部105fに当接させることができる。これにより、第二玉軸受142を第一中継プーリ105に正しく組み付けることができる。
【0068】
また、本実施形態の第一中継プーリ105は、後側には、対向部105eを有しており、前側の開口よりも後側の開口が明らかに小さくなっている。これにより、第一中継プーリ105の前側と後側とを目視で容易に判断でき、第一中継プーリ105の逆付けが抑制される。仮に、第一中継プーリ105を、第一支持軸115に対して逆付けした場合は、第一玉軸受141の内輪が、第一支持軸115の第一段差面115cに突き当たる。これにより、第一支持軸115の先端が第一中継プーリ105を貫通するまで第一中継プーリ105を第一支持軸115に挿入できない。よって、第一中継プーリ105の逆付けが防止できる。
【0069】
[変形例1]
図14は、変形例1の概略構成図であり、
図15は、変形例1における第一中継プーリ105の組み付けについて説明する図である。
この変形例1は、第一中継プーリ105の抜け止め部材として、段付きネジ113Aを用いたものである。この変形例1は、第一支持軸115の先端に内周面にネジ溝が形成されたネジ穴115fを設けている。
図15に示すように、実施形態と同様に、第一玉軸受141と第二玉軸受142とが圧入された第一中継プーリ105を、図中矢印A方向に移動させて、第一中継プーリ105を第一支持軸115に組み付ける。次に、段付きネジ113Aを、第一支持軸115のネジ穴115fに締結する。これにより、
図14に示すように、段付きネジ113Aの頭部が、第一中継プーリ105の対向部105eに対向する。その結果、段付きネジ113Aは、第一中継プーリ105が第一支持軸115を抜けるのを止めることができる。
【0070】
段付きネジ113Aは、金属であるため、段付きネジ113Aの頭部が第一玉軸受141の外輪に摺動すると、異音が発生するおそれがある。しかし、この変形例1においても、第一中継プーリ105に対向部105eを設けているので、段付きネジ113Aの頭部は、摺動性を持つ樹脂材からなる対向部105eに摺動する。よって、異音の発生を抑制することができる。
【0071】
[変形例2]
図16は、変形例2の概略構成図である。
この変形例2は、二段ギヤ205に本発明を適用した例である。
相手部材としての二段ギヤ205は、POMなどの摺動性を持つ樹脂からなり、大径ギヤ部205aと小径ギヤ205bとを有している。それ以外は、上述した実施形態と同様の構成である。具体的には、二段ギヤ205の逆付けを防止する構成と、第一玉軸受141とEリング113とが接触しない構成とを有する構成である。
【0072】
二段ギヤ205の逆付けを防止する構成は、以下の構成である。すなわち、二段ギヤ205の貫通孔形状の軸挿入部205gの軸方向の一方側(図中左側)第一玉軸受141が圧入され、他方側(図中右側)に第一玉軸受141よりも大サイズな第二玉軸受142が圧入されている。そして、玉軸受141,142を介して二段ギヤ205を支持する支持軸215は、先端側から、第一小径部215aと、第一小径部215aよりも大径の第二小径部215bとを有する構成である。
【0073】
第一玉軸受141とEリング113とが接触しない構成は、二段ギヤ205が、第一玉軸受141よりも軸方向の一方側に延び出して、Eリング113と軸方向から対向する対向部205eを有する構成である。かかる構成により、変形例2においても、二段ギヤ205の回転駆動時に、異音の発生が防止できる。
【0074】
[変形例3]
図17は、変形例3の概略構成図である。
この変形例3は、軸部材が回転し、相手部材が回転しない構成に本発明を適用した一例である。
この変形例3では、装置の側板1bに相手部材としての樹脂材からなる軸受ケース210が取り付けられている。この軸受ケース210と、駆動ローラのローラ軸130bとの間に玉軸受120が配置され、ローラ軸130bを回転自在に支持している。このローラ軸130bの一端にローラ軸130bが側板1bから抜けるのを止める抜け止め部材としてのEリング211が固定されている。軸受ケース210は、玉軸受120よりも軸方向の一方側に延び出して、Eリング113と軸方向から対向する対向部210eを備える。
【0075】
この変形例3では、Eリング211は、ローラ軸130bとともに回動するが、玉軸受120の外輪は、軸受ケース210との静止摩擦力がボールとの摩擦力よりも大きいため静止した状態である。よって、Eリング211が玉軸受120の外輪に接触すると、外輪にEリング211が摺動する。その結果、金属同士の摺動による異音が発生するおそれがある。しかし、この変形例3でも、樹脂材からなる軸受ケース210に対向部210eを設けることで、Eリング211は、樹脂材からなる対向部210eに摺動する。これにより、樹脂と金属との摺動となり、異音の発生を抑制することができる。
【0076】
[変形例4]
図18は、変形例4の概略構成図である。
この変形例4は、
図17の変形例3において側板1bへの玉軸受120及び軸受ケース210の取付構成を変更したものである。
変形例3においては、
図17に示すように装置の側板1bに樹脂材からなる軸受ケース210が取り付けられ、この軸受ケース210と、駆動ローラのローラ軸130bとの間に玉軸受120が配置され、軸受ケース210がローラ軸130bを回転自在に支持している。しかし、金属材からなる玉軸受120の外輪を樹脂材からなる軸受ケース210で直接支持する構成では、ローラ軸130bの位置精度が出にくい。そのため、変形例3の構成は、ローラ部130aが回転精度を要求されるところでは、採用しにくい。
【0077】
そこで、この変形例4は、
図18に示すように玉軸受120の外輪を金属性の側板1bで直接支持するとともに、樹脂材からなる軸受ケース210をネジ等の締結部材212により側板1bに固定する構成とした。かかる構成とすることで、玉軸受120の位置精度が向上する。これにより、ローラ軸130bの位置精度が向上し、ローラ部130aの回転精度を高めることができる。よって、ローラ部130aの回転精度が要求されるところでは、変形例4の構成を採用することで、ローラ部130aの回転精度の要求を満たせ、かつ、異音の発生を抑制することができる。
【0078】
なお、この変形例3、4は、樹脂の軸受ケース210を設け、この軸受ケース210にEリング211と対向する対向部210eを設けている。しかし、側板1bが樹脂からなる場合は、側板1bに玉軸受120を圧入し、この側板1bにEリング211と対向する対向部を設けて、軸受ケース210がない構成でもよい。
【0079】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
第一支持軸115などの軸部材と、軸部材が挿入される軸挿入部105gを有する第一中継プーリ105などの相手部材と、相手部材と軸部材との間に介在し相対的に回転可能にする軸挿入部内に設けられた玉軸受141,142などの軸受と、軸部材の軸方向の一方側の端部に固定されたEリング113などの抜け止め部材とを備えた排紙駆動装置100などの回転装置において、相手部材は、軸受よりも一方側に位置し、抜け止め部材と軸方向から対向する対向部105eを有する。
特許文献1は、上述したように、抜け止め部材たるEリングが軸受たる玉軸受の軸方向一方側端部に接する構成である。玉軸受は、内輪と、外輪と、内輪と外輪との間に配置された転動体たるボールとを備えるものであり、一般的に外輪及び内輪は、金属で構成されている。また、Eリングも、一般的に金属で構成されている。したがって、特許文献1に記載のEリングが軸受の軸方向一方側端部に接する構成においては、金属同士の接触となる。Eリングは、パドル軸とともに、軸受ケースに対して相対的に回転するため、Eリングが玉軸受の外輪に接触していると、金属同士の摺動となり、異音が発生するおそれがある。
これに対し、態様1では、抜け止め部材と軸方向から対向する相手部材に設けた対向部は、軸受よりも軸方向の一方側に位置するので、抜け止め部材は対向部と接触し、軸受とは接触しないようにできる。これにより、抜け止め部材の軸受に対する摺動による異音の発生を防止することができる。
【0080】
(態様2)
態様1において、第一支持軸115などの軸部材は、外径が互いに異なる複数の玉軸受141,142などの軸受に受けられており、軸方向の一方側に配置される軸受は、複数の軸受のうち最も外径が短い。
これによれば、実施形態で説明したように、軸方向の一方側に配置される軸受は、複数の軸受のうち最も外径が短いため、この軸受の外輪の内径が、Eリングなどの抜け止め部材の外径よりも短い構成となる。このような構成において、相手部材に対向部105eを設けることで、Eリングなどの抜け止め部材として小径のものを用いずとも、抜け止め部材の軸受の外輪への摺動を防止できる。
【0081】
(態様3)
態様2において、対向部105eの内径は、軸方向の一方側に配置される第一玉軸受141などの軸受の外径よりも小径であり、軸挿入部105gの内周面には、軸方向の一方側に配置される軸受を案内するガイドリブ105jを有する。
これによれば、実施形態で説明したように、対向部105eの内径は、軸方向の一方側に配置される第一玉軸受141などの軸受の外径よりも小径であるため、軸方向の一方側に配置される軸受は、軸挿入部の軸方向他方側から挿入して、一方側に位置させることになる。態様3では、軸挿入部105gの内周面にガイドリブ105jを設けてあるので、軸挿入部の軸方向他方側から挿入された軸方向の一方側に配置される軸受を容易に軸方向の一方側へ移動させることができる。これにより、軸受の組み付け作業性を高めることができる。
【0082】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、第一支持軸115などの軸部材の前記一方側端部は、他の箇所よりも小径な第一小径部115aなどの小径部であり、軸挿入部105gの軸方向の一方側と、軸方向の他方側とに内径が互いに異なる2つの玉軸受141,142などの軸受が圧入されており、軸部材の小径部と、小径部よりも大径な部分とに軸受が配置される。
これによれば、実施形態で説明したように、第一中継プーリ105などの相手部材の第一支持軸115などの軸部材に対する逆付けが防止できる。
【0083】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、玉軸受などの軸受の一端が、第一支持軸115などの軸部材の軸方向に対して対向する面(本実施形態では、第一段差面115c及び第二段差面115d)に突き当たり、軸受の他端が、第一中継プーリ105などの相手部材の軸方向に対して対向する面(本実施形態では、第一位置決め部105kおよび第二位置決め部105f)に突き当たっている。
これによれば、実施形態で説明したように、軸受が、第一中継プーリ105などの相手部材に対して軸方向に相対的に移動するのを抑制でき、軸受が、相手部材から外れてしまうのを抑制することができる。
【0084】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、第一中継プーリ105などの相手部材は、第一支持軸115などの軸部材と非接触である。
これによれば、軸受と相手部材との接触圧の低下を抑制できる。
【0085】
(態様7)
態様1乃至6いずれかにおいて、相手部材が、第一中継プーリ105などの駆動伝達部材であり、軸部材が、駆動伝達部材を支持する第一支持軸115などの支持軸である。
これによれば、実施形態で説明したように、駆動伝達時に異音が発生するのを抑制することができる。
【0086】
(態様8)
態様1乃至7いずれかにおいて、第一中継プーリ105などの相手部材が、樹脂材であり、軸受が、玉軸受である。
これによれば、Eリング113などの抜け止め部材が、抜け止め部材に対して相対的の回転する玉軸受の外輪に摺動するのを防止できる。また、抜け止め部材の摺動相手の樹脂材となり、異音の発生を抑制できる。
【0087】
(態様9)
回転装置を備え、シート材に画像を形成する画像形成装置において、回転装置として、態様1乃至8いずれかの回転装置を用いる。
これによれば、異音の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 :画像形成部
1a :後側板
1b :前側板
30 :排紙ローラ対
31 :排紙前ローラ対
32 :スイッチバック排紙前ローラ対
100 :排紙駆動装置
101 :排紙モータ
101a :モータギヤ
101b :スタッド
102 :減速ギヤ
103 :駆動プーリ
104 :タイトナローラ
104a :タイトナ支持軸
105 :第一中継プーリ
105a :入力プーリ部
105b :出力プーリ部
105c :第一寄り止め突起
105d :第二寄り止め突起
105e :対向部
105f :第二位置決め部
105g :軸挿入部
105j :ガイドリブ
105k :第一位置決め部
115m :第一圧入部
106 :排紙出力プーリ
107 :第二中継プーリ
108 :第一タイミングベルト
109 :中継ギヤ
110 :排紙出力ギヤ
111 :Eリング
112 :Eリング
113 :Eリング
113A :段付きネジ
114 :Eリング
115 :第一支持軸
115a :第一小径部
115b :第二小径部
115c :第一段差面
115d :第二段差面
115e :溝部
115f :ネジ穴
116 :第二タイミングベルト
117 :第二支持軸
141 :第一玉軸受
141a :内輪
141b :外輪
141c :ボール
142 :第二玉軸受
205 :二段ギヤ
205a :大径ギヤ部
205b :小径ギヤ
205e :対向部
205g :軸挿入部
210 :軸受ケース
210e :対向部
211 :Eリング
215 :支持軸
215a :第一小径部
215b :第二小径部
【先行技術文献】
【特許文献】
【0089】