(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置
(51)【国際特許分類】
H04N 1/00 20060101AFI20240613BHJP
B65H 5/06 20060101ALI20240613BHJP
B65H 5/36 20060101ALI20240613BHJP
B65H 43/06 20060101ALI20240613BHJP
G03G 21/14 20060101ALI20240613BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240613BHJP
G03G 15/00 20060101ALI20240613BHJP
G03G 21/16 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H04N1/00 567K
B65H5/06 F
B65H5/06 J
B65H5/36
B65H43/06
H04N1/00 567Q
G03G21/14
G03G21/00 370
G03G15/00 107
G03G15/00 550
G03G21/16 104
(21)【出願番号】P 2020071564
(22)【出願日】2020-04-13
【審査請求日】2023-02-13
(31)【優先権主張番号】P 2019172198
(32)【優先日】2019-09-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】森崎 良平
(72)【発明者】
【氏名】曽我 茂文
(72)【発明者】
【氏名】加藤 千沙
【審査官】松永 隆志
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-110436(JP,A)
【文献】特開2007-171763(JP,A)
【文献】特開2008-063101(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
B65H 5/06
B65H 5/36
B65H 43/06
G03G 21/14
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 21/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
非離間のローラ対のレジスト位置でシートを一時停止させた後、前記シートの搬送を再開するシート搬送装置において、
搬送されるシート長が、特定の長さ以上のとき、先行シートの排出完了後に、離間可能なローラ対にある後続シート
を、前記レジスト位置に到達
させることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のシート搬送装置において、
レジスト位置は、画像読取位置よりシート搬送方向上流側にあることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載のシート搬送装置において、
前記先行シートの画像読取が完了してから、前記後続シートに対する読み取り開始までが規定時間以上かかるとき、先行シートの排出完了後に、離間可能なローラ対にある後続シート
を、前記レジスト位置に到達
させることを特徴とするシート搬送装置
。
【請求項4】
請求項1乃至
3いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記シートの厚さが特定の値以下のとき、先行シートの排出完了後に、離間可能なローラ対にある後続シート
を、前記レジスト位置に到達
させることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項5】
請求項1乃至
4いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
シート排出部のシートの幅方向中央に設けられ、前記シート排出部のシート載置面より突出した突出部材を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項6】
請求項
5に記載のシート搬送装置において、
前記突出部材は、移動可能であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項7】
請求項
6に記載のシート搬送装置において、
前記突出部材が所定位置に位置していることを検知する検知部を備え、
前記先行シートの排出完了後の前記後続シートの前記レジスト位置への到達は、前記突出部材が前記所定位置に位置しているときに行うことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項8】
請求項
6または7に記載のシート搬送装置において、
前記シートの厚みを検知する厚み検知部を備え、
前記厚み検知部が所定の値以下の前記シートの厚さを検知したときに、所定位置へ前記突出部材を移動させるよう表示する表示部を備えたことを特徴とするシート搬送装置。
【請求項9】
請求項
6または7に記載のシート搬送装置において、
前記シートの厚みを検知する厚み検知部と、
前記突出部材を、移動させる駆動源とを備え、
前記厚み検知部が所定の値以下の前記シートの厚さを検知したときに、前記駆動源は所定位置へ前記突出部材を移動させることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至
9いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
画像読取位置を通過するときのシートの搬送速度であるシート読取搬送速度が規定値以下のとき、先行シートの排出完了後に、離間可能なローラ対にある後続シート
を、前記レジスト位置に到達
させることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項11】
請求項
10に記載のシート搬送装置において、
前記先行シートの搬送方向後端が前記画像読取位置を抜けたとき、前記シート読取搬送速度よりも速い搬送速度で前記先行シートを搬送することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項12】
請求項1乃至
11いずれか一項に記載のシート搬送装置において、
前記非離間のローラ対は、画像読取位置よりシート搬送方向上流側で最初に配置された読取前ローラ対であることを特徴とするシート搬送装置。
【請求項13】
請求項
12に記載のシート搬送装置において、
前記読取前ローラ対と、前記シートをシート排出部へ排出する排出ローラ対とを、同一の駆動源により駆動することを特徴とするシート搬送装置。
【請求項14】
原稿シートを搬送する原稿搬送部と、
前記原稿搬送部によって搬送される原稿シート上の画像を読み取る画像読取部とを備えた画像読取装置において、
前記原稿搬送部として、請求項1乃至
13いずれか一項に記載のシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像読取装置。
【請求項15】
原稿シートを搬送する原稿搬送部と、
前記原稿搬送部によって搬送される原稿シート上の画像を読み取る画像読取部とを備え、前記画像読取部で読み取った画像情報に基づいて画像を形成する画像形成装置において、
前記原稿搬送部として、請求項1乃至
13いずれか一項に記載のシート搬送装置を用いたことを特徴とする画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート搬送装置、画像読取装置及び画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、画像読取位置よりシート搬送方向上流のレジスト位置でシートを一時停止させた後、シートの搬送を再開するシート搬送装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記シート搬送装置として、給送トレイに載置されたシートたる原稿を分離給送手段により搬送し、原稿の先端が、読取位置手前に配置された読取前ローラの搬送ニップ(レジスト位置)に到達した時点で原稿の搬送を一時停止し、その後、原稿を画像読取速度と同じ搬送速度であるシート読取搬送速度で搬送し、排紙トレイに排出するものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、シートの排出不良が発生するおそれがあり、装置内に残ったシートを取り除く場合にシートを傷つけるおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した課題を解決するために、本発明は、非離間のローラ対のレジスト位置でシートを一時停止させた後、前記シートの搬送を再開するシート搬送装置において、搬送されるシート長が、特定の長さ以上のとき、先行シートの排出完了後に、離間可能なローラ対にある後続シートを、前記レジスト位置に到達させることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、シートの排出不良の発生を抑制することができ、装置内に残ったシートを取り除く場合にシートを傷つけることなく取り除くことが容易になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】実施の形態に係る自動原稿搬送装置およびこの自動原稿搬送装置を備えた画像形成装置の概略構成図。
【
図3】従来の自動原稿搬送装置における原稿の搬送について説明する図。
【
図5】本実施形態における片面モードの実施フロー図。
【
図6】本実施形態における両面モードの実施フロー図。
【
図7】変形例1における自動原稿搬送装置の概略構成図。
【
図9】変形例1における両面モードの実施フロー図。
【
図10】変形例2における自動原稿搬送装置の概略構成図。
【
図12】変形例2における両面モードの実施フロー図。
【
図13】変形例3における自動原稿搬送装置の概略構成図。
【
図14】変形例3の自動原稿搬送装置の排出部を示す斜視図。
【
図15】座屈抑制部材の位置に基づいて、搬送される原稿の厚みが規定値以上か否かを判断するようにした場合の片面モードの実施フロー図。
【
図16】座屈抑制部材の位置に基づいて、搬送される原稿の厚みが規定値以上か否かを判断するようにした場合の両面モードの実施フロー図。
【
図17】厚さ検知センサを備えた変形例3における自動原稿搬送装置の概略構成図。
【
図18】搬送される原稿の厚みが規定値以下のとき、座屈抑制部材を作用位置に位置させるための制御フロー図。
【
図19】変形例4における自動原稿搬送装置の概略構成図。
【
図20】自動原稿搬送装置の制御ブロックの一例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置に適用した、本発明の一実施形態について説明する。
図1は、実施の形態に係る自動原稿搬送装置2およびこの自動原稿搬送装置2を備えた画像形成装置の概略構成図である。
【0009】
図1に示すように、画像形成装置1は、シートたる原稿Sの搬送を行うシート搬送装置としての自動原稿搬送装置2と、原稿の読取りおよび転写紙への画像形成を行う画像形成装置本体1aとを備えている。自動原稿搬送装置2ヒンジ機構を介して画像形成装置本体1aに対して開閉自在に設けられている。
【0010】
画像形成装置本体1a内には、画像読取部81が設けられており、この画像読取部81によって読取られた画像情報は書込部82によって感光体ドラム83に照射されるようになっている。自動原稿搬送装置2と画像読取部81とを合わせたものが画像読取装置を構成する。
【0011】
画像読取部81は、コンタクトガラス3(
図2参照)またはスリットガラス4(
図2参照)上の原稿を照明する光源81a、原稿Sから反射された光をそれぞれ反射する第一ミラー81b、第二ミラー81c、第三ミラー81d、第三ミラー81dから反射された光をCCDイメージセンサ81fに結像するレンズ81e、レンズ81eによって結像された光を電気信号に変換するCCDイメージセンサ81fなどを備えている。
【0012】
光源81aおよび第一ミラー81bは第一走行体に取付けられている。第二ミラー81cおよび第三ミラー81dは第二走行体に取付けられている。第一走行体および第二走行体はコンタクトガラス3(
図2参照)およびスリットガラス4(
図2参照)に沿って移動するようになっている。
【0013】
第一走行体および第二走行体は、コンタクトガラス3に載置された原稿Sを読取るときには、コンタクトガラス3の下方で
図1中、左右方向に移動し、スリットガラス4を通過する原稿を読取るときには、スリットガラス4の下方で停止される。
【0014】
書込部82は、画像読取部81によって読取った画像情報に応じて光変調したレーザ光を照射し、帯電させた感光体ドラム83の表面をこのレーザ光で露光するようになっている。
【0015】
感光体ドラム83の周囲には、感光体ドラム83とともに画像形成手段を構成する現像装置86、転写ベルト87、クリーニング装置88、帯電装置および除電装置が設けられている。帯電装置は暗中にプラス電荷のコロナ放電をグリッドにより制御して感光体ドラム83の表面を一定電位に帯電させるようになっている。
【0016】
書込部82はこの一定電位に帯電された感光体ドラム83上に画像情報を含んだレーザダイオードを照射して感光体ドラム83上のマイナス電荷を除去して静電潜像を形成する。
【0017】
現像装置86は感光体ドラム83上の電気除去された部分にマイナスに帯電されたトナーを付着させて可視像を形成する。転写ベルト87にはプラスのバイアスが印加されており、この転写ベルト87はマイナスに帯電された可視像を記録媒体としての転写紙(シート)に転写して搬送するようになっている。
【0018】
クリーニング装置88はクリーニングブレードを備えており、感光体ドラム83に残ったトナーを掻き落とすようになっている。除電装置は内部のLEDを点灯させることにより感光体ドラム83の残留電荷を除去して次の転写紙に新たな画像を形成するための準備を行う。上記の工程によって画像が形成された転写紙は、定着装置90に搬送されるとともに、定着装置90によりトナー画像が定着され、その後に排出ローラ対により画像形成装置1の装置外に排出される。
【0019】
また、画像形成装置本体1aの下方には転写紙がそれぞれ収納された収納カセット92~95が設けられている。また、画像形成装置本体1aの図中右側方には、大容量給紙ユニット91が接続されている。収納カセット92~95に収納された転写紙、大容量給紙ユニット91に収納された転写紙は呼出しコロ91a~95aによって給紙された後、搬送方向に回転する給紙ローラ91b~95bおよび給紙ローラ91b~95bに摺接し、分離方向に回転するリバースローラ91c~95cによって分離される。
【0020】
また、分離された転写紙は、画像形成装置本体1aのサイドカバーの開閉により一方のローラが他方のローラに対して離間可能な中継ローラ対96、97を介してレジストローラ対98に搬送され、サイドカバーの開閉により非離間なレジストローラ対98によってタイミングを取られて感光体ドラム83と転写ベルト87の間の搬送路に搬送される。
【0021】
図2は、自動原稿搬送装置2の概略構成図である。
自動原稿搬送装置2は、シートたる原稿Sを給紙分離する分離部たる給紙分離部6、複数の搬送ローラ対が配置され、原稿Sの搬送路となる第一搬送路31、第二搬送路32、第三搬送路33、第四搬送路34、装置外に排出された原稿Sをスタックする排出トレイとしての排出部14とから主に構成される。
【0022】
この自動原稿搬送装置2の給紙分離部6には、原稿Sが複数枚重なって束となった原稿束が差し込んでセットされるシート積載手段たる原稿載置台5、原稿載置台5への原稿のセットを検知するセット検知センサ41、セットされた原稿束を呼び出す給紙ローラ7、給紙ローラ7により送り出された原稿束を最上位から順次一枚ずつ分離して給紙する給紙ベルト8とリバースローラ9、離間可能なローラ対としてのプルアウトローラ対10などが設けられている。
【0023】
リバースローラ9、プルアウトローラ対10の下方の駆動ローラは自動原稿搬送装置2の本体に備えられ、給紙ローラ7、給紙ベルト8およびプルアウトローラ対10の上方の従動ローラは、軸20aを支点に回転する上部カバー20に備えられている。給紙ベルト8は、上部カバー20の開閉に伴いリバースローラ9に対して離間可能であり、プルアウトローラ対10の上方の従動ローラは上部カバー20の開閉に伴い下方の駆動ローラに対して離間可能である。
【0024】
給紙ローラ7は、通常は原稿載置台5と所定間隔をあけて待機しており、原稿載置台5に原稿束がセットされたことをセンサが検知し、且つ操作部で読取開始の指示がされた場合に、待機位置から下降して原稿束の最上位面に接触する位置に移動する。
【0025】
給紙ベルト8は、駆動ローラと従動ローラによって張架され、給紙モータ71(
図20参照)の正転に伴う駆動ローラの回転によって図中時計回り方向に無端移動する。リバースローラ9は、給紙ベルト8の下部張架面に当接し、トルクリミッタを介して給紙モータ71の駆動力が伝達される。
【0026】
リバースローラ9は、給紙ベルト8に所定の圧力で当接して分離ニップを形成しており、給紙ベルト8に直接当接している際、あるいは当接部に原稿Sが1枚だけ挟み込まれている際には、原稿搬送方向に向かう力がトルクリミッタのトルクよりも大きくなり、リバースローラ9には給紙モータ71の駆動力が伝達されず、リバースローラ9と給紙ベルト8又は原稿Sに連れ回る。一方、当接部に複数枚の原稿Sが挟み込まれた際には、原稿搬送方向に向かう力(連れ回り力)がトルクリミッタのトルクよりも低くなる。そのため、トルクリミッタを介して給紙モータ71の駆動力がリバースローラ9に伝達され連れ回り方向とは逆の図中時計回りに回転駆動する。これにより、最上位よりも下の原稿Sには、リバースローラ9によって原稿搬送方向とは反対方向の移動力が付与されて、数枚の原稿Sから最上位の原稿Sだけが分離される。これにより重送が防止される。
【0027】
プルアウトローラ対10は、原稿の幅方向への傾き(スキュー)を補正したり、補正後の原稿を読取前ローラ対11まで搬送したりするためのローラである。
【0028】
上記給紙分離部6の原稿搬送方向下流側には、分離された一枚の原稿Sがスリットガラス4と対向板との間を通過する位置である画像の読取位置Eに向けて搬送する第一搬送路31が設けられている。この第一搬送路31には、搬送路内に導入された原稿Sを読取位置Eまで搬送する読取位置Eよりシート搬送方向上流側で最初のローラ対である読取前ローラ対11、その上流側に原稿の先端を検知するレジストセンサ21などが設けられている。
【0029】
上記読取位置Eの原稿搬送下流側には、第二搬送路32が設けられている。この第二搬送路32には、読取後ローラ対12、排出ローラ対13、読取後ローラ対12と排出ローラ対13の間に排紙センサ22などが設けられている。また、上記第二搬送路32の排出ローラ対13の原稿搬送方向下流側には、排出ローラ対13の下方側の従属ローラの垂直直下に排出された原稿の後端を整える垂直の後端ガイドと搬送方向下流に沿って上方に傾斜するシート載置面とを有する排出部14が設けられている。
【0030】
また、上記第二搬送路32の排出ローラ対13の原稿搬送方向下流側には、第二搬送路32によって搬送された原稿Sをスイッチバックさせて、原稿後端から再び第一搬送路31に向けて搬送する第三搬送路33が設けられている。この第三搬送路33には、反転ローラ対16、切換爪15などが設けられている。反転ローラ対16は、単独で正転と逆転を切り替えるための駆動手段を有しており、正転により排出ローラ対13から排紙された原稿Sを第三搬送路33に導入し、その後逆転して第三搬送路33内の原稿Sを第四搬送路34に搬送する。切換爪15は、第二搬送路32によって搬送された原稿Sの搬送先を排出部14又は第三搬送路33に切り替えるように、揺動可能に支持されている。そして、切換爪15は、図中点線位置に切り替わることにより排出ローラ対13から排紙された原稿Sを第三搬送路33へ導き、原稿Sが第三搬送路33に導入されると、実線位置に切り替わることにより第三搬送路33でスイッチバックされた原稿Sを後端から第四搬送路34に導く。第四搬送路34には、排出ローラ対13の駆動ローラに当接する排紙上従動ローラなどが設けられている。第四搬送路34は、排出ローラ対13の駆動ローラと排紙上従動ローラとにより第三搬送路33によってスイッチバックされた原稿Sを第一搬送路31に合流させる。
【0031】
プルアウトローラ対10は下側が駆動ローラであり、読取前ローラ対11は上側が駆動ローラである。また、読取後ローラ対12は上側が駆動ローラであり、排出ローラ対13は中央が駆動ローラであり、反転ローラ対16は上側が駆動ローラである。それぞれの駆動ローラは対になっている従動ローラとニップを形成している。読取前ローラ対11、読取後ローラ対12および排出ローラ対13は、駆動ローラ径が従動ローラ径よりも大きくなっている。反転ローラ対16は、駆動ローラ径が従動ローラ径よりも小さくなっている。また、プルアウトローラ対10は、駆動ローラ径は従動ローラ径とほぼ等しくなっている。
【0032】
また、それぞれのローラ対の原稿搬送方向の間隔は100mm未満となるように配置されており、A4、B5等の100mm程度までの小サイズの用紙を搬送可能な配置となっている。読取前ローラ対11と読取後ローラ対12は読取後ローラ対12の方が約0.5%搬送速度が速くなるように駆動ローラ径が約0.5%大きくなっており、読取位置Eでの読み取り中に原稿Sが撓まないような設定となっている。
【0033】
給紙ローラ7、給紙ベルト8、リバースローラ9、プルアウトローラ対10、反転ローラ対16は給紙モータ71(
図20参照)により駆動され、読取前ローラ対11、読取後ローラ対12、排出ローラ対13は搬送モータ72(
図20参照)により駆動される。読取前ローラ対11、読取後ローラ対12、および、排出ローラ対13は一対のローラが互いに離間しない非離間ローラ対である。
【0034】
プルアウトローラ対10は、給紙モータ71が逆転駆動するときのみ駆動力が伝達され回転駆動し、一方、給紙ローラ7、給紙ベルト8及びリバースローラ9は、給紙モータ71が正転駆動するときのみ、駆動力が伝達され回転駆動する。
【0035】
また、第二搬送路32の下側にスタンプ部を設け、ユーザーの指示によって、画像読取が完了した原稿に対し、所定の位置に押し印するようにしてもよい。
【0036】
次に、原稿載置台5に載置された原稿Sが排出部14に排出されるまでの原稿搬送装置の動作について説明する。
(片面モード)
原稿の片面のみの画像を読み取る片面モードが設定された場合について説明する。片面モードが設定された状態でオペレーションパネル101(
図20参照)に設けられたスタートキーが押下されたとき、セット検知センサ41からの検知信号により原稿載置台5上に原稿束がセットされているか否かがチェックされる。なお、原稿束は、読み取りを行う画像面が原稿載置台5上で上向きとなるように、原稿載置台5に積載されている。セット検知センサ41により原稿セットが検知されると、給紙ローラ7が下降し原稿束に押圧される。そして、給紙モータ71を正転させて給紙ローラ7が図中時計方向に回転駆動させ原稿を送りだす。給紙ローラ7により送りだされた原稿Sは、給紙ベルト8とリバースローラ9にて順次一枚ずつ分離される。次いで、原稿Sの先端がプルアウトローラ対10のニップに進入して原稿がスキュー補正される。スキュー補正後、給紙モータ71を停止した後逆転させてプルアウトローラ対10を回転駆動して原稿Sを読取前ローラ対11へ向けて搬送する。
【0037】
原稿Sの先端がレジストセンサ21に検知されたときに、画像形成装置1から読取信号が来ているときは、読取位置Eにおいて読取開始タイミングがとられ、原稿Sの先端にあわせて読取位置Eで画像読取部81により読取が開始される。一方、原稿Sの先端がレジストセンサ21に検知されたときに、画像形成装置1から読取信号が来ていないときは、搬送モータ72(
図20参照)を停止し、読取前ローラ対11の回転駆動を停止し、原稿を、画像読取位置の手前の読取前ローラ対11の搬送ニップ(レジスト位置)で一時停止(レジスト)する。そして、画像形成装置1から読取信号を受信したら、搬送モータ72の駆動を再開して読取前ローラ対11により原稿を読取位置Eへ搬送して、読取位置Eで画像読取部81により読取が行われる。
また、レジストセンサ21により原稿の後端が検知されると、画像読取部81において読取終了のタイミングがとられ、原稿Sの後端にあわせて読取が終了される。
【0038】
読取位置E通過後の原稿Sは第二搬送路32を搬送されて、排出ローラ対13より排出部14に排紙されて、画像面を下に積載されていく。セット検知センサ41が原稿載置台5上に原稿束を検知しているときは、先行の原稿の後端がプルアウトローラ対10を抜けたら、給紙モータ71(
図20参照)を一旦停止した後、正転させて次原稿Sを搬送する。そして、上述の動作を行ない、先端がプルアウトローラ対10のニップに進入した状態で一時停止する。次いで、先行原稿の読み取り完了をトリガにプルアウトローラ対10から次原稿の搬送を再開し、上述の動作を行なって次原稿が排出部14に排出される。このような動作を繰り返し行うことにより、原稿載置台5の原稿束についての片面原稿処理が終了する。
【0039】
(両面モード)
原稿載置台5に載置された原稿束の原稿の両面の画像の読取を行う両面モードが設定された場合について説明する。なお、原稿載置台5に載置された原稿束の上向きの面を第一面といい、下向きの面を第二面という。両面モードが設定された状態で操作部に設けられたスタートキーが押下されたとき、セット検知センサ41からの検知信号により原稿載置台5上に原稿束がセットされているか否かがチェックされる。そして、給紙ローラ7が図中時計方向に回転し原稿Sを送りだす。給紙ローラ7により第一搬送路31に送りだされた原稿Sは、給紙ベルト8とリバースローラ9にて順次一枚ずつ分離される。次いで、原稿Sの先端がプルアウトローラ対10のニップに進入して原稿がスキュー補正される。スキュー補正後、給紙モータ71を停止した後逆転させてプルアウトローラ対10を回転駆動して原稿Sを読取前ローラ対11へ向けて搬送する。
【0040】
原稿Sの先端がレジストセンサ21に検知されると、画像読取部81において読取開始のタイミングがとられ、原稿Sの先端にあわせて原稿の第一面の読取が開始される。また、原稿Sの先端がレジストセンサ21で検知されると、切換爪15は図中点線位置に移動する。さらに原稿Sの先端が排紙センサ22で検知されると、給紙ローラ7及び給紙ベルト8は、クラッチなどにより駆動が解除され、次原稿を給紙せずに待機しておく。そして、原稿Sの後端がレジストセンサ21により検知されると、読取終了のタイミングがとられ、原稿Sの後端にあわせて読取が終了される。その後、原稿Sは排出ローラ対13により図中点線位置にある切換爪15上の第三搬送路33に搬送される。原稿の後端が排出ローラ対13を抜けたら、切換爪15を図中点線位置から実線位置に切り替える。そして、反転ローラ対16を逆転方向に回転させ、原稿を第四搬送路34へ導く。
【0041】
次いで、第四搬送路34に進入した原稿は第一搬送路31へ送り込まれ、第一面と同様に搬送され原稿Sの第二面の読取動作が行われた後、再度、第三搬送路33へ搬送される。そして、スイッチバックされ、第四搬送路34から第一搬送路31へ送り込まれる。このとき読取動作は行わない。また、レジストセンサ21により原稿の先端が検知されても、切換爪15は実線位置の状態のままにし、原稿は第一面を下向きにして排出部14に排紙される。原稿後端がプルアウトローラ対10を抜けたとき、セット検知センサ41で原稿載置台5に原稿束を検知していた場合は、次原稿の給紙動作が行われる。そして、プルアウトローラ対10で一時停止し、先行原稿の後端が読取位置Eを抜けたタイミングでプルアウトローラ対10から次原稿の搬送を再開して、上述と同様の動作を行なって原稿両面の画像を読み取る。以下、セット検知センサ41が原稿を検知しなくなるまで上述の動作を繰り返し行うことにより、原稿載置台5の原稿束についての両面原稿処理が終了する。
【0042】
画像読取部81で読み取った読取画像を大量に保存できるHDDが搭載されていない画像形成装置については、印刷プロセス中にメモリの書き込み待ちが発生する。このような画像形成装置に自動原稿搬送装置2が搭載されたときは、先行の原稿の読取が完了してから、次の原稿に対して読み取りを指示する読取信号を自動原稿搬送装置へ送信するまでの時間が長くなる。これにより、次原稿の先端がレジストセンサ21に到達した段階で、画像形成装置1から読取信号が来ておらず、搬送モータ72(
図20参照)の駆動を停止し、次原稿がレジスト位置(原稿の先端が読取前ローラ対11のニップに進入した位置)で所定の期間、一時停止する。本実施形態では、読取前ローラ対11、読取後ローラ対12、排出ローラ対13は搬送モータ72により駆動されているため、搬送モータ72の駆動を停止して次原稿がレジスト位置で一時停止させたとき、先行原稿の後端は、排出部14に排出されておらず、
図3に示した状態で停止する。
【0043】
図3に示すように、先行原稿の後端側以外は、既に排出部14に排出されており、一時停止の所定期間に先行原稿の排出部14に排出された部分と、排出部14に積載された原稿との間の空気が抜け、先行原稿の排出された部分が排出部14に積載された原稿に密着する。これにより、排出部14に積載された原稿と先行原稿の排出された部分との間の摩擦力が増加する。その結果、搬送が再開されたときに、次のような排出不良が発生する場合がある。すなわち、排出部14に積載された原稿が先行原稿とともに搬送されてしまい、排出部14に積載された原稿が排出部14から落下したり、先行原稿の排出された部分が排出部14に積載された原稿に対して滑らず、先行原稿の後端側が、波打って排出されたり、後端側が排出ローラ対13に残る後端残りが発生したり、先行原稿の後端が排出されずにジャムが発生したりする排出不良である。特に、A3サイズなどの大サイズの原稿や、薄紙などのコシの弱い原稿の場合、上述した排出不良が発生しやすい。
【0044】
そこで、排出ローラ対13を搬送モータ72(
図20参照)とは別のモータで駆動したり、クラッチを介して読取前ローラ対11に搬送モータ72の駆動力を伝達するようにしたりして、次原稿が、読取前ローラ対11のレジスト位置で一時停止した状態でも、先行の原稿は後端側が排出ローラ対13等で搬送が継続されるようにする。しかし、この場合は、装置のコストアップや、装置の大型化につながることがある。
【0045】
また、自動原稿搬送装置2が搭載された画像形成装置1の生産性に基づいて、自動原稿搬送装置2の生産性を設定する場合、例えば、画像形成装置1の生産性が約27枚/分程度と低い場合には、自動原稿搬送装置2の生産性も27~29枚/分程度と低く設定してある。このように、自動原稿搬送装置2の生産性を低くすることで、自動原稿搬送装置2の騒音を抑えることができる。自動原稿搬送装置2の生産性を低くすることで、画像読取位置(読取位置E)を通過する原稿の搬送速度(以下、原稿読取搬送速度という)が、例えば、152.5[mm/S]と遅くなる。
図3は、読取前ローラ対11、読取後ローラ対12、排出ローラ対13は搬送モータ72(
図20参照)により駆動されている。また、次の原稿が、読取前ローラ対11で画像読取位置(読取位置E)へ搬送されているときには、先行原稿の後端は、排出部14に排出されていない。その結果、先行原稿は、152.5[mm/S]の遅い原稿読取速度で、排出部14へ排出されることになる。その結果、先行原稿の後端が排出ローラ対13から勢いよく排出部14へ排出されず、原稿後端が、排出ローラ対13のニップの搬送方向下流直近の排出ローラ対13の下方側のローラ上または排出部14に完全に排紙されない状態で原稿が残る後端残りが発生しやすい。
【0046】
そこで、排出ローラ対13を、読取前ローラ対11や読取後ローラ対12とは別のモータで駆動し、排紙センサ22が原稿の後端を検知したら、排出ローラ対13の回転速度を増速させて、原稿を勢いよく排出部14へ排出する。しかし、この場合は、装置のコストアップや、装置の大型化につながることがある。
【0047】
図4は、本実施形態の特徴部を説明する図である。
本実施形態では、
図4に示すように、先行の原稿の後端が、排出ローラ対13を通過し排出部14排出された後に、次原稿がレジスト位置に到達するように次原稿の搬送を制御するようにした。具体的には、レジストセンサ21または排紙センサ22により原稿の後端を検知したら、所定時間は排出ローラ対13の回転を継続させ、プルアウトローラ対10の駆動開始タイミングを遅らせ、先行の原稿が、排出部14に排出された後に、次原稿がレジスト位置に到達するようにした。また、プルアウトローラ対10の回転速度を低速に制御し、原稿搬送速度を調整して排出部14排出された後に、次原稿がレジスト位置に到達するようにしてもよい。
【0048】
これにより、自動原稿搬送装置2が、印刷プロセス中にメモリの書き込み待ちが発生する画像形成装置に搭載された場合などにおいて、先行の原稿は、後続原稿がレジスト位置停止に伴い途中で一時停止することなく、排出部14に排出される。よって、先行の原稿が、排出部14に既に排出された原稿に先行の原稿の重力等で密着することなく、先行の原稿を確実に排出部14に排出させることができ、上述した排紙不良が生じるのを抑制することができる。
【0049】
また排出部14に排出された後に次原稿がレジスト位置に到達するようにしたことで、ジャムなどの排出不良で装置内に残った先行原稿の取り除きにあわせて次原稿を取り除く場合、非離間ローラ対である読取前ローラ対11に次原稿がないため原稿を傷つけることなく取り除くことができる。
【0050】
また、自動原稿搬送装置2の原稿読取搬送速度が、画像形成装置の生産性にあわせて遅く設定された場合において、先行の原稿の後端側を原稿読取搬送速度よりも速い搬送速度で排出してもよい。すなわち、先行の原稿の後端を読取後ローラ対12より搬送方向下流の排紙センサ22が検知したら、搬送モータ72の回転速度を増速させることで、排紙センサ22より搬送方向下流の排出ローラ対13の回転速度が増速し、先行原稿の後端側が原稿読取搬送速度よりも速い搬送速度で排出部14へ排出される。これにより、先行原稿の後端側を勢いよく排出部14へ排出することができ、後端残りが発生するのを抑制することができる。
【0051】
また、先行の原稿の後端側が、原稿読取搬送速度よりも速い搬送速度で搬送されているときは、次原稿は、読取前ローラ対11へは到達していないので、次原稿が原稿読取搬送速度よりも速い搬送速度で画像読取位置を通過することがない。次原稿は、先行の原稿が排出部14に排出された後、読取前ローラ対11に到達するので、到達前後に搬送モータ72(
図20参照)の回転速度を落として、読取位置Eを通過する次原稿の搬送速度を、原稿読取搬送速度にできる。
【0052】
図5は、本実施形態における片面モードの実施フロー図である。
上述したように、給紙分離部6により原稿載置台5にセットされた原稿束の最上位の原稿を給送搬送し(S1)、画像読取部81で読み取る(S2)。次に、セット検知センサ41が原稿載置台5上に原稿束を検知しないときは(S3のNO)、画像読取部81で読取中の原稿を最終原稿とし、最終原稿読取完了とし(S4)、排出部14に排出されたら(S5)、処理を終了する。
【0053】
一方、セット検知センサ41が原稿載置台5上に原稿束を検知しているとき(S3のYES)は、先行の原稿の後端がプルアウトローラ対10を抜けたら(S6)、原稿載置台5上の次原稿を給送搬送して、プルアウトローラ対10に次原稿の先端を当接させスキュー補正して一時停止する(S7)。
【0054】
次に、先行原稿の後端が、画像読取位置を通過し、先行原稿読取が完了したら(S8)、自動原稿搬送装置2が搭載された画像形成装置が、先行の原稿の読取が完了(原稿の後端が読取位置Eを通過)してから次原稿のための読取信号を送信するまでに所定時間以上を有し、所定期間以上の次原稿の読取待ちが発生する場合(例えば、自動原稿搬送装置2が搭載された画像形成装置が、上述したようにHDDを有していない場合)、または、原稿読み取り搬送速度が規定値以下の場合(例えば、自動原稿搬送装置2が搭載された画像形成装置の生産性が低く、原稿読取搬送速度が規定値よりも遅い設定の場合)(S9のYES)は、先行の原稿が排出部14に排出された後、次原稿がレジスト位置(読取前ローラ対11のニップ)に到達するように、次原稿の搬送開始タイミングを遅らせる。
【0055】
次原稿の搬送開始タイミングを遅らせる時間Bは、プルアウトローラ対10から読取前ローラ対11まで次原稿を搬送するのにかかる時間をA、読取位置から排出ローラ対13までの先行原稿を搬送するのにかかる時間をCとすると、B>C-Aの関係となるように事前に設定されている。また、搬送開始のタイミングを遅らせているが、搬送速度を遅くして先行の原稿が排出部14に排出された後、次原稿がレジスト位置(読取前ローラ対11のニップ)に到達するようにしてもよい。この場合は、A>Cとなるように、プルアウトローラ対10から読取前ローラ対11まで次原稿の搬送速度が事前にされている。
【0056】
そして、先行原稿の後端が読取位置Eを抜けて(先行原稿の読取が完了して)規定時間経過し、先行原稿が一定距離搬送されたら(S16)、プルアウトローラ対10を回転駆動して、次原稿の搬送を再開する(S17)。先行原稿が排出部14に排出された(S18)後に、次原稿の先端が読取前ローラ対11に到達し(S19)、次原稿の先端が、レジストセンサ21により検知される。
【0057】
画像形成装置から読取信号が来ているときは(S20のYES)、次原稿を原稿読取搬送速度で読取位置へ搬送し、次原稿の読取を開始する(S22)。一方、画像形成装置から読取信号が来ていないときは(S20のNO)は、レジスト位置(読取前ローラ対11のニップの位置)で読取信号が来るまで次原稿の搬送を一時停止する(S21)。
【0058】
なお、自動原稿搬送装置2が、印刷プロセス中にメモリの書き込み待ちが発生する画像形成装置に搭載されているときは、次原稿の先端がレジスト位置に到達した時点では、画像形成装置から読取信号が来ておらず、所定期間の読取待ちが発生し、レジスト位置で、所定期間一時停止後搬送される。
【0059】
このように、所定期間読取待ちが発生してしまう画像形成装置に搭載されているときは、先行の原稿が排出されてから、次原稿が読取前ローラ対11に到達するので、次原稿の読み取り待ちで所定期間搬送が一時停止しても、先行の原稿の排出に影響が生じることがない。これにより、排出部14に排出された先行の原稿の後端側が波打って排出されたり、排出部14に積載された原稿が排出部14から落下したり、先行の原稿の後端が、排出ローラ対13に残る先端残りが発生したりするなどの排出不良が生じるのを抑制することができる。
【0060】
また、自動原稿搬送装置2が、生産性の低い画像形成装置に搭載されており、原稿読取搬送速度が遅い設定となっているときは、先行原稿の後端が、画像読取位置を通過し、先行原稿読取が完了したら(S8)、先行原稿の搬送速度を、原稿読取搬送速度よりも増速させ、先行原稿の後端を勢い良く排出部14へ搬送する。
【0061】
このように、原稿読取速度が遅い設定のときは、先行の原稿が排出されてから、次原稿が読取前ローラ対11に到達するので、先行原稿の搬送速度を、原稿読取搬送速度よりも増速させ、先行原稿の後端を勢い良く排出部14へ搬送することができる。これにより、先行の原稿の後端が、排出ローラ対13に残る先端残りが発生するのを抑制することができる。
【0062】
一方、自動原稿搬送装置2が搭載されている画像形成装置が、生産性が高く、原稿読取搬送速度が規定値よりも速い速度に設定されていたり、搭載される画像形成装置がHDDを備えており、所定期間以上の読取待ちが発生することがなかったりする場合は(S9のNO)、先行原稿読取が完了したら(S8)、直ちにプルアウトローラ対10を回転駆動して、次原稿の搬送を再開する(S10)。次原稿の先端が読取前ローラ対11に到達し(S11)、次原稿の先端がレジストセンサ21により検知されたときに、画像形成装置から読取信号が来ているときは(S12のYES)、次原稿を原稿読取搬送速度で読取位置へ搬送し、次原稿の読取を開始する(S14)。一方、画像形成装置から読取信号が来ていないときは(S13のNO)は、レジスト位置(読取前ローラ対11のニップの位置)で読取信号が来るまで次原稿の搬送を一時停止する(S13)。そして、画像形成装置から読取信号が来たら、原稿の搬送を再開し、次原稿の画像読取が開始される(S14)。先行の原稿は、次原稿の読取開始後(次原稿の先端が読取位置到達後)の所定のタイミングで排出部14への排出が完了する(S15)。
【0063】
例えば、パソコンなどの外部機器からプリント指示が来たり、FAXを受信したりして、画像形成装置の制御部(本体制御部100(
図20参照))の負荷が大きくなって、画像読取部81で読み取った画像処理が遅れ、次原稿の先端がレジストセンサ21により検知されたときに、画像形成装置から読取信号が来ていないときがある。この場合、原稿の搬送が一時停止され、先行の原稿の排出部14の排出も停止される。しかしながら、このときの停止期間は短く、先行の原稿と排出部14に排出された原稿との間の空気が抜けきって先行の原稿が排出された原稿に密着する前に、原稿の搬送が再開される。従って、上述したような排出不良が生じることは、ほとんどない。
【0064】
図6は、本実施形態における両面モードの実施フロー図である。
片面モードと同様にして、原稿の第一面が読み取られた(S31~S33)後、第三搬送路33、第四搬送路34を経由して、再度、第一搬送路31へ搬送してスイッチバック反転し、原稿の第二面を読み取る(S34)。原稿の第二面の読取完了後(S35)、再度、第三搬送路33、第四搬送路34、第一搬送路31を経由してスイッチバック反転してページ順序を合わせて排出部14へ排出する(S36)。
【0065】
次に、セット検知センサ41が原稿載置台5上に原稿束を検知しないときは(S37のNO)、現在搬送中の原稿を最終原稿とし、最終原稿の読取完了とし(S38)、排出部14に排出されたら(S39)、処理を終了する。
【0066】
一方、セット検知センサ41が原稿載置台5上に原稿束を検知しているとき(S37のYES)は、先行の原稿の後端がプルアウトローラ対10を抜けたら(S40)、片面モードと同様の次原稿の搬送を行なう。すなわち、原稿載置台5上の次原稿を給送搬送して、プルアウトローラ対10でスキュー補正して一時停止し、先行原稿の後端が読取位置Eを抜けたタイミングで、次原稿の搬送を遅らせるか否かの判断を行なう(S41~S43)。所定期間以上読取待ちが発生する、または、原稿読取搬送速度が規定値以下で、先行原稿の排出時に排出不良が発生するおそれがあるとき(S43のYES)は、プルアウトローラ対10からの搬送開始のタイミングを遅らせ、先行原稿が排出部14に排出された後に、次原稿がレジスト位置である読取前ローラ対11に到達するようにする(S50~S53)。そして、次原稿がレジスト位置に到達した時点で、画像形成装置から読取信号が来たら、次原稿を原稿読取搬送速度で画像読取位置へ搬送し、次原稿の第一面を読み取る(S54のYES、S56)。一方、画像形成装置から読取信号が来ていないときは、レジスト位置で一時停止する(S54のNO、S55)。
【0067】
一方、所定期間以上読取待ちが発生しない、または、原稿読取搬送速度が規定値を越えており先行の原稿排出時の排出不良が生じるおそれがほとんどない場合(S43のNO)は、プルアウトローラ対10からの搬送開始のタイミングを遅らせることなく、次原稿の搬送を行なう(S44)。そして、次原稿の先端が読取前ローラ対11に到達し(S45)ときに、画像形成装置から読取信号が来ているときは(S46のYES)、次原稿を原稿読取搬送速度で読取位置へ搬送し、次原稿の第一面の読取を開始する(S48)。一方、画像形成装置から読取信号が来ていないときは(S46のNO)は、レジスト位置(読取前ローラ対11のニップの位置)で読取信号が来るまで次原稿の搬送を一時停止する(S47)。先行の原稿は、次原稿の読取開始後(次原稿の先端が読取位置到達後)の所定のタイミングで排出部14への排出が完了する(S49)。
【0068】
このように両面モードにおいて、次原稿の第一面の読取において、所定期間以上の読取待ちが発生するような画像形成装置に搭載されているときは、先行の原稿が排出されてから、次原稿が読取前ローラ対11に到達するので、次原稿の第一面の読み取り待ちで所定期間搬送が一時停止しても、先行の原稿の排出に影響が生じることがない。これにより、排出部14に排出された先行の原稿の後端側が波打って排出されたり、排出部14に積載された原稿が排出部14から落下したり、先行の原稿の後端が、排出ローラ対13に残る後端残りが発生したりするなどの排出不良が生じるのを抑制することができる。
【0069】
なお、原稿の第二面を読み取る際にも、所定期間以上の読取待ちが発生し、原稿の搬送が所定期間以上一時停止するが、このとき排出途中の原稿がないので、プルアウトローラ対10からの搬送の開始を遅らせる必要はない。
【0070】
また、自動原稿搬送装置2が、生産性の低い画像形成装置に搭載され、原稿読取搬送速度が遅い設定となっているときも、先行の原稿が排出されてから、次原稿が読取前ローラ対11に到達するので、先行の原稿を原稿読取搬送速度よりも速い速度で排出することができる。これにより、先行原稿の後端を勢い良く排出部14へ搬送することができ、先行の原稿の後端が、排出ローラ対13に残る先端残りが発生するのを抑制することができる。
【0071】
また、所定期間以上読取待ちが発生しない、または、原稿読取搬送速度が規定値を越えており先行の原稿排出時の排出不良が生じるおそれがほとんどない場合は、搬送開始のタイミングを遅らせることなく、次原稿の搬送を行なうことで、生産性の低下を抑制できる。
【0072】
なお、搭載される画像形成装置の生産性に応じた原稿読取搬送速度の設定や、次原稿のプルアウトローラ対10からの搬送開始タイミングの設定は、工場出荷時や、ユーザー先で、自動原稿搬送装置2を画像形成装置へ組み付けたときに行う。
【0073】
また、搭載される画像形成装置が、低速モードや高速モードを備え、画像形成装置のモードに応じて、自動原稿搬送装置2の原稿読取搬送速度を変更して生産性を変更するような装置において、画像形成装置が低速モードにしたときに、原稿読取搬送速度が規定値以下となる場合がある。このような装置においては、画像形成装置のモードに応じて、次原稿のプルアウトローラ対10からの搬送開始タイミングの設定がなされる。
【0074】
また、画像形成装置によっては、所定枚数以下であれば、印刷プロセス中にメモリの書き込み待ちが発生しないものもある。このような画像形成装置に自動原稿搬送装置2が搭載されるときは、所定枚数を超える原稿に対して、読取前ローラ対11への搬送開始タイミングを遅らせる制御を行うようにしてもよい。
【0075】
次に、本実施形態の変形例について、説明する。
【0076】
[変形例1]
図7は、変形例1における自動原稿搬送装置の概略構成図である。
図7に示すように変形例1の自動原稿搬送装置においては、原稿載置台5に原稿の搬送方向長さが規定値以上か否かを検知するための長さ検知センサ42が設けられている。規定値以上の原稿を原稿載置台5にセットしたときは、長さ検知センサ42が原稿の長さが規定値以上あると検知し、規定値未満の原稿を原稿載置台5にセットしたときは、長さ検知センサ42が原稿の長さが規定値未満であると検知する。
【0077】
原稿の搬送方向の長さが規定値未満の場合、先行原稿の排出途中に、次原稿の読取待ちにより搬送が一時停止すると先行原稿と排出部14に積載された原稿とが密着しない、または密着面が少なく、搬送を再開したときに上述した排出不良が生じず、先行の原稿を排出部14に適切に排出することができる。
一方、原稿の搬送方向の長さが規定値以上の場合、先行原稿の排出途中に、次原稿の読取待ちにより搬送が一時停止すると先行原稿と排出部14に積載された原稿とが密着、または密着面が多く、搬送を再開したときに上述した排出不良が生じる。
よって、変形例1では、搬送される原稿の搬送方向長さが規定値未満のときは、レジスト位置(読取前ローラ対11)への搬送開始タイミングを遅らせないで、規定値以上のときは遅らせるようにした。
【0078】
図8は、変形例1の片面モードの実施フロー図であり、
図9は、変形例1における両面モードの実施フロー図である。なお、
図8、
図9において、実施形態と同様の項目については、説明を省略する。
【0079】
図8に示すように片面モードにおいて、変形例1では、次原稿がプルアウトローラ対10で一時停止し、先行原稿の後端が読取位置Eを通過して先行原稿の読取を完了したら、次のようにして、次原稿の搬送を遅らせるか否かを判断する。すなわち、原稿読取搬送速度が規定値よりも遅いとき(S109のYES)は、実施形態と同様、先行原稿に後端残りが発生するため、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S117~S123)。
【0080】
また、長さ検知センサ42が原稿の長さが規定値以上であることを検知しているとき(S110のYES)は、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S117~S123)。
【0081】
原稿の長さが規定値以上のときは、次原稿が読取前ローラ対11に到達し、先行原稿の排出部14への排出が一時停止したときに、先行原稿と排出部14に積載された原稿との密着面が広い。そのため、先行原稿の排出部分が排出部14に積載された原稿と密着した状態で搬送を再開したときに、先行原稿の排出部14に積載された原稿との密着部分が移動し難くなり、後端側波打ち、後端残り、排出部14に積載された原稿の落下などの排出不良が生じやすい。従って、原稿の長さが規定値以上のときは、次原稿の搬送開始タイミングを遅らせて、先行の原稿が排出された後、次原稿が読取前ローラ対11に到達するようにして、排出中の先行原稿の搬送が所定期間一時停止しないようにする。これにより、先行原稿が排出中に一時停止することがなくなり、排出不良が生じるのを抑制することができる。
【0082】
一方、原稿読取搬送速度が規定値を越えているとき(S109のNO)は、原稿読取搬送速度で先行の原稿を勢いよく排出することができるので、先行の原稿の読取完了後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S111~S116)。
【0083】
また、原稿の搬送方向長さが規定値未満のときは、次原稿が読取前ローラ対11に到達し、先行原稿の排出部14への排出が一時停止したときに、先行原稿が、排出部14に積載された原稿との密着部がないか少ない。従って、このときは、所定期間待機後に、排出を再開しても、スムーズの先行原稿が排出部14の原稿上を滑っていき、良好に排出される。従って、原稿の搬送方向長さが規定値未満のときは、先行の原稿の読取完了後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S111~S116)。
【0084】
このように、原稿読取搬送速度が規定値を越えているときや、原稿の搬送方向長さが規定値未満のときは、次原稿の読取前ローラ対11への搬送開始タイミングを遅らせずに行なうことで、生産性の低下を抑制することができる。
【0085】
また、
図9に示すように、両面モードにおいて変形例1では、先行原稿の後端が読取位置Eを通過したら(S141)、
図8に示した片面モード同様にして、次原稿の搬送を遅らせるか否かを判断する。すなわち、原稿読取搬送速度が規定値よりも遅いとき(S142のYES)は、実施形態と同様、先行原稿に後端残りが発生するため、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S150~S156)。
【0086】
また、長さ検知センサ42が原稿の長さが規定値以上であることを検知しているとき(S143のYES)は、先行原稿に、後端側波打ち、後端残り、排出部14に載置された原稿の落下などの排出不良が生じるおそれがあるので、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S150~S156)。
【0087】
一方、原稿読取搬送速度が規定値を越えており、原稿の搬送方向長さが規定値未満のとき(S142のNO、S143のNO)は、先行の原稿の後端が読取位置通過後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S144~S149)。
【0088】
また、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されているときで、長さ検知センサ42が原稿の長さが規定位値以上であることを検知しているときに、次原稿の読取前ローラ対11への搬送開始タイミングを遅らせるようにしてもよい。これにより、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されていないときは、長さ検知センサ42が原稿の長さが規定値以上でも、読取前ローラ対11への搬送を遅らせないため、より生産性の低下を抑制することができる。一方で、画像読取部81で読み取った画像をHDDに保存し、メモリの書き込み待ちによる読取待ちが発生しないような画像形成装置であっても、突発的な要因で所定期間以上読み取り待ちが発生するおそれがある。従って、搭載される画像形成装置の構成に係わらず、原稿の長さが規定値以上であれば、次原稿の搬送開始タイミングを遅らせるようした場合、確実に、排出不良を抑制することができるというメリットがある。
【0089】
[変形例2]
図10は、変形例2における自動原稿搬送装置の概略構成図である。
この変形例2の自動原稿搬送装置は、給紙ベルト8とプルアウトローラ対10との間に原稿の厚みを検知する厚さ検知センサ61を設けたものである。厚さ検知センサ61としては、超音波センサを利用するのが望ましく、超音波センサを利用することで、分離部で原稿を重送した場合に異常検知を行うこともできるようになる。
【0090】
原稿の厚みが規定値以上の場合、厚みの厚い原稿はコシが強いため、次原稿の読取待ちにより搬送が所定期間以上一時停止して先行原稿と排出部14に積載された原稿とが密着しても、搬送が再開された際に先行の原稿が撓まず、密着箇所に対して良好に搬送力が加わる。その結果、排出部14に排出された原稿上を滑りながら移動して、良好に先行の原稿を排出することができる。
一方、原稿の厚みが規定値未満の場合、薄い原稿はコシが弱いため、次原稿の読取待ちにより搬送が所定期間以上一時停止して先行原稿と排出部14に積載された原稿とが密着すると、搬送が再開された際に先行の原稿が撓み、先行原稿は密着箇所に対して良好に搬送力が加わらない。その結果、排出部14に排出された原稿上を滑りながら移動できず、良好に先行の原稿を排出することができない。
よって、変形例2では、原稿の厚みが規定値未満のときは、レジスト位置(読取前ローラ対11)への搬送開始タイミングを遅らせ、原稿の厚みが規定値以上のときは、レジスト位置(読取前ローラ対11)への搬送開始タイミングを遅らせないようにした。
【0091】
図11は、変形例2の片面モードの実施フロー図であり、
図12は、変形例2における両面モードの実施フロー図である。なお、
図11、
図12において、実施形態と同様の項目については、説明を省略する。
【0092】
図11に示すように片面モードにおいて、変形例2では、先行原稿の後端が読取位置Eを通過して先行原稿の読取を完了したら、次のようにして、次原稿の搬送を遅らせるか否かを判断する。すなわち、原稿読取搬送速度が規定値よりも遅いとき(S209のYES)は、実施形態と同様、先行原稿に後端残りが発生するため、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S217~S223)。
【0093】
また、厚さ検知センサ61が原稿の厚みが規定値以下であることを検知しているとき(S210のYES)は、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S217~S223)。なお、本実施形態では、坪量40[g/m2]以下の原稿厚みのとき、次原稿の搬送を所定期間遅らせる。
【0094】
原稿の厚みが規定値以下のときはコシが弱く撓みやすいため、先行原稿の先端側が排出部14に排出した原稿と密着した状態で、搬送を再開したときに、後端側波打ちが発生しやすい。また、撓んだ状態で排出されることで、後端側に搬送方向に逆方向に復元力が働き、排出ローラ対13から排出されたときに、原稿の後端が戻り、後端残りが発生したり、復元力で先行原稿が排出ローラ対13に対してスリップし搬送されず排出ジャムとなったりする排出不良が生じるおそれがある。従って、原稿の厚みが規定値以下のときは、次原稿の搬送開始タイミングを遅らせて、先行の原稿が排出された後、次原稿が読取前ローラ対11に到達するようにして、排出中の先行原稿の搬送が所定期間一時停止しないようにする。これにより、先行原稿が排出中に一時停止することがなくなり、排出不良が生じるのを抑制することができる。
【0095】
一方、原稿読取搬送速度が規定値を越えており、原稿の厚みが規定値を越えているときは、(S209のNO、S210のYES)は、先行の原稿の読取完了後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S211~S216)。
【0096】
原稿の厚みが規定値を越えているときは、上述したように、次原稿の読取待ちにより搬送が所定期間以上一時停止して先行原稿と排出部14に積載された原稿とが密着しても、搬送が再開された際に先行の原稿が撓まずに、スムーズに排出部14の原稿上を移動し、上述した排出不良がほとんど生じない。従って、原稿の厚みが規定値を越えるときは、先行の原稿の読取完了後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S211~S216)。これにより、生産性の低下を抑制できる。
【0097】
また、
図12に示すように、両面モードにおいて変形例2では、先行原稿の後端が読取位置Eを通過したら(S241)、
図11に示した片面モード同様にして、次原稿の搬送を遅らせるか否かを判断する。すなわち、原稿読取搬送速度が規定値よりも遅いとき(S242のYES)は、実施形態と同様、先行原稿に後端残りが発生するため、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S250~S256)。
【0098】
また、厚さ検知センサ61が原稿の厚みが規定値未満であることを検知しているとき(S243のYES)は、上述したように、排出不良が発生するおそれがあるので、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S250~S256)。
【0099】
一方、原稿読取搬送速度が規定値を越えており、原稿の厚みが規定値を越えるとき(S242のNO、S243のNO)は、先行の原稿の後端が読取位置通過後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S244~S249)。
【0100】
また、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されているときで、原稿の厚みが規定値以下のときに、次原稿の読取前ローラ対11への搬送開始タイミングを遅らせるようにしてもよい。これにより、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されていないときは、原稿の厚みが規定値以下でも、読取前ローラ対11への搬送を遅らせないため、生産性の低下を抑制することができる。
【0101】
また、原稿の厚みが規定値以下のとき、原稿長さを調べ、原稿長さが規定値未満のときは、次原稿の読取前ローラ対11への搬送開始タイミングを遅らせないようにしてもよい。これは、厚みが規定値以下でも、原稿長さが短ければ、変形例1で説明したように排出不良が発生しない。従って、厚みが規定値以下のとき、原稿長さが規定値未満であれば、次原稿の読取前ローラ対11への搬送開始タイミングを遅らせるようにすることで、生産性の低下を抑制しつつ、排出不良を抑制できる。
【0102】
また、原稿の厚みが規定値以下で、原稿の長さが規定値以上の場合でも、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されていないときは、次原稿の読取前ローラ対11への搬送開始タイミングを遅らせないようにしてもよい。これにより、より一層、生産性の低下を抑制できる。
【0103】
[変形例3]
図13は、変形例3における自動原稿搬送装置の概略構成図であり、
図14は、変形例3の自動原稿搬送装置の排出部14を示す斜視図である。
この変形例3は、排出部14に突出部材としての座屈抑制部材51を設けたものである。突出部材としての凸状部50は排出部14の原稿幅方向の規制面間の中央側の部分で、搬送可能な最大原稿の幅方向の中心が当接するように排出部14のシート載置面から突出して設けられている部材である。突出部材としての座屈抑制部材51は、排出部14の原稿幅方向の規制面間の中央側の部分で、搬送可能な最大原稿の幅方向の中心が当接するように搬送方向にスライド移動可能で凸状部50に設けられている部材である。なお座屈抑制部材51は排出部14のシート載置面から突出して設けられていてもよい。具体的には、
図14(a)に示すように、凸状部50に収納された収納位置と、
図14(b)および
図13の点線で示す、座屈抑制部材51が凸状部50から搬送方向上流側に引き出された所定位置としての作用位置との間でスライド可能に設けられている。
【0104】
排出ローラ対13から原稿が排出されると、自重により先端側が垂れ下がってカールするような形で、先端が排出部14の載置面に接触する。この状態で、さらに排出ローラ対13から原稿が繰り出されると、原稿の先端側がまるまるような(原稿の先端よりも中央側が、搬送方向下流側にくるように湾曲する)形で、座屈するおそれがある。
【0105】
凸状部50を設けることで、先端側が垂れ下がってカールするような形で、原稿が排出されたとき、原稿の幅方向中央の部分が凸状部50に接触する。一方、原稿の幅方向両側は、非接触な状態であり、凸状部50よりも下側に位置する。その結果、原稿の先端が、幅方向に湾曲する。このように、原稿が幅方向に湾曲することで、原稿の搬送方向の曲げに対するコシが増加する。その結果、原稿の先端側がまるまるような(原稿の先端よりも中央側が、搬送方向下流側にくるように湾曲する)形で排出部14へ排出されるのを抑制することができる。
【0106】
排出部14は、原稿載置台5の真下に設けられ、さらに、排出部の搬送方向上流側の上方には、切換爪15や反転ローラ対16が配置されているため、排出部の搬送方向上流側の上下方向のスペースが狭い。そのため、凸状部50を、排出部の搬送方向上流側端部まで設けると、上下方向スペースがさらに狭くなり、排出部14のスタック性が低下してしまう。よって、凸状部50を、排出部の搬送方向上流側端部から、ある程度離して設けている。
【0107】
しかし、原稿が薄紙のときは、コシが弱いため、原稿の先端が凸状部50の手前で、排出部の載置面に接触してしまい、排出される原稿に対して送方向の曲げに対するコシを増加させることができず、座屈が発生するおそれがある。そのため、この変形例3においては、座屈抑制部材51を設けて、原稿が薄紙のときは、
図14(b)に示すように、座屈抑制部材51が引き出て、作用位置に位置することで、排出部の搬送方向上流側の幅方向中央を凸状にできる。これにより、原稿が薄紙のときも、排出された原稿の先端の幅方向中央の部分のみが座屈抑制部材51に接触し原稿の先端を、幅方向に湾曲させることができる。よって、原稿が薄紙のときの先端側の座屈を抑制することができる。一方、原稿が薄紙以外のときは、座屈抑制部材51を
図14(a)に示すように、凸状部50に収納することで、排出部14の搬送方向上流側の上下方向スペースを広げることができ、排出部14のスタック性の低下を抑制することができる。
【0108】
また、原稿が薄紙のときは、座屈抑制部材51を作用位置へ引き出ているので、この座屈抑制部材51の位置を、原稿の厚みとして検出するようにしてもよい。
図13に示すように、座屈抑制部材51に被検知部51aを設け、排出部14にこの被検知部51aを検知する光学センサからなる位置検知センサ52を設ける。
図13に示すように、原稿載置台5にセットさせた原稿が薄紙で、座屈抑制部材51を作用位置に引き出すと、被検知部51aが位置検知センサ52と対向し、座屈抑制部材51が作用位置に位置していることが検知される。このように、原稿載置台5にセットさせた原稿が薄紙のときは、座屈抑制部材51が作用位置に位置するので、被検知部51aが座屈抑制部材51が作用位置に位置していることを検知することで、搬送される原稿の厚みが薄紙であると判断できる。一方、原稿載置台5にセットさせた原稿の厚みが厚紙のときは、座屈抑制部材51は、搬送方向下流の
図13の右側へ移動した収納位置に位置する。このときは、被検知部51aが位置検知センサ52に対して図中右側に位置し、被検知部51aが位置検知センサ52と対向しなくなる。これにより、位置検知センサ52が被検知部51aを検知できず、座屈抑制部材51が収納位置に位置することが検知される。このように、原稿載置台5にセットさせた原稿が厚紙のときは、座屈抑制部材51が収納位置に位置するので、被検知部51aが座屈抑制部材51が収納位置に位置していることを検知することで、搬送される原稿の厚みが厚紙であると判断できる。
【0109】
図15は、座屈抑制部材51の位置に基づいて、搬送される原稿の厚みを判断するようにした場合の片面モードの実施フロー図である。また、
図16は、座屈抑制部材51の位置に基づいて、搬送される原稿の厚みを判断するようにした場合の両面モードの実施フロー図である。これのフローにおいて、実施形態と同様の項目については、適宜説明を省略する。
【0110】
図15に示すように、片面モードにおいて、先行原稿の読取を完了した(S308)後の次原稿の搬送を遅らせるか否かを判断において、上述と同様、原稿読取搬送速度が規定値よりも遅いとき(S309のYES)は、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S317~S323)。
【0111】
また、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されているときで、座屈抑制部材51が作用位置に位置しているとき(S310のYES)は、原稿載置台5に薄紙の原稿が載置されていると判断し、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S317~S323)。
【0112】
一方、座屈抑制部材51が収納位置に位置しているときは、原稿載置台5に厚紙の原稿がセットされていると判断(S310のNO)、先行の原稿の読取完了後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S311~S316)。
【0113】
また、
図16に示すように、両面モードにおいても、先行原稿の後端が読取位置Eを通過した後の次原稿の搬送を遅らせるか否かを判断において、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されているときで、座屈抑制部材51が作用位置に位置しているとき(S343のYES)は、原稿載置台5に薄紙の原稿がセットされていると判断し、所定期間遅らせて次原稿の搬送を再開する(S350~S356)。
【0114】
一方、座屈抑制部材51が収納位置に位置しているときは、原稿載置台5に厚紙の原稿がセットされていると判断(S343のNO)、先行の原稿の読取完了後、直ちに次原稿を読取前ローラ対11に向けて搬送する(S344~S349)。
【0115】
原稿の厚さにおいては、
図17に示すように、給紙ベルト8とプルアウトローラ対10との間に原稿の厚みを検知する厚さ検知センサ61を設け、厚さが規定値を越えるときに厚紙、厚みが規定値以下のときに薄紙としている。また、厚さ検知センサ61で検知した搬送される原稿の厚みが規定値以下のとき、位置検知センサ52が被検知部51aを検知しておらず、座屈抑制部材51が作用位置に位置していないときは、画像形成装置の操作表示部であるオペレーションパネル101(
図20参照)に、座屈抑制部材51を、作用位置に位置するように指示する旨を表示する。
【0116】
図18は、搬送される原稿の厚みが規定値以下のとき、座屈抑制部材51を作用位置に位置させるための制御フロー図である。
原稿載置台5の最上位原稿を搬送し(S401)、プルアウトローラ対10で一時停止させたら(S402)、厚さ検知センサ61で原稿の厚みを検知する(S403)。原稿の厚みが、規定値を越えるときは、原稿の搬送を再開する(S407)。
【0117】
一方、厚さ検知センサ61が検知した原稿の厚みが規定値以下の薄紙のときは、座屈抑制部材51が作用位置にあるか否かを確認する(S404)。位置検知センサ52が、被検知部51aを検知しており、座屈抑制部材51が作用位置に位置しているとき(S404のYES)は、原稿の搬送を再開する(S407)。
【0118】
一方、位置検知センサ52が、被検知部51aを検知しておらず、座屈抑制部材51が収納位置に位置しているとき(S404のNO)は、オペレーションパネル101(
図20参照)に座屈抑制部材51を作用位置へ移動するように指示する表示を行う(S405)。ユーザーがオペレーションパネル101の表示を見て、座屈抑制部材51を引き出し作用位置に位置させて、位置検知センサ52が被検知部51aを検知したら(S406のYES)、原稿の搬送を再開する。
【0119】
このように、厚さ検知センサ61で検知した搬送される原稿の厚みが規定値以下の薄紙のときで、座屈抑制部材51が作用位置に位置していないときは、オペレーションパネル101(
図20参照)に、座屈抑制部材51を、作用位置に位置させる旨の指示表示をする。これにより、規定の厚みよりも薄い薄紙原稿が搬送されるとき、確実に座屈抑制部材51を作用位置に位置させることができ、排出部14に排出される原稿の先端が座屈するのを確実に防止することができる。
【0120】
また、座屈抑制部材51を作用位置と収納位置との間で移動させる駆動源としての移動モータ73(
図20参照)とラックアンドピニオンとで構成された移動装置を設け、厚さ検知センサ61で、搬送される原稿が規定値以下の薄紙のときで座屈抑制部材51が収納位置にあるときは、移動モータ73を制御して自動で座屈抑制部材51を作用位置へ移動させるようにしてもよい。なお、座屈抑制部材51を移動させる駆動源としてソレノイドを用いてもよい。
【0121】
[変形例4]
図19は、変形例4における自動原稿搬送装置の概略構成図である。
この変形例4の自動原稿搬送装置は、読取後ローラ対12と排出ローラ対13との間に原稿の第二面を読み取る第二画像読取部35を設け、ワンパスで原稿の両面を読み取れるようにしたものである。この変形例4によれば、両面読取の生産性を高めることができる。
【0122】
この変形例4においても、読取待ち期間が規定値以上発生する画像形成装置に搭載されている場合や、生産性の低い画像形成装置に搭載され、原稿読取搬送速度が遅い設定の場合は、先行の原稿が排出されてから、次原稿が読取前ローラ対11に到達するように搬送制御することで、排出不良が発生するのを抑制することができる。また、原稿読取搬送速度が遅い設定の場合において、両面モードのときは、先行の原稿の後端が第二画像読取部35を通過(第二面画像読取完了)後に、先行原稿の搬送速度を増速させる。
【0123】
図20は、自動原稿搬送装置の制御ブロックの一例を示す図である。
なお、
図20は、実施形態および変形例1~3で説明したセンサや機構を記載しているが、装置構成に合わせて、適宜、なくしてもよい。
自動原稿搬送装置は、各種機器やセンサを制御するコントローラ70を有している。このコントローラ70には、レジストセンサ21、長さ検知センサ42、セット検知センサ41、排紙センサ22が接続されている。また、給紙ローラ7、給紙ベルト8、リバースローラ9、プルアウトローラ対10、反転ローラ対16を駆動する給紙モータ71、読取前ローラ対11、読取後ローラ対12、排出ローラ対13を駆動する搬送モータ72が接続されている。
【0124】
また、稿搬送装置など原稿の厚みを検知する厚さ検知センサ61が接続され、座屈抑制部材51の位置を検知する位置検知センサ52と、座屈抑制部材51を移動させる移動モータ73とが接続される。
【0125】
画像形成装置には、CPU(Central Processing Unit)やRAM(Random Access Memory)等から構成され、画像形成装置の各機器やセンサなどの制御を司る半導体回路の本体制御部100を備えている。I/F等によって本体制御部100と半導体回路のコントローラ70とは接続されており、本体制御部100は、オペレーションパネル101の操作信号や、読取信号などをコントローラ70へ送信する。コントローラ70は、操作信号(オペレーションパネル101のスタートボタンの押下など)に基づいて、原稿の給送搬送を開始したり、読取信号に基づいて、読取位置Eへの原稿の搬送開始タイミングを制御したりする。なお本体制御部100やコントローラ70での制御はソフトウェアで行い、画像形成装置1または自動原稿搬送装置2にネットワークを介して本体制御部100やコントローラ70に駐在させるようにしてもよい。
【0126】
また、上述では、電子写真方式の画像形成装置に自動原稿搬送装置を搭載した例について説明したが、インクジェット方式の画像形成装置に本発明の自動原稿搬送装置を搭載してもよい。
【0127】
また、画像読取部81と自動原稿搬送装置2とを備えたスキャナなどの画像読取装置にも本発明を適用することができる。更に収納された収納カセットの転写紙の搬送を行う給紙装置や画像形成装置にも本発明を適用することができる。
【0128】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
読取前ローラ対11などの非離間のローラ対のレジスト位置でシートを一時停止させた後、原稿Sなどのシートの搬送を再開する自動原稿搬送装置などのシート搬送装置において、先行シートの排出完了後に、プルアウトローラ対10などの離間可能なローラ対にある後続シートがレジスト位置に到達する。
シート搬送装置の小型化や低コスト化を図るために、分離給送手段により搬送されてきたシートをレジスト位置で停止させ、かつ、レジスト位置で停止したシートを読取位置へ向けて搬送する読取前ローラ対から排出ローラ対までの非離間のローラ対を、ひとつのモータで駆動するものがある。かかるシート搬送装置においては、後続のシートの先端が読取前ローラ対の搬送ニップの位置や、読取前ローラ対と読取位置との間の所定の位置のレジスト位置に到達したときに、モータの駆動を停止して読取前ローラ対の回転駆動を停止して後続のシートを一時停止させる。このとき、排紙ローラ対を含む読取前ローラ対よりも搬送方向下流側の非離間のローラ対の回転駆動も停止し、先行のシートの後端が排出部に排出されていない状態で先行のシートの搬送(排出)も一時停止してしまう。この一時停止の期間に先行シートの機外へ排出された先端側の部分と、排出トレイに積載された排出シートとの間の空気が抜け、先行シートの先端側が排出シートに密着してしまう。その結果、シートの搬送を再開したときに、先行シートの先端側と排出シートとの密着力(静止摩擦力)により、先行シートの先端側が排出シートの表面を滑らずに留まり、先行シートの後側が波打つように排出され、ジャムが発生したり、排出シートが先行シートとともに搬送され、排出シートが、排出トレイから落下したりするなど排出不良が発生する場合があった。
このため、例えば、読取前ローラ対については、クラッチを介してモータの駆動力が伝達されるように構成し、後続のシートの先端が、レジスト位置に到達したとき、クラッチを切って読取前ローラ対のみ回転駆動を停止することで、後続のシートをレジスト位置で一時停止させた状態で、先行のシートを排出トレイへ排出させることも考えられる。しかし、部品点数の増加による装置の大型化、装置のコストアップにつながるというおそれがある。
そこで、態様1では、先行シートの排出完了後に、プルアウトローラ対10などの離間可能なローラ対にある後続シートがレジスト位置に到達するようにした。このような後続シートの搬送制御により、後続シートがレジスト位置で一時停止したときは、先行シートは既に排出トレイに排出されている。これにより、排出不良の発生を抑制することができる。
また、先行シートの排出完了後に、離間可能なローラ対にある後続シートがレジスト位置に到達するようにしたことで、ジャムなどの排出不良で装置内に残った先行原稿の取り除きにあわせて次原稿を取り除く場合、読取前ローラ対11などの非離間のローラ対にはシートがなく、離間可能なローラ対にあるためシートを傷つけることなく取り除くことができる。
【0129】
(態様2)
態様1において、レジスト位置は、画像読取位置よりシート搬送方向上流側にある。
【0130】
(態様3)
態様2において、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達は、先行シートの画像読取が完了してから、後続シートに対する読み取り開始までが規定時間以上かかるときに行う。
これによれば、実施形態で説明したように、例えば、HDDを有しておらず、印刷プロセス中に書込み待ちが発生するなど、後続シートに対する読み取り指示信号が来るまでの時間が長い画像形成装置に当該シート搬送装置が搭載され、先行シートの画像読取が完了してから、後続シートに対する読み取り開始まで(本実施形態では、先行シートの後端が読取位置を抜けてから、後続シートに対する読み取り指示信号が来て後続シートの搬送が再開されるまで)規定時間以上かかる場合、レジスト位置で所定期間読取待ちが発生し、上述した排出不良が発生するおそれが高い。従って、先行シートの画像読取が完了してから、後続シートに対する読み取り開始までが規定時間以上かかるときに、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達を行うことで、排出不良を抑制することができる。
また、例えば、HDDを有しており印刷プロセス中に書込み待ちが発生せず、先行の原稿の画像読取が完了してから、後続のシートに対する読み取り指示信号が来るまでの時間が短い画像形成装置に搭載され、先行シートの画像読取が完了してから、後続シートに対する読み取りが規定時間未満のときは、先行シートが排出される前に後続のシートをレジスト位置に到達させ、先行のシートの排出が完了する前に、次の画像の読取を開始できるので、生産性の低下を抑制できる。
【0131】
(態様4)
態様1乃至3いずれかにおいて、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達は、搬送されるシート長が、特定の長さ以上のときに行う。
これによれば、変形例1で説明したように、シート長が特定の長さよりも短いときは、後続のシートがレジスト位置に到達して搬送が一時停止した際に、先行のシートは、排出部14のシートに接触しておらず、一時停止時に排出部14に載置されたシートとの密着力が生じない、または、ほとんど接触しておらず、一時停止時に排出部14に載置されたシートとの密着力があまり高まらない。従って、先行のシート排出中に排出が一時停止しても、排出不良がほとんど生じることがない。よって、搬送されるシート長が、特定の長さ以上のとき、先行シートの排出完了後の前記後続シートの前記レジスト位置への到達を行うことで、排出不良を抑制でき、かつ、シート長が、特定の長さ未満のときの生産性の低下を抑制することができる。
【0132】
(態様5)
態様1乃至4いずれかにおいて、先行シートの排出完了後の後続シートの前記レジスト位置への到達は、シートの厚さが特定の値以下ときに行う。
これによれば、変形例2で説明したように、シートの厚みが特定の値以上ときは、後続シートがレジスト位置に到達し搬送が一時停止して、先行シートが排出部14のシートに密着しても、搬送を再開したときにシートのコシで先行シートが折れ曲げることなく、密着した箇所に良好に搬送力が加わる。その結果、排出部14のシートに対しすべり、良好に排出することができる。よって、シートの厚みが特定の値以下のとき、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達を行うことで、排出不良を抑制し、かつ、シートの厚みが、特定の厚み以上のときの生産性の低下を抑制することができる。
【0133】
(態様6)
態様1乃至5いずれかにおいて、排出部14などのシート排出部のシートの幅方向の中央側に設けられ、シート排出部のシート載置面より突出した突出部材(本実施形態では、凸状部50および座屈抑制部材51)を備える。
これによれば、変形例3で説明したように、排出部14などのシート排出部に突出部材を備えることで、厚みが特定の値以下のコシの弱いシートの先端を、突出部材に接触させることができる。これにより、厚みが特定の値以下のシートの先端を幅方向に湾曲させて、搬送方向の曲げに対するコシを強くすることができる。これにより、シート先端側の座屈を抑制することができる。
【0134】
(態様7)
態様6において、座屈抑制部材51などの突出部材は、移動可能である。
これによれば、変形例3で説明したように、シートの厚みが特定の値以下のときは作用位置などの所定位置へ座屈抑制部材51などの突出部材を移動させて、厚みが特定の値以下のシートの先端を幅方向に湾曲させて、搬送方向の曲げに対するコシを強くすることができる。これにより、シート先端側の座屈を抑制することができる。厚みが特定の値以上のときは、シート搬送方向下流側の所定位置から退避した収納位置などの退避位置へ突出部材を移動させることで、シート排出部の上流側のスペースを広げることができ、スタック性の悪化を抑制することができる。
【0135】
(態様8)
態様7において、座屈抑制部材51などの突出部材が作用位置などの所定位置に位置していることを検知する位置検知センサ52などの検知部を備え、前記先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達は、突出部材が所定位置に位置しているときに行う。
これによれば、座屈抑制部材51などの突出部材は、シートの厚みが特定の値以下のとき作用位置などの所定位置に位置させるので、突出部材が所定位置に位置するときは、搬送されるシートの厚みが特定の値以下である。よって、位置検知センサ52などの検知部が、突出部材が所定位置に位置していることを検知しているときは、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達を行うことで、シートの厚みが特定の値以下のとき、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達を行うことができる。これにより、排出不良を抑制し、かつ、シートの厚みが、特定の厚み以上のときの生産性の低下を抑制することができる。
【0136】
(態様9)
態様7または8において、シートの厚みを検知する厚さ検知センサ61などの厚み検知部を備え、厚み検知部が所定の値以下のシートの厚さを検知したときに、検知部が、座屈抑制部材51などの突出部材が作用位置に位置していることを検知していないときに、所定位置へ突出部材を移動させるよう表示するオペレーションパネル101などの表示部を備えた。
これによれば、変形例3で説明したように、シートの厚さが所定の値以下のとき、確実に、座屈抑制部材51などの突出部材が作用位置などの所定位置に位置させることができる。
【0137】
(態様10)
態様7または8おいて、シートの厚みを検知する厚さ検知センサ61などの厚み検知部と、座屈抑制部材51などの突出部材を、移動させる移動モータ73などの駆動源とを備え、所定の値以下のシートの厚さを検知したときに、駆動源は所定位置へ座屈抑制部材51を移動させる。
変形例3で説明したように、シートの厚さが所定の値以下のとき、確実に、座屈抑制部材51などの突出部材を作用位置などの所定位置に位置させることができる。
【0138】
(態様11)
態様1乃至10いずれかにおいて、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達は、画像読取位置を通過するときのシートの搬送速度であるシート読取搬送速度が規定値以下のときに行う。
これによれば、実施形態で説明したように、当該シート搬送装置が搭載された画像形成装置の生産性に基づいて、画像読取位置を通過するときのシートの搬送速度である原稿読取搬送速度などのシート読取搬送速度を設定することで、生産性の低い画像形成装置に搭載されたときは、画像形成装置の生産性に合わせて、原稿読取搬送速度などのシート読取搬送速度を低下させることができ、騒音を抑制することができる。
次原稿の画像読取が行われているとき、先行の原稿は、排出部14へ排出中である。シート搬送装置の小型化や低コスト化を図るために、画像読取位置の手前に配置された読取前ローラ対11から排出ローラ対13までの非離間のローラ対を、ひとつのモータで駆動するように構成したものにおいては、先行の原稿は、シート読取搬送速度で機外へ排出されることになる。よって、画像形成装置の生産性に応じて、シート読取搬送速度を低下させると、先行のシートの排出時の勢いが低下し、排出不良として、シートの後端が排出ローラ対13に残る後端残りが発生するおそれがある。
これに対し、態様11では、シート読取搬送速度が規定値以下のときは、先行シートの排出完了後の後続シートのレジスト位置への到達を行うので、先行シート排出中に、後続シートが読取位置へ搬送されることがない。従って、先行シートをシート読取搬送速度よりも速い搬送速度で排出することが可能となる。これにより、勢いよく先行シートを機外へ排出することができ、排出不良として、後端残りが発生するのを抑制することができる。
【0139】
(態様12)
態様11において、先行シートの搬送方向後端が画像読取位置を抜けたとき、シート読取搬送速度よりも速い搬送速度で先行シートを搬送する。
これによれば、実施形態で説明したように、勢いよく先行シートを機外へ排出することができ、排出不良として、後端残りが発生するのを抑制することができる。
【0140】
(態様13)
態様1乃至12いずれかにおいて、非離間のローラ対は、読取位置Eなどの画像読取位置よりシート搬送方向上流側で最初に配置された読取前ローラ対11である。
これによれば、読取前ローラ対11の回転を停止することで、シートをレジスト位置で一時停止させ、読取前ローラ対11の回転を再開することで、レジスト位置で一時停止したシートを画像読取位置へ向けて搬送することができる。
【0141】
(態様14)
態様1乃至13いずれかにおいて、読取前ローラ対11と排出ローラ対13とを、同一の駆動源により駆動する。
これによれば、実施形態で説明したように、装置の小型化や、装置のコストダウンを図ることができる。
【0142】
(態様15)
原稿シートを搬送する原稿搬送部と、原稿搬送部によって搬送される原稿シート上の画像を読み取る画像読取部81とを備えた画像読取装置において、原稿搬送部として、態様1乃至14いずれかのシート搬送装置を用いた。
これによれば、原稿シート排出不良の発生を抑制することができる。
【0143】
(態様16)
原稿シートを搬送する原稿搬送部と、原稿搬送部によって搬送される原稿シート上の画像を読み取る画像読取部81とを備え、画像読取部81で読み取った画像情報に基づいて画像を形成する画像形成装置において、原稿搬送部として、態様1乃至14いずれかのシート搬送装置を用いた。
これによれば、原稿シートの排出不良の発生を抑制することができる。
【符号の説明】
【0144】
1 :画像形成装置
2 :自動原稿搬送装置
3 :コンタクトガラス
4 :スリットガラス
5 :原稿載置台
6 :給紙分離部
7 :給紙ローラ
8 :給紙ベルト
9 :リバースローラ
10 :プルアウトローラ対
11 :読取前ローラ対
12 :読取後ローラ対
13 :排出ローラ対
14 :排出部
15 :切換爪
16 :反転ローラ対
21 :レジストセンサ
22 :排紙センサ
31 :第一搬送路
32 :第二搬送路
33 :第三搬送路
34 :第四搬送路
35 :第二画像読取部
41 :セット検知センサ
42 :長さ検知センサ
50 :凸状部
51 :座屈抑制部材
51a :被検知部
52 :位置検知センサ
61 :厚さ検知センサ
70 :コントローラ
71 :給紙モータ
72 :搬送モータ
73 :移動装置
81 :画像読取部
100 :本体制御部
101 :オペレーションパネル
E :読取位置
S :原稿
【先行技術文献】
【特許文献】
【0145】