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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240613BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20240613BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240613BHJP
   G02B 26/10 20060101ALN20240613BHJP
【FI】
G03G21/16 104
G03G15/04 111
B41J2/47 101Z
G02B26/10 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2023099841
(22)【出願日】2023-06-19
(62)【分割の表示】P 2019129316の分割
【原出願日】2019-07-11
(65)【公開番号】P2023118764
(43)【公開日】2023-08-25
【審査請求日】2023-07-18
(31)【優先権主張番号】P 2018223222
(32)【優先日】2018-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100098626
【弁理士】
【氏名又は名称】黒田 壽
(72)【発明者】
【氏名】高木 広彰
【審査官】市川 勝
(56)【参考文献】
【文献】特開平11-095519(JP,A)
【文献】特開2014-126845(JP,A)
【文献】特開2004-004854(JP,A)
【文献】特開2006-123473(JP,A)
【文献】特開2006-123474(JP,A)
【文献】特開2007-271835(JP,A)
【文献】特開2002-229290(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/16
G03G 15/04
B41J 2/47
G02B 26/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
潜像担持体と、
前記潜像担持体に潜像を書き込む書込み装置と、
前記潜像担持体と前記書込み装置との間を仕切る仕切り板とを備えた画像形成装置において
前記書込み装置を複数備え、
複数の書込み装置のうち、特定の書込み装置は、前記潜像担持体の軸方向に所定の間隔を開けて対向する一対の側方部材に固定されるとともに、前記仕切り板には当接しないように構成されており、
前記特定の書込み装置以外の書込み装置は、前記一対の側方部材に固定されるとともに、前記仕切り板に当接するように構成され、
前記特定の書込み装置は、複数の書込み装置のうち、最も手差し給紙ユニットの給紙手段に近い位置に配置された書込み装置であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
請求項1に記載の画像形成装置において、
前記複数の書込み装置は、水平方向に並んで配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の画像形成装置において、
前記側方部材は、側板であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項4】
請求項1乃至3いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記書込み装置は、書込みユニットと、該書込みユニットを取り付ける取付部材とを含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項5】
請求項4に記載の画像形成装置において、
前記取付部材は、一対の前記側方部材に固定されるとともに、前記仕切り板には当接しないことを特徴とする画像形成装置。
【請求項6】
請求項4または5に記載の画像形成装置において、
前記書込みユニットは、前記取付部材にのみ当接することを特徴とする画像形成装置。
【請求項7】
請求項4乃至6いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記取付部材の曲げ剛性は、前記仕切り板の曲げ剛性よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項8】
請求項7に記載の画像形成装置において、
前記取付部材の断面形状は、多角形状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項9】
請求項4乃至8いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記取付部材は、前記書込みユニットと当接する当接部を備えており、該当接部の前記書込みユニットとの当接面は、平面状であることを特徴とする画像形成装置。
【請求項10】
請求項4乃至9いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記一対の側方部材に固定された梁部材を備え、
前記梁部材の曲げ剛性が、前記取付部材の曲げ剛性よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項11】
請求項10に記載の画像形成装置において、
前記梁部材の断面二次モーメントが、前記取付部材の断面二次モーメントよりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10または11に記載の画像形成装置において、
前記梁部材のヤング率が、前記取付部材のヤング率よりも大きいことを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項10乃至12いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記梁部材は、前記仕切り板と平行な方向に所定の間隔を開けて複数設けられており、
前記取付部材は、前記平行な方向において、梁部材の間で、かつ、前記梁部材の並び方向から見たとき前記梁部材と重なるように配置されていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項10乃至13いずれか一項に記載の画像形成装置において、
前記梁部材は、前記仕切り板にも固定されていることを特徴とする画像形成装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、潜像担持体と、潜像担持体に潜像を書き込む書込み装置と、潜像担持体と前記書込み装置との間を仕切る仕切り板とを備えた画像形成装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、上記画像形成装置として仕切り板に書込み装置が固定されるものが記載されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1においては、書込み装置が振動して特定周期の画像ムラが発生するおそれがあった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は、潜像担持体と、前記潜像担持体に潜像を書き込む書込み装置と、前記潜像担持体と前記書込み装置との間を仕切る仕切り板とを備えた画像形成装置において、前記書込み装置を複数備え、複数の書込み装置のうち、特定の書込み装置は、前記潜像担持体の軸方向に所定の間隔を開けて対向する一対の側方部材に固定されるとともに、前記仕切り板には当接しないように構成されており、前記特定の書込み装置以外の書込み装置は、前記一対の側方部材に固定されるとともに、前記仕切り板に当接するように構成され、前記特定の書込み装置は、複数の書込み装置のうち、最も手差し給紙ユニットの給紙手段に近い位置に配置された書込み装置であることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、定期周期の画像ムラを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る複写機を示す概略構成図。
図2】第二書込みユニットの入射光学系のレイアウトを示す模式図。
図3】書込みユニットの走査光学系のレイアウトを示す模式図。
図4】手差し給送装置の要部構成を示す概略斜視図。
図5】(a)は、手差し給送装置の概略平面図であり、(b)は、手差し給送装置の概略側面図。
図6】手差し給送装置の記録シート分離動作を説明する図。
図7】画像形成部の概略斜視図。
図8】画像形成部の本体フレームを、側方カバー側見た概略構成図。
図9】本体フレームのカバー支持ピン付近を装置の内側から見た拡大斜視図。
図10】(a)は、本体フレームの位置決めピン付近を側方カバー側見た拡大斜視図であり、(b)は、本体フレームの位置決めピン付近を前側見た拡大斜視図。
図11】手差しトレイにセットされた記録シートを給送するときに発生する振動の伝播について説明する図。
図12】書込みユニットの振動によって発生する横スジ画像の一例を示す図。
図13】本実施形態の本体フレームの概略平面図。
図14】書込みユニットを取り外した状態の本体フレームの概略構成図。
図15】(a)は、第一書込みステーの後側板付近の拡大斜視図であり、(b)は、第一書込みステーの前側板付近の拡大斜視図。
図16】前後ステーの断面二次モーメントと、書込みステーの断面二次モーメントとを示すグラフ。
図17】書込みステーの配置について説明する図。
図18】比較例の要部概略構成図。
図19】手差し給送装置の鉛直方向の振動の測定ポイントを示す図。
図20】第二書込みユニットの鉛直方向の振動測定ポイントを示す図。
図21】(a)は、比較例における手差し給送装置の鉛直方向の振動を測定した波形であり、(b)は、比較例における第二書込みユニットの鉛直方向の振動を測定した波形。
図22】(a)は、本実施形態における手差し給送装置の鉛直方向の振動を測定した波形であり、(b)は、本実施形態における第二書込みユニットの鉛直方向の振動を測定した波形。
図23】変形例の要部概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を画像形成装置としての複写機に適用した実施形態について説明する。まず、図1を用いて、この複写機の概略について説明する。この複写機は、原稿を走査して読み取って得た画像情報をデジタル化して画像形成に用いるいわゆるデジタルカラー複写機としての機能を有している。また、この複写機は、原稿の画像情報を遠隔地と授受するファクシミリの機能や、コンピュータが扱う画像情報を用紙上に印刷するいわゆるプリンタの機能も有している。
【0009】
図1において、複写機は、中間転写ベルト11を用いた中間転写方式で記録シートに画像を形成するものであって、且つ、各色のトナー像をそれぞれ専用のプロセスカートリッジで作像するタンデム方式の電子写真装置である。複写機の鉛直方向における最下部には、多段状の給送部2が設けられている。また、その上方に画像形成部1、さらにその情報にスキャナ部3がそれぞれ設けられている。給送部2の各段には、記録部材である普通紙や、OHPシート、第二原図などの記録シートからなるシート束を収容する給送トレイ21や、給送トレイ21に収容されたシート束のシートを給送する給送装置21aが配設されている。給送装置21aは、給送トレイ21から記録シートを送り出すピックアップローラ121と、送り出されたシートを分離して給送する分離給送手段122等を有している。
【0010】
画像形成部1のほぼ中央には、ベルトループ内側に配設された複数のローラによって無端状の中間転写ベルト11を張架している転写装置10が配設されている。中間転写ベルト11は、図中時計回り方向に回転(表面移動)する。中間転写ベルト11の上方には、中間転写ベルト11の表面移動方向に沿って、イエロー,マゼンタ,シアン,ブラックのトナー像を作像するための4つのプロセスカートリッジ40Y,40M,40C,40Kが配設されている。以下、色分け符号であるY,M,C,Kについては、適宜省略する。また、4つのプロセスカートリッジ40の上方には2つの潜像書込手段としての第一書込みユニット20aと第二書込みユニット20bが設けられている。
【0011】
各プロセスカートリッジ40には、潜像担持体としてのドラム状の感光体41が設けられている。各感光体41は、それぞれ、図中反時計回り方向に回転可能に設けられており、その周囲には、公知の帯電装置、現像装置、感光体クリーニング装置、潤滑剤塗布装置が設けられている。
【0012】
転写装置10は、中間転写ベルト11やベルトクリーニング装置17、4つの一次転写ローラ46などを有している。中間転写ベルト11は、張架ローラ14、駆動ローラ15、二次転写対向ローラ16を含む複数のローラによってテンション張架されている。そして、ベルト駆動モータによって駆動される駆動ローラ15の回転によって図中時計回りに無端移動せしめられる。
【0013】
4つの一次転写ローラ46は、それぞれ中間転写ベルト11の内周面側に接触するように配設され、電源から一次転写バイアスの印加を受ける。また、中間転写ベルト11をその内周面側から感光体41に向けて押圧してそれぞれ一次転写ニップを形成する。各一次転写ニップには、一次転写バイアスの影響により、感光体と一次転写ローラとの間に一次転写電界が形成される。感光体41上のトナー像は、この一次転写電界やニップ圧の影響によって中間転写ベルト11上に一次転写される。
【0014】
また、転写装置10は、二次転写手段を構成する二次転写ユニット22を中間転写ベルト11の下方に有している。二次転写ユニット22は、が中間転写ベルト11を介して二次転写対向ローラ16に圧接する二次転写ローラ22aを備えている。そして、この二次転写ローラ22aが、自らと中間転写ベルト11との間に送り込まれる記録シートに対し、中間転写ベルト11上のトナー画像を一括二次転写する。二次転写対向ローラ16よりも中間転写ベルト11表面移動方向下流側には、ベルトクリーニング装置17が設けられており、このベルトクリーニング装置17によって画像転写後に中間転写ベルト11の表面に残留する残留トナーが除去される。また、ベルトクリーニング装置17には、潤滑剤塗布機構を備えており、中間転写ベルト11の表面に潤滑剤を塗布している。
【0015】
二次転写ローラ22aの紙搬送方向下流側には、記録シート上に形成されたトナー画像をシート表面に定着せしめる定着装置25が設けられている。無端状の定着ベルト26には定着加圧ローラ27が圧接されている。画像転写後の記録シートは、一対のローラ間に架け渡された無端状の搬送ベルト24によって定着装置25へ搬送される。また、二次転写ローラ22aの下方には、シート表裏両面に画像を形成する際にシートを反転させるシート反転装置28が設けられている。
【0016】
また、画像形成部1の図中の右側には、手差し給送部4が設けられている。手差し給送部4は、手差しの記録シートを載置する手差しトレイ51と、手差しトレイ51に載置された記録シートを給送する手差し給送装置150とを有している。手差し給送装置150は、手差しトレイ51から記録シートを送り出す手差しピックアップローラ52と、送り出されたシートを分離して給送する手差し分離給送手段53等を有している。
【0017】
以上の構成を具備する複写機でカラー原稿のコピーをとるときには、コンタクトガラス上にセットされた原稿の画像をスキャナ部3によって読み取る。また、中間転写ベルト11を回転させて、公知の画像形成プロセスによって各感光体41上にそれぞれトナー像を形成する。次に各感光体上に形成したトナー像を順次重ね合わせて中間転写ベルト11に一次転写して、中間転写ベルト11上に4色重ね合わせトナー像を形成する。
【0018】
一方、中間転写ベルト11に対する4色重ね合わせトナー像の画像形成動作と並行して、給送部2の選択された給送トレイ21から記録シートを給送装置21aにより1枚ずつ分離給送して、レジストローラ29に向けて搬送する。
【0019】
このような給送トレイ21からの給送に代えて、手差しトレイ51からの給送が行われる場合もある。この場合、手差しトレイ51上の記録シートを手差し給送装置150より1枚ずつ分離給送して、レジストローラ29に向けて搬送する。
【0020】
分離搬送された記録シートは、レジストローラ29のニップに突き当たることによって搬送が一時止められて待機される。レジストローラ29は、中間転写ベルト11上に形成された4色重ね合わせトナー像と、記録シートの先端との位置関係を所定の位置にするように、タイミングをとって回転駆動が開始される。このレジストローラ29の回転により、待機されている記録シートが再び給送される。これにより、この記録シートの所定位置に対し、二次転写ローラ22aによって中間転写ベルト11上の4色重ね合わせトナー像が二次転写されて、記録シート上にフルカラートナー像が形成される。
【0021】
このようにしてフルカラートナー像が形成された記録シートは、二次転写ローラ22aよりも搬送経路の下流側にある定着装置25に送り込まれる。この定着装置25は、二次転写ローラ22aによって二次転写されたフルカラートナー像を記録シート上に定着せしめるものである。フルカラートナー像が定着された記録シートは、排紙ローラ30によって装置外部へ排紙される。記録シートの両面に画像を形成する両面プリントモードにおいて、第一面だけにフルカラートナー像を定着させた記録シートが定着装置25から排出された場合には、その記録シートは排紙ローラ30ではなく、シート反転装置28に送られる。そして、シート反転装置28によって表裏面を反転せしめられた後、レジストローラ29に再搬送される。その後、二次転写ローラ22aと定着装置25とを経由することで、第二面にも、フルカラー画像が形成される。
【0022】
次に、書込みユニット20の構成及び動作について説明する。
M色の感光体41MとY色の感光体41Yに潜像を書き込む第一書込みユニット20aと、K色の感光体41KとC色の感光体41Cに潜像を書き込む第二書込みユニット20bは、その基本構成が同じであるため、以下の説明では第二書込みユニット20bを用いて構成及び動作を説明する。なお、以下の説明では、適宜、色分け符号であるY、M、C、Bkを省略する。
【0023】
図2は、第二書込みユニット20bの入射光学系のレイアウトを示す模式図である。
光源装置である光源ユニット70は、直線偏光にてレーザ光を射出する光源71と、光源71から射出されたレーザ光を円偏光に変換する1/4波長板72とを有する。また、1/4波長板72で円偏光に変換されたレーザ光を平行光にするコリメートレンズ73と、コリメートレンズ73で平行化されたレーザ光を切り取るアパーチャ74とを有する。光源ユニット70から射出されるレーザ光は、入射光学系を介して、光偏向手段としての偏向器202へ入射する。
【0024】
入射光学系は、光源ユニット70から射出されたレーザ光を副走査方向(図2中紙面前後方向)で2つに分割する偏向ビームスプリッタ(PBS)203を備えている。また、2つに分割されたレーザ光L1,L2(図3参照)の偏光特性を直線偏光から円偏光に変換する1/4波長板204を備えている。また、円偏光に変換された各レーザ光L1,L2を、偏向器202に搭載される2つの回転多面鏡202a,202bのミラー面上で結像させるシリンドリカルレンズ205を備えている。シリンドリカルレンズ205は、円偏光に変換されたレーザ光を副走査方向についてのみ集光機能を持っている。
【0025】
このような入射光学系によって所定のレーザプロファイルに形成された各レーザ光L1,L2は、偏向器202の各回転多面鏡202a,202bのミラー面上にそれぞれ結像される。偏向器202は、副走査方向に平行な回転軸を中心に回転多面鏡202a,202bを一体的に所定の回転数で安定駆動させている。このように回転している回転多面鏡202a,202bのミラー面にレーザ光が入射することで、図2に示すように、レーザ光が主走査方向へ走査される。
【0026】
図3は、書込みユニット20bの走査光学系のレイアウトを示す模式図である。
偏向器202によって走査されたレーザ光のうちの一方のレーザ光L1(上段回転多面鏡202aのミラー面で走査されたレーザ光)は、走査レンズ301及び長尺レンズ302を経て、防塵ガラス305を透過する。そして、感光体41Kの表面で等速走査される。この光路上には、レーザ光L1を折り返すためのミラー303a,303b,303cが設置されている。また、他方のレーザ光L2(下段回転多面鏡202bのミラー面で走査されたレーザ光)は、走査レンズ301及び長尺レンズ302を経て、防塵ガラス305を透過して、感光体41Cの表面で等速走査される。この光路上には、レーザ光L2を折り返すためのミラー304が設置されている。
【0027】
図4は、手差し給送装置150の要部構成を示す概略斜視図である。
手差し給送装置150は、手差しトレイ51に積載された記録シート束の一番上の記録シートと接触する手差しピックアップローラ52と、手差しピックアップローラ52によって搬送されてきた記録シートを一枚に分離して搬送する手差しフィードローラ153と手差しリバースローラ253とを有する手差し分離給送手段53を備えている。
【0028】
手差しフィードローラ153の回転軸153bは、駆動モータに接続されている。また、手差しフィードローラ153の回転軸153bには、アーム55が回動自在に取り付けられている。アーム55には、ローラ取り付け部55aとバネ取り付け部55bが設けられている。
【0029】
ローラ取り付け部55aには、アイドラギヤ54及び手差しピックアップローラ52が回転自在に取り付けられている。アイドラギヤ54は、手差しフィードローラ153に設けられたギヤ153a及び手差しピックアップローラ52に設けられたギヤ52aに噛み合っている。これにより、手差しフィードローラ153に設けられたギヤ153aからアイドラギヤ54を介して、駆動モータの回転駆動力が手差しピックアップローラ63に伝達され、手差しピックアップローラ52が回動する。
【0030】
バネ取り付け部55bには、バネ56が取り付けられており、バネ取り付け部55bを図中上方に付勢している。これにより、アーム55は、バネ56により図中反時計回りに付勢され、手差しピックアップローラ52が、記録シートに接触する方向に付勢されている。
【0031】
図5(a)は、手差し給送装置150の概略平面図であり、図5(b)は、手差し給送装置150の概略側面図である。
アーム55には、図中上方に延びる突き当て突起55cが設けられており、この突き当て突起55cには、作動部材57が当接している。作動部材57は、画像形成装置のフレームに設けられた支持軸57aに回転自在に支持されている。この作動部材57には、手差しピックアップローラ63を記録シートに対して接離させるソレノイド58が取り付けられている。また、作動部材57は、作動バネ59により、図5(a)の図中時計回り方向に付勢されている。
【0032】
かかる構成により、ソレノイド58が作動していない状態では、作動バネ59の付勢力で、突き当て突起55cを給送方向に押し込んでいる。これにより、アーム55がバネ56の付勢力に抗して図中時計回りに回動し、手差しピックアップローラ52が記録シートから離間した待機位置に位置している。
【0033】
ソレノイド58を駆動して、図5(a)の矢印J方向にプランジャ58aを引き込むと、作動部材57が、支持軸57aを支点にして図5(a)突き当て突起55cから離間するように回動する。すると、突き当て突起55cは、バネ56の付勢力により作動部材57に追随するように移動し、アーム55が図5(b)の反時計回りに回動する。そして、手差しピックアップローラ52が、手差しトレイに積載されたシートPに当接する。
【0034】
図6は、手差し給送装置150の記録シート分離動作を説明する図である。
まず、ソレノイド58を駆動して、手差しトレイのシートから離間した待機位置にある手差しピックアップローラ52を、手差しトレイにセットされたシート束の最上位シートに当接する給送位置へ移動させる。次に、駆動モータを駆動して、手差しフィードローラ153および手差しピックアップローラ52を回転駆動する。これにより、手差しトレイにセットされたシート束の記録シートが、手差しピックアップローラ52の摩擦力によって手差しフィードローラ153と手差しリバースローラ253とが当接する手差し分離ニップへ給送される。
【0035】
図6に示すように、手差しリバースローラ253の軸には、トルクリミッタ60と入力ギヤ62aとが設けられている。この入力ギヤ62aには、駆動モータから駆動力が伝達される駆動入力軸に設けられた駆動ギヤ62bが噛み合っている。駆動ギヤ62b、入力ギヤ62aおよびトルクリミッタ60を介して、手差しフィードローラ153の回転方向とは逆方向に回転駆動する駆動力が手差しリバースローラ253に入力される。トルクリミッタ60は、手差しリバースローラ253に手差しフィードローラ153の回転方向とは逆方向の回転トルクが、所定値を超えると、手差しリバースローラ253が、トルクリミッタ60に対して相対的に空転するように構成されている。
【0036】
また、手差しリバースローラ253は、駆動ギヤ62bと入力ギヤ62aの間の歯面圧力Iとスプリング61の付勢力により手差しフィードローラ153へ圧接している。
【0037】
手差しリバースローラ253が手差しフィードローラ153に当接した状態のときや、分離ニップに一枚のシートが給送されたときは、手差しリバースローラには、手差しフィードローラ153の回転駆動力を受けるため、手差しリバースローラ253にかかる手差しフィードローラ153の回転方向とは逆方向の回転トルクが、所定値を超える。従って、この場合は、手差しリバースローラ253は、トルクリミッタ60に対して相対的に空転し、手差しフィードローラ153にとも回りして、シートPを矢印G方向に給送する。
【0038】
一方、分離ニップに複数枚のシートが給送されてときは、シートP同士のすべりによって、手差しリバースローラ253にかかる手差しフィードローラ153の回転方向とは逆方向の回転トルクが小さくなる。その結果、トルクリミッタ60を介して、手差しフィードローラ153の回転方向とは逆方向に回転する駆動力が手差しリバースローラ253に伝達され、手差しリバースローラ253が手差しフィードローラ153の回転方向とは逆方向に回転駆動する。これにより、分離ニップに挟まれた複数枚のシートPのうち、最上位のシートPを除く下方のシートが手差しリバースローラ253の回転駆動によって、手差しトレイに戻る方向に搬送され、手差しトレイに戻される。
このような構成により手差し分離給送手段53により、手差しトレイのシートが一枚に分離され、給送される。
【0039】
図7は、画像形成部1の概略斜視図である。
図7に示すように、手差し給送部4は、側方カバー1aに設けられており、側方カバー1aは、装置の奥側を支点にして、本体フレーム100に対して開閉可能に設けられている。
【0040】
図8は、画像形成部1の本体フレーム100を、側方カバー1a側見た概略構成図である。
図8に示すように、画像形成装置の骨格を形成する本体フレーム100の4本の支柱のうち装置奥側の側方カバー1a側に配置された第一奥側支柱102には、側方カバー1aを回転自在に支持するカバー支持ピン102aが、上下方向に所定の間隔を開けて、2個設けられている。
また、装置手前側の側方カバー1a側に配置された第一前側支柱101には、側方カバーが位置決めされる位置決めピン101aが上下方向に所定の間隔を開けて、2個設けられている。
【0041】
なお、図8に示す110は、書込みユニット20a,20bと感光体41Y,M,C,Kとの間を仕切る仕切り板であり、111は、本体フレーム100の梁部材としての前後ステーである。
【0042】
図9は、本体フレームのカバー支持ピン102a付近を装置の内側から見た拡大斜視図である。
図9に示すように、側方カバー1aの奥側端部に設けられた円筒形状の支持部1a1の穴にカバー支持ピン102aを差し込み、カバー支持ピン102aの先端に設けられた溝部に止め輪1bを嵌め込むことで、側方カバー1aは、カバー支持ピン102aに回転自在に支持される。
【0043】
図10(a)は、本体フレームの位置決めピン101a付近を側方カバー1a側見た拡大斜視図であり、図10(b)は、本体フレームの位置決めピン101a付近を前側見た拡大斜視図である。
図10に示すように、側方カバー1aの前側端部には、各位置決めピン101aに嵌合する上下方向に所定の間隔を開けて設けられた2つの爪部130bを備えている。これら爪部130bは、図10(b)に示すように、側方カバー1aに上下方向に所定範囲移動可能に取り付けられたスライド部材130に設けられている。スライド部材130は、上下方向に延びるスライド軸131に支持されており、このスライド軸131の下端には、コイルスプリング132が挿入されている。
【0044】
また、スライド部材130には、図10(a)に示すように、側方カバー1aから露出し、ユーザーにより押し下げられるレバー部130aを有している。このレバー部130aには、下向きの矢印マークが表示されている。
【0045】
側方カバー1aを開くときは、ユーザーが、レバー部130aを表示された矢印マークに従ってレバー部130aを下方へ押し込む。すると、スライド部材130がコイルスプリング132の付勢力に抗して下方へ移動し、位置決めピン101aと爪部130bとの嵌合が外れ、側方カバー1aが開閉可能となる。この状態で、ユーザーが側方カバー1aの前側を、本体フレームから離れる方向に引っ張ると、側方カバー1aが、カバー支持ピン102aを支点にして側方カバー1aが回転し、側方カバー1aが開かれる。
【0046】
側方カバー1aを閉めるときは、側方カバー1aを閉じる方向に回動させていくと、爪部先端の傾斜面Kが位置決めピン101aに当接する。この状態で、さらに側方カバー1aを閉じていくと、スライド部材130が、位置決めピン101aにより下方へ押され、コイルスプリング132の付勢力に抗して下方へ移動する。そして、位置決めピン101aが傾斜面Kを乗り越えると、スライド部材130が、コイルスプリング132の付勢力で上方へ移動し、位置決めピン101aが爪部130bに嵌り、側方カバー1aが、本体フレーム100に位置決め固定される。
【0047】
このように、側方カバー1aが閉じられているとき、側方カバー1aは、位置決めピン101aにより位置決めされることで、側方カバー1aが取り付けられている手差し給送部4が、画像形成部1の狙いの位置に位置させることができる。
【0048】
図11は、手差しトレイにセットされた記録シートを給送するときに発生する振動の伝播について、説明する図である。
ソレノイド58を動作させて、手差しピックアップローラ52が手差しトレイ51に積載された記録シートに当接する際に全ての方向に振動が発生する。そのうちの上下方向の振動が横スジ画像など、画像に影響を及ぼす振動である。手差しピックアップローラ52が手差しトレイ51に積載された記録シートに当接する際に発生した振動は、手差し給送部4から側方カバー1aに伝達され、位置決めピン101aやカバー支持ピン102aを介して本体フレームの支柱101,102に伝達される。そして、矢印に示すように、その振動は、支柱101,102から感光体と書込みユニットとを仕切る仕切り板110に伝達される。
【0049】
仕切り板110は、上下方向に直交するように本体フレームに取り付けられており、上下方向には厚みが薄く、上下方向に撓みやすい形状である。従って、仕切り板110に手差し給送時の振動のうち上下方向の振動が伝播すると、仕切り板110が大きく上下方向に振動してしまう。
【0050】
書込みユニット20a,20bが、仕切り板110に直接支持されていたり、書込みユニットが取り付けられる取付部材たる書込みステーが、仕切り板に締結され、間接的に書込みユニットが仕切り板110に支持されていたりすると、その仕切り板110とともに書込みユニット20a,20bが大きく振動してしまう。書込みユニット20a,20bが振動している状態で、感光体に潜像の書込みが行なわれると、感光体に照射されるレーザ光の書込み位置(レーザー光の照射位置)が副走査方向に変化する。その結果、図12に示すように、記録シートPに形成された画像に、記録シート搬送方向に対して直交する方向に延びる横スジ画像Qが発生するおそれがあった。
【0051】
図13は、本実施形態の本体フレーム100の概略平面図である。また、図14は、書込みユニットを取り外した状態の本体フレーム100の概略構成図であり、(a)は、平面図、(b)は、図14(a)の一点鎖線で示すα-α断面図であり、(c)は、図14(a)の一点鎖線で示すβ-β断面図である。
【0052】
図に示すように本体フレーム100は、前側に配置された第一前側支柱101と、第二前側支柱103とに締結された前側板113aと、奥側に配置された第一奥側支柱102と、第二奥側支柱104とに締結された後側板113bとを有している。
また、梁部材としての3つの前後ステー111a,111b,111cが、前側板113aと後側板113bと仕切り板110とに締結されている。具体的には、第一前後ステー111aが、本体フレーム100の手差し給送部4側端部に配設されており、第三前後ステー111cが、本体フレーム100の手差し給送部4側とは反対側の端部に配設されている。第二前後ステー111bは、第一前後ステー111aと第三前後ステー111cとの間の略中央に配設されている。
【0053】
第一前後ステー111aと第二前後ステー111bとの間には、K色の感光体とC色の感光体とに潜像を書き込む第二書込みユニット20bが取り付けられる取付部材としての第一書込みステー112-1と第二書込みステー112-2とが所定の間隔を2個設けられている。また、第二前後ステー111bと第三前後ステー111cとの間には、M色の感光体とY色の感光体に潜像を書き込む第一書込みユニット20aが取り付けられる第三書込みステー112-3と第四書込みステー112-4が所定の間隔を2個設けられている。
【0054】
具体的には、図14(a)に示すように、仕切り板110の第一前後ステー111aと第二前後ステー111bとの間には、第二書込みユニット20bのレーザ光を感光体に照射させるための貫通孔110aが2個設けられている。第一書込みステー112-1は、第一前後ステー111と手差し給送部4側の貫通孔110aとの間に設けられており、第二書込みステー112-2は、第二前後ステー111bと、手差し給送部4側と反対側の貫通孔110aとの間に設けられている。
【0055】
第三書込みステー112-3は、仕切り板110の第二前後ステー111bと第三前後ステー111cとの間の領域に開けられた2つの貫通孔のうち、手差し給送部4側の貫通孔110aと第二前後ステー111bとの間に配設されている。また、第四書込みステー112-4は、2つの貫通孔のうち、手差し給送部4側と反対側の貫通孔110aと第三前後ステー111cとの間に配設されている。
【0056】
各書込みステー112-1,112-2,112-3,112-4(以下、第一から第四書込みステーを特に区別しないときは、書込みステー112とする)の前後方向(感光体の軸方向)の両端部には、側板113a,113bに締結する締結部112cが、前後ステーの並び方向に2個設けられており、各書込みステー112は、前側板113aと後側板113bにのみにネジ114により締結されている。
【0057】
このように、本実施形態では、各書込みステー112を前側板113aと後側板113bのみに締結し、仕切り板110には非締結としている。これにより、書込みステー112が仕切り板110とともに振動することがなく、書込みステー112の振動を抑制することができる。よって、書込みステー112に支持される書込みユニット20a,20bの振動を抑えることができる。
【0058】
また、本実施形態では、各書込みステー112を前側板113aと後側板113bのみに締結している。これにより、各書込みステー112には、前側板113aと後側板113bとから、手差し給送部4の振動が伝播する。前側板113aおよび後側板は、上下方向に平行に配設されており、上下方向と直交するように配置された仕切り板110に比べて、上下方向に振動し難い。従って、前側板113aや後側板113bを介して各書込みステー112に伝播した手差し給送装置150からの上下方向の振動は大きく低減される。その結果、各書込みステー112の振動を抑えることができ、書込みステー112に支持される書込みユニット20a,20bの振動を抑えることができる。これにより、図12に示すような横スジ画像が発生するのを抑制することができる。
【0059】
さらに、各書込みステー112は、図14(c)に示すように、仕切り板110から離間した位置で前側板113aと後側板113bとに締結されており、仕切り板110と非接触である。このように、仕切り板110と非接触とすることで、仕切り板110から直接、振動が伝播されることがない。よって、書込みステー112に支持される書込みユニット20a,20bの振動を抑えることができる。
【0060】
各書込みユニット20a,20bの4角には、書込みステー112に締結されるネジ止め部201が設けられている。各書込みユニット20a,20bの手差し給送部側の前後方向両端のネジ止め部201には、位置決め穴が形成されている。また、第一書込みステー112-1と第三書込みステー112-3の前側と後側には、それぞれ位置決め突起112a,112bが設けられている。
また、書込みステー112の前側と後側には、それぞれ内周面にネジ溝が形成されたネジ穴112dが設けられている。また、書込みステー112のネジ穴112dの周囲には書込みユニットの上下方向の位置精度を高めるための台座112fが設けられている(図15参照)。台座112fの座面の平面度は、書込みステー112表面の平面度よりも高く設定されている。
【0061】
第二書込みユニット20bは、第一書込みステー112-1に設けられた位置決め突起112a,112bにより位置決めされる。そして、第一書込みステー112-1、第二書込みステー112-2に設けられたネジ穴112dにネジ115をネジ込むことで、第二書込みユニット20bは、台座112f(図15参照)に当接して第一書込みステー112-1と第二書込みステー112-2とにネジ115により締結される。また、第一書込みユニット20aは、第三書込みステー112-3に設けられた位置決め突起112aにより位置決めされる。そして、第三書込みステー112-3、第四書込みステー112-4に設けられたネジ穴112dにネジ115をネジ込むことで、第一書込みユニット20aは、台座112f(図15参照)に当接して第三書込みステー112-3と第四書込みステー112-4とにネジ115により締結される。
【0062】
本実施形態では、書込みユニットが書込みステー112に締結されることで、書込みステーにしっかりと固定することができる。これにより、書込みユニットのがたつきを防止することができ、書込みユニットが振動するのを抑制することができる。
【0063】
各書込みステー112は、板金を曲げ加工して形成されたものであり、図14(c)に示すように、書込みユニットが取り付けられる鉛直方向に垂直な取付面と、取付面の左右方向の両端から下方に延び取付面と直交する一対の補強面とからなる断面アーチ形状となっている。このように、書込みステーを3面で構成して断面多角形状にすることで、板状の仕切り板110に比べて、剛性を強くすることができ、振動し難くすることができる。これにより、書込みステー112に手差し給送装置150の振動が伝播した際の書込みステー112の振動を抑えることができ、書込みステー112に支持される書込みユニットの振動を抑制することができる。
【0064】
また、書込みステー112の少なくとも書込みユニットと当接する面(台座112fの座面)が平面であるため、安定的書込みユニットを取り付けることができ、書込みユニットの振動を抑制することができる。
【0065】
また、本実施形態では、書込みユニット20a,20bは、書込みステー112にのみ締結されるので、他の部材から書込みユニット20a,20bへ振動が伝達されるのを抑制することができる。これにより、書込みユニット20a,20bの振動を抑制することができる。
【0066】
次に、書込みステー112の前側板113aと後側板113bへの取り付けについて、詳細に説明する。各書込みステー112は、書込みユニットが取り付けられる取付部材として機能の他に、書込みユニットを上下方向に位置決めする位置決め部材としての機能もある。従って、各書込みステー112は、前側板113aと後側板113bとに上下方向に位置決めされて取り付けられている。以下の説明では、第一書込みステー112-1の取り付けについて説明するが、他の書込みステー112-2,112-3,112-4についても同様にして各側板に取り付けられる。
【0067】
図15(a)は、第一書込みステー112-1の後側板113b付近の拡大斜視図であり、図15(b)は、第一書込みステー112-1の前側板113a付近の拡大斜視図である。図15(a)に示すように、後側板113bには、第一書込みステー112-1の後端を位置決めするための後端位置決め穴113b1が設けられており、第一書込みステー112-1の後端には、後端位置決め凸部112e1が設けられている。この第一書込みステー112-1の後端位置決め凸部112e1を、後端位置決め穴113b1に嵌め込むことで、第一書込みステー112-1の後側の上下方向が位置決めされる。
【0068】
また、図15(b)に示すように、前側板113aには、第一書込みステー112-1の前端を位置決めするための前端位置決め穴113a1が設けられており、第一書込みステー112-1の前端には、前端位置決め凸部112e2が設けられている。この第一書込みステー112-1の前端位置決め凸部112e2を、前端位置決め穴113a1に嵌め込むことで、第一書込みステー112-1の前側の上下方向が位置決めされる。
【0069】
このように、第一書込みステー112-1が前側板113aと後側板113bとに上下方向に位置決めされた状態で、前側板113aと後側板113bに締結されることで、第一書込みステー112-1を、本体フレーム100の上下方向の狙いの位置に精度よく取り付けることができる。また、他の書込みステー112-2,112-3,112-4についても、同様にして前側板113aと後側板113bに取りつけられる。これにより、書込みステー112に締結される書込みユニット20a,20bを、上下方向狙いの位置に取り付けることができる。
【0070】
図16は、前後ステーの断面二次モーメントと、書込みステー112の断面二次モーメントとを示すグラフである。図16に示すように、前後ステーの断面二次モーメントの方が、書込みステー112の断面二次モーメントよりもはるかに大きい。本実施形態では、書込みステー112と、前後ステーの材質が同一であり、前後方向の長さも同一である。従って、前後ステーの方が、書込みステー112よりも、はるかに曲げ剛性が強い。なお、曲げ剛性は、ヤング率をE、断面二次モーメントをI、前後方向の長さをLとすると、曲げ剛性=EI/Lで表されるものである。
【0071】
また、前後ステーと書込みステーの材質を異ならせて、前後ステーのヤング率を書込みステー112のヤング率Eよりも大きくして、前後ステーの曲げ剛性を、書込みステーの曲げ剛性よりも高くしてもよい。
【0072】
このように、曲げ剛性の強い前後ステーが前側板113aと後側板113bとに締結されることで、前側板113aや後側板113bにおける前後ステーとの当接箇所近傍は、他の箇所よりも振動し難い箇所となる。従って、前側板113aおよび後側板113bにおける2つの前後ステーの間の領域(図17の一点鎖線で示す範囲C1の領域)は、前後ステーとの当接箇所近傍の振動し難い箇所で振動がカットされるため、振動が伝わり難い領域といえる。
よって、前側板113aおよび後側板113bにおける図17に示す領域C1の箇所で、書込みステー112を締結することで、書込みステー112の振動を良好に抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、左右方向の中央に第二前後ステー111bを設けている。これにより、すべての書込みステー112を、前後ステーの近傍に配設することができる。その結果、すべての書込みステー112を、前側板113aや後側板113bにおける振動し難い前後ステーとの当接箇所近傍(図17の2点鎖線で示す領域C2)で締結することができ、書込みステー112の振動をより一層抑制することができる。
【0074】
次に、各書込みステー112を仕切り板110に締結した比較例と、本実施形態とについて、鉛直方向の振動を検証した検証実験について説明する。
【0075】
図18は、比較例の要部概略構成図である。図18(a)は、比較例における本体フレームの平面図であり、図18(b)は、図18(a)の一点鎖線で示すα-α断面図であり、図18(c)は、図18(a)の一点鎖線で示すβ-β断面図である。
図18の破線Zに示すように比較例は、書込みステー112を、前側板113aと後側板113bとに締結するとともに、前後2箇所を仕切り板110に締結したものである。
【0076】
比較例、実施形態について、それぞれ、手差し給送装置150の鉛直方向の振動と、第一書込みユニット20aの鉛直方向の振動とを測定した。
図19は、手差し給送装置150の鉛直方向の振動の測定ポイントを示す図である。
図19のS1に示すように、手差し給送装置150の鉛直方向の振動は、手差し給送装置150のソレノイド58を保持するブラケット150aの前後方向(軸方向)略中央を測定した。
【0077】
図20は、第二書込みユニット20bの鉛直方向の振動測定ポイントを示す図である。
図20のS2に示すように、第二書込みユニット20bの鉛直方向の振動は、第二書込みユニット20bのハウジングのK色の感光体へ照射されるレーザ光の光路上に配置された第一ミラー303aと、C色の感光体へ照射されるレーザ光の光路上に配置された長尺レンズ302との間の箇所を測定した。
【0078】
図21は(a)は、比較例における手差し給送装置150の鉛直方向の振動を測定した波形であり、図21(b)は、比較例における第二書込みユニット20bの鉛直方向の振動を測定した波形である。また、図22(a)は、本実施形態における手差し給送装置150の鉛直方向の振動を測定した波形であり、図22(b)は、本実施形態における第二書込みユニット20bの鉛直方向の振動を測定した波形である。
【0079】
図21(b)のX1の部分から明らかなように、手差し給送装置150が上下に振動するタイミングよりも少し遅れたタイミングで、第二書込みユニット20bの上下方向の振動が大きくなっていることがわかる。これは、比較例のものは、書込みステー112が仕切り板110にも締結されている。そのため、手差し給送装置150の上下方向の振動が仕切り板110に伝播し、仕切り板110とともに書込みステー112が振動したためであると考えられる。
【0080】
これに対し、本実施形態では、図22に示すように、手差し給送装置150が上下に振動するタイミングよりも少し遅れたタイミングでも、第二書込みユニット20bは、上下に大きく振動していない。このように、本実施形態の構成とすることで、書込みステー112に伝播する手差し給送装置150の上下方向の振動が低減され、書込みステー112に支持された書込みユニットの振動を抑制できることが確認された。
【0081】
次に、変形例について説明する。
図23は、変形例の要部概略構成図である。図23(a)は、変形例における本体フレーム100の平面図であり、図23(b)は、図23(a)の一点鎖線で示すα-α断面図であり、図23(c)は、図23(a)の一点鎖線で示すβ-β断面図である。
図に示すように、この変形例においては、振動源である手差し給送装置150側に配置される第二書込みユニット20bが取り付けられる第一書込みステー112-1と第二書込みステー112-2は、前側板113aと後側板113bにのみ締結する。一方、手差し給送装置150から離れた側に配置される第一書込みユニット20aが取り付けられる第三書込みステー112-3と第四書込みステー112-4は、前側板113a、後側板113bおよび仕切り板110に締結するものである。
【0082】
先の図18に示す比較例においては、書込みステー112を仕切り板110にも締結することで、本体フレーム100全体のメカ剛性を高めることができるが、上述したように、書込みステー112を仕切り板110にも締結すると、書込みユニットが大きく上下方向に振動するおそれがある。
【0083】
しかし、振動源である手差し給送装置150から離れるほど、鉛直方向の振動が減衰していく。また、手差し給送装置150の鉛直方向の振動は、主に仕切り板110の手差し給送装置150側から伝播する。仕切り板110の手差し給送装置150側から伝播した手差し給送装置150の上下方向の振動は、曲げ剛性の強い第二前後ステー111bの当接箇所で低減される。その結果、仕切り板110の第二前後ステー111bよりも手差し給送装置150側と反対側は、仕切り板110の第二前後ステー111bよりも手差し給送装置150側よりも振動が低減されている。従って、第三書込みステー112-3や第四書込みステー112-4を仕切り板110に締結しても、仕切り板110とともに大きく振動することがない。よって、第三書込みステー112-3、第四書込みステー112-4に締結される第一書込みユニット20aは、大きく振動することがない。
【0084】
また、第三書込みステー112-3、第四書込みステー112-4を、仕切り板110に締結することで、すべての書込みステー112を仕切り板110に非締結としたものに比べて、本体フレーム100全体のメカ剛性を高めることができる。
【0085】
以上に説明したものは一例であり、次の態様毎に特有の効果を奏する。
(態様1)
感光体41などの潜像担持体と、潜像担持体に潜像を書き込む書込み装置(本実施形態では、書込みユニット20と書き込みステーと112で構成)と、潜像担持体と書込み装置との間を仕切る仕切り板110とを備えた画像形成装置において、書込み装置は、潜像担持体の軸方向に所定の間隔を開けて対向する一対の側板113a,113bなどの側方部材に固定されるとともに、前記仕切り板には当接しない。
実施形態で説明したように、仕切り板は板状であり仕切り板の面に対して直交する方向は振動しやすい。画像形成装置には、例えば、ピックアップローラなど、シートなどの相手部材に対して接離する接離部材が備えられており、この接離部材が相手部材に当接する際の衝撃などで、装置内で仕切り板の面に対して直交する方向の振動が発生することがある。この振動が仕切り板に伝播すると、仕切り板が面に対して直交する方向に大きく振動してしまう。
特許文献1に記載の画像形成装置においては、書込み装置を仕切り板に固定しているため、上述したように仕切り板が面に対して直交する方向に振動すると、書込み装置が仕切り板とともに振動し、特定周期の画像ムラが発生するおそれがあった。
これに対し、態様1では、仕切り板とは別の側板113a,113bなどの側方部材に固定した。これにより、書込み装置が仕切り板とともに振動するのを防止することができる。また、書込み装置は、仕切り板には当接しないため、仕切り板の振動が、直接、書込み装置に伝播するのを抑制することができ、書込み装置の振動が抑制される。これにより、書込み装置の振動を良好に抑制することができ、特定周期の画像ムラを良好に抑制することができる。
【0086】
(態様2)
態様1において、側方部材は、側板である。
これによれば、側板113a,113bは、仕切り板の面に対して直交する方向に振動し難いため、仕切り板とともに側板が振動するのが抑制される。この側板113a,113bに書込み装置が固定されるため、書込み装置の振動が抑制することができる。
【0087】
(態様3)
態様1または2において、書込み装置は、書込みユニット20と、書込みユニット20を取り付ける書込みステー112などの取付部材とを含む。
これによれば、書込みユニットを取付部材に取り付けることで、書込みユニットが振動し難くなる。これにより、書込み装置の振動を良好に抑制することができ、特定周期の画像ムラを良好に抑制することができる。
【0088】
(態様4)
態様3において、書込みステー112などの取付部材は、一対の側板113a,113bなどの側方部材に固定されるとともに、仕切り板110には当接しない。
これによれば、書込みステー112などの取付部材が仕切り板110とともに振動するのを防止することができる。また、取付部材は、仕切り板110には当接しないため、仕切り板110の振動が、直接、取付部材に伝播するのを抑制することができ、取付部材の振動が抑制される。これにより、取付部材に取り付けられた書込みユニット20の振動を良好に抑制することができ、特定周期の画像ムラを良好に抑制することができる。
【0089】
(態様5)
態様3または4において、書込みユニット20は、書込みステー112などの取付部材にのみ当接する。
これによれば、書込みユニット20は、振動が抑制された取付部材のみから振動が伝播されることになり、書込みユニット20の振動を良好に抑制することができる。
【0090】
(態様6)
態様3乃至5いずれかにおいて、書込みステー112などの取付部材の剛性は、仕切り板110の剛性よりも大きい。
これによれば、書込みステー112などの取付部材を仕切り板110よりも振動し難くすることができ、書込みユニットの振動を抑制することができる。
【0091】
(態様7)
態様6において、書込みステー112などの取付部材の断面形状は、多角形状(本実施形態では、アーチ形状)である。
これによれば、実施形態で説明したように、板状の仕切り板110よりも書込みステー112などの取付部材の剛性を大きくすることができる。
【0092】
(態様8)
態様3乃至7いずれかにおいて、書込みステー112などの取付部材は、書込みユニット20と当接する台座112fなどの当接部を備えており、当接部の座面などの書込みユニット20との当接面は、平面状である。
これによれば、実施形態で説明したように、書込みユニットを安定的に取り付けることができ、書込みユニット20の振動を抑制することができる。
【0093】
(態様9)
態様3乃至8いずれかにおいて、一対の側板113a,113bに締結された前後ステーなどの梁部材を備え、梁部材の曲げ剛性が、書込みステー112などの取付部材の曲げ剛性よりも大きい。
これによれば、実施形態で説明したように一対の側板の振動を抑制することができる。これにより、側板に締結される取付部材の振動を抑制することができ、書込み装置の振動を抑制することができる。
【0094】
(態様10)
態様9において、前後ステーなどの梁部材の断面二次モーメントが、書込みステー112などの取付部材の断面二次モーメントよりも大きい。
これによれば、実施形態で説明したように、前後ステーなどの梁部材の曲げ剛性を、書込みステー112などの取付部材の曲げ剛性よりも大きくすることができる。
【0095】
(態様11)
態様9または10において、前後ステーなどの梁部材のヤング率が、書込みステーなどの取付部材のヤング率よりも大きい。
これによれば、実施形態で説明したように、前後ステーなどの梁部材の曲げ剛性を、書込みステー112などの取付部材の曲げ剛性よりも大きくすることができる。
【0096】
(態様12)
態様9乃至11いずれかにおいて、前後ステーなどの梁部材は、仕切り板110と平行な方向に所定の間隔を開けて複数設けられており、書込みステーなどの取付部材は、平行な方向において、梁部材の間で、かつ、梁部材の並び方向から見たとき梁部材と重なるように配置されている。
これによれば、図17を用いて説明したように、書込みステーなどの取付部材を、一対の側板の振動が伝達され難い領域に締結することができ、取付部材の振動を抑制することができる、これにより、取付部材に支持された書込みユニットなどの書込み装置の振動を抑制することができる。
【0097】
(態様13)
態様9乃至12いずれかにおいて、前後ステーなどの梁部材は、仕切り板110にも締結されている。
これによれば、装置本体の全体的なメカ剛性を高めることができる。
【0098】
(態様14)
態様1乃至13いずれかにおいて、特定の書込み装置は、一対の側方部材に固定されるとともに、仕切り板には当接しないように構成されており、特定の書込み装置以外の書込み装置は、一対の側方部材に固定されるとともに、仕切り板に当接するように構成される。
これによれば、特定の書込み装置の振動を抑制することができる。
【0099】
(態様15)
態様14において、特定の書込み装置は、複数の書込み装置のうち、最も振動発生源(本実施形態では、手差し給送装置150)に近い位置に配置された書込み装置(本実施形態では第二書込みユニット20b)である。
これによれば、実施形態で説明したように、特定の書込み装置の振動を抑制することができる。
【符号の説明】
【0100】
1 :画像形成部
1a :側方カバー
1a1 :支持部
1b :止め輪
4 :手差し給送部
20a :第一書込みユニット
20b :第二書込みユニット
40 :プロセスカートリッジ
41 :感光体
51 :手差しトレイ
52 :手差しピックアップローラ
53 :手差し分離給送手段
55 :アーム
55a :ローラ取り付け部
55b :バネ取り付け部
55c :突き当て突起
56 :バネ
57 :作動部材
57a :支持軸
58 :ソレノイド
58a :プランジャ
59 :作動バネ
60 :トルクリミッタ
61 :スプリング
62a :入力ギヤ
62b :駆動ギヤ
63 :手差しピックアップローラ
70 :光源ユニット
71 :光源
100 :本体フレーム
101 :第一前側支柱
101a :位置決めピン
102 :第一奥側支柱
102a :カバー支持ピン
103 :第二前側支柱
104 :第二奥側支柱
110 :仕切り板
110a :貫通孔
111 :第一前後ステー
111b :第二前後ステー
111c :第三前後ステー
112-1 :第一書込みステー
112-2 :第二書込みステー
112-3 :第三書込みステー
112-4 :第四書込みステー
112a :位置決め突起
112e1 :後端位置決め凸部
112e2 :前端位置決め凸部
113a :前側板
113a1 :前端位置決め穴
113b :後側板
113b1 :後端位置決め穴
114 :ネジ
115 :ネジ
130 :スライド部材
130a :レバー部
130b :爪部
131 :スライド軸
132 :コイルスプリング
150 :手差し給送装置
150a :ブラケット
153 :手差しフィードローラ
153b :回転軸
201 :ネジ止め部
202 :偏向器
253 :手差しリバースローラ
【先行技術文献】
【特許文献】
【0101】
【文献】特開2005-249933号公報
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