(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】樹脂組成物および成形品
(51)【国際特許分類】
C08L 101/00 20060101AFI20240613BHJP
C08L 83/04 20060101ALI20240613BHJP
C08L 85/02 20060101ALI20240613BHJP
C08K 5/5399 20060101ALI20240613BHJP
C08L 69/00 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
C08L101/00
C08L83/04
C08L85/02
C08K5/5399
C08L69/00
(21)【出願番号】P 2020054640
(22)【出願日】2020-03-25
【審査請求日】2022-12-05
(73)【特許権者】
【識別番号】594137579
【氏名又は名称】三菱エンジニアリングプラスチックス株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000006035
【氏名又は名称】三菱ケミカル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000109
【氏名又は名称】弁理士法人特許事務所サイクス
(72)【発明者】
【氏名】入江 康行
(72)【発明者】
【氏名】渡部 拓海
(72)【発明者】
【氏名】寺田 憲章
【審査官】横山 法緒
(56)【参考文献】
【文献】特開2001-200151(JP,A)
【文献】国際公開第2020/013127(WO,A1)
【文献】特開2001-026704(JP,A)
【文献】特開2004-067881(JP,A)
【文献】特開平11-222559(JP,A)
【文献】特開2016-023290(JP,A)
【文献】特開2015-108120(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08L 1/00-101/14
C08K 3/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂と、ホスファゼン化合物と、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンを含み、
前記ホスファゼン化合物の含有量を[α]、前記オルガノポリシロキサンの含有量を[β]としたときに、[α]/[β]が2.3以上500以下である、樹脂組成物であって、
前記樹脂組成物を3mm厚さに成形したときのHAZEが0.7%以下であ
り、
前記樹脂組成物におけるホスファゼン化合物の含有量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対し、1質量部以上30質量部以下であり、
前記樹脂組成物におけるオルガノポリシロキサンの含有量は、前記熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.06質量部以上2.3質量部以下である、樹脂組成物。
【請求項2】
前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂を含む、請求項1に記載の樹脂組成物。
【請求項3】
前記ホスファゼン化合物が、下記式(P1)で表される化合物を含む、請求項1または2に記載の樹脂組成物。
式(P1)
【化1】
(式(P1)中、aは3~25の整数であり、R
P1およびR
P2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アリール基またはアルキルアリール基を示す。)
【請求項4】
前記オルガノポリシロキサンが下記式(1)で表される化合物を含む、請求項1~3のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
式(1)
(R
1R
2R
3SiO
1/2)
M(R
4R
5SiO
2/2)
D(R
6SiO
3/2)
T(SiO
4/2)
Q(O
1/2R
7)
E1(O
1/2H)
E2
(式(1)中、R
1~R
6は、それぞれ独立に、水素原子または有機基であり、R
7は有機基であり、M、D、TおよびQは、それぞれ独立に、0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4であり、0≦D/(T+Q)≦0.4である。)
【請求項5】
前記式(1)において、0.30≦M≦0.60を満たす、請求項4に記載の樹脂組成物。
【請求項6】
前記式(1)において、D=0である、請求項4または5に記載の樹脂組成物。
【請求項7】
前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01~10mol%の範囲で含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項8】
前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01~5mol%の範囲で含む、請求項1~7のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項9】
前記オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が500以上2000以下である、請求項1~8のいずれか1項に記載の樹脂組成物。
【請求項10】
請求項1~9のいずれか1項に記載の樹脂組成物から形成された成形品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は樹脂組成物および成形品に関する。
【背景技術】
【0002】
熱可塑性樹脂、例えばポリカーボネート樹脂は、機械的強度、耐熱性、透明性等に優れた樹脂として電気・電子・OA機器の各種部品、自動車部品、建材、医療用途、雑貨等の分野で幅広く用いられている。
【0003】
これらの用途においては、安全上、高度の難燃性が要求される。そして、従来から、難燃性を有するポリカーボネート樹脂組成物としては、臭素系難燃剤やリン系難燃剤をポリカーボネート樹脂に配合したものが用いられている。
しかし、臭素系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物は、熱安定性の低下を招いたり、成形加工時における成形機のスクリューや成形金型の腐食を招いたりすることがある。また、リン系難燃剤を配合したポリカーボネート樹脂組成物はポリカーボネート樹脂の特徴である高い透明性を阻害したり、耐衝撃性、耐熱性の低下を招いたりするため、その用途が制限されることがある。
【0004】
これに対して、オルガノポリシロキサンは、耐熱性が高く、燃焼時に有害ガスを発生しにくく、それ自体の安全性も高いため、これを難燃剤として利用しようとする試みが数多くなされてきた(特許文献1~3参照)。
しかしながら、オルガノポリシロキサンは、単独の添加では大きな難燃効果を持つものは極めて少なく、比較的効果が認められたものでも電気電子機器関係の厳しい難燃基準を満たすには多量に添加する必要があり、その結果、プラスチックスの成形性、混練性および他の必要特性に悪影響が生じ、またコスト的にも不利であるため、実用的ではないものが多かった。
かかる状況のもと、本出願人は、(A)熱可塑性樹脂100質量部に対し、(B)金属塩系難燃剤を0質量部以上0.2質量部以下、およびオルガノポリシロキサンを0.05質量部以上3質量部未満含有し、オルガノポリシロキサンは分子量分布(Mw/Mn)が1.01~1.4であることを特徴とする樹脂組成物が開示している。また、かかる樹脂組成物が、難燃性に優れることを開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特公昭62-060421号公報
【文献】特開平01-318069号公報
【文献】特開平10-139964号公報
【文献】国際公開第2020/013127号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の通り、上記特許文献4に記載の樹脂組成物は、優れた難燃性を達成している。しかしながら、熱可塑性樹脂の用途は拡大しており、さらに新規な難燃性に優れた樹脂材料が求められている。
本発明はかかる課題を解決することを目的とするものであって、熱可塑性樹脂とオルガノポリシロキサンを含む新規樹脂組成物であって、難燃性に優れた樹脂組成物、および、成形品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題のもと、本発明者らが検討を行った結果、ホスファゼン化合物と所定のオルガノポリシロキサンを併用し、その比率を調整することにより、難燃性効果を十分に発揮できる樹脂組成物を提供できることを見出し、本発明を完成するに至った。
具体的には、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>熱可塑性樹脂と、ホスファゼン化合物と、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンを含み、前記ホスファゼン化合物の含有量を[α]、前記オルガノポリシロキサンの含有量を[β]としたときに、[α]/[β]が2.3以上500以下である、樹脂組成物。
<2>前記熱可塑性樹脂がポリカーボネート樹脂を含む、<1>に記載の樹脂組成物。
<3>前記ホスファゼン化合物が、下記式(P1)で表される化合物を含む、<1>または<2>に記載の樹脂組成物。
式(P1)
【化1】
(式(P1)中、aは3~25の整数であり、R
P1およびR
P2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アリール基またはアルキルアリール基を示す。)
<4>前記オルガノポリシロキサンが下記式(1)で表される化合物を含む、<1>~<3>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
式(1)
(R
1R
2R
3SiO
1/2)
M(R
4R
5SiO
2/2)
D(R
6SiO
3/2)
T(SiO
4/2)
Q(O
1/2R
7)
E1(O
1/2H)
E2
(式(1)中、R
1~R
6は、それぞれ独立に、水素原子または有機基であり、R
7は有機基であり、M、D、TおよびQは、それぞれ独立に、0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4であり、0≦D/(T+Q)≦0.4である。)
<5>前記式(1)において、0.30≦M≦0.60を満たす、<4>に記載の樹脂組成物。
<6>前記式(1)において、D=0である、<4>または<5>に記載の樹脂組成物。
<7>前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01~10mol%の範囲で含む、<1>~<6>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<8>前記オルガノポリシロキサンが、オルガノオキシ基を該オルガノポリシロキサンに含まれる全有機基に対して0.01~5mol%の範囲で含む、<1>~<7>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<9>前記オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が500以上2000以下である、<1>~<8>のいずれか1つに記載の樹脂組成物。
<10><1>~<9>のいずれか1つに記載の樹脂組成物から形成された成形品。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、熱可塑性樹脂とオルガノポリシロキサンを含む新規樹脂組成物であって、難燃性に優れた樹脂組成物、および、成形品を提供可能になった。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を実施するための形態(以下、単に「本実施形態」という)について詳細に説明する。なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は本実施形態のみに限定されない。
なお、本明細書において「~」とはその前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味で使用される。
本明細書において、各種物性値および特性値は、特に述べない限り、25℃におけるものとする。
本明細書における基(原子団)の表記において、置換および無置換を記していない表記は、置換基を有さない基(原子団)と共に置換基を有する基(原子団)をも包含する。例えば、「アルキル基」とは、置換基を有さないアルキル基(無置換アルキル基)のみならず、置換基を有するアルキル基(置換アルキル基)をも包含する。本明細書では、置換および無置換を記していない表記は、無置換の方が好ましい。
なお、本明細書における「質量部」とは成分の相対量を示し、「質量%」とは成分の絶対量を示す。
【0010】
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂と、ホスファゼン化合物と、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンを含み、前記ホスファゼン化合物の含有量を[α]、前記オルガノポリシロキサンの含有量を[β]としたときに、[α]/[β]が2.3以上500以下であることを特徴とする。
このような構成とすることにより、難燃性を高くすることができる。特に、オルガノポリシロキサンを配合し、そのメリットを生かしつつ、難燃性を高くすることができる。この難燃性発現のメカニズムは、狭分子量分布を有するオルガノポリシロキサンの接炎部への迅速な移行と、さらにその際にオルガノポリシロキサン‐ホスファゼンの相互作用によってホスファゼンも接炎部に移行することによると推定される。すなわち、接炎部でのオルガノポリシロキサンとホスファゼンの濃度が高くなることで、迅速に炭化層が形成されることで、高い難燃性を発現すると推測される。また、このような構成にすることにより、可塑化効果によって熱可塑性樹脂の流動性が向上し、薄肉部の成形性や大型部材の成形性と向上すると推定される。このメカニズムは狭分子量分布をもつオルガノポリシロキサンとホスファゼンが熱可塑性樹脂組成物内に均一に分散することで、熱可塑性樹脂の主鎖の絡み合いが低減されるためであると推定される。
【0011】
<熱可塑性樹脂>
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を含む。本実施形態で用いる熱可塑性樹脂としては、特に制限はなく、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、ハイインパクトポリスチレン樹脂、ポリアルキルメタクリレート樹脂、ポリフェニルエーテル樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂等が挙られる。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。本実施期形態では、ポリカーボネート樹脂を含むことが好ましく、熱可塑性樹脂の90質量%以上(好ましくは95質量%以上、より好ましくは99質量%以上)がポリカーボネート樹脂であることがより好ましい。
【0012】
<<ポリカーボネート樹脂>>
ポリカーボネート樹脂は、その種類に制限はない。
ポリカーボネート樹脂は、一般式:-[-O-X-O-C(=O)-]-で表わされる、炭酸結合を有する基本構造の重合体である。なお、式中、Xは、一般には炭化水素基であるが、種々の特性付与のためヘテロ原子、ヘテロ結合の導入されたXを用いてもよい。
また、ポリカーボネート樹脂は、炭酸結合に直接結合する炭素がそれぞれ芳香族炭素である芳香族ポリカーボネート樹脂、および脂肪族炭素である脂肪族ポリカーボネート樹脂に分類できるが、いずれを用いることもできる。なかでも、耐熱性、機械的物性、電気的特性等の観点から、芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましい。
【0013】
ポリカーボネート樹脂の具体的な種類に制限はないが、例えば、ジヒドロキシ化合物とカーボネート前駆体とを反応させてなるポリカーボネート重合体が挙げられる。この際、ジヒドロキシ化合物およびカーボネート前駆体に加えて、ポリヒドロキシ化合物等を反応させるようにしてもよい。また、二酸化炭素をカーボネート前駆体として、環状エーテルと反応させる方法も用いてもよい。またポリカーボネート重合体は、直鎖状でもよく、分岐鎖状でもよい。さらに、ポリカーボネート重合体は1種の繰り返し単位からなる単重合体であってもよく、2種以上の繰り返し単位を有する共重合体であってもよい。このとき共重合体は、ランダム共重合体、ブロック共重合体等、種々の共重合形態を選択することができる。なお、通常、このようなポリカーボネート重合体は、熱可塑性の樹脂となる。
【0014】
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、芳香族ジヒドロキシ化合物の例としては、
1,2-ジヒドロキシベンゼン、1,3-ジヒドロキシベンゼン(即ち、レゾルシノール)、1,4-ジヒドロキシベンゼン等のジヒドロキシベンゼン類;
2,5-ジヒドロキシビフェニル、2,2’-ジヒドロキシビフェニル、4,4’-ジヒドロキシビフェニル等のジヒドロキシビフェニル類;
2,2’-ジヒドロキシ-1,1’-ビナフチル、1,2-ジヒドロキシナフタレン、1,3-ジヒドロキシナフタレン、2,3-ジヒドロキシナフタレン、1,6-ジヒドロキシナフタレン、2,6-ジヒドロキシナフタレン、1,7-ジヒドロキシナフタレン、2,7-ジヒドロキシナフタレン等のジヒドロキシナフタレン類;
2,2’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、3,3’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルエーテル、1,4-ビス(3-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4-ヒドロキシフェノキシ)ベンゼン等のジヒドロキシジアリールエーテル類;
【0015】
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン(即ち、ビスフェノールA)、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-メトキシ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
1,1-ビス(3-tert-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3,5-ジメチル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2-ビス(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-(3-シクロヘキシル-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、
α,α’-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1,4-ジイソプロピルベンゼン、
1,3-ビス[2-(4-ヒドロキシフェニル)-2-プロピル]ベンゼン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキシルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)(4-プロペニルフェニル)メタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ジフェニルメタン、
ビス(4-ヒドロキシフェニル)ナフチルメタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)エタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-フェニルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-1-ナフチルエタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ブタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)オクタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘキサン、
4,4-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ヘプタン、
2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ノナン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)デカン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)ドデカン、
等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;
【0016】
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,4-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,5-ジメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシ-3,5-ジメチルフェニル)-3,3,5-トリメチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-プロピル-5-メチルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-tert-ブチル-シクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-3-フェニルシクロヘキサン、
1,1-ビス(4-ヒドロキシフェニル)-4-フェニルシクロヘキサン、
等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;
【0017】
9,9-ビス(4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、
9,9-ビス(4-ヒドロキシ-3-メチルフェニル)フルオレン等のカルド構造含有ビスフェノール類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルフィド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;
4,4’-ジヒドロキシジフェニルスルホン、
4,4’-ジヒドロキシ-3,3’-ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類;
等が挙げられる。
【0018】
これらの中でもビス(ヒドロキシアリール)アルカン類が好ましく、中でもビス(4-ヒドロキシフェニル)アルカン類が好ましく、特に耐衝撃性、耐熱性の点から2,2-ビス(4-ヒドロキシフェニル)プロパン、即ち、ビスフェノールAが好ましい。
なお、芳香族ジヒドロキシ化合物は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。また、シロキサン構造を有するポリマーまたはオリゴマーとの共重合体等の、ポリカーボネート樹脂を主体とする共重合体であってもよい。
【0019】
また、脂肪族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーの例を挙げると、
エタン-1,2-ジオール、プロパン-1,2-ジオール、プロパン-1,3-ジオール、2,2-ジメチルプロパン-1,3-ジオール、2-メチル-2-プロピルプロパン-1,3-ジオール、ブタン-1,4-ジオール、ペンタン-1,5-ジオール、ヘキサン-1,6-ジオール、デカン-1,10-ジオール等のアルカンジオール類;
【0020】
シクロペンタン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,2-ジオール、シクロヘキサン-1,4-ジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、4-(2-ヒドロキシエチル)シクロヘキサノール、2,2,4,4-テトラメチル-シクロブタン-1,3-ジオール等のシクロアルカンジオール類;
【0021】
エチレングリコール、2,2’-オキシジエタノール(即ち、ジエチレングリコール)、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、スピログリコール等のグリコール類;
【0022】
1,2-ベンゼンジメタノール、1,3-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジメタノール、1,4-ベンゼンジエタノール、1,3-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ベンゼン、2,3-ビス(ヒドロキシメチル)ナフタレン、1,6-ビス(ヒドロキシエトキシ)ナフタレン、4,4’-ビフェニルジメタノール、4,4’-ビフェニルジエタノール、1,4-ビス(2-ヒドロキシエトキシ)ビフェニル、ビスフェノールAビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル、ビスフェノールSビス(2-ヒドロキシエチル)エーテル等のアラルキルジオール類;
【0023】
1,2-エポキシエタン(即ち、エチレンオキシド)、1,2-エポキシプロパン(即ち、プロピレンオキシド)、1,2-エポキシシクロペンタン、1,2-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、1-メチル-1,2-エポキシシクロヘキサン、2,3-エポキシノルボルナン、1,3-エポキシプロパン等の環状エーテル類;等が挙げられる。
【0024】
芳香族ポリカーボネート樹脂の原料となるモノマーのうち、カーボネート前駆体の例を挙げると、カルボニルハライド、カーボネートエステル等が使用される。なお、カーボネート前駆体は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせおよび比率で併用してもよい。
【0025】
カルボニルハライドとしては、具体的には例えば、ホスゲン;ジヒドロキシ化合物のビスクロロホルメート体、ジヒドロキシ化合物のモノクロロホルメート体等のハロホルメート等が挙げられる。
【0026】
カーボネートエステルとしては、具体的には例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリルカーボネート等のジアリールカーボネート類;ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート等のジアルキルカーボネート類;ジヒドロキシ化合物のビスカーボネート体、ジヒドロキシ化合物のモノカーボネート体、環状カーボネート等のジヒドロキシ化合物のカーボネート体等が挙げられる。
【0027】
本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂の実施形態の一例として、式(A1)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上(好ましくは60mol%以上、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上、一層好ましくは90mol%以上)含むポリカーボネート樹脂が例示される。
式(A1)
【化2】
式(A1)中、X
A1は下記のいずれかの式を表し、
【化3】
R
A3およびR
A4は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6~12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
【0028】
式(A1)中、X
Aは、
【化4】
であることが好ましい。
R
A3およびR
A4は、少なくとも一方がメチル基であることが好ましく、両方がメチル基であることがより好ましい。
【0029】
ZがCと結合して形成される脂環式炭化水素としては、シクロヘキシリデン基、シクロヘプチリデン基、シクロドデシリデン基、アダマンチリデン基、シクロドデシリデン基等のシクロアルキリデン基が挙げられる。ZがCと結合して形成される置換基を有する脂環式炭化水素としては、上述した脂環式炭化水素基のメチル置換体、エチル置換体などが挙げられる。これらの中でも、シクロヘキシリデン基、シクロヘキシリデン基のメチル置換体(好ましくは3,3,5-トリメチル置換体)、シクロドデシリデン基が好ましい。
【0030】
本実施形態において、式(A1)で表される構成単位以外の他の構成単位としては、例えば、他の構成単位の一実施形態として、国際公開第2017/099226号の段落0008に記載の式(1)で表される構成単位、国際公開第2017/099226号の段落0043~0052の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0031】
本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂の他の実施形態の他の一例として、式(A2)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上(好ましくは60mol%以上、より好ましくは70mol%以上、さらに好ましくは80mol%以上、一層好ましくは90mol%以上)含むポリカーボネート樹脂が例示される。
式(A2)
【化5】
式(A2)中、R
A1はメチル基を表し、R
A2は水素原子またはメチル基を表し、X
A2は下記のいずれかの式を表し、
【化6】
R
A3およびR
A3は、それぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、ZはCと結合して炭素数6~12の、置換基を有していてもよい脂環式炭化水素を形成する基を表す。
【0032】
式(A2)中の2つのRA2は、それぞれ同一でも、異なっていてもよく、好ましくは同一である。RA2は水素原子であることが好ましい。
XA2におけるRA3およびRA4は、XA1におけるRA3およびRA4と同義であり、好ましい範囲も同様である。
【0033】
本実施形態において、式(A2)で表される構成単位以外の他の構成単位としては、例えば、上述の式(A1)で表される構成単位、ならびに、上述の式(A1)で表される構成単位以外の他の構成単位として例示したものが例示される。
【0034】
本実施形態のポリカーボネート樹脂のさらに他の実施形態として、式(A1)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上含むポリカーボネート樹脂と式(A2)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上を含むポリカーボネート樹脂の両方を含む形態である。本実施形態では、式(A1)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上含むポリカーボネート樹脂40~90質量%(好ましくは50~80質量%、より好ましくは60~80質量%)と、式(A2)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上を含むポリカーボネート樹脂60~10質量%(好ましくは50~20質量%、より好ましくは40~20質量%)を含むことが好ましい。
【0035】
<<ポリカーボネート樹脂の製造方法>>
ポリカーボネート樹脂の製造方法は、特に限定されるものではなく、任意の方法を採用できる。その例を挙げると、界面重合法、溶融エステル交換法、ピリジン法、環状カーボネート化合物の開環重合法、プレポリマーの固相エステル交換法などを挙げることができる。界面重合法の詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0031~0038の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。溶融エステル交換法の詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0039~0044の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0036】
<<ポリカーボネート樹脂の物性>>
ポリカーボネート樹脂は、構造粘性指数Nが所定範囲にあるポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが好ましい。
構造粘性指数Nとは、溶融体の流動特性を評価する指標である。通常、ポリカーボネート樹脂の溶融特性は、数式:γ=a・σNにより表示することができる。なお、式中、γ:剪断速度、a:定数、σ:応力、N:構造粘性指数を表す。
【0037】
上述の数式において、N=1のときはニュートン流動性を示し、Nの値が大きくなるほど非ニュートン流動性が大きくなる。つまり、構造粘性指数Nの大小により溶融体の流動特性が評価される。一般に、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂は、低剪断領域における溶融粘度が高くなる傾向がある。このため、構造粘性指数Nが大きいポリカーボネート樹脂を別のポリカーボネート樹脂と混合した場合、得られる樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性を向上させることができる。
【0038】
ポリカーボネート樹脂の実施形態として、構造粘性指数Nが好ましくは1.2以上、より好ましくは1.25以上、さらに好ましくは1.28以上であり、また、好ましくは1.8以下、より好ましくは1.7以下のポリカーボネート樹脂を一定割合以上含有することが挙げられる。このように構造粘性指数Nが高いポリカーボネート樹脂を含有させることにより、本実施形態の樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性をより向上させることが容易になる。また、構造粘性指数Nを前記範囲の上限値以下とすることにより、本実施形態の樹脂組成物の成形性をより良好な範囲に維持できる。
【0039】
なお、構造粘性指数Nは、例えば特開2005-232442号公報に記載されているように、上述の式を誘導した、Logηa=〔(1-N)/N〕×Logγ+Cによって表示することも可能である。なお、前記式中、N:構造粘性指数、γ:剪断速度、C:定数、ηa:見かけの粘度を表す。この式から分かるように、粘度挙動が大きく異なる低剪断領域におけるγとηaからN値を評価することもできる。例えば、γ=12.16sec-1およびγ=24.32sec-1でのηaからN値を決定することができる。
【0040】
本実施形態の樹脂組成物において、使用されるポリカーボネート樹脂が、上述した構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂を含む場合は、ポリカーボネート樹脂中、10質量%以上含むことが好ましく、15質量%以上であることがより好ましく、20質量%以上であることがさらに好ましい。なお、上限に制限はなく、100質量%であってもよいが、好ましくは45質量%以下であり、より好ましくは40質量%以下であり、さらに好ましくは35質量%以下であり、一層好ましくは30質量%以下である。10質量%以上とすることにより、難燃剤をより向上させることができる。
【0041】
上述の構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂は、例えば、分岐構造を有するポリカーボネート樹脂(以下、適宜「分岐ポリカーボネート樹脂」という。)を製造するようにすると得られやすい。分岐ポリカーボネート樹脂は構造粘性指数Nが高くなる傾向があるためである。
【0042】
ポリカーボネート樹脂は、構造中に分岐が存在するものであってもよい。
分岐ポリカーボネート樹脂の製造方法は、国際公開第2020/013127号の段落0050~0054の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0043】
本実施形態の樹脂組成物において使用されるポリカーボネート樹脂の分子量は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、溶液粘度から換算した粘度平均分子量[Mv]は、通常10000以上、好ましくは12000以上、より好ましくは14000以上であり、また、通常40000以下、好ましくは35000以下、より好ましくは30000以下である。粘度平均分子量を前記範囲の下限値以上とすることにより本実施形態の樹脂組成物の機械的強度をより向上させることができ、機械的強度の要求の高い用途に用いる場合により好ましいものとなる。一方、粘度平均分子量を前記範囲の上限値以下とすることにより本実施形態の樹脂組成物の流動性低下を抑制して改善でき、成形加工性を高めて成形加工を容易に行えるようになる。
なお、本実施形態の樹脂組成物においては、粘度平均分子量の異なる2種以上のポリカーボネート樹脂を混合して用いてもよい。
【0044】
ポリカーボネート樹脂は、高分子量のポリカーボネート樹脂、例えば、好ましくは粘度平均分子量[Mv]が、40000超のポリカーボネート樹脂を含有していてもよい。このような高分子量のポリカーボネート樹脂を含むことにより、本実施形態の樹脂組成物の燃焼時の滴下を抑制し、難燃性をより向上させることが容易になる。前記高分子量のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、50000以上であることが好ましく、55000以上であることが好ましく、60000以上であることがより好ましく、61000以上であることがさらに好ましく、62000以上であることが一層好ましい。前記高分子量のポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は、また、90000以下であることが好ましく、85000以下であることがより好ましく、80000以下であることがさらに好ましく、75000以下であることが一層好ましく、70000以下であることがより一層好ましい。
【0045】
前記高分子量ポリカーボネート樹脂を含む場合、その含有量は、ポリカーボネート樹脂中、5質量%以上であることが好ましく、10質量%以上であることがより好ましく、15質量%以上であることがさらに好ましく、20質量%以上であることが一層好ましい。また、上限は、好ましくは40質量%以下であり、より好ましくは30質量%以下である。
特に、本実施形態の樹脂組成物では、高分子量ポリカーボネート樹脂は、上述の式(A1)で表される構成単位を全構成単位の50mol%以上含むポリカーボネート樹脂であることが好ましい。
【0046】
粘度平均分子量[Mv]は、溶媒としてメチレンクロライドを使用し、ウベローデ粘度計を用いて温度20℃での極限粘度[η](単位dL/g)を求め、Schnellの粘度式、すなわち、η=1.23×10-4Mv0.83 から算出される値を意味する。また極限粘度[η]とは、各溶液濃度[C](g/dL)での比粘度[ηsp]を測定し、下記式により算出した値である。
【0047】
【0048】
ポリカーボネート樹脂の末端水酸基濃度は任意であり、適宜選択して決定すればよいが、通常1000ppm以下、好ましくは1500ppm以下、より好ましくは1000ppm以下である。これにより本実施形態の樹脂組成物の滞留熱安定性および色調をより向上させることができる。また、その下限は、特に溶融エステル交換法で製造されたポリカーボネート樹脂では、通常10ppm以上、好ましくは30ppm以上、より好ましくは40ppm以上である。これにより、分子量の低下を抑制し、本実施形態の樹脂組成物の機械的特性をより向上させることができる。
【0049】
なお、末端水酸基濃度の単位は、ポリカーボネート樹脂の質量に対する、末端水酸基の質量をppmで表示したものである。その測定方法は、四塩化チタン/酢酸法による比色定量(Macromol.Chem.88 215(1965)に記載の方法)である。
また、成形品の外観の向上や流動性の向上を図るため、ポリカーボネート樹脂は、ポリカーボネートオリゴマーを含有していてもよい。このポリカーボネートオリゴマーの粘度平均分子量[Mv]は、通常1500以上、好ましくは2000以上であり、また、通常9500以下、好ましくは9000以下である。さらに、含有されるポリカーボネートオリゴマーは、ポリカーボネート樹脂(ポリカーボネートオリゴマーを含む)の30質量%以下とすることが好ましい。
【0050】
本実施形態で用いるポリカーボネート樹脂のブレンド形態として、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂と、構造粘性指数が1.2未満のポリカーボネート樹脂を含むみ、かつ、前記ポリカーボネート樹脂が粘度平均分子量40000超の高分子量ポリカーボネート樹脂を含む形態が好ましく例示される。粘度平均分子量40000超の高分子量ポリカーボネート樹脂は、通常、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂である。より好ましい形態は、構造粘性指数Nが1.2以上のポリカーボネート樹脂15~45質量%と、構造粘性指数が1.2未満のポリカーボネート樹脂80~40質量%を含み、かつ、前記ポリカーボネート樹脂が粘度平均分子量50000~90000の高分子量ポリカーボネート樹脂5~30質量%の範囲で含む形態が好ましく例示される。
構造粘性指数Aが大きいポリカーボネート樹脂を得る方法は、特開2014-74109号公報の段落0056~0061の記載を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
【0051】
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を樹脂組成物の70質量%以上の割合で含むことが好ましく、75質量%以上の割合で含むことが好ましく、80質量%以上の割合で含むことが一層好ましい。上限値としては、例えば、99質量%以下であり、95質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、特に、ポリカーボネート樹脂を樹脂組成物の70質量%以上の割合で含むことが好ましく、75質量%以上の割合で含むことが好ましく、80質量%以上の割合で含むことが一層好ましい。上限値としては、例えば、99質量%以下であり、95質量%以下であることが好ましい。
本実施形態の樹脂組成物は、熱可塑性樹脂を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0052】
<ホスファゼン化合物>
本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物を含む。
ホスファゼン化合物は、分子中に-P=N-結合を有する有機化合物である限り特に定めるものではないが、下記式(P1)で表される化合物、下記式(P2)で表される化合物、ならびに、下記式(P1)で表される化合物および下記式(P2)で表される化合物からなる群より選択される少なくとも1種のホスファゼン化合物が架橋基によって架橋されてなる架橋ホスファゼン化合物からなる群より選択される少なくとも1種の化合物を含むことが好ましく、下記式(P1)で表される化合物を含むことがより好ましい。
【0053】
式(P1)
【化7】
(式(P1)中、aは3~25の整数であり、R
P1およびR
P2は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アリール基またはアルキルアリール基を示す。)
複数のR
P1およびR
P2は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
【0054】
式(P2)
【化8】
(式(P2)中、bは3~10000の整数であり、R
P3およびR
P4は、それぞれ独立に、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリロキシ基、アミノ基、ヒドロキシル基、アリール基またはアルキルアリール基を示す。R
P5は、-N=P(OR
P3)
3基および-N=P(O)OR
P3基から選ばれる少なくとも1種を表し、R
P6は、-P(OR
P3)
4基および-P(O)(OR
P3)
2基から選ばれる少なくとも1種を表す。)
複数のR
P3、R
P4、R
P5およびR
P6は、それぞれ、同一であっても異なっていてもよい。
【0055】
上記式(P1)および式(P2)中、アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等が挙げられ、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、t-ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等の炭素数1~6のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1~4のアルキル基が特に好ましい。
【0056】
上記式(P1)および式(P2)中、アルキル基は、シクロアルキル基であってもよく、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5~14のシクロアルキル基が挙げられ、炭素数5~8のシクロアルキル基が好ましい。
【0057】
上記式(P1)および式(P2)中、アルケニル基としては、例えば、ビニル基、アリル基等の炭素数2~8のアルケニル基が挙げられる。シクロアルケニル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の炭素数5~12のシクロアルケニル基が挙げられる。
【0058】
上記式(P1)および式(P2)中、アルキニル基としては、例えば、エチニル基、プロピニル基等の炭素数2~8のアルキニル基やエチニルベンゼン基等のアリール基を置換基として有するアルキニル基等も挙げられる。
【0059】
上記式(P1)および式(P2)中、アリール基としては、例えば、フェニル基、メチルフェニル(すなわち、トリル)基、ジメチルフェニル(すなわち、キシリル)基、トリメチルフェニル基、ナフチル基等の炭素数6~20のアリール基が挙げられるが、なかでも炭素数6~10のアリール基が好ましく、フェニル基が特に好ましい。
【0060】
上記式(P1)および式(P2)中、アルキルアリール基としては、例えば、ベンジル基、フェネチル基、フェニルプロピル基等の炭素数6~20のアラルキル基が挙げられるが、なかでも炭素数7~10のアラルキル基が好ましく、ベンジル基が特に好ましい。
【0061】
なかでも、上記式(P1)におけるRP1およびRP2、ならびに、上記式(P2)におけるRP3およびRP4が、それぞれ独立に、アリール基またはアリールアルキル基であるものが好ましく、アリール基であるものがより好ましく、フェニル基であることがさらに好ましい。このような芳香族ホスファゼンを用いることで、樹脂組成物の熱安定性をより効果的に高めることができる。
【0062】
式(P1)または式(P2)で表される化合物としては、例えば、フェノキシホスファゼン、o-トリルオキシホスファゼン、m-トリルオキシホスファゼン、p-トリルオキシホスファゼン等の(ポリ)トリルオキシホスファゼン、o,m-キシリルオキシホスファゼン、o,p-キシリルオキシホスファゼン、m,p-キシリルオキシホスファゼン等の(ポリ)キシリルオキシホスファゼン、o,m,p-トリメチルフェニルオキシホスファゼン、フェノキシ-o-トリルオキシホスファゼン、フェノキシ-m-トリルオキシホスファゼン、フェノキシ-p-トリルオキシホスファゼン等の(ポリ)フェノキシトリルオキシホスファゼン、フェノキシo,m-キシリルオキシホスファゼン、フェノキシ-o,p-キシリルオキシホスファゼン、フェノキシ-m,p-キシリルオキシホスファゼン等(ポリ)フェノキシトリルオキシキシリルオキシホスファゼン、フェノキシ-o,m,p-トリメチルフェニルオキシホスファゼン等が例示できる。
【0063】
式(P1)で表される化合物としては、RP1およびRP2がフェニル基である環状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような環状フェノキシホスファゼン化合物としては、例えば、塩化アンモニウムと五塩化リンとを120~130℃の温度で反応させて得られる環状および直鎖状のクロロホスファゼン混合物から、ヘキサクロロシクロトリホスファゼン、オクタクロロシクロテトラホスファゼン、デカクロロシクロペンタホスファゼン等の環状のクロロホスファゼンを取り出した後にフェノキシ基で置換して得られる、フェノキシシクロトリホスファゼン、オクタフェノキシシクロテトラホスファゼン、デカフェノキシシクロペンタホスファゼン等の化合物が挙げられる。また、前記環状フェノキシホスファゼン化合物は、式(P1)中のaが3~8の整数である化合物が好ましく、3~6の整数である化合物がより好ましく、3である化合物がさらに好ましい。また、aの異なる化合物の混合物であってもよい。上記aの平均は、3~5であることが好ましく、3~4であることがより好ましい。また、なかでも、a=3のものが50質量%以上、a=4のものが10~40質量%、a=5以上のものが合わせて30質量%以下である化合物の混合物が好ましい。
【0064】
式(P2)で表される化合物としては、RP3およびRP4がフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼンが特に好ましい。このような鎖状フェノキシホスファゼン化合物は、例えば、上記の方法で得られるヘキサクロロシクロトリホスファゼンを220~250℃の温度で開還重合し、得られた重合度3~10000の直鎖状ジクロロホスファゼンをフェノキシ基で置換することにより得られる化合物が挙げられる。前記直鎖状フェノキシホスファゼン化合物の、式(P2)中のbは、好ましくは3~1000、より好ましくは3~100、さらに好ましくは3~25である。
【0065】
式(P1)および下記式(P2)からなる群より選択される少なくとも1種のホスファゼン化合物としては、例えば、4,4'-スルホニルジフェニレン(すなわち、ビスフェノールS残基)の架橋構造を有する化合物、2,2-(4,4'-ジフェニレン)イソプロピリデン基の架橋構造を有する化合物、4,4'-オキシジフェニレン基の架橋構造を有する化合物、4,4'-チオジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等の、4,4'-ジフェニレン基の架橋構造を有する化合物等が挙げられる。
【0066】
また、架橋ホスファゼン化合物としては、式(P1)においてRP1およびRP2がフェニル基である環状フェノキシホスファゼン化合物が上記架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物、または、上記式(P2)においてRP3およびRP4がフェニル基である鎖状フェノキシホスファゼン化合物が上記架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物が難燃性の点から好ましく、環状フェノキシホスファゼン化合物が上記架橋基によって架橋されてなる架橋フェノキシホスファゼン化合物がより好ましい。
また、架橋フェノキシホスファゼン化合物中のフェニレン基の含有量は、式(P1)で表される化合物および/または式(P2)で表される化合物中の全フェニル基およびフェニレン基数の合計を基準として、通常50~99.9%、好ましくは70~90%である。また、前記架橋フェノキシホスファゼン化合物は、その分子内にフリーの水酸基を有しない化合物であることが特に好ましい。
【0067】
ホスファゼン化合物の市販品としては、FP-110、伏見製薬社製が例示される。尚、本実施形態で用いるホスファゼン化合物の市販品は、難燃剤として販売されているホスファゼン化合物に限定されるものではないことは言うまでもない。
【0068】
本実施形態の樹脂組成物において、ホスファゼン化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、1質量部以上であることが好ましく、2質量部以上であることがより好ましく、3質量部以上であることがさらに好ましく、5質量部以上であることが一層好ましく、7質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃性がより向上する傾向にある。また、ホスファゼン化合物の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対し、30質量部以下であることが好ましく、25質量部以下であることがより好ましく、20質量部以下であることがさらに好ましく、15質量部以下であることが一層好ましく、12質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の機械的特性の低下をより効果的に抑制できる傾向にある。
また、本実施形態の樹脂組成物において、ホスファゼン化合物の含有量は、樹脂組成物中、1質量%以上であることが好ましく、2質量%以上であることがより好ましく、3質量%以上であることがさらに好ましく、5質量%以上であることが一層好ましく、7質量%以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃性がより向上する傾向にある。また、ホスファゼン化合物の含有量は、樹脂組成物中、30質量%以下であることが好ましく、25質量%以下であることがより好ましく、20質量%以下であることがさらに好ましく、15質量%以下であることが一層好ましく、12質量%以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、樹脂組成物の機械的特性の低下をより効果的に抑制できる傾向にある。
本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0069】
<分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサン>
本実施形態の樹脂組成物は、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンを含む。このようなオルガノポリシロキサンを含むことにより、オルガノポリシロキサンの燃焼部への移行と炭化層形成が迅速になり、難燃性により優れる傾向にある。
オルガノポリシロキサンは、通常、ケイ素原子が酸素を介して他のケイ素原子と結合した部分を持つ構造に有機基が付加している高分子物質である。オルガノポリシロキサンは、通常、シロキサン結合を主鎖とする有機重合体をいい、例えば、式(1)で表される化合物や、その混合物が挙げられる。
(R1R2R3SiO1/2)M(R4R5SiO2/2)D(R6SiO3/2)T(SiO4/2)Q(O1/2R7)E1(O1/2H)E2
(式(1)中、R1~R6は、それぞれ独立に、水素原子または有機基であり、R7は有機基であり、M、D、TおよびQは、それぞれ独立に、0以上1未満であり、M+D+T+Q=1を満足する数である。またE1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4であり、0≦D/(T+Q)≦0.4である。)
【0070】
主なオルガノポリシロキサンを構成する単位は、1官能型[R3SiO0.5](トリオルガノシルヘミオキサン、M単位)、2官能型[R2SiO](ジオルガノシロキサン、D単位)、3官能型[RSiO1.5](オルガノシルセスキオキサン、T単位)、4官能型[SiO2](シリケート、Q単位)であり、これら4種の単位の構成比率を変えることにより、オルガノポリシロキサンの性状の違いが出てくるので、所望の特性が得られるように適宜選択し、オルガノポリシロキサンの合成を行う。より具体的には、M単位は末端封止に用いられ、M単位を使用することにより、末端にトリオルガノシロキ基が導入される。また、D単位を導入することによってオルガノポリシロキサン中に直鎖構造が導入されるため、多くの場合でD単位量が多いほど低粘度化する。また、T単位および/またはQ単位を導入することによってオルガノポリシロキサン中に分岐構造が導入されるため、多くの場合でT単位および/またはQ単位量が多いほど高粘度化する一方で、耐熱性および樹脂組成物の難燃性を高めることができる。本実施形態では、オルガノポリシロキサンの主鎖が分岐構造を有することが好ましい。
【0071】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンは、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下である。分子量分布がこのような範囲にあるオルガノポリシロキサンをホスファゼン化合物と所定の比率で組み合わせることで、難燃性に特に優れた樹脂組成物とすることができる。分子量分布の上限は、好ましくは1.35以下、より好ましくは1.30以下であり、さらに好ましくは1.25以下であり、特に好ましくは1.20以下である。また、分子量分布の下限は、好ましくは1.02以上、より好ましくは1.03以上、さらに好ましくは1.04以上、特に好ましくは1.05以上である。分子量分布を適当な上限値以下とした場合、熱可塑性樹脂への相溶性に乏しい高分子量成分の量をより効果的に低減できるため好ましい。また、分子量分布を適当な下限以上とすることで、オルガノポリシロキサンの精製にかかるコストを低減できるため好ましい。
【0072】
なお、分子量分布(Mw/Mn)は通常ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)にて、測定することができる。より具体的には、テトラヒドロフラン(THF)を溶媒および溶離液に用い、ポリスチレン標準サンプルを用いて作成した検量線を元に数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布を測定することができる。また、測定条件やカラムの種類により数平均分子量、重量平均分子量、および分子量分布の値が変わる場合があることが一般に知られているが、本実施形態で述べる分子量分布は、サンプル溶解用の溶媒および溶離液をテトラヒドロフランとし、昭和電工株式会社製ShodexカラムKF-G、KF-402.5HQ、KF-402HQ、およびKF-401HQをこの順に連結し、流速0.3mL/分、40℃で測定し、ポリスチレン標準サンプルを用いて作成した検量線を元に算出した値とする。
【0073】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)は特段限定されないが、好ましくは300以上であり、より好ましくは400以上であり、さらに好ましくは500以上であり、特に好ましくは600以上であり、700以上、800以上であってもよい。また、好ましくは2000以下であり、より好ましくは1800以下であり、さらに好ましくは1700以下であり、特に好ましくは1600以下であり、1200以下、1000以下であってもよい。数平均分子量を適当な下限値以上とすることで、オルガノポリシロキサンの反応点が増加し、迅速な炭化層形成反応がより効果的に進行する。また数平均分子量を適当な上限値以下とすることで、オルガノポリシロキサンの粘度が低下し、成形体中で表面に偏析しやすく、その結果難燃性が向上するため好ましい。また、数平均分子量を適当な上限値以下とすることで、オルガノポリシロキサンの熱可塑性樹脂への相溶性が向上し、透明な樹脂組成物が得られやすいため好ましい。
【0074】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンの重量平均分子量(Mw)は特段限定されないが、好ましくは500以上であり、より好ましくは600以上であり、さらに好ましくは700以上であり、特に好ましくは800以上である。また、好ましくは2000以下であり、より好ましくは1800以下であり、さらに好ましくは1700以下であり、一層好ましくは1600以下であり、より一層好ましくは1200以下であり、さらに一層好ましくは1100以下である。重量平均分子量を適当な下限値以上とすることで、揮発成分量が低減し、滞留成形性が向上するため好ましい。また重量平均分子量を適当な上限値以下とすることで、オルガノポリシロキサンの粘度が低下し、成形体中で表面に偏析しやすく、その結果、難燃性がより向上するため好ましい。また、重量平均分子量を適当な上限値以下とすることで、オルガノポリシロキサンの熱可塑性樹脂への相溶性が向上し、より透明な樹脂組成物が得られやすいため好ましい。
【0075】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンに関して、上記式(1)中、R1~R6は、それぞれ独立に、有機基および水素原子から選択される。R1~R6としての有機基は、直鎖構造、分岐構造、および、環状構造のいずれであってもよく、その組み合わせでもよい。また、R1~R6としての有機基は、本実施形態の効果を損なわない範囲で酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子を含んでいてもよい。R1~R6としての有機基は、好ましくは炭素数1~20の有機基であり、より好ましくは炭素数1~10の有機基である。また、有機基は、アルキル基およびアリール基が好ましい。R1~R6としての有機基の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基が例示され、この中でも好ましくはメチル基およびフェニル基である。有機基を炭素数の少ないメチル基とすることでオルガノポリシロキサン中のシロキサン含有量、すなわち、無機成分が多くなるため、耐熱性が向上するため好ましい。また、有機基をフェニル基とすることでフェニル基同士の縮合により難燃性がより一層高まるため好ましい。
【0076】
R1~R6のいずれか1つ以上がフェニル基を含む場合、全有機基に対するフェニル基の含有量は、好ましくは5mol%以上であり、より好ましくは8mol%以上であり、さらに好ましくは12mol%以上である。また、好ましくは40mol%以下であり、より好ましくは31mol%以下であり、さらに好ましくは30mol%以下であり、また、25mol%以下、20mol%以下であってもよい。全有機基に対するフェニル基の含有量を適当な下限値以上とすることで、難燃性がより向上するため好ましい。また、フェニル基の含有量な下限値以上とすることで、オルガノポリシロキサンのポリカーボネート樹脂への相溶性が向上し、より透明な樹脂組成物となりやすいため好ましい。また、全有機基に対するフェニル基の含有量を適当な上限値以下とすることで、オルガノポリシロキサンの粘度を適当な値に調整できるため好ましい。
【0077】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンに関して、上記式(1)中、R7は、有機基であれば特段限定されない。R7は、直鎖構造、分岐構造、および環状構造のいずれであってもよく、その組み合わせでもよい。また、R7は、本実施形態の効果を損なわない範囲で酸素原子、窒素原子、硫黄原子、リン原子を含んでいてもよいが、好ましくは炭素数1~10の有機基である。また、有機基は、アルキル基およびアリール基が好ましい。~R7の具体例としては、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、sec-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、sec-ペンチル基、3-ペンチル基、tert-ペンチル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、3-メチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、フェニル基、ナフチル基が例示され、この中でも好ましくはメチル基である。
【0078】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサン中のオルガノオキシ基の量は特段限定されないが、全有機基に対するオルガノオキシ基の割合が好ましくは0.01mol%以上であり、より好ましくは0.5mol%以上であり、さらに好ましくは1.0mol%以上である。また、好ましくは10mol%以下であり、より好ましくは7mol%以下であり、さらに好ましくは5mol%以下であり、一層好ましくは4.5mol%以下であり、より一層好ましくは4mol%以下である。全有機基に対するオルガノオキシ基の割合を適当な下限値以上とすることで、適度な流動性を有することとなり好ましい。また、全有機基に対するオルガノオキシ基の割合を適当な上限値以下とすることで、粘度を低すぎない範囲に調整しやすいことに加えて、オルガノオキシ基が望まないタイミングで加水分解縮合することによる脱離成分の発生、ゲル化の進行をより効果的に抑制できるため、滞留成形性の観点から好ましい。
【0079】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンの全ケイ素原子中のD単位、T単位、およびQ単位の量は特段限定されないが、式(1)中、D、T、およびQの値に関して、好ましくは0≦D/(T+Q)≦0.4であり、より好ましくは0≦D/(T+Q)≦0.25であり、さらに好ましくは0≦D/(T+Q)≦0.11であり、一層好ましくは0≦D/(T+Q)≦0.053であり、より一層好ましくはD/(T+Q)=0、すなわち、D=0である。D/(T+Q)が大きい場合、オルガノポリシロキサン中に直鎖成分が多いことを意味し、D/(T+Q)が小さい場合、オルガノポリシロキサン中に分岐成分が多いことを意味する。D/(T+Q)を適当な上限値以下とすることでオルガノポリシロキサン中の分岐成分が多くなるため、耐熱性および難燃性が向上するため好ましい。
【0080】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンの全ケイ素原子中のM単位の量は特段限定されないが、式(1)中のMの値に関して、好ましくは0.30以上、より好ましくは0.35以上、さらに好ましくは0.40以上である。また、好ましくは0.60以下、より好ましくは0.55以下、さらに好ましくは0.50である。Mの値を適切な上限値以上とすることでオルガノポリシロキサン製造時に分子量の必要以上の分子量上昇をより効果的に抑制できるため好ましい。また、Mの値を適切な上限値以下とすることで低沸点成分の生成をより効果的に抑制できるため好ましい。
【0081】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンを表す式(1)中、E1はオルガノポリシロキサン中のケイ素原子の量を1とした場合のケイ素原子に直接結合するオルガノオキシ基の量を、E2はオルガノポリシロキサン中のケイ素原子の量を1とした場合のケイ素原子に直接結合するヒドロキシル基の量を表している。すなわち、E1+E2は、いわゆる末端基の量を表しており、通常E1≧0、E2≧0かつ0<E1+E2≦4であるが、上述した全有機基に対するオルガノオキシ基の割合の好ましい範囲となるようにE1の値を設定するのが好ましい。
【0082】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンはD単位のみからなるDレジン、T単位のみからなるTレジン、M単位およびD単位からなるMDレジンであってもよく、M単位およびT単位からなるMTレジンであってもよく、M単位およびQ単位からなるMQレジンであってもよく、D単位およびT単位からなるDTレジンであってもよく、D単位およびQ単位からなるDQレジンであってもよく、T単位およびQ単位からなるTQレジンであってもよく、M単位、T単位およびQ単位からなるMTQレジンであってもよく、D単位、T単位およびQ単位からなるDTQレジンであってもよく、M単位、T単位およびQ単位からなるMTQレジンであってもよく、M単位、D単位およびQ単位からなるMDQレジンであってもよく、M単位、D単位、T単位およびQ単位からなるMDTQレジンであってもよいが、好ましくはMTレジン、TQレジン、MTQレジンであり、より好ましくはMTレジン、MTQレジンであり、さらに好ましくはMTQレジンである。
【0083】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンは常温、常圧下において液体であることが好ましい。液体であることにより成形体中で表面に偏析しやすく、その結果難燃性が向上するため好ましい。ここで、常温とは25℃であり常圧とは1気圧である。また、液体とは流動性のある状態をいう。
【0084】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンの粘度は特段限定されないが、25℃で測定した際の粘度が、好ましくは200mPa・s以上であり、より好ましくは300mPa・s以上であり、さらに好ましくは800mPa・s以上である。また、好ましくは2000mPa・s以下であり、より好ましくは1800mPa・s以下であり、さらに好ましくは1700mPa・s以下である。粘度を適切な下限値以上とすることで、成形の液垂れを防止することができ、さらに熱可塑性樹脂との混練性が向上するため好ましい。また、粘度を適切な上限値以下とすることで、取扱い時の糸引きが低減されるため取扱い性が向上し、さらに樹脂組成物において、難燃性が向上するため好ましい。
【0085】
本実施形態に用いられる分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であるオルガノポリシロキサンは、その難燃性発現のメカニズムが、熱が加わった際にバブル状のSiC被膜を樹脂表面に形成するものであると推測されるため、ポリカーボネート樹脂のみならず、任意の樹脂に対し使用でき、好ましくは熱可塑性樹脂、特に好ましくはポリカーボネート樹脂に対し難燃性付与剤として使用することができる。特に主鎖が分岐構造を有するものが好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn)が1.01以上1.40以下であると同時に式(1)で表される化合物であるオルガノポリシロキサンは、種々の樹脂に難燃性付与材として好適に用いることができる。式(1)の好ましい態様もまた本明細書に上述した通りである。特に0.30≦M≦0.60であるものが好ましい。また、D単位が実質的に含まれていないものが好ましい。また、オルガノポリシロキサンの重量平均分子量が500以上2000以下であるものが好ましい。より好ましくは常温常圧で液状である(流動性を有する)ものは、相溶性が高く、各種樹脂と任意の割合で容易に混合することができるため難燃性付与材として容易に使用することができる。そしてこれら上述の条件を適宜組み合わせたものももちろん好ましく使用できる。樹脂組成物に添加する場合のオルガノポリシロキサンのより好ましい態様は、上述の記載および明細書の各要件の記載とその組み合わせのとおりである。
【0086】
本実施形態で用いるオルガノポリシロキサンの製造方法は特段限定されない。例えば、国際公開第2020/013127号の段落0085~0089の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0087】
本実施形態の樹脂組成物におけるオルガノポリシロキサンの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、0.06質量部以上であることが好ましく、0.08質量部以上であることがより好ましく、0.1質量部以上であることがさらに好ましく、0.3質量部以上であることが一層好ましく、0.4質量部以上であることがより一層好ましい。前記下限値以上とすることにより、難燃性がより向上する傾向にある。また、前記オルガノポリシロキサンの含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、2.3質量部以下であることが好ましく、2.0質量部以下であることがより好ましく、1.8質量部以下であることがさらに好ましく、1.5質量部以下であることが一層好ましく、1.1質量部以下であることがより一層好ましい。前記上限値以下とすることにより、熱可塑性樹脂の熱安定性や耐加水分解性を維持でき、さらに押出時の加工性や成形品の外観不良および機械的強度の低下を防ぐことができる。
本実施形態の樹脂組成物は、オルガノポリシロキサンを1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0088】
<ホスファゼンとオルガノポリシロキサンの含有量比>
本実施形態の樹脂組成物は、前記ホスファゼン化合物の含有量を[α]、前記オルガノポリシロキサンの含有量を[β]としたときに、両者の質量比率である[α]/[β]が2.3以上500以下である。なお、[α]および[β]はそれぞれ質量部である。
[α]、[β]および[α]/[β]の計算方法を、後述する実施例1を挙げて説明をすると、実施例1のホスファゼン化合物の含有量は11質量部であるから[α]は11であり、オルガノポリシロキサンの含有量は0.5質量部であるから[β]は0.5である。よって、[α]/[β]=11/0.5=22である。
前記[α]/[β]の下限値は、3以上であることが好ましく、5以上であることがより好ましく、7以上であることがさらに好ましく、9以上であることが一層好ましく、10以上であることがより一層好ましい。また、前記[α]/[β]の上限値は、400以下であることが好ましく、300以下であることがより好ましく、200以下であることがさらに好ましく、100以下であることが一層好ましく、50以下であることがより一層好ましく、30以下であることがさらに一層好ましく、25以下であることが特に一層好ましい。前記範囲とすることにより、難燃性の観点と強度の観点から好ましい。
前記上限値以上とすることにより、難燃性向上のメカニズムは狭分子量分を有するオルガノポリシロキサンの燃焼部への迅速な移行と、さらにその際にオルガノポリシロキサン‐ホスファゼンの相互作用によってホスファゼンも燃焼部に移行することにより、燃焼部でのオルガノポリシロキサンおよびホスファゼンの濃度が高くなることで、迅速に炭化層が形成され、高い難燃性を発現することであると推定される。また、このような構成にすることにより、可塑化効果によって熱可塑性樹脂の流動性が向上し、薄肉部の成形性や大型部材の成形性と向上することができると推定される。このメカニズムは狭分子量分布をもつオルガノポリシロキサンとホスファゼンが熱可塑性樹脂組成物内に均一に分散することで、熱可塑性樹脂の主鎖の絡み合いが低減されるためであると推定される。その際、前記下限値以上の場合、オルガノポリシロキサン-ホスファゼンの組み合わせによる適切な可塑化効果により、成型加工性に優れた流動性を有する樹脂組成物をより得られる傾向にある。また、前記上限値以下とすることにより、オルガノポリシロキサン-ホスファゼンの相互作用による燃焼部への移行性効果を十分に発揮でき、高い難燃性向上効果がより得られる傾向にある。
【0089】
<その他の成分>
本実施形態の樹脂組成物は、所望の諸物性を著しく損なわない限り、必要に応じて、上記したもの以外に他の成分を含有していてもよい。他成分の例を挙げると、各種樹脂添加剤などが挙げられる。なお、その他の成分は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
具体的には、紫外線吸収剤、安定剤、離型剤、含フッ素樹脂、光拡散剤、エラストマー、染料、顔料、帯電防止剤、防曇剤、アンチブロッキング剤、流動性改良剤、可塑剤、分散剤、抗菌剤などが挙げられる。本実施形態の樹脂組成物は、紫外線吸収剤、安定剤および離型剤の少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0090】
含フッ素樹脂、光拡散剤、エラストマーの詳細は、それぞれ、国際公開第2020/013127号の段落0092~0096の記載、段落0122~0128、段落0129~0134を参酌でき、これらの内容は本明細書に組み込まれる。
本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物以外の難燃剤を含んでいてもよいし、含んでいなくてもよい。ホスファゼン化合物以外の難燃剤としては、熱可塑性樹脂に含まれる難燃剤を広く用いることができる。また、本実施形態の樹脂組成物は、ホスファゼン化合物以外の難燃剤を実質的に含まない構成とすることもできる。実質的に含まないとは、他の難燃剤がホスファゼン化合物の含有量の10質量%以下であることをいい、好ましくは5質量%以下、より好ましくは3質量%以下、さらに好ましくは1質量%以下である。
【0091】
<<紫外線吸収剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、さらに紫外線吸収剤を含有することも好ましい。
紫外線吸収剤としては、例えば、酸化セリウム、酸化亜鉛などの無機紫外線吸収剤;ベンゾトリアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、サリシレート化合物、シアノアクリレート化合物、トリアジン化合物、オギザニリド化合物、マロン酸エステル化合物、ヒンダードアミン化合物などの有機紫外線吸収剤などが挙げられる。これらの中では有機紫外線吸収剤が好ましく、ベンゾトリアゾール化合物がより好ましい。有機紫外線吸収剤を選択することで、本実施形態の樹脂組成物の透明性や機械物性が良好なものになる。
これらの詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0097~0104の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0092】
本実施形態の樹脂組成物が紫外線吸収剤を含有する場合、その含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常0.05質量部以上、好ましくは0.1質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。紫外線吸収剤の含有量を前記範囲の下限値以上とすることにより、耐候性が向上する傾向にあり、前記上限値以下とすることにより、モールドデボジットをより効果的に抑制し、金型汚染を引き起しにくくすることができる。
なお、紫外線吸収剤は、1種が含有されていてもよく、2種以上が任意の組み合わせおよび比率で含有されていてもよい。
【0093】
<<安定剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を含有することが好ましく、安定剤としてはリン系安定剤やフェノール系安定剤が好ましい。
【0094】
リン系安定剤としては、公知の任意のものを使用できる。具体例を挙げると、リン酸、ホスホン酸、亜燐酸、ホスフィン酸、ポリリン酸などのリンのオキソ酸;酸性ピロリン酸ナトリウム、酸性ピロリン酸カリウム、酸性ピロリン酸カルシウムなどの酸性ピロリン酸金属塩;リン酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸セシウム、リン酸亜鉛など第1族または第2B族金属のリン酸塩;有機ホスフェート化合物、有機ホスファイト化合物、有機ホスホナイト化合物などが挙げられるが、有機ホスファイト化合物が特に好ましい。
フェノール系安定剤としては、例えばヒンダードフェノール系酸化防止剤が挙げられる。
これらの詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0105~0111の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0095】
安定剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下である。安定剤の含有量を前記範囲の下限値以上とすることで、安定剤としての効果をより効果的に得ることができる。また、安定剤の含有量を前記範囲の上限値以下にすることにより、効果が頭打ちになることなく、経済的である。
本実施形態の樹脂組成物は、安定剤を1種のみ含んでいてもよいし、2種以上含んでいてもよい。2種以上含む場合、合計量が上記範囲となることが好ましい。
【0096】
<<離型剤>>
本実施形態の樹脂組成物は、離型剤(滑剤)を含有することが好ましい。離型剤としては、例えば、脂肪族カルボン酸、脂肪族カルボン酸とアルコールとのエステル、数平均分子量200~15000の脂肪族炭化水素化合物、ポリシロキサン系シリコーンオイルなどが挙げられる。
これらの詳細は、国際公開第2020/013127号の段落0112~0121の記載を参酌でき、この内容は本明細書に組み込まれる。
【0097】
離型剤の含有量は、熱可塑性樹脂100質量部に対して、通常0.001質量部以上、好ましくは0.01質量部以上であり、また、通常2質量部以下、好ましくは1質量部以下である。離型剤の含有量を前記範囲の下限値以上とすることにより離型性の効果が十分に得られやすく、離型剤の含有量が前記範囲の上限値以下とすることにより、十分な耐加水分解性が得られ、また射出成形時の金型汚染などが生じにくくなる。
【0098】
<樹脂組成物の製造>
本実施形態の樹脂組成物を製造する方法に制限はなく、公知の樹脂組成物の製造方法を広く採用でき、熱可塑性樹脂、ホスファゼン化合物およびオルガノポリシロキサン、ならびに、必要に応じて配合されるその他の成分を、例えばタンブラーやヘンシェルミキサーなどの各種混合機を用い予め混合した後、バンバリーミキサー、ロール、ブラベンダー、単軸混練押出機、二軸混練押出機、ニーダーなどの混合機で溶融混練する方法が挙げられる。
【0099】
また、例えば、各成分を予め混合せずに、または、一部の成分のみを予め混合し、フィーダーを用いて押出機に供給して溶融混練して、樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、一部の成分を予め混合し押出機に供給して溶融混練することで得られる樹脂組成物をマスターバッチとし、このマスターバッチを再度残りの成分と混合し、溶融混練することによって樹脂組成物を製造することもできる。
また、例えば、分散し難い成分を混合する際には、その分散し難い成分を予め水や有機溶剤等の溶媒に溶解または分散させ、その溶液または分散液と混練するようにすることで、分散性を高めることもできる。
【0100】
<樹脂組成物の特性>
本実施形態の樹脂組成物は、透明性に優れていることが好ましい。例えば、本実施形態の樹脂組成物は、3mmの厚さに成形したときのHAZEが3%以下であることが好ましく、1%以下であることがより好ましく、0.7%以下であることがさらに好ましく、0.5%以下であることが一層好ましい。前記HAZEの下限値は特に定めるものではなく、0%が理想であるが、0.01%以上が実際的である。
HZAEの値は、後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
本実施形態の樹脂組成物は、難燃性に優れているが、例えば、0.8mm厚さの試験片に成形したときのUL-94試験に従った難燃性がV-1を達成することが好ましい。また、本実施形態の樹脂組成物は、例えば、1.0mm厚さの試験片に成形したときのUL-94試験に従った難燃性がV-0を達成することが好ましい。
難燃性は後述する実施例に記載の方法に従って測定される。
【0101】
<成形品>
本実施形態の成形品は、本実施形態の樹脂組成物から形成されたものである。
成形品を製造する方法は、樹脂組成物について一般に採用されている成形法を任意に採用できる。その例を挙げると、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法、二色成形法、ガスアシスト等の中空成形法、断熱金型を使用した成形法、急速加熱金型を使用した成形法、発泡成形(超臨界流体も含む)、インサート成形、IMC(インモールドコーティング成形)成形法、押出成形法、シート成形法、熱成形法、回転成形法、積層成形法、プレス成形法、ブロー成形法などが挙げられ、また、ホットランナー方式を使用した成形法を用いることもできる。
これらのなかでも、射出成形法、超高速射出成形法、射出圧縮成形法などの射出成形法が好ましい。
【0102】
成形品の例を挙げると、電気・電子機器、屋外設置電気機器、OA機器、情報端末機器、レンズ用部品、機械部品、家電製品、車輌部品、建築部材、各種容器、レジャー用品・雑貨類、照明機器等の部品が挙げられる。これらの中でも、特に電気電子機器、OA機器、情報端末機器、家電製品、照明機器等の部品へ用いて好適である。
【実施例】
【0103】
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
実施例で用いた測定機器等が廃番等により入手困難な場合、他の同等の性能を有する機器を用いて測定することができる。
【0104】
実施例および比較例に使用した各成分は、表1または表2に記載の通りである。
オルガノポリシロキサンとしては、以下の製造例1、2、および3で製造したオルガノポリシロキサン(C1)、(C2)および(C3)を使用した。また、比較用のオルガノポリシロキサンとしては、以下の比較製造例1および2で製造したオルガノポリシロキサン(CX1)および(CX2)を使用した。
【0105】
<オルガノポリシロキサンの評価方法>
製造例および比較製造例で製造したオルガノポリシロキサンの評価は下記の方法で行った。
【0106】
(1)1H-NMR
生成したオルガノポリシロキサンを約50mg秤量し、これらを重アセトンまたは重ジクロロメタン約1gに溶解させ1H-NMR測定用サンプルを調製した。400MHz 1H-NMRにてRelaxation Delayを20秒で測定した、各成分のシグナル強度と内部標準のシグナル強度との比率、および秤量値からフェニル基、メチル基、およびオルガノオキシ基の割合を算出した。
NMRの測定装置は、日本電子株式会社製AL-400を用いた。
【0107】
(2)29Si-NMR
重クロロホルムにTris(2,4-pentanedionate)chromiumIIIが0.5質量%になるよう添加し、29Si-NMR測定用溶媒を得た。測定対象のオルガノポリシロキサンを約1.5g秤量し、上記29Si-NMR測定用溶媒を2.5mL添加して溶解させ、直径10mmのテフロン(登録商標)製NMR試料管に入れた。下記の装置および測地条件で測定し、シグナルの強度比から上記式(1)中のM、D、TおよびQの値を算出した。
装置:日本電子株式会社製JNM-ECS400、TUNABLE(10)、Siフリー、AT10プローブ
測定条件:Relaxation Delay/15秒、SCAN回数/1024回、測定モード/非ゲーテッドデカップルパルス法(NNE)、スピン/なし、測定温度/25℃
【0108】
(3)ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)
各オルガノポリシロキサンの数平均分子量(Mn)、重量平均分子量(Mw)、および分子量分布(Mw/Mn)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を用いて下記条件で測定し、標準ポリスチレン換算値として示した。試料は約10質量%のテトラヒドロフラン溶液を用い、測定前に0.45μmのフィルターで濾過したものを用いた。
装置:TOSOH HL-8220 GPC(東ソー株式会社製)
カラム:KF-G、KF-402.5HQ、KF-402HQ、KF-401HQ(いずれも昭和電工株式会社製)、カラム温度40℃
溶離液:テトラヒドロフラン、流量0.3mL/分
【0109】
<オルガノポリシロキサンの製造に使用した原料等>
ヘキサメチルジシロキサン(NuSil Technology社製)
フェニルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM-103)
ポリテトラメトキシシラン(三菱ケミカル株式会社製 MS-51)
ジメチルジメトキシシラン(信越化学工業株式会社製 KBM-22)
トルエン(キシダ化学株式会社製)
メタノール(キシダ化学株式会社製)
ヘプタン(キシダ化学株式会社製)
1N塩酸(キシダ化学株式会社製)
1N水酸化カリウム水溶液(キシダ化学株式会社製)
【0110】
<製造例1(オルガノポリシロキサン(C1)の製造)>
オルガノポリシロキサン(C1)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン105質量部、フェニルトリメトキシシラン225質量部、ポリテトラメトキシシラン11.9質量部、溶媒としてトルエン141質量部、メタノール141質量部、触媒として1N塩酸75.0質量部とメタノール75.0質量部の混合物を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。1N水酸化カリウム水溶液を154質量部加えた後、さらに30℃で30分間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(C1)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(C1)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は848、重量平均分子量(Mw)は918、分子量分布(Mw/Mn)は1.08であった。また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は26.4mol%、メチル基の量は70.9mol%、メトキシ基の量は2.7mol%であり、29Si-NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.452、D=0、T=0.492、Q=0.056であり、D/(T+Q)=0となった。
【0111】
<製造例2(オルガノポリシロキサン(C2)の製造)>
オルガノポリシロキサン(C2)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン122質量部、フェニルトリメトキシシラン130質量部、メチルトリメトキシシラン89.2質量部、ポリテトラメトキシシラン13.8質量部、溶媒としてトルエン143質量部、メタノール143質量部、触媒として1N塩酸86.7質量部とメタノール86.7質量部の混合物を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。1N水酸化カリウム水溶液を178質量部加えた後、さらに30℃で30分間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(C2)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(C2)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は896、重量平均分子量(Mw)は1010、分子量分布(Mw/Mn)は1.13であった。また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は14.8mol%、メチル基の量は83.5mol%、メトキシ基の量は1.7mol%であり、29Si-NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.415、D=0、T=0.535、Q=0.050であり、D/(T+Q)=0となった。
【0112】
<製造例3(オルガノポリシロキサン(C3)の製造)>
オルガノポリシロキサン(C3)の原料として、ヘキサメチルジシロキサン375質量部、フェニルトリメトキシシラン1587質量部、溶媒としてトルエン406質量部、メタノール406質量部、触媒として1N塩酸315質量部を使用し、40℃で7時間加水分解縮合を行った。2N水酸化カリウム水溶液を286質量部加えた後、さらに40℃で1時間反応させた。脱塩水による洗浄後、溶媒および未反応の化合物を留去し、常温で液状のオルガノポリシロキサン(C3)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(C1)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は850、重量平均分子量(Mw)は928、分子量分布(Mw/Mn)は1.09であった。また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は27.5mol%、メチル基の量は70.3mol%、メトキシ基の量は2.2mol%であり、29Si-NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0.459、D=0、T=0.541、Q=0であり、D/(T+Q)=0となった。
【0113】
また、比較用オルガノポリシロキサンとして、以下の比較製造例1~2で製造したオルガノポリシロキサン(CX1)~(CX2)を使用した。
<比較製造例1(オルガノポリシロキサン(CX1)の製造)>
オルガノポリシロキサン(CX1)の原料として、ジメチルジメトキシシラン100質量部、フェニルトリメトキシシラン385質量部、溶媒としてトルエン323質量部、メタノール162質量部、触媒として1N塩酸46.8質量部を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。ヘプタン500質量部を添加した後、水相を除去し、溶媒および未反応の化合物を留去することで、常温で液状のオルガノポリシロキサン(CX1)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(CX1)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は803、重量平均分子量(Mw)は1390、分子量分布(Mw/Mn)は1.73であった。また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は32.7mol%、メチル基の量は27.7mol%、メトキシ基の量は39.6mol%であり、29Si-NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0、D=0.304、T=0.696、Q=0であり、D/(T+Q)=0.44となった。
【0114】
<比較製造例2(オルガノポリシロキサン(CX2)の製造)>
オルガノポリシロキサン(CX2)の原料として、ジメチルジメトキシシラン100質量部、フェニルトリメトキシシラン330質量部、溶媒としてトルエン287質量部、メタノール143質量部、触媒として1N塩酸41.5質量部を使用し、30℃で7時間加水分解縮合を行った。ヘプタン500部を添加した後、水相を除去し、溶媒および未反応の化合物を留去することで、常温で液状のオルガノポリシロキサン(CX2)を得た。
得られたオルガノポリシロキサン(CX2)の分子量測定を実施した結果、ポリスチレン換算の数平均分子量(Mn)は838、重量平均分子量(Mw)は1250、分子量分布(Mw/Mn)は1.49であった。また、1H-NMRによる分析の結果、全有機基に対するフェニル基の量は33.1mol%、メチル基の量は34.0mol%、メトキシ基の量は32.9mol%であり、29Si-NMR測定の結果、上記式(1)におけるM、D、T、Qの値はそれぞれM=0、D=0.328、T=0.672、Q=0であり、D/(T+Q)=0.49となった。
【0115】
オルガノポリシロキサン(C1)~(C2)、オルガノポリシロキサン(CX1)~(CX2)は、以下の表1の通りである。
【0116】
【0117】
【0118】
<樹脂ペレット製造1>
実施例1
ポリカーボネート樹脂A1を50質量部、ポリカーボネート樹脂A2を27質量部、ポリカーボネート樹脂A4を23質量部、オルガノポリシロキサンC3を0.5質量部、ホスファゼン化合物B1を11質量部、安定剤E1を0.03質量部、離型剤F1を0.1質量部、および離型剤F2を0.1質量部、を配合し、タンブラーミキサーで均一に混合して、混合物を得た。この混合物を、2軸押出機(東芝機械社製「TEM26SX」)に供給し、スクリュー回転数100rpm、吐出量25kg/時、バレル温度280℃の条件で混練し、押出ノズル先端からストランド状に押し出した。押出物を水槽にて急冷し、ペレタイザーを用いてカットしてペレット化し、樹脂組成物のペレット(樹脂ペレット)を得た。
【0119】
実施例2
実施例1の組成にさらに紫外線吸収剤D1を0.3質量部加えたこと以外は、実施例1と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例3
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3の含有量を1質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例4
実施例2の組成のホスファゼン化合物B1の含有量を8質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。実施例5
実施例2の組成にさらに安定剤E5を0.05質量部加えたこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例6
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンC1に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
実施例7
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンC2に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
【0120】
比較例1
実施例2の組成から、オルガノポリシロキサンC3を除いたこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例2
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3の含有量を0.01質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例3
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3の含有量を5質量部に変更したこと以外は、実施例2と同様に樹脂ペレットの製造を試みたが、押出できずペレットを得られなかった。
比較例4
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX1に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例5
実施例2の組成のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX2に変更したこと以外は実施例2と同様に樹脂ペレットを製造した。
【0121】
<Haze試験1>
得られた樹脂組成物(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機により、シリンダー温度300℃、金型温度80℃で、111mm×36mm×厚さが2mmと3mmの2段プレートを成形し、この2段プレートの3mm厚部分のHaze(単位:%)を、濁度計を用いて測定した。
射出成形機は、住友重機械工業社製「SE-50DUZ」を、濁度計は、日本電色工業社製「NDH-2000型」を用いた。
【0122】
<難燃性試験1:燃焼性UL-94>
上記で得られたペレット(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE-100」)により、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、125mm×13mm×厚さ0.8mmの燃焼試験用試験片を成形した。
得られた燃焼試験用試験片について、燃焼性UL-94に基づき垂直燃焼試験を行った。燃焼性結果は良好な順からV-0、V-1、V-2とし、規格外のものをNGと分類した。
【0123】
【0124】
<樹脂ペレット製造2>
実施例8
実施例2のポリカーボネート樹脂A4をポリカーボネート樹脂A3に変更したこと以外は実施例2と同様にペレットを製造した。
実施例9
実施例8のオルガノポリシロキサンC3の含有量を1質量部に変更したこと以外は、実施例8と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例6
実施例8のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX1に変更したこと以外は実施例8と同様に樹脂ペレットを製造した。
比較例7
実施例8のオルガノポリシロキサンC3をオルガノポリシロキサンCX2に変更したこと以外は実施例8と同様に樹脂ペレットを製造した。
【0125】
<Haze試験2>
得られた樹脂組成物(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機により、シリンダー温度300℃、金型温度80℃で、111mm×36mm×厚さが2mmと3mmの2段プレートを成形し、この2段プレートの3.0mm厚部分のHaze(単位:%)を、濁度計を用いて測定した。
射出成形機は、住友重機械工業社製「SE-50DUZ」を、濁度計は、日本電色工業社製「NDH-2000型」を用いた。
【0126】
<難燃性試験2:燃焼性UL-94>
上記で得られたペレット(ペレット)を120℃で4時間乾燥した後、射出成形機(住友重機械工業社製「SE-100」)により、シリンダー温度260℃、金型温度80℃で、125mm×13mm×厚さ1.0mmの燃焼試験用試験片を成形した。
得られた燃焼試験用試験片について、燃焼性UL-94に基づき垂直燃焼試験を行った。燃焼性結果は良好な順からV-0、V-1、V-2とし、規格外のものをNGと分類した。
【0127】
【0128】
上記結果から明らかなとおり、本発明の樹脂組成物は、難燃性に優れていた(実施例1~9)。また、本発明の樹脂組成物は、ヘイズが低かった。
これに対し、オルガノポリシロキサンを含まない場合、または、含んでいても、ホスファゼン化合物の含有量[α]/オルガノポリシロキサンの含有量[β]が500を超える場合(比較例1、2)、難燃性が不十分であった。また、ホスファゼン化合物の含有量[α]/オルガノポリシロキサンの含有量[β]が2.3未満の場合(比較例3)、押出ができなかった。
一方、オルガノポリシロキサンの分子量分布が1.4以上である場合(比較例4~7)、難燃性が劣ってしまった。