(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】領域選択堆積用の統合クラスタツール
(51)【国際特許分類】
H01L 21/31 20060101AFI20240613BHJP
C23C 16/455 20060101ALI20240613BHJP
C23C 16/04 20060101ALI20240613BHJP
C23C 16/02 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01L21/31 B
C23C16/455
C23C16/04
C23C16/02
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022163771
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2017109760の分割
【原出願日】2017-06-02
【審査請求日】2022-11-10
(32)【優先日】2016-06-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】コーフマン-オズボーン, トービン
(72)【発明者】
【氏名】ネマニ, シュリーニヴァース ディー.
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】リャン, チーウェイ
(72)【発明者】
【氏名】カーン, アディーブ
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-148480(JP,A)
【文献】特表2014-531508(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0060301(US,A1)
【文献】特開2007-186757(JP,A)
【文献】特開2002-237486(JP,A)
【文献】特開2010-245449(JP,A)
【文献】特開2016-025315(JP,A)
【文献】特表2013-520028(JP,A)
【文献】特開2013-161913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/31
C23C 16/455
C23C 16/04
C23C 16/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板処理装置であって、
移送チャンバを有するクラスタツールと、
前記移送チャンバに連結され、表面改質処理を実施するように構成された第1の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結され、自己組織化単分子膜トリートメント処理を実施するように構成された第2の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結され、堆積処理を実施するように構成された第3の処理チャンバと、
前記移送チャンバに連結され、アニール処理またはプラズマ曝露処理を実施するように構成された第4の処理チャンバと
を備え、前記第2の処理チャンバは、
処理空間を規定するチャンバ本体と、
前記処理空間に配置された基板支持体と、
前記基板支持体の上方に配置されたリッドプレートと、
前記処理空間に配置されたヒータと、
前記基板支持体と前記ヒータの径方向外側で、前記チャンバ本体と連結する環状マニフォールドと、
前記環状マニフォールドと前記リッドプレートの間に配置された断熱材と、
前記環状マニフォールドと流体連通する射出アセンブリであって、前記処理空間内で前記基板支持体の上面に向かって自己組織化単分子膜前駆体を流すように構成された射出アセンブリと、
前記射出アセンブリと流体連通する蒸気生成アセンブリと、
を有する、基板処理装置。
【請求項2】
前記第1の処理チャンバは、前記表面改質処理を実施するため、内部にプラズマを生成するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記第1の処理チャンバは、内部に配置された加熱ペデスタルを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記第2の処理チャンバは、前記自己組織化単分子膜前駆体のクロスフロー型の曝露を提供するように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記第2の処理チャンバは、自己組織化単分子膜材料の蒸発温度よりも高い温度で動作可能に維持されている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記自己組織化単分子膜前駆体が
移動する流動経路が加熱される、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記第4の処理チャンバは、内部に配置された加熱ペデスタルを有する、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記加熱ペデスタルは、基板を、自己組織化単分子膜材料の蒸発温度よりも高い温度まで加熱するように構成されている、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ヒータジャケットが前記蒸気生成アセンブリを加熱するために用いられる、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
基板処理装置であって、
表面改質処理を実施するように構成された第1の処理チャンバと、
前記第1の処理チャンバに隣接して、自己組織化単分子膜トリートメント処理を実施するように構成された第2の処理チャンバと、
前記第2の処理チャンバに隣接して、堆積処理を実施するように構成された第3の処理チャンバと、
前記第3の処理チャンバに隣接して、アニール処理、ベーク処理、またはプラズマ曝露処理を実施するように構成された第4の処理チャンバと
を備え、前記第2の処理チャンバは、
処理空間を規定するチャンバ本体と、
前記処理空間に配置された基板支持体と、
前記基板支持体の上方に配置されたリッドプレートと、
前記処理空間に配置されたヒータと、
前記基板支持体と前記ヒータの径方向外側で、前記チャンバ本体と連結する環状マニフォールドと、
前記環状マニフォールドと前記リッドプレートの間に配置された断熱材と、
前記環状マニフォールドと流体連通する射出アセンブリであって、前記処理空間内で前記基板支持体の上面を自己組織化単分子膜前駆体に曝露するように構成された射出アセンブリと、
前記射出アセンブリと流体連通する蒸気生成アセンブリと、
を有する、基板処理装置。
【請求項11】
前記第1の処理チャンバ及び前記第4の処理チャンバは、それぞれ内部に配置された加熱ペデスタルを有する、請求項
10に記載の装置。
【請求項12】
基板処理方法であって、
第1の処理チャンバに基板を移送して、前記基板に表面改質処理を実施することと、
前記第1の処理チャンバから第2の処理チャンバに前記基板を移送することと、
前記第2の処理チャンバ内で前記基板に自己組織化単分子膜トリートメント処理を実施することと、
前記第2の処理チャンバから第3の処理チャンバに前記基板を移送することと、
前記第3の処理チャンバ内で前記基板に堆積処理を実施することと、
前記第3の処理チャンバから前記基板を移送することと、
前記第3の処理チャンバから前記基板を移送した後、前記基板にアニール処理、ベーク処理、またはプラズマ曝露処理を実施することと
を含み、前記第2の処理チャンバは、
処理空間を規定するチャンバ本体と、
前記処理空間に配置された基板支持体と、
前記基板支持体の上方に配置されたリッドプレートと、
前記処理空間に配置されたヒータと、
前記基板支持体と前記ヒータの径方向外側で、前記チャンバ本体と連結する環状マニフォールドと、
前記環状マニフォールドと前記リッドプレートの間に配置された断熱材と、
前記環状マニフォールドと流体連通する射出アセンブリであって、前記処理空間内で前記基板支持体の上面に沿って自己組織化単分子膜前駆体を提供するように構成された射出アセンブリと、
前記射出アセンブリと流体連通する気化器と、
を有する、基板処理方法。
【請求項13】
移送チャンバが、前記第1の処理チャンバ、前記第2の処理チャンバ、および前記第3の処理チャンバの各々と連結している、請求項
12に記載の方法。
【請求項14】
前記アニール処理、前記ベーク処理、または前記プラズマ曝露処理は、前記基板から自己組織化単分子膜材料を除去する、請求項
12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、基板を処理する装置に関する。具体的には、本書に記載の実施形態は、領域選択堆積用の統合クラスタツールに関する。
【背景技術】
【0002】
サブハーフミクロンの特徴、及びより小さい特徴を確実に生産することは、半導体装置の次世代の超大規模集積(VLSI)及び超々大規模集積(ULSI)に関する、主要な技術的課題のうちの1つである。しかし、回路技術の限界が押し進められるにつれて、VLSI及びULSI技術による寸法の縮小が、処理能力に対してさらなる要求を提示してきた。
【0003】
次世代装置用の回路密度が上昇するのにつれて、ビア、トレンチ、コンタクト、ゲート構造、及び他の構造といったインターコネクトの幅、同様にそれらの間の誘電体材料の幅は、45nmから32nmの寸法へ、そしてそれを超えて、減少している。次世代の装置及び構造の製造を可能にするため、半導体チップの特徴の、三次元(3D)スタックがしばしば使用される。半導体チップに三次元(3D)構造物を形成するため、具体的には、フィン型電界効果トランジスタ(FinFETs)がしばしば使用されている。従来の二次元の代わりに、三次元にトランジスタを配設することによって、集積回路(IC)内に、多数のトランジスタが互いに非常に近接して設置され得る。回路密度と積層化が増大するのにつれて、先行して堆積した材料の上に後続の材料を選択的に堆積する能力が、重要性を増している。
【0004】
後続の材料の堆積選択性を向上するため、自己組織化単分子膜(SAMs)がマスキング材料として使用されてよい。SAMsは、概して表面の化学的性質に依存し、様々な材料上で選択的に形成され得る。しかし、現行のSAMs堆積用装置は、望ましくないほどにスループットを低下させる堆積速度の遅さによって、しばしば悩まされてきた。加えて、適切なスループットを提供するSAM装置の前処理装置、後処理装置との統合が、本業界には欠如している。
【0005】
このように、当該技術分野において必要とされているのは、基板処理のための装置及び方法の改良である。
【発明の概要】
【0006】
一実施形態では、基板処理装置が提供される。この装置は、中央に配置された移送チャンバを有するプラットフォーム、及び移送チャンバに連結された第1の処理チャンバを含む。第1の処理チャンバは、表面改質処理を実施するように構成されている。移送チャンバには第2の処理チャンバが連結され、第2の処理チャンバは、自己組織化単分子膜トリートメント処理を実施するように構成されている。移送チャンバには第3の処理チャンバが連結され、第3の処理チャンバは、原子層堆積処理を実施するように構成されている。移送チャンバには第4の処理チャンバが連結され、第4の処理チャンバは、アニール処理を実施するように構成されている。
【0007】
別の実施形態では、基板処理装置が提供される。この装置は、中央に配置された移送チャンバを有するプラットフォーム、及び移送チャンバに連結された第1の処理チャンバを含む。第1の処理チャンバは、表面改質処理を実施するように構成されている。移送チャンバには、第1の処理チャンバに隣接して第2の処理チャンバが連結され、第2の処理チャンバは、自己組織化単分子膜トリートメント処理を実施するように構成されている。移送チャンバには、第2の処理チャンバに隣接して第3の処理チャンバが連結され、第3の処理チャンバは、原子層堆積処理を実施するように構成されている。移送チャンバには、第3の処理チャンバに隣接して第4の処理チャンバが連結され、第4の処理チャンバは、アニール処理を実施するように構成されている。
【0008】
さらに別の実施形態では、基板を処理するための方法が提供される。本方法は、基板を第1の処理チャンバに移送し、第1の処理チャンバ内で基板の表面改質処理を実施することを含む。基板は、第1の処理チャンバから移送チャンバを介して第2の処理チャンバへと移送され、第2の処理チャンバ内で、基板に対して自己組織化単分子膜トリートメント処理が実施される。基板は、第2の処理チャンバから移送チャンバを介して第3の処理チャンバへと移送され、第3の処理チャンバ内で、基板に対して原子層堆積処理が実施される。基板は、第3の処理チャンバから移送チャンバを介して第4の処理チャンバへと移送され、第4の処理チャンバ内で、基板に対してアニール処理が実施される。
【0009】
本開示の上記の特徴が詳細に理解され得るように、上記で簡単に要約されている本開示のより具体的な説明が、実施形態を参照することによって得られてよい。一部の実施形態は、付随する図面に示される。しかし、付随する図面は本開示の典型的な実施形態しか例示しておらず、従って、本開示の範囲を限定すると見なすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容し得ることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本書に記載の一実施形態によるクラスタツール装置の概略平面図を示す。
【
図2】本書に記載の一実施形態による処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図3】本書に記載の一実施形態による処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図4】本書に記載の一実施形態による処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図5】本書に記載の一実施形態による処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図6】本書に記載の一実施形態による処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図7】本書に記載の一実施形態による処理チャンバの概略断面図を示す。
【
図8】本書に記載の一実施形態による、基板の処理方法の工程を示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
理解を容易にするため、可能な場合には、図に共通する同一の要素を示すのに同一の参照番号が使用される。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記述がなくとも他の実施形態に有益に組み込まれ得ることが、想定されている。
【0012】
本書に記載のる実施形態は、基板を処理する装置及び方法に関する。一実施形態では、移送チャンバ、並びに移送チャンバの周囲に配置された前洗浄チャンバ、自己組織化単分子膜(SAM)堆積チャンバ、原子層堆積(ALD)チャンバ、及び後処理チャンバを有するクラスタツール装置が提供される。基板は、クラスタツールによって処理され得、前処理チャンバ、SAM堆積チャンバ、ALDチャンバ、及び後処理チャンバの間で移送され得る。基板の各チャンバ間の移送は、移送ロボットを収容する移送チャンバによって促進され得る。
【0013】
「自己組織化単分子膜」(SAM)とは、本書で使用される場合、概して、ある表面に(例えば化学結合によって)付着し、その表面に対して(また互いに対してさえも)好適な配向を取る、分子の層を意味する。SAMは、通常、両親媒性分子の組織化された層を含む。この分子内では、分子の一端「頭部基」が、基板に対して固有の可逆的な親和性を示す。頭部基の選択は、SAMの適用に依存し、SAM化合物のタイプは、使用される基板に基づく。概して、頭部基は、アルキル鎖に接続されている。アルキル鎖では、尾部すなわち「末端」が官能化され、例えば濡れ性及び界面特性が変更され得る。SAMを形成する分子は、(例えば、金属と誘電体のように)別の材料上である材料に選択的に取りつき、密度が十分な場合には、SAMで被覆されていない材料上への選択的堆積を可能にしながら、後続する堆積を成功させ得る。
【0014】
図1は、本書に記載の一実施形態によるクラスタツール装置100の概略平面図を示す。本書で開示する実施形態に従って使用され得る適切な装置の例は、CENTURA(登録商標)及びENDURA(登録商標)の各プラットフォームを含む。このどちらも、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能である。他の製造業者による他の適切に構成された装置もまた、本書に記載の実施形態にしたがって有利に使用され得ることが想定される。加えて、これもまたカリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能である、デュアルチャンバ機能を有するPRODUCER(登録商標)プラットフォームが、本書に記載する実施形態に従って有利に用いられ得る。PRODUCER(登録商標)プラットフォームを使用する実施形態では、これ以降記載される実施形態に従った後処理チャンバとして、ベーク機能またはアニール機能を有するロードロックチャンバが用いられ得る。
【0015】
装置100は概して、複数の処理チャンバ102、104、106、108と、移送チャンバ110と、ロードロックチャンバ112とを含んでいる。処理チャンバ102、104、106、108のそれぞれは、移送チャンバ110に連結されている。一実施形態では、処理チャンバ104は、処理チャンバ102に隣接して配置されている。一実施形態では、処理チャンバ106は、処理チャンバ104に隣接して配置されている。一実施形態では、処理チャンバ108は、処理チャンバ106に隣接して配置されている。各処理チャンバは、基板処理の別々のステージまたはフェーズを表していてよく、基板処理の別々のステージまたはフェーズのために使用されてよい。一実施形態では、処理チャンバ102は、前洗浄チャンバである。処理チャンバ102は、処理される基板の表面を、後続する処理のために準備する。処理チャンバ102は、様々な実施形態で、大気曝露に起因する基板の欠陥を除去し得、ネイティブな酸化物層を除去し得、及び/または、SAM処理またはALD処理によって処理される基板表面上に配置された、犠牲層を除去し得る。別の実施例では、処理チャンバ102は、基板表面機能化に使用される。この例では、所望の実装に応じて、基板上のSAMの形成を可能にし、補助し、または防止するために、表面の末端基が変更され得る。
【0016】
処理チャンバ102によって実施され得る表面トリートメントの具体例は、プラズマトリートメントを介した金属酸化物の除去、H2/O2プラズマトリートメントもしくは水蒸気曝露を使用した表面の水酸基官能化、及び/またはSICONI(登録商標)プロセスを使用した酸化物の除去を含む。SICONI(登録商標)プロセスは、カリフォルニア州サンタクララのApplied Materials, Inc.から入手可能である。他の同様のトリートメント処理が、本書に記載の実施形態に従って使用され得ることが、想定される。具体的には、処理チャンバ102は、選択的領域のSAM吸着を可能にするために使用される。例えば、オクタデシルトリクロロシラン(ODTCS)によるSAMは、誘電体または金属酸化物材料と結合し得、所望の条件が存在すると仮定すれば、金属またはSi-H終端された表面と選択的に結合し得る。処理チャンバ102は、金属酸化物またはネイティブな酸化物を除去して、概してSAM吸着を妨げる、Si-H終端された表面の露出した金属表面を形成するために使用される。
【0017】
別の実施形態では、処理チャンバ102は、後処理チャンバとして使用されてよい。
図2に関連して以下でより詳細に記載される処理チャンバ102は、ベーク処理またはアニール処理を実施するのに使用される、加熱ペデスタルを含む。ベーク処理またはアニール処理は、基板が装置100の他のチャンバによって処理された後に、使用され得る。
【0018】
一実施形態では、処理チャンバ104は、SAM堆積チャンバである。処理チャンバ104は、蒸気相のSAM分子が、基板の一材料に選択的に吸着し、この基板の別の材料に選択的に吸着するのを可能にするように構成されている。選択的吸着は、概して、SAM分子の頭部基の反応性、及び基板表面に配置された表面終端特性/官能基によって制御される。例えば、同一のSAMトリートメント処理に曝露された、露出されたSiO2及びCu材料を有する基板は、Cuに選択的に結合し、SiO2材料上にはほぼ全く吸着されない、金属に対して選択的なSAM分子に帰着する。結果として生じるSAM材料は、高い(即ち、約105°よりも大きい)水接触角を有する。これは、高密度のSAMの形成を表す。このように、処理チャンバ104は、SAM堆積処理を実施するために使用される。
【0019】
一実施形態では、処理チャンバ106は、ALDチャンバである。処理チャンバ106は、SAM材料に覆われていない基板表面上への堆積を可能にするように構成されている。例えばALD材料は、約110°よりも大きいといった、約105°よりも大きい水接触角を有する表面上には、通常は形成されない。この結果、ALD処理は、堆積の選択性を向上するためのSAM材料の使用によって、基板の所望の材料上に選択的に堆積され得る。
【0020】
一実施形態では、処理チャンバ108は、アニールチャンバまたはベークチャンバといった後処理チャンバである。別の実施形態では、処理チャンバ108は、プラズマ処理チャンバである。一実施例では、処理チャンバ108は、熱脱離または、酸素及び/水素含有プラズマといったプラズマへの曝露によって、基板からのSAM材料の除去を可能にする。代わりに、または組み合わせて、処理チャンバ108はALD洗浄処理に使用され得る。例えば、不完全なSAMトリートメントの場合には、SAM材料で覆われていない基板の欠陥箇所において、若干のALD核形成が起こり得る。処理チャンバ108は、露出したALD材料をエッチングするエッチング処理を実施するのに使用され得る。エッチング処理の結果、対象のALD成長箇所からは少量の材料のみが除去される一方で、欠陥箇所上に成長したALD膜は除去される。
【0021】
処理チャンバ102、104、106、108間における基板の移送を可能にする移送チャンバ110は、内部に移送ロボット114を収容する。移送ロボット114は、シングルブレードロボットであってよいか、または図示するようにデュアルブレードロボットであってよい。デュアルブレードロボット114は、一対の延伸可能なアームの遠位端に取り付けられた、一対の基板移送ブレード116A、116Bを有する。ブレード116A、116Bは、個別の基板を、チャンバ102、104、106、108間で、支持し運搬するのに使用される。移送チャンバ110もまた真空下に保たれるか、またはそうでなければ、減酸素環境下に保たれる。SAMトリートメントとALDトリートメントとの間で基板を大気曝露することは、ALDブロックに対するSAM材料の有効性にとって潜在的に有害であり、処理チャンバ104と処理チャンバ106の間で基板を移送することによって、堆積選択性の上昇といった処理性能の向上が、インシトゥで提供される。加えて、SAM処理とALD処理を循環的に実施することが望ましくあり得る。こうして、移送チャンバは、処理チャンバ104、106間の基板の効率的な移送を可能にする一方で、同時に、基板の大気環境への曝露を防ぐことによって、基板の処理性能の向上もまた可能にする。
【0022】
図2は、本書に記載の一実施形態による処理チャンバ102の概略断面図を示す。処理チャンバ102は、プラズマエッチングチャンバ、プラズマトリートメントチャンバ、ベークチャンバ、アニールチャンバ、または他の適切な真空処理チャンバであってよい。
【0023】
処理チャンバ102は、複数のモジュールから組み立てられていてよい。このモジュール式の設計が、処理チャンバ102が様々な処理要件を満たすことを可能にしている。
図2に示すように、処理チャンバ102は、ソースモジュール202、処理モジュール204、流動モジュール206、及び排出モジュール208を含む。ソースモジュール202、処理モジュール204及び流動モジュール206が、合わせて処理領域212を取り囲む。処理モジュール204、流動モジュール206、及び排出モジュール208は、ある実施形態では、合わせてチャンバモジュール210として考えられてよい。
【0024】
作業中、基板216は、基板支持体アセンブリ218上に位置していてよく、処理領域212内で生成されたプラズマといった、処理環境に曝露されていてよい。処理チャンバ102内で実施され得る例示の処理は、エッチング、プラズマトリートメント処理、及びベーキング処理またはアニーリング処理を含む。処理領域212内には、排出モジュール208から、流動モジュール206によって規定された排出チャネル214を通じた排出モジュール208からの吸引によって、真空が維持されていてよい。
【0025】
処理領域212及び排出チャネル214は、中心軸211を中心にほぼ対称になっており、それによって、対称な電流、ガス流、及び熱流が提供され、均一な処理条件が確立される。
【0026】
一実施形態では、ソースモジュール202は、1つ以上のプラズマを生成するように構成された容量結合プラズマ源であって、この1つ以上のプラズマのうちの少なくとも1つは遠隔プラズマと考えられてよく、少なくとも1つはダイレクトプラズマと考えられてよい。ソースモジュール202は、絶縁器222によって処理モジュール204から絶縁され、処理モジュール204に支持された、電極(即ちアノード)として機能し得る、プレートスタック201を含み得る。プレートスタック201は、積層配向で配設された、様々なシャワーヘッド、ディフューザ―、及びスクリーン/ブロッカプレートを含み得る。プレートスタック201は、ガス注入管226を通じてガス源232に接続されていてよい。プレートスタック201及びガス注入管226は、全て、アルミニウムまたは鋼といった高周波(RF)導電性材料で製造されていてよい。プレートスタック201は、導電性ガス注入管226を介してRF電源224に連結されていてよい。RFマッチングネットワーク225もまた、RF電源224に連結されてよい。導電性ガス注入管226は処理チャンバ102の中心軸211と同軸であってよく、それによってRF電力と処理ガスは、どちらも対称に提供される。
【0027】
上記で記載されているのは容量性プラズマ源であるが、ソースモジュール202は、処理要件に従った任意の適切なガス/プラズマ源であってよい。例えば、ソースモジュール202は、誘導性結合プラズマ源、遠隔プラズマ源、またはマイクロ波プラズマ源であってよい。
【0028】
処理モジュール204が、ソースモジュール202に連結される。処理モジュール204は、処理領域212を取り囲むチャンバ本体240を含み得る。チャンバ本体240は、アルミニウム又はステンレス鋼といった、処理環境に対して抵抗性を有する導電性材料から作られていてよい。基板支持体アセンブリ218は、チャンバ本体240内で中央に配置されていてよく、処理領域212内で中心軸211に関して対称に基板216を支持するように、位置していてよい。
【0029】
チャンバ本体240を貫通してスリットバルブ開口部242が形成されており、基板216の通過を可能にしている。スリットバルブ開口部242を選択可能に開封及び封止するように、チャンバ本体240の外側にスリットバルブ244が配置される。
【0030】
一実施形態では、チャンバ本体240の上側部分内に上側ライナーアセンブリ246が配置され、チャンバ本体240を処理環境から遮蔽する。上側ライナーアセンブリ246は、チャンバ本体240内に形成されたスリットバルブ開口242に対応する開口部248を含む。一実施形態では、上側ライナーアセンブリ246は、
中心軸211に関して対称に形成された2つ以上の開口部248を含み、これによって、スリットバルブ開口242があることによるチャンバ本体240の非対称性が補償される。こうして、処理チャンバ102内の処理領域212に対称性が形成される。例えば、上側ライナーアセンブリ246は、互いに対して120°離れて形成された3つの同一の開口部248を有する、円筒状の壁である。上側ライナーアセンブリ246は、アルミニウム、ステンレス鋼、及び/またはイットリア(例えば、イットリア被覆されたアルミニウム)といった、導電性の、処理に適合した材料から作られていてよい。
【0031】
一実施形態では、チャンバ本体240及び上側ライナーアセンブリ246に温度制御を提供するため、チャンバ本体240内に冷却チャネル250が形成され、その結果、処理チャンバ102内の熱的対称性及び処理領域212に提供されるプラズマの対称性が増強される。
【0032】
流動モジュール206が、処理モジュール204に連結される。流動モジュール206は、処理モジュール204内に規定される処理領域212と排出モジュール208との間に、流動経路を提供する。流動モジュール206は、基板支持体アセンブリ218と、処理チャンバ102の外の大気環境との間のインターフェースもまた提供する。
【0033】
流動モジュール206は、高さ207を有する。高さ207は、処理要件によって決定される垂直方向の移動量、または体積の変動の程度に従って選択される。その結果、特定の処理用に処理チャンバを構築する際には、処理要件を満たすため、適切な高さを持つ流動モジュールが選択され得る。流動モジュールは、処理チャンバを異なる処理用に構成するときには、異なる高さを持つ別の流動モジュールと交換されてよい。
【0034】
流動モジュール206は、外壁260、内壁262、この内壁262と外壁260とを接続している2つ以上のペアをなす放射状の壁264、並びに、内壁262及び2つ以上のペアをなす放射状の壁264に取り付けられた底壁266を含む。外壁260は、放射状の壁264の各ペア間に形成された、2つ以上の貫通孔270を含む。内壁262と、2つ以上のペアをなす放射状の壁264とを覆って、シャーシ254が封止可能に配置されている。貫通孔270は、内壁262によって規定された大気空間268を大気環境に接続し、その結果、電気接続、ガス接続、及び冷却流体接続といった用益のための接続が可能になっている。シャーシ254は、基板支持体アセンブリ218を受容する、中央開口258を含む。
【0035】
流動モジュール206の外壁260は、処理モジュール204のチャンバ本体240に適合するように形成されている。一実施形態では、外壁260は、チャンバ本体240のフランジに対応するフランジを含む。流動モジュール206を処理モジュール204に連結するフランジを固定するため、複数のボルトが用いられ得る。一実施形態では、処理チャンバ240のフランジと外壁260のフランジの間に、この両者間の真空封止を形成するため、封止材252が配置される。封止材252は、Oリングまたは他のタイプの封止材であってよい。一実施形態では、流動モジュール206と処理モジュール204の間に、RF接地ガスケット272が配置され、均一で非対称のRFグラウンドリターンパスを形成するための、この両者間の緊密な接触を提供する。
【0036】
内壁262、底壁266、放射状の壁264、及びシャーシ254は、外壁260の内部の空間を、排出チャネル214と大気空間268とに分割している。排出チャネル214は、処理モジュール204の処理領域212と接続する。排出チャネル214と大気空間268との間の真空封止を提供するため、溝254b、264b内に、封止材256が配置される。封止材256は、エラストマ封止材といった、Oリングまたは他のタイプの封止材であってよい。
【0037】
外壁260と内壁262は、同心に配設された円筒状の壁であってよい。組み立てられたときには、外壁260と内壁262の中心軸は、処理チャンバ102の中心軸211と一致する。内壁262と外壁260の間に、この両者間の空間を排出チャネル214と貫通孔270とに分けるため、2つ以上のペアをなす放射状の壁264が配設されている。一実施形態では、2つ以上のペアをなす放射状の壁264は、排出チャネル214が中心軸211に関して対称になるように、配設されている。流動モジュール206は、互いに対して120°の角度で配置され、中心軸211に関して対称な3つの排出経路214を形成する、3つのペアをなす放射状の壁264を含む。排出チャネル214が対称に配置されていることによって、処理領域212からの対称なガスの除去が促進され、その結果、基板216をわたる対称なガスの流動につながる。加えて、排出チャネル214と放射状の壁264とが対称に配置されていることによって、処理チャンバ102内の対称な熱分配及び電気的コンダクタンスが促進される。
【0038】
排出モジュール208は、対称な流動バルブ280及び、対称な流動バルブ280に取り付けられた真空ポンプ282を含む。ある実施形態では、真空ポンプ282は対称なターボ分子ポンプであってよい。対称な流動バルブ280は、排出チャネル214に接続しており、処理チャンバ102内の対称且つ均一な流動を提供する。
【0039】
基板216を中心軸211に関して対称に配置するため、中心軸211に沿って、基板支持体アセンブリ218が配置されている。基板支持体アセンブリ218は、シャーシ254によって支持されている。基板支持体アセンブリ218は、処理領域212内に配置された支持体プレート274及びベースプレート276、並びにシャーシ254の中心開口258を通って配置された中空シャフト278を含む。ベローズ284が、ベースプレート276とシャーシ254を接続し、中空シャフト278を取り囲む。ベローズ284は、基板支持体アセンブリ218が中心軸211に沿って垂直に動くのを可能にし、流動モジュール206内の大気空間268と、処理モジュール204内の処理領域212との間に真空封止を提供する。
【0040】
支持体プレート274は、チャック用電極286を有する静電チャック(ESC)であってよい。チャック用電極286は、単極の4ゾーンESC、双極の4ゾーンESC、または高温ESCであってよい。双極のESCは、基板216のデチャック中、RF接地用のプラズマへの曝露を必要としなくてよいことが想定されている。4ゾーンESCは、温度の均一性の改善のため、4つの同心の加熱ゾーン(即ち、加熱要素288)を使用して、チャック用電極286上に配置された基板の処理中の、中心から端部への加熱プロファイルを変化させ得る。高温ESCは、約600°Cまでの温度で使用するのに適切であってよい。一実施形態では、チャック用電極286によって生成された温度は、材料の高選択性を維持するためにエッチングされた基板の層の副産物を昇華させるのに適切であり得る。
【0041】
支持体プレート274は、処理中に基板216を加熱する加熱要素288もまた含み得る。ベースプレート276は、内部に形成された冷却チャネル290を含む。チャック用電極286は、中空のシャフト278、大気空間268及び、貫通孔270の1つを通じて、バイアス電源287に接続されていてよい。加熱要素288は、中空のシャフト278、大気空間268及び、貫通孔270の1つを通じて、加熱電源289に接続されている。冷却チャネル290は、中空のシャフト278、大気空間268及び、貫通孔170の1つを通じて、冷却流体源291に接続されている。一実施形態では、支持体プレート274は、基板216上に堆積したSAM材料の蒸発温度よりも高い温度まで、基板216を加熱するように構成されている。
【0042】
一実施形態では、基板支持体アセンブリ218を垂直に動かすように、アクチュエータアセンブリ292が、中空のシャフト278に連結されている。アクチュエータアセンブリ292は、基板支持体アセンブリ218を処理領域212内で動かし、基板216の処理ポジションを変化させることを可能にしてよい。例えば、アクチュエータアセンブリ292は、基板支持体アセンブリ218を、プレートスタック201から約0.5インチと約6インチの間の距離で配置する。従来型のプラズマ処理装置と比較して、プレートスタック201と基板支持体アセンブリ218の間の距離が短いことによって、20mTorr未満、例えば約1mTorrといった低圧レジームにおける、容量結合プラズマ(CCP)生成ウィンドウの増大がもたらされる。その結果、RF電極(即ちプレートスタック201)とRF接地との間の間隙が増大し得、CCPの破壊電圧を低減することによって、低圧CCP放電が可能になる。CCPが生成される実施形態では、所望の実装に応じて、基板支持体アセンブリ218は、電極(即ちカソード)または、接地ガスケット272を介した接地としてもまた、機能し得る。アクチュエータアセンブリ292が、大気空間268の中に配置されている。リフトピン296を動かすため、大気空間268内にリフトピンアクチュエータ294が配置されている。
【0043】
プラズマを処理領域212内に閉じ込めるため、処理領域212と排出チャネル214との間に、プラズマスクリーン298が配置されている。基板支持体アセンブリ218を処理化学物質から保護するため、基板支持体アセンブリ218の周囲に、基板支持体ライナー299が配置されている。
【0044】
作業中、ガス源232からの1つ以上の処理ガスが、プレートスタック201を通じて処理領域212に入り得る。低圧レジームでの利用に適切な処理ガスは、H2、He、Ar、O2、NF3、NH3、N2、N2O、H2O、SiF4、SiH4、SiCl4、及び様々なフッ化炭素の前駆体を含む。処理領域212内でダイレクトプラズマ(イオン生成)を点火し維持するため、プレートスタック201と基板支持体アセンブリ218との間に、RF電力が印加されてよい。RF電力はまた、ガス注入管226を介してプレートスタックに201に印加されてもよく、遠隔プラズマ(ラジカル生成)がプレートスタック201内で生成されてよい。イオンエネルギーとラジカルの濃度を制御するため、同期またはステップRFパルシングが使用されてよい。ゼロDCバイアスが使用されてよい。ゼロDCバイアスによってイオンボンバードメントが低減され得、それによって粒子の生成が低減され得る。プラズマ密度とイオンエネルギーを変更するため、複数のRF周波数(即ち400kHz、2MHz、13.56MHz、27MHz、40MHz、60MHz)が使用されてよい。イオンエネルギー配分を制御するため、調整波形及び位相角度変更が使用され得る。RF電源224及びRF整合ネットワーク225が、安定したプラズマ放電を維持しながら、約5Wくらいまでの低い電力で動作するように構成されていてよいことが想定される。
【0045】
基板支持体アセンブリ218上に配置された基板216は、ダイレクトプラズマと遠隔プラズマの両方によって処理されてよい。例えば、処理領域212内で生成されたダイレクトプラズマは、基板216の表面上の材料をイオンに曝露して、この材料を変化させるのに使用される。プレートスタック201内の遠隔プラズマから生成されたラジカルは、遠隔プラズマから抽出され、変化していない材料に対する高い選択性で、基板216上の変化した材料を除去する。その結果、高度に選択的な材料除去処理が達成され得る。
【0046】
プラズマの形成に使用される1つ以上の処理ガスは、処理領域212またはプレートスタック201に対して継続的に供給され得る。真空ポンプ282は、対称流動バルブ280及び流動モジュール206を通じて稼働し、基板216の近傍に対称且つ均一なプラズマプロファイルを生成する。処理領域212及び排出チャネル214を別々のモジュール内に規定することによって、本開示の実施形態は、簡便なチャンバ構造で、均一かつ対称な処理環境を提供する。それによって、製造コストは削減され、高度な材料選択性を有するダメージフリーのプラズマエッチング処理が可能になる。
【0047】
図3は、本書に記載の一実施形態による処理チャンバ104の概略断面図を示す。
図3の実施形態は、処理チャンバ104Aの一実装形態を示す。処理チャンバ104Aは、処理空間310を規定するチャンバ本体302を含む。処理空間310内に基板支持体304が配置され、基板支持体304の反対側にシャワーヘッド312が配置されている。チャンバ本体302には、ポンピングライナー350が連結され、基板支持体304の径方向外向きに配置されている。リッドプレート324がシャワーヘッド312に連結され、チャンバ本体302によって支持されている。バッキングプレート314が、シャワーヘッド312とリッドプレート324の間に連結されている。射出アセンブリ326がリッドプレート324に連結されており、射出アセンブリは、処理空間310と流体連通していてよい。
【0048】
チャンバ本体302は、約300°Cまでの温度に耐える適切な材料から製造されていてよい。例えば、チャンバ本体302は、アルミニウム、その合金、ステンレス鋼、及び他の適切な金属材料から形成されていてよい。チャンバ本体302内にスリットバルブ開口部360が形成され、処理空間310との間の基板の搬入と搬出を可能にする。スリットバルブドア358が、チャンバ本体302に連結されており、スリットバルブ開口部360を封止及び開封するために可動であってよい。一実施形態では、スリットバルブドア358は、チャンバ本体302と同じ材料から形成されている。代わりに、スリットバルブドア358は、チャンバ本体302とは異なる形態の材料から形成されていてもよい。
【0049】
基板支持体304は、処理空間310内に動作可能に配置されていてよい。示されるように、基板支持体304は、高設処理ポジションに配置されている。基板支持体304の基板支持面がスリットバルブ開口部360と同じかそれより下になるように、基板支持体304を下降させてよく、それによって基板の基板支持体304上での位置調整が可能になる。基板支持体は、高温の処理温度における作業に適切な材料から形成されていてよく、金属材料、セラミック材料、またはそれらの組み合わせであってよい。例えば、ペデスタルは、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムといった、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、またはセラミック材料から形成されていてよい。
【0050】
基板支持体304は、内部に配置された加熱部材306を有し、加熱部材306は、電源354に連結されている。電源354は、処理空間310内で基板支持体304を上昇及び加工させる電力も、また供給してよい。加熱部材306は抵抗ヒータなどであり、任意の所望の配向で、基板支持体304内に配置されていてよい。例えば、加熱部材306は、螺旋状の配向または、ねじれた経路の配向といった、基板支持体を均一に加熱するように構成された他の適切な配向で、基板支持体304内に形成されている。一実施形態では、加熱部材306は、約100°Cと約300°Cの間の温度まで、基板支持体304を加熱するように構成されている。
【0051】
ポンピングライナー350は、基板支持体304及び処理空間310を取り囲むようにサイズ決めされている。基板支持体304と同様に、ポンピングライナー350は、金属材料、セラミック材料、またはこれらの組み合わせによって形成されていてよい。例えば、ペデスタルは、酸化アルミニウムまたは窒化アルミニウムといった、アルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼、またはセラミック材料から形成されていてよい。ポンピングライナー350は、内部に形成された開口362を有し、それによって基板の処理空間310への搬入及び搬出を可能にしている。開口部326は、スリットバルブ開口部360とほぼ同一平面になるように配置されている。ポンピングライナー350の内径に沿って、複数の孔352が形成されている。複数の孔352は、処理空間310から排出口356へ、ガス及び他の材料を排出する。こうして処理空間310は、ポンピングライナー350の孔352を介して排出口356と流体連通している。
【0052】
基板支持体304に対向して配置されたシャワーヘッド312が、チャンバ本体302に直接または間接に連結され、チャンバ本体302によって支持されている。シャワーヘッド312は、基板支持体304及びポンピングライナー350に使用されている材料と同様の材料から形成されていてよい。シャワーヘッド312は、内部に形成された複数の第1の通路321を有する。複数の第1の通路は、処理空間310から、シャワーヘッド312とバッキング板314の間に形成された第1のプレナム320へと延在する。第1の通路321は、第1のプレナム320から処理空間310への、流体連通と蒸気の移動を可能にする。
【0053】
処理空間310には、シャワーヘッドライナー308もまた配置されている。シャワーヘッドライナー308は、シャワーヘッド312と同一または同様の材料から形成されていてよく、シャワーヘッドライナーは、シャワーヘッド312に連結されていてよい。一実施形態では、シャワーヘッドライナー308は、リング状物体である。シャワーヘッドライナー308は、基板支持体304の外径とほぼ同様である内径を有する。シャワーヘッドライナー308の内径は、シャワーヘッドライナー308の最も内側の表面が、第1の通路321の径方向外側になるようにサイズ決めされ、それによって処理空間310への蒸気の送達が阻害されないようになっていてもまたよい。シャワーヘッドライナー308は、処理空間310内で物理的な空間を占めており、処理空間310の体積を減少させている。それによって、基板上にSAM分子を形成するために必要なSAM前駆体の量は、減少する。こうして、SAM形成プロセスの効率性は向上する。
【0054】
シャワーヘッド312は、内部に配置されたヒータ316もまた有する。ヒータ316は、抵抗ヒータなどであり、第1の通路321の径方向外側に、シャワーヘッド312内に配置されていてよい。一実施形態では、ヒータ316は、第1の通路312を実質的に取り囲む円周配向で、シャワーヘッド312内に配置されている。ヒータ316は、電源318に連結されていてよく、それによってシャワーヘッド312の抵抗加熱が可能になる。一実施形態では、シャワーヘッド312は、約150°Cと約250°Cの間の温度まで加熱されるように構成されている。
【0055】
シャワーヘッドとリッドプレート324の間に配置され、第1のプレナム320を部分的に規定するバッキングプレート314は、
内部に配置された第2の複数の通路323を有する。バッキングプレート314とリッドプレート324の間に、第2のプレナム322が形成されている。通路323は、第2のプレナム322の第1のプレナム320との流体連通を可能にする。リッドプレート324内の、第2のプレナム322と射出アセンブリ326の間に、第3の複数の通路325が形成されている。
【0056】
一実施形態では、射出アセンブリ326は、処理空間310に気化した材料を送達するように構成されている。作業中、SAM前駆体及び/または共反応物前駆体といった気化材料が、射出アセンブリ326から第3の複数の通路325を通って第2のプレナム322へ送達される。気化材料は、バッキング板314の第2の複数の通路323を通って第1のプレナム320へ移動し、シャワーヘッド312の第1の複数の通路321を通って処理空間310へ移動する。基板の処理後には、気化材料及び他の廃液が、処理空間310からポンピングライナー350の孔352を通り、排出口356を介して除去される。
【0057】
射出アセンブリ326は、リッドプレート324に連結されたハウジング327と、ハウジング327に連結された射出器328を含む。射出器328はハウジング327内に配置され、射出器328は第3のプレナム348を含む。一実施形態では、第3のプレナム348はじょうご形状である。第3のプレナム348の形状は、気化材料の処理空間310への送達に先立って、気化材料の混合を促進し助長するように構成されていてよい。第3のプレナム348は、じょうご形状として示されているが、気化材料の混合を促進する他の形状も想定される。
【0058】
第1のアンプル330が、第1の導管332を介して射出アセンブリ326に連結されている。具体的には、第1のアンプル330は、第1の導管332を介して射出器328の第3のプレナム348と流体連通している。第1の導管332は、第1のアンプル330から第3のプレナム348に延在する。第1の導管332の、射出器328を超えて配置されている部分で、第1のヒータジャケット334が第1の導管332を取り囲む。一実施形態では、第1のヒータジャケット334は、抵抗加熱され、第1の導管332を約50°Cと約250°Cの間の温度に維持する。
【0059】
第1のアンプル330は、SAM前駆体を気化し、処理空間310に送達するように構成されている。SAM前駆体の適切な例は、ブチルホスホン酸、ヘキシルホスホン酸、オクチルホスホン酸、ドデシルホスホン酸、及びオクタデシルホスホン酸といった、ホスホン酸材料を含む。別の実施形態では、SAM前駆体は、ドデカンチオール及びオクタデカンチオールといった、チオール材料であってよい。別の実施形態では、SAM前駆体は、トリス(ジメチルアミノ)オクチルシラン及びトリス(ジメチルアミノ)オクタデシルシランといった、シリルアミン材料であってよい。別の実施形態では、SAM前駆体は、ドデシルトリクロロシラン及びオクタデシルトリクロロシランといった、クロロシラン材料であってよい。別の実施形態では、SAM前駆体は、オクタデシルトリエトキシシラン及びオクタデシルトリメチルシランといった、オキシシラン材料であってよい。別の実施形態では、SAM前駆体は、(1,1,2,2‐パーフルオロデシル)トリクロロシラン、トリクロロ(1,1,2,2‐パーフルオロオクチル)シラン、(1,1,2,2‐パーフルオロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカ‐フルオロ‐テトラヒドロオクチル)トリクロロシラン、(トリデカフルオロ‐1,1,2,2‐テトラヒドロ‐オクチル)トリエトキシシラン、(トリデカフルオロ‐1,1,2,2‐テトラヒドロオクチル)メチルジクロロシラン、(トリデカフルオロ‐1,1,2,2‐テトラヒドロオクチル)ジメチルクロロシラン、(ヘプタデカフルオロ‐1,1,2,2‐テトラヒドロデシル)トリクロロシランなどといった、フッ素化R基を有していてよい。
【0060】
第2のアンプル336が、第2の導管338を介して射出アセンブリ326に連結されている。具体的には、第2のアンプル336は、第2の導管338を介して射出器328の第3のプレナム338と流体連通している。第2の導管338は、第2のアンプル336から第3のプレナム348へ延在する。第2の導管338の、射出器328を超えて配置されている部分で、第2のヒータジャケット340が第2の導管338を取り囲む。一実施形態では、第2のヒータジャケット340は、抵抗加熱され、第2の導管338を約50°Cと約250°Cの間の温度に維持する。
【0061】
第2のアンプル336は、共反応物前駆体を気化し、処理空間310に送達するように構成されている。共反応物前駆体の適切な例は、環境大気、水溶液または蒸気、過酸化水素の水溶液または蒸気、メタノール、イソプロパノール、エタノール、及びジオールなどの有機アルコールの水溶液または蒸気などといった、水酸部分の材料を含む。水酸部分を形成するために、水素ガスと酸素ガスが組み合わされて使用されても、またよい。他の非水酸部分の前駆体が、本書に記載の実施形態に従って使用され得ることも、また想定される。非水酸部分の前駆体は、窒素ガス、(ジ)イソシアネート、硫化水素、及びアンモニアなどを含み得る。
【0062】
一実施形態では、洗浄ガス源342が、第3の導管344を介して射出アセンブリ326に連結されている。具体的には、洗浄ガス源342は、第3の導管344を介して射出器328の第3のプレナム348と流体連通している。第3の導管344は、洗浄ガス源342から第3のプレナム348へ延在する。オプションで、第3の導管344の、射出器328を超えて配置されている部分で、第3のヒータジャケット346が第3の導管344を取り囲む。一実施形態では、第3のヒータジャケット346は、抵抗加熱され、第3の導管344を約50°Cと約250°Cの間の温度に維持する。洗浄ガス源342によって提供されるガスは、塩素含有材料、フッ素含有材料、及び、処理チャンバ104Aの構成要素の洗浄に適切な他の材料を含み得る。
【0063】
別の実施形態では、洗浄ガス源342は、遠隔プラズマ源である。この実施形態では、リモートプラズマ源は、洗浄ガスを励起してラジカル及び/またはイオンを生成し得、プラズマ生成物を処理領域310に送達し得る。一実施形態では、遠隔プラズマ源はオプションである。
【0064】
別の実施形態では、洗浄ガス源342は、キャリアガス源である。蒸気位相のSAM前駆体の送達を促進するため、キャリアガスが使用されてよく、キャリアガスは、処理空間310に応じて、第3のプレナム348から、第3の通路325を通り、第2のプレナム322及び第2の通路323を通り、第1のプレナム320及び第1の通路321を通って処理空間310に至る、SAM前駆体の移動を促進するのに適切な流量で、送達されてよい。適切なキャリアガスは、希ガスなどといった、SAM分子の基板表面への送達を促進するSAM吸着条件下で、概して不活性なガスを含む。
【0065】
加熱されたシャワーヘッド312及び加熱された基板支持体304が、処理空間310を約50°Cと約250°Cの間の温度まで加熱し得る。アンプル330、336及び導管332、338は、同様の温度まで加熱され得る。シャワーヘッドライナー308、バッキング板314、リッドプレート324、及び射出アセンブリ326もまた、シャワーヘッド312によって伝導的に加熱され得る。SAM前駆体が沿って移動する流動経路の温度は、
気化したSAM前駆体が様々な装置上で凝結するのを防ぐため、高温に維持される。処理空間310はまた、約600Torr未満の圧力に維持されてもよい。この圧力もまた、SAM前駆体及び共反応物前駆体の蒸気状態の維持を促進し得る。
【0066】
作業環境では、SAM前駆体は、第1のアンプル330から排出口356まで、処理空間310を通って継続的に流動する。この実施形態では、処理空間310の圧力は、等圧状態に維持される。別の実施形態では、SAM前駆体が処理空間110を満たし、処理空間310から排出されるのに先立つ期間にわたって、処理空間110内に維持される。別の実施形態では、共反応物前駆体は、処理空間310内に継続的に流動するか、または非連続的(例えばパルス状)に、供給される。別の実施形態では、SAM前駆体と共反応物前駆体は、連続的にであれ静的にであれ、交互に、処理空間310に供給される。
【0067】
図4は、本書に記載の別の実施形態による処理チャンバ104の概略断面図を示す。
図4の実施形態は、処理チャンバ104Bの一実装形態を示す。処理チャンバ104Bは、処理空間406を規定するチャンバ本体402を含む。処理空間406内に基板支持体404が配置され、処理空間406内の基板支持体404の反対側に、ヒータ414が配置されている。リッドプレート416がチャンバ本体402に連結され、蒸気発生アセンブリ418がリッドプレート416に連結されている。
【0068】
チャンバ本体402は、チャンバ本体302と同一または同様の材料から形成されている。同様に、基板支持体404は、基板支持体304と同一または同様の材料から形成されていてよい。基板支持体404は、内部に配置された加熱部材408を含む。加熱部材408は、電源410に連結され、基板支持体404を約100°Cと約500°Cの間の温度まで加熱するように構成されている。
【0069】
基板支持体404の反対側に配置されているヒータ414は、ヒータ414と基板支持体404の間で処理空間406をさらに規定し得る。ヒータ414は、電源428に連結され、ヒータ414を約100°Cと約500°Cの間の温度まで加熱するように構成されている。処理中、処理空間406の温度は約50°Cと約500°Cの間の温度、例えば約100°Cと約250°Cに維持されてよい。ガス源426もまたヒータ414に連結されており、ガス源は処理空間406と流体連通している。一実施形態では、ガス源426は、処理空間406に共反応性前駆体を送達するように構成されている。代わりに、ガス源426は、所望の実装に応じてパージガス、キャリアガス、または洗浄ガスを、処理空間406に送達するように構成されている。
【0070】
気化器、直接液体射出気化器などといった蒸気生成アセンブリ418が、リッドプレート416に連結されている。蒸気生成アセンブリ418は、処理空間406の径方向外側でリッドプレート416に連結されている。蒸気生成アセンブリ418の配置、及び処理空間406への蒸気の噴射箇所によって、基板のSAM前駆体へのクロスフロー型の曝露が提供される。蒸気生成アセンブリ418は、気化器422及び、気化器422から延在する射出器420を含む。気化器422は、SAM前駆体源524に連結され、気化するためにSAM前駆体を液体形態で受容する。気化器422は、SAM前駆体を気化するため約100°Cから約500°Cの間の温度に維持され、気化器422の温度は、少なくとも部分的に、SAM前駆体の蒸気圧によって決定される。
【0071】
気化されたSAM前駆体は、気化器422から流出し、射出器420を通って移動する。射出器420は、気化器422から蒸気生成アセンブリ418を通って、リッドプレート416へ延在する。蒸気生成アセンブリ418は、ヒータジャケット412によって高温に維持され、SAM前駆体を蒸気の状態に維持する。
【0072】
基板支持体404とヒータ414の径方向外側で、チャンバ本体402にマニフォールド436が連結されている。マニフォールド436は、基板支持体404及びヒータ414と同一または同様の材料から形成されている。マニフォールド436は、マニフォールド436の内径が、基板支持体404の外径及びヒータ414の外径よりも大きく、処理空間406を取り囲むように、サイズ決めされている。蒸気は、射出器420からマニフォールド436を通って、射出器420の反対側に配置された出口430まで流動し得る。排出口432もまた、処理空間406に連結されているか、または処理空間406に流体連通している。具体的には、排出口432は、出口430を介して処理空間406と流体連通している。その結果、処理空間の廃液は、出口430を通り、排出口432を介して処理空間406から排出され得る。
【0073】
ヒータ414の径方向外側で、リッドプレート416に断熱材434が連結されている。断熱材434は、マニフォールド436と同様のサイズを有しており、マニフォールド436とリッドプレート416の間に配置されていてよい。断熱材434は、チャンバ本体402にも連結されているか、または接触していてよい。断熱材434は、セラミック材料などといった断熱性材料から形成されており、基板支持体404、ヒータ414、及びマニフォールド436からリッドプレート416への熱の伝導を低減または防止するように構成されている。一実施形態では、断熱材434はオプションである。この実施形態では、空隙が、リッドプレート416と、基板支持体404、ヒータ414、及びマニフォールド436との間の断熱材の機能を果たしている。
【0074】
図5は、本書に記載の一実施形態による処理チャンバ104の概略断面図を示す。
図5の実施形態は、処理チャンバ104Cの一実装形態を示す。処理チャンバ104Cは、処理空間506を画定するチャンバ本体502を含む。処理空間506内に基板支持体504が配置されており、
基板支持体504の反対側でリッドプレート516がチャンバ本体502に連結されている。蒸気発生アセンブリ518が、リッドプレート516に連結されている。
【0075】
チャンバ本体502は、チャンバ本体402と同一または同様の材料から形成されている。同様に、基板支持体504は、基板支持体404と同一または同様の材料から形成されている。基板支持体504は、内部に配置された加熱部材508を含む。加熱部材508は、電源510に連結され、基板支持体504を約100°Cと約500°Cの間の温度まで加熱するように構成されている。
【0076】
気化器、直接液体射出気化器などといった蒸気生成アセンブリ518が、処理空間506の中央近傍でリッドプレート516に連結されている。蒸気生成アセンブリ518の位置と、処理空間506への蒸気の射出箇所によって、基板がSAM前駆体にトップダウン型で曝露される。蒸気生成アセンブリ518は、気化器522及び、気化器522から延在する1つ以上の射出器512、514を含む。気化器522は、SAM前駆体源524に連結され、気化するためにSAM前駆体を液体形態で受容する。気化器522は、SAM前駆体を気化するため約100°Cから約500°Cの間の温度に維持され、気化器522の温度は、少なくとも部分的に、SAM前駆体の蒸気圧によって決定され得る。
【0077】
気化されたSAM前駆体は、気化器522から流出し、注入器512、514のうちの一方または双方を通って移動する。射出器512、514は、気化器522から蒸気生成アセンブリ518を通って、リッドプレート516へ延在する。蒸気生成アセンブリ518は、ヒータジャケット528によって高温に維持され、SAM前駆体を蒸気の状態に維持する。一実施形態では、SAM前駆体源524からのSAM前駆体は、注入器512を介し、出口530を通じて処理空間内に導入される。ガス源526は、処理空間506ともまた流体連通している。ガス源526は、蒸気生成アセンブリ518に液体またはガスを導入する。生成された蒸気は、射出器514及び出口530を介して処理空間506に導入される。一実施形態では、ガス源526は、共反応性前駆体を提供する。別の実施形態では、ガス源526は、所望の実装に応じて、パージガス、キャリアガス、または洗浄ガスを提供する。
【0078】
処理空間506は、排出口532ともまた流体連通している。その結果、処理空間の廃液は、排出口532を介して処理空間506から排出され得る。処理チャンバ104B及び104Cのどちらもが、約600Torr未満の圧力に保たれていてよい。処理チャンバ104B、104C内で実施される処理は、等圧または非等圧であってよい。同様に、処理チャンバ104B、104C内で実施される処理は、等温または非等温であってよい。
【0079】
図6は、本書に記載の一実施形態による処理チャンバ106の概略断面図を示す。処理チャンバ106は、ALDまたは逐次的な層堆積に適合したガス供給システム630を含む。処理チャンバ106は、側壁604及び底部606を有するチャンバ本体602を含む。スリットバルブ608が、処理チャンバ106との間の基板610の搬入及び搬出を提供する。
【0080】
基板支持体612が、基板受容面611上で基板610を支持する。基板支持体612は、基板支持体612及びその上に配置された基板610を上昇及び下降させるための、リフトモータ614に装着されている。リフトモータ618に接続されたリフト板616が、処理チャンバ106内に装着され、動作可能に配置されたリフトピン620を、基板支持体612を通って上昇及び下降させる。リフトピン620は、基板支持体612の表面をわたって、基板610を上昇及び下降させる。基板支持体612は、処理中に基板610を基板支持体612に固定するための、真空チャック(図示せず)、静電チャック(図示せず)、またはクランプリング(図示せず)を含み得る。
【0081】
基板支持体612は、その上に配置された基板610を加熱するため、加熱され得る。例えば、基板支持体612は、抵抗ヒータ(図示せず)といった、埋め込み加熱要素を用いて加熱され得るか、または、基板支持体612の上方に配置された加熱ランプ(図示せず)といった、放射熱を用いて加熱され得る。基板610上への堆積を防止すべく基板の周縁部にパージガスを供給するパージチャネル624を規定するため、基板支持体612上にパージリング622が配置され得る。
【0082】
処理ガス及び/又はパージガスといったガスを処理チャンバ106に供給するため、ガス供給システム630が、チャンバ本体602の上部に配置されている。任意の所望のガスを処理チャンバ106から排出するため、及び処理チャンバ106のポンピングゾーン666内部を所望の圧力または所望の圧力範囲に維持するよう支援するため、真空システム678がポンピングチャネル679と連通している。
【0083】
一実施形態では、ガス供給システム630は、チャンバリッドアセンブリ632を含む。チャンバリッドアセンブリ632は、チャンバリッドアセンブリ632の中心部分から延在する拡張チャネル634、及び拡張チャネル634からチャンバリッドアセンブリ632の周辺部分まで延在する下側表面660を含む。下側表面660は、基板支持体612上に配置された基板610をほぼ覆うように、サイズ決め及び形状決めされている。拡張チャネル634は、(一緒に設けられていても、及び/または別々に設けられていてもよい)2つの同様のペアをなすバルブ642a/652a、642b/652bからのガス流を提供する、ガス注入口636a、636bを有する。
【0084】
1つの構成では、バルブ642a、及びバルブ642bは別々の反応性ガス源に連結されているが、同一のパージガス源に連結されていてもよい。例えば、バルブ642aは反応性ガス源638に連結されており、バルブ642bは反応性ガス源639に連結されており、どちらのバルブ642a、642bも、パージガス源640に連結されている。各バルブ642a、642bは、バルブシートアセンブリ644a、644bを有する供給ライン643a、643bを含み、各バルブ652a、652bは、バルブシートアセンブリ646a、646bを有するパージライン645a、645bを含む。供給ライン643a、643bは、反応性ガス源638、639と流体連通し、拡張チャネル634のガス注入口636a、636bと流体連通する。供給ライン643a、643bのバルブシートアセンブリ644a、644bは、反応性ガス源638、639から拡張チャネル634までの反応性ガスの流動を制御する。パージライン645a、645bは、パージガス源640と流体連通し、供給ライン643a、643bのバルブシートアセンブリ644a、644bの下流で、供給ライン643a、643bと交差する。パージライン645a、645bのバルブシートアセンブリ646a、646bは、パージガス源640から拡張チャネル634までのパージガスの流動を制御する。反応性ガス源638、639からの反応性ガスを送達するのにキャリアガスが用いられる場合、好ましくは、キャリアガスとパージガスに、同じガスが用いられる(即ち、アルゴンガスがキャリアガス及びパージガスとして用いられる)。
【0085】
各バルブシートアセンブリ644a、644b、646a、646bは、ダイヤフラム(図示せず)及びバルブシート(図示せず)を含み得る。ダイヤフラムは、それぞれ開または閉するように付勢されていてよく、閉または開するように作動されてよい。ダイヤフラムは、空気圧作動式であってよいか、または電気作動式であってよい。空気圧作動式のバルブは、Fujikin, Inc.及びVeriflo Division, Parker Hannifin, Corp.から入手可能な空気圧作動式バルブを含む。電気作動式バルブは、Fujikin, Inc.から入手可能な電気作動式バルブを含む。例えば、用いられ得るALDバルブは、Fujikin Model No. FPR-UDDFAT-21-6.35-PI-ASNまたはFujikin Model No. FPR-NHDT-21-6.35-PA-AYTである。バルブ642a、642bのバルブシートアセンブリ644a、644b、646a、646bのダイヤフラムの作動を制御するため、バルブ642a、642bに、プログラム可能論理コントローラ648a、648bが連結されていてよい。空気圧作動式バルブは、約0.020秒ほどに短い時間で、ガスのパルスを提供し得る。電気作動式バルブは、約0.005秒ほどに短い時間で、ガスのパルスを提供し得る。電気作動式バルブは、通常、バルブとプログラム可能論理コントローラとの間に連結されたドライバの使用を必要とする。
【0086】
各バルブ642a、642bは、バルブシートアセンブリ644a、644bの閉鎖中に反応性ガスを供給ライン643a、643bから洗い流し得る、ゼロデッドボリュームバルブであってよい。例えば、パージライン645a、645bは、供給ライン643a、643bのバルブシートアセンブリ644a、644bの近傍に位置していてよい。バルブシートアセンブリ644a、644bの閉鎖中、パージライン645a、645bは、供給ライン643a、643bを洗い流すため、パージガスを提供し得る。示される実施形態では、パージライン645a、645bは、供給ライン643a、643bのバルブシートアセンブリ644a、644bから、わずかに間隔を空けて位置しており、それによって、開放時にパージガスがバルブシートアセンブリ644a、644bに直接送達されない。本書で用いる場合、ゼロデッドボリュームバルブとは、無視できるほどのデッドボリュームを有する(即ち、必ずしもゼロデッドボリュームではない)バルブとして規定される。
【0087】
バルブの各ペア、642a/652a、642b/652bは、反応性ガス及びパージガスの、組み合わされたガス流、及び/または別々のガス流を提供するように適合していてよい。バルブのペア642a/652aに関連して、反応性ガスとパージガスの組み合わされたガス流の一例は、パージライン645aを通るパージガス源640からのパージガスの連続流と、供給ライン643aを通る反応性ガス源638からの反応性ガスのパルスを含む。パージガスの連続流は、パージライン645aのバルブシートアセンブリ646aのダイヤフラムを開放したままにすることによって、提供されてよい。反応性ガス源638からの反応性ガスのパルスは、供給ライン643aのバルブシートアセンブリ644aのダイヤフラムを開閉することによって提供されてよい。バルブのペア642a/652aに関連して、反応性ガスとパージガスの別々のガス流の一例は、パージライン645aを通るパージガス源640からのパージガスのパルスと、供給ライン643aを通る反応性ガス源638からの反応性ガスのパルスを含む。パージガスのパルスは、パージライン645aのバルブシートアセンブリ646aのダイヤフラムを開閉することによって、提供されてよい。反応性ガス源638からの反応性ガスのパルスは、供給ライン643aのバルブシートアセンブリ644aのダイヤフラムを開閉することによって提供されてよい。
【0088】
バルブ642a、642bの供給ライン643a、643bは、
ガス導管650a、650bを通じて、ガス注入口636a、636bに連結されていてよい。ガス導管650a、650bは、バルブ642a、642bと一体化されていてもよく、またはバルブ342a、342bから分離されていてもよい。一態様では、バルブ642a、642bは、拡張チャネル634に近接して連結されており、それによって、バルブ642a、642bとガス注入口636a、636bの間で、供給ライン643a、643bとガス導管650a、650bの不要な空間はすべて削減される。
【0089】
拡張チャネル634は、チャンバリッドアセンブリ632の下側表面660の近傍の拡張チャネルの上部637から下部635まで、増大する内径を有するチャネルを含む。一実施形態では、拡張チャネル234は、円錐台形に形状決めされていてよい(円錐台に類似した形状を含む)。ガスが拡張チャネル634の壁面に向かって供給されていようと、基板610に向かって直接下方に供給されていようと、ガスの拡張によって、ガス流の速度は、ガス流が拡張チャネル634に沿って移動するのにつれて減少する。ガス流が減速することによって、基板610の表面上に吸着された反応物がガス流によって吹き飛ばされる可能性を減らす助けとなる。
【0090】
理論に束縛されるものではないが、拡張チャネル634の直径が拡張チャネル634の上部637から下部635に向かって徐々に増大していくことによって、拡張チャネル634を通じて生じ得るガスの断熱膨張がより小さくなり、ガスの温度を制御する助けになると見られる。例えば、ガス注入口634a、636bを通じて拡張チャネル634に送達されるガスが突然、断熱膨張することによって、ガスの温度が低下する結果となり得、それによってガスの凝結と液滴の形成が生じ得る。一方、緩やかに拡張する拡張チャネル634は、生じさせるガスの断熱膨張がより小さいと見られる。したがって、より多くの熱がガスへまたはガスから移転し得、それによって、ガスの周囲の温度を制御する(即ち、チャンバリッドアセンブリ632の温度を制御する)ことで、ガスの温度がより容易に制御され得る。緩やかに拡張する拡張チャネル634は、テーパ付きストレート面、凹面、凸面、もしくはこれらの組合せといった、1つ以上のテーパ付き内表面を含み得るか、または、1つ以上のテーパ付き内表面の部分(即ち、テーパ付き部分とテーパなしの部分)を含み得る。
【0091】
一実施形態では、ガス注入口636a、636bは、拡張チャネル634の上側部分637の近傍に設置されている。他の実施形態では、1つ以上のガス注入口636a、636bは、上側部分637と下側部分635の間で、拡張チャネル634の長さに沿って配置されていてよい。
【0092】
チャンバリッドアセンブリ632の下側表面660の少なくとも一部は、拡張チャネル634からチャンバリッドアセンブリ632の周縁部までテーパが付いていてよく、それによって、基板610の表面を横切る(即ち、基板の中央から基板の端部への)拡張チャネル634からのガス流の、速度プロファイルが向上する助けとなる。下側表面660は、ストレート面、凹面、凸面、またはこれらの組合せといった、1つ以上のテーパ面を有し得る。一実施形態では、下側表面660は先細になっていて、じょうごの形状になっている。
【0093】
基板610の周縁の近傍で、チャンバリッドアセンブリ632の周縁部分に、チョーク662が設置されていてよい。チョーク662は、チャンバリッドアセンブリ632が組み立てられて基板610の周囲に処理ゾーンを形成しているときに、基板610の周縁の近傍のエリアで通過するガス流を制限する、任意の部材を含み得る。一実施形態では、チョーク662と基板支持体612との間隔は、約0.04インチと約2.0インチの間であり、好ましくは0.04インチと約0.2インチの間である。この間隔は、送達されるガスと堆積中の処理条件とによって様々であってよい。チョーク662は、ポンピングゾーン666の非均一な圧力分布から反応ゾーン664を隔離することによって、チャンバリッドアセンブリ632と基板610との間に規定される空間即ち反応ゾーン664内に、より均一な圧力分布を提供する助けとなる。
【0094】
一態様では、反応ゾーン664がポンピングゾーン666から隔離されているので、基板610の反応性ガスまたはパージガスへの十分な暴露を確保するためには、反応性ガスまたはパージガスが反応ゾーン664を適切に満たすことだけが必要である。処理チャンバ106は、反応物を基板表面610に連続して導入し、基板610の表面上に、反応物の薄層を交互に吸着させる。この結果、原子層堆積は、同時に基板610の表面に到達する、反応物の流動を必要としない。その代り、反応物の流動は、基板610の表面上に反応物の薄層を吸着するのに十分な量で提供される必要がある。
【0095】
チャンバリッドアセンブリ632は、中を通って送達される特定のガスに応じて、冷却要素及び/または加熱要素を含み得る。チャンバリッドアセンブリ632の温度の制御は、チャンバリッドアセンブリ632上でガスが分解、堆積、または凝結するのを防ぐために用いられ得る。例えば、チャンバリッドアセンブリ632を冷却するため、チャンバリッドアセンブリ632内に水路(図示せず)が形成されてよい。別の実施形態では、チャンバリッドアセンブリ632を加熱するため、加熱要素(図示せず)が、チャンバリッドアセンブリ632の構成要素に埋め込まれるか、チャンバリッドアセンブリ632の構成要素を取り囲んでよい。一実施形態では、チャンバリッドアセンブリ632の構成要素は、個別に加熱または冷却され得る。例えば、チャンバリッドアセンブリ632は、拡張パネル634を形成するリッドプレート670及びリッドキャップ672を含み得る。リッドキャップ672は1つの温度範囲に維持されてよく、リッドプレート670は別の温度範囲に維持されてよい。例えば、反応性ガスの凝結を防止するため、リッドキャップ672は、ヒータテープで包まれるか、または別の加熱装置を用いることによって加熱され得、リッドプレート670は大気温度に維持され得る。別の例では、リッドキャップ672は加熱され得、リッドプレート670は、リッドプレート670上の反応性ガスの熱分解を防止するため、内部に形成された水路で冷却され得る。
【0096】
チャンバリッドアセンブリ632は、ステンレス鋼、アルミニウム、ニッケルめっきアルミニウム、ニッケル、または実施される処理に適合した他の適切な材料からできていてよい構成要素を含む。一実施形態では、リッドキャップ672はアルミニウムまたはステンレス鋼を含み、リッドプレート670はアルミニウムを含む。
【0097】
処理条件を制御するため、プログラムされたパーソナルコンピュータ、ワークステーションなどといった制御ユニット280が、処理チャンバ106に連結されていてよい。例えば、制御ユニット680は、基板処理シーケンスの種々のステージ中、バルブ642a、262bを通る、ガス源638、639、及び640からの様々な処理ガス及びパージガスの流動を制御するように構成されていてよい。例えば、制御ユニット680は、中央処理装置(CPU)682、サポート回路684、及び、関連する制御ソフトウェア683を含むメモリ686を備える。
【0098】
制御ユニット680は、様々なチャンバ及びサブプロセッサを制御するための工業環境で使用され得る任意の形態の汎用コンピュータプロセッサのうちの1つであり得る。CPU682は、ランダムアクセスメモリ、読み取り専用メモリ、フロッピーディスクドライブ、ハードディスク、またはローカルもしくはリモートの任意の他の形態のデジタル記憶装置といった、任意の適切なメモリ686を使用し得る。処理チャンバ106をサポートするため、CPU682に様々なサポート回路が連結されていてよい。制御ユニット680は、バルブ642a、642bのプログラム可能な論理コントローラ648a、648bといった個々のチャンバ構成要素の近傍に設置された、別のコントローラに連結されていてよい。制御ユニット680と、処理チャンバ106の他の様々な構成要素との間の双方向通信は、信号バス688と総称される数々の信号ケーブルを通じてハンドリングされる。ガス源638、639、640及び、バルブ642a、642bのプログラム可能論理コントローラ648a、648bからの処理ガス及びパージガスを制御するのに加えて、制御ユニット680は、ウエハの移送、温度制御、チャンバからの排出などといった、ウエハ処理に用いられる他の作業の自動制御に関与するように構成されていてよい。
【0099】
作業中、基板610は、移送ロボット114(
図1)といったロボット(図示せず)によって、スリットバルブ608を通って処理チャンバ106に送達される。基板610は、リフトピン620とロボットとの協働によって、基板支持体612上に置かれる。基板支持体612は、チャンバリッドアセンブリ632の下側表面660に近接して対向するように、基板610を上昇させる。バルブ642aによって、処理チャンバ106の拡張チャネル634内に、一緒にまたは別々に(即ちパルスで)、第1のガス流が射出されてよく、バルブ642bによって、処理チャンバ106内に第2のガス流が射出されてよい。第1のガス流はパージガス源640からのパージガスの連続流と、反応性ガス源638からの反応性ガスのパルスとを含んでいてよいか、または、反応性ガス源638からの反応性ガスのパルスと、パージガス源640からのパージガスのパルスとを含んでいてよい。第2のガス流はパージガス源640からのパージガスの連続流と、反応性ガス源639からの反応性ガスのパルスとを含んでいてよいか、または、反応性ガス源639からの反応性ガスのパルスと、パージガス源640からのパージガスのパルスとを含んでいてよい。ガス流は、拡張チャネル634の内表面をわたってスイープする動きを提供する渦流れのパターンで、拡張チャネル634を通って移動する。渦流れのパターンは消散し、基板表面610に向かう下向きの流れとなる。ガス流の速度は、拡張チャネル634を通って移動するにつれて、低下する。次にガス流は、基板610の表面を横切り、チャンバリッドアセンブリ632の下側表面660を横切って移動する。下向きに傾斜しているチャンバリッドアセンブリ632の下側表面660は、基板610の表面を横切るガス流の速度の変動を低減する助けとなる。次に、ガス流はチョーク662によって流動し、処理チャンバ106のポンピングゾーン666へと流動する。余剰ガスや副産物などがポンピングチャネル679内に流入し、真空システム678によって処理チャンバ106から排出される。一態様では、ガス流は、拡張チャネル634を通り、基板610の表面とチャンバリッドアセンブリ632の下側表面660との間を層状の態様で進行する。これによって反応性ガスが基板610の表面に均一に暴露される助けとなり、チャンバリッドアセンブリ632の内表面を効率よくパージする助けとなる。
【0100】
図7は、本書に記載の一実施形態による処理チャンバ108の概略断面図を示す。一実施形態では、処理チャンバ108は、処理チャンバ102と同様である。この実施形態では、処理チャンバ108は、ALD後の熱トリートメント、ALD後のプラズマトリートメント、またはこれらの組合せのために使用され得る。ALD後のプラズマトリートメントを使用する実施形態では、基板上の望まない箇所からALD材料を除去するため、プラズマエッチング処理が実施され得る。不完全なSAMトリートメントの結果、ALDトリートメント中に基板の望まないエリアが曝露されたままであった場合に、プラズマエッチング処理が使用され得ることが想定される。
【0101】
別の実施形態では、処理チャンバ108は、処理チャンバ102と異なる。処理空間704を規定するチャンバ本体702を有する、異なるチャンバが
図7で示されている。処理空間704内に基板支持体706が配置され、基板支持体706内に、抵抗ヒータといったヒータ708が配置されている。ヒータ708は電源710に連結されており、ヒータは、基板支持体706上に配置された基板を、基板上に配置されたSAM材料の蒸発温度より高い温度まで加熱するように構成されている。こうして処理チャンバ108は、基板からSAM材料を揮発させ、揮発した材料は、排出口を介して処理空間704から排出される。
【0102】
図8は、本明細書に記載の一実施形態による、基板の処理方法800の諸工程を示す。工程810で、基板は処理チャンバ102といった前洗浄チャンバに送達される。基板に前洗浄処理が実施され、基板は工程820で、前洗浄チャンバからSAM処理チャンバといった処理チャンバ104へと、移送チャンバ(即ち移送チャンバ110)を介して移送される。
【0103】
工程830で、基板にSAM材料の堆積処理が実施される。基板は、移送チャンバを介して、SAM処理チャンバから、処理チャンバ106といったALDチャンバへと移送される。基板にALD処理が実施され、基板は工程840で、ALDチャンバから、処理チャンバ108といった後処理チャンバへと、移送チャンバを介して移送される。基板に後処理が実施され、基板は、後続する処理のため後処理チャンバから移送され得る。
【0104】
要約すると、SAMトリートメント処理と(ALDトリートメントといった)後続の堆積処理を組み合わせて、統合されたクラスタツール装置によって、インシトゥ処理の改善とスループットの向上が提供される。基板の前処理及び後処理といったさらなる処理の能力によって、本書に記載の実施形態による材料の堆積選択性の向上といった、様々な利点が提供される。
【0105】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の他の実施形態やさらなる実施形態は、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく考案することができ、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって定められる。
【符号の説明】
【0106】
100 装置
102 処理チャンバ
104A 処理チャンバ
104B 処理チャンバ
104C 処理チャンバ
104 処理チャンバ
106 処理チャンバ
108 処理チャンバ
110 移送チャンバ
112 ロードロックチャンバ
114 ロボット
116A ブレード
116B ブレード
170 孔
201 プレートスタック
202 ソースモジュール
204 処理モジュール
206 流動モジュール
207 高さ
208 排出モジュール
210 チャンバモジュール
211 中心軸
212 処理領域
214 排出チャネル
216 基板
218 基板支持体アセンブリ
222 絶縁器
224 rf電源
225 rf整合ネットワーク
226 ガス注入管
232 ガス源
234 拡張チャネル
240 チャンバ本体
242 スリットバルブ開口部
244 スリットバルブ
246 上側ライナーアセンブリ
248 開口部
250 冷却チャネル
252 封止材
254 シャーシ
254b 溝
256 封止材
258 中央開口部
260 外壁
262 内壁
262b バルブ
264 放射状の壁
264b 溝
266 底壁
268 空間
270 孔
272 接地ガスケット
274 支持体プレート
276 ベースプレート
278 中空シャフト
280 対称流動バルブ
282 真空ポンプ
284 ベローズ
286 チャック用電極
287 バイアス電源
288 加熱要素
289 加熱電源
290 冷却チャネル
291 冷却流体源
292 アクチュエータアセンブリ
294 リフトピンアクチュエータ
296 リフトピン
298 プラズマスクリーン
299 基板支持体ライナー
302 チャンバ本体
304 基板支持体
306 加熱部材
308 シャワーヘッドライナー
310 処理空間
312 シャワーヘッド
314 バッキング板
316 ヒータ
318 電源
320 第1のプレナム
321 第1の通路
322 第2のプレナム
323 第2の通路
324 リッドプレート
325 第3の通路
326 射出アセンブリ
327 ハウジング
328 射出器
330 第1のアンプル
332 第1の導管
334 第1のヒータジャケット
336 第2のアンプル
338 第2の導管
340 第2のヒータジャケット
342 洗浄ガス源
344 第3の導管
346 第3のヒータジャケット
348 第3のプレナム
350 ポンピングライナー
352 孔
354 電源
356 排出口
358 スリットバルブドア
360 スリットバルブ開口部
362 開口部
402 チャンバ本体
404 基板支持体
406 処理空間
408 加熱部材
410 電源
412 ヒータジャケット
414 ヒータ
416 リッドプレート
418 蒸気発生アセンブリ
420 射出器
422 気化器
426 ガス源
428 電源
430 出口
432 排出口
434 断熱材
436 マニフォールド
502 チャンバ本体
504 基板支持体
506 処理空間
508 加熱部材
510 電源
512 射出器
514 射出器
516 リッドプレート
518 蒸気生成アセンブリ
522 気化器
524 ソース
526 ガス源
528 ヒータジャケット
530 出口
532 排出口
602 チャンバ本体
604 側壁
608 スリットバルブ
610 基板
611 基板受容面
612 基板支持体
614 リフトモータ
616 リフトプレート
618 リフトモータ
620 リフトピン
622 パージリング
624 パージチャネル
630 ガス供給システム
632 チャンバリッドアセンブリ
634 拡張チャネル
635 下側部分
636a ガス注入口
636b ガス注入口
637 上側部分
638 ガス源
639 ガス源
640 ガス源
642a バルブ
642b バルブ
643a 供給ライン
643b 供給ライン
644a バルブシートアセンブリ
644b バルブシートアセンブリ
645a パージライン
645b パージライン
646a バルブシートアセンブリ
646b バルブシートアセンブリ
648a プログラム可能論理コントローラ
648b プログラム可能論理コントローラ
650a ガス導管
650b ガス導管
652a バルブ
652b バルブ
660 下側表面
662 チョーク
664 反応ゾーン
666 ポンピングゾーン
670 リッドプレート
672 リッドキャップ
678 真空システム
679 ポンピングチャネル
680 制御ユニット
682 cpu
683 関連する制御ソフトウェア
684 サポート回路
686 メモリ
688 信号バス
702 チャンバ本体
704 処理空間
706 基板支持体
708 ヒータ
710 電源
800 方法
810 工程
820 工程
830 工程
840 工程