(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】荷電粒子評価ツール、検査方法
(51)【国際特許分類】
H01J 37/244 20060101AFI20240613BHJP
H01J 37/28 20060101ALI20240613BHJP
H01L 21/66 20060101ALI20240613BHJP
【FI】
H01J37/244
H01J37/28 B
H01L21/66 J
(21)【出願番号】P 2022539154
(86)(22)【出願日】2020-12-23
(86)【国際出願番号】 EP2020087777
(87)【国際公開番号】W WO2021140035
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2022-08-03
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-07-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(32)【優先日】2020-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ウィーラント,マルコ,ジャン-ジャコ
【審査官】大門 清
(56)【参考文献】
【文献】特表2010-519697(JP,A)
【文献】国際公開第2001/075951(WO,A1)
【文献】特開2014-238962(JP,A)
【文献】特表2006-510184(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01J 37/00-37/36
H01J 37/28
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影する対物レンズアレイであって、前記対物レンズアレイが複数のビームアパーチャを規定し、前記複数のビームアパーチャを通して、前記荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームが前記サンプルに向けて伝搬できる、対物レンズアレイと、
前記ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャを実質的に取り囲み、前記サンプルから放出された荷電粒子を捕捉する複数のセンサユニットと、を含
み、
前記対物レンズアレイは、静電レンズアレイである、荷電粒子評価ツール。
【請求項2】
前記センサユニットが、円の外周囲を有し、
前記センサユニットは、前記アパーチャと前記センサユニットの前記周囲との間に延在するエリアを有する、請求項1に記載のツール。
【請求項3】
前記対物レンズアレイのダウンビーム対向面に設けられた基板をさらに含み、前記基板上に前記センサユニットが形成される、請求項1又は2に記載のツール。
【請求項4】
前記センサユニットが、前記サンプル対向面を実質的に埋め尽くす、請求項3に記載のツール。
【請求項5】
前記センサユニットが、捕捉電極である、請求項3又は4に記載のツール。
【請求項6】
前記対物レンズアレイのアップビーム対向面に設けられた基板をさらに含み、
前記基板上に前記センサユニットが形成され
、前記センサユニットがダウンビームに対向するように構成される、請求項1~5の何れか一項に記載のツール。
【請求項7】
前記基板に形成された制御回路をさらに含む、請求項3~
6の何れか一項に記載のツール。
【請求項8】
前記制御回路が、
増幅器、例えば、トランスインピーダンス増幅器、
アナログ-デジタル変換器、
データマルチプレクサ、及び、
読出しゲート、
の1つ又は複数を含む、請求項
7に記載のツール。
【請求項9】
前記基板を貫通するビアをさらに含む、請求項3~
8の何れか一項に記載のツール。
【請求項10】
前記複数のセンサユニットが、前記対物レンズアレイに組み込まれている、請求項1~
9の何れか一項に記載のツール。
【請求項11】
各センサユニットが、複数のセンサ要素を含む、請求項1~10の何れか一項に記載のツール。
【請求項12】
前記複数のセンサ要素が、各センサユニットを半径方向に分割する、請求項11に記載のツール。
【請求項13】
前記複数のセンサ要素が、各センサユニットを角度的に分割する、請求項11又は12に記載のツール。
【請求項14】
前記ビームアパーチャが、六角形アレイに配置され得る、請求項1~13の何れか一項に記載のツール。
【請求項15】
対物レンズアレイの複数のビームアパーチャを通して複数の荷電粒子ビームをサンプルへと放出することと、
前記ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャを取り囲んで設けられた複数のセンサユニットを使用して、前記荷電粒子ビームに応答して前記サンプルによって放出された荷電粒子を捕捉することと、を含
み、
前記対物レンズアレイは、静電レンズアレイである、検査方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
[0001] 本出願は、2020年1月6日に出願された欧州特許出願第20150394.3号及び2020年7月6日に出願された欧州特許出願第20184160.8号及び2020年9月24日に出願された欧州特許出願第20198201.4号の優先権を主張するものである。これらの特許出願はそれぞれ、全体として本明細書に援用される。
【0002】
[0002] 本明細書に提供される実施形態は、一般に、荷電粒子評価ツール及び検査方法に関し、特に、複数の荷電粒子サブビームを使用する荷電粒子評価ツール及び検査方法に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003] 半導体集積回路(IC)チップを製造する際に、例えば、光学効果及び偶発的粒子の結果として、望ましくないパターン欠陥が、製作プロセス中に、基板(すなわち、ウェーハ)又はマスク上で不可避的に生じ、それによって歩留まりが低下する。したがって、望ましくないパターン欠陥の程度をモニタリングすることは、ICチップの製造において重要なプロセスである。より一般的に、基板又は他の物体/材料の表面の検査及び/又は測定は、それの製造中及び/又は製造後において重要なプロセスである。
【0004】
[0004] 荷電粒子ビームを用いたパターン検査ツールは、物体を検査するために、例えば、パターン欠陥を検出するために使用されてきた。これらのツールは、一般的に、走査電子顕微鏡(SEM)などの電子顕微鏡法技術を使用する。SEMでは、比較的高いエネルギーの電子の一次電子ビームが、比較的低い着地エネルギーでサンプル上に着地するために、最終減速ステップでターゲットにされる。電子ビームは、サンプル上にプロービングスポットとして集束される。プロービングスポットにおける材料構造と、電子ビームからの着地電子の相互作用により、二次電子、後方散乱電子、又はオージェ電子などの電子が表面から放出される。発生した二次電子は、サンプルの材料構造から放出され得る。サンプル表面にわたり、プロービングスポットとして一次電子ビームを走査することによって、サンプルの表面にわたり二次電子を放出させることができる。サンプル表面からのこれらの放出二次電子を収集することによって、パターン検査ツールは、サンプルの表面の材料構造の特徴を表す画像を取得し得る。
【0005】
[0005] 荷電粒子検査ツールのスループット及び他の特性を向上させる一般的必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
[0006] 本開示の目的は、荷電粒子評価ツールのスループット又は他の特性の向上を支援する実施形態を提供することである。
【0007】
[0007] 本発明の第1の態様によれば、
複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成された対物レンズであって、対物レンズが複数のビームアパーチャを規定し、複数のビームアパーチャを通して、荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームがサンプルに向けて伝搬できる、対物レンズと、
ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接し、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数のセンサユニットと、
を含む、荷電粒子評価ツールが提供される。
【0008】
[0008] 本発明の第2の態様によれば、評価ツールを製造する方法であって、
基板上に複数のセンサユニットを形成し、及び基板内に複数のアパーチャを形成することと、
アパーチャを通して複数の荷電粒子ビームを放出することができるように、サンプル上に複数の荷電粒子ビームを投影するように構成された対物レンズに基板を取り付けることと、
を含む方法が提供される。
【0009】
[0009] 本発明の第3の態様によれば、
複数のビームアパーチャを通して、複数の荷電粒子ビームをサンプルへと放出することと、
ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接して設けられた複数のセンサユニットを使用して、荷電粒子ビームに応答してサンプルによって放出された荷電粒子を捕捉することと、
を含む検査方法が提供される。
【0010】
[0010] 本発明の第4の態様によれば、マルチビーム電子光学システムのマルチビームパスにおける最後の電子光学要素を含むマルチビーム電子光学システムであって、最後の電子光学要素が、
各アレイ要素がマルチビームパスにおける少なくとも1つの電子ビームを操作するように構成されたマルチマニピュレータアレイと、
マルチビームビームパスに位置決めされたサンプルから放出された電子を検出するように構成及び配向された検出器であって、検出器が、マルチマニピュレータアレイ内に組み込まれた複数のセンサユニットを含み、少なくとも1つのセンサユニットが各アレイ要素を関連付けた、検出器と、
を含む、マルチビーム電子光学システムが提供される。
【0011】
[0011] 本発明の第4の態様によれば、複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成されたマルチ荷電ビーム投影システムの最後の電子光学要素であって、
複数のビームアパーチャを規定するサンプル対向面を有する対物レンズであって、複数のビームアパーチャを通して、荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームがサンプルに向けて伝搬できる、対物レンズと、
ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接し、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数のセンサユニットと、
を含む、最後の電子光学要素が提供される。
【0012】
[0012] 本発明の他の利点は、実例及び例として、本発明の特定の実施形態が記載される、添付の図面と併せた以下の説明から明らかとなるだろう。
【0013】
[0013] 本開示の上記及び他の態様は、添付の図面と併せた例示的実施形態の説明からより明白となるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】[0014]例示的な荷電粒子ビーム検査装置を示す概略図である。
【
図2】[0015]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部である例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図3】[0016]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置のソース変換ユニットの例示的な構成を示す例示的なマルチビーム装置の概略図である。
【
図4】[0017]ある実施形態による、検査装置の対物レンズの概略断面図である。
【
図5】[0018]
図4の対物レンズの底面図である。
【
図6】[0019]
図4の対物レンズの変更形態の底面図である。
【
図7】[0020]
図4の対物レンズに組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
【
図8】[0021]理論上のトランスインピーダンス増幅器の概略図である。
【
図9】[0022]熱雑音の効果を示すトランスインピーダンス増幅器の概略図である。
【
図10】[0023]
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置の一部であり得る別の例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図11】[0024]ある実施形態による、別の例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図12】[0025]ある実施形態による、別の例示的なマルチビーム装置の概略図である。
【
図13】[0026]ある実施形態による、検査装置の対物レンズの概略断面図である。
【
図14】[0027]
図13の対物レンズに組み込まれた検出器ユニットの底面図である。
【
図15】[0028]ある実施形態による、別の例示的なマルチビーム装置を示す概略図である。
【
図16】[0029]検出器が異なる位置にある、
図15の装置の対物レンズに組み込まれた検出器の拡大概略断面図である。
【
図17】[0030]
図15の装置の対物レンズにおいて使用することができる代替検出器の拡大概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
[0031] これより、例示的な実施形態を詳細に参照し、その例を、添付の図面に示す。以下の説明は、添付の図面を参照し、別段の表示がない限り、異なる図面における同一の番号は、同一又は類似の要素を表す。例示的な実施形態の以下の説明に記載される実装形態は、本発明と一致するすべての実装形態を表すわけではない。代わりに、それらの実装形態は、添付の請求項において記述されるように、本発明に関連する態様と一致する装置及び方法の単なる例である。
【0016】
[0032] デバイスの物理的サイズを減少させる、電子デバイスの計算能力の向上は、ICチップ上のトランジスタ、キャパシタ、ダイオードなどの回路コンポーネントの実装密度を大幅に増加させることによって達成することができる。これは、さらに小さい構造の作製を可能にする分解能の向上によって可能にされてきた。例えば、親指の爪の大きさであり、2019年以前に利用可能なスマートフォンのICチップは、20億を超えるトランジスタを含むことができ、各トランジスタのサイズは、人間の毛髪の1/1000未満である。したがって、半導体IC製造が、数百の個々のステップを有する、複雑で時間のかかるプロセスであることは驚くに値しない。たとえ1つのステップのエラーであっても、最終製品の機能に劇的に影響を与える可能性がある。たった1つの「キラー欠陥」が、デバイスの故障を生じさせ得る。製造プロセスの目標は、プロセスの全体的な歩留まりを向上させることである。例えば、50のステップを有するプロセス(ここでは、ステップが、ウェーハ上に形成される層の数を示し得る)に関して75%の歩留まりを得るためには、個々のステップは、99.4%を超える歩留まりを有していなければならない。個々のステップが95%の歩留まりを有する場合、全体的なプロセス歩留まりは7%と低い。
【0017】
[0033] ICチップ製造設備において、高いプロセス歩留まりが望ましい一方で、一時間当たりに処理される基板の数と定義される高い基板(すなわち、ウェーハ)スループットを維持することも必須である。高いプロセス歩留まり及び高い基板スループットは、欠陥の存在による影響を受け得る。これは、欠陥を調査するためにオペレータの介入が必要な場合に特に当てはまる。したがって、検査ツール(走査電子顕微鏡(「SEM」)など)によるマイクロスケール及びナノスケール欠陥の高スループット検出及び識別は、高い歩留まり及び低いコストを維持するために必須である。
【0018】
[0034] SEMは、走査デバイス及び検出器装置を含む。走査デバイスは、一次電子を発生させるための電子源を含む照明装置と、一次電子の1つ又は複数の集束ビームで基板などのサンプルを走査するための投影装置と、を含む。共に、少なくとも照明装置又は照明システム、及び投影装置又は投影システムは、合わせて電子-光学システム又は装置と呼ばれることがある。一次電子は、サンプルと相互作用し、二次電子を発生させる。検出装置は、SEMがサンプルの走査エリアの画像を生成できるように、サンプルが走査されるときに、サンプルからの二次電子を捕捉する。高スループットの検査のために、検査装置の一部は、一次電子の複数の集束ビーム、すなわち、マルチビームを使用する。マルチビームの成分ビームは、サブビーム又はビームレットと呼ばれることがある。マルチビームは、サンプルの異なる部分を同時に走査することができる。従って、マルチビーム検査装置は、単一ビーム検査装置よりもはるかに高速でサンプルを検査することができる。
【0019】
[0035] マルチビーム検査装置では、一次電子ビームの幾つかのパスが、走査デバイスの中心軸、すなわち、一次電子光軸の中点から外れる。すべての電子ビームが実質的に同じ入射角でサンプル表面に達することを確実にするために、中心軸からより大きな半径方向距離を有するサブビームパスは、中心軸により近いサブビームパスよりも大きな角度を移動するように操作される必要がある。このより強力な操作は、収差を生じさせることがあり、収差は、サンプル基板のぼやけた焦点外画像をもたらす。具体的には、中心軸上にないサブビームパスに関して、サブビームの収差は、中心軸からの半径方向変位と共に増大し得る。このような収差は、二次電子の検出時に二次電子に関連付けられたままであり得る。したがって、このような収差は、検査中に生成される画像の品質を低下させる。
【0020】
[0036] 既知のマルチビーム検査装置の実装形態を以下に説明する。
【0021】
[0037] 図は、概略図である。したがって、図面では、コンポーネントの相対寸法は、明瞭にするために拡大される。以下の図面の説明では、同じ又は同様の参照番号は、同じ又は同様のコンポーネント又はエンティティを指し、個々の実施形態に対する違いのみを説明する。説明及び図面は電子光学装置を対象とするが、実施形態は、本開示を特定の荷電粒子に限定するためには使用されないことが理解される。したがって、本文書全体を通して、電子への言及は、より一般的に、荷電粒子への言及であると見なすことができ、荷電粒子は、必ずしも電子ではない。
【0022】
[0038] ここで
図1を参照すると、
図1は、例示的な荷電粒子ビーム検査装置100を示す概略図である。
図1の荷電粒子ビーム検査装置100は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、電子ビームツール40、機器フロントエンドモジュール(EFEM)30、及びコントローラ50を含む。電子ビームツール40は、メインチャンバ10内に位置する。
【0023】
[0039] EFEM30は、第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bを含む。EFEM30は、追加の1つ又は複数の装填ポートを含んでもよい。第1の装填ポート30a及び第2の装填ポート30bは、例えば、検査予定の基板(例えば、半導体基板若しくは他の材料で作られた基板)又はサンプルを含む基板前面開口式一体型ポッド(FOUP(front opening unified pod))を受け取ることができる(以下では、基板、ウェーハ、及びサンプルは、まとめて「サンプル」と呼ばれる)。EFEM30の1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)は、装填ロックチャンバ20にサンプルを運ぶ。
【0024】
[0040] 装填ロックチャンバ20は、サンプルの周囲の気体を取り除くために使用される。これは、周囲環境の圧力より低い局所気体圧力である真空を生じさせる。装填ロックチャンバ20は、装填ロック真空ポンプシステム(図示せず)に接続されてもよく、装填ロック真空ポンプシステムは、装填ロックチャンバ20内の気体粒子を取り除く。装填ロック真空ポンプシステムの動作により、装填ロックチャンバが大気圧を下回る第1の圧力に達することが可能になる。第1の圧力に達した後、1つ又は複数のロボットアーム(図示せず)が、装填ロックチャンバ20からメインチャンバ10にサンプルを運ぶ。メインチャンバ10は、メインチャンバ真空ポンプシステム(図示せず)に接続される。メインチャンバ真空ポンプシステムは、サンプルの周囲の圧力が第1の圧力を下回る第2の圧力に達するように、メインチャンバ10内の気体粒子を取り除く。第2の圧力に達した後に、サンプルは、電子ビームツールに運ばれ、サンプルは、電子ビームツールによって検査され得る。電子ビームツール40は、マルチビーム電子光学装置を含み得る。
【0025】
[0041] コントローラ50は、電子ビームツール40に電子的に接続される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置100を制御するように構成されたプロセッサ(コンピュータなど)でもよい。コントローラ50は、様々な信号及び画像処理機能を実行するように構成された処理回路も含み得る。
図1では、コントローラ50は、メインチャンバ10、装填ロックチャンバ20、及びEFEM30を含む構造の外部のものとして示されているが、コントローラ50は、構造の一部でもよいことが理解される。コントローラ50は、荷電粒子ビーム検査装置のコンポーネント要素の1つの内部に位置してもよく、又はコントローラ50は、コンポーネント要素の少なくとも2つに分散されてもよい。本開示は、電子ビーム検査ツールを収納するメインチャンバ10の例を提供しているが、本開示の態様は、広い意味で、電子ビーム検査ツールを収納するチャンバに限定されないことに留意すべきである。むしろ、前述の原理は、第2の圧力下で動作する装置の他のツール及び他の配置にも適用できることが理解される。
【0026】
[0042] ここで
図2を参照すると、
図2は、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であるマルチビーム検査ツールを含む例示的な電子ビームツール40を示す概略図である。マルチビーム電子ビームツール40(本明細書では、装置40とも呼ばれる)は、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、一次投影装置230、電動ステージ209、及びサンプルホルダ207を含む。電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220は、マルチビーム電子ビームツール40によって包含される照明装置のコンポーネントである。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するために、電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子ビームツール40は、二次投影装置250及び関連する電子検出デバイス240をさらに含み得る。一次投影装置230は、対物レンズ231(例えば、ビーム全体に作用する単体レンズ)を含み得る。対物レンズは、マルチビームのパスにおける、又は電子光学システムにおける最後の電子光学要素であってもよく、したがって、対物レンズは、最後の電子光学要素の一種と呼ばれることがある。電子検出デバイス240は、複数の検出要素241、242、及び243を含み得る。ビームセパレータ233及び偏向走査ユニット232は、一次投影装置230内に配置され得る。
【0027】
[0043] 一次ビームを発生させるために使用されるコンポーネントは、装置40の一次電子光軸とアライメントされ得る。これらのコンポーネントは、電子源201、ガンアパーチャプレート271、集光レンズ210、ソース変換ユニット220、ビームセパレータ233、偏向走査ユニット232、及び一次投影装置230を含み得る。二次投影装置250及びそれに関連した電子検出デバイス240は、装置40の二次電子光軸251とアライメントされ得る。
【0028】
[0044] 一次電子光軸204は、照明装置である電子ビームツール40の部分の電子光軸によって構成される。二次電子光軸251は、検出装置である電子ビームツール40の部分の電子光軸である。一次電子光軸204は、本明細書では、(参照しやすいように)主光軸、又は一次荷電粒子光軸とも呼ばれることがある。二次電子光軸251は、本明細書では、副光軸又は二次荷電粒子光軸とも呼ばれることがある。
【0029】
[0045] 電子源201は、カソード(図示せず)、及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中に、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されることによって、一次ビームクロスオーバー(虚像又は実像)203を形成する一次電子ビーム202を形成する。一次電子ビーム202は、一次ビームクロスオーバー203から放出されると視覚化することができる。
【0030】
[0046] この配置では、一次電子ビームは、それがサンプルに到達する時までには、好ましくは、それが投影装置に到達する前には、マルチビームである。このようなマルチビームは、多くの異なるやり方で、一次電子ビームから発生させることができる。例えば、マルチビームは、クロスオーバーの前に位置するマルチビームアレイ、ソース変換ユニット220に位置するマルチビームアレイ、又はこれらの場所の間にある任意の地点に位置するマルチビームアレイによって発生させることができる。マルチビームアレイは、ビームパスにわたりアレイに配置された複数の電子ビーム操作要素を含み得る。各操作要素は、サブビームを発生させるように一次電子ビームに影響を与え得る。したがって、マルチビームアレイは、入射一次ビームパスと相互作用することによって、マルチビームアレイのダウンビームでマルチビームパスを生成する。
【0031】
[0047] ガンアパーチャプレート271は、動作時に、クーロン効果を低減するために、一次電子ビーム202の周辺電子をブロックするように構成される。クーロン効果は、一次サブビーム211、212、213のプローブスポット221、222、及び223のそれぞれのサイズを拡大し、したがって、検査分解能を低下させ得る。ガンアパーチャプレート271は、クーロンアパーチャアレイとも呼ばれることがある。
【0032】
[0048] 集光レンズ210は、一次電子ビーム202を集束させるように構成される。集光レンズ210は、平行ビームとなり、ソース変換ユニット220に垂直に入射するように一次電子ビーム202を集束させるように設計され得る。集光レンズ210は、第1の主平面の位置が可動であるように構成され得る可動集光レンズでもよい。可動集光レンズは、磁性を持つように構成されてもよい。集光レンズ210は、回転防止集光レンズでもよく、及び/又はそれは可動であってもよい。
【0033】
[0049] ソース変換ユニット220は、像形成要素アレイ、収差補償器アレイ、ビーム制限アパーチャアレイ、及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイを含み得る。事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、ビーム制限アパーチャアレイ、像形成要素アレイ、及び収差補償器アレイに垂直に入るように、一次電子ビーム202の複数の一次サブビーム211、212、213を偏向させ得る。この配置では、像形成要素アレイは、マルチビームパスにおいて複数のサブビーム、すなわち一次サブビーム211、212、213を発生させるためのマルチビームアレイとして機能し得る。像形成アレイは、一次電子ビーム202の複数の一次サブビーム211、212、213に影響を与えるため、及び一次ビームクロスオーバー203の複数の平行像(虚像又は実像)を形成するために、マイクロ偏向器又はマイクロレンズ(又は両者の組み合わせ)などの複数の電子ビームマニピュレータを含み得る(一次サブビーム211、212、及び213のそれぞれに対して1つずつ)。収差補償器アレイは、像面湾曲補償器アレイ(図示せず)、及び非点収差補償器アレイ(図示せず)を含み得る。像面湾曲補償器アレイは、一次サブビーム211、212、及び213の像面湾曲収差を補償するための複数のマイクロレンズを含み得る。非点収差補償器アレイは、一次サブビーム211、212、及び213の非点収差を補償するための複数のマイクロ非点収差補正装置を含んでもよい。ビーム制限アパーチャアレイは、個々の一次サブビーム211、212、及び213の直径を制限するように構成され得る。
図2は、一例として3つの一次サブビーム211、212、及び213を示すが、ソース変換ユニット220は、任意の数の一次サブビームを形成するように構成され得ることが理解されるものとする。コントローラ50は、ソース変換ユニット220、電子検出デバイス240、一次投影装置230、又は電動ステージ209などの
図1の荷電粒子ビーム検査装置100の様々な部分に接続され得る。以下により詳細に説明するように、コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0034】
[0050] 集光レンズ210はさらに、集光レンズ210の集束力を異ならせることによって、ソース変換ユニット220のダウンビームで一次サブビーム211、212、213の電流を調整するように構成され得る。代替的又は追加的に、一次サブビーム211、212、213の電流は、個々の一次サブビームに対応するビーム制限アパーチャアレイ内のビーム制限アパーチャの半径方向サイズを変えることによって変更され得る。電流は、ビーム制限アパーチャの半径方向サイズ、及び集光レンズ210の集束力の両方を変えることによって変更され得る。集光レンズが可動であり、及び磁性を持つ場合、回転角度を有してソース変換ユニット220を照明するオフアクシスサブビーム212及び213が生じ得る。回転角度は、集束力又は可動集光レンズの第1の主平面の位置と共に変化する。回転防止集光レンズである集光レンズ210は、集光レンズ210の集束力が変化する間に、回転角度が不変のままであるように構成され得る。可動でもある、このような集光レンズ210は、集光レンズ210の集束力及びそれの第1の主平面の位置が変化するときに、回転角度を変化させないことが可能である。
【0035】
[0051] 対物レンズ231は、検査のためにサンプル208上にサブビーム211、212、及び213を集束させるように構成することができ、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成することができる。
【0036】
[0052] ビームセパレータ233は、例えば、静電双極子場及び磁気双極子場(
図2では図示せず)を生成する静電偏向器を含むウィーンフィルタでもよい。動作時には、ビームセパレータ233は、静電双極子場によって、一次サブビーム211、212、及び213の個々の電子に対して静電力をかけるように構成され得る。この静電力は、ビームセパレータ233の磁気双極子場によって個々の電子にかかる磁力に対して、大きさは等しいが、方向は反対方向である。したがって、一次サブビーム211、212、及び213は、少なくとも実質的にゼロの偏向角度で、ビームセパレータ233を少なくとも実質的に真っすぐに通過し得る。
【0037】
[0053] 偏向走査ユニット232は、動作時に、サンプル208の表面の一セクションの個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222、及び223を走査するために、一次サブビーム211、212、及び213を偏向させるように構成される。サンプル208上への一次サブビーム211、212、及び213又はプローブスポット221、222、及び223の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子を含む電子が、サンプル208から発生する。二次電子は、3つの二次電子ビーム261、262、及び263において伝搬する。二次電子ビーム261、262、及び263は、一般的に、(50eV以下の電子エネルギーを有する)二次電子を有し、(50eVと一次サブビーム211、212、及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する)後方散乱電子の少なくとも一部も有し得る。ビームセパレータ233は、二次電子ビーム261、262、及び263のパスを二次投影装置250に向けて偏向させるように配置される。続いて、二次投影装置250は、二次電子ビーム261、262、及び263のパスを電子検出デバイス240の複数の検出領域241、242、及び243上に集束させる。検出領域は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出するように配置された別個の検出要素241、242、及び243でもよい。検出領域は、対応する信号を生成し、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、コントローラ50又は信号処理システム(図示せず)に送られる。
【0038】
[0054] 検出要素241、242、及び243は、対応する二次電子ビーム261、262、及び263を検出することができる。検出要素241、242、及び243への二次電子ビームの入射時に、要素は、対応する強度信号出力(図示せず)を生成し得る。出力は、画像処理システム(例えば、コントローラ50)に向けられ得る。各検出要素241、242、及び243は、1つ又は複数のピクセルを含み得る。検出要素の強度信号出力は、検出要素内のすべてのピクセルによって生成された信号の合計でもよい。
【0039】
[0055] コントローラ50は、画像取得器(図示せず)及びストレージデバイス(図示せず)を含む画像処理システムを含み得る。例えば、コントローラは、プロセッサ、コンピュータ、サーバ、メインフレームホスト、端末、パーソナルコンピュータ、任意の種類のモバイルコンピューティングデバイスなど、又はそれらの組み合わせを含み得る。画像取得器は、コントローラの処理機能の少なくとも一部を含み得る。したがって、画像取得器は、少なくとも1つ又は複数のプロセッサを含み得る。画像取得器は、数ある中でも特に、導電体、光ファイバケーブル、ポータブル記憶媒体、IR、Bluetooth、インターネット、ワイヤレスネットワーク、ワイヤレス無線機、又はこれらの組み合わせなどの信号通信を可能にする装置40の電子検出デバイス240に通信可能に結合され得る。画像取得器は、電子検出デバイス240から信号を受信し、信号に含まれるデータを処理し、そこから画像を構築することができる。したがって、画像取得器は、サンプル208の画像を取得することができる。画像取得器は、輪郭の生成、及び取得画像へのインジケータの重畳などの様々な後処理機能を行うこともできる。画像取得器は、取得画像の明度及びコントラストなどの調整を行うように構成され得る。ストレージは、ハードディスク、フラッシュドライブ、クラウドストレージ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、他のタイプのコンピュータ可読メモリなどの記憶媒体でもよい。ストレージは、画像取得器と結合されてもよく、走査された生の画像データをオリジナルの画像として保存したり、後処理された画像を保存したりするために使用することができる。
【0040】
[0056] 画像取得器は、電子検出デバイス240から受信された撮像信号に基づいてサンプルの1つ又は複数の画像を取得することができる。撮像信号は、荷電粒子撮像を実施するための走査動作に対応し得る。取得画像は、複数の撮像エリアを含む単一の画像であり得る。単一の画像は、ストレージに保存することができる。単一の画像は、複数の領域に分割され得るオリジナルの画像であり得る。各領域は、サンプル208の特徴を含む1つの撮像エリアを含み得る。取得画像は、ある期間にわたって複数回サンプリングされたサンプル208の単一の撮像エリアの複数の画像を含み得る。複数の画像は、ストレージに保存することができる。コントローラ50は、サンプル208の同じ場所の複数の画像を用いて画像処理ステップを行うように構成され得る。
【0041】
[0057] コントローラ50は、検出された二次電子の分布を得るために、測定回路(例えば、アナログ-デジタル変換器)を含み得る。検出時間窓の間に収集された電子分布データは、サンプル表面に入射した一次サブビーム211、212、及び213の各々の対応する走査パスデータと組み合わせて、検査中のサンプル構造の画像を再構築するために使用することができる。再構築された画像は、サンプル208の内部又は外部の構造の様々なフィーチャを明らかにするために使用することができる。従って、再構築された画像は、サンプルに存在し得るいかなる欠陥も明らかにするために使用することができる。
【0042】
[0058] コントローラ50は、サンプル208の検査中にサンプル208を移動させるように電動ステージ209を制御することができる。コントローラ50は、電動ステージ209が、少なくともサンプルの検査中に、好ましくは継続的に、例えば、一定の速度で、ある方向にサンプル208を移動させることを可能にし得る。コントローラ50は、電動ステージ209が、様々なパラメータに依存するサンプル208の移動の速度を変えるように、電動ステージ209の移動を制御することができる。例えば、コントローラは、走査プロセスの検査ステップの特性に応じて、ステージ速度(その方向を含む)を制御することができる。
【0043】
[0059]
図2は、装置40が3つの一次電子サブビームを使用することを示しているが、装置40は、2つ以上の数の一次電子サブビームを使用し得ることが理解される。本開示は、装置40で使用される一次電子ビームの数を限定しない。
【0044】
[0060] ここで
図3を参照すると、
図3は、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置のソース変換ユニットの例示的な構成を示す例示的なマルチビーム装置の概略図である。装置300は、電子源301、プレサブビーム形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310(
図2の集光レンズ210に類似)、ソース変換ユニット320、対物レンズ331(
図2の対物レンズ231に類似)、及びサンプル308(
図2のサンプル208に類似)を含み得る。電子源301、プレサブビーム形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310は、装置300によって包含される照明装置のコンポーネントであり得る。ソース変換ユニット320、対物レンズ331は、装置300によって包含される投影装置のコンポーネントであり得る。ソース変換ユニット320は、
図2のソース変換ユニット220に類似してもよく、ソース変換ユニット320では、
図2の像形成要素アレイは、像形成要素アレイ322であり、
図2の収差補償器アレイは、収差補償器アレイ324であり、
図2のビーム制限アパーチャアレイは、ビーム制限アパーチャアレイ321であり、
図2の事前屈曲マイクロ偏向器アレイは、事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323である。電子源301、プレサブビーム形成アパーチャアレイ372、集光レンズ310、ソース変換ユニット320、及び対物レンズ331は、装置の一次電子光軸304とアライメントされる。電子源301は、概ね一次電子光軸304に沿って、及びソースクロスオーバー(虚像又は実像)301Sを有する一次電子ビーム302を発生させる。プレサブビーム形成アパーチャアレイ372は、結果として生じるクーロン効果を低減するために、一次電子ビーム302の周辺電子をカットする。クーロン効果は、異なるサブビームパスの電子間の相互作用による、サブビームに対する収差の原因である。一次電子ビーム302は、プレサブビーム形成機構のプレサブビーム形成アパーチャアレイ372によって、指定された数のサブビーム(3つのサブビーム311、312、及び313など)に削減され得る。3つのサブビーム及びそれらのパスが、前述及び以下の説明で参照されるが、この説明は、任意の数のサブビームを用いた装置、ツール、又はシステムへの適用を意図したものであることが理解されるものとする。
【0045】
[0061] ソース変換ユニット320は、一次電子ビーム302のサブビーム311、312、及び313を制限するように構成されたビーム制限アパーチャを備えたサブビーム制限アパーチャアレイ321を含み得る。ソース変換ユニット320は、像形成マイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3を備えた像形成要素アレイ322も含み得る。各サブビームのパスに関連付けられたそれぞれのマイクロ偏向器が存在する。マイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3は、サブビーム311、312、及び313のパスを電子光軸304に向けて偏向させるように構成される。偏向されたサブビーム311、312、及び313は、ソースクロスオーバー301Sの虚像を形成する。虚像は、対物レンズ331によってサンプル308上に投影され、及びサンプル上にプローブスポットを形成し、これらのプローブスポットは、3つのプローブスポット391、392、及び393である。各プローブスポットは、サンプル表面上のサブビームパスの入射場所に対応する。ソース変換ユニット320は、各サブビームの収差を補償するように構成された収差補償器アレイ324をさらに含み得る。各サブビームの収差は、一般的に、サンプル表面上に形成されるプローブスポット391、392、及び393上に存在する。収差補償器アレイ324は、マイクロレンズを備えた像面湾曲補償器アレイ(図示せず)を含み得る。像面湾曲補償器及びマイクロレンズは、プローブスポット391、392、及び393において顕著な像面湾曲収差に関してサブビームを補償するように構成される。収差補償器アレイ324は、マイクロ非点収差補正装置を備えた非点収差補償器アレイ(図示せず)を含み得る。マイクロ非点収差補正装置は、そうでなければプローブスポット391、392、及び393に存在する非点収差を補償するためにサブビームに対して作用するように制御される。
【0046】
[0062] ソース変換ユニット320は、サブビーム311、312、及び313をそれぞれ屈曲させる事前屈曲マイクロ偏向器323_1、323_2、及び323_3を備えた事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323をさらに含み得る。事前屈曲マイクロ偏向器323_1、323_2、及び323_3は、サブビームのパスをビームレット制限アパーチャアレイ321上へと屈曲させることができる。ビームレット制限アパーチャアレイ321への入射のサブビームパスは、ビームレット制限アパーチャアレイ321の配向平面に対して直角となり得る。集光レンズ310は、サブビームのパスをビームレット制限アパーチャアレイ321上へと誘導し得る。集光レンズ310は、一次電子光軸304に沿って平行ビームとなるように、3つのサブビーム311、312、及び313を集束させることができ、従って、このサブビームは、ソース変換ユニット320に垂直に入射し、ソース変換ユニット320は、ビームレット制限アパーチャアレイ321に対応し得る。
【0047】
[0063] 像形成要素アレイ322、収差補償器アレイ324、及び事前屈曲マイクロ偏向器アレイ323は、サブビーム操作デバイスの複数の層を含んでもよく、サブビーム操作デバイスの幾つかは、形式又はアレイでもよい(例えば、マイクロ偏向器、マイクロレンズ、又はマイクロ非点収差補正装置)。
【0048】
[0064] ソース変換ユニット320では、一次電子ビーム302のサブビーム311、312、及び313は、一次電子光軸304に向けて、それぞれ像形成要素アレイ322のマイクロ偏向器322_1、322_2、及び322_3によって偏向される。サブビーム311のパスは、マイクロ偏向器322_1に到達する前に既に電子光軸304と対応し得るため、サブビーム311のパスは、マイクロ偏向器322_1によって偏向されなくてもよいことが理解されるものとする。
【0049】
[0065] 対物レンズ331は、サブビームをサンプル308の表面上に集束させ、すなわち、対物レンズ331は、3つの虚像をサンプル表面上に投影する。3つのサブビーム311~313によってサンプル表面上に形成された3つの像は、サンプル表面上に3つのプローブスポット391、392、及び393を形成する。サブビーム311~313の偏向角度は、3つのプローブスポット391~393のオフアクシス収差を低減するように、対物レンズ311によって調整される。3つの偏向されたサブビームは、結果として、対物レンズ331の前側焦点を通過し、又は対物レンズ331の前側焦点に近づく。描かれるように、対物レンズ331は、すべてのサブビームを集束させる磁気レンズである。本発明のある実施形態では、対物レンズは、望ましくは、静電レンズのアレイであり、静電レンズのアレイは、マルチビームパスが、ソース変換ユニット320、具体的には、例えばマイクロ偏向器を備えた像形成要素アレイ322によって、対物レンズ331の静電レンズのアレイに向けて誘導されることを必要とし得る。(例えば、各ビームは、アレイ内の独自の対応マイクロレンズに向けて誘導され得る)。
【0050】
[0066]
図2及び
図3の上記のコンポーネントの少なくとも幾つかは、それらが、1つ又は複数の荷電粒子ビーム又はサブビームを操作するため、個々に、又は互いに組み合わせて、マニピュレータアレイ、マルチマニピュレータアレイ、マルチマニピュレータ、又はマニピュレータと呼ばれることがある。
【0051】
[0067] 既存のマルチ電子ビーム欠陥検査システムは、1時間当たり10~6000mm2のスループットで約2~10nmの分解能を有する。このようなシステムは、上述の通り、二次コラムに検出器を有する。既存のマルチ電子ビーム検査ツールのアーキテクチャは、後方散乱電子及び二次電子などのサンプルから放出される電子のソースから離れて検出器を有し、後方散乱電子及び二次電子は、多ビームシステムの場合、測定可能ではない。静電レンズなどのアレイ対物レンズを備えたツール内に二次コラムを組み込むことも難しい(これは、クーロン相互作用に対処する必要がある)。
【0052】
[0068] ある実施形態では、前述の実施形態で参照された対物レンズは、アレイ対物レンズである。一般的に、このようなレンズ配置は、静電的なものである。アレイ内の各要素は、マルチビームにおける異なるビーム又は異なるビームの一群を操作するマイクロレンズである。静電アレイ対物レンズは、少なくとも2つのプレートを有し、各プレートは、複数の孔又はアパーチャを有する。一方のプレートにおける各孔の位置は、他方のプレートにおける対応する孔の位置に対応する。対応する孔は、使用時に、マルチビームにおける同じビーム又は同じビームの一群に対して作用する。アレイ内の各要素のレンズのタイプの適切な例は、アインツェルレンズである。対物レンズの底部電極は、マルチビームマニピュレータアレイ内に組み込まれたCMOSチップ検出器である。対物レンズ内への検出器アレイの組み込みは、二次投影装置250の必要性を取り除く。CMOSチップは、好ましくは、(ウェーハと電子光学システムの底部との間の小さな距離(例えば、100μm)により)サンプルと向き合うように配向される。ある実施形態では、二次電子信号を捕捉するための捕捉電極が設けられる。捕捉電極は、例えばCMOSデバイスの金属層に形成することができる。捕捉電極は、対物レンズの底層を形成し得る。捕捉電極は、CMOSチップの底面を形成し得る。CMOSチップは、CMOSチップ検出器でもよい。CMOSチップは、対物レンズアセンブリのサンプル対向面に組み込まれてもよい。捕捉電極は、二次電子を検出するためのセンサユニットの例である。捕捉電極は、他の層に形成されてもよい。CMOSの電力及び制御信号は、スルーシリコンビアによってCMOSに接続され得る。ロバスト性のために、底部電極は、好ましくは2つの要素:CMOSチップ、及び孔を有するパッシブSiプレートから成る。このプレートは、高電界からCMOSをシールドする。
【0053】
[0069] 対物レンズの底部又はサンプル対向面に関連付けられたセンサユニットは、二次電子及び/又は後方散乱電子が、電子光学システムの電子光学要素に遭遇し、それによって操作されるようになる前に検出され得るため、有利である。有利に、このような電子を発するサンプルの検出にかかる時間は、縮小することができ、好ましくは最小にすることができる。
【0054】
[0070] 検出効率を最大にするために、(アパーチャを除く)アレイ対物レンズの実質的にすべてのエリアが電極によって占められるように、電極表面をできる限り大きくすることが望ましい。各電極は、アレイピッチに実質的に等しい直径を有し得る。電極表面は、アレイ対物レンズのサンプル対向面を実質的に埋め尽くし得る。ある実施形態では、電極の外形は、円形であるが、これは、検出エリアを最大にするために正方形にされてもよい。また、基板スルーホールの直径を最小にすることができる。電子ビームの一般的なサイズは、約5~15ミクロンである。
【0055】
[0071] ある実施形態では、単一の捕捉電極が各アパーチャを取り囲む。単一の捕捉電極は、円の周囲及び/又は外径を有し得る。捕捉電極は、アパーチャと捕捉電極の周囲との間に延在するエリアを有し得る。
図5及び
図6に示されるように、捕捉電極405は、矩形アレイ又は六角形アレイに配置され得る。別の実施形態では、複数の電極要素が、各アパーチャの周りに設けられる。複数の電極要素は、一緒に、円の周囲及び/又は直径を有し得る。複数の電極要素は、一緒に、アパーチャと複数の電極要素の周囲との間に延在するエリアを有し得る。複数の電極要素405は、矩形アレイ又は六角形アレイに配置されてもよい。電極要素は、センサ要素の例である。1つのアパーチャを取り囲む複数の電極要素によって捕捉された電子は、単一の信号に統合され得、又は独立した信号を生成するために使用され得る。電極要素は、半径方向に分割されてもよい。電極要素は、複数の同心の環又はリングを形成し得る。電極要素は、角度的に分割されてもよい。電極要素は、複数のセクター様片又はセグメントを形成してもよい。これらのセグメントは、類似の角度サイズ及び/又は類似の面積のものでもよい。電極要素は、半径方向に、及び角度的に分割されてもよく、又はその他の都合の良いやり方で分割されてもよい。
【0056】
[0072] しかしながら、電極表面の拡大は、寄生容量の増大、したがって、帯域幅の低下をもたらす。このため、電極の外径を制限することが望ましい場合がある。特に、電極の拡大が、わずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかしキャパシタンスの大幅な増加を与える場合。円形(環状)電極は、収集効率と寄生容量の良い妥協点を提供し得る。
【0057】
[0073] 電極の外径の増大は、クロストーク(隣接した孔の信号に対する感度)の増加ももたらし得る。これは、電極の外径をより小さくする理由にもなり得る。特に、電極の拡大が、わずかな検出効率の向上を与えるにすぎず、しかしクロストークの大幅な増加を与える場合。
【0058】
[0074] 電極によって収集された後方散乱及び/又は二次電子電流が増幅される。増幅器の目的は、測定されるべき、センサユニットによって受け取られる電流又は収集される電流、ひいては後方散乱電子及び/又は二次電子の数の十分に感度の高い測定を可能にすることである。これは、レジスタの電流測定又は電位差によって測定することができる。幾つかのタイプの増幅器設計を使用して、電極によって収集された後方散乱及び/又は二次電子電流を増幅させることができる(例えば、トランスインピーダンス増幅器)。このようなトランスインピーダンス増幅器では、TIAの電圧出力は、TIA抵抗(RTIA)に測定された電流を掛けたものに等しい。
【0059】
[0075] RTIAが大きいほど、増幅が大きい。しかしながら、帯域幅は、RC時間によって決定され、RC時間は、RTIAにTIAの入口側のキャパシタンスの合計を掛けたものに等しい。
【0060】
[0076] 有限RC時間は、より大きな電子光学系スポットサイズと同様の効果を有するため、それは、偏向方向におけるぼやけの寄与を効果的に知らせる。検出器のぼやけ寄与バジェット(blur contribution budget)及び偏向速度を所与として、許容されるRC時間が決定される。このRC時間及び入口キャパシタンスRTIAが決定される。
【0061】
[0077] 後方散乱及び/又は二次電子電流、並びにRTIAに基づいて、信号電圧が決定される。
【0062】
[0078] 検出器の雑音寄与は、後方散乱及び/又は二次電子電流の散弾雑音と比較されるべきである。一次電子ビームの散弾雑音のみを考慮することによって、散弾雑音によるsqrt(Hz)当たりの電流雑音が、以下で実証されるように、一般的に約1nV/sqrt(Hz)の最新式のCMOS増幅器の電圧雑音よりも大幅に大きい。以下に示す概算は、提案される電極が雑音の観点から実現可能であることを実証する。
N
PE_def=5000 (1)
I
beam=1nA (2)
d
def=4nm (3)
N
pix_defect=4 (4)
blur
rc=0.5nm (5)
【数1】
【0063】
[0079] 上記の計算は、以下のように説明することができる。欠陥の検出に必要とされる一次電子の数が5000であり(式1)、ビーム電流が1nAであり(式2)、欠陥の直径が4nmであり(式3)、及び欠陥当たりのピクセル数が4である(式4)と仮定する。0.5nmの増幅器の有限RC時間によるぼやけが許容可能である(式5)と仮定する。検出器のキャパシタンスは、例えば、式6に示されるように、配置のジオメトリから計算することができ、ここでは、3は、捕捉電極の下にある絶縁体の誘電率であり、100μmは、捕捉電極の直径であり、1μmは、捕捉電極の下の絶縁体の厚さである。固有散弾雑音は、式7のように計算される。1つの欠陥を撮像するための時間は、式8のように計算され、式8では、Qeは、電子電荷である。欠陥を検出するための走査の長さは、式9で計算され、走査速度は、式10で計算される。達成されるべきRC時間は、式11で計算され、したがって、検出器の抵抗は、式12で計算され、結果として生じる電圧雑音は、式13で計算される。式14は、前の式を単一の式に統合して、依存関係を示すものである。CMOS増幅器において達成することができる一般的な電圧雑音レベルは、約1nV/sqrt(Hz)である-この一般的な雑音レベルのCMOS増幅器。したがって、雑音が、このCMOS増幅器によって加えられた電圧雑音によってではなく、基本的な散弾雑音によって独占されることが妥当と思われる。このため、提案される電極が、雑音の観点から実現可能であることが妥当と思われる。すなわち、一般的なCMOS増幅器雑音は、散弾雑音と比較して小さい雑音レベルを有すれば十分である(それが散弾雑音と比較して大きい場合でも、この配置は、まだ機能し得るが、帯域幅又はスループット(すなわち、速度)に関する有効性は、低下し得る)。
【0064】
[0080]
図8は、理論上のトランスインピーダンス増幅器(TIA)の概略図であり、この理論上のトランスインピーダンス増幅器(TIA)では、電圧出力V
outは、単純に、測定された電流I
in及びフィードバック抵抗R
fの積である。しかしながら、実際のTIAは、
図9に示されるように、雑音、具体的には、入力i
snにおいて散弾雑音を有し、フィードバックレジスタi
nにおいて熱雑音を有する。ほとんどの場合、熱雑音が支配する。出力v
nにおける電圧雑音は、
【数2】
によって得られ、式中、k
bは、ボルツマン定数である。したがって、TIAへの入口における電流雑音は、
【数3】
であり、散弾雑音は、
【数4】
によって得られる。したがって、フィードバック抵抗が増加すると、熱雑音は、入力電流(すなわち、後方散乱及び/又は二次電子電流)の散弾雑音と比較して低くなる。
【0065】
[0081] 本発明は、各欠陥の検出に必要とされる電子の数が10,000に増やされ、2nmのぼやけバジェット(blur budget)が設定され、及び電極直径が50μmに縮小されたと仮定することによって、散弾雑音の効果を考慮に入れても実用的なままであることを示すことができる。この場合、電極のキャパシタンスは、約0.011pFとなり、これは、約3.6×107Ωの抵抗を必要とし、散弾雑音よりも約20%大きい熱雑音のレベルがもたらされる。したがって、提案される検出器の様々な異なる配置が実現可能である。電極のキャパシタンスは、隣接する誘電体層の厚さを変えることによっても制御することができ、隣接する誘電体層の厚さは、約1~約5μmの範囲内でもよい。
【0066】
[0082] 例示的実施形態を
図4に示し、
図4は、概略断面でマルチビーム対物レンズ401を示す。対物レンズ401の出力側(サンプル208に対向する側)には、検出器モジュール402が設けられる。
図5は、検出器モジュール402の底面図であり、検出器モジュール402は、上に複数の捕捉電極405が設けられる基板404を含み、各捕捉電極405は、ビームアパーチャ406を取り囲む。ビームアパーチャ406は、一次電子ビームの何れもブロックしないだけの大きさがある。捕捉電極405は、後方散乱又は二次電極を受け取り、検出信号(この場合電流)を生成するセンサユニットの例と見なすことができる。ビームアパーチャ406は、基板404を貫通してエッチングすることによって形成することができる。
図5に示される配置では、ビームアパーチャ406は、矩形アレイで示されている。ビームアパーチャ406は、異なるように(例えば、
図6に示されるように、六方最密アレイで)配置されることも可能である。
【0067】
[0083]
図7は、縮尺を大きくして、検出器モジュール402の一部を断面で示す。捕捉電極405は、検出器モジュール402の一番下の面、すなわちサンプルに最も近い面を形成する。捕捉電極405とシリコン基板404の本体との間には、論理層407が設けられる。論理層407は、増幅器、例えば、トランスインピーダンス増幅器、アナログ-デジタル変換器、及び読出し論理回路を含み得る。ある実施形態では、1つの捕捉電極405につき、1つの増幅器及び1つのアナログ-デジタル変換器が存在する。論理層407及び捕捉電極405は、捕捉電極405が最終メタライゼーション層を形成するCMOSプロセスを使用して製造することができる。
【0068】
[0084] 配線層408は、基板404の裏側に設けられ、スルーシリコンビア409によって論理層407に接続される。スルーシリコンビア409の数は、ビームアパーチャ406の数と同じである必要はない。具体的には、電極信号が論理層407においてデジタル化される場合、データバスを提供するために、少数のスルーシリコンビアのみが必要とされ得る。配線層408は、制御線、データ線、及び電力線を含み得る。ビームアパーチャ406にもかかわらず、すべての必要な接続に十分なスペースが存在することに気付くだろう。検出モジュール402は、バイポーラ又は他の製造技術を使用して製作することもできる。プリント回路基板及び/又は他の半導体チップが検出器モジュール402の裏側に設けられてもよい。
【0069】
[0085]
図4は、3つの電極対物レンズを示すが、任意の他の対物レンズ形態、例えば、二電極レンズも使用され得ることが理解されるだろう。
【0070】
[0086] ここで
図10を参照すると、
図10は、
図2のツール40の代わりに、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であり得る別の例示的な電子ビームツール40aを示す概略図である。
図2の装置40の対応部分と同様の機能を有する装置40aの部分は、同じ参照番号で識別される。場合によっては、このような部分の削減した説明又は簡略化した説明が以下に含まれる。
【0071】
[0087] マルチビーム電子ビームツール40a(本明細書では、装置40aとも呼ばれる)は、電子源201、投影装置230、電動ステージ209、及びサンプルホルダ207を含む。電子源201及び投影装置230は、まとめて照明装置と呼ばれることがある。サンプルホルダ207は、検査のためにサンプル208(例えば、基板又はマスク)を保持するために、電動ステージ209によって支持される。マルチビーム電子ビームツール40aは、電子検出デバイス1240をさらに含む(電子検出デバイス1240は、同じ機能(すなわち、サンプルから電子を検出すること)を有するが、
図2及び
図3に関連して参照された実施形態の二次電子光学コラムにおける電子検出デバイス240とは構造的に異なり得ることに留意されたい)。
【0072】
[0088] 電子源201は、カソード(図示せず)、及び抽出器又はアノード(図示せず)を含み得る。動作中に、電子源201は、一次電子として電子をカソードから放出するように構成される。一次電子は、抽出器及び/又はアノードによって抽出又は加速されることによって、一次電子ビーム202を形成する。
【0073】
[0089] 投影装置230は、一次電子ビーム202を複数のサブビーム211、212、213に変換し、及び各サブビームをサンプル208上に誘導するように構成される。簡潔にするために3つのサブビームが示されるが、何十、何百、又は何千ものサブビームが存在し得る。サブビームは、ビームレットと呼ばれることがある。
【0074】
[0090]
図1のコントローラ50は、電子源201、電子検出デバイス1240、投影装置230、及び電動ステージ209などの電子ビームツール40aの様々な部分に接続され得る。コントローラ50は、様々な画像及び信号処理機能を行い得る。コントローラ50は、荷電粒子マルチビーム装置を含む荷電粒子ビーム検査装置の動作を制御するための様々な制御信号を生成することもできる。
【0075】
[0091] 投影装置230は、検査のためにサンプル208上にサブビーム211、212、及び213を集束させるように構成することができ、サンプル208の表面に3つのプローブスポット221、222、及び223を形成することができる。投影装置230は、サンプル208の表面の一セクションの個々の走査エリアにわたってプローブスポット221、222、及び223を走査するために、一次サブビーム211、212、及び213を偏向させるように構成され得る。サンプル208上のプローブスポット221、222、及び223への一次サブビーム211、212、及び213の入射に応答して、二次電子及び後方散乱電子を含む電子が、サンプル208から発生する。二次電子は、一般的に、50eV以下の電子エネルギーを有し、後方散乱電子は、一般的に、50eVと一次サブビーム211、212、及び213の着地エネルギーとの間の電子エネルギーを有する。
【0076】
[0092] 電子検出デバイス1240は、二次電子及び/又は後方散乱電子を検出し、並びに対応する信号を生成するように構成され、これらの信号は、例えば、サンプル208の対応する走査エリアの画像を構築するために、コントローラ又は信号処理システム(図示せず)に送られる。電子検出デバイス1240は、
図4~7を参照して上記で説明したように、対物レンズ401と一体化した検出器モジュール402を含み得る。
【0077】
[0093]
図11は、
図2のツール40の代わりに、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であり得る別の例示的な電子ビームツール40bを示す概略図である。
図2の装置40の対応部分と同様の機能を有する装置40aの部分は、同じ参照番号で識別される。場合によっては、このような部分の削減した説明又は簡略化した説明が以下に含まれる。
【0078】
[0094] 電子源201は、投影システム230の一部を形成する集光レンズ1231のアレイに向けて電子を誘導する。電子源は、望ましくは、明度と全放出電流の良い妥協点を持つ高明度の熱電界放出器である。何十、何百、又は何千もの集光レンズ1231が存在し得る。集光レンズ1231は、多電極レンズを含んでもよく、欧州特許出願公開第1602121A1号に基づいた構造を有してもよく、この文書は、特に電子ビームを複数のサブビームに分割するためのレンズアレイ(このアレイは、サブビームごとに1つのレンズを提供する)の開示に対して本明細書に援用される。集光レンズのアレイは、電極として機能する少なくとも2つのプレートの形態を取り得、各プレートのアパーチャは、互いにアライメントされ、サブビームの場所に対応する。プレートの少なくとも2つは、所望のレンズ効果を達成するために、動作中に異なる電位に維持される。
【0079】
[0095] ある配置では、集光レンズのアレイは、3つのプレートアレイから形成され、これらのプレートアレイでは、荷電粒子は、各レンズに入るとき、及び各レンズを離れるときに同じエネルギーを有し、この配置は、アインツェルレンズと呼ばれることがある。アインツェルレンズに入るときのビームエネルギーは、アインツェルレンズを離れるときと同じである。したがって、分散が、アインツェルレンズ自体の内部(レンズの入口電極と出口電極との間)でのみ生じ、それによって、オフアクシス色収差が限定される。集光レンズの厚さが薄い、例えば、数mmである場合、このような収差は、小さな又は無視できる影響を有する。
【0080】
[0096] 集光レンズのアレイは、複数のビームアパーチャ110を含み得る。ビームアパーチャ110は、例えば、実質的に平面のビームアパーチャ本体111における開口によって形成され得る。ビームアパーチャ110は、ソース201からの荷電粒子ビームを対応する複数のサブビームに分割する。アレイの各集光レンズは、電子をそれぞれのサブビーム1211、1212、1213に誘導し、各サブビーム1211、1212、1213は、それぞれの中間焦点1233で集束される。中間焦点1233には偏向器235がある。偏向器235は、主光線(ビーム軸とも呼ばれることがある)がサンプル208に実質的に垂直に(すなわち、サンプルの公称面に対して実質的に90°に)入射することを確実にするのに有効な量だけ各サブビーム1211、1212、1213を屈曲させるように構成される。偏向器235は、コリメータとも呼ばれることがある。中間焦点1233のダウンビーム(すなわち、サンプルにより近い)には、複数の対物レンズ1234があり、各対物レンズ1234は、それぞれのサブビーム1211、1212、1213をサンプル208上に誘導する。対物レンズ1234は、10を超える率、望ましくは50~100以上の範囲内の率で電子ビームを縮小するように構成することができる。
【0081】
[0097] 電子検出デバイス1240は、サンプル208から放出された二次電子及び/又は後方散乱電子を検出するために、対物レンズ1234とサンプル208との間に設けられる。電子検出デバイス1240は、
図4~7を参照して上記で説明したように、対物レンズ401と一体化した検出器モジュール402を含み得る。電子検出デバイス1240は、センサユニット、例えば、捕捉電極402を含み得る。
【0082】
[0098]
図11のシステムは、サンプル上の電子の着地エネルギーを制御するように構成することができる。着地エネルギーは、評価されているサンプルの性質に依存する二次電子の放出及び検出を高めるように選択することができる。対物レンズ1234を制御するために設けられたコントローラは、所定範囲内の任意の望ましい値に、又は複数の所定の値のうちの望ましい1つに着地エネルギーを制御するように構成され得る。ある実施形態では、着地エネルギーは、1000eV~5000eVの範囲内の所望の値に制御することができる。着地エネルギーの制御に使用することができる電極構造及び電位の詳細は、欧州特許出願第20158804.3号に開示されており、この文書は、本明細書に援用される。
【0083】
[0099] 幾つかの実施形態では、荷電粒子評価ツールは、サブビームにおける1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器をさらに含む。ある実施形態では、収差補正器の少なくとも1つのサブセットのそれぞれは、複数の中間焦点のそれぞれの中間焦点において、又はそれに直接隣接して(例えば、中間像面内に、又は中間像面に隣接して)位置決めされる。サブビームは、中間平面などの焦点面内に、又はその付近に最小断面積を有する。これは、他の場所で、すなわち、中間平面のアップビーム(ソースにより近い)若しくはダウンビーム(サンプルにより近い)で利用可能なスペースよりも(又は中間像面を持たない代替の配置で利用可能となるスペースよりも)多くのスペースを収差補正器のために提供する。
【0084】
[0100] ある実施形態では、中間焦点(若しくは中間像面)において、又はそれらに直接隣接して位置決めされた収差補正器は、異なるビームにとって異なる位置にあるように見えるソース201を補正するための偏向器を含む。補正器は、各サブビームと対応する対物レンズとの間の良好なアライメントを阻む、ソースに起因した巨視的収差を補正するために使用することができる。
【0085】
[0101] 収差補正器は、適切なコラムアライメントを阻む収差を補正することができる。このような収差は、サブビームと補正器との間のミスアライメントももたらし得る。このため、追加的又は代替的に収差補正器を集光レンズ1231において、又はその近くに位置決めすることが望ましい場合がある(例えば、このような収差補正器のそれぞれは、集光レンズ1231の1つ若しくは複数と一体化されるか、又は直接隣接する)。これは、集光レンズ1231がビームアパーチャと垂直方向に近い、又はビームアパーチャと一致するため、集光レンズ1231では、又はその近くでは、収差が対応するサブビームのシフトをまだ引き起こしていないことから望ましい。しかしながら、集光レンズ231において、又はその近くに補正器を位置決めすることに関する課題は、各サブビームが比較的大きな断面積を有し、さらにダウンビームの場所と比べて、この場所において比較的小さなピッチを有する点である。収差補正器は、欧州特許出願公開第2702595A1号に開示されるようなCMOSベースの個々のプログラマブル偏向器、又は欧州特許出願公開第2715768A2号に開示されるような多極偏向器のアレイでもよく、両文書におけるビームレットマニピュレータの説明は、本明細書に援用される。
【0086】
[0102] 幾つかの実施形態では、収差補正器の少なくとも1つのサブセットのそれぞれは、対物レンズ1234の1つ若しくは複数と一体化されるか、又は直接隣接する。ある実施形態では、これらの収差補正器は、以下:像面湾曲、フォーカスエラー、及び非点収差の1つ又は複数を減少させる。追加的又は代替的に、1つ又は複数の走査偏向器(図示せず)は、サンプル208上でサブビーム1211、1212、1213を走査するために、対物レンズ1234の1つ又は複数と一体化されてもよく、又は直接隣接してもよい。ある実施形態では、米国特許出願公開第2010/0276606号に記載の走査偏向器が使用されてもよく、この文書は、本明細書に全体として援用される。
【0087】
[0103] ある実施形態では、前述の実施形態で参照された対物レンズは、アレイ対物レンズである。アレイ内の各要素は、マルチビームにおける異なるビーム又は異なるビームの一群を操作するマイクロレンズである。静電アレイ対物レンズは、少なくとも2つのプレートを有し、各プレートは、複数の孔又はアパーチャを有する。一方のプレートにおける各孔の位置は、他方のプレートにおける対応する孔の位置に対応する。対応する孔は、使用時に、マルチビームにおける同じビーム又は同じビームの一群に対して作用する。アレイ内の各要素のレンズのタイプの適切な例は、二電極減速レンズである。
【0088】
[0104] 電子検出デバイス1240は、サンプル208から放出された二次電子及び/又は後方散乱電子を検出するために、対物レンズ1234とサンプル208との間に設けられる。電子検出デバイスは、
図4~7を参照して上記で説明したように、対物レンズ401と一体化した検出器モジュール402を含み得る。電子検出デバイス240は、センサユニット、例えば、捕捉電極405を含み得る。
【0089】
[0105] 本発明のある実施形態では、中間焦点1233における補正器235は、スリット偏向器300によって具現化される。スリット偏向器300は、マニピュレータの一例であり、スリット補正器とも呼ばれることがある。
【0090】
[0106]
図2のツール40の代わりに、
図1の例示的な荷電粒子ビーム検査装置100の一部であり得る別の例示的な電子ビームツール40cが、
図12に概略的に示される。
図2の装置40の対応部分と同様の機能を有する装置40aの部分は、同じ参照番号で識別される。場合によっては、このような部分の削減した説明又は簡略化した説明が以下に含まれる。
【0091】
[0107] ツール40cは、サブビーム114における1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器124、125、126をさらに含む。ある実施形態では、収差補正器124の少なくとも1つのサブセットのそれぞれは、複数の中間焦点115のそれぞれの中間焦点において、又はそれに直接隣接して(例えば、中間像面120内に、又は中間像面120に隣接して)位置決めされる。サブビーム114は、中間平面120などの焦点面において、又はその付近に最小断面積を有する。これは、他の場所で、すなわち、中間平面120のアップビーム若しくはダウンビームで利用可能なスペースよりも(又は中間像面120を持たない代替の配置で利用可能となるスペースよりも)多くのスペースを収差補正器124のために提供する。
【0092】
[0108] ある実施形態では、中間焦点115(若しくは中間像面120)において、又はそれに直接隣接して位置決めされた収差補正器124は、ソース201から放出されたビーム112から生じる異なるサブビーム114にとって異なる位置にあるように見えるソース201を補正するための偏向器を含む。補正器124は、各サブビーム114と対応する対物レンズ118との間の良好なアライメントを阻む、ソース201に起因した巨視的収差を補正するために使用することができる。
【0093】
[0109] 収差補正器124は、適切なコラムアライメントを阻む収差を補正することができる。このような収差は、サブビーム114と補正器124との間のミスアライメントももたらし得る。このため、追加的又は代替的に収差補正器125を集光レンズ116において、又はその近くに位置決めすることが望ましい場合がある(例えば、このような収差補正器125のそれぞれは、集光レンズ116の1つ若しくは複数と一体化されるか、又は直接隣接する)。これは、集光レンズ116がビームアパーチャ110と垂直方向に近い、又はビームアパーチャ110と一致するため、集光レンズ116では、又はその近くでは、収差が対応するサブビーム114のシフトをまだ引き起こしていないことから望ましい。しかしながら、補正器125を集光レンズ116において、又はその近くに位置決めすることに関する課題は、各サブビーム114が比較的大きな断面積を有し、さらに下流の場所と比べて、この場所において比較的小さなピッチを有する点である。
【0094】
[0110] 幾つかの実施形態では、
図12に例示されるように、収差補正器126の少なくとも1つのサブセットのそれぞれは、対物レンズ118の1つ若しくは複数と一体化されるか、又は直接隣接する。ある実施形態では、これらの収差補正器126は、以下:像面湾曲、フォーカスエラー、及び非点収差の1つ又は複数を減少させる。
図12の装置では、補正器124、125、126の何れか又はすべては、スリット偏向器でもよい。
【0095】
[0111]
図13及び
図14は、本発明の一実施形態で使用され得る電子検出デバイス240の別の例を示し、例えば、この電子検出デバイス240は、例えば
図2、
図10、
図11、及び
図12を参照して上記で説明した電子ビームツール40、40a、40b、40cに組み込むことができる。
図13は、対物レンズアレイ501内に組み込まれた、又は対物レンズアレイ501に関連付けられた電子検出デバイス240の概略側面図であり、
図14は、電子検出デバイス240の下方からの図である。
【0096】
[0112]
図13に示されるように、この例の電子検出デバイス240は、それぞれのビームアパーチャ504を取り囲む複数のセンサユニット503を備えた基板502を含む。基板502は、減速アレイ対物レンズ501の(サンプル208からより遠い)上部電極に取り付けられる。センサユニット503は、サンプル208と対向する。センサユニットは、センシング面が、上部電極のアップビーム対向面とダウンビーム対向面との間に位置するように位置決めされ得る。センサユニット503は、サンプル208から最も遠い対物レンズ501の電極内に組み込まれてもよく、又はそれと関連付けられてもよい。これは、
図7の電子検出デバイス240と対照的であり、
図7の電子検出デバイス240は、アレイ対物レンズの下部電極内に組み込まれ、又はそれと関連付けられる。すなわち、両実施形態において、センサユニットは、対物レンズ501内に組み込まれ得る。(
図7のセンサユニット503は、ソースから最も遠い、又はサンプルに最も近いアレイ対物レンズの電極に取り付けられてもよいが、必ずしもそれと一体化されなくてもよい。)
図13は、二電極対物レンズを描くが、その他の形態の対物レンズ、例えば、三電極レンズも使用可能であることが理解されるだろう。
【0097】
[0113] この例の電子検出デバイス240は、ソースから最も遠い対物レンズ501の電極から離れて、つまり、対物レンズ501のアップビーム電極から離れて配置される。この位置では、対物レンズ501の電極は、サンプルにより近い、又は電子検出デバイス240のダウンビームにある。したがって、サンプル208によって放出された二次電子は、対物レンズ501のダウンビーム位置の電極アレイによって、例えば多数のkV(おそらく約28.5kV)にまで加速される。動作中にセンサユニット503を支持する基板は、上部電極と同じ電位差に保持され得る。その結果、センサユニット503は、例えば、PIN検出器及び/又はシンチレータを含み得る。これは、PIN検出器及びシンチレータが信号の大きな初期増幅を有するため、大きな追加の雑音源が存在しないという利点を有している。この配置の別の利点は、例えば、電力及び信号接続を行うため、又は使用時の修理のために、電子検出デバイス240にアクセスしやすい点である。代わりに、捕捉電極を有するセンサユニットがこの場所で使用され得るが、これは、性能の低下をもたらし得る。
【0098】
[0114] PIN検出器は、逆バイアスPINダイオードを含み、pドープ領域とnドープ領域との間に挟まれた真性(非常に低濃度ドープの)半導体領域を有する。真性半導体領域に入射した二次電子は、電子正孔対を発生させ、電流が流れることを可能にし、検出信号を生成する。
【0099】
[0115] シンチレータは、電子がそれに入射したときに光を発する材料を含む。検出信号は、カメラ又は他の撮像デバイスを用いてシンチレータを撮像することによって生成される。
【0100】
[0116] センサユニット503上に二次電極を正しく結像させるために、最後の電極とサンプル208との間に比較的大きな電位差を設けることが望ましい。例えば、対物レンズの上部電極は、約30kVでもよく、下部電極は、約3.5kVでもよく、サンプル208は、約2.5kVでもよい。下部電極とサンプル208との間の大きな電位差は、一次ビームに対する対物レンズの収差を増大させ得るが、適切なトレードオフを選択することができる。
【0101】
[0117] ある実施形態の正確な寸法は、ケースバイケースで決定することができる。ビームアパーチャ504の直径は、約5~20μmの範囲内(例えば、約10μm)でもよい。電極のスリットの幅は、50~200μmの範囲内(例えば、約100μm)でもよい。ビームアパーチャ及び電極スリットのピッチは、100~200μmの範囲内(例えば、約150μm)でもよい。上部電極と下部電極との間のギャップは、約1~1.5mmの範囲内(例えば、約1.2mm)でもよい。下部電極の深さは、約0.3~0.6mmの範囲内(例えば、約0.48mm)でもよい。下部電極とサンプル208との間の作動距離は、約0.2~0.5mmの範囲内(例えば、約0.37mm)でもよい。望ましくは、下部電極とサンプル208との間の電界強度は、サンプル208へのダメージを回避又は低減するために、約2.7kV/mm以下である。上部電極と下部電極との間のギャップにおける電界は、より大きくてもよい(例えば、20kV/mmを超える)。
【0102】
[0118] センサユニットに関連付けられたビームアパーチャ504は、サンプルから生じる電極を捕捉するために利用可能なセンサユニットの表面を拡大するために、電極アレイよりも小さい直径を有する。しかしながら、ビームアパーチャ直径の寸法は、それらがサブビームの通過を可能にするように選択され、つまり、ビームアパーチャは、ビームを制限しない。ビームアパーチャは、サブビームの断面を整形することなく、サブビームの通過を可能にするための設計である。同じコメントが
図4~7に示される実施形態のセンサユニット402に関連付けられたビームアパーチャ406にも当てはまる。
【0103】
[0119] ある実施形態では、単一のセンサユニット(例えば、PIN検出器)が各アパーチャを取り囲む。単一のセンサユニットは、円の周囲及び/又は外径を有し得る。センサユニットは、アパーチャとセンサユニットの周囲との間に延在するエリアを有し得る。センサユニット503は、矩形アレイ又は六角形アレイに配置され得る。別の実施形態では、複数のセンサ要素(例えば、より小さいPIN検出器)が各アパーチャの周りに設けられる。複数のセンサ要素は、一緒に、円の周囲及び/又は直径を有し得る。複数のセンサ要素は、一緒に、アパーチャと複数のセンサ要素の周囲との間に延在するエリアを有し得る。複数のセンサ要素は、矩形アレイ又は六角形アレイに配置されてもよい。1つのアパーチャを取り囲む複数のセンサ要素によって捕捉された電子から生成された信号は、単一の信号に統合され得、又は独立した信号を生成するために使用され得る。センサ要素は、半径方向に分割されてもよい。センサ要素は、複数の同心の環又はリングを形成し得る。センサ要素は、角度的に分割されてもよい。センサ要素は、複数のセクター様片又はセグメントを形成してもよい。これらのセグメントは、類似の角度サイズ及び/又は類似の面積のものでもよい。センサ要素は、半径方向に、及び角度的に分割されてもよく、又はその他の都合の良いやり方で分割されてもよい。センサユニット、任意選択的にそれらのセンサ要素の表面は、センサユニットを支持する基板の表面を実質的に埋め尽くしてもよい。
【0104】
[0120]
図15は、評価ツールの概略図である。前述の実施形態と共通する部分は、同じ参照番号で示され、以下でさらに説明されることはない。相違点が説明される。
【0105】
[0121] アレイ1231の各集光レンズは、電子をそれぞれのサブビーム211、212、213に誘導し、各サブビーム211、212、213は、それぞれの中間焦点1233で集束される。中間焦点1233には偏向器235が設けられる。
【0106】
[0122] 偏向器235の下には(すなわち、ダウンビームに、又はソース201からより遠くに)、サブビーム211、21、213のそれぞれに関して、制御レンズ251を含む制御レンズアレイ250がある。制御レンズアレイ250は、それぞれの電位源に接続された少なくとも2つ、例えば3つのプレート電極アレイを含み得る。制御レンズアレイ250の機能は、ビームの縮小率に対してビーム開口角度を最適化すること、及び/又は対物レンズ234に届けられるビームエネルギーを制御することであり、対物レンズ234のそれぞれは、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208上に誘導する。制御レンズは、サブビームをプレフォーカスさせる(例えば、サブビームが対物レンズアレイ241に到達する前に、サブビームにフォーカス動作を適用する)。プレフォーカスは、サブビームの発散度を減少させること、又はサブビームの収束率を増加させることができる。制御レンズアレイ及び対物レンズアレイは、一緒に、複合焦点距離を提供するように動作する。中間焦点を使用しない複合動作により、収差のリスクを低減することができる。縮小率及び開口角度への言及は、同じパラメータの変動を指すことが意図されることに留意されたい。理想的な配置では、縮小率及び対応する開口角度の積は、ある値範囲にわたり一定である。しかしながら、開口角度は、アパーチャの使用の影響を受け得る(
図15に示される配置では、ビーム電流がビームパスに沿って一貫性を維持するため、拡大率の調整は、開口角度の同様の調整をもたらすことに留意されたい。)
【0107】
[0123] 対物レンズアレイ241に加えて、制御レンズアレイ250を設けることにより、2020年9月17日に出願された欧州特許出願第20196716.3号に記載されるように、サブビームの特性を制御するためのさらなる自由度が提供され、この特許出願のうち、制御レンズの使用及び制御に言及する部分が、本明細書に援用される。制御レンズアレイ250及び対物レンズアレイ241が、例えば、制御レンズアレイ250と対物レンズアレイ241との間に中間焦点が形成されないような互いの比較的近くに設けられる場合であっても、さらなる自由が提供される。2つの電極が存在する場合、縮小率及び着地エネルギーは一緒に制御される。3つ以上の電極が存在する場合、縮小率及び着地エネルギーは、個々に制御され得る。したがって、制御レンズは、(例えば、制御レンズ及び対物レンズの電極に適切なそれぞれの電位を印加するための電力源を使用して)それぞれのサブビームの縮小率及び/又はビーム開口角度を調整するように構成され得る。この最適化は、対物レンズの数に対して過剰に悪影響を有して、及び対物レンズの収差を過剰に悪化させることなく(例えば、対物レンズの強度を増大させることなく)達成され得る。
【0108】
[0124] 任意選択的に、走査偏向器260のアレイが、制御レンズアレイ250と、対物レンズ234のアレイとの間に設けられる。走査偏向器260のアレイは、サブビーム211、212、213ごとに1つの走査偏向器261を含む。各走査偏向器は、それぞれのサブビーム211、212、213をサンプル208にわたり1方向又は2方向に走査するように、サブビームを1方向又は2方向に偏向させるように構成される。
【0109】
[0125] 電子検出デバイス1240は、サンプル208から放出された二次電子及び/又は後方散乱電子を検出するために、対物レンズ234とサンプル208との間に設けられる。電子検出システムの例示的な構造を以下に説明する。
【0110】
[0126]
図15のシステムは、制御レンズ及び対物レンズの電極に印加される電位を変化させることによって、サンプル上の電子の着地エネルギーを制御するように構成される。制御レンズ及び対物レンズは、協働し、対物レンズアセンブリと呼ばれることがある。着地エネルギーは、評価されているサンプルの性質に依存する二次電子の放出及び検出を高めるように選択することができる。コントローラは、所定範囲内の任意の望ましい値に、又は複数の所定の値のうちの望ましい1つに着地エネルギーを制御するように構成され得る。ある実施形態では、着地エネルギーは、1000eV~5000eVの範囲内の所望の値に制御することができる。
【0111】
[0127] 望ましくは、着地エネルギーは、主に、制御レンズから出る電子のエネルギーを制御することによって変更される。対物レンズ内の電位差は、好ましくは、対物レンズ内の電界が可能な限り高いままであるように、この変動中に一定に維持される。加えて、制御レンズに印加される電位は、ビーム開口角度及び縮小率を最適化するために使用され得る。制御レンズは、着地エネルギーの変化を考慮して焦点位置を補正するように機能することができるため、リフォーカスレンズとも呼ばれ得る。制御レンズアレイの使用は、対物レンズアレイが、その最適電界強度で動作することを可能にする。
【0112】
[0128] 幾つかの実施形態では、荷電粒子評価ツールは、上述の通り、サブビームにおける1つ又は複数の収差を低減する1つ又は複数の収差補正器をさらに含む。
【0113】
[0129] ある実施形態では、収差補正器は、上記の通り、中間焦点(又は中間像面)において、又はそれに直接隣接して位置決めされる。
【0114】
[0130] 幾つかの実施形態では、対物レンズアセンブリの検出器1240は、対物レンズアレイ241の少なくとも1つの電極のダウンビームに検出器アレイを含む。ある実施形態では、検出器1240は、対物レンズアレイ241に隣接し、及び/又はそれと一体化される。例えば、検出器アレイは、CMOSチップ検出器を対物レンズアレイの底部電極内に組み込むことによって実装されてもよい。
【0115】
[0131]
図15の実施形態に関する1つのバリエーションでは、2020年9月17日に出願された欧州特許出願第20196714.8号に開示されるように、集光レンズアレイ1231及びコリメータ235が省かれ、この出願は、少なくともこのような電子光学アーキテクチャの開示に限り援用される。このような配置は、ソース201、コリメータ(これは、マクロコリメータレンズ、又はコリメータレンズアレイでもよい)、走査偏向器(これは、マクロ走査偏向器、又は走査偏向器アレイでもよい)、制御レンズ、対物レンズアレイ、及び検出器アレイを備え得る。この配置は、ビーム整形制限器(又はビーム整形制限アレイ)を備え、及び上側ビーム制限器を備え得る。ソース201は、上側ビーム制限器に向けて電子を放出し、上側ビーム制限器は、ビーム制限アパーチャのアレイを規定する。上側ビーム制限器は、上側ビーム制限アパーチャアレイ、又はアップビームビーム制限アパーチャアレイと呼ばれることがある。上側ビーム制限器は、複数のアパーチャを有するプレート(これは、板状体でもよい)を含み得る。上側ビーム制限器は、ソース201によって放出された荷電粒子ビームからサブビームを形成する。上側ビーム制限器は、制御レンズアレイと関連付けられてもよく、制御レンズアレイの最もアップビームの電極を形成し得る。サブビームの形成に寄与する部分以外のビームの部分は、例えば、ダウンビームのサブビームと干渉しないように、上側ビーム制限器によってブロック(例えば吸収)され得る。(例えば、MEMS製造技術を使用して形成された)コリメータアレイは、個々のサブビームをコリメートし、サブビームを制御レンズに誘導し得る。このバリエーションでは、任意選択的に、上側ビーム制限器、コリメータ要素アレイ、制御レンズ250、走査偏向器アレイ260、対物レンズ234、ビーム整形制限器、及び検出器モジュール1240はすべて、MEMS製造技術を使用して形成することができる。
【0116】
[0132] ビーム整形制限器は、対物レンズと関連付けられ、制御レンズのダウンビームでサブビームを整形する。走査偏向器は、ビーム整形制限器上でビーム整形制限器のアップビームで規定されたサブビームを走査する。ビーム整形制限器は、サンプル表面上で偶発的なサブビームを整形する。ビーム整形制限器の使用は、制御レンズによって与えられる収差を最小にするとは言わないまでも、減少させることができる。ビーム整形制限器は、制御レンズアレイのダウンビームにあるため、ビーム整形制限器のアパーチャは、ビームパスに沿ってビーム電流を調整する。したがって、制御レンズによる拡大率の制御は、開口角度に対して異なって作用する。つまり、ビーム整形制限器のアパーチャは、拡大率及び開口角度の変動間の直接的な対応を壊す。
【0117】
[0133] 可変着地エネルギーを有するツール(
図15を参照して上記で説明したものなど)では、焦点のZ位置(すなわち、ビームパスに沿った位置)は、着地エネルギーと共に変化する。これの主な理由は、対物レンズの焦点距離が、着地エネルギーを対物レンズの静電場で割ったものの4倍にほぼ等しいからである。対物レンズの収差レベルを向上させるために、静電場を可能な限り高く維持することが望ましい。その結果、焦点距離は、着地エネルギーに比例して変化する。焦点のZ位置が対物レンズに近すぎる場合は、対物レンズの静電場を減少させることが可能であるが、これは、分解能の損失をもたらす。従来、一次ビームがウェーハ上に正確に収束されることを確実にするために、サンプルは、Z方向に動かされる。ある配置では、焦点のZ位置は、500V~5kVの着地エネルギーの変化で、最大で1mmまで変動する可能性があり、その結果、サンプルと検出器との間の距離に依存する測定信号が大幅に変動する。着地エネルギーの変化と、焦点のZ位置の変化の関係は、部分的には、対物レンズのレンズ強度に依存し、したがって、他の配置では、焦点のZ位置の変動の範囲は、1mmより大きい、又は小さい場合がある。着地エネルギーと焦点距離の直線関係が存在し得る。着地エネルギーの上記の範囲では、分解能は、実質的に維持することができる。
【0118】
[0134] ある実施形態によれば、例えば、着地エネルギーの変化の結果としての焦点位置の変化により、サンプルが対物レンズに対して移動したとしても、サンプルに対する検出器の位置を維持することが提案される。例えば、サンプルと検出器との間の距離は、約50~100μmの範囲内に維持される。ある実施形態では、対物レンズとサンプルとの間の距離は、約250μm以上でもよい。しかしながら、対物レンズがサンプルに対して位置決めされ得る近接、ひいては対物レンズに対するサブビームの焦点の近接に対する下限が存在する。このような状況では、対物レンズ電極が、簡単に製造できないほどあまりにも薄い必要があるかもしれないリスクがある。このような配置で使用される検出器は、簡単に製造できないほどあまりにも薄い必要があるかもしれない。サンプルと検出器との間の望ましい距離は、検出器のサイズ(具体的には、電極直径)及び/又は検出器ピッチに依存し得る。他の条件が同じなら、より大きな検出器及び/又はより大きな検出器ピッチは、サンプルと検出器との間のより大きな距離を許容し得る。したがって、本発明のある実施形態は、所与のビームピッチ及び検出器直径で、高い二次電子検出を維持することができる。
【0119】
[0135] サンプルと検出器との間の距離を一定に維持するための2つの手法が提案される。
図16に示されるように、検出器モジュール240は、アクチュエータシステム245に接続され、アクチュエータシステム245は、電子ビームの伝搬方向と平行(すなわち、サンプルの表面に対して垂直)な方向に、検出器モジュール245を位置決めするように構成される。
図16内で、A、B、及びCは、異なる垂直位置に検出器を有する配置を示す。作動システム245は、サンプルから一定の距離に検出モジュール245を維持するために、全体的制御システム50に接続され得る。これは、サンプルが、例えば電子ビームの着地エネルギーの変化により変化する焦点位置に表面を位置決めするために移動されるときでもそうである。検出器モジュール240とサンプル208との間の距離を正確に一定に維持する必要はない場合がある。より正確に言えば、距離の変動を許容可能なレベルにまで減少させれば十分であり得る。作動システム245は、様々な異なるタイプのアクチュエータ、例えば、ピエゾアクチュエータ、及びローレンツアクチュエータを含み得る。検出器モジュールのすべてのセンサユニットを位置決めするために、1つのアクチュエータで十分な場合があり、又は複数のアクチュエータを使用してもよく、各アクチュエータは、センサユニットの一群を位置決めする。1つのセンサユニットにつき、1つ又は複数のアクチュエータを有することも可能である。基板上で複数の検出器がアレイ状に存在し得るため、アクチュエータ配置は、基板を作動させ得る。望ましくは、アクチュエータは、検出器モジュールを数秒以下で再配置することができる。
【0120】
[0136] Zにおいて検出器を位置決めすることに加えて、アクチュエータシステム245は、Rx及びRyなどの他の自由度において、検出器を位置決めするように構成され得る。しかしながら、さらなる自由度で作動を提供することは、複雑さを望ましくなく増大させ得る。
【0121】
[0137] 別の手法では、検出器は交換可能である。
図17に示された、ある実施形態では、交換可能である2つ以上(例えば、3つ、又は4つ、又は5つ)の検出器モジュール。各交換可能検出器モジュール240a、240b、240cは、対物レンズ401に対して異なる垂直位置に、それのセンサユニットの荷電粒子受取表面を有するように構成される。例えば、各検出器モジュール240a、240b、240cは、異なる寸法(例えば、厚さ)の基板上に形成され得る。代替的又は追加的に、異なる厚さのスペーサが設けられてもよい。このようなスペーサは、対物レンズアレイに対して検出器の間隔を空けるために使用され得る。検出器モジュールは、単独で、又は対物レンズアセンブリ、対物レンズアレイ、ビーム整形制限器、上側制限アレイ、コリメータアレイ、走査偏向器アレイ、及び/又は制御レンズアレイなどの他の要素と組み合わせて交換可能でもよい。異なる電子光学コンポーネントが、独自の指定モジュールを有してもよい。それらは、交換可能電子光学コンポーネントの数よりも少ないモジュールが存在するように、同じモジュール内の他の電子光学コンポーネントと共に構成されてもよい。代替的に、例えば対物レンズアセンブリのすべての交換可能な電子光学コンポーネント(好ましくは、MEMS要素)が、交換可能モジュール内にあってもよい。ある配置では、モジュールは、例えばモジュール内の他の電子光学コンポーネントに対して検出器アレイを作動させるためのアクチュエータを含み得る。電子光学コンポーネントの間隔を空けるために使用されるスペーサは、交換可能でもよい。スペーサは、複数の電子コンポーネントを有するモジュール内で、電子光学コンポーネント間に組み込まれてもよい。
【0122】
[0138] 望ましくは、検出器モジュールなどのモジュールが、ツールを開けることなく、動作可能位置と非動作可能位置との間で、例えば、連続するサンプル又はサンプル群の評価の合間に交換することができるように、自動交換機構が設けられる。代替的に、検出器モジュールなどのモジュールは、手作業で交換可能(例えば、現場で交換可能)であってもよい。2020年6月10日に出願された米国特許出願第63/037,481号に記載されるように、現場で交換可能なモジュールは、内部に電子光学ツール40が位置する真空を維持しながら、取り外され、同じ又は異なるモジュールと交換することができ、この米国特許出願は、少なくとも交換可能モジュールを可能にするフィーチャが本明細書に援用される限りにおいて、援用される。モジュールが取り外され、及び戻されるように、又は交換されるように、交換されるモジュールに対応するコラムのセクションのみに孔が開けられる。これは、ツールを開けることがダウンタイムを増加させるため、自動交換機構よりも望ましくないが、同じビーム設定で長期間にわたる測定が行われる場合には、それでもやはり有益であり得る。自動交換デバイスが設けられる場合、モジュールの交換は、分のオーダーを要し得るが、手作業の交換は、時間のオーダーを要し得る。検出器などの電子光学コンポーネントを作動させることは、モジュールの自動交換又は手作業交換よりも迅速であり得、数秒を要する。検出器モジュールの垂直位置は、交換可能スペーサの使用によって制御することもでき、交換可能スペーサは、電子光学モジュールに関して説明したような自動又は手動操作配置によって交換可能でもよい。交換可能スペーサは、交換可能モジュール内に組み込まれてもよい。
【0123】
[0139] 本発明のある実施形態による評価ツールは、サンプルの定性的評価(例えば、合格/不合格)を行うツール、サンプルの定性的測定(例えば、フィーチャのサイズ)を行うツール、又はサンプルのマップの画像を生成するツールでもよい。評価ツールの例は、検査ツール及びメトロロジツールである。
【0124】
[0140] 以下の条項は、本発明の例示的な実施形態である。
【0125】
[0141] 条項1:複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成された対物レンズであって、対物レンズが、複数のビームアパーチャを規定するサンプル対向面を有し、複数のビームアパーチャを通して、荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームがサンプルに向けて放出される、対物レンズと、ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接し、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数の捕捉電極と、を含む、荷電粒子評価ツール。
【0126】
[0142] 条項2:各捕捉電極が、それぞれのビームアパーチャを実質的に取り囲むように構成される、条項1に記載のツール。
【0127】
[0143] 条項3:捕捉電極が、サンプル対向面を実質的に埋め尽くすように構成される、条項1又は2に記載のツール。
【0128】
[0144] 条項4:捕捉電極が、円の外周囲を有する、条項1又は2に記載のツール。
【0129】
[0145] 条項5:対物レンズのサンプル対向面上に取り付けられた基板をさらに含み、基板上に捕捉電極が形成される、条項1~4の何れか一項に記載のツール。
【0130】
[0146] 条項6:基板に形成された制御回路をさらに含む、条項5に記載のツール。
【0131】
[0147] 条項7:制御回路が、増幅器、例えば、トランスインピーダンス増幅器、アナログ-デジタル変換器、データマルチプレクサ、読出しゲートの1つ又は複数を含む、条項6に記載のツール。
【0132】
[0148] 条項8:制御回路が、捕捉電極ごとに1つの増幅器を含む、条項7に記載のツール。
【0133】
[0149] 条項9:基板の反対側に設けられた、捕捉電極への導電トレースをさらに含む、条項5~8の何れか一項に記載のツール。
【0134】
[0150] 条項10:基板を貫通するビアをさらに含む、条項5~9の何れか一項に記載のツール。
【0135】
[0151] 条項11:基板がシリコンから形成される、条項5~10の何れか一項に記載のツール。
【0136】
[0152] 条項12:捕捉電極がCMOSプロセスによって形成される、条項1~11の何れか一項に記載のツール。
【0137】
[0153] 条項13:各捕捉電極が、複数の電極要素を含む、条項1~12の何れか一項に記載のツール。
【0138】
[0154] 条項14:評価ツールを製造する方法であって、基板上に複数の捕捉電極を形成し、及び基板内に複数のアパーチャを形成することと、アパーチャを通して複数の荷電粒子ビームを放出することができるように、サンプル上に複数の荷電粒子ビームを投影するように構成された対物レンズに基板を取り付けることと、を含む方法。
【0139】
[0155] 条項15:アパーチャが、基板を貫通してエッチングすることによって形成される、条項14に記載の方法。
【0140】
[0156] 条項16:複数のビームアパーチャを通して複数の荷電粒子ビームをサンプルへと放出することと、ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接して設けられた複数の捕捉電極を使用して、荷電粒子ビームに応答してサンプルによって放出された荷電粒子を捕捉することと、を含む検査方法。
【0141】
[0157] 条項17:マルチビーム電子光学システムのマルチビームパスにおける最後の電子光学要素を含むマルチビーム電子光学システムであって、最後の電子光学要素が、各アレイ要素がマルチビームパスにおける少なくとも1つの電子ビームを操作するように構成されたマルチマニピュレータアレイと、マルチビームビームパスに位置決めされたサンプルから放出された電子を検出するように構成及び配向された検出器であって、検出器が、マルチマニピュレータアレイ内に組み込まれた複数の電極を含み、少なくとも1つの電極が各アレイ要素を関連付けた、検出器と、を含む、マルチビーム電子光学システム。
【0142】
[0158] 条項18:複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成されたマルチ荷電ビーム投影システムの最後の電子光学要素であって、複数のビームアパーチャを規定するサンプル対向面を有する対物レンズであって、複数のビームアパーチャを通して、荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームがサンプルに向けて放出される、対物レンズと、ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接しサンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数の捕捉電極と、を含む、最後の電子光学要素。
【0143】
[0159] 条項19:複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成された対物レンズであって、対物レンズが、複数のビームアパーチャを規定し、複数のビームアパーチャを通して、荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームがサンプルに向けて伝搬できる、対物レンズと、ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接し、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数のセンサユニットと、を含む、荷電粒子評価ツール。
【0144】
[0160] 条項20:各センサユニットが、それぞれのビームアパーチャを実質的に取り囲むように構成される、条項19に記載のツール。
【0145】
[0161] 条項21:センサユニットが、円の外周囲を有する、条項19又は20に記載のツール。
【0146】
[0162] 条項22:対物レンズのダウンビーム対向面に設けられた基板をさらに含み、基板上にセンサユニットが形成される、条項19~21の何れか一項に記載のツール。
【0147】
[0163] 条項23:センサユニットが、サンプル対向面を実質的に埋め尽くすように構成される、条項22に記載のツール。
【0148】
[0164] 条項24:センサユニットが捕捉電極である、条項22又は23に記載のツール。
【0149】
[0165] 条項25:対物レンズのアップビーム対向面に設けられた基板をさらに含み、基板上にセンサユニットが形成され、好ましくは、センサユニットが、ダウンビームに対向するように構成される、条項19~24の何れか一項に記載のツール。
【0150】
[0166] 条項26:センサユニットが、PIN検出器及びシンチレータから成る群から選択される、条項25に記載のツール。
【0151】
[0167] 条項27:基板に形成された制御回路をさらに含む、条項22~26の何れか一項に記載のツール。
【0152】
[0168] 条項28:制御回路が、増幅器、例えば、トランスインピーダンス増幅器、アナログ-デジタル変換器、データマルチプレクサ、及び読出しゲートの1つ又は複数を含む、条項27に記載のツール。
【0153】
[0169] 条項29:制御回路が、センサユニットごとに1つの増幅器を含む、条項28に記載のツール。
【0154】
[0170] 条項30:基板の反対側に設けられた、センサユニットへの導電トレースをさらに含む、条項22~29の何れか一項に記載のツール。
【0155】
[0171] 条項31:基板を貫通するビアをさらに含む、条項22~30の何れか一項に記載のツール。
【0156】
[0172] 条項32:基板がシリコンから形成される、条項22~31の何れか一項に記載のツール。
【0157】
[0173] 条項33:センサユニットがCMOSプロセスによって形成される、条項19~32の何れか一項に記載のツール。
【0158】
[0174] 条項34:各センサユニットが、複数のセンサ要素を含む、条項19~33の何れか一項に記載のツール。
【0159】
[0175] 条項35:対物レンズが静電レンズである、条項19~34の何れか一項に記載のツール。
【0160】
[0176] 条項36:電子ビームの伝搬の方向と平行する方向にセンサユニットの位置を調整するように構成された作動システムをさらに含む、条項19~35の何れか一項に記載のツール。
【0161】
[0177] 条項37:第1のセンサユニットアレイと、第2のセンサユニットアレイと、対物レンズのダウンビーム対向面において、第1のセンサユニットアレイ及び第2のセンサユニットアレイの一方を選択的に位置決めするように構成された交換機構と、を含み、第1のセンサユニットアレイ及び第2のセンサユニットアレイが、それぞれのアレイがダウンビーム対向面に位置決めされたときに、第1のセンサユニットアレイのセンサユニットが、第2のセンサユニットアレイのセンサユニットとは異なる対物レンズからの距離に位置決めされるように構成される、条項19~36の何れか一項に記載のツール。
【0162】
[0178] 条項38:対物レンズにおいて規定された複数のビームアパーチャを通して複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成された対物レンズと、それぞれのビームアパーチャに隣接し、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数のセンサユニットを含むセンサアレイと、を含み、センサアレイが荷電粒子ビームのビームパスに沿った位置間で調整可能であるように構成される、荷電粒子評価ツール。
【0163】
[0179] 条項39:センサアレイが、ビームパスに沿ってセンサアレイを作動させることによって調整可能であるように構成される、条項38に記載のツール。
【0164】
[0180] 条項40:ビームパスに沿ってセンサアレイを作動させるように構成されたアクチュエータをさらに含む、条項39に記載のツール。
【0165】
[0181] 条項41:対物レンズにおいて規定された複数のビームアパーチャを通して複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成された対物レンズと、それぞれのビームアパーチャに隣接し、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数のセンサユニットを含むセンサアレイと、を含み、センサアレイが、荷電粒子ビームのビームパスに沿って作動可能であるように構成される、荷電粒子評価ツール。
【0166】
[0182] 条項42:サンプル上の電子ビームの着地エネルギーを制御するように構成されたビームエネルギー制御システムをさらに含む、条項36~41の何れか一項に記載のツール。
【0167】
[0183] 条項43:対物レンズアレイのアップビームで制御レンズアレイをさらに含む、条項36~42の何れか一項に記載のツール。
【0168】
[0184] 条項44:対物レンズアレイ及び制御レンズアレイが、動作時に対物レンズが荷電粒子ビームをサンプル上に集束させ、並びに、制御レンズがビーム開口角度及び/又は縮小率を調整するように構成された複数の電極を少なくとも含む、条項43に記載のツール。
【0169】
[0185] 条項45:マルチビームをサンプルに向けて誘導するように構成されたマルチビーム荷電粒子光学コラムであって、マルチビームが、ソースからダウンビームに発生させられ、コラムが、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された検出器を含み、検出器が、ビームパスに沿って作動可能である、マルチビーム荷電粒子光学コラム。
【0170】
[0186] 条項46:検出器がセンサアレイを含み、各センサが、マルチビームのそれぞれのサブビームに割り当てられる、条項45に記載のマルチビーム荷電粒子光学コラム。
【0171】
[0187] 条項47:コラムが、ソースビームから生じるマルチビームを発生させるように構成されたビーム制限アパーチャアレイを含む、条項45又は46に記載のマルチビーム荷電粒子光学コラム。
【0172】
[0188] 条項48:検出器が、ビーム制限アパーチャアレイのダウンビームにある、条項47に記載のマルチビーム荷電粒子光学コラム。
【0173】
[0189] 条項49:検出器が、対物レンズを含む対物レンズアセンブリ内に組み込まれる、条項45~48の何れか一項に記載のマルチビーム荷電粒子光学コラム。
【0174】
[0190] 条項50:評価ツールを製造する方法であって、基板上に複数のセンサユニットを形成し、及び基板内に複数のアパーチャを形成することと、アパーチャを通して荷電粒子ビームを放出することができるように、サンプル上に複数の荷電粒子ビームを投影するように構成された対物レンズに基板を取り付けることと、を含む方法。
【0175】
[0191] 条項51:アパーチャが、基板を貫通してエッチングすることによって形成される、条項50に記載の方法。
【0176】
[0192] 条項52:複数のビームアパーチャを通して複数の荷電粒子ビームをサンプルへと放出することと、ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接して設けられた複数のセンサユニットを使用して、荷電粒子ビームに応答してサンプルによって放出された荷電粒子を捕捉することと、を含む検査方法。
【0177】
[0193] 条項53:荷電粒子ビームのパスに沿ってセンサユニットの位置を変更することをさらに含む、条項52に記載の方法。
【0178】
[0194] 条項54:マルチビーム電子光学システムのマルチビームパスにおける最後の電子光学要素を含むマルチビーム電子光学システムであって、最後の電子光学要素が、各アレイ要素がマルチビームパスにおける少なくとも1つの電子ビームを操作するように構成されたマルチマニピュレータアレイと、マルチビームビームパスに位置決めされたサンプルから放出された電子を検出するように構成及び配向された検出器であって、検出器が、マルチマニピュレータアレイ内に組み込まれた複数のセンサユニットを含み、少なくとも1つのセンサユニットが各アレイ要素を関連付けた、検出器と、を含む、マルチビーム電子光学システム。
【0179】
[0195] 条項55:複数の荷電粒子ビームをサンプル上に投影するように構成されたマルチ荷電ビーム投影システムの最後の電子光学要素であって、最後の電子光学要素が、複数のビームアパーチャを規定するサンプル対向面を有する対物レンズであって、複数のビームアパーチャを通して、荷電粒子ビームのそれぞれの荷電粒子ビームがサンプルに向けて伝搬することができる、対物レンズと、ビームアパーチャのそれぞれのビームアパーチャに隣接し、サンプルから放出された荷電粒子を捕捉するように構成された複数のセンサユニットと、を含む、最後の電子光学要素。
【0180】
[0196] 上記の説明は、限定ではなく、理解を助けるものであることが意図される。したがって、以下に記載される請求項の範囲から逸脱することなく、説明されたように変更を加えることができることが当業者には明らかとなるだろう。