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特許7503664高角度抽出光学素子を含む装置及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-12
(45)【発行日】2024-06-20
(54)【発明の名称】高角度抽出光学素子を含む装置及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20240613BHJP
【FI】
H01L21/302 101G
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022576837
(86)(22)【出願日】2021-05-17
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-18
(86)【国際出願番号】 US2021032727
(87)【国際公開番号】W WO2021257224
(87)【国際公開日】2021-12-23
【審査請求日】2023-02-08
(31)【優先権主張番号】63/039,760
(32)【優先日】2020-06-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/160,042
(32)【優先日】2021-01-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】キャンベル, クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】ビロイウ, コステル
(72)【発明者】
【氏名】クルンチ, ピーター エフ.
(72)【発明者】
【氏名】ウォーレス, ジェイ アール.
(72)【発明者】
【氏名】ダニエルズ, ケヴィン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ライアン, ケヴィン ティー.
(72)【発明者】
【氏名】テフェリー, ミナブ ビー.
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア, フランク
(72)【発明者】
【氏名】オルソン, ジョセフ シー.
【審査官】長谷川 直也
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2015/0255243(US,A1)
【文献】特表2017-533542(JP,A)
【文献】国際公開第2020/117939(WO,A1)
【文献】特表2018-517229(JP,A)
【文献】特開2015-019064(JP,A)
【文献】特表2018-522135(JP,A)
【文献】特開2008-186806(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマを生成するよう動作可能なプラズマチャンバと、
前記プラズマチャンバの一面に沿って配置された抽出アセンブリと、を備える処理システムであって、前記抽出アセンブリが、
抽出開孔を含む抽出プレートを備え、前記抽出プレートは、非平面形状を有し、かつ、基板の平面が前記プラズマチャンバの前記面に平行に配置されている時の前記基板の前記平面の垂線に対して所定の入射角で抽出イオンビームを生成し、
前記抽出プレートの少なくとも一部が絶縁体で形成され、前記基板に対向するところが導電層でコーティングされている、処理システム。
【請求項2】
前記抽出プレートは凸型バイモーダル構成を画定し、前記抽出開孔は、前記垂線に対して第1入射角を画定する第1抽出開孔であり、前記抽出プレートは、前記垂線に対して、前記第1入射角の反対側に第2入射角を画定する、第2抽出開孔を更に備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項3】
前記抽出プレートがS型形状を画定する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項4】
前記抽出プレートが複数のS型形状を含み、前記抽出開孔は、前記垂線に対して第1入射角を画定する第1抽出開孔であり、前記抽出プレートは、前記垂線に対して、前記第1入射角と同様な又は同じ第2入射角を画定する、第2抽出開孔を更に備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項5】
前記抽出プレートが、
S型絶縁体と、
前記S型絶縁体の外表面上に配置された導電層とを備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項6】
前記抽出プレートは凹型バイモーダル構成を画定し、前記抽出開孔は、前記垂線に対して第1入射角を画定する第1抽出開孔であり、前記抽出プレートは、前記垂線に対して、前記第1入射角の反対側に第2入射角を画定する、第2抽出開孔を更に備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項7】
前記抽出プレートが内側抽出プレートを含み、前記抽出アセンブリが、前記プラズマチャンバからオフセットした外側抽出プレートを更に備え、前記抽出開孔は、前記内側抽出プレートに配置された第1抽出開孔を含み、第2抽出開孔が、前記外側抽出プレートに配置されて、前記第1抽出開孔と位置合わせされる、請求項1に記載の処理システム。
【請求項8】
前記第1抽出開孔及び前記第2抽出開孔が、前記垂線に対して同じ入射角を画定する、請求項7に記載の処理システム。
【請求項9】
前記外側抽出プレートの外表面上に配置されたステアリング電極を更に備える、請求項7に記載の処理システム。
【請求項10】
前記外側抽出プレートの外部に配置されたステアリング電極を更に備える、請求項7に記載の処理システム。
【請求項11】
前記所定の入射角が45度と85度との間の値を有する、請求項1に記載の処理システム。
【請求項12】
前記抽出プレートが、第1方向に沿って延在する長軸を有する、少なくとも1つの狭長形開孔を備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項13】
前記プラズマチャンバの前記面に平行な第1方向に沿って可動な基板ステージを備える、請求項1に記載の処理システム。
【請求項14】
傾斜イオンビームを基板へと向けるための抽出アセンブリであって、
抽出プレートを備え、前記抽出プレートが、
プラズマチャンバの一面に連結される周縁部と、
非平面形状を有し、かつ狭長形抽出開孔を含む中央部とを含み、前記狭長形抽出開孔は、前記基板の平面が前記プラズマチャンバの前記面に平行に配置されている時の前記基板の前記平面の垂線に対して所定の入射角で、抽出イオンビームを生成するよう構成され
前記抽出プレートの少なくとも一部が絶縁体で形成され、前記基板に対向するところが導電層でコーティングされている、
抽出アセンブリ。
【請求項15】
前記抽出プレートは凸型バイモーダル構成を画定し、前記狭長形抽出開孔は、前記垂線に対して第1入射角を画定する第1抽出開孔であり、前記抽出プレートは、前記垂線に対して、前記第1入射角の反対側に第2入射角を画定する、第2抽出開孔を更に備える、請求項14に記載の抽出アセンブリ。
【請求項16】
前記抽出プレートがS型形状を画定する、請求項14に記載の抽出アセンブリ。
【請求項17】
前記抽出プレートが複数のS型形状を含み、前記狭長形抽出開孔は、前記垂線に対して第1入射角を画定する第1抽出開孔であり、前記抽出プレートは、前記垂線に対して、前記第1入射角と同様な又は同じ第2入射角を画定する、第2抽出開孔を更に備える、請求項14に記載の抽出アセンブリ。
【請求項18】
前記抽出プレートは凹型バイモーダル構成を画定し、前記狭長形抽出開孔は、前記垂線に対して第1入射角を画定する第1抽出開孔であり、前記抽出プレートは、前記垂線に対して、前記第1入射角の反対側に第2入射角を画定する、第2抽出開孔を更に備える、請求項14に記載の抽出アセンブリ
【請求項19】
前記抽出プレートが、
S型絶縁体と、
前記S型絶縁体の外表面上に配置された導電層とを備える、請求項14に記載の抽出アセンブリ。
【請求項20】
前記抽出プレートが内側抽出プレートを含み、前記抽出アセンブリが、前記プラズマチャンバからオフセットした外側抽出プレートを更に備え、前記狭長形抽出開孔は、前記内側抽出プレートに配置された第1抽出開孔を含み、第2抽出開孔が、前記外側抽出プレートに配置されて、前記第1抽出開孔と位置合わせされる、請求項14に記載の抽出アセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]この出願は、2020年6月16日出願の「APPARATUS AND SYSTEM INCLUDING HIGH ANGLE EXTRACTION OPTICS(高角度抽出光学素子を含む装置及びシステム)」と題された米国仮特許出願第63/039,760号に対し優先権を主張するものであり、当該米国仮特許出願のすべての内容は、参照により本書に援用される。
【0002】
[0002]本書の実施形態は、処理装置に関し、より詳細には、高基板入射角でのプラズマからのイオン抽出を可能にする装置に関する。
【背景技術】
【0003】
[0003]イオンで基板を処理するために使用される既知の装置は、ビームライン注入装置、及びプラズマ浸漬イオン注入ツールを含む。これらのアプローチは、一定のエネルギー範囲にわたるイオンで基板を処理する上で有用である。ビームラインイオン注入装置においては、イオンは、ソースから抽出され、質量分析され、次いで基板表面に送られる。プラズマ浸漬イオン注入装置においては、プラズマが生成されている間に、基板が、同じチャンバ内のプラズマの近隣に配置される。基板はプラズマに対して負電位に設定され、基板の正面でプラズマシースと交差するイオンは、垂直入射角で基板に衝突しうる。
【0004】
[0004]これらのアプローチの多くは、基板又はウエハに対する垂直入射を用いる一方、その他のアプローチでは、傾斜エッチング(例えば、トレンチ側壁の制御エッチング、孔伸長、フォトレジスト縮小、及び磁気ランダムメモリ構造エッチング)が用いられる。かかる傾斜エッチングにおいては、基板の垂線に対する非ゼロの中間入射角によって、イオンビームが画定される。かかるプロセスの制御は、法線入射におけるイオンビーム処理の制御よりも困難なものとなりうる。
【0005】
[0005]本開示は、上記の考察及びその他の考察に関連して提示されるものである。
【発明の概要】
【0006】
[0006]一実施形態では、処理システムが提供される。この処理システムは、プラズマを生成するよう動作可能なプラズマチャンバと、プラズマチャンバの一面に沿って配置された抽出アセンブリとを含みうる。抽出アセンブリは、抽出開孔を含む抽出プレートを含んでよく、抽出プレートは、非平面形状を有し、基板平面がプラズマチャンバの一面に平行に配置されている時の基板平面の垂線に対して高入射角で、抽出イオンビームを生成する。
【0007】
[0007]別の実施形態では、傾斜イオンビームを基板へと向けるための抽出アセンブリが提供される。この抽出アセンブリは抽出プレートを含んでよく、抽出プレートは、プラズマチャンバの一面に連結される周縁部と、中央部とを含む。中央部は、非平面形状を有することがあり、かつ狭長形抽出開孔を含みうる。この狭長形抽出開孔は、基板平面がプラズマチャンバの一面に平行に配置されている時の基板平面の垂線に対して高入射角で、抽出イオンビームを生成するよう構成される。
【0008】
[0008]添付図面は、開示されている実施形態の原理の実践的応用のためにこれまでに考案された、かかる実施形態の例示的なアプローチを示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】[0009]本開示の様々な実施形態による高角度抽出アセンブリを含む、処理装置のブロック図を示す。
図1A】[0010]本開示の様々な実施形態による、図1の処理装置の抽出アセンブリの一変形例の平面図を示す。
図2】[0011]本開示の様々な実施形態による別の高角度抽出アセンブリを含む、別の処理装置のブロック図を示す。
図2A】[0012]本開示の様々な実施形態による、図2の処理装置の抽出アセンブリの一変形例の平面図を示す。
図3】[0013]本開示の様々な実施形態による更なる高角度抽出アセンブリを含む、更なる処理装置のブロック図を示す。
図3A】[0014]本開示の様々な実施形態による、図3の処理装置の抽出アセンブリの一変形例の平面図を示す。
図4】[0015]本開示の様々な実施形態による追加的な高角度抽出アセンブリを含む、追加的な処理装置のブロック図を示す。
図4A】[0016]本開示の様々な実施形態による、図4の処理装置の抽出アセンブリの一変形例の平面図を示す。
図5】[0017]本開示の様々な実施形態による高角度抽出アセンブリを含む、更に別の処理装置のブロック図を示す。
図6】[0018]本開示の様々な実施形態による別の高角度抽出アセンブリを含む、追加的な一処理装置のブロック図を示す。
図7】[0019]本開示の様々な実施形態による別の高角度抽出アセンブリを含む、追加的な一処理装置のブロック図を示す。
図8】[0020]イオンビームによる、表面フィーチャ(特徴部)の高入射角処理の形状寸法(geometry)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[0021]図面は必ずしも縮尺通りではない。図面は単なる表現にすぎず、本開示の具体的なパラメータを描写することを意図するものではない。図面は、本開示の例示的な実施形態を示すためのものであり、したがって、範囲を限定するものと見なすべきではない。図面では、類似の付番は類似の要素を表わしている。
【0011】
[0022]更に、一部の図における特定の要素は、説明を分かりやすくするために、省略されていたり、縮尺通りに図示されていないことがある。断面図は、「スライス(slices)」、又は「近視眼的(near-sighted)」な断面図の形態であることがあり、分かりやすい図示のために、「真の(true)」断面図であれば視認可能であったはずの特定の背景線が省略されている。更に、分かりやすくするために、特定の図面においては一部の参照番号が省略されていることがある。
【0012】
[0023]本開示により、実施形態を図示している添付図面を参照して、高角度抽出光学素子を含む方法、装置、及びシステムが開示されている。実施形態は、異なる多くの形態で具現化されてよく、本書に記載している実施形態に限定されると解釈すべきではない。むしろ、本書に記載の実施形態は、本開示が網羅的になるように、かつ方法、システム、及びデバイスの範囲を当業者に十分に伝えるように、提供されている。
【0013】
[0024]様々な実施形態において、プラズマ型のイオン源から高入射角(「高角度」)のイオンビームを生成するために、抽出光学素子(抽出アセンブリとも称される)が提供される。かかる抽出アセンブリは、小型のイオンビーム処理装置において使用されるのに適している。小型のイオンビーム処理装置では、基板は、プラズマチャンバ(このチャンバからイオンビームが抽出される)に密接して保持される。基板は、ハウジング又は処理チャンバ内に、プラズマチャンバに近接して、かつ、抽出アセンブリを通じてプラズマチャンバ内のプラズマと連通して、配置されうる。
【0014】
[0025]図1は、この開示の実施形態による、システム又は処理装置100を示している。処理装置100は、内部でプラズマ103を生成するためのプラズマチャンバ102を含む、プラズマ源を含む。プラズマチャンバ102は、プラズマ源(例えばRF誘導結合プラズマ(ICP)源、容量結合プラズマ(CCP)源、ヘリコン源、電子サイクロトロン共鳴(ECR)源、間接加熱カソード(IHC)源、グロー放電源、又はその他の当業者に既知のプラズマ源)の一部として機能しうる。この特定の実施形態では、プラズマ源は、直列式のRF生成装置-整合ネットワーク(図示せず)を通じて電力がプラズマに結合される、ICP源である。RF生成装置からガスの原子及び/又は分子へのRF電力の伝達は、アンテナ及び誘電体ウィンドウ(図示せず)を通じて行われる。
【0015】
[0026]当該技術分野において既知であるように、ガスマニホールド(図示せず)が、適切なガスライン及びガス入口を通じて、プラズマチャンバ102に接続されうる。処理装置100のプラズマチャンバ102又はその他の構成要素は、回転ポンプ又は膜ポンプによって支援されるターボ分子ポンプといった真空システム(図示せず)に接続されることもある。プラズマチャンバ102は、チャンバ壁によって画定され、プロセスチャンバ105の近隣に配置されうる。プロセスチャンバ105は、プラズマチャンバ102から電気絶縁されている。プロセスチャンバ105は、基板ホルダ20と、ウエハ又は基板10とを含みうる。
【0016】
[0027]一部の実施形態では、プラズマチャンバ102は、バイアス電圧供給源107を使用して、プロセスチャンバ105に対してバイアスされうる。例えば、基板10、基板ホルダ20、及びプロセスチャンバ105が接地されている時に、プラズマチャンバ102は高電圧(例えば+1000V)に保持されうる。あるいは、プラズマチャンバ102及び処理チャンバ105が接地されている時に、基板10、基板ホルダ20は負電位に保持されうる。処理装置100は、一対の抽出開孔(抽出開孔106として図示されている)を有する抽出アセンブリ104を含みうる。抽出アセンブリ104は、プラズマチャンバ102の一面(図示しているデカルト座標系におけるX-Y平面に平行に配置されている面)に沿って配置されうる。抽出開孔106及び以下の抽出開孔の別の実施形態により、第1方向に沿って(この場合はX軸に沿って)延在する長軸を有する狭長型開孔(複数可)が形成されうる。換言すると、抽出開孔106は、1つの方向に沿って細い(例えば数ミリメートル程度など)一方、第2の方向に沿っては幅広(例えば数十センチメートル程度)でありうる。このような場合、正イオンが、プラズマ103から抽出され、プラズマチャンバ102とプロセスチャンバ105との間、又は代替的な電気バイアス構成では、プラズマと基板ホルダアセンブリ(基板10及び基板ホルダ20)との間の電圧差に比例するイオンエネルギーで、基板10へと向けられうる。
【0017】
[0028]抽出アセンブリ104は抽出プレートを伴って構成される。この抽出プレートは、非平面形状を有し、プラズマチャンバ102に連結される一又は複数の周縁部109を含む。この実施形態及び以下の実施形態では、抽出アセンブリ104の抽出プレートの中央部101は、高角度イオンビーム又は高角度イオンビームのセットを生成するよう構成されている、非平面形状を有する。詳細には、抽出アセンブリ104は、イオンビーム108が互いから離れる方向を向くようにイオンビームのセットを生成する抽出開孔106を含む、「凸型バイモーダル(bimodal)」構成を有する抽出プレートとして構成される。抽出開孔106は、凸型プレート上の、イオンビーム108が基板10の平面の垂線に対して高入射角(θ)を画定するような場所に配置される。θの好適な値の例は、高入射角と称されうる値であり、非限定的な様々な実施形態によると、例えば45度を上回り、詳細には50度と85度との間である。図1の例では、例えば表面フィーチャの両側の2つの側壁を処理するのに適した、+/-θによって画定された、2つの異なるイオンビーム(イオンビーム108として図示されている)の角度を有する、バイモーダルなイオン入射が提供される。イオンビーム108は更に、プラズマチャンバ102の中央領域から抽出される。この中央領域では、プラズマ密度の垂直プロファイル(このプロファイルは放物線状形状を有しうる)を表わすプラズマチャンバ102内の点曲線で図示しているように、イオン密度が高くなりうる。イオンビーム108は互いから離れる方向に向いているので、それぞれのイオンビーム108は、基板10上の、互いから遠く離れた2つの異なる場所に、瞬時に衝突することになる。そのため、基板10全体にわたって両方のイオンビーム108を当てる(intercept)ために、基板10はより長い距離を移動することが必要になりうる。
【0018】
[0029]図1に示しているように、処理装置100は、プラズマチャンバ102の一面(X-Y平面)に平行な第1方向に沿って可動の、基板ホルダ(基板ステージ20として図示されている)を含みうる。図示しているこの例では、基板ホルダ20はY軸に沿って可動でありうる。そのため、イオンビーム108を当てるために、基板10はY軸に沿ってスキャンされうる。これにより、基板10の全て又はほぼ全ての部分が、両方のイオンビーム108によって処理される。
【0019】
[0030]図8は、イオンビームによる表面フィーチャの高入射角処理の形状寸法を示している。この図には、高入射角(この例では70度)では、マスク402の側壁へのイオンビーム400のイオンフラックス(この場合のフラックスは、単位面積・単位時間当たりに表面に到達するイオンの数を示しうる)が、マスク402の上面上へのフラックスよりも大幅に多くなることが図示されている。ゆえに、かかる形状寸法は、フィーチャの側壁のイオン処理(側壁のエッチングなど)が、上面の処理よりも求められる応用に好適でありうる。より定量的には、垂直面に沿った線量率(dose rate)は、水平面に沿った線量率のtanθ倍となる。この関係性は、θが45度を上回っていれば、エッチングプロセスが進むにつれて、水平方向に沿ったエッチング深さ(Δh)が垂直方向に沿ったエッチング深さ(Δv)を超過することを意味する。tanθの値の例を表1に提示している。
表1
【0020】
[0031]図2は、本開示の様々な実施形態による別の高角度抽出アセンブリを含む、別の処理装置のブロック図を示している。この例では、処理装置110は、処理装置100と同様の構成要素を有している(同様の構成要素は同じように付番されている)。処理装置110は、抽出アセンブリ114が処理装置100と異なっている。抽出アセンブリ114は、イオンビームが互いの方に向くようにイオンビーム118のセットを生成する抽出開孔116を含む、「凹型バイモーダル」構成を有する抽出プレートから形成される。抽出開孔116は、凸型プレート上の、イオンビーム118が同様に基板10の平面の垂線に対して高入射角(θ)を画定するような場所に配置される。θの好適な値の例は、非限定的な様々な実施形態によると、50度と85度との間である。図2の例では、+/-θによって画定された、2つの異なるイオンビーム(どちらもイオンビーム118として図示されている)の角度を有する、バイモーダルなイオン入射が提供される。イオンビーム118は更に、プラズマチャンバ102の中央領域から抽出される。この中央領域では、プラズマチャンバ102内の点曲線(この曲線は放物線状のプラズマ密度の垂直プロファイルを示す)で図示しているように、イオン密度が高くなりうる。イオンビーム118は互いの方に向いているので、それぞれのイオンビーム118は、基板10に衝突する前に、互いと交差することになる。
【0021】
[0032]図3は、本開示の様々な実施形態による更なる高角度抽出アセンブリを含む、更なる処理装置のブロック図を示している。この例では、処理装置120は、処理装置100と同様の構成要素を有している(同様の構成要素は同じように付番されている)。処理装置120は、抽出アセンブリ124が処理装置100と異なっている。抽出アセンブリ124は、一種類のイオンビームを生成する開孔126を含む「ユニモーダル(unimodal)」な抽出プレートであって、イオンビーム128が同様に基板10の平面の垂線に対して高入射角(θ)を画定するように、イオンビーム128がS型の抽出プレートの傾斜部分に配置された開孔126から形成される、「ユニモーダル」な抽出プレートから形成されている。θの好適な値の例は、非限定的な様々な実施形態によると、50度と85度との間である。
【0022】
[0033]この設計は、特に、表面フィーチャのただ1つの側壁又は面を処理するのに適切である。しかし、基板回転が行われるのであれば、基板10の垂直スキャンと垂直スキャンとの間に基板10を回転させることによって、表面フィーチャの複数の面が処理されることも可能である。
【0023】
[0034]図4は、本開示の様々な実施形態による追加的な高角度抽出アセンブリを含む、追加的な処理装置のブロック図を示している。この例では、処理装置130は、処理装置100と同様の構成要素を有している(同様の構成要素は同じように付番されている)。処理装置130は、抽出アセンブリ134が処理装置100と異なっている。抽出アセンブリ134は、複数のイオンビームを生成する複数の抽出開孔136を含む「複数ビーム上行(multibeam up)」抽出プレートであって、イオンビーム138が同様に基板10の平面の垂線に対して高入射角(θ)を画定するように、イオンビーム138が多重S型の抽出プレートの傾斜部分に配置された抽出開孔136から形成される、「複数ビーム上行」抽出プレート抽出プレートから形成される。θの好適な値の例は、非限定的な様々な実施形態によると、50度と85度との間である。
【0024】
[0035]この設計は、特に、表面フィーチャのただ1つの側壁又は面を処理するのに適切である。しかし、基板回転が行われるのであれば、基板10のスキャンとスキャンとの間に基板10を回転させることによって、表面フィーチャの複数の面が処理されることも可能である。この設計の利点は、複数の開孔が設けられることによって、イオンフラックスを多くすることができることである。2つの開孔だけを図示しているが、他の実施形態では3つ以上の開孔が使用されることもある。
【0025】
[0036]図1Aは、本開示の様々な実施形態による、図1の処理装置の抽出アセンブリの変形例の平面図を示している。図2Aは、本開示の様々な実施形態による、図2の処理装置の抽出アセンブリの変形例の平面図を示している。図3Aは、本開示の様々な実施形態による、図3の処理装置の抽出アセンブリの変形例の平面図を示している。図4Aは、本開示の様々な実施形態による、図4の処理装置の抽出アセンブリの変形例の平面図を示している。上記の実施形態の各実施形態では、上述したそれぞれの抽出開孔は、基板10の全長にわたって延在するように、X軸に沿って細長く延びている。この様態では、図1Aから図4Aに示している抽出開孔によって生成されるイオンビーム又はイオンビームのセットはリボンビームを画定しうる。かかるリボンビームの幅は、X方向に沿ったビーム幅にわたり延在し、基板10の全幅を(たとえX方向に沿って最も幅広の部分であっても)曝露するのに十分である。これらの実施形態の例示的な抽出開孔幅は、10cm、20cm、30cm、45cm、又はそれ以上という範囲内でありうる一方、Y方向に沿った例示的なビーム長は、3mm、5mm、10mm、又は20mmという範囲内でありうる。実施形態はこの文脈に限定されるわけではない。
【0026】
[0037]本開示の様々な追加的な実施形態において、図1から図4の装置の、上述した抽出アセンブリ設計は、金属の抽出プレートを、この抽出プレートの一部を絶縁体にするように改変することによって改変されうる。本開示の他の実施形態では、図1から図4の装置の、上述した抽出アセンブリ設計は、抽出電極に加えて一又は複数のステアリング電極(steering electrode)を追加することによって改変されうる。本開示の更に別の実施形態では、図1から図4の装置の、上述した抽出アセンブリ設計は、第1の抽出電極に形状が類似した追加の電極を追加することによって改変されうる。
【0027】
[0038]図5は、この開示の実施形態による、システム又は処理装置200を示している。処理装置200は、内部でプラズマ103を生成するためのプラズマチャンバ102を含む、プラズマ源を含む。プラズマチャンバ102は、前述したように機能しうる。この例では、抽出アセンブリ204は、図3のS型抽出電極に類似した概形を有するように設けられる。抽出アセンブリ204は、抽出プレートが、プラズマチャンバ102に対向したS型絶縁体206として図示されている誘電体(セラミックなど)で形成されているという点で、抽出アセンブリ124と異なっている。S型絶縁体206は、基板10に対向しているところが導電層208でコーティングされている。この導電層は、S型絶縁体206の製造後にS型絶縁体206に付加されうる。プラズマチャンバ102を導電層208に対して(又はその逆に)バイアスするために、抽出電圧供給源224が設けられる。例えば、プラズマチャンバ102に+1000Vが印加されている時に、導電層208と基板10及び基板ホルダ20とが接地されうるか、又は代替的な電気構成においては、プラズマチャンバ102及び処理チャンバ105が接地されている場合に、導電層208と基板-基板ホルダアセンブリ(10、20)とが-1000Vにバイアスされうる。ゆえに、S型絶縁体206の厚さ(この厚さは、数ミリメートルや1センチメートル程度でありうる)にわたって強力な電界が生じる。より重要なのは、この電界が、抽出スリット216のエリア内に延在するということである。この様態では、この電界により、抽出アセンブリ204に設けられた開孔を通じて抽出される高角度イオンビーム210が、より正確に制御されうる。
【0028】
[0039]抽出アセンブリ204は、例えばS型絶縁体206の外表面上又はその付近に配置された、一又は複数のステアリング電極を更に含みうる。ステアリング電極212及びステアリング電極214が例示目的で図示されている。プラズマチャンバ102が+1000Vに保たれている時に導電層が接地される例では、抽出されたイオンビーム(例えば高角度イオンビーム210)の更なる制御を提供するために、ステアリング電極は、接地に近いが接地とは異なる電位(例えば+/-100V、+/-200Vの間)にバイアスされうる。ステアリング電極は、図5に示しているように個別にバイアスされうる(図5では、ステアリング電圧供給源220がステアリング電極214に連結され、ステアリング電圧供給源222がステアリング電極212に連結されている)。このような微細制御は、正確な入射角の精密制御が求められる高角度イオンビーム210の焦準及びコリメーションを制御する上で、特に有用でありうる。例えば、表1に示しているように、75度という通常の入射角では、5度+/-の角度変化により、tanθが2.7と5.7という値の間で変動することになり、その結果として、垂直面へのイオンフラックスと水平面へのイオンフラックスの比率も比例的に変動しうる。しかし、導電層でコーティングされた絶縁体で抽出電極が形成されている一部の実施形態では、ステアリング電極が省略されることもある。図6は処理装置300の一例を提示しており、この例では、イオンビーム310を抽出するために、抽出アセンブリ304は導電層208でコーティングされたS型絶縁体206で形成されており、ステアリング電極はない。
【0029】
[0040]他の実施形態では、抽出アセンブリは、図2から図4の抽出アセンブリの形状を有する、導電層でコーティングされた絶縁体を有して形成されてよく、ステアリング電極はあることもないこともあるが、この場合、図5に関連して上述したのと同じ概括的な原理及び動作が適用されることに、留意されたい。
【0030】
[0041]図7は、本開示の様々な実施形態による追加的な高角度抽出アセンブリを含む、追加的な一処理装置250のブロック図を示している。この図では、分かりやすくするために、プラズマチャンバ102及びプロセスチャンバ105は省略されている。内側抽出プレート256及び外側抽出プレート258を含む、抽出アセンブリ254が設けられる。これらの抽出プレートは、基板10までの距離(この距離は、本開示のこの実施形態及び他の実施形態においては、数ミリメートルから数センチメートル程度でありうる)に関して互いからオフセットしている、凹型部分と2つの平面部分とを有しており、形状がやや複雑である。第1抽出開孔260は内側抽出プレート256の急傾斜部分に配置されており、第2抽出開孔266は、外側抽出プレート258の急傾斜部分に配置され、第1抽出開孔260と位置合わせされている。非限定的な様々な実施形態において、好適な角度(例えば50~85度)の傾斜イオンビーム268を抽出するために、内側抽出プレート256と外側抽出プレート258との間に、抽出電圧(例えば1000V)が印加される。
【0031】
[0042]図5に関連して上述した実施形態と同様に、抽出アセンブリ254は、一又は複数のステアリング電極を更に含みうる。図7の例では、ステアリング電極262が、基板10に対向するように、外側抽出プレート258の近隣に設けられている。ステアリング電極262は、絶縁体264を使用して、外側抽出プレート258に機械的にアンカーされうる。絶縁体264は、ステアリング電極262を外側抽出プレート258から電気的に絶縁する構成要素である。そのため、図5に関連して概説したように、ステアリング電極262を個別にバイアスして、イオンビーム268の更なる制御を提供するために、ステアリング電圧供給源220が設けられる。
【0032】
[0043]前述した実施形態において、図示している開孔は(したがってイオンビームも)、基板の幅又は直径の全体にわたって延在しうるリボン状イオンビームを生成するように、図の平面の奥へと延在しうることに、留意されたい。
【0033】
[0044]要するに、本書の実施形態により、概括的には、抽出イオンビームに高入射角を提供するために、新規な非平面形状寸法を有する一又は複数の抽出プレートを伴って構成される、新規な装置及び抽出アセンブリが提供される。
【0034】
[0045]本書では、便宜上及び分かりやすくするために、「上部(top)」、「底部(bottom)」、「上方(upper)」、「下方(lower)」、「垂直(vertical)」、「水平(horizontal)」、「横方向(lateral)」、及び「長手方向(longitudinal)」といった語が、図に示されている構成要素及びそれらの構成部分の相対的な配置及び配向を説明するために使用される。かかる用語は、具体的に言及された文言、その派生語、及び同様の重要度の文言を含む。
【0035】
[0046]本書で使用される場合、「1つの/ある(a若しくはan)という語で始まる、単数形で記述された要素又は動作は、複数の要素又は動作を除外することが明示的に記載されていなければ、かかる複数の要素又は動作を含むと理解すべきである。更に、本開示の「一実施形態(one embodiment)」への言及は、限定を意図するものではない。追加の実施形態も記述された特徴を包含しうる。
【0036】
[0047]更に、「実質的(substantial)」又は「実質的に(substantially)」という語、それに加えて「おおよその(approximate)」又は「およそ(approximately)」という語は、一部の実施形態では互換的に使用されてよく、当業者によって許容されうる任意の相対的尺度を使用して説明されうる。例えば、これらの語は、基準パラメータとの比較として、(意図されている機能を提供することは可能な)ずれを示すという役割を果たしうる。かかる基準パラメータからのずれの量は、非限定的ではあるが、例えば1%未満、3%未満、5%未満、10%未満、15%未満、20%未満などでありうる。
【0037】
[0048]また更に、当業者には、層、領域、又は基板といった要素が、別の要素の「上(on/atop)」又は「上方(over)」に形成され、堆積され、又は配置されると記載されている場合、その要素が別の要素に直接接していることも、介在要素が存在することもあることを、理解されよう。これとは対照的に、ある要素が別の要素の「直上に(directly on、directly over、又はdirectly atop)」あると記載されている場合は、介在要素が存在することはない。
【0038】
[0049]本書の実施形態は、少なくとも以下の利点を提供する。概括的に、一又は複数の抽出プレートを伴って構成されている新規な装置及び抽出アセンブリは、抽出イオンビームに高入射角を提供して、かかる高角度に配向される、基板表面の選好性イオン処理を可能にする。複数の抽出開孔を有するある種の実施形態によって提供される別の利点は、高角度イオンのイオンフラックスを増大させ、これにしたがって、基板処理のスループットを増大させる能力である。追加的な実施形態によって提供される更なる利点は、互いに反対方向を向くように配置された複数の抽出開孔を有する、複数開孔の抽出アセンブリを使用して、高角度のイオンで、対向するように配向された複数の基板表面を同時に処理する能力である。
【0039】
[0050]本開示の範囲は、本書に記載の具体的な実施形態によって限定されるべきではない。実際のところ、上述の説明及び添付図面から、当業者には、本書に記載の実施形態に加えて、本開示のその他の様々な実施形態及び本開示への改変事例が自明となろう。ゆえに、かかるその他の実施形態及び改変事例は、本開示の範囲に含まれることが意図されている。更に、本書では、本開示は、特定の目的のための特定の環境における特定の実行形態に照らして説明されてきた。当業者には、これらの特定の実行形態だけが有用なわけではなく、本開示は、任意の数の目的のために、任意の数の環境において有利に実装されうることが、認識されよう。ゆえに、以下に記載する特許請求の範囲は、本書に記載の本開示の最大範囲及び本質という観点から解釈されるべきである。
図1
図1A
図2
図2A
図3
図3A
図4
図4A
図5
図6
図7
図8