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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】プローバ
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/66 20060101AFI20240614BHJP
   G01R 31/28 20060101ALI20240614BHJP
【FI】
H01L21/66 B
G01R31/28 H
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2023036115
(22)【出願日】2023-03-09
(62)【分割の表示】P 2022014573の分割
【原出願日】2016-03-29
(65)【公開番号】P2023067997
(43)【公開日】2023-05-16
【審査請求日】2023-04-06
(31)【優先権主張番号】P 2015069272
(32)【優先日】2015-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000151494
【氏名又は名称】株式会社東京精密
(74)【代理人】
【識別番号】100083116
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲三
(74)【代理人】
【識別番号】100170069
【弁理士】
【氏名又は名称】大原 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100128635
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100140992
【弁理士】
【氏名又は名称】松浦 憲政
(72)【発明者】
【氏名】田邨 拓郎
【審査官】小池 英敏
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-179379(JP,A)
【文献】特開2014-75420(JP,A)
【文献】特開2014-150168(JP,A)
【文献】特開平8-264603(JP,A)
【文献】特開2008-128838(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/66
G01R 31/28
G01R 31/26
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウエハを保持するウエハチャックと、
前記ウエハチャック上の前記ウエハに対向する面に複数のプローブを有するプローブカードと、
前記ウエハチャックと前記プローブカードとの間をシールして密閉空間を形成し、前記密閉空間を減圧して、前記ウエハチャックを前記プローブカードを基準として上方へ引き寄せる減圧手段と、
前記プローブカードの上側に配置し前記プローブカードと電気的に接続するとともに、ヘッドステージに支持されるポゴフレームと、
外縁部を支持されて自重を軽減されつつ、前記ポゴフレーム上に載せ置きされるテストヘッドと、
を備え、
前記ポゴフレームを前記ヘッドステージに、前記プローブカードを前記ポゴフレームに、前記テストヘッドを前記ポゴフレームに、それぞれ真空吸着により固定することで、前記テストヘッド、前記ポゴフレーム、及び前記プローブカードが一体化された状態である、プローバ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ上に形成された複数の半導体装置(チップ)の電気的特性の検査を行うプローバに関し、特に、多段状に積層された複数の測定部を有するプローバに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造工程は、多数の工程を有し、品質保証及び歩留まりの向上のために、各種の製造工程で各種の検査が行われる。例えば、半導体ウエハ上に半導体装置の複数のチップが形成された段階で、各チップの半導体装置の電極パッドをテストヘッドに接続し、テストヘッドから電源及びテスト信号を供給し、半導体装置の出力する信号をテストヘッドで測定して、正常に動作するかを電気的に検査するウエハレベル検査が行われている。
【0003】
ウエハレベル検査の後、ウエハはフレームに貼り付けられ、ダイサで個別のチップに切断される。切断された各チップは、正常に動作することが確認されたチップのみが次の組み立て工程でパッケージ化され、動作不良のチップは組み立て工程から除かれる。更に、パッケージ化された最終製品は、出荷検査が行われる。
【0004】
ウエハレベル検査は、ウエハ上の各チップの電極パッドにプローブを接触させるプローバを使用して行われる(例えば、特許文献1参照)。プローブはテストヘッドの端子に電気的に接続され、テストヘッドからプローブを介して各チップに電源及びテスト信号が供給されると共に各チップからの出力信号をテストヘッドで検出して正常に動作するかを測定する。
【0005】
半導体製造工程においては、製造コストの低減のために、ウエハの大型化や一層の微細化(集積化)が進められており、1枚のウエハ上に形成されるチップの個数が非常に大きくなっている。それに伴って、プローバでの1枚のウエハの検査に要する時間も長くなっており、スループットの向上が求められている。そこで、スループットの向上を図るため、多数のプローブを設けて複数個のチップを同時に検査できるようにするマルチプロービングが行われている。近年、同時に検査するチップ数は益々増加し、ウエハ上のすべてのチップを同時に検査する試みも行われている。そのため、電極パッドとプローブを接触させる位置合わせの許容誤差が小さくなっており、プローバにおける移動の位置精度を高めることが求められている。
【0006】
一方、スループットを増加するもっとも簡単な方法として、プローバの台数を増加させることが考えられるが、プローバの台数を増加させると、製造ラインにおけるプローバの設置面積も増加するという問題を生じる。また、プローバの台数を増加させると、その分装置コストも増加することになる。そのため、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを増加させることが求められている。
【0007】
このような問題に対し、本願出願人は、多段状に積層された複数の測定部を有するプローバを提案している(特許文献2参照)。このプローバでは、複数の測定部が多段状に積層された積層構造(多段構造)を有するため、ウエハレベル検査を測定部毎に行うことができ、設置面積の増加や装置コストの増加を抑えてスループットを向上させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】特開2009-60037号公報
【文献】特開2014-150168号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献1に開示されたプローバでは、テストヘッドを保持体により保持して、プローバ本体の天板(ヘッドステージ)から離れた退避位置から水平姿勢の位置まで回転させた後、このテストヘッドをプローバ本体に設けられた昇降支持機構に引き渡し、この昇降支持機構によりテストヘッドを下降させて、プローバ本体にテストヘッドを装着させる。
【0010】
このヘッドステージにはプローブカードが取り付けられており、プローブカードの各プローブをウエハの各チップの電極パッドに接触させて精度よく検査を行うためにはプローブカードとウエハとの平行度を確保する必要がある。特にウエハの全チップを同時に検査するいわゆる一括コンタクト方式の場合、プローブカードの各プローブをウエハの各チップの電極パッドに均一に接触させるためにプローブカードとウエハとの平行度の精度がより必要になる。
【0011】
しかしながら、本願出願人が提案した上記プローバは、多段状に積層された複数の測定部を有するため、特許文献1に開示されたような構成を採用することはレイアウト上実現することが困難である。
【0012】
例えば、テストヘッドをヘッドステージに直接搭載することも考えられるが、ヘッドステージにかかるテストヘッドの荷重が許容範囲を超えた場合、ヘッドステージの変形が大きくなり、プローブカードとウエハとの平行度を保つことができなくなる。その結果、ウエハレベル検査の測定精度が低下する要因となる。
【0013】
また、本願出願人が提案した上記プローバでは、プローブカードとウエハチャックとの間に形成される内部空間を減圧することにより、ウエハチャックをプローブカードに向かって引き寄せる構成となっているが、ウエハチャックの構成部品による偏荷重等の影響によってウエハチャックに傾きや位置ずれが生じてしまう可能性がある。この場合、プローブカードとウエハとの平行度が悪くなり、プローブカードの各プローブをウエハの各チップの電極パッドに均一に接触させることができなくなるため、ウエハレベル検査の測定精度が低下してしまう結果になる。
【0014】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、プローブカードとウエハとの平行度を保つことができ、ウエハレベル検査を高精度に行うことができるプローバを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るプローバは、ウエハを保持するウエハチャックと、ウエハチャック上のウエハに対向する面に複数のプローブを有するプローブカードと、ウエハチャックとプローブカードとの間をシールして密閉空間を形成し、密閉空間を減圧して、ウエハチャックをプローブカードを基準として上方へ引き寄せる減圧手段と、プローブカードの上側に配置しプローブカードと電気的に接続するとともに、装置に支持されるポゴフレームと、外縁部を均等に支持されて自重を軽減されつつ、ポゴフレーム上に載せ置きされるテストヘッドと、を備える。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、プローブカードとウエハとの平行度を保つことができ、ウエハレベル検査を高精度に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の一実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図
図2図1に示したプローバを示した平面図
図3】測定ユニットの構成を示した概略図
図4】測定部の構成を示した概略図
図5】ウエハチャックがヘッドステージ側に受け渡された後の状態を示した図
図6】テストヘッド保持部の平面的な配置関係を示した平面図
図7】テストヘッド保持部を側面側から見た側面図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面に従って本発明の好ましい実施の形態について説明する。
【0019】
図1及び図2は、本発明の実施形態に係るプローバの全体構成を示した外観図と平面図である。
【0020】
図1及び図2に示すように、本実施の形態のプローバ10は、検査するウエハW(図4参照)を供給及び回収するローダ部14と、ローダ部14に隣接して配置され、複数の測定部16を有する測定ユニット12とを備えている。測定ユニット12は、複数の測定部16を有しており、ローダ部14から各測定部16にウエハWが供給されると、各測定部16でそれぞれウエハWの各チップの電気的特性の検査(ウエハレベル検査)が行われる。そして、各測定部16で検査されたウエハWはローダ部14により回収される。なお、プローバ10は、操作パネル21、各部を制御する制御装置(不図示)等も備えている。
【0021】
ローダ部14は、ウエハカセット20が載置されるロードポート18と、測定ユニット12の各測定部16とウエハカセット20との間でウエハWを搬送する搬送ユニット22とを有する。搬送ユニット22は、図示しない搬送ユニット駆動機構を備えており、X、Z方向に移動可能に構成されるとともに、θ方向(Z方向周り)に回転可能に構成されている。また、搬送ユニット22は、上記搬送ユニット駆動機構により前後に伸縮自在に構成された搬送アーム24を備えている。搬送アーム24の上面部には図示しない吸着パッドが設けられており、搬送アーム24は、この吸着パッドでウエハWの裏面を真空吸着してウエハWを保持する。これにより、ウエハカセット20内のウエハWは、搬送ユニット22の搬送アーム24によって取り出され、その上面に保持された状態で測定ユニット12の各測定部16に搬送される。また、検査の終了した検査済みのウエハWは逆の経路で各測定部16からウエハカセット20に戻される。
【0022】
図3は、測定ユニット12の構成を示した図である。
【0023】
図3に示すように、測定ユニット12は、複数の測定部16が多段状に積層された積層構造(多段構造)を有しており、各測定部16はX方向及びZ方向に沿って2次元的に配列されている。本実施の形態では、一例として、X方向に4つの測定部16がZ方向に3段積み重ねられている。なお、各測定部16は、いずれも同一の構成を有しており、詳細を後述するように、ウエハチャック50やプローブカード56等を備えて構成される。
【0024】
測定ユニット12は、複数のフレームを格子状に組み合わせた格子形状を有する筐体(不図示)を備えている。この筐体は、X方向、Y方向、Z方向にそれぞれ延びる複数のフレームを格子状に組み合わせて形成されたものであり、これらのフレームで囲まれた各空間部にそれぞれ測定部16の構成要素が配置される。
【0025】
次に、測定部16の構成について説明する。図4は、測定部16の構成を示した概略図である。
【0026】
図4に示すように、測定部16は、ウエハチャック50と、ヘッドステージ52と、テストヘッド54と、プローブカード56と、ポゴフレーム58とを備えている。
【0027】
テストヘッド54は、詳細を後述するテストヘッド保持部80によりヘッドステージ52の上方に支持されている。テストヘッド54は、プローブカード56のプローブ66に電気的に接続され、電気的検査のために各チップに電源及びテスト信号を供給するとともに、各チップからの出力信号を検出して正常に動作するかを測定する。
【0028】
ヘッドステージ52は、筐体の一部を構成するフレーム部材34に支持されており、ポゴフレーム58の平面形状に対応した円形状の開口からなるポゴフレーム取付部53を有する。ポゴフレーム取付部53は位置決めピン(不図示)を有しており、ポゴフレーム58は位置決めピンにより位置決めされた状態でポゴフレーム取付部53に固定される。本実施の形態では、一例として、ポゴフレーム取付部53は、ポゴフレーム58を吸着して固定する吸着面を有しており、図示しない吸引手段により、ポゴフレーム58をポゴフレーム取付部53の吸着面に吸着させて固定している。これにより、ヘッドステージ52に対してポゴフレーム58が確実に固定される。なお、ポゴフレーム58の固定方法としては、本実施の形態に限定されず、例えば、ネジ等の機械的な固定手段を用いてもよい。
【0029】
ポゴフレーム58は、テストヘッド54の下面(ポゴフレーム58に対向する面)に形成される各端子とプローブカード56の上面(ポゴフレーム58に対向する面)に形成される各端子とを電気的に接続する多数のポゴピン(不図示)を備えている。また、ポゴフレーム58の上面(テストヘッド54に対向する面)及び下面(プローブカード56に対向する面)の外周部には、それぞれリング状のシール部材(不図示)が形成されている。そして、図示しない吸引手段により、テストヘッド54とポゴフレーム58と上面側シール部材で囲まれた空間、及びプローブカード56とポゴフレーム58と下面側シール部材で囲まれた空間が減圧されることにより、テストヘッド54、ポゴフレーム58、及びプローブカード56が一体化される。なお、ポゴフレーム58の上面、下面はそれぞれ第1吸着固定部、第2吸着固定部の一例である。
【0030】
プローブカード56は、検査するウエハWの各チップの電極に対応して配置された、カンチレバーやスプリングピン等の複数のプローブ66が設けられている。各プローブ66は、プローブカード56の下面(ウエハチャック50に対向する面)から下方に向けて突出して形成されており、プローブカード56の上面(ポゴフレーム58に対向する面)に設けられる各端子に電気的に接続されている。したがって、テストヘッド54、ポゴフレーム58、及びプローブカード56が一体化されると、各プローブ66は、ポゴフレーム58を介してテストヘッド54の各端子に電気的に接続される。なお、本例のプローブカード56は、検査するウエハWの全チップの電極に対応した多数のプローブ66を備えており、各測定部16ではウエハチャック50に保持されたウエハW上の全チップの同時検査が行われる。
【0031】
ウエハチャック50は、真空吸着等によりウエハWを吸着して固定する。ウエハチャック50は、後述するアライメント装置70に着脱自在に支持固定される。アライメント装置70は、ウエハチャック50をX、Y、Z、θ方向に移動することで、ウエハチャック50に保持されたウエハWとプローブカード56との相対的な位置合わせを行う。
【0032】
また、ウエハチャック50の上面(ウエハ載置面)の外周部には弾性を有するリング状のシール部材(以下、「チャックシールゴム」という。)64が設けられている。後述するZ軸移動・回転部72によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって移動(上昇)させたときに、チャックシールゴム64がヘッドステージ52の下面に接触することで、ウエハチャック50、プローブカード56(ヘッドステージ52)、及びチャックシールゴム64により囲まれた内部空間S(図5参照)が形成される。そして、図示しない吸引手段(減圧手段)により、前述の内部空間Sが減圧されることにより、ウエハチャック50がプローブカード56に向かって引き寄せられる。これにより、プローブカード56の各プローブ66がウエハWの各チップの電極パッドに接触して検査を開始可能な状態となる。なお、チャックシールゴム64は環状のシール部材の一例である。
【0033】
ウエハチャック50の内部には、チップを高温状態(例えば、最高で150℃)、又は低温状態(例えば最低で-40℃)で電気的特性検査が行えるように、加熱/冷却源としての加熱冷却機構(不図示)が設けられている。加熱冷却機構としては、公知の適宜の加熱器/冷却器が採用できるものであり、例えば、面ヒータの加熱層と冷却流体の通路を設けた冷却層との二重層構造にしたものや、熱伝導体内に加熱ヒータを巻き付けた冷却管を埋設した一層構造の加熱/冷却装置など、様々のものが考えられる。また、電気加熱ではなく、熱流体を循環させるものでもよく、またペルチエ素子を使用してもよい。
【0034】
アライメント装置70は、ウエハチャック50を真空吸着等により着脱自在に支持するアライメント装置70を備えている。アライメント装置70は、上述したようにウエハチャック50に保持されたウエハWとプローブカード56との相対的な位置合わせを行うものであり、ウエハチャック50を着脱自在に支持固定してウエハチャック50をZ軸方向に移動すると共にZ軸を回転中心としてθ方向に回転するZ軸移動・回転部72と、Z軸移動・回転部72を支持してX軸方向に移動するX軸移動台74と、X軸移動台74を支持してY軸方向に移動するY軸移動台76とを備えている。
【0035】
Z軸移動・回転部72、X軸移動台74、及びY軸移動台76は、それぞれ、少なくともモータを含む機械的な駆動機構によりウエハチャック50を所定の方向に移動自在もしくは回転自在に構成される。機械的な駆動機構としては、例えば、サーボモータとボールネジとを組み合わせたボールネジ駆動機構により構成される。また、ボールネジ駆動機構に限らず、リニアモータ駆動機構やベルト駆動機構等で構成されていてもよい。なお、Z軸移動・回転部72は機械的昇降手段の一例である。
【0036】
アライメント装置70は、それぞれの段毎に設けられており(図3参照)、図示しないアライメント装置駆動機構によって、各段に配置された複数の測定部16間で相互に移動可能に構成されている。すなわち、アライメント装置70は、同一の段に配置される複数(本例では4つ)の測定部16間で共有されており、同一の段に配置された複数の測定部16間を相互に移動する。各測定部16に移動したアライメント装置70は図示しない位置決め固定装置により所定位置に位置決めされた状態で固定され、上述したアライメント装置駆動機構によりウエハチャック50をX、Y、Z、θ方向に移動させて、ウエハチャック50に保持されたウエハWとプローブカード56との相対的な位置合わせを行う。なお、図示は省略したが、アライメント装置70は、ウエハチャック50に保持したウエハWのチップの電極とプローブ66との相対的な位置関係を検出するために、針位置検出カメラと、ウエハアライメントカメラとを備えている。
【0037】
なお、本実施の形態では、アライメント装置70(Z軸移動・回転部72)は、その上面に吸引口(ウエハチャック固定部の一例)を有し、図示しない吸引手段によりウエハチャック50を吸着して固定するが、ウエハチャック50の固定方式としては、ウエハチャック50を着脱自在に固定できるものであれば周知の様々な方式を採用でき、クランプ等による機械的な方式であってもかまわない。また、アライメント装置70には、ウエハチャック50との相対的な位置関係が常に一定となるように位置決め部材(不図示)が設けられていることが好ましい。
【0038】
本実施の形態では、上述した構成に加え、さらに、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる際に、ウエハチャック50のX、Y方向(水平方向)の位置ずれや傾きを防止するための構成として、ウエハチャック50をZ方向(鉛直方向)に案内するチャックガイド機構90を備えている。チャックガイド機構90はガイド手段の一例である。
【0039】
チャックガイド機構90は、ウエハチャック50の周縁部、具体的にはウエハチャック50と一体化されたチャックガイド保持部94の外周部の周方向にわたって複数並列に設けられている。チャックガイド機構90は、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる動作が行われる前に、後述するチャックガイド98をヘッドステージ52に真空吸着等により吸着して固定することで、ウエハチャック50の水平方向の移動を規制しつつZ方向に平行に移動させるガイド機構として機能する。そのため、ウエハチャック50(チャックガイド保持部94)にはウエハチャック50の移動方向(Z方向)に直交する水平方向(X、Y方向)において互いに異なる位置に少なくとも3つのチャックガイド機構90が設けられる。なお、本例では、図示を省略したが、チャックガイド保持部94には3つのチャックガイド機構90が周方向に沿って等間隔(120度毎)に設けられる(図4では1つのみ図示)。
【0040】
ここで、チャックガイド機構90の構成について詳しく説明する。
【0041】
チャックガイド機構90は、チャックガイド保持部94に形成された軸受部96と、軸受部96によりX、Y方向(水平方向)の移動が規制された状態でZ方向(鉛直方向)に移動可能に構成されたチャックガイド(ガイド軸部)98とを有する。軸受部96は、例えばボールベアリング等で構成される。
【0042】
チャックガイド98は軸受部96に回転自在に軸支され、その上部には、ヘッドステージ52に対してチャックガイド98を着脱自在に固定する固定部100を備えている。固定部100の上面にはリング状のシール部材(以下、「チャックガイドシールゴム」という。)102が設けられるとともに、チャックガイドシールゴム102の内側には、図示しない吸引手段に接続される吸引口(不図示)と、固定部100とヘッドステージ52との間の距離(間隙)を一定に保つためのクリアランス保持部材104とが設けられている。クリアランス保持部材104は、固定部100とヘッドステージ52との間に一定の間隙を保つことができるものであれば、その形状は特に限定されるものではない。
【0043】
かかる構成により、Z軸移動・回転部72によりウエハチャック50を所定の高さまで移動させ、チャックガイドシールゴム102をヘッドステージ52に接触させた後、図示しない吸引手段によりチャックガイドシールゴム102とヘッドステージ52と固定部100との間に形成された内部空間Qを減圧すると、チャックガイド98の固定部100がヘッドステージ52に吸着して固定された状態となる。このとき、上述したクリアランス保持部材104によりヘッドステージ52との間に一定の間隙が確保されるので、チャックガイド98の固定部100による吸着し過ぎが抑制され、ヘッドステージ52に固定されたチャックガイド98の傾きを防止することができる。そして、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる際に、ヘッドステージ52に固定されたチャックガイド98によりウエハチャック50はX、Y方向の移動が規制されつつZ方向に移動することが可能となる。これにより、ウエハチャック50の構成部品による偏荷重による傾きや位置ずれを防止することができ、平行度を保った状態でウエハチャック50の受け渡し動作を安定して行うことが可能となり、ウエハW上の電極パッドとプローブ66との間で良好なコンタクトを実現することが可能となる。
【0044】
また、本実施の形態では、ヘッドステージ52とウエハチャック50との相対距離を検出する高さ検出センサ92がヘッドステージ52に設けられている。この高さ検出センサ92は、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる際に、ウエハチャック50の高さ位置や傾きを監視するために設けられたものである。そのため、ヘッドステージ52には、ウエハチャック50の移動方向であるZ方向(鉛直方向)に直交するX、Y方向(水平方向)において互いに異なる位置に少なくとも3つの高さ検出センサ92が設けられている(図4では1つのみ図示)。この構成によれば、各高さ検出センサ92の検出結果からウエハチャック50の高さ位置や傾きを監視することが可能となる。したがって、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる際に、プローブ66の潰し量(オーバードライブ量)の確認やウエハチャック50の傾き、測定時の状態変化等を監視することができ、正しく測定が行われているか否かを正確に判定することが可能となる。
【0045】
次に、図4図7を参照して、テストヘッド保持部80の構成について詳しく説明する。なお、図6はテストヘッド保持部80の平面的な配置関係を示した平面図であり、図7はテストヘッド保持部80を側面側から見た側面図である。図6では、説明の便宜上、テストヘッド54を破線で図示している。
【0046】
図4図7に示すように、テストヘッド保持部80は、テストヘッド54の上面側に設けられる受け部54aとフレーム部材34との間に介在して設けられる。テストヘッド保持部80の下端はフレーム部材34上に据え付けられており、その上端はテストヘッド54の受け部54aを支持する。すなわち、テストヘッド54は、テストヘッド保持部80によってフレーム部材34に支持されており、ヘッドステージ52にはテストヘッド54の荷重が直接的にかからず、プローブカード56とウエハWとの平行度を保つことができ、ウエハレベル検査を高精度に行うことが可能となっている。テストヘッド保持部80の具体的な構成は、以下のとおりである。
【0047】
テストヘッド保持部80は、テストヘッド54をZ方向に昇降させる昇降機構82と、昇降機構82によりテストヘッド54を昇降させるときにテストヘッド54のZ方向の移動を案内するガイド部84と、テストヘッド54とプローブカード56との距離(クリアランス)及び平行度を一定に保つ緩衝部86とを備えている。
【0048】
昇降機構82は、例えばエアーシリンダや電動機構により構成され、テストヘッド54をZ方向に昇降させる。この昇降機構82の下端はフレーム部材34に固定され、その上端はテストヘッド54の受け部54aを支持する。昇降機構82の数や配置はテストヘッド54をZ方向に昇降させることができれば特に限定されるものではない。なお、本実施の形態では、一例として、テストヘッド54の受け部54aに対応して2つの昇降機構82A、82Bが設けられる。これにより、テストヘッド54の荷重が各昇降機構82A、82Bに分散されるので、テストヘッド54を安定かつ確実にZ方向に昇降させることができる。なお、テストヘッド54の受け部54aは、テストヘッド54の上端部から側方(X方向)に突出したフランジ面(突出面)を有しており、このフランジ面が昇降機構82の上端によって支持される。
【0049】
ガイド部84は、テストヘッド54の側面(X方向に垂直な面)に向かい合う規制面85を有し、この規制面85にテストヘッド54の受け部54aの側面が当接することによりテストヘッド54の水平方向(X、Y方向)の動きを規制した状態でテストヘッド54のZ方向の移動を案内する。ガイド部84の数や配置はテストヘッド54の位置や向きを規制できるものであれば特に限定されるものではない。本実施の形態では、一例として、4つのガイド部84A~84Dがテストヘッド54の両側の受け部54aの側面を挟むように設けられている。具体的には、ガイド部84A、84Bは昇降機構82Aを挟んだ両側に配置され、ガイド部84C、84Dは昇降機構82Bを挟んだ両側に配置される。換言すれば、ガイド部84Aとガイド部84C、及びガイド部84Bとガイド部84Dは、それぞれ、テストヘッド54を挟んで互いに対向する位置に配置される。これにより、テストヘッド54を上下方向に昇降させる際に各ガイド部84(84A~84D)によりテストヘッド54の水平方向の動き(位置や向き)が規制された状態でテストヘッド54の上下動が案内される。
【0050】
緩衝部86は、フレーム部材34に固定されるバネ受け部87とテストヘッド54の受け部54aとの間に介在されるバネ部材88を有する。このバネ部材88は、テストヘッド54を上方(すなわち、ポゴフレーム58とは反対側)に付勢する付勢力を有し、テストヘッド54とポゴフレーム58との間の距離及び平行度を適正に保つ機能を有する。本実施の形態では、一例として、複数の緩衝部86A~86Dを有しており、各緩衝部86A~86Dはテストヘッド54の受け部54aの端部をそれぞれ支持している。すなわち、各緩衝部86A~86Dは、テストヘッド54の重心から等距離離れた位置に配置されている。これにより、テストヘッド54の荷重が均等に分散され、テストヘッド54の水平姿勢を適正に保つことが可能となっている。
【0051】
以上の構成により、テストヘッド54は、ガイド部84(84A~84D)によりX、Y方向(水平方向)の動きを規制した状態で案内されながら、昇降機構82(82A、82B)によりZ方向(鉛直方向)に移動する。これにより、テストヘッド54は退避位置と装着位置との間で安定して移動可能となる。
【0052】
また、昇降機構82(82A、82B)によってテストヘッド54が装着位置まで移動したとき、緩衝部86(86A~86D)のバネ部材88によりテストヘッド54とポゴフレーム58との間の距離及び平行度を適正に保つことができる。したがって、初期設定時にテストヘッド54とポゴフレーム58との平行調整を一度行えば、テストヘッド54を昇降させても平行度は常に保たれるため、テストヘッド54の再度の平行調整が不要となり、調整に必要な時間と労力を削減することができる。
【0053】
次に、本実施の形態のプローバ10を用いた検査方法について説明する。
【0054】
本実施の形態のプローバ10を用いた検査方法では、事前の準備として、テストヘッド54、ポゴフレーム58、及びプローブカード56を一体化する一体化工程が実施される。具体的には、以下のようにして一体化工程が行われる。
【0055】
一体化工程では、まず最初に、ヘッドステージ52にポゴフレーム58を真空吸着等により吸着固定した後、プローブカード56をポゴフレーム58に真空吸着等により吸着固定する。続いて、ガイド部84によりテストヘッド54のX、Y方向(水平方向)の動きを規制しながら、昇降機構82によりテストヘッド54を装着位置まで移動させる。このとき、テストヘッド54は、ポゴフレーム58とは接しておらず、緩衝部86(86A~86D)のバネ部材88によりテストヘッド54とポゴフレーム58との間の距離(クリアランス)及び平行度が適正に保たれている。そして、テストヘッド54をポゴフレーム58に真空吸着等により吸着固定する。これにより、テストヘッド54、ポゴフレーム58、及びプローブカード56が一体化された状態となる。
【0056】
このようにして一体化工程が行われた後、プローバ10では以下の動作が実施される。
【0057】
まず、ローダ部14では、ウエハカセット20内のウエハWが搬送ユニット22の搬送アーム24によって取り出され、搬送アーム24の上面に保持された状態で測定ユニット12の各測定部16に搬送される。
【0058】
一方、測定ユニット12では、各段ごとに設けられたアライメント装置70は所定の測定部16に移動し、アライメント装置70の上面にウエハチャック50を位置決めして吸着により固定する。
【0059】
続いて、アライメント装置70は、ウエハチャック50を所定の受渡し位置に移動させる。そして、ローダ部14の搬送ユニット22からウエハWが受け渡されると、そのウエハWはウエハチャック50の上面に保持される。
【0060】
次に、アライメント装置70は、ウエハWを保持したウエハチャック50を所定のアライメント位置に移動させ、図示しない針位置検出カメラ及びウエハアライメントカメラにより、ウエハチャック50に保持されたウエハWのチップの電極とプローブ66との相対的な位置関係を検出し、検出した位置関係に基づいて、ウエハチャック50をX、Y、Z、θ方向に移動させて、ウエハチャック50に保持されたウエハWとプローブカード56との相対的な位置合わせを行う。
【0061】
この位置合わせが行われた後、アライメント装置70は、ウエハチャック50を所定の測定位置(プローブカード56に対向する位置)に移動させ、アライメント装置70のZ軸移動・回転部72によりチャックガイドシールゴム102がヘッドステージ52に接触する高さとなるまでウエハチャック50を上昇させる。このとき、上昇後のウエハチャック50の高さ(ウエハチャック50の上面高さ)としては、プローブ66の先端位置(コンタクト位置)よりも高い位置である態様が好ましい。この態様の場合、プローブカード56の各プローブ66はオーバードライブの状態でウエハWの各チップの電極パッドに接触するので、プローブ66の先端が電極パッドの表面にくい込み、その電極パッドの表面にそれぞれ針跡を形成するので、電極パッドに形成された酸化膜をプローブ66の接触によって除去することができると共に、ウエハチャック50をアライメント装置70からヘッドステージ52(プローブカード56側)に受け渡す際に発生する外乱(振動)に対して、プローブ66のX、Y方向(水平方向)の位置ずれ(横ずれ)を防ぐことができる。なお、電極パッドに形成された酸化膜による影響が小さい場合には、上昇後のウエハチャック50の高さは、プローブ66の先端位置(コンタクト位置)よりも低い位置(クリアランス高さ)としてもよい。
【0062】
次に、チャックガイド機構90のチャックガイド98をヘッドステージ52に固定する。具体的には、上述のようにしてチャックガイドシールゴム102がヘッドステージ52に接触した後、図示しない吸引手段(減圧手段)により、チャックガイドシールゴム102、ヘッドステージ52、及び固定部100の内部に形成された内部空間Qを減圧することによって、固定部100をヘッドステージ52に吸着固定する。
【0063】
次に、Z軸移動・回転部72によるウエハチャック50の吸着固定を解除した後、ヘッドステージ52に設けられた複数の高さ検出センサ92によりウエハチャック50の高さ位置を検出しながら、ヘッドステージ52(プローブカード56)とウエハチャック50とチャックシールゴム64とで囲まれた内部空間Sを、図示しない吸引手段で減圧する。このとき、上述したようにチャックガイド機構90のチャックガイド98(固定部100)はヘッドステージ52に吸着固定されているので、ウエハチャック50はチャックガイド98によりX、Y方向(水平方向)の移動が規制されつつZ方向(鉛直方向)への移動が案内される。これにより、ウエハチャック50は傾きや位置ずれが生じることなくプローブカード56に向かって引き寄せられ、プローブカード56とウエハチャック50は密着状態となり、プローブカード56の各プローブ66は均一な接触圧でウエハWの各チップの電極パッドに接触する。
【0064】
また、本実施の形態では、各高さ検出センサ92の検出結果に基づいてウエハチャック50の高さ位置や傾きを求め、これらの値が適正な範囲であるか否かを判定する処理を行われるようになっている。なお、この判定処理は上述した制御装置によって行われる。これにより、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる際に、プローブ66の潰し量(オーバードライブ量)の確認やウエハチャック50の傾き、測定時の状態変化等の監視や、正しく測定が行われているか否かを正確に判定することが可能となる。
【0065】
以上のようにして、ウエハチャック50をアライメント装置70(Z軸移動・回転部72)からヘッドステージ52(プローブカード56側)に受け渡されると、図5に示すように、テストヘッド54、ポゴフレーム58、プローブカード56、及びウエハチャック50が一体化された状態となり、プローブカード56の各プローブ66は均一な接触圧でウエハWの各チップの電極パッドに接触した状態となる。これにより、ウエハレベル検査を開始可能な状態となる。その後、テストヘッド54から各プローブ66を介してウエハWの各チップに電源及びテスト信号が供給され、各チップから出力される信号を検出して電気的な動作検査が行われる。
【0066】
なお、ウエハチャック50がアライメント装置70(Z軸移動・回転部72)からヘッドステージ52(プローブカード56側)に受け渡された後、アライメント装置70は他の測定部16に移動し、その測定部16において同様の手順でコンタクト動作が行われ、ウエハレベル検査が順次行われる。
【0067】
以上説明したように、本実施の形態によれば、テストヘッド54の受け部54aとフレーム部材34との間にテストヘッド保持部80を介在させることにより、テストヘッド54がフレーム部材34に支持される構成となっている。そのため、テストヘッド54の荷重がヘッドステージ52に直接的にかかることがなく、ポゴフレーム58の変形が防止されるので、ウエハWとプローブカード56との平行度を容易に確保することが可能となり、ウエハレベル検査の精度を向上させることができる。
【0068】
特に本実施の形態によれば、テストヘッド保持部80は、昇降機構82及びガイド部84を備えたので、テストヘッド54は、ガイド部84により水平方向の動き(位置や向き)を規制した状態で案内されながら退避位置と装着位置との間で安定して移動可能となる。これによって、テストヘッド54のメンテナンス作業性が向上する。
【0069】
さらに、このテストヘッド保持部80は、バネ部材88を有する緩衝部86を備えたので、テストヘッド54とポゴフレーム58との間の距離及び平行度を適正に保つことができる。これにより、テストヘッド54を装着位置と退避位置との間で安定して移動させることが可能となる。
【0070】
また、本実施の形態では、ヘッドステージ52にポゴフレーム58が吸着により固定され、さらに、テストヘッド54、ポゴフレーム58、及びプローブカード56が吸着により固定される。これにより、テストヘッド54とポゴフレーム58との間、及びプローブカード56とポゴフレーム58との間をそれぞれ電気的に導通させる際に必要な接触圧を確保することができ、これらの間を接続する端子のばらつきによる影響を抑えることが可能となる。
【0071】
また、本実施の形態では、ヘッドステージ52を基準にして、テストヘッド54、ポゴフレーム58、プローブカード56、及びウエハチャック50が一体化された状態でウエハレベル検査が行われる。したがって、ウエハWとプローブカード56との平行度を保ったまま、ウエハWの各チップの電極パッドにプローブ66を接触させるコンタクト動作を容易なものとすることができる。すなわち、ウエハWの各チップの電極パッドにプローブ66を適正な接触圧で接触させることができ、ウエハレベル検査の精度を向上させることが可能となる。
【0072】
また、本実施の形態では、チャックガイド機構90のチャックガイド98(固定部100)をヘッドステージ52に真空吸着等により吸着固定した状態でウエハチャック50をチャックガイド98に沿ってZ方向に案内するチャックガイド機構90を備えたので、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる際に、ウエハチャック50の位置ずれや傾きを防止することができる。したがって、ウエハチャック50の構成部品による偏荷重による傾きや位置ずれを防止することができ、平行度を保った状態でウエハチャック50の受け渡し動作を安定して行うことが可能となり、ウエハW上の電極パッドとプローブ66との間で良好なコンタクトを実現することが可能となる。
【0073】
また、本実施の形態では、ヘッドステージ52にはウエハチャック50との相対距離を検出する高さ検出センサ92が少なくとも3つ設けられているので、各高さ検出センサ92の検出結果に基づいてウエハチャック50の高さ位置や傾きを監視することが可能となる。これにより、内部空間Sの減圧によりウエハチャック50をプローブカード56に向かって引き寄せる際に、プローブ66の潰し量(オーバードライブ量)の確認やウエハチャック50の傾き、測定時の状態変化等の監視や、正しく測定が行われているか否かを正確に判定することが可能となる。
【0074】
なお、上述した実施の形態では、チャックガイド機構90の固定方式として、真空吸着等の吸着方式を示したが、ヘッドステージ52にチャックガイド98を着脱自在に固定できるものであれば周知の様々な方式を採用でき、クランプ等による機械的な方式であってもかまわない。
【0075】
また、上述した実施の形態では、チャックガイド機構90をウエハチャック50側に設けてヘッドステージ52側にチャックガイド98(固定部100)を吸着させる構成を示したが、チャックガイド機構90をヘッドステージ52側に設けてウエハチャック50側にチャックガイド98(固定部100)を吸着させる構成としてもよい。
【0076】
また、上述した実施の形態では、高さ検出センサ92をヘッドステージ52に設けた構成を示したが、ウエハチャック50とヘッドステージ52との相対距離を検出できるものであればよく、例えば、高さ検出センサ92をウエハチャック50に設けるようにしてもよい。
【0077】
以上、本発明のプローバについて詳細に説明したが、本発明は、以上の例には限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはもちろんである。
【0078】
なお、本発明は、以下の技術思想を含むものである。
【0079】
(付記1)多段状に積層された複数の測定部を有するプローバであって、前記測定部は、テストヘッドと、プローブを有するプローブカードと、前記テストヘッドと前記プローブカードとの間に介在するポゴフレームと、前記ポゴフレームが取り付けられるポゴフレーム取付部を有するヘッドステージと、前記ヘッドステージを支持するフレーム部材と、前記フレーム部材に支持され、前記テストヘッドを保持するテストヘッド保持部と、ウエハを保持するウエハチャックと、前記テストヘッドと前記ポゴフレームとを吸着により固定する第1吸着固定部と、前記プローブカードと前記ポゴフレームとを吸着により固定する第2吸着固定部と、前記ウエハチャックを着脱自在に固定するウエハチャック固定部を有し、前記ウエハチャック固定部に固定された前記ウエハチャックを昇降させる機械的昇降手段と、前記ウエハチャックと前記プローブカードとの間に密閉空間を形成する環状のシール部材と、前記ウエハチャックが前記プローブカードに向かって引き寄せられるように前記密閉空間を減圧する減圧手段と、を備え、前記ヘッドステージを基準にして、前記テストヘッド、ポゴフレーム、プローブカード、及びウエハチャックを一体化した状態で前記ウエハの電気的検査を行う、プローバ。
【0080】
付記1に記載の発明によれば、テストヘッドの荷重がヘッドステージに直接的にかかることがなく、ポゴフレームの変形が防止され、ウエハとプローブカードとの平行度を容易に確保することができ、ウエハレベル検査の精度を向上させることが可能となる。
【0081】
(付記2)前記テストヘッド保持部は、前記テストヘッドを昇降移動させる昇降機構と、前記テストヘッドが昇降移動する際に前記テストヘッドを案内する規制面を有するガイド部と、前記テストヘッドを前記ポゴフレームとは反対側に付勢するバネ部材を有する緩衝部と、を備える付記1に記載のプローバ。
【0082】
付記2に記載の発明によれば、テストヘッド保持部は昇降機構、ガイド部、及び緩衝部を有しており、このテストヘッド保持部によりテストヘッドがフレーム部材に支持される構成となっている。そのため、昇降機構によりテストヘッドを装着位置と退避位置との間で昇降移動させる際に、ガイド部によりテストヘッドの位置や向きが規制された状態で昇降移動が案内されるとともに、緩衝部によりテストヘッドとポゴフレームの距離及び平行度が適正に保たれる。したがって、テストヘッドの荷重がヘッドステージに直接的にかかることがなく、ポゴフレームの変形が防止され、ウエハとプローブカードとの平行度を容易に確保することができ、ウエハレベル検査の精度を向上させることが可能となる。
【0083】
(付記3)前記緩衝部は、前記テストヘッドの重心から等距離離れた位置に複数設けられる、付記2に記載のプローバ。
【0084】
付記3に記載の発明によれば、テストヘッドの荷重が均等に分散されるので、テストヘッドの水平姿勢を適正に保つことができ、本発明の効果がより一層顕著なものとなる。
【0085】
(付記4)前記ポゴフレーム取付部は、前記ポゴフレームを吸着して固定する吸着面を有する、付記1~3のいずれか1項に記載のプローバ。
【0086】
付記4に記載の発明によれば、ヘッドステージに対してポゴフレームが確実に固定される。なお、ポゴフレーム取付部には、ヘッドステージに対するポゴフレームの位置決めを行うために位置決めピンなどの位置決め手段が設けられていることが好ましい。
【0087】
(付記5)ウエハを保持するウエハチャックと、前記ウエハチャックと対向するように設けられ、前記ウエハの各電極パッドと対応する位置にプローブを有するプローブカードと、テストヘッド保持部により前記プローブカードの前記ウエハチャックとは反対側に保持されたテストヘッドと、前記プローブカードと前記テストヘッドとの間に介在され、前記テストヘッドと前記プローブカードとを電気的に接続するポゴフレームと、前記ポゴフレームが取り付けられるポゴフレーム取付部を有するヘッドステージと、前記ウエハチャックに設けられ、前記ウエハチャックに保持された前記ウエハを取り囲むように形成された環状のシール部材と、前記ウエハチャックを着脱自在に固定するウエハチャック固定部を有し、前記ウエハチャック固定部に固定された前記ウエハチャックを昇降させる機械的昇降手段と、前記プローブカード、前記ウエハチャック、及び前記シール部材により形成された内部空間を減圧する減圧手段と、前記減圧手段による前記内部空間の減圧により前記ウエハチャックを前記プローブカードに向かって移動させるときに前記ウエハチャックの移動方向に直交する方向の移動を規制しつつ前記ウエハチャックの移動を案内するガイド手段と、を備えるプローバ。
【0088】
付記5に記載の発明によれば、減圧手段による内部空間の減圧によりウエハチャックをプローブカードに向かって引き寄せる際に、ガイド手段によりウエハチャックの移動方向に直交する方向の移動が規制されつつウエハチャックの移動が案内されるので、ウエハチャックの位置ずれや傾きを防止することができる。したがって、ウエハとプローブカードとの平行度を容易に確保することができ、ウエハレベル検査の精度を向上させることが可能となる。
【0089】
(付記6)前記ガイド手段は、前記ウエハチャックに設けられた軸受部と、前記ヘッドステージに着脱自在に固定され前記軸受部に軸支されるガイド軸部とを有する、付記5に記載のプローバ。
【0090】
付記6に記載の発明は、ガイド手段の具体的な構成の1つを示したものである。
【0091】
(付記7)前記ガイド手段は、前記ウエハチャックの移動方向に直交する方向における互いに異なる位置に少なくとも3つ設けられる、付記5又は6に記載のプローバ。
【0092】
付記7に記載の発明によれば、ウエハチャックの移動方向に直交する方向におけるウエハチャックの傾きを確実に防止することが可能となる。
【0093】
(付記8)前記減圧手段による前記内部空間の減圧が行われる際に前記ウエハチャックと前記ウエハチャックとの相対距離を検出する高さ検出センサを備える、付記5~7のいずれか1項に記載のプローバ。
【0094】
付記8に記載の発明によれば、減圧手段による内部空間の減圧によりウエハチャックをプローブカードに向かって引き寄せる際に、ウエハチャックを適正な高さとすることが可能となる。
【0095】
(付記9)前記高さ検出センサは、前記ウエハチャックの移動方向に直交する方向における互いに異なる位置に少なくとも3つ設けられる、付記8に記載のプローバ。
【0096】
付記9に記載の発明によれば、減圧手段による内部空間の減圧によりウエハチャックをプローブカードに向かって引き寄せる際に、プローブの潰し量(オーバードライブ量)の確認やウエハチャックの傾き、測定時の状態変化等の監視や、正しく測定が行われているか否かを正確に判定することが可能となる。
【0097】
(付記10)前記テストヘッド保持部は、前記テストヘッドを昇降移動させる昇降機構と、前記テストヘッドが昇降移動する際に前記テストヘッドを案内する規制面を有するガイド部と、前記テストヘッドを前記ポゴフレームとは反対側に付勢するバネ部材を有する緩衝部と、を有する付記5~9いずれか1項に記載のプローバ。
【0098】
付記10に記載の発明によれば、昇降機構によりテストヘッドを装着位置と退避位置との間で昇降移動させる際に、ガイド部によりテストヘッドの位置や向きが規制された状態で昇降移動が案内されるとともに、緩衝部によりテストヘッドとポゴフレームの距離及び平行度が適正に保たれる。したがって、ウエハとプローブカードとの平行度を容易に確保することができ、ウエハレベル検査の精度を向上させることが可能となる。
【0099】
(付記11)前記緩衝部は、前記テストヘッドの重心から等距離離れた位置に複数設けられる、付記10に記載のプローバ。
【0100】
付記11に記載の発明によれば、テストヘッドの荷重が均等に分散されるので、テストヘッドの水平姿勢を適正に保つことができ、本発明の効果がより一層顕著なものとなる。
【0101】
(付記12)前記ポゴフレーム取付部は、前記ポゴフレームを吸着して固定する吸着面を有する、付記5~11のいずれか1項に記載のプローバ。
【0102】
付記12に記載の発明によれば、ヘッドステージに対してポゴフレームが確実に固定される。なお、ポゴフレーム取付部には、ヘッドステージに対するポゴフレームの位置決めを行うために位置決めピンなどの位置決め手段が設けられていることが好ましい。
【符号の説明】
【0103】
10…プローバ、12…測定ユニット、14…ローダ部、16…測定部、18…ロードポート、20…ウエハカセット、21…操作パネル、22…搬送ユニット、24…搬送アーム、30…筐体、32A、32B、32C…分離筐体、50…ウエハチャック、52…ヘッドステージ、54…テストヘッド、56…プローブカード、58…ポゴフレーム、64…チャックシールゴム、66…プローブ、70…アライメント装置、72…Z軸移動・回転部、74…X軸移動台、76…Y軸移動台、80…テストヘッド保持部、82…昇降機構、84…ガイド部、85…規制面、86…緩衝部、88…バネ部材、90…チャックガイド機構、92…高さ検出センサ、94…チャックガイド保持部、96…軸受部、98…チャックガイド、100…固定部、102…チャックガイドシールゴム、104…クリアランス保持部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7