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特許7503914回転機械の防振装置、ポンプ設備、回転機械の防振装置の調整方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-13
(45)【発行日】2024-06-21
(54)【発明の名称】回転機械の防振装置、ポンプ設備、回転機械の防振装置の調整方法
(51)【国際特許分類】
   F16F 15/04 20060101AFI20240614BHJP
   F04B 53/00 20060101ALI20240614BHJP
   F04D 13/00 20060101ALN20240614BHJP
   F04D 29/42 20060101ALN20240614BHJP
   F04D 29/60 20060101ALN20240614BHJP
【FI】
F16F15/04 A
F16F15/04 G
F04B53/00 B
F04D13/00 A
F04D29/42 E
F04D29/60 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020029847
(22)【出願日】2020-02-25
(65)【公開番号】P2021134823
(43)【公開日】2021-09-13
【審査請求日】2022-10-25
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】川原 和之
(72)【発明者】
【氏名】中塩 雄二
(72)【発明者】
【氏名】松田 道昭
(72)【発明者】
【氏名】大垣 冬季
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 裕輔
【審査官】田村 佳孝
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-269530(JP,A)
【文献】特開2012-225352(JP,A)
【文献】特開2009-121096(JP,A)
【文献】特開2012-149678(JP,A)
【文献】特開2017-172733(JP,A)
【文献】特開平10-002374(JP,A)
【文献】特開2012-036913(JP,A)
【文献】特開平07-317835(JP,A)
【文献】特開2016-008549(JP,A)
【文献】特開2015-158133(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16F 15/04
F04B 53/00
F04D 13/00
F04D 29/42
F04D 29/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転機械から荷重を受ける防振架台と、
前記防振架台を支持する弾性支持部と、
前記防振架台を支持し、前記弾性支持部の縦方向のたわみ量を一定量までに制限すると共に、前記防振架台の横振れに応じて横滑り可能な滑り支持部と、を備える、回転機械の防振装置であって、
前記回転機械は、鉛直方向の加振力を受けるポンプ組立体と接続された減速機であり、
前記滑り支持部は、前記弾性支持部のような弾性材を含まず、
前記滑り支持部において前記防振架台の支持高さを調整するレベル調整部と、
前記弾性支持部の縦方向の初期たわみ量を調整するたわみ量調整部と、を備える、ことを特徴とする回転機械の防振装置。
【請求項2】
前記防振架台、前記弾性支持部、前記滑り支持部のうち、少なくともいずれか一つにかかる、荷重及び振動の少なくともいずれか一方を計測する計測部を備える、ことを特徴とする請求項1に記載の回転機械の防振装置。
【請求項3】
前記計測部の計測結果に基づいて、前記回転機械の異常または異常の予兆を検知する検知部を備える、ことを特徴とする請求項2に記載の回転機械の防振装置。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の防振装置と、
前記防振装置に支持された回転機械と、
前記回転機械に接続されたポンプ組立体と、を備える、ことを特徴とするポンプ設備。
【請求項5】
前記防振装置の設置領域を囲う縁基礎と、
前記縁基礎以上の高さに前記防振装置を配置する嵩上部と、を備える、ことを特徴とする請求項4に記載のポンプ設備。
【請求項6】
前記防振装置の設置領域を囲う縁基礎が無い基礎を備える、ことを特徴とする請求項4に記載のポンプ設備。
【請求項7】
回転機械から荷重を受ける防振架台と、
前記防振架台を支持する弾性支持部と、
前記防振架台を支持し、前記弾性支持部の縦方向のたわみ量を一定の範囲に制限すると共に、前記防振架台の横振れに応じて横滑り可能な滑り支持部と、
前記滑り支持部における前記防振架台の支持高さを調整するレベル調整部と、
前記弾性支持部の縦方向の初期たわみ量を調整するたわみ量調整部と、を備える、回転機械の防振装置の調整方法であって、
前記たわみ量調整部から前記弾性支持部に荷重がかからない状態とする第1工程と、
前記第1工程の後、前記レベル調整部によって前記滑り支持部における前記防振架台の支持高さを調整する第2工程と、
前記第2工程の後、前記たわみ量調整部によって前記弾性支持部の縦方向の初期たわみ量を調整する第3工程と、を有する、ことを特徴とする回転機械の防振装置の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回転機械の防振装置、ポンプ設備、回転機械の防振装置の調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、回転機械の防振装置が開示されている。この防振装置は、ポンプ設備の減速機(回転機械)を支持する支持架台の防振を行っている。防振装置は、ゴムなどの弾性材を使用した弾性支持部から基本的に構成されており、弾性材が持つ弾性により回転機械の振動を吸収する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第5670766号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記防振装置では、鉛直方向において弾性材にへたりが生じるため、そのへたりに起因する施工性および経年変化の課題があった。へたりは、弾性材の特性であるため、根本的に解決するためには、弾性材の定期的な交換や、へたりの無い材料を使用する以外に方法が無かった。へたりが生じると、弾性支持部が変形し、防振装置の上に載る回転機械の芯合わせ作業が困難になる。このため、従来では、へたりによる芯ずれを許容できる構造を、例えば軸継手などに組み込むことによって対処していた。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、防振性能を確保しつつ、弾性材のへたりによる弾性支持部の変形および回転機械の芯ずれを防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る回転機械の防振装置は、回転機械から荷重を受ける防振架台と、前記防振架台を支持する弾性支持部と、前記防振架台を支持し、前記弾性支持部の縦方向のたわみ量を一定量までに制限すると共に、前記防振架台の横振れに応じて横滑り可能な滑り支持部と、を備える。
【0007】
上記回転機械の防振装置においては、前記滑り支持部において前記防振架台の支持高さを調整するレベル調整部を備えてもよい。
【0008】
上記回転機械の防振装置においては、前記弾性支持部の縦方向の初期たわみ量を調整するたわみ量調整部を備えてもよい。
【0009】
上記回転機械の防振装置においては、前記防振架台、前記弾性支持部、前記滑り支持部のうち、少なくともいずれか一つにかかる、荷重及び振動の少なくともいずれか一方を計測する計測部を備えてもよい。
【0010】
上記回転機械の防振装置においては、前記計測部の計測結果に基づいて、前記回転機械の異常または異常の予兆を検知する検知部を備えてもよい。
【0011】
また、本発明の一態様に係るポンプ設備は、先に記載の防振装置と、前記防振装置に支持された回転機械と、前記回転機械に接続されたポンプ組立体と、を備える。
【0012】
上記ポンプ設備においては、前記防振装置の設置領域を囲う縁基礎と、前記縁基礎以上の高さに前記防振装置を配置する嵩上部と、を備えてもよい。
【0013】
上記ポンプ設備においては、前記防振装置の設置領域を囲う縁基礎が無い基礎を備えてもよい。
【0014】
また、本発明の一態様に係る回転機械の防振装置の調整方法は、回転機械から荷重を受ける防振架台と、前記防振架台を支持する弾性支持部と、前記防振架台を支持し、前記弾性支持部の縦方向のたわみ量を一定の範囲に制限すると共に、前記防振架台の横振れに応じて横滑り可能な滑り支持部と、前記滑り支持部における前記防振架台の支持高さを調整するレベル調整部と、前記弾性支持部の縦方向の初期たわみ量を調整するたわみ量調整部と、を備える、回転機械の防振装置の調整方法であって、前記たわみ量調整部から前記弾性支持部に荷重がかからない状態とする第1工程と、前記第1工程の後、前記レベル調整部によって前記滑り支持部における前記防振架台の支持高さを調整する第2工程と、前記第2工程の後、前記たわみ量調整部によって前記弾性支持部の縦方向の初期たわみ量を調整する第3工程と、を有する。
【発明の効果】
【0015】
上記本発明の態様によれば、防振性能を確保しつつ、弾性材のへたりによる弾性支持部の変形および回転機械の芯ずれを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態に係るポンプ設備の全体構成図である。
図2】第1実施形態に係る防振システムの平面構成図である。
図3】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の断面構成図である。
図4】第1実施形態に係る防振装置の調整方法の説明図である。
図5】第1実施形態に係る防振装置の調整方法の説明図である。
図6】第1実施形態に係る防振装置の動作原理の説明図である。
図7】第1実施形態に係る計測部の計測結果の一例を示すグラフである。
図8】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図9】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図10】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図11】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図12】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図13】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図14】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図15】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図16】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図17】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図18】第1実施形態に係る防振装置(第1防振装置)の一変形例を示す断面構成図である。
図19】第2実施形態に係る防振システムの平面構成図である。
図20】第2実施形態に係る防振装置(第2防振装置)の断面構成図である。
図21】第3実施形態に係る防振システムの平面構成図である。
図22】第3実施形態に係る防振装置(第3防振装置)の断面構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態に係るポンプ設備1の全体構成図である。
図1に示すポンプ設備1は、駆動機10と、減速機20(回転機械)と、ポンプ組立体30と、を備えている。ポンプ組立体30は、いわゆる立軸ポンプである。駆動機10及び減速機20は、建屋基礎2(基礎)の第1床2Aに設置されている。また、ポンプ組立体30は、建屋基礎2の第2床2Bに設置されている。
【0019】
駆動機10は、ディーゼルエンジン、ガスタービン、モータなどから構成されている。駆動機10の駆動軸11は、水平方向に延びて軸継手12を介して減速機20と接続されている。減速機20は、いわゆる直交減速機であり、ポンプ組立体30のポンプケーシング31の直上に、第1床2Aに設置された防振システム50(後述)によって支持され、駆動機10の回転力を鉛直下方のポンプ回転軸32に減速して伝える出力軸21を備えている。
【0020】
ポンプ回転軸32は、ポンプケーシング31の上部の軸貫通部33からポンプケーシング31の外部上方に延び、減速機20の出力軸21と軸継手22を介して接続されている。軸貫通部33においては、ポンプ回転軸32は回転自在でありながら、ポンプケーシング31の内部の揚水または排水がポンプケーシング31の外部に漏洩することが無いようにシールされている。
【0021】
ポンプケーシング31は、略円筒形状でその円筒軸を鉛直にして配置された吊下ケーシング34と、吊下ケーシング34の上方に接続され、流れ方向を水平方向に曲げる吐出エルボ35と、吊下ケーシング34の下方に接続され、案内羽根36aを内部に備えた吐出ボウル36と、さらに吐出ボウル36の下方に接続され、水流のポンプケーシング31内への吸込口37aを形成する吸込ベル37と、を備えている。
【0022】
ポンプケーシング31は、ポンプベース31aにより第2床2Bに固定されている。ポンプケーシング31の内部には、ポンプ回転軸32が吊下ケーシング34の中心軸に沿って延び、案内羽根36aの下方に羽根車38を備えている。また、吐出エルボ35の下流側には、水流の吐出口(不図示)を形成する吐出管39が水平方向に接続されている。吸込ベル37の吸込口37aは、吸込水槽6に水没している。
【0023】
ポンプ回転軸32は、水中軸受40、41、中間軸受42、および外軸受43により回転自在に支持されている。水中軸受40は、吸込ベル37の内部で、ポンプ回転軸32の下端を支持している。水中軸受41は、吐出ボウル36の内部で、ポンプ回転軸32の下部を支持している。中間軸受42は、吊下ケーシング34の内部で、ポンプ回転軸32の中間部を支持している。
【0024】
水中軸受40,41および中間軸受42は、ポンプ回転軸32に滑り接触する滑り軸受である。外軸受43は、吐出エルボ35の上部に設けられ、ポンプ回転軸32の上部を支持している。外軸受43は、ポンプ回転軸32のスラスト荷重を受けるスラスト軸受である。つまり、ポンプ回転軸32のスラスト荷重は、外軸受43を介してポンプケーシング31側が受けている。
【0025】
上記構成のポンプ設備1においては、駆動機10の運転を開始すると、減速機20を介してポンプ回転軸32および羽根車38が回転する。これにより、吸込水槽6の液体は、吸込口37aからポンプケーシング31内に吸い込まれ、ポンプケーシング31内を鉛直上方に揚水された後、水平方向に曲がって吐出管39内を通り、図示しない吐出水槽に吐出される。
【0026】
図1に示すように、減速機20は、支持架台51に支持されると共に、支持架台51を介して複数の防振装置60に支持されている。これら支持架台51及び複数の防振装置60を含む防振システム50は、建屋基礎2の第1床2Aに設置されている。第1床2Aには、防振システム50(防振装置60)の設置領域を平面視で囲う縁基礎3が立設している。縁基礎3の内側には、第1床2Aの床面よりも低い段差4が形成されている。
【0027】
段差4には、縁基礎3以上の高さに防振システム50(防振装置60)を配置する嵩上部5が設置されている。嵩上部5は、例えば、建屋基礎2と同様のコンクリート製のブロック体などから構成されている。これにより、防振システム50(防振装置60)が、縁基礎3の下に隠れることがなく、防振装置60の調整作業(後述)などが容易になる。なお、減速機20の位置が高くなるため、踏み台などを設置してもよい。
【0028】
図2は、第1実施形態に係る防振システム50の平面構成図である。
図2に示すように、防振システム50は、減速機20を支持する支持架台51と、支持架台51を支持する複数の防振装置60と、を備えている。支持架台51は、井桁構造体52と、井桁構造体52に固定され、減速機20を支持する天板53と、を備えている。
【0029】
井桁構造体52は、平面視で縦横2本ずつ計4本の梁材で構成され、周囲8箇所の張り出し部52a~52hを備えている。防振装置60は、張り出し部52a~52hと同数で設けられ、張り出し部52a~52hのそれぞれを支持している。これら複数の防振装置60は、後述する弾性支持部70及び滑り支持部80の両方を備える第1防振装置60Aによって構成されている。
【0030】
図3は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の断面構成図である。
図3に示すように、防振装置60は、支持架台51を介して減速機20から荷重を受ける防振架台61と、防振架台61を支持する弾性支持部70と、防振架台61を支持し、弾性支持部70の縦方向のたわみ量を一定量までに制限すると共に、防振架台61の横振れに応じて横滑り可能な滑り支持部80と、を備える。
【0031】
防振架台61は、井桁構造体52が載る水平プレートである。防振架台61は、弾性支持部70及び滑り支持部80を介して、ソールプレート64(基台)に連結されている。ソールプレート64は、アンカーボルト65を介して建屋基礎2(本実施形態では嵩上部5)に固定されている。防振装置60は、防振架台61の縦揺れストッパ62及び横揺れストッパ63を備えている。
【0032】
縦揺れストッパ62は、ソールプレート64から縦方向(鉛直方向)に立設するロッド62aを備えている。ロッド62aは、防振架台61を縦方向で貫通している。ロッド62aには、上限ストッパ62b及び下限ストッパ62cが固定されている。上限ストッパ62bは、防振架台61より上方に配置されている。下限ストッパ62cは、防振架台61より下方に配置されている。
【0033】
上限ストッパ62b及び下限ストッパ62cは、防振架台61の厚みよりも大きな隙間をあけて配置されている。これら上限ストッパ62b及び下限ストッパ62cは、防振架台61の縦方向の許容揺れ幅を設定している。つまり、上限ストッパ62bと防振架台61との間、及び、下限ストッパ62cと防振架台61との間の少なくともいずれか一方には、隙間が形成されている。
【0034】
横揺れストッパ63は、ソールプレート64から立設する側壁部材63aを備えている。側壁部材63aは、防振架台61の側面に対向する水平ストッパ63bを支持している。水平ストッパ63bは、防振架台61の横方向の許容揺れ幅を設定している。なお、符号63cは、弾性材であっても構わない。また、符号63cは、防振架台61と水平ストッパ63bとの接触を検知するセンサであっても構わない。また、符号63cと防振架台61との間に隙間を形成しても構わない。
【0035】
弾性支持部70は、防振架台61とソールプレート64との間に配置され、防振架台61を弾性的に支持している。弾性支持部70は、後述する滑り支持部80を挟んで一対で配置されている。なお、弾性支持部70は、防振架台61をバランス良く支持できる配置であれば、その数は限定されない。弾性支持部70は、弾性材71(防振材)と、弾性材71の上面に固定されたプレート72と、を備えている。
【0036】
弾性材71は、ゴムなどの吸振性を持つ材料が使用される。なお、弾性材71の材料は、支持する回転機械の大きさや振動特性などに基づいて選択するとよい。プレート72は、後述するたわみ量調整部91と接触し離れないよう固定されている。つまり、弾性支持部70は、弾性材71、プレート72、及び、たわみ量調整部91を介して、防振架台61を弾性的に支持している。
【0037】
弾性支持部70の下部には、弾性支持部70にかかる荷重及び振動の少なくともいずれか一方を計測する計測部100が配置されている。この計測部100は、例えば、ロードセル(三軸直交計測型)が好ましい。計測部100の計測結果は、検知部101に出力される。検知部101は、計測部100の計測結果に基づいて、減速機20の異常または異常の予兆を検知する(後述)。検知部101は、CPUなどを含む演算装置などから構成されている。
【0038】
たわみ量調整部91は、弾性支持部70の縦方向の初期たわみ量を調整する。このたわみ量調整部91は、ボルト及びナットから構成されている。たわみ量調整部91は、防振架台61側に設けられ、防振架台61の下面から下方への突出量を調整することで、弾性支持部70(弾性材71)の縦方向の初期たわみ量を調整する。
【0039】
滑り支持部80は、防振架台61とソールプレート64との間に配置され、防振架台61を支持している。滑り支持部80は、上述した一対の弾性支持部70の間に配置されている。なお、滑り支持部80の数は限定されず、滑り支持部80と弾性支持部70の配置も逆であっても構わない。滑り支持部80は、第1部材81と、滑り部82と、第2部材83と、を備えている。なお、第1部材81及び第2部材83は、弾性材71とは異なり弾性変形しない硬性部材から形成されている。
【0040】
第1部材81は、ソールプレート64に固定されている。滑り部82は、第1部材81の上面に設けられている。滑り部82は、第1部材81に対する第2部材83の横揺れ(横滑り)を許容する。この滑り部82は、ポリテトラフルオロエチレン系の低摩擦材料、または、金属製のスラストワッシャーなどから構成されている。第2部材83は、後述するレベル調整部92と接触し離れないよう固定されている。つまり、滑り支持部80は、第1部材81、滑り部82、第2部材83、及び、レベル調整部92を介して、防振架台61を滑り支承している。
【0041】
レベル調整部92は、滑り支持部80における防振架台61の支持高さを調整する。レベル調整部92は、ボルト及びナットから構成されている。レベル調整部92は、防振架台61側に設けられており、防振架台61の下面から下方への突出量を調整することで、滑り支持部80における防振架台61の支持高さを調整する。なお、本実施形態では、支持架台51(井桁構造体52)との配置の関係上、滑り支持部80をバランスよく押圧できるように、レベル調整部92を複数個所に設置しているが、単数であっても構わない。
【0042】
次に、上記構成の防振装置60における調整方法(特に据付作業時の調整方法)について、図4及び図5を参照して説明する。
【0043】
図4及び図5は、第1実施形態に係る防振装置60の調整方法の説明図である。
防振装置60の調整を行う場合、先ず、図4に示すように、たわみ量調整部91から弾性支持部70に荷重がかからない状態とする(第1工程)。つまり、この状態では、防振架台61が滑り支持部80のみで支持されている。
次に、レベル調整部92によって滑り支持部80における防振架台61の支持高さを調整する(第2工程)。この状態において、防振架台61と弾性支持部70との隙間は、初期隙間dとなる。
【0044】
次に、図5に示すように、たわみ量調整部91によって弾性支持部70の縦方向の初期たわみ量を調整する(第3工程)。具体的には、たわみ量調整部91を螺入し、弾性材71に荷重をかけ、弾性材71のたわみ量を調整する。弾性材71のたわみ量を調整することで、減速機20の振動特性に合わせた弾性材71の固有振動数の調整をすることができ、防振性能の最適化が可能となる。
【0045】
上記調整によって、防振架台61と弾性支持部70との隙間は、初期隙間dに初期たわみ量xを加えた寸法になる。
最後に、滑り支持部80において、第2部材83(摺動材)が滑り部82(滑り材)に接触している状態(支持されている状態)であることを確認する。
以上により、防振装置60の調整が完了する。
【0046】
次に、上記構成の防振装置60の動作原理について、図6を参照して説明する。
【0047】
図6は、第1実施形態に係る防振装置60の動作原理の説明図である。
先ず、弾性材71のたわみ量と、固有振動数との関係について説明する。図6に示すように、防振架台61が受ける荷重をW、弾性材71に係る荷重(反力)をM、弾性材71のばね定数(鉛直方向)をk、弾性材71のたわみ量(鉛直方向)をxとした場合、滑り支持部80にかかる荷重であるFは、下式(1)で示される。
F = W-2・M …(1)
【0048】
次に、滑り部82が接触している条件は、F>0になることから、下式(2)、(3)の関係が成り立つ。
F = W-2・M > 0 …(2)
M < W/2 …(3)
【0049】
次に、防振の設計条件は、M>0、M=k・xであることから、下式(4)~(6)の関係が成り立つ。
0 < M < W/2 …(4)
0 < k・x <W/2 …(5)
0 < x < W/2k …(6)
【0050】
ここで、弾性材71の固有振動数fは、下式(7)で示される。なお、kは、弾性材71の動的ばね定数である。下式(7)で示されるように、固有振動数fは、弾性材71のたわみ量であるxで調整可能である。
【0051】
【数1】
【0052】
次に、滑り部82の滑る条件について説明する。上述したように、滑り支持部80にかかる荷重であるFは、下式(8)で示される。
F = W-2・k・x …(8)
【0053】
次に、滑り部82の摩擦力をF、滑り部82の摩擦係数をμとした場合、下式(9)、(10)の関係が成り立つ。
= μF …(9)
= μ(W-2・k・x) …(10)
【0054】
次に、防振架台61が受ける水平方向の加振力をPとした場合、滑り部82が滑る加振力の条件は、P-F>0になることから、下式(11)、(12)の関係が成り立つ。
P > F …(11)
P > μ(W-2・k・x) …(12)
【0055】
ここで、x>0であることから、P>μ・Wとなる条件では、xの値によらず滑る条件となる。対して、P≦μ・Wとなる条件では、下式(13)、(14)の関係が成り立つときに、滑る条件となる。つまり、下式(13)、(14)を満たすように、xを調整するとよい。
2μ・k・x > μ・W-P …(13)
【0056】
【数2】
【0057】
次に、上記構成の防振装置60の検知部101による異常の有無の判定について、図7を参照して説明する。
【0058】
図7は、第1実施形態に係る計測部100の計測結果の一例を示すグラフである。なお、図7において、縦軸は検知レベル(しきい値に対する%)であり、横軸は日にちである。また、しきい値(100%)は、点線で示している。
図7に示すように、減速機20(ポンプ設備1)は、運転と停止を繰り返している。13日目の検知レベルの第1ピークP1は、停止中に地震が発生したものである。第1ピークP1は、しきい値以下のため、検知部101は健全であると判定した。
【0059】
20日目の検知レベルの第2ピークP2は、運転中に地震が発生したものである。第2ピークP2は、しきい値を超えたため、検知部101は、機器損傷の可能性があると判定し(異常有りの判定)、警報やメーカー点検の依頼などの通知を行った。このように、運転中の荷重や振動変化をモニターすることが可能となることで、異常値に対してどの程度余裕があるかを把握することができ、変化量の傾向を管理することで、異常振動に達する(故障する)までの期間をある程度予知することも可能となる。
【0060】
上記構成の防振装置60によれば、図3に示すように、弾性支持部70と共に、滑り支持部80を設置することにより、弾性材71の鉛直方向のへたりによる変形を防止することができる。これにより従来発生していた防振架台61特有の追加作業(弾性材71の初期へたり除去、シム調整による芯出し作業)を無くすことができ、施工性改善、施工工程の短縮が可能となる。また、弾性材71の経年変化(へたり)による減速機20の芯ずれも防止することが可能となる。また、流体継手付き減速機などの重心の偏りが大きい回転機械の場合、支持架台51の水平度を出すのが困難であったが、この滑り支持部80により施工が改善される。
【0061】
したがって、上述した本実施形態によれば、減速機20から荷重を受ける防振架台61と、防振架台61を支持する弾性支持部70と、防振架台61を支持し、弾性支持部70の縦方向のたわみ量を一定量までに制限すると共に、防振架台61の横振れに応じて横滑り可能な滑り支持部80と、を備える、という構成を採用することによって、防振装置60の防振性能を確保しつつ、弾性材71のへたりによる弾性支持部70の変形および減速機20の芯ずれを防止することができる。
【0062】
なお、本実施形態で例示した減速機20は、直交減速機であって、ポンプ組立体30側でスラスト荷重を受けており、スラスト荷重(鉛直方向の加振力)は作用しないため、直交減速機の加振力は水平方向のみ考慮すればよい。したがって、上述の防振装置60の動作原理(図6参照)で示したように、水平方向の防振性能を確保しつつ、鉛直方向のへたりによる弾性材71の変形および減速機20の芯ずれを防止することができる。
【0063】
また、本実施形態においては、図3に示すように、滑り支持部80において防振架台61の支持高さを調整するレベル調整部92を備えているため、減速機20の芯出し作業が容易となる。これにより、減速機20の新設時の芯出し作業および、滑り部82および弾性材71などの交換による再芯出し作業の施工性を改善することが可能となる。
【0064】
また、本実施形態においては、弾性支持部70の縦方向の初期たわみ量を調整するたわみ量調整部91を備えているため、回転機械の振動特性に合わせた弾性材71の固有振動数の調整をすることができ、防振性能の最適化が可能となる。
【0065】
また、本実施形態においては、弾性支持部70にかかる、荷重及び振動の少なくともいずれか一方を計測する計測部100を備えているため、運転中の荷重や振動変化をモニターすることが可能となる。また、施工時に荷重量を確認することで、弾性材71の固有振動数の調整をより厳密に行うことができる。
【0066】
また、本実施形態においては、計測部100の計測結果に基づいて、減速機20の異常または異常の予兆を検知する検知部101を備えているため、運転中の荷重や振動変化から対象機器の異常を検知でき、また、異常値に対してどの程度余裕があるかを把握することができ、その変化量の傾向を管理することで、異常振動に達する(故障する)までの期間をある程度予知することも可能となる。
【0067】
また、本実施形態に係るポンプ設備1は、上述した防振装置60(防振システム50)と、防振装置60に支持された減速機20と、減速機20に接続されたポンプ組立体30と、を備えるため、防振性能を確保しつつ、弾性材71のへたりによる弾性支持部70の変形および減速機20の芯ずれを防止することができ、ポンプ設備1の健全性を確保できる。
【0068】
また、本実施形態においては、図1に示すように、防振装置60(防振システム50)の設置領域を囲う縁基礎3と、縁基礎3以上の高さに防振装置60を配置する嵩上部5と、を備えているため、支持架台51を落とし込まずに第1床2Aのフロアレベルより上に防振装置60が設置されるレベルにすることができ、防振装置60の施工性および弾性材71の交換などの維持管理性が向上する。
【0069】
また、本実施形態の防振システム50は、図2に示すように、減速機20を支持する支持架台51と、支持架台51を支持する複数の防振装置60と、を備え、複数の防振装置60の各装置が、弾性支持部70及び滑り支持部80の両方を備える第1防振装置60Aによって構成されている。この構成によれば、防振装置60の全部に防振と滑り支持があり、たわみ量調整が可能であるため、防振性能が極めて高くなる。
【0070】
なお、上述した第1実施形態に係る第1防振装置60Aは、以下のような変形例を採用し得る。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0071】
図8は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図8に示す変形例は、滑り部82に転動体を使用している。この変形例によれば、滑り部82が転がり構造になるため、水平方向の摩擦が小さくなり、第1部材81に伝達する振動を小さくすることが可能となる。また、ポリテトラフルオロエチレン系などの滑り材に比べて摩耗の影響が少なくなる。
【0072】
図9は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図9に示す変形例は、弾性支持部70を水平方向に配置している。この変形例によれば、鉛直方向の荷重は全て滑り支持部80で受け持つため、弾性支持部70との荷重配分はない。したがって、弾性材71のへたりによる影響(芯ずれ)は殆ど無い。また、弾性支持部70を上述した横揺れストッパ63と兼用することで構造を簡素にすることができる。
【0073】
図10は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図10に示す変形例は、レベル調整部92を滑り支持部80の一部として組み込み、滑り部82の下に配置している。この変形例においても、上述した第1実施形態の基本形態(図3参照)と性能は同等である。
【0074】
図11は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図11に示す変形例は、レベル調整部92が、たわみ量調整部91の機能を兼ねている。この変形例によれば、レベル調整とたわみ量調整を同時に行う必要があるため、上述した第1実施形態の基本形態と比べて作業性は落ちる。しかしながら、レベル調整とたわみ量調整を兼用しているため、構造を簡素にすることができる。
【0075】
図12は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図12に示す変形例は、レベル調整部92が、たわみ量調整部91の機能を兼ねている、もう一つの例である。この変形例では、図10と同様に、レベル調整部92が滑り支持部80の一部として組み込まれている。この変形例においても、レベル調整とたわみ量調整を同時に行う必要があるため、上述した第1実施形態の基本形態と比べて作業性は落ちる。しかしながら、レベル調整とたわみ量調整を兼用しているため、構造を簡素にすることができる。
【0076】
図13は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図13に示す変形例は、レベル調整部92を省略している。この変形例によれば、レベル調整は、ソールプレート64の下もしくは減速機20側で調整する必要があり、上述した第1実施形態の基本形態と比べて作業性は落ちる。しかしながら、レベル調整部92を省略しているため、構造を簡素にすることができる。
【0077】
図14は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図14に示す変形例は、レベル調整部92を省略している、もう一つの例である。この変形例では、たわみ量調整部91が弾性支持部70の一部として組み込まれ、弾性材71の下に配置されている。この変形例によれば、図13と同様に、レベル調整は、ソールプレート64の下もしくは減速機20側で調整する必要があり、上述した第1実施形態の基本形態と比べて作業性は落ちる。しかしながら、レベル調整部92を省略しているため、構造を簡素にすることができる。
【0078】
図15は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図15に示す変形例は、たわみ量調整部91及びレベル調整部92を省略している。この変形例によれば、弾性材71のたわみ量は、滑り支持部80などの部品の製作精度と組立精度の影響を受ける。また、たわみ量調整部91が無いため、防振性能(固有振動数)の調整はできない。しかしながら、たわみ量調整部91及びレベル調整部92を省略しているため、構造を簡素にすることができる。
【0079】
図16は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図16に示す変形例は、弾性支持部70と防振架台61(たわみ量調整部91)との間に計測部100を設置している。この変形例によれば、計測部100が減速機20側に近い配置となり、機器の状態変化をより確認し易くすることができる。
【0080】
図17は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図17に示す変形例は、滑り支持部80の下部に計測部100を設置している。変位量の小さい計測部100であれば、このように滑り支持部80の下部に計測部100を設置することも可能である。
【0081】
図18は、第1実施形態に係る防振装置60(第1防振装置60A)の一変形例を示す断面構成図である。
図18に示す変形例は、計測部100がロードセルではなく加速度センサから構成されている。計測部100が加速度センサの場合、弾性支持部70とソールプレート64で挟み込む必要は無く、ソールプレート64の任意の位置に設置しても良い。また、上部の防振架台61に第1計測部100aを設けると共に、下部のソールプレート64に第2計測部100bを設けることで、防振装置60の減速機20側と建屋基礎2側の振動から防振性能を確認することができる。また、加速度センサは、支持架台51及びソールプレート64に接続されている部品に設置しても構わない。
【0082】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0083】
図19は、第2実施形態に係る防振システム50の平面構成図である。
図19に示すように、第2実施形態の防振システム50では、複数の防振装置60が、弾性支持部70及び滑り支持部80の両方を備える第1防振装置60Aと、弾性支持部70及び滑り支持部80のうち、弾性支持部70のみを備える第2防振装置60Bによって構成されている。
【0084】
図20は、第2実施形態に係る防振装置60(第2防振装置60B)の断面構成図である。
図20に示すように、第2防振装置60Bは、弾性支持部70及び滑り支持部80のうち、弾性支持部70のみを備えている。つまり、第2防振装置60Bは、上述した滑り支持部80及びレベル調整部92を備えていない。
【0085】
図19に戻り、第1防振装置60Aと第2防振装置60Bの配置を説明すると、平面視で駆動軸11から時計回り配置された支持架台51の張り出し部52a~52hにおいて、張り出し部52a,52d,52e,52hが第1防振装置60Aに支持され、張り出し部52b,52c,52f,52gが第2防振装置60Bに支持されている。第1防振装置60A及び第2防振装置60Bの平面視における配置は、駆動軸11を通る仮想線を中心線とする線対称の配置とされている。
【0086】
上記構成の第2実施形態によれば、第2防振装置60Bにおいて滑り支持部80が無くレベル調整が不要になるため、防振システム50全体の調整部が少なくなり、調整作業の施工性が向上する。なお、第2防振装置60Bにおける弾性材71のへたりは、隣接する第1防振装置60Aの滑り支持部80によって防止することができる。
【0087】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
【0088】
図21は、第3実施形態に係る防振システム50の平面構成図である。
図21に示すように、第3実施形態の防振システム50では、複数の防振装置60が、弾性支持部70及び滑り支持部80の両方を備える第1防振装置60Aと、弾性支持部70及び滑り支持部80のうち、弾性支持部70のみを備える第2防振装置60Bと、さらに、弾性支持部70及び滑り支持部80のうち、滑り支持部80のみを備える第3防振装置60Cによって構成されている。
【0089】
図22は、第3実施形態に係る防振装置60(第3防振装置60C)の断面構成図である。
図22に示すように、第3防振装置60Cは、弾性支持部70及び滑り支持部80のうち、滑り支持部80のみを備えている。つまり、第3防振装置60Cは、上述した弾性支持部70及びたわみ量調整部91を備えていない。
【0090】
図21に戻り、第1防振装置60Aと第2防振装置60Bと第3防振装置60Cの配置を説明すると、平面視で駆動軸11から時計回り配置された支持架台51の張り出し部52a~52hにおいて、張り出し部52a,52d,52e,52hが第1防振装置60Aに支持され、張り出し部52b,52gが第2防振装置60Bに支持され、張り出し部52c,52fが第3防振装置60Cに支持されている。第1防振装置60A、第2防振装置60B及び第3防振装置60Cの平面視における配置は、駆動軸11を通る仮想線を中心線とする線対称の配置とされている。
【0091】
上記構成の第3実施形態によれば、第2防振装置60Bにおいて滑り支持部80が無く、レベル調整が不要になり、また、第3防振装置60Cにおいて弾性支持部70が無く、たわみ量調整が不要になるため、防振システム50全体の調整部が少なくなり、調整作業の施工性が向上する。なお、第2防振装置60Bにおける弾性材71のへたりは、隣接する第1防振装置60Aないし第3防振装置60Cの滑り支持部80によって防止することができる。
【0092】
以上、本発明の好ましい実施形態を記載し説明してきたが、これらは本発明の例示的なものであり、限定するものとして考慮されるべきではないことを理解すべきである。追加、省略、置換、およびその他の変更は、本発明の範囲から逸脱することなく行うことができる。従って、本発明は、前述の説明によって限定されていると見なされるべきではなく、特許請求の範囲によって制限されている。
【0093】
例えば、上記実施形態では、図1に示すように、ポンプ組立体30として立軸ポンプを例示したが、特開2011-21586号公報に開示されているような回転軸が傾斜したスクリューポンプであっても構わない。例えば、特開2011-21586号公報の符号16で示す部分に、上述した防振装置60(防振システム50)を適用することができる。なお、この場合、防振装置60は、傾斜して配置されることとなるが、滑り支持部80はこの傾斜した状態で横滑り可能であればよい。つまり、本願で言う「横振れ」とは、水平面を0°とする水平状態の横揺れのみならず、±30°の範囲内の傾斜状態における横揺れを含む。
【0094】
また、例えば、上記実施形態では、図2に示すように、支持架台51が井桁構造体52を備える構成について例示したが、支持架台51がニ桁構造体を備える構成であっても構わない。つまり、防振装置60は8台に限定されず、4台であっても構わない。
【0095】
また、例えば、上記実施形態では、図1に示すように、ポンプ設備1が、防振装置60の設置領域を囲う縁基礎3と、縁基礎3以上の高さに防振装置60を配置する嵩上部5と、を備える構成について例示したが、縁基礎3が無い建屋基礎2を備える構成であっても構わない。この場合、段差4に鋼製カバーなどを設置し、メンテナンス作業などの際に取り外せるようにしてもよい。
【0096】
また、例えば、上記実施形態では、防振装置60(防振システム50)が減速機20を支持する構成について例示したが、駆動機10を支持する構成であっても構わない。また、防振装置60は、減速機20や駆動機10に限らず、回転機械全般の防振に適用することができる。
【符号の説明】
【0097】
1 ポンプ設備
2 建屋基礎(基礎)
3 縁基礎
5 嵩上部
20 減速機(回転機械)
30 ポンプ組立体
50 防振システム
51 支持架台
60 防振装置
60A 第1防振装置
60B 第2防振装置
60C 第3防振装置
61 防振架台
70 弾性支持部
80 支持部
91 たわみ量調整部
92 レベル調整部
100 計測部
101 検知部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22