(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】試験測定装置及び波形合成方法
(51)【国際特許分類】
G01R 13/34 20060101AFI20240617BHJP
【FI】
G01R13/34 E
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2019239308
(22)【出願日】2019-12-27
【審査請求日】2022-12-12
(32)【優先日】2018-12-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2019-08-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】391002340
【氏名又は名称】テクトロニクス・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】TEKTRONIX,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(74)【代理人】
【識別番号】110001209
【氏名又は名称】特許業務法人山口国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】グレゴリー・エイ・マーティン
(72)【発明者】
【氏名】パトリック・サタールザデー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ジェイ・ピカード
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ジー・ニーリム
【審査官】島▲崎▼ 純一
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第07952396(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0273506(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2006/0271317(US,A1)
【文献】特開2000-332840(JP,A)
【文献】特開2014-121089(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 13/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
出力サンプル・レートを有し、デジタル・サンプル波形と基準クロックを受けて、上記サンプル・レートでアナログ波形を出力するよう構成されたデジタル・アナログ・コンバータと、
上記デジタル・アナログ・コンバータの上記サンプル・レートよりも非整数有理数比率だけ低いボー・レートを有する入力波形を受け、上記デジタル・サンプル波形を供給するように構成された波形合成部と、
上記アナログ波形を出力するように構成されたポートと
を具え
、
上記波形合成部が、
上記入力波形を整数の係数N(Nは1より大きい)でアップ・サンプリングするように構成された波形複製部と、
アップ・サンプリングされた上記入力波形を受けて、上記デジタル・アナログ・コンバータのナイキスト周波数より上の波形成分を除去するよう構成されたローパス・フィルタと、
フィルタ処理されアップ・サンプリングされた上記入力波形をダウン・サンプリングして、上記出力サンプル・レートに一致させるダウン・サンプラと
を有する試験測定装置。
【請求項2】
出力サンプル・レートを有し、デジタル・サンプル波形と基準クロックを受けて、上記サンプル・レートでアナログ波形を出力するよう構成されたデジタル・アナログ・コンバータと、
上記デジタル・アナログ・コンバータの上記サンプル・レートよりも非整数有理数比率だけ低いボー・レートを有する入力波形を受け、上記デジタル・サンプル波形を供給するように構成された波形合成部と、
上記アナログ波形を出力するように構成されたポートと
を具え
、
上記波形合成部が、
上記基準クロックを受けて、シンボル遷移イベントとシンボル遷移サブ・サンプル位相を出力するように構成された波形シンボル・クロック生成部と、
上記入力波形、上記シンボル遷移イベント及び上記シンボル遷移サブ・サンプルを受けて、ボー・レートとデジタル・アナログ・サンプル・レートの有理数比率だけ、上記デジタル・アナログ・コンバータの上記サンプル・レートよりも低いボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を出力するように構成されたエッジ補間部と
を有する試験測定装置。
【請求項3】
上記エッジ補間部が、一定の傾斜又は可変の傾斜を用いた線形エッジ補間によって上記サンプル・レートより小さいボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を補間するように構成される請求項
2の試験測定装置。
【請求項4】
出力サンプル・レートを有するデジタル・アナログ・コンバータによってデジタル・サンプル波形を上記サンプル・レートでアナログ波形に変換する処理と、
ボー・レートを有する入力波形を受ける処理と、
波形合成部によって、上記サンプル・レートよりも低いボー・レートを有するデジタル・サンプル波形を合成する処理と、
被試験デバイスに上記アナログ波形を出力する処理と
を具え
、
上記波形を合成する処理が、
上記入力波形を整数の係数N(Nは1より大きい)でアップ・サンプリングする処理と、
アップ・サンプリングされた上記入力波形をフィルタ処理して上記デジタル・アナログ・コンバータのナイキスト周波数より上の波形成分を除去する処理と、
フィルタ処理されアップ・サンプリングされた上記入力波形をダウン・サンプリングして、上記出力サンプル・レートに一致させる処理と
を有する波形合成方法。
【請求項5】
出力サンプル・レートを有するデジタル・アナログ・コンバータによってデジタル・サンプル波形を上記サンプル・レートでアナログ波形に変換する処理と、
ボー・レートを有する入力波形を受ける処理と、
波形合成部によって、上記サンプル・レートよりも低いボー・レートを有するデジタル・サンプル波形を合成する処理と、
被試験デバイスに上記アナログ波形を出力する処理と
を具え
、
上記波形を合成する処理が、
上記デジタル・アナログ・コンバータが使用する基準クロックに基づいてシンボル遷移イベントとシンボル遷移サブ・サンプル位相を生成する処理と、
上記入力波形、上記シンボル遷移イベント及び上記シンボル遷移サブ・サンプル位相に基づいて、上記デジタル・アナログ・コンバータの上記サンプル・レートよりも低い上記ボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を生成する処理と
を有する波形合成方法。
【請求項6】
上記デジタル・サンプル波形を生成する処理が、一定の傾斜又は可変の傾斜を用いた線形エッジ補間によって、上記サンプル・レートより小さいボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を補間する処理を含む請求項
5の
波形合成方法。
【請求項7】
試験測定装置の1つ以上のプロセッサによって実行されると、上記試験測定装置に、請求項
4から
6のいずれかの方法を実行させる命令を含むコンピュータ・プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、試験測定システムに関連したシステム及び方法に関し、特に、固定サンプル・レートの信号源のための波形を合成する処理に関する。
【背景技術】
【0002】
データ通信アプリケーション用の波形を合成する従来の信号源は、通常、生成される波形の所望のボー・レートの整数倍のサンプル・レートを使用する。これらの波形には、コヒーレント光通信アプリケーションなどのためのノン・リターン・トゥ・ゼロ(NRZ)、パルス振幅変調(PAM)、同相(I)及び直交(Q)信号成分に関する2つの同期したチャンネルに係る直交振幅変調(QAM)のようなシグナリング手法が含まれることがある。
【0003】
従来の波形生成アプローチでは、信号源は、一定の整数補間係数による波形シンボル値の単純な複製を利用して、波形ボー・レートからデジタル・アナログ・コンバータ(DAC)が使用するサンプル・レートまで、アップ・サンプリングを行うことがある。従来の同期波形合成アプローチで任意のボー・レートの波形生成をサポートするには、少なくとも、周波数についてフル・オクターブ変化する、即ち、1:2倍の周波数レンジに渡って変化するDACサンプル・レートであって、整数比で所望の波形ボー・レートと同期されるDACサンプル・レートと、基準クロックとを必要とする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献】
【0005】
【文献】「デジタル-アナログ変換回路」の記事、Wikipedia(日本語版)、[オンライン]、[2019年12月13日検索]、インターネット<https://ja.wikipedia.org/wiki/デジタル-アナログ変換回路>
【文献】「任意波形ジェネレータ」の紹介サイト、テクトロニクス、[online]、[2019年12月25日検索]、インターネット<https://jp.tek.com/arbitrary-waveform-generator-0>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、サンプリング周波数がフル・オクターブ変化する高速DACと信号源を使用した同期波形生成の設計は、困難な場合がある。また、いくつかの異なるボー・レート間の切り替えを必要とする試験及び測定アプリケーションのために、複数の異なるボー・レートをサポートするようにDACのサンプリング周波数を変更すると、DACの障害の多くは、サンプル・レートに影響を受けやすいので、時間のかかる再校正を行う必要がある。
【0007】
本発明の実施形態は、これら及び他の従来技術の欠陥に取り組むものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施形態は、目的とする波形のボー・レートに比較してオーバー・サンプリングされた非同期の固定レートDAC(又は狭い範囲でレート調整可能なDAC)を使い、デジタル信号処理(DSP)を用いて波形を合成することにより、従来の在来技術の課題を解決できる。以下で詳しく説明するように、本発明の実施形態は、DSPでの非整数(fractional)複製/補間技術によって、任意の波形ボー・レートをサポートでき、これは、所望のボー・レートの波形をDACのサンプル・レートまでアップ・サンプリングする。
【0009】
可変サンプル・レートDACに比較して、高速な固定レートDACの設計及び最適化は容易であることから、固定レートDAC(又は狭可変レートDAC)及び信号源を用いる本発明の実施形態は、少なくとも1オクターブに渡ってそのサンプル・レートを変化させることができるDAC及び信号源を使う従来の整数倍複製アプローチよりも有利である。これは、固定レートDACが、同等の可変サンプル・レートDACよりも、サンプル・レートにおいて、もっと高い場合でも同様である。
【0010】
更に、本発明の実施形態によれば、固定レートDAC(又は狭可変レートDAC)及びサンプル信号を一度に校正でき、すると、再度の校正を必要とせずに波形ボー・レートをダイナミックに変更できる。非整数比率で波形を複製や補間するのに使用されるDSP波形合成の実施形態のいくつかは、波形生成中にシンボル期間をダイナミックに変調し、信号源を用いたストレス試験アプリケーションのためのスペクトラム拡散クロック、ジッタ障害の追加、その他のタイミング又は位相障害を、生成される波形に導入するのにも活用できる。
【0011】
本願に開示される実施形態は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)又は特定用途向け集積回路(ASIC)などのリアルタイムDSPハードウェアで実施するか、又は、事前の計算によって実施することもでき、この場合には、波形の複製/補間が事前に行われて信号源(signal source)の波形パターン・メモリにロードされ、この信号源が、DACのサンプル・レートでリアルタイム出力波形を生成するのに使用される。
【0012】
本発明の実施形態の態様、特徴及び効果は、添付の図面を参照した以下の実施形態の説明から明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による波形合成部(シンセサイザ)を有する試験測定装置のブロック図である。
【
図2】
図2は、本発明のいくつかの実施形態によるファロー・リサンプリング・フィルタの一例である。
【
図3】
図3は、本発明の他の実施形態による別の波形合成部を有する試験測定装置の一例である。
【
図4】
図4は、本発明の実施形態による線形エッジ補間の結果グラフである。
【
図5】
図5は、本発明の実施形態に従って行われる線形エッジ補間の結果グラフである。
【
図6】
図6は、本発明の他の実施形態による波形合成部を有する試験測定装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明のいくつかの実施形態による波形合成部(波形シンセサイザ)を有する試験測定装置100のブロック図である。入力波形102、x[n]は、生成すべき所望の出力波形シンボル値のデジタル表現であり、これは、合成すべき波形のボー・レート(F
s,symbol)でサンプリングされても良い。入力波形102は、波形合成部104で受けても良く、波形合成部104は、この波形を整数の係数Nで複製(replicate)し、入力波形をもっと高いサンプル・レートにアップ・サンプリングする。入力波形102を10倍以上のような大きな係数でアップ・サンプリングすると、DAC112の非同期の出力サンプル・レートへマッピングするときの時間分解能が向上し、この処理時に導入されるアーティファクトを低減できるが、同時に、リアルタイムDSPを使用して実施される場合はハードウェアの複雑さが増加する。入力波形102は、DAC112のサンプル・レートより、非整数の有理数の比で小さくても良いボー・レートを有していても良い。
【0015】
入力波形102がN倍に複製されると、ローパス・フィルタ106、G(z)が適用されてDAC112のナイキスト周波数より上の信号成分が除去されるのに加えて、出力波形の周波数と過渡応答特性の所望の整形処理等が行われ、これには、DAC112やその下流の信号パスの応答を補償するためのプリ・エンファシスが含まれていても良い。
【0016】
ローパス・フィルタ106の後、データは、DAC112の出力サンプル・レートに一致するようにサンプル・レートを低減するため、Mでダウン・サンプリングされる(108)。いくつかの実施形態では、Mは、一定の整数値である。しかし、他の実施形態では、Mが、非整数(fractional:分数、端数)のダウン・サンプル係数であっても良く、これは、出力波形を合成する際のDACの各サンプル周期で用いられるダウン・サンプル係数Mをディザリング(dithering)することによってサポートされても良い。即ち、このMの係数は、連続する整数値間で交互に変更されて、多数のDACサンプル期間に渡って平均化された平均ダウン・サンプル係数が、所望の非整数ダウン・サンプル係数になる。
【0017】
上述に基づいて、波形のボー・レートは、数式(1)によって決定される。
【0018】
Fs,Symbol=Fs,DAC(M/N) (1)
【0019】
ダウン・サンプリングされた波形y[m]は、DAC112が受けて、アナログ信号に変換される。DAC112は、また、試験測定装置100の別のコンポーネントから基準クロック114を受けても良い。波形がDAC112によってアナログ信号に変換された後、アナログ波形は、アナログ・ローパス・フィルタ116、H(f)によってフィルタ処理されても良く、これは、DAC112の第1ナイキスト・ゾーンより上の信号成分を除去するために使用される。これにより、従来のDACの第1より上のナイキスト・ゾーンにおけるゼロ次ホールド効果を除去できる。ゼロ次ホールド効果は、第1ナイキスト・ゾーンの波形スペクトラムのsin(πf)/(πf)の複製を、第1より上のナイキスト・ゾーン全体に生じさせるが、これは、DACサンプル・レートが整数のアップ・サンプル係数で入力波形ボー・レートと関連しない場合(例えば、ボー・レートが、DAC112のサンプル・レートより、非整数の有理数の比率で小さい場合など)には、出力波形中に生成されることがあるアーティファクトのために、望ましくない場合がある。フィルタ処理された波形は、試験測定装置100のポート118に出力される。被試験デバイスが、ケーブル(又は、DAC112の出力端子の後に電光変換器を使用する場合は光ファイバ)を介してポート118に接続されて、フィルタ処理されたアナログ波形を受けるようにしても良い。
【0020】
DAC112のサンプル・レート(Fs,DAC)が、波形ボー・レート(Fs,symbol)の整数倍という実施形態又は状況では、DAC112のゼロ次ホールド応答が、合成された波形とコヒーレントであり、出力波形における所望のシンボル遷移(Symbol Transitions)を補強できるので、アナログ・ローパス・フィルタ116を除去又はバイパスし、DAC112の出力信号をポート118に直接送っても良い。
【0021】
実施形態によっては、波形複製部(replicator)104、ローパス・フィルタ106及びダウン・サンプラ108ではなくて、上述のローパス・フィルタ106の代わりに、ダイレクト線形補間リサンプラ(direct linear interpolation resampler)又はファロー(Farrow)リサンプリング・フィルタ構造を用いて波形を合成しても良い。このような実施形態では、
図1の実施形態の残りのコンポーネントは同じままであろう。
【0022】
ダイレクト線形補間リサンプラを使用すると、DACの入力サンプル、y[m]は、以下の数式(2)、(3)及び(4)を使用して、入力波形102、x[n]から計算できる。
【0023】
【0024】
μ[m]=(m/r)-n[m] (3)
【0025】
y[m]=(1-μ[m])・x[n[m]]+μ[m]・x[n[m]+1] (4)
【0026】
このとき、r=(F
s,DAC)/(F
s,symbol)。即ち、rは、出力サンプル・レートとボー・レートの比である。しかし、ダイレクト線形補間リサンプリングのアプローチの制約は、
図1に関して上述した複製及び間引きのアプローチ(かなりシャープなDSPローパス・フィルタ106がDAC112のナイキスト周波数付近で使用されると仮定した場合)のような他のアプローチと比較すると、合成される波形中のエッジの立ち上がり/立ち下がり時間が劣化することである。
【0027】
図2に示す3次補間法のためのファロー(Farrow)リサンプリング・フィルタ200を使うと、μの値は、DAC112の各サンプル期間でダイナミックに変化し、波形ボー・レート(F
s,symbol)とDAC112の出力サンプル・レート(F
s,DAC)との間の所望の非整数(fractional)リサンプリング・レートが得られる。
【0028】
ファロー・リサンプリング・フィルタ200は、実施形態がリアルタイムDSPを使用して実施される場合、追加のハードウェアの複雑さという代償はあるが、ダイレクト線形補間リサンプリングのアプローチのようなエッジの立ち上がり/立ち下がり時間の劣化を避けるために、より高次の項を含んでいても良い。ただし、ファロー・フィルタ200のリアルタイムDSPハードウェアの複雑さは、
図1に示す汎用のDSP波形複製及び間引きアプローチよりも小さくなり得る。
【0029】
ダイレクト線形補間リサンプラ及びファロー・フィルタ200は、シンボル周期と、その結果生じるシンボル値間の遷移を、位相に関してダイナミックに変調できるため、スペクトル拡散クロック(spread spectrum clocking)、ジッタ障害やその他の出力波形におけるタイミング又は位相関連の障害の挿入をサポートでき、もって、試験及び測定アプリケーション用のストレス障害生成をサポートする点で、有利なものとなり得る。
【0030】
図3は、エッジ補間を使った波形合成のための本発明の別の実施形態を示す。
図3の実施形態は、シンボル値の直接的な整数倍の複製と、各シンボル遷移エッジに1個のDACサンプル値を補間することとを組み合わせる。これによれば、オーバー・サンプリングされたDAC112のフル分解能を活用して、合成された出力波形のサブ・サンプル・エッジ交差のタイミング精度を向上させ、合成波形で生成される意図しないジッタ・アーティファクトを最小限にできる。
【0031】
図3に一例を示しているが、エッジ補間を用いた波形合成は、上述したDSP波形複製及び間引き100又は高次(higher order)ファロー・フィルタ200よりも、リアルタイムDSPの実施形態に関するハードウェアの複雑度は、はるかに低い。また、補間がシンボル・エッジの遷移夫々につき、1個のサンプルに制限されるため、ダイレクト線形補間リサンプリング又は低次ファロー・フィルタに比べて、エッジの立ち上がり/立ち下がり時間の劣化も少なくなる。
【0032】
図3に示す実施形態300において、波形シンボル・クロック発生部302は、試験測定装置からのDAC基準クロック304と、波形シンボル・クロック変調信号306を受けることができる。波形シンボル・クロック発生部302は、シンボル遷移イベント308及びシンボル遷移サブ・サンプル位相310を波形合成エッジ補間部312に出力し、波形合成エッジ補間部312は、入力信号102、x[n]も受ける。波形合成エッジ補間部312は、デジタル信号y[m]を出力し、これは、DAC112によってアナログ信号に変換される。また、
図3の実施形態には、ポート118に出力される前のアナログ信号をフィルタするアナログ・フィルタ116もあるが、これらは
図1と同様であり、そのため、これらのコンポーネントついて、本願で追加の説明はしない。
【0033】
波形シンボル・クロック発生部302は、DAC出力サンプル・レート(Fs,DAC)に関して、非同期の入力波形ボー・レート(Fs,Symbol)で、仮想の波形クロック周期を合成する。波形シンボル・クロック発生部302は、DAC出力サンプルに対するシンボル周期を決定する数式(5)に基づいて、各シンボルの遷移が時間的にいつ発生すべきかを把握できる。
【0034】
TS=Fs,DAC/Fs,Symbol (5)
【0035】
波形シンボル・クロック発生部302は、非整数(fractional:端数の)サンプル時間分解能を有するカウンタとして実施でき、シンボル遷移308が発生する箇所であろうDAC112のサンプル期間を把握できるのに加えて、合成される波形とは非同期的なDAC112の隣接する2つのサンプル間で発生すべきシンボル遷移の箇所に追従する非整数(fractional)サブ・サンプル成分310も把握できる。非整数サブ・サンプル・シンボル遷移時間(時点)310は、波形合成エッジ補間部312への入力として用いられる。エッジ補間の目標は、DACとその下流の出力ポート118までのアナログ信号パスの応答を計算に入れた後に、この信号源によって生成される出力波形中のDAC112の連続する出力サンプルの間の所望のサブ・サンプル時点で、生成される出力波形中にシンボル遷移を生じさせるDAC112の入力サンプルを選択することである。
【0036】
以下の数式(6)~(8)は、波形シンボル・クロック発生部302による波形シンボル遷移時間の計算方法を記述しており、波形シンボル遷移時間は、DACのサンプル・レートで出力波形を合成する際の連続するシンボル期間の中の、整数のDACサンプル遷移イベント308(k)に関する成分と、サブ・サンプル非整数遷移位相成分310(φ)とに分離される。
【0037】
t[n+1]=t[n]+TS (6)
【0038】
k[n+1]=round(t[n+1]) (7)
【0039】
φ[n+1]=t[n+1]-k[n+1], -0.5≦φ[n+1]<+0.5 (8)
【0040】
波形合成エッジ補間部312は、上記の数式(7)で計算されるように、シンボル期間遷移を有する出力DACサンプルに関してアクティブなことがある。それ以外の場合、現在の波形シンボル値x[n]は、次のサンプル期間遷移が生じるまで複製される。
【0041】
サブ・サンプル非整数シンボル遷移位相(φ[n])成分310は、波形合成エッジ補間部312で適切な補間DAC値を算出するのに使用されて、連続するDAC出力サンプルの間の所望のシンボル遷移時間が得られる。
【0042】
波形合成エッジ補間部312は、補間DACサンプル値を算出するのに、いろいろな方法で動作しても良い。例えば、次の数式(9)は、シンボル遷移について、そして、式(10)は、これら遷移に続く他のサンプルについて、DACサンプル値を補間するのに使用でき、シンボル期間遷移の夫々に使用される。
【0043】
y[k[n+1]]=x[n]+(0.5-φ[n+1])・(x[n+1]-x[n]) (9)
【0044】
y[m]=x[n], m∈{k[n]+1,…,k[n+1]-1} (10)
【0045】
波形合成エッジ補間部312は、数式(9)及び(10)を利用し、合成される波形におけるエッジの一定の傾斜を使って、シンボル値とシンボル値の間の、所望のサブ・サンプル決定しきい値と交差する時間(時点)を得ることができる。
【0046】
図4は、プロット400を示す。プロット400は、理想的な連続時間波形402(DACサンプル間隔の4.23倍のユニット・インターバルを有する)と、数式(9)及び(10)を用いた補間波形404と、低帯域幅チャンネルを使った数式(9)と(10)を用いた補間波形406とを示す。
【0047】
これに代えて、上述したように各シンボル遷移のエッジ傾斜を一定に保つのではなく、実施形態によっては、波形合成エッジ補間部312が、エッジの傾斜を変化させて、シンボル値とシンボル値の間の、所望のサブ・サンプル決定しきい値と交差する時間(時点)を得るようにしても良い。これは、数式(11)~15)で説明される。
【0048】
t[n+1]=t[n]+TS (11)
【0049】
【0050】
φ[n+1]=t[n+1]-k[n+1], 0≦φ[n+1]<1 (13)
【0051】
μ[n+1]=(x[n]+x[n+1])/2 (14)
【0052】
【0053】
図5は、数式(11)~(15)を用いたプロット500を示す。プロット500は、理想的な連続時間波形502(DACサンプル間隔の4.23倍のユニット・インターバルを有する)と、数式(11)~(15)を使用した補間波形504と、低帯域幅出力チャンネルを使った数式(11)~(15)を用いた補間波形506とを示す。
【0054】
上述した各実施形態の性能は、DAC112とポート118における信号源出力信号パスの帯域幅及び周波数応答に加えて、DAC112の分解能その他の性能の特性に依存する。
【0055】
図6は、本発明の別の実施形態600を示しており、これは、理想的でないチャンネル周波数応答や帯域幅の制限の影響を考慮しながら、依然として、リアルタイムDSPハードウェアで実現しやすい実施形態であり、エッジ補間をより良く最適化できることがある。
【0056】
図6の実施形態にも、波形シンボル・クロック発生部302があり、これは、DAC基準クロック304及び波形シンボル・クロック変調信号306を受けて、シンボル遷移サブ・サンプル位相310及びシンボル遷移イベント308を出力しても良い。
【0057】
波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル602及び波形シンボル複製部(レプリケータ)604の両方で、入力信号102を受ける。波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル602及び波形シンボル複製部604夫々の出力信号に加えて、シンボル遷移イベント308が、マルチプレクサ606に送られる。マルチプレクサ606は、デジタル信号y[m]を出力するが、これは、DAC112でアナログ信号に変換され、そして、ポート118に出力される前に、アナログ・ローパス・フィルタ116でフィルタ処理される。マルチプレクサ606は、受信したシンボル遷移イベント308に基づいて、波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル602の出力信号か、又は、波形シンボル複製部604の出力信号のいずれかを選択する。
【0058】
波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル602は、現在のシンボル値(つまり、入力信号102、x[n])、次のシンボル値(x[n+1])、及び、シンボル遷移サブ・サンプル位相310に基づいて、連続するシンボル値の間の遷移に使用できるDACサンプル値を生成できる。波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル602は、ポート118までの信号パスの周波数応答、帯域幅等の総合的な特性を計算に入れて、ポート118の出力において所与のφ[n]となるのに最も近い、連続するDACサンプルの間の、所望のサブ・サンプル決定しきい値と交差する位相を実現するDACサンプル値を選択する。
【0059】
波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル602の値は、シンボル値の遷移の間の補間エッジ値において取り得るDAC112の各レベルに関して、ポート118においてステップ応答の特性を測定し、次いで、DAC112の各レベルに関して、サブ・サンプル・エッジ決定しきい値と交差する位相を測定することによって校正しても良い。この情報は、次いで、波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル602に保存又は蓄積される係数を生成するのに利用される。これら係数は、波形エッジの夫々に使用される補間された出力DACサンプル値を選択するためのもので、補間された出力DACサンプル値は、この信号源の出力信号において、所望のサブ・サンプル・エッジ決定しきい値と交差する位相に最も近くなる。DAC112の入力サンプルは、上述した他のエッジ補間方法で行ったのと同様にして、シンボル遷移とシンボル遷移の間で複製されても良い。
【0060】
本発明の態様は、特別に作成されたハードウェア、ファームウェア、デジタル・シグナル・プロセッサ又はプログラムされた命令に従って動作するプロセッサを含む特別にプログラムされた汎用コンピュータ上で動作できる。本願における「コントローラ」又は「プロセッサ」という用語は、マイクロプロセッサ、マイクロコンピュータ、ASIC及び専用ハードウェア・コントローラ等を意図する。本発明の態様は、1つ又は複数のコンピュータ(モニタリング・モジュールを含む)その他のデバイスによって実行される、1つ又は複数のプログラム・モジュールなどのコンピュータ利用可能なデータ及びコンピュータ実行可能な命令で実現できる。概して、プログラム・モジュールとしては、ルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造などを含み、これらは、コンピュータその他のデバイス内のプロセッサによって実行されると、特定のタスクを実行するか、又は、特定の抽象データ形式を実現する。コンピュータ実行可能命令は、ハードディスク、光ディスク、リムーバブル記憶媒体、ソリッド・ステート・メモリ、RAMなどのコンピュータ可読記憶媒体に記憶しても良い。当業者には理解されるように、プログラム・モジュールの機能は、様々な実施例において必要に応じて組み合わせられるか又は分散されても良い。更に、こうした機能は、集積回路、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)などのようなファームウェア又はハードウェア同等物において全体又は一部を具体化できる。特定のデータ構造を使用して、本発明の1つ以上の態様をより効果的に実施することができ、そのようなデータ構造は、本願に記載されたコンピュータ実行可能命令及びコンピュータ使用可能データの範囲内と考えられる。
【0061】
開示された態様は、場合によっては、ハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア又はそれらの任意の組み合わせで実現されても良い。開示された態様は、1つ以上のプロセッサによって読み取られ、実行され得る1つ又は複数のコンピュータ可読媒体によって運搬されるか又は記憶される命令として実現されても良い。そのような命令は、コンピュータ・プログラム・プロダクトと呼ぶことができる。本願で説明するコンピュータ可読媒体は、コンピューティング装置によってアクセス可能な任意の媒体を意味する。限定するものではないが、一例としては、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含むことができる。
【0062】
コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ読み取り可能な情報を記憶するために使用することができる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、コンピュータ記憶媒体としては、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、電気消去可能プログラマブル読み出し専用メモリ(EEPROM)、フラッシュメモリやその他のメモリ技術、コンパクト・ディスク読み出し専用メモリ(CD-ROM)、DVD(Digital Video Disc)やその他の光ディスク記憶装置、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスク記憶装置やその他の磁気記憶装置、及び任意の技術で実施された任意の他の揮発性又は不揮発性の取り外し可能又は取り外し不能の媒体を含んでいても良い。コンピュータ記憶媒体としては、信号そのもの及び信号伝送の一時的な形態は排除される。
【0063】
通信媒体とは、コンピュータ可読情報の通信に利用できる任意の媒体を意味する。限定するものではないが、例としては、通信媒体には、電気、光、無線周波数(RF)、赤外線、音又はその他の形式の信号の通信に適した同軸ケーブル、光ファイバ・ケーブル、空気又は任意の他の媒体を含むことができる。
【0064】
実施例
以下では、本願で開示される技術の理解に有益な実施例が提示される。この技術の実施形態は、以下で記述する実施例の1つ以上及び任意の組み合わせを含んでいても良い。
【0065】
実施例1は、試験測定装置であって、出力サンプル・レートを有し、デジタル・サンプル波形と基準クロックを受けて、上記サンプル・レートでアナログ波形を出力するよう構成されたデジタル・アナログ・コンバータと、上記デジタル・アナログ・コンバータの上記サンプル・レートよりも非整数有理数比率だけ低いボー・レートを有する入力波形を受け、上記デジタル・サンプル波形を供給するように構成された波形合成部(波形シンセサイザ)と、上記アナログ波形を出力するように構成されたポートとを具えている。
【0066】
実施例2は、実施例1の試験測定装置であって、このとき、上記波形合成部がリアルタイムで動作する。
【0067】
実施例3は、実施例1又は2のいずれかの試験測定装置であって、上記波形合成部が、入力波形を整数の係数N(Nは1より大きい)でアップ・サンプリングするように構成された波形複製部と、アップ・サンプリングされた入力波形を受けて、上記デジタル・アナログ・コンバータのナイキスト周波数より上の波形成分を除去するよう構成されたローパス・フィルタと、フィルタ処理されアップ・サンプリングされた入力波形をダウン・サンプリングして、上記出力サンプル・レートに一致させるダウン・サンプラとを有している。
【0068】
実施例4は、実施例1~3のいずれかの試験測定装置であって、更に、上記アナログ信号を受けて、上記デジタル・アナログ・コンバータの第1ナイキスト・ゾーンより上の信号成分を除去するように構成されるアナログ・ローパス・フィルタを具えている。
【0069】
実施例5は、実施例1~4のいずれかの試験測定装置であって、上記波形合成部が、上記基準クロックを受けて、シンボル遷移イベントとシンボル遷移サブ・サンプル位相を出力するように構成された波形シンボル・クロック生成部と、上記入力波形、上記シンボル遷移イベント及び上記シンボル遷移サブ・サンプルを受けて、ボー・レートとデジタル・アナログ・サンプル・レートの有理数比率だけ、上記デジタル・アナログ・コンバータの上記サンプル・レートよりも低いボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を出力するように構成されたエッジ補間部とを有している。
【0070】
実施例6は、実施例5の試験測定装置であって、このとき、上記エッジ補間部は、一定の傾斜を用いた線形エッジ補間によって上記サンプル・レートより小さいボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を補間するように構成される。
【0071】
実施例7は、実施例5の試験測定装置であって、このとき、上記エッジ補間部は、可変の傾斜を用いた線形エッジ補間によって上記サンプル・レートより小さいボー・レートを有するデジタル・サンプル波形を補間するように構成される。
【0072】
実施例8は、実施例5の試験測定装置であって、上記エッジ補間部は、上記入力信号及び上記シンボル遷移サブ・サンプル位相を受けて、補間されたエッジ信号を出力するよう構成されたエッジ補間ルックアップ・テーブルを有する。
【0073】
実施例9は、実施例5の試験測定装置であって、このとき、上記波形シンボル・クロック生成部は、更に、波形シンボル・クロック変調信号を受けるよう構成される。
【0074】
実施例10は、波形を合成する方法であって、出力サンプル・レートを有するデジタル・アナログ・コンバータによってデジタル・サンプル波形を上記サンプル・レートでアナログ波形に変換する処理と、ボー・レートを有する入力波形を受ける処理と、波形合成部(シンセサイザ)によって、上記サンプル・レートよりも低いボー・レートを有するデジタル・サンプル波形を合成する処理と、被試験デバイスに上記アナログ波形を出力する処理とを具えている。
【0075】
実施例11は、実施例10の方法であって、このとき、上記デジタル・サンプル波形を合成する処理が、上記デジタル・サンプル波形をリアルタイムで合成する処理を有している。
【0076】
実施例12は、実施例10又は11のいずれかの方法であって、このとき、上記波形を合成する処理が、上記入力波形を整数の係数N(Nは1より大きい)でアップ・サンプリングする処理と、アップ・サンプリングされた波形をフィルタ処理して上記デジタル・アナログ・コンバータのナイキスト周波数より上の波形成分を除去する処理と、フィルタ処理されアップ・サンプリングされた入力波形をダウン・サンプリングして固定の上記出力サンプル・レートに合わせる処理とを有している。
【0077】
実施例13は、実施例10~12のいずれかの方法であって、更に、上記アナログ波形を出力する前に、上記デジタル・アナログ・コンバータの第1ナイキスト・ゾーンより上の信号成分を除去するために上記アナログ信号をフィルタする処理を具えている。
【0078】
実施例14は、実施例10~13の方法であって、上記波形を合成する処理が、上記デジタル・アナログ・コンバータが使用する基準クロックに基づいてシンボル遷移イベントとシンボル遷移サブ・サンプル位相を生成する処理と、上記入力波形、上記シンボル遷移イベント及び上記シンボル遷移サブ・サンプル位相に基づいて、上記デジタル・アナログ・コンバータの上記サンプル・レートよりも低い上記ボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を生成する処理とを有している。
【0079】
実施例15は、実施例14の方法であって、このとき、上記デジタル・サンプル波形を生成する処理が、一定の傾斜を用いた線形エッジ補間によって、上記サンプル・レートより小さいボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を補間する処理を含む。
【0080】
実施例16は、実施例14の方法であって、このとき、上記デジタル・サンプル波形を生成する処理が、可変の傾斜を用いた線形エッジ補間によって、上記サンプル・レートより小さいボー・レートを有する上記デジタル・サンプル波形を補間する処理を含む。
【0081】
実施例17は、実施例14の方法であって、このとき、上記デジタル・サンプル波形を生成する処理が、上記入力信号及び上記シンボル遷移サブ・サンプル位相を受けて、補間されたエッジ信号を出力するように構成されたエッジ補間ルックアップ・テーブルに基づいて、エッジ信号を選択する処理を有している。
【0082】
実施例18は、実施例14の方法であって、このとき、上記シンボル遷移イベント及び上記シンボル遷移サブ・サンプル位相を生成する処理が、更に、波形シンボル・クロック変調信号に基づいている。
【0083】
実施例19は、1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体であって、試験測定装置の1つ以上のプロセッサによって実行されると、上記試験測定装置に、出力サンプル・レートを有するデジタル・アナログ・コンバータによってデジタル・サンプル波形を上記サンプル・レートでアナログ波形に変換させ、ボー・レートを有する入力波形を受けさせ、波形合成部によって上記サンプル・レートよりも低いボー・レートを有するデジタル・サンプル波形をリアルタイムで合成させ、被試験デバイスに上記アナログ波形を出力させる命令を含んでいる。
【0084】
実施例20は、実施例19の1つ以上のコンピュータ可読記憶媒体であって、更に、上記入力波形を整数の係数N(Nは1より大きい)でアップ・サンプリングし、アップ・サンプリングされた波形をフィルタ処理して上記デジタル・アナログ・コンバータのナイキスト周波数より上の波形成分を除去し、整数の係数でフィルタ処理されアップ・サンプリングされた入力波形をダウン・サンプリングして所望の出力ボー・レートを得ることによって、上記波形を合成する命令を更に含んでいる。
【0085】
開示された主題の上述のバージョンは、記述したか又は当業者には明らかであろう多くの効果を有する。それでも、開示された装置、システム又は方法のすべてのバージョンにおいて、これらの効果又は特徴のすべてが要求されるわけではない。
【0086】
加えて、本願の記述は、特定の特徴に言及している。本明細書における開示には、これらの特定の特徴の全ての可能な組み合わせが含まれると理解すべきである。ある特定の特徴が特定の態様又は実施例の状況において開示される場合、その特徴は、可能である限り、他の態様及び実施例の状況においても利用できる。
【0087】
また、本願において、2つ以上の定義されたステップ又は工程を有する方法に言及する場合、これら定義されたステップ又は工程は、状況的にそれらの可能性を排除しない限り、任意の順序で又は同時に実行しても良い。
【0088】
説明の都合上、本発明の具体的な実施例を図示し、説明してきたが、本発明の要旨と範囲から離れることなく、種々の変更が可能なことが理解できよう。従って、本発明は、添付の特許請求の範囲を除いて限定されるべきではない。
【符号の説明】
【0089】
100 試験測定装置
102 入力波形
104 波形合成部(シンセサイザ)
106 ローパス・フィルタ
108 ダウン・サンプラ
112 DAC
114 基準クロック
116 ローパス・フィルタ
118 出力ポート
200 ファロー・リサンプリング・フィルタ
300 試験測定装置械
302 波形シンボル・クロック発生部
304 DAC基準クロック
306 波形シンボル・クロック変調信号
308 シンボル遷移イベント
310 シンボル遷移サブ・サンプル位相
312 波形合成エッジ補間部
600 試験測定装置
602 波形合成エッジ補間ルックアップ・テーブル
604 波形シンボル複製部
606 マルチプレクサ