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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ネットワーク装置
(51)【国際特許分類】
   H04L 12/28 20060101AFI20240617BHJP
   H04L 61/00 20220101ALI20240617BHJP
【FI】
H04L12/28 400
H04L61/00
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020078000
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021175096
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-03-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
(74)【代理人】
【識別番号】100143720
【弁理士】
【氏名又は名称】米田 耕一郎
(72)【発明者】
【氏名】水永卓真
【審査官】和平 悠希
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0227266(US,A1)
【文献】特開2001-156801(JP,A)
【文献】特開2018-064165(JP,A)
【文献】特開平01-192235(JP,A)
【文献】特開2003-333042(JP,A)
【文献】特開2005-277978(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
H04L 41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のモジュールがシリアルに接続されたネットワーク装置であって、
それぞれのモジュールは、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有し、
さらに、
それぞれのモジュールは、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、を備え、
当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールが所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールに互いに異なるID番号が付与されるものであって、
電源投入時に、前記ID番号情報保持部には、ID番号として使用できる番号が仮設定され、
前記各モジュールの前記ID番号情報更新部は、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号に1単位を加算した値または前段モジュールのID番号から1単位を減算した値を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定する
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項2】
複数のモジュールがシリアルに接続されたネットワーク装置であって、
それぞれのモジュールは、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有し、
さらに、
それぞれのモジュールは、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、を備え、
当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールが所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールに互いに異なるID番号が付与されるものであって、
さらに、ID番号が固定されたモジュールが当該ネットワーク装置に接続されていて、
ID番号が固定されたモジュールは、自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したとき、前記受信した第1指令をそのまま自己の第1指令として後段モジュールに出力する
ことを特徴とするネットワーク装置
【請求項3】
請求項2に記載のネットワーク装置において、
前記ID番号が固定されたモジュールに電源投入されたとき、前記ID番号が固定されたモジュールが最初に出力する前記第1指令に含まれるID番号情報は、ID番号として使用できる最小の番号よりも1単位小さい値である
ことを特徴とするネットワーク装置。
【請求項4】
複数のモジュールがシリアルに接続されたネットワーク装置の前記モジュールのID番号を付与するネットワーク装置の制御方法であって、
それぞれのモジュールは、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有していて、
さらに、それぞれのモジュールは、自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部を有していて、
当該ネットワーク装置の制御方法は、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成ステップと、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力ステップと、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成ステップと、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力ステップと、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新ステップと、を備え、
当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールが所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールに互いに異なるID番号を付与するものであって、
電源投入時に、前記ID番号情報保持部には、ID番号として使用できる番号が仮設定され、
前記各モジュールの前記ID番号情報更新ステップは、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号に1単位を加算した値または前段モジュールのID番号から1単位を減算した値を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定する
ことを特徴とするネットワーク装置の制御方法。
【請求項5】
複数のモジュールがシリアルに接続されたネットワーク装置の前記モジュールのID番号を付与するネットワーク装置の制御方法であって、
それぞれのモジュールは、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有していて、
さらに、それぞれのモジュールは、自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部を有していて、
当該ネットワーク装置の制御方法は、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成ステップと、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力ステップと、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成ステップと、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力ステップと、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新ステップと、を備え、
当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールが所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールに互いに異なるID番号を付与するものであって、
さらに、ID番号が固定されたモジュールが当該ネットワーク装置に接続されていて、
ID番号が固定されたモジュールは、自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したとき、前記受信した第1指令をそのまま自己の第1指令として後段モジュールに出力する
ことを特徴とするネットワーク装置の制御方法。
【請求項6】
自己のID番号を設定するモジュールであって、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有し、
さらに、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、を備え、
ネットワーク装置に繋がった当該モジュール同士が所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、互いに異なるID番号を設定するものであって、
電源投入時に、前記ID番号情報保持部には、ID番号として使用できる番号が仮設定され、
前記各モジュールの前記ID番号情報更新部は、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号に1単位を加算した値または前段モジュールのID番号から1単位を減算した値を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定する
ことを特徴とするモジュール。
【請求項7】
モジュールのID番号を管理するプログラムであって、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有するモジュールにコンピュータを組み込んで、このコンピュータを、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、して機能させ、
ネットワーク装置に繋がった当該モジュール同士が所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、互いに異なるID番号を設定させるものであって、
電源投入時に、前記ID番号情報保持部には、ID番号として使用できる番号が仮設定され、
前記各モジュールの前記ID番号情報更新部は、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号に1単位を加算した値または前段モジュールのID番号から1単位を減算した値を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定する
ことを特徴とするモジュールID番号管理プログラム。
【請求項8】
モジュールのID番号を管理するプログラムであって、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有するモジュールにコンピュータを組み込んで、このコンピュータを、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、して機能させ、
ネットワーク装置に繋がった当該モジュール同士が所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、互いに異なるID番号を設定させるものであって、
さらに、ID番号が固定されたモジュールが当該ネットワーク装置に接続されていて、
ID番号が固定されたモジュールは、自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したとき、前記受信した第1指令をそのまま自己の第1指令として後段モジュールに出力するようにする
ことを特徴とするモジュールID番号管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネットワーク装置に関する。例えば、モジュールを複数台接続したネットワーク装置において、各モジュールのID番号(識別番号)を自動的に設定する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば多点同時測定するような測定システムを構築するにあたって、測定器を複数台連結して使用したい場合がある(特許文献1)。このとき、測定器が接続された制御ユニット(例えばカウンタ)を複数台用意し、これら複数の制御ユニットを上位のI/Fモジュールやホストコンピュータに接続するということが行なわれる。
(「接続」は、有線でも無線でもよく、電気的に接続されてもよいし、通信接続でもよい。)
ホストコンピュータと各制御ユニット(例えばカウンタ)との通信にはそれぞれの制御ユニットのID番号が適切に設定されている必要がある。
【0003】
従来は、別途の通信でカウンタ内のEEPROM等の記憶媒体にID番号を書き込んだり、ディップスイッチであらかじめID番号を指定して設定したりする必要があった。
また、連結するカウンタを組み替えたり追加したりした場合に、他のカウンタと重複しないように再度ID番号を指定して設定するといった手間が発生していた。
また、すべてを連番とせずに、順番を組み替えてもID番号を固定にしたいカウンタがあるような場合、カウンタのID番号の設定は複雑な作業となっていた。
そして、上位のモジュール(I/Fモジュールやホストコンピュータ)にカウンタのID番号を適切に設定記憶することも手間の掛かる複雑な作業となる場合があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第3299488号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、ネットワーク接続された複数のモジュールのID番号を簡便に自動設定するネットワーク装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のネットワーク装置は、
複数のモジュールがシリアルに接続されたネットワーク装置であって、
それぞれのモジュールは、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有し、
さらに、
それぞれのモジュールは、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、を備え、
当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールが所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールに互いに異なるID番号が付与される
ことを特徴とする。
【0007】
本発明の一実施形態では、
電源投入時に、前記ID番号情報保持部には、ID番号として使用できる最小の番号が仮設定され、
前記各モジュールの前記ID番号情報更新部は、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号に1単位を加算した値を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定する
ことが好ましい。
【0008】
本発明の一実施形態では、
さらに、ID番号が固定されたモジュールが当該ネットワーク装置に接続されていて、
ID番号が固定されたモジュールは、自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したとき、前記受信した第1指令をそのまま自己の第1指令として後段モジュールに出力する
ことが好ましい。
【0009】
本発明の一実施形態では、
前記ID番号が固定されたモジュールに電源投入されたとき、前記ID番号が固定されたモジュールが最初に出力する前記第1指令に含まれるID番号情報は、ID番号として使用できる最小の番号よりも1単位小さい値である
ことが好ましい。
【0010】
本発明のネットワーク装置の制御方法は、
複数のモジュールがシリアルに接続されたネットワーク装置の前記モジュールのID番号を付与するネットワーク装置の制御方法であって、
それぞれのモジュールは、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有していて、
さらに、それぞれのモジュールは、自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部を有していて、
当該ネットワーク装置の制御方法は、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成ステップと、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力ステップと、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成ステップと、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力ステップと、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新ステップと、を備え、
当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールが所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、当該ネットワーク装置に繋がった各モジュールに互いに異なるID番号を付与する
ことを特徴とする。
【0011】
本発明のモジュールは、
自己のID番号を設定するモジュールであって、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有し、
さらに、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、を備え、
ネットワーク装置に繋がった当該モジュール同士が所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、互いに異なるID番号を設定する
ことを特徴とする。
【0012】
本発明のモジュールID番号管理プログラムは、
モジュールのID番号を管理するプログラムであって、
自己の前段モジュールからの信号を受け取る前段入力ポートと、
自己の前段モジュールに信号を出力する前段出力ポートと、
自己の後段モジュールに信号を出力する後段出力ポートと、
自己の後段モジュールからの信号を受け取る後段入力ポートと、を有するモジュールにコンピュータを組み込んで、このコンピュータを、
自己のID番号情報を保持するID番号情報保持部と、
自己のID番号情報を自己の後段モジュールに伝える第1指令を生成する第1指令生成部と、
前記第1指令を前記後段出力ポートから出力する第1指令出力部と、
自己および自己よりも後段のモジュールのID番号情報を自己の前段モジュールに伝える第2指令を生成する第2指令生成部と、
前記第2指令を前記前段出力ポートから出力する第2指令出力部と、
自己の前段モジュールから前記第1指令を受信したときに、受信した前記第1指令に含まれる前段モジュールのID番号情報を単調増加または単調減少させる所定演算で求めた新ID番号情報を自己のID番号情報として前記ID番号情報保持部に設定するID番号情報更新部と、して機能させ、
ネットワーク装置に繋がった当該モジュール同士が所定回数または所定時間の間前記第1指令および前記第2指令を出力することによって、互いに異なるID番号を設定させる
ことを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】測定システムの一例を示す図である。
図2】カウンタの機能ブロック図である。
図3】第1指令信号と第2指令信号のデータ形式の一例を示す図である。
図4】第1動作例として、3つのカウンタのID番号を自動で設定する場合の動作を説明するための図である。
図5】第1動作例を説明するための図である。
図6】第1動作例を説明するための図である。
図7】第1動作例を説明するための図である。
図8】第1動作例を説明するための図である。
図9】第1動作例を説明するための図である。
図10】第1動作例を説明するための図である。
図11】第1動作例を説明するための図である。
図12】第1動作例を説明するための図である。
図13】第1動作例を説明するための図である。
図14】第1動作例においてID番号の確定状態を例示した図である。
図15】第2動作例として、固定IDのカウンタを含む3つのカウンタにIDを設定する場合の動作を説明するための図である。
図16】第2動作例を説明するための図である。
図17】第2動作例を説明するための図である。
図18】第2動作例を説明するための図である。
図19】第2動作例を説明するための図である。
図20】第2動作例を説明するための図である。
図21】第2動作例を説明するための図である。
図22】第2動作例を説明するための図である。
図23】第2動作例を説明するための図である。
図24】第2動作例を説明するための図である。
図25】第2動作例においてID番号の確定状態を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態を図示するとともに図中の各要素に付した符号を参照して説明する。
(第1実施形態)
図1に測定システムの一例を示す。
測定システムは、多点同時測定をするため、複数のデジタルインジケータ(デジタルダイヤルゲージや電気マイクロメータともいう)を有している。
インジケータ10は、本体筒部と、本体筒部に対して摺動可能に設けられたスピンドルと、スピンドルの変位を検出するエンコーダと、を有する。
【0015】
各インジケータ10はカウンタ(モジュール)100に接続されている。
ここで、カウンタ100は、インジケータ10の制御ユニットであり、検出器、表示器、通信器、簡易演算器等の機能を有する。(カウンタ(モジュール)100を中継ユニットやデータ収集ユニットと称することもあるし、単に、小型端末器といってもよい。)
【0016】
測定システムにおいて、複数のカウンタ100はシリアル接続されている。
最前段のカウンタ100はホストコンピュータ20に接続されている。さらに、最前段のカウンタ100とホストコンピュータ20との間に例えばI/F(インターフェース)モジュールが接続されてもよい。
【0017】
ここで、ホストコンピュータ20が各カウンタ100と通信するためには、各カウンタ100に互いに異なるID番号が付与され、かつ、ホストコンピュータ20に各カウンタ100のID番号が知らされている必要がある。
図2は、カウンタ100の機能ブロック図である。
カウンタ100は、筐体(ハウジング)の外側面に表示器110と入出力ポート120-150を有し、筐体の内部に電気回路部を有している。電気回路部は、CPU(中央処理装置)とメモリ(ROM、RAM)を有しており、メモリに格納されたプログラム(ID番号管理プログラム)をCPUで実行することにより各機能部としての機能を実現する。
【0018】
カウンタ100は、入出力ポートとして、前段入力ポート120と、前段出力ポート130と、後段出力ポート140と、後段入力ポート150と、測定器接続ポート160と、を有する。
【0019】
前段入力ポート120は、自己の前段にあるカウンタと接続され、自己の前段にあるカウンタからの信号を受け取る入力ポートである。
前段出力ポート130は、自己の前段にあるカウンタと接続され、自己の前段にあるカウンタに信号を出力する出力ポートである。
後段出力ポート140は、自己の後段にあるカウンタと接続され、自己の後段にあるカウンタに信号を出力する出力ポートである。
後段入力ポート150は、自己の後段にあるカウンタと接続され、自己の後段にあるカウンタからの信号を受け取る入力ポートである。
【0020】
測定器接続ポート160は、インジケータ10と接続されるためのポートである。1つのカウンタ100に二以上のインジケータ10を接続できるようにしてもよく、その場合、カウンタ100が測定器接続ポート160を複数有していてもよい。
【0021】
なお、前段入力ポート120と前段出力ポート130とは物理的に分離していなくても、1つの前段入出力ポートが前段入力ポートと前段出力ポートとを兼ねるようにしてもよい。同様に、後段出力ポート140と後段入力ポート150とは物理的に分離していなくても、1つの後段入出力ポートが前段入力ポートと前段出力ポートとを兼ねるようにしてもよい。
また、カウンタは、上位モジュール(ホストコンピュータやI/Fモジュール)との接続用に別途の上位入出用ポートを備えていてもよい。本実施形態では、上位モジュールとの信号入出力は、前段入力ポート120と前段出力ポート130とが兼ねることとする。
【0022】
各カウンタ100は、さらに、変位検出部171と、表示制御部172と、演算部173と、ID番号管理部200と、を有する。
【0023】
変位検出部171は、インジケータ10に内蔵されたスケール(エンコーダ)からのスケール信号を検出して、スピンドルの変位を求める。
表示制御部172は、表示器(例えばLCDパネル)110の表示を制御するものであって、例えば、求められたスピンドルの変位量を表示器に表示させる。
演算部173は、原点設定や置数(プリセット)、最大値最小値表示、レンジ設定などの簡易演算処理を行なう。そして、カウンタ100は、検出した変位量をホスト(ホストコンピュータ20)に送信する(通信器)。
【0024】
ID番号管理部200は、前段カウンタと後段カウンタとの間でID番号情報をやりとりすることで自己のID番号を決定する。
ID番号管理部200は、ID番号保持部210と、第1指令生成部220と、第1指令出力部230と、第2指令生成部240と、第2指令出力部250と、ID番号更新部260と、第1指令バッファ270と、第2指令バッファ280と、を備える。
【0025】
ID番号保持部210は、自己のID番号を保持するメモリまたはレジスタである。ID番号の自動付与を受け入れる場合、ID番号保持部210には電源投入時に仮ID番号が設定される。ここでは、カウンタ100の電源投入時の仮ID番号として01番を設定するとする。
【0029】
なお、カウンタ100の電源投入時に仮ID番号となる初期値は、このあとすぐに書き換えられるので不定でない何らかの番号であればその値は限定されない。
ただし、ID番号の自動付与を受け入れるカウンタが最前段に配置される場合を考慮すると、自動設定で採用できる番号のうちでできるだけ小さい値を初期値にすることが好ましい。
【0030】
ユーザの選択により、カウンタ100に固定IDを設定してもよいとする。
ここでは、ID番号として「50」以上の値を固定ID番号とし、ユーザがID番号保持部210に「50」以上のID番号を設定した場合、そのカウンタ100は自動付与を受け入れず、したがって、ID番号保持部210の固定IDは書き換えられないとする。
【0031】
第1指令生成部220は、ID番号保持部210に保持された自己のID番号を情報として乗せた第1指令信号を生成する。ただし、カウンタ100に固定IDが設定された場合は、前段カウンタから受信した第1指令信号をそのまま自己の第1指令信号とする。
図3(a)に第1指令信号のデータ形式の一例を示す。
第1指令信号は、先頭から順に、ヘッダー(スタートシグナル)、コマンド種別、上位モジュールのID番号情報、自己のID番号、フッター、からなる。
コマンド種別というのは、例えば、この指令信号が第1指令信号か第2指令信号かを識別するためのコマンド識別コードであって信号の種類に応じて、例えばAやB、1、2等の予め設定されたコマンド識別コードを付す。
【0032】
上位モジュールのID情報というのは、カウンタ100より上位のモジュールとして例えばホストコンピュータ20やI/Fモジュールがシステム構成に加わっていた場合にホストコンピュータやI/FモジュールのID番号を後段に伝達するための情報である。カウンタ100としては、前段(または上位)のモジュールから受け取った第1指令信号に上位モジュールのID情報が含まれていた場合、この部分はそのまま後段に送るとする。また、カウンタ100がどこからも第1指令信号を受信していない状態で自己が最初の第1指令信号を発信するときには、例えば、「上位モジュールのID情報」は「0」としておくとする。
【0033】
第1指令出力部230は、第1指令信号を後段出力ポート140から後段のカウンタに出力する。
【0034】
第2指令生成部240は、自己および自己よりも後段のモジュール(カウンタ)のID番号を情報として乗せた第2指令信号を生成する。
図3(b)に第2指令信号のデータ形式の一例を示す。
第2指令信号は、先頭から順に、ヘッダー、コマンド種別、自己および自己より後段のカウンタのID番号、フッター、からなる。第2指令信号の具体例は後述の動作例のなかで説明する。
【0035】
第2指令出力部250は、第2指令信号を前段出力ポート130から前段のカウンタに出力する。
【0036】
ID番号更新部260は、前段カウンタから第1指令信号を受信したとき、前段カウンタの第1指令信号に含まれるID番号に「1」を加算した値を求める。そして、これを自己の新ID番号としてID番号保持部210のID番号を更新する。ただし、固定IDが設定されているときには、ID番号更新部260は起動せずにスリープとする。
【0037】
第1指令バッファ270は、前段カウンタから受信した第1指令信号を一時的にバッファ(記憶)するメモリまたはレジスタである。
第2指令バッファ280は、後段カウンタから受信した第2指令信号を一時的にバッファ(記憶)するメモリまたはレジスタである。
【0038】
カウンタ100は、電源投入から所定時間(例えば2秒)経過するまで所定時間間隔(例えば20ms間隔)で第1指令信号および第2指令信号を入出力する。
【0039】
(第1動作例)
本発明の動作例を説明する。
第1動作例としては、3つのカウンタ100のID番号を自動で設定する場合を説明する。
図4のように、3つのカウンタ100を左から順に第1カウンタ400、第2カウンタ500、第3カウンタ600と呼ぶことにする。第1カウンタ400は3つのカウンタのなかで最前段のカウンタであり、第1カウンタ400はホストコンピュータ20に接続されている。
【0040】
図4では、ホストコンピュータ20およびインジケータ10を省略して、カウンタ400、500、600だけを図示している。
動作説明が分かりやすいように、カウンタ400、500、600の機能部として、ID番号保持部410、510、610と、第1指令バッファ470、570、670と、第2指令バッファ480、580、680と、を示す。図4において、第1、第2、第3カウンタ400、500、600はID番号の自動付与を受け入れるので、電源投入時にID番号保持部410、510、610に仮ID番号として01番が設定される。
【0041】
このあと、第1、第2、第3カウンタ400、500、600は第1、第2指令信号をやり取りしあうことで自己のID番号を更新し、最終的に自己のID番号を確定することになる。このとき、表示器110にID番号を表示させるようにしてもよい。
例えば、電源投入時に仮ID番号「01」が各カウンタ400、500、600の表示器110に表示され、後述の動作でID番号が更新されていったときにそれにあわせて表示器110の表示も更新するようにする。仮決めのID番号のときは点滅や色を変えたりして表示中の番号がまだ確定前のID番号であることがわかるようにし、ID番号が確定したら所定時間(例えば5秒間や10秒間)の間、確定したID番号を通常の方法で表示器に表示させるようにしてもよい。
【0042】
図5を参照されたい。
電源投入後、各カウンタ400、500、600は第1指令信号および第2指令信号を出力する。
第1指令信号は、自己のID番号を後段カウンタに伝える信号である。
各カウンタ400、500、600は、自己のID番号保存部410、510、610に保持しているID番号を第1指令信号として出力する。
最初、各カウンタ400、500、600はどこからも第1指令信号を受け取っておらず、したがってID更新もされていない。したがって、各カウンタ400、500、600から出力される第1指令信号は初期値として設定された自己の仮IDである「01」である。各カウンタ400、500、600は、この第1指令信号を自己の後段のカウンタに出力する。
【0043】
ただし、第3カウンタ600からの第1指令信号を受け取る後段のカウンタは無い。
最後段のカウンタ(ここでは第3カウンタ600)の後段出力ポート140にキャップをつけておいて終端させておいてもよいし、あるいは、後段出力ポート140に終端キャップがついている場合、そのカウンタは第1指令信号を出力しないこととしてもよい。
【0044】
第2指令信号は自己および自己よりも後段のカウンタのID番号を前段のカウンタに伝える信号である。
第2指令生成部240は、第2指令バッファ280(480、580、680)に記憶されているID番号情報の前に自己のID番号をつけるようにして第2指令信号を生成する。
本ステップ(図5)では、まだ、各カウンタ400、500、600はどこからも第2指令信号を受け取っていない。このとき、各カウンタ400、500、600から出力される第2指令信号は自己の仮IDである「01」である。各カウンタ400、500、600は、この第2指令信号を自己の前段のカウンタに出力する。
【0045】
次に図6を参照されたい。
ID番号更新部260は、前段カウンタから第1指令信号を受信したとき、前段カウンタの第1指令信号に含まれるID番号に「1」を加算した値を求め、これを自己の新ID番号としてID番号保持部210(410、510、610)のID番号を更新する。
第1カウンタ400は、最前段のカウンタであって、前段から第1指令信号を受け取らないので、ID更新されず、自己のIDは初期値である「01」のままである。
【0046】
第2カウンタ500と第3カウンタ600を考える。
第2カウンタ500と第3カウンタ600は、前のステップ(図5)で前段のカウンタから第1指令信号を受け取った。
したがって、ID番号更新部(260)は、受け取った第1指令である「01」に「1」を加算して自己ID番号を更新するようにID番号保持部210(510、610)を上書きする。すると、第2カウンタ500、第3カウンタ600の自己ID番号は「02」となる。
【0047】
また、前のステップ(図5)において、第1、第2カウンタ400、500はそれぞれ後段のカウンタから第2指令信号「01」を受け取った。したがって、第1、第2カウンタ400、500の第2指令バッファ480、580は、受け取った第2指令である「01」を記憶する。
【0048】
次に図7を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は第1指令信号および第2指令信号を出力する。
第1指令信号は、自己のID番号を後段カウンタに伝える信号であるので、各カウンタ400、500、600は、自己のID番号保存部410、510、610に保持しているID番号を第1指令信号として出力する。すなわち、第1カウンタ400から出力される第1指令信号は「01」である。第2、第3カウンタ500、600から出力される第1指令信号は「02」である。
【0049】
第2指令信号は自己および自己よりも後段のカウンタのID番号を前段のカウンタに伝える信号である。第2指令生成部(240)は、第2指令バッファ480、580、680に記憶されているID番号情報の前に自己のID番号をつけるようにして第2指令信号を生成する。
第3カウンタ600は、最後段のカウンタであって、第2指令信号をどこからも受け取らないので、第3カウンタ600が出力する第2指令信号は自己ID番号となる。すなわち、第3カウンタ600が出力する第2指令信号は「02」である。
【0050】
第2カウンタ500は前のステップ(図5)で第3カウンタ600から第2指令信号「01」を受信しており、第2指令バッファ580に「01」を記憶している。このとき、第2カウンタ500の第2指令生成部(240)は、自己ID番号「02」に前記記憶された「01」を続けるようにして第2指令信号「0201」を生成し、これを前段出力ポート(130)から出力する。
【0051】
第1カウンタ400は、前のステップ(図5)で第2カウンタ500から第2指令信号「01」を受信しており、第2指令バッファ480に「01」を記憶している。
第1カウンタ400の第2指令生成部(240)は、自己ID番号である「01」に前記記憶された「01」を続けるようにして第2指令信号「0101」を生成し、これを前段(ホストコンピュータ(20))に出力する。
【0052】
次に図8を参照されたい。
第3カウンタ600は前のステップ(図7)で第2カウンタ500から第1指令信号「02」を受信していた。したがって、第3カウンタ600の自己ID番号は「03」に更新される。第1、第2カウンタ400、500の自己ID番号は、更新されても結果として変化しないので、説明を省略する。
【0053】
第1カウンタ400と第2カウンタ500の第2指令バッファ480、580を考える。
第1カウンタ400の第2指令バッファ480は、前のステップ(図7)で第2カウンタ500から受信した第2指令信号「0201」を記憶(保存)する。
第2カウンタ500の第2指令バッファ580は、前のステップ(図7)で第3カウンタ600から受信した第2指令信号「02」を記憶(保存)する。
【0054】
次に図9を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は第1指令信号および第2指令信号を出力する。
第1指令信号は自己のIDを伝達する信号であるから、第1カウンタ400から出力される第1指令信号は「01」であり、第2カウンタ500から出力される第1指令信号は「02」であり、第3カウンタ600から出力される第1指令信号は「03」である。
【0055】
第2指令信号は、第2指令バッファ480、580、680に記憶(保存)されている自己より後段のカウンタのID番号情報の前に自己のID番号をつけたものである。
第1カウンタ400から出力される第2指令信号は「010201」である。
第2カウンタ500から出力される第2指令信号は「0202」である。
第3カウンタ600から出力される第2指令信号は「03」である。
【0056】
次に図10を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は、前のステップ(図9)で受信した第1指令信号に基づいて自己のIDを更新するが、すでに第1、第2、第3カウンタ400、500、600のID番号は左から順に「1」ずつ増加した状態になっている。
したがって、本ステップ(図10)では、結果として、ID更新をする前後で自己のID番号に変化はない。
次に、各カウンタ400、500、600の第2指令バッファ480、580、680を考える。
第1カウンタ400は、前のステップ(図9)で第2カウンタ500から第2指令信号「0202」を受信したから、第1カウンタ400の第2指令バッファ480は「0202」を記憶する。
第2カウンタ500は、前のステップ(図9)で第3カウンタ600から第2指令信号「03」を受信したから、第2カウンタの第2指令バッファ580は「03」を記憶する。
【0057】
次に図11を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は第1指令信号で自己のID番号情報を後段カウンタに伝える。
前のステップ(図10)でID番号の変更がなかったので、各カウンタ400、500、600から出力される第1指令信号は2ステップ前(図9)と同じである。
各カウンタ400、500、600から出力される第2指令信号を考える。
第3カウンタ600が出力する第2指令信号は自己のID番号「03」であって前のステップ(図9)と同じである。
【0058】
第2カウンタ500は、前のステップ(図10)で第2指令バッファ580に記憶(保存)した「03」に自己のID番号「02」をつけて第2指令信号「0203」とする。
第1カウンタ400は、前のステップ(図10)で第2指令バッファ480に記憶(保存)した「0202」に自己のID番号「01」をつけて第2指令信号「010202」とする。
【0059】
次に図12を参照されたい。
すでに前のステップ(図8)で各カウンタ400、500、600の自己IDは左から「1」ずつ増加した状態なので、各カウンタ400、500、600がID更新しても結果として自己IDに変化はない。
各カウンタ400、500、600の第2指令バッファ480、580、680を考える。
第1カウンタ400は前のステップ(図9)で第2カウンタ500から第2指令信号として「0203」を受け取ったから、第1カウンタ400の第2指令バッファ480は「0203」を記憶する。
第2カウンタ500、第3カウンタ600の第2指令バッファ580、680については、結果として、前のステップ(図10)と同じなので、冗長な説明は省略する。
【0060】
図13を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は第1指令信号および第2指令信号を出力する。
このステップ(図13)において、第1カウンタ400から出力される第2指令信号を考える。
第1カウンタ400は、前のステップ(図12)で第2指令バッファ480に記憶(保存)した「0203」に自己のID番号「01」をつけて第2指令信号「010203」とする。すると、ホストコンピュータ20には第1カウンタ400からの第2指令信号により「010203」が伝えられる。
【0061】
ここまでくると、以降の動作は図12図13の繰り返しになって、各カウンタ400、500、600は同じデータ(第1、第2指令信号)を送り合うことを所定時間続ける(ここでは電源投入から2秒間)。
所定時間経過後に、図14に例示のように、各カウンタ400、500、600は自己のID番号を確定する。また、ホストコンピュータ20および各カウンタ400、500、600は第2指令バッファ480、580、680に記憶されたID番号情報から自己より後段のカウンタのID番号を認識できる。
【0062】
このように本実施形態によれば、複数接続されたカウンタ100(400、500、600)に対して最前段のカウンタ400から順に1ずつ増加するID番号を自動で付与することができる。そして、上位のホストコンピュータ20が各カウンタ400、500、600のID番号を知ることはもちろん、各カウンタ400、500、600は第2指令バッファ480、580、680に記憶されているID番号の情報から自己よりも後段のカウンタの存在とそれらのID番号を知ることもできる。
【0063】
カウンタを増設したり、間引いたり、交換したり、といった作業があってもカウンタのID番号が自動的に適切に付与されるので、ユーザは、逐一ID番号を手動で設定しなおすといった手間から開放されるのはもちろん、複雑なID番号の割り当てを考える精神的労苦からも解放される。
【0064】
(第2動作例)
次に、第2動作例として、ID番号が固定されたカウンタを含む場合を考える。
図15を参照されたい。
第1カウンタ400は3つのカウンタ100のなかで最前段のカウンタ100であり、第1カウンタ400はホストコンピュータ20(不図示)に接続されている。
いま、第2カウンタ500のID番号が「78」で固定設定されているとする。
第1カウンタ400と第3カウンタ600はID番号が自動設定されるカウンタである。
なお、図15では、ホストコンピュータ20およびインジケータ10を省略して、カウンタだけを図示している。
【0065】
図16を参照されたい。
電源投入後、各カウンタ400、500、600は第1指令信号および第2指令信号を出力する。
最初、各カウンタ400、500、600はどこからも第1指令信号を受け取っていない。第1カウンタ400と第3カウンタ600はID番号が自動設定されるカウンタである。ID番号が自動設定されるカウンタ400、600が最初に出力する第1指令信号は、初期値として設定された自己の仮IDである「01」である。
【0066】
第2カウンタ500のID番号は固定されている。
カウンタに固定IDが設定されている場合、前段カウンタから受信した第1指令信号をそのまま自己の第1指令信号として後段カウンタに送るのであるが、最初の一回目はまだどこからも第1指令信号を受け取っていない。
ここで、ID番号が固定されたカウンタ(500)が最初に出力する第1指令信号のID番号は「00」であるとする。
【0067】
なお、IDが固定されたカウンタが最初に出力する第1指令信号としては、不定でない任意のID番号としてもよい。例えば「01」でもよい。
ただし、ID番号が固定されたカウンタが最前段に配置され得ることを考慮すると、固定IDのカウンタが最初に出力する第1指令信号として、自動設定で採用できるID番号のうちでできるだけ小さい値とするか、最も好適な例として、例えば「00」のように自動設定で採用できる最小のID番号「01」よりも1つ小さい値(「00」)にしておくのが合理的である。
【0068】
第2指令信号について考える。
各カウンタ400、500、600はどこからも第2指令信号を受け取っていないので、各カウンタ400、500、600が出力する第2指令信号は自己のID番号である。すなわち、第1、第3カウンタ400、600は自己の仮ID番号である「01」を第2指令信号とする。
第2カウンタ500は自己の固定ID番号である「78」を第2指令信号とする。
【0069】
図17を参照されたい。
第1カウンタ400は前段から第1指令信号を受け取らないので、ID更新されず、自己のID番号は初期値である「01」のままである。
第2カウンタ500のID番号は固定の「78」である。
第3カウンタ600は、第2カウンタ500から第1指令信号として「00」を受け取ったので、受け取った第1指令である「00」に「1」を加算して自己のID番号を更新する。結果としては、第3カウンタ600のID番号は「01」のままで変化はない。
【0070】
各カウンタ400、500、600の第2指令バッファ480、580、680を考える。
第1カウンタ400は、第2カウンタ500から受け取った第2指令信号「78」を第2指令バッファ480に記憶する。
第2カウンタ500は、第3カウンタ600から受け取った第2指令信号「01」を第2指令バッファ580に記憶する。
【0071】
続いて図18を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は、第1、第2指令信号を出力する。
第1、第3カウンタ400、600は、自己のID番号である「01」を第1指令信号とする。
第2カウンタ500は、ID番号が固定されたカウンタである。第2カウンタ500は、前のステップ(図16)で前段カウンタ(第1カウンタ400)から受け取った第1指令信号「01」をそのまま後段カウンタ(第3カウンタ600)に出力する。すなわち、本ステップ(図18)で第2カウンタ500が出力する第1指令信号のID番号は「01」である。
【0072】
ここで、変形例の1つとしては、ID番号が固定されたカウンタについても第1指令信号のやり取りに関して自動採番のカウンタの動作と同じにするとしてもよい。つまり、仮の自己ID番号「01」からスタートして、前段カウンタから受け取ったID番号に「1」を加算して仮の自己ID番号を更新し、そして、更新後の自己ID番号を後段カウンタに伝達するようにしてもよい。そして、最終的には、ID番号が固定されたカウンタは、自動更新された仮のID番号は破棄して、固定設定されたID番号(例えば「78」)を自己のID番号として残せばよい。この場合、固定IDのカウンタのところはID番号が飛ぶが、ID番号の重複は生じない。
【0073】
第2指令信号を考える。
第1カウンタ400は、前のステップ(図16)で第2カウンタ500から受け取っていた第2指令信号「78」に自己ID番号「01」をつけて「0178」を第2指令信号とする。
第2カウンタ500は、前のステップ(図16)で第3カウンタ600から受け取った第2指令信号「01」に自己のID番号「78」をつけて「7801」を第2指令信号とする。
第3カウンタ600は、どこからも第2指令信号を受信しないので、自己のID番号「01」を第2指令信号とする。
【0074】
図19を参照されたい。
第1、第2カウンタ400、500の自己ID番号に変化はない。
第3カウンタ600は、前のステップ(図18)で第2カウンタ500から第1指令信号「01」を受け取ったので、これに「1」を加算した「02」を自己のID番号とするように更新する。
第2指令バッファ480について考えると、第1カウンタ400は前のステップ(図18)で第2カウンタ500から「7801」を第2指令信号として受け取ったので、第2指令バッファに「7801」を記憶する。
【0075】
図20を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は第1、第2指令信号を出力する。
第1指令信号について考えると、第1、第2カウンタ400、500が出力する第1指令信号は前のステップ(図18)と同じであるから冗長な説明は省略する。
第3カウンタ600から出力される第1指令信号のID番号は更新された「02」になる。(ただし、第3カウンタ600からの第1指令信号を受け取る後段のカウンタは無い。)
【0076】
第2指令信号を考える。
第1カウンタ400は、前のステップ(図18)で受け取った第2指令信号「7801」に自己のID番号「01」をつけて「017801」を第2指令信号とする。
第2カウンタ500は、前のステップ(図18)で受け取った第2指令信号「01」に自己のID番号「78」をつけて「7801」を第2指令信号とする。
前のステップ(図17図18)で第3カウンタ600のID番号に変化がなかったので、結果として、本ステップ(図20)における第2カウンタ500の第2指令信号は前のステップ(図18)と同じになる。
第3カウンタ600は、自己のID番号「02」を第2指令信号として第2カウンタ500に出力する。
【0077】
図21を参照されたい。
前のステップ(図19)において、第3カウンタ600のID番号は「02」になっており、ID番号が固定の第2カウンタ500を挟んで第1カウンタ400のID番号より「1」大きい状態になった。したがって、第1、第3カウンタ400、600の自己ID番号の変化はない。
第2指令バッファ480、580、680について考えると、第2カウンタ500は、前のステップ(図20)で第3カウンタ600から第2指令信号として「02」を受け取ったから、第2カウンタ500の第2指令バッファ580には「02」を記憶する。
第1、第3カウンタ400、600の第2指令バッファ480、680は結果として変化しなかったから冗長な説明は省略する。
【0078】
図22を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は第1、第2指令信号を出力する。
第1指令信号については、結果として前のステップ(図20)から変化がないので説明を省略する。
第2指令信号について考えると、第2カウンタ500は、前のステップ(図20)で第3カウンタ600から第2指令信号「02」を受け取っていたから、これに自己のID番号「78」をつけて「7802」を第2指令信号とする。
第1、第3カウンタ400、600の第2指令信号については、結果として前のステップ(図20)と同じであるから説明を省略する。
【0079】
図23を参照されたい。
第1、第2、第3カウンタ400、500、600のID番号に変化はない。
第2指令バッファ480について考えると、第1カウンタ400は前のステップ(図22)で第2カウンタ500から第2指令信号として「7802」を受け取ったから、第1カウンタ400の第2指令バッファ480は「7802」を記憶する。
第2カウンタ500の第2指令バッファ580は結果として変化がないので説明を省略する。
【0080】
図24を参照されたい。
各カウンタ400、500、600は第1、第2指令信号を出力する。
前のステップ(図22)から変化があるのは第1カウンタ400の第2指令信号である。
第1カウンタ400は、前のステップ(図20)で第2カウンタ500から第2指令信号「7802」を受け取っていたから、これに自己のID番号「01」をつけて「017802」を第2指令信号とする。
【0081】
ここまでくると、以降の動作は図23図24の繰り返しになって、各カウンタ400、500、600は同じデータ(第1、第2指令信号)を送り合うことを所定時間続ける(ここでは電源投入から2秒間)。
所定時間経過後に、図25に例示のように、各カウンタ400、500、600は自己のID番号を確定する。第1カウンタ400と第3カウンタ600は自動設定されたID番号としてそれぞれ「01」、「02」を自己のID番号とする。第2カウンタ500は、固定設定されたID番号である「78」を自己のID番号とする。
また、ホストコンピュータ20および各カウンタ400、500、600は第2指令バッファ480、580、680に記憶されたID番号情報から自己より後段のカウンタのID番号を認識できる。
【0082】
本実施形態によれば、固定IDが設定されていて自動採番しないカウンタがあっても、その他のID番号を自動採番するカウンタについては自動でID番号を付与することができる。この際、ID番号を自動採番するカウンタのID番号は欠番がなく1ずつ増加するように連続するようにできる。
【0083】
なお、本発明は上記実施形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することができる。
電源投入時の仮ID番号を小さい値である「01」とし、最前段カウンタから順に「1」ずつ増加(「1」ずつ加算)するようにして後段カウンタのID番号を設定(更新)するようにした。
逆に、最前段のカウンタのID番号を大きな値(例えば「49」)にして、最前段カウンタから「1」ずつ減少するようにして後段カウンタのID番号を設定(更新)するようにしてもよい。
「1」ずつ加算や「1」ずつ減算でなくても、「2」ずつ加算(減算)でもよい。
ID番号が重複しないように単調増加あるいは単調減少する演算であればよい。
【0084】
CPUやメモリを配置してコンピュータとして機能できるように構成し、このメモリに所定のID番号管理プログラムをインストールし、このインストールされたプログラムでCPU等を動作させて、上記実施形態で説明した各機能部としての機能を実現してもよい。ID番号管理プログラムの配布方法としては、不揮発性記録媒体(CD-ROM、メモリカード等)に記録して配布してもよいし、インターネット回線等を介してダウンロードさせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0085】
10 インジケータ
20 ホストコンピュータ
100、400、500、600 カウンタ
110 表示器
120 前段入力ポート
130 前段出力ポート
140 後段出力ポート
150 後段入力ポート
160 測定器接続ポート
171 変位検出部
172 表示制御部
173 演算部
200 ID番号管理部
210、410、510、610 ID番号保持部
220 第1指令生成部
230 第1指令出力部
240 第2指令生成部
250 第2指令出力部
260 ID番号更新部
270、470、570、670 第1指令バッファ
280、480、580、680 第2指令バッファ。
図1
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