(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】ポンプ及び回転式邪魔板
(51)【国際特許分類】
F04D 9/00 20060101AFI20240617BHJP
F04D 29/12 20060101ALI20240617BHJP
F16J 15/34 20060101ALI20240617BHJP
【FI】
F04D9/00 A
F04D29/12 B
F16J15/34 Z
(21)【出願番号】P 2021565604
(86)(22)【出願日】2020-12-16
(86)【国際出願番号】 JP2020046853
(87)【国際公開番号】W WO2021125197
(87)【国際公開日】2021-06-24
【審査請求日】2023-03-14
(31)【優先権主張番号】P 2019226550
(32)【優先日】2019-12-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000000239
【氏名又は名称】株式会社荏原製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100146710
【氏名又は名称】鐘ヶ江 幸男
(74)【代理人】
【識別番号】100186613
【氏名又は名称】渡邊 誠
(72)【発明者】
【氏名】姜 世ゴ
(72)【発明者】
【氏名】中村 陽一
(72)【発明者】
【氏名】村田 晶規
(72)【発明者】
【氏名】小川 宗一郎
(72)【発明者】
【氏名】金 東旻
【審査官】大瀬 円
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-019084(JP,A)
【文献】特開昭61-212695(JP,A)
【文献】特開平08-296587(JP,A)
【文献】特開2011-163264(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 9/00
F04D 29/12
F16J 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポンプであって、
回転軸と、
前記回転軸に取り付けられて前記回転軸の回転に伴って回転する羽根車と、
前記回転軸を取り囲むケーシングと、
前記ケーシングと前記回転軸との間を封止する軸封装置と、
前記羽根車と前記軸封装置の間に位置し、回転体に取り付けられる邪魔板部と、を有し、
前記邪魔板部は、前記回転軸の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延び
、
前記ポンプは、前記羽根車と前記軸封装置の間に位置するように前記回転軸に取り付けられる回転式邪魔板を有し、
前記回転式邪魔板は、前記回転軸に取り付けられる本体部と、前記本体部に設けられる前記邪魔板部と、を有し、
前記回転軸は、大径部と、前記大径部よりも先端側に位置する小径部と、を有し、
前記本体部は、前記回転軸の前記小径部が通過する開口を有し、前記回転軸の前記大径部と前記羽根車とに挟持されて、前記回転軸に取り付けられる、ポンプ。
【請求項2】
請求項
1に記載されたポンプにおいて、
前記回転式邪魔板の重心は、前記回転軸の中心軸上に存在する、ポンプ。
【請求項3】
請求項
1又は
2に記載されたポンプにおいて、
前記邪魔板部は、前記本体部から前記軸封装置側に延在する、ポンプ。
【請求項4】
請求項
1から
3のいずれか一項に記載されたポンプにおいて、
前記本体部は、前記回転軸又は前記羽根車に対して前記本体部が周方向に動かないように、前記回転軸又は前記羽根車と係合する固定部を有する、ポンプ。
【請求項5】
請求項
1から
4のいずれか一項に記載されたポンプにおいて、
前記本体部は、前記邪魔板部の根元近傍に曲げ逃げ部を有する、ポンプ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか一項に記載されたポンプにおいて、
前記邪魔板部は、前記邪魔板部の主面が前記回転軸の軸方向と平行であり、且つ前記主面と同一面内に前記回転軸の中心軸が含まれるように方向づけられる、ポンプ。
【請求項7】
ポンプの羽根車と軸封装置の間に位置するように回転軸に取り付けられる回転式邪魔板であって、
前記回転軸が挿入される開口を有し、前記回転軸に取り付けられる本体部と、
前記本体部に取り付けられ、前記本体部が前記回転軸に取り付けられた状態において前記回転軸の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる邪魔板部と、を有
し、
前記本体部は、前記邪魔板部の根元近傍に曲げ逃げ部を有する、回転式邪魔板。
【請求項8】
ポンプであって、
回転軸と、
前記回転軸に取り付けられて前記回転軸の回転に伴って回転する羽根車と、
前記回転軸を取り囲むケーシングと、
前記ケーシングと前記回転軸との間を封止する軸封装置と、
前記羽根車と前記軸封装置の間に位置し、回転体に取り付けられる邪魔板部と、を有し、
前記邪魔板部は、前記回転軸の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延び、
前記ポンプは、前記羽根車と前記軸封装置の間に位置するように前記回転軸に取り付けられる回転式邪魔板を有し、
前記回転式邪魔板は、前記回転軸に取り付けられる本体部と、前記本体部に設けられる前記邪魔板部と、を有し、
前記本体部は、前記邪魔板部の根元近傍に曲げ逃げ部を有する、ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポンプ及び回転式邪魔板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の立形の遠心ポンプは、例えば、鉛直方向に延びる回転軸と、回転軸とともに回転する羽根車と、羽根車及び回転軸を取り囲むケーシングと、ケーシングと回転軸との間をシールするメカニカルシールとを有する。この種のポンプにおいて、運転前に呼び水を行うと、ポンプ内の空気の一部が残留してメカニカルシールの周囲に空気溜まりが形成される。
【0003】
空気溜まりが形成された状態でポンプを運転すると、メカニカルシールに故障が生じる恐れがある。具体的には、空気は水より密度が小さいため羽根車の回転により受ける遠心力が小さい。その結果、水はケーシングの外側に押しやられ、空気は回転軸の近傍に集まってくる。メカニカルシールは回転軸の近傍に設けられるものであるので、メカニカルシールは、ポンプの運転中はドライ運転となり、潤滑不足から発熱し、最悪の場合には焼きついてしまうことがある。
【0004】
このような空気溜まりを解消するために、羽根車の内部と空気溜まりとの圧力差を無くして空気溜まりに注水するように構成されたポンプが知られている(例えば特許文献1)。具体的には、このポンプでは、羽根車の主板に小さな穴を設けることで、羽根車の内部と空気溜まりとの圧力差を無くしている。
【0005】
また、ポンプの吐出口からメカニカルシールまで連通する流路をハウジングに形成したポンプも知られている(例えば特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】実開昭60-178391号公報
【文献】実開昭62-111994号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1に開示されたポンプでは、メカニカルシール側から主板の穴を通じて羽根車の内部に液体が戻るため、ポンプ効率が低下し得る。特許文献2に開示されたポンプでは、ポンプ内部に異物が存在する場合、当該流路が異物によって閉塞する恐れがある。さらに、ポンプの吐出口からメカニカルシール側に液体が逆流するので、特許文献1と同様にポンプ効率が低下し得る。
【0008】
本発明は上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的の一つは、ポンプ効率を低下抑制しながら空気溜まりを解消することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一形態によれば、ポンプが提供される。ポンプは、回転軸と、前記回転軸に取り付けられて前記回転軸の回転に伴って回転する羽根車と、前記回転軸を取り囲むケーシングと、前記ケーシングと前記回転軸との間を封止する軸封装置と、前記羽根車と前記軸封装置の間に位置し、回転体に取り付けられる邪魔板部と、を有する。前記邪魔板部は、前記回転軸の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる。
【0010】
本発明の他の一形態によれば、ポンプの羽根車と軸封装置の間に位置し、回転軸に取り付けられる回転式邪魔板が提供される。回転式邪魔板は、前記回転軸が挿入される開口を有し、前記回転軸に取り付けられる本体部と、前記本体部に取り付けられ、前記本体部が前記回転軸に取り付けられた状態において前記回転軸の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる邪魔板部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本実施形態に係るポンプの部分側断面図である。
【
図2B】
図2Aに示す2B-2B断面における回転式邪魔板の断面図を示す。
【
図3B】
図3Aに示す3B-3B断面における回転式邪魔板の断面図を示す。
【
図4B】
図4Aに示す4B-4B断面における回転式邪魔板の断面図を示す。
【
図5B】
図5Aに示す5B-5B断面における回転式邪魔板の断面図を示す。
【
図9A】回転式邪魔板の他の例の材料の平面図を示す。
【
図9B】
図9Aに示す材料から形成された回転式邪魔板の斜視図を示す。
【
図10】他の実施形態に係るポンプの拡大断面図である。
【
図11】他の実施形態に係るポンプの拡大断面図である。
【
図12A】回転式邪魔板の他の例の材料の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。以下で説明する図面において、同一の又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。なお、以下で説明する実施形態では、本発明のポンプの一例として立形遠心ポンプが説明されるが、これに限らず、本発明を適用可能な任意のポンプが本発明に含まれ得る。
【0013】
図1は、本実施形態に係るポンプの部分側断面図である。
図1においては、モータ20のみが側面図で示され、他の部分が断面図で示されている。図示のように、ポンプ10は、モータ20と、回転軸31と、羽根車33と、ケーシング35と、を有する。モータ20は、鉛直方向に延びるモータ主軸21を備え、ケーシング35に固定されるモータ架台22に固定される。
【0014】
モータ主軸21の端部と回転軸31の一端は、カップリング部32によって結合される。これにより、モータ20の動力がモータ主軸21及びカップリング部32を介して回転軸31に伝達され、回転軸31が周方向に回転する。回転軸31の他端には羽根車33が固定される。具体的には、
図1に示すように、回転軸31は、大径部31aと、大径部31aよりも先端側に位置する小径部31bとを有する。回転軸31の小径部31bが、羽根車33とキーを介して係合する。羽根車33に回転軸31の小径部31bが挿入された状態で、羽根車33は、ボルト42によって回転軸31に固定される。羽根車33は、モータ20側(後述するメカニカルシール38側)に位置する主板33aと、側板33bと、主板33aと側板33bとの間に設けられる複数の翼33cとを有する。
【0015】
ケーシング35は、上ケーシング36と下ケーシング37とを有する。上ケーシング36は、回転軸31が挿通される開口36aを有する。ポンプ10は、上ケーシング36の開口36aと回転軸31との間に、上ケーシング36と回転軸31との間を封止するメカニカルシール38(軸封装置の一例に相当する)を有する。上ケーシング36は、メカニカルシール38を収納するためのメカ室36bを有する。
【0016】
下ケーシング37は、その内部に羽根車33と、回転軸31の一部を収容するように構成される。また、下ケーシング37は、液体を下ケーシング37内に導入する吸込口37aと、下ケーシング37に導入された液体を吐き出す吐出口37bとを有する。
【0017】
図示の構成を有するポンプ10では、モータ20から与えられるトルクによって回転軸31が回転し、回転軸31とともに羽根車33が回転する。液体は、下ケーシング37の吸込口37aからポンプ10内に導入され、回転する羽根車33により昇圧され、その後、吐出口37bからポンプ10の外部に排出される。
【0018】
上述したように、ポンプ10の運転前に呼び水を行うと、ポンプ10のケーシング35の内部を満水にすることができず、メカ室36bの内部、即ちメカニカルシール38の周囲には空気溜まりができる。この状態でポンプ10を運転すると、羽根車33の主板33aの裏側にある水は、羽根車33の回転に伴って周方向に移動する。
【0019】
ところで、近年のポンプは、インバータにより回転数が制御されることがある。羽根車33が比較的高回転数で回転する場合(例えば3000rpm)には、この主板33aの裏側の水も比較的高速で周方向に移動するので、この水の移動に伴い、メカ室36b内の空気も周方向に移動し、メカ室36b内の空気が水とともに排出されることがある。しかしながら、比較的低回転数(例えば450rpm)でポンプ10が運転される場合には、メカ室36b内の空気を排出できる程度に主板33aの裏側の水が周方向に移動せず、メカ室36b内の空気を排出することができない。
【0020】
そこで本実施形態のポンプ10は、羽根車33とメカニカルシール38との間に位置し、ポンプ10の回転体に取り付けられる回転式邪魔板50を有する。
図2Aは、
図1に示す回転式邪魔板50の平面図を示す。
図2Bは、
図2Aに示す2B-2B断面における回転式邪魔板50の断面図を示す。
図2A及び
図2Bに示すように、回転式邪魔板50は、邪魔板部51と、本体部52とを有する。
図1に示すように、回転式邪魔板50の本体部52は、回転軸31に取り付けられ、回転軸31とともに回転する。図示の実施形態では、邪魔板部51は、本体部52に設けられ、羽根車33とメカニカルシール38との間に位置する。より具体的には、邪魔板部51は、本体部52からメカニカルシール38側に向かって延在するように、本体部52に設けられる。また、邪魔板部51は、メカ室36bの内部に配置される。
【0021】
図示の例では、本体部52は略板状体である。しかしながら、これに限らず、例えば筒状体等、邪魔板部51を取り付けることができる任意の形状が採用され得る。回転式邪魔板50は、例えばSUS等の一枚の金属板の一部を垂直に折り曲げることで製造され得る。また、回転式邪魔板50は、本体部52に邪魔板部51を溶接することで製造されてもよい。
【0022】
図1に示すように、邪魔板部51は、回転軸31の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる。言い換えれば、邪魔板部51は、板状の本体部52に対して角度を有するように本体部52から延在する。好ましくは、邪魔板部51は、
図1に示すように、回転軸31の軸方向に直交する面に対して直交する方向、即ち回転軸31の軸方向と平行に延在する。より好ましくは、
図1及び
図2A-2Bに示すように、邪魔板部51の主面が回転軸31の軸方向と平行であり、且つ邪魔板部51の主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれるように、方向づけられる。なお、邪魔板部51の長さ、幅、形状等は、メカ室36bの形状に応じて任意に調整することができる。原則として、邪魔板部51の面積が大きいほど、メカ室36bから空気を排出する効果は向上し得る。本明細書において「邪魔板部51の主面」とは、邪魔板部51が回転軸31とともに回転したときに水から最も抵抗を受ける面をいう。
【0023】
図2Aに示すように、本体部52は、回転軸31の小径部31bが通過するための開口52aを有する。
図1に示すように、本体部52は、回転軸31の大径部31aと、羽根車33とに挟持される。これにより、本体部52は、大径部31a及び羽根車33に対して摩擦係合し、回転軸31の回転に伴って回転式邪魔板50が回転することができる。この場合、特別な部品又は構造等を要することなく、本体部52を回転軸31に取り付けることができる。これに限らず、回転式邪魔板50は、例えばキー係合等、任意の係合方法により、回転軸31に固定され得る。
【0024】
また、回転式邪魔板50の重心は、回転軸31の中心軸上に存在することが好ましい。これにより、回転軸31とともに回転式邪魔板50が回転したときに回転軸31に振動が発生することを抑制することができる。
【0025】
以上で説明したように、本実施形態のポンプ10は、羽根車33とメカニカルシール38の間に位置し、回転体(本体部52)に取り付けられる邪魔板部51を有する。これにより、邪魔板部51が回転軸31とともに回転して、羽根車33とメカニカルシール38の間、即ちメカニカルシール38の周囲の水と空気を混合し、空気を水とともにポンプ10から効率よく排出することができる。また、ポンプ10が邪魔板部51を有するので、ポンプ10が比較的低回転数で運転される場合であっても、メカニカルシール38の周囲の水と空気を容易に混合することができ、空気をポンプ10から排出することができる。なお、ポンプ10が通常の回転数又は比較的高回転数で運転される場合では、空気をより効率的にポンプ10から排出することができる。
【0026】
また、本実施形態のポンプ10では、ケーシング35や羽根車33に穴を開ける等の加工をする必要がない。したがって、これに起因するポンプ効率の低下を抑制することができ、且つ加工に要するコストを不要とすることができる。
【0027】
また、本実施形態のポンプ10では、邪魔板部51が、本体部52からメカニカルシール38側に向かって延在するように、本体部52に設けられる。これにより、邪魔板部51がメカニカルシール38の周囲の水と空気を混合し、空気を水とともにポンプ10から効率よく排出することができる。
【0028】
次に、回転式邪魔板50の他の例について説明する。
図3Aは、回転式邪魔板50の他の例の平面図を示す。
図3Bは、
図3Aに示す3B-3B断面における回転式邪魔板50の断面図を示す。
図3Aに示す回転式邪魔板50では、本体部52は、ドーナツ型の円板形状を有する。また、この回転式邪魔板50は、2つの邪魔板部51を有する。この邪魔板部51は、
図2A及び
図2Bに示すように、回転軸31の軸方向と平行に本体部52の上下に延在し、且つ邪魔板部51の主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれるように方向づけられる。邪魔板部51は、本体部52に例えば溶接により接合され得る。このように、本実施形態に係る回転式邪魔板50は、複数の邪魔板部51を備えていてもよい。
【0029】
図4Aは、回転式邪魔板50の他の例の平面図を示す。
図4Bは、
図4Aに示す4B-4B断面における回転式邪魔板50の断面図を示す。
図4Aに示す回転式邪魔板50は、
図2A-
図2B及び
図3A-
図3Bに示した回転式邪魔板50と同様に、板状の本体部52を有する。また、この回転式邪魔板50は2つの同一形状の邪魔板部51を有する。
図4Bに示すように、一方の邪魔板部51が本体部52の一方(例えば上)に延在し、他方の邪魔板部51が他方(例えば下)に延在するように構成される。邪魔板部51の両方は、回転軸31の軸方向と平行に延在し、且つ邪魔板部51の主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれるように方向づけられる。回転式邪魔板50は、例えばSUS等の一枚の金属板の一部を垂直に折り曲げることで製造され得る。また、回転式邪魔板50は、本体部52に邪魔板部51を溶接することで製造されてもよい。このように、回転式邪魔板50は、同一形状の複数の邪魔板部51がそれぞれ逆方向に延在するように構成されてもよい。これにより、回転式邪魔板50を回転軸31に取り付ける向きが限定されないので、回転式邪魔板50を回転軸31に取り付ける際のヒューマンエラーを防止することができる。
【0030】
図5Aは、回転式邪魔板50の他の例の平面図を示す。
図5Bは、
図5Aに示す5B-5B断面における回転式邪魔板50の断面図を示す。
図5Aに示す回転式邪魔板50は、
図4A-
図4Bに示した回転式邪魔板50と同様に、板状の本体部52を有する。また、この回転式邪魔板50は2つの異なる形状の邪魔板部51を有する。
図5Bに示すように、一方の邪魔板部51が本体部52の一方(例えば上)に延在し、他方の邪魔板部51が他方(例えば下)に延在するように構成される。邪魔板部51の両方は、回転軸31の軸方向と平行に延在し、且つ邪魔板部51の主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれるように方向づけられる。回転式邪魔板50は、例えばSUS等の一枚の金属板の一部を垂直に折り曲げることで製造され得る。また、回転式邪魔板50は、本体部52に邪魔板部51を溶接することで製造されてもよい。このように、回転式邪魔板50は、異なる形状の複数の邪魔板部51がそれぞれ逆方向に延在するように構成されてもよい。これにより、回転式邪魔板50を回転軸31に取り付ける向きが限定されないので、回転式邪魔板50を回転軸31に取り付ける際のヒューマンエラーを防止することができる。
【0031】
図6Aは、回転式邪魔板50の他の例の平面図を示す。
図6Bは、
図6Aに示す矢視6B-6Bから見た側面図を示す。
図6Cは、
図6Aに示す矢視6C-6Cから見た側面図を示す。
図6B及び
図6Cには、説明の便宜上、回転軸31が示されている。
図6A-
図6Cに示す回転式邪魔板50は、
図3A-
図3Bに示した回転式邪魔板50と同様に、ドーナツ型の円板形状の本体部52を有する。また、回転式邪魔板50は、回転軸31の軸方向に直交する面に対して傾斜する方向に延びる一対の邪魔板部51を有する。具体的には、図示の例では、一対の邪魔板部51は、互いに逆方向に同一角度で傾斜するように、本体部52から上方(メカニカルシール38側)に延在する。なお、一対の邪魔板部51は、互いに同一方向に傾斜するように延在してもよく、互いに異なる角度で傾斜してもよい。回転式邪魔板50は、本体部52に邪魔板部51を溶接することで製造されてもよい。このように、回転式邪魔板50は、邪魔板部51が回転軸31の軸方向に直交する面に対して傾斜する方向に延びてもよい。
【0032】
図7Aは、回転式邪魔板50の他の例の平面図を示す。
図7Bは、
図7Aに示す矢視7B-7Bから見た側面図を示す。
図7Cは、
図7Aに示す矢視7C-7Cから見た側面図を示す。
図7B及び
図7Cには、説明の便宜上、回転軸31が示されている。
図7A-
図7Cに示す回転式邪魔板50は、
図3A-
図3Bに示した回転式邪魔板50と同様に、ドーナツ型の円板形状の本体部52を有する。また、この回転式邪魔板50は、回転軸31の軸方向に直交する面に対して直交する方向、即ち回転軸31と平行に延びる一対の邪魔板部51を有する。また、図示の例では、一対の邪魔板部51の主面は回転軸31の軸方向と平行ではあるが、主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれないように邪魔板部51が方向づけられる。図示の例では、一対の邪魔板部51の主面が互いに平行であるが、これに限られない。回転式邪魔板50は、本体部52に邪魔板部51を溶接することで製造されてもよい。このように、回転式邪魔板50は、邪魔板部51の主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれないように構成されてもよい。
【0033】
図8Aは、回転式邪魔板50の他の例の平面図を示す。
図8Bは、
図8Aに示す矢視8B-8Bから見た側面図を示す。
図8Cは、
図8Aに示す矢視8C-8Cから見た側面図を示す。
図8B及び
図8Cには、説明の便宜上、回転軸31が示されている。
図8A-
図8Cに示す回転式邪魔板50は、
図3A-
図3Bに示した回転式邪魔板50と同様に、ドーナツ型の円板形状の本体部52を有する。また、この回転式邪魔板50は、回転軸31の軸方向に直交する面に対して直交する方向、即ち回転軸31と平行に延びる一対の邪魔板部51を有する。また、図示の例では、一対の邪魔板部51は、
図2-
図7に示した邪魔板部51に比べて大きな厚みを有する。なお、図示の例での邪魔板部51の主面は、
図8Bに示される方向から見える邪魔板部51の側面となる。したがって、図示の例では、邪魔板部51の主面は、回転軸31の軸方向と平行に延びる。他方、邪魔板部51は、その主面の同一面内に回転軸31の中心軸が含まれないように方向付けられる。このように、本願明細書における「邪魔板部51」には、薄い板状体だけでなく、柱状体も含まれる。
【0034】
図9Aは、回転式邪魔板50の他の例の材料の平面図を示す。
図9Bは、
図9Aに示す材料から形成された回転式邪魔板50の斜視図を示す。
図9Aに示すように、回転式邪魔板50の材料は、例えばSUS等の一枚の金属板であり、本体部52と邪魔板部51とから構成される。邪魔板部51は、邪魔板部51が回転軸31とともに回転したときに水から最も抵抗を受ける主面部51bと、主面部51bと本体部52とを連結する連結部51aとを有する。
【0035】
図9Aに示す材料の連結部51aを本体部52に対して直角に折り曲げ、且つ主面部51bを連結部51aに対して直角に折り曲げることで、
図9Bに示す回転式邪魔板50が形成される。
図9Bに示す回転式邪魔板50では、邪魔板部51の主面部51bの主面が回転軸31の軸方向と平行であり、且つその主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれるように、邪魔板部51が方向づけられる。このように、板材を2回折り曲げることで回転式邪魔板50を形成することができるので、溶接等の加工が不要となり、製作コストを低減及び強度を増加させることができる。
【0036】
次に、他の実施形態に係るポンプ10について説明する。
図10は、他の実施形態に係るポンプ10の拡大断面図である。
図10においては、羽根車33及びメカニカルシール38の近傍が拡大して示される。
図10に示されていない部分は、
図1に示したポンプ10と同様の構造を有し得る。
図10に示すポンプ10は、
図1に示したポンプ10と比べて、回転式邪魔板50を備えていない。これに代えて、
図10に示すポンプ10は、羽根車33の主板33aに取り付けられた邪魔板部51を備える。
【0037】
図10に示す邪魔板部51は、羽根車33とメカニカルシール38の間に位置し、回転体である羽根車33に、例えば溶接等により取り付けられる。
図10に示すように、邪魔板部51は、回転軸31の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる。好ましくは、邪魔板部51は、
図10に示すように、回転軸31の軸方向に直交する面に対して直交する方向、即ち回転軸31の軸方向と平行に延在する。より好ましくは、
図10に示すように、邪魔板部51の主面が回転軸31の軸方向と平行であり、且つ邪魔板部51の主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれるように、方向づけられる。これにより、邪魔板部51が水を効率よく撹拌することができる。
【0038】
図10に示すポンプ10によれば、邪魔板部51が回転軸31とともに回転して、メカ室36bの内部、即ちメカニカルシール38の周囲の水と空気を混合し、空気を水とともにポンプ10から効率よく排出することができる。また、ポンプ10が邪魔板部51を有するので、ポンプ10が比較的低回転数で運転される場合であっても、メカニカルシール38の周囲の水と空気を容易に混合することができ、空気をポンプ10から排出することができる。なお、ポンプ10が通常の回転数又は比較的高回転数で運転される場合では、空気をより効率的にポンプ10から排出することができる。
【0039】
また、本実施形態のポンプ10では、既存の羽根車33に邪魔板部51を取り付ける加工が必要ではあるものの、回転式邪魔板50のような他の部品を別途準備する必要がない点で利点が存在する。
【0040】
図11は、他の実施形態に係るポンプ10の拡大断面図である。
図11においては、羽根車33及びメカニカルシール38の近傍が拡大して示される。
図11に示されていない部分は、
図1に示したポンプ10と同様の構造を有し得る。
図11に示すポンプ10は、
図1に示したポンプ10と比べて、回転式邪魔板50を備えていない。これに代えて、
図11に示すポンプ10は、メカニカルシール38に取り付けられた邪魔板部51を備える。
【0041】
メカニカルシール38は、上ケーシング36に固定される固定環38aと、回転軸31とともに回転する回転環38bとを有する。
図11に示す邪魔板部51は、羽根車33とメカニカルシール38の間に位置し、回転体である回転環38bに、例えば溶接等により取り付けられる。
図11に示すように、邪魔板部51は、回転軸31の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる。好ましくは、邪魔板部51は、
図11に示すように、回転軸31の軸方向に直交する面に対して直交する方向、即ち回転軸31の軸方向と平行に延在する。より好ましくは、
図11に示すように、邪魔板部51の主面が回転軸31の軸方向と平行であり、且つ邪魔板部51の主面と同一面内に回転軸31の中心軸が含まれるように、方向づけられる。
【0042】
図11に示すポンプ10によれば、邪魔板部51が回転軸31とともに回転して、メカ室36bの内部、即ちメカニカルシール38の周囲の水と空気を混合し、空気を水とともにポンプ10から効率よく排出することができる。また、ポンプ10が邪魔板部51を有するので、ポンプ10が比較的低回転数で運転される場合であっても、メカニカルシール38の周囲の水と空気を容易に混合することができ、空気をポンプ10から排出することができる。なお、ポンプ10が通常の回転数又は比較的高回転数で運転される場合では、空気をより効率的にポンプ10から排出することができる。
【0043】
また、本実施形態のポンプ10では、既存のメカニカルシール38に邪魔板部51を取り付ける加工が必要ではあるものの、回転式邪魔板50のような他の部品を別途準備する必要がない点で利点が存在する。
【0044】
図12Aは、回転式邪魔板50の他の例の材料の平面図を示す。
図12Bは、
図12Aに示す材料から形成された回転式邪魔板50の斜視図を示す。
図12Aに示すように、回転式邪魔板50の材料は、例えばSUS等の一枚の金属板であり、本体部52と邪魔板部51とを有する。邪魔板部51は、上側邪魔板部51cと下側邪魔板部51dとを含む。図示の例では、2つの上側邪魔板部51cと2つの下側邪魔板部51dを有するが、これに限らず邪魔板部51は、上側邪魔板部51c及び下側邪魔板部51dの少なくとも一つとを有し得る。
【0045】
図12A及び
図12Bに示すように、下側邪魔板部51dは、上側邪魔板部51cよりも短い、略矩形の板状体である。上側邪魔板部51cは、矩形の板状体の一つの角部が面取りされた形状を有する。具体的には、上側邪魔板部51cでは、その先端において幅が徐々に小さくなるように、回転軸31が通過する開口52aから遠い側の角部が円弧状に面取りされている。即ち、上側邪魔板部51cは、
図12Aに示す平面において、円弧状の先端面55を有し得る。
図12Bに示すように、上側邪魔板部51cは、回転式邪魔板50を回転軸31に取り付けたときに回転軸31の軸方向と平行に上側に延びる。下側邪魔板部51dは、回転式邪魔板50を回転軸31に取り付けたときに回転軸31の軸方向と平行に下側に延びる。
【0046】
また、回転式邪魔板50は、固定部54を有する。固定部54は、本体部52に対して略直角に延びる板状体であり得る。固定部54は、開口52aに隣接するように位置し、回転式邪魔板50を回転軸31に取り付けたときに、回転軸31又は羽根車33に対して本体部52が周方向に動かないように、羽根車33のキー溝及び/又は回転軸31のキー穴に係合する。回転式邪魔板50が固定部54を有することにより、回転式邪魔板50が、回転軸31又は羽根車33に対して周方向に動かないように確実に固定され得る。
【0047】
図12Bに示す回転式邪魔板50を形成するためには、
図12Aに示した上側邪魔板部51c、下側邪魔板部51d、及び固定部54を本体部52に対して略直角に折り曲げる。具体的には、上側邪魔板部51cを本体部52に対して略直角に折り曲げ、下側邪魔板部51d及び固定部54を上側邪魔板部51cの折り曲げ方向とは逆方向に略直角に折り曲げる。
【0048】
また、
図12A及び
図12Bに示すように、邪魔板部51が折り曲げられて形成される場合には、本体部52が、邪魔板部51の根元近傍において、曲げ逃げ部53を有することが好ましい。曲げ逃げ部53は、本体部52に形成される切り欠きであり得る。本体部52が曲げ逃げ部53を有することにより、邪魔板部51を本体部52に対して直角に曲げても、ポンプ10の運転時に邪魔板部51の根元に応力が集中することが抑制される。その結果、邪魔板部51が早期に破壊されることを防止することができる。また、図示の例では、固定部54も折り曲げられて形成されるので、本体部52は、固定部54の根元近傍において、曲げ逃げ部53を有することが好ましい。
【0049】
図13Aは、回転式邪魔板50の他の例の斜視図を示す。
図13Bは、
図13Aに示す回転式邪魔板50の側面図を示す。
図13A及び
図13Bに示す回転式邪魔板50は、
図12A及び
図12Bに示した回転式邪魔板50と比べて、下側邪魔板部51dを備えない点のみが異なる。このように、12A及び
図12Bに示した回転式邪魔板50において下側邪魔板部51dを省略してもよい。
【0050】
図14は、回転式邪魔板50の他の例の側面図を示す。
図14に示す回転式邪魔板50は、
図12A及び
図12Bに示した回転式邪魔板50と比べて、上側邪魔板部51cの先端面55の形状のみが異なる。
図14に示す回転式邪魔板50の上側邪魔板部51cは、矩形の板状体の一つの角部が角面状に面取りされた形状を有する。具体的には、上側邪魔板部51cでは、その先端において幅が徐々に小さくなるように、回転軸31が通過する開口52aから遠い側の角部が角面状に面取りされている。即ち、上側邪魔板部51cは、
図14において、直線状の先端面55が本体部52の主面に対して傾斜する。
【0051】
図15は、回転式邪魔板50の他の例の側面図を示す。
図15に示す回転式邪魔板50は、
図12A及び
図12Bに示した回転式邪魔板50と比べて、上側邪魔板部51cの先端面55の形状のみが異なる。
図15に示す回転式邪魔板50の上側邪魔板部51cは、矩形の板状体の一つの角部が角面状に2回面取りされた形状を有する。具体的には、上側邪魔板部51cでは、その先端において幅が徐々に小さくなるように、回転軸31が通過する開口52aから遠い側の角部が角面状に2回面取りされている。即ち、上側邪魔板部51cは、
図14において、本体部52の主面に対して傾斜した直線状の第1先端面55aと、第1先端面55aと異なる角度で傾斜する直線状の第2先端面55bとを有する。
【0052】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上述した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、又は省略が可能である。
【0053】
本明細書は、以下の形態を開示する。
第1形態によれば、ポンプが提供される。このポンプは、回転軸と、前記回転軸に取り付けられて前記回転軸の回転に伴って回転する羽根車と、前記回転軸を取り囲むケーシングと、前記ケーシングと前記回転軸との間を封止する軸封装置と、前記羽根車と前記軸封装置の間に位置し、回転体に取り付けられる邪魔板部と、を有し、前記邪魔板部は、前記回転軸の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる。
【0054】
第1形態によれば、邪魔板部が回転体とともに回転するので、羽根車と軸封装置の間の水と空気を混合し、空気を水とともにポンプから効率よく排出することができる。したがって、ケーシングや羽根車に穴を開ける等の加工をする必要がないので、これに起因するポンプ効率の低下を抑制することができ、且つ加工に要するコストを不要とすることができる。また、ポンプが邪魔板部を有するので、ポンプが比較的低回転数で運転される場合であっても、羽根車と軸封装置の間の水と空気を容易に混合することができ、空気をポンプから排出することができる。なお、ポンプが通常の回転数又は比較的高回転数で運転される場合では、空気をより効率的にポンプから排出することができる。
【0055】
第2形態は、第1形態のポンプにおいて、前記羽根車と前記軸封装置の間に位置するように前記回転軸に取り付けられる回転式邪魔板を有し、前記回転式邪魔板は、前記回転軸に取り付けられる本体部と、前記本体部に設けられる前記邪魔板部と、を有する、ことを要旨とする。
【0056】
第2形態によれば、邪魔板部が設けられた本体部を回転軸に取り付けるだけで、ポンプ内の空気を排出することができる。
【0057】
第3形態は、第2形態のポンプにおいて、前記回転式邪魔板の重心は、前記回転軸の中心軸上に存在する、ことを要旨とする。
【0058】
第3形態によれば、回転軸とともに邪魔板部及び本体部が回転したときに回転軸に振動が発生することを抑制することができる。
【0059】
第4形態は、第2形態又は第3形態のポンプにおいて、前記邪魔板部は、前記本体部から前記軸封装置側に延在する、ことを要旨とする。
【0060】
第4形態によれば、邪魔板部が軸封装置の周囲の水と空気を混合し、空気を水とともにポンプから効率よく排出することができる。
【0061】
第5形態は、第2形態から第4形態のいずれかのポンプにおいて、前記回転軸は、大径部と、前記大径部よりも先端側に位置する小径部と、を有し、前記本体部は、前記回転軸の前記小径部が通過する開口を有し、前記回転軸の前記大径部と前記羽根車とに挟持されて、前記回転軸に取り付けられる、ことを要旨とする。
【0062】
第5形態によれば、特別な部品又は構造等を要することなく、本体部を回転軸に取り付けることができる。
【0063】
第6形態は、第2形態から第5形態のいずれかのポンプにおいて、前記本体部は、前記回転軸又は前記羽根車に対して前記本体部が周方向に動かないように、前記回転軸又は前記羽根車と係合する固定部を有する、ことを要旨とする。
【0064】
第6形態によれば、固定部により、回転式邪魔板が、回転軸又は羽根車に対して周方向に動かないように確実に固定され得る。
【0065】
第7形態は、第2形態から第6形態のいずれかのポンプにおいて、前記本体部は、前記邪魔板部の根元近傍に曲げ逃げ部を有する、ことを要旨とする。
【0066】
第7形態によれば、邪魔板部を本体部に対して直角に曲げても、ポンプの運転時に邪魔板部の根元に応力が集中することが抑制される。その結果、邪魔板部が早期に破壊されることを防止することができる。
【0067】
第8形態は、第1形態のポンプにおいて、前記羽根車は、主板を有し、前記邪魔板部は、前記羽根車の前記主板に取り付けられる、ことを要旨とする。
【0068】
第8形態によれば、回転式邪魔板のような他の部品を別途準備することなく、邪魔板部によって水と空気を混合し、空気を水とともにポンプ10から効率よく排出することができる。
【0069】
第9形態は、第1形態のポンプにおいて、前記軸封装置は、固定環と回転環と有するメカニカルシールであり、前記邪魔板部は、前記メカニカルシールの前記回転環に取り付けられる、ことを要旨とする。
【0070】
第9形態によれば、回転式邪魔板のような他の部品を別途準備することなく、邪魔板部によって水と空気を混合し、空気を水とともにポンプから効率よく排出することができる。
【0071】
第10形態は、第1形態から第9形態のいずれかのポンプにおいて、前記邪魔板部は、前記邪魔板部の主面が前記回転軸の軸方向と平行であり、且つ前記主面と同一面内に前記回転軸の中心軸が含まれるように方向づけられる、ことを要旨とする。
【0072】
第10形態によれば、邪魔板部が水を効率よく撹拌することができる。
【0073】
第11形態によれば、ポンプの羽根車と軸封装置の間に位置するように回転軸に取り付けられる回転式邪魔板が提供される。この回転式邪魔板は、前記回転軸が挿入される開口を有し、前記回転軸に取り付けられる本体部と、前記本体部に取り付けられ、前記本体部が前記回転軸に取り付けられた状態において前記回転軸の軸方向に直交する面に対して傾斜又は直交する方向に延びる邪魔板部と、を有する。
【0074】
第11形態によれば、回転式邪魔板が回転軸に取り付けられることで、邪魔板部が回転軸とともに回転するので、羽根車と軸封装置の間の水と空気を混合し、空気を水とともにポンプから効率よく排出することができる。したがって、ケーシングや羽根車に穴を開ける等の加工をする必要がないので、これに起因するポンプ効率の低下を抑制することができ、且つ加工に要するコストを不要とすることができる。
【符号の説明】
【0075】
10…ポンプ
31…回転軸
31a…大径部
31b…小径部
33…羽根車
33a…主板
35…ケーシング
36…上ケーシング
37…下ケーシング
38…メカニカルシール
38a…固定環
38b…回転環
50…回転式邪魔板
51…邪魔板部
52…本体部
52a…開口
53…曲げ逃げ部
54…固定部