IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ アプライド マテリアルズ インコーポレイテッドの特許一覧

特許7505050金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法
<>
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図1
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図2A
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図2B
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図2C
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図3
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図4A
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図4B
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図4C
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図5
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図6A
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図6B
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図7
  • 特許-金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-14
(45)【発行日】2024-06-24
(54)【発明の名称】金属オキソフォトレジストのための気相熱エッチング法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240617BHJP
   G03F 7/30 20060101ALI20240617BHJP
   G03F 7/20 20060101ALN20240617BHJP
【FI】
H01L21/30 569H
G03F7/30 501
G03F7/20 503
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2022580825
(86)(22)【出願日】2021-06-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-07-26
(86)【国際出願番号】 US2021038424
(87)【国際公開番号】W WO2022005808
(87)【国際公開日】2022-01-06
【審査請求日】2023-02-28
(31)【優先権主張番号】17/348,589
(32)【優先日】2021-06-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/047,157
(32)【優先日】2020-07-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】カルタラジ, ラクマル チャリドゥ
(72)【発明者】
【氏名】サリー, マーク ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ブイヤン, バスカー ジョティ
(72)【発明者】
【氏名】サチャン, マドゥール
(72)【発明者】
【氏名】フリード, レジーナ
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/264158(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/264571(WO,A1)
【文献】特開2017-116923(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/027
G03F 7/20
G03F 7/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属オキソフォトレジストを現像する方法であって、
真空チャンバ内に前記金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することであって、前記金属オキソフォトレジストが露光領域と非露光領域とを含み、前記非露光領域が前記露光領域よりも高い炭素濃度を有する、基板を提供することと、
前記真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることであって、気化した前記ハロゲン化剤が前記非露光領域又は前記露光領域のいずれかと反応して揮発性副生成物を生成する、ハロゲン化剤を気化させることと、
前記真空チャンバをパージすることと、を含み、
気化した前記ハロゲン化剤は、前記露光領域よりも前記非露光領域と優先的に反応し、
前記金属オキソフォトレジストが、SN、Hf、およびZrを含む金属オキソフォトレジストから選択され、
前記ハロゲン化剤が金属ハロゲン化物を含む、方法。
【請求項2】
前記金属ハロゲン化物が化学式MX又はMXを有し、式中、Mは金属であり、Xはハロゲンであり、Lは揮発性配位子であり、aは1~6であり、bは1~5である、請求項に記載の方法。
【請求項3】
前記金属ハロゲン化物が、MoCl、TaCl、NbCl、又はWClを含む、請求項に記載の方法。
【請求項4】
金属オキソフォトレジストを現像する方法であって、
真空チャンバ内に前記金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することであって、前記金属オキソフォトレジストが露光領域と非露光領域とを含み、前記非露光領域が前記露光領域よりも高い炭素濃度を有する、基板を提供することと、
前記真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることであって、気化した前記ハロゲン化剤が前記非露光領域又は前記露光領域のいずれかと反応して揮発性副生成物を生成する、ハロゲン化剤を気化させることと、
前記真空チャンバをパージすることと、を含み、
気化した前記ハロゲン化剤は、前記露光領域よりも前記非露光領域と優先的に反応し、
前記金属オキソフォトレジストが、SN、Hf、およびZrを含む金属オキソフォトレジストから選択され、
前記ハロゲン化剤が金属オキシハロゲン化物を含む、法。
【請求項5】
前記金属オキシハロゲン化物が化学式MO又はMOを有し、式中、Mは金属であり、Xはハロゲンであり、Lは揮発性配位子であり、aは1~5であり、bは1~5であり、cは1~5である、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記金属オキシハロゲン化物が、MoOCl、MoOCl、WOClを含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記ハロゲン化剤が、塩化チオニル(SOCl)、塩化メタンスルホニル(CHSOCl)、塩化トリクロロメタンスルホニル(CClSOCl)、塩化4-トルエンスルホニル(塩化トシル)、塩化オキサリル(ClCOCOCl)、次亜塩素酸tert-ブチル((CHCOCl)、N-クロロフタルイミド、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、塩化トリメチルシリル、HCl、Cl、PCl、BCl、HBr、Br、CClBr、CBr、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(ClCBrCBrCl)、BBr、PBr、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモアセトアミド、2-ブロモ-2-シアノ-N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、2,4,4,6-テトラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン、又は臭化トリメチルシリル、を含む、請求項1または4に記載の方法。
【請求項8】
前記ハロゲン化剤が、SOBr(臭化チオニル)、SOCl(塩化スルフリル)、及びSOBr(臭化スルフリル)のうちの一又は複数を含む、請求項1または4に記載の方法。
【請求項9】
前記ハロゲン化剤が不活性ガスで希釈される、請求項1または4に記載の方法。
【請求項10】
金属オキソフォトレジストを現像する方法であって、
真空チャンバ内に前記金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することであって、前記金属オキソフォトレジストが露光領域と非露光領域とを含み、前記非露光領域が前記露光領域よりも高い炭素濃度を有する、基板を提供することと、
前記真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることであって、気化した前記ハロゲン化剤が前記非露光領域又は前記露光領域のいずれかと反応して不揮発性生成物を生成する、ハロゲン化剤を気化させることと、
前記真空チャンバ内に配位子を気化させることであって、気化した前記配位子が前記不揮発性生成物と反応して揮発性副生成物を生成する、配位子を気化させることと、
前記真空チャンバをパージすることと、を含み、
気化した前記ハロゲン化剤は、前記露光領域よりも前記非露光領域と優先的に反応し、
前記金属オキソフォトレジストが、SN、Hf、およびZrを含む金属オキソフォトレジストから選択され、
前記ハロゲン化剤が金属ハロゲン化物を含む、方法。
【請求項11】
金属オキソフォトレジストを現像する方法であって、
真空チャンバ内に前記金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することであって、前記金属オキソフォトレジストが露光領域と非露光領域とを含み、前記非露光領域が前記露光領域よりも高い炭素濃度を有する、基板を提供することと、
前記真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることであって、気化した前記ハロゲン化剤が前記非露光領域又は前記露光領域のいずれかと反応して不揮発性生成物を生成する、ハロゲン化剤を気化させることと、
前記真空チャンバ内に配位子を気化させることであって、気化した前記配位子が前記不揮発性生成物と反応して揮発性副生成物を生成する、配位子を気化させることと、
前記真空チャンバをパージすることと、を含み、
気化した前記ハロゲン化剤は、前記露光領域よりも前記非露光領域と優先的に反応し、
前記金属オキソフォトレジストが、SN、Hf、およびZrを含む金属オキソフォトレジストから選択され、
前記ハロゲン化剤が金属オキシハロゲン化物を含む、法。
【請求項12】
前記配位子がプロトン化配位子である、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記プロトン化配位子がアミンである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
金属オキソフォトレジストを現像する方法であって、
真空チャンバ内に前記金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することであって、前記金属オキソフォトレジストが露光領域と非露光領域とを含み、前記非露光領域が前記露光領域よりも高い炭素濃度を有する、基板を提供することと、
前記真空チャンバ内に有機酸を気化させることであって、気化した前記有機酸が前記非露光領域又は前記露光領域のいずれかと反応して揮発性副生成物を生成する、有機酸を気化させることと、
前記真空チャンバをパージすることと、を含み、
気化した前記有機酸は、前記露光領域よりも前記非露光領域と優先的に反応し、
前記金属オキソフォトレジストが、SN、Hf、およびZrを含む金属オキソフォトレジストから選択され、
前記有機酸が、カルボン酸(RCO H)(式中、R基が、CH 、tBu、又はiPrを含む)である、方法。
【請求項15】
前記有機酸が不活性ガスで希釈される、請求項14に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2020年7月1日出願の米国仮出願第63/047,157号の利益を主張する、2021年6月15日出願の米国非仮出願第17/348,589号に対する優先権を主張するものであり、かかる出願の内容全体が、参照により本願に援用される。
【0002】
本開示の実施形態は、半導体処理の分野に関し、詳細には、気相プロセスを使用して金属オキソフォトレジストを現像する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
関連技術の記載
リソグラフィは、半導体業界において数十年間にわたり、マイクロエレクトロニクスデバイスに2D及び3Dのパターンを作成するために使用されてきた。リソグラフィプロセスは、膜(フォトレジスト)のスピンオン堆積、選択されたパターンを有する膜へのエネルギー源による照射(露光)、及び、溶媒中で溶解させることによる、膜の露光(ポジティブトーン)領域又は非露光(ネガティブトーン)領域の除去(エッチング)、を伴う。残留溶媒を排除するためにはベイクが行われる。
【0004】
フォトレジストは、放射感受性材料であるはずであり、照射が行われると、膜の露光部分において化学的変換が発生し、これにより、露光領域と非露光領域の間で溶解度が変わることが可能になる。この溶解度の変化を使用して、フォトレジストの露光領域又は非露光領域のいずれかが除去(エッチング)される。ここでフォトレジストは現像されており、パターンは、エッチングによって下にある薄膜又は基板に転写されうる。パターンが転写された後に、残留フォトレジストが除去される。このプロセスを多数回反復することで、マイクロ電子デバイスにおいて使用される2D及び3Dの構造を得ることが可能になる。
【0005】
リソグラフィプロセスにおいては、いくつかの特性が重要になる。かかる重要な特性は、感受性、解像度、ラインエッジ粗さが低いこと(LER)、エッチング耐性、及び薄層形成能力を含む。感受性が高くなると、堆積された膜の溶解度を変えるのに必要なエネルギーは少なくなる。これにより、リソグラフィプロセスにおいて効率を向上させることが可能になる。リソグラフィプロセスによりどれほど狭小なフィーチャが実現されうるかは、解像度とLERによって決まる。深型構造を形成するためのパターン転写には、エッチング耐性の高い材料が必要になる。エッチング耐性の高い材料により、膜の薄化も可能になる。膜が薄くなるほど、リソグラフィプロセスの効率は向上する。
【発明の概要】
【0006】
本書で開示している実施形態は、金属オキソフォトレジストを現像する方法を含む。一実施形態では、この方法は、真空チャンバ内に、露光領域及び非露光領域を含む金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することを含む。一実施形態では、非露光領域は、露光領域よりも高い炭素濃度を有する。方法は、真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることを更に含んでよく、真空チャンバ内で、ハロゲン化剤は、非露光領域又は露光領域のいずれかと反応して揮発性副生成物を生成する。一実施形態では、方法は、真空チャンバをパージすることを更に含みうる。
【0007】
金属オキソフォトレジストを現像する方法は更に、真空チャンバ内に、露光領域及び非露光領域を含む金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することを含みうる。一実施形態では、非露光領域は、露光領域よりも高い炭素濃度を有する。この方法は、真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることを更に含んでよく、真空チャンバ内で、ハロゲン化剤は、非露光領域又は露光領域のいずれかと反応して不揮発性生成物を生成する。一実施形態では、方法は、真空チャンバ内に配位子(ligand)を気化させることを更に含んでよく、真空チャンバ内で、配位子は、不揮発性生成物と反応して揮発性副生成物を生成する。一実施形態では、方法は、真空チャンバをパージすることを更に含みうる。
【0008】
金属オキソフォトレジストを現像する方法は更に、真空チャンバ内に、露光領域及び非露光領域を含む金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することを含みうる。一実施形態では、非露光領域は、露光領域よりも高い炭素濃度を有する。この方法は、真空チャンバ内に有機酸を気化させることを更に含んでよく、真空チャンバ内で、有機酸は、非露光領域又は露光領域のいずれかと反応して揮発性副生成物を生成する。一実施形態では、方法は、真空チャンバをパージすることを更に含みうる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による、ハロゲン化剤を用いる気相プロセスを使用して金属オキソフォトレジストを現像するためのプロセスを説明するフロー図である。
図2A】本開示の一実施形態による、図1のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図2B】本開示の一実施形態による、図1のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図2C】本開示の一実施形態による、図1のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図3】本開示の一実施形態による、ハロゲン化剤及びプロトン化配位子を用いる気相プロセスを使用して金属オキソフォトレジストを現像するためのプロセスを説明するフロー図である。
図4A】本開示の一実施形態による、図3のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図4B】本開示の一実施形態による、図3のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図4C】本開示の一実施形態による、図3のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図5】本開示の一実施形態による、有機酸を用いる気相プロセスを使用して金属オキソフォトレジストを現像するためのプロセスを説明するフロー図である。
図6A】本開示の一実施形態による、図5のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図6B】本開示の一実施形態による、図5のフロー図内のある工程を示す基板及びフォトレジストの断面図である。
図7】本開示の一実施形態による、図1図3、又は図5のプロセスの部分を実装するために使用されうる処理ツールの断面図である。
図8】本開示の一実施形態による、例示的なコンピュータシステムのブロック図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本書では、気相プロセスを使用して金属オキソフォトレジストを現像する方法について説明している。以下の説明には、本開示の実施形態の網羅的な理解を提供するために、フォトレジストを現像するための多数の具体的な詳細事項(熱気相プロセスや材料レジームなど)が記載される。これらの具体的な詳細事項がなくとも本開示の実施形態は実践可能であることが、当業者には自明となろう。他の事例では、本開示の実施形態を不必要に不明瞭にしないために、周知の態様(集積回路の製造など)については、詳細に説明していない。更に、図に示している様々な実施形態は例示的な表現であり、必ずしも縮尺どおりには描かれていないことを理解されたい。
【0011】
理解を助けるために更に言うと、極紫外線(EUV)リソグラフィで使用されるフォトレジスト系には、効率が悪いという問題がある。つまり、EUVリソグラフィ向けの既存のフォトレジスト材料系は、フォトレジスト材料の現像を可能にするのに必要な溶解度スイッチを提供するために、高線量を必要とする。有機-無機ハイブリッド材料(例えば金属オキソ材料系)は、EUV放射に対する感受性が高いことにより、EUVリソグラフィ向けの材料系として提案されている。かかる材料系は、典型的には、金属(例えばSn、Hf、Zrなど)、酸素、及び炭素を含む。金属オキソベースの有機-無機ハイブリッド材料は、低LER及び高解像度(これらは狭小フィーチャを形成するために必要な特性である)を提供することも分かっている。
【0012】
金属オキソフォトレジスト系では、EUV放射への露光によって炭素が除去される。露光領域と非露光領域との間の炭素割合の差が、現像中に溶解度スイッチとして使用される。詳細には、ネガティブトーン現像においては、炭素含有量が高い非露光領域が、現像液により優先的にエッチングされる。
【0013】
金属オキソフォトレジスト系は現在、湿式化学作用を使用して現像されている。つまり、露光後に、フォトレジストの非露光領域が、スピン乾燥プロセスで使用される有機溶媒/塩基溶液によって現像される。ベイク後アニール処理も含まれることがある。しかし、高アスペクト比のフィーチャに対処する場合、湿式法は、(特にライン構造やピラー構造では)パターン崩壊のリスクがあるため、困難でありうる。加えて、湿式プロセスでは、除去されるはずの材料が全ては除去されない可能性があり、小型フィーチャ内に膜材料/副生成物/溶媒などがトラップされることがある。
【0014】
したがって、本開示の実施形態は、金属オキソフォトレジストを現像するための気相熱エッチングプロセスを提供する。詳細には、気相熱エッチングプロセスにより、1)湿性副生成物の生成がなくなること、2)不具合及び不純物が減少すること、3)除害(abatement)システムにおいて乾式化学物質が破壊されるため、廃棄流が減少すること、4)LERが向上すること、及び5)反応性イオンエッチング(RIE)でのプラズマ損傷と比較すると乾式熱エッチングによる損傷は少ないこと、
という利点が提供される。例えば30nm未満のピッチ(例えば14nm未満のラインCD)で、15nm未満のフォトレジスト厚さでは、プラズマがフォトレジストマスクを損傷する可能性があり、これにより、パターンが下層に転写される時にLER/LWRの不良、又はラインパターンの破壊までもが発生しうる。
【0015】
本書で開示している実施形態は、金属オキソフォトレジストが好適な電磁放射源(例えばEUV源)で部分的に露光された後に実行される、様々な気相熱エッチングプロセスを提供する。第1の実施形態では、気相熱エッチングプロセスは、真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることを含む。このハロゲン化剤は、フォトレジストの非露光領域又は露光領域のいずれかと反応して揮発性副生成物を生成し、揮発性副生成物は真空チャンバから除去される。第2の実施形態では、気相熱エッチングプロセスは、真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることを含む。このハロゲン化剤は、フォトレジストの非露光領域又は露光領域のいずれかと反応して、不揮発性生成物を生成しうる。次いで、チャンバ内に配位子が気化されうる。配位子は不揮発性生成物と反応して揮発性副生成物をもたらし、揮発性副生成物は真空チャンバから除去されうる。第3の実施形態では、気相熱エッチングプロセスは、真空チャンバ内に有機酸を気化させることを含む。有機酸は、フォトレジストの非露光領域又は露光領域のいずれかと反応して揮発性副生成物を生成し、揮発性副生成物は真空チャンバから除去される。
【0016】
ここで図1を参照するに、本開示の一実施形態による、基板表面上の金属オキソフォトレジストを現像するためのプロセス120を示すフロー図が提示されている。図2Aから図2Cは、プロセス120における様々な工程の後の基板261及び金属オキソフォトレジスト262の断面図である。
【0017】
一実施形態では、プロセス120は、金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することを含む、工程121で始まりうる。図2Aは、基板261の表面を覆うように金属オキソフォトレジスト262配置されている基板261の断面図である。一実施形態では、基板261は、半導体製造環境において特徴的な、任意の一又は複数の基板材料を含みうる。例えば、基板261は半導体材料を含みうる。基板261は、半導体デバイス又は半導体デバイスの部分を含みうる。かかる半導体デバイスの例は、シリコン基板に製造され、誘電体層に包まれた、メモリデバイス又は相補型金属酸化膜半導体(CMOS)トランジスタを含むが、これらに限定されるわけではない。基板261は更に、デバイス又はトランジスタの上方の、周りを取り囲む誘電体層内に形成された複数の金属相互接続部を含んでよく、かつ、デバイス又はトランジスタを電気的に連結して集積回路を形成するために使用されうる。一実施形態では、基板261はウエハでありうる。
【0018】
一実施形態では、金属オキソフォトレジスト262(単に「フォトレジスト262」とも称される)は、任意の金属オキソ材料系でありうる。かかる材料系は、典型的には、金属(例えばSn、Hf、Zrなど)、酸素、及び炭素を含む。ある特定の実施形態では、フォトレジスト262はSnOCを含む。
【0019】
フォトレジスト262は、任意の好適な堆積プロセスを使用して、基板261の表面上に配置されうる。一実施形態では、フォトレジストは、スピンオンプロセスを使用して、湿式化学作用により基板261の表面上に配置される。代替的な実施形態では、フォトレジストは、気相プロセス(すなわち乾式プロセス)を使用して、基板261の表面上に配置される。気相プロセスでは、金属前駆体と酸化剤(oxidant)とが真空チャンバ内へと気化されうる。その際、金属前駆体と酸化剤とが反応して、基板261の表面上に金属オキソフォトレジスト262を堆積させる。かかる乾式プロセスは、化学気相堆積(CVD)プロセス、原子層堆積(ALD)プロセス、プラズマCVD(PE-CVD)プロセス、又はプラズマALD(PE-ALD)プロセスとして特徴付けられうる。
【0020】
一実施形態では、プロセス120は、金属オキソフォトレジストを部分的に露光させて、露光領域と非露光領域とを作成することを含む、工程122に続きうる。図2Bは露光プロセスを示す断面図である。図示しているように、電磁放射264が、マスク263を通過して露光領域262Eを露光する。非露光領域262Uは、マスク263によって電磁放射から遮蔽される。一実施形態では、電磁放射はEUV放射である。EUV放射が使用される場合、EUV放射264は、マスクを通過せずに、マスクに反射しうる。本書ではEUV放射線について具体的に開示しているが、金属オキソフォトレジスト262における溶解度スイッチを始動させうる任意の好適な波長の電磁放射が使用されうることを認識されたい。例えば、一部の実施形態では、DUV放射が使用されうる。
【0021】
一実施形態では、溶解度スイッチは、炭素の損失によってもたらされる。詳細には、電磁放射への露光により、露光領域262Eから炭素が除去される。非露光領域262Uの炭素含有量が高くなることで、非露光領域は、後続の気相現像プロセスにおけるエッチングに対する感受性が高まる。
【0022】
一実施形態では、プロセス120は、基板を真空チャンバ内に配置することを含む、工程123に続きうる。一実施形態では、真空チャンバは、大気圧未満の圧力条件を提供するのに適した任意のチャンバでありうる。真空チャンバは、気相プロセスの熱制御を提供するために加熱/冷却機能も含みうる。例えば、基板261が載置されるペデスタルは、能動的に加熱及び/又は冷却されるペデスタルでありうる。加えて、一部の実施形態では、真空チャンバの壁が能動的に加熱及び/又は冷却されうる。
【0023】
特に、本書で開示している実施形態では、金属オキソフォトレジストの気相エッチングを実装するためにプラズマ源が必要とされないことを認識されたい。したがって、真空チャンバの構造は、金属オキソフォトレジストのプラズマベースの現像を含むプロセスと比較して、単純化されうる。好適な真空チャンバについてのより詳細な説明を、下記で図7に関連して提示する。
【0024】
一実施形態では、プロセス120は、真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることを含む、工程124に続きうる。一実施形態では、ハロゲン化剤は、非露光領域262Uと反応して揮発性副生成物を生成する。つまり、ハロゲン化剤と非露光領域262Uとの間の反応により、図2Cに示しているように、基板261から非露光領域262Uが除去される。他の実施形態では、ハロゲン化剤が露光領域262Eと反応して、揮発性副生成物を生成することもある。一実施形態では、反応の副生成物は揮発性金属ハロゲン化物である。一部の金属ハロゲン化物は、他のものよりも高い揮発性を有する。例えば、SnCl4はSnCl2よりも高い揮発性を有し、CoClL(ここでLは配位子である)はCoCl2よりも高い揮発性を有し、MoOCl4はMoCl5よりも高い揮発性を有する。したがって、反応によって、より高い揮発性を有する副生成物が優先的に形成されうる。一実施形態では、副生成物は、化学式MXx又はMOyXxを有してよく、式中、Mは金属又は半金属であり、Xはハロゲン化物であり、xは1~6であり、yは1~5である。
【0025】
一実施形態では、ハロゲン化剤は、式MXa又はMXaLbの金属ハロゲン化物であり、式中、Mは金属又は半金属(例えばMo、W、Ta、Nb、Sn、V、Ti、又はSi)であり、Xはハロゲン化物(例えばCl又はBr)であり、Lは揮発性配位子(例えばアルキル基、エチレンジアミン、又はCp)であり、aは1~6であり、bは1~5である。例えば、金属ハロゲン化物は、MoCl5、TaCl5、NbCl5、又はWCl5を含みうる。
【0026】
追加的な実施形態では、ハロゲン化剤は、式MOaXb又はMOaXbLcの金属オキシハロゲン化物であり、式中、Mは金属又は半金属(例えばMo、W、Ta、Nb、Sn、V、Ti、又はSi)であり、Xはハロゲン化物(例えばCl又はBr)であり、Lは揮発性配位子(例えばアルキル基、エチレンジアミン、又はCp)であり、aは1~5であり、bは1~5であり、cは1~5である。例えば、金属オキシハロゲン化物は、MoOCl4、MoO2Cl2、WOCl4、又はWO2Cl2を含みうる。
【0027】
更に別の追加的な実施形態では、ハロゲン化剤は有機ハロゲン化剤でありうる。例えば、ハロゲン化剤は、塩化チオニル(SOCl2)、塩化メタンスルホニル(CH3SO2Cl)、塩化トリクロロメタンスルホニル(CCl3SO2Cl)、塩化4-トルエンスルホニル(塩化トシル)、塩化オキサリル(ClCOCOCl)、次亜塩素酸tert-ブチル((CH3)3COCl)、N-クロロフタルイミド、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、トリメチルシリルクロリド、HCl、Cl2、PCl5、BCl3、HBr、Br2、CCl3Br、CBr4、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(Cl2CBrCBrCl2)、BBr3、PBr3、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモアセトアミド、2-ブロモ-2-シアノ-N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、2,4,4,6-テトラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン、又は臭化トリメチルシリル、を含みうる。
【0028】
更に別の実施形態では、ハロゲン化剤は、SOBr2(臭化チオニル)、SO2Cl2(塩化スルフリル)、及びSO2Br2(臭化スルフリル)、のうちの一又は複数を含みうる。
【0029】
一実施形態では、ハロゲン化剤は不活性ガスで希釈されうる。例えば、不活性ガス(Ar、N2、又はHeなど)が、ハロゲン化剤を希釈するために使用されうる。通常、フォトレジストの非露光領域262Uのフォトレジストの露光領域262Eに対するエッチング選択性は、圧力の上昇とともに増大することが分かっている。一実施形態では、圧力はおよそ1トルとおよそ100トルとの間でありうる。ある特定の実施形態では、圧力はおよそ3トルとおよそ10トルとの間でありうる。
【0030】
一実施形態では、工程124において、基板261は制御された温度を有しうる。例えば、温度はおよそ0℃とおよそ500℃との間で変動しうる。ある特定の実施形態では、温度はおよそ50℃とおよそ200℃との間で変動しうる。通常、基板温度が上昇することで、フォトレジストの非露光領域262Uのフォトレジストの露光領域262Eに対するエッチング選択性が増大することが分かっている。
【0031】
一実施形態では、プロセス120は、真空チャンバをパージすることを含む、工程125に続きうる。真空チャンバをパージすることで、工程124における反応による副生成物が、真空チャンバから除去される。一実施形態では、工程124は、ソーク(soak)として実装されてよく、工程125における単一回のパージがそれに続く。代替的な実施形態では、工程124及び125は、ハロゲン化剤のパルスとそれに続くパージとを含むサイクルを画定しうる。かかる実施形態では、フォトレジストの非露光領域262Uを取り除くために、複数のサイクルが反復されうる。
【0032】
ここで図3を参照するに、本開示の一実施形態による、金属オキソフォトレジストをパターニングするためのプロセス330を説明するフロー図が示されている。図4Aから図4Cは、プロセス330における様々な処理工程を示す、対応する断面図である。一実施形態では、プロセス330は、ハロゲン化剤がフォトレジストの非露光領域を揮発性副生成物に完全には変換できない場合に有益でありうる。詳細には、プロセス330は、真空チャンバ内にプロトン化配位子を気化させて、フォトレジストの非露光領域を揮発性副生成物に変換することを更に含む。
【0033】
一実施形態では、プロセス330は、金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することを含む、工程331で始まりうる。一実施形態では、基板及び金属オキソフォトレジストは、プロセス120の工程121に関連して上述した基板及び金属オキソフォトレジストと実質的に同様でありうる。
【0034】
一実施形態では、プロセス330は、金属オキソフォトレジストを部分的に露光させて、露光領域と非露光領域とを作成することを含む、工程332に続きうる。一実施形態では、工程332の露光プロセスは、プロセス120の工程122の露光プロセスと実質的に同様でありうる。図4Aは、基板461と、フォトレジストの露光領域462E及びフォトレジストの非露光領域462Uとの断面図を提示している。
【0035】
一実施形態では、プロセス330は、基板を真空チャンバ内に配置することを含む、工程333に続きうる。プロセス330で使用される真空チャンバは、プロセス120で使用される真空チャンバと実質的に同様でありうる。
【0036】
一実施形態では、プロセス330は、真空チャンバ内にハロゲン化剤を気化させることを含む、工程334に続きうる。一実施形態では、ハロゲン化剤は、フォトレジストの非露光領域462Uと反応して、不揮発性生成物462U’を提供しうる。つまり、一部の実施形態では、ハロゲン化剤は、それ自体では、フォトレジストの非露光領域462Uを、真空チャンバから除去可能な揮発性生成物に完全に変換することはできない。他の実施形態では、ハロゲン化剤は、露光領域462Eと反応して、不揮発性生成物を生成しうる。一実施形態では、不揮発性生成物462U’は、化学式MXx又はMOyXxの金属ハロゲン化物又は金属オキシハロゲン化物であってよく、式中、Mは金属又は半金属であり、Xはハロゲン化物であり、xは1~6であり、yは1~5である。
【0037】
一実施形態では、ハロゲン化剤は、式MXa又はMXaLbの金属ハロゲン化物であり、式中、Mは金属又は半金属(例えばMo、W、Ta、Nb、Sn、V、Ti、又はSi)であり、Xはハロゲン化物(例えばCl又はBr)であり、Lは揮発性配位子(例えばアルキル基、エチレンジアミン、又はCp)であり、aは1~6であり、bは1~5である。例えば、金属ハロゲン化物は、MoCl5、TaCl5、NbCl5、又はWCl5を含みうる。
【0038】
追加的な実施形態では、ハロゲン化剤は、式MOaXb又はMOaXbLcの金属オキシハロゲン化物であり、式中、Mは金属又は半金属(例えばMo、W、Ta、Nb、Sn、V、Ti、又はSi)であり、Xはハロゲン化物(例えばCl又はBr)であり、Lは揮発性配位子(例えばアルキル基、エチレンジアミン、又はCp)であり、aは1~5であり、bは1~5であり、cは1~5である。例えば、金属オキシハロゲン化物は、MoOCl4、MoO2Cl2、WOCl4、又はWO2Cl2を含みうる。
【0039】
更に別の追加的な実施形態では、ハロゲン化剤は有機ハロゲン化剤でありうる。例えば、ハロゲン化剤は、塩化チオニル(SOCl2)、塩化メタンスルホニル(CH3SO2Cl)、塩化トリクロロメタンスルホニル(CCl3SO2Cl)、塩化4-トルエンスルホニル(塩化トシル)、塩化オキサリル(ClCOCOCl)、次亜塩素酸tert-ブチル((CH3)3COCl)、N-クロロフタルイミド、1,3-ジクロロ-5,5-ジメチルヒダントイン、トリメチルシリルクロリド、HCl、Cl2、PCl5、BCl3、HBr、Br2、CCl3Br、CBr4、1,2-ジブロモ-1,1,2,2-テトラクロロエタン(Cl2CBrCBrCl2)、BBr3、PBr3、N-ブロモスクシンイミド、N-ブロモアセトアミド、2-ブロモ-2-シアノ-N,N-ジメチルアセトアミド、1,3-ジブロモ-5,5-ジメチルヒダントイン、2,4,4,6-テトラブロモ-2,5-シクロヘキサジエノン、又は臭化トリメチルシリル、を含みうる。
【0040】
一実施形態では、ハロゲン化剤は不活性ガスで希釈されうる。例えば、不活性ガス(Ar、N2、又はHeなど)が、ハロゲン化剤を希釈するために使用されうる。一実施形態では、圧力はおよそ1トルとおよそ100トルとの間でありうる。ある特定の実施形態では、圧力はおよそ5トルとおよそ10トルとの間でありうる。一実施形態では、工程334において、基板461は制御された温度を有しうる。例えば、温度はおよそ0℃とおよそ500℃との間で変動しうる。ある特定の実施形態では、温度はおよそ50℃とおよそ150℃との間で変動しうる。
【0041】
一実施形態では、プロセス330は、不活性パージを用いて真空チャンバをパージすることを含む、工程335に続きうる。一実施形態では、パージプロセスは、副生成物及び未反応のハロゲン化剤があればそれを除去する。
【0042】
一実施形態では、プロセス330は、真空チャンバ内に配位子を気化させることを含む、工程336に続きうる。一実施形態では、配位子は不揮発性生成物462U’と反応して、揮発性副生成物を生成する。つまり、気化された配位子と不揮発性生成物462U’との間の反応により、図4Cに示しているように、基板461から非露光領域が除去される。不揮発性生成物が露光領域462Eから生成されている場合には、露光領域が基板461から除去されうる。一実施形態では、配位子はプロトン化配位子(アミンなど)である。一実施形態では、配位子は不活性ガス(Ar、N2、又はHeなど)で希釈されうる。一実施形態では、揮発性副生成物は化学式MXxLy又はMOxXyLzを有してよく、式中、Mは金属又は半金属(例えばMo、W、Ta、Nb、Sn、V、Ti、又はSi)であり、Xはハロゲン化物(例えばCl又はBr)であり、Lは揮発性配位子(例えばアミン)であり、xは1~5であり、yは1~5であり、zは1~5である。
【0043】
一実施形態では、圧力はおよそ1トルとおよそ100トルとの間でありうる。ある特定の実施形態では、圧力はおよそ5トルとおよそ10トルとの間でありうる。一実施形態では、工程336において、基板461は制御された温度を有しうる。例えば、温度はおよそ0℃とおよそ500℃との間で変動しうる。ある特定の実施形態では、温度はおよそ50℃とおよそ150℃との間で変動しうる。
【0044】
一実施形態では、プロセス330は、真空チャンバをパージすることを含む、工程337に続きうる。不活性ガスでパージすることにより、揮発性副生成物と残留している気化された配位子とが除去されうる。
【0045】
一実施形態では、工程334~337が1つのサイクルを画定しうる。このサイクルは、金属オキソフォトレジストの非露光領域462Uを完全に(又は実質的に)除去するために、任意の回数反復されうる。例えば、一サイクルは、気化されたハロゲン化剤を真空チャンバに導入するパルス、それに続く不活性パージ、それに続く、気化された配位子を真空チャンバに導入するパルス、及びそれに続く不活性パージ、を含むシーケンスを含みうる。他の実施形態では、単一のサイクルが使用されることもある。かかる実施形態では、気化されたハロゲン化剤のソークが真空チャンバに導入され、それに不活性パージが続き、それに続いて、気化された配位子のソークが真空チャンバに導入され、それに不活性パージが続きうる。
【0046】
通常、フォトレジストの非露光領域462Uのフォトレジストの露光領域462Eに対するエッチング選択性は、圧力の上昇とともに増大することが分かっている。加えて、工程334~337のうちの一又は複数において、基板温度が上昇することで、フォトレジストの非露光領域462Uのフォトレジストの露光領域462Eに対するエッチング選択性が増大することが一般に分かっている。
【0047】
ここで図5を参照するに、本開示の一実施形態による、金属オキソフォトレジストをパターニングするためのプロセス540を説明するフロー図が示されている。図6Aから図6Bは、プロセス540における様々な処理工程を示す、対応する断面図である。一実施形態では、プロセス540は、ハロゲン化剤が気化された有機酸に置換されていることを除き、プロセス120と同様でありうる。つまり、有機酸が真空チャンバへと気化され、真空チャンバにおいて、有機酸は金属オキソフォトレジストの非露光領域又は露光領域のいずれかと反応して、揮発性副生成物を生成する。
【0048】
一実施形態では、プロセス540は、金属オキソフォトレジストを有する基板を提供することを含む、工程541で始まりうる。一実施形態では、基板及び金属オキソフォトレジストは、プロセス120の工程121に関連して上述した基板及び金属オキソフォトレジストと実質的に同様でありうる。
【0049】
一実施形態では、プロセス540は、金属オキソフォトレジストを部分的に露光させて、露光領域と非露光領域とを作成することを含む、工程542に続きうる。一実施形態では、工程542の露光プロセスは、プロセス120の工程122の露光プロセスと実質的に同様でありうる。図6Aは、基板661と、フォトレジストの露光領域662E及びフォトレジストの非露光領域662Uとの断面図を提示している。
【0050】
一実施形態では、プロセス540は、基板を真空チャンバ内に配置することを含む、工程543に続きうる。プロセス540で使用される真空チャンバは、プロセス120で使用される真空チャンバと実質的に同様でありうる。
【0051】
一実施形態では、プロセス540は、真空チャンバ内に有機酸を気化させることを含む、工程544に続きうる。一実施形態では、有機酸は、非露光領域662U又は露光領域662Eのいずれかと反応して、揮発性副生成物を生成する。つまり、有機酸と非露光領域662Uとの間の反応により、(図6Bに示しているように)基板661から非露光領域662Uが除去されるか、又は、有機酸と露光領域662Eとの間の反応により、基板661から露光領域662Eが除去される。
【0052】
一実施形態では、有機酸は、化学式RCO2Hのカルボン酸でありうる。例えばRは、H、CH3、tBu、又はiPrでありうる。一実施形態では、反応の副生成物は揮発性カルボン酸塩である。例えば、カルボン酸塩は化学式M(RCO2)xを有してよく、式中、Mは金属オキソフォトレジストからの金属であり、Rは有機酸中に使用されるRである。
【0053】
一実施形態では、有機酸は不活性ガスで希釈されうる。例えば、不活性ガス(Ar、N2、又はHeなど)が、有機酸を希釈するために使用されうる。通常、フォトレジストの非露光領域662Uのフォトレジストの露光領域662Eに対するエッチング選択性は、圧力の上昇とともに増大することが分かっている。一実施形態では、圧力はおよそ1トルとおよそ100トルとの間でありうる。ある特定の実施形態では、圧力はおよそ5トルとおよそ10トルとの間でありうる。
【0054】
一実施形態では、工程544において、基板661は制御された温度を有しうる。例えば、温度はおよそ0℃とおよそ500℃との間で変動しうる。ある特定の実施形態では、温度はおよそ50℃とおよそ150℃との間で変動しうる。通常、基板温度が上昇することで、フォトレジストの非露光領域662Uのフォトレジストの露光領域662Eに対するエッチング選択性が増大することが分かっている。
【0055】
一実施形態では、プロセス540は、真空チャンバをパージすることを含む、工程545に続きうる。真空チャンバをパージすることで、工程544における反応による副生成物が、真空チャンバから除去される。一実施形態では、工程544は、ソークとして実装されてよく、工程545における単一回のパージがそれに続く。代替的な実施形態では、工程544及び545は、有機酸のパルスとそれに続くパージとを含むサイクルを画定しうる。かかる実施形態では、フォトレジストの非露光領域662Uを取り除くために、複数のサイクルが反復されうる。
【0056】
したがって、本書に記載の実施形態は、金属オキソフォトレジストを現像するための熱気相プロセスを含む。そのため、本書で開示している実施形態は、プラズマを形成する能力を有する真空チャンバを要しないことがある。プラズマプロセスを除去することで、金属オキソフォトレジストに対する損傷も低減される。このことは特に、フォトレジスト厚さが薄い(例えば、フォトレジスト厚さがおよそ15nm以下である)場合に有益である。フォトレジスト厚さが薄い場合、パターンが下層に転写される時に、プラズマ損傷によって、LER/LWRの不良、又はラインパターンの破壊さえもが発生しうる。
【0057】
加えて、湿式化学作用が回避され、本書で開示している反応によって生成される副生成物は、半導体製造業において特徴的な除害システムで破壊されうる。そのため、廃棄流が大幅に削減される。更に、気相プロセスによって、湿式化学作用が使用されないので、特に小型フィーチャサイズでは、最終的に得られる現像された金属オキソフォトレジストにおける不具合及び不純物の低減が可能になる。
【0058】
図7は、本開示の一実施形態による、金属オキソフォトレジストの非露光領域を現像するよう構成された真空チャンバの概略図である。真空チャンバ700は、据置型チャンバ705を含む。一実施形態では、チャンバ705は温度制御されうる。つまり、チャンバ705の壁は、本書で開示しているプロセスにおいて、能動的に冷却又は加熱されうる。基板710は、開口部715を通じてローディングされ、温度制御されたペデスタル720上に配置される。
【0059】
プロセスガスが、ガス源744から、それぞれの質量流量コントローラ749を通ってチャンバ705の内部に供給される。ある種の実施形態では、ガス分配プレート735が、プロセスガス744(例えばハロゲン化剤、配位子、有機酸、及び/又は不活性ガスなど)の分配のために設けられる。チャンバ705は排気ポンプ755を介して排気される。
【0060】
真空チャンバ700はコントローラ770によって制御される。コントローラ770は、CPU772、メモリ773、及びI/Oインターフェース774を備えうる。CPU772は、メモリ773に記憶された命令にしたがって、真空チャンバ700内で処理工程を実行しうる。例えば、一又は複数のプロセス(上述したプロセス120、330、及び540など)が、コントローラ770によって、真空チャンバ内で実行されうる。
【0061】
真空チャンバ700は、チャンバ内でプラズマを形成するのに適した機能を有さないものとして上述されているが、本開示の実施形態は、チャンバ内でプラズマを生成することが可能な真空チャンバ700においても実装されうることを認識されたい。
【0062】
図8は、例示的な形態のコンピュータシステム800における機械の図式表現を示しており、コンピュータシステム800において、本書に記載の方法論のうちの一又は複数の任意のものを機械に実施させるための命令セットが実行されうる。代替的な実施形態では、機械は、ローカルエリアネットワーク(LAN)、イントラネット、エクストラネット、又はインターネットにおいて、他の機械に接続されうる(例えば、他の機械とネットワーク化されうる)。機械は、クライアント-サーバネットワーク環境においてはサーバ若しくはクライアント機械の役割で、又は、ピアツーピア(若しくは分散)ネットワーク環境においてはピア機械として、作動しうる。機械は、パーソナルコンピュータ(PC)、タブレットPC、セットトップボックス(STB)、パーソナルデジタルアシスタント(PDA)、携帯電話、ウェブアプライアンス、サーバ、ネットワークルータ、スイッチ若しくはブリッジ、又は、この機械によって行われる動作を特定する(連続した若しくは連続していない)命令セットを実行可能な任意の機械でありうる。更に、単一の機械のみを図示しているが、「機械(machine)」という語は、本書に記載の方法論のうちの一又は複数の任意のものを実施するために、命令セット(又は複数の命令セット)を個別に又は連携的に実行する、機械(コンピュータなど)の任意の集合体を含むとも、解釈すべきである。
【0063】
例示的なコンピュータシステム800は、バス830を介して互いに通信する、プロセッサ802、メインメモリ804(例えば読出専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、同期DRAM(SDRAM)又はランバスDRAM(RDRAM)といったダイナミックランダムアクセスメモリ(DRAM)など)、スタティックメモリ806(例えばフラッシュメモリ、スタティックランダムアクセスメモリ(SRAM)、MRAMなど)、及び二次メモリ818(データ記憶デバイスなど)を含む。
【0064】
プロセッサ802は、マイクロプロセッサや中央処理装置などといった、一又は複数の汎用処理デバイスを表わしている。より詳細には、プロセッサ802は、複雑命令セット演算(CISC)マイクロプロセッサ、縮小命令セット演算(RISC)マイクロプロセッサ、超長命令語(VLIW)マイクロプロセッサ、その他の命令セットを実装するプロセッサ、又は、命令セットの組み合わせを実装するプロセッサでありうる。プロセッサ802は、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、ネットワークプロセッサなどといった、一又は複数の特定目的処理デバイスであることもある。プロセッサ802は、本書に記載の工程を実施するための処理ロジック826を実行するよう構成される。
【0065】
コンピュータシステム800は、ネットワークインターフェースデバイス808を更に含みうる。コンピュータシステム800は、ビデオディスプレイユニット810(液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオードディスプレイ(LED)、又はカソードレイチューブ(CRT)など)、英数字入力デバイス812(例えばキーボード)、カーソル制御デバイス814(例えばマウス)、及び信号生成デバイス816(例えばスピーカー)も含みうる。
【0066】
二次メモリ818は、本書に記載の方法論又は機能のうちの一又は複数の任意のものを具現化する一又は複数の命令セット(ソフトウェア822など)が記憶されている、機械アクセス可能記憶媒体(又はより具体的には、コンピュータ可読記憶媒体)832を含みうる。ソフトウェア822は、それがコンピュータシステム800によって実行されている間、メインメモリ804及び/又はプロセッサ802の中に、全体的に又は少なくとも部分的に常駐してもよく、メインメモリ804及びプロセッサ802も、機械可読記憶媒体を構成する。ソフトウェア822は更に、ネットワークインターフェースデバイス808を介して、ネットワーク820経由で送受信されうる。
【0067】
例示的な一実施形態では、機械アクセス可能記憶媒体832を単一の媒体として図示しているが、「機械可読記憶媒体(machine-readable storage medium)」という語は、一又は複数の命令セットを記憶する単一の媒体又は複数の媒体(例えば、集中データベース若しくは分散データベース、並びに/又は関連するキャッシュ及びサーバ)を含むと、解釈すべきである。「機械可読記憶媒体」という語は、機械によって実行される命令セットを記憶すること又は符号化することが可能であり、かつ、機械に、本開示の方法論のうちの一又は複数の任意のものを実施させる、任意の媒体を含むとも、解釈すべきである。したがって、「機械可読記憶媒体」という語は、ソリッドステートメモリと、光媒体及び磁気媒体とを含むが、これらに限定されるわけではないと解釈すべきである。
【0068】
本開示の一実施形態によると、機械アクセス可能記憶媒体は命令を記憶しており、この命令は、データ処理システムに、気相プロセスを用いて基板上の金属オキソフォトレジストを現像する方法を実施させる。この方法は、金属オキソフォトレジストを露光させて露光領域及び非露光領域を設けることと、真空チャンバ内に露光されたフォトレジストを有する基板を配置することとを含む。一実施形態では、フォトレジストの非露光領域と反応するガスが、真空チャンバ内に気化される。例えば、この反応性ガスは、ハロゲン化剤、配位子、及び有機酸のうちの一又は複数を含みうる。反応性ガスと金属オキソフォトレジストの非露光領域とが反応して、揮発性副生成物を形成する。副生成物は、不活性ガスパージによりチャンバから除去されうる。
【0069】
ゆえに、気相プロセスを使用して金属オキソフォトレジストの現像を行うための方法が開示された。
図1
図2A
図2B
図2C
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6A
図6B
図7
図8