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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】シート処理装置及び画像形成システム
(51)【国際特許分類】
   B65H 37/00 20060101AFI20240618BHJP
   B65H 37/04 20060101ALI20240618BHJP
   B65H 31/34 20060101ALI20240618BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
B65H37/00
B65H37/04 D
B65H31/34
B41J29/38 701
B41J29/38 206
B41J29/38 203
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020077753
(22)【出願日】2020-04-24
(65)【公開番号】P2021172494
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2023-02-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100186853
【弁理士】
【氏名又は名称】宗像 孝志
(72)【発明者】
【氏名】田村 尚之
(72)【発明者】
【氏名】吉田 裕紀
【審査官】後藤 健志
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-207564(JP,A)
【文献】特開2017-019627(JP,A)
【文献】特開平04-251795(JP,A)
【文献】特開平05-085081(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 37/00
B65H 37/04
B65H 31/34-31/40
B41J 29/38
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
シートに所定の処理を行う複数のシート処理ユニットと、
前記シート処理ユニットの各々に対応し、当該シート処理ユニットの位置を検知する複数の位置検知手段と、
前記所定の処理に係る処理内容情報を記憶する処理内容情報記憶手段と、
前記シート処理ユニットは前記処理の終了後において、前記処理内容情報を参照して当該シート処理ユニットに適した位置を前記シート処理ユニットの初期位置として選択する初期位置選択手段と、
前記選択された初期位置に前記シート処理ユニットを移動させるユニット駆動手段と、を備え、
前記処理内容情報は、前記所定の処理に用いられる前記シートのサイズを示すサイズ情報をさらに含み、
前記初期位置選択手段は、前記処理を実行した際の前記シートの受入位置であって、前記処理内容情報に含まれる当該シートのサイズ情報における当該処理の実行回数が多い位置を前記シート処理ユニットの初期位置として選択する、
ことを特徴とするシート処理装置。
【請求項2】
前記処理内容情報は、前記所定の処理の種類別の使用頻度を含み、
前記初期位置選択手段は、シート処理ユニットにおける前記使用頻度が多い所定の処理に適した位置を前記シート処理ユニットの初期位置として選択する、請求項1に記載のシート処理装置。
【請求項3】
前記処理内容情報記憶手段は、前記所定の処理を指示したユーザー毎に前記処理内容情報を記憶し、
前記初期位置選択手段は、ユーザーと前記所定の処理に関連付けられた前記処理内容情報に基づいて前記シート処理ユニットに適した前記初期位置を選択する、請求項1又は2に記載のシート処理装置。
【請求項4】
前記初期位置選択手段は、前記シート処理ユニットに適した前記初期位置を選択できない状態のとき、当該シート処理ユニットにおいて次に適している位置を前記初期位置として選択する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項5】
前記初期位置選択手段は、前記位置検知手段に故障しているものが含まれるときは、故障中の位置検知手段に対応する位置を除いて前記初期位置を選択する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項6】
前記シート処理ユニットは、前記シートの端部に綴じ処理を行う綴じ手段である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項7】
前記シート処理ユニットは、前記シートの端部を整合する整合手段である、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項8】
前記処理内容情報記憶手段に記憶されている前記処理内容情報を編集する編集手段を備える、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項9】
前記処理内容情報記憶手段は、前記処理内容情報に含まれる情報のうち、前記初期位置選択手段に参照されない期間が予め設定した期間を超えたとき、参照されていない前記情報の内容を消去する、請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理装置。
【請求項10】
シートに液状部材を使用して画像を形成する画像形成部と、
前記シートを搬送する搬送部と、を有する画像形成装置と、
前記画像形成装置から搬出された前記シートに対して処理の処理を行う複数のシート処理ユニットを備える請求項1乃至のいずれか一項に記載のシート処理載装置と、を備えることを特徴とする画像形成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シート処理装置及び画像形成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
シートに所定の処理を施す処理ユニットを備えるシート処理装置が知られている。ここで「所定の処理」とは、シートに孔を形成する穿孔処理、複数のシートを積載して端部を整合する整合処理、複数のシートを積層して端部を綴じる綴じ処理などが含まれる。したがって、シート処理装置においては、複数の処理ユニットが搭載されることもある。また、シート処理装置と画像形成装置とを連携させ、画像形成装置において画像が形成されたシートに対して所定の処理を行う画像形成システムも知られている。
【0003】
処理ユニットは、処理対象となるシートを所定の処理位置に受け入れてから処理動作を行う。このシートを受け入れ時の処理ユニットの位置を「受入位置」という。従来のシート処理装置では、初期化処理時に処理ユニットを移動させる初期位置(ホームポジション)は一箇所であり、所定の処理が終了した処理ユニットはホームポジションに戻るように制御されている。したがって、次に処理を実行するときには、シートの種類や動作モードによって受入位置は変化するにも関わらず、処理ユニットは、特定のホームポジションから受入位置へ移動するように制御されていた。
【0004】
シート処理装置における初期化処理の際に、処理ユニットがシートの受入位置への移動に要する時間を短縮させるために、初期化処理時の目的位置を、使用頻度の高いシートサイズ及び動作モードに対応して設定する技術が知られている(特許文献1を参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されている技術では、処理ユニットのホームポジションセンサは、一つの処理ユニットに対して一つのみである。また、使用頻度情報は、ユーザー毎に特定されていないものである。このような従来技術の場合、ユーザーに応じて適した目的位置に処理ユニットを移動させることができない。すなわち、ユーザーによっては、初期化処理において処理ユニットが目的位置まで移動する距離が長くなる、という課題が生ずる。
【0006】
本発明は、処理ユニットの初期処理の際の受入位置への移動時間を短縮させるシート処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記技術的課題を解決するため、本発明の一態様は、シートに所定の処理を行う複数のシート処理ユニットと、前記シート処理ユニットの各々に対応し、当該シート処理ユニットの位置を検知する複数の位置検知手段と、前記所定の処理に係る処理内容情報を記憶する処理内容情報記憶手段と、前記シート処理ユニットは前記処理の終了後において、前記処理内容情報を参照して当該シート処理ユニットに適した位置を前記シート処理ユニットの初期位置として選択する初期位置選択手段と、前記選択された初期位置に前記シート処理ユニットを移動させるユニット駆動手段と、を備え、前記処理内容情報は、前記所定の処理に用いられる前記シートのサイズを示すサイズ情報をさらに含み、前記初期位置選択手段は、前記処理を実行した際の前記シートの受入位置であって、前記処理内容情報に含まれる当該シートのサイズ情報における当該処理の実行回数が多い位置を前記シート処理ユニットの初期位置として選択する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、処理ユニットの初期処理の際の受入位置への移動時間を短縮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る画像形成システムの実施形態としてのプリントシステムの概略を示す模式図。
図2】上記プリントシステムを構成するプリンタの概略側面図。
図3】本発明に係るシート処理装置の実施形態である後処理装置の概略側面図。
図4】上記後処理装置が備える制御部の構成を示すブロック図。
図5】上記後処理装置において実行される後処理の例を示すフローチャート。
図6】上記後処理装置において実行される初期化処理の例を示すフローチャート。
図7】上記後処理装置において実行される起動処理の例を示すフローチャート。
図8】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の例を示す説明図。
図9】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の例を示す説明図。
図10】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の例を示す説明図。
図11】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の例を示す説明図。
図12】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の別例を示す説明図。
図13】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の別例を示す説明図。
図14】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の別例を示す説明図。
図15】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の別例を示す説明図。
図16】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成の別例を示す説明図。
図17】上記後処理装置が備える処理ユニットの制御構成のさらに別例を示す説明図。
図18】上記後処理装置において実行される後処理の別例を示すフローチャート。
図19】上記後処理装置において実行される初期化処理の別例を示すフローチャート。
図20】上記後処理装置が備える操作パネルの表示例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<全体構成>
以下、本発明に係るシート処理装置及び、同装置を備える画像形成システムの実施形態としてのプリントシステム1000の概要を説明する。図1に示すように、プリントシステム1000は、画像形成装置の実施形態としてのプリンタ100と、シート処理装置としての後処理装置200と、を連結してその順に用紙Pを搬送可能に構成される。
【0011】
プリントシステム1000において、プリンタ100における画像形成処理によって画像が形成された用紙Pが、シート処理装置としての後処理装置に搬出される。後処理装置200は、用紙Pに対して所定の後処理を行い、後処理後の用紙Pを排出する。以下、プリンタ100と、シート処理装置としての後処理装置200の概要について、図を用いて個別に説明する。
【0012】
プリンタ100と後処理装置200は、通信ラインで接続され、プリンタ100と後処理装置200との間で、双方向に情報伝達が可能に構成されている。プリンタ100から後処理装置200へは、動作モードや用紙サイズなどを含む処理内容情報が通知される。後処理装置200は、処理内容情報に基づいて用紙Pに後処理を施す。また、プリンタ100から後処理装置200へは、後処理の実行を指示したユーザーを識別するユーザー識別情報も通知される。
【0013】
後処理装置200からプリンタ100へは、後処理に係る動作が完了したことの通知や機器状態(異常発生有無やドア類の開閉など)の情報が通知され、プリンタ100は受けとった情報を元に動作の完了や中断をユーザーに通知する。
【0014】
<プリンタ100の概要>
次に、図2を参照しながら、プリンタ100の概要について説明する。図2に示すように、プリンタ100は、画像形成部101と、給紙トレイとしてのシート収容部102と、給紙手段としてのシート供給部103と、シート搬送手段としてのシート搬送部104と、搬送路切替手段としての反転搬送路切替部106と、原稿読取手段としての原稿読取部108と、用紙Pの両面に画像を形成させるための反転搬送路109と、個人認証装置110と、操作パネル111と、制御手段としての制御部500と、を有している。制御部500の詳細は、後述する。
【0015】
画像形成手段としての画像形成部101は、例えばY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、B(ブラック)の四色の液体インクを吐出する吐出口(ノズル)を備える液体吐出ヘッドにより構成されている。液体吐出ヘッドは、液状部材としての各色の液体インクを吐出するものとして個別に設けられている。画像形成部101を構成する各液体吐出ヘッドへの液体インクの供給は、インクカートリッジに接続されている供給ポンプの駆動による。したがって、各液体吐出ヘッドには、各色の液体インクを収容しているインクカートリッジから供給ポンプによって液体インクが供給される。なお、各色のインクカートリッジは、画像形成ユニット20が備えるカートリッジ装填部に対し着脱可能に取り付けられている。
【0016】
シート収容部102は、シート状の媒体である用紙Pを積載して収納する複数のシートカセットを備えている。用紙Pは、例えば、紙(用紙)、OHPシート、糸、繊維、布帛、皮革、金属、プラスチックなど、インクを付着させて画像を形成し、湾曲させて搬送させることが可能なあらゆる媒体を指す。
【0017】
シート供給部103は、シート収容部102に収容されている用紙Pを取り出すピックアップローラと、取り出した用紙Pを1枚ずつ分離して搬送する分離ローラ及びリバースローラによって構成される。
【0018】
シート搬送部104は、複数の搬送ローラと拍車とからなる搬送ローラ対によって用紙Pの搬送路に沿って複数配置されている。各搬送ローラ対は、それぞれ搬送駆動部によって回転され、所定の搬送速度で用紙Pを所定の方向に搬送する。なお、搬送ローラ対の一方は、拍車に限定されるものではなく、用紙Pとの接触面積が拍車と同程度に小さく、用紙Pと部分的に接触する回転体であればよく、例えば、表面が砥粒状のローラでもよい。
【0019】
反転搬送路切替部106は、用紙Pの画像形成面を反転させて画像形成部101に搬送するための反転搬送路109に用紙Pを導くための切換爪によって構成される。用紙Pの両面に画像を形成するときには、画像形成部101において第一面に画像が形成された用紙Pを一旦、用紙Pの後端が反転搬送路切替部106を過ぎるまで搬送方向下流側に搬送する。その後、反転搬送路切替部106によって搬送路を切り換えてから、用紙Pを搬送方向上流側に逆搬送させて反転搬送路109から画像形成部101へ導く搬送路に合流させる。その後、反転された用紙Pの画像形成部101に対向する第二面(第一面の反対側の面)に対して、画像形成部101は画像形成を行う。
【0020】
個人認証装置110は、ユーザーを個別に識別する識別情報の入力を受け付けて、当該ユーザーがプリントシステム1000を使用可能な権限を有する正当ユーザーであることを認証するための装置である。個人認証装置110によって認証されたユーザーのIDは、ユーザー識別情報としてプリンタ100の制御部600を介して後処理装置200へ処理内容情報とともに通知される。
【0021】
プリンタ100の制御部600には、個人認証装置110によって認証可能なユーザーを識別するために情報が記憶されている。
【0022】
個人認証装置110によって認証されたユーザーによる後処理を含む画像形成処理は、プリントシステム1000において実行可能となる。
【0023】
また、プリンタ100には、ユーザーが用紙サイズや動作モードなどを選択確認するための操作パネル111が搭載されている。後述する後処理装置200において、後処理の種類別に実行回数を計測した頻度情報は、通信ラインを介してプリンタ100の制御部600に通知され、記憶される。操作パネル111は、制御部600において記憶された使用頻度情報をユーザーに視認可能な状態で表示する表示部としても機能する。
【0024】
図20は、操作パネル111に表示される操作画面の例を示す図である。操作パネル111の表示に触れることで、後処理装置200から通知された使用頻度情報を編集することができる。操作パネル111は、編集手段を構成する。図20に示すように、用紙サイズ情報に対応する用紙種別選択タグ111dごとに、手前側処理回数を示す第一表示欄111aと、奥側処理回数を示す第二表示欄111bと、が配置されている。それぞれの欄に対応する累積実行回数が数字として表示される。また、第一表示欄111aと第二表示欄111bのそれぞれにおいて、表示されている数字をゼロにするリセットボタン111cが配置されている。リセットボタン111cを操作して累積実行回数をゼロにした場合、その旨が通信ラインを介して後処理装置200に通知される。後処理装置200では通知された数字を用いて制御部500に記憶している累積実行回数をリセットする。
【0025】
なお、処理内容情報記憶手段としてのCPU510と不揮発性メモリ550は、所定の期間において、一度も参照されなかった処理内容情報の内容を自動的に消去するように動作してもよい。
【0026】
以上説明したとおり、本実施形態に係るプリントシステム1000においては、用紙Pのサイズや用紙Pに対する後処理の種別を示す情報と、これを選択し実行するユーザーの情報を関連付けて、各後処理の内容(手前側処理、奥側処理)の累積実行回数を計測し記憶する。この累積実行回数に基づいて、後述するように、後処理装置200の初期化処理や起動処理を制御する。
【0027】
また、図20に例示するように、手前側処理回数と奥側処理回数を用紙Pのサイズごとにリセット可能なユーザーインターフェースを備える。このユーザーインターフェースはユーザー毎の累積実行回数に基づいて表示されるものである。したがって、本実施形態に係るプリントシステム1000が備える後処理装置200は、用紙サイズごとに手前処理回数,奥処理回数の確認と、リセットを、ユーザー毎に行うことができる。
【0028】
[シート処理装置の全体構成]
次に、シート処理装置としての後処理装置200の全体構成について、図3を用いて説明する。プリンタ100から排出されてきた画像形成済みの用紙Pを受け入れる導入路1、導入路1から分岐する三つの搬送路であって、プルーフトレイ6へ向かう上搬送路2とシフト処理や端綴じ処理等を行うストレート搬送路3と、中綴じ処理や折り処理を行う下搬送路4と、を有する。
【0029】
すなわち、後処理装置200は、所定の処理として、シフト処理(仕分け処理)や、綴じ処理(ステイプル処理)、及び折り処理などを行うシート処理ユニットを、複数備えている。そして、これらシート処理ユニットの処理対象である用紙Pを受け入れて搬送する複数の搬送路を備えている。
【0030】
導入路1には、入口ローラ10と入口センサ13が配置され、用紙Pが後処理装置200へ搬入されたことを検知する。入口ローラ10の下流には水平搬送ローラ11が配置され、導入路1の終端部分に相当する分岐部に位置する第一分岐爪7と第二分岐爪8が回動することにより上搬送路2、ストレート搬送路3、下搬送路4へ用紙Pの進行方向を仕分ける。
【0031】
上搬送路2は、用紙Pをプルーフトレイ6へ搬送する搬送路である。導入路1から第一分岐爪7で進行方向を変えられた用紙Pがプルーフトレイ6へと排出される。
【0032】
ストレート搬送路3には中間搬送ローラ12が配置され、これを経てストレート搬送路3へと用紙Pは搬送される。ストレート搬送路3には排紙ローラ26、排紙センサ28が配置され、シフト/ソートモード時は、シフト機構を有する中間搬送ローラ12が用紙Pを搬送している途中で搬送方向と直交する方向に一定量移動する。この中間搬送ローラ12の移動によって用紙Pは一定量シフトした状態になり、その後、排紙ローラ26によって排紙トレイ5へと排紙されて、順次スタックされていく。
【0033】
排紙トレイ5への排紙口部は、排紙ローラ26と従動ローラ27とで用紙P又は用紙Pがスタックされた用紙束を挟持して排出する対構造となっている。これによって、排紙ローラ26に対する従動ローラ27を備えた排紙ガイド板の接離動作で、用紙P又は用紙束を挟持して排出可能な閉状態と、挟持しない開状態とを選択的に取り得るようになっている。そして、用紙Pのシフト動作が完了した後、対構造によって用紙Pが挟持されて排出される。
【0034】
排紙口上方付近には、フィラー40が設けられており、スタックされたときの用紙Pの中央付近位置に回動自在に配置されている。なお、フィラー40の先端は用紙Pの上面に接している。フィラー40の根元付近には、フィラー40の先端の高さを検知する上面検知センサが配置されている。なお上面検知センサの図示は省略されている。フィラー40と上面検知センサによって、排紙トレイ5にスタックされた用紙Pの紙面高さが検知されるように構成されている。
【0035】
排紙トレイ5に堆積する用紙Pの量(枚数)が増大することによって用紙Pの積載高さが上昇し上面検知センサがオンになると、制御部500は排紙トレイ5を上下動させる駆動手段を制御して、排紙トレイ5を下降させる。排紙トレイ5が下降し上面検知センサがオフすると、排紙トレイ5の下降を停止する。この動作を繰り返し、排紙トレイ5が規定のトレイ満杯高さまで達すると、後処理装置からプリンタ100に停止信号を出し、プリントシステム1000による画像形成動作を停止させる。
【0036】
ストレート搬送路3には、ステイプルトレイ21が配置されている。戻しローラ41は振り子運動を行って用紙Pに当接し、後端フェンス24、25に用紙後端を突き当てることで用紙束の搬送方向位置を揃える。また、ステイプルトレイ21の上には、用紙Pの搬送方向と直交する方向に進退して、ステイプルトレイ21に排出された用紙Pの幅方向位置を揃える整合手段としてのジョガー22、23を有する。この二つの動作を行うことで、ステイプルトレイ21に排出された用紙Pの束を揃えてスタックする仕組みになっている。
【0037】
揃えられた用紙束には、端綴じモード時はシート処理ユニットとしてのステイプラ50が用紙Pの面(紙面)と直交する方向に移動して用紙束の下縁部の適所に対する綴じ処理(ステイプル処理)が行われる。その後、放出爪29によって用紙束を排出方向に動作させることで排出処理が行なわれる。排出処理によって、排紙ローラ26、従動ローラ27が挟持することによって排紙トレイ5に排出させる仕組みになっている。
【0038】
用紙Pの下搬送経路への搬送は、ストレート搬送路3を通過し、用紙先端検知センサ14において用紙Pの後端が検知された後、用紙Pの後端が下搬送路4の分岐部を通過する時間を待って、第二分岐爪8を切り替えることで行われる。第二分岐爪8が切り替わると、中間搬送ローラ12が逆回転し、用紙Pをスイッチバックさせて下搬送路4へと搬送する。
【0039】
下搬送路4には、中綴じ搬送ローラ61、62、63、シート処理ユニットとしての中綴じステイプラ51が配置されている。中綴じ処理を行う場合、用紙Pは中綴じ位置まで搬送され、用紙Pの中央位置に対して綴じ処理が行われる。その後、中綴じ搬送ローラ62、63により用紙折り部の用紙折りストッパ64に搬送されて、用紙折りブレード71と用紙折り板72により中折り処理が行われる。その後、中折り排紙ローラ73によって、中折りと中綴じ処理が行われた用紙Pの束が中綴じトレイ9に排出される。
【0040】
導入路1に配置されている入口ローラ10の下流に配置された穿孔ユニット(B)は、レジスト検知手段と、レジスト検知手段により検知されたレジストズレを考慮して適所に穿孔処理を行う穿孔処理手段と、を備える。これらによって用紙Pの適所に穿孔処理が行われる。
【0041】
なお、上述した穿孔処理手段、中綴じ・折り処理手段、中綴じ・折り排出手段は、着脱可能な構成となっており、使用者のニーズに応じた後処理装置の提供が可能である。
【0042】
また、本実施形態に係る後処理装置200には、綴じ手段としての(端部)ステイプラ50、中綴じステイプラ51など、複数のシート処理ユニットが搭載されている。以下の説明において、後処理装置200が備える制御部500が、センサが検知したシート処理ユニットの位置に基づいてシート処理ユニットの初期処理や起動処理などを行うとき、その制御対象は、これらいずれかのシート処理ユニット又は全てのシート処理ユニットにおいて同様に実行可能である。なお、以下の説明では、ステイプラ50をシート処理ユニットの例として説明する。
【0043】
[後処理装置200の制御構成]
図4は、後処理装置200の動作を制御する制御部500のハードウェア構成である。制御部500は、全体を制御するCPU510、手前側ホームポジションセンサ520、奥側ホームポジションセンサ530、モータドライバ540、不揮発性メモリ550、通常メモリとしてのRAM560、を含んで構成される。
【0044】
CPU510は、位置検知手段としての複数のホームポジションセンサとしての、手前側ホームポジションセンサ520と奥側ホームポジションセンサ530の状態(オン状態/オフ状態)を判断する。なお、オン状態とは、センサがシート処理ユニットを検知している状態をいい、オフ状態とセンサがシート処理ユニットを検知していない状態をいう。すなわち、オン状態とは、所定のセンサ(手前側ホームポジションセンサ520または奥側ホームポジションセンサ530のいずれか、または両方)の設置位置において検知可能な範囲に処理ユニットが存在していることをいう。言い換えると、所定のセンサがオン状態になることで、シート処理ユニットの受入位置が検知される。ここでは、処理ユニットの一例としてステイプラ50を用いて説明する。
【0045】
CPU510は、センサの状態判断に基づいて、ユニット駆動手段としてのモータドライバ540の駆動を制御する。モータドライバ540の駆動制御によって、モータドライバ540によって駆動される駆動源としてのモータが駆動する。このモータの駆動力によってステイプラ50などのシート処理ユニットが所定の位置に移動される。
【0046】
CPU510は、モータドライバ540の駆動制御によってモータを駆動させたとき、手前側ホームポジションセンサ520の設置位置を起点とした移動距離を現在位置としてRAM560に記憶させる。
【0047】
また、CPU510は、複数あるホームポジションセンサ同士の距離をあらかじめ固定値として、RAM560に記憶させる。そして、CPU510は、奥側ホームポジションセンサ530がオン状態になる位置にステイプラ50が移動したときには、手前側ホームポジションセンサ520または奥側ホームポジションセンサ530の設置位置間の距離である固定値を現在位置としてRAM560に記憶させる。
【0048】
また、CPU510は、後処理装置200の動作を設定する情報であって、所定の処理ごとの動作を実現するために必要なモード設定情報である動作モード情報と、処理対象となる用紙Pの大きさに関わる情報である用紙サイズ情報との組み合わせにおいて、所定の処理が行われた回数(累積実行回数)を処理内容情報記憶手段としての不揮発性メモリ550に記憶させる。
【0049】
CPU510は、後処理装置200に設定された動作モードと、処理対象として受け入れる用紙Pに係る用紙サイズ情報との組み合わせに基づいて、不揮発性メモリ550に記憶されている累積実行回数を参照して、使用頻度の高い動作モード、使用頻度の高い用紙サイズを判定する。また、初期位置選択手段としてのCPU510は、判定の結果に応じて、ステイプラ50の初期位置(受入位置)を選択する。
【0050】
制御部500は、プリンタ100が備える制御部600を介して、動作モード情報や用紙サイズ情報を含む処理内容情報と、当該後処理を選択したユーザーを識別するためのユーザー識別情報を含む情報が通知される。CPU510は、通知された処理内容情報等に基づいて後述する初期化処理などの各処理を実行する。
【0051】
[後処理装置200の動作フローの例]
次に、後処理装置200における所定の後処理が行われるときに含まれる制御処理の実施形態について説明する。図5に示すフローチャートは、後処理装置200において所定の処理、例えば綴じ処理が行われるときに実行される制御処理の例である。図5に示す処理は、使用頻度の高い動作モード、使用頻度の高い用紙Pのサイズを学習する制御フローに相当する。
【0052】
まず、後処理の実行が開始されると、指定された後処理を施す位置が用紙Pにおける「手前側」か「奥側」であるかが判定される(S501)。ここで、本明細書における「手前側」と「奥側」について説明する。すでに説明したとおり、図3を参照すると、本実施形態に係る後処理装置200は、用紙Pが搬送方向の上流側(プリンタ100側)から搬入されて、搬送方向下流側(例えば、排紙トレイ5側)に向かって搬送される。例えば、導入路1によって搬入されるときの用紙Pが水平状態だと仮定する。すなわち、用搬送方向に向かって用紙Pの平面の右側が「奥側」であり、搬送方向に向かって用紙Pの平面の左側が「手前側」である。
【0053】
後処理の実行時に、後処理を施す位置の指定はプリンタ100からの指示に含まれている。したがって、後処理装置200はプリンタ100からの指示に従って「手前側処理」または「奥側処理」を実行する。
【0054】
後処理装置200は、所定の後処理が実行される都度、用紙Pに実行される後処理の位置が「手前側」であるか、または「奥側」であるかを、動作モードや用紙サイズ情報及び、処理の実行を指示したユーザーを識別するユーザー識別情報の組み合わせごと数えて累積実行回数を計測する。
【0055】
S501において、手前側処理であると判定されれば(S501/YES)、手前側処理回数を加算する手前側処理回数カウント処理をCPU510が実行し、加算された手前側処理回数を不揮発性メモリ550に記憶させる(S502)。また、S501において、手前処理ではないと判定されれば(S501/NO)、奥側処理回数を加算する奥側処理回数カウント処理をCPU510が実行し、加算された奥側処理回数を不揮発性メモリ550に記憶させる(S503)。
【0056】
次に、後処理装置200における初期化処理の流れについて説明する。図6に示すフローチャートは、後処理装置200において所定の処理、例えば綴じ処理が行われるときに実行される初期化処理の例である。初期化処理によって、処理ユニットとしてのステイプラ50を、用紙Pへの処理の位置に対応する初期位置(ホームポジション)に、移動させる。
【0057】
まず、初期化後処理の実行が開始されると、CPU510は、不揮発性メモリ550に記憶されている「手前側処理回数」と「奥側処理回数」を比較する処理を実行する(S601)。
【0058】
S601において、手前側処理回数が奥側処理回数よりも多いと判定されれば(S601/YES)、処理ユニット(例えばステイプラ50)を手前側のホームポジション(手前側ホームポジション)に移動させる(S602)。S601において、手前側処理回数が奥側処理回数以下と判定されれば(S601/YES)、処理ユニット(例えばステイプラ50)を奥側のホームポジション(奥側ホームポジション)に移動させる(S603)。
【0059】
以上のように、処理ユニットの初期化処理を実行するときに、それまでの稼働実績に基づいて、「手前側」または「奥側」のいずれかの実行回数が多い方に近いホームポジションを選択して、処理ユニットを移動させる。
【0060】
次に、初期化処理(図6)後に実行される処理ユニットの起動処理の流れについて説明する。図7に示すフローチャートは、後処理装置200において所定の処理、例えば綴じ処理が行われるときにステイプラ50を起動させる起動処理の例である。
【0061】
まず起動処理に先立って実行される初期化処理(図6)において、ステイプラ50が手前側ホームポジションに移動していることを検知するセンサがオンのときは(S701/YES)、手前側ホームポジションに対応するセンサによってステイプラ50が検知される位置からの移動距離と移動方向を判定した上でステイプラ50の移動を開始させる(S702)。S702において、所定の位置に移動したステイプラ50は、用紙Pが搬送されて受け入れられるのを待って用紙Pに対する綴じ処理を実行する。
【0062】
または、初期化処理(図6)において、ステイプラ50が手前側ホームポジションに移動していることを検知するセンサがオフのとき(S701/NO)、かつ、ステイプラ50が奥側ホームポジションに移動していることを検知するセンサがオンのときは(S703/YES)、奥側ホームポジションに対応するセンサによってステイプラ50が検知される位置からの移動距離と移動方向を判定した上でステイプラ50の移動を開始させる(S704)。S704において、所定の位置に移動したステイプラ50は、用紙Pが搬送されて受け入れられるのを待って用紙Pに対する綴じ処理を実行する。
【0063】
なお、S703において、ステイプラ50が奥側ホームポジションに移動していることを検知するセンサがオフのときは、ステイプラ50の位置を検知できず、起動処理を行うことができないので異常処理として、処理を終了する(S705)。異常処理(S705)では、異常を知らせる情報をユーザーに報知する処理が実行される。
【0064】
[処理ユニットの移動制御構成の第一実施形態]
次に、処理ユニットとしてのステイプラ50の移動制御の第一実施形態について説明する。図8に示すように、ステイプラ50は、用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に沿って配置される移動軸502に保持されている。ステイプラ50は、制御部500の駆動制御によって、移動軸502に沿って移動するように構成されている。また、移動軸502の端部には、ステイプラ50を検知するセンサが配置されている。
【0065】
用紙Pの搬送方向に向かって右側に相当する奥側に配置される奥側ホームポジションセンサ530と、用紙Pの搬送方向に向かって左側に相当する手前側に配置される手前側ホームポジションセンサ520と、が配置されている。
【0066】
ステイプラ50が、手前側の受入位置において所定の後処理(綴じ処理)が終了した時点の例を図8に示す。ステイプラ50が、奥側の受入位置において所定の後処理(綴じ処理)が終了した時点の例を図9に示す。
【0067】
図8又は図9のいずれの状態であっても、次に、後処理を実行するときには、すでに説明をした初期化処理(図6参照)が実行される。この初期化処理において、ステイプラ50を初期化処理終了後の位置である目的位置に移動させるときに、その目的位置として、手前側ホームポジションセンサ520または奥側ホームポジションセンサ530のいずれかを選択する。この選択方法として、図6にて説明したように、過去の処理位置の回数を比較して、手前側処理回数が多ければ手前側ホームポジションセンサ520を目的位置として設定する(S602参照)。また、奥側処理回数が多ければ奥側ホームポジションセンサ530を目的位置として設定する(S603参照)。
【0068】
また、初期化処理における目的位置にステイプラ50を移動させるときの目的位置の選択方法としては、RAM560に記憶されたステイプラ50の現在位置に最も近接するセンサを目的位置として設定してもよい。
【0069】
手前側ホームポジションセンサ520が目的位置として選択されたときに、ステイプラ50が手前側ホームポジションセンサ520に移動した後のイメージを図10に示す。
【0070】
奥側ホームポジションセンサ530が目的位置として選択されたときに、ステイプラ50が奥側ホームポジションセンサ530に移動した後のイメージを図11に示す。
【0071】
以上説明したとおり、後処理装置200が備える処理ユニットとしてのステイプラ50は、初期化処理を実行したときに、手前側受入位置において実行された過去の処理の回数と、奥側受入位置において実行された過去の処理回数のうち、多い方の受入位置に対応するホームポジションを、初期化処理における目的位置として選択する。また、ステイプラ50は、直前の後処理の実行終了時における位置を基準として最も近い目標位置候補(手前側ホームポジションセンサ520か奥側ホームポジションセンサ530)を目的位置として選択する。これによって、次にステイプラ50が起動処理を実行されたときに、受入位置への移動時間を短縮させることができる。
【0072】
[処理ユニットの移動制御構成の第二実施形態]
次に、処理ユニットとしてのステイプラ50の移動制御の第二実施形態について図12から図15を用いて説明する。図12及び図13に示すように、本実施形態に係るステイプラ50も第一実施形態と同様に、用紙Pの搬送方向に対して直交する方向に沿って配置される移動軸502に保持されている。ステイプラ50は、制御部500の駆動制御によって、移動軸502に沿って移動するように構成されている。
【0073】
なお、移動軸502の両端部と、各端部近傍から中央部分に寄った位置のそれぞれには、ステイプラ50を検知するセンサが配置されている。用紙Pの搬送方向に向かって右側に相当する奥側に配置される奥側ホームポジションセンサ530と、用紙Pの搬送方向に向かって左側に相当する手前側に配置される手前側ホームポジションセンサ520と、が配置されている。また、手前側ホームポジションセンサ520よりも中央寄りの位置に、手前中寄りホームポジションセンサ521が配置されていて、奥側ホームポジションセンサ530よりも中央寄りの位置に、奥中寄りホームポジションセンサ531が配置されている。すなわち、本実施形態に係る後処理装置200は、処理ユニットとしてのステイプラ50の初期化処理時の目的位置となるセンサがより細分化されて配置されている。
【0074】
図12は、小サイズの用紙Pに対して、手前側において後処理を行うときの手前処理受入位置にステイプラ50があるときのイメージ図である。図13は、小サイズの用紙Pに対して、奥側において後処理を行うときの奥処理受入位置にステイプラ50があるときのイメージ図である。なお、処理対象である用紙Pが「小サイズ」であるか否かは、制御部500が予め設定された値として不揮発性メモリ550に記憶させた用紙サイズ情報を参照することで判定することができる。
【0075】
図12又は図13のいずれの状態であっても、次に、後処理を実行するときには、すでに説明をした初期化処理(図6参照)が実行される。この初期化処理において、ステイプラ50を初期化処理終了後の位置である目的位置に移動させるときに、その目的位置として、手前側ホームポジションセンサ520、奥側ホームポジションセンサ530、手前中寄りホームポジションセンサ521又は奥中寄りホームポジションセンサ531のいずれかを選択する。この選択方法として、図6にて説明したように、過去の処理位置の回数を比較して、手前側処理回数が多ければ手前側ホームポジションセンサ520または手前中寄りホームポジションセンサ521のうち、より近い位置を目的位置として設定する(S602参照)。また、奥側処理回数が多ければ奥側ホームポジションセンサ530または奥中寄りホームポジションセンサ521のうち、より近い位置を目的位置として設定する(S603参照)。
【0076】
また、初期化処理における目的位置にステイプラ50を移動させるときの目的位置の選択方法としては、RAM560に記憶されたステイプラ50の現在位置に最も近接するセンサを目的位置として設定してもよい。
【0077】
手前中寄りホームポジションセンサ521が目的位置として選択されたときに、ステイプラ50が手前中寄りホームポジションセンサ521に移動した後のイメージを図14に示す。
【0078】
奥中寄りホームポジションセンサ531が目的位置として選択されたときに、ステイプラ50が奥中寄りホームポジションセンサ531に移動した後のイメージを図15に示す。
【0079】
以上説明したとおり、後処理装置200が備える処理ユニットとしてのステイプラ50は、初期化処理を実行したときに、手前側受入位置において実行された過去の処理の回数と、奥側受入位置において実行された過去の処理回数のうち、多い方の受入位置に対応するホームポジションであって、より近い位置を目的位置として選択できる。このように目的位置が選択できるように、後処理装置200は処理ユニットの、ホームポジションを示すセンサを処理ユニットの移動方向に複数配置する。これによって、次にステイプラ50が起動処理を実行されたときに、受入位置への移動時間を短縮させることができる。
【0080】
[処理ユニットの移動制御構成の第三実施形態]
次に、処理ユニットとしてのステイプラ50の移動制御の第三実施形態について図16を用いて説明する。センサの配置及び構成は、第二実施形態と同様であるから詳細な説明を省略する。図16に示すように初期化処理を実行するときにステイプラ50が手前中寄りホームポジションセンサ521をオン状態にする位置にあった場合、次の処理対象となる用紙Pのサイズに基づく受入位置にステイプラ50があるときを検討する。
【0081】
この場合、最も近い目的位置は、手前中寄りホームポジションセンサ521であるが、すでにオン状態なので、一旦、ステイプラ50を移動させて手前中寄りホームポジションセンサ521をオフ状態にしてから、目的位置を手前中寄りホームポジションセンサ521に設定して初期化処理を実行することもできる。ところが、そのように初期化処理を実行すると、手前中寄りホームポジションセンサ521を一旦オフ状態にさせる位置にステイプラを移動させるためにモータドライバ540を逆転駆動させて、用紙受入位置へ移動させる必要がある。このような移動制御を行うと、逆転駆動に時間がかかり、結果として、ステイプラ50を受入位置に移動させるまでの時間が長くなる。
【0082】
この点、本実施形態に係るステイプラ50の移動制御では、初期化処理の目的位置として図16に例示している位置にステイプラ50があって、この位置が受入位置となる用紙Pに対する後処理を実行するときは、オン状態になっている手前中寄りホームポジションセンサ521を選択候補から除外し、残りのセンサを選択候補として、次に近い位置にあるセンサを目的位置として設定する。
【0083】
すなわち、本実施形態に係る後処理装置200は、次の処理対象の用紙Pのサイズに応じた受入位置にすでに、初期化処理前のステイプラ50があるときには、ステイプラ50を一旦移動させてセンサを初期化することなく、目的位置の候補として、受入位置に次に近い位置に相当するセンサを目的位置として設定する。これによって、処理ユニットとしてのステイプラ50の移動時間を短縮させることができる。
【0084】
また、図17に例示するように、奥側ホームポジションセンサ530が故障しているとする。この場合、奥側ホームポジションセンサ530も目的位置の候補から除外して、初期化処理を実行すればよい。
【0085】
[後処理装置200の動作フローの別例]
次に、後処理装置200における所定の後処理が行われるときに含まれる制御処理の別の実施形態について説明する。図18に示すフローチャートは、後処理装置200においてユーザー毎に実行される所定の処理、例えば綴じ処理が行われるときの制御処理の例である。図18に示す処理は、使用頻度の高い動作モード、使用頻度の高い用紙Pのサイズをユーザー毎に学習する制御フローに相当する。
【0086】
まず、後処理の実行が開始されると、CPU510は、処理の実行を指示したユーザーを確認する処理が順次実行される(S1801、S1806、S1811)。各ステップにおいて、該当するユーザーでなければ(S1801:NO、S1806:NO、S1811:NO)、次に登録されているユーザーであるか否かを確認する。ここで、ユーザーの確認順は、任意でよい。
【0087】
例えば、S1801において、ユーザーAであることが確認されたとき(S1801:YES)、指定されている後処理において用紙Pのサイズ情報を不揮発性メモリ550に記憶させる(S1802)。続いて、指定された後処理を施す位置が用紙Pにおける「手前側」か「奥側」であるかが判定される(S1803)。S1803において、手前側処理であると判定されれば(S1803/YES)、手前側処理回数を加算する手前側処理回数カウント処理をCPU510が実行し、加算された手前側処理回数を不揮発性メモリ550に記憶させる(S1804)。また、S1803において、手前処理ではないと判定されれば(S1803/NO)、奥側処理回数を加算する奥側処理回数カウント処理をCPU510が実行し、加算された奥側処理回数を不揮発性メモリ550に記憶させる(S1805)。
【0088】
上記S1802からS1805までの処理と同様の処理を、ユーザーBであれば、S1807からS1810までの処理において実行する。ユーザーCであれば、S1812からS1815までの処理において実行する。
【0089】
次に、後処理装置200における所定の後処理が行われるときに含まれる制御処理のうち、別の実施形態について説明する。図19に示すフローチャートは、後処理装置200において実行される初期化処理の例を示している。初期化処理によって、処理ユニットとしてのステイプラ50を、用紙Pへの処理の位置に対応する初期位置(ホームポジション)に、移動させる。
【0090】
まず、初期化後処理の実行が開始されると、CPU510は、処理の実行を指示したユーザーを確認する処理が順次実行される(S1901、S1905、S1909)。各ステップにおいて、該当するユーザーでなければ(S1901:NO、S1905:NO、S1909:NO)、次に登録されているユーザーであるか否かを確認する。ここで、ユーザーの確認順は、任意でよい。
【0091】
続いて、不揮発性メモリ550に記憶されている「手前側処理回数」と「奥側処理回数」を比較する処理をCPU510が実行する(S1902、S1906、S1910)。
【0092】
S1902、S1906、S1910において、手前側処理回数が奥側処理回数よりも多いと判定されれば(S1902、S1906、S1910/YES)、処理ユニット(例えばステイプラ50)を手前側のホームポジション(手前側ホームポジション)に移動させる(S1903、S1907、S1911)。S1902、S1906、S1910において、手前側処理回数が奥側処理回数以下と判定されれば(S1902、S1906、S1910/YES)、処理ユニット(例えばステイプラ50)を奥側のホームポジション(奥側ホームポジション)に移動させる(S1904、S1908、S1912)。
【0093】
以上のように、処理ユニットの初期化処理を実行するときに、それまでの稼働実績に基づいて、ユーザー毎に、「手前側」または「奥側」のいずれかの実行回数が多い方に近いホームポジションを選択して、処理ユニットを移動させる。
【0094】
図19においては、初期化処理をユーザー毎の後処理の実行実績に基づいて行うことができるので、ステイプラ50のホームポジションへの移動をユーザー毎により適したものとして、効率的に初期化処理を実行できるようになる。これによって、後処理の実行時に処理ユニットの移動に要する時間を短縮することができる。
【0095】
なお、ホームポジションの選択は、不揮発性メモリ550に記憶された、ユーザーごとの手前側処理回数/奥側処理回数のカウント結果の比較のみに限定されるものではなく、不揮発性メモリ550に記憶された用紙サイズ毎の手前側処理回数/奥側処理回数を比較することで、より実行回数の多い受入位置に基づいてホームポジションを選択してもよい。
【0096】
以上説明をした本実施形態に係るプリントシステム1000及び後処理装置200によれば、処理ユニットのホームポジションを複数設けて、使用頻度の高い位置に近いホームポジションに移動させておくことができる。これによって、後処理を実行するときに、処理ユニットが動作を開始するときに、ホームポジションから使用頻度の高い位置への移動時間を短縮することができる。その結果、処理ユニットの移動に起因する振動などを抑制することができ、処理実行位置への正確な移動を行うことができ、さらに、所望される後処理の動作をより精度良く行うことができる。
【0097】
なお、本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、その技術的要旨を逸脱しない範囲で種々の変形が可能であり、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが本発明の対象となる。上記実施形態は、好適な例を示したものであるが、当業者であれば、開示した内容から様々な変形例を実現することが可能である。そのような変形例も、特許請求の範囲に記載された技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 :導入路
2 :上搬送路
3 :ストレート搬送路
4 :下搬送路
5 :排紙トレイ
6 :プルーフトレイ
7 :第一分岐爪
8 :第二分岐爪
9 :トレイ
10 :入口ローラ
11 :水平搬送ローラ
12 :中間搬送ローラ
13 :入口センサ
14 :用紙先端検知センサ
20 :画像形成ユニット
21 :ステイプルトレイ
22 :ジョガー
23 :ジョガー
24 :後端フェンス
25 :後端フェンス
26 :排紙ローラ
27 :従動ローラ
28 :排紙センサ
29 :放出爪
30 :ステイプラ
40 :フィラー
41 :戻しローラ
50 :ステイプラ
61 :搬送ローラ
62 :搬送ローラ
63 :搬送ローラ
64 :用紙折りストッパ
71 :用紙折りブレード
72 :用紙折り板
73 :中折り排紙ローラ
100 :プリンタ
101 :画像形成部
110 :個人認証装置
111 :操作パネル
111a :第一表示欄
111b :第二表示欄
111c :リセットボタン
111d :用紙種別選択タグ
200 :後処理装置
500 :制御部
502 :移動軸
510 :CPU
520 :手前側ホームポジションセンサ
521 :ホームポジションセンサ
530 :奥側ホームポジションセンサ
531 :ホームポジションセンサ
540 :モータドライバ
550 :不揮発性メモリ
560 :RAM
600 :制御部
1000 :プリントシステム
【先行技術文献】
【特許文献】
【0099】
【文献】特開2009-126007号公報
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20