(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】感光体帯電露光試験装置
(51)【国際特許分類】
G03G 21/00 20060101AFI20240618BHJP
G01N 17/00 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G03G21/00 512
G01N17/00
(21)【出願番号】P 2020125593
(22)【出願日】2020-07-22
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】100127111
【氏名又は名称】工藤 修一
(72)【発明者】
【氏名】仁井 大輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 紀保
【審査官】山下 清隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-002718(JP,A)
【文献】特開2010-256747(JP,A)
【文献】実開平04-018848(JP,U)
【文献】特開平07-209175(JP,A)
【文献】特開2012-145820(JP,A)
【文献】特開2013-184438(JP,A)
【文献】特開2019-120858(JP,A)
【文献】特開2005-292611(JP,A)
【文献】特開2002-139958(JP,A)
【文献】実開昭54-074540(JP,U)
【文献】特開平09-006100(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03G 21/00
G03G 15/00
G03G 15/02
G03G 5/00-5/16
G01N 17/00-19/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に静電潜像が形成される回転自在な感光体と、
前記感光体の表面を帯電させる帯電部材と、
前記感光体の表面に向けて空気流を供給するエア供給部材と、
帯電後における前記感光体の表面電位を測定する第一表面電位測定部材と、
前記感光体の表面を露光する露光部材と、
露光後における前記感光体の表面電位を測定する第二表面電位測定部材と、
前記感光体及び前記帯電部材及び前記エア供給部材及び前記第一表面電位測定部材及び前記露光部材及び前記第二表面電位測定部材を収納する筐体と、
前記筐体内の空気を排気する排気部材と、
前記感光体を回転駆動する駆動手段と、
前記筐体からの排気風量が0.3m
3/min以上となるように前記排気部材を、前記感光体の回転速度が50~250回転/minとなるように前記駆動手段を、前記感光体の表面における風速が10~20m/secとなるように前記エア供給部材を、前記第一表面電位測定部材による測定値が-500~-1000Vとなるように前記帯電部材を、前記第二表面電位測定部材による測定値が0~-200Vとなるように前記露光部材をそれぞれ作動制御する制御手段と
、
を有する帯電露光装置
を備え、
帯電工程と露光工程とを含むサイクルを繰り返して前記感光体の寿命予測試験を行う感光体帯電露光試験装置。
【請求項2】
請求項1記載の
感光体帯電露光試験装置において、
前記帯電部材は前記感光体と対向する帯電側とは逆側の非帯電側が開放され、前記非帯電側と前記排気部材とがダクトにより接続されていることを特徴とする
感光体帯電露光試験装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感光体帯電露光試験装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子写真プロセスを採用した画像形成装置が知られており、このような画像形成装置において表面に画像を担持する像担持体として感光体を用いたものが知られている。このような画像形成装置において、感光体は画像形成毎に繰り返し使用されるため、繰り返し使用による感光体の寿命を予測するための試験及び評価方法は極めて重要である。
【0003】
上述した寿命予測試験方法の一つとして、電子写真プロセスを実行する画像形成装置を使用して繰り返し被記録媒体に対して画像形成を行い、出力された画像品質で感光体の寿命を予測する方法や、繰り返し画像形成中の帯電電位や露光後電位を計測してこれ等の電位の変動に基づいて寿命を予測する方法が行われている。
上述した方法は、通常は感光体が搭載される実機で行われるため確実な寿命予測が可能である反面、実機が完成するまでは寿命予測試験を行うことができないという問題点、試験に多大な時間が必要となるという問題点があった。例えば、A4サイズの画像形成能力が10枚/分であるとすると、80000枚を画像形成するためには8000分を要し、1日10時間試験を行うと仮定すると13.3日間の試験日程が必要となる。
【0004】
そこで他の方法として、感光体を高速で回転させた状態(1000~2000回転/min)でこの周囲に配置された帯電手段及び露光手段によって帯電動作及び露光動作を繰り返して行い、寿命を予測する方法が知られている。この方法はさらに二つに分けられ、一つは帯電手段の出力と露光手段の光量とを予め決定した条件で固定し、所定時間だけ試験を行った後に感光体の特性を評価する測定を行い、劣化状態を判定するものである。他の一つは、試験中の感光体露光後電位(V)と感光体を通して流れる通過電流(I)とを計測し、これ等の値が常に決められたレベルとなるように帯電手段の出力と露光手段の光量とを調整しつつ行う方法である。
【0005】
上述した二つの方法で重要な点は以下の点である。先ず、試験中に感光体に流れた通過電流(I)を計測してこれを単位面積当たりの値である電荷量(Q)に変換する。一方、A4サイズの被記録媒体1枚を実機で画像形成する場合に、感光体のサイズはA4サイズ1枚分の面積が感光体上を重なることなく画像形成されるサイズであるとすると、通過電流(I)は感光体の単位面積当たりの値である静電容量(C)と帯電電位(V)とを乗じた値(C・V)で求められる。従って、(Q/C・V)とすることで、寿命予測試験時間を実機の画像形成枚数に対応させることができる点である。
【0006】
もう一つの重要な点は、この寿命予測試験が加速寿命試験である点である。具体的に示すと、直径30(mm)の感光体に(35(μA)/(帯電面積3π×15)(cm2))の試料通過電流を流して20時間試験すると(1日10時間の試験とすると2日間に相当)、(35×10-6/3π×15)×20×60×60≒0.01783(C/cm2)の電荷が感光体を通過したことになる。そして、A4縦送りサイズで画像形成を行う場合を想定し、感光体の静電容量を100(pF/cm2)、帯電電位を-700(V)、除電後も含めた露光後電位を0(V)とすると、(100×10-12×700×(29.7/3π)=0.02206×10-5(C/cm2))がA4サイズの被記録媒体1枚を画像形成する際に感光体を通過する電位である。従って、(0.01783/0.02206×10-5)≒80000(枚)を画像形成したことになり、寿命予測試験を大幅に加速することができる。このため、上述した二つの試験方法で寿命予測試験が行われる場合が多い。
【0007】
上述の計算式から判るように、試験中に感光体を通過する電流が一定であれば画像形成何枚相当の試験を行ったのかを計算することが容易となるため、通過電流を一定として行う試験方法が一般的に採用される。また、感光体によっては帯電電位がどのレベルに位置するかによって寿命予測試験の結果が異なることがあり、帯電電位も一定として試験を行うことが要求される。
そこで、帯電電位及び通過電流を一定とするために、高圧電源から帯電手段への印加電圧調整、及び露光手段の光量調整を行うシステムが必要となり、従来の寿命予測試験装置が構築されている。
【0008】
上述した寿命予測試験装置に関連する技術として、電子写真感光体の劣化を加速させる試験システムにおいて、劣化試験時における帯電手段への印加電圧と放電生成物の濃度とを独立して任意に制御することで、電子写真用感光体の酸化劣化による劣化加速試験を実施でき、劣化試験の短縮化が可能な電子写真用感光体の劣化加速試験装置及び劣化加速試験(帯電露光試験)方法が提案されている(例えば「特許文献1」参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
感光体は、その表面の摩耗や感光層及び中間層の疲労等の劣化を原因として、許容範囲を超える画質劣化が生じたときに寿命を迎えるが、感光体が寿命を迎えたと判断する基準となる画質劣化には様々な種類が存在し、その一つに前回画像形成時の画像に対応した濃淡が生じる残像という現象がある。そして残像には、前回画像形成時にトナーが付着していた感光体表面上の箇所(トナー付着箇所)の画像濃度が、次回画像形成時に、前回画像形成時においてトナーが付着していなかった感光体表面上の箇所(非トナー付着箇所)の画像濃度に比して、高くなるポジ残像と低くなるネガ残像とが存在する。
【0010】
実機によるランニング寿命予測試験として、(株)リコー社製RICOH Pro C7100を用い、A4サイズ150000枚の画像形成後に画像評価を行った結果、ネガ残像が発現した。これに対し、上述の技術、すなわち上述した劣化加速試験装置を用いた試験ではポジ残像が発現しており、実機で生じる感光体の劣化を再現するには十分ではないという問題点があった。
本発明は、上述した問題点を解決し、実機で生じる感光体の劣化を再現可能な帯電露光装置及びこれを用いた感光体帯電露光試験装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の発明は、表面に静電潜像が形成される回転自在な感光体と、前記感光体の表面を帯電させる帯電部材と、前記感光体の表面に向けて空気流を供給するエア供給部材と、帯電後における前記感光体の表面電位を測定する第一表面電位測定部材と、前記感光体の表面を露光する露光部材と、露光後における前記感光体の表面電位を測定する第二表面電位測定部材と、前記感光体及び前記帯電部材及び前記エア供給部材及び前記第一表面電位測定部材及び前記露光部材及び前記第二表面電位測定部材を収納する筐体と、前記筐体内の空気を排気する排気部材と、前記感光体を回転駆動する駆動手段と、前記筐体からの排気風量が0.3m3/min以上となるように前記排気部材を、前記感光体の回転速度が50~250回転/minとなるように前記駆動手段を、前記感光体の表面における風速が10~20m/secとなるように前記エア供給部材を、前記第一表面電位測定部材による測定値が-500~-1000Vとなるように前記帯電部材を、前記第二表面電位測定部材による測定値が0~-200Vとなるように前記露光部材をそれぞれ作動制御する制御手段と、を有する帯電露光装置を備え、帯電工程と露光工程とを含むサイクルを繰り返して前記感光体の寿命予測試験を行うことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、実機において生じる劣化と同様の劣化を発現可能となり、感光体の劣化加速試験における信頼性を大幅に向上することができ、感光体の寿命予測の信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係る帯電露光装置を説明する概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態の変形例に係る帯電露光装置を説明する概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る帯電露光装置及び本発明の一実施形態の変形例に係る帯電露光装置を用い、感光体の劣化加速試験を行った結果を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一実施形態に係る帯電露光装置の概略図である。同図において、感光体の劣化加速試験を行う帯電露光装置1は、試験される感光体2、感光体2を帯電させる帯電部材3、感光体2と帯電部材3との間に空気流を供給するエア供給部材4、帯電後における感光体2の表面電位、すなわち感光体2の帯電電位を計測する第一表面電位測定部材である第一表面電位プローブ5、感光体2の表面を露光する露光部材6、露光後における感光体2の表面電位、すなわち感光体2の露光電位を計測する第二表面電位測定部材である第二表面電位プローブ7、帯電部材3へ電圧を供給するための電源8及び電源スイッチ9を有している。
【0015】
感光体2は駆動手段としてのモータ10によって回転駆動されて
図1において反時計回り方向に回転され、感光体2の回転時に帯電部材3が作動することにより感光体2の表面が一様に帯電される。試験中の感光体2中を通過する電流は図示しない計測手段によって計測され、第一信号処理回路11に向けて送られる。第一信号処理回路11中には図示しない平滑化回路が組み込まれており、この平滑化回路によって通過電流の平滑化が行われ、その後通過電流はA/D変換器12によってデジタル信号に変換されて制御手段13に向けて送られ、デジタル信号が演算処理される。
【0016】
感光体2の帯電電位は、第一表面電位プローブ5からモニタ部である第一表面電位計14に送られてモニタされ、第二信号処理回路15に送られる。また感光体2の露光電位は、第二表面電位プローブ7からモニタ部である第二表面電位計16に送られてモニタされる。その後、第二信号処理回路15に送られた後にA/D変換器12に送られて変換され、制御手段13に送られて演算処理される。
制御手段13は内部に記憶領域13aを有しており、モータ10内に設けられている図示しないモータドライバに接続されている。モータドライバには回転数を出力する機構、回転数をリモート制御可能な機能も付加されているため、回転数制御及び回転数の認識も可能である。
【0017】
感光体2周りの部材は、デジタルリレー出力17によってオンオフ制御されている。帯電部材3と露光部材6のオンオフを制御することにより、感光体2を劣化させることができる。帯電電位及び露光電位の測定値は制御手段13へと送られ、所望の帯電電位及び露光電位となるように制御手段13は電源8及び露光部材6へと信号を送り、帯電部材3のワイヤ電圧及び露光部材6の光量を変化させながら感光体2の帯電及び露光を繰り返して行う。
【0018】
上述した各構成部材のうち、少なくとも感光体2、帯電部材3、エア供給部材4、第一表面電位プローブ5、露光部材6、第二表面電位プローブ7は、筐体としての暗箱18で収納されている。暗箱18は光を透過しない材質によって構成されており、このような暗箱18によって各部材が覆われていないと、劣化加速試験時に風や光や温度等の外部環境による影響を受け、正確な特性評価が困難となる。ただし、制御手段13や各信号処理回路11,15等の、感光体2の評価に関して影響を及ぼさない構成に関しては、必ずしも暗箱18に収納する必要はない。
暗箱18は、図示しない吸気口または吸気ファン、暗箱18内の帯電部材3から発生する放電生成ガスを排気するための排気部材としての排気ファン19を有しており、その容量は2.1m3以下が好ましい。
【0019】
ここで、上述した各部材について説明する。
感光体2としては、材質、形状、大きさ、構造等については特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能である。形状としては、例えばドラム状、シート状、エンドレスベルト状等が挙げられる。材質としては、例えばアモルファスシリコン、セレン、Cds、ZnO等の無機感光体、ポリシランフタロポリメチン等の有機感光体(OPC)等が挙げられる。大きさとしては、帯電露光装置1の大きさ、仕様等に応じて適宜選択可能である。
【0020】
有機感光体(OPC)は、光吸収波長域の広さ及び光吸収量の大きさ等の光学特性、高感度及び安定した帯電特性等の電気的特性、材料の選択範囲の広さ、製造の容易さ、低コスト、無毒性等の観点から一般に広く利用されている。このような有機感光体の層構成としては、単層構造と積層構造とに大別される。単層構造の感光体は、支持体及び支持体上に設けられた単層型感光層を有しており、さらに必要に応じて保護層、中間層、その他の層を有している。積層構造の感光体は、支持体及び支持体上に設けられた電荷発生層及び電荷輸送層を少なくともこの順に有する積層型感光層を有しており、さらに必要に応じて保護層、中間層、その他の層を有している。
【0021】
帯電部材3は、感光体2を帯電することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能である。帯電部材3としては、例えばコロトロン帯電方式、スコロトロン帯電方式のコロナ帯電方式を利用した非接触帯電部材、ローラ帯電方式、ブラシ帯電方式を利用した接触帯電部材等が挙げられる。これ等の中でも、感光体2を傷付ける虞がなく非破壊で劣化加速試験を行えることから非接触帯電部材が好ましい。
【0022】
エア供給部材4は、劣化加速試験時に帯電部材3を放電させた際に生成されるオゾンやNOx等の放電生成物が感光体2の表面に到達する前に、放電生成物を空気流によって吹き飛ばす手段である。エア供給部材4としては、帯電部材3と感光体2との間に空気流を供給することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能である。エア供給部材4としては、例えばエアナイフが挙げられる。
【0023】
露光部材6は、感光体2を露光することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能である。露光部材6の光源としては特に制限はなく、例えば蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、LED、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)等の発光物が挙げられる。また露光部材6は、所望の波長域の光のみを感光体に照射するためのシャープカットフィルタ、バンドパスフィルタ、赤外線カットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、干渉フィルタ、色温度変換フィルタ等の各種フィルタを用いることも可能である。また、感光体2に対して均一に露光を行うため、拡散板等の均一帯電機構、照度を下げるためのニュートラルデンシティフィルタを用いることも可能である。
【0024】
各表面電位測定部材5,7は、感光体2の表面電位を検出することができるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能である。各表面電位測定部材5,7には接触型と非接触型とがあり、接触型では感光体2の表面を傷付ける虞があるため非接触型が望ましい。感光体2の表面電位をモニタする方法としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択可能であり、例えば感光体2を帯電部材3により帯電した後、感光体2の帯電電位を表面電位計プローブ5で測定し、表面電位計14に信号を送ることにより感光体2の劣化加速試験時における帯電電位をモニタする方法等が挙げられる。
【0025】
上述の構成では特に言及しなかったが、除電部材としては、感光体2を除電できるものであれば特に制限はなく、公知の除電部材の中から適宜選択でき、例えば除電ランプ等が用いられる。
電源8及び電源スイッチ9としては、特に制限はなく目的に応じて適宜選択可能である。電源8及び電源スイッチ9、これ等の制御手段13としては、従来公知のものをそのまま利用可能である。また、ワイヤ電極、これに電圧を印加する高圧電源等も同様である。
【0026】
上述した帯電露光装置1、及び
図2に示す帯電露光装置20を備えた感光体帯電露光試験装置用い、感光体2の劣化加速試験を行った後に画像評価を行った。劣化加速試験は24時間または12時間実施し、試験後に行った画像評価では残像を評価した。帯電露光装置20は、帯電露光装置1と比較すると、帯電部材3の感光体2と対向する側とは反対側が開放され、ここに一端を排気ファン19に接続されたダクト21の他端が接続されている点においてのみ相違しており、他の構成は同一である。感光体帯電露光試験装置は、各帯電露光装置1,20を含み、各構成部材を動作制御する制御プログラムを制御手段13に記憶させており、後述する試験条件をそれぞれ記憶した装置である。
劣化加速試験は、従来技術と同様の残像が発現するであろうと予測される比較例を二例、実機と同様の残像が発現するであろうと予測される実施例を十例行った。使用した感光体2は、株式会社リコー製のRICOH Pro C7100に搭載された感光体と同一処方のもの(ドラム直径60mm、ドラム全長380mm)を使用した。
【0027】
〔比較例1〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.1m
3/min、感光体2の回転数が25回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が5m/sec、帯電部材3による帯電電位が-400V、露光部材6による露光後電位が-300Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0028】
〔比較例2〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.2m
3/min、感光体2の回転数が350回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が25m/sec、帯電部材3による帯電電位が-1100V、露光部材6による露光後電位が-500Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0029】
〔実施例1〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0030】
〔実施例2〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が50回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0031】
〔実施例3〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が250回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0032】
〔実施例4〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が10m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0033】
〔実施例5〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が20m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0034】
〔実施例6〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-500V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0035】
〔実施例7〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-1000V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0036】
〔実施例8〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-100Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0037】
〔実施例9〕
帯電露光装置1を使用し、感光体2の劣化加速試験を24時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-200Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0038】
〔実施例10〕
帯電露光装置20を使用し、感光体2の劣化加速試験を12時間実施した。試験条件は、排気ファン19の排気風量が0.3m
3/min、感光体2の回転数が125回転/min、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が15m/sec、帯電部材3による帯電電位が-600V、露光部材6による露光後電位が-150Vとなるように、各部材の動作を制御手段13によって制御した。
劣化加速試験後に感光体2の残像を評価した結果を
図3に示す。
【0039】
実機によるランニング試験として、株式会社リコー製のRICOH Pro C7100を用いてA4サイズ150000枚画像形成後に画像評価を行った結果、ネガ画像が発現した。そして上述した劣化加速試験では、
図3に示すように、各比較例1,2の画像評価結果ではポジ画像が発現しており、実機との対応性が取れていないことが判明した。
一方、各実施例1~10ではネガ画像が発現しており、実機と同様の異常画像を得ることができ、実機において生じる劣化との対応性が取れていることが判明した。
【0040】
図3に示す結果より、各比較例1,2においては各実施例1~10に比して、排気ファン19の排気風量が不足、感光体2の回転数が不足あるいは過剰、エア供給部材4により供給される感光体2の表面上における空気流の風速が不足あるいは過剰、帯電部材3による帯電電位が不足あるいは過剰、露光部材6による露光後電位が過剰であった。
従って、制御手段13により、排気風量が0.3m
3/min以上となるように排気ファン19を、感光体2の回転速度が50~250回転/minとなるようにモータ10を、感光体2の表面における風速が10~20m/secとなるようにエア供給部材4を、帯電電位が-500~-1000Vとなるように帯電部材3を、露光後電位が0~-200Vとなるように露光部材6をそれぞれ作動制御することにより、実機において生じる劣化と同様の劣化を発現可能であることが確認できた。
【0041】
上述の構成により、実機において生じる劣化と同様の劣化を発現可能となり、感光体2の劣化加速試験における信頼性を大幅に向上することができ、感光体2の寿命予測の信頼性を高めることができる。
また、実施例10に示すように、感光体2と対向する帯電側とは逆側の非帯電側が開放された帯電部材3を用い、帯電部材3と排気ファン19とをダクト21によって接続させる構成を採用することにより、各実施例1~9に比して、短時間で実機と同様の異常画像が得られることが判明した、これにより、試験時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0042】
以上、本発明の好ましい実施の形態について説明したが、本発明はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、上述の説明で特に限定しない限り、特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。本発明の実施の形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を例示したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0043】
1,20 帯電露光装置
2 感光体
3 帯電部材
4 エア供給部材
5 第一表面電位測定部材(第一表面電位プローブ)
6 露光部材
7 第二表面電位測定部材(第二表面電位プローブ)
10 駆動手段(モータ)
13 制御手段
18 筐体(暗箱)
19 排気部材(排気ファン)
21 ダクト
【先行技術文献】
【特許文献】
【0044】