(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】無機粒子の表面修飾方法および分散液の製造方法
(51)【国際特許分類】
C01B 13/14 20060101AFI20240618BHJP
C09C 3/08 20060101ALI20240618BHJP
C09C 3/12 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
C01B13/14 A
C09C3/08
C09C3/12
(21)【出願番号】P 2020165838
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-02-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000183266
【氏名又は名称】住友大阪セメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(74)【代理人】
【識別番号】100206999
【氏名又は名称】萩原 綾夏
(72)【発明者】
【氏名】原田 健司
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 智海
(72)【発明者】
【氏名】武田 怜
【審査官】磯部 香
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-171813(JP,A)
【文献】特開2014-227425(JP,A)
【文献】国際公開第2016/142992(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0062049(US,A1)
【文献】国際公開第2015/111664(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/017305(WO,A1)
【文献】特開2007-119617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C01B 13/14
C09C 3/08
C09C 3/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の表面修飾材料と無機粒子とを混合して混合液を得る工程と、
前記混合液中において前記無機粒子を分散する工程と、
前記混合液に第2の表面修飾材料を添加する工程と、を有し、
前記第2の表面修飾材料が、シリコーン化合物を含み、
前記混合液中における前記無機粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、前記混合液中における前記第1の表面修飾材料と前記無機粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下であり、
前記無機粒子が無機酸化物粒子であり、
前記第1の表面修飾材料が、アルキル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物である、無機粒子の表面修飾方法。
【請求項2】
前記無機酸化物粒子が、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、シリカ粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子、酸化銅粒子、酸化スズ粒子、酸化セリウム粒子、酸化タンタル粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タングステン粒子、酸化ユーロピウム粒子、酸化イットリウム粒子、酸化モリブデン粒子、酸化インジウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化ゲルマニウム粒子、酸化鉛粒子、酸化ビスマス粒子、および酸化ハフニウム粒子ならびにチタン酸カリウム粒子、チタン酸バリウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、ニオブ酸カリウム粒子、ニオブ酸リチウム粒子、タングステン酸カルシウム粒子、イットリア安定化ジルコニア粒子、アルミナ安定化ジルコニア粒子、シリカ安定化ジルコニア粒子、カルシア安定化ジルコニア粒子、マグネシア安定化ジルコニア粒子、スカンジア安定化ジルコニア粒子、ハフニア安定化ジルコニア粒子、イッテルビア安定化ジルコニア粒子、セリア安定化ジルコニア粒子、インジア安定化ジルコニア粒子、ストロンチウム安定化ジルコニア粒子、酸化サマリウム安定化ジルコニア粒子、酸化ガドリニウム安定化ジルコニア粒子、アンチモン添加酸化スズ粒子、およびインジウム添加酸化スズ粒子からなる群から選択される少なくとも1種である、請求項1に記載の無機粒子の表面修飾方法。
【請求項3】
前記第2の表面修飾材料が、シラン化合
物を含む、請求項1に記載の無機粒子の表面修飾方法。
【請求項4】
前記第1の表面修飾材料がメチル基を含むシラン化合物である、請求項1~
3のいずれか1項に記載の無機粒子の表面修飾方法。
【請求項5】
請求項1~
4のいずれか1項に記載の無機粒子の表面修飾方法により分散液を製造する、分散液の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機粒子の表面修飾方法と分散液の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
無機粒子は、屈折率調整効果、紫外線遮蔽機能、熱線遮蔽機能等、様々な性能を部品、部材や材料に付与することができる。したがって、化粧料、樹脂製品や光学部品等の様々な技術分野において利用されている。
【0003】
無機粒子は、無修飾の場合、一般にその表面に水酸基が存在するため、通常は親水性である。そこで、疎水性材料に無機粒子を添加する場合には、シランカップリング剤等の表面改質剤により、無機粒子の表面を疎水性に改質することが行われている。
【0004】
例えば、特許文献1では、顔料の表面がn-オクチルトリエトキシシラン等の特定のシランカップリング剤により被覆処理され、化粧料に配合した際に高い撥水性を有しながら、感触がしっとりとして重くなく肌への付着性の高い化粧料用顔料が提案されている。
また、特許文献2では、1つ以上の反応性官能基を含む表面修飾剤により表面が修飾されかつ分散粒径が1nm以上かつ20nm以下の無機酸化物粒子を含有してなる無機酸化物透明分散液が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2001-181136号公報
【文献】国際公開第2007/049573
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、無機粒子を液相中にて表面修飾材料により表面修飾する場合には、無機粒子と表面修飾材料のみならず分散媒を混合して混合液を得、当該混合液について分散機を用いて分散処理することが一般的である。ここで、このような表面修飾された無機粒子は、疎水性の高い材料と混合した際に、充分に当該材料中に分散できず凝集する。その結果、疎水性の高い材料に白濁等の濁りが生じる問題があった。
【0007】
また、疎水性の高い材料中には、官能基が含まれていることが一般的である。例えば、LED用のシリコーン樹脂では、メチル基とフェニル基が含まれていることが一般的であり、用途によって官能基の比率が調整されている。例えば、照明用途では、LEDチップからの光取り出し量を増やすため、シリコーン樹脂は屈折率の高いフェニル基を多く有する構造となっている。一方、車載用途では、高出力LEDによるシリコーン樹脂の劣化を抑制するために、シリコーン樹脂は耐熱性の高いメチル基を多く有する構造となっている。
そのため、シリコーン樹脂の品種毎や用途毎に無機粒子表面の修飾設計が必要であった。
【0008】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、疎水性の高い材料と混合した場合であっても凝集が抑制され、白濁等の濁りの発生が防止された無機粒子を得るための無機粒子の表面修飾方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の一態様は、第1の表面修飾材料と無機粒子とを混合して混合液を得る工程と、
前記混合液中において前記無機粒子を分散する工程と、
前記混合液に第2の表面修飾材料を添加する工程と、を有し、
前記第2の表面修飾材料が、シリコーン化合物を含み、
前記混合液中における前記無機粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、前記混合液中における前記第1の表面修飾材料と前記無機粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下であり、前記無機粒子が無機酸化物粒子であり、前記第1の表面修飾材料が、アルキル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物である、無機粒子の表面修飾方法が提供される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、疎水性の高い材料と混合した場合であっても凝集が抑制され、白濁等の濁りの発生が防止された無機粒子を得るための無機粒子の表面修飾方法を提供することができる。また、本発明によれば、疎水化度が異なる材料であっても、透明に混合することができる汎用性の高い無機粒子の表面修飾方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の無機粒子の表面修飾方法の実施の形態について説明する。
なお、本実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0012】
<1.本発明者等の着想>
まず、本発明の詳細な説明に先立ち、本発明者等による本発明に至るまでの着想について説明する。
【0013】
上述したように、無機粒子を液相中にて表面修飾材料により表面修飾する場合には、無機粒子と表面修飾材料のみならず分散媒を混合して混合液を得、当該混合液について分散機を用いて分散処理することが一般的である。ここで、このような表面修飾された無機粒子は、疎水性の高い材料と混合した際に、充分に当該材料中に分散できず凝集し、結果として、疎水性の高い材料に白濁等の濁りが生じる問題がある。このような場合、添加される無機粒子は、所期の性能が充分に発揮されない。
【0014】
分散媒は、通常無機粒子を均一に分散させ、表面修飾材料に無機粒子の表面を均一に修飾させることを目的として添加される。従来、分散媒を用いない場合、分散液の粘度が上昇する結果、表面修飾材料が無機粒子の表面に充分に付着しないと考えられていた。本発明者等は、驚くべきことに、このような従来必須であると見做されてきた分散媒を使用しないあるいは少量のみ使用し、無機粒子を高濃度の表面修飾材料中に直接分散させることにより、得られる分散液中において、無機粒子の均一な分散が達成されるとともに、無機粒子への表面修飾材料の均一な修飾が可能であることを見出した。
【0015】
さらには、このようにして得られる分散液を疎水性の高い材料と混合した際に、当該材料中に無機粒子が凝集することなく分散可能であり、濁りの発生が抑制されることを本発明者等は見出し、本発明に至った。
【0016】
なお、分散媒を多量に用いた場合、疎水性の高い材料中に無機粒子が分散せず、濁りが生じる理由については、定かではないが、表面修飾材料が希薄となった結果、表面修飾材料の反応性が低下し、無機粒子に充分な量の表面修飾材料が付着しなかったことが考えられる。また、分散媒として疎水性溶媒を多量に用いた場合、そもそも水酸基を表面に有する無機粒子が充分に分散しない。また、分散媒として親水性溶媒を多量に用いた場合、分散液中に含まれる親水性溶媒と疎水性の高い材料との混和性が充分でない。
【0017】
また、ヘンシェルミキサーやスプレードライヤ等により、乾式にて無機粒子の表面に表面修飾材料を付着させることも考えらえる。この場合、無機粒子が凝集し、均一に表面修飾材料が無機粒子の表面に付着しない。さらには、乾式にて修飾を行う場合、充分な量の表面修飾材料を使用することが困難である。この結果、無機粒子を疎水性の高い材料と混合した際に、当該材料中に無機粒子が分散せず、濁りが生じる。
【0018】
また、疎水性の高い材料には、複数種類の官能基が含まれることが一般的である。本発明者等は、無機粒子の表面に充分な量の第1の表面修飾材料を付着させた後に、疎水性の高い材料に含まれる官能基と、同一または親和性の高い第2の表面修飾材料を添加して無機粒子を表面修飾することにより、疎水性の高い材料との親和性がより高くなり、疎水性の高い材料中の官能基比率が変わっても、透明に分散できる、汎用性の高い表面修飾無機粒子が得られることを見出した。
【0019】
<2.無機粒子の表面修飾方法>
次に、本実施形態に係る無機粒子の表面修飾方法について説明する。
本発明者等が以上の検討により想到した本実施形態に係る無機粒子の表面修飾方法は、第1の表面修飾材料と無機粒子とを混合して混合液を得る工程と、前記混合液中において前記無機粒子を分散する工程と、前記混合液に第2の表面修飾材料を添加する工程と、を有し、前記混合液中における前記無機粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、前記混合液中における前記第1の表面修飾材料と前記無機粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下である。
なお、上記表面修飾材料と上記無機粒子との合計含有量には、後述する表面修飾材料の加水分解で発生するアルコールは含まない。すなわち、上記表面修飾材料と上記無機粒子との合計含有量とは、表面修飾材料と、加水分解された表面修飾材料と、無機粒子と、を意味する。なお、上記合計含有量が上記表面修飾材料に付着された無機粒子の含有量を含めた値であることは言うまでもない。
【0020】
次に、本実施形態に係る無機粒子の表面修飾方法について説明する。
【0021】
本実施形態に係る分散液の製造方法は、第1の表面修飾材料と無機粒子とを混合して混合液を得る工程Bと、上記混合液中において上記無機粒子を分散して分散液(第1の分散液)を得る工程Cと、上記無機粒子を含む混合液に、第2の表面修飾材料を添加して分散液(第3の分散液)を得る工程Fと、を有する。
【0022】
なお、上記第1の表面修飾材料と、第2の表面修飾材料と、上記無機粒子の合計の含有量は、固形分により評価することもできる。なお、本明細書において「固形分」とは、混合液や分散液において揮発可能な成分を除去した際の残留物をいう。例えば、分散液1.2gを磁性るつぼに入れて、ホットプレートで、150℃で1時間加熱した場合に、揮発せずに残留する成分(無機粒子や表面修飾材料等)を固形分とすることができる。
【0023】
本実施形態に係る混合液中に含まれる無機粒子としては、特に限定されない。本実施形態において、無機粒子としては、例えば、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子、シリカ粒子、酸化亜鉛粒子、酸化鉄粒子、酸化銅粒子、酸化スズ粒子、酸化セリウム粒子、酸化タンタル粒子、酸化ニオブ粒子、酸化タングステン粒子、酸化ユーロピウム粒子、酸化イットリウム粒子、酸化モリブデン粒子、酸化インジウム粒子、酸化アンチモン粒子、酸化ゲルマニウム粒子、酸化鉛粒子、酸化ビスマス粒子、および酸化ハフニウム粒子ならびにチタン酸カリウム粒子、チタン酸バリウム粒子、チタン酸ストロンチウム粒子、ニオブ酸カリウム粒子、ニオブ酸リチウム粒子、タングステン酸カルシウム粒子、イットリア安定化ジルコニア粒子、アルミナ安定化ジルコニア粒子、シリカ安定化ジルコニア粒子、カルシア安定化ジルコニア粒子、マグネシア安定化ジルコニア粒子、スカンジア安定化ジルコニア粒子、ハフニア安定化ジルコニア粒子、イッテルビア安定化ジルコニア粒子、セリア安定化ジルコニア粒子、インジア安定化ジルコニア粒子、ストロンチウム安定化ジルコニア粒子、酸化サマリウム安定化ジルコニア粒子、酸化ガドリニウム安定化ジルコニア粒子、アンチモン添加酸化スズ粒子、およびインジウム添加酸化スズ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含む無機酸化物粒子が好適に用いられる。
【0024】
無機粒子は、得られる分散液の用途に応じてその種類を適宜選択できる。例えば、得られる分散液中の無機粒子を発光素子の封止部材の材料として用いる場合、透明性や封止樹脂(樹脂成分)との相溶性(親和性)を向上させる観点から、混合液は、酸化ジルコニウム粒子、酸化チタン粒子およびシリカ粒子からなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。また、無機粒子は、封止部材の屈折率を向上させる観点から、屈折率が1.7以上であることが好ましい。このような無機粒子としては、上述したシリカ粒子以外の無機酸化物粒子が挙げられる。封止部材の材料として用いる場合、無機粒子は、より好ましくは酸化ジルコニウム粒子および/または酸化チタン粒子であり、特に好ましくは、酸化ジルコニウム粒子である。
【0025】
なお、無機粒子は、混合液において一次粒子として分散していてもよいし、一次粒子が凝集した二次粒子として分散していてもよい。通常、無機粒子は、二次粒子として分散している。
【0026】
(表面修飾材料)
本実施形態に用いられる表面修飾材料は、無機粒子の表面に付着することができれば特に限定されない。このような表面修飾材料としては、反応性官能基、例えば、アルケニル基、H-Si基、およびアルコキシ基の群から選択される少なくとも1種の官能基を含む表面修飾材料が好適に用いられる。特に、アルコキシ基を含む表面修飾材料は、水と反応して加水分解し得ることから、本実施形態において好適に用いられる。
【0027】
アルケニル基としては、例えば、炭素数2~5の直鎖または分岐状アルケニル基を用いることができ、具体的にはビニル基、2-プロペニル基、プロパ-2-エン-1-イル基等が挙げられる。
アルコキシ基としては、例えば、炭素数1~5の直鎖または分岐状アルコキシ基が挙げられ、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、n-プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が挙げられる。
【0028】
アルケニル基、H-Si基、およびアルコキシ基の群から選択される少なくとも1種の官能基を含む表面修飾材料としては、例えば、以下のシラン化合物、シリコーン化合物および炭素-炭素不飽和結合含有脂肪酸が挙げられ、これらのうち1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0029】
シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロピルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、およびエチルトリプロピルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン等のアルキル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物、ビニルトリメトキシシラン、メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、アクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のアルケニル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物、ジエトキシモノメチルシラン、モノエトキシジメチルシラン、ジフェニルモノメトキシシラン、ジフェニルモノエトキシシラン等のH-Si基およびアルコキシ基を含むシラン化合物、フェニルトリメトキシシラン等のその他アルコキシ基を含むシラン化合物、ならびにジメチルクロロシラン、メチルジクロロシラン、ジエチルクロロシラン、エチルジクロロシラン、メチルフェニルクロロシラン、ジフェニルクロロシラン、フェニルジクロロシラン、トリメトキシシラン、ジメトキシシラン、モノメトキシシラン、トリエトキシシラン等のH-Si基を含むシラン化合物等が挙げられる。
【0030】
シリコーン化合物としては、例えば、メチルフェニルシリコーンや、ジメチルシリコーンや、メチルハイドロジェンシリコーン、メチルフェニルハイドロジェンシリコーン、ジフェニルハイドロジェンシリコーン等のH-Si基を含むシリコーン化合物や、アルコキシ両末端フェニルシリコーン、アルコキシ両末端メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有メチルフェニルシリコーン、アルコキシ基含有ジメチルシリコーン、アルコキシ片末端トリメチル片末端(メチル基片末端)ジメチルシリコーンや、アルコキシ基含有フェニルシリコーン等のアルコキシ基を含むシリコーン化合物が挙げられる。
シリコーン化合物は、オリゴマーであってもよく、レジン(ポリマー)であってもよい。
炭素-炭素不飽和結合含有脂肪酸としては、例えば、メタクリル酸、アクリル酸等が挙げられる。
【0031】
上述した中でも、表面修飾材料は、粘度が低く、後述する分散工程における無機粒子の分散が容易となる観点から、好ましくはアルキル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物を含む。
【0032】
このようなアルキル基およびアルコキシ基を含むシラン化合物中のアルコキシ基の数は1以上3以下であればよく、アルコキシ基の数は3であることがより好ましい。アルコキシ基の炭素数は1以上5以下であることが好ましい。
【0033】
アルキル基の炭素数は、好ましくは1以上5以下であり、より好ましくは1以上3以下であり、さらに好ましくは1以上2以下である。また、アルキル基の数は、1以上3以下であり、ただし、アルコキシ基とアルキル基の総数は2以上4以下である。
【0034】
このような表面修飾材料としてのシラン化合物は、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロピルシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、およびエチルトリプロピルシランからなる群から選択される少なくとも1種を含む。
【0035】
(第1の表面修飾材料)
第1の表面修飾材料は、無機粒子の表面に多量に付着することが必要である。そのため、第1の表面修飾材料は、無機粒子の表面と反応し易いものが好ましい。このような第1の表面修飾材料としては、炭素数が1~10のアルキル基を含むシラン化合物が好ましく、炭素数が1~2のアルキル基を含むシラン化合物がより好ましく、メチル基を含むシラン化合物がさらに好ましく、メチルトリメトキシシランかメチルトリエトキシシランを用いることがよりさらに好ましく、メチルトリメトキシシランを用いることが最も好ましい。
第1の表面修飾材料の25℃における粘度は、例えば、50mPa・s以下であることが好ましい。
第1の表面修飾材料の粘度が50mPa・s以下であることにより、分散媒を多く含有させることなく、無機粒子を表面修飾材料中に分散させることができる。なお、ここでいう粘度とは、Z 8803:2011に準拠して測定される粘度をいう。
【0036】
(第2の表面修飾材料)
第2の表面修飾材料は、疎水性の高い材料と親和性の高いものであれば特に限定されない。第2の表面修飾材料は、上述したシラン化合物であってもよく、シリコーン化合物であってもよく、シラン化合物とシリコーン化合物を併用してもよい。
本実施形態の表面修飾方法により得られる表面修飾無機粒子は、疎水性の高い材料と混合することが目的である。従って、疎水性の高い材料と構造が似た表面修飾材料を選択することが好ましい。例えば、疎水性の高い材料が含む官能基と、同一または親和性が高い官能基を含む表面修飾材料を第2の表面修飾材料として選択する方法が挙げられる。また、疎水性の高い材料が樹脂の場合には、ある程度分子量が大きいシリコーン化合物を第2の表面修飾材料として選択することが好ましい。
【0037】
疎水性の高い材料が、官能基を2種以上含む場合には、第1の表面修飾材料と、第2の表面修飾材料が、疎水性の高い材料と同一または親和性の高い官能基を含むように表面修飾することが好ましい。2種以上の官能基を含む表面修飾材料で無機粒子を表面した場合には、2種以上の官能基の比率を調整することにより、疎水性の高い材料の官能基比率が異なる場合であっても、透明に混合することができる表面修飾無機粒子を得ることができる。
【0038】
例えば、LED用のシリコーン樹脂では、メチル基とフェニル基を含むことが一般的である。照明用途ではLEDチップからの光取り出し量を増やすため、屈折率の高いフェニル基を多く有する構造となっている。一方、車載用途では、高出力LEDによるシリコーン封止樹脂の劣化を抑制するために、耐熱性の高いメチル基を多く有する構造となっている。
このような場合に、第1の表面修飾材料としてメチル基を含むシラン化合物を選択し、第2の表面修飾材料として、フェニル基を含むシラン化合物、フェニル基を含むシリコーン化合物、およびメチル基およびフェニル基を含むシリコーン化合物の群から選択される少なくとも1種を選択して、フェニル基に対するメチル基のモル比率(メチル基/フェニル基)を0.01以上10以下となるように無機粒子を表面修飾する。このようにして得られた表面修飾無機粒子は、照明用途のフェニル基を多く含むLED用シリコーン樹脂にも、車載用のメチル基を多く含むLED用シリコーン樹脂にも、透明に混合することができるため、汎用性が高い。
【0039】
以下、各工程について詳細に説明する。
また、本実施形態においては、第1の表面修飾材料としてシラン化合物を用いる場合には、上記の工程Bに先立ち、シラン化合物と、水とを混合して、加水分解されたシラン化合物を含む加水分解液を得る工程A(加水分解工程)を有してもよい。
また、第2の表面修飾材料としてシラン化合物を用いる場合には、第1の表面修飾材料と同様に、加水分解液を得る工程A(加水分解工程)を有してもよい。
【0040】
(工程A(第1の加水分解工程))
第1の加水分解工程では、第1の表面修飾材料としてシラン化合物を選択した場合に、シラン化合物と水とを混合して、加水分解されたシラン化合物を含む加水分解液を得る。このように予めシラン化合物の少なくとも一部が加水分解した混合液を用いることにより、後述する分散工程Cにおいて無機粒子にシラン化合物が付着し易くなる。
【0041】
また、加水分解液中におけるシラン化合物の含有量は、特に限定されず、加水分解液中の他の成分の残部とすることができるが、例えば、60質量%以上99質量%以下であることが好ましく、70質量%以上97質量%以下であることがより好ましく、80質量%以上95質量%以下であることがさらに好ましい。
【0042】
また、第1の加水分解工程において、加水分解液は水を含む。水は、シラン化合物等の表面修飾材料の加水分解反応の基質となる。
加水分解液中における水の含有量は、特に限定されず、例えば、シラン化合物の量に対応して適宜設定できる。例えば、加水分解液に添加される水の量が、シラン化合物1molに対して、0.5mol以上5mol以下であることが好ましく、0.6mol以上3mol以下であることがより好ましく、0.7mol以上2mol以下であることがさらに好ましい。これにより、シラン化合物の加水分解反応を充分に進行させつつ、過剰量の水により製造される分散液において無機粒子の凝集が生じることをより確実に防止することができる。
【0043】
あるいは、加水分解液中における水の含有量は、例えば、1質量%以上20質量%以下であることが好ましく、1質量%以上15質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることがさらに好ましい。
【0044】
また、加水分解液には、シラン化合物および水とともに触媒が添加されてもよい。触媒としては、例えば、酸または塩基を用いることができる。
酸は、加水分解液中においてシラン化合物の加水分解反応を触媒する。一方、塩基は、加水分解されたシラン化合物と無機粒子表面の官能基、例えば、水酸基やシラノール基との縮合反応を触媒する。これにより、後述する分散工程(工程C)においてシラン化合物が無機粒子に付着し易くなり、無機粒子の分散安定性が向上する。
【0045】
ここで、上記の「酸」とは、いわゆるブレンステッド-ローリの定義に基づく酸をいい、メチル基を含むシラン化合物等の表面修飾材料の加水分解反応においてプロトンを与える物質をいう。また、上記の「塩基」とは、いわゆるブレンステッド-ローリの定義に基づく塩基をいい、ここでは、メチル基を含むシラン化合物等の加水分解反応およびその後の縮合反応においてプロトンを受容する物質をいう。
【0046】
酸としては、メチル基を含むシラン化合物の加水分解反応においてプロトンを供給可能であれば特に限定されず、例えば、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸等の無機酸や酢酸、クエン酸、ギ酸等の有機酸が挙げられる。これらの有機酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0047】
塩基としては、メチル基を含むシラン化合物の加水分解反応においてプロトンを受容可能であれば特に限定されず、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム、アンモニア、アミン等が挙げられる。これらの塩基は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0048】
上述した中でも、触媒としては、酸を用いることが好ましい。酸としては、酸性度の観点から、無機酸が好ましく、また、塩酸がより好ましい。
【0049】
加水分解液中における触媒の含有量は、特に限定されないが、例えば、10ppm以上1000ppm以下であることが好ましく、20ppm以上800ppm以下であることがより好ましく、30ppm以上600ppm以下であることがさらに好ましい。これにより、シラン化合物の加水分解を充分に促進させつつ、シラン化合物の副反応を抑制することができる。
【0050】
また、加水分解液は、親水性溶媒を含んでいてもよい。親水性溶媒は、加水分解液中において、水とシラン化合物の混和を促進させ、これらのシラン化合物の加水分解反応をより一層促進させる。
【0051】
このような親水性溶媒としては、例えば、後述する分散液に含まれ得る各種親水性溶媒が挙げられる。
【0052】
上述した中でも、水と疎水性溶媒双方との親和性に優れ、これらの混和を促進させる観点から、親水性溶媒は、好ましくはアルコール系溶媒からなる群から選択される少なくとも1種を含み、より好ましくはメタノールおよびエタノールの少なくとも1種を含む。
【0053】
また、加水分解液中における親水性溶媒の含有量は、特に限定されないが、例えば、60質量%以下であることが好ましく、50質量%以下であることがより好ましい。これにより、加水分解液中におけるシラン化合物および水の含有量を充分に大きくすることができる。また、加水分解液中における親水性溶媒の含有量は、例えば、10質量%以上であることが好ましく、15質量%以上であることがより好ましい。これにより、シラン化合物と水との混和をより一層促進することができ、この結果、シラン化合物の加水分解反応を効率よく進行させることができる。なお、加水分解液中において、加水分解反応由来の化合物を除く親水性溶媒が含まれなくてもよい。
【0054】
加水分解工程では、加水分解液を調製後、一定の温度で所定の時間保持してもよい。これにより、シラン化合物の加水分解をより一層促進させることができる。
この処理において、加水分解液の温度は、特に限定されず、シラン化合物の種類によって適宜変更できるが、例えば、5℃以上65℃以下であることが好ましく、30℃以上60℃以下であることがより好ましい。
【0055】
また、保持時間は、特に限定されないが、例えば、10分以上180分以下であることが好ましく、30分以上120分以下であることがより好ましい。
なお、上記の加水分解液の保持において、加水分解液を適宜撹拌してもよい。
【0056】
(工程A(第2の加水分解工程))
第2の表面修飾材料がシラン化合物を含む場合には、第2の表面修飾材料に含まれるシラン化合物の加水分解液を得る第2の加水分解工程を行ってもよい。
第2の加水分解工程も、第1の加水分解工程と同様に行えばよい。
【0057】
(工程B(混合工程))
混合工程では、第1の表面修飾材料と無機粒子とを混合して混合液を得る。混合工程では、第1の表面修飾材料と金属酸化物粒子の他に、水や触媒を混合してもよい。なお、上述した第1の加水分解工程により加水分解液を得ている場合、加水分解液と無機粒子とを混合することにより、混合液が得られる。
【0058】
そして、混合液中における無機粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下であり、シラン化合物と無機粒子との合計の含有量が65質量%以上98質量%以下であるように、混合が行われる。
【0059】
このように、本実施形態においては、混合液中の第1の表面修飾材料と無機粒子との合計の含有量が非常に大きい。そして、従来、必須であると考えられていた有機溶媒、水等の分散媒は、混合液中に含まれないか、あるいは非常に少量のみ混合される。あるいは、加水分解により、不可避的なアルコール化合物が少量含まれる程度である。このような場合であっても、分散工程を経ることにより、混合液中において、無機粒子の均一な分散が可能であるとともに、第1の表面修飾材料の無機粒子への均一な付着(表面修飾)が達成される。
【0060】
詳しく説明すると、一般に無機粒子を液相中にてシラン化合物等の表面修飾材料により表面修飾する場合には、無機粒子と表面修飾材料のみならず分散媒を混合して混合液を得、当該混合液について分散機を用いて分散処理することが一般的である。ここで、このような表面修飾された金属酸化物粒子は、メチル系シリコーン樹脂のように疎水性が高い材料と混合した際に、充分に当該メチル系フェニルシリコーン樹脂中に分散できず凝集し、結果として、メチル系シリコーン樹脂に白濁等の濁りが生じる問題がある。このような場合、添加される無機粒子は、目的とする性能が充分に発揮されない。
【0061】
第1の表面修飾材料と無機粒子との合計の含有量が65質量%未満である場合、上記2成分以外の成分、例えば、分散媒が多くなり過ぎ、後述する分散工程(工程C)において第1の表面修飾材料を充分に無機粒子の表面に付着させることができない。その結果、無機粒子表面に水酸基が多く残存し、得られる分散液を疎水性の材料と混合した際に、無機粒子が凝集し、疎水性の材料に濁りが生じる。第1の表面修飾材料と無機粒子との合計の含有量は、65質量%以上であればよいが、70質量%以上であることが好ましく、75質量%以上であることがより好ましい。
【0062】
これに対して、第1の表面修飾材料と無機粒子との合計の含有量が98質量%を超えると、混合液の粘度が高くなり過ぎて、後述する分散工程(工程C)においてシラン化合物を充分に無機粒子の表面に付着させることができない。第1の表面修飾材料と無機粒子との合計の含有量は、98質量%以下であればよいが、97質量%以下であることが好ましく、95質量%以下であることがより好ましい。
【0063】
また、上述したように、混合液中における無機粒子の含有量が10質量%以上49質量%以下である。これにより、無機粒子に対する第1の表面修飾材料の量を適切な範囲内とすることができ、無機粒子の表面に均一に第1の表面修飾材料を付着させることができるとともに、混合液の粘度の上昇を抑制することができる。
【0064】
これに対して、混合液中における無機粒子の含有量が10質量%未満である場合、無機粒子に対して第1の表面修飾材料の量が過剰となり、得られる分散液において過剰の第1の表面修飾材料が無機粒子の凝集を誘発する。混合液中における無機粒子の含有量は、20質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましい。
【0065】
また、無機粒子の含有量が49質量%を超えると、無機粒子に対して第1の表面修飾材料の量が不足し、無機粒子に充分な量の第1の表面修飾材料が付着しない。また、無機粒子の含有量が多くなり過ぎる結果、混合液の粘度が大きくなり過ぎ、後述する分散工程(工程C)において、無機粒子を充分に分散できない。混合液中における無機粒子の含有量は、45質量%以下であることが好ましく、40質量%以下であることがより好ましい。
【0066】
混合液中における無機粒子の含有量に対する第1の表面修飾材料の含有量は、特に限定されないが、例えば、100質量%以上800質量%以下であることが好ましく、140質量%以上600質量%以下であることがより好ましく、180質量%以上400質量%以下であることがさらに好ましい。これにより、無機粒子に対する第1の表面修飾材料の量を適切な範囲内とすることができ、無機粒子の表面に均一に第1の表面修飾材料を付着させることができる。
【0067】
また、混合工程では、混合液にさらに有機溶媒を混合してもよい。混合液に有機溶媒を混合することにより、第1の表面修飾材料の反応性を制御することが可能となり、無機粒子表面への第1の表面修飾材料の付着の程度を制御することが可能となる。さらに、有機溶媒により、混合液の粘度の調節が可能となる。
【0068】
このような有機溶媒としては、疎水性溶媒や親水性溶媒が挙げられる。これらの有機溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
疎水性溶媒としては、例えば、芳香族類、飽和炭化水素類、不飽和炭化水素類等が挙げられる。これらの疎水性溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
親水性溶媒としては、例えば、アルコール系溶媒、ケトン系溶媒、ニトリル系溶媒等が挙げられる。これらの親水性溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0069】
混合液中における有機溶媒の含有量は、上述した無機粒子および第1の表面修飾材料の含有量を満足するものであれば特に限定されない。なお、混合液中に有機溶媒が含まれなくてもよいことはいうまでもない。
【0070】
(工程C(分散工程))
分散工程では、混合工程で得た混合液中において無機粒子を分散して、無機粒子が分散した第1の分散液を得る。本実施形態において、無機粒子は、高濃度の第1の表面修飾材料中において分散される。したがって、得られる第1の分散液においては、無機粒子の表面に比較的均一に第1の表面修飾材料が付着しており、かつ、無機粒子が比較的均一に分散し、第1の分散液を得る。
【0071】
無機粒子の分散は、公知の分散機により行うことができる。分散機としては、例えば、ビーズミル、ボールミル、ホモジナイザー、ディスパー、撹拌機等が好適に用いられる。
【0072】
ここで、分散工程では、分散液中における無機粒子の粒子径(分散粒子径)がほぼ均一となるように、過剰なエネルギーは付与せず、必要最低限のエネルギーを付与して、混合液中において無機粒子を分散させることが好ましい。
【0073】
また、分散工程の後、第1の分散液に、疎水性溶媒を添加して、第2の分散液を得る溶媒添加工程D(第1の添加工程)を有していてもよい。
疎水性溶媒としては、上記疎水性溶媒が挙げられる。これらの疎水性溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
(工程D(第1の添加工程))
第1の添加工程では、上記第1の分散液に疎水性溶媒を添加し、所望の固形分(濃度)に調整された第2の分散液を得る。
分散工程Cで得られた第1の分散液は、固形分(濃度)が高いため、粘度が高く、ハンドリング性が悪い。しかし、固形分を低くするために、得られた第1の分散液に疎水性溶媒を添加すると、粒子表面の疎水性が低いため、粒子が凝集し、均一な分散液が得られない。
【0075】
そこで、本発明者等は、得られた第1の分散液を加熱し、疎水性溶媒を徐々に添加することで、固形分の低い分散液に調整できることも見出した。
【0076】
そのメカニズムは以下のように推測される。
第1の分散液を加熱することにより、無機粒子に付着した第1の表面修飾材料の重合が進行し、粒子表面の疎水性が向上する。重合反応が進行し過ぎても無機粒子は凝集する。そのため、重合反応が進行中の第1の分散液に疎水性溶媒を徐々に添加することにより、過剰な重合反応を抑制しつつ、表面が徐々に疎水化される。これにより、第1の分散液に、疎水性の溶媒を徐々に混合することができる。
【0077】
すなわち、無機粒子が凝集しない程度の量の疎水性溶媒を添加し、添加した量の疎水性溶媒と相溶できる程度に、第1の表面修飾材料の重合反応を進行させることにより、所望の固形分に調整された分散液を得ることができる。
【0078】
上述の通り、疎水性溶媒は、無機粒子が凝集しないように、徐々に添加すればよい。そのため、第1の分散液を加熱してから溶媒を添加してもよく、疎水性溶媒を添加してから第1の分散液を加熱してもよく、第1の分散液の加熱と疎水性溶媒の添加を同時に行ってもよい。
すなわち、第1の添加工程は、上記の第1の分散液を加熱した後に、疎水性溶媒を上記の無機粒子が凝集しない速度で加える工程d1であってもよく、上記の第1の分散液を加熱しながら、疎水性溶媒を上記の無機粒子が凝集しない速度で加える工程d2であってもよく、または、疎水性溶媒を上記の無機粒子が凝集しない速度で加えた後に、上記の第1の分散液を加熱する工程d3であってもよい。
【0079】
無機粒子が凝集しない速度は、特に限定されない。例えば、1時間で3質量%以上20質量%以下の範囲で固形分が低くなるような速度で連続的に疎水性溶媒を添加すればよい。加熱温度が高い場合には疎水性溶媒の添加量を多くし、加熱温度が低い場合には疎水性溶媒の添加量を少なくするように、疎水性溶媒の添加量を適宜調整すればよい。
【0080】
例えば、30分毎、1時間毎、または2時間毎に、3質量%以上20質量%以下の範囲で固形分が低くなるように、疎水性溶媒を段階的に添加すればよい。加熱温度が高い場合には一度に添加する疎水性溶媒の添加量を多めにし、加熱温度が低い場合には一度に添加する疎水性溶媒の添加量を少なくするように、疎水性溶媒の添加量を適宜調整すればよい。
【0081】
加熱温度は、第1の表面修飾材料の重合反応が進行する温度であれば特に限定されない。加熱温度は、例えば、35℃以上80℃以下であることが好ましい。加熱温度が35℃以上であることにより、第1の表面修飾材料の重合反応を進行させることができる。一方、加熱温度が80℃以下であることにより、第1の表面修飾材料の急激な反応による無機粒子の凝集を抑制することができる。
【0082】
加熱時間は、固形分の調整が終わるまで適宜実施すればよく、例えば、4時間以上12時間以下であることが好ましい。加熱時間が4時間以上であることにより、第1の表面修飾材料の重合反応が進行し、溶媒と混合することが可能となる。一方、加熱時間が12時間以下であることにより、第1の表面修飾材料の重合反応の進行し過ぎによる無機粒子の凝集を抑制することができる。
【0083】
疎水性溶媒は、無機粒子の凝集を抑制することができれば特に限定されない。後の工程で疎水性溶媒を除去する必要がある場合には、除去等における取り扱い性の容易性の観点から、トルエン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレンおよびベンゼンからなる群から選択される少なくとも1種が好ましく用いられ、トルエンがより好ましく用いられる。
【0084】
最終的な第2の分散液に含まれる疎水性溶媒の含有量は、所望の固形分となるように適宜調整すればよい。疎水性溶媒の含有量は、例えば、40質量%以上95質量%以下であることが好ましく、50質量%以上90質量%以下であることがより好ましく、60質量%以上80質量%以下であることがさらに好ましい。
第1の添加工程により、所望の固形分に調整された第2の分散液が得られる。第2の分散液を用いることにより、以下の工程における分散液のハンドリング性が向上する。
【0085】
(工程E(除去工程))
本実施形態では、工程Dの後に、加水分解により生じたアルコールを除去する工程Eを設けてもよい。
除去工程を設けることにより、後の工程がある場合に、生産効率が向上すると推測される。
除去する方法は特に限定されないが、例えば、エバポレータを用いることができる。
除去工程は、アルコールが完全に除去されるまで行ってもよく、5質量%程度残存していてもよい。
【0086】
(工程F(第2の添加工程))
第2の添加工程では、第2の分散液に、第2の表面修飾材料を添加して第3の分散液を得る。上述したように第2の分散液においては、第1の表面修飾材料が無機粒子の表面に比較的均一に付着している。したがって、第2の表面修飾材料は、第1の表面修飾材料を介して無機粒子の表面近傍に比較的均一に存在することとなる。
【0087】
第2の添加工程では、第2の分散液に、第2の表面修飾材料を混合した混合液を所定の温度で所定時間保持してもよい。これにより、第2の表面修飾材料の無機粒子への表面修飾をより一層促進させることができる。
【0088】
第2の表面修飾材料は、第2の分散液中における第2の表面修飾材料の含有量が無機粒子に対して、例えば、好ましくは10質量%以上500質量%以下となるように、第2の分散液に添加することができる。これにより、無機粒子の表面に、充分な量の第2の表面修飾材料を付着させることができ、無機粒子の分散安定性を向上させるとともに、疎水性が高い材料への分散性を向上させることができる。さらに、遊離した第2の表面修飾材料の量を減らすことができ、疎水性が高い材料中における無機粒子の不本意な凝集を抑制することができる。
【0089】
第2の添加工程では、保持温度は、特に限定されず、第2の表面修飾材料の種類によって適宜変更できるが、例えば、40℃以上150℃以下であることが好ましく、50℃以上140℃以下であることがより好ましい。
【0090】
また、保持時間は、特に限定されないが、例えば、1時間以上24時間以下であることが好ましく、2時間以上20時間以下であることがより好ましい。
なお、上記の保持において、第3の分散液を適宜撹拌してもよい。
【0091】
また、第2の添加工程では、複数回第2の表面修飾材料による処理を行ってもよい。例えば、異なる種類の第2の表面修飾材料を用い、複数回第2の表面修飾材料による処理を行うことにより、疎水性が高い材料の種類に合わせた無機粒子の表面状態の制御がより容易となる。
また、第2の添加工程では、第2の表面修飾材料による処理後に固形分を測定し、所望の固形分となるように疎水性溶媒を添加してもよい。固形分を小さくすることにより、疎水性が高い材料への混合が容易となる。
【0092】
以上により、第1の表面修飾材料が付着した無機粒子を第2の表面修飾材料により表面修飾した第3の分散液を得ることができる。
すなわち、本実施形態に係る無機粒子の表面修飾方法を実施すれば、本実施形態の無機粒子の表面修飾が施された表面処理無機粒子を含む分散液を得ることができる。
【0093】
第1の表面修飾材料と第2の表面修飾材料ともにシラン化合物を選択した場合には、シラン化合物は分子量や構造が特定されているため、表面修飾設計が容易であり、官能基比率の調整も容易になる利点がある。
第1の表面修飾材料としてシラン化合物、第2の表面修飾材料としてシリコーン化合物を選択した場合には、疎水性が高い材料と混合した時の混合物の粘度の上昇を抑制できる利点がある。
第1の表面修飾材料としてシラン化合物、第2の表面修飾材料としてシラン化合物およびシリコーン化合物を選択した場合には、表面修飾設計と官能基比率の調整が容易で、疎水性が高い材料と混合した時の混合物の粘度の上昇を抑制することができる。
このように、表面修飾材料の種類を増やすことにより、種々の効果を無機粒子に付与することができる。表面修飾材料の種類を増やせば、製造の手間が増えるデメリットもあるため、必要な機能と手間のバランスを勘案して、最適な表面修飾を無機粒子に施せばよい。
【0094】
本実施形態に係る無機粒子の表面修飾方法により製造された表面修飾無機粒子を含む分散液は、無機粒子の表面が第1の表面修飾材料により緻密かつ充分に修飾され、さらに第2の表面修飾材料が無機粒子の表面近傍に存在している。そして、このように表面修飾された表面修飾金属酸化物粒子は、例えば、LED用のメチル系シリコーン樹脂ともフェニル系シリコーン樹脂とも相溶性に優れ、双方の樹脂に対して、比較的均一に分散することができる。したがって、メチル系シリコーン樹脂であっても、フェニル系シリコーン樹脂であっても表面修飾無機粒子を分散させた場合、白濁等の濁りの発生が抑制される。さらに、表面修飾無機粒子を含むLED用のシリコーン樹脂の粘度変化も抑制される。
【実施例】
【0095】
以下、実施例および比較例により本発明をさらに詳細に説明する。なお、以下に説明する実施例は、あくまでも本発明の一例であって、本発明を限定するものではない。
【0096】
[実施例1]
(分散液の作製)
(1)第1の加水分解工程
メチルトリメトキシシラン(製品名:KBM-13、信越工業化学社製)90.78質量部と、水9.21質量部と、塩酸(1N)0.01質量部とを添加して混合し、加水分解液を得た。次いで、この加水分解液を60℃で30分撹拌し、メチルトリメトキシシランの加水分解処理を行い、加水分解液を得た。
【0097】
(2)混合工程
平均一次粒子径が12nmの酸化ジルコニウム(ZrO2)粒子(住友大阪セメント社製)30質量部と、上記加水分解液70質量部とを混合して、混合液を得た。混合液中の酸化ジルコニウム粒子の含有量は30質量%、メチルトリメトキシシランの含有量は63.5質量%、酸化ジルコニウム粒子とメチルトリメトキシシランの合計の含有量は93.5質量%であった。
【0098】
(3)分散工程
この混合液をビーズミルで6時間分散処理した後、ビーズを除去し、第1の分散液を得た。
第1の分散の固形分(100℃で1時間)を測定した結果、70質量%であった。
【0099】
(4)トルエンの添加工程
得られた第1の分散液を60℃で2時間加熱した。次いで、固形分が40質量%となるように分散液にトルエンを添加し、60℃で2時間加熱した。
次いで、固形分が30質量%となるように分散液にトルエンを添加し、60℃で1時間加熱した。
次いで、固形分が20質量%となるように分散液にトルエンを添加し、60℃で1時間加熱することで、第2の分散液を得た。
【0100】
(5)第2の加水分解工程
フェニルトリメトキシシラン(製品名:KBM-103、信越工業化学社製)91.66質量部と、水8.33質量部と、塩酸(1N)0.01質量部とを添加して混合し、加水分解液を得た。次いで、この加水分解液を60℃で30分撹拌し、フェニルトリメトキシシランの加水分解処理を行い、加水分解液を得た。
【0101】
(6)フェニル基を含むシラン化合物の添加工程
トルエンで固形分が15質量%に調整された第2の分散液91質量部と、フェニルトリメトキシシランの加水分解液9質量部とを混合し、130℃で3時間撹拌することで、実施例1の分散液(第3の分散液)を得た。
【0102】
(分散液の評価)
(ii)NMR測定
トルエンで固形分を30質量%に調整した実施例1に係る分散液15gと、メタノール15gとを混合し、表面修飾酸化ジルコニウム粒子を沈殿させた。この混合液を遠心分離機で固液分離し、固体部分(表面修飾酸化ジルコニウム粒子)を回収し、真空乾燥機で溶媒を除去した。乾燥後の表面修飾酸化ジルコニウム粒子を数mg採取し、重クロロホルムに1質量%となるように溶解させる。この溶解液を用いて、卓上型NMR装置(Nanalysis社製、型番NMReady60Pro(1H/19F))を用いて、フェニル基とメチル基の1H-液体NMRスペクトルを測定した。得られたスペクトルから、フェニル基とメチル基のピーク面積(積分値)をそれぞれ算出し、メチル基の積分値/フェニル基の積分値を算出することで、フェニル基に対するメチル基のモル比率を算出した。結果を表1に示す。
フェニル基に対するメチル基のモル比率(メチル基/フェニル基)は0.63であった。
【0103】
(LED用シリコーン樹脂への分散性の評価)
トルエンで固形分を30質量%に調整した実施例1に係る分散液6.7gと、メチル系シリコーン樹脂成分(商品名:KER-2500-A/B、信越化学工業社製)98gとを混合した。次いで、この混合液をエバポレータによりトルエンを除去することで、メチル系シリコーン樹脂成分を含む組成物Aを得た。
【0104】
トルエンで固形分を30質量%に調整した実施例1に係る分散液6.7gと、フェニル系シリコーン樹脂成分(商品名:OE-6520、東レ・ダウコーニング社製)98gとを混合した。次いで、この混合液をエバポレータによりトルエンを除去することで、フェニル系シリコーン樹脂成分を含む組成物Bを得た。
【0105】
組成物Aと組成物Bを目視で観察した結果、どちらの組成物も透明であることが確認された。
【0106】
[実施例2~実施例4]
メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランの添加量を調整して、「メチル基/フェニル基」が0.40の実施例2の分散液、「メチル基/フェニル基」が4の実施例3の分散液、「メチル基/フェニル基」が9の実施例4の分散液を得た。
これらの実施例2~実施例4の分散液を、実施例1同様に、それぞれメチル系シリコーン樹脂成分と混合した組成物Aとフェニル系シリコーン樹脂成分に混合した組成物Bを作製した。その結果、どちらの組成物も透明であることが目視で確認された。
【0107】
[実施例6]
実施例1の作製過程で得られる、トルエンで固形分が15質量%に調整された第2の分散液66.7質量部と、メチル基とフェニル基を含むシリコーン化合物(商品名:KR213(高フェニル含有)、信越化学工業社製)33.3質量部とを混合し、100℃で3時間撹拌することで、実施例6の分散液(第3の分散液)を得た。
実施例1と同様に評価した結果、「メチル基/フェニル基」は0.45であった。
実施例1と同様に、組成物Aと組成物Bを作製した結果、どちらの組成物も透明であることが確認された。
【0108】
[実施例7~実施例8]
メチルトリメトキシシランとメチル基とフェニル基を含むシリコーン化合物の添加量を調整して、「メチル基/フェニル基」が4の実施例7の分散液、「メチル基/フェニル基」が9の実施例8の分散液を得た。
これらの実施例7、実施例8の分散液を、実施例1同様に、それぞれメチル系シリコーン樹脂成分と混合した組成物Aとフェニル系シリコーン樹脂成分に混合した組成物Bを作製した。その結果、どちらの組成物も透明であることが目視で確認された。
【0109】
[実施例9]
実施例1において、トルエンで固形分が15質量%に調整された第2の分散液91質量部と、フェニルトリメトキシシランの加水分解液9質量部を混合して、130℃で3時間撹拌する替わりに、第2の分散液62.5質量部と、フェニルトリメトキシシランの加水分解液6.3質量部と、メチル基とフェニル基を含むシリコーン化合物(商品名:KR213(高フェニル含有)、信越化学工業社製)31.2質量部とを混合し、100℃で3時間撹拌した以外は実施例1と同様にして、実施例9の分散液(第3の分散液)を得た。
実施例1と同様に評価した結果、「メチル基/フェニル基」は0.63であった。
実施例1と同様に、組成物Aと組成物Bを作製した結果、どちらの組成物も透明であることが確認された。
【0110】
[実施例10~実施例13]
メチルトリメトキシシランとフェニルトリメトキシシランとメチル基とフェニル基を含むシリコーン化合物の添加量を調整して、「メチル基/フェニル基」が0.40の実施例10の分散液、「メチル基/フェニル基」が4の実施例11の分散液、「メチル基/フェニル基」が9の実施例11の分散液、「メチル基/フェニル基」が9の実施例13の分散液、を得た。
これらの実施例10~実施例13の分散液を、実施例1同様に、それぞれメチル系シリコーン樹脂成分と混合した組成物Aとフェニル系シリコーン樹脂成分に混合した組成物Bを作製した。その結果、どちらの組成物も透明であることが目視で確認された。
【0111】
[比較例1]
実施例1の混合工程において、メチルトリメトキシシランの加水分解液70質量部を混合する替わりに、メチルトリメトキシシランの加水分解液20質量部と、イソプロピルアルコール(IPA)50質量部とを用いたこと以外は、実施例1と同様にして、混合工程と分散工程を行い、分散液(第1の分散液)を得た。
分散液の固形分(100℃で1時間)を測定した結果、38質量%であった。
【0112】
(4)トルエンの添加工程
得られた分散液(第1の分散液)に、固形分が20質量%となるようにトルエンを添加し、60℃で2時間加熱した。次いで、揮発した量と同程度のトルエンを分散液に添加し、60℃で2時間加熱した。次いで、揮発した量と同程度のトルエンを分散液に添加し、60℃で1時間加熱した。次いで、揮発した量と同程度のトルエンを分散液に添加し、60℃で1時間加熱することで、表面修飾が促進され、イソプロピルアルコールがトルエンに置換された分散液(第2の分散液)を得た。
【0113】
(5)第2の添加工程
固形分が15質量%に調整された第2の分散液89質量部と、メチル基とフェニル基を含むシリコーン化合物(商品名:KR213(高フェニル含有)、信越化学工業社製)11質量部とを混合して110℃で1時間加熱し、比較例1の分散液(第3の分散液)を得
た。
【0114】
実施例1と同様に評価した結果、「メチル基/フェニル基」は0.30であった。
実施例1と同様に、組成物Aと組成物Bを作製した結果、組成物Bは透明であったが、組成物Aは、無機粒子が凝集し、白濁したため、透明な組成物を得ることができなかった。組成物Aは組成物Bよりも疎水性が高いメチル系シリコーン樹脂成分を用いている。そのため、比較例1の無機粒子の表面修飾方法では、無機粒子の疎水化が不充分であったため、メチル系シリコーン樹脂成分に透明に混合することができなかったと推測される。
【0115】
実施例1~実施例13、比較例1を比較することにより、本実施形態の表面修飾方法を用いて作製された表面修飾無機粒子を含む分散液は、疎水性が高い材料であるメチル系シリコーン樹脂であっても、透明に分散できることが確認された。さらに、メチル系シリコーン樹脂よりも疎水性が小さいフェニル基シリコーン樹脂であっても、メチル系シリコーン樹脂同様に透明に混合できる表面修飾無機粒子が得られていることが確認された。すなわち、本実施形態の無機粒子の表面修飾方法を用いれば、疎水性が異なる樹脂であっても同様に透明に混合することができる表面修飾無機粒子を含む分散液を得られることが確認された。