(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】センサ
(51)【国際特許分類】
G01F 23/30 20060101AFI20240618BHJP
G01K 1/14 20210101ALI20240618BHJP
【FI】
G01F23/30 Z
G01K1/14 B
G01K1/14 N
(21)【出願番号】P 2022509415
(86)(22)【出願日】2021-02-19
(86)【国際出願番号】 JP2021006277
(87)【国際公開番号】W WO2021192754
(87)【国際公開日】2021-09-30
【審査請求日】2023-12-12
(31)【優先権主張番号】P 2020053575
(32)【優先日】2020-03-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005083
【氏名又は名称】株式会社プロテリアル
(74)【代理人】
【識別番号】110000213
【氏名又は名称】弁理士法人プロスペック特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 章
【審査官】公文代 康祐
(56)【参考文献】
【文献】特開昭55-072451(JP,A)
【文献】特開平08-128900(JP,A)
【文献】特開2002-071432(JP,A)
【文献】特開2000-280887(JP,A)
【文献】米国特許第06195013(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 23/30
G01F 23/60
G01F 23/62
G01R 33/07
G01K 1/14
G01K 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保護管、検知部、導線及び固定部材を備えるセンサであって、
前記保護管は、容器の隔壁に形成された貫通穴に固定され、前記保護管の一方の端である内端が前記容器の内部に位置し、前記保護管の他方の端である外端が前記容器の外部に向かって開き、
前記検知部は、前記保護管の内部に収納され、
前記導線は、一方の端が前記保護管の内部で前記検知部に接続され、他方の端が前記外端から前記容器の外部に向かって突出し、
前記固定部材は、前記隔壁に固定され、前記保護管の外部において前記導線を着脱可能に固定し、
前記固定部材に前記導線が固定されることにより前記保護管の内部において前記保護管の長手方向に前記導線が移動することが妨げられ前記導線に接続された前記検知部が所定の位置に保持されており、
前記固定部材への前記導線の固定を解除して前記固定部材に固定される前記導線の位置を変更した後に再び前記固定部材に前記導線を固定することにより前記保護管の内部に収納された前記検知部の位置を変更することが可能である、
センサ。
【請求項2】
前記固定部材は、前記隔壁に固定された本体と、前記本体に接合することができる固定片とを備え、
前記導線は、前記本体と前記固定片との間に挟まれて固定される、
請求項1に記載されたセンサ。
【請求項3】
前記導線を挟む前記本体の面及び前記固定片の面の何れか一方又は両方に凹凸が形成されている、
請求項2に記載されたセンサ。
【請求項4】
前記本体又は前記固定片のうちの何れか一方は、固定穴を備え、
前記本体又は前記固定片のうちの他方は、前記固定穴の位置に対応する位置に凸部を備え、
前記固定片を前記本体に接合することによって、前記導線が前記凸部によって前記固定穴の方向に押し出されて固定される、
請求項2又は請求項3に記載されたセンサ。
【請求項5】
前記検知部は、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対、ホール素子及びリードスイッチからなる群から選択される1又は2以上を用いる検知部である、
請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載されたセンサ。
【請求項6】
前記容器は、貯液タンクであり、
前記検知部は、ホール素子又はリードスイッチを用いる検知部であり、
永久磁石を備え且つ前記保護管の長手方向に移動可能なフロートを更に備える、
請求項5に記載されたセンサ。
【請求項7】
前記容器は、気密容器であり、
前記保護管は、前記隔壁と不可分一体に固定されており、
前記内端が閉じられている、
請求項1乃至請求項6の何れか1項に記載されたセンサ。
【請求項8】
所定の長さを有するスペーサを更に備え、
前記スペーサは、前記保護管の内部において前記検知部の前記内端の側に配設されている、
請求項7に記載されたセンサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、センサに関する。
【背景技術】
【0002】
隔壁によって構成された容器の内部の状態を知るために、様々な種類のセンサが用いられる。例えば、容器の内部の温度を知るためには温度センサが用いられ、容器に貯蔵された液体の液面の位置を知るためには液位センサが用いられる。これらのセンサは、容器の内部における特定の位置に配置され、その位置における温度及び液体の有無等の状態を検知する。
【0003】
上記目的のために、容器に挿入された保護管の内部に検知部を収納し、検知部に接続された導線を介して電気信号を容器の外部に取り出すタイプのセンサが知られている。保護管を容器の隔壁に固定することによって、検知部の位置を容器内の任意の位置に固定することができる。また、容器に貯蔵された液体及び/又はガス等が保護管の内部に入らないように保護管を構成することにより、当該液体及び/又はガスと検知部とが直接接触しないようにすることもできる。
【0004】
例えば、特許文献1に記載された貯液タンクが備える液位センサは、タンクの蓋から内部に吊り下げられた案内パイプ(保護管)と、案内パイプの内部に収納された上下2個のリードスイッチ(検知部)と、永久磁石が装着された昇降自由なフロートと、によって構成されている。案内パイプの上端からは、リードスイッチに接続されたリード線(導線)が引き出されている。案内パイプの上端付近に取付溝を設け、タンクの蓋に設けられた筒部(貫通穴)に案内パイプの上端を挿入し、取付溝に止め輪を嵌め着けることによって、液位センサ全体が交換可能な状態でタンク内に取り付けられている。
【0005】
また、特許文献2に記載された検出器においては、一方の端部が閉塞された管体中に挿入された検出部に接続された導線が当該管体の他方の端部から引き出され、当該他方の端部には合成樹脂材が充填されて、耐圧防爆構造が達成されている。これにより、バリアリレー等の機器類を必要とすること無く電気防爆対応の検出器を提供することができる。
【0006】
更に、特許文献3に記載された多点検出型磁気近接スイッチにおいては、ハウジングの開放側の端部内に配置されたブッシュに形成された貫通孔及びハウジング内に形成された複数のガイド孔に、複数の磁気感応部及びコードがそれぞれ挿入され、締め付け部材によってブッシュが圧縮される。これによれば、従来よりも簡略化された構造により、ブッシュの弾性変形によってコードを固定して、磁気感応部を任意の位置に固定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特開2001-296168号公報
【文献】特開2001-356041号公報
【文献】特開2004-186077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述したように、保護管を備えたセンサは、容器の内部の状態を知るために必要不可欠な装備である。ところで、センサの故障及び/又は点検の際にはセンサを容器から取り外したり新たなセンサを容器に取り付けたりする必要が生ずる場合がある。また、例えばセンサが取り付けられる容器の用途及び/又は使用条件の変更等に伴ってセンサの検知部の位置を調整(変更を含む)する必要が生ずる場合がある。しかしながら、上述した特許文献1及び特許文献2においては、このようなセンサの脱着及び/又は検知部の位置調整については何ら考慮も言及もなされていない。特許文献3に記載された多点検出型磁気近接スイッチにおいては検知部の位置調整が企図されている。しかしながら、従来よりも簡略化された構造とはいえ、磁気感応部及びコードの形状及び数に応じた専用のブッシュ及びガイド孔を設ける必要があり、構造の複雑化及び大型化を招くおそれがある。その結果、例えば製造コストの増大及び設計上の自由度の低下等の問題が生ずるおそれがある。
【0009】
また、何れの先行技術においても、保護管を固定するための穴が容器の隔壁に設けられるため、容器の内容物が穴と保護管の隙間から容器の外部に漏れ出すおそれがある。そこで、容器の内部が高圧になる場合及び/又は人体に有害な化学物質を容器に貯蔵する場合等においては、容器全体を隙間無く気密に構成して、内容物の漏出を防ぐ必要がある。この目的のためには、容器の隔壁に形成された穴とセンサの保護管とを不可分一体に構成することが有効である。具体的には、例えば、金属又は合金からなる容器の隔壁と保護管とを溶接したり、熱可塑性樹脂からなる容器の隔壁と保護管とを溶着したりすること等が考えられる。
【0010】
ところが、上述したように容器の穴とセンサの保護管とを不可分一体に構成した場合は、容器と保護管とを分離することができないので、センサが故障してもセンサ全体を保護管ごと交換することができない。そこで、容器に固定された保護管の内部に接着剤等を用いて検知部及び導線を仮留めして使用し、必要な場合は検知部及び導線を交換することが考えられる。ところが、接着剤によって固定した場合は、検知部及び導線を交換しようとしたり、検知部の位置を調整しようとしたりする度に、接着剤による固定を解除しなければならない。このため、交換及び/又は調整の作業が煩雑になるという新たな問題が発生する。
【0011】
本発明は、上述した様々な課題に鑑みてなされたものであり、容器の隔壁に固定された保護管を備えるセンサであって、単純な構造により、故障時の部分的な部材交換及び/又は検知部の位置の調整等を容易に行うことができるセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係るセンサ(以降、「本発明センサ」と称呼される場合がある。)は、保護管、検知部、導線及び固定部材を備えるセンサである。保護管は、容器の隔壁に形成された貫通穴に固定され、当該保護管の一方の端である内端が容器の内部に位置し、当該保護管の他方の端である外端が容器の外部に向かって開いている、検知部は、保護管の内部に収納されている。導線は、一方の端が保護管の内部で検知部に接続され、他方の端が上記外端から外部に向かって突出している。固定部材は、容器の隔壁に固定され、保護管の外部において導線を着脱可能に固定するように構成されている。
【0013】
本発明センサにおいては、保護管の容器の外部に向かって開いている側の端(外端)から突出する導線を手でつかんで保護管の軸線方向に抜き差しすることができる。これにより、例えば、故障した検知部及び導線を取り出して正常なものと交換したり、導線と接続された検知部の位置を任意の位置に調整したりすることができる。検知部の交換及び/又は位置調整が完了したら、その状態において固定部材に導線を着脱可能に固定することにより、導線の移動を妨げ、導線と接続された検知部の位置を調整後の位置に保持することができる。
【0014】
また、検知部は、サーミスタ、測温抵抗体、熱電対、ホール素子及びリードスイッチからなる群から選択される1又は2以上の検知部であってもよい。更に、本発明センサが適用される容器は貯液タンクであってもよい。この場合、検知部をホール素子又はリードスイッチとし、永久磁石を備え且つ保護管の長手方向に移動可能なフロートを更に備える液位センサとして構成することができる。
【0015】
加えて、本発明センサが適用される容器は気密容器であってもよい。この場合、保護管は容器の隔壁と不可分一体に固定されており、保護管の容器の内部に位置する側の端(内端)が閉じられている。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、単純な構造により、故障時の部分的な部材交換及び/又は検知部の位置の調整等を容易に行うことができるセンサを提供することができる。また、例えば容器の内部が高圧になる場合及び/又は人体に有害な化学物質を容器に貯蔵する場合等においては、本発明センサを気密容器に適用すると共に、容器の隔壁と不可分一体に保護管を固定し且つ保護管の内端を閉じることにより、内容物の漏出を確実に防ぐことができる。更に、本発明センサは、従来技術に係るセンサに比べて、より単純且つコンパクトな構成を有する。従って、本発明センサによれば、例えば製造コストの増大及び設計上の自由度の低下等の問題を回避しつつ、上記課題を解決することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の好ましい実施の形態の一例を示す斜視図である。
【
図2】本発明の好ましい実施の形態を示す部分断面図である。
【
図3】本発明の好ましい実施の形態に係る固定部材を拡大した斜視図である。
【
図4】導線を挟む本体の面及び固定片の面の幾つかの具体例を示す模式図である。
【
図5】本発明の好ましい実施の形態に係る固定部材を拡大した斜視図(a)及び固定片の構成の他の例を示す斜視図(b)である。
【
図6】本発明の好ましい実施の形態を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための形態の詳細につき、図面を使って以下に説明する。以下の説明及び図面は本発明を実施するための形態の例を示すものであり、本発明を実施するための形態は、以下の説明及び図面に示される形態に限定されない。
【0019】
〈センサ〉
本発明は、保護管2、検知部3、導線4及び固定部材5を備えるセンサ1の発明である。先ず、本発明に係るセンサ1全体の概要について説明する。センサ1は、隔壁6によって構成された容器の内部の状態を知るために用いられる。検知部3は、容器内の特定の位置に固定され、その位置における情報を検知する。検知された情報は検知部3によって電気信号に変換され、電気信号は導線4を介して容器の外部に伝達される。これらの機能を実現するため、容器の隔壁6に形成された貫通穴61に保護管2が固定され、検知部3及び導線4は保護管2の内部に収納される。導線4は、隔壁6に固定された固定部材5により、保護管2の外部において着脱可能に固定される。
【0020】
図1は、本発明の好ましい実施の形態の一例を示す斜視図である。
図1に示されたセンサ1は、容器の内部に貯蔵された液体の液面の位置を検知する液位センサとして構成されている。ここに例示された容器は貯液タンクであり、貯液タンクの隔壁6に形成された貫通穴61に保護管2の長手方向が図の上下方向に平行になるように保護管2が固定されている。保護管2には、永久磁石を内蔵するフロート7が設けられる。フロート7は、貯液タンクの内部の液体の液面の位置に浮遊する。フロート7の位置は、液面の位置の変化に追随して、保護管2の長手方向に沿って上下に移動する。ただし、保護管2の容器の内部に位置する側の端(内端)には鍔状のストッパ21が設けられており、これによりフロート7が保護管2から抜け落ちないようになっている。なお、以下の説明においては、フロート7の下端がストッパ21に当接している状態におけるフロート7の位置が「初期位置」と称呼される場合がある。また、この例に示す容器は、内容物の漏出を防ぐことを目的として気密に構成されている。具体的には、隔壁6に形成された貫通穴61に保護管2が溶接によって不可分一体に固定されており、保護管2の内端は気密に閉じられている。
【0021】
図2は、
図1に例示された液位センサの部分断面図である。保護管2の内端(閉じられた下端)の近傍に位置する検知部3は、リードスイッチによって構成されている。リードスイッチの接点は、強磁性体を含む一組のリードによって構成されている。フロート7に内蔵された永久磁石71が検知部3に近づくと、永久磁石71によって形成される磁界によってリードの接点が閉じて通電状態になる。永久磁石71が検知部3から離れるとリードの弾性によって接点が開いて停電状態(非通電状態)になる。
図2に示された実施例においては、液面の位置が低くフロート7が初期位置にあるときは、リードスイッチが通電状態になる。液面が上昇してフロート7が初期位置から上昇したときは、リードスイッチが停電状態になる。センサ1の使用者は、容器の外部において導線4の導通の有無を調べることによって、液面の位置がリードスイッチに対するフロート7の初期位置に対応する位置よりも高いか又は低いかを検知することができる。ただし、当業者に周知であるように、リードスイッチの通電状態と停電状態との切り替わりとフロート7の位置(即ち、液面の高さ)との対応関係は、例えばリードスイッチの接点の位置、ストッパ21の位置、フロート7の内部における永久磁石71
の位置等によって様々に変化するので、本発明センサの使用目的に応じて、これらを適宜定めることができる。
【0022】
図2に例示されるように、検知部3は導線4と接続されている。導線4のうち検知部3と接続されてない方の端は、保護管2の上端(即ち、保護管2の容器の外部に向かって開いている側の端である外端)の開口部から外部に向かって突出している。導線4は、保護管2の外部において、隔壁6に固定された固定部材5に着脱可能に固定される。検知部3及び導線4の何れかが故障したときは、固定部材5による導線4の固定を解除し、導線4と、これに接続された検知部3とを保護管2から引き出し、これとは異なる他の正常な検知部3及び導線4と容易に交換することができる。また、保護管2の内部における検知部3の位置を変更したいときは、固定部材5による導線4の固定を解除し、検知部3を希望する位置に調整した後で、導線4を再び固定部材5に固定すればよい。
【0023】
〈保護管〉
次に、本発明に係るセンサ1を構成する要素の各々につき、本発明を実施するための形態を説明する。保護管2は、内部に検知部3を収納することができる中空の管である。前述したように、容器の内部が高圧になる場合及び/又は人体に有害な化学物質を容器に貯蔵する場合等においては、容器全体を気密に構成して、内容物の漏出を防ぐ必要がある。また、一般に、検知部3は、後述するように精密な電子部品であるから、容器内に貯蔵された液体又はガスが検知部3に直接触れることを防止することが望ましい。このような場合、保護管2を使って容器の内部の雰囲気から遮断することが必要である。また、保護管2は、容器内の任意の位置に挿入して固定され、その位置に検知部3を保持する機能を有する。即ち、保護管2は、容器の内部における所望の位置まで検知部3を挿入するための空間を提供する部材である。更に、保護管2は、導線4を通す導管としても機能する。これらの機能を実現するために、
図1及び
図2に例示する保護管2は、容器の隔壁6に形成された貫通穴61に固定され、一方の端(内端)が容器の内部で閉じ、他方の端(外端)が容器の外部に向かって開く。このような構成を有する保護管2の内部は、容器の内部に位置しながらも容器の内部の雰囲気からは遮断され、容器の外部と連通している。
【0024】
保護管2は、容器内で容易に屈曲しない程度の強度を有することが好ましい。それと同時に、保護管2は、その内部に収納された検知部3が容器の内部の情報を取得する際の妨げとならないことが好ましい。例えば、センサ1を上述した液面センサとして構成する場合は、フロート7に内蔵された永久磁石71が発生する磁界がリードスイッチに到達することを妨げないように、保護管2を非磁性体で構成することが好ましい。また、センサ1を温度計として構成する場合は、保護管2の管厚をできるだけ薄くして熱容量を小さくしたり、保護管2を熱伝導性のよい材料で構成したりすることが好ましい。更に、保護管2は、容器内に貯蔵される液体又はガスと反応しにくい材料で構成されることが好ましい。保護管2に用いる材料としては、例えば、金属、合金、セラミック、合成樹脂等の材料の中から、上述した諸条件を満たす材料を選択することができる。
【0025】
〈検知部〉
検知部3は、保護管2の内部に収納され、本発明に係るセンサ1のセンシングを担う部分である。検知部3は、保護管2の管壁を介して容器の内部に貯蔵された液体又はガスに関する情報を収集し、その情報を電気信号に変換する機能を有する。本発明における検知部3としては、温度センサ、磁気センサ、振動センサ等を用いることができるが、これらに限られない。温度センサとしては、例えば、サーミスタ、測温抵抗体及び熱電対等を用いることができる。磁気センサとしては、例えば、ホール素子及びリードスイッチ等を用いることができる。振動センサとしては、例えばマイクロフォン等を用いることができる。ここに列挙した検知部3の具体例は、何れも電気信号を発する精密な電子部品である。検知部3は、それ自体が独立して容易に交換可能なものとして構成されていることが好ましい。また、検知部3は、保護管2の内部に収納するために、太さが保護管2の内径未満のサイズである必要がある。
【0026】
本発明において、1本の保護管2の内部に収納される検知部3の数は、1個であってもよいし、2個以上であってもよい。検知部3の数が1個であるときは、保護管2における検知部3の位置は、保護管2の内端から外端までの任意の位置に保持することができる。検知部3の数が2個以上であるときは、保護管2における個々の検知部3の位置は、例えば、上述した特許文献1に記載された上下2個のリードスイッチのように、互いに異なる位置に保持することができる。1本の保護管2の内部に複数の検知部3が収納される場合、検知部3の全て又は一部の種類が同一であってもよいし、全ての検知部3の種類が互いに異なっていてもよい。
【0027】
〈導線〉
導線4は、容器の内部に設置された検知部3によって変換された電気信号を容器の外部に伝達する。この機能を実現するために、本発明における導線4は、一方の端が保護管2の内部で検知部3に接続され、他方の端が保護管2の開いた端(外端)から外部に向かって突出する。1個の検知部3について、通常は、2本の導線4が接続される。導線4は、端部を除き、意図しない短絡及び/又は漏電等を防止するための公知の絶縁被覆を備えることが好ましい。検知部3の中には、電気信号を取り出すための導線の他に、例えば、ヒータを加熱するための補助的な導線等を必要とするものがある。本発明センサが備える導線4は、このような補助的な導線を含んでもよい。1本の導線4は、1本の導体で構成されていてもよいし、多数の細い導体をより合わせて構成されていてもよい。導線4を構成する導体としては、低酸素銅やその他の公知の金属又は合金を用いることができる。
【0028】
本発明における導線4は、上述した電気信号の伝達経路としての機能に加え、後述するように、その一部が固定部材5に固定されることによって、導線4と接続された検知部3の位置が保護管2の内部の特定の位置に保持される機能をも兼ね備えている。この機能を確実に実現するためには、導線4は、長さ方向に容易に伸び縮みしたり、或いは屈曲したりしない程度の機械的強度を有することが好ましい。機械的強度を高めるには、導体の太さを太くしたり、或いは絶縁被覆の厚さを厚くしたりすること等が有効である。ただし、導線4をあまり太くし過ぎると、導体4と接続された検知部3を保護管2の内部に収納することが困難になる。特に、1本の保護管2の内部に複数の検知部3を収納する場合は、保護管2の内部への収納を妨げない程度の大きさに導線4の太さを定めることが好ましい。
【0029】
本発明における導線4は、後述する固定部材5に固定される部分における塑性変形が容易で、固定部材5による固定と解除との繰り返しに耐え得る耐久性を有することが好ましい。塑性変形が容易であれば、固定部材5による固定がより強固なものとなり、センサ1を使用している途中で検知部3の位置がずれることを防止することができる。また、導線4の耐久性が高まれば、同一の検知部3及び導線4を用いて検知部3の位置を繰り返し調整しながら使用することができる。一方、導線4の固定部材5に固定される部分は、適度な弾性率にて弾性変形が可能であり且つ固定部材5による固定と解除との繰り返しに耐え得る耐久性を有していてもよい。この場合もまた、センサ1の使用中における検知部3のずれを防止すること及び同一の検知部3及び導線4を用いる検知部3の位置を繰り返し調整することが容易となる。
【0030】
検知部3が熱電対であり、導線4が2種類の貴金属線によって構成され、検知部3がこれらの貴金属同士の溶接部によって構成される場合がある。貴金属によって構成された導線4は固定部材5による固定と解除との繰り返しに耐えられないおそれがある。このような場合は、貴金属線よりも高い耐久性を有する補償導線と貴金属線とを接続して導線4を構成し、補償導線の部分を固定部材5に固定するようにすることが好ましい。また、先端が溶接された2種類の貴金属線をシースと呼ばれる金属保護管の内部に密封するタイプの熱電対が知られている。この場合、溶接された先端部が本発明の検知部3に相当し、シースで覆われた貴金属線の部分が本発明の導線4に該当することになる。
【0031】
〈固定部材〉
固定部材5は、導線4を所定の位置に固定する部材である。固定部材5は、容器の隔壁6に固定されている。保護管2も、同じ隔壁6に形成された貫通穴61に固定されている。従って、導線4を固定部材5に固定することによって、導線4全体が保護管2の内部において保護管2の軸の方向(長手方向)に移動することが妨げられる。導線4全体の位置が固定されると、導線4に接続され保護管2の内部に収納された1個又は2個以上の検知部3の位置が特定の位置に保持される。このようにして検知部3が所定の位置に保持されると、センサ1が検知部3を用いて容器内の特定の位置においてセンシングを実行することが可能となる。固定部材5による導線4の固定は、保護管2の外部において行われる。より具体的には、導線4の端が保護管2の開いた端(外端)から保護管2の外部に向かって突出しているので、その突出している部分を固定部材5に固定する。固定部材5による導線4の固定及び/又は解除は、保護管2の内部においてではなく、保護管2の外部の広い空間において実行されるので、固定及び/又は解除の作業を容易に行うことができる。
【0032】
本発明において、固定部材5は、導線4を着脱可能に固定する。ここで「着脱可能に固定する」とは、固定部材5に一度固定された導線4を、破壊することなく再び固定部材5から分離できることを意味する。保護管2の内部に収納された検知部3の位置を変更したい場合は、先ず、固定部材5への導線4の固定を解除し、次に、固定部材5に固定される導線4の位置を変更してから再び固定部材5に固定すればよい。本発明においては、導線4が固定部材5に着脱可能に固定されているので、上述する検知部3の位置調整の作業は、導線4及び固定部材5を破壊すること無く何度でも繰り返し実行することができる。
【0033】
また、検知部3及び/又は導線4が故障して、これらの一方又は双方を交換したい場合には、先ず、固定部材5への導線4の固定を解除して保護管2から検知部3及び導線4を取り出し、次に、新しい検知部3及び/又は導線4を保護管2の内部に収納し、検知部3の位置を調整してから、保護管2の外部において導線4を固定部材5に固定すればよい。本発明においては、導線4が固定部材5に着脱可能に固定されているので、上述する検知部3及び/又は導線4の交換作業を極めて容易に実行することができる。
【0034】
本発明において、固定部材5の構造は、導線4を着脱可能に固定できる構造であれば、どのような構造であってもよい。
図3は、本発明の好ましい実施の形態に係る固定部材5の部分を拡大した斜視図である。本発明の好ましい実施の形態において、固定部材5は、隔壁6に固定された本体51と、本体51に接合することができる固定片52とを備える。導線4は、本体51と固定片52との間に挟まれて固定される。この好ましい実施の形態において、導線4は、本体51と固定片52との間に挟まれて、両者から圧縮応力を受けている。導線4の表面と、本体51と固定片52のそれぞれの表面との間には、圧縮応力に起因する静的摩擦力が生じるので、導線4は固定部材5に固定され、その位置を容易に移動することができない。
【0035】
本発明の好ましい実施の形態において、本体51の隔壁6への固定は、例えばネジ止め等によって着脱可能に固定してもよいし、或いは、例えば溶接等によって固定してもよい。仮に、本体51と隔壁6との間の固定が溶接等の堅固なものであったとしても、本体51と固定片52による導線4の固定が着脱可能なものであれば、本発明による効果を得ることができる。
図3に例示する固定部材5において、本体51と固定片52は、本体51に設けられた穴に挿入された2個の雄ネジと固定片52に設けられた2個所のネジ穴とによって締結可能に構成されている。本体51と固定片52との間に導線4が挟まれた状態において雄ネジをネジ穴に螺合させることによって、導線4を固定部材5に着脱可能に固定することができる。
【0036】
ところで、本体51と固定片52との間に導線4を挟んで導線4をより確実且つ強固に保持する観点からは、導線4を挟む本体51の面及び固定片52の面の何れか一方又は両方に凹凸が形成されていることが好ましい。
図4は、このように導線4を挟む本体51の面及び固定片52の面の何れか一方又は両方に凹凸が形成されている実施の形態を例示する模式図である。ただし、
図4においては、導線4は省略されている。
図4の(a)、(b)、(d)及び(e)に示すように、導線4を挟む本体51の面及び固定片52の面の何れか一方のみに凹凸が形成されていてもよい。或いは、
図4の(c)及び(f)に示すように、導線4を挟む本体51の面及び固定片52の面の両方に凹凸が形成されていてもよい。また、
図4に示した例においては、導線4を挟む本体51の面及び固定片52の面の何れか一方又は両方に複数の凹凸が形成されているが、導線4を固定部材5に着脱可能に固定することが可能である限り凹凸の数は限定されず、例えば凹部及び/又は凸部が1つだけ形成されていてもよい。
【0037】
次に、
図5の(a)を参照すると、本発明のより好ましい実施の形態において、本体51又は固定片52のうちの何れか一方は、固定穴53を備え、本体51又は固定片52のうちの他方は、固定穴53の位置に対応する位置に凸部54を備え、固定片52を本体51に接合することによって、導線4が凸部54によって固定穴53の方向に押し出されて固定される。
図5の(a)は、導線4が固定部材5に固定される前の状態を表している。
図5の(a)に示された本発明の実施の形態において、固定穴53は本体51の最も大きな面の中央部に設けられている。また、凸部54は、固定穴
53に対応する位置である固定片52の中央部に設けられている。
図5の(a)に示す状態から、2個のネジを締め付けて固定片52を本体51に接合することにより、導線4が凸部54によって固定穴53の方向に押し出されて着脱可能に固定される。
【0038】
図1及び
図2は、固定部材5によって導線4が固定された最終状態を表している。この最終状態において、導線4は、凸部54によって固定穴53の方向に押し出されて変形している。この状態から導線4を図の上下方向に移動させるためには、導線4に新たな変形を起こさせる必要がある。このため、
図1及び
図2に示された本発明の実施の形態においては、上述した静止摩擦力のみによって導線4を固定した場合と比較して、導線4をより強固に固定することができる。なお、上述した実施の形態においては、固定穴53は本体51に、凸部54は固定片52にそれぞれ設けられているが、これとは逆に、固定穴53を固定片52に、凸部54を本体51に設けた場合であっても、上述した実施の形態と全く同じように強固な固定を行うことができる。
【0039】
図5の(a)に例示した固定部材5において、本体51は、例えば、折り曲げた金属板等によって構成することができる。また、固定片52は、例えば、溝及びネジ穴を設けた金属又は合金のブロック等によって構成することができる。
図5の(a)に例示された固定片52において、図の上下方向に平行に設けられた溝55は、導線4を収納する逃げ溝である。凸部54の高さは、ネジ穴が設けられている面と同じ高さになっている。これにより、固定片52が本体51に接合されたときに、凸部54が導線4を固定穴53の方向に確実に押し出すことができる。
【0040】
ところで、上述したように固定穴53の方向に導線4を押し出すと共に導線4を収納するためには、例えば
図5の(b)に示すように、凸部54及び逃げ溝55のみを固定片52に形成すれば十分な筈である。
図5の(b)に示すような固定片52は、例えば射出成形等の樹脂成形によって容易に製作することができる。しかしながら、例えばフライス加工等の切削加工により金属片(例えば、アルミニウム片等)に逃げ溝55を形成するのみでは、逃げ溝55の終端(凸部54側の端部)を
図5の(b)に例示したように加工することは困難である。そこで、
図5の(a)に例示した固定片52においては、導線4を収納する逃げ溝
55と直交するように形成された2本の溝が凸部54の上下に形成されているのである。ただし、本体51及び固定片52の構成は、上述した構成に限られるものではなく、本体51と固定片52との間に導線4を挟んで固定することが可能である限り、特に限定されない。
【0041】
〈容器〉
本発明に係るセンサ1の構成は容器を含まないが、センサ1は容器の隔壁6に固定して使用することを前提として構成されている。本発明に係るセンサ1を固定する容器とは、外部と内部とを隔てる隔壁6を備える容れ物であれば、どのような容器であってもよい。例えば、液体又はガスを貯蔵するタンクや、熱処理炉又は反応炉の炉室等は、本発明における容器に該当し得る。本発明に係るセンサ1を構成する保護管2は、容器の隔壁6に形成された貫通穴61に固定される。容器を構成する隔壁6のうち貫通穴61を設ける位置は、その容器のうちセンサ1によって内部の情報を検知したい位置にできるだけ近い位置に設けることが好ましい。
図1乃至
図3及び
図5に示された隔壁6は、容器を構成する隔壁6のうち保護管2及び固定部材5が固定されている部分のみを切り取って示したものである。隔壁6の形状は四角形で示されているが、この形状に特段の意味はない。これらの図において、保護管2が固定されている側が容器の内部に相当し、固定部材5が固定されている側が容器の外部に相当する。ただし、保護管2の容器の外部に向かって開いている側の端(外端)は必ずしも隔壁6と面一である必要は無く、隔壁6から突出していてもよい。また、センサ1が適用される容器の用途において許容される限りにおいて、必ずしも固定部材5の全体が容器の外側に位置する必要は無い。即ち、固定部材5の構成は、隔壁6に固定され且つ保護管2の外部において導線4を着脱可能に固定することが可能である限り、特に限定されない。
【0042】
本発明の好ましい実施の形態において、容器は、気密容器であり、保護管2は、隔壁6と不可分一体に固定される。上述したように、容器の内部が高圧になる場合及び/又は人体に有害な化学物質を容器に貯蔵する場合等においては、容器全体を隙間無く気密に構成して、内容物の漏出を防ぐことが好ましい。この目的のためには、容器の隔壁6に形成された貫通穴61とセンサ1の保護管2とを不可分一体に構成することが有効である。具体的には、例えば、金属又は合金からなる容器の隔壁6と保護管2とを溶接したり、熱可塑性樹脂からなる容器の隔壁6と保護管2とを溶着したりすること等が考えられる。また、この場合、保護管2の容器の内部に位置する側の端(内端)は、気密に閉じられている。
【0043】
ところで、上述したように検知部3及び/又は導線4を交換したり検知部3の位置調整をしたりする際に導線4を固定部材5によって固定して検知部3を保護管2の内部における所望の位置に保持するための手法は特に限定されない。例えば、固定部材5における固定箇所と検知部3のセンシング部位が保持されるべき箇所との間の距離に応じて固定部材5によって導線4が固定されるべき箇所を予め特定しておき、当該箇所において固定部材5によって導線4を固定してもよい。或いは、例えば、保護管2の容器の内部に位置する側の端(内端)が閉じられている場合は、保護管2の内端に当接するまで保護管2の内部において検知部3を下降させることにより、保護管2の内端の位置に対応する位置に検知部3を確実に保持することができる。
【0044】
上記のような手法により保護管2の内端と容器の外部に向かって開いている側の端(外端)との間の所定の位置に検知部3を保持する場合は、検知部3の先端(即ち、保護管2の内端側の端)にスペーサを設けてもよい。
図6は、本発明のこのような実施の形態に係るセンサ1の部分断面図である。
図6に例示するセンサ1は、フロート7の下限位置を規定するストッパ21に加えてフロート7の上限位置を規定するストッパ22を更に備える点及び保護管2の内部において検知部3の先端側(内端側)に配設されたスペーサ31を更に備える点を除き、
図2に例示したセンサ1と同様の構成を有する。
【0045】
図6に例示するセンサ1においては、上記のように、スペーサ31が保護管2の内部において検知部3の内端(保護管2の容器の内部に位置する側の端)の側に配設されている。従って、所定の長さを有するスペーサ31が保護管2の内端に当接するまで保護管2の内部において検知部3を下降させることにより、所望の位置に検知部3を確実に保持することができる。保護管2の内部における検知部3の位置を変更する場合は、スペーサ31の長さを変更すればよい。
【0046】
ここで、隔壁6と不可分一体に固定された保護管2に検知部3及び導線4を設けてセンサを構成しようとする場合に、本発明と従来技術との間に如何なる違いがあるかについて、図を用いて説明する。この比較説明において、保護管2は、隔壁6と不可分一体に固定されている。
図7は、従来技術に係るセンサ1’を示す斜視図である。
図7に例示される従来技術に係るセンサ1’は、
図1に示された本発明の好ましい実施の形態に係るセンサ1と同様に、容器の内部に貯蔵された液体の液面の位置を検知する液位センサとして構成されている。
図7に示されたセンサ1’の構成のうち、保護管2、導線4、隔壁6及びフロート7並びに図に示されていない検知部3の構成は、
図1及び
図2に示されたセンサ1と同じであるから、ここでは同一の記号を用いて説明を省略する。センサ1’とセンサ1との構成における唯一の違いは、センサ1’はセンサ1が備える固定部材5を欠く点である。
【0047】
図7に示された従来技術に係るセンサ1’においては、保護管2の内部に検知部3及び導線4を固定する手段として、例えば、図示しない接着剤を用いることができる。接着剤は、例えば、保護管2の上端(外端)において、保護管2の内部で、導線4を保護管2の内壁の表面に固定することを目的として使用することができる。この目的のために使用される接着剤として、例えば、二液混合型のエポキシ系樹脂接着剤を用いる場合は、接着剤が硬化する際の体積変化が少ないので、導線4を保護管2に強固に固定することができる。しかしながら、硬化後の接着剤は非常に硬いので、例えば検知部3及び導線4を交換する等の目的のために導線4を保護管2から引き剥がそうとしても、導線4を破壊すること無くこれを行うことは殆ど不可能である。一方、上述したエポキシ系樹脂接着剤よりも軟らかいシリコンシーラント等を接着剤として用いることもできる。しかし、この場合も、保護管2の内部に導線4が接着されているため、狭い空間に充填された接着剤を取り除いて導線4を取り出すのは容易ではない。
【0048】
そこで、例えば、接着剤の使用量を低減する等して保護管2の上端(外端)における導線4の保護管2への接着をあまり強固なものにせず、保護管2から導線4を容易に取り外せるようにすることが考えられる。しかし、この場合は、検知部3の大きさ及び/又は重量によっては、検知部3が保護管2の内部で動いたり、検知部3の位置が定まらなかったりするおそれがある。これを防ぐために検知部3と保護管2とを接着した場合は、導線4を引っ張って検知部3を保護管2から引き出そうとする際に、検知部3が保護管2の内部から外れず検知部3を保護管2から引き出せなかったり、導線4を無理に引っ張って導線4と検知部3との接続が外れてしまったりするおそれがある。このように、保護管2が容器の隔壁6に不可分一体に固定されている場合、従来技術に係るセンサ1’においては、検知部3及び導線4を交換したり、保護管2における検知部3の収納位置を事後的に調整したりすることが極めて困難であった。なお、このような事情は、上記において例示した液位センサに限らず、例えば温度センサ、磁気センサ及び振動センサ等の他のセンサにおいても同様である。
【0049】
これに対し、
図1乃至
図6に例示した本発明に係るセンサ1においては、保護管2の外部において、導線4を、保護管2とは独立した(別個の部材である)固定部材5に対して着脱可能に固定することによって、検知部3を保護管2の所定の位置に収納することができる。固定部材5への導線4の固定は容易に解除することができるので、従来技術に比べて容易に、故障した検知部3を新しいものと交換したり、保護管2における検知部3の位置を事後的に調整したりすることができる。また、例えば容器の内部が高圧になる場合及び/又は人体に有害な化学物質を容器に貯蔵する場合等においては、センサ1を気密容器に適用すると共に、容器の隔壁6と不可分一体に保護管2を固定し且つ保護管2の内端を閉じることにより、内容物の漏出を確実に防ぐことができる。更に、センサ1は、従来技術に係るセンサに比べて、より単純且つコンパクトな構成を有する。従って、センサ1によれば、例えば製造コストの増大及び設計上の自由度の低下等の問題を回避しつつ、上述したような効果を達成することができる。
【0050】
上述したように、本発明は、保護管2が容器の隔壁6と不可分一体に固定された容器に取りけるセンサとして好適なセンサ1を提案するものである。しかしながら、本発明は、保護管2が隔壁6と不可分一体に固定された実施の形態に限定されるものではなく、その技術的思想を逸脱しない範囲内において様々な形態で実施することができる。
【符号の説明】
【0051】
1 センサ
1’センサ(従来技術)
2 保護管
21 ストッパ(下限位置用)
22 ストッパ(上限位置用)
3 検知部
31 スペーサ
4 導線
5 固定部材
51 本体
52 固定片
53 固定穴
54 凸部
55 逃げ溝
6 隔壁
61 貫通穴
7 フロート
71 永久磁石