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特許7505751温度測定装置、温度測定方法、レーザ強度分布測定装置、レーザ強度分布測定方法、半導体回路評価装置及び半導体回路評価方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-17
(45)【発行日】2024-06-25
(54)【発明の名称】温度測定装置、温度測定方法、レーザ強度分布測定装置、レーザ強度分布測定方法、半導体回路評価装置及び半導体回路評価方法
(51)【国際特許分類】
   G01K 11/125 20210101AFI20240618BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240618BHJP
【FI】
G01K11/125
H01L21/66 T
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020142167
(22)【出願日】2020-08-25
(65)【公開番号】P2022037825
(43)【公開日】2022-03-09
【審査請求日】2023-07-18
(73)【特許権者】
【識別番号】504136568
【氏名又は名称】国立大学法人広島大学
(74)【代理人】
【識別番号】100196380
【弁理士】
【氏名又は名称】森 匡輝
(72)【発明者】
【氏名】東 清一郎
【審査官】平野 真樹
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-105113(JP,A)
【文献】特開昭63-228043(JP,A)
【文献】特開平10-142078(JP,A)
【文献】特開2000-131153(JP,A)
【文献】特開2011-080960(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01K 1/00-19/00
H01L 21/66
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を発生する光源と、
前記測定用連続光が照射される伝熱層、及び前記伝熱層の前記測定用連続光が照射される面と反対側の面に配置されたレーザ光吸収層を有する被測定試料と、
前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記伝熱層の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影するカメラと、
前記干渉縞に基づいて、前記レーザ光吸収層に照射されたレーザ光のパワー密度分布を測定する制御部と、を備える、
ことを特徴とするレーザ強度分布測定装置。
【請求項2】
被測定試料の一方の面に配置されたレーザ光吸収層にレーザ光を照射し、
前記被測定試料の他方の面に配置された伝熱層に、可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を照射し、
前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記伝熱層の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影し、
撮影された前記干渉縞に基づいて前記レーザ光のパワー密度分布を測定する、
ことを特徴とするレーザ強度分布測定方法。
【請求項3】
可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を発生する光源と、
一方の面に半導体回路が形成され、他方の面に前記測定用連続光が照射されるウエハである被測定試料において、前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記被測定試料の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影するカメラと、
前記干渉縞に基づいて前記半導体回路を評価する評価部と、を備え、
前記評価部は、前記半導体回路が正常である場合の温度分布と、前記干渉縞に基づく温度分布とを比較することにより、前記半導体回路が正常であるか否かを評価する、
ことを特徴とする半導体回路評価装置。
【請求項4】
可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を、一方の面に半導体回路が形成されたウエハである被測定試料の他方の面に照射し、
前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記被測定試料の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影し、
前記半導体回路が正常である場合の温度分布と、前記干渉縞に基づく温度分布とを比較することにより、前記半導体回路が正常であるか否かを評価する、
ことを特徴とする半導体回路評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、温度測定装置、温度測定方法、レーザ強度分布測定装置、レーザ強度分布測定方法、半導体回路評価装置及び半導体回路評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、レーザ光等の可干渉光を被測定試料に照射して、被測定試料からの反射光を用いて被測定試料の温度を測定する温度測定装置が開発されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-142078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の温度測定装置では、所定角度を成す2つの平行光束が、平板状の被測定試料の表面及び裏面で反射し、干渉することによって生じる干渉縞の幅に基づいて、被測定試料の温度を測定している。より具体的には、温度によって被測定試料の屈折率が異なることを利用して、干渉縞の幅と屈折率との関係を予め算出し、測定された干渉縞の幅から被測定試料の温度を推定することとしている。
【0005】
上記特許文献1の方法は、平行光束を照射した点の被測定試料の温度を推定するものである。したがって、被測定試料の温度分布を測定することができないので、被測定試料の温度にばらつきがある場合、例えば、被測定試料に局所的な温度上昇があった場合、被測定試料の温度を正確に測定することは難しい。
【0006】
温度分布を測定する方法として、サーモグラフィを用いた測定方法がある。しかしながら、サーモグラフィを用いて正確に温度を測定するためには、放射率、大気減衰補正等が必要となり、精度の確保が難しい。また、一般的にサーモグラフィによる測定のフレームレートは、200Hz程度であり、短時間で急速に変化する温度分布、熱の伝搬状態を測定することは難しい。
【0007】
本発明は、上述の事情に鑑みてなされたものであり、被測定試料の温度分布を高速で、精度よく測定することができる温度測定装置、温度測定方法、レーザ強度分布測定装置、レーザ強度分布測定方法、半導体回路評価装置及び半導体回路評価方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、この本発明の第1の観点に係るレーザ強度分布測定装置は、
可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を発生する光源と、
前記測定用連続光が照射される伝熱層、及び前記伝熱層の前記測定用連続光が照射される面と反対側の面に配置されたレーザ光吸収層を有する被測定試料と、
前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記伝熱層の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影するカメラと、
前記干渉縞に基づいて、前記レーザ光吸収層に照射されたレーザ光のパワー密度分布を測定する制御部と、を備える。
【0014】
また、本発明の第の観点に係るレーザ強度分布測定方法では、
被測定試料の一方の面に配置されたレーザ光吸収層にレーザ光を照射し、
前記被測定試料の他方の面に配置された伝熱層に、可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を照射し、
前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記伝熱層の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影し、
撮影された前記干渉縞に基づいて前記レーザ光のパワー密度分布を測定する。
【0015】
また、本発明の第の観点に係る半導体回路評価装置は、
可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を発生する光源と、
一方の面に半導体回路が形成され、他方の面に前記測定用連続光が照射されるウエハである被測定試料において、前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記被測定試料の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影するカメラと、
前記干渉縞に基づいて前記半導体回路を評価する評価部と、を備え、
前記評価部は、前記半導体回路が正常である場合の温度分布と、前記干渉縞に基づく温度分布とを比較することにより、前記半導体回路が正常であるか否かを評価する。
【0016】
また、本発明の第の観点に係る半導体回路評価方法では、
可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を、一方の面に半導体回路が形成されたウエハである被測定試料の他方の面に照射し、
前記測定用連続光が照射された測定領域で、前記被測定試料の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞を撮影し、
前記半導体回路が正常である場合の温度分布と、前記干渉縞に基づく温度分布とを比較することにより、前記半導体回路が正常であるか否かを評価する。
【発明の効果】
【0017】
本発明の温度測定装置、温度測定方法、レーザ強度分布測定装置、レーザ強度分布測定方法、半導体回路評価装置及び半導体回路評価方法によれば、コリメート光である測定用連続光を被測定試料に照射し、測定用連続光が照射された測定領域で、被測定試料の表面と裏面との間の多重反射によって生じる干渉縞に基づいて温度分布を測定するので、高速で精度よく試料の温度分布を測定することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施の形態1に係る温度測定装置の概略構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る制御ユニットのブロック図である。
図3】被測定試料内での測定用レーザ光の光路を示す概念図である。
図4】被測定試料の温度と反射率との関係を示すグラフの例である。
図5】温度測定装置及び被測定試料を一定速度で移動させた場合の干渉縞の画像の例である。
図6】(A)は、温度測定装置及び被測定試料を移動させながら撮影した干渉縞の画像の例であり、(B)は、(A)に基づいて算出された温度分布の図である。
図7】実施の形態2に係るレーザ強度分布測定装置の概略構成を示す図である。
図8】実施の形態3に係る半導体回路評価装置の概略構成を示す図である。
図9】半導体デバイスの状態と干渉縞との例を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(実施の形態1)
以下、図を参照しつつ、本発明の実施の形態に係る温度測定装置1について説明する。本実施の形態では、被測定試料であるSiC(炭化ケイ素)ウエハに大気圧プラズマ装置で熱処理を行う際のSiCウエハの温度分布を測定する場合を例として説明する。
【0020】
図1に示すように、本実施の形態に係る温度測定装置1は、光源11、ビームスプリッタ14、バンドパスフィルタ15、ハイスピードカメラ16、センサ17(不図示)、制御ユニット20を備える。また、光源11は、レーザ発振器11a、反射鏡11b、ビームエキスパンダ11cを備える。また、被測定試料31であるSiCウエハは、互いに平行な表面と裏面とを有する平板状の試料であり、大気圧熱プラズマジェット(TPJ:Thermal Plasma Jet)のプラズマサイズをミリメートル以下に高密度化したマイクロプラズマジェット(μ-TPJ)で、表面を加熱される。そして、温度測定装置1は、被測定試料31の裏面側で観測される干渉縞に基づいて温度分布を測定する。
【0021】
光源11は、測定に用いる可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を発生する光学系の装置である。本実施の形態に係る光源11は、測定用連続光(以下、測定用レーザ光Lmという。)を発生するレーザ発振器11aを備える。測定用レーザ光Lmは、特に限定されないが、被測定試料31を透過可能な波長を有するものを選択する。例えば、無アルカリガラス、石英ガラス、炭化ケイ素、窒化ガリウム等を被測定試料31として用いる場合、可視光レーザを測定用レーザ光Lmとして用いることができる。本実施の形態に係る測定用レーザ光Lmは、ヘリウムネオン(He-Ne)レーザである。
【0022】
反射鏡11bは、レーザ発振器11aとビームエキスパンダ11cとの間の光路に配置され、レーザ発振器11aから発せられた測定用レーザ光Lmをビームエキスパンダ11cへ入射させる。
【0023】
ビームエキスパンダ11cは、レーザ発振器11aから発せられた測定用レーザ光Lmを入射し、温度分布の測定範囲、すなわち被測定試料31の温度分布によって生じる干渉縞の測定領域の大きさに拡大させ、拡大されたコリメート光である測定用レーザ光Lmを出射する。ビームエキスパンダ11cで拡大される測定用レーザ光Lmの拡大率は特に限定されず、光源11で発生される測定用レーザ光Lmのパワーに基づいて、拡大時のパワーが小さくなり過ぎない範囲で設定すればよい。また、測定領域を熱入力範囲より広い範囲とすることにより、干渉縞の観測が容易となる。本実施の形態に係るビームエキスパンダ11cは、0.6mm径で入射された測定用レーザ光Lmを1.0mm径に拡大する。
【0024】
ビームスプリッタ14は、ビームエキスパンダ11cで拡大された測定用レーザ光Lmを反射して、被測定試料31の測定部位に対して垂直に照射する。また、ビームスプリッタ14は、被測定試料31で反射された測定用レーザ光Lmを透過して、ハイスピードカメラ16へ入射させる。ビームエキスパンダ11cとハイスピードカメラ16のビームスプリッタ14に対する位置関係、すなわち、いずれを反射側に配置し、透過側に配置するかについては、特に限定されない。
【0025】
バンドパスフィルタ15は、被測定試料31とハイスピードカメラ16との間の光路に配置され、測定用レーザ光Lm以外の光である迷光を排除する。バンドパスフィルタ15を透過させることで、より鮮明に、被測定試料31での反射光の画像を得ることができる。
【0026】
本実施の形態に係るバンドパスフィルタ15は、図1に示すように、被測定試料31とビームスプリッタ14との間に配置されるが、これに限られない。例えば、反射光のロスを少なくするため、バンドパスフィルタ15を、ビームスプリッタ14とハイスピードカメラ16との間に配置することとしてもよい。
【0027】
ハイスピードカメラ16は、受光素子を有するカメラ本体16aと、対物レンズ16bとを備える。ハイスピードカメラ16は、測定用レーザ光Lmの波長に対して感度のあるものを使用し、被測定試料31からの反射光を対物レンズ16bで拡大して、カメラ本体16aで撮影する。また、ハイスピードカメラ16のフレームレートは、観測する被測定試料31の温度分布の時間変化に対して適当な時間分解能となるように設定され、例えば、3000fpsから10000fpsに設定される。
【0028】
センサ17は、ハイスピードカメラ16による撮影の制御に用いる信号を発生するものである。本実施の形態に係るセンサ17は、プラズマ装置41の位置を検出するものであり、被測定試料31に対するプラズマ装置41の位置が測定開始位置となった時に、制御ユニット20へ測定開始のトリガ信号を送信する。
【0029】
制御ユニット20は、例えばコンピュータ装置であり、図2のブロック図に示すように、制御部21、記憶部22、表示部23、入力部24を備える。
【0030】
制御部21は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、水晶発振器等から構成されており、温度測定装置1の動作を制御するとともに、ハイスピードカメラ16で撮影された干渉縞の画像に基づいて、被測定試料31の温度を算出する。
【0031】
制御部21は、制御部21のROM、記憶部22等に記憶されている各種動作プログラム及びデータをRAMに読み込んでCPUを動作させることにより、図2に示される制御部21の各機能を実現させる。これにより、制御部21は、光源制御部211、カメラ制御部212、評価部213として動作する。
【0032】
光源制御部211は、光源11を制御して、測定用レーザ光Lmを発生、停止させる。
【0033】
カメラ制御部212は、センサ17から受信するトリガ信号、操作者による操作入力等に基づいてハイスピードカメラ16を制御して、被測定試料31からの反射光による干渉縞を撮影させる。また、カメラ制御部212は、撮影された画像データを記憶部22へ送信し、記憶させる。
【0034】
評価部213は、ハイスピードカメラ16で撮影された画像と、予め記憶部22に記憶されている熱光学係数等のデータに基づいて、被測定試料31の温度分布を算出する。
【0035】
記憶部22は、ハードディスク、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリであり、ハイスピードカメラ16で撮影された画像、被測定試料31の屈折率の温度依存性を表す熱光学係数等のデータ、干渉縞の画像データから温度分布を算出する演算アルゴリズム等を記憶する。
【0036】
表示部23は、コンピュータ装置である制御ユニット20に備えられた表示用デバイスであり、例えば液晶パネルである。表示部23は、ハイスピードカメラ16で撮影された干渉縞の画像、評価部213で算出された被測定試料31の温度分布等を表示する。
【0037】
入力部24は、温度測定装置1における測定の開始、終了指示、各種評価条件の変更等を入力するための入力デバイスである。入力部24は、制御ユニット20に備えられたキーボード、タッチパネル、マウス等である。
【0038】
続いて、上記の温度測定装置1を用いた温度測定方法について説明する。本実施の形態では、被測定試料31の熱処理のため、被測定試料31の表面に、プラズマ装置41で発生されるマイクロプラズマジェット(μ-TPJ)で熱入力を行う。そして、被測定試料31の裏面に測定用レーザ光Lmを照射して、被測定試料31の温度分布の時間変化を測定する。
【0039】
本実施の形態では、熱入力としてμ-TPJを用いることとしたがこれに限られず、パルスレーザ、フラッシュランプなどのパルス光、CW(Continuous Wave)レーザ、試料表面に設置した発熱体によるジュール加熱等を用いてもよい。
【0040】
μ-TPJによる熱入力が行われ、被測定試料31に対するプラズマ装置41の位置が測定開始位置になると、センサ17はカメラ制御部212へトリガ信号を送信する。そして、トリガ信号を受信したカメラ制御部212は、ハイスピードカメラ16を制御して撮影を開始する。また、光源制御部211は光源11のレーザ発振器11aを制御して、測定用レーザ光Lmを出射させる。図1に示すように、測定用レーザ光Lmは、反射鏡11bを介してビームエキスパンダ11cに入射される。ビームエキスパンダ11cで拡大されたコリメート光である測定用レーザ光Lmは、ビームスプリッタ14で反射され、バンドパスフィルタ15を介して被測定試料31へ照射される。
【0041】
測定用レーザ光Lmは、被測定試料31の裏面で反射するとともに、被測定試料31の内部へ透過する。被測定試料31の内部へと透過した測定用レーザ光Lmの一部は、被測定試料31の表面で反射し、さらに被測定試料31の裏面で反射する。これにより、被測定試料31の表面と裏面とで多重反射した測定用レーザ光Lmは、バンドパスフィルタ15及びビームスプリッタ14を透過してハイスピードカメラ16に入射される。
【0042】
被測定試料31の屈折率は温度依存性を有するので、被測定試料31各部の温度によって、多重反射した測定用レーザ光Lmの干渉状態が異なり、反射光の強度が変化する。より詳細には、図3の概念図に示すように、測定用レーザ光Lmは、被測定試料31内の表面と裏面とで多重反射し、反射光が互いに干渉する。したがって、被測定試料31の裏面側へ反射される測定用レーザ光Lmの反射率Rは、多重反射する測定用レーザ光Lmの位相の重ね合わせによって決まる。したがって、反射率Rは、被測定試料31の屈折率、厚さ、光の波長に基づいて決まり、温度勾配のない一様な温度分布の場合、反射率Rは平面方向に同一で縞は生じない。被測定試料31に温度分布がある場合、反射率Rの分布により干渉縞が観測される。本発明では、この干渉縞に基づいて、被測定試料31の温度分布を測定する。
【0043】
ここで、被測定試料31の熱拡散係数をD(cm・s-1)、被測定試料31表面に熱入力する時間(熱処理時間)をt(s)とすると、被測定試料31内での熱拡散長Lは、L=2√(Dt)(cm)となる。ここで、熱拡散係数Dは、熱伝導率k(W・cm-1・K-1)、密度ρ(g・cm-3)、比熱c(J・g-1・K-1)を用いて、D=k/cρと与えられる。被測定試料31の厚みをd(cm)とすると、熱拡散長Lが被測定試料31の厚みdより十分大きい(L≫d)条件下では、被測定試料31の厚み方向における温度分布は小さいので、測定によって得られた干渉縞の画像は温度分布の等高線と考えることができる。
【0044】
各等高線に対応する被測定試料31の温度は、予め被測定試料31の透過率又は反射率の温度依存性を測定することによって得られる。具体的には、被測定試料31の温度を熱電対等で測定しつつ、測定用レーザ光Lmの波長における透過率又は反射率を測定して、被測定試料31の温度に対してグラフ化すると干渉に伴う強度の振動が得られる。例えば、図4のグラフに示される反射率振動の谷は、熱処理時にハイスピードカメラ16で観測(撮影)された干渉縞の暗い線に対応する。よって、被測定試料31の温度が室温である箇所を基準として、等高線(干渉縞の暗線)が増えるごとに温度は上昇していることを示し、等高線ごとの温度差は予め測定した温度―反射率関係図の谷と谷の温度に対応する。これにより、ハイスピードカメラ16で観測された等高線を、温度分布の等高線に変換することができる。制御部21は、干渉縞ごとの温度を算出し、温度分布の測定結果を記憶部22に記憶させるとともに、表示部23に表示させる。
【0045】
他方、熱拡散長Lが被測定試料31の厚みdに対して十分に大きくない(L≒d、L<d等)条件下では、ハイスピードカメラ16で観測された等高線を上記の単純な手法で温度分布に変換すると、誤差が大きくなる。この誤差は、被測定試料31の厚み方向に温度分布が生じることに起因する。この場合、熱拡散長Lに応じた補正を加えることによって、温度分布を得ることができる。
【0046】
通常、被測定試料31への熱入力の大きさ、被測定試料31の熱物性値(密度、比熱、熱伝導率)等は既知であるので、過渡的な温度分布変化は熱伝導シミュレーションで計算することができる。時間ステップごとに被測定試料31内の温度分布を求めた後、熱光学係数(TOC:Thermo-Optic Coefficient)に基づいて、温度分布を屈折率分布に換算する。算出された屈折率分布に基づいて光学シミュレーションを行うことにより、各時間ステップでの干渉縞を計算することができる。この計算結果を実測結果にフィッティングするように、熱源のパワー密度分布を最適化すればよい。これにより、測定した干渉縞と計算によって得られた干渉縞とが一致すれば、被測定試料31内の温度分布を経時変化として求めることができる。
【0047】
本実施の形態では、制御ユニット20の記憶部22に、予めコンピュータシミュレーションによって求められた屈折率分布とこれに基づく干渉縞のパターンが記憶されている。そして、評価部213は、ハイスピードカメラ16から取得した干渉縞の画像データを、記憶部22に記憶されている干渉縞のパターンにフィッティングすることにより、被測定試料31の温度分布を推定する。そして、制御部21は、推定された温度分布を記憶部22に記憶させるとともに、表示部23に表示させる。
【0048】
図5は、図1に示す温度測定装置1及び被測定試料31(図1中の破線で示す範囲)を、プラズマ装置41に対して水平(図1中の矢印方向)に、すなわちプラズマ装置41と被測定試料31との距離(2mm)を保ったまま一定速度(75~150mm/s)で移動させた場合の干渉縞の撮影画像である。図5に示すように、移動速度が大きくなるほど、局所的な温度上昇が小さくなり温度勾配が小さくなることが、干渉縞の数として測定されている。また、図6(A)は、温度測定装置1及び被測定試料31を100mm/sで移動させた場合の撮影画像をつなげ合わせた図であり、図6(B)は、図6(A)に基づいて算出された被測定試料31の温度分布の図である。図6(A)、(B)から、被測定試料31の温度分布の状態を精度よく測定できていることがわかる。また、本例のように温度測定装置1を移動させることで、より広い範囲の温度分布を測定することができる。
【0049】
以上、説明したように、本実施の形態に係る温度測定装置1によれば、光源11で発生された可干渉性を有するコリメート光である測定用連続光を被測定試料31に照射して、干渉縞を観測し、温度分布を測定するので、測定範囲の温度分布を高速で、精度よく測定することができる。
【0050】
また、本実施の形態に係る温度測定装置1では、高いフレームレートのハイスピードカメラ16で、反射光の干渉縞を撮影して温度分布を測定するので、被測定試料31の温度変化、熱の伝搬状態を精度よく測定することができる。
【0051】
本実施の形態に係る光源11は、レーザ発振器11aで発生された測定用レーザ光Lmをビームエキスパンダ11cで拡大することとしたが、これに限られず、測定領域の大きさに対応したコリメート光を発生する構成であればよい。例えば、測定領域に対応したコリメート光を発生するレーザ発振器11aを光源11として用いることとしてもよい。
【0052】
また、本実施の形態では、バンドパスフィルタ15とハイスピードカメラ16の対物レンズ16bとの間にビームスプリッタ14を配置することとしたが、これに限られない。具体的には、ビームスプリッタ14は、被測定試料31と対物レンズ16bとの間に配置されていればよい。
【0053】
本実施の形態では、温度測定装置1及び被測定試料31を、プラズマ装置41に対して移動させることとしたが、これに限られない。例えば、温度測定装置1及び被測定試料31を固定させ、プラズマ装置41等の熱入力装置を移動させながら、温度測定を行うこととしてもよい。
【0054】
(実施の形態2)
上記実施の形態1では、被測定試料31に測定用レーザ光Lmを照射して、干渉縞を観測することにより、被測定試料31の温度分布を測定することとしたが、本発明に係る干渉縞の観測方法を用いてレーザの強度分布を測定することもできる。本実施の形態では、レーザの強度分布を可視化することができるレーザ強度分布測定装置2を用いたレーザ強度分布測定方法について説明する。
【0055】
本実施の形態では、測定対象となるレーザ(以下、レーザ光Ltという。)を照射する被測定試料32の構成が、実施の形態1と異なる。その他、測定用レーザ光Lmを被測定試料32に照射し、干渉縞を撮影する光学系の構成は、実施の形態1と同様であるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0056】
本実施の形態に係る被測定試料32は、図7に示すように、熱光学係数(TOC)が既知である板状の伝熱層32aと、伝熱層32aの表面に配置されたレーザ光吸収層32bを備える。伝熱層32aの材料は特に限定されないが、強度分布の感度を高めるため、TOCの大きい材料を用いることが好ましい。また、大パワーレーザの測定を可能とするために、耐熱温度の高い材料を用いることが好ましい。
【0057】
下記の表から分かるように、半導体結晶のウエハはいずれも高耐熱で大きなTOCを有しているので、被測定試料32の伝熱層32aとして好適である。伝熱層32a上に形成するレーザ光吸収層32bは、薄膜であり照射されたレーザ光の波長で、レーザ光を効率的に吸収する材料が望ましく、例えば、アモルファスシリコン、有機物、金属等の薄膜である。
【表1】
【0058】
図7に示すように、レーザ光吸収層32bの表面に照射された測定対象のレーザ光Ltはレーザ光吸収層32bで熱に変換され、下層の伝熱層32aへと伝搬する。そして、被測定試料32の伝熱層32a内部の温度上昇とともに屈折率が変化する。これにより、被測定試料32の伝熱層32aで多重反射された測定用レーザ光Lmに干渉縞が生じ、ハイスピードカメラ16で温度分布に対応した干渉縞が観測される。
【0059】
制御ユニット20のカメラ制御部212は、例えば、レーザ光Ltが照射されたことを検出して図示しないセンサ17であるフォトダイオードから送信されるトリガ信号に基づいて、ハイスピードカメラ16を制御して干渉縞の撮影を開始する。カメラ制御部212は、ハイスピードカメラ16で撮影された画像を取得し、記憶部22に記憶させる。レーザ光Ltの照射が終了し、干渉縞画像の撮影が完了すると、制御部21の評価部213は、記憶部22に記憶されている干渉縞画像を順次読み出し、干渉縞の数が最大となった時の干渉縞の状態から、レーザ光Ltのパワー密度分布を求める。また、レーザ光Ltのパワーは、実施の形態1と同様の方法により求められる被測定試料32の温度分布に基づいて算出することができる。
【0060】
以上、説明したように、本実施の形態に係るレーザ強度分布測定装置2によれば、レーザ光吸収層32bで吸収されたレーザ光による伝熱層32aへの熱伝達によって生じる測定用レーザ光Lmの干渉縞を用いて、高速で精度よく、伝熱層32aの温度分布を測定することができる。これにより、測定対象のレーザ光Ltのパワーと強度分布とを同時に測定することができる。したがって、従来のビームプロファイラを用いた測定方法のように、強度分布の測定とレーザパワーの測定とを別々に行わなくてもよい。
【0061】
具体的には、ビームプロファイラでは、半導体撮像素子の感度に合わせて、測定対象のレーザ光をND(Neutral Density)ファイルタ等で減光して強度分布を測定、可視化する。また、レーザパワーは、別途パワーメータ等の熱量計で測定する。そして、強度分布とレーザパワーから、パワー密度を算出している。本実施の形態に係るレーザ強度分布測定装置は、強度分布とレーザパワーとを同時に測定できるので、より容易にパワー密度分布を測定することができる。
【0062】
また、本実施の形態に係るレーザ強度分布測定装置2によれば、被測定試料32の温度分布を、測定用レーザ光Lmの反射光の干渉縞に基づいて算出するので、例えば、測定対象のレーザ光がパルスレーザである場合であっても、各パルスのパワーと強度分布とを同時に測定することができる。したがって、従来のパワーメータを用いた方法のように、レーザ照射によって投入された総熱量を測定する方法と異なり、レーザ発振装置のパルス間ばらつきを定量化することができる。
【0063】
(変形例)
本実施の形態では、伝熱層32aの温度分布に基づいてレーザ光Ltのパワー密度分布を測定することとしたが、ウエハを伝熱層32aとして用いてウエハの欠陥を検査することとしてもよい。具体的には、レーザ光吸収層32bが吸収する波長の均一光をレーザ光吸収層32bへ照射して上記レーザ強度分布測定と同様の測定をすることにより、ウエハである伝熱層32a内部の温度分布による干渉縞の増減を観測する。この場合、伝熱層32a内部に結晶欠陥があると、その部分で干渉縞に不均一が生じる。これは結晶欠陥部の熱伝導率が正常結晶部より小さくなることにより、熱の拡散が妨げられて正常結晶では生じない局所的な温度分布の異常が生じるためである。
【0064】
したがって、本変形例の方法を用いることにより、ウエハである伝熱層32a内の欠陥位置を検出することができる。さらに、予め均一な材料を想定した熱拡散のコンピュータシミュレーションを行い、シミュレーション結果と実測結果とを比較して干渉縞を解析することにより、伝熱層32aのどの深さに欠陥が存在するかを明らかにすることができる。以上により、本実施の形態に係るレーザ強度分布測定装置2をウエハの検査手法として用いることができる。
【0065】
(実施の形態3)
上記実施の形態2では、レーザ光吸収層32bを備える被測定試料32に測定用レーザ光Lmを照射して、干渉縞を観測することにより、測定対象のレーザ光Ltのビームプロファイルの測定を行うこととした。本発明に係る干渉縞の観測方法を用いることにより、被測定試料33であるウエハ上に構成された半導体回路(以下、半導体デバイス33aという。)の動作時の発熱状態を検査することもできる。本実施の形態では、半導体デバイス33aの動作時の発熱状態を測定する半導体回路評価装置3を用いた半導体回路評価方法について説明する。
【0066】
本実施の形態では、測定対象となる被測定試料33の構成が、実施の形態1と異なる。その他、測定用レーザ光Lmを被測定試料33に照射し、干渉縞を撮影する光学系の構成は、実施の形態1と同様であるので、同じ符号を付して詳細な説明は省略する。
【0067】
図8に示すように、本実施の形態に係る被測定試料33では、ウエハの一方の面である表面に半導体デバイス33aが形成されている。ウエハの材質は特に限定されず、例えば、上述の表1に例示した材料である。
【0068】
ウエハである被測定試料33の半導体デバイス33aに電圧を印加して駆動すると、チャネル部分を流れる電流によってジュール熱が生じ、この熱は被測定試料33の裏面側へ伝搬する。
【0069】
制御ユニット20の光源制御部211は、光源11のレーザ発振器11aを制御して、測定用レーザ光Lmを被測定試料33に照射する。また、カメラ制御部212は、ハイスピードカメラ16を制御して、被測定試料33で反射された測定用レーザ光Lmの干渉縞を撮影し、撮影画像データを記憶部22に記憶させる。より具体的には、半導体デバイス33aのゲート電極にミリ秒以下のパルス電圧が印可され、チャネルに電流が流れる場合、パルス電圧をセンサ17で検知して、カメラ制御部212へトリガ信号を送信する。カメラ制御部212は、受信したトリガ信号により、高フレームレートのハイスピードカメラ16を制御して、干渉縞を撮影する。これにより、半導体デバイス33aのチャネル部近傍の温度分布を可視化することができる。
【0070】
また、制御部21は、実施の形態1と同様に、予め取得され、記憶部22に記憶されているウエハの熱光学係数、反射率の温度特性等と、撮影された干渉縞の画像とに基づいて、被測定試料33の温度分布を算出し、温度の測定結果を記憶部22に記憶させるとともに、表示部23へ表示させる。さらに、評価部213は、予め取得され、記憶部22に記憶されている半導体デバイス33aが正常である場合の温度分布と、撮影された干渉縞に基づく温度分布とを比較することにより、半導体デバイス33aが正常であるか否かを評価する。そして、制御部21は、評価結果を記憶部22に記憶させるとともに、表示部23へ表示させる。
【0071】
以上、説明したように、本実施の形態に係る半導体回路評価装置3によれば、半導体デバイスの動作時の過渡的発熱を、測定用レーザ光Lmの干渉縞を用いて、高速で精度よく測定することができる。これにより、デバイス動作時の過渡的発熱を可視化し、半導体デバイス33aが正常であるか否か評価することができる。
【0072】
より具体的には、従来、サーモグラフィを顕微鏡に取り付けたエミッション顕微鏡を用いてデバイス表面の温度が測定されていた。しかしながら、エミッション顕微鏡は、一般的に、撮像素子のフレームレートの高速化が難しく、ミリ秒以下の時間での過渡的温度変化を測定することは難しい。本実施の形態に係る半導体回路評価装置3では、測定用レーザ光Lmの干渉縞の画像を撮影して被測定試料33の温度分布を測定するので、フレームレートの高速化が容易で、ミリ秒以下の時間での過渡的な温度変化を測定することも可能である。
【0073】
また、エミッション顕微鏡は、デバイス表面の温度を放射率に基づいて測定するので、測定表面の材料が異なる放射率を有する場合、正確な温度を測定することは難しい。さらに、発熱箇所であるチャネル部はウエハ内部にあるため、この場所の温度を直接的に観測することは困難である。したがって、一般的に、デバイス内部での過渡的発熱は、コンピュータシミュレーションを用いて推定されているが、実際の半導体デバイス33aの動作による温度変化を正確に再現することは困難である。
【0074】
本実施の形態に係る半導体回路評価装置3では、半導体デバイス33aが形成された側と反対側のウエハ裏面に測定用レーザ光Lmを照射して、ウエハ内部で多重反射された測定用レーザ光Lmを用いて温度を測定するので、ウエハ表面に放射率の異なる材料が存在する場合であっても、精度よく温度を測定することができる。また、ウエハ内部の屈折率変化に基づいて測定を行うので、ウエハ内部で生じる発熱についても精度よく測定することができる。
【0075】
本実施の形態では、1個の半導体デバイス33aの動作時の温度を測定することとしたが、これに限られない。例えば、同一のデバイス駆動条件において生じる干渉縞を順次観測すれば、干渉縞の異常から不良デバイスを特定することができる。具体的には、被測定試料33に形成された半導体デバイス33aをパルス駆動しつつ、各半導体デバイス33aの位置に対応する裏面の干渉縞を撮影する。この場合、図9に示すように、各半導体デバイス33aの状態によって、観測される干渉縞に差異が生じる。より具体的には、正常な半導体デバイス33a(Dn)に係る干渉縞は大凡同様である。また、断線等により通電していない半導体デバイス33a(De1)では干渉縞が生じない。また、半導体デバイス33a内部で短絡が生じている場合(De2)、半導体デバイス33aが高温となるため、観測される干渉縞の数が多くなる。また、例えばソース電極部でコンタクト抵抗が著しく高くなっている場合(De3)、発熱位置が正常な半導体デバイス33aの場合と比較してずれるので、干渉縞の位置がずれて観測される。
【0076】
上記のように、干渉縞の状態から半導体デバイス33aが正常であるか否か評価できるとともに、不良原因を明らかにすることができる。したがって、ウエハ上のデバイスを駆動しつつ、図8に示す半導体回路評価装置3を被測定試料33であるウエハに対して順次移動して干渉縞画像を取得することにより、半導体デバイス33aの不良を検出することができる。この場合、評価部213は、各半導体デバイス33aについて、予め記憶部22に記憶されている正常なデバイスの温度分布と、測定された干渉縞から算出された温度分布とを比較することにより、半導体デバイス33aが正常であるか否かを評価すればよい。
【産業上の利用可能性】
【0077】
本発明は、高速かつ高精度に被測定試料の温度分布を測定する温度測定装置に好適である。特に、短時間で急速に温度変化が生じる半導体ウエハの熱処理時の温度変化を測定する温度測定装置に好適である。
【符号の説明】
【0078】
1 温度測定装置、2 レーザ強度分布測定装置、3 半導体回路評価装置、11 光源、11a レーザ発振器、11b 反射鏡、11c ビームエキスパンダ、14 ビームスプリッタ、15 バンドパスフィルタ、16 ハイスピードカメラ、16a カメラ本体、16b 対物レンズ、17 センサ、20 制御ユニット、21 制御部、211 光源制御部、212 カメラ制御部、213 評価部、22 記憶部、23 表示部、24 入力部、31,32,33 被測定試料、32a 伝熱層、32b レーザ光吸収層、33a 半導体デバイス、41 プラズマ装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9