(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
H05B 47/125 20200101AFI20240619BHJP
H05B 47/13 20200101ALI20240619BHJP
H05B 45/12 20200101ALI20240619BHJP
F21S 2/00 20160101ALI20240619BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20240619BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240619BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240619BHJP
【FI】
H05B47/125
H05B47/13
H05B45/12
F21S2/00 621
F21V23/00 113
F21V23/00 140
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2020164888
(22)【出願日】2020-09-30
【審査請求日】2023-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】中村 直記
(72)【発明者】
【氏名】永縄 大宜
(72)【発明者】
【氏名】五味 広祐
【審査官】安食 泰秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-084454(JP,A)
【文献】韓国公開特許第2015-0065305(KR,A)
【文献】特開2019-121520(JP,A)
【文献】特開2013-120696(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0238396(US,A1)
【文献】特開2009-272147(JP,A)
【文献】特開2012-048860(JP,A)
【文献】特開2013-164916(JP,A)
【文献】特開2009-238529(JP,A)
【文献】特開2017-073388(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/125
H05B 47/13
H05B 45/12
F21S 2/00
F21V 23/00
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ付きのカメラと、
被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、前記カメラのレンズから入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサーと、
行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた複数の照明モジュールと、
前記センサーからの前記データに応じて前記複数の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面に光を照射した際、前記第1対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±20%以内となるように前記複数個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備え、
前記照明モジュールは、少なくとも第1発光装置と第2発光装置を持つ第1照明モジュールと、少なくとも第3発光装置と第4発光装置を持つ第2照明モジュールと、を有し、
前記第1照明モジュールから所定の距離離れた前記第1対象面に光を照射した際、前記第1対象面における光の重なり部分において、前記第1発光装置から前記第1発光装置が照射する前記第1対象面までの第1距離が、前記第2発光装置から前記第2発光装置が照射する前記第1対象面までの第2距離よりも長いとき、前記第1発光装置の光量を前記第2発光装置の光量よりも低くしており、
前記第2照明モジュールは、前記第1照明モジュールの前記第1発光装置側にて隣り合い、
前記第2照明モジュールから所定の距離離れた前記第1対象面に光を照射した際、前記第1対象面における光の重なり部分において、前記第3発光装置から前記第3発光装置が照射する前記第1対象面までの第3距離が、前記第4発光装置から前記第4発光装置が照射する前記第1対象面までの第4距離よりも長いとき、前記第3発光装置の光量は前記第4発光装置の光量よりも低くしている照明装置。
【請求項2】
レンズ付きのカメラと、
被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、前記カメラのレンズから入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサーと、
行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた複数の照明モジュールと、
前記センサーからの前記データに応じて前記複数の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面に光を照射した際、前記第1対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±20%以内となるように前記複数個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備え、
前記照明モジュールは、少なくとも第3照明モジュール、第4照明モジュール、第5照明モジュールを有し、
前記第4照明モジュールに対し、線対称で、前記第3照明モジュール、前記第5照明モジュールが配置され、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール、前記第4照明モジュール、前記第5照明モジュールのそれぞれからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール及び前記第4照明モジュールからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、
前記第1対象面において、前記第5照明モジュール及び前記第4照明モジュールからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、が、±20%以内であり、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール、前記第4照明モジュール、前記第5照明モジュールのそれぞれからの光の重なり部分における前記第4照明モジュールからの光量は、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール及び前記第4照明モジュールからの光の重なり部分における前記第4照明モジュールからの光量よりも低くする照明装置。
【請求項3】
前記照明モジュールと前記第1対象面との間に第2対象面を想定した際、前記第2対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±50%以内とする請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照明装置は、前記第1対象面において式(1)で表される均斉度が80%以上である請求項1から3のいずれか一項に記載の照明装置。
均斉度(%)=((最小照度/最大照度)×100) 式(1)
【請求項5】
レンズ付きのカメラと、
被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、前記カメラのレンズから入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサーと、
行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた複数の照明モジュールと、
前記センサーからのデータに応じて前記複数の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面に光を照射した際、前記第1対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±40%以内となるように前記複数個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備え、
前記照明モジュールと前記第1対象面との間に第2対象面を想定した際、前記第2対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±30%以内であり、
前記照明モジュールは、少なくとも第3照明モジュール、第4照明モジュール、第5照明モジュールを有し、
前記第4照明モジュールに対し、線対称で、前記第3照明モジュール、前記第5照明モジュールが配置され、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール、前記第4照明モジュール、前記第5照明モジュールのそれぞれからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール及び前記第4照明モジュールからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、
前記第1対象面において、前記第5照明モジュール及び前記第4照明モジュールからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、が、±20%以内であり、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール、前記第4照明モジュール、前記第5照明モジュールのそれぞれからの光の重なり部分における前記第4照明モジュールからの光量は、
前記第1対象面において、前記第3照明モジュール及び前記第4照明モジュールからの光の重なり部分における前記第4照明モジュールからの光量よりも低くする照明装置。
【請求項6】
前記照明装置は、前記第1対象面において式(1)で表される均斉度が60%以上であり、
前記第2対象面において前記式(1)で表される均斉度が80%以上である請求項5に記載の照明装置。
均斉度(%)=((最小照度/最大照度)×100) 式(1)
【請求項7】
前記第1対象面と前記第2対象面との間に第3対象面を想定した際、
前記第3対象面において前記式(1)で表される均斉度が70%以上である請求項6に記載の照明装置。
【請求項8】
前記照明モジュールと前記第2対象面との間に第4対象面を想定した際、
前記第4対象面において前記式(1)で表される均斉度が80%以上である請求項6又は7に記載の照明装置。
【請求項9】
1個の前記照明モジュールの照射角度は30度以上60度以下である請求項1から8のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項10】
前記発光装置は、半導体発光素子と波長変換部材とを有する請求項1から9のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項11】
前記発光装置は、色温度の異なる二種以上から構成されている請求項1から10のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項12】
前記照明モジュールは、前記発光装置からの配向を狭めるロッドレンズを含む請求項1から11のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項13】
前記第2対象面は、前記第1対象面から1.5mの高さである請求項
3若しくは請求項5、又は、請求項3若しくは請求項5を引用する請求項6、9から12のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項14】
前記第3対象面は、前記第1対象面から1mの高さである請求項7に記載の照明装置。
【請求項15】
前記第4対象面は、前記第1対象面から1.69mの高さである請求項8に記載の照明装置。
【請求項16】
前記照明モジュールは、行列状又は千鳥状に配置されている請求項1から15のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項17】
前記被対象物に画定される前記複数の測定箇所には、赤外線発光体又は紫外線発光体が設けられている請求項1から16のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項18】
前記被対象物に画定される前記複数の測定箇所に応じて、前記照明モジュールから照射される照射範囲が異なる請求項1から17のいずれか一項に記載の照明装置。
【請求項19】
前記照明装置は、さらに紫外線レーザーまたは赤外線レーザーを備え、
前記紫外線レーザーまたは前記赤外線レーザーが発した紫外光又は赤外光を前記カメラと前記センサーにて検知し、被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出する請求項1から18のいずれか一項に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、照明装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TVスタジオや劇場舞台などの演出空間において用いられる照明装置が知られている。近年では、LEDなどを光源として用いた照明装置が知られている。特許文献1には、光源と、ロッドレンズと、リフレクタと、投影レンズ系と、を備えた照明装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本実施形態は、被対象物の高さに応じて照度ムラを低減することができる高効率の照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る照明装置は、レンズ付きのカメラと、被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、前記カメラのレンズから入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサーと、行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた複数の照明モジュールと、前記センサーからのデータに応じて前記複数の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面に光を照射した際、前記第1対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±20%以内となるように前記複数個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備える。
【0006】
本発明の他の態様に係る照明装置の一つは、レンズ付きのカメラと、被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、前記カメラのレンズから入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサーと、行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた複数の照明モジュールと、前記センサーからのデータに応じて前記複数の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面に光を照射した際、前記第1対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±40%以内となるように前記複数個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備え、前記照明モジュールと前記第1対象面との間に第2対象面を想定した際、前記第2対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±30%以内とする。
【発明の効果】
【0007】
本実施形態は、被対象物の高さに応じて照度ムラを低減することができる高効率の照明装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1実施形態に係る照明モジュールを示す概略斜視図である。
【
図2】第1実施形態に係る照明モジュールを示す概略断面図である。
【
図3】第1実施形態に係る照明モジュールの一部を示す概略斜視図である。
【
図4】第1実施形態に係る照明モジュールの内部における発光装置と制御装置とを示す概略平面図である。
【
図5】第1実施形態に係る発光装置とロッドレンズとの配置を示す概略断面図である。
【
図6】第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す写真である。
【
図7】第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
【
図8】第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
【
図9】第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
【
図10】第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の第1対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図11】第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第2対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図12】第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第3対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図13】第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
【
図14】第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際における出射付近の光の状態を示す、
図13の部分拡大図である。
【
図15】第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の第1対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図16】第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第2対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図17】第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第3対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図18】第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
【
図19】第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際における出射付近の光の状態を示す、
図18の部分拡大図である。
【
図20】第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の第1対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図21】第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第2対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図22】第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第3対象面における照射の断面強度を示す図である。
【
図23】照明モジュールを行列状に配置した照明装置の概略図である。
【
図24】実施例及び比較例の照明装置の投射条件を示す概略図である。
【
図25】実施例1における照射状態を示す写真である。
【
図26】実施例1における照射の断面強度を示す図である。
【
図27】比較例1における照射状態を示す写真である。
【
図28】比較例1における照射の断面強度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態に係る照明装置及びその製造方法を説明する。なお、以下の説明において参照する図面は、実施形態を概略的に示したものであるため、各部材のスケールや間隔、位置関係などが誇張、あるいは、部材の一部の図示が省略されている場合がある。また、平面図とその断面図において、各部材のスケールや間隔が一致しない場合もある。また、以下の説明では、同一の名称及び符号については原則として同一又は同質の部材を示しており、詳細な説明を適宜省略することとする。また、本明細書において、「上」、「下」などは構成要素間の相対的な位置を示すものであって、絶対的な位置を示すことを意図したものではない。
【0010】
色名と色度座標との関係、光の波長範囲と単色光の色名との関係等は、JIS Z8110に従う。具体的には、380nm~410nmが紫色、410nm~455nmが青紫色、455nm~485nmが青色、485nm~495nmが青緑色、495nm~548nmが緑色、548nm~573nmが黄緑色、573nm~584nmが黄色、584nm~610nmが黄赤色、610nm~780nmが赤色である。
【0011】
本明細書においては、380nmよりも短波長のものを紫外線領域とし、200nm~380nmを近紫外線、10nm~200nmを遠紫外線とする。780nm~1mmを赤外線とする。
【0012】
照明装置の高さは、例えば劇場舞台における一例として4.5mで説明するが、3m以上20m程度でも使用でき、これに限定されない。
【0013】
第1対象面は、例えば劇場舞台における床面である。第2対象面は、第1対象面から1.5mの高さであり、例えば劇場舞台における床面から1.5mの高さにある平面とする。例えば、約170cmの身長の人を例に取ると、顔の高さが約150cmに相当する。第3対象面は、第1対象面から1mの高さであり、例えば劇場舞台における床面から1mの高さにある平面とする。例えば、170cmの身長の人を例に取ると、腹の高さが約100cmに相当する。第4対象面は、第1対象面から1.69mの高さであり、例えば、約170cmの身長の人に相当する。
【0014】
第1実施形態
第1実施形態に係る照明装置について、図面を用いて説明する。
図1は、第1実施形態に係る照明モジュールを示す概略斜視図である。
図2は、第1実施形態に係る照明モジュールを示す概略断面図である。
図3は、第1実施形態に係る照明モジュールの一部を示す概略斜視図である。
図4は、第1実施形態に係る照明モジュールの内部における発光装置と制御装置とを示す概略平面図である。
図5は、第1実施形態に係る発光装置とロッドレンズとの配置を示す概略断面図である。
図6は、第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す写真である。
図1は、4個の照明モジュールを1つのボックスに配置した灯具を示す。1つの灯具に対して照明モジュールは1個とは限らず、複数個設けても良い。
【0015】
第1実施形態に係る照明装置100は、レンズ65付きのカメラ60と、被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、カメラ60のレンズ65から入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサー70と、行列状又は千鳥状に複数個の発光装置10を並べた複数の照明モジュール50と、センサー70からのデータに応じて複数の照明モジュール50から所定の距離離れた第1対象面R1に光を照射した際、第1対象面R1における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±20%以内となるように複数個の発光装置10の光量をそれぞれ調整する制御装置30と、を備える。カメラ60のレンズ65を介してセンサー70により被対象物を検出することにより、被対象物の高さや大きさ等に応じた照度ムラを低減することができる高効率の照明装置を提供することができる。ここで「単位面積当たり」は、200mm×200mmの正方形とする。但し、照明モジュールから第1対象面までの距離に応じて100mm×100mmから1000mm×1000mm等としてもよい。
【0016】
被対象物は人に限られず、動物、物など何でもよい。例えば、被対象物が人である場合でも子供や大人など身長や大きさが異なるため、適切な照射ができないことがある。例えば、170cmの大人の顔に対して斜め上方向から照明装置により照射した場合、150cmから170cmの高さに光を照らすこととなる。一方、その170cmの大人に代わって120cmの子供が同じ位置にきた場合は、同じ高さに照射された光は、子供の顔だけでなく全身にも光が照らされないこととなる。また同じような状況において、その170cmの大人に代わって200cmの身長を有する大人が同じ位置にきた場合も、同じ高さに照射された光は、200cmの身長を有する大人の胸部から腹部付近に光が照射され、180cmから200cmの高さの顔の位置あたりに光が照らされないこともある。そのため、被対象物の高さや大きさが変化した場合に、照射対象が変動するにも関わらず、照射位置を一定の高さとしているのでは、被対象物を適切に照射することができない。よって、本開示は被対象物の高さや大きさ、位置や動きに応じて適切な照射位置となるように調整可能な照明装置を提供する。
【0017】
被対象物の高さや大きさを検出するため、レンズ65付きのカメラ60を用意する。カメラ60は、被対象物に照射された光や被対象物以外の周囲の光を、レンズ65を介して入射させる。カメラ60のレンズ65から入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、制御装置30にデータ転送を行うセンサー70をカメラ60と組み合わせて使用する。カメラ60とセンサー70とは同じ筐体に配置することが好ましいが、カメラ60とセンサー70とを別に配置してもよい。カメラ60は被対象物を検出し易い位置、例えば、被対象物の上方向や斜め上方、横方向、前方向、後方向、斜め下方などに配置してもよい。カメラ60は1個に限られず、複数個使用しても良く、カメラ60の大きさも特に限定されない。カメラ60のレンズ65も凸レンズ、凹レンズなどを使用することができ、レンズの形状や枚数は限定されない。
【0018】
カメラ60が検出する被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置は、任意に設定することができ、人や動物であれば頭や顔、胸部、腹部、両手、両肘、両足、両膝、動物であれば尻尾、羽などである。この空間位置は、二次元に限られず、三次元として検出することが好ましい。被対象物は上下左右前後に動くため、空間位置が移動するためである。
【0019】
1個の照明モジュール50は、基板20上に行列状又は千鳥状に複数個の発光装置10を並べている。複数個の発光装置10は、二次元マトリックス状に配置してもよい。また、基板20上であり、発光装置の外周に制御装置30を配置している。この制御装置30は照明モジュール50内に配置しても良いが、照明モジュール50とは別に配置してもよい。基板20上に配置された複数個の発光装置10に対して、それぞれロッドレンズ25が配置されている。ロッドレンズ25は発光装置10からの配向を狭める役割を有していたり、発光装置10からの光を均一にする役割を有していたりする。ロッドレンズ25は、発光装置に対向する入射面と、入射面から入った光を外部に放出する出射面と、を有する。ロッドレンズ25は入射面よりも出射面が広い面積を有しているテーパー状になっているものを使用することができる。1個のロッドレンズ25は1個の発光装置10に対して設けられているが、1個のロッドレンズ25に対し複数個の発光装置10を設けても良い。ロッドレンズ25は複数個の発光装置10に対して複数個のロッドレンズ25を設ける他、入射面が複数あり、出射面が1つであるロッドレンズユニットを形成していてもよい。ロッドレンズユニットとすることにより発光装置10それぞれにロッドレンズ25を個別に取り付けなくても良いため、発光装置10にロッドレンズ25を簡易に配置することができる。発光装置10とロッドレンズ25は隙間をあけて配置してもよく、直接接合してもよい。照明モジュール50は発光装置10の上部にレンズ40を配置する。レンズ40は凸レンズ又は凹レンズの他、複数枚のレンズを組み合わせて使用することができる。レンズ40は、固定式、可変式のいずれでもよい。
【0020】
発光装置10の個数は照射する第1対象面R1の広さに応じて適宜設定できるが、例えば6×6個や、8×8個、10×10個、6×10個、10個×20個などとすることができる。行列状又は千鳥状に並べられた発光装置は正方形や矩形に限られず、三角形、五角形、六角形などの多角形や、台形や平行四辺形、略円形、略楕円形などの形態を取ることもできる。発光装置は、発光ダイオードなどのような半導体発光素子のみでも良いが、半導体発光素子に波長変換部材を配置したものでも良い。半導体発光素子と波長変換部材との組み合わせにより白色や昼白色の他、暖色系、寒色系、青色、緑色、黄色、赤色等の多色も実現することができる。複数個の発光装置は、色温度の異なる二種以上から構成されていることが好ましい。
【0021】
例えば、3個の照明モジュールを使った照明装置を使って第1対象面R1である劇場舞台の床面を照射した際に、照度ムラが小さく、高効率の照明装置を提供することができる。舞台照明で使用するサスペンションライトは、通常、配向の広い照明モジュールの方が照度ムラを生じさせにくいが、配向が広いために照射しようとする出演者や照射対象物以外も照射してしまうことが生じている。一方で配向を狭くし、光を重ね合わせると照度ムラが生じやすい。それに対し、本実施形態に係る照明装置は、配向を狭く、かつ、光を重ね合わせたとしても高い光束を持ちつつ照度ムラが生じにくい形態となっている。発光装置を個別駆動させることで第1対象面R1における照度ムラを低減することができる。
【0022】
第1実施形態に係る照明装置について、2個の照明モジュールを使った照明装置を例にとって説明する。発明を説明する便宜上、照明モジュールを2個としているが、照明装置はこの個数に限定されない。
図7は、第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
【0023】
照明装置と第1対象面R1との距離が変動しない場合は第1対象面R1を基準面としてもよく、照明装置と第1対象面R1との距離が変動する場合と同様、第1対象面R1を被対象物に画定される空間位置の一つとしてもよい。ここではX軸方向と、X軸方向に直交するY軸方向と、で画定される平面を基準面とし、X軸Y軸平面に対して直交する方向をZ軸方向とする。
【0024】
照明装置100は、1個のレンズ65付きカメラ60と、1個のセンサー70と、2個の制御装置30と、2個の照明モジュール50を有する。センサー70はカメラ60内に配置されている。被対象物として人を例にとって説明する。被対象物に光が照射され、その被対象物から反射された光や被対象物以外の周囲の光をカメラ60のレンズ65を通して入射させる。センサー70は、カメラ60のレンズ65から入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、制御装置30にデータ転送を行う。センサー70は、レンズ65から入射された光により被対象物に画定される少なくとも2つの測定箇所の個々の空間位置を検出する。ここでは被対象物である人の顔を1つ目の測定箇所とし、腹部を2つ目の測定箇所とする。170cmの人が立っているときの足下である0cmと、顔の位置である150cmと、腹部の位置である100cmと、の高さと、人が立っている場所と、のそれぞれのX,Y,Z座標を画定する。座標はmm単位として換算する。例えば、170cmの人が立っているときの足下の座標を(X,Y,Z)=(0,0,0)とし、顔の位置である150cmの座標を(X,Y,Z)=(0,0,1500)、腹部の位置である100cmの座標を(X,Y,Z)=(0,0,1000)とする。第1対象面R1を基準とする第2対象面R2の高さは、第1対象面R1から例えば1.5mとする。第3対象面R3の高さは、第1対象面R1から例えば1mとする。つまり、第1対象面R1から第3対象面R3をX,Y,Z座標で表すと、第1対象面R1は(X,Y,Z)=(任意,任意,0)、第2対象面R2は(X,Y,Z)=(任意,任意,1500)、第3対象面R3は(X,Y,Z)=(任意,任意,1000)であり、それぞれ平面である。また、予め2つの照明モジュール50の位置をX,Y,Z座標として画定しておく。また、人が立ったまま前に100cm、右に100cm動いた場合、顔の位置の座標は(X,Y,Z)=(1000,1000,1500)、腹部の位置である100cmの座標は(X,Y,Z)=(1000,1000,1000)となる。このようにセンサー70からのX,Y,Z座標によるデータに応じて制御装置30が発光装置10の光量を調整し、それぞれの照明モジュール50から第1対象面R1に向けて光を照射する。2個の照明モジュール50を発光させた際、第1対象面R1において、光が重ならない部分A、Cと、光の重なり部分Bと、が生じる。仮に2個の照明モジュール50のそれぞれにおいて第1対象面R1を照射する光量が全て同じであった場合、光の重なり部分Bにおける単位面積当たりの光量は、光が重ならない部分A、Cにおける単位面積当たりの光量に対して2倍の光量となる。それに対し、本実施形態の照明装置は、個々の照明モジュール50において個々の発光装置を個別駆動させることで、照明モジュール50から第1対象面R1に照射される光量を個々の発光装置10単位で制御することができる。これにより光の重なり部分Bにおける2個の照明モジュール50からの光量の和を、光が重ならない部分A、Cの光量に近づけることができる。ここで光の重なり部分Bにおける2個の照明モジュール50から出射される光量は等しくなくてもよく、一方の照明モジュールの光量を高くし、他方の照明モジュールの光量を低くし、所定の範囲内に制御することもできる。例えば、一方の照明モジュールからの光量を大きくすることで、照射される人物等に濃淡をつけることができるからである。つまり、第1対象面R1の照度ムラはないが、人物の正面側を明るく照射し、人物の背面側を暗く照射することもできる。
【0025】
照明装置100は、第1対象面R1から所定の距離離れた第2対象面R2においても照度ムラがないことが好ましい。照明モジュール50から第1対象面R1までの距離を変えずに、第2対象面R2を高くすれば、照明モジュール50の照射角度を拡げることもできる。
【0026】
照明装置100は、第1対象面R1から所定の距離離れた第3対象面R3においても照度ムラがないことが好ましい。照明モジュール50から第1対象面R1までの距離を変えずに、第2対象面R2よりも低い位置にある第3対象面R3を基準にすることで、照明モジュール50の照射角度を狭めることができる。
【0027】
第1実施形態に係る照明装置について、2個の照明モジュールを使った照明装置を例にとって説明する。発明を説明する便宜上、照明モジュールを2つとしているが、照明装置はこの個数に限定されない。
図8は、第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
図8において第1照明モジュール、第2照明モジュールの一部を拡大しているが、説明の便宜上、誇張して示している。
図7の場合と異なり、
図8の照明装置は、照明モジュールから出射される光を照射距離や光量に応じて更に個別制御している点で異なる。
【0028】
照明モジュールは、少なくとも第1発光装置10aと第2発光装置10bを持つ第1照明モジュール51を有する。第1照明モジュール51から所定の距離離れた第1対象面R1に光を照射した際、第1対象面R1における光の重なり部分Bにおいて、第1発光装置10aから第1発光装置10aが照射する第1対象面R1までの第1距離e1が、第2発光装置10bから第2発光装置10bが照射する第1対象面R1までの第2距離e2よりも長いとき、第1発光装置10aの光量を第2発光装置10bの光量よりも低くすることが好ましい。
【0029】
照明モジュールは、少なくとも第3発光装置10cと第4発光装置10dを持つ第2照明モジュール52を有する。第2照明モジュール52は、第1照明モジュール51の第1発光装置10a側にて隣り合う。第2照明モジュール52から所定の距離離れた第1対象面R1に光を照射した際、第1対象面R1における光の重なり部分Bにおいて、第3発光装置10cから第3発光装置10cが照射する第1対象面R1までの第3距離e3が、第4発光装置10dから第4発光装置10dが照射する第1対象面R1までの第4距離e4よりも長いとき、第3発光装置10cの光量は第4発光装置10dの光量よりも低くすることが好ましい。
【0030】
これにより、第1発光装置10aの光量と第4発光装置10dの光量の和を、第2発光装置10bの光量と第3発光装置10cの光量の和と、ほぼ等しくすることができる。これにより照度ムラを低減することができる。ハロゲン球のような照明モジュールでは照射部分の個別制御ができないため、照度ムラが生じやすい。それに対し複数個の発光装置を使用し、制御装置で個別制御することにより照度ムラを低減することができる。また、カメラ60とセンサー70とを組み合わせることにより、被対象物が動いて被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を表すX,Y,Z座標が変化したとしても、その値に応じて照明モジュール50の個々の照度を制御することにより適切な照射位置を確保することができ、照度ムラを低減することができる。
【0031】
第1発光装置10aと第2発光装置10bの平面視における関係としては、複数個の発光装置の中央に近い側を第2発光装置10bとし、複数個の発光装置の外周に近い側を第1発光装置10aとしてもよい。これにより第1発光装置10aと第2発光装置10bから出射されたそれぞれの光の大部分は重ならず第1対象面R1を照射することができる。第3発光装置10cと第4発光装置10dも第1発光装置10aと第2発光装置10bの関係と同様、第3発光装置10cと第4発光装置10dの平面視における関係としては、複数個の発光装置の中央に近い側を第4発光装置10dとし、複数個の発光装置の外周に近い側を第3発光装置10cとしてもよい。これにより第3発光装置10cと第4発光装置10dから出射されたそれぞれの光の大部分は重ならず第1対象面R1を照射することができる。なお、図面では光線を直線で書いているが、所定の幅を有し、所定の範囲を照射するものである。
【0032】
光が重ならない部分A、Cと、光の重なり部分Bと、の単位面積当たりの光量は±20%以内が好ましく、±15%以内がさらに好ましく、±10%以内が特に好ましい。また、光の重なり部分B1、B2、B3のそれぞれにおいても、第1照明モジュール51からの単位面積当たりの光量が異なるため、制御装置にて個々の発光装置の光量を制御してやることが好ましい。また、光の重なり部分Bにおいても、第1照明モジュール51と第2照明モジュール52とのそれぞれの発光装置10から第1対象面R1への距離が少しずつ異なるため、距離に応じて個々の発光装置の光量を制御してやることが好ましい。
【0033】
ここで第1発光装置10a、第2発光装置10bに設けられるロッドレンズ25は、第1対象面R1に対して所定の角度傾いている構成を採ることができ、複数個の発光装置の中央に近い側の第2発光装置10bに設けられるロッドレンズ25の傾きよりも、複数個の発光装置の外周に近い側の第1発光装置10aに設けられるロッドレンズ25の傾きの方が、より傾いている構成を採ることもできる。これにより第1照明モジュール51の配向を拡げることができるからである。
【0034】
第1実施形態に係る照明装置について、3個の照明モジュールを使った照明装置を例にとって説明する。発明を説明する便宜上、照明モジュールを3つとしているが、照明装置はこの個数に限定されない。
図9は、第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
図10は、第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の第1対象面における照射の断面強度を示す図である。
図11は、第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第2対象面における照射の断面強度を示す図である。
図12は、第1実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第3対象面における照射の断面強度を示す図である。但し、
図10から
図12の断面強度はシミュレーションの結果である。
図10から
図12において、横軸は照射幅(mm)を示し、縦軸は光強度比(a.u.)を示す。カメラ60やレンズ65、センサー70、制御装置30は2個の照明モジュールの場合と同じものを使用することができる。2個の照明モジュールから3個の照明モジュールになっても、カメラ、センサー、制御装置の役割は同じである。
【0035】
照明モジュールは、少なくとも第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55を有する。第4照明モジュール54に対し、線対称で、第3照明モジュール53、第5照明モジュール55が配置される。ここでの線対称は第4照明モジュール54から第1対象面R1に最短距離で直線を引いた線を基準とする。これにより第3照明モジュール53と第4照明モジュール54までの距離と、第5照明モジュール55と第4照明モジュール54までの距離と、を等しくすることができ、照明の制御を容易にすることができる。
【0036】
第1対象面R1において、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55のそれぞれからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、第1対象面R1において、第3照明モジュール53及び第4照明モジュール54からの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、第1対象面R1において、第5照明モジュール55及び第4照明モジュール54からの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和と、が、±20%以内であることが好ましい。これにより第1対象面R1における照度ムラを低減することができる。つまり、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55のそれぞれの第1対象面R1内での光量が同じである場合、第1対象面R1において、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55のそれぞれからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和は、第1対象面R1において、第3照明モジュール53及び第4照明モジュール54からの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和よりも大きくなるはずであるが、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55のそれぞれの第1対象面R1内での光量を制御装置30により制御することで、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55のそれぞれからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和を低く抑えることができる。これにより、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55のそれぞれからの光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和を±20%以内にすることができる。ここでは、第1対象面R1における3個の照射面における光量を5%以内に抑えることができる。
【0037】
第1対象面R1において、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55のそれぞれからの光の重なり部分における第4照明モジュール54からの光量を、第3照明モジュール53及び第4照明モジュール54からの光の重なり部分における第4照明モジュールからの光量よりも低くしてもよい。これにより第3対象面R3における照度ムラを低減することができる。つまり、第3照明モジュール53及び第4照明モジュール54からの光の重なり部分を拡げ、第3照明モジュール53、第4照明モジュール54、第5照明モジュール55の光の重なり部分を狭めることで、第3対象面での光量を高くした領域を拡げることができるからである。
【0038】
第2対象面R2での均斉度は33%であり、第3対象面R3での均斉度も33%である。よって、第2対象面R2、第3対象面R3において明度と暗度とが生じている。但し、第2対象面R2における暗度の領域に対し、第3対象面R3での暗度の領域は狭くなっており、照射対象物が低いものであれば照度ムラは抑えられたものである。さらに半導体発光素子等を用いた発光装置を用いるため、照明モジュールを軽量化でき、照明装置の運搬、設置を容易にすることもできる。
【0039】
第2実施形態
第2実施形態に係る照明装置について、図面を用いて説明する。
図13は、第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
図14は、第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際における出射付近の光の状態を示す、
図13の部分拡大図である。
図15は、第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の第1対象面における照射の断面強度を示す図である。
図16は、第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第2対象面における照射の断面強度を示す図である。
図17は、第2実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第3対象面における照射の断面強度を示す図である。但し、
図15から
図17の断面強度はシミュレーションの結果である。
図15から
図17において、横軸は照射幅(mm)を示し、縦軸は光強度比(a.u.)を示す。カメラ60やレンズ65、センサー70、制御装置30は第1実施形態に係る照明装置と同じものを使用することができる。2個の照明モジュールから3個の照明モジュールになっても、カメラ、センサー、制御装置の役割は同じである。
【0040】
第1対象面を基準に、照明モジュールは4.5mの高さにあり、第2対象面は1.5mの高さにあり、第3対象面は1mの高さにある。この第2対象面、第3対象面は被対象物の高さや動きに応じて任意に変更することができる。
【0041】
第2実施形態に係る照明装置100は、レンズ65付きのカメラ60と、被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、カメラ60のレンズ65から入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサー70と、行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた複数の照明モジュール50と、センサー70からのデータに応じて複数の照明モジュール50から所定の距離離れた第1対象面R1に光を照射した際、第1対象面R1における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±40%以内、好ましくは±30%以内、更に好ましくは±20%以内となるように複数個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備える。これにより照度ムラを低減することができる高効率の照明装置を提供することができる。
【0042】
被対象物に画定される複数の測定箇所には、赤外線発光体又は紫外線発光体80を設けることができる。被対象物に画定される複数の測定箇所は、例えば、顔の鼻の位置、腹部、手とする。これにより舞台が暗転したとしても、被対象物の人が移動したり、しゃがんだり、両手を広げたりしても、被対象物を適切に照射することができる。
【0043】
また、カメラ60及びセンサー70と共に赤外線レーザー又は紫外線レーザー90を備えることにより、赤外線発光体又は紫外線発光体を設けていない場合でも、被対象物である人を認識することができる。また被対象物に画定される複数の測定箇所を検知することができる。
【0044】
第2実施形態に係る照明装置100は、説明を簡略化するため3個の照明モジュール50で説明する。第1実施形態に係る照明装置と異なり、第2実施形態に係る照明装置は、光の重なり部分において両端の照明モジュールの一部と、中央の照明モジュールと、の照度を細かく設定している。複数個の発光装置の照度を細かく設定することにより光の重なり部分Bにおいても照度ムラを更に低減することができる。例えば、光が重ならない部分における両端の照明モジュールからの光量を100%とした場合、中央の照明モジュールにおける中央付近の光量は65%であり、外周に向かうに従って63%、50%、37%、24%、11%と光量が下がっていく。また両端の照明モジュールにおいて光の重なり部分における外周から中央に向かうに従って、11%、24%、37%、50%、63%、76%、89%、100%と光量は上がっていく。しかし、3個の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面R1における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和は、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量とほぼ同じである。つまり、第1対象面R1において、中央の照明モジュールからの光量が65%であり、右側の照明モジュールからの光量が11%で、左側の照明モジュールからの光量が24%であると、合計100%となる。同様に、中央の照明モジュールからの光量が63%であり、右側の照明モジュールからの光量が37%であると、合計100%となる。中央の照明モジュールからの光量が37%であり、右側の照明モジュールからの光量が63%であると、合計100%となる。さらに、中央の照明モジュールからの光量が24%であり、右側の照明モジュールからの光量が76%であると、合計100%となる。よって、第1対象面R1においては、照度ムラが生じにくくなっている。
【0045】
照明モジュール50と第1対象面R1との間に第2対象面R2を想定した際、第2対象面R2における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±50%以内、好ましくは40%以内とすることが好ましい。これにより第2対象面R2においても照度ムラを低減することができる。
【0046】
第1対象面R1と第2対象面R2との間に第3対象面R3を想定した際、第3対象面R3における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±50%以内、好ましくは40%以内とすることが好ましい。これにより第3対象面R3においても照度ムラを低減することができる。このように発光装置の光量を細かく設定することにより、第1対象面R1のみでなく、第2対象面R2、第3対象面R3においても照度ムラを低減することができ、均一な照射を行うことができる。つまり、明度と暗度との光量の差が40%以内に抑えられるため極端に暗い部分をなくすことができる。また、第2対象面R2から第1対象面R1に近づくにつれて照度ムラを低減させることができる。
【0047】
照明装置は、第1対象面R1において式(1)で表される均斉度が80%以上であることが好ましい。
均斉度(%)=((最小照度/最大照度)×100) 式(1)
【0048】
ここで「均斉度」とは、照度分布の均一さの指標である。均斉度が大きいほど明るさが均一であることを示す。
【0049】
ここでは、第1対象面R1における均斉度は100%である。但し、シミュレーションの結果であるため、現実の均斉度は少なくとも90%以上、好ましくは95%以上であると思われる。
【0050】
照明装置は、第2対象面R2及び第3対象面R3においても式(1)で表される均斉度が60%よりも高い値になっている。
【0051】
また、第2対象面R2及び第3対象面R3において隣り合う照射領域の明暗の差が小さくなることで照度ムラを低減することができる。つまり、第2対象面R2では照射幅が±1200mm以内であれば明度と暗度の光量の差は20%以内である。また第3対象面R3では中央付近の±300mm以内を除いて照射幅が±300mm以上±1500mm以内であれば明度と暗度の光量の差は20%以内である。
【0052】
よって、照射対象物の高さを考慮して照明モジュールからの照射幅や光の重なり具合を調整することにより照射対象物における照度ムラを低減することができる。
【0053】
第3実施形態
第3実施形態に係る照明装置について、図面を用いて説明する。
図18は、第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した状態を示す概略図である。
図19は、第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際における出射付近の光の状態を示す、
図18の部分拡大図である。
図20は、第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の第1対象面における照射の断面強度を示す図である。
図21は、第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第2対象面における照射の断面強度を示す図である。
図22は、第3実施形態に係る照明装置から第1対象面に光を照射した際の仮想の第3対象面における照射の断面強度を示す図である。但し、
図20から
図22の断面強度はシミュレーションの結果である。
図20から
図22において、横軸は照射幅(mm)を示し、縦軸は光強度比(a.u.)を示す。
図16と
図17との比較のために
図21と
図22の光強度比は
図16と
図17の光強度比に対する値である。カメラ60やレンズ65、センサー70、制御装置30は第1実施形態に係る照明装置と同じものを使用することができる。2個の照明モジュールから3個の照明モジュールになっても、カメラ、センサー、制御装置の役割は同じである。
【0054】
第1対象面を基準に、照明モジュールは4.5mの高さにあり、第2対象面は1.5mの高さにあり、第3対象面は1mの高さにある。この第2対象面、第3対象面は被対象物の高さや動きに応じて任意に変更することができる。
【0055】
第3実施形態に係る照明装置100は、レンズ65付きのカメラ60と、被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出するため、カメラ60のレンズ65から入射した光を検出し、搭載された光量センサーが電気信号に変換し、データ転送を行うセンサー70と、行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた複数の照明モジュール50と、センサー70からのデータに応じて複数の照明モジュール50から所定の距離離れた第1対象面R1に光を照射した際、第1対象面R1における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±40%以内、好ましくは±30%以内となるように複数個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備える。照明モジュール50と第1対象面R1との間に第2対象面R2を想定した際、第2対象面R2における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±30%以内とする。これにより照度ムラを低減することができる高効率の照明装置を提供することができる。
【0056】
第3実施形態に係る照明装置100は、説明を簡略化するため3個の照明モジュール50で説明する。第2実施形態に係る照明装置と異なり、第3実施形態に係る照明装置は、光が重ならない部分を照射する両端の照明モジュールの一部の光量を低くしている。つまり、第2対象面R2における照度ムラを低減しつつ、第1対象面R1における照度ムラも低く抑えることができる。例えば、第1対象面R1における光の重なり部分における中央の照明モジュールからの光量を100%とした場合、両端の照明モジュールにおける光が重ならない部分の光量を70%程度とする。中央の照明モジュールにおける中央付近の光量は65%であり、外周に向かうに従って63%、50%、37%、24%、11%と光量が下がっていく。また両端の照明モジュールにおいて光の重なり部分における外周から中央に向かうに従って、11%、24%、37%、50%、63%、76%、と光量が上がっていき、光が重ならない部分においては70%の光量とする。しかし、3個の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面R1における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和は、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±40%以内、好ましくは±30%程度とする。つまり、第1対象面R1において、中央の照明モジュールからの光量が65%であり、右側の照明モジュールからの光量が11%で、左側の照明モジュールからの光量が24%であると、合計100%となる。同様に、中央の照明モジュールからの光量が63%であり、右側の照明モジュールからの光量が37%であると、合計100%となる。中央の照明モジュールからの光量が37%であり、右側の照明モジュールからの光量が63%であると、合計100%となる。さらに、中央の照明モジュールからの光量が24%であり、右側の照明モジュールからの光量が76%であると、合計100%となる。一方で光が重ならない部分における右側の照明モジュールからの光量が70%である。よって、第1対象面R1においては、光量の差が±30%以内であるため、照度ムラが生じにくくなっている。
【0057】
照明モジュール50と第1対象面R1との間に第2対象面R2を想定した際、第2対象面R2における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±30%以内、好ましくは20%以内とすることが好ましい。これにより第2対象面R2においても照度ムラを低減することができる。
【0058】
第1対象面R1と第2対象面R2との間に第3対象面R3を想定した際、第3対象面R3における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±30%以内、好ましくは25%以内とすることが好ましい。これにより第3対象面R3においても照度ムラを低減することができる。このように発光装置の光量を細かく設定することにより、第1対象面R1のみでなく、第2対象面R2、第3対象面R3においても照度ムラを低減することができ、均一な照射を行うことができる。つまり、第2対象面R2における照度ムラを低減することで、第3対象面R3における照度ムラも低減することができる。また、第3対象面R3における明度と暗度との光量の差が30%以内に抑えられるため極端に暗い部分をなくすことができる。また、第3対象面R3から第2対象面R2に近づくにつれて照度ムラを低減させることができる。
【0059】
第3実施形態に係る照明装置100は、第1対象面R1において上記式(1)で表される均斉度が60%以上であり、第2対象面R2において上記式(1)で表される均斉度が80%以上であることが好ましい。
【0060】
ここでは、第1対象面R1における均斉度は約70%である。第2対象面R2における均斉度は約80%である。但し、シミュレーションの結果であるため、現実の均斉度には多少のばらつきはあると思われる。
【0061】
第1対象面R1と第2対象面R2との間に第3対象面R3を想定した際、第3対象面R3において上記式(1)で表される均斉度が70%以上であることが好ましい。これにより第3対象面R3においても照度ムラを低減することができる。
【0062】
照明モジュール50と第2対象面R2との間に第4対象面R4を想定した際、第4対象面R4において上記式(1)で表される均斉度が80%以上であることが好ましい。これにより第4対象面R4においても照度ムラを低減することができる。
【0063】
照明装置は、第2対象面R2、第3対象面R3、及び第4対象面R4においても式(1)で表される均斉度が60%よりも高い値になっている。
【0064】
また、第2対象面R2、第3対象面R3、及び第4対象面R4において隣り合う照射領域の明暗の差が小さくなることで照度ムラを低減することができる。つまり、第2対象面R2では照射幅が±2500mm以内であれば明度と暗度の光量の差は20%以内である。また第3対象面R3でも照射幅が±2500mm以内であれば明度と暗度の光量の差は25%以内である。
【0065】
よって、照射対象物の高さを考慮して照明モジュールからの照射幅や光の重なり具合を調整することにより照射対象物における照度ムラを低減することができる。
【0066】
第1から第3実施形態の照明装置において照明モジュール50は行列状又は千鳥状に配置することが好ましい。
図23は、照明モジュールを行列状に配置した照明装置の概略図である。説明の便宜上、第1対象面である床面に対して垂直方向での平面で光の重なり具合を説明したが、床面に対して平行方向での平面においても同様な光の重なりが生じる。照明装置はセンサーからのデータに応じて制御装置30のオンオフだけで照射場所を自由に選択し、被対象物の高さに応じて照度ムラなく第1対象面等を照射することができる。また、カメラ60及びセンサー70は個々の照明モジュール50の間に配置するが、カメラ60及びセンサー70を個々の照明モジュール50と一体となって配置することもできる。複数個のカメラ60を用いることにより、より正確な被対象物の空間位置を検出し、より適切な照射位置を画定することができるからである。また、被対象物である人や動物が移動した際に照明モジュールのオンオフを切り替えることで、人や動物を追尾していくこともできる。
【0067】
1個の照明モジュールの照射角度は30度以上60度以下であることが好ましい。配向を狭くすることができるからである。
【0068】
被対象物に画定される複数の測定箇所に応じて、照明モジュールから照射される照射範囲を異ならせてもよい。例えば、舞台中央と舞台上手、舞台下手では照明モジュールからの照射角度が異なり、照射範囲が狭くなったり広くなったりすることがある。例えば、被対象物である人が舞台中央から舞台下手に移動したとき(x軸方向に移動)に、被対象物を照射する照明モジュールからの照射角度が舞台中央と舞台下手とでは異なってくることから、被対象物を同じ感じで照射することが難しくなることがある。その場合に、舞台中央では照明モジュールからの照射範囲を狭くし、舞台下手では照明モジュールからの照射範囲を広くすることで、結果として、照明モジュールから照射される被対象物を同じ感じで照射することができる。
【0069】
また、被対象物の空間位置の検出を1点とした場合であっても、照射範囲を所定の範囲とすることで適切な照射位置を確保することができる。例えば、被対象物の人の鼻の位置を検出する場合、照射位置を顔や肩も含めた範囲とすることで、空間位置が変わったとしても適切に照射することができる。
【0070】
さらに、被対象物に画定される複数の測定箇所には、赤外線発光体又は紫外線発光体80を設けてもよい。このときカメラ60は赤外線センサーカメラ又は紫外線センサーカメラを用いることが好ましい。
【0071】
以下、各構成要素について詳述する。
照明モジュール
【0072】
例えば、照明モジュールは、基板上に複数個の発光装置を行列状又は千鳥状に配置している。照明モジュールは複数個であり、2個又は3個、4個等を1つの集合体とし、その1集合体を複数個用意することが好ましい。一例として、1つの集合体とした複数個の照明モジュールにて同一の領域を照射することで全体的な光量を上げることで、高い光束を得ることができる。1つの照明モジュールで明るさが足りない場合に複数個の照明モジュールを用いた集合体を用いることで明るさをより一層高くすることができる。その他の例として1個の照明モジュールで3m×3mの範囲を照射し、4個の照明モジュールの集合体で、6m×6mを照射することができる。1個の照明モジュールの照射範囲を狭くすることで細かく照射条件を設定することができる。一方、1個の照明モジュールの照射範囲を広くすることで発光装置の個数などの部品点数を減らし安価な照明モジュールを製作することもできる。
【0073】
発光装置
発光装置は発光素子のみでも良いが、半導体発光素子と波長変換部材とを組み合わせが好ましい。発光素子と波長変換部材との組み合わせでは白色や電球色、多色など種々の発光色を出すことができる。発光装置は発光素子からの光が直接又は間接的に波長変換部材に入る構成であればよく、発光素子と波長変換部材とを直接接合させてもよく、接着剤を介して接合させてもよく、又は離れて配置してもよい。例えば、リードを持ち、凹部を有するパッケージの凹部内に発光素子を配置し、発光素子を覆うように凹部内に波長変換部材を配置する発光装置を使用することもできる。また、1又は2以上の基板上に1又は2以上の発光素子を配置し、その発光素子上に1又は2以上の板状の波長変換部材を接着剤で接合し、発光素子及び/又は波長変換部材の周りを反射性部材で覆う発光装置を使用することもできる。また、基板上に発光素子を配置し、その発光素子上に波長変換部材が塗布されたガラスやセラミックスのような板状の透光性部材を接着剤で接合し、発光素子及び波長変換部材の周りを反射性部材で覆う発光装置を使用することもできる。これらの発光装置は行列状又は千鳥状に配置され、その発光装置からの光が所望の方向に出射されるようにロッドレンズを配置することもできる。1個の発光装置に1個のロッドレンズを設けることが好ましいが、1個の発光装置に複数個のロッドレンズを設けたり、複数個の発光装置に1個のロッドレンズを設けたりしてもよい。
【0074】
パッケージ
パッケージは、発光素子と、第1被覆部材と、第1透光性部材と、第2透光性部材と、を備えることができる。発光素子は第1面に一対の電極を備える。第1被覆部材は、発光素子の側面を覆うため、絶縁性であればよい。第1被覆部材は反射性が好ましいが、透光性であってもよい。反射性の第1被覆部材は、例えば、シリコーン樹脂にシリカ及び白色の酸化チタンが60wt%程度含有する部材等を用いることができ、圧縮成形、トランスファモールド、射出成形、印刷、スプレー等により形成することができる。また、第1被覆部材は板状に成形し、所定の大きさに切断し直方体とすることができる。
【0075】
板状部材の第1透光性部材の上に、液状の第2透光性部材を塗布し、複数の発光素子をそれぞれ接着する。液状の第2透光性部材は互いに分離するように形成される。各第2透光性部材は、発光素子の形状に対応して、平面視において任意の形状にすることができ、例えば、正方形、長方形、円形、楕円形が挙げられる。なお、隣接する第2透光性部材の間隔は、パッケージの外形及びパッケージの取り個数に応じて適宜設定できる。また、第2透光性部材は、板状部材の第1透光性部材の面積の70%以上を覆うように形成することが好ましい。第1透光性部材自体を波長変換部材としてもよく、樹脂やセラミックス中に波長変換部材を含有させてもよく、又は、第2透光性部材に中に波長変換部材を含有させてもよい。
【0076】
上記では発光素子と第1透光性部材とはこれらの間に存在する第2透光性部材を介して接合されているが、第2透光性部材を用いることなく直接接合することもできる。すなわち発光素子を第1透光性部材に載置した後に、この発光素子の周囲に液状の第1透光性部材を投入してもよい。
【0077】
尚、ここで「板状」とは、一又は二以上の発光素子が載置可能な大面積を備えた部材を指すものであり、例えば、シート状、膜状、層状、などの用語で言い換えてもよい。
【0078】
発光素子
発光素子としては、例えば発光ダイオード等の半導体発光素子を用いることができ、青色、緑色、赤色等の可視光を発光可能な発光素子を用いることができる。半導体発光素子は、発光層を含む積層構造体と、電極と、を備える。積層構造体は、電極が形成された側の第1面と、それとは反対側の光取り出し面となる第2面と、を備える。
【0079】
積層構造体は、発光層を含む半導体層を含む。さらに、サファイア等の透光性基板を備えていてもよい。半導体積層体の一例としては、第1導電型半導体層(例えばn型半導体層)、発光層(活性層)および第2導電型半導体層(例えばp型半導体層)の3個の半導体層を含むことができる。紫外光や、青色光から緑色光の可視光を発光可能な半導体層としては、例えば、III-V族化合物半導体等の半導体材料から形成することができる。具体的には、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y≦1)等の窒化物系の半導体材料を用いることができる。赤色を発光可能な半導体積層体としては、GaAs、GaAlAs、GaP、InGaAs、InGaAsP等を用いることができる。電極は銅が好ましい。
【0080】
第1被覆部材
第1被覆部材は、例えば、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂を主成分とする樹脂部材が好ましい。
【0081】
第1被覆部材は、光反射性の樹脂部材とすることが好ましい。光反射性の樹脂とは、発光素子からの光に対する反射率が70%以上の樹脂材料を意味する。例えば、白色樹脂などが好ましい。第1被覆部材に達した光が反射されて、発光装置の発光面に向かうことにより、発光装置の光取出し効率を高めることができる。また、第1被覆部材としては透光性の樹脂部材としてもよい。この場合の第1被覆部材は、後述の第1透光性部材と同様の材料を用いることができる。
【0082】
光反射性の樹脂としては、例えば透光性樹脂に、光反射性物質を分散させたものを使用することができる。光反射性物質としては、例えば、酸化チタン、酸化ケイ素、酸化ジルコニウム、チタン酸カリウム、酸化アルミニウム、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、ムライトなどが好適である。光反射性物質は、粒状、繊維状、薄板片状などが利用できるが、特に、繊維状のものは第1被覆部材の熱膨張率を低下させる効果も期待できるので好ましい。
【0083】
第1透光性部材
第1透光性部材は、発光素子の第2面に配置される。第1透光性部材の材料は、樹脂、ガラス等が使用できる。樹脂として、シリコーン樹脂、シリコーン変性樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂、ポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、メチルペンテン樹脂、ポリノルボルネン樹脂などの熱可塑性樹脂を用いることができる。特に、耐光性、耐熱性に優れるシリコーン樹脂が好適である。
【0084】
第1透光性部材は、上記の透光性材料に加え、波長変換部材として蛍光体を含んでもよい。蛍光体は、発光素子からの発光で励起可能なものが使用される。例えば、青色発光素子又は紫外線発光素子で励起可能な蛍光体としては、セリウムで賦活されたイットリウム
・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(YAG:Ce);セリウムで賦活されたルテチウム・アルミニウム・ガーネット系蛍光体(LAG:Ce);ユウロピウムおよび/又はクロムで賦活された窒素含有アルミノ珪酸カルシウム系蛍光体(CaO-Al2O3-SiO2:Eu,Cr);ユウロピウムで賦活されたシリケート系蛍光体((Sr,Ba)2SiO4:Eu);βサイアロン蛍光体、CASN系蛍光体、SCASN系蛍光体等の窒化物系蛍光体;KSF系蛍光体(K2SiF6:Mn);硫化物系蛍光体、ペロブスカイト、硫化鉛、カルコパイライトなどの量子ドット蛍光体などが挙げられる。これらの蛍光体と、青色発光素子又は紫外線発光素子と組み合わせることにより、様々な色の発光装置(例えば白色系の発光装置)を製造することができる。
【0085】
また、第1透光性部材には、粘度を調整する等の目的で、各種のフィラー等を含有させてもよい。
【0086】
基板
基板は配線を有する。基板の支持部材は、絶縁性材料を用いることが好ましく、かつ、発光素子から出射される光や外光などを透過しにくい材料を用いることが好ましい。基板は、ある程度の強度を有する材料であることや、シート、フレキシブル基板として用いられる材料であってもよい。具体的には、アルミナ、窒化アルミニウム、ムライトなどのセラミックス、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ビスマレイミドトリアジン樹脂、ポリフタルアミド樹脂の樹脂が挙げられる。
【0087】
カメラ
カメラ60はレンズ65を備える。カメラのレンズは1枚又は2枚以上用いてもよい。複数枚のレンズを組み合わせることで光を取り込みやすくすることができる。レンズは両凸、平凸、凸メニスカス、凹メニスカス、平凹、両凹などの形態のレンズをそれぞれ適宜組み合わせる。レンズはガラスや有機ガラスなどの透明なプラスチック類を使用することができる。
【0088】
カメラは、赤外線センサーカメラ、紫外線センサーカメラを使用することもできる。屋外においては夜であっても赤外線や紫外線が放出されているため、被対象物に照射し、反射された赤外光や紫外光を赤外線センサーカメラ、紫外線センサーカメラで読み取ることができる。また、人や動物は微弱ながら赤外線を放射しているため、その赤外線を検知することで人や動物の空間位置を画定することができる。例えば、8×8画素で赤外線を捉えることで、エリアの温度分布を検知可能となり、被対象物の動きや存在を検知することができる。被対象物の温度や着衣等含めた表面温度、壁面温度等の周囲温度を赤外線アレイセンサーにより検知することで、被対象物の空間位置を検出することができる。
【0089】
被対象物に画定される複数の測定箇所に赤外線発光体又は紫外線発光体を設けることにより、赤外線センサーカメラ又は紫外線センサーカメラで赤外光や紫外光を受光し被対象物の空間位置を画定することができる。屋内においては、照明装置に赤外光や紫外光が含まれていない場合、完全に消灯すると被対象物の位置を特定することができない。一方で被対象物の空間位置に可視光を発する発光体を用いると、暗闇を実現することが難しい。それに対し、被対象物に画定される複数の測定箇所に赤外線発光体又は紫外線発光体を設け、赤外光や紫外光を受光できる赤外線センサーカメラや紫外線センサーカメラを用いることで、暗闇を実現しつつ、被対象物の空間位置を容易に特定することができ、適切な照射位置を画定することができる。
【0090】
さらに、カメラとセンサーとを組み合わせたものとして、ライダー(Light detection and ranging、Laser Imaging Detection and Ranging:以下、Lidarという)を用いることもできる。Lidarは光を用いたリモートセンシング技術の一つで、パルス状に発光するレーザー照射に対する散乱光を測定し、被対象物の高さや大きさなどを分析するものである。このレーザーは視認できない近紫外光や赤外光を用いることで被対象物に有色の光が照射されることなく被対象物の高さ等を分析することができる。また、赤外光を用い、低出力(1Wのオーダー)のレーザーを用いることで目を防護し失明を回避することができる。このように、照明装置は、カメラ、センサー、照明モジュール、制御装置に加え、さらに紫外線レーザーまたは赤外線レーザーを備えてもよい。この紫外線レーザーまたは赤外線レーザーが発した紫外光又は赤外光をカメラとセンサーにて検知し、被対象物に画定される複数の測定箇所の個々の空間位置を検出することができる。
【0091】
センサー
センサーとしてシーモス(Complementary Metal Oxide Semiconductor:以下CMOSという)イメージセンサーやシーシーディー(Charge Coupled Device:以下CCDという)イメージセンサー、メムス(Micro Electro Mechanical Systems:以下MEMSという)等を用いることができる。CMOSイメージセンサーは、CMOSを用いた固体撮像素子であり、CCDイメージセンサーと同様にフォトダイオード(PD)を使用するが、製造プロセスと信号の読み出し方法が異なる。MEMSは、機械要素部品、センサー、アクチュエータ、電子回路を一つのシリコン基板、ガラス基板、有機材料からなる基板などの上に微細加工技術によって集積化したデバイスを指す。CCDイメージセンサーも固体撮像素子の一つであり、ビデオカメラ、デジタルカメラ、光検出器などに広く使用されている半導体素子である。センサーは、カメラ内に配置することが好ましいが、ミラーやファイバー等を介してカメラとは別に配置することもできる。カメラ内にセンサーを配置すると照明モジュールからの光により誤作動を生じるおそれを低減することができる。
【0092】
制御装置
制御装置としてマイクロ・コントロール・ユニット(Micro Control Unit:以下MCUともいう)が組み込まれている。MCUは一つの集積回路にコンピュータシステムをまとめた、組み込み用のマイクロプロセッサのことである。制御装置は、発光装置が配置される基板上にMCUを配置しても良いが、照明モジュールとは別にMCUを配置することが好ましい。舞台上の出演者の動きや立ち位置や照射対象物の位置に合わせて複数個の発光装置をオンからオフまで調光することで上述のような照度ムラが少ない照明装置を実現することができる。
【0093】
ロッドレンズ
ロッドレンズは発光装置からの光を外部に放出する役割を有する。ロッドレンズは配向を狭めたり、出射面内の光を均一にしたりすることができる。
【0094】
ロッドレンズは、入射端面から入射した光線を、照度むらや色むらを低減した均一の光線を出射端面から出射する。ロッドレンズは、四角柱状、六角柱状などの多角柱状、楕円柱状、円柱状、などの柱形状に形成され、屈折率が内部で均一となっている。また、入射端面と出射端面は、四角形や六角形などの多角形状、楕円形状、円形状等に形成され、同じ面積又は出射面が入射面よりも広面積に形成され、平行に形成されている。ロッドレンズの形成材料としては、ガラス、透明樹脂などを挙げることができる。またロッドレンズは中空のものを用いることもできる。
【0095】
ロッドレンズは、発光装置から出射した光線が入射端面から入射し、ロッドレンズの内側面で全反射して出射端面に入射する光線と、入射端面から出射端面に全反射することなく入射する光線と、が、出射端面で重ね合うことで、出射端面で光の照度むらおよび色むらを均一化する。
【0096】
また、ロッドレンズは、その出射端面から出射した光線が光の照度むらおよび色むらを均一化し、且つ、ロッドレンズの出射端面から出射した光線が、レンズにもれなく照射する形状に形成され、規定位置に配置されている。
【0097】
レンズ
レンズは1枚又は2枚以上用いてもよい。複数枚のレンズを組み合わせることで照射範囲を制御することができる。レンズは両凸、平凸、凸メニスカス、凹メニスカス、平凹、両凹などの形態のレンズをそれぞれ適宜組み合わせることができる。レンズはガラスや有機ガラスなどの透明なプラスチック類を使用することができる。
【0098】
赤外線発光体、紫外線発光体は、発光素子(LED)やレーザーダイオード(LD)を用いることが好ましい。
赤外線発光体は、780nmよりも長波長のものを使用することができるが、780nmから1400nmの波長のものを使用することが好ましく、780nmから1200nmの波長のものを使用することがより好ましい。この波長範囲を使用することで視認することができない。一方で780nmよりも長波長の光が目に入ったとしても、目への損傷を抑えられるからである。
【0099】
紫外線発光体は、380nmよりも短波長のものを使用することができるが、315nmから380nmのUV-Aの波長のものを使用することが好ましく、360nmから380nmの波長のものを使用することがより好ましい。この波長範囲を使用することで視認することができない。一方で360nmから380nmの光が目に入ったとしても、比較的弱い光であれば目への損傷を抑えられるからである。
【0100】
Lidarのようにカメラとセンサーとレーザーとを組み合わせて、レーザーを被対象物に照射して被対象物の高さや大きさや位置を検出する方法の他、被対象物自体に赤外線発光体や紫外線発光体を設けることもできる。これにより、被対象物のより適切な空間位置を検出することができる。
【実施例】
【0101】
実施例に係る照明装置について、3個の照明モジュールを使った照明装置を例にとって説明する。
図24は、実施例及び比較例の照明装置の投射条件を示す概略図である。
図25は、実施例1における照射状態を示す写真である。
図26は、実施例1における照射の断面強度を示す図である。
図27は、比較例1における照射状態を示す写真である。
図28は、比較例1における照射の断面強度を示す図である。照射状態を確認するためであるため、カメラ及びセンサーはここでは用いていない。
【0102】
実施例1に係る照明装置100は、3個の照明モジュール50を使っている。照明装置は、行列状又は千鳥状に複数個の発光装置を並べた3個の照明モジュール50と、3個の照明モジュールから所定の距離離れた第1対象面に光を照射した際、第1対象面における光の重なり部分の単位面積当たりの光量の和が、光が重ならない部分の単位面積当たりの光量に対して±20%以内となるように3個の発光装置の光量をそれぞれ調整する制御装置と、を備える。
【0103】
照明モジュール50から第1対象面までの距離を約4500mmとし、隣り合う照明モジュール50の間隔を約1455mmとする。1個の照明モジュール50から照射される第1対象面の一辺の長さは約3491mmである略正方形である。1個の照明モジュール50の照射角度は約42.4°とする。3個の照明モジュール50を照射することで約6400mm×3491mmの長方形とする。
【0104】
第1対象面において、輝度の平均値は約490cd/m2である。第1対象面において光が照射されている部分の光量の差は±20%以内に抑えられている。よって、第1対象面において出演者の動きや立ち位置がずれたとしても、照明モジュールの光量を切り替えることなく、同じ明るさを維持することができる。
【0105】
それに対し、比較例1に係る照明装置は、1個の照明モジュールの照射面全体を同じ光量で照らしている。そのため3個の照明モジュールからの光を重ね会わせると、中央部の3個の照明モジュールからの光の重なり部分の光量が最も高く、次に2個の照明モジュールからの光の重なり部分の光量が次に低く、周辺部における1個の照明モジュールからの光が重ならない部分の光量が最も低くなり、段差を持つ略三角形の断面強度を持つ。この場合中央部に出演者が立ったとき最も明るくなるが、500mmでも少し左右にずれると20~30%暗くなり、さらに2000mm左右にずれると50~70%も暗くなる。このように出演者が少し動くだけで暗くなったり明るくなったりすると観客は照明に違和感を持つようになる。また、出演者が少し動くだけで暗くなったり明るくなったりしないように複数個の照明モジュールのオンオフを繰り返すと照明の動きが速くなり観客は照明に違和感を持つようになる。
【産業上の利用可能性】
【0106】
本実施形態に係る照明装置は、テレビのスタジオや劇場舞台、特にサスペンションライト等に利用することができる。
【符号の説明】
【0107】
10 発光装置
10a 第1発光装置
10b 第2発光装置
10c 第3発光装置
10d 第4発光装置
20 基板
25 ロッドレンズ
30 制御装置
50 照明モジュール
51 第1照明モジュール
52 第2照明モジュール
53 第3照明モジュール
54 第4照明モジュール
55 第5照明モジュール
60 カメラ
65 レンズ
70 センサー
80 赤外線発光体又は紫外線発光体
90 赤外線レーザー又は紫外線レーザー
100 照明装置
R1 第1対象面
R2 第2対象面
R3 第3対象面
R4 第4対象面
A 光が重ならない部分
B、B1、B2、B3 光の重なり部分
C 光が重ならない部分
e1 第1距離
e2 第2距離
e3 第3距離
e4 第4距離