(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】生産進捗監視システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240619BHJP
G05B 19/418 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G06Q50/04
G05B19/418 Z
(21)【出願番号】P 2020141788
(22)【出願日】2020-08-25
【審査請求日】2023-08-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000226998
【氏名又は名称】株式会社日清製粉グループ本社
(73)【特許権者】
【識別番号】303055453
【氏名又は名称】株式会社日本電機研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100112427
【氏名又は名称】藤本 芳洋
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 卓也
(72)【発明者】
【氏名】水谷 洋一
(72)【発明者】
【氏名】田中 直也
(72)【発明者】
【氏名】宗利 浩文
(72)【発明者】
【氏名】野々宮 史朗
(72)【発明者】
【氏名】横田 和浩
(72)【発明者】
【氏名】辰巳 惣
【審査官】三吉 翔子
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-219889(JP,A)
【文献】特開2020-064445(JP,A)
【文献】特開2008-004053(JP,A)
【文献】特開平10-254962(JP,A)
【文献】特開2018-045395(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G05B 19/418
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品受注アイテムの生産の進捗状況を表示する表示部を備える生産進捗監視システムであって、
前記食品受注アイテム毎の受注数、前記食品受注アイテム毎の盛付包装の終了予定時刻、前記食品受注アイテム毎の盛付包装の終了予定時刻よりも所定時間前の目安時刻を記憶する受注情報記憶部と、
前記食品受注アイテムの生産を行う生産ライン毎に投入する作業員の数である標準作業人員数、前記標準作業人員数で作業したときの標準作業時間及び前記標準作業人員数で作業したときの標準生産能力を含む食品アイテム情報を記憶する食品アイテム情報記憶部と、
前記食品受注アイテム毎の生産実績を記憶する生産実績記憶部と、
前記受注情報記憶部に記憶されている前記食品受注アイテム毎の受注数と前記生産実績記憶部に記憶されている前記食品受注アイテム毎の生産実績とに基づいて生産進捗状況を示す第1の値の算出を行なう第1の算出部と、
所定の食品受注アイテムの生産を行っている所定の生産ラインに実際に投入された作業人員数と、実際の作業時間とに基づいて前記所定の生産ラインにおける実績生産能力を算出する第2の算出部と、
前記食品受注アイテムに対応して記憶されている前記目安時刻になったときに、前記第1の算出部により算出された生産進捗状況を示す前記第1の値に基づき、前記食品受注アイテムの前記受注数の生産が終了していないと判断した場合には、前記表示部において前記食品受注アイテムの生産が終了していない旨の注意表示を行う第1の表示制御部と、
前記食品アイテム情報記憶部に記憶されている前記所定の食品受注アイテムの標準生産能力と、前記第2の算出部で算出された実績生産能力を前記所定の生産ラインにおける生産能力を示す情報として前記表示部において表示する第2の表示制御部と、
を備える生産進捗監視システム。
【請求項2】
前記食品アイテム情報記憶部は、前記所定の生産ラインの標準切替時間を更に記憶し、
前記第2の表示制御部は、更に前記標準切替時間と前記所定の生産ラインの実績切替時間を生産能力を示す情報として表示する請求項1記載の生産進捗監視システム。
【請求項3】
前記食品受注アイテムの前記受注数は、受注先毎の受注数を集約した数であり、前記終了予定時刻は、前記受注先毎の納品時刻の中で、最も早い時刻に基づいて決定される請求項1または2記載の生産進捗監視システム。
【請求項4】
前記第1の表示制御部は、前記前記食品受注アイテムの前記終了予定時刻になったときに、前記生産進捗の状況を示す第1の値に基づき前記食品受注アイテムの前記受注数の生産が終了していないと判断した場合には、前記表示部において前記食品受注アイテムの生産が終了していない旨の警告表示を行う請求項1~3の何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【請求項5】
前記表示部には、前記第1の表示制御部による表示と前記第2の表示制御部による表示が切り替えて表示される請求項1~4の何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【請求項6】
前記第1の表示制御部に係る前記警告表示は、前記第2の表示制御部による表示に重ねて表示される請求項4に記載の生産進捗監視システム。
【請求項7】
前記第2の表示制御部は、前記表示部に各生産ラインにおける生産能力を示す情報を順次表示する請求項1~6何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【請求項8】
前記第2の表示制御部は、各生産ラインに対応して設けられた前記表示部に各生産ラインにおける生産能力を示す情報をそれぞれ表示する請求項1~6の何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【請求項9】
前記表示部は複数あるラインごとまたは、あらかじめ決めたグループごとに設置される請求項1~8記載の何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【請求項10】
前記表示部に係る表示は、あらかじめ決められたスケジュールに従って切り替わる請求項1~9の何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【請求項11】
前記食品受注アイテムの包装に貼り付けるラベルの出力を行なうラベラーを備え、
前記ラベラーにより出力されたラベルの数に基づいて、前記食品受注アイテムの生産実績の計数を行なう請求項1~10の何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【請求項12】
前記表示部は、前記食品受注アイテムの調理を行う調理室及び前記食品受注アイテムの盛付包装を行なう盛付包装室のそれぞれに設置される請求項1~11の何れか一項に記載の生産進捗監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品生産の進捗状況を監視する生産進捗監視システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、生産の進捗状況を監視するシステムとして封筒内に書類を封入する封入機を複数台設置している工場内において、各封入機による生産数、進捗率、総目標生産数等を大型モニターに表示するシステムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、惣菜の生産を行なう工場においては多数の取引先へ多種類の惣菜を出荷し、更に惣菜は取引先ごとに量目、配合、出荷時刻等が異なるため、工場では惣菜の多品種少量生産が行なわれている。また工場内は、衛生面を考慮して食材を調理する調理エリアと調理された食品を盛付包装する包装エリアとに区切られ、各エリアを作業員が行き来することが禁止されている。従って、上述のシステムのように大型モニターに生産数、進捗率、総目標生産数等を表示しても、作業員が惣菜の生産の進捗状況を十分に把握し難いという問題がある。
【0005】
また惣菜の生産は、複数の生産ラインにおいて行われており、更に各生産ラインに配置される作業員は、頻繁に交代することから、各ラインおよび作業員に対する情報の伝達が十分とは言えないだけでなく、実際に生産を行っている生産ライン毎における生産能力の客観的な評価情報が得られていなかった。
【0006】
本発明の目的は、工場内の生産ライン毎における生産の進捗や生産能力の客観的な評価情報を作業員に周知することにより、作業員がいま行うべき作業を客観的に認識することで作業員の手空きをなくし、生産効率を向上させる生産進捗監視システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の生産進捗監視システムは、食品受注アイテムの生産の進捗状況を表示する表示部を備える生産進捗監視システムであって、前記食品受注アイテム毎の受注数、前記食品受注アイテム毎の盛付包装の終了予定時刻、前記食品受注アイテム毎の盛付包装の終了予定時刻よりも所定時間前の目安時刻を記憶する受注情報記憶部と、前記食品受注アイテムの生産を行う生産ライン毎に、投入する作業員の数である標準作業人員数、前記標準作業人員数で作業したときの標準作業時間及び前記標準作業人員数で作業したときの標準生産能力を含む食品アイテム情報を記憶する食品アイテム情報記憶部と、前記食品受注アイテム毎の生産実績を記憶する生産実績記憶部と、前記受注情報記憶部に記憶されている前記食品受注アイテム毎の受注数と前記生産実績記憶部に記憶されている前記食品受注アイテム毎の生産実績とに基づいて生産進捗状況を示す第1の値の算出を行なう第1の算出部と、所定の食品受注アイテムの生産を行っている所定の生産ラインに実際に投入された作業人員数と、実際の作業時間とに基づいて前記所定の生産ラインにおける実績生産能力を算出する第2の算出部と、前記食品受注アイテムに対応して記憶されている前記目安時刻になったときに、前記第1の算出部により算出された生産進捗状況を示す前記第1の値に基づき、前記食品受注アイテムの前記受注数の生産が終了していないと判断した場合には、前記表示部において前記食品受注アイテムの生産が終了していない旨の注意表示を行う第1の表示制御部と、前記食品アイテム情報記憶部に記憶されている前記所定の食品受注アイテムの標準生産能力と、前記第2の算出部で算出された実績生産能力を前記所定の生産ラインにおける生産能力を示す情報として前記表示部において表示する第2の表示制御部と、を備える。
【0008】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記食品アイテム情報記憶部が前記所定の生産ラインの標準切替時間を更に記憶し、前記第2の表示制御部は、更に前記標準切替時間と前記所定の生産ラインの実績切替時間を生産能力を示す情報として表示する。
【0009】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記食品受注アイテムの前記受注数が受注先毎の受注数を集約した数であり、前記終了予定時刻は、前記受注先毎の納品時刻の中で、最も早い出荷時刻に基づいて決定される。
【0010】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記第1の表示制御部が前記前記食品受注アイテムの前記終了予定時刻になったときに、前記生産進捗の状況を示す第1の値に基づき前記食品受注アイテムの前記受注数の生産が終了していないと判断した場合には、前記表示部において前記食品受注アイテムの生産が終了していない旨の警告表示を行う。
【0011】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記表示部には、前記第1の表示制御部による表示と前記第2の表示制御部による表示が切り替えて表示される。
【0012】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記第1の表示制御部に係る前記警告表示は前記第2の表示制御部による表示に重ねて表示される。
【0013】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記第2の表示制御部が前記表示部に各生産ラインにおける生産能力を示す情報を順次表示する。
【0014】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記第2の表示制御部が各生産ラインに対応して設けられた前記表示部に各生産ラインにおける生産能力を示す情報をそれぞれ表示する。
【0015】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記表示部が複数あるラインごとまたは、あらかじめ決めたグループごとに設置される。
【0016】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記表示部による表示があらかじめ決められたスケジュールに従って切り替わる。
【0017】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記食品受注アイテムの包装に貼り付けるラベルの出力を行なうラベラーを備え、前記ラベラーにより出力されたラベルの数に基づいて、前記食品受注アイテムの生産実績の計数を行なう。
【0018】
またこの発明の生産進捗監視システムは、前記表示部が前記食品受注アイテムの調理を行う調理室及び前記食品受注アイテムの盛付包装を行なう盛付包装室のそれぞれに設置される。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、工場内の生産ライン毎における生産能力の客観的な評価情報を得ることにより生産効率を向上させる生産進捗監視システムを提供することができる。
【0020】
本発明によれば、工場内の生産ライン毎における生産の進捗や生産能力の客観的な評価情報を作業員に周知することにより、作業員がいま行うべき作業を客観的に認識することで作業員の手空きをなくし、生産効率を向上させる生産進捗監視システムを提供することである
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】実施の形態に係る惣菜生産の工程を示す図である。
【
図2】実施の形態に係る盛付包装ラインの構成を示す概略図である。
【
図3】実施の形態に係る生産進捗監視システムのシステム構成を示すブロック図である。
【
図4】実施の形態に係る食品受注アイテム毎に記憶された各情報を示す図である。
【
図6】実施の形態に係る表示部に表示される食品受注アイテムの生産進捗状況を示す画面である。
【
図7】実施の形態に係る表示部に表示される所定のラインにおける生産能力を示す画面である。
【
図8】実施の形態に係る警告表示を独立の画面として表示した画面である。
【
図9】実施の形態に係る警告表示を割り込ませて表示された画面である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照して、本実施の形態に係る生産進捗監視システムについて説明する。
図1は実施の形態に係る生産進捗監視システム2(
図3参照)が設置された惣菜や弁当など(以下惣菜という)の生産工場における惣菜調理の工程を示す図である。惣菜の生産工場内には、たとえば煮物類の生産を行なうエリアとサラダ類の生産を行なうエリアなど複数のエリアがあり、各エリアに調理エリアが設けられ、更に各調理エリアで生産された惣菜の盛付包装を行なう包装エリア、及び包装エリアで盛付包装された惣菜の仕分けを行なう仕分室が設けられている。
【0023】
たとえば煮物類を生産するエリアでは、
図1に示すように、先ず入荷した肉、魚、野菜等の原料が調理エリアに運ばれる。そして調理エリアでは、原料処理室で各原料毎に洗浄や切断等の処理が行なわれ、加熱調理室で煮炊き等が行なわれて煮物類の惣菜が調理される。調理された煮物類の惣菜は、冷却室で冷却され、半製品として半製品冷蔵庫において保管される。
【0024】
半製品冷蔵庫に保管されている調理済みの惣菜は、出荷予定時刻に間に合うように包装エリアに運ばれ、盛付包装室で作業員によって盛付、包装が行なわれる。盛付包装室には、
図2に示す盛付包装ラインが複数設置されている。ここで盛付包装ライン(生産ライン)においては、生産計画で割り当てられた惣菜(食品受注アイテム)の盛付包装が行なわれる。
【0025】
図2に示すように盛付包装ラインには包装された惣菜を搬送するためのベルトコンベアー20が設けられており、矢印で示すベルトコンベアー20による惣菜の搬送方向の上流側のベルトコンベアー20の左右に作業員が盛付、包装作業を行なうための盛付包装台22が複数設けられている。また搬送方向の下流側に金属異物を検出する金属検出器24、異物を検出するX線検査器26、惣菜の包装に貼り付けるラベルを出力するラベラー14が順に配置されている。従って作業員が盛付包装台22で盛付、包装した惣菜をベルトコンベアー20に載せると、惣菜は金属検出器24、X線検査器26を順に通過して異物の検出が行なわれる。
【0026】
X線検査器26を通過した惣菜はラベラー14まで搬送され、ラベラー14において、搬送されてきた惣菜の包装にラベルの貼り付けが行なわれる。作業員は、ラベルが貼り付けられた惣菜を、番重に載せて仕分室に運び入れる。
【0027】
次に、本発明の実施の形態に係る生産進捗監視システムについて説明する。
図3は実施の形態に係る生産進捗監視システム2のシステム構成を示すブロック図である。生産進捗監視システム2は、制御部4、記憶部6、入力部用表示部8、入力部10、通信部12を備え、更に複数のラベラー14(14a、14b、14c…)及び複数の表示部16(16a、16b、16c…)を備えている。
【0028】
制御部4は、生産進捗監視システム2の各部の動作を制御する。記憶部6は、
図4に示すように、受注アイテム(食品受注アイテム)、目安時刻、終了予定時刻、出荷予定時刻、受注数、実績数、終了実績時刻、進捗率等を記憶する記憶エリアを有している。入力部用表示部8は、記憶部6に記憶されている受注情報などの変更等を行なう入力画面等を表示する。入力部10は、キーボードやマウス等を含み、入力画面等への入力を行なう。
【0029】
食品受注アイテムの受注数、納品日時等からなる受注情報は、入力部10から入力するか、通信部12によって、出荷先(受注先)等からインターネット回線等を介して受信する。ここで
図5は受注情報を示すものであり、
図5には、A社a店(受注先)からアイテムA(食品受注アイテムA)を200個受注し、その納品時刻が18:00であることを示している。またA社b店からアイテムAを100個受注し、その納品時刻が19:00であること、A社c店からアイテムAを191個受注し、その納品時刻が18:30であることを示している。なおB社、C社などからもA社からの受注情報と同様な受注情報を通信部12等を介して受信する。
【0030】
ラベラー14は、
図2に示すように盛付包装ライン1列に対して1台ずつ設置されている。表示部16は、例えば60インチのモニターであって、調理エリア及び包装エリアにそれぞれ配置され、食品受注アイテムの生産の進捗状況を示す画面を表示する。なお、表示部16は、各エリアに1台ずつではなく複数台配置してもよい。またエリアの大きさに応じて各エリアにおける表示部16の配置数を定めてもよい。また、複数のラインで1台の表示部16を共用してもよい。
【0031】
次に生産進捗監視システム2に出荷先(受注先)から受注情報が送信されてきた場合の処理について説明する。制御部4は、入力部10または通信部12を介して
図5に示すような受注情報を取得し、受注情報に基づいて記憶部6の記憶エリアに受注情報の各項目を記憶させる。即ち、受注アイテムには、受注情報に含まれている受注アイテム、例えばアイテムAを記憶する。また受注数には、受注情報に含まれている受注先毎のアイテムAの受注数を集約した値、例えばA社a店、A社b店、A社c店のそれぞれから受注したアイテムAの受注数を合計した値、491を記憶する。出荷予定時刻には、アイテムAの受注数を集約したA社a店、A社b店、A社c店の中で最も早い納品時刻に間に合うように、定めた出荷時刻が記憶され、終了予定時刻には出荷時刻から所定時間前(例えば45分~1時間前とする。)の時刻が記憶され、目安時刻には終了予定時刻から所定時間前(例えば1時間前とする。)の時刻が記憶される。
【0032】
なお、実績数には、盛付包装後にラベルが貼り付けられた食品受注アイテム毎の生産実績数が記憶される。また進捗率は、生産進捗の状況を示す値であって、例えばアイテムAの受注数に対するアイテムAの生産の実績数の割合が記憶される。終了実績時刻には生産進捗の状況を示す値が100%となった時刻が記憶される。
【0033】
次にアイテムAの生産が開始された後の実績数、進捗率について説明する。制御部4は、ラベラー14によってラベルを発行する毎に、記憶部6のアイテムAにおける実績数の加算を行なう。従って、例えばアイテムAの盛付包装及びラベル貼りを行なっている場合、記憶部6の実績数には、ラベルを発行する毎に、実績数の加算が行なわれ、また制御部4は、実績数の加算される毎に、記憶部6に記憶されている受注数及び実績数に基づいて生産の進捗率を算出し、記憶部6の進捗率の記憶エリアに記憶させる。
【0034】
制御部4は、食品受注アイテムの生産を行なっている間、記憶部6の各記憶エリアに記憶された内容等に基づいて生産の進捗状況を示す画面を全ての表示部16a、16b、16c…にリアルタイムで表示する。生産の進捗状況を示す画面には、
図6に示すように受注アイテム毎に、受注数、現時点で生産した実績数、受注数と実績数とに基づく進捗率が表示される。
【0035】
制御部4は、記憶部6に記憶されている食品受注アイテムの中で、現在時刻が目安時刻となったものがある場合には、その食品受注アイテムの進捗率を記憶部6から読み出す。制御部4は、読み出した進捗率が100%未満の場合、表示部16に表示している食品受注アイテムの欄を黄色で表示する等により生産が終了していない旨の注意表示を行なう。
【0036】
制御部4は、記憶部6に記憶されている食品受注アイテムの中で、現在時刻が終了予定時刻となったものがある場合、その食品受注アイテムの進捗率を記憶部6の記憶エリアから読み出す。制御部4は、読み出した進捗率が100%未満の場合、表示部16に表示している食品受注アイテムの欄を赤色で表示する等により生産が終了していない旨の警告表示を行なう。また各ライン共通または、あらかじめ設定されたラインのグループごとに、生産が終了していない旨の警告表示を行う専用の画面を作成して表示してもよい(
図8)。
【0037】
また、その警告表示は
図6の画面に重ねて表示することができる(
図9)。この時注意表示をスクロールしながら表示することもできる。
【0038】
またこの実施の形態に係る生産進捗監視システムにおいては、盛付包装ライン(生産ライン)毎の生産能力に関する情報の表示を行う。ここで
図7は、表示部16におけるAライン(生産ライン)の生産能力に関する情報の表示状態を示すものである。この表示においては、Aラインにおいて、アイテムAの生産を行った後にアイテムBの生産を行うことを示している。
【0039】
記憶部6には、
図7に示す表示状態に対応する記憶エリア、即ち生産を行う食品受注アイテムごとに、生産計画に関する記憶エリアとして、数量(生産数量)、開始(生産開始時刻)、終了(生産終了時刻)、投入人数(Aラインに投入される標準作業人員数)、Aラインの計画生産能力(食/h)、次の生産アイテムに切り替えるのに必要な時間(切替時間(min))の記憶エリアを有している。ここで生産開始時刻と生産終了時刻との差が標準作業時間である。また計画生産能力(食/h)は、標準作業時間と標準作業人員数から求められるAラインにおける計画された生産能力に関する値である。
【0040】
また生産実績に関する値を記憶するエリアとして、数量(実際に生産した数量)、開始(実際に生産を開始した時刻)、終了(実際に生産を終了した時刻)、投入人数(実際にAラインに投入された作業人員数)、Aラインの実際の生産能力(食/h)、実際に切り替えに要した時間(切替時間(min))の記憶エリアを有している。ここで実際の生産能力(食/h)は、実際の作業時間と実際に投入された作業人員数から求められるAラインにおける実績生産能力に関する値である。
【0041】
記憶部6の生産計画に関する値は、食品受注アイテムの生産を開始する前に入力部10などから入力された値である。また生産実績に関する値は、食品受注アイテムの生産中または生産を終了した際に、生産実績に基づいて記憶された値である。制御部4は、記憶部6に記憶されている生産計画に関する値と生産実績に関する値を生産能力に関する情報として表示部16に表示する。
【0042】
なお制御部4は、包装エリアに設置されている表示部16には、
図6に示す表示と
図7に示す表示を切り替えて表示する。また制御部4は、包装エリアに設置されている表示部16に、複数設置されている生産ラインの各生産ラインにおける生産能力に関する情報を順次表示してもよい。更に各生産ラインに対応して表示部16a、16b、16c……が設けられている場合には、各生産ラインにおける生産能力に関する情報をそれぞれ表示する。
【0043】
さらに生産ライン毎の生産実績に関する値を蓄積しておき業務の効率化のための情報として用いてもよい。
【0044】
この実施の形態に係る生産進捗監視システムによれば、表示部16を調理エリア及び包装エリアに配置し、表示部16に生産進捗の状況をリアルタイムで表示するので、調理エリア及び包装エリアにいる作業員に食品受注アイテムの生産の進捗状況を把握させることができ、生産効率を向上させることができる。
【0045】
また実施の形態に係る生産進捗監視システムによれば、現在時刻が目安時刻になったときに表示部16によって注意表示を行ない、更に現在時刻が終了時刻となったときに表示部16によって警告表示を行ない、さらに告知情報をも表示部16に表示することができるので、作業員は生産の遅れの度合を的確に把握し、行うべき作業や現況を把握することができる。
【0046】
さらに、実施の形態に係る生産進捗監視システムは、表示部16に係る複数の画面をあらかじめ決められたスケジュールに従って、切り替えて表示する。例えば、生産開始時は食品受注アイテムの生産進捗状況を示す画面(
図6)を長めに表示するとともに警告表示画面は短めにしておき、目安時刻が近づくにしたがって警告表示画面が長めに表示されるようにスケジュールする。また、実施の形態に係る生産進捗監視システムは、その表示部16の設置場所により設置場所に近い生産ラインの生産進捗状況を長めに表示し、他のラインを短めに表示する。さらに、設置場所により設置場所から遠い生産ラインの表示は短時間にとどめるか表示しない。
【0047】
また実施の形態に係る生産進捗監視システムによれば、生産ライン毎に生産計画に関する値と生産実績に関する値を並べて表示することにより生産ライン毎の生産能力の客観的な評価情報を示すことができることから、作業員の意識改善を行うことができ生産効率を向上させることができる。
【0048】
また生産実績に関する値に基づいて、各生産ラインに投入する作業人員数を変更するなど生産計画を変更することができ、生産効率を向上させることができる。
【0049】
また複数の生産ラインで同一の食品受注アイテムを生産している場合には、生産ライン毎の生産実績に関する値を比較することにより、また同一の生産ラインで過去に同一の食品受注アイテムの生産を行っていた場合には、過去の生産実績に関する値と、現在の生産実績に関する値を比較することにより、現在の生産ラインの生産能力の客観的な評価情報を得ることができ作業員の意識改善を行うことができる。
【符号の説明】
【0050】
2…生産進捗監視システム、4…制御部、6…記憶部、8…入力部用表示部、10…入力部、12…通信部、14…ラベラー、16…表示部。