(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】複合偏光板および液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20240619BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20240619BHJP
G02F 1/1337 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
G02B5/30
G02F1/1335 510
G02F1/1337
(21)【出願番号】P 2021117860
(22)【出願日】2021-07-16
(62)【分割の表示】P 2017017347の分割
【原出願日】2017-02-02
【審査請求日】2021-08-11
【審判番号】
【審判請求日】2023-04-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100104592
【氏名又は名称】森住 憲一
(74)【代理人】
【識別番号】100162710
【氏名又は名称】梶田 真理奈
(72)【発明者】
【氏名】幡中 伸行
(72)【発明者】
【氏名】太田 陽介
【合議体】
【審判長】神谷 健一
【審判官】関根 洋之
【審判官】西岡 貴央
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-9062(JP,A)
【文献】特開2004-219800(JP,A)
【文献】特開2015-165302(JP,A)
【文献】特開2016-170368(JP,A)
【文献】国際公開第2016/133136(WO,A1)
【文献】特開2016-143026(JP,A)
【文献】国際公開第2016/099862(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 5/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸収型偏光膜と吸収型偏光膜を配向させる配向膜と反射型偏光板を有し、吸収型偏光膜及び反射型偏光板は、それぞれ配向膜に隣接し、反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の吸収軸の成す角度が4°以下であり、視感度補正偏光度(Py)が
98.1%以上、視感度補正透過率(Ty)が38.5%以上であり、
前記吸収型偏光膜が、スメクチック液晶相の状態で面内水平方向に配向固定した重合性液晶化合物の重合体であり、二色性色素を含み、厚さが5μm以下であり、
前記反射型偏光板の厚みが、10μm以上50μm未満であ
り、
前記配向膜の厚みが、30~300nmである、複合偏光板。
【請求項2】
前記配向膜が、光によって配向規制力を生じる光配向膜である請求項1に記載の複合偏光板。
【請求項3】
重合性液晶化合物の重合体中における二色性色素の割合が重合性液晶化合物100質量部に対して20質量部以下である請求項1又は2に記載の複合偏光板。
【請求項4】
前記吸収型偏光膜が、X線回折測定においてブラッグピークを有する偏光膜である請求項1~3のいずれかに記載の複合偏光板。
【請求項5】
前記反射型偏光板は、屈折率の異なる少なくとも2種以上の高分子材料の多層積層体である請求項1~4のいずれかに記載の複合偏光板。
【請求項6】
矩形であり、長辺方向に透過軸を有する請求項1~5のいずれかに記載の複合偏光板。
【請求項7】
吸収型偏光膜と吸収型偏光膜を配向させる配向膜と反射型偏光板を有し、吸収型偏光膜及び反射型偏光板は、それぞれ配向膜に隣接し、反射型偏光板の反射軸がロール搬送方向に対して面内方向90°±
4°であり、吸収型偏光膜の吸収軸がロール搬送方向に対して面内方向90°±
4°であり、反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の吸収軸の成す角度が4°以下であり、視感度補正偏光度(Py)が
98.1%以上、視感度補正透過率(Ty)が38.5%以上であり、
前記吸収型偏光膜が、スメクチック液晶相の状態で面内水平方向に配向固定した重合性液晶化合物の重合体であり、二色性色素を含み、厚さが5μm以下であり、
前記反射型偏光板の厚みが、10μm以上50μm未満であ
り、
前記配向膜の厚みが、30~300nmである、ロール状複合偏光板。
【請求項8】
下記工程1~7を含む、請求項7に記載のロール状複合偏光板の製造方法。
工程1.ロール状反射型偏光板を巻出しながら、光により配向規制力を生じるポリマーと溶剤を含む組成物を前記ロール状反射型偏光板表面に連続塗布して第一塗布膜を形成する工程、
工程2.前記第一塗布膜を加熱乾燥して第一乾燥膜を形成する工程、
工程3.前記第一乾燥膜に偏光紫外線を照射して配向膜を形成する工程、
工程4.前記配向膜上に二色性色素と重合性液晶化合物と重合開始剤と溶剤を含む組成物を塗布して第二塗布膜を形成する工程、
工程5.前記第二塗布膜を加熱乾燥して第二乾燥膜を形成する工程、
工程6.前記第二乾燥膜に紫外線を照射して重合性液晶化合物を重合させて吸収型偏光膜を形成して複合偏光板を形成する工程
工程7.前記複合偏光板をロールに巻き取る工程
【請求項9】
請求項1~6のいずれかに記載の複合偏光板が、バックライトユニットと液晶セルとの間に配置され、バックライトユニット側に反射型偏光板面、液晶セル側に吸収型偏光膜面が配置されてなる液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複合偏光板およびそれを用いた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フラットパネル表示装置(FPD)には、偏光板や位相差板等の光学フィルムが用いられている。このような偏光板としては、ポリビニルアルコール系樹脂フィルムにヨウ素等の二色性色素が配向吸着された偏光子と保護フィルムからなるヨウ素PVA偏光板が広く用いられている。また、特許文献1には、押し出し、延伸により得られた面内複屈折率の異なる高分子材料の多層構造を有する反射型偏光板が開示されている。
この反射型偏光板を液晶ディスプレイ装置(LCD)のパネルと裏面バックライトの間に配置する事で、光の利用効率が向上かつ黒表示が可能となるという事が知られている。
しかしながら、この反射型偏光板は十分な偏光性能を有しておらず、単独では、LCDでの明瞭な黒表示を達成することはできない。そこで、特許文献2に示されるように、この反射型偏光板の透過軸をLCDパネルの裏面に配置されたヨウ素PVA偏光板の透過軸に揃えて、前記ヨウ素PVA偏光板と組み合わせて用いることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表平9-506985号公報
【文献】特開平11-160699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながらヨウ素PVA偏光板は厚みが厚い上に、反射型偏光板と積層させるための粘接着層が必要であり、厚みの面で課題があり、偏光性能も十分とは言えなかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、厚みを薄くし得る吸収型偏光板と反射型偏光板を組合わせて用いることにより、偏光性能が向上した複合偏光板を提供するものである。
本発明は、以下の[1]~[12]の発明を含むものである。
[1]吸収型偏光膜と吸収型偏光膜を配向させる配向膜と反射型偏光板を有し、反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の吸収軸の成す角度が8°以下である複合偏光板。
[2]前記吸収型偏光膜が、重合性液晶化合物の重合体であり、二色性色素を含み、厚さが5μm以下である[1]記載の複合偏光板。
[3]前記配向膜が、光によって配向規制力を生じる光配向膜である[1]または[2]記載の複合偏光板。
[4]重合性液晶化合物が、サーモトロピック性液晶化合物である[1]~[3]のいずれかに記載の複合偏光板。
[5]重合性液晶化合物の重合体中における二色性色素の割合が重合性液晶化合物100質量部に対して20質量部以下である[1]~[4]のいずれかに記載の複合偏光板。
[6]吸収型偏光膜が、スメクチック液晶相の状態で面内水平方向に配向固定した重合性液晶化合物の重合体である[1]~[5]のいずれかに記載の複合偏光板。
[7]吸収型偏光膜が、X線回折測定においてブラッグピークを有する偏光膜である[1]~[6]のいずれかに記載の複合偏光板。
[8]前記反射型偏光板は、屈折率の異なる少なくとも2種以上の高分子材料の多層積層体である[1]~[7]のいずれかに記載の複合偏光板。
[9]矩形であり、長辺方向に透過軸を有する[1]~[8]のいずれかに記載の複合偏光板。
[10]反射型偏光板の反射軸がロール搬送方向に対して面内方向90°±8°であり、吸収型偏光膜の吸収軸がロール搬送方向に対して面内方向90°±8°であり、反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の吸収軸の成す角度が8°以下であるロール状複合偏光板。
[11]下記工程1~7を含むロール状複合偏光板の製造方法。
工程1.ロール状反射型偏光板を巻出しながら、光により配向規制力を生じるポリマーと溶剤を含む組成物を前記ロール状反射型偏光板表面に連続塗布して第一塗布膜を形成する工程、
工程2.前記第一塗布膜を加熱乾燥して第一乾燥膜を形成する工程、
工程3.前記第一乾燥膜に偏光紫外線を照射して配向膜を形成する工程、
工程4.前記配向膜上に二色性色素と重合性液晶化合物と重合開始剤と溶剤を含む組成物を塗布して第二塗布膜を形成する工程、
工程5.前記第二塗布膜を加熱乾燥して第二乾燥膜を形成する工程、
工程6.前記第二乾燥膜に紫外線を照射して重合性液晶化合物を重合させて吸収型偏光膜を形成して複合偏光板を形成する工程
工程7.前記複合偏光板をロールに巻き取る工程
[12][1]~[9]のいずれかに記載の複合偏光板が、バックライトユニットと液晶セルとの間に配置され、バックライトユニット側に反射型偏光板面、液晶セル側に吸収型偏光膜面が配置されてなる液晶表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、薄型複合偏光板およびそれを用いた液晶表示装置が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の複合偏光板は、吸収型偏光膜と吸収型偏光膜を配向させる配向膜と反射型偏光板を有し、反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の吸収軸の成す角度が8°以下である複合偏光板である。
以下、本発明について説明する。
[吸収型偏光膜]
本発明における吸収型偏光膜について説明する。本発明における吸収型偏光膜は二色性色素を含有していてもよい。二色性色素を含有すれば、特に限定されるものではない。
【0008】
[二色性色素]
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。二色性色素としては、可視光を吸収する特性を有する特性を有する事が好ましく、380~680nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものがより好ましい。
このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素およびアントラキノン色素などが挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素およびスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素およびトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、組み合わせてもよいが、可視光全域で吸収を得るためには、3種類以上の二色性色素を組み合わせるのが好ましく、3種類以上のアゾ色素を組み合わせるのがより好ましい。
アゾ色素としては、例えば、式(I)で表される化合物(以下、「化合物(I)」ということもある)が挙げられる。
T1-A1(-N=N-A2)p-N=N-A3 -T2(I)
[式(I)中、
A1およびA2およびA3、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基または置換基を有していてもよい2価の複素環基を表し、T1およびT2は電子吸引基あるいは電子放出基であり、アゾ結合面内に対して実質的に180°の位置に有する。pは0~4の整数を表す。pが2以上である場合、各々のA2は互いに同一でも異なっていてもよい。可視域に吸収を示す範囲で-N=N-結合が-C=C-、-COO-、-NHCO-。-N=CH-結合に置き換わっていてもよい。]
【0009】
A1およびA2およびA3における1,4-フェニレン基、ナフタレン-1,4-ジイル基および2価の複素環基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1~4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基およびブトキシ基などの炭素数1~4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1~4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基およびピロリジノ基などの置換または無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、-NH2である。)が挙げられる。なお、炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基およびヘキシル基などが挙げられる。炭素数2~8のアルカンジイル基としては、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基などが挙げられる。スメクチック液晶のような高秩序液晶構造中に包摂するためには、A1およびA2およびA3は無置換または水素がメチル基またはメトキシ基で置換された1,4-フェニレン基、または2価の複素環基が好ましく、pは0または1である事が好ましい。中でもpが1であり、かつ、A1およびA2およびA3の3つの構造のうち少なくとも2つが1,4-フェニレン基である事が分子合成の簡便さと高い性能の両方を有するという点でより好ましい。
【0010】
2価の複素環基としては、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾールおよびベンゾオキサゾールから2個の水素原子を除いた基が挙げられる。A2が2価の複素環基の場合には、分子結合角度が実質的に180°となる構造が好ましく、具体的には、二つの5員環が縮合したベンゾチアゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾオキサゾール構造がより好ましい。
【0011】
T1およびT2は電子吸引基あるいは電子放出基であり、異なる構造である事が好ましく、 T1が電子吸引基およびT2電子放出基、あるいは、T1が電子放出基およびT2電子吸引基の関係である事がさらに好ましい。具体的には、T1およびT2は互いに独立に炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基、具体的には、ピロリジニル基、ピペリジニル基等、またはトリフルオロメチル基が好ましく、中でもスメクチック液晶のような高秩序液晶構造中に包摂するためには、分子の排除体積がより小さい構造体である必要があるため、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基、炭素数1~6のアルキル基を1つまたは2つ有するアミノ基、具体的には、ジ(モノ)メチルアミノ基、ジ(モノ)エチルアミノ基、ジ(モノ)プロピルアミノ基、ジ(モノ)ブチルアミノ基、ジ(モノ)ペンチルアミノ基、ジ(モノ)ヘキシルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、メチルブチルアミノ基等、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2~8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基が好ましい。
【0012】
このようなアゾ色素としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0013】
【0014】
【0015】
式(2-1)~(2-6)中、
B1~B20は、互いに独立に、水素原子、炭素数1~6のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換または無置換のアミノ基(置換アミノ基および無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子またはトリフルオロメチル基を表す。
n1~n4は、それぞれ独立に0~3の整数を表す。また、高い偏光性能が得られる観点から、B2、B6、B9、B14、B18、B19は水素原子又はメチル基が好ましく、水素原子がさらに好ましい。
n1が2以上である場合、複数のB2はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のB6はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のB9はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14はそれぞれ同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0016】
前記アントラキノン色素としては、式(2-7)で表される化合物が好ましい。
【0017】
【0018】
[式(2-7)中、
R1~R8は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx
2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
【0019】
前記オキサジン色素としては、式(2-8)で表される化合物が好ましい。
【0020】
【0021】
[式(2-8)中、
R9~R15は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx
2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
【0022】
前記アクリジン色素としては、式(2-9)で表される化合物が好ましい。
【0023】
【0024】
[式(2-9)中、
R16~R23は、互いに独立に、水素原子、-Rx、-NH2、-NHRx、-NRx
2、-SRxまたはハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1~4のアルキル基または炭素数6~12のアリール基を表す。]
【0025】
式(2-7)、式(2-8)および式(2-9)における、Rxで表される炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基等が挙げられ、炭素数6~12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基およびナフチル基等が挙げられる。
【0026】
前記シアニン色素としては、式(2-10)で表される化合物および式(2-11)で表される化合物が好ましい。
【0027】
【0028】
[式(2-10)中、
D1およびD2は、互いに独立に、式(2-10a)~式(2-10d)のいずれかで表される基を表す。
【0029】
【0030】
【0031】
[式(2-11)中、
D3およびD4は、互いに独立に、式(2-11a)~式(2-11h)のいずれかで表される基を表す。
【0032】
【0033】
後述する重合性液晶化合物と共に用いる場合、二色性色素の含有量(複数種含む場合にはその合計量)は、良好な光吸収特性を得る観点から、重合性液晶化合物100質量部に対して、通常20質量部以下であり、好ましくは0.1~20質量部であり、より好ましくは1~20質量部であり、さらに好ましくは3~15質量部である。二色性色素の含有量がこの範囲より少ないと光吸収が不十分となり、十分な偏光性能が得られず、この範囲よりも多いと配向性が低下する場合がある。
【0034】
[重合性液晶]
本発明の吸収型偏光膜は、二色性色素のほかに、重合性液晶を含有していてもよい。重合性液晶とは、重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物(以下、重合性液晶化合物ともいう)である。重合性基は、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸等によって重合反応に関与し得る基のことをいう。
重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック液晶でもリオトロピック液晶でもよいが、後述する二色性色素と混合する場合には、サーモトロピック液晶が好ましい。
【0035】
重合性液晶がサーモトロピック液晶である場合は、ネマチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよいし、スメクチック液晶相を示すサーモトロピック性液晶化合物であってもよい。重合反応により硬化膜として偏光機能を発現する際には、重合性液晶化合物が示す液晶状態は、スメクチック相であることが好ましく、高次スメクチック相であれば高性能化の観点からより好ましい。中でも、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相またはスメクチックL相を形成する高次スメクチック液晶化合物がより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相またはスメクチックI相を形成する高次スメクチック液晶化合物がさらに好ましい。重合性液晶が形成する液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、偏光性能のより高い偏光膜を製造することができる。また、このように偏光性能の高い偏光膜はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークを有する。
当該ブラッグピークは分子配向の周期構造に由来するピークであり、その周期間隔が3~6Åである膜を得ることができる。本発明の偏光膜は、この重合性液晶がスメクチック相の状態で重合された重合性液晶の重合体を含むことが、より高い偏光特性が得られるという観点から好ましい。
【0036】
このような化合物としては、具体的には、下記式(A)で表される化合物(以下、化合物(A)ということがある。)等が挙げられる。当該重合性液晶は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0037】
U1-V1-W1-X1-Y1-X2-Y2-X3-W2-V2-U2 (A)[式(A)中、
X1、X2およびX3は、それぞれ独立に、2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を表し、ここで、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、炭素数1~4のアルキル基、炭素数1~4のフルオロアルキル基、炭素数1~4のアルコキシ基、シアノ基またはニトロ基に置換されていてもよく、該2価の芳香族基または2価の脂環式炭化水素基を構成する炭素原子が、酸素原子または硫黄原子または窒素原子に置換されていてもよい。ただし、X1、X2およびX3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基または置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。
Y1、Y2、W1およびW2は、互いに独立に、単結合または二価の連結基である。
V1およびV2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する-CH2-は、-O-、-S-またはNH-に置き換わっていてもよい。
U1およびU2は、互いに独立に、重合性基または水素原子を表し、少なくとも1つは重合性基である。
【0038】
化合物(A)において、X1、X2およびX3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基である。特に、X1およびX3は置換基を有していてもよいシクロヘキサン-1,4-ジイル基であることが好ましく、該シクロへキサン-1,4-ジイル基は、トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基であることがさらに好ましい。トランス-シクロへキサン-1,4-ジイル基の構造を含む場合、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。また、置換基を有していてもよい1,4-フェニレン基、または、置換基を有していてもよいシクロへキサン-1,4-ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基およびブチル基などの炭素数1~4のアルキル基、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子が挙げられるが、好ましくは無置換である。
【0039】
Y1およびY2は、互いに独立に、単結合、-CH2CH2-、-CH2O-、-COO-、-OCO-、-N=N-、-CRa=CRb-、-C≡C-またはCRa=N-が好ましく、RaおよびRbは、互いに独立に、水素原子または炭素数1~4のアルキル基を表す。Y1およびY2は、-CH2CH2-、-COO-、-OCO-または単結合であるとより好ましく、X1、X2およびX3が全てシクロヘキサン-1,4-ジイル基を含まない場合、Y1およびY2が互いに異なる結合方式であることがより好ましい。Y1およびY2が互いに異なる結合方式である場合には、スメクチック液晶性が発現しやすい傾向にある。
【0040】
W1およびW2は、互いに独立に、単結合、-O-、-S-、-COO-またはOCO-が好ましく、互いに独立に単結合または-O-であることがより好ましい。
【0041】
V1およびV2で表される炭素数1~20のアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン-1,3-ジイル基、ブタン-1,3-ジイル基、ブタン-1,4-ジイル基、ペンタン-1,5-ジイル基、ヘキサン-1,6-ジイル基、ヘプタン-1,7-ジイル基、オクタン-1,8-ジイル基、デカン-1,10-ジイル基、テトラデカン-1,14-ジイル基およびイコサン-1,20-ジイル基などが挙げられる。V1およびV2は、好ましくは炭素数2~12のアルカンジイル基であり、より好ましくは直鎖状の炭素数6~12のアルカンジイル基である。直鎖状の炭素数6~12のアルカンジイル基とすることで結晶性が向上し、スメクチック液晶性を発現しやすい傾向にある。
置換基を有していてもよい炭素数1~20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基および塩素原子、フッ素原子などのハロゲン原子などが挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換かつ直鎖状のアルカンジイル基であることがより好ましい。
【0042】
U1およびU2は、ともに重合性基であると好ましく、ともに光重合性基であるとより好ましい。光重合性基を有する重合性液晶化合物は、熱重合性基よりも低温条件下で重合できるため、液晶がより秩序度の高い状態で重合体を形成できる点で有利である。
【0043】
U1およびU2で表される重合性基は互いに異なっていてもよいが、同一であると好ましい。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1-クロロビニル基、イソプロペニル基、4-ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基およびオキセタニル基が好ましく、メタクリロイルオキシ基、および、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
【0044】
このような重合性液晶化合物としては、例えば、以下のようなものが挙げられる。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
例示した前記化合物の中でも、式(1-2)、式(1-3)、式(1-4)、式(1-6)、式(1-7)、式(1-8)、式(1-13)、式(1-14)および式(1-15)で表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
【0050】
例示した化合物(A)は、単独または組み合わせて、偏光膜に用いることができる。また、2種以上の重合性液晶を組み合わせる場合には、少なくとも1種が化合物(A)であることが好ましく、2種以上が化合物(A)であることがより好ましい。2種以上の重合性液晶を組み合わせることにより、液晶-結晶相転移温度以下の温度でも一時的に液晶性を保持することができる場合がある。2種類の重合性液晶を組み合わせる場合の混合比としては、通常、1:99~50:50であり、好ましくは5:95~50:50であり、より好ましくは10:90~50:50である。
【0051】
化合物(A)は、例えば、Lub et al. Recl.Trav.Chim.Pays-Bas,115, 321-328(1996)、または特許第4719156号等に記載の公知方法で製造される。
【0052】
偏光膜中における重合性液晶の含有割合は、偏光膜の固形分100質量部に対して、通常50~99.5質量部であり、好ましくは60~99質量部であり、より好ましくは70~98質量部であり、さらに好ましくは80~97質量部である。重合性液晶の含有割合が上記範囲内であれば、配向性が高くなる傾向がある。ここで、固形分とは、偏光膜形成用組成物から溶剤を除いた成分の合計量のことをいう。
【0053】
[溶剤]
吸収型偏光膜形成用組成物は溶剤を含有してよい。一般に重合性液晶化合物は粘度が高いため、溶剤に溶解させた偏光膜形成用組成物とすることで塗布が容易になり、結果として偏光膜の形成がし易くなる場合が多い。溶剤としては、重合性液晶化合物を完全に溶解し得るものが好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
【0054】
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテルおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトンまたはプロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2-ヘプタノンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素含有溶剤;ジメチルアセトアミド、ジメチルホルミアミド、N-メチル-2-ピロリドン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0055】
溶剤の含有量は、前記吸収型偏光膜形成用組成物の総量に対して50~98質量%が好ましい。換言すると、吸収型偏光膜形成用組成物における固形分の含有量は、2~50質量%が好ましい。該固形分の含有量が50質量%以下であると、吸収型偏光膜形成用組成物の粘度が低くなることから、偏光膜の厚さが略均一になることで、当該偏光膜にムラが生じにくくなる傾向がある。また、かかる固形分の含有量は、製造しようとする偏光膜の厚さを考慮して定めることができる。
【0056】
[レベリング剤]
吸収型偏光膜形成用組成物には、レベリング剤を含有させてもよい。レベリング剤とは、組成物の流動性を調整し、組成物を塗布して得られる膜をより平坦にする機能を有する添加剤であり、例えば、有機変性シリコーンオイル系、ポリアクリレート系およびパーフルオロアルキル系のレベリング剤が挙げられる。具体的には、DC3PA、SH7PA、DC11PA、SH28PA、SH29PA、SH30PA、ST80PA、ST86PA、SH8400、SH8700、FZ2123(以上、全て東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341、X22-161A、KF6001(以上、全て信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF-4446、TSF4452、TSF4460(以上、全てモメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ジャパン合同会社製)、フロリナート(fluorinert)(登録商標)FC-72、同FC-40、同FC-43、同FC-3283(以上、全て住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)R-08、同R-30、同R-90、同F-410、同F-411、同F-443、同F-445、同F-470、同F-477、同F-479、同F-482、同F-483、同F-554、同F-556(以上、いずれもDIC(株)製)、エフトップ(商品名)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(以上、全て三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S-381、同S-382、同S-383、同S-393、同SC-101、同SC-105、KH-40、SA-100(以上、全てAGCセイミケミカル(株)製)、商品名E1830、同E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)、BM-1000、BM-1100、BYK-352、BYK-353およびBYK-361N(いずれも商品名:BM Chemie社製)等が挙げられる。中でも、ポリアクリレート系レベリング剤およびパーフルオロアルキル系レベリング剤が好ましい。
【0057】
吸収型偏光膜形成用組成物がレベリング剤を含有する場合、重合性液晶の含有量100質量部に対して、好ましくは0.01~5質量部、より好ましくは0.1~5質量部、さらに好ましくは0.1~3質量部である。レベリング剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶を水平配向させることが容易であり、かつ得られる偏光膜がより平滑となる傾向がある。重合性液晶に対するレベリング剤の含有量が上記範囲を超えると、得られる偏光膜にムラが生じやすい傾向がある。なお、吸収型偏光膜形成用組成物は、レベリング剤を2種以上含有していてもよい。
【0058】
[重合開始剤]
吸収型偏光膜形成用組成物は重合開始剤を含有していてもよい。重合開始剤は、重合性液晶等の重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、サーモトロピック液晶の相状態に依存しないという観点から、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
【0059】
重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩およびスルホニウム塩等が挙げられる。
【0060】
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルおよびベンゾインイソブチルエーテル等が挙げられる。
【0061】
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o-ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’-テトラ(tert-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンおよび2,4,6-トリメチルベンゾフェノン等が挙げられる。
【0062】
アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2-メチル-2-モルホリノ-1-(4-メチルチオフェニル)プロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1,2-ジフェニル-2,2-ジメトキシエタン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンおよび2-ヒドロキシ-2-メチル-1-〔4-(1-メチルビニル)フェニル〕プロパン-1-オンのオリゴマー等が挙げられる。
【0063】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイドおよびビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0064】
トリアジン化合物としては、例えば、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシフェニル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシナフチル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-(4-メトキシスチリル)-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(5-メチルフラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(フラン-2-イル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン、2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(4-ジエチルアミノ-2-メチルフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジンおよび2,4-ビス(トリクロロメチル)-6-〔2-(3,4-ジメトキシフェニル)エテニル〕-1,3,5-トリアジン等が挙げられる。
【0065】
重合開始剤として市販のものを用いることができる。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250、および369、379、127、754、OXE01、OXE02、OXE03(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ株式会社製);セイクオール(登録商標)BZ、Z、およびBEE(精工化学株式会社製);カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100、およびUVI-6992(ダウ・ケミカル株式会社製);アデカオプトマーSP-152、N-1717、N-1919、SP-170、アデカアークルズNCI-831、アデカアークルズNCI-930(株式会社ADEKA製);TAZ-A、およびTAZ-PP(日本シイベルヘグナー株式会社製);並びに、TAZ-104(株式会社三和ケミカル製);等が挙げられる。偏光膜形成用組成物中の重合開始剤は、1種類でも良いし、光の光源に合わせて2種類以上の複数の重合開始剤を混合しても良い。
【0066】
吸収型偏光膜形成用組成物中の重合開始剤の含有量は、重合性液晶の種類およびその量に応じて適宜調節できるが、重合性液晶の含有量100質量部に対して、通常0.1~30質量部、好ましくは0.5~10質量部、より好ましくは0.5~8質量部である。重合開始剤の含有量が上記範囲内であると、重合性液晶の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
【0067】
[増感剤]
吸収型偏光膜形成用組成物は増感剤を含有してもよい。増感剤としては、光増感剤が好ましい。該増感剤としては、キサントンおよびチオキサントン等のキサントン化合物(例えば、2,4-ジエチルチオキサントン、2-イソプロピルチオキサントン等);アントラセンおよびアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセン等)等のアントラセン化合物;フェノチアジンおよびルブレン等が挙げられる。
【0068】
吸収型偏光膜形成用組成物が増感剤を含有する場合、吸収型偏光膜形成用組成物に含有される重合性液晶の重合反応をより促進することができる。かかる増感剤の使用量は、重合性液晶の含有量100質量部に対して、0.1~10質量部が好ましく、0.5~5質量部がより好ましく、0.5~3質量部がさらに好ましい。
【0069】
[重合禁止剤]
重合反応を安定的に進行させる観点から、吸収型偏光膜形成用組成物は重合禁止剤を含有してもよい。重合禁止剤により、重合性液晶の重合反応の進行度合いをコントロールすることができる。
【0070】
前記重合禁止剤としては、ハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコール等)、ピロガロール、2,2,6,6-テトラメチル-1-ピペリジニルオキシラジカル等のラジカル捕捉剤;チオフェノール類;β-ナフチルアミン類およびβ-ナフトール類等が挙げられる。
【0071】
吸収型偏光膜形成用組成物が重合禁止剤を含有する場合、重合禁止剤の含有量は、重合性液晶の含有量100質量部に対して、好ましくは0.1~10質量部、より好ましくは0.5~5質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。重合禁止剤の含有量が、上記範囲内であると、重合性液晶の配向を乱すことなく重合を行うことができる。
【0072】
≪吸収型偏光膜の製造方法≫
本発明における吸収型偏光膜は、基材並びに配向膜上に吸収型偏光膜形成用組成物が塗布することで製造することができる。
<吸収型偏光膜形成用組成物の塗布>
吸収型偏光膜形成用組成物を基材又は配向膜上に塗布する方法としては、押し出しコーティング法、ダイレクトグラビアコーティング法、リバースグラビアコーティング法、CAPコーティング法、スリットコーティング法、マイクログラビア法、ダイコーティング法、インクジェット法等が挙げられる。また、ディップコーター、バーコーター、スピンコーター等のコーターを用いて塗布する方法等も挙げられる。中でも、Roll to Roll形式で連続的に塗布する場合には、マイクログラビア法、インクジェット法、スリットコーティング法、ダイコーティング法による塗布方法が好ましく、ガラス等の枚葉基材に塗布する場合には、均一性の高いスピンコーティング法が好ましい。Roll to Roll形式で塗布する場合、基材に配向膜形成用組成物等を塗布して配向膜を形成して得られた配向膜上に吸収型偏光膜形成用組成物を連続的に塗布することもできる。
【0073】
<吸収型偏光膜形成用組成物の乾燥>
吸収型偏光膜形成用組成物に含まれる溶剤を除去する乾燥方法としては、例えば、自然乾燥、通風乾燥、加熱乾燥、減圧乾燥およびこれらを組み合わせた方法が挙げられる。中でも、自然乾燥または加熱乾燥が好ましい。乾燥温度は、0~200℃の範囲が好ましく、20~150℃の範囲がより好ましく、50~130℃の範囲がさらに好ましい。乾燥時間は、10秒間~10分間が好ましく、より好ましくは30秒間~5分間である。配向膜形成用組成物および配向性ポリマー組成物も同様に乾燥することができる。
【0074】
<重合性液晶化合物の重合>
重合性液晶化合物を重合させる方法としては、光重合が好ましい。光重合は、基材上または配向膜上に重合性液晶化合物を含む光学異方性層形成用組成物が塗布された積層体に活性エネルギー線を照射することにより実施される。照射する活性エネルギー線としては、乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物の種類(特に、重合性液晶化合物が有する光重合性官能基の種類)、光重合開始剤を含む場合には光重合開始剤の種類、およびそれらの量に応じて適宜選択される。具体的には、可視光、紫外光、赤外光、X線、α線、β線、およびγ線からなる群より選択される一種以上の光が挙げられる。中でも、重合反応の進行を制御し易い点、および光重合装置として当分野で広範に用いられているものが使用できるという点で、紫外光が好ましく、紫外光によって光重合可能なように、重合性液晶化合物の種類を選択することが好ましい。
【0075】
前記活性エネルギー線の光源としては、例えば、低圧水銀ランプ、中圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ハロゲンランプ、カーボンアーク灯、タングステンランプ、ガリウムランプ、エキシマレーザー、波長範囲380~440nmを発光するLED光源、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等が挙げられる。
【0076】
紫外線照射強度は、通常、10mW/cm2~3,000mW/cm2である。紫外線照射強度は、好ましくはカチオン重合開始剤又はラジカル重合開始剤の活性化に有効な波長領域における強度である。光を照射する時間は、通常0.1秒~10分であり、好ましくは0.1秒~5分であり、より好ましくは0.1秒~3分であり、さらに好ましくは0.1秒~1分である。このような紫外線照射強度で1回又は複数回照射すると、その積算光量は、通常10mJ/cm2~3,000mJ/cm2、好ましくは50mJ/cm2~2,000mJ/cm2、より好ましくは100mJ/cm2~1,000mJ/cm2である。積算光量がこの範囲以下である場合には、重合性液晶化合物の硬化が不十分となり、良好な転写性が得られない場合がある。逆に、積算光量がこの範囲以上である場合には、本偏光膜の性能が低下する場合がある。
【0077】
[基材]
基材としては、ガラス基材及びフィルム基材が挙げられ、フィルム基材が好ましい、連続的に製造できる点で長尺のロール状フィルムがより好ましい。フィルム基材を構成する樹脂としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマー等のポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネート等のセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド及びポリフェニレンオキシド; が挙げられる。
市販のセルロースエステル基材としては、“フジタックフィルム”(富士写真フイルム株式会社製);“KC8UX2M”、“KC8UY”及び“KC4UY”(以上、コニカミノルタオプト株式会社製)等が挙げられる。
市販の環状オレフィン系樹脂としては、“Topas”(登録商標)(Ticona社(独)製)、“アートン”(登録商標)(JSR株式会社製)、“ゼオノア(ZEONOR)”(登録商標)、“ゼオネックス(ZEONEX)”(登録商標)(以上、日本ゼオン株式会社製)及び“アペル”(登録商標)(三井化学株式会社製)が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、溶剤キャスト法、溶融押出法等の公知の手段により製膜して、基材とすることができる。市販されている環状オレフィン系樹脂基材を用いることもできる。市販の環状オレフィン系樹脂基材としては、“エスシーナ”(登録商標)、“SCA40”(登録商標)(以上、積水化学工業株式会社製)、“ゼオノアフィルム”(登録商標)(オプテス株式会社製)及び“アートンフィルム”(登録商標)(JSR株式会社製)が挙げられる。
基材の厚さは、実用的な取り扱いができる程度の質量である点では、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。基材の厚さは、通常、5μm~300μmであり、好ましくは20μm~200μmである。このように作製した吸収型偏光膜付き基材と反射型偏光板を組み合わせることで本複合偏光板を形成する事ができる。この際、薄型化の観点から基材を剥離して反射型偏光板に吸収型偏光膜を転写させる事が好ましい。
【0078】
好適なフィルム基材としては、反射型偏光板を直接基材として用いることもできる。基材として反射型偏光板を用いて、吸収型偏光膜形成用組成物を直接塗布した複合偏光板は、製造効率が良く大幅な薄型化が達成であるため好ましい。
フィルム基材としては、ポリエチレンナフタレート(PEN)とその異性体(例えば、2,6-、1,4-、1,5-、2,7-及び2,3-PEN)、ポリアルキレンテレフタレート(例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリー1,4-シクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリイミド樹脂(例えば、ポリアクリルイミド)、ポリエーテルイミド、アタクチックポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメタクリレート(例えば、ポリイソブチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリエチルメタクリレート及びポリメチルメタクリレート)、ポリアクリレート(例えば、ポリブチルアクリレート及びポリメチルアクリレート)、セルロース誘導体(例えば、エチルセルロース、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート及びセルロースニトレート)、ポリアルキレン重合体(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブチレン、ポリイソブチレン及びポリ(4-メチル)ペンテン)、弗素化重合体(例えば、ペルフルオロアルコキシ樹脂、ポリテトラフルオロエチレン、弗素化エチレンープロピレン共重合体、ポリビニリデン弗化物及びポリクロロトリフルオロエチレン)、塩素化重合体(例えば、ポリビニリデン塩化物及びポリ塩化ビニル)、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリアクリロニトリル、ポリアミド、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、ポリビニルアセテート、ポリエーテルーアミド、イオノマー樹脂、エラストマー(例えば、ポリブタジエン、ポリイソプレン及びネオプレン)とポリウレタン等のプラスチックが挙げられる。
【0079】
[反射型偏光板]
本発明に用いられる反射型偏光板は、自然光を透過偏光と反射偏光又は散乱偏光に分離する機能を有する偏光変換素子である。反射型偏光板は、具体的には一方の振動方向の直線偏光を透過し、他方の振動方向の直線偏光を反射することができる異方性多重薄膜であることができる。この異方性多重薄膜の市販品として、例えば商品名「DBEF」や「APF」(3M社製、住友スリーエム(株))を好適に用いることができる。反射型偏光板は原理によって限定されるものではなく、コレステリック液晶とλ/4板を組み合わせたものであっても良い。
【0080】
反射型偏光板の厚みは、10~100μm程度であることができるが、光学積層体、複合偏光板及び液晶表示装置の薄膜化の観点から、好ましくは10~50μmである。
【0081】
[配向膜]
本発明において配向膜は、重合性液晶を所望の方向に液晶配向させる、配向規制力を有するものである。
【0082】
配向膜は、重合性液晶の液晶配向を容易にする。水平配向、垂直配向、ハイブリッド配向、傾斜配向等の液晶配向の状態は、配向膜および重合性液晶の性質によって変化し、その組み合わせは任意に選択することができる。例えば、配向膜が配向規制力として水平配向を発現させる材料であれば、重合性液晶は水平配向またはハイブリッド配向を形成することができ、垂直配向を発現させる材料であれば、重合性液晶は垂直配向または傾斜配向を形成することができる。水平、垂直等の表現は、偏光膜平面を基準とした場合の、配向した重合性液晶の長軸の方向を表す。例えば、垂直配向とは偏光膜平面に対して垂直な方向に、配向した重合性液晶の長軸を有することである。ここでいう垂直とは、偏光膜平面に対して90°±20°のことを意味する。本複合偏光板においては、吸収型偏光膜の配向方向は水平配向が好ましいため、水平配向膜が好ましく適用される。
【0083】
配向規制力は、配向膜が配向性ポリマーから形成されている場合は、表面状態やラビング条件によって任意に調整することが可能であり、光配向性ポリマーから形成されている場合は、偏光照射条件等によって任意に調整することが可能である。また、重合性液晶の、表面張力や液晶性等の物性を選択することにより、液晶配向を制御することもできる。
【0084】
基材と偏光膜との間に形成される配向膜としては、配向膜上に偏光膜を形成する際に使用される溶剤に不溶であり、また、溶剤の除去や液晶の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。配向膜としては、配向性ポリマーからなる配向膜、光配向膜およびグルブ(groove)配向膜等が挙げられ、長尺のロール状フィルムに適用する場合には、配向方向を容易に制御できる点で、光配向膜が好ましい。
【0085】
配向膜の厚さは、通常10nm~5000nmの範囲であり、好ましくは10nm~1000nmの範囲であり、より好ましくは30~300nmである。
【0086】
ラビング配向膜に用いられる配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類等が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。これらの配向性ポリマーは、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0087】
配向性ポリマーからなる配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した組成物(以下、「配向性ポリマー組成物」ともいう。)を基材に塗布し、溶剤を除去する、または、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去し、ラビングすること(ラビング法)で得られる。
【0088】
前記溶剤としては、水;メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブおよびプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ-ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテートおよび乳酸エチル等のエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトンおよびメチルイソブチルケトン等のケトン溶剤;ペンタン、ヘキサンおよびヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤;トルエンおよびキシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤;テトラヒドロフランおよびジメトキシエタン等のエーテル溶剤;クロロホルムおよびクロロベンゼン等の塩素置換炭化水素溶剤;等が挙げられる。これら溶剤は、単独でもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0089】
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマーが、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1~20質量%が好ましく、0.1~10質量%がより好ましい。
【0090】
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標)(日産化学工業株式会社製)またはオプトマー(登録商標)(JSR株式会社製)等が挙げられる。
【0091】
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、スピンコーティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、バーコーティング法およびアプリケータ法等の塗布方法や、フレキソ法等の印刷法等の公知の方法が挙げられる。本発明の偏光膜を、Roll-to-Roll形式の連続的製造方法により製造する場合、当該塗布方法には通常、グラビアコーティング法、ダイコーティング法またはフレキソ法等の印刷法が採用される。
【0092】
配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤を除去することにより、配向性ポリマーの乾燥被膜が形成される。溶剤の除去方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥法および減圧乾燥法等が挙げられる。
【0093】
ラビングする方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を、接触させる方法が挙げられる。
【0094】
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーおよび溶剤を含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ともいう)を基材に塗布し、偏光(好ましくは、偏光UV)を照射することで得られる。光配向膜は、照射する偏光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。本発明においては、長尺ロールの搬送方向に対して、実質的に面内方向90°の方向に配向制御する事で、吸収型偏光膜の吸収軸がロール搬送方向に対して実質的に面内方向90°の吸収型偏光膜を形成する事ができる。尚、実質的に90°とは90±8°の範囲である。ロール搬送方向に対して面内90±8°の範囲に吸収軸を有するロール状吸収型偏光膜を形成する事が、本複合偏光板を作製する上で好ましい形態である。
【0095】
光反応性基とは、光を照射することにより液晶配向能を生じる基をいう。具体的には、光を照射することで生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応、または光分解反応のような、液晶配向能の起源となる光反応を生じるものである。当該光反応性基の中でも、二量化反応または光架橋反応を起こすものが、配向性に優れる点で好ましい。以上のような反応を生じうる光反応性基としては、不飽和結合、特に二重結合を有するものが好ましく、炭素-炭素二重結合(C=C結合)、炭素-窒素二重結合(C=N結合)、窒素-窒素二重結合(N=N結合)、および炭素-酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基がより好ましい。
【0096】
C=C結合を有する光反応性基としては例えば、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ-ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基等が挙げられる。反応性の制御が容易であるという点や光配向時の配向規制力発現の観点から、カルコン基およびシンナモイル基が好ましい。
C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基および芳香族ヒドラゾン等の構造を有する基が挙げられる。
N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基およびホルマザン基等や、アゾキシベンゼンを基本構造とするものが挙げられる。
C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基等が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基およびハロゲン化アルキル基等の置換基を有していてもよい。
【0097】
光配向膜形成用組成物の溶剤としては、光反応性基を有するポリマーおよびモノマーを溶解するものが好ましく、該溶剤としては、例えば、前記の配向性ポリマー組成物の溶剤として挙げられた溶剤等が挙げられる。
【0098】
光配向膜形成用組成物に対する、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、当該光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの種類や製造しようとする光配向膜の厚さによって適宜調節できるが、0.2質量%以上とすることが好ましく、0.3~10質量%の範囲が好ましい。また、光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、ポリビニルアルコールやポリイミド等の高分子材料や光増感剤が含まれていてもよい。
【0099】
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、前述した配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、配向性ポリマー組成物から溶剤を除去する方法と同じ方法が挙げられる。
【0100】
偏光を照射するには、基材等の上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光を照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であることが好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250~400nmの範囲のUV(紫外光)が好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArF等の紫外光レーザー等が挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプおよびメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外光の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光素子を通過して照射することにより、偏光を照射することができる。かかる偏光素子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテーラー等の偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光素子を用いることができる。
【0101】
なお、ラビングまたは偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、液晶配向の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
【0102】
グルブ(groove)配向膜は、膜表面に凹凸パターンまたは複数のグルブ(溝)を有する膜である。等間隔に並んだ複数の直線状のグルブを有する膜に液晶分子を置いた場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向する。
【0103】
グルブ配向膜を得る方法としては、感光性ポリイミド膜表面にパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤に、硬化前のUV硬化性樹脂の層を形成し、樹脂層を基材へ移してから硬化する方法、および、基材上に形成した硬化前のUV硬化性樹脂の膜に、複数の溝を有するロール状の原盤を押し当てて凹凸を形成し、その後硬化する方法等が挙げられる。具体的には、特開平6-34976号公報および、特開2011-242743号公報記載の方法等が挙げられる。
【0104】
配向乱れの小さな配向を得るためには、グルブ配向膜の凸部の幅は0.05μm~5μmであることが好ましく、凹部の幅は0.1μm~5μmであることが好ましく、凹凸の段差の深さは2μm以下であることが好ましく、0.01μm~1μm以下であることが好ましい。
【0105】
かくして形成された本偏光膜の厚みは、通常0.5μm以上10μm以下であり、1μm以上5μm以下の範囲が好ましく、1μm以上4μm以下がさらに好ましい。したがって、本偏光膜形成用の塗布膜の厚みは、得られる本偏光膜の厚みを考慮して定められる。
なお、本偏光膜の厚みは、干渉膜厚計やレーザー顕微鏡あるいは触針式膜厚計の測定で求められるものである。
【0106】
本発明の複合偏光板は、先述したように反射型偏光板上に吸収型偏光膜が塗布形成された複合偏光板としても得ることができるし、別基材上に塗布形成した吸収型偏光膜を配向膜と共に粘着剤や接着剤を介して反射型偏光板上に転写する事でと複合偏光板を得ることができる。また、この際には反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の吸収軸が実質的に一致するように形成される。反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の吸収軸の成す角度は8°以下が好ましく、4°以下がより好ましく、2°以下がさらに好ましい。この角度の制御は、吸収型偏光膜を配向させる配向膜の配向規制力を前述の通りの方法で制御する事で可能となる。
【0107】
従来技術では複合偏光板は工業的にはロール状の吸収型偏光板、及びロール状の反射型偏光板から作製される。吸収型偏光板としてヨウ素PVA偏光板が用いられるが、その吸収軸は高度な縦一軸延伸が必要であるためロール搬送方向に対して平行である。一方で、反射型偏光板はフィルムの幅を広くするために横延伸が必要であり、その吸収軸はロール搬送方向に対して直交である。すなわち、両方の偏光板を積層するためには、どちらか片方の偏光板を一度枚葉に切り取り貼りあわせる必要があった。この場合、大型のLCD-TV用途等には継ぎ目ができるため適用ができなかった。
しかしながら本発明の複合偏光板は、吸収型偏光膜の吸収軸を任意に制御できるため、長尺ロール形態で連続的に積層でき、生産効率が大幅に向上する。また、大型のLCD-TV用途等にも適用が可能となる。長尺ロール形態とはロール搬送方向の長さが通常10~10000m、生産性の観点から好ましくは100~10000mが好ましい。
ロール状複合偏光板では反射型偏光板の反射軸がロール搬送方向に対して面内方向90°±8°が好ましく、90°±4°がさらに好ましい。また、吸収型偏光膜の吸収軸がロール搬送方向に対して面内方向90°±8°が好ましく、90°±4°がより好ましく、90°±2°がさらに好ましい。
【0108】
反射型偏光板上に連続的に吸収型偏光膜を形成する方法としては、具体的には下記工程1~7を含む方法により製造されることが好ましい。
工程1.ロール状反射型偏光板を巻出しながら、光により配向規制力を生じるポリマーと溶剤を含む組成物を前記ロール状反射型偏光板表面に連続塗布して第一塗布膜を形成する工程、
工程2.前記第一塗布膜を加熱乾燥して第一乾燥膜を形成する工程、
工程3.前記第一乾燥膜に偏光紫外線を照射して配向膜を形成する工程、
工程4.前記配向膜上に二色性色素と重合性液晶化合物と重合開始剤と溶剤を含む組成物を塗布して第二塗布膜を形成する工程、
工程5.前記第二塗布膜を加熱乾燥して第二乾燥膜を形成する工程、
工程6.前記第二乾燥膜に紫外線を照射して重合性液晶化合物を重合させて吸収型偏光膜を形成して複合偏光板を形成する工程
工程7.前記複合偏光板をロールに巻き取る工程
【0109】
得られたロール状複合偏光板は、一般的に矩形に切り出して枚葉複合偏光板シートとする。本発明は先述の通り長辺方向に透過軸を有している大型の枚葉複合偏光板シートを作成するのに適している。具体的には対角60インチ以上、好ましくは80インチ以上、さらに好ましくは100インチ以上の矩形複合偏光板を作成するのに適している。
【0110】
[液晶表示装置]
反射型偏光板に吸収型偏光膜形成用組成物から塗布形成された偏光膜が設けられた本発明の複合偏光板は、液晶表示装置のバックライトユニットと液晶セルとの間に設置され、バックライトユニット側に反射型偏光子面、液晶セル側に二色性色素を含有する吸収型偏光膜形成用組成物から塗布形成された吸収型偏光膜が配置されるという形態で好ましく用いることができる。また、このような長尺形態で得られた複合偏光板は継ぎ目が無く、大型の液晶ディスプレイへも好適に適用可能である。
本発明の複合偏光板を具備してなる液晶セルにおいても、液晶セルの駆動方式は、従来公知のいかなる方式も適用することができるが、好ましくはインプレーンスイッチング(IPS)、垂直配向(VA)モードが挙げられる。
【実施例】
【0111】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0112】
実施例1
[光配向膜形成用組成物の製造]
下記成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。
光配向性材料(2部):
溶剤(98部):o-キシレン
【0113】
〔偏光膜形成用組成物の製造〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、偏光膜形成用組成物を得た。二色性色素には、特開2015-165302号公報の実施例に記載のアゾ系色素を用いた。
〔重合性液晶化合物〕
〔二色性色素〕
2.5部
2.5部
2.5部
〔他の成分〕
重合開始剤;
2-ジメチルアミノ-2-ベンジル-1-(4-モルホリノフェニル)ブタン-1-オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製) 6部
レベリング剤;
ポリアクリレート化合物(BYK-361N;BYK-Chemie社製)
1.2部
溶剤;o-キシレン 250部
【0114】
〔相転移温度の測定〕
ガラス基板上に、ポリビニルアルコール(ポリビニルアルコール1000完全ケン化型、和光純薬工業株式会社製)の2質量%水溶液(配向層形成用組成物)をスピンコート法により塗布し、乾燥後、厚さ100nmの膜を形成した。続いて、得られた膜の表面にラビング処理を施すことにより配向層を形成した。ラビング処理は、半自動ラビング装置(商品名:LQ-008型、常陽工学株式会社製)を用いて、布(商品名:YA-20-RW、吉川化工株式会社製)によって、押し込み量0.15mm、回転数500rpm、16.7mm/sの条件で行った。このようにして作製した配向膜上に偏光膜形成用組成物(A)をスピンコート法により塗布し、120℃のホットプレート上で1分間加熱乾燥した後、速やかに室温まで冷却して、前記配向層上に乾燥被膜を形成した。この乾燥被膜をホットプレート上で再び120℃まで昇温後、降温時において、偏光顕微鏡で観察をすることで相転移温度を測定した。その結果、115℃でネマチック相に相転移し、105℃でスメクチックA相に相転移し、74℃でスメクチックB相へ相転移したことを確認した。
【0115】
〔X線回折測定〕
先の配向膜上に偏光膜形成用組成物をスピンコート法により塗布し、120℃のホットプレート上で1分間加熱乾燥した後、速やかに室温まで冷却して、前記配向層上に乾燥被膜を形成した。次いで、UV照射装置(SPOT CURE SP-7;ウシオ電機株式会社製)を用い、紫外線を、露光量2000mJ/cm2(365nm基準)で乾燥被膜に照射することにより、該乾燥被膜に含まれる重合性液晶化合物を、前記重合性液晶組成物の液晶状態を保持したまま重合させ、該乾燥被膜から偏光膜を形成した。この際の偏光膜の厚みをレーザー顕微鏡(オリンパス株式会社社製 OLS3000)により測定したところ、1.7μmであった。この偏光膜に対して、X線回折装置X’Pert PRO MPD(スペクトリス株式会社製)を用いて同様にX線回折測定を行った結果、2θ=20.1°付近にピーク半価幅(FWHM)=約0.312°のシャープな回折ピークが得られた。また、ラビング垂直方向からの入射でも同等な結果を得た。ピーク位置から求めた秩序周期(d)は約4.4Åであり、高次スメクチック相を反映した構造を形成することを確認した。
【0116】
2.複合偏光板の作製
〔光配向層の作製〕
反射型偏光板として幅800mmの長尺APF(3M Company(3M社)(日本では住友スリーエム(株))製)ロールを用い、連続的に繰り出しながら、表面をプラズマ処理した後に、スロットダイコーターを用いて光配向膜形成用組成物を30ml/minの流量で吐出して、フィルム中央部の幅750mm範囲に第一塗布膜を形成した。さらに、120℃に設定した通風乾燥炉中を2分間かけて搬送することで溶媒を除去し、第一乾燥膜を形成した。その後、フィルムの長手方向に対して90°方向の偏光UV光を該第一乾燥膜に20mJ/cm2(313nm基準)の強度となるように照射することで配向規制力を付与して、長尺光配向膜を形成した。
【0117】
〔複合偏光板の作製〕
該光配向膜上に、スロットダイコーターを用いて偏光膜形成用組成物を77.2ml/minの流量で吐出して、フィルム中央部の幅750mm範囲に第二塗布膜を形成した。
さらに、120℃に設定した通風乾燥炉中を2分間かけて搬送することで溶媒を除去し、第二乾燥膜を形成した。その後、室温にてUV光を1000mJ/cm2(365nm基準)で照射して第二乾燥膜に含まれる重合性液晶化合物をその液晶状態を保持したまま重合させ、該乾燥被膜から偏光膜を形成した。その後、連続的にロール状に巻き上げ、90°方向に吸収軸を有する長尺複合偏光板(1)200mを得た。このように作製した複合偏光板に対して接触式膜厚計により厚みを測定したところフィルム全体で28μmであった。また、複合偏光板をミクロトームで切削した後、この断面にカーボン蒸着を施して、走査型透過電子顕微鏡(STEM、電界放射型走査電子顕微鏡(FE-STEM)、型番:「S-5500」、日立製作所製)による観察を行ったところ、光配向膜の膜厚は100nm、偏光膜の膜厚は3.5μmであった。
【0118】
[複合偏光板の評価]
得られた長尺複合偏光板の、塗工スタート部分から3mの位置及び、塗工終了部分から3mの位置からそれぞれ5cm角の大きさ、幅方向で5点切り出した。
3.偏光性能の測定
複合偏光板の有用性を確認するため、以下のようにして視感度補正偏光度を測定した。
波長380nm~780nmの範囲で透過軸方向の透過率(T1)及び吸収軸方向の透過率(T2)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV-3150)に偏光素子付フォルダーをセットした装置を用いてダブルビーム法で測定した。該フォルダーは、リファレンス側は光量を50%カットするメッシュを設置した。下記式(式1)を用いて、各波長における透過率を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い視感度補正偏光度(Ty)を算出した。下記式(式2)を用いて、各波長における偏光度を算出し、さらにJIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い視感度補正偏光度(Py)を算出した。また、反射型偏光板の反射軸と吸収型偏光膜の成す角度θは複合偏光板から反射型偏光板と吸収型偏光膜とを分離し、同一の辺を基準辺として、反射型偏光板の反射軸、及び吸収型偏光膜の吸収軸を、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA-WPR」を用いて回転検光子法により測定し、下記式:
θ=(反射型偏光板の反射軸角度)-(吸収型偏光膜の吸収軸角度)
に従って算出した。結果を表1、表2に示す。反射型偏光板の反射軸と前記吸収型偏光膜の成す角度θは0°であった。また複合偏光板の視感度補正偏光度(Py)は99.7%であり、APF単体での視感度補正偏光度(Py)95.5%よりも大きく向上していることを確認した。また、幅方向、搬送方向においても安定していることを確認した。
単体透過率(%)=(T1+T2)/2 式(1)
偏光度(%)={(T1-T2)/(T1+T2)}×100 式(2)
【0119】
【0120】
【0121】
実施例2
偏光膜形成用組成物の流量を68.2ml/min変更したこと以外は実施例1と同様に複合偏光板を作製した。光配向膜の膜厚は100nm、偏光膜の膜厚は3.1μmであった。偏光性能の測定結果を表2に記す。
【0122】
実施例3
θを2°に変更したこと以外は請求項2と同様に複合偏光板を作製した。偏光性能の測定結果を表2に記す。
【0123】
実施例4
θを4°に変更したこと以外は実施例2と同様に複合偏光板を作製した。偏光性能の測定結果を表2に記す。
【0124】
実施例5(参考例)
θを5°に変更したこと以外は実施例2と同様に複合偏光板を作製した。偏光性能の測定結果を表2に記す。
【0125】
実施例6(参考例)
θを7°に変更したこと以外は実施例2と同様に複合偏光板を作製した。偏光性能の測定結果を表2に記す。
【0126】
実施例7(参考例)
θを8°に変更したこと以外は実施例2と同様に複合偏光板を作製した。偏光性能の測定結果を表2に記す。
【0127】
比較例1
θを10°に変更したこと以外は実施例2と同様に複合偏光板を作製した。偏光性能の測定結果を表2に記す。
【産業上の利用可能性】
【0128】
本発明の複合偏光板は、薄型かつ高性能の液晶表示装置を製造において、好適に使用し得る。