(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】水平回転運動でのビーム移動によるスポット加熱
(51)【国際特許分類】
H01L 21/683 20060101AFI20240619BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240619BHJP
H01L 21/31 20060101ALI20240619BHJP
H01L 21/26 20060101ALI20240619BHJP
C23C 16/46 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
H01L21/68 N
H01L21/205
H01L21/31 B
H01L21/31 E
H01L21/26 G
C23C16/46
(21)【出願番号】P 2022543659
(86)(22)【出願日】2021-05-10
(86)【国際出願番号】 US2021031486
(87)【国際公開番号】W WO2022010571
(87)【国際公開日】2022-01-13
【審査請求日】2022-09-16
(32)【優先日】2020-07-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ラウ, シュー-クワン
(72)【発明者】
【氏名】中川 敏之
(72)【発明者】
【氏名】イェー, ジーユエン
【審査官】小山 和俊
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-120139(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0127851(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0371631(US,A1)
【文献】特表2018-535545(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/683
H01L 21/205
H01L 21/31
H01L 21/26
C23C 16/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理チャンバであって、
第1のウインドウ、
第2のウインドウ、
前記第1のウインドウと前記第2のウインドウとの間に配置された基板支持体、
第1の面に配置されたロータリステージ、及び
前記第1のウインドウの上に配置され、かつ前記第1のウインドウを通じて放射エネルギーを提供するように構成された電動式の回転可能な放射スポット熱源
を含み、
前記電動式の回転可能な放射スポット熱源が、
前記ロータリステージに取り付けられており、前記電動式の回転可能な放射スポット熱源が前記第1の面に対して鋭角に位置づけられており、前記ロータリステージが、前記電動式の回転可能な放射スポット熱源を回転させ、かつ前記電動式の回転可能な放射スポット熱源によって提供された放射エネルギーを
導くように回転可能である、
処理チャンバ。
【請求項2】
冷却プレートをさらに含み、前記ロータリステージが前記冷却プレート上に配置される、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項3】
前記冷却プレートが、それに形成された1つ以上のチャネルを含む、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項4】
前記1つ以上のチャネルがアルミニウムを含む、請求項3に記載の処理チャンバ。
【請求項5】
前記ロータリステージが前記冷却プレートと直接接触して配置される、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項6】
チャンバリッドをさらに含み、前記冷却プレートが前記チャンバリッド上に配置される、請求項2に記載の処理チャンバ。
【請求項7】
前記電動式の回転可能な放射スポット熱源が、
コリメータホルダ、及び
前記コリメータホルダ内に配置されたコリメータ
を含む、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項8】
前記ロータリステージ上に配置されたロータリプレートをさらに含み、該ロータリプレートが垂直軸を中心に回転可能である、請求項1に記載の処理チャンバ。
【請求項9】
スポット熱源アセンブリにおいて、
放射エネルギーを提供するように構成された電動式の回転可能な放射スポット熱源であって、
コリメータホルダ、及び
第1の面に配置されたロータリステージ
を含む、電動式の回転可能な放射スポット熱源
を含む、スポット熱源アセンブリであって、
前記コリメータホルダが、前記第1の面に対して鋭角に前記ロータリステージに取り付けられており、前記ロータリステージが、前記電動式の回転可能な放射スポット熱源を回転させ、かつ前記電動式の回転可能な放射スポット熱源によって提供された放射エネルギーを
導くように回転可能である、
スポット熱源アセンブリ。
【請求項10】
冷却プレート
をさらに含み、
前記ロータリステージが、前記冷却プレートと直接接触しており、前記冷却プレートが、前記第1の面に平行な第2の面に取り付けられている、
請求項9に記載のスポット熱源アセンブリ。
【請求項11】
前記コリメータホルダ上に配置されたコリメータ、及び
前記コリメータに連結されたレーザ
をさらに含む、請求項10に記載のスポット熱源アセンブリ。
【請求項12】
前記コリメータホルダが、その中に取り付けられた少なくとも1つのレンズを含む、請求項9に記載のスポット熱源アセンブリ。
【請求項13】
前記少なくとも1つのレンズが反射防止コーティングでコーティングされている、請求項12に記載のスポット熱源アセンブリ。
【請求項14】
前記コリメータホルダが、その中に取り付けられた複数のレンズを含む、請求項9に記載のスポット熱源アセンブリ。
【請求項15】
前記ロータリステージが複数の真空気密シールを含む、請求項14に記載のスポット熱源アセンブリ。
【請求項16】
請求項1に記載の処理チャンバを用いたスポット加熱のための方法であって、
前記処理チャンバ内の
前記基板支持体上に基板を配置すること、
前記ロータリステージ上に取り付けられた
前記電動式の回転可能なスポット熱源を作動させて前記基板に放射エネルギーを投射すること、
前記基板上の前記投射された放射エネルギーの衝突点を調整するために、前記
電動式の回転可能なスポット熱源を
円形又は弧状の経路に沿って移動させること、及び
前記基板の所望の領域を前記投射された放射エネルギーで加熱すること
を含む、方法。
【請求項17】
前記基板の前記所望の領域を加熱しつつ、前記基板支持体を回転させること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記基板の前記所望の領域を加熱しつつ、前記ロータリステージを回転させること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記基板の前記所望の領域を加熱しつつ、前記基板支持体及び前記ロータリステージを回転させること
をさらに含む、請求項16に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して、半導体処理のための装置及び方法に関し、より詳細には、熱処理チャンバ及びその中で用いられるスポットヒータに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体基板は、集積デバイス及びマイクロデバイスの製造を含む、広範な用途向けに処理される。処理中、基板は、処理チャンバ内の基板支持体上に位置づけられる。基板支持体は、中心軸を中心に回転可能な支持シャフトによって支持される。熱源を正確に制御することにより、非常に厳しい許容範囲内で基板を加熱することが可能となる。基板の温度は、基板上に堆積される材料の均一性に影響を及ぼす可能性がある。
【0003】
基板の加熱を精密に制御したにも関わらず、基板上のある特定の場所に谷(より少ない堆積物)が形成されることが観察された。したがって、加熱の均一性を改善するための装置が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本開示の実施形態は、概して、半導体処理のための装置及び方法に関し、より詳細には、スポット熱源、それを含む熱処理チャンバ、並びにそれを使用する方法に関する。1つ以上の実施形態では、処理チャンバは、第1のウインドウ、第2のウインドウ、第1のウインドウと第2のウインドウとの間に配置された基板支持体、並びに第1のウインドウの上に配置され、かつ第1のウインドウを通じて放射エネルギーを提供するように構成された電動式の回転可能な放射スポット熱源を含む。
【0005】
1つ以上の実施形態では、スポット熱源アセンブリは、コリメータホルダ及び第1の面に配置されたロータリステージを含み、該コリメータホルダは、第1の面に対して鋭角にロータリステージに取り付けられる。
【0006】
1つ以上の実施形態では、スポット加熱のための方法は、処理チャンバ内の基板支持体上に基板を配置すること、ロータリステージ上に取り付けられたスポット熱源を作動させて基板に放射エネルギーを投射すること、弓状の経路に沿ってスポット熱源を移動させて基板上の投射された放射エネルギーの衝突点を調整すること、並びに基板の所望の領域を投射された放射エネルギーで加熱することを含む。
【0007】
本開示の上記特徴を詳細に理解することができるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、その範囲を限定するとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】1つ以上の実施形態による処理チャンバの概略的な断面側面図
【
図1B】別の実施形態による処理チャンバの概略的な断面側面図
【
図2A】1つ以上の実施形態によるスポット熱源アセンブリの放射経路の概略的な斜視側面図
【
図2B】1つ以上の実施形態による
図2Aのスポット熱源アセンブリの概略的な上面図
【
図2C】1つ以上の実施形態によるリフレクタの概略的な上面図
【
図3A】1つ以上の実施形態による
図2Aのスポット熱源アセンブリの概略的な断面図
【
図3B】1つ以上の実施形態による
図2Aのスポット熱源アセンブリの概略的な断面図
【
図3C】1つ以上の実施形態による
図2Aのスポット加熱アセンブリの概略的な断面図
【発明を実施するための形態】
【0009】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込むことができることが想定されている。
【0010】
本開示の実施形態は、概して、半導体処理のための装置及び方法に関し、より詳細には、熱処理チャンバ及びその中で用いられるスポット熱加熱アセンブリに関する。熱処理チャンバは、基板支持体、該基板支持体の上に配置された第1の複数の加熱素子、及び第1の複数の加熱素子の上に配置された1つ以上のスポット熱源アセンブリを含む。1つ以上のスポット熱源アセンブリを利用して、処理中に基板支持体上に配置された基板上の温度がより低い領域に局所加熱を提供する。基板を局所的に加熱することにより、温度プロファイルが改善され、堆積の均一性が改善される。
【0011】
本明細書に記載される場合、「基板」又は「基板表面」は、概して、その上に処理が行われる任意の基板表面を指す。例えば、基板表面は、用途に応じて、ケイ素、酸化ケイ素、ドープされたケイ素、シリコンゲルマニウム、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、サファイア、並びに他の任意の材料、例えば、金属、窒化金属、金属合金、及び他の導電性又は半導性の材料を含みうる。基板又は基板表面はまた、二酸化ケイ素、窒化ケイ素、有機ケイ酸塩、及び炭素をドープされた酸化ケイ素又は窒化ケイ素材料を含みうる。基板自体は特定のサイズ又は形状に限定されない。本明細書に記載される実施形態は、概して、円形の200mm、300mm、又は450mmの基板について言及しているが、本明細書に記載される実施形態に従って、多角形、正方形、長方形、湾曲した、又は他の非円形のワークピースなど、他の形状を利用することができる。
【0012】
図1Aは、一実施形態による処理チャンバ100aの概略的な断面側面図である。処理チャンバ100aは、エピタキシャル堆積処理などの熱処理を実施するための処理チャンバである。処理チャンバ100aは、チャンバリッド103、チャンバ本体148、カバー134、及び加熱用の放射加熱ランプのアレイ104a、104b、並びに、処理チャンバ100a内に配置されたサセプタ106を含む。放射加熱ランプのアレイ104a、104bは、サセプタ106の上下に配置されているが、放射加熱ランプの上部アレイ104a又は放射加熱ランプの下部アレイ104bの一方が省略されていてもよい。放射加熱ランプのアレイ104a、104bは、約10KWから約60KWの間の総ランプ電力を提供する。放射加熱ランプのアレイ104a、104bは、基板102を摂氏約500度から摂氏約900度の間の温度に加熱する;しかしながら、他の温度範囲も企図されている。
【0013】
放射加熱ランプのアレイ104a、104bは、処理ガスがその上を通過するときに基板102のさまざまな領の温度を制御するために、ゾーン内で独立して制御され、したがって、基板102の上面への材料の堆積を促進する。本明細書では詳細に論じないが、堆積材料は、他の材料の中でもとりわけ、ケイ素、ドープされたケイ素、ゲルマニウム、ドープされたゲルマニウム、シリコンゲルマニウム、ドープされたシリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、窒化ガリウム、又は窒化アルミニウム・ガリウムを含みうる。
【0014】
放射加熱ランプのアレイ104a、104bは、本明細書ではランプ電球141として示されている放射熱源を含む。各ランプ電球141は、それを通じて電力が各ランプ電球141に供給されるプリント回路基板(PCB)などの分電盤152に連結される。第2のウインドウ110の下に位置する放射加熱ランプのアレイ104a、104bは、ランプヘッド145内に位置決めされ、例えば、放射加熱ランプのアレイ104a、104b間に位置するチャネル149に導入される冷却流体によって、処理中又は処理後に冷却されうる。
【0015】
サセプタ106は、図示されるようにディスク状の基板支持体であるが、代替として、基板102のエッジから基板102を支持し、基板102の裏面を放射加熱ランプ104からの熱に曝露する、リング状の基板支持体を備えていてもよい。サセプタ106は、基板102の加熱を容易にするために、放射加熱ランプ104からの放射エネルギーを吸収し、その放射エネルギーを基板102に伝導するように、炭化ケイ素又は炭化ケイ素でコーティングされたグラファイトから形成される。
【0016】
サセプタ106は、処理チャンバ100a内の第1のウインドウ108と第2のウインドウ110との間に位置する。第1のウインドウ108及び第2のウインドウ110の各々はドームの形状をしている。しかしながら、第1のウインドウ108及び第2のウインドウ110は、平面を含む他の形状を有していてもよいことが企図されている。第1のウインドウ108と第2のウインドウ110との間にはベースリング112が配置される。第1のウインドウ108及び第2のウインドウ110の各々は、放射加熱ランプのアレイ104a、104bによって提供される放射エネルギーに対して光学的に透明である。第1のウインドウ108は、チャンバリッド103とサセプタ106との間に配置される。放射加熱ランプの上部アレイ104aは、第1のウインドウ108の上方に配置される。リフレクタ154は、放射加熱ランプの上部アレイ104aからの熱エネルギーの方向付けを容易にする。同様に、放射加熱ランプの下部アレイは、第2のウインドウ110の下方に配置される。
【0017】
サセプタ106は、動作アセンブリ120に連結されるシャフト又はステム118を含む。動作アセンブリ120は、ステム118及び/又はサセプタ106の移動及び/又は調整及び/又は回転を提供する1つ以上のアクチュエータ及び/又は調整デバイスを含む。サセプタ106は、約5RPMから約100RPMの間、例えば、約10RPMから約50RPMの間で回転することができる。サセプタ106は、処理位置に位置している間、処理チャンバ100aをサセプタ106の上にある処理ガス領域136とサセプタ106の下にあるパージガス領域138とに分割する。ベースリング112に処理ガス入口114、パージガス入口164、及びガス出口116が設けられ、処理中に基板102が処理ガスに曝露されることを容易にする。処理ガス源151は処理ガス入口114に処理ガスを提供し、パージガス源162はパージガス入口164にパージガスを提供する。処理ガス及びパージガスは、ガス出口116を通って排気アセンブリ157へと流れる。
【0018】
円形シールド146が、サセプタ106の周りに配置され、ベースリング112及び/又はライナ163に連結されて、放射加熱ランプ104からの熱の漏れを防止又は最小化する。さらには、熱シールド175がリフレクタ154の上に配置され、望ましくない熱の伝達を遮断する。熱シールド175は、金属材料、例えばアルミニウムから製造され、金でコーティングされる。基板温度は、サセプタ106の底部の温度を測定するように構成されたセンサによって間接的に測定することができる。センサは、ランプヘッド145内に形成されたポートに配置された高温計であってもよい。加えて、高温計などの1つ以上の温度センサ153が、基板102のデバイス側の温度を測定するように配向される。1つ以上の温度センサ153は、チャンバリッド103を通じて配置され、熱シールド175を通じて形成された開口部を通して基板102を検出するように構成される。
【0019】
処理チャンバ100aはさらに、1つ以上のスポット熱源アセンブリ170を含む(2つが示されている)。各スポット熱源アセンブリ170は、例えば、レーザシステムアセンブリである。レーザシステムアセンブリの電力密度は、約1W/cm2から約1000W/cm2、例えば約1W/cm2から約200W/cm2、例えば約200W/cm2から約1000W/cm2の範囲にありうる。各スポット熱源アセンブリ170は、チャンバリッド103の上面に連結され、かつその上に配置される。各スポット熱源アセンブリ170は、放射エネルギー132を、リフレクタ154(その中に光学的に透明なウインドウを有しうる)の開口部130を通り、第1のウインドウ108を通って、サセプタ106へと導く。各スポット熱源アセンブリ170からの放射エネルギー132は、サセプタ106上に位置決めされた基板102の1つ以上の所定の位置に衝突するように、サセプタ106に向けられる。スポット熱源アセンブリ170からの放射エネルギー132は、基板の所定の位置を選択的に加熱し、その結果、処理中に、より均一な基板温度(したがって、より均一な堆積)をもたらす。各スポット熱源アセンブリ170によって提供される熱エネルギーは、温度センサ153による温度測定値及びコントローラ150からの1つ以上の命令に応答して、基板102上のある位置に向けられる。
【0020】
2つのスポット熱源アセンブリ170が処理チャンバ100a内に示されているが、1つ以上のスポット熱源アセンブリ170、例えば2つのスポット熱源アセンブリ170、例えば3つのスポット熱源アセンブリ170、例えば4つのスポット熱源アセンブリ170が処理チャンバ100a上に取り付けられてよいことが企図されている。特にトラックに取り付けられたスポット熱源アセンブリと比較して、各スポット熱源アセンブリ170の取り付けシステムのバルクが有利に減少することから、複数のスポット熱源アセンブリ170を取り付けることができる。
【0021】
上述の処理チャンバ100aは、コントローラ150などのプロセッサをベースとしたシステムコントローラによって制御される。例えば、コントローラ150は、処理チャンバ100a内の圧力、温度、及び流量を制御するように構成される。さらなる例として、コントローラ150は、スポット熱源アセンブリ170を動作させて、基板102の改善された温度均一性を促進するように構成される。コントローラ150は、基板処理の制御を容易にするために処理チャンバ100aのさまざまな構成要素に連結された、メモリ155、サポート回路158、及び大容量ストレージデバイス、入力制御ユニット、並びにディスプレイユニット(図示せず)、例えば、電源、クロック、キャッシュ、入力/出力(I/O)回路などとともに動作可能である、プログラム可能な中央処理装置(CPU)156を含む。コントローラ150はまた、前駆体、処理ガス、及びパージガスの流れをモニタするセンサを含めた、処理チャンバ100a内のセンサを通じて基板処理をモニタするためのハードウェアも含む。基板温度、チャンバ内気圧などのシステムパラメータを測定する他のセンサもまた、コントローラ150に情報を提供することができる。
【0022】
図1Bは、1つ以上の実施形態による処理チャンバ100bの断面図を示している。処理チャンバ100bは、
図1Aに示される処理チャンバ100aと同様であるが、異なるリッド103Bを利用している。リッド103Bはクランプリング160に連結される。複数の放射加熱ランプ104bが、リフレクタ154に近接してリッド103Bに取り付けられる。1つ以上の温度センサ153がリッド103Bに連結され、基板102の温度測定を促進するように位置づけられる。1つ以上のスポット熱源アセンブリ170(1つが示されている)も、チャンバリッド103Bの上面に配置され、放射エネルギーを基板102に向けるように位置づけられる。
【0023】
図2Aは、スポット熱源アセンブリ170の斜視図を示している。スポット熱源アセンブリ170は、放射スポット熱源201、ロータリステージ202、ロータリプレート205、及び冷却プレート203を含む。放射スポット熱源201は、ロータリプレート205の上に配置され、これが次にロータリステージ202の上に配置され、これが冷却プレート203の上に配置される。ロータリステージ202は、第1の面284に配置される。ロータリプレート205は、第1の面284に平行に配置され、放射スポット熱源201を回転させるためにロータリステージ202内又はロータリステージ202上で回転可能である。漏れることなく真空(例えば、真空気密)又は高圧に耐えるように構成されたボールベアリング及び/又はシールベアリングなどのベアリングを、ロータリステージ202とロータリプレート205との間に配置して、それらの間の移動を容易にすることができる。1つ以上の実施形態では、放射スポット熱源201は、第1の面284に対して鋭角285に取り付けられる。鋭角285は、約75度から約85度の範囲内にありうる。しかしながら、例えば約60度から約90度など、他の範囲もまた企図されている。放射スポット熱源201は、鋭角285で、ロータリプレート205、ロータリステージ202、及び冷却プレート203を介してエネルギー220を伝達する。放射エネルギーを受け入れる、ロータリプレート205、ロータリステージ202、及び冷却プレート203を通して形成された開口部は、鋭角285と一致する角度で形成された側壁を有しうる。放射スポット熱源201は、電動化され(例えば、モータ又は他の機械的アクチュエータによって駆動される)、回転可能であり、かつ第1のウインドウ108を通じて放射エネルギーを提供するように構成される。
【0024】
放射スポット熱源201が取り付けられる鋭角285は、放射スポット熱源201が、第1の面284に対してほぼ垂直である基板102の平面に対して鋭角に、基板102にエネルギー220を提供できるようにする。ロータリプレート205を回転させて放射スポット熱源201を回転させることにより、放射スポット熱源201によって供給されるエネルギー220が基板102上に円形又は半円形(例えば、弓状又は弧状)パターン230で基板102を加熱することができるようになる。完全な円形パターン230が
図2Aに示されているが、半円形のパターンも企図されている。
【0025】
図2Bは、基板102上に形成された半円形のパターン230を示している。一例では、パターン230は、約60から120度の間の弧など、60から180度の間の弧でありうる。
図2Bでは、180度の経路が実線で示されている。しかしながら、必要に応じて、最大で360度の回転又は可能であることが企図されている。一実施形態では、1つ以上の回転止めがロータリステージ202上に配置され、ロータリプレート205がロータリステージ202上で、1つ以上の回転止めによって規定される設定量を回転することができるようにする。1つ以上の回転止めは、ロータリプレート205の回転を制限して、所望のパターン230を生成する。一例では、この止め部は、ロータリステージ202の上面から垂直に延びる2つの支柱であってもよい。ロータリプレート205から片持ち方式で延びる延長部が支柱間に位置付けられ、ロータリプレート205が回転するにつれてそれらの間を移動する。ロータリプレート205の延長部は、ロータリプレートが回転すると支柱と接触し、それによってロータリプレートの回転を制限する。支柱は、ロータリプレートの所定の回転角度を可能にするように所定の位置に配置することができることが企図されている。
【0026】
放射スポット熱源201は、基板102の中心から外側エッジまでの任意の点を加熱するように構成される。パターン230は、例えば、基板102の中心から基板102の外周まで延在することができる。放射スポット熱源201が角度を付けて取り付けられているため、基板102の中心からの距離に対するエネルギー220のロケーションの位置は、事前にプログラムされたアルゴリズムによって決定することができる。幾つかの例では、放射スポット熱源201の位置は、処理中に固定されたままである。他の例では、スポット熱源は、放射エネルギーを印加しつつ、処理中に移動される。このような例では、放射エネルギーの衝突位置は、基板が回転するときに、基板表面にわたって前後に掃引することができる。
【0027】
ロータリステージ202は、チャンバリッド103上に配置された冷却プレート203上に配置される。1つ以上の実施形態では、冷却プレート203はアルミニウムを含む。1つ以上の実施形態では、ロータリステージ202は、冷却プレート203と直接接触して配置されて、それらの間の熱伝達を促進する。ロータリステージ202及び冷却プレート203は、例えばアルミニウム又はアルミニウム合金材料などの比較的高い熱伝導率を有する材料から形成することができる。冷却プレート203は、スポット熱源アセンブリ170の温度制御を容易にするために、冷却プレート203を通して例えば水などの冷却流体を流すチャネル240を含む。1つ以上の実施形態では、チャネル240は、1つ以上のアルミニウム、ステンレス鋼、及び/又は銅のパイプを含む。
【0028】
ロータリステージ202は、垂直軸207を中心に回転するように構成される。1つ以上の実施形態では、ロータリステージ202は、該ロータリステージ202を中心にしてロータリプレート205を回転させるように構成された、モータなどのアクチュエータに連結される。モータは、例えばステッパモータなどの精度が最適化された光学グレードのモータなど、任意の適切なモータでありうる。ロータリステージ202は、垂直軸207を中心としたロータリプレート205の回転を容易にするために、複数のベアリングを含みうる。
【0029】
1つ以上の実施形態では、放射スポット熱源201はコリメータホルダ204を含む。コリメータホルダ204は、第1の面284に対して鋭角にロータリステージ202に取り付けられる。放射スポット熱源201はまた、コリメータホルダ204内に配置されて、サセプタ106の領域及び/又はその上に配置された基板102に放射スポット加熱を提供するように動作可能なコリメータ206も含む。コリメータホルダ204は、コリメータ206の支持を容易にする。コリメータホルダ204は、その中に1つ以上のレンズを収容することができる。コリメータ206は、レーザなどの光エネルギー源から光エネルギーを受け取ることができ、又は光エネルギー源の支持を容易にすることができる。
図2Aに示されるように、レーザなどの光エネルギー源299がコリメータ206と係合している。一例では、コリメータホルダ204及びコリメータ206のそれぞれは、アルミニウムから形成された筐体を含む。
【0030】
放射スポット熱源に適用される電力は、ユースケースに応じて異なりうる。例えば、電力は、100W未満、例えば、約10Wから約90Wまで、例えば約20Wから約80Wまで、例えば約40Wから約60Wまででありうる。電力は、基板102の中心に対して加熱されるスポットの位置に応じて、単回適用中に変化してもよい。1つ以上の実施形態では、電力は、一の適用又はプロセスの間、一定のままであってもよい。放射源出力の波長は、例えば900nmから1000nm、例えば約970nmなどの任意の適切な値でありうる。
【0031】
図2Cは、1つ以上の実施形態によるリフレクタ154の概略的な上面図である。上述のように、リフレクタ154は、それを通じて放射エネルギー132がサセプタ106に向けられる1つ以上の開口部130を含む。開口部130は、スポット熱源アセンブリ170を回転させるときのスポット熱源アセンブリ170の回転に適応するように湾曲した形状を有する。さらには、熱シールド175(破線で示す)がリフレクタ154の上に配置される。熱シールド175は、それに形成された開口部295を追加的に含む。本明細書に示される開口部295は、スポット熱源アセンブリ170からの放射エネルギー132(
図1Aに示される)が
図2Bに示される半円形のパターン230で移動することができるように、湾曲した長円形である。開口部130及び295は、互いに対して角度的にずれている(が、重なり合っていてもよい)。開口部130と295との間の角度のずれにより、スポット熱源アセンブリ170の回転並びに開口部130及び295の垂直方向ずれに起因して、垂直に対して角度を付けて向けられたときに、放射エネルギー132が開口部130及び295を横切ることが可能になる。
【0032】
図3Aは、コリメータホルダ204にレンズが取り付けられていない、
図2Aのスポット熱源アセンブリ170の概略的な断面図を示している。スポット熱源アセンブリ170は、ロータリステージ202、ロータリプレート205、コリメータホルダ204、及びコリメータ206を含む。
図3Bは、
図2Aのスポット熱源アセンブリ170の概略的な断面図を示しており、コリメータホルダは、その中に取り付けられた1つのレンズ300を含む。
図3Cは、
図2Aのスポット熱源アセンブリ170の概略的な断面図を示しており、コリメータホルダは、その中に取り付けられた複数のレンズ300を含む。1つ以上のレンズ300は、任意の適切な材料、例えば石英から形成され、反射防止コーティングでコーティングすることができる。コリメータホルダ204内に配置された1つ以上のレンズ300は、さまざまな焦点距離を可能にし、これにより、スポット熱源アセンブリ170によって提供される熱が基板102上のさまざまなスポットサイズに接触することが可能となる。レンズ300は、凹レンズ、凸レンズ、フレネルレンズ、又は他のレンズ設計を含むことができることが企図されている。
【0033】
図4は、基板を処理するための方法400の動作を概略的に示している。幾つかの実施形態では、方法400は、エピタキシャル堆積チャンバ内で基板を局所的に加熱することができる。
【0034】
動作410では、基板が処理チャンバの基板支持体上に配置される。幾つかの実施形態では、処理チャンバは、例えば
図1Aに示される処理チャンバ100a、100bなどのエピタキシー堆積チャンバでありうる。しかしながら、他の処理チャンバも企図されている。
【0035】
動作420では、ロータリステージ上に取り付けられたスポット熱源を作動させて、基板に放射エネルギーを投射する。作動は、ダイオードレーザ源などのレーザ源に電力供給することを含みうる。作動により、基板102の領域、部分、又は特定の領域を加熱することができる。作動は、任意の長さの時間続いてよいが、ある特定の実施形態では、一定照射及び/又はパルス照射でありうる。パルス照射では、レーザ源は、50%未満、例えば25%、例えば5%、例えば1%のデューティサイクルを有しうる。パルス照射におけるパルス間の時間は、約10マイクロ秒(μs)から約10ミリ秒(ms)、例えば約0.5msから約5msの間でありうる。作動により、基板上のコールドスポットを低減して基板全体にわたってより均一な温度を提供するために、基板の所望のエリア、部分、又は領域を加熱することができる。他のタイプのレーザ又は放射エネルギー源を利用することができることが、さらに企図されている。一実施形態では、スポット熱源は、基板上の投射された放射エネルギーの衝突点を調整するために、弓形の経路に沿って移動される。
【0036】
動作430では、ロータリステージ上に取り付けられた放射スポット熱源の作動の後に、基板の所望の領域が加熱される。1つ以上の実施形態では、基板支持体は、基板の所望の領域を加熱しながら回転される。1つ以上の実施形態では、ロータリステージは、基板の所望の領域を加熱しながら回転される。1つ以上の実施形態では、基板支持体及びロータリステージは、基板の所望の領域を加熱しながら回転される。ロータリステージを放射スポットヒータの作動の前に回転させ、放射エネルギーを所定の位置に導くこともまた企図されている。
【0037】
エピタキシャル堆積用の処理チャンバが示され、説明されているが、本開示の主題は、加熱素子が処理チャンバの上部、底部、又は上部と底部の両方に提供されるかどうかにかかわらず、例えば、熱アニーリング、熱洗浄、熱化学気相堆積、熱酸化、及び熱窒化などの処理のために基板を加熱する、制御された熱サイクルを提供することができる他の処理チャンバにも適用可能であることが企図されている。
【0038】
本開示の利点には、基板上の温度の不均一性を低減し、その上に材料がより均一に堆積された基板を生成することが含まれる。基板の品質が向上し、したがって廃棄物が減るという点で、コスト削減も実現される。追加の利点には、温度均一性の超微調整のための基板の正確な局所加熱が含まれる。本開示のさらなる利点には、従来のアプローチと比較してバルクが減少することが含まれる。システムの構成要素の摩耗が少なくなることから、バルクの減少は、アセンブリの全体的な寿命を向上させる。加えて、開示されたスポットヒータは、直線状かつ垂直のスロット付き取り付け機構に存在するシールの問題を軽減し、したがって高圧環境の維持を容易にする。圧力の維持により、ランプモジュールの冷却がさらに容易になり、それによって処理チャンバ及びその構成要素の寿命及び有効性が延びる。
【0039】
要約すると、本明細書に記載される実施形態は、処理中に基板に加熱を提供するためのスポット熱源アセンブリを含むエピタキシャル堆積チャンバを提供する。基板の特定の位置を局所的に加熱及び調整するために、エネルギーを集中させることができる。スポット熱源アセンブリは、光及び空気を基板処理領域から逃がすことなく基板の一部を加熱するように動作可能な、ロータリステージ上に配置されたコリメータホルダを含む。このアセンブリは、基板処理領域からの望ましくない光及び空気の流れに関連する危険を防ぎ、最小化されたバルク及びコストで、長持ちするアセンブリを提供する。
【0040】
以上の説明は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲を逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。