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特許7506821光学デバイスための組み込まれた導電性開口
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-18
(45)【発行日】2024-06-26
(54)【発明の名称】光学デバイスための組み込まれた導電性開口
(51)【国際特許分類】
   F21V 25/04 20060101AFI20240619BHJP
   G02B 3/00 20060101ALI20240619BHJP
   H01S 5/042 20060101ALI20240619BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240619BHJP
   G02B 1/02 20060101ALI20240619BHJP
【FI】
F21V25/04
G02B3/00 Z
H01S5/042 630
H01L33/00 K
G02B1/02
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2023503995
(86)(22)【出願日】2021-07-08
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-06
(86)【国際出願番号】 US2021040866
(87)【国際公開番号】W WO2022020098
(87)【国際公開日】2022-01-27
【審査請求日】2023-03-10
(31)【優先権主張番号】63/054,037
(32)【優先日】2020-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ドシェイ, セイジ トコ ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】アーガマン, ナーマ
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2020/0011514(US,A1)
【文献】特開2020-047874(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0306425(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 25/04
G02B 3/00
H01S 5/042
H01L 33/00
G02B 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学デバイスであって、
前記光学デバイスの基板の第1の表面上に配置された、拡張現実導波路の複数の構造と、
前記複数の構造を取り囲んでおり前記複数の構造と組み合わされた導電性開口であって、前記第1の表面上又は前記第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置されており、第1の開口接点及び第2の開口接点を有する導電性開口と、
を備え、
前記第1の開口接点が、
光源、又は
光検出器
の少なくとも一方に接続されるよう動作可能であり、
前記第2の開口接点が電源に接続されるよう動作可能であり、前記電源が、電源接点において前記光源又は前記光検出器に接続されるよう動作可能である、光学デバイス。
【請求項2】
前記導電性開口が、前記複数の構造の周辺構造上に配置されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項3】
前記導電性開口が、前記複数の構造の前記周辺構造上に配置されたハードマスクの残留部分の上に配置されている、請求項2に記載の光学デバイス。
【請求項4】
封入層が、前記複数の構造及び前記基板の前記第1の表面を覆って配置されており、前記導電性開口が前記封入層上に配置されている、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項5】
前記導電性開口が、円形、矩形、方形、楕円形、三角形の形状、又は不規則な形状を有する、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項6】
前記導電性開口の開口材料が、クロム(Cr)、窒化チタン(TiN)、アモルファスシリコン(a-Si)、チタン(Ti)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)を含有する材料、又はこれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の光学デバイス。
【請求項7】
光学デバイスであって、
前記光学デバイスの基板の第1の表面上に配置された、拡張現実導波路の複数の構造と、
前記複数の構造を取り囲んでおり前記複数の構造と組み合わされた導電性開口であって、前記第1の表面上又は前記第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置されており、第1の開口接点及び第2の開口接点を有する導電性開口と、
を備え、
前記第1の開口接点が、
光源、又は
光検出器
の少なくとも一方に接続されるよう動作可能であり、
前記第2の開口接点が電源に接続されるよう動作可能であり、前記電源が、前記導電性開口の少なくとも一部分が破損したときには前記光源及び前記光検出器から電源が切断されるように、電源接点において前記光源又は前記光検出器に接続されるよう動作可能である、光学デバイス。
【請求項8】
前記導電性開口が、前記複数の構造の周辺構造上に配置されている、請求項7に記載の光学デバイス。
【請求項9】
前記導電性開口が、前記複数の構造の前記周辺構造上に配置されたハードマスクの残留部分の上に配置されている、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項10】
封入層が、前記複数の構造及び前記基板の前記第1の表面を覆って配置されており、前記導電性開口が前記封入層上に配置されている、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項11】
前記導電性開口が、円形、矩形、方形、楕円形、三角形の形状、又は不規則な形状をしている、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項12】
前記導電性開口の開口材料が、クロム(Cr)、窒化チタン(TiN)、アモルファスシリコン(a-Si)、チタン(Ti)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)を含有する材料、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項13】
前記複数の構造の構造材料が、二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化スズ(SnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、スズ酸カドミウム(CdSnO)、スズ酸カドミウム(カドミウムスズ酸化物)(CTO)、スズ酸亜鉛(SnZnO)、酸化ニオブ(Nb)、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(Si)、酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素を含有する材料、又はこれらの組み合わせを含む、請求項8に記載の光学デバイス。
【請求項14】
装置であって、
1つ以上の光学デバイスであって、各光学デバイスが、
基板の第1の表面上に配置された、拡張現実導波路の複数の構造、及び
前記複数の構造を取り囲んだ導電性開口であって、前記第1の表面上又は前記第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置されており、第1の開口接点及び第2の開口接点を含む導電性開口
を含む、1つ以上の光学デバイスと、
前記第1の開口接点に接続された光源又は検出器の少なくとも一方と、
前記第2の開口接点に接続されており、電源接点において前記光源又は前記検出器に接続された電源と、
を備えた、装置。
【請求項15】
各光学デバイスは、電流が前記電源から前記導電性開口を介して前記光源又は前記検出器へと流れるための導電経路をさらに含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記導電経路は、前記電源から前記光源又は前記検出器への前記電流の流れを防止するために遮断されるよう動作可能である、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
第1の光学デバイスの第1の導電経路が遮断された場合であっても、第2の光学デバイスの第2の導電経路が、前記電源から前記導電性開口を介して前記光源又は前記検出器へと電流を流すよう動作可能である、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記複数の構造が、約1マイクロメートル(μm)未満のサブミクロン寸法を有するナノ構造でありうる、請求項14に記載の装置。
【請求項19】
前記導電性開口の幅が約10μmと約1000μmとの間である、請求項14に記載の装置。
【請求項20】
1つ以上の前記光源が、ディスプレイ又は発光素子を含む、請求項14に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、概して光学デバイスに関する。具体的には、本開示の実施形態は、1つ以上の光学部品回路を含む光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
光学デバイスは、光の伝搬を操作するために使用されうる。光学デバイスの一例として、メタサーフェスといった平坦な光学デバイスが挙げられる。光学デバイスの他の例として、導波路コンバイナ、例えば、拡張現実導波路コンバイナが挙げられる。可視スペクトル及び近赤外スペクトルにおける光学デバイスでは、マクロスケールの寸法を有する基板表面上に配置された、ナノ構造といった構造が必要となりうる。しかしながら、透明な基板を加工して光学デバイスを形成することは、新しい技術として複雑であり難易度が高い。透明基板の加工は複雑で難しいため、安全性を向上させシステムの寿命を延ばすことが特に求められている。例えば、光学デバイスが破損している可能性がある場合には、少なくとも1つの光学デバイスを止めて、ユーザが光に曝露されることを直ちに防止することが望ましくなりうる。これに対応して、当該技術分野では、光学部品回路と組み合わされた光学デバイスであって、光学デバイスが破損している可能性がある場合には、光学部品回路の光源及び/又は光検出器を瞬時にオフにする光学デバイスが必要とされている。
【発明の概要】
【0003】
一実施形態において、光学デバイスが提供される。光学デバイスは、当該光学デバイスの基板の第1の表面上に配置された複数の構造を含む。光学デバイスは、複数の構造を取り囲んでおり複数の構造と組み合わされた導電性開口をさらに含む。導電性開口は、第1の表面上又は当該第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置されている。導電性開口は、第1の開口接点及び第2の開口接点を含む。第1の開口接点は、光源又は光検出器の少なくとも一方に接続されるよう動作可能である。第2の開口接点は、電源に接続されるよう動作可能である。電源は、電源接点において光源又は光検出器と接続されるよう動作可能である。
【0004】
他の実施形態において、光学デバイスが提供される。光学デバイスは、当該光学デバイスの基板の第1の表面上に配置された複数の構造を含む。光学デバイスは、複数の構造を取り囲んでおり複数の構造と組み合わされた導電性開口をさらに含む。導電性開口は、第1の表面上又は当該第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置されている。導電性開口は、第1の開口接点及び第2の開口接点を含む。第1の開口接点は、光源又は光検出器の少なくとも一方に接続されるよう動作可能である。第2の開口接点は、電源に接続されるよう動作可能である。電源は、導電性開口の少なくとも一部分が破損したときには光源及び光検出器から電源が切断されるように、電源接点において光源又は光検出器に接続されるよう動作可能である。
【0005】
更なる別の実施形態において、装置が提供される。装置は、1つ以上の光学デバイスを含む。各光学デバイスは、基板の第1の表面上に配置された複数の構造、及び導電性開口を含む。導電性開口は、複数の構造を取り囲んでおり、第1の表面上又は当該第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置されている。導電性開口は、第1の開口接点及び第2の開口接点を含む。装置が、第1の開口接点に接続された光源又は検出器の少なくとも一方をさらに含む。装置が、第2の開口接点に接続されており、電源接点において光源又は光検出器に接続された電源をさらに含む。
【0006】
本開示の上述の特徴を詳しく理解しうるように、先で簡単に要約された本開示のより詳細な説明が、例を参照することによって得られる。一部の例を添付の図面に示している。しかしながら、添付の図面は本開示の典型的な実施形態を示しているにすぎず、したがって本開示の範囲を限定していると見做すべきではないことに注意されたい。なぜならば本開示は、その他の等しく有効形態実施例を認めうるからである。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1A】一実施形態に係る少なくとも1つの光学部品回路を有する2つの光学デバイスを示す基板の概略的な上面図である。
図1B】一実施形態に係る少なくとも1つの光学部品回路を有する2つの光学デバイスを示す基板の概略的な上面図である。
図1C】一実施形態に係る光学デバイスの概略的な断面図である。
図1D】一実施形態に係る光学デバイスの概略的な断面図である。
図1E】一実施形態に係る光学デバイスの概略的な断面図である。
図1F】一実施形態に係る光学デバイスの概略的な断面図である。
図1G】一実施形態に係る光学デバイスの概略的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
理解を容易にするため、複数の図に共通する同一の要素を指し示すのに、可能な場合には同一の参照番号を使用している。一実施形態に開示された要素は、具体的な記載がなくとも、他の実施形態で有益に利用することができると考えられる。
【0009】
本明細書に記載の実施形態は、概して、1つ以上の光学部品回路を含む光学デバイスに関する。本明細書に記載の1つ以上の光学部品回路を含む光学デバイスは、光学部品回路の導電経路が遮断されたときには、光学デバイスを止めて、ユーザが光源及び/又は光検出器からの光に曝露されることを防止する。本明細書に記載の光学デバイスの実施形態は、基板の第1の表面上に配置された複数の構造と、複数の構造を取り囲んでおり複数の構造と組み合わされた導電性開口と、を含み、導電性開口は、第1の表面上又は当該第1の表面とは反対側の第2の表面上に配置されている。
【0010】
図1A及び図1Bは、少なくとも1つの光学部品回路102を有する2つの光学デバイス100を示す基板の概略的な上面図である。2つの光学デバイス100が示されているが、より多くの又はより少ない光学デバイスが想定されていると理解されたい。図1A及び図1Bは、別々の光学部品回路102に結合されうる光学デバイス100のそれぞれを示しているが、本明細書に記載の光学デバイス100のそれぞれは、同じ光学部品回路102に結合されうる。基板101が、長さ107と幅109を有する表面103を含む。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、基板101の表面103はマクロスケールの寸法を有することができ、例えば、長さ107が約2センチメートル(cm)より大きく、幅109が約2cmより大きい。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、基板の表面103はマクロスケールの寸法を有することができ、例えば、長さ107が約0.5ミリメートル(mm)より大きく、幅が約0.5mmより大きい。
【0011】
基板101はまた、約100ナノメートル(nm)から約3000nmまでの1つ以上の波長など、所望の波長又は波長範囲の適切な量の光を透過させるよう選択されうる。限定するものではないが、幾つかの実施形態において、基板101は、光スペクトルの赤外(IR)領域から紫外(UV)領域までの約50%~約100%以上を透過させるよう構成されている。基板101が、所望の波長又は波長範囲内の光を適切に透過させることができ、かつ1つ以上の光学デバイス100のための適切な支持体として機能しうるという前提で、基板101は、任意の適切な材料から形成されうる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態において、基板101の材料は、1つ以上の光学デバイス100の複数の構造112a、112bの構造材料の屈折率と比べて、屈折率が比較的低い。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることが可能な他の実施形態において、基板101の材料は、屈折率が、1つ以上の光学デバイス100の複数の構造112a、112bの構造材料の屈折率と類似している。
【0012】
基板の選択には、限定するものではないが、アモルファス誘電体、非アモルファス誘電体、結晶性誘電体、酸化ケイ素、ポリマー、及びこれらの組み合わせを含む任意の適切な材料の基板が含まれうる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態において、基板101が透明材料を含む。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、基板101が透明であり、吸収係数は0.001より小さい。適切な例として、酸化物、硫化物、リン化物、テルル化物、又はこれらの組み合わせが挙げられる。一例において、基板101は、ケイ素(Si)、二酸化ケイ素(SiO)、窒化ケイ素(SiN)、溶融シリカ、石英、炭化ケイ素(SiC)、ゲルマニウム(Ge)、シリコンゲルマニウム(SiGe)、リン化インジウム(InP)、ヒ化ガリウム(GaAs)、窒化ガリウム(GaN)、サファイヤ、高屈折率ガラスといったハイインデックス(high-index)透明材料、又はこれらの組合せを含む。
【0013】
本明細書に記載の実施形態は、図1A及び図1Bに示される光学デバイス100A、100Bといった、1つ以上の光学デバイス100を提供する。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態において、光学デバイス100A、100Bが、メタサーフェスといった平坦な光学デバイスである。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、光学デバイス100A、100Bが、拡張現実導波路コンバイナといった、導波路コンバイナである。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、1つ以上の光学デバイス100が、ディフューザ用途のために使用されうる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、1つ以上の光学デバイス100が、限定するものではないがユーザ識別又は画像取得を含みうる用途のための携帯電話カメラといった、カメラの1つ以上のレンズとして使用されうる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、1つ以上の光学デバイス100が、3D感知の用途において使用されうる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、1つ以上の光学デバイス100が、飛行時間(time-of-flight)感知用途において使用されうる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、1つ以上の光学デバイス100が、拡張現実装置の1つ以上のレンズ又は光学素子として使用されうる。
【0014】
一実施形態において、光学デバイス100A、100Bは、複数の構造112a、112bと、開口114a、114bと、を含む。開口114a、114bは、複数の構造112a、112bを取り囲んでおり、例えば、複数の構造112a、112bの近傍に配置されている。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、開口114a、114bが、基板101の表面103の上に配置されている(図1C図1Fに図示)。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、開口114a、114bが、表面103とは反対側の基板101の表面113上に配置されている(図1Gに図示)。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、基板101の表面103の補助部分105が、当該補助部分上に配置され又は当該補助部分と一体化した1つ以上の補助構造(例えば、ダミー構造)を含む。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、開口114a、114bがダークフィールドマスク(dark-field mask)であり、補助部分105の上に配置されている。
【0015】
構造112a、112bは、サブミクロン寸法、例えば、1マイクロメートル(μm)未満の臨界寸法116(図1C図1Gに図示)などのナノサイズの寸法を有するナノ構造とすることができる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、臨界寸法116が、約20ナノメートル(nm)~約900nmである。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態において、図1C図1Gに示されるように、構造112aの少なくとも1つが、構造112aの他の臨界寸法116と異なる臨界寸法116を有する。他の実施形態において、構造112aのそれぞれが同じ臨界寸法116を有する。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、光学デバイス100Aの構造112aと、光学デバイス100Aの構造112bと、が同じである。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、光学デバイス100Aの構造112aと、光学デバイス100Aの構造112bと、が異なっている。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、構造112a、112bが基板材料で形成されている。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、構造112a、112bの構造が、1つ以上の構造材料を含む。図1A及び図1Bは、円形又は楕円形の断面を有するものとして構造112a、112bを示しているが、構造112a、112bの断面は、方形、矩形、三角形の断面、及び/又は不規則な形状の断面を含むがこれらに限定されない他の形状であってよい。図1A及び図1Bは、矩形のパターンで配置された構造112a、112bを示しているが、構造112a、112bは、方形、円形、楕円形、三角形のパターン、及び/又は不規則な形状のパターンなど他のパターンで配置されてよい。図1A及び図1Bは、円形の形状を有するものとして開口114a、114bを示しているが、開口114a、114bは、矩形、方形、円形、楕円、三角形、及び/又は不規則な形状など、他の形状であってよい。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態において、開口114a、114bは、構造112a、112bのパターンとは異なる形状をしている。
【0016】
本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、構造112a、112bの構造材料が、誘電材料といった非導電性材料を含む。誘電材料は、アモルファス誘電体、非アモルファス誘電体、結晶性誘電体を含みうる。誘電材料の例として、ケイ素を含有する材料、例えば、ケイ素(Si)、窒化ケイ素(Si)、酸窒化ケイ素、二酸化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。ケイ素は、結晶シリコン、多結晶シリコン、及び/又はアモルファスシリコン(a-Si)でありうる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、構造112a、112bの構造材料は、金属を含有する誘電材料を含む。金属を含有する誘電材料の例として、二酸化チタン(TiO)、酸化亜鉛(ZnO)、二酸化スズ(SnO)、アルミニウムドープ酸化亜鉛(AZO)、フッ素ドープ酸化スズ(FTO)、カドミウムスズ酸化物(CdSnO)、スズ酸亜鉛(SnZnO)、及び酸化ニオブ(Nb)を含有する材料が挙げられるが、これらに限定されない。
【0017】
説明したように、開口114a、114bは、複数の構造112a、112bを取り囲んでおり、例えば、複数の構造112a、112bの近傍に配置されている。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、光学デバイス100A、100Bは、開口114a、114bに加えて1つ以上の追加の開口を含みうる。開口114a、114bは、幅118を有する。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、幅118は、開口114a、114b全体で同じである。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、開口114a、114bの少なくとも一部分の幅118が異なっている。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、幅118は約10μm~約1000μmである。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、開口114a、114bは、閉じたループを形成する。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、開口114a、114bが開口部を含む。開口114a、114bは、1つ以上の開口材料を含む。1つ以上の開口材料は、少なくとも1つの導電性材料を含む。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、1つ以上の開口材料は、約100~約3000nmの範囲内の1つ以上の波長が透過しないように、不透明材料を含むこともできる。不透明な開口114a、114bは、迷光(すなわち、構造112a、112bの表面積よりも大きな衝突ビームの光)が、光学デバイス102a、102bの機能を低下させるのを防止することができる。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、1つ以上の開口材料は、約100~約3000nmの範囲内の1つ以上の波長が透過するように、透明材料を含むこともできる。一つ以上の開口材料、すなわち、開口の材料には、クロム(Cr)、窒化チタン(TiN)、アモルファスシリコン(a-Si)、チタン(Ti)、酸化チタン(TiO)、酸化インジウムスズ(ITO)、金(Au)、銅(Cu)、タングステン(W)、アルミニウム(Al)を含有する材料が含まれるが、これらに限定されない。
【0018】
図1C図1Eは、光学デバイス100Aの概略的な断面図である。図1Cに示すように、本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、光学デバイス100Aが、基板101の表面103上に配置された開口114a及び構造112aを含む。図1Dに示すように、本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、光学デバイス100Aが、基板101の表面103上に配置された構造112aを含み、開口114aが、構造112aの周辺構造126上に配置されている。図1Eに示すように、本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、光学デバイス100Aが、基板101の表面103上に配置された構造112aを含み、開口114aが、構造112aの周辺構造126上に配置されたハードマスク128の残留部分の上に配置されている。ハードマスク128は、光学デバイス100Aの作製中に利用することができ、ハードマスク128の残留部分が、開口114aの下に残ったままでありうる。本明細書に記載の他の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、ハードマスク128の残留部分が開口として使用されうる。図1Fに示すように、本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、光学デバイス100Aが、基板101の表面103上に配置された構造112aを含み、開口114aが、構造112aを覆って配置された封入層130上に配置されている。図1Gに示すように、本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる一実施形態において、構造112aが表面103上に配置されており、開口114aが、基板101の表面103と反対側の基板101の表面113上に配置されている。
【0019】
光学部品回路102は、1つ以上の光源106のうちの1つを含む。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる他の実施形態において、光学部品回路102は、1つ以上の光検出器108も含む。1つ以上の光源106及び/又は1つ以上の光検出器108のうちの一方が、1つ以上の光学デバイス100の伝搬方向に配置されうる。1つ以上の光源106は、ディスプレイ(例えば、マイクロディスプレイ)及び/又は発光素子を含むが、これらに限定されない。ディスプレイは、1つ以上の光学デバイス100とともに動作可能な液晶ディスプレイ(LCD:liquid crystal display)又は任意の他のディスプレイを含むが、これらに限定されない。発光素子には、発光ダイオード(LED:light-emitting diode)、レーザ、垂直共振器面発光レーザ(VCSEL:vertical-cavity surface-emitting laser)、非VCSELレーザ、又は任意の発光体が含まれるが、これらに限定されない。つ以上の光検出器108には、1つ以上の光学デバイス100とともに動作可能な相補型金属酸化膜半導体(CMOS:complementary metal-oxide-semiconductor)検出器又は任意の他の光検出器が含まれるが、これらに限定されない。
【0020】
光学部品回路102の1つ以上の光源106と、幾つかの実施形態における1つ以上の光検出器108とは、第1の開口接点120aにおいて開口114a、114bに電気的に接続されており、かつ、電源接点122において電源104に電気的に接続されている。1つ以上の光源106と、幾つかの実施形態における1つ以上の光検出器108とは、1つ以上のワイヤ110を介して電気的に接続されている。電源104は、1つ以上の光源106と、幾つかの実施形態における1つ以上の光検出器108と、に電力を供給するよう動作可能な電池、アクチュエータ、又は他の任意の電源を含むが、これらに限定されない。電源104は、ワイヤ110を介して電気的に接続されている。電源104は、第2の開口接点120bにおいて開口114a、114bに電気的に接続されて、光学部品回路102が完成する。光学部品回路102は、電源104から開口114a、114bを介して1つ以上の光源106へ、及び幾つかの実施形態における1つ以上の光検出器108へ、と電流が流れるための導電経路124を提供する。
【0021】
図1Aに示すように、光学デバイス100Aの光学部品回路102は、開口114aが破損していないときには、導電経路124を提供する。開口114aの一部分が破損したときには、1つ以上の光源106と、幾つかの実施形態おける1つ以上の光検出器108と、には電力が供給されない。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態において、ここでは、光学デバイス100A、100Bのそれぞれが同じ光学部品回路102に結合可能であり、開口114a及び開口114bの一方が破損した場合には、電流は、光学デバイス100A、100Bの1つ以上の光源106及び/又は1つ以上の光検出器108には流れない。本明細書に記載の別の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態において、ここでは、光学デバイス100A、100Bのそれぞれが別々の光学部品回路102に結合可能であり、図1Bに示すように開口114aが破損した場合には、光学デバイス100Aの1つ以上の光源106及び/又は1つ以上の光検出器108には電流が流れないが、光学デバイス100Bの1つ以上の光源106及び/又は1つ以上の光検出器108には電流が流れる。
【0022】
以上まとめると、1つ以上の光学部品回路102を有する光学デバイス100が提供される。1つ以上の光学部品回路102を含む光学デバイス100は、例えばユーザが基板101を落とし又はユーザが光学デバイス100A、100Bを落としたために開口が破損して導電経路124が遮断されたときには、ユーザが光に曝露されることを防止する。開口の破損により導電経路124が遮断されて、電流が1つ以上の光源106及び/又は1つ以上の光検出器108に供給されることが防止され、ユーザへの光の曝露が防止される(例えば、自動的に防止される)。
【0023】
先の記載は、本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態が考案されてよく、本開示の範囲は、以下の特許請求の範囲によって規定される。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G