(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-19
(45)【発行日】2024-06-27
(54)【発明の名称】窒化物エッチング剤組成物及び方法
(51)【国際特許分類】
H01L 21/308 20060101AFI20240620BHJP
C23G 1/06 20060101ALI20240620BHJP
【FI】
H01L21/308 F
C23G1/06
(21)【出願番号】P 2023509493
(86)(22)【出願日】2021-08-13
(86)【国際出願番号】 US2021045982
(87)【国際公開番号】W WO2022036246
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-04-27
(32)【優先日】2020-08-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】505307471
【氏名又は名称】インテグリス・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ホン, エリック
(72)【発明者】
【氏名】ホン, ソンジン
(72)【発明者】
【氏名】キム, ウォンライ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン, ジョンヨル
(72)【発明者】
【氏名】チェ, スンヒョン
(72)【発明者】
【氏名】ヨ, ジュヒ
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特表2015-506583(JP,A)
【文献】特開2001-140084(JP,A)
【文献】特表2016-510175(JP,A)
【文献】特表2016-527707(JP,A)
【文献】国際公開第2015/111684(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/308
C23G 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
a.水;
b.少なくとも1つの酸化剤;
c.少なくとも1つのフッ化物含有エッチング剤
であって、HF、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、H
2
ZrF
6
、H
2
TiF
6
、HPF
6
、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム水酸化物、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、又はそれらの組み合わせから選択される、フッ化物含有エッチング剤;
d.少なくとも1つのモリブデン腐食防止剤
であって、4-(3-フェニルプロピル)ピリジンである、モリブデン腐食防止剤;
e.少なくとも1つのpH調整剤
を含む組成物。
【請求項2】
pHが約-1~5である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
マイクロ電子デバイス上のモリブデンの存在下で窒化チタンを選択的にエッチングするための方法であって、約20℃~約70℃の温度で、約30秒~約10分間、前記マイクロ電子デバイスを請求項1に記載の組成物に曝露し、続いて前記マイクロ電子デバイスを脱イオン水で洗浄することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して半導体製造の分野に関する。特に、本発明は、マイクロ電子デバイス上の窒化チタン膜をエッチングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトレジストマスクは、半導体又は誘電体などの材料をパターニングするために半導体産業において一般的に使用されている。一用途では、フォトレジストマスクをデュアルダマシンプロセスで使用して、マイクロ電子デバイスのバックエンドメタライゼーションで相互接続を形成する。デュアルダマシンプロセスは、銅層などの金属導体層を覆う低k誘電体層上にフォトレジストマスクを形成することを含む。次いで、低k誘電体層をフォトレジストマスクに従ってエッチングして、金属導体層を露出させるビア及び/又はトレンチを形成する。デュアルダマシン構造として一般に知られているビア及びトレンチは、通常、2つのリソグラフィ工程を使用して画定される。次いで、導電性材料をビア及び/又はトレンチ内に堆積して相互接続を形成する前に、フォトレジストマスクを低k誘電体層から除去する。
【0003】
マイクロ電子デバイスのサイズが小さくなるにつれて、ビア及びトレンチの限界寸法を達成することがより困難になる。したがって、金属ハードマスクは、ビア及びトレンチのより良好なプロファイル制御を提供するために使用される。金属ハードマスクは、チタン又は窒化チタンで作製することができ、デュアルダマシン構造のビア及び/又はトレンチを形成した後、ウェットエッチングプロセスによって除去される。ウェットエッチングプロセスは、下地の金属導体層及び低k誘電体材料、又はマイクロ電子デバイス上の他の材料に影響を及ぼすことなく、金属ハードマスク及び/又はフォトレジストエッチング残渣を効果的に除去する除去化学物質を使用することが不可欠である。特に、マイクロ電子デバイス上に同様に存在し得るモリブデン、AlOx、SiOx及びポリシリコンなどの金属導電層と適合性でありながら、窒化チタンなどの物質を除去する際に選択的である、ウェットエッチングプロセスで利用することができる組成物が必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一般に、マイクロ電子デバイス構造、例えば3D NANDフラッシュメモリデバイス内にモリブデン凹部を形成するための組成物及び方法論を提供する。この方法論では、第1の工程は、同じくマイクロ電子デバイス上に存在する窒化チタンよりもモリブデンの選択性を示す高選択性モリブデンエッチング剤を使用してモリブデン層を除去することを含む。この第1の工程は公知であり、乾式又は湿式エッチング法として特徴付けることができる(例えば、IEEE Transactions on Electronic Devices,Vol.51,No.12,December 2004を参照されたい)。第2の工程では、本発明の一実施形態では、窒化チタン層が選択的にエッチングされ、一般に、プロセスによって影響されずに存在するモリブデン、並びにデバイス上に存在し得る任意の酸化アルミニウム、二酸化ケイ素及びポリシリコンを残す。一般に、本発明の組成物は、3.5Å/分を超える窒化チタンエッチング速度を達成することができ、それによってパターンにおける均一な凹部頂部層及び底部層を提供することができた。さらに、組成物は、非常に安定であり、例えば、24時間を超える浴寿命及び6ヶ月を超える貯蔵寿命である。
【0005】
したがって、第1の態様では、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.水;
b.少なくとも1つの酸化剤;
c.少なくとも1つのフッ化物含有エッチング剤;
d.少なくとも1つの金属腐食防止剤;
e.少なくとも1つのpH調整剤;及び任意選択的に、
f.少なくとも1つの水混和性溶媒。
【0006】
そのような組成物は、窒化チタンの選択的エッチングに有用である。組成物の選択性は、プロセス温度及び時間(すなわち、曝露)に依存する。一実施形態では、モリブデンに対する窒化チタンエッチングの選択性は、約50℃で5分間測定した場合、約5~25である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明のプロセスのフロー図である。タングステン及びモリブデンを含むゲート材料を有するデバイス構造から開始して、デバイス構造は、例えば、ゲート金属凹部を提供するための乾式エッチング(又は湿式エッチング)技術に供される。続いて、バリアメタル、例えば窒化チタン及び/又は窒化タンタルをエッチングする。窒化チタン及び窒化タンタルを除去するためのこの選択性は、タングステン若しくはモリブデンなどの既存のゲート材料及びAlOx若しくはZrOxなどの高k材料と適合性である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
第1の態様では、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.水;
b.少なくとも1つの酸化剤;
c.少なくとも1つのフッ化物含有エッチング剤;
d.少なくとも1つの金属腐食防止剤;
e.少なくとも1つのpH調整剤;及び任意選択的に、
f.少なくとも1つの水混和性溶媒。
【0009】
本明細書で使用される場合、「マイクロ電子デバイス」という用語は、半導体基板、フラットパネルディスプレイ、相変化メモリデバイス、ソーラーパネル、並びに太陽電池デバイス、光起電力、及びマイクロ電子、集積回路、エネルギー収集又はコンピュータチップ用途で使用するために製造された微小電気機械システム(MEMS)を含む他の製品に対応する。「マイクロ電子デバイス」、「マイクロ電子基板」、及び「マイクロ電子デバイス構造」という用語は、決して限定することを意味するものではなく、最終的にマイクロ電子デバイス又はマイクロ電子アセンブリになる任意の基板又は構造を含むことを理解されたい。マイクロ電子デバイスは、パターニング、ブランケットすることができ、制御及び/又は試験デバイスであり得る。
【0010】
本明細書で使用される場合、「窒化チタン」及び「TiNx」という用語は、純粋な窒化チタン、並びに様々な化学量論量及び酸素含有量を含む非純粋な窒化チタン(すなわち、TiOxNy)に対応する。
【0011】
本明細書で使用される場合、「約」は、記載された値の+又は0.5%に対応することを意図している。
【0012】
本明細書で使用される場合、「低k誘電体材料」という用語は、層状マイクロ電子デバイスにおいて誘電体材料として使用される任意の材料に対応し、材料は、約3.5未満の誘電率を有する。特定の実施形態では、低k誘電体材料は、ケイ素含有有機ポリマー、ケイ素含有ハイブリッド有機/無機材料、有機ケイ酸塩ガラス(OSG)、TEOS、フッ素化ケイ酸塩ガラス(FSG)、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム(AlOx)、酸化ジルコニウム(ZrOx)及び炭素ドープ酸化物(CDO)ガラスなどの低極性材料を含む。低k誘電体材料は、様々な密度及び様々な多孔度を有し得ることも理解されたい。
【0013】
本明細書で使用される場合、「金属導体層」という用語は、銅、タングステン、コバルト、モリブデン、アルミニウム、ルテニウム、それらを含む合金、及びそれらの組み合わせを含む。
【0014】
本明細書で使用される場合、「フッ化物」種は、イオン性フッ化物(F-)又は共有結合したフッ素を含む種に対応する。フッ化物種は、フッ化物種として含まれてもよく、又はin situ生成されてもよいことを理解されたい。
【0015】
本発明の組成物は、以下により詳細に記載されるように、多種多様な特定の配合物で具体化され得る。
【0016】
組成物の特定の成分がゼロ下限を含む重量パーセント範囲に関して論じられるようなすべての組成物において、そのような成分は、組成物の様々な特定の実施形態において存在しても存在しなくてもよく、そのような成分が存在する場合、それらは、そのような成分が使用される組成物の総重量に基づいて、0.0001重量パーセントという低い濃度で存在してもよいことが理解されよう。
【0017】
エッチング剤は、窒化チタンのエッチング速度を増加させるために添加される。企図されるエッチング剤としては、限定されないが、フッ化物源、例えばHF、フッ化アンモニウム、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、B--F又はSi--F結合を有する他の化合物、テトラフルオロホウ酸テトラブチルアンモニウム(TBA-BF4)、フッ化テトラアルキルアンモニウム(NR1R2R3R4F)、強塩基、例えばテトラアルキルアンモニウム水酸化物(NR1R2R3R4OH)が挙げられ、式中、R1、R2、R3、R4は互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、直鎖又は分岐C1~C6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)、C1~C6アルコキシ基(例えば、ヒドロキシエチル、ヒドロキシプロピル)置換又は非置換アリール基(例えば、ベンジル)、弱塩基、及びそれらの組み合わせから選択される。一実施形態では、フッ化物源は、HF、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、H2ZrF6、H2TiF6、HPF6、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム水酸化物、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム、ヘキサフルオロチタン酸アンモニウム、又はフッ化アンモニウムとフッ化テトラメチルアンモニウムとの組み合わせを含む。別の実施形態では、エッチング剤は、HF、ヘキサフルオロケイ酸又はテトラフルオロホウ酸を含む。さらに別の実施形態では、エッチング剤はHFである。
【0018】
酸化剤は、TiNx膜中のTi3+をエッチング又は酸化するために含まれる。本明細書で企図される酸化剤としては、限定されないが、過酸化水素(H2O2)、FeCl3、FeF3、Fe(NO3)3、Sr(NO3)2、CoF3、MnF3、Oxone(登録商標)2KHSO5・KHSO4・K2SO4-CAS番号70693-62-8)、過ヨウ素酸、t-ブチルヒドロペルオキシド、酸化バナジウム(V)、酸化バナジウム(IV,V)、バナジン酸アンモニウム、アンモニウム多原子塩(例えば、ペルオキソ一硫酸アンモニウム、亜塩素酸アンモニウム(NH4ClO2)、塩素酸アンモニウム(NH4ClO3)、ヨウ素酸アンモニウム(NH4IO3)、硝酸アンモニウム(NH4NO3)、過ホウ酸アンモニウム(NH4BO3)、過塩素酸アンモニウム(NH4ClO4)、過ヨウ素酸アンモニウム(NH4IO4)、過硫酸アンモニウム((NH4)2S2O8)、次亜塩素酸アンモニウム(NH4ClO))、タングステン酸アンモニウム((NH4)10H2(W2O7))、ナトリウム多原子塩(例えば、過硫酸ナトリウム(Na2S2O8)、次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)、過ホウ酸ナトリウム)、カリウム多原子塩(例えば、ヨウ素酸カリウム(KIO3)、過マンガン酸カリウム(KMnO4)、過硫酸カリウム、硝酸(HNO3)、過硫酸カリウム(K2S2O8)、次亜塩素酸カリウム(KClO))、テトラメチルアンモニウム多原子塩(例えば、亜塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)ClO2)、塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)ClO3)、ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)IO3)、過ホウ酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)BO3)、過塩素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)ClO4)、過ヨウ素酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)IO4)、過硫酸テトラメチルアンモニウム((N(CH3)4)S2O8))、テトラブチルアンモニウム多原子塩(例えば、ペルオキソ一硫酸テトラブチルアンモニウム)、ペルオキソ一硫酸、硝酸第二鉄(Fe(NO3)3)、尿素過酸化水素((CO(NH2)2)H2O2)、過酢酸(CH3(CO)OOH)、1,4-ベンゾキノン、トルキノン、ジメチル-1,4-ベンゾキノン、クロラニル、アロキサン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。酸化剤が塩である場合、それは水和又は無水であり得る。酸化剤は、組成物をデバイスウェハに導入する前に、あるいはデバイスウェハ、すなわちin situで、製造業者において組成物に導入されてもよい。一実施形態では、酸化剤は過ヨウ素酸を含む。
【0019】
金属腐食防止剤は、酸化剤の酸化活性をブロックするために添加される。本明細書で企図される金属腐食防止剤としては、限定されないが、5-アミノ-1,3,4-チアジアゾール-2-チオール(ATDT)、ベンゾトリアゾール(BTA)、1,2,4-トリアゾール(TAZ)、トリルトリアゾール、5-メチル-ベンゾトリアゾール(MBTA)、5-フェニル-ベンゾトリアゾール、5-ニトロ-ベンゾトリアゾール、ベンゾトリアゾールカルボン酸、3-アミノ-5-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、1-アミノ-1,2,4-トリアゾール、ヒドロキシベンゾトリアゾール、2-(5-アミノ-ペンチル)-ベンゾトリアゾール、1-アミノ-1,2,3-トリアゾール、1-アミノ-5-メチル-1,2,3-トリアゾール、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール、3-メルカプト-1,2,4-トリアゾール、3-イソプロピル-1,2,4トリアゾール、5-フェニルチオール-ベンゾトリアゾール、ハロ-ベンゾトリアゾール、(ハロ=F、Cl、Br又はI)、ナフトトリアゾール、2-メルカプトベンゾイミダゾール(MBI)、2-メルカプトベンゾチアゾール、4-メチル-2-フェニルイミダゾール、2-メルカプトチアゾリン、5-アミノテトラゾール、ペンチレンテトラゾール、5-フェニル-1H-テトラゾール、5-ベンジル-1H-テトラゾール、スクシンイミド、2,4-ジアミノ-6-メチル-1,3,5-トリアジン、チアゾール、トリアジン、メチルテトラゾール、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,5-ペンタメチレンテトラゾール、1-フェニル-5-メルカプトテトラゾール、ジアミノメチルトリアジン、イミダゾリンチオン、4-メチル-4H-1,2,4-トリアゾール-3-チオール、ベンゾチアゾール、イミダゾール、インジアゾール、アデノシン、カルバゾール、サッカリン、ベンゾインオキシム、及びこれらの組み合わせが挙げられる。さらなる腐食防止剤としては、カチオン性四級塩、例えば、ベンザルコニウムクロリド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルピリジニウムクロリド、Aliquat 336(Cognis)、ベンジルジメチルフェニルアンモニウムクロリド、Crodaquat TES(Croda Inc.)、Rewoquat CPEM(Witco)、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム水酸化物、1-メチル-1’-テトラデシル-4,4’-ビピリジウムジクロリド、アルキルトリメチルアンモニウムブロミド、アンプロリウム塩酸塩、水酸化ベンゼトニウム、ベンジルジメチルヘキサデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムブロミド、ベンジルドデシルジメチルアンモニウムクロリド、セチルピリジニウムクロリド、コリンp-トルエンスルホネート塩、ジメチルジオクタデシルアンモニウムブロミド、ドデシルエチルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロリド(DTAC)、エチルヘキサデシルジメチルアンモニウムブロミド、ドデシル(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシル(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムクロリド、セチルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、ドデシルピリジウム(ラウリルピリジニウム)クロリド、ドデシルトリメチルアンモニウムメタンスルホネート、ドデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、[9-(2-カルボキシフェニル)-6-ジエチルアミノ-3-キサンテニリデン]-ジエチルアンモニウムクロリド(ローダミンB)ジラード試薬、ヘキサデシル(2-ヒドロキシエチル)ジメチルアンモニウムジヒドロゲンホスフェート、デキサデシルピリジニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムクロリド、メチルベンゼトニウムクロリド、Hyamine(登録商標)1622、Luviquat(商標)、N,N’,N’-ポリオキシエチレン(10)-N-タロー-1,3-ジアミノプロパン液、臭化オキシフェノニウム、テトラヘプチルアンモニウムブロミド、テトラキス(デシル)アンモニウムブロミド、臭化トンゾニウム、トリドデシルアンモニウムクロリド、トリメチルオクタデシルアンモニウムブロミド、1-メチル-3-n-オクチルイミダゾリウムテトラフルオロボラート、1-デシル-3-メチルイミダゾリウムテトラフルオロボラートが挙げられる。1-デシル-3-メチルイミダゾリウムクロリド、トリドデシルメチルアンモニウムブロミド、ジメチルジステアリルアンモニウムクロリド及びヘキサメトニウムクロリド。他の腐食防止剤としては、非イオン性界面活性剤、例えばPolyFox PF-159(OMNOVA Solutions)、ポリ(エチレングリコール)(「PEG」)、ポリ(プロピレングリコール)(「PPG」)、PEG-PPGコポリマー、例えばPluronic F-127(BASF)、アニオン性界面活性剤、例えばドデシルベンゼンスルホン酸、ドデシル硫酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、及びそれらの組み合わせが挙げられる。第四級塩は、腐食防止剤(特に銅及びタングステンに対して)及び湿潤剤の両方として機能することができる。好ましいタングステン腐食防止剤としては、Tomamine(登録商標)エーテルアミンが挙げられ、これには、限定されないが、エーテル四級アミン(例えば、イソデシルオキシプロピルビス-(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムクロリド、イソトリデシルオキシプロピルビス-(2-ヒドロキシエチル)メチルアンモニウムクロリド、モノ大豆メチルアンモニウムクロリド(mono soya methyl ammonium chloride)、タロージアミンジ四級(tallow diamine diquaternary)、ココポリ(15)オキシエチレンメチルアンモニウムクロリド(coco poly(15)oxyethylene methyl ammonium chloride)などのQシリーズ)、エーテルアミンオキシド(例えば、ビス-(2-ヒドロキシエチル)イソデシルオキシプロピルアミンオキシド、直鎖アルキルオキシプロピルアミンオキシド、低泡性アルキルオキシプロピルアミンオキシド(AO-405及びAO-455)などのAOシリーズ、並びにそれらの組み合わせが含まれる。他のアミンオキシド界面活性剤もまた、有用なタングステン腐食防止剤であり、これには、限定されないが、ドデシルジメチルアミンオキシド、ビス-(2-ヒドロキシエチル)-ココアルキルアミンオキシド(Aromox(登録商標)C/12W、Azko Nobel)、ジメチルココアルキルアミンオキシド(Aromox(登録商標)DMC)、4-(ベンジルオキシ)ピリジンN-オキシド、4-(3-フェニルプロピル)ピリジンN-オキシド、及びそれらの組み合わせが含まれる。他の有用なタングステン腐食防止剤としては、ピリジン、キノリン、キナゾリン、イソキノリン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、キノキサリン、フェナジン、フェナントリジン、2,2’-ピリジン、1,4’-ピリジン、4,4’-ピリジン及びアクリジンなどの複素環、並びにC1~6アルキル、フェニル、ベンジル、フェネチル、3-フェニルプロピル、ベンジルオキシ、カルボキシル、クロロ、ブロモ、メトキシ、ニトロ及びシアノ基の少なくとも1つを含む複素環の誘導体(2-ベンジルピリジン及び4-(4-ニトロベンジル)ピリジンが含まれるが、これらに限定されない)が挙げられるが、第四級塩は塩化物又は臭化物として最も多く市販されているが、ハロゲン化物アニオンを硫酸塩、メタンスルホン酸塩、硝酸塩、水酸化物などの非ハロゲン化物アニオンとイオン交換することは容易であることは当業者に明らかであろう。そのような変換された第四級塩も企図され、本明細書では好ましい。一実施形態では、腐食防止剤は、カチオン性四級塩、より好ましくはミリスチルトリメチルアンモニウムブロミド、ベンザルコニウムクロリド、ヘキサデシルトリメチルアンモニウムp-トルエンスルホネート、DTAC、及びヘキサデシルトリメチルアンモニウム水酸化物を含み、塩化物は使用前にイオン交換されている。
【0020】
一実施形態では、腐食防止剤は、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、4-(3-フェニルプロピル)ピリジン及び5-メチル-ベンゾトリアゾールから選択される。
【0021】
本発明の組成物は、組成物のpHを調整することができる(すなわち、調整する)1つ以上の化合物(すなわち、pH調整剤)を含むことができる。組成物のpHは、組成物のpHを調整することができる任意の適切な化合物を使用して調整することができる。pH調整剤は、望ましくは水溶性であり、組成物の他の成分と適合性である。典型的には、組成物は、使用時点で約-1~5、又は0~4、又は2~4のpHを有する。pH調整剤の非限定的な例としては、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸リン酸、硫酸、塩化水素などを含む鉱酸及び有機酸が挙げられる。
【0022】
少なくとも1つの溶媒は、水、少なくとも1つの水混和性有機溶媒、又はそれらの組み合わせを含むことができ、少なくとも1つの水混和性有機溶媒は、式R1R2R3C(OH)の化合物からなる群から選択され、式中、R1、R2及びR3は互いに独立しており、水素、C2~C30アルキル、C2~C30アルケン、シクロアルキル、C2~C30アルコキシ、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。例えば、少なくとも1つの溶媒は、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、及び高級アルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール(THFA)、3-クロロ-1,2-プロパンジオール、3-クロロ-1-プロパンチオール、1-クロロ-2-プロパノール、2-クロロ-1-プロパノール、3-クロロ-1-プロパノール、3-ブロモ-1,2-プロパンジオール、1-ブロモ-2-プロパノール、3-ブロモ-1-プロパノール、3-ヨード-1-プロパノール、4-クロロ-1-ブタノール、2-クロロエタノール)、ジクロロメタン、クロロホルム、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、テトラヒドロフラン(THF)、N-メチルピロリジノン(NMP)、シクロヘキシルピロリジノン、N-オクチルピロリジノン、N-フェニルピロリジノン、メチルジエタノールアミン、ギ酸メチル、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、ジエチルエーテル、フェノキシ-2-プロパノール(PPh)、プロプリオフェノン(propriophenone)、乳酸エチル、酢酸エチル、安息香酸エチル、アセトニトリル、アセトン、エチレングリコール、プロピレングリコール(PG)、1,3-プロパンジオール、1,4-プロパンジオール、ジオキサン、ブチリルラクトン、ブチレンカーボネート、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ジプロピレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル(すなわち、ブチルカルビトール)、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル(DPGME)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(TPGME)、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn-プロピルエーテル(DPGPE)、トリプロピレングリコールn-プロピルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、ジプロピレングリコールn-ブチルエーテル、トリプロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、テトラエチレングリコールジメチルエーテル(TEGDE)、二塩基性エステル、グリセリンカーボネート、N-ホルミルモルホリン、トリエチルホスフェート、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される少なくとも1つの種を含むことができる。一実施形態では、少なくとも1つの溶媒は、水、例えば脱イオン水を含む。一実施形態では、水混和性溶媒は、エチレングリコール及びプロピレングリコールから選択される。
【0023】
任意選択的に、組成物は、少なくとも1つの錯化/キレート剤を含むことができる。しかしながら、酸化剤が過酸化水素などの過酸化化合物である場合、そのような錯化剤は組成物の必要な成分である。存在する場合、錯化剤は、粒子の生成及び成長を低減し、組成物の貯蔵寿命を改善するために添加される。企図される錯化剤としては、限定されないが、β-ジケトネート化合物、例えば2,4-ペンタンジオン、アセチルアセトネート、1,1,1-トリフルオロ-2,4-ペンタンジオン及び1,1,1,5,5,5-ヘキサフルオロ-2,4-ペンタンジオン;アミノ酸、例えばグリシン、セリン、プロリン、ロイシン、アラニン、アスパラギン、アスパラギン酸、グルタミン、ヒスチジン、グルタミン酸、アルギニン、システイン、バリン及びリジン;イミノ二酢酸(IDA)、マロン酸、シュウ酸、コハク酸、ホウ酸、ニトリロ三酢酸、リンゴ酸、クエン酸、酢酸、マレイン酸、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、EDTA-2NH3(エチレンジアミン四酢酸ジアンモニウム塩)、(1,2-シクロヘキシレンジニトリロ)四酢酸(CDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、2-ホスホノブタン-1,2,4-トリカルボン酸(PBTCA)、エチレンジアミンジコハク酸及びプロピレンジアミン四酢酸からなる群から選択される多塩基酸及びアミノポリカルボン酸;ホスホン酸;ホスホン酸誘導体、例えばヒドロキシエチリデンジホスホン酸(HEDP)(Dequest 2010)、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジホスホン酸、ニトリロ-トリス(メチレンホスホン酸)(NTMP)、アミノトリ(メチレンホスホン酸)(Dequest 2000)、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(Dequest 2060S)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(EDTMPA);並びにそれらの組み合わせが挙げられる。代替的又は追加的に、少なくとも1つの錯化剤は、ナトリウムアルキルサルフェート、例えばナトリウムエチルヘキシルサルフェート(NIAPROOF(登録商標)08)、アンモニウムアルキルサルフェート、アルキル(C10~C18)カルボン酸アンモニウム塩、スルホコハク酸ナトリウム及びそのエステル、例えばジオクチルナトリウムスルホスクシネート、アルキル(C6~C18)スルホン酸ナトリウム塩、及びジアニオン性スルホネート界面活性剤を含むがそれらに限定されないアニオン性界面活性剤を含むことができる。好ましいアニオン性界面活性剤としては、ジフェニルオキシドジスルホネート、例えば、DOWFAX 2A1(ナトリウムテトラプロピルジフェニルオキシドジスルホネート)、DOWFAX 3A2、DOWFAX 8390、及びDowFax(商標)C6L(アルキルジフェニルオキシドジスルホネート)を含む、Dow Chemicalから入手可能なアニオン性界面活性剤のDOWFAXライン、並びにRhone-Poulencから入手可能なRHODACAL DSB、Olinから入手可能なPOLY-TERGENT 2A1、POLY-TERGENT 2EP、Cytecから入手可能なAEROSOL DPOS-45、Pilot Chemicalsから入手可能なCALFAX DBA-40、CALFAX 16L-35などが挙げられる。ジフェニルオキシドジスルホネート界面活性剤は、電荷が2つのスルホネート基から生じ、優れた乳化安定性を提供するジスルホン化アルキルジフェニルオキシド分子からなる高アニオン性界面活性剤のクラスを表す。代替的又は追加的に、少なくとも1つの錯化剤は、ポリアミノアミド(PAMAM)デンドリマー、ポリ(2-エチル-2-オキサゾリン)、ポリエチレンイミン(PEI)、ヒドロキシル化ポリエチレンイミン、修飾ポリエチレンイミン、ポリアリルアミン塩酸塩(PALAM)、ポリ(アクリルアミド)、ポリ(アクリル酸)、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド、アクリルアミド、アセトグアナミン、ポリ(アクリルアミド-コ-ジアリル-ジメチルアンモニウムクロリド)(PAMALAM)、及びそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない抗スケーラントポリマーを含むことができる。代替的又は追加的に、錯化剤は、アンモニウムカチオン又はテトラアルキルアンモニウムカチオン([NR1R2R3R4]+、式中、R1、R2、R3及びR4は、互いに同じであっても異なっていてもよく、水素、及びC1~C6アルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル)からなる群から選択される)と、酢酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、安息香酸塩、プロピオン酸塩、クエン酸塩、ギ酸塩、シュウ酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、フマル酸塩、リンゴ酸塩、アスコルビン酸塩、マンデル酸塩及びフタル酸塩からなる群から選択されるアニオンとを含む塩を含む。例えば、塩は、臭化アンモニウム及び/又は塩化アンモニウムを含むことができる。一実施形態では、錯化剤は、アルキルジフェニルオキシドジスルホネート、2,4-ペンタンジオン、セリン、及びそれらの任意の組み合わせの少なくとも1つを含む。
【0024】
別の実施形態では、本発明の組成物のいずれかは、窒化チタン及び/又はフォトレジストエッチング材料残渣をさらに含んでもよく、残渣は水性組成物に懸濁及び/又は溶解する。
【0025】
一実施形態では、第1の態様の組成物は、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのフッ化物含有エッチング剤、少なくとも1つのpH調整剤、少なくとも1つの金属腐食防止剤、及び任意選択的に少なくとも1つの水混和性溶媒を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になり、成分a~f(存在する場合)は、以下の割合で存在する:
a.50から(材料の残部の)重量パーセント(水);
b.0.001~5重量パーセント(酸化剤);
c.0.001~5重量パーセント(フッ化物エッチング剤);
d.0.001~5重量パーセント(金属腐食防止剤);
e.0.1~10重量パーセント(pH調整剤);及び任意選択的に、
f.1~30重量パーセント(水混和性溶媒)。
【0026】
別の態様では、本発明は、以下を含む組成物を提供する:
a.水;
b.過ヨウ素酸;
過酸化水素、過酸化水素-尿素、過硫酸アンモニウム、過酢酸、t-ブチルヒドロペルオキシド及び過マンガン酸カリウムから選択される少なくとも1つの酸化剤;
c.HF、テトラフルオロホウ酸、ヘキサフルオロケイ酸、H2ZrF6、H2TiF6、HPF6、フッ化アンモニウム、フッ化テトラメチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム水酸化物、ヘキサフルオロケイ酸アンモニウム及びヘキサフルオロチタン酸アンモニウムから選択される少なくとも1つのエッチング剤;
d.ベンジルジメチルオクチルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド、ベンジルジメチルオクタデシルアンモニウムクロリド、4-(3-フェニルプロピル)ピリジン、4-(3-フェニルプロピル)ピリジンn-オキシド、3-ベンジルピリジンN-オキシド、ベンゾトリアゾール、5-メチルベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、1,2,4トリアゾール、及びそれらの組み合わせから選択される少なくとも1つの金属腐食防止剤;
e.メタンスルホン酸、硫酸、塩酸、硝酸、酢酸及びリン酸から選択される少なくとも1つのpH調整剤;及び任意選択的に、
f.少なくとも1つの水混和性溶媒。
【0027】
窒化チタンのエッチング又は除去に有用な特定の組成物は、低k誘電体層への化学侵食を低減し、ウェハをさらなる酸化から保護するのに役立つ不動態化剤を利用する。(例えば、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第10,138,117号明細書を参照されたい。)このような組成物では、ホウ酸、ホウ酸塩、アルコキシシラン、ケイ酸ナトリウム、テトラメチルアンモニウムシリケート、3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸、マロン酸、イミノ二酢酸などの低k不動態化剤。本発明者らは、本発明の組成物が、窒化チタンを選択的に除去するのに有効であるために、このような不動態化剤を必要としないことを見出した。したがって、別の実施形態では、本発明の組成物は低k不動態化剤を含有しない。
【0028】
使用前に希釈されるべき組成物の濃縮形態を作製することが一般的な慣行であることが理解されよう。例えば、組成物は、より濃縮された形態で製造され、その後、製造業者において、使用前に、及び/又は製造工場での使用中に少なくとも1つの溶媒で希釈されてもよい。希釈比は、約0.1部の希釈剤:1部の組成物濃縮物~約100部の希釈剤:1部の組成物濃縮物の範囲であり得る。本明細書に記載の組成物は、経時的に不安定であり得る酸化剤を含むことをさらに理解されたい。したがって、濃縮形態は、酸化剤を実質的に含まないものとすることができ、酸化剤は、製造業者によって、使用前に、及び/又は製造工場での使用中に濃縮物又は希釈組成物に導入することができる。
【0029】
本明細書に記載の組成物は、それぞれの成分の単純な添加及び均一な状態への混合によって容易に配合される。さらに、組成物は、使用時点又はその前に混合される単一パッケージ配合物又はマルチパート配合物、好ましくはマルチパート配合物として容易に配合され得る。マルチパート配合物の個々の部分は、ツールで、又はインラインミキサーなどの混合領域/エリアで、又はツールの上流の貯蔵タンクで混合され得る。マルチパート配合物の様々な部分は、一緒に混合された場合に所望の組成物を形成する成分/構成成分の任意の組み合わせを含有し得ることが企図される。それぞれの成分の濃度は、組成物の特定の倍数で、すなわち、より希釈されているか、又はより濃縮されているかで広く変化してもよく、組成物は、本明細書の開示と一致する成分の任意の組み合わせを様々に及び代替的に含むか、それからなるか、又は本質的にそれからなることができることが理解されよう。
【0030】
したがって、さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の組成物を形成するように適合された1つ以上の成分を1つ以上の容器に含むキットを提供する。キットの容器は、上記除去組成物成分、例えば、NOWPak(登録商標)容器(Advanced Technology Materials,Inc.,Danbury,Conn.,USA)を貯蔵及び輸送するのに適していなければならない。組成物の成分を含有する1つ以上の容器は、好ましくは、上記1つ以上の容器内の成分をブレンド及び分配するために流体連通させるための手段を含む。例えば、NOWPak(登録商標)容器を参照すると、上記1つ以上の容器内のライナーの外側にガス圧を加えて、ライナーの内容物の少なくとも一部を排出させ、したがってブレンド及び分配するための流体連通を可能にすることができる。あるいは、従来の加圧可能容器のヘッドスペースにガス圧を加えてもよいし、ポンプを使用して流体連通を可能にしてもよい。さらに、システムは、好ましくは、ブレンド組成物をプロセスツールに分配するための分配ポートを含む。
【0031】
上記1つ以上の容器のライナーを製造するために、高密度ポリエチレンなどの実質的に化学的に不活性で、不純物がなく、可撓性で弾力性のあるポリマー膜材料を使用することができる。望ましいライナー材料は、共押出又はバリア層を必要とせずに、かつ、ライナー内に配置される部品の純度要件に悪影響を及ぼし得る顔料、UV抑制剤、又は加工剤なしで加工される。望ましいライナー材料としては、未加工の(すなわち、無添加の)ポリエチレン、未加工のポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリプロピレン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリアセタール、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリブチレンなどを含む膜が挙げられる。そのようなライナー材料の好ましい厚さは、約5ミル(0.005インチ)~約30ミル(0.030インチ)の範囲、例えば20ミル(0.020インチ)の厚さである。
【0032】
キットの容器に関して、以下の特許及び特許出願の開示は、それぞれその全体が参照により本明細書に組み込まれる:「APPARATUS AND METHOD FOR MINIMIZING THE GENERATION OF PARTICLES IN ULTRAPURE LIQUIDS」と題する米国特許第7,188,644号明細書;「RETURNABLE AND REUSABLE,BAG-IN-DRUM FLUID STORAGE AND DISPENSING CONTAINER SYSTEM」と題する米国特許第6,698,619号明細書;及び2008年5月9日に出願された「SYSTEMS AND METHODS FOR MATERIAL BLENDING AND DISTRIBUTION」と題するPCT/US08/63276号明細書。その各々は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0033】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の組成物を使用して、窒化チタン材料をその上に有するマイクロ電子デバイスの表面から窒化チタン材料をエッチングする方法を提供する。例えば、窒化チタン材料は、マイクロ電子デバイス上に存在する金属導体及び絶縁体材料を実質的に損傷/除去することなく除去することができる。したがって、さらなる実施形態では、モリブデン、アルミニウムの酸化物、二酸化ケイ素、ポリシリコンをその上に有するマイクロ電子デバイスの表面から、モリブデン、アルミニウムの酸化物、二酸化ケイ素、ポリシリコンに対して窒化チタンを選択的かつ実質的に除去する方法が、本明細書に記載の組成物を使用して記載される。別の実施形態では、金属導体(例えば、銅)、タングステン及び絶縁体材料をその上に有するマイクロ電子デバイスの表面から、金属導体(例えば、銅)、タングステン及び絶縁体材料に対して窒化チタンを選択的かつ実質的に除去する方法が、本明細書に記載の組成物を使用して記載される。
【0034】
エッチング用途では、組成物は、任意の適切な様式で、窒化チタン及び/又はフォトレジストエッチング残渣材料をその上に有するマイクロ電子デバイスの表面に塗布され、例えば、デバイスの表面に組成物を噴霧することによって、窒化チタンを含むデバイスを(組成物の静的又は動的な体積に)浸漬することによって、デバイスを、組成物がその上に吸収された別の材料、例えばパッド、又は繊維状吸着剤アプリケータ要素と接触させることによって、窒化チタン及び/又はフォトレジストエッチング残渣材料を含むデバイスを循環組成物と接触させることによって、又は組成物を窒化チタン膜と除去接触させる任意の他の適切な手段、様式又は技術によって塗布される。塗布は、動的又は静的洗浄のためのバッチ式又は枚葉式装置で行われてもよい。有利には、本明細書に記載の組成物は、マイクロ電子デバイス構造上に存在し、組成物に曝露され得る他の材料、例えば金属及び絶縁材料(すなわち、低k誘電体)、並びに高k材料、例えば酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタンに対する窒化チタン膜の選択性により、窒化チタンの少なくとも部分的な除去を高効率かつ高選択的に達成する。
【0035】
窒化チタンをその上に有するマイクロ電子デバイス構造から窒化チタンを除去するための本明細書に記載の組成物の使用において、組成物は、典型的には、約0.3分~約30分、又は約0.5分~約3分の十分な時間、約20℃~約100℃、又は約30℃~約60℃の範囲の温度で、枚葉式ツール内でデバイス構造と接触する。そのような接触時間及び温度は例示であり、デバイス構造から窒化チタン膜を少なくとも部分的に除去するのに有効な任意の他の適切な時間及び温度条件を使用することができる。
【0036】
所望のエッチング/除去作用の達成に続いて、組成物は、本明細書に記載される組成物の所与の最終使用用途において所望され有効であり得るように、例えば、すすぎ、洗浄、又は他の除去工程によって、以前に塗布されたマイクロ電子デバイスから容易に除去することができる。例えば、デバイスを、脱イオン水を含むすすぎ溶液ですすぎ、及び/又は乾燥させる(例えば、スピンドライ、N2、蒸気乾燥など)ことができる。したがって、さらなる態様では、本発明は、マイクロ電子デバイス上のモリブデンの存在下で窒化チタンを選択的にエッチングする方法であって、約20℃~約70℃の温度で、約30秒~約10分間、上記マイクロ電子デバイスを本発明の組成物に曝露し、続いて上記マイクロ電子デバイスを脱イオン水で洗浄することを含む方法を提供する。
【0037】
さらなる態様では、本発明は、本明細書に記載の方法に従って作製された改善されたマイクロ電子デバイス、及びそのようなマイクロ電子デバイスを含む製品を提供する。
【0038】
さらなる態様では、本発明は、マイクロ電子デバイスを含む物品を製造する方法であって、窒化チタンをその上に有するマイクロ電子デバイスの表面から窒化チタンをエッチング除去するのに十分な時間、マイクロ電子デバイスを組成物と接触させることと、上記マイクロ電子デバイスを上記物品に組み込むこととを含み、組成物が、少なくとも1つの酸化剤、少なくとも1つのエッチング剤、少なくとも1つの腐食防止剤、任意選択的に少なくとも1つの錯化剤、及び任意選択的に少なくとも1つの水混和性溶媒を含むか、それらからなるか、又はそれらから本質的になる、方法を提供する。
【0039】
3D Nandフラッシュメモリ構造におけるゲートエッチングを含む特定のマイクロ電子デバイスは、上述のような乾式エッチングプロセスによって高選択性エッチング剤を用いてモリブデン凹部を形成する第1の工程を含む。第2の工程において、本発明の方法及び組成物は、チタンを選択的にエッチングするために実施される。したがって、さらなる態様では、本発明は、モリブデン及び窒化チタンを連続工程で選択的にエッチングする方法であって、以下の工程を含む方法を提供する:
a.乾式エッチング法を使用してモリブデンをエッチングする工程、続いて、
b.マイクロ電子デバイス上のモリブデンの存在下で窒化チタンを選択的にエッチングする工程であって、約20℃~約70℃の温度で、約30秒~約10分間、上記マイクロ電子デバイスを本発明による組成物に曝露し、続いて、上記マイクロ電子デバイスを脱イオン水で洗浄することを含む、窒化チタンを選択的にエッチングする工程。
【0040】
さらなる態様では、本発明は、マイクロ電子デバイス基板と、上記基板上の窒化チタン層と、本明細書に記載の組成物とを含む、それらからなる、又はそれらから本質的になる製造品を提供する。一実施形態では、本発明は、上記の成分a~fからなるか、又はそれらから本質的になる組成物を提供する。
【0041】
本発明は、その好ましい実施形態の以下の実施例によってさらに説明することができるが、これらの実施例は単に例示の目的で含まれ、特に明記しない限り本発明の範囲を限定することを意図しないことが理解されよう。
【実施例】
【0042】
説明:
MSA:メタンスルホン酸
12C:ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド
14C:ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド
PPP:4-(3-フェニルプロピル)ピリジン
DIW:脱イオン水
5m-BTA:5-メチルベンゾトリアゾール
RPM-実験で使用した磁気撹拌バーの毎分回転数を指す。
【0043】
【0044】
これらの実験では、過ヨウ素酸濃度が高いほど、Moエッチング速度が高くなることに留意されたい。また、過ヨウ素酸濃度が高いほど、TiNエッチング速度は低かった。したがって、TiN/Mo選択性を高めるために、過ヨウ素酸濃度は有利に低減される。配合物が過ヨウ素酸を有しない場合、TiNエッチング速度は非常に低い。
【0045】
2.追加の酸化剤試験(過ヨウ素酸と過酸化水素との比較)
【0046】
酸化剤として過酸化水素を使用した場合、Moエッチング速度が濃度によって急激に増加することが観察される。
【0047】
【0048】
これらの実験では、HFの濃度が高いほど、TiN及びMoエッチング速度が高くなることに留意されたい。より高いHF濃度では、TEOSエッチング速度も増加するが、過度には増加しない。HFを含まない配合物は、非常に低いTiNエッチング速度を有する。
【0049】
【0050】
これらの実験では、12C([ベンジルジメチルドデシルアンモニウムクロリド)がMo阻害剤として有効であることに留意されたい。さらに、12Cの濃度が高いほど、モリブデンエッチング速度は低くなる。12C濃度が高いほど、モリブデンエッチング速度は低くなる。12C濃度が高いほど、窒化チタンエッチング速度は低くなる。最後に、12C濃度は、AlOx、TEOS及びポリSiなどの他の材料のエッチング速度に影響を及ぼすようには見えない。
【0051】
5.追加のMo阻害剤試験(12C、14C、5m-BTA、PPP、グリシン)
【0052】
これらの実験では、12Cが14C(ベンジルジメチルテトラデシルアンモニウムクロリド)よりも高いTiN/Mo選択性を示すことに留意されたい。さらに、12C濃度が増加した場合、Mo及びTiNのいずれも、エッチング速度が低下する。12C、PPP(4-(3-フェニルプロピル)ピリジン)、及び5m-BTA(5メチル-ベンゾトリアゾール)の各々は、Mo阻害剤として作用し、TiN/Mo選択性を高めるのに役立つ。最後に、阻害剤の組み合わせの配合物は、Moエッチング速度を低下させるのに役立ち得る。組成物15~17を比較した場合、17は最も低いMoエッチング速度を有し、最も高いTiN/Mo選択性をもたらす。
【0053】
6.pH調整剤試験
観察:
(1)w/pH調整剤を含む配合物は、同様のTiN/Mo選択性を有する。
(2)w/o pH調整剤を含まない配合物は、より低いMoエッチング速度を有し、より高いTiN/Mo選択性をもたらす。しかし、より高いTEOS Moエッチング速度を示すには短所がある。
【0054】
7.溶媒試験
観察:
(1)エチレングリコールは、配合物中に5m-BTAが溶解するのを助ける。
(2)しかし、w/EGを含む配合物は、より低いTiN/Mo選択性を有する。
【0055】
本発明は、その特定の実施形態を特に参照して詳細に説明されているが、本発明の精神及び範囲内で変形及び修正が影響を受け得ることが理解されよう。