(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】画像表示装置の製造方法および画像表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20240621BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20240621BHJP
G09F 9/33 20060101ALI20240621BHJP
H01L 33/08 20100101ALI20240621BHJP
H01L 33/22 20100101ALI20240621BHJP
H01L 33/32 20100101ALI20240621BHJP
H01L 33/38 20100101ALI20240621BHJP
H01L 33/42 20100101ALI20240621BHJP
H01L 33/50 20100101ALI20240621BHJP
【FI】
G09F9/00 342
G09F9/30 338
G09F9/30 348A
G09F9/30 349A
G09F9/33
H01L33/08
H01L33/22
H01L33/32
H01L33/38
H01L33/42
H01L33/50
(21)【出願番号】P 2021509314
(86)(22)【出願日】2020-03-19
(86)【国際出願番号】 JP2020012313
(87)【国際公開番号】W WO2020196271
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2023-02-20
(31)【優先権主張番号】P 2019055382
(32)【優先日】2019-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000226057
【氏名又は名称】日亜化学工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】秋元 肇
【審査官】川俣 郁子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/132070(WO,A1)
【文献】特開2009-094144(JP,A)
【文献】特開2014-072215(JP,A)
【文献】特開2018-205456(JP,A)
【文献】特開2007-242645(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0078963(US,A1)
【文献】特開2018-101785(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02F1/13-1/1334
1/1339-1/135
1/137-1/141
G09F9/00-9/46
13/00-13/46
H01L33/00-33/64
H05B33/00-33/28
44/00
45/60
H10K50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光層を含む半導体層を第1基板上に形成した基板を準備する工程と、
回路素子と前記回路素子に電気的に接続された第1配線層とを含む回路が形成された第2基板に、前記半導体層を貼り合わせる工程と、
前記半導体層をエッチングして発光素子を形成する工程と、
前記発光素子を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を貫通して前記第1配線層に達するビアを形成する工程と、
前記発光素子と前記回路素子とを前記ビアを介して電気的に接続する工程と、
を備え、
前記ビアは、異なる層に設けられた前記発光素子および前記回路素子を互いに接続
し、
前記半導体層を前記第2基板に貼り合わせる前に前記第1基板を除去する工程と、
前記発光素子の表面を露出させる工程と、
をさらに備えた画像表示装置の製造方法。
【請求項2】
発光層を含む半導体層を第1基板上に形成した基板を準備する工程と、
回路素子と前記回路素子に電気的に接続された第1配線層とを含む回路が形成された第2基板に、前記半導体層を貼り合わせる工程と、
前記半導体層をエッチングして発光素子を形成する工程と、
前記発光素子を覆う絶縁膜を形成する工程と、
前記絶縁膜を貫通して前記第1配線層に達するビアを形成する工程と、
前記発光素子と前記回路素子とを前記ビアを介して電気的に接続する工程と、
を備え、
前記ビアは、異なる層に設けられた前記発光素子および前記回路素子を互いに接続し、
前記半導体層を前記第2基板に貼り合わせた後に前記第1基板を除去する工程
と、
前記発光素子の表面を露出させる工程と、
をさらに備え
た画像表示装置の製造方法。
【請求項3】
露出された前記発光素子の露出面に透明電極を形成する工程をさらに備えた請求項
1または2に記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項4】
前記半導体層を、前記第1基板上に形成された緩衝層上に成長させる請求項1~
3のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項5】
前記緩衝層は、窒化物を含む請求項
4記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項6】
前記第1基板は、シリコンまたはサファイアを含む請求項1~
5のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項7】
前記半導体層は、窒化ガリウム系化合物半導体を含み、
前記第2基板は、シリコンを含む請求項1~
6のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項8】
前記発光素子上に波長変換部材を形成する工程をさらに備えた請求項1~
7のいずれか1つに記載の画像表示装置の製造方法。
【請求項9】
回路素子と、
前記回路素子に電気的に接続された第1配線層と、
前記回路素子および前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に配設された発光素子と、
前記発光素子の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、
前記発光素子に電気的に接続され、前記第2絶縁膜上に配設された第2配線層と、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を貫通し、前記第1配線層および前記第2配線層を電気的に接続する第1ビアと、
を備え
、
前記第1配線層は、第1配線を含み、
前記第1配線の少なくとも一部を含む部分は、前記発光素子の直下に設けられ、
前記部分の外周は、平面視で、前記部分に投影された前記発光素子の外周を含む画像表示装置。
【請求項10】
前記発光素子の前記第1絶縁膜の側の面に対向する発光面を露出させる開口を有しており、前記発光面上に透明電極を備えた請求項
9記載の画像表示装置。
【請求項11】
前記開口から露出された露出面は、粗面を含む請求項
10記載の画像表示装置。
【請求項12】
前記第1絶縁膜と前記発光素子との間に緩衝層をさらに備えた請求項
9~
11のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項13】
前記回路素子は、トランジスタを含み、
前記発光素子は、第1導電形の第1半導体層と、前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、前記第1半導体層と前記第2半導体層との間に設けられた発光層と、を含み、前記第1絶縁膜から前記第2配線層に向かって、前記第1半導体層、前記発光層、および前記第2半導体層の順に積層され、
前記第1配線層は、前記トランジスタの第1主電極に接続された第2配線を含み、
前記第2配線層は、前記第1半導体層に接続された第3配線を含み、
前記第1ビアの一端は、前記第2配線に接続され、
前記第1ビアの他端は、前記第3配線に接続された請求項
9~
12のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項14】
前記第2絶縁膜を貫通する第2ビアをさらに備え、
前記第2ビアの一端は、前記第1半導体層に接続され、
前記第2ビアの他端は、前記第3配線に接続された請求項
13記載の画像表示装置。
【請求項15】
前記第1導電形は、p形であり、
前記第2導電形は、n形であり、
前記トランジスタは、pチャネルトランジスタである請求項
13または
14に記載の画像表示装置。
【請求項16】
前記第1導電形は、n形であり、
前記第2導電形は、p形であり、
前記トランジスタは、nチャネルトランジスタである請求項
13または
14に記載の画像表示装置。
【請求項17】
前記発光素子は、窒化ガリウム系化合物半導体を含み、
前記回路素子は、基板に形成され、前記基板は、シリコンを含む請求項
9~
16のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項18】
前記発光素子上に波長変換部材をさらに備えた請求項
9~
17のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【請求項19】
複数のトランジスタと、
前記複数のトランジスタに電気的に接続された第1配線層と、
前記複数のトランジスタおよび前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、
前記第1絶縁膜上に配設された第1導電形の第1半導体層と、
前記第1半導体層上に配設された発光層と、
前記発光層上に配設され、前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、
前記第1絶縁膜、前記発光層および前記第1半導体層を覆うとともに前記第2半導体層の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、
前記複数のトランジスタに応じて前記第2絶縁膜からそれぞれ露出された、前記第2半導体層の複数の露出面上に配設された透明電極に接続された第2配線層と、
前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を貫通し、前記第1配線層の配線および前記第2配線層の配線を電気的に接続する第1ビアと、
を備えた画像表示装置。
【請求項20】
前記第1配線層は、前記複数のトランジスタのうちの第1トランジスタの主電極に接続された第1配線を含み、
前記第2配線層は、前記第1半導体層に接続された第2配線を含み、
前記第1ビアは、前記第1配線と前記第2配線との間に設けられた請求項
19記載の画像表示装置。
【請求項21】
前記第1配線層は、前記複数のトランジスタのうちの前記第1トランジスタとは異なる第2トランジスタの主電極に接続された第3配線を含み、
前記第2配線層は、前記第1半導体層に接続された第4配線を含み、
前記第1ビアとは異なる第2ビアは、前記第3配線と前記第4配線との間に設けられた請求項
20記載の画像表示装置。
【請求項22】
前記第2半導体層は、前記第2絶縁膜によって分離された請求項
19~
21のいずれか1つに記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像表示装置の製造方法および画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
高輝度、広視野角、高コントラストで低消費電力の薄型の画像表示装置の実現が望まれている。このような市場要求に対応するように、自発光素子を利用した表示装置の開発が進められている。
【0003】
自発光素子として、微細発光素子であるマイクロLEDを用いた表示装置の登場が期待されている。マイクロLEDを用いた表示装置の製造方法として、個々に形成されたマイクロLEDを駆動回路に順次転写する方法が紹介されている。しかしながら、フルハイビジョンや4K、8K等と高画質になるにつれて、マイクロLEDの素子数が多くなると、多数のマイクロLEDを個々に形成して、駆動回路等を形成した基板に順次転写するのでは、転写工程に膨大な時間を要する。さらに、マイクロLEDと駆動回路等との接続不良等が発生し、歩留りの低下を生じるおそれがある。
【0004】
Si基板上に発光層を含む半導体層を成長させ、半導体層に電極を形成した後、駆動回路が形成された回路基板に貼り合わせる技術が知られている(たとえば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、発光素子の転写工程を短縮し、歩留りを向上した画像表示装置の製造方法および画像表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係る画像表示装置の製造方法は、発光層を含む半導体層を第1基板上に形成した基板を準備する工程と、回路素子を含む回路が形成された第2基板に、前記半導体層を貼り合わせる工程と、前記半導体層をエッチングして発光素子を形成する工程と、前記発光素子を覆う絶縁膜を形成する工程と、前記絶縁膜を貫通して前記回路に達するビアを形成する工程と、前記発光素子と前記回路素子とを前記ビアを介して電気的に接続する工程と、を備える。前記ビアは、異なる層に設けられた前記発光素子および前記回路素子を互いに接続する。
【0008】
本実施形態に係る画像表示装置は、回路素子と、前記回路素子に電気的に接続された第1配線層と、前記回路素子および前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に配設された発光素子と、前記発光素子の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、前記発光素子に電気的に接続され、前記第2絶縁膜上に配設された第2配線層と、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を貫通し、前記第1配線層および前記第2配線層を電気的に接続する第1ビアと、を備える。
【0009】
本実施形態に係る画像表示装置は、複数のトランジスタと、前記複数のトランジスタに電気的に接続された第1配線層と、前記複数のトランジスタおよび前記第1配線層を覆う第1絶縁膜と、前記第1絶縁膜上に配設された第1導電形の第1半導体層と、前記第1半導体層上に配設された発光層と、前記発光層上に配設され、前記第1導電形とは異なる第2導電形の第2半導体層と、前記第1絶縁膜、前記第1半導体層および前記発光層を覆うとともに前記第2半導体層の少なくとも一部を覆う第2絶縁膜と、前記複数のトランジスタに応じて前記第2絶縁膜からそれぞれ露出された、前記第2半導体層の複数の露出面上に配設された透明電極に接続された第2配線層と、前記第1絶縁膜および前記第2絶縁膜を貫通し、前記第1配線層の配線および前記第2配線層の配線を電気的に接続する第1ビアと、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態の一実施形態によれば、発光素子の転写工程を短縮し、歩留りを向上した画像表示装置の製造方法および画像表示装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】第1の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図2A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の1つを例示する模式的な断面図である。
【
図2B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の1つを例示する模式的な断面図である。
【
図2C】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の1つを例示する模式的な断面図である。
【
図3】第1の実施形態の画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図4】第1の実施形態の画像表示装置の一部を例示する模式的な平面図である。
【
図5A】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図5B】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図5C】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図6A】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図6B】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図6C】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図7A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図7B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図8A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の1つの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図8B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の1つの製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図9】第1の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10A】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10B】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10C】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図10D】第1の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図11】第2の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図12】第2の実施形態の画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
【
図13A】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図13B】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図14A】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図14B】第2の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図15】第2の実施形態の画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図16】第3の実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図17A】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図17B】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図18A】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図18B】第3の実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図19】第3の実施形態に係る画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
【
図20A】第3の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図20B】第3の実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
【
図21】画素LEDの特性を例示するグラフである。
【
図22】第4の実施形態に係る画像表示装置を例示するブロック図である。
【
図23】第4の実施形態に係る画像表示装置の変形例を例示するブロック図である。
【
図24】第1~第3の実施形態およびこれらの変形例の画像表示装置を模式的に例示する斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
(第1の実施形態)
図1は、実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
図1には、本実施形態の画像表示装置のサブピクセル20の構成が模式的に示されている。画像表示装置に表示される画像を構成するピクセル10は、複数のサブピクセル20によって構成されている。
以下では、XYZの3次元座標系を用いて説明することがある。サブピクセル20は、2次元平面上に配列されている。サブピクセル20が配列された2次元平面をXY平面とする。サブピクセル20は、X軸方向およびY軸方向に沿って配列されている。
【0014】
サブピクセル20は、XY平面にほぼ平行な発光面153Sを有している。発光面153Sは、主として、XY平面に直交するZ軸の正方向に向かって光を出力する。
【0015】
図1は、サブピクセル20をXZ平面に平行な面で切断した場合の断面を模式的に示している。この断面図は、後述する
図4のA-A’線における矢視断面である。
図1に示すように、画像表示装置のサブピクセル20は、トランジスタ103と、第1の配線層110と、第1の絶縁膜(層間絶縁膜)112と、発光素子150と、第2の絶縁膜(層間絶縁膜)156と、第2の配線層160と、ビア161dと、を備える。サブピクセル20は、カラーフィルタ180をさらに備える。カラーフィルタ(波長変換部材)180は、表面樹脂層170上に、透明薄膜接着層188を介して設けられている。表面樹脂層170は、発光素子150、層間絶縁膜156および配線層160上に設けられている。
【0016】
トランジスタ103は、基板102に形成されている。後述する
図3および
図12に示すように、基板102には、トランジスタ103のほか、他のトランジスタや抵抗、キャパシタ等の回路素子が形成され、配線等によって回路101を構成している。以下では、回路101は、回路素子が形成された素子形成領域104、絶縁層105、配線層110、配線層110と回路素子を接続するビアおよび回路素子間等を絶縁する絶縁膜108を含むものとする。基板102、回路101および層間絶縁膜112等のその他の構成要素を含めて回路基板100と呼ぶことがある。
【0017】
トランジスタ103は、p形半導体領域104bと、n形半導体領域104s,104dと、ゲート107と、を含む。ゲート107は、絶縁層105を介して、p形半導体領域104bの上に設けられている。絶縁層105は、素子形成領域104とゲート107とを絶縁するとともに、隣接する他の回路素子との絶縁を十分にとるために設けられている。ゲート107に電圧が印加されると、p形半導体領域104bにチャネルが形成され得る。トランジスタ103は、nチャネルMOSFETである。
【0018】
素子形成領域104は、基板102に設けられている。基板102は、たとえばSi基板である。素子形成領域104は、p形半導体領域104bとn形半導体領域104s,104dとを含む。p形半導体領域104bは、基板102の表面付近に設けられている。n形半導体領域104s,104dは、p形半導体領域104b内でp形半導体領域104bの表面付近に互いに離隔して設けられている。
【0019】
基板102の表面には、絶縁層105が設けられている。絶縁層105は、素子形成領域104も覆っており、p形半導体領域104bおよびn形半導体領域104s,104dの表面も覆っている。絶縁層105は、たとえばSiO2である。絶縁層105は、覆っている領域に応じてSiO2やSi3N4等を含む多層の絶縁層であってもよい。絶縁層105は、高誘電率を有する絶縁材料の層を含んでもよい。
【0020】
絶縁層105を介して、p形半導体領域104bの上にゲート107が設けられている。ゲート107は、n形半導体領域104s,104dの間に設けられている。ゲート107は、たとえば多結晶Siである。ゲート107は、多結晶Siよりも低抵抗のシリサイド等を含んでもよい。
【0021】
この例では、ゲート107および絶縁層105は、絶縁膜108で覆われている。絶縁膜108は、たとえばSiO2やSi3N4等である。配線層110を形成するのに表面を平坦化するために、さらにPSG(Phosphorus Silicon Glass)やBPSG(Boron Phosphorus Silicon Glass)等の有機絶縁膜を設けるようにしてもよい。
【0022】
絶縁膜108には、ビア111s,111dが形成されている。絶縁膜108上には、第1の配線層(第1配線層)110が形成されている。第1の配線層110は、電位の異なり得る複数の配線を含んでおり、配線110s,110dを含んでいる。なお、このように、
図1以降の断面図においては、配線層の符号は、その配線層に含まれる1つの配線の横の位置に表示されているものとする。ビア111s,111dは、配線層110の配線110s,110dとn形半導体領域104s,104dとの間にそれぞれ設けられ、これらを電気的に接続している。配線層110およびビア111s,111dは、たとえばAlやCu等の金属によって形成されている。配線層110およびビア111s,111dは、高融点金属等を含んでもよい。
【0023】
絶縁膜108および配線層110上には、さらに平坦化膜として、第1の層間絶縁膜112が設けられている。層間絶縁膜(第1絶縁膜)112は、たとえばPSGやBPSG等の有機絶縁膜である。第1の層間絶縁膜112は、回路基板100においてその表面を保護する保護膜としても機能する。
【0024】
層間絶縁膜112上にわたってバッファ層140が設けられている。バッファ層(緩衝層)140は、たとえばAlN等のナイトライドを含む。バッファ層140を設けることによって、発光素子150をエピタキシャル成長させたときに発生する結晶欠陥を低減することが期待できる。このように、発光素子150と第1の層間絶縁膜112との間には、バッファ層140が設けられている場合に限らず、第1の層間絶縁膜112上に直接発光素子150が設けられていてもよい。
【0025】
回路基板100中の配線110sは、発光素子150が載置されている位置までX軸方向に延伸して設けられている。後述する
図4に示すように、配線110sは、発光素子のY軸方向の長さ程度かそれよりも長くY軸方向にも延伸している。
【0026】
換言すると、配線110sの外周は、XY平面視で発光素子150をZ軸上方から投影したときの外周を含んでいる。これにより、配線110sは、発光素子150の下方への光の散乱を遮光して、トランジスタ103に到達しないようすることができる。配線110sの材料を適切に選択することによって、発光素子150の下方への散乱を発光面153S側に反射させて発光効率を向上させることができる。また、配線110sが、発光素子150の下方への散乱光を遮光することによって、トランジスタ103への光の到達が抑制され、トランジスタ103の誤動作を防止することもできる。
【0027】
発光素子150は、n形半導体層(第1半導体層)151と、発光層152と、p形半導体層(第2半導体層)153と、を含む。n形半導体層151、発光層152およびp形半導体層153は、回路基板100の層間絶縁膜112からZ軸の正方向、つまり発光面153Sに向かってこの順に積層されている。発光素子150は、XY平面視で、たとえばほぼ正方形または長方形状を有しているが、角部は丸くなっていてもよい。発光素子150はXY平面視で、たとえば楕円形状や円形状を有していてもよい。平面視での発光素子の形状や配置等を適切に選定することによって、レイアウトの自由度が向上する。n形半導体層151は、この例では、バッファ層140上をX軸方向に延伸する段差部151aを有している。
【0028】
発光素子150には、たとえば、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等の窒化物半導体が好適に用いられる。発光素子150は、いわゆる青色発光ダイオードであり、発光素子150が発光する光の波長は、たとえば467nm±20nm程度である。発光素子150が発光する光の波長は、410nm±20nm程度の青紫発光としてもよい。発光素子150が発光する光の波長は、上述の値に限らず、適切なものとすることができる。
【0029】
第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)156は、バッファ層140および発光素子150を覆っている。第2の層間絶縁膜156は、透明樹脂によって形成されている。層間絶縁膜156は、発光素子150を保護するとともに、第2の層間絶縁膜156上に形成される配線層160のために表面を平坦化する機能も有する。
【0030】
第2の層間絶縁膜156を貫通して、ビア(第2ビア)161kが設けられている。ビア161kの一端は、段差部151aに接続されている。
【0031】
ビア(第1ビア)161dは、層間絶縁膜112,156を貫通して設けられている。ビア161dの一端は、配線110dに接続されている。
【0032】
配線層160は、平坦化された層間絶縁膜156上に設けられている。配線層160は、配線160a,160kを含んでいる。配線160aは、層間絶縁膜156に開口されたコンタクトホールを介して、p形半導体層153に接続されている。配線160aは、この図には示されないが、サブピクセル20に電源を供給する電源線に接続されている。
【0033】
配線160kは、ビア161k,161dの他端に接続されている。したがって、発光素子150のn形半導体層151は、ビア161k,161dおよび配線160k,110dを介して、トランジスタ103の主電極に電気的に接続される。
【0034】
表面樹脂層170は、第2の層間絶縁膜156および第2の配線層160を覆っている。表面樹脂層170は、透明樹脂であり、層間絶縁膜156および配線層160を保護するとともに、カラーフィルタ180を接着するための平坦化面を提供する。
【0035】
カラーフィルタ180は、遮光部181と色変換部182とを含む。色変換部182は、発光素子150の発光面153Sの直上に発光面153Sの形状に応じて設けられている。カラーフィルタ180では、色変換部182以外の部分は、遮光部181とされている。遮光部181は、いわゆるブラックマトリクスであり、隣接する色変換部182から発光される光の混色等によるにじみを低減し、シャープな画像を表示することを可能にする。
【0036】
色変換部182は、1層または2層とされる。
図1には、2層の部分が示されている。1層であるか2層であるかは、サブピクセル20が発光する光の色、すなわち波長によって決定される。サブピクセル20の発光色が赤または緑の場合には、色変換部182は、好ましくは2層とされる。サブピクセル20の発光色が青の場合には、好ましくは1層とされる。
【0037】
色変換部182が2層の場合には、発光素子150により近い1層目が色変換層183であり、2層目がフィルタ層184である。つまり、フィルタ層184は、色変換層183上に積層されている。
【0038】
色変換層183は、発光素子150が発光する光の波長を所望の波長に変換する層である。赤色を発光するサブピクセル20の場合には、発光素子150の波長、467nm±20nmの光を、たとえば630nm±20nm程度の波長の光に変換する。緑色を発光するサブピクセル20の場合には、発光素子150の波長、467nm±20nmの光を、たとえば532nm±20nm程度の波長の光に変換する。
【0039】
フィルタ層184は、色変換層183で色変換されずに残存した青色発光の波長成分を遮断する。
【0040】
サブピクセル20が発光する光の色が青色の場合には、サブピクセル20は、色変換層183を介して光を出力してもよいし、色変換層183を介さずにそのまま光を出力するようにしてもよい。発光素子150が発光する光の波長が467nm±20nm程度の場合には、サブピクセル20は、色変換層183を介さずに光を出力してもよい。発光素子150が発光する光の波長を410nm±20nmとする場合には、出力する光の波長を467nm±20nm程度に変換するために、1層の色変換層183を設けることが好ましい。
【0041】
青色のサブピクセル20の場合であっても、サブピクセル20は、フィルタ層184を有していてもよい。青色のサブピクセル20にフィルタ層184を設けることによって、発光素子150の表面で生じる微小な外光反射が抑制される。
【0042】
(変形例)
サブピクセルの構成の変形例について説明する。
図2A~
図2Cは、本実施形態の画像表示装置の変形例をそれぞれ例示する模式的な断面図である。
図2A以降のサブピクセルの断面図では、煩雑さを避けるため、表面樹脂層170およびカラーフィルタ180の表示が省略されている。特に記載のない場合には、第2の層間絶縁膜および第2の配線層上には、表面樹脂層およびカラーフィルタが設けられる。後述の他の実施形態およびその変形例の場合についても同様である。
【0043】
図2Aおよび
図2Bの場合には、サブピクセル20a,20bは、発光素子150aの構成が上述の第1の実施形態の場合と相違する。他の構成要素は、上述の第1の実施形態の場合と同一であり、詳細な説明を適宜省略する。
図2Aに示すように、サブピクセル20aは、発光素子150aを含む。発光素子150aは、第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)256で覆われている。第2の層間絶縁膜256は、好ましくは白色樹脂である。層間絶縁膜256を白色樹脂とすることによって、発光素子150aが横方向や下方向に発光する光を反射させて、実質的に発光素子150aの輝度を向上させることができる。
【0044】
第2の層間絶縁膜256は、黒色樹脂であってもよい。層間絶縁膜256を黒色樹脂とすることによって、サブピクセル内における光の散乱が抑制され、迷光がより効果的に抑制される。迷光が抑制された画像表示装置は、よりシャープな画像を表示することが可能である。
【0045】
第2の層間絶縁膜256は、開口158を有している。開口158は、発光素子150aの上方の層間絶縁膜256の一部を除去することによって形成されている。配線160a1は、開口158で露出されたp形半導体層153aに接続されている。
【0046】
p形半導体層153aは、開口158により露出された発光面153Sを有する。発光面153Sは、p型半導体層153aの面のうち発光層152に接する面に対向する面である。発光面153Sは、好ましくは粗面加工されている。発光素子150aは、発光面153Sが粗面とされている場合には、光の取出効率を向上させることができる。
【0047】
図2Bに示すように、サブピクセル20bでは、透明電極159a,159kが配線160a2,160k上にそれぞれ設けられている。透明電極159aは、開口されたp形半導体層153aの発光面153S上に設けられ、配線160a2とp形半導体層153aとを電気的に接続している。
【0048】
発光面153S上に透明電極159aを設けることによって、p形半導体層153aとの接続面積を大きくすることができ、発光効率を向上させることができる。発光面153Sが粗面とされている場合には、発光面153Sと透明電極159aとの接続面積を増大させることができ、接触抵抗を低減することができる。
【0049】
図2Cは、トランジスタ103等の回路素子と発光素子150とのXY平面上の位置が互いにずれて配置されている場合を示している。
以下の理由により、発光素子150とトランジスタ130とを、平面視で重ならないように配置することがある。p形半導体領域104bとn形の基板102との間に空乏層領域が発生し、この空乏層領域は、寄生フォトダイオードとして機能することがある。この寄生フォトダイオードは、発光素子150の直下に生じる光被照射領域と重ならないようにすることが好ましい。その場合には、発光層152を基板102の表面にXY平面視で投影したときの端部と、p形半導体領域104bの境界との距離を、少なくとも1μm程度以上離すことが好ましい。
【0050】
図2Cに示すように、サブピクセル20cでは、配線110s3は、発光素子150が載置されている位置まで延伸していない。つまり、配線110s3は、XY平面視でZ軸上方から投影したとき、発光素子150の外周部を必ずしも含んでいない。一方、配線160k3は、上述の実施形態や他の変形例の場合に比べてX軸方向により長く延伸されている。
【0051】
このように、発光素子150が回路素子から十分離れて配置されているような場合には、Z軸の負方向に向かう散乱光が少なくなるので、光によるトランジスタ103等回路素子の誤動作を生じにくくなる。回路基板100内の配線によって遮光する必要がない場合には、配線を遮光に用いないので、回路配置の自由度が向上し、集積密度を向上させることが可能になる。
【0052】
本実施形態では、上述に示したサブピクセル20~20cの構成のいずれかを含むことができる。
【0053】
図3は、本実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の画像表示装置1は、表示領域2を備える。表示領域2には、サブピクセル20が配列されている。サブピクセル20は、たとえば格子状に配列されている。たとえば、サブピクセル20は、X軸に沿ってn個配列され、Y軸に沿ってm個配列される。
【0054】
ピクセル10は、異なる色の光を発光する複数のサブピクセル20を含む。サブピクセル20Rは、赤色の光を発光する。サブピクセル20Gは、緑色の光を発光する。サブピクセル20Bは、青色の光を発光する。3種類のサブピクセル20R,20G,20Bが所望の輝度で発光することによって、1つのピクセル10の発光色および輝度が決定される。
【0055】
1つのピクセル10は、3つのサブピクセル20R,20G,20Bを含み、サブピクセル20R,20G,20Bは、たとえばこの例のように、X軸上を直線状に配列されている。各ピクセル10は、同じ色のサブピクセルが同じ列に配列されていてもよいし、この例のように、列ごとに異なる色のサブピクセルが配列されていてもよい。
【0056】
画像表示装置1は、電源線3および接地線4をさらに有する。電源線3および接地線4は、サブピクセル20の配列に沿って、格子状に布線されている。電源線3および接地線4は、各サブピクセル20に電気的に接続され、電源端子3aとGND端子4aとの間に接続された直流電源から各サブピクセル20に電力を供給する。電源端子3aおよびGND端子4aは、電源線3および接地線4の端部にそれぞれ設けられ、表示領域2の外部に設けられた直流電源回路に接続される。電源端子3aは、GND端子4aを基準にして正の電圧が供給される。
【0057】
画像表示装置1は、走査線6および信号線8をさらに有する。走査線6は、X軸に平行な方向に布線されている。つまり、走査線6は、サブピクセル20の行方向の配列に沿って布線されている。信号線8は、Y軸に平行な方向に布線されている。つまり、信号線8は、サブピクセル20の列方向の配列に沿って布線されている。
【0058】
画像表示装置1は、行選択回路5および信号電圧出力回路7をさらに有する。行選択回路5および信号電圧出力回路7は、表示領域2の外縁に沿って設けられている。行選択回路5は、表示領域2の外縁のY軸方向に沿って設けられている。行選択回路5は、各列のサブピクセル20に走査線6を介して電気的に接続され、各サブピクセル20に選択信号を供給する。
【0059】
信号電圧出力回路7は、表示領域2の外縁に沿って設けられている。信号電圧出力回路7は、表示領域2の外縁のX軸方向に沿って設けられている。信号電圧出力回路7は、各行のサブピクセル20に信号線8を介して電気的に接続され、各サブピクセル20に信号電圧を供給する。
【0060】
サブピクセル20は、発光素子22と、選択トランジスタ24と、駆動トランジスタ26と、キャパシタ28と、を含む。
図3において、選択トランジスタ24はT1と表示され、駆動トランジスタ26はT2と表示され、キャパシタ28はCmと表示されることがある。
【0061】
発光素子22は、駆動トランジスタ26と直列に接続されている。本実施形態では、駆動トランジスタ26はnチャネルMOSFETであり、駆動トランジスタ26の主電極であるドレイン電極に発光素子22のn電極であるカソード電極が接続されている。発光素子22および駆動トランジスタ26の直列回路は、電源線3と接地線4との間に接続されている。駆動トランジスタ26は、
図1等におけるトランジスタ103に対応し、発光素子22は、
図1等における発光素子150に対応する。駆動トランジスタ26のゲート-ソース間に印加される電圧によって、発光素子22に流れる電流が決定され、発光素子22は、発光素子22に流れる電流に応じた輝度で発光する。
【0062】
選択トランジスタ24は、駆動トランジスタ26のゲート電極と信号線8との間に主電極を介して接続されている。選択トランジスタ24のゲート電極は、走査線6に接続されている。駆動トランジスタ26のゲート電極と接地線4との間には、キャパシタ28が接続されている。
【0063】
行選択回路5は、m行のサブピクセル20の配列から、1行を選択して走査線6に選択信号を供給する。信号電圧出力回路7は、選択された行の各サブピクセル20に必要なアナログ電圧値を有する信号電圧を供給する。選択された行のサブピクセル20の駆動トランジスタ26のゲート-ソース間には、信号電圧が印加される。信号電圧は、キャパシタ28によって保持される。駆動トランジスタ26は、信号電圧に応じた電流を発光素子22に流す。発光素子22は、流れた電流に応じた輝度で発光する。
【0064】
行選択回路5は、選択する行を順次切り替えて選択信号を供給する。つまり、行選択回路5は、サブピクセル20が配列された行を走査する。順次走査されたサブピクセル20の発光素子22には、信号電圧に応じた電流が流れて発光する。RGB各色のサブピクセル20が発光する発光色および輝度によって決定された発光色および輝度で各ピクセル10が発光して表示領域2に画像が表示される。
【0065】
図4は、本実施形態の画像表示装置の一部を例示する模式的な平面図である。
本実施形態では、
図1において説明したように、発光素子22(150)と駆動トランジスタ26(103)が、Z軸方向に積層されており、ビア161dによって、発光素子22(150)のカソード電極と駆動トランジスタ26(103)のドレイン電極とを電気的に接続している。
【0066】
図4の上部には、第I層の平面図が模式的に表示され、下部には、第II層の平面図が模式的に表示されている。
図4では、第I層を“I”と表記し、第2層を“II”と表記している。第I層は、発光素子22(150)が形成された層である。すなわち、第I層は、
図1において、バッファ層140からZ軸の正方向に、第2の配線層160までの層を含んでいる。
図4では、バッファ層140および第2の層間絶縁膜156は示されていない。第II層は、
図1において、基板102からZ軸の正方向に、第1の層間絶縁膜112までの層を含んでいる。
図4では、基板102、絶縁層105、絶縁膜108および第1の層間絶縁膜112は示されていない。この図では、素子形成領域104としてチャネル領域104cが示されている。
【0067】
図1の断面は、第I層および第II層それぞれに一点鎖線で示した箇所のAA’線の矢視断面である。
【0068】
図4に示すように、発光素子150のカソード電極となるn形半導体層151には、ビア161k(
図1)およびそのコンタクトホール161k1を介して、配線160kが接続されている。配線160kは、第2の層間絶縁膜156に設けられたコンタクトホール161d1を介してビア161dの一端に接続されている。ビア161dは、図上、二点鎖線で模式的に示されている。
【0069】
ビア161dの他端は、第1の層間絶縁膜112に設けられたコンタクトホール161d2を介して、配線110dに接続されている。配線110dは、絶縁膜108に開口されたコンタクトホール111c1を介して、ビア111d(
図1)に接続され、トランジスタ103のドレイン電極に接続される。このようにして、層間絶縁膜156,112を貫通するビア161dによって、異なる層である第I層および第II層にそれぞれ形成された発光素子150およびトランジスタ103を電気的に接続することができる。
【0070】
配線110sによって、発光素子150の発光を遮光する配置について、
図4を用いて説明する。
配線110sは、遮光部110s1を有する。遮光部(部分)110s1は、X軸方向の長さL2およびY軸方向の長さW2を有する長方形状の部分である。遮光部110s1は、発光素子150の直下に設けられている。発光素子150は、X軸方向の長さL1およびY軸方向の長さW1を有する長方形の底面を有する。
【0071】
各部の長さは、L2>L1、W2>W1となるように設定されている。遮光部110s1は、発光素子150の直下に設けられているので、遮光部110s1の外周は、発光素子150の外周を含んでいることになる。遮光部110s1の外周が発光素子150の外周を含んでいればよく、遮光部110s1の形状は、方形である場合に限らず適切な任意の形状とすることができる。
【0072】
発光素子150は、上方に向かって発光するとともに、下方に向かう発光や、層間絶縁膜112と表面樹脂層170との界面での反射光や散乱光等が存在する。したがって、好ましくは、遮光部110s1の外周は、XY平面視で遮光部110s1に投影された発光素子150の外周を含むように設定される。このように遮光部110s1が設定されることによって、発光素子150の下方への光の到達を抑制して、回路素子への光の影響を軽減することができる。
【0073】
本実施形態の画像表示装置1の製造方法について説明する。
図5A~
図6Cは、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図5Aに示すように、半導体成長基板1194を準備する。半導体成長基板1194は、結晶成長用基板(第1基板)1001上に成長させた半導体層1150を有する。結晶成長用基板1001は、たとえばSi基板やサファイア基板等である。好ましくは、Si基板が用いられる。
【0074】
この例では、結晶成長用基板1001の一方の面には、バッファ層1140が形成されている。バッファ層(緩衝層)1140は、AlN等のナイトライドが好適に用いられる。バッファ層1140は、GaNをエピタキシャル成長させるときに、GaNの結晶と結晶成長用基板1001との界面での不整合を緩和するために用いられる。
【0075】
半導体成長基板1194では、バッファ層1140上に、n形半導体層1151、発光層1152およびp形半導体層1153が、バッファ層1140側からこの順に積層される。半導体層1150の成長には、たとえば気相成長法(Chemical Vapor Deposition、CVD法)が用いられ、有機金属気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、MOCVD法)が好適に用いられる。半導体層1150は、たとえば、InXAlYGa1-X-YN(0≦X、0≦Y、X+Y<1)等である。
【0076】
図5Bに示すように、半導体層1150を形成した後、結晶成長用基板1001が設けられた側とは対向する側のp形半導体層1153の開放された面に支持基板1190が接着される。支持基板1190は、たとえばSiや石英等によって形成されている。その後、結晶成長用基板1001は、除去される。結晶成長用基板1001の除去には、たとえばレーザが用いられる。
【0077】
回路基板1100が準備される。回路基板(第2基板)1100は、サブピクセル20の構成について
図1等で説明した回路101を有する。
【0078】
図の矢印のように、回路基板1100の一方の面と、半導体層1150のバッファ層1140の面とを合わせて、両者を貼り合わせる。回路基板1100の貼り合わせ面は、配線層160上に形成された層間絶縁膜112の露出面である。
【0079】
2つの基板を貼り合わせるウェハボンディングでは、たとえば、2つの基板を加熱して熱圧着により2つの基板を貼り合わせる。加熱圧着する際に、低融点金属や低融点合金を用いてもよい。低融点金属は、たとえばSnやIn等であり、低融点合金は、たとえばZnやIn、Ga、Sn、Bi等を主成分とした合金とすることができる。
【0080】
ウェハボンディングでは、上述のほか、それぞれの基板の貼り合わせ面を化学機械研磨(Chemical Mechanical Polishing、CMP)等を用いて平坦化した上で、真空中で貼り合わせ面をプラズマ処理により清浄化して密着させるようにしてもよい。
【0081】
図5Cに示すように、ウェハボンディングにおいては、支持基板1190に半導体層1150を貼り付け、結晶成長用基板1001を除去した後に、バッファ層1140も除去してもよい。支持基板1190に支持された半導体層1150は、バッファ層1140が除去されて開放されたn形半導体層1151の面を、回路基板1100に貼り合わせる。あるいは、バッファ層1140を設けずに、半導体層1150を結晶成長させた半導体成長基板を用いてもよい。以下では、バッファ層1140を設けた状態でウェハボンディングした場合について説明するが、バッファ層1140を削除した場合も同様に製造することができる。
【0082】
図6Aおよび
図6Bに示すように、回路基板1100は、ウェハボンディングによってバッファ層1140を介して半導体層1150に接合される。半導体層1150は、発光素子150の形状に成形される。発光素子150の成形には、たとえばドライエッチングプロセスが用いられ、好適には、異方性プラズマエッチング(Reactive Ion Etching、RIE)が用いられる。
【0083】
図6Cに示すように、発光素子150を覆って層間絶縁膜が形成される。層間絶縁膜には、ビアホールが形成される。その後、ビアホールに導電性の金属材料が充填される。ビアホールの形成にはウェットエッチングまたはドライエッチングいずれかを用いることができる。
【0084】
その後、スパッタ等によって、ビアホール内に導電層を形成し、フォトリソグラフィによって配線層160を形成する。ビアホールを形成した後、ビアおよび配線層を同時に形成するようにしてもよい。
【0085】
サブピクセル20以外の回路の一部は、回路基板100中に形成されている。たとえば行選択回路5(
図3)は、駆動トランジスタや選択トランジスタ等とともに、回路基板100中に形成されることができる。つまり、行選択回路5は、上述の製造工程によって同時に組み込まれている場合がある。一方、信号電圧出力回路7は、CPUや他の回路要素とともに別の基板に実装され、たとえば後述するカラーフィルタの組み込みの前に、あるいは、カラーフィルタの組み込みの後に、回路基板100の配線と相互に接続される。
【0086】
好ましくは、回路基板1100は、回路101を含むウェハである。回路基板1100には、1つまたは複数の画像表示装置のための回路101が形成されている。あるいは、より大きな画面サイズ等の場合には、1つの画像表示装置を構成するための回路101が複数の回路基板1100に分割されて形成されており、分割された回路のすべてを組み合わせて、1つの画像表示装置を構成するようにしてもよい。
【0087】
また、好ましくは、結晶成長用基板1001は、ウェハ状の回路基板1100と同じ大きさのウェハである。あるいは、1つの回路基板1100に複数の結晶成長用基板1001に形成された半導体層1150を接合するようにしてもよい。
【0088】
図7Aおよび
図7Bは、本実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図7Aおよび
図7Bは、
図2Aのサブピクセル20aを形成するための製造工程を示している。本変形例では、第2の層間絶縁膜256(156)を形成するまでは、第1の実施形態の場合と同一の工程を有している。以下では、
図6Bまたは
図6Cの工程以降に
図7A、
図7Bの工程が実行されるものとして説明する。
【0089】
図7Aに示すように、第2の層間絶縁膜256(156)をエッチングにより開口158を形成し、p形半導体層153の面を露出させる。エッチングは、ウェットエッチングでもよいし、ドライエッチングでもよい。
【0090】
その後、露出されたp形半導体層153の発光面153Sは、発光効率を向上させるために粗面化される。
【0091】
図7Bに示すように、開口158を含めて配線層を成膜し、フォトリソグラフィによって各配線160a1,160kを形成する。配線160a1は、露出されたp形半導体層153の発光面153Sに接続されるように形成される。
【0092】
このようにして、変形例のサブピクセル20aが形成される。
【0093】
図8Aおよび
図8Bは、本実施形態の画像表示装置の1つの変形例の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図8Aおよび
図8Bは、
図2Bのサブピクセル20bを形成するための製造工程を示している。本変形例では、開口158を形成するまでは、上述の変形例の場合と同一の工程を有している。したがって、以下では、
図7A以降に、
図8A、
図8Bの工程が実行されるものとして説明する。
【0094】
図8Aに示すように、p形半導体層153の発光面153Sを露出するように開口158を形成した後、各配線160a2,160kを形成する。配線160a2は、p形半導体層153の発光面153Sに接続されていない。
【0095】
図8Bに示すように、配線層160、第2の層間絶縁膜256(156)およびp形半導体層153の発光面153Sを覆う透明導電膜を形成する。透明導電膜は、ITO膜やZnO膜等が好適に用いられる。フォトリソグラフィにより、必要な透明電極159a,159kが形成される。透明電極159aは、配線160a2上に形成されるとともに、p形半導体層153の発光面153S上にも形成されている。したがって、配線160a2およびp形半導体層153は、電気的に接続される。好ましくは、透明電極159aは、露出されている発光面153Sの全面を覆うように設けられ、発光面153Sに接続されている。
【0096】
このようにして、変形例のサブピクセル20bが形成される。
【0097】
図9は、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
なお、
図9では、煩雑さを避けるために、回路基板100内や層間絶縁膜112,156内等の配線等については、表示が省略されている。また、
図9には、カラーフィルタ180等の色変換部材の一部が表示されている。ここでは、バッファ層140、発光素子150、ビア161k,161d、配線層160、層間絶縁膜156および表面樹脂層170を含む構造物を発光回路部172と呼ぶ。また、回路基板100上に発光回路部172を設けた構造物を構造体1192と呼ぶ。
【0098】
図9に示すように、カラーフィルタ180は、一方の面で構造体1192に接着される。カラーフィルタ180の他方の面は、ガラス基板186に接着されている。カラーフィルタ180の一方の面には、透明薄膜接着層188が設けられており、透明薄膜接着層188を介して、構造体1192の発光回路部172の側の面に接着される。
【0099】
カラーフィルタ180は、この例では、赤色、緑色、青色の順にX軸の正方向に色変換部が配列されている。赤色および緑色については、1層目に赤色の色変換層183Rおよび緑色の色変換層183Gがそれぞれ設けられており、2層目にフィルタ層184がそれぞれ設けられている。青色については、単層の色変換層183Bが設けられている。各色変換部の間には、遮光部181が設けられている。
【0100】
各色の色変換層183R,183G,183Bの位置を発光素子150の位置に合わせて、カラーフィルタ180は、構造体1192に貼り付けられる。
【0101】
図10A~
図10Dは、本実施形態の画像表示装置の変形例の製造方法を示す模式的な断面図である。
図10A~
図10Dには、カラーフィルタをインクジェットで形成する方法が示されている。
【0102】
図10Aに示すように、回路基板100に発光回路部172が貼り付けられた構造体1192が準備される。
【0103】
図10Bに示すように、構造体1192上に遮光部181aが形成される。遮光部181aは、たとえばスクリーン印刷やフォトリソグラフィ技術等を用いて形成される。
【0104】
図10Cに示すように、発光色に応じた蛍光体183aは、インクジェットノズルから噴出される。蛍光体183aは、遮光部181aが形成されていない領域を着色する。蛍光体183aは、たとえば一般的な蛍光体材料や量子ドット蛍光体材料を用いた蛍光塗料が用いられる。量子ドット蛍光体材料を用いた場合には、各発光色を実現できるとともに、単色性が高く、色再現性を高くできるので好ましい。インクジェットノズルによる描画の後、適切な温度および時間で乾燥処理を行う。着色時の塗膜の厚さは、遮光部181aの厚さよりも薄く設定されている。
【0105】
すでに説明したように、青色発光のサブピクセルについては、色変換部を形成しない場合があるので、蛍光体は噴出されない。また、青色発光のサブピクセルについて、青色の色変換層を形成する場合には、色変換部は1層でよいので、好ましくは、青色の蛍光体の塗膜の厚さは、遮光部181aの厚さと同じ程度とされる。
【0106】
図10Dに示すように、フィルタ層のための塗料184aは、インクジェットノズルから噴出される。塗料184aは、蛍光体183aの塗膜に重ねて塗布される。蛍光体183aおよび塗料184aの塗膜の合計の厚さは、遮光部181aの厚さと同じ程度とされる。
【0107】
このようにして、画像表示装置1を製造することができる。
【0108】
本実施形態の画像表示装置1の効果について説明する。
本実施形態の画像表示装置1の製造方法では、発光素子150を駆動するトランジスタ103等の回路素子を含む回路基板1100(100)に、発光素子150のための発光層1152を含む半導体層1150を貼り合わせる。その後、半導体層1150をエッチングして発光素子150を形成する。そのため、回路基板1100(100)に個片化された発光素子を個々に転写するのに比べて、発光素子を転写する工程を著しく短縮することができる。
【0109】
たとえば、4K画質の画像表示装置では、サブピクセルの数は2400万個を超え、8K画質の画像表示装置の場合には、サブピクセルの数は9900万個を超える。これだけ大量の発光素子を個々に回路基板に実装するのでは、膨大な時間を要することとなり、マイクロLEDによる画像表示装置を現実的なコストで実現することは困難である。また、大量の発光素子を個々に実装したのでは、実装時の接続不良等による歩留りが低下し、さらなるコスト上昇が避けられない。
【0110】
これに対して、本実施形態の画像表示装置1の製造方法では、半導体層1150を個片化する前に、半導体層1150全体を回路基板1100(100)に貼り付けるので、転写工程が1回で完了する。
【0111】
回路基板上で、エッチング等により発光素子を直接形成した後に、発光素子と、回路基板1100(100)内の回路素子とを、ビア形成により電気的に接続するので、均一な接続構造を実現することができ、歩留りの低下を抑制することができる。
【0112】
さらに、半導体層1150をあらかじめ個片化したり、回路素子に対応した位置に電極を形成したりすることなく、ウェハレベルで回路基板1100(100)に貼り付けるので、アライメントをとる必要がない。そのため、貼り付け工程を短時間で容易に行うことが可能になる。貼り付け時にアライメントをとる必要がないので、発光素子150の小型化も容易であり、高精細化されたディスプレイに好適である。
【0113】
(第2の実施形態)
図11は、本実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
本実施形態では、発光素子250の構成および発光素子250を駆動するトランジスタ203の構成が上述の他の実施形態の場合と相違する。上述の他の実施形態の場合と同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0114】
図11に示すように、本実施形態の画像表示装置のサブピクセル220は、トランジスタ203と、発光素子250と、を含む。トランジスタ203は、基板102に形成された素子形成領域204に形成されている。素子形成領域204は、n形半導体領域204bとp形半導体領域204s,204dとを含む。n形半導体領域204bは、基板102の表面付近に設けられている。p形半導体領域204s,204dは、n形半導体領域204b内でn形半導体領域204bの表面付近に互いに離隔して設けられている。
【0115】
絶縁層105を介して、n形半導体領域204bの上にゲート107が設けられている。ゲート107は、p形半導体領域204s,204dの間に設けられている。
【0116】
トランジスタ203の上部の構造および配線の構造は、上述した他の実施形態の場合と同じである。本実施形態では、トランジスタ203は、pチャネルMOSFETである。
【0117】
発光素子250は、p形半導体層(第1半導体層)253と、発光層252と、n形半導体層(第2半導体層)251と、を含む。p形半導体層253、発光層252およびn形半導体層251は、回路基板100の第1の層間絶縁膜112から発光面251Sに向かってこの順に積層されている。発光素子250は、XY平面視で、たとえば、ほぼ正方形または長方形状をなしているが、角部は丸くなっていてもよい。発光素子250はXY平面視で、たとえば楕円形状や円形状を有していてもよい。平面視での発光素子の形状や配置等を適切に選定することによって、レイアウトの自由度が向上する。p形半導体層253は、この例では、第1の層間絶縁膜112上をX軸方向に延伸する段差部253aを有する。
【0118】
発光素子250は、上述の他の実施形態の場合と同じ材料でよい。発光素子250は、たとえば467nm±20nm程度の青色光あるいは410nm±20nmの波長の青紫色光を発光する。
【0119】
本実施形態では、発光素子250は、バッファ層を介することなく、層間絶縁膜(第1絶縁膜)112上に設けられている。
【0120】
第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)256は、第1の層間絶縁膜112および発光素子250を覆っている。第2の層間絶縁膜256は、開口258を有している。開口258は、発光素子250上に形成されており、層間絶縁膜256は、発光素子250の発光面251S上に設けられていない。層間絶縁膜256は、発光素子250が発光する光を反射して開口258から効果的に出力されるように、白色樹脂が好適に用いられる。
【0121】
発光面251Sは、n形半導体層251の面のうち発光層252に接する面に対向する面である。発光面251Sは、粗面化されている。
【0122】
層間絶縁膜256を貫通して、ビア(第2ビア)261aが設けられている。ビア261aの一端は、段差部253aに接続されている。
【0123】
ビア(第1ビア)161dは、層間絶縁膜112,256を貫通して設けられている。ビア161dの一端は、配線110dに接続されている。
【0124】
配線層260は、層間絶縁膜256上に設けられている。配線層260は、配線260k,260aを含む。配線260aは、ビア261a,161dの他端に接続されている。したがって、発光素子250のp形半導体層253は、ビア261a,161dを介して、トランジスタ203の主電極に電気的に接続される。
【0125】
配線260kは、図示しないが、接地線に接続されている。配線260k上には、透明電極259kが設けられている。透明電極259kは、発光面251Sまで延伸しており、発光面251Sの全面にわたって設けられている。したがって、n形半導体層251は、透明電極259kおよび配線260kを介して、接地線に接続されている。
【0126】
配線260a上にも透明電極259aが配設されている。
【0127】
層間絶縁膜256および透明電極259k,259a上には、表面樹脂層170が設けられている。
【0128】
図12は、本実施形態に係る画像表示装置を例示する模式的なブロック図である。
図12に示すように、本実施形態の画像表示装置201は、表示領域2、行選択回路205および信号電圧出力回路207を備える。表示領域2には、上述の他の実施形態の場合と同様に、たとえばサブピクセル220が格子状に配列されている。
【0129】
本実施形態では、発光素子222が接地線4側に設けられており、発光素子222に直列に接続された駆動トランジスタ226は、電源線3側に設けられている。つまり、駆動トランジスタ226は、発光素子222よりも高電位側に接続されている。駆動トランジスタ226は、pチャネルMOSFETである。
【0130】
駆動トランジスタ226のゲート電極と信号線208との間には、選択トランジスタ224が接続されている。キャパシタ228は、駆動トランジスタ226のゲート電極と電源線3との間に接続されている。
【0131】
行選択回路205および信号電圧出力回路207は、pチャネルMOSFETである駆動トランジスタ226を駆動するために、上述の他の実施形態と異なる極性の選択信号および信号電圧を、走査線206および信号線208に供給する。
【0132】
本実施形態では、駆動トランジスタ226の極性がpチャネルであることから、選択信号および信号電圧の極性等が上述の他の実施形態の場合と相違する。すなわち、行選択回路205は、m行のサブピクセル220の配列から、順次1行を選択するように走査線206に選択信号を供給する。信号電圧出力回路207は、選択された行の各サブピクセル220に必要なアナログ電圧値を有する信号電圧を供給する。選択された行のサブピクセル220の駆動トランジスタ226は、信号電圧に応じた電流を発光素子222に流す。発光素子222は、流れた電流に応じた輝度で発光する。
【0133】
本実施形態の画像表示装置201の製造方法について説明する。
図13A~
図14Bは、本実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
本実施形態では、
図5Aにおいてすでに説明した半導体成長基板1194を用いる。以下では、結晶成長用基板1001上にバッファ層1140を介してエピタキシャル成長された半導体層1150を有する半導体成長基板1194を準備した以降の工程について説明する。
【0134】
図13Aに示すように、本実施形態では、半導体成長基板1194から結晶成長用基板1001を除去せずに、半導体成長基板1194の上下を反転させて、回路基板1100に貼り付ける。つまり、結晶成長用基板1001とは反対側のp形半導体層1153の露出面を、図の矢印で示したように、回路基板1100の層間絶縁膜112の平坦化された面にウェハボンディングによって貼り付ける。ウェハボンディングは、上述の他の実施形態の場合と同様に行うことができる。
【0135】
図13Bに示すように、レーザ照射等によって、結晶成長用基板1001は除去される。
【0136】
図14Aに示すように、半導体層1150をバッファ層1140とともに、エッチングして発光素子250を形成する。発光素子250上には、バッファ層240が残るので、さらにエッチングして、バッファ層240は除去される。バッファ層240は、発光素子250を形成する前に除去されてもよい。
【0137】
図14Bに示すように、第1の層間絶縁膜112および発光素子250を覆う第2の層間絶縁膜256が形成される。その後、第2の層間絶縁膜256を貫通するようにビアホールが形成される。導電性の金属材料がビアホールに充填される。
【0138】
第2の層間絶縁膜256には、開口258が形成され、n形半導体層251の発光面251Sを露出させる。開口258は、ウェットまたはドライいずれかのエッチング法により形成される。
【0139】
その後、露出されたn形半導体層251の発光面251Sは、発光効率を向上させるために粗面化される。
【0140】
開口258を含めて配線層を成膜し、フォトリソグラフィによって各配線260k,260aを形成する。配線260aは、ビア261a,161dに接続される。配線260kは、図示しない接地線に接続される。
【0141】
その後、配線260a,260k上に透明電極259a,259kがそれぞれ設けられる。透明電極259kは、発光面251Sまで延伸されて設けられる。透明電極259kは、発光面251Sの全面にわたって設けられる。したがって、n形半導体層251は、透明電極259kおよび配線260kを介して接地線4に接続される。
【0142】
図15は、本実施形態の画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
図15に示すように、この変形例では、透明電極を用いずに配線と発光面との電気的接続をとる。サブピクセル220aでは、配線260k1は、透明電極を介さずに直接n形半導体層251に接続されるようにパターニングされる。
【0143】
本実施形態では、発光効率の観点から、n形半導体層の発光面を粗面化することが好ましいが、第1の実施形態の場合のように、粗面化せずに透明な層間絶縁膜156を介して発光させるようにしてもよい。
【0144】
本実施形態の画像表示装置201の効果について説明する。
本実施形態においても、上述の他の実施形態の場合と同様の効果を有する。すなわち、回路基板1100に半導体層1150を貼り合わせた後、個別の発光素子250をエッチングにより形成するので、発光素子の転写工程を著しく短縮することができる。
【0145】
上述の他の実施形態の場合の効果に加えて、本実施形態では、n形半導体層251を発光面251Sとすることによって、より容易に粗面化することができ、発光面251Sに配線260k1を接続することによって、発光効率の高いサブピクセルを形成することができる。
【0146】
(第3の実施形態)
本実施形態では、発光層を含む単一の半導体層に、複数の発光素子に相当する複数の発光面を形成することによって、より発光効率の高い画像表示装置を実現する。以下の説明では、上述の他の実施形態の場合と同一の構成要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
図16は、本実施形態に係る画像表示装置の一部を例示する模式的な断面図である。
図16に示すように、画像表示装置は、サブピクセル群320を備える。サブピクセル群320は、トランジスタ103-1,103-2と、第1の配線層310と、第1の層間絶縁膜112と、半導体層350と、第2の層間絶縁膜356と、第2の配線層360と、ビア361d1,361d2と、を含む。
【0147】
半導体層350は、2つの発光面351S1,351S2を含んでおり、サブピクセル群320が実質的2つのサブピクセルを含む。本実施形態では、上述の他の実施形態の場合と同様に、実質的に2つのサブピクセルを含むサブピクセル群320が格子状に配列されることによって、表示領域が形成される。
【0148】
トランジスタ103-1,103-2は、素子形成領域104-1,104-2にそれぞれ形成されている。この例では、素子形成領域104-1,104-2は、n形の半導体層であり、n形の半導体層に離隔してp形の半導体層が形成されている。n形の半導体層はチャネル領域を含んでおり、p形の半導体層は、ソース領域およびドレイン領域をそれぞれ含んでいる。
【0149】
素子形成領域104-1,104-2上には、絶縁層105が形成され、絶縁層105を介して、ゲート107-1,107-2がそれぞれ形成されている。ゲート107-1,107-2は、トランジスタ103-1,103-2のゲートである。この例では、トランジスタ103-1,103-2は、pチャネルMOSFETである。
【0150】
2つのトランジスタ103-1,103-2上には、絶縁膜108が覆っている。絶縁膜108上に配線層(第1配線層)310が形成されている。
【0151】
トランジスタ(第1トランジスタ)103-1のp形の半導体層と配線層310との間には、ビア111s1,111d1がそれぞれ設けられている。トランジスタ(第2トランジスタ)103-2のp形の半導体層と配線層310との間には、ビア111s2,111d2が設けられている。
【0152】
第1の配線層310は、配線310s,310d1,310d2を含む。配線310sは、ビア111s1,111s2を介して、トランジスタ103-1,103-2のソース電極に対応するp形の半導体層に電気的に接続されている。配線310sは、図示しないが、電源線に接続される。
【0153】
配線310d1は、ビア111d1を介して、トランジスタ103-1のドレイン電極に対応するp形の半導体層に接続されている。配線310d2は、ビア111d2を介して、トランジスタ103-2のドレイン電極に接続されている。
【0154】
第1の層間絶縁膜(第1絶縁膜)112は、トランジスタ103-1,103-2および配線層310を覆っている。半導体層350は、層間絶縁膜112の上方に設けられている。単一の半導体層350は、X軸方向に沿って配置された2つの駆動用のトランジスタ103-1,103-2の間に設けられている。
【0155】
半導体層350は、p形半導体層(第1半導体層)353と、発光層352と、n形半導体層(第2半導体層)351と、を含む。半導体層350は、層間絶縁膜112の側から発光面351S1,351S2に向かって、p形半導体層353、発光層352およびn形半導体層351の順に積層されている。p形半導体層353は、段差部353a1,353a2を有する。段差部353a1はトランジスタ103-1の側に設けられており、段差部353a2はトランジスタ103-2の側に設けられている。
【0156】
第2の層間絶縁膜(第2絶縁膜)356は、第1の層間絶縁膜112および半導体層350上を覆っている。層間絶縁膜356は、半導体層350の一部を覆っている。好ましくは、層間絶縁膜356は、半導体層350の発光面(露出面)351S1,351S2を除き、n形半導体層351の面を覆っている。層間絶縁膜356は、半導体層350の側面および段差部353a1,353a2を覆っている。層間絶縁膜356は、好ましくは白色樹脂である。
【0157】
半導体層350のうち層間絶縁膜356で覆われていない部分は、透明電極359kが覆っている。透明電極359kは、層間絶縁膜356の開口358-1,358-2からそれぞれ露出されたn形半導体層351の発光面351S1,351S2上に設けられている。透明電極359kは、n形半導体層351に電気的に接続されている。
【0158】
ビア361a1,361a2は、層間絶縁膜356を貫通して設けられている。ビア361a1,361a2の一端は、段差部353a1,353a2にそれぞれ接続されている。
【0159】
ビア361d1,361d2は、層間絶縁膜356,112を貫通して設けられている。ビア361d1,361d2の一端は、配線310d1,310d2にそれぞれ接続されている。
【0160】
第2の配線層(第2配線層)360は、層間絶縁膜356上に設けられている。配線層360は、配線360a1,360a2を含む。ビア(第1ビア)361d1は、配線(第1配線)310d1と配線(第2配線)360a1との間に設けられている。ビア(第2ビア)361d2は、配線(第3配線)310d2と配線(第4配線)360a2との間に設けられている。
【0161】
配線360a1は、ビア361a1を介してp形半導体層353に接続されている。配線360a2は、ビア361a2を介して、p形半導体層353に接続されている。したがって、p形半導体層353は、配線360a1、ビア361d1および配線310d1を介してトランジスタ103-1のドレイン電極に接続される。p形半導体層353は、配線360a2、ビア361d2および配線310d2を介してトランジスタ103-2のドレイン電極に接続される。
【0162】
配線層360は、配線360kを含む。配線360k上には、透明電極359kが設けられており、配線360kと透明電極359kとは電気的に接続されている。透明電極359kは、開口358-1,358-2に延伸されている。透明電極359kは、開口358-1,358-2からそれぞれ露出された発光面351S1,351S2の全面にわたって設けられ、電気的に接続されている。配線360a1,360a2上にも、透明電極359a1,359a2がそれぞれ設けられており、相互に電気的に接続されている。
【0163】
開口358-1は、配線360a1,360kの間に設けられている。開口358-2は、配線360k,360a2の間に設けられている。配線360kは、この例では、開口358-1,358-2の間に設けられている。開口358-1,358-2は、XY平面視で、たとえば正方形または長方形状である。方形に限らず、円形、楕円形あるいは六角形等の多角形であってもよい。発光面351S1,351S2もXY平面視で、正方形や長方形、その他の多角形や円形等である。発光面351S1,351S2の形状は、開口358-1,358-2の形状と相似であってもよいし、異なる形状としてもよい。
【0164】
上述したように、開口358-1,358-2から露出されている発光面351S1,351S2には、それぞれ透明電極359kが接続されている。そのため、透明電極359kから供給された電子は、露出された発光面351S1,351S2からn形半導体層351に注入される。一方、p形半導体層353には、配線360a1、ビア361d1および配線310d1を介して、トランジスタ103-1から正孔が注入される。また、p形半導体層353には、配線360a2、ビア361d2および配線310d2を介して、トランジスタ103-2から正孔が注入される。
【0165】
トランジスタ103-1,103-2は、隣接するサブピクセルの駆動トランジスタであり、順次駆動される。したがって、2つのトランジスタ103-1,103-2のいずれか一方から注入された正孔が発光層352に注入され、配線360kから注入された電子が発光層352に注入されて、発光する。
【0166】
ここで、開口358-1は、配線360kと配線360a1との間に設けられているので、トランジスタ103-1がオンしたときには、開口358-1から露出された発光面351S1から発光する。一方、開口358-2は、配線360kと配線360a2との間に設けられているので、トランジスタ103-2がオンしたときに、開口358-2から露出された発光面351S2から発光する。
【0167】
本実施形態の画像表示装置の製造方法について説明する。
図17A~
図18Bは、実施形態の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
図17Aに示すように、半導体層1150がエピタキシャル成長された結晶成長用基板1001を含む半導体成長基板1194は、回路基板3100と、ウェハボンディングによって互いに接合される。結晶成長用基板1001上の半導体層1150等については、上述の他の実施形態の場合においてすでに説明した構造と同様であり、詳細な説明を省略する。また、回路基板3100についても、回路の構成が上述の他の実施形態の場合と相違するが、他のほとんどの部分ですでに説明した構造と同様である。以下では、符号のみを代えて、詳細な説明を適宜省略する。
【0168】
図17Bに示すように、この例では、半導体層1150は、結晶成長用基板1001のある面とは反対側の面が回路基板3100の層間絶縁膜112の平坦面に接合される。つまり、半導体層1150のp形半導体層1153の露出面が層間絶縁膜112に接合される。
【0169】
図18Aに示すように、半導体層1150は、エッチングされて、p形半導体層353の端部が形成される。p形半導体層353の端部は、ビア接続用の段差部353a1,353a2が形成されている。p形半導体層353の段差部以外の上には、発光層352およびn形半導体層351が形成される。
【0170】
その後、層間絶縁膜356および半導体層350を覆う層間絶縁膜が形成され、ビアが形成される。さらに配線層360が形成され、エッチングによって配線360a1,360k等が形成される。
【0171】
図18Bに示すように、配線360a1,360kの間の部分および配線360a2,360kの間の部分に開口358-1,358-2がそれぞれ形成される。開口358-1,358-2によって露出されたn形の半導体層の発光面351S1,351S2は、それぞれ粗面化される。その後、透明電極359a1,359a2,359kが形成される。
【0172】
このようにして、2つの発光面351S1,351S2部を共用する半導体層350を有するサブピクセルが形成される。
【0173】
本実施例では、1つの半導体層350に2つの発光面351S1,351S2を設けたが、発光面の数は2つに制限されることはなく、3つあるいはそれ以上の発光面を1つの半導体層350に設けることも可能である。一例として、1列あるいは2列分のサブピクセルを、単一の半導体層350で実現してもよい。これによって後述するように、発光面1つあたりの発光に寄与しない再結合電流を削減するとともに、より微細な発光素子を実現する効果を増大させることができる。
【0174】
(変形例)
図19は、本実施形態に係る画像表示装置の変形例の一部を例示する模式的な断面図である。
本変形例では、発光層352上に2つのn形半導体層3351a1,3351a2を設けた点で上述の第3の実施形態の場合と異なっている。他の点では、第3の実施形態の場合と同じである。
図19に示すように、本変形例の画像表示装置は、サブピクセル群320aを備える。サブピクセル群320aは、半導体層350aを含む。半導体層350aは、p形半導体層353と、発光層352と、n形半導体層3351a1,3351a2と、を含む。p形半導体層353、発光層352およびn形半導体層3351a1,3351a2は、層間絶縁膜356から発光面3351S1,3351S2に向かってこの順に積層されている。
【0175】
n形半導体層3351a1,3351a2は、発光層352上をX軸方向に沿って離隔して配置されている。n形半導体層3351a1,3351a2の間には、層間絶縁膜356が設けられ、n形半導体層3351a1,3351a2は、層間絶縁膜356によって分離されている。その層間絶縁膜356上には、配線360kが設けられている。
【0176】
n形半導体層3351a1,3351a2は、XY平面視で、ほぼ同一の形状を有しており、その形状は、ほぼ正方形または長方形状であり、他の多角形状や円形等であってもよい。
【0177】
n形半導体層3351a1,3351a2は、発光面3351S1,3351S2をそれぞれ有する。発光面3351S1,3351S2は、開口358-1,358-2によってそれぞれ露出されたn形半導体層3351a1,3351a2の面である。
【0178】
発光面3351S1,3351S2のXY平面視での形状は、第3の実施形態の場合の発光面の形状と同様に、ほぼ同一の形状を有し、ほぼ正方形等の形状を有する。発光面3351S1,3351S2の形状は、本実施形態のような方形に限らず、円形、楕円形あるいは六角形等の多角形であってもよい。発光面3351S1,3351S2の形状は、開口358-1,358-2の形状と相似であってもよいし、異なる形状としてもよい。
【0179】
発光面3351S1上には、透明電極359kが設けられている。発光面3351S2上にも透明電極359kが設けられている。透明電極359kは、配線360k上にも設けられており、発光面3351S1,3351S2に接続された透明電極359kを介して、n形半導体層3351a1,3351a2は、配線360kに接続されている。配線360kは、図示しないが、GND線に接続されている。
【0180】
図20Aおよび
図20Bは、本変形例の画像表示装置の製造方法を例示する模式的な断面図である。
本変形例では、半導体層1150を形成するまでは、第3の実施形態の場合に
図17A~
図18Aにおいて説明した工程と同様の工程が採用される。以下では、それ以降の工程について説明する。
【0181】
図20Aに示すように、本変形例では、バッファ層1140、n形半導体層1151、発光層1152およびp形半導体層1153をエッチングして、発光層352およびp形半導体層353を形成した後、さらにエッチングにより2つのn形半導体層3351a1,3351a2を形成する。2つのn形半導体層3351a1,3351a2上のバッファ層340aは、その後除去される。バッファ層340aは、利用する製造プロセスの状況に応じて、n形半導体層3351a1,3351a2のエッチングを行うよりも前に除去されてもよい。
【0182】
n形半導体層3351a1,3351a2は、さらに深いエッチングによって形成されてもよい。たとえば、n形半導体層3351a1,3351a2を形成するためのエッチングは、発光層352内やp形半導体層353内の深さに到達するまで行ってもよい。このように、n形半導体層を深くエッチングする場合には、n形半導体層351のエッチング位置は、後述するn形の半導体層の発光面3351S1,3351S2から1μm以上離すことが望ましい。エッチング位置を発光面3351S1,3351S2から離すことによって、再結合電流を抑制することができる。
【0183】
図20Bを示すように、層間絶縁膜112および半導体層3350aを覆う層間絶縁膜が形成され、その後ビアが形成される。さらに配線層360が形成され、エッチングによって配線360a1,360k等が形成される。
【0184】
層間絶縁膜に開口358-1,358-2がそれぞれ形成される。開口358-1,358-2によって露出されたn形の半導体層の発光面3351S1,3351S2は、それぞれ粗面化される。その後、透明電極359a1,359a2,359kが形成される。
【0185】
このようにして、2つの発光面3351S1,3351S2を有するサブピクセル群320aが形成される。
【0186】
本変形例の場合も、第3の実施形態の場合と同様に、発光面の数は2つに限定されることはなく、3つあるいはそれ以上の発光面を1つの半導体層3350に設けてもよい。
【0187】
本実施形態の画像表示装置の効果について説明する。
図21は、画素LEDの特性を例示するグラフである。
図21の縦軸は、発光効率[%]を表している。横軸は、画素LEDに流す電流の電流密度を相対値によって表している。
図21に示すように、電流密度の相対値が1.0より小さい領域では、画素LEDの発光効率は、ほぼ一定か、単調に増加する。電流密度の相対値が1.0よりも大きい領域では、発光効率は単調に減少する。つまり、画素LEDには、発光効率が最大になるような適切な電流密度が存在する。
【0188】
発光素子から十分な輝度が得られる程度に電流密度を抑制することによって、高効率な画像表示装置を実現することが期待される。しかしながら、低電流密度では、電流密度の低下とともに、発光効率が低下する傾向にあることが、
図21によって示されている。
【0189】
第1の実施形態や第2の実施形態において説明したように、発光素子は、発光層を含む半導体層1150の全層をエッチング等で個別に分離することによって形成される。このとき、発光層とn形の半導体層との接合面が端部に露出する。同様に、発光層とp形半導体層との接合面が端部に露出する。
【0190】
このような端部が存在する場合には、端部において電子および正孔が再結合する。一方で、このような再結合は、発光に寄与しない。端部での再結合は、発光素子に流す電流とはほとんど関係なく発生する。再結合は、端部の発光に寄与する接合面の長さに応じて発生するものと考えられる。
【0191】
同一寸法の立方体形状の発光素子を2個発光させる場合には、端部は、発光素子ごとに四方に形成されるため、合計8つの端部において再結合が発生し得る。
【0192】
これに対して、本実施形態では、2つの発光面を有する半導体層350,350a,3350aでは、端部は4つである。開口358-1,358-2の間の領域は、電子や正孔の注入が少なく、発光にほとんど寄与しないので、発光に寄与する端部としては、6個となると考えることができる。このように、本実施形態では、端部の数が実質的に低減されることによって、発光に寄与しない再結合を低減し、その分、駆動電流を引き下げることが可能になる。
【0193】
高精細化等のために、サブピクセル間の距離を短縮するような場合や電流密度が比較的高い場合等には、第3の実施形態のサブピクセル群320では、発光面351S1,351S2の距離が短くなる。この場合に、n形半導体層351が共有されていると、隣接する発光面の側に注入された電子の一部が分流して、駆動されていない側の発光面が微発光するおそれがある。変形例では、n形半導体層を発光面ごとに分離しているので、駆動されていない側の発光面に微発光を生じることを低減させることができる。
【0194】
本実施形態では、発光層を含む半導体層は、層間絶縁膜の側から、p形半導体層、発光層およびn形半導体層の順に積層するものであり、n形半導体層の露出面を粗面化して発光効率を向上させる観点からは好ましい。第1の実施形態の場合と同様に、p形半導体層とn形半導体層の積層順を代えて、n形半導体層、発光層およびp形半導体層の順に積層するようにしてもよい。
【0195】
(第4の実施形態)
上述した画像表示装置は、適切なピクセル数を有する画像表示モジュールとして、たとえばコンピュータ用ディスプレイ、テレビ、スマートフォンのような携帯用端末、あるいは、カーナビゲーション等とすることができる。
【0196】
図22は、本実施形態に係る画像表示装置を例示するブロック図である。
図22には、コンピュータ用ディスプレイの構成の主要な部分が示されている。
図22に示すように、画像表示装置401は、画像表示モジュール402を備える。画像表示モジュール402は、たとえば上述した第1の実施形態の場合の構成を備えた画像表示装置である。画像表示モジュール402は、サブピクセル20が配列された表示領域2、行選択回路5および信号電圧出力回路7を含む。
【0197】
画像表示装置401は、コントローラ470をさらに備えている。コントローラ470は、図示しないインタフェース回路によって分離、生成される制御信号を入力して、行選択回路5および信号電圧出力回路7に対して、各サブピクセルの駆動および駆動順序を制御する。
【0198】
(変形例)
図23は、本変形例の画像表示装置を例示するブロック図である。
図23には、高精細薄型テレビの構成が示されている。
図23に示すように、画像表示装置501は、画像表示モジュール502を備える。画像表示モジュール502は、たとえば上述した第1の実施形態の場合の構成を備えた画像表示装置1である。画像表示装置501は、コントローラ570およびフレームメモリ580を備える。コントローラ570は、バス540によって供給される制御信号にもとづいて、表示領域2の各サブピクセルの駆動順序を制御する。フレームメモリ580は、1フレーム分の表示データを格納し、円滑な動画再生等の処理のために用いられる。
【0199】
画像表示装置501は、I/O回路510を有する。I/O回路510は、外部の端末や装置等と接続するためのインタフェース回路等を提供する。I/O回路510には、たとえば外付けのハードディスク装置等を接続するUSBインタフェースや、オーディオインタフェース等が含まれる。
【0200】
画像表示装置501は、チューナ520および信号処理回路530を有する。チューナ520には、アンテナ522が接続され、アンテナ522によって受信された電波から必要な信号を分離、生成する。信号処理回路530は、DSP(Digital Signal Processor)やCPU(Central Processing Unit)等を含んでおり、チューナ520によって分離、生成された信号は、信号処理回路530によって、画像データや音声データ等に分離、生成される。
【0201】
チューナ520および信号処理回路530を、携帯電話の送受信用やWiFi用、GPS受信器等の高周波通信モジュールとすることによって、他の画像表示装置とすることもできる。たとえば、適切な画面サイズおよび解像度の画像表示モジュールを備えた画像表示装置は、スマートフォンやカーナビゲーションシステム等の携帯情報端末とすることができる。
【0202】
本実施形態の場合の画像表示モジュールは、第1の実施形態の場合の画像表示装置の構成に限らず、その変形例や他の実施形態の場合としてもよい。
【0203】
図24は、第1~第3の実施形態およびこれらの変形例の画像表示装置を模式的に例示する斜視図である。
図24に示すように、第1~第3の実施形態の画像表示装置は、上述したように、回路基板100上に、多数のサブピクセルを有する発光回路
部172が設けられている。発光回路部172上には、カラーフィルタ180が設けられている。なお、第6の実施形態においては、回路基板100、発光回路部172およびカラーフィルタ180を含む構造物は、画像表示モジュール402,502とされ、画像表示装置401,501に組み込まれている。
【0204】
以上説明した実施形態によれば、発光素子の転写工程を短縮し、歩留りを向上した画像表示装置の製造方法および画像表示装置を実現することができる。
【0205】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0206】
1,201,401,501 画像表示装置、2 表示領域、3 電源線、4 接地線、5,205 行選択回路、6,206 走査線、7,207 信号電圧出力回路、8 信号線、10 ピクセル、20,20a,20b,20c サブピクセル、22,222 発光素子、24,224 選択トランジスタ、26,226 駆動トランジスタ、28,228 キャパシタ、100 回路基板、101 回路、103,103-1,103-2 トランジスタ、104,104-1,104-2 素子形成領域、105 絶縁層、107,107-1,107-2 ゲート、108 絶縁膜、110,310 第1の配線層、112 第1の層間絶縁膜、140 バッファ層、150,250 発光素子、156,256,356 第2の層間絶縁膜、160,260,360 第2の配線層、161d,161k,261a,361a1,361a2,361d1,361d2 ビア、180 カラーフィルタ、320,320a サブピクセル群、470,570 コントローラ、1001 結晶成長用基板、1100,3100 回路基板、1140 バッファ層、1150 半導体層、1190 支持基板、1192 構造体、1194 半導体成長基板