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特許75075861-アクリロイルイミダゾリジン-2-オン化合物の重合体、及びそれを用いた細胞培養用材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】1-アクリロイルイミダゾリジン-2-オン化合物の重合体、及びそれを用いた細胞培養用材料
(51)【国際特許分類】
   C08F 293/00 20060101AFI20240621BHJP
   C08F 220/60 20060101ALI20240621BHJP
   C12N 5/0775 20100101ALI20240621BHJP
   C12N 5/071 20100101ALI20240621BHJP
【FI】
C08F293/00
C08F220/60
C12N5/0775
C12N5/071
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020059342
(22)【出願日】2020-03-30
(65)【公開番号】P2021038373
(43)【公開日】2021-03-11
【審査請求日】2023-02-15
(31)【優先権主張番号】P 2019155027
(32)【優先日】2019-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003300
【氏名又は名称】東ソー株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000173762
【氏名又は名称】公益財団法人相模中央化学研究所
(72)【発明者】
【氏名】秋山 映一
(72)【発明者】
【氏名】山崎 学
(72)【発明者】
【氏名】花村 仁嗣
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博之
(72)【発明者】
【氏名】今富 伸哉
(72)【発明者】
【氏名】平床 聖也
(72)【発明者】
【氏名】慈道 裕美子
【審査官】常見 優
(56)【参考文献】
【文献】特公平02-016333(JP,B2)
【文献】特開平07-102209(JP,A)
【文献】特開2021-031627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08F251/00-297/08
C08F 6/00-246/00
C08F301/00
C08C 19/00- 19/44
C12N 1/00- 7/08
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)
【化1】
(式中、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ベンジル基又は下記一般式(2)
【化2】
(式中、pは2~4の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、2-メトキシエチル基又はアセチル基を表す。)で示されるオキシアルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。)で示される繰り返し単位を有するブロック鎖と疎水性ブロック鎖と下記一般式(3)
【化3】
(式中、R は炭素数1~6のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、又はフェニルエチル基を表す。R は水素原子又はメチル基を表す。但し、R が水素原子であるとき、R はメチル基、エチル基、シクロヘキシル基又はベンジル基である。)で示される繰り返し単位を有する疎水性ブロック鎖とを含んでなる共重合体であり、かつ
上記一般式(1)で示される繰り返し単位を有するブロック鎖(m)と上記一般式(3)で示される繰り返し単位を有する疎水性ブロック鎖(n)との割合が、m/n=21/79~m/n=87/13である、前記共重合体。
【請求項2】
請求項に記載の共重合体を含んでなるコート剤。
【請求項3】
請求項に記載のコート剤を基材に塗布してなる細胞培養用材料。
【請求項4】
請求項に記載の細胞培養用材料を用いることを特徴とする細胞培養方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞培養用材料としての応用が期待される共重合体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、再生医療技術の開発が進み、骨芽細胞、脂肪細胞、筋細胞、軟骨細胞などへの分化能を有する間葉系幹細胞や、ヒトを構成するあらゆる組織や臓器に分化誘導することが可能とされる人工多能性幹細胞(iPS細胞)などを安全に大量に効率よく培養する技術が求められている。このような細胞培養用材料として容器の表面にN-イソプロピルアクリルアミド(NIPAAM)の重合体を固定化した培養床が開発されている。NIPAAMのホモポリマーの場合、下限臨界溶液温度(LCST)は体温近傍の32℃であり、例えば細胞培養温度(36℃程度)ではNIPAAMの重合体を固定化した培養床表面は疎水的で細胞の接着と増殖が起こり、培養床をLCSTより低い温度に制御すると培養床表面が親水的となって培養細胞が剥がれやすくなり、細胞へのダメージが少ない細胞回収が可能とされている(非特許文献1)。
【0003】
前記NIPAAMの重合体を固定化した培養床として、電子線照射によりNIPAAMをグラフト重合した培養床(セルシード社製UpCell)が市販されているが、大掛かりな電子線照射装置を必要とするため、大量生産には不向きであることが課題である。また、特許文献1では、水不溶性ポリマーセグメントと温度応答性ポリマーセグメントが結合した構造をとるブロックコポリマーを基材表面に被覆した基材を用いることで、電子線照射のような大掛かりな装置を必要せず温感応答性ポリマーを基材表面に固定化することが可能なことが示されている。しかし、特許文献1で開示されているブロックコポリマーは耐水性が不足しており、基材表面からの溶出が起こるという課題と、細胞剥離性が不十分であるという課題があった。更に該ブロックコポリマーの基材表面への固定化量が多いと細胞剥離性は良いものの、細胞の接着性が劣る。逆に固定化量が少ないと細胞接着性は良いものの、細胞剥離性が劣り、基材表面に固定化するNIPAAMの重合体の量が細胞培養床の性能を大きく左右する。
【0004】
このように前記NIPAAMの重合体を固定化した培養床は、安定した細胞の培養や回収効率の点で改善の余地が有り、NIPAAMの重合体に代わる温度応答性ポリマー材料、更にはこれを応用したブロックコポリマーが求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第5846584号
【非特許文献】
【0006】
【文献】高分子論文集,75巻(2号),174~186項(2018年)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、細胞培養用材料として好適な共重合体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明の一態様は、下記一般式(1)
【0009】
【化1】
【0010】
(式中、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ベンジル基又は下記一般式(2)
【0011】
【化2】
【0012】
(式中、pは2~4の整数を表し、Rは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、2-メトキシエチル基又はアセチル基を表す。)で示されるオキシアルキル基を表す。Rは水素原子又は炭素数1~4のアルキル基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。)で示される繰り返し単位を有するブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを含んでなる共重合体である。
【0013】
また、本発明の別態様は、前記疎水性ブロック鎖が下記一般式(3)
【0014】
【化3】
【0015】
(式中、Rは炭素数1~6のアルキル基、シクロヘキシル基、ベンジル基、又はフェニルエチル基を表す。Rは水素原子又はメチル基を表す。但し、Rが水素原子であるとき、Rはメチル基、エチル基、シクロヘキシル基又はベンジル基である。)で示される繰り返し単位を有するブロック鎖である共重合体である。
【0016】
更に、本発明の別態様は、上述した共重合体を含んでなるコート剤である。
【0017】
更に、本発明の別態様は、上述したコート剤を基材に塗布してなる細胞培養用材料である。
【0018】
更に、本発明の別態様は、上述した細胞培養用材料を用いた細胞培養方法である。
【0019】
以下に本発明を更に詳細に説明する。
【0020】
一般式(1)中のRの炭素数1~4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基をあげることができる。Rの炭素数1~4のアルキル基も同様である。
【0021】
一般式(2)中のRの炭素数1~4のアルキル基も同様である。
【0022】
共重合体を構成する一般式(1)で示される繰り返し単位を有するブロック鎖(以下、イミダゾリジノン・ブロック鎖ということがある)の化学構造は、重合の際用いるイミダゾリジノンモノマー(4)の化学構造によって自ずと決まるが、上述した置換基の範囲であれば、その組み合わせに特に制限はない。
【0023】
【化4】
【0024】
(式中、R、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
イミダゾリジノン・ブロック鎖の温度応答性や細胞の接着性/剥離性の制御の点で、1-アクリロイルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-メチルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-プロピルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-シクロプロピルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-ベンジルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-(3-メトキシプロピル)イミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-(4-メトキシブチル)イミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-(2-エトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-(2-プロピルオキシエチル)イミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-[2-(2-メトキシエトキシ)エチル]イミダゾリジン-2-オン及び1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オンを単独又は二種類以上重合して得られるブロック鎖が好ましく、中でも1-アクリロイルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-メチルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-ベンジルイミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン、1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オンを単独又は二種類以上重合して得られるブロック鎖が特に好ましい。
【0025】
イミダゾリジノン・ブロック鎖は一般式(1)で示される繰り返し単位を含有していればよいが、イミダゾリジンモノマーの他に、疎水性、親水性、溶解性、成膜性、耐熱性、膜の耐久性、基材との密着性、細胞の接着性などの微調整のためにアクリル酸、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルアクリレート、ブチルアクリレート、フェニルアクリレート、ベンジルアクリレート、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-メトキシエチルアクリレート、2-(N,N-ジメチルアミノ)エチルアクリレート、メタクリル酸、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、フェニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレート、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-メトキシエチルメタクリレート、2-メタクリロイルオキシエチルホスホリルコリン、アクリルアミド、N,N-ジメチルアクリルアミド、N,N-ジエチルアクリルアミド、N-イソプロピルアクリルアミド、N-tert-ブチルアクリルアミド、N-フェニルアクリルアミド、N-ヒドロキシメチルアクリルアミド、N-ヒドロキシエチルアクリルアミド、N-ブトキシメチルアクリルアミド、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド、N’-[3-(N,N-ジメチルアミノ)プロピル]アクリルアミド、アクリロイルモルホリン、N-メチルメタクリルアミド、N,N-ジメチルメタクリルアミド、N-イソプロピルメタクリルアミド、N-tert-ブチルメタクリルアミド、N-フェニルメタクリルアミド、N-メトキシメチルメタクリルアミド、ビニルアセテート、スチレン、クロロメチルスチレン、2-ビニルピリジン、アクリロニトリルなどの少量のビニル系モノマーを共存させてあっても良い。イミダゾリジンモノマー由来の性質を大きく損ねないため、ビニル系モノマーの添加量はイミダゾリジンモノマーに対し、10重量%以下であることが好ましく、5重量%以下であることが更に好ましい。
【0026】
疎水性ブロック鎖とは、その疎水性ブロック鎖のみからなるポリマーが水への溶解性を示さない、若しくは溶解性が著しく低いものを指し、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルエーテル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、ポリ(メタ)アクリルアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリフェニレンオキシド、ポリシロキサン、ポリシルアリーレンシロキサンや、これらの誘導体などを例示することが出来る。中でも成膜性や細胞の接着性の点から、該疎水性ブロック鎖のみからなるポリマーの融点若しくはガラス転移温度の少なくとも何れか一方は15℃以上である疎水性ブロック鎖が好ましい。
【0027】
疎水性ブロック鎖として、一般式(3)で示される繰り返し単位を有するブロック鎖は共重合体の構造制御が容易な点で好ましく、一般式(3)中のRの炭素数1~6のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、シクロブチル基、ペンチル基、ネオペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、1-メチルブチル基、1-エチルプロピル基、シクロブチルメチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、1-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、1-エチルブチル基、2-エチルブチル基、シクロヘキシル基をあげることができ、溶解性、製膜性及び細胞の接着性/剥離性の制御の点で、具体的にはメチルアクリレート、エチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、sec-ブチルメタクリレート、tert-ブチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、2-フェニルエチルメタクリレートを単独又は二種類以上重合して得られるブロック鎖が好ましい。
【0028】
共重合体の形態としては、線状ブロック共重合体、分岐状ブロック共重合体、星形ブロック共重合体、グラフト共重合体などのいずれの形態であってもよい。
【0029】
共重合体の分子量に特に制限はなく、分子量としては重量平均分子量、数平均分子量、粘度平均分子量など測定方法に応じて用いることができる。重量平均分子量(Mw)に関しては1,000~1,000,000であることが好ましく、重合体の性質の制御および加工性などの観点から5,000~500,000であることが更に好ましい。Mw/Mnで表される分子量分布(PD)に特に制限はないが、概ね1~10の範囲であることが好ましく、重合体の均一性の観点から1~3の範囲であることが更に好ましい。分子量の算出方法として、ポリスチレンやポリエチレングリコールなどの標準試料を基準に換算するサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)法、粘度法、光散乱法など公知の方法をあげることができる。基材表面にグラフト重合した場合は重合体の分子量を直接求めることが困難であるが、例えば基材表面の反応点の密度と重合転化率からグラフト鎖の数平均分子量(Mn)を見積もることができる。
【0030】
共重合体の製造方法としては、以下のような方法が例示できる。
(方法1)イミダゾリジノン・ブロック鎖及び疎水性ブロック鎖をそれぞれ合成しておき、続いてイミダゾリジノン・ブロック鎖と疎水性ブロック鎖とを反応させて本発明の共重合体を製造する方法
(方法2)イミダゾリジノン・ブロック鎖または疎水性ブロック鎖をリビング重合などを利用して合成した後、この末端から他方のブロック鎖を合成して本発明の共重合体を製造する方法
(方法3)イミダゾリジノン・ブロック鎖の末端に重合性官能基を導入しておき、これを重合することによって本発明の共重合体を製造する方法
(方法4)基材となるポリマー固体表面から、紫外光などの電磁波、又は電子線、ガンマ線などの放射線を用いたイミダゾリジノンモノマーの表面開始重合によってイミダゾリジノン・ブロック鎖を合成して本発明の共重合体を製造する方法
これらの方法の中でも方法2は共重合体の構造を精密に制御でき、後述のコート剤などへの応用も容易なため好適に用いられる。
【0031】
方法2を用いてブロック共重合体を製造する際、公知のリビングラジカル重合法を用いることが可能であり、例えばイニファーター重合法、ニトロキシド媒介ラジカル重合法、原子移動ラジカル重合法、可逆的付加-解裂連鎖移動(RAFT)重合法などを利用することができる。これらの重合法の詳細については株式会社エヌ・ティー・エス発行、“ラジカル重合ハンドブック”、p.161~225(2010年)を参照すると良い。特に重金属などの残留がなく、分子量の制御が容易な点でRAFT重合が好適に用いられる。
【0032】
RAFT重合法を用いた製造方法は、大きく2つの製造工程に分けることができる。第一工程はモノマーAをラジカル重合開始剤およびRAFT剤の共存下、RAFT重合して得られるポリマーAの末端にRAFT剤残基が結合したポリマー(これをポリマーAのマクロRAFT剤と呼ぶ)を製造する工程である。第二工程はモノマーBを第一工程で製造したマクロRAFT剤及びラジカル重合開始剤の共存下、RAFT重合を行って、ポリマーAの片末端に、モノマーBが重合して得られるポリマーBが結合したブロック共重合体(ジブロック共重合体)を製造する工程である。本発明では、単独又は二種類以上のイミダゾリジノンモノマー、更に必要に応じて添加されてもよいビニル系モノマーからなるモノマーがモノマーA又はBに該当し、単独又は二種以上の(メタ)アクリル酸アルキルエステルからなるモノマーがモノマーB又はAに該当する。
【0033】
このジブロック共重合体の末端にはRAFT剤残基が結合しており、マクロRAFT剤として働き、第一工程においてRAFT剤の代わりにこのマクロRAFT剤を用いることによって、例えばポリマーA-ポリマーB-ポリマーAといったそれぞれの連鎖がつながったトリブロック共重合体を製造することができる。同じ要領で工程を繰り返すことによって、任意の連鎖がつながったマルチブロック共重合体を製造できる。
【0034】
モノマーのモル量[M]とラジカル重合開始剤から発生するラジカル種のモル量[I・]の比[M]/[I・]によって重合度を制御でき、ブロック共重合体のxおよびyの値を満たす量以上のモノマーを仕込めば良く、モノマーの転化率をxおよびyの値を満たすように制御すれば良い。RAFT剤の使用量[RAFT]は[I・]と同量、もしくはそれ以上あれば良く、一般に[RAFT]/[I・]は1~10、好ましくは1.5~5となるよう調整する。モノマーの転化率はRAFT剤の種類、[RAFT]/[I・]の値、溶媒の有無または種類、モノマーの初期濃度、溶液の粘度、重合温度、重合時間などによって任意に制御できる。
【0035】
第一工程および第二工程で用いられるラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの無機過酸化物を例示でき、重合促進剤と呼ばれるN,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミン、N,N-ジメチルパラトルイジンなどのアミン化合物と組み合わせて用いることによって低温で迅速な重合が可能である。更に、ラジカル開始剤としてジラウロイルペルオキシド、ベンゾイルペルオキシド、ジ-t-ブチルペルオキシド、t-ブチルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシドなどの有機過酸化物、又2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビス(2,4-ジメチルバレロニトリル)、2,2’-アゾビスイソブチロニトリル、2,2’-アゾビス(2-メチルブチロニトリル)、1,1’-アゾビス(シクロヘキサン-1-カルボニトリル)、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二塩酸塩、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]二硫酸塩二水和物、2,2’-アゾビス[2-(2-イミダゾリン-2-イル)プロパン]、2,2’-アゾビス(2-メチルプロピオンアミジン)二塩酸塩、2,2’-アゾビス[N-(2-カルボキシエチル)-2-メチルプロピオンアミジン]n水和物、2,2’-アゾビス[2-メチル-N-(2-ヒドロキシエチル)プロピオンアミド]、2,2’-アゾビス[N-(2-プロペニル)-2-メチルプロピオンアミド]、2,2’-アゾビス(N-ブチル-2-メチルプロピオンアミド)、ジメチル2,2’-アゾビス(イソブチレート)、4,4’-アゾビス(4-シアノペンタン酸)などのアゾ化合物を例示することができる。中でも副反応を抑制する観点から、アゾ化合物が好適に用いられる。
【0036】
第一工程で用いられるRAFT剤としてはモノマーAを制御重合でき、ポリマーAのマクロRAFT剤を用いてモノマーBを制御重合できれば特に制限は無く、非共役モノマーのRAFT重合において用いられる公知のRAFT剤を使用することができる。一般にジチオカルバミン酸エステル化合物やジチオカルボン酸エステル化合物、トリチオ炭酸エステル化合物などが知られており、より具体的には、4-[(2-カルボキシエチルスルファニルチオカルボニル)スルファニル-4-シアノペンタン酸、2-{[(2-カルボキシエチル)スルファニルチオカルボニル]スルファニル}プロパン酸、4-クロロ-3,5-ジメチルピラゾール-1-ジチオカルボン酸2’-シアノブタン-2’-イル、3,5-ジメチルピラゾール-1-ジチオカルボン酸2’-シアノブタン-2’-イル、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸、2-シアノ-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン、3,5-ジメチルピラゾール-1-ジチオカルボン酸シアノメチル、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸、トリチオ炭酸S,S-ジベンジル、2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニルプロパン酸、4-シアノ-4-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]ペンタン酸メチル、(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニルアセトニトリル、2-メチル-2-[(ドデシルスルファニルチオカルボニル)スルファニル]プロパン酸などを例示できるが、モノマーの構造や組み合わせに、更に重合する順番によってもRAFT剤の選択が異なってくることがある。RAFT剤の選択については例えば、Macromolecules、第45巻、5321-5342頁(2012年)などの公知文献を参考にしても良い。
【0037】
第一工程および第二工程において重合反応を円滑に進行させるために溶媒を用いることができる。利用できる溶媒としては、例えば、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブタノール、ヘキサノール、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノール、エチレングリコール、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2-ジメトキシエタン、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMAc)、アンモニア、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルアミン、ブチルアミン、ジブチルアミン、トリブチルアミン、ピリジン、ピコリン等を用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒を二種以上混合して用いることもできる。重合反応は真空下、不活性ガス雰囲気下などラジカル反応を阻害しない程度まで反応容器中の酸素濃度を下げることによって重合の制御が容易になる。重合反応の温度は、通常0℃~150℃の範囲内で円滑に進行する。
【0038】
イミダゾリジノンモノマー(4)の一部は、次式に示すように対応するイミダゾリジノン誘導体(5b)にアクリル酸クロリドをbase1存在下、作用させることによって製造できる。
【0039】
【化5】
【0040】
(式中、R1bは水素原子、炭素数1~4のアルキル基、ベンジル基又は下記一般式(2b)
【0041】
【化6】
【0042】
(式中、pは前記と同じ意味を表す。R4bは炭素数1~4のアルキル基又は2-メトキシエチル基を表す。)で示されるオキシアルキル基を表す。R及びRは前記と同じ意味を表す。)
このとき、base1としては第三級アミンやピリジン誘導体などを用いることが出来、具体的にはトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミン、ピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、キノリンなどを単独又は二種類以上混合して用いることが出来る。これらの中では、収率が良く、安価である点でトリエチルアミンが好ましい。前記反応は溶媒を用いると円滑に進行し、例えばn-ペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミドなどを単独又は二種類以上混合して用いることが出来る。反応は通常、100℃以下の温度で実施され、生成物の分解を抑制する点で50℃以下で行うことが好ましい。
【0043】
反応終了後、イミダゾリジノンモノマー(4)又は(4b)は、抽出、濾過、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿、蒸留などの通常の精製方法を組み合わせることによって製造できる。
【0044】
原料となるイミダゾリジノン誘導体(5b)は、対応するジアミン誘導体(6b)と尿素を加えて100~200℃程度に加熱することによって容易に得られる。
【0045】
【化7】
【0046】
(式中、R1b、R及びRは前記と同じ意味を表す。)
また、イミダゾリジノン誘導体(5c)は、イミダゾリジン-2-オンにアニオン化剤として1当量のbase2を作用させて、N原子上の水素を引き抜いてアニオン化した後、X-R1cで示されるアルキル化剤と反応させることにより製造することができる。
【0047】
【化8】
【0048】
(式中、R1cは炭素数1~4のアルキル基、ベンジル基又は一般式(2b)で示されるオキシアルキル基を表す。Xは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子又はトシル基を表す。)
このとき、base2としては水素化ナトリウム、水素化カリウム、フェニルリチウム、リチウムジイソプロピルアミド、n-ブチルリチウムなどを例示できる。上記反応において溶媒を用いると反応が円滑に進行し、例えばヘキサン、シクロヘキサン、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン(THF)、1,4-ジオキサン、シクロペンチルメチルエーテル(CPME)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミドなどを単独又は二種類以上混合して用いることができる。
【0049】
イミダゾリジノンモノマー(4)においてRが2-ヒドロキシエチル基又は2-アセトキシエチル基であり、R及びRが共に水素原子である場合の合成法としては、例えば次式に示すような経路で合成することが出来る。すなわち2-(2-アミノエチルアミノ)エタノールに尿素を加えて100~200℃程度に加熱して、1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリジン-2-オンとした後、無水酢酸で処理することによって1-(2-アセトキシエチル)イミダゾリジン-2-オンが得られる。これにアクリロイルクロリドをbase1存在下、作用させることによって1-アクリロイル-3-(2-アセトキシエチル)イミダゾリジン-2-オンが得られる。これをbase3存在下、加水分解反応を行うことによって1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリジン-2-オンが得られる。
【0050】
【化9】
【0051】
このとき、base3としてはアミンやピリジンの誘導体、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムなどの弱塩基を用いることが出来、アミン誘導体としては具体的にはアンモニア、ブチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリイソブチルアミン、ジエチルメチルアミン、エチルジプロピルアミン、エチルジイソプロピルアミンなどをあげることができ、ピリジン誘導体としては具体的にはピリジン、α-ピコリン、β-ピコリン、γ-ピコリン、4-(N,N-ジメチルアミノ)ピリジン、キノリンなどをあげることができる。base3はこれら弱塩基を単独又は二種類以上混合して用いることが出来る。これらの中では、収率が良く、安価である点でアンモニア、トリメチルアミン、トリエチルアミン、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウムが好ましい。前記反応は溶媒を用いると円滑に進行し、例えばn-ペンタン、シクロペンタン、n-ヘキサン、シクロヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノールなどを単独又は二種類以上混合して用いることが出来る。反応は通常、60℃以下の温度で実施され、生成物の分解を抑制する点で30℃以下で行うことが好ましい。反応終了後、1-アクリロイル-3-(2-アセトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン及び1-(2-ヒドロキシエチル)イミダゾリジン-2-オンは、それぞれ抽出、濾過、カラムクロマトグラフィー、再結晶、再沈殿などの通常の精製方法を組み合わせることによって製造できる。
【0052】
上述した共重合体を溶媒に溶解してコート剤を調製できる。コート剤に用いられる溶媒としては特に制限は無いが、水、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ヘキサノール、ペンタン、シクロペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド、DMF、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリジン-2-オン、エチレングリコール、2-メトキシエタノール、2-ブトキシエタノールなどを用いることができるが、これらに限定されるものではない。また、これらの溶媒を二種類以上混合して用いることもできる。
【0053】
コート剤の濃度は、コーティングに支障なければ特に制限は無いが、共重合体の濃度を0.01~20重量%となるように調整することで、好適な細胞培養用材料を得ることができる。
【0054】
上述した細胞培養用材料は、種々の形状の担体の表面をコート剤で処理することによって作製することができる。なお、本明細書における「細胞培養器材」の用語は、細胞培養用材料と同義である。担体の材質に特に制限はないが、例えば、ポリスチレンのようなスチレン系樹脂、ポリプロピレンのようなポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート、ポリスルホン系樹脂、フッ素系樹脂、セルロースのような多糖類天然高分子、ガラスやセラミックスのような無機材料、ステンレス、チタンのような金属類材料を用いることができる。担体の形状にも特に制限はなく、例えば、シャーレやプレートやフラスコなど一般的な細胞培養器材の形状、球状、袋状、スポンジ状の多孔質、不織布や織布など繊維状などの形状を用いることができる。また、コート剤の処理方法に特に制限は無く、公知の方法を用いることができ、例えばディップ法、スプレイ法、キャスト法、スピンコート法、インクジェット印刷法などを用いることができる。さらに、熱や溶媒などでアニーリングしても良く、一例として熱アニーリングを行う場合は、40~100℃で、数分~数時間処理を行えばよい。また、共重合体の膜厚は細胞培養用材料としての機能を発揮できれば特に制限はなく、例えば1nm~1000nmである。
【0055】
細胞培養用材料を用いて培養される細胞としては、温度降下による刺激付与前の細胞培養基材の表面に接着可能なものであれば特に制限されるものではない。例えば、ヒト等の哺乳動物の骨髄由来間葉系幹細胞、ヒト等の哺乳動物の脂肪組織由来間葉系幹細胞、ヒト等の哺乳動物の繊維芽細胞、チャイニーズハムスター卵巣由来細胞(CHO細胞)、マウス結合組織L929細胞、ヒト胎児腎臓由来細胞HEK293細胞、ヒト子宮頸癌由来HeLa細胞等の種々の培養細胞株に加え、例えば生体内の各組織、臓器を構成する上皮細胞や内皮細胞、収縮性を示す骨格筋細胞、平滑筋細胞、心筋細胞、神経系を構成するニューロン細胞、グリア細胞、繊維芽細胞、生体の代謝に関与する肝実質細胞、肝非実質細胞や脂肪細胞、分化能を有する細胞として、種々の組織に存在する幹細胞、さらにはそれらから分化誘導した細胞等を用いることができる。これら以外でも、血液、リンパ液、髄液、喀痰、尿又は便に含まれる細胞(生細胞)や、体内あるいは環境中に存在する微生物、ウイルス、原虫等を例示できる。
【0056】
培養に使用する培地は特に限定なく用いることができる。一例として間葉系幹細胞を用いる場合は、10%のウシ胎児血清を含むダルベッコ・フォークト変法イーグル最小必須培地(10vol%FBS/DMEM)を用いることができる。培地には血清と基礎培地の他に、抗生物質、フィブロネクチンやラミニンなどの細胞外マトリックスを含んでいても良い。
【0057】
細胞培養用材料上での細胞培養は、イミダゾリジノン・ブロック鎖のLCST以上の温度で培養できる。一般的な細胞は高温に弱いため、好ましくは45℃以下であり、さらに好ましくは37℃~40℃である。
【0058】
細胞培養用材料上で培養した細胞は、イミダゾリジノン・ブロック鎖のLCST未満の温度に冷却することで培養器材から剥離され回収できる。冷却方法は特に限定はなく、冷却した培地で培地交換しても良いし、冷所で冷却しても良い。
【発明の効果】
【0059】
本発明によれば、親水性、疎水性、温度応答性などの特性を容易に制御でき、生体適合性材料、細胞培養用材料、更に温度応答性ポリマーとしての応用が期待される。
【実施例
【0060】
以下、参考例、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0061】
生成物の化学構造および共重合組成比はBruker-Biospin社製AVANCEIII-400を用いたH-NMR測定の結果から決定した。
【0062】
得られたポリマーの分子量はSECの結果から求めた。SECシステムはGLサイエンス社製GL-7400(検出器:GL-7456、カラム(4本): TSKgel SuperH5000、H4000×2、H2000、カラム温度:40℃、展開溶媒:0.01MのLiClのDMF溶液、標準ポリスチレン換算)を用いた。
【0063】
ポリマーの1重量%水溶液(分散液)を、恒温槽内に設置した光学セルに充填し、温度を変えたときの650nmの光の透過光強度を照度計を用いて計測した。透過光強度の温度変化が最大となる温度を下限臨界溶液温度(LCST)とした。
【0064】
参考例-1
1-アクリロイルイミダゾリジン-2-オンの合成
【0065】
【化10】
【0066】
アルゴン雰囲気下、氷浴で冷却したイミダゾリジン-2-オン2.23g(25.9mmol)及びトリエチルアミン7.0mL(50mmol)のクロロホルム(60mL)溶液に、塩化アクリロイル2.2mL(27mmol)のクロロホルム(20mL)溶液を滴下し、温度を室温に戻しながら4時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣にTHFを加え、沈殿を除去した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=1/2)で精製することによって、無色固体の1-アクリロイルメチルイミダゾリジン-2-オン1.18g(収率:32.6%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:3.51~3.55(2H,m),4.01~4.05(2H,m),5.11(1H,brs),5.80(1H,dd,J=2.0,10.4Hz),6.49(1H,dd,J=2.0,17.1Hz),7.59(1H,dd,J=10.4,17.1Hz).
参考例-2
1-アクリロイル-3-メチルイミダゾリジン-2-オンの合成
【0067】
【化11】
【0068】
N-メチルエチレンジアミン13.0mL(149mmol)、尿素9.01g(150mmol)およびエチレングリコール10mLを加えて、130℃で8時間撹拌した。減圧下でエチレングリコールを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製することにより、無色固体の1-メチルイミダゾリジン-2-オン10.6g(収率:71.1%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:2.79(3H,s),3.41(2H,t,J=2.6Hz),3.42(2H,J=2.6Hz),5.10(1H,brs).
アルゴン雰囲気下、氷浴で冷却した1-メチルイミダゾリジン-2-オン1.84g(18.4mmol)及びトリエチルアミン5.1mL(37mmol)のクロロホルム(62mL)溶液に、塩化アクリロイル1.5mL(18mmol)のクロロホルム(12mL)溶液を滴下し、温度を室温に戻しながら12時間撹拌した。反応溶液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=2/1)で精製することによって、無色固体の1-アクリロイル-3-メチルイミダゾリジン-2-オン1.54g(収率:54.3%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:2.90(3H,s),3.45(2H,t,J=8.0Hz),3.91(2H,t,J=8.0Hz),5.78(1H,dd,J=2.0,10.5Hz),6.48(1H,dd,J=2.0,17.1Hz)7.64(1H,dd,J=10.5,17.1Hz).
参考例-3
1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オンの合成
【0069】
【化12】
【0070】
N-エチルエチレンジアミン26.0mL(248mmol)、尿素14.4g(240mmol)およびエチレングリコール18mLを加えて、130℃で6時間撹拌した。減圧下でエチレングリコールを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製することにより、無色固体の1-エチルイミダゾリジン-2-オン13.2g(収率:48%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.12(3H,t,J=3.3Hz),3.24(2H,q,J=3.3Hz),3.42(4H,s),5.38(1H,brs).
アルゴン雰囲気下、1-エチルイミダゾリジン-2-オン9.14g(80.1mmol)及びトリエチルアミン16.7mL(120mmol)のクロロホルム(180mL)溶液に、塩化アクリロイル7.2mL(88mmol)のクロロホルム(60mL)溶液を滴下し、4時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣にTHFを加え、沈殿を除去した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製することにより、淡黄色液体の1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オン10.8g(収率:79.9%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.18(3H,t),3.36(2H,q,J=6.6Hz),3.45(2H,t,J=8Hz),3.91(2H,t,J=8Hz),5.78(1H,dd,J=2.0,10.5Hz),6.47(1H,dd,J=2.0,17.1Hz),7.64(1H,dd,J=10.5,17.1Hz).
参考例-4
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オンの合成
【0071】
【化13】
【0072】
N-イソプロピルエチレンジアミン10mL(81mmol)、尿素4.9g(81mmol)およびエチレングリコール5.4mLを加えて、130℃で1時間、さらに180℃で4時間撹拌した。減圧下でエチレングリコールを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム/メタノール=10/1)で精製することにより、無色固体の1-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン7.7g(収率:73%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.13(6H,d,J=6.8Hz),3.39(4H,m),4.14(1H,sep,J=6.8Hz),5.27(1H,brs).
アルゴン雰囲気下、氷浴で冷却した1-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン10.5g(82.1mmol)及びトリエチルアミン17.0mL(122mmol)のクロロホルム(170mL)溶液に、塩化アクリロイル7.7mL(94mmol)のクロロホルム(60mL)溶液を滴下し、4時間撹拌した。反応溶液を減圧下で濃縮し、残渣にTHFを加え、沈殿を除去した。ろ液を濃縮し、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=1/1)で精製することにより、無色固体の1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン12.0g(収率:80.0%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.19(6H,d,J=6.8Hz),3.38~3.42(2H,m),3.88~3.92(2H,m),4.24(1H,sep,J=6.8Hz),5.77(1H,dd,J=2.0,10.5Hz),6.47(1H,dd,J=2.0,17.1Hz),7.64(1H,dd,J=10.5,17.1Hz).
参考例-5
1-アクリロリル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オンの合成
【0073】
【化14】
【0074】
エチレンジアミン37mL(0.55mol)に2-クロロエチルメチルエーテル10mL(0.11mol)を室温で滴下し、還流下で13時間撹拌した。反応溶液に飽和食塩水とジエチルエーテルを加えて有機層を抽出した。濃縮後、減圧下蒸留精製することによって無色液体のN-(2-メトキシエチル)エチレンジアミン8.79g(収率:67.6%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:1.36(3H,bs),2.69(2H,t,J=6.0Hz),2.78~2.81(4H,m),3.37(3H,s),3.50(2H,t,J=6.0Hz).
N-(2-メトキシエチル)エチレンジアミン8.79g(74.4mmol)、尿素4.45g(74.4mmol)およびエチレングリコール5.0mLを加え、130℃で1時間、180℃で4時間撹拌した。減圧下でエチレングリコールを留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開液:クロロホルム/メタノール=1/1)で精製することにより、無色固体の1-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン10.4g(収率:96.5%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:3.36~3.43(7H,m),3.51~3.57(4H,m),4.90(1H,bs).
アルゴン雰囲気下、氷浴で冷却した1-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン4.95g(34.3mmol)及びトリエチルアミン9.5mL(69mmol)のクロロホルム(115mL)溶液に、塩化アクリロイル2.8mL(34mmol)のクロロホルム(23mL)溶液を滴下し、室温に戻しながら14時間撹拌した。反応溶液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液に投入し、クロロホルムで抽出して濃縮した。残渣をアルミナカラムクロマトグラフィー(展開液:ヘキサン/酢酸エチル=3/1)で精製し、更にヘキサン溶液から再結晶精製することにより無色固体の1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン4.27g(収率:62.8%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm),δ:3.36(3H,s),3.46~3.49(2H,m),3.55~3.56(4H,m),3.90(2H,t,J=8.2Hz),5.79(1H,dd,J=2.0,10.4Hz),6.48(1H,dd,J=2.0,17.1Hz),7.64(1H,dd,J=10.4,17.1Hz).
参考例-6
1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オンの合成
【0075】
【化15】
【0076】
アルゴン下、1,2-ジアミノ-2-メチルプロパン8.82g(100mmol)と尿素6.06g(100mmol)をエチレングリコール6mLに溶解し、130℃で1時間撹拌した後、150℃で1時間、180℃で3時間加熱撹拌した。減圧下でエチレングリコールを留去した後、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム/メタノール=10/1)で精製することによりにより、無色固体の4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン9.53g(83.5mmol)(収率:83.4%)を得た。H-NMR(400MHz,CDCl,ppm):δ 1.32(6H,s),3.25(2H,s),4.90(1H,brs),4.96(1H,brs).
アルゴン下、4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン5.74g(50.1mmol)とトリエチルアミン14.0mL(100mmol)のクロロホルム溶液50mLに、塩化アクリロイル6.00mL(73.6mmol)のクロロホルム溶液50mLを氷浴下でゆっくりと滴下し、4時間撹拌した。反応後、減圧下で溶媒を留去し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン=1/1)で精製することにより、無色固体の1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン1.57g(9.36mmol)(収率:46.7%)を得た。
H-NMR(400MHz,CDCl,ppm):δ 1.37(6H,s),3.73(2H,s),5.11(1H,brs),5.80(1H,dd,J=2.0,10.4Hz),6.49(1H,dd,J=2.0,17.1Hz),7.59(1H,dd,J=10.4,17.1Hz).
参考例-7
RAFT重合によるポリメタクリル酸ブチルの合成-1(PBMA(1))
メタクリル酸ブチル5.68g(40.0mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸55.6mg(199μmol)及び2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)(AIBN)13.1mg(79.7μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ブチル(PBMA(1))5.62g(収率:98.8%)を得た。SEC測定の結果、Mnは18,700、Mwは22,900、PDは1.23であった。
【0077】
参考例-8
RAFT重合によるポリメタクリル酸ブチルの合成-2(PBMA(2))
メタクリル酸ブチル5.68g(40.0mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸111.6mg(399μmol)及びAIBN13.1mg(79.8μmmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ブチル(PBMA(2))5.69g(収率:99.9%)を得た。SEC測定の結果、Mnは8,300、Mwは10,700、PDは1.28であった。
【0078】
参考例-9
RAFT重合によるポリメタクリル酸ブチルの合成-3(PBMA(3))
メタクリル酸ブチル5.71g(40.2mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸55.6mg(199μmol)及びAIBN13.1mg(84.7μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ブチル(PBMA(3))を5.12g(収率:89.5%)得た。SEC測定の結果、Mnは18,500、Mwは22,400、PDは1.22であった。
【0079】
参考例-10
RAFT重合によるポリメタクリル酸ベンジルの合成-1(PBnMA(1))
メタクリル酸ベンジル6.80mL(40.1mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸55.6mg(199μmol)及びAIBN13.2mg(80.6μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ベンジル(PBnMA(1))を7.01g(収率:99.2%)得た。SEC測定の結果、Mnは24,800、Mwは30,600、PDは1.23であった。
【0080】
参考例-11
RAFT重合によるポリメタクリル酸ベンジルの合成-2(PBnMA(2))
メタクリル酸ベンジル3.40mL(20.0mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸20.5mg(73.5μmol)及びAIBN4.95mg(30.1μmol)をDMF1mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ベンジル(PBnMA(2))を3.44g(収率:97.5%)得た。SEC測定の結果、Mnは31,000、Mwは37,500、PDは1.20であった。
【0081】
参考例-12
RAFT重合によるポリメタクリル酸ベンジルの合成-3(PBnMA(3))
メタクリル酸ベンジル3.40mL(20.0mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸42.0mg(150μmol)及びAIBN9.53mg(58.0μmol)をDMF1mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ベンジル(PBnMA(3))を3.70g(収率:99.1%)得た。SEC測定の結果、Mnは15,600、Mwは19,200、PDは1.23であった。
【0082】
参考例-13
RAFT重合によるポリメタクリル酸ベンジルの合成-4(PBnMA(4))
メタクリル酸ベンジル3.40mL(20.0mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸83.5mg(300μmol)及びAIBN19.3mg(118μmol)をDMF1mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ベンジル(PBnMA(4))を3.47g(収率:98.4%)得た。SEC測定の結果、Mnは6,150、Mwは8,360、PDは1.36であった。
【0083】
参考例-14
RAFT重合によるポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジルの合成-1(P(BMA-ran-BnMA)(1))
【0084】
【化16】
【0085】
メタクリル酸ブチル3.20mL(20.1mmol)、メタクリル酸ベンジル3.4
0mL(20.0mol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸56.7mg(203μmol)及びAIBN13.4mg(82.8μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル)(P(BMA-ran-BnMA)(1))を6.34g(収率:99.4%)得た。SEC測定の結果、Mnは22,200、Mwは27,000、PDは1.22であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からp/q=51/49(%)であった。
【0086】
参考例-15
RAFT重合によるポリアクリル酸ベンジルの合成-1(PBnA(1))
アクリル酸ベンジル3.10mL(20.2mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸27.8mg(99.5μmol)及びAIBN6.71mg(40.9μmol)をDMF1mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ベンジル(PBnA(1))を2.17g(収率:66.3%)得た。SEC測定の結果、Mnは18,900、Mwは25,400、PDは1.34であった。
【0087】
実施例-1
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(1))
【0088】
【化17】
【0089】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.02g(5.60mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン477mg(2.41mmol)、参考例-7で合成したPBMA(1)1.14g(モノマーユニット換算で7.99mmol)及び2,2’-アゾビス(4-メトキシ-2,4-ジメチルバレロニトリル)(V-70)5.02mg(16.3μmol)をDMF6mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(1)を2.28g(収率:86.6%)得た。SEC測定の結果、Mnは45,200、Mwは80,100、PDは1.77であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=52/48(%)であった。
【0090】
実施例-2
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-2(ブロックコポリマー(2))
【0091】
【化18】
【0092】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.25mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン714mg(3.60mmol)、参考例-8で合成したPBMA(2)569mg(モノマーユニット換算で4.19mmol)及びV-70 10.5mg(33.9μmol)をDMF6mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(2)を2.51g(収率:89.2%)得た。SEC測定の結果、Mnは45,200、Mwは85,100、PDは1.88であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=28/72(%)であった。
【0093】
実施例-3
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-3(ブロックコポリマー(3))
【0094】
【化19】
【0095】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.02g(5.60mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン476mg(2.40mmol)、参考例-8で合成したPBMA(2)1.14g(モノマーユニット換算で8.00mmol)及びV-70 21.5mg(69.6μmol)をDMF6mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(3)を2.05g(収率:77.7%)得た。SEC測定の結果、Mnは21,500、Mwは44,500、PDは1.53であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=50/50(%)であった。
【0096】
実施例-4
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ(1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン)の合成-1(ブロックコポリマー(4))
【0097】
【化20】
【0098】
参考例-6の方法で合成した1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン2.02g(12.0mmol)、参考例-7で合成したPBMA(1)568mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 4.74mg(15.4μmol)をDMF6mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管して、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(4)を2.29g(収率:88.4%)得た。SEC測定の結果、Mnは69,000、Mwは165,500、PDは2.40であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からm/n=30/70(%)であった。
【0099】
実施例-5
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ(1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン)の合成-2(ブロックコポリマー(5))
【0100】
【化21】
【0101】
参考例-6の方法で合成した1-アクリロイル-4,4-ジメチルイミダゾリジン-2-オン2.02g(12.0mmol)、参考例-8で合成したPBMA(2)569mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 10.7mg(34.7μmol)をDMF6mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管して、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(5)を2.21g(収率:85.4%)得た。SEC測定の結果、Mnは46,100、Mwは77,500、PDは1.68であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からm/n=30/70(%)であった。
【0102】
実施例-6
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-5(ブロックコポリマー(6))
【0103】
【化22】
【0104】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.97g(10.8mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン238mg(1.20mmol)、参考例-9で合成したPBMA(3)570mg(モノマーユニット換算で4.01mmol)及びV-70 4.60mg(14.9μmol)をDMF12mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(6)を1.88g(収率:67.7%)得た。SEC測定の結果、Mnは78,300、Mwは140,700、PDは1.80であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=89/11(%)、m/n=35/65(%)であった。
【0105】
実施例-7
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ(1-アクリロイル-3-イソプロピルイ
ミダゾリジン-2-オン)の合成-1(ブロックコポリマー(7))
【0106】
【化23】
【0107】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン2.19g(12.0mmol)、参考例-9で合成したPBMA(3)570mg(モノマーユニット換算で4.01mmol)及びV-70 4.91mg(15.9μmol)をDMF12mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管して、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(7)を2.07g(収率:75.2%)得た。SEC測定の結果、Mnは74,300、Mwは132,200、PDは1.78であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からm/n=34/66(%)であった。
【0108】
実施例-8
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(8))
【0109】
【化24】
【0110】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.40mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン715mg(3.61mmol)、参考例-10で合成したPBnMA(1)704mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 4.62mg(15.0μmol)をDMF16mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(8)を2.11g(収率:71.5%)得た。SEC測定の結果、Mnは72,200、Mwは187,600、PDは2.60であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=69/31(%)、m/n=33/67(%)であった。
【0111】
実施例-9
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-2(ブロックコポリマー(9))
【0112】
【化25】
【0113】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.40mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン715mg(3.61mmol)、参考例-10で合成したPBnMA(1)704mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 4.69mg(15.2μmol)をDMF16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/3)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(9)を1.99g(収率:67.4%)得た。SEC測定の結果、Mnは79,300、Mwは153,300、PDは1.93であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=33/67(%)であった。
【0114】
実施例-10
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-3(ブロックコポリマー(10))
【0115】
【化26】
【0116】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.33g(7.28mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン618mg(3.12mmol)、参考例-11で合成したPBnMA(2)988mg(モノマーユニット換算で5.61mmol)及びV-70 4.51mg(14.6μmol)を2-メトキシエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を2-メトキシエタノールで希釈し、過剰量の水に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(10)を2.45g(収率:83.4%)得た。SEC測定の結果、Mnは70,900、Mwは127,300、PDは1.80であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=39/61(%)であった。
【0117】
実施例-11
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-4(ブロックコポリマー(11))
【0118】
【化27】
【0119】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.74g(9.53mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン809mg(4.08mmol)、参考例-12で合成したPBnMA(3)424mg(モノマーユニット換算で2.41mmol)及びV-70 4.22mg(13.7μmol)を2-メトキシエタノール18mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を2-メトキシエタノールで希釈し、過剰量の水に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(11)を1.91g(収率:64.3%)得た。SEC測定の結果、Mnは82,400、Mwは175,100、PDは2.13であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=67/33(%)、m/n=21/79(%)であった。
【0120】
実施例-12
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-5(ブロックコポリマー(12))
【0121】
【化28】
【0122】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.89g(10.4mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン880mg(4.44mmol)、参考例-13で合成したPBnMA(4)212mg(モノマーユニット換算で1.20mmol)及びV-70 5.40mg(17.5μmol)を2-メトキシエタノール20mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を2-メトキシエタノールで希釈し、過剰量の温水に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(12)を1.69g(収率:56.7%)得た。SEC測定の結果、Mnは87,600、Mwは152,900、PDは1.75であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=11/89(%)であった。
【0123】
実施例-13
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オン)]の合成(ブロックコポリマー(13))
【0124】
【化29】
【0125】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.40mmol)、参考例-3の方法で合成した1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オン613mg(3.64mmol)、参考例-10で合成したPBnMA(1)705mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 4.41mg(14.3μmol)を2-メトキシエタノール16mLに溶解した。この2-メトキシエタノール溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量のメタノール/水(=1/3)混合溶媒に投入して生じた沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(13)を2.04g(収率:71.7%)得た。SEC測定の結果、Mnは80,000、Mwは152,500、PDは1.91であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=33/67(%)であった。
【0126】
実施例-14
ポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル)-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(14))
【0127】
【化30】
【0128】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.40mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン715mg(3.61mmol)、参考例-14で合成したP(BMA-ran-BnMA)(1)636mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 4.51mg(14.6μmol)をDMF16mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液をDMFで希釈し、過剰量のメタノール/水(=1/1)混合溶媒に沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(14)を2.13g(収率:73.8%)得た。SEC測定の結果、Mnは70,500、Mwは190,100、PDは2.70であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、p/q=51/49(%)、m/n=33/67(%)であった。
【0129】
実施例-15
ポリアクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成(ブロックコポリマー(15))
【0130】
【化31】
【0131】
参考例-4の方法で合成した1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.40mmol)、参考例-5の方法で合成した1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン715mg(3.60mmol)、参考例-15で合成したPBnA(1)704mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 5.37mg(17.4μmol)を2-メトキシエタノール16mLに溶解した。この2-メトキシエタノール溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に投入して生じた沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(15)を2.03g(収率:70.0%)得た。SEC測定の結果、Mnは67,400、Mwは127,900、PDは1.90であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=68/32(%)、m/n=31/69(%)であった。
【0132】
参考例-16
RAFT重合によるポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル(P(BMA-ran-BnMA)(2))の合成-2
【0133】
【化32】
【0134】
メタクリル酸ブチル3.20mL(20.1mmol)とメタクリル酸ベンジル3.40mL(20.0mmol)と4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸28.0mg(100μmol)、AIBN6.52mg(40.2μmol)をDMF4mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間加熱撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル)(P(BMA-ran-BnMA)(2))を6.02g(収率:94.2%)得た。SEC測定の結果、Mnは37,400、Mwは48,400、PDは1.29であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からp/q=50/50(%)であった。
【0135】
実施例-16
ポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル)-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-2(ブロックコポリマー(16))
【0136】
【化33】
【0137】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン267g(1.47mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン125mg(0.631mmol)、参考例-16で合成したP(BMA-ran-BnMA)(2)1.62g(モノマーユニット換算で10.2mmol)及びV-70 7.44mg(24.1μmol)を2-メトキエタノール12mLに溶解した。この2-メトキエタノール溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(16)を1.77g(収率:88.2%)得た。SEC測定の結果、Mnは44,600、Mwは62,500、PDは1.40であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=75/25(%)、p/q=50/50(%)、m/n=84/14(%)であった。
【0138】
参考例-17
RAFT重合によるポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル(P(BMA-ran-BnMA)(3))の合成-3
【0139】
【化34】
【0140】
メタクリル酸ブチル3.20mL(20.1mmol)とメタクリル酸ベンジル3.40mL(20.0mmol)と4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸13.9mg(49.6μmol)、AIBN3.49mg(21.5μmol)をDMF4mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間加熱撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル)(P(BMA-ran-BnMA)(3))を6.25g(収率:97.9%)得た。SEC測定の結果、Mnは66,100、Mwは95,200、PDは1.44であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からp/q=50/50(%)であった。
【0141】
実施例-17
ポリ(メタクリル酸ブチル-ran-メタクリル酸ベンジル)-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-3(ブロックコポリマー(17))
【0142】
【化35】
【0143】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン267g(1.47mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン125mg(0.631mmol)、参考例-17で合成したP(BMA-ran-BnMA)(3)1.62g(モノマーユニット換算で10.2mmol)及びV-70 3.74mg(12.1μmol)を2-メトキエタノール12mLに溶解した。この2-メトキエタノール溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(17)を1.45g(収率:71.9%)得た。SEC測定の結果、Mnは75,400、Mwは116,400、PDは1.54であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=77/23(%)、p/q=50/50(%)、m/n=87/13(%)であった。
【0144】
参考例-18
RAFT重合によるポリメタクリル酸エチル(PEtMA)の合成
メタクリル酸エチル4.57g(40.0mmol)、4-シアノ-4-[(チオベンゾイル)スルファニル]ペンタン酸44.7mg(160μmol)及びAIBN10.4mg(63.1μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ベンジル(PEtMA)を3.69g(収率:65.6%)得た。SEC測定の結果、Mnは17,300、Mwは20,600、PDは1.19であった。
【0145】
実施例-18
ポリメタクリル酸エチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(18))
【0146】
【化36】
【0147】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.40mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン714mg(3.60mmol)、参考例-18で合成したPEtMA571mg(モノマーユニット換算で5.00mmol)及びV-70 5.72mg(18.5μmol)を2-メトキエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(18)を1.85g(収率:65.6%)得た。SEC測定の結果、Mnは65,700、Mwは109,600、PDは1.67であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=67/33(%)、m/n=41/59(%)であった。
【0148】
参考例-19
RAFT重合によるポリメタクリル酸エチル(PBuMA)の合成-1
メタクリル酸イソブチル5.70g(40.1mmol)、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸44.7mg(160μmol)及びAIBN10.4mg(63.0μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸イソブチル(PBuMA)を4.46g(収率:78.3%)得た。SEC測定の結果、Mnは20,100、Mwは23,400、PDは1.16であった。
【0149】
実施例-19
ポリメタクリル酸イソブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(19))
【0150】
【化37】
【0151】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.40mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン714mg(3.60mmol)、参考例-19で合成したPBuMA570mg(モノマーユニット換算で4.01mmol)及びV-70 4.99mg(16.2μmol)を2-メトキエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(19)を1.45g(収率:51.3%)得た。SEC測定の結果、Mnは77,700、Mwは132,700、PDは1.71であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=67/33(%)、m/n=33/67(%)であった。
【0152】
参考例-20
RAFT重合によるポリメタクリル酸ベンジル(PBnMA(5))の合成-5
メタクリル酸ベンジル6.90mL(40.7mmol)、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸56.7mg(203μmol)及びAIBN13.2mg(80.9μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ベンジル(PBnMA)を7.15g(収率:99.8%)得た。SEC測定の結果、Mnは21,300、Mwは24,900、PDは1.17であった。
【0153】
実施例-20
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)(ブロックコポリマー(20))の合成-1
【0154】
【化38】
【0155】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン2.19g(12.0mmol)、参考例-20で合成したPBnMA(5)706mg(モノマーユニット換算で4.01mmol)及びV-70 4.79mg(15.5μmol)を2-メトキエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(20)を2.73g(収率:95.8%)得た。SEC測定の結果、Mnは46,800、Mwは85,900、PDは1.84であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からm/n=25/75(%)であった。
【0156】
実施例-21
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-6(ブロックコポリマー(21))
【0157】
【化39】
【0158】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.97g(10.8mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン240mg(1.21mmol)、参考例-20で合成したPBnMA(5)705mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 4.81mg(15.6μmol)を2-メトキエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(21)を2.54g(収率:87.1%)得た。SEC測定の結果、Mnは52,500、Mwは92,600、PDは1.76であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=88/12(%)、m/n=26/74(%)であった。
【0159】
実施例-22
(2-4)ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイルイミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(22))
【0160】
【化40】
【0161】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.53g(8.41mmol)、1-アクリロイルイミダゾリジン-2-オン505mg(3.60mmol)、参考例-20で合成したPBnMA(5)706mg(モノマーユニット換算で4.01mmol)及びV-70 4.94mg(16.0μmol)を2-メトキエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(JST-18806)を2.33g(収率:84.9%)得た。SEC測定の結果、Mnは53,700、Mwは93,900、PDは1.75であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=70/30(%)、m/n=28/72(%)であった。
【0162】
実施例-23
(2-5)ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-メチルイミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(23))
【0163】
【化41】
【0164】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.97g(10.8mmol)、1-アクリロイル-3-メチルイミダゾリジン-2-オン185mg(1.20mmol)、参考例-20で合成したPBnMA(5)706mg(モノマーユニット換算で4.01mmol)及びV-70 4.95mg(16.0μmol)を2-メトキエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(23)を2.62g(収率:91.6%)得た。SEC測定の結果、Mnは48,500、Mwは88,600、PDは1.83であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=89/11(%)、m/n=26/74(%)であった。
【0165】
実施例-24
ポリメタクリル酸ベンジル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-ベンジルイミダゾリジン-2-オン)]の合成-1(ブロックコポリマー(24))
【0166】
【化42】
【0167】
1-アクリロイル-3-エチルイミダゾリジン-2-オン1.92g(11.4mmol)、1-アクリロイル-3-ベンジルイミダゾリジン-2-オン138mg(0.599mmol)、参考例-20で合成したPBnMA(5)705mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 4.92mg(16.0μmol)を2-メトキエタノール16mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で18時間撹拌した。反応溶液を過剰量の水に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(24)を2.15g(収率:77.8%)得た。SEC測定の結果、Mnは56,000、Mwは100,800、PDは1.80であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=94/6(%)、m/n=28/72(%)であった。
【0168】
参考例-21
RAFT重合によるポリメタクリル酸ブチル(PBMA(4))の合成-4
メタクリル酸ブチル6.40mL(40.2mmol)、4-シアノ-4-(チオベンゾイルチオ)ペンタン酸13.9mg(50.0μmol)及びAIBN3.67mg(22.3μmol)をDMF2mLに溶解した。このDMF溶液を凍結脱気した後、封管し、70℃で18時間撹拌した。反応溶液をTHFで希釈し、過剰量のメタノールに沈殿精製することにより、桃色固体のポリメタクリル酸ブチル(PBMA)を5.61g(収率:98.1%)得た。SEC測定の結果、Mnは64,100、Mwは86,900、PDは1.35であった。
【0169】
実施例-25
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピル
イミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル
)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-6(ブロックコポリマー(25))
【0170】
【化43】
【0171】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン762mg(4.18mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン92.0mg(0.464mmol)、参考例-21で合成したPBMA(4)1.71mg(モノマーユニット換算で12.0mmol)及びV-70 5.52mg(17.9μmol)をDMF14mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で15時間撹拌した。反応溶液を過剰量のメタノール/水(=1/3)混合溶媒に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(25)を1.78g(収率:69.6%)得た。SEC測定の結果、Mnは76,500、Mwは131,600、PDは1.72であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=89/11(%)、m/n=84/16(%)であった。
【0172】
実施例-26
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピル
イミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル
)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-7(ブロックコポリマー(26))
【0173】
【化44】
【0174】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン1.97g(10.8mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン238mg(1.20mmol)、参考例-21で合成したPBMA(4)569mg(モノマーユニット換算で4.00mmol)及びV-70 1.89mg(6.13μmol)をDMF20mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で15時間撹拌した。反応溶液を過剰量のメタノール/水(=1/3)混合溶媒に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(26)を1.12g(収率:40.4%)得た。SEC測定の結果、Mnは151,200、Mwは352,600、PDは2.33であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=88/12(%)、m/n=47/53(%)であった。
【0175】
実施例-27
ポリメタクリル酸ブチル-block-ポリ[(1-アクリロイル-3-イソプロピル
イミダゾリジン-2-オン)-ran-(1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル
)イミダゾリジン-2-オン)]の合成-8(ブロックコポリマー(27))
【0176】
【化45】
【0177】
1-アクリロイル-3-イソプロピルイミダゾリジン-2-オン2.95g(16.2mmol)、1-アクリロイル-3-(2-メトキシエチル)イミダゾリジン-2-オン357mg(1.80mmol)、参考例-21で合成したPBMA(4)567mg(モノマーユニット換算で3.99mmol)及びV-70 1.99mg(6.45μmol)をDMF25mLに溶解した。この溶液を凍結脱気した後、封管し、40℃で15時間撹拌した。反応溶液を過剰量のメタノール/水(=1/7)混合溶媒に加え、沈殿精製を行った。沈殿を回収して乾燥後、ジエチルエーテルで洗浄することにより、薄桃色のブロックコポリマー(27)を1.37g(収率:35.3%)得た。SEC測定の結果、Mnは253,900、Mwは735,300、PDは2.90であった。H-NMRスペクトルにおける積分値からx/y=88/12(%)、m/n=39/61(%)であった。
(ブロックコポリマーをコートした培養器材評価)
以下の手順で、ブロックコポリマー(1)~(11)、(13)~(15)、(25)~(27)を用いた培養器材を調製し、評価を行った。ブロックコポリマー(12)についてはブロックコポリマー(11)と構造が類似しているため、評価は省略した。なお、ブロックコポリマーをコートしていないディッシュも比較のため培養器材として1個用意した。
I 培養器材の調製
[表面処理剤の調製]
ブロックコポリマーにイソプロパノール又は2-メトキシエタノールを添加し、撹拌して全て溶解させたのち、孔径0.2μmの再生セルロース製フィルター(ザルトリウス製)でろ過することにより、表面処理剤を調製した。なお、ブロックポリマーの濃度はコート膜厚を凡そ一定にするため、ブロックポリマーによって濃度を変えた。
[ディッシュへのコート1]
組織培養用ディッシュ(AGCテクノグラス製、直径6cm)に表面処理剤を1.0mL加え、1分間静置した。余分な表面処理剤をパスツールピペットで回収し、その後、ディッシュ表面を風乾させ、さらに60分間60℃で熱アニールすることで、ブロックコポリマーをコートした培養器材を調製した。
[ディッシュへのコート2]
組織培養用ディッシュ(AGCテクノグラス製、直径6cm)の中央に表面処理剤を100μL加え、スピンコーターを用いて、回転数2,000rpm、回転時間60秒の条件でスピンコートすることでブロックコポリマーをコートした培養器材を調製した。
【0178】
なお、いずれの方法でコートした場合も、膜厚については、顕微分光膜厚計(大塚電子製OPTM-A1)を用い、培養器材の中心部から端部までの5点で測定した。
II 細胞培養及び剥離処理
[培養工程]
培養器材に、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(ロンザジャパン(株)製、Product Code:PT-2501)を0.75×10~1.0×10cells/dishの細胞密度で播種し、37℃、CO濃度5%で培養した。培地にはウシ胎児血清(BioWest製、コロンビア産)を10vol%含むダルベッコ・フォークト変法イーグル最小必須培地(DMEM:富士フイルム和光純薬製)を用い、培養期間は5日間~8日間とした。
[冷却処理工程]
培養工程終了後、静かに培養上清を抜き、新たに4℃に冷却した培地を加え、室温で10分以上冷却した。
[細胞剥離処理工程]
冷却処理工程終了後、1mLピペッターを用いて1mLの容量で、10回培養基材の培養面の全面に培養液を当てるようにピペッティングし、細胞ごと培養液を回収した。回収した培養液を160rcf、25℃、5分の条件で遠心後、上清を除き、新しい培地を500μL加え懸濁した。得られた細胞懸濁液中から10μLを細胞数測定用スライド(Thermo Fisher Scientific製、商品名:Countess Cell Counting Chamber Slid)に添加し、自動セルカウンター(Thermo Fisher Scientific製、商品名:Countess II)を用いて、細胞数を測定し(冷却後回収細胞数)、培養液を回収後の培養器材に残った細胞を、トリプシンを用いて37℃で10分間処理することにより回収したのち、細胞数を計測し、前記冷却後回収細胞数と足し合わせて全細胞数を求めた。
【0179】
結果を表1に示す。
【0180】
【表1】