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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】加工装置
(51)【国際特許分類】
   B24B 55/06 20060101AFI20240621BHJP
   B24B 7/04 20060101ALI20240621BHJP
   B23Q 11/08 20060101ALI20240621BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
B24B55/06
B24B7/04 A
B23Q11/08 E
H01L21/304 631
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2020082523
(22)【出願日】2020-05-08
(65)【公開番号】P2021176666
(43)【公開日】2021-11-11
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000134051
【氏名又は名称】株式会社ディスコ
(74)【代理人】
【識別番号】110001014
【氏名又は名称】弁理士法人東京アルパ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】和田 健太郎
【審査官】亀田 貴志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-001164(JP,A)
【文献】特開2019-093458(JP,A)
【文献】特開2004-095771(JP,A)
【文献】国際公開第2021/166687(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B24B 55/06
B24B 7/04
B23Q 11/08
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持面で被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物を加工する加工具を装着した加工手段と、該チャックテーブルと該加工具とを収容する加工室と、を備える加工装置であって、
該加工室は、該加工具の該加工室内への進入を可能とする開口を有する上板と、該上板から垂下した側板と、該上板の一部分及び該側板の一部分となり断面がL字型の開閉板と、該開閉板を該側板の外側面に向かって谷折り可能に該側板に連結する谷折りヒンジと、を備え
該開閉板は、該加工室を閉じた際に前記上板の一部分となる板を水平方向に平行に延在させ、該加工室を開いた際に該上板の一部分となる該板を該側板の内側面に向かって山折り可能とする山折りヒンジを備え、
該上板の一部分となる該板は、該加工室を開いたときに、該谷折りヒンジに載せ、先端を該加工室内に残し、該先端を該山折りヒンジより下がるように構成する加工装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウェーハ等の被加工物を加工する加工装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1に開示されているように、半導体ウェーハ等の被加工物を加工する加工装置においては、研磨パッド又は研削ホイール等の加工具の交換に専用の治具を用いている。このような治具を用いる事によって、研磨パッドの加工面、又は研削ホイールの研削砥石の加工面を交換時に破損させてしまうことを防ぐことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-121128号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、治具に載せた加工具を加工装置の加工室内に進入させることや、加工室内から治具に載せた加工具を取り出すことが、加工室の治具を取り出すための開口が小さく困難であるという問題が有る。
したがって、加工装置においては、加工室における加工具の交換作業等の作業性を向上させるという解決すべき課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための本発明は、保持面で被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物を加工する加工具を装着した加工手段と、該チャックテーブルと該加工具とを収容する加工室と、を備える加工装置であって、該加工室は、該加工具の該加工室内への進入を可能とする開口を有する上板と、該上板から垂下した側板と、該上板の一部分及び該側板の一部分となり断面がL字型の開閉板と、該開閉板を該側板の外側面に向かって谷折り可能に該側板に連結する谷折りヒンジと、を備え、該開閉板は、該加工室を閉じた際に前記上板の一部分となる板を水平方向に平行に延在させ、該加工室を開いた際に該上板の一部分となる該板を該側板の内側面に向かって山折り可能とする山折りヒンジを備え、該上板の一部分となる該板は、該加工室を開いたときに、該谷折りヒンジに載せ、先端を該加工室内に残し、該先端を該山折りヒンジより下がるように構成する加工装置である。
【発明の効果】
【0007】
従来の加工装置では、加工室を開いた状態にする際に上板のみしか開かず、開口部分が小さく、作業者が例えば治具を介して持った加工具を加工室に進入、又は加工室から退出させる作業が難しかった。
対して、本発明に係る加工装置は、保持面で被加工物を保持するチャックテーブルと、被加工物を加工する加工具を装着した加工手段と、チャックテーブルと加工具とを収容する加工室と、を備え、加工室は、加工具の加工室内への進入を可能とする開口を有する上板と、上板から垂下した側板と、上板の一部分及び側板の一部分となり断面がL字型の開閉板と、開閉板を側板の外側面に向かって谷折り可能に側板に連結する谷折りヒンジと、を備えることで、加工室を開く際に上板の一部分と側板の一部分とが開閉板として谷折りヒンジによって開くため、従来の加工装置よりも作業者が加工室内に手を入れることが可能な開口部分を大きくする事ができ、加工具を加工室に進入、又は加工室から退出させる作業が容易となり、作業時間を短縮させることや加工具の該作業時の不手際による破損を防ぐことが可能になった。
【0008】
開閉板は、加工室を閉じた際に上板の一部分となる板を水平方向に平行に延在させ、加工室を開いた際に上板の一部分となる板を側板の内側面に向かって山折り可能とする山折りヒンジを備えることで、加工室を開いた際に開閉板をコンパクトに折りたたむことが可能となり、装置スペースの縮小を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】加工装置の一例を示す斜視図である。
図2】閉じられた状態の加工室の構造を説明する断面図である。
図3】加工室が開かれる状態を説明する断面図である。
図4】加工室が閉じられた状態の従来の加工装置の一例を示す斜視図である。
図5】加工室が開かれた状態の従来の加工装置の一例を示す斜視図である。
図6】山折りヒンジを備える開閉板によって加工室が閉じられた状態を説明する断面図である。
図7】山折りヒンジを備える開閉板によって加工室が開かれた状態を説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1に示す加工装置1は、チャックテーブル30上に吸引保持された被加工物80を加工手段16によって研削加工する装置であり、加工装置1の装置ベース10上の前方(-Y方向側)は、チャックテーブル30に対して被加工物80の着脱が行われる着脱領域であり、装置ベース10上の後方(+Y方向側)は、加工手段16によってチャックテーブル30上に保持された被加工物80の研削加工が行われる加工領域である。
【0011】
図1に示す被加工物80は、例えば、シリコン母材等からなる円形板状の半導体ウェーハであり、図1において下方を向いている被加工物80の表面801は、複数のデバイスが形成されており、図示しない保護テープが貼着されて保護されている。被加工物80の上側を向いている裏面802は、研削加工が施される被加工面となる。
【0012】
図1、2に示す外形が平面視円形状のチャックテーブル30は、例えば、ポーラス部材等からなり被加工物80を吸着する吸着部300と、吸着部300を支持する枠体301とを備える。チャックテーブル30の吸着部300は、エジェクター機構又は真空発生装置等の図示しない吸引源に連通し、吸引源が吸引することで生み出された吸引力が、吸着部300の露出面である保持面3002に伝達されることで、チャックテーブル30は保持面3002上で被加工物80を吸引保持することができる。例えば、保持面3002は、回転中心を頂点とし肉眼では判断できない程度の極めて緩やかな円錐斜面に形成されている。
【0013】
チャックテーブル30は、カバー39によって周囲から囲まれつつ軸方向がZ軸方向(鉛直方向)である回転軸を軸に回転可能であり、カバー39及びカバー39に連結されY軸方向に伸縮する蛇腹カバー390の下方に配設された図示しないY軸移動手段によって、装置ベース10上をY軸方向に往復移動可能である。図示しないY軸移動手段は、ボールネジ等からなる電動スライダーである。
【0014】
蛇腹カバー390及びY軸方向に移動可能なカバー39のX軸方向における両脇には、図示しない排水溝が形成されており、研削時に使用される研削水が該排水溝から、装置ベース10内部に配設されたウォータケース399に流下する。
【0015】
加工領域には、コラム11が立設されており、コラム11の-Y方向側の前面には加工手段16をチャックテーブル30に対して離間又は接近するZ軸方向(鉛直方向)に研削送りする昇降手段17が配設されている。昇降手段17は、軸方向がZ軸方向であるボールネジ170と、ボールネジ170と平行に配設された一対のガイドレール171と、ボールネジ170の上端に連結しボールネジ170を回動させる昇降モータ172と、内部のナットがボールネジ170に螺合し側部がガイドレール171に摺接する昇降板173とを備えており、昇降モータ172がボールネジ170を回動させると、これに伴い昇降板173がガイドレール171にガイドされてZ軸方向に往復移動し、昇降板173に固定された加工手段16がZ軸方向に研削送りされる。
【0016】
チャックテーブル30に保持された被加工物80を研削加工する加工手段16は、軸方向がZ軸方向である回転軸160と、回転軸160を回転可能に支持するハウジング161と、回転軸160を回転駆動するモータ162と、回転軸160の下端に接続された円環状のマウント163と、マウント163の下面に着脱可能に装着された加工具164(図2のみ図示)と、ハウジング161を支持し昇降手段17の昇降板173に固定されたホルダ165とを備える。
【0017】
図2に示す加工具164は、研削ホイールであり、ホイール基台1640と、ホイール基台1640の底面に環状に配置された略直方体形状の複数の研削砥石1641とを備える。研削砥石1641は、例えば、レジンボンドやビトリファイドボンド等でダイヤモンド砥粒等が固着されて成形されている。
【0018】
回転軸160の内部には、ポンプ等からなる図示しない加工水供給源に連通し加工水の通り道となる流路167が、回転軸160の軸方向(Z軸方向)に貫通して設けられており、流路167は、さらに図2に示すようにマウント163を通り、ホイール基台1640の底面において研削砥石1641及び被加工物80に向かって加工水を噴出できるように開口している。
なお、加工具164の径方向内側、又は径方向外側から研削砥石1641と被加工物80との接触部位に対して、加工水をノズルから直接噴射して供給するものとしてもよい。
【0019】
図1、2に示すように加工装置1は、被加工物80を研削加工する際に被加工物80を吸引保持したチャックテーブル30と加工具164とを収容する加工室4を備えている。なお、図2では、図1に示す閉じられた状態の加工室4のa1-a2線断面を示している。
図1に示すように、加工室4は、装置ベース10上のコラム11の前方かつ加工手段16の下方となる位置に配設されており、その全体が直方体の箱状となっている。加工室4は、加工具164の加工室4内への進入を可能とする開口400を有する上板40と、上板40から-Z方向に垂下した4枚の側板と、を備えている。
【0020】
図1でX軸方向において対向する2枚の側板を側板41、及び側板42として、Y軸方向において対向する2枚の側板を正面板43、及び背板44とする。水平面(X軸Y軸平面)に平行な上板40の下面に側板41、側板42、正面板43、及び背板44の上端が連結しており、側板41、側板42、正面板43、及び背板44の下端は装置ベース10の上面に連結している。
【0021】
図1に示すように、例えば、-Y方向側に位置する正面板43は、その下部側が略矩形状に切り欠かれて搬入出口430が形成されており、+Y方向に向かって移動するチャックテーブル30がこの搬入出口430を通過することで、チャックテーブル30は加工室4内に収容された状態になる。正面板43には、この搬入出口430を開閉する図示しないシャッターが配設されており、該シャッターによって搬入出口430から研削水噴霧が加工室4外に飛散しないようになる。
【0022】
上板40の略中央部には、加工具164を加工室4に出入可能とする開口400が形成されている。開口400は、例えば、加工具164及びマウント163よりも少し大径の円形に形成されている。
【0023】
例えば、図1に示す上板40は、固定上板401と開閉上板472とからなり、固定上板401は、加工室4内の上方の約半分を覆っており、その+X方向側の側端から中腹にかけて半円形状に切り欠かれている。また、開閉上板472は、その-X方向側の側端から中腹にかけて半円形状に切り欠かれており、図1に示すように上板40が閉じた状態において、固定上板401の半円形状の切り欠き部分及び開閉上板472の半円形状の切り欠き部分によって開口400が加工手段16の直下に形成される。
【0024】
加工室4は、上板40の一部分である開閉上板472及び側板42の一部分である図1、2に示す開閉側板471とからなり全体の断面(図2においては、図1に示すa1-a2線断面)がL字型の開閉板47と、図3に示すように開閉板47を側板42の外側面4211に向かって谷折り可能に側板42に連結する谷折りヒンジ49と、を備える。
【0025】
図1、2に示すように加工室4を閉じた状態の開閉板47の開閉上板472は、例えば水平面に平行であり、開閉上板472の上面には、例えば、作業者が掴んで開閉上板472を引き上げるための取っ手4720が取り付けられている。閉じた状態の開閉板47は、例えば、レバー型のロック機構やエビ金ハンドル等のロック機構で、作業者が該ロック機構を解除しなければ開かないようになっていてもよい。
上記ロック機構は、作業者による加工室4の開閉状態の判断によらず、加工装置1の装置全体の構成要素をそれぞれ制御する図示しない制御手段による加工室4の開閉状態の判断を伴うインターロック機構であってもよい。例えば、インターロック機構は、加工室4内に加工手段16が進入したことを感知するセンサから信号を受け取ると、被加工物80が研削加工されている状態の加工室4を作業者が誤って開いてしまわないように、開閉板47をロックする。
【0026】
谷折りヒンジ49は、側板42を構成する固定側板421の外側面4211と開閉側板471の外側面に、軸ピン490を加工室4の室外に露出するようにして図示しない固定ボルトによって羽根板491が取り付けられている。そして、谷折りヒンジ49によって、図2に示すように折り線となる軸ピン490が開閉側板471と固定側板421とで形成される谷の底になるように、開閉板47を開くことが可能となる。
なお、図1に示す例においては、谷折りヒンジ49は1つ配設されているが、複数枚の谷折りヒンジ49をY軸方向に並列させて配設してもよい。
【0027】
以下に、図1に示すチャックテーブル30に保持された被加工物80を研削加工する場合の加工装置1の動作について説明する。
まず、被加工物80がチャックテーブル30の保持面3002に載置され吸引保持される。次いで、図示しないY軸方向移動手段が、被加工物80を保持したチャックテーブル30を+Y方向へ移動させる。また、加工室4の図示しないシャッターが開き、チャックテーブル30が正面板43の搬入出口430を通り加工室4内に搬入された後、該シャッターが閉じられる。
【0028】
図1に示す被加工物80を保持したチャックテーブル30が加工手段16の下まで移動して、加工具164の回転中心が被加工物80の回転中心に対して所定の距離だけ水平方向にずれ、研削砥石1641(図2参照)の回転軌跡が被加工物80の回転中心を通るように位置合わせされる。次いで、加工手段16が昇降手段17により所定の研削送り速度で-Z方向へと送られ、加工手段16が上板40の開口400を通り加工室4内に進入していく。そして、所定の回転速度で回転する加工具164の研削砥石1641が被加工物80の上側を向いた裏面802に当接することで研削加工が行われる。また、チャックテーブル30が所定の回転速度で回転することに伴い保持面3002上に保持された被加工物80も回転するので、被加工物80の裏面802の全面が研削される。研削加工中は、研削水を図2に示す流路167を通して研削砥石1641と被加工物80との接触部位に対して供給して、接触部位を冷却・洗浄する。
【0029】
上記のように被加工物80に対して研削砥石1641で研削加工を施していくことで、研削砥石1641は磨耗していくため、適宜のタイミング(例えば、複数枚の被加工物80を研削した後等)で加工具164の交換を行う必要がある。その際に、加工室4の開閉板47を開いた状態にして、作業者が加工室4内の加工具164にアクセスできるようにする。
【0030】
ここで、まず、図4、5に示す従来の加工装置2における問題点について説明する。加工装置2は、開閉板46の構成が本発明に係る加工装置1と開閉板47の構成と異なっており、それ以外の構成は図1、2に示す加工装置1と略同様となっている。
図4、5に示す加工装置2の開閉板46は、側板42とは別体となっており、上板40のみの一部となっている。そして、開閉板46は、開閉板46の上面に配設された山折りヒンジ461と、開閉板46の下面に配設された谷折りヒンジ462とを備えている。
【0031】
まず、従来の加工装置2において、加工室4を開く場合には、作業者が取っ手4720を把持して、図4においては閉じられた状態の開閉板46を上側に引き上げることで、山折りヒンジ461及び谷折りヒンジ462をそれぞれ支点として回動させて、図5に示すように開閉板46の大部分を加工室4上で斜めに立ち上げた状態として、加工室4にアクセス開口4600を形成する。そして、加工室4内にあるチャックテーブル30及び加工具164が露出した状態とすることが可能になったため、作業者が加工具164にアクセスして新しいものと交換することができる。
【0032】
しかし、図5に示すように、従来の加工装置2の加工室4は、上記のように上板40の一部分である開閉板46のみしか開かず、形成されたアクセス開口4600が小さく、作業者が例えば治具を介して持った加工具164を加工室4に進入、又は加工室4から退出させる作業が難しかった。
【0033】
対して、本発明に係る加工装置1において、加工室4を開く場合には、まず、作業者が取っ手4720を把持して、図1、2においては閉じられた状態の開閉板47を上側に引き上げることで、図3に示すように、谷折りヒンジ49を支点として側板42の固定側板421の外側面4211に向かって回動させていく。そして、最終的に、谷折りヒンジ49を完全に開いて図3に示すように開閉板47の開閉側板471の外側面を固定側板421の外側面4211に対面させて固定する。その結果、加工室4に大きなアクセス開口477が形成された状態になる。そして、加工室4内にあるチャックテーブル30及び加工具164が露出した状態とすることが可能になったため、作業者が加工具164に容易にアクセスして新しいものと交換することができる。
【0034】
このように、本発明に係る加工装置1は、保持面3002で被加工物80を保持するチャックテーブル30と、被加工物80を加工する加工具164を装着した加工手段16と、チャックテーブル30と加工具164とを収容する加工室4と、を備え、加工室4は、加工具164の加工室4内への進入を可能とする開口400を有する上板40と、上板40から垂下した側板42と、上板40の一部分である開閉上板472及び側板42の一部分である開閉側板471とからなり断面がL字型の開閉板47と、開閉板47を側板42の外側面4211に向かって谷折り可能に側板42に連結する谷折りヒンジ49と、を備えることで、加工室4を開く際に上板40の一部分である開閉上板472と側板42の一部分である開閉側板471とが開閉板47として谷折りヒンジ49によって開くため、従来の加工装置1よりも作業者が加工室4内に手を入れることが可能なアクセス開口477を大きくする事ができ、加工具164を加工室4に進入、又は加工室4から退出させる作業が容易となり、作業時間を短縮させることや加工具164の該作業時の不手際による破損を防ぐことが可能になった。
【0035】
本発明に係る加工装置1は上記実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。また、添付図面に図示されている加工装置1の構成等についても、これに限定されず、本発明の効果を発揮できる範囲内で適宜変更可能である。
【0036】
例えば、図1においては2点鎖線の仮想線で示し、図6、7においては実線で示すように、開閉板47は、加工室4を閉じた際に上板40の一部分となる板、即ち、本実施形態においては開閉上板472を図6に示すように水平方向(X軸Y軸平面方向)に平行に延在させ、図7に示すように加工室4を開いた際に上板40の一部分となる開閉上板472を側板41を構成する固定側板421の内側面4212に向かって山折り可能とする山折りヒンジ48を備えてもよい。
【0037】
この場合においては、開閉上板472は、開口400を形成する第1開閉上板4721と、固定側板421と一体的に形成された第2開閉上板4722とを備えている。そして、山折りヒンジ48は、第1開閉上板4721の内側面と第2開閉上板4722の内側面とに、軸ピン480を加工室4の室内側に向けて図示しない固定ボルトによって羽根板481が取り付けられている。
なお、図示の例においては、山折りヒンジ48は1つ配設されているが、複数枚の山折りヒンジ48をY軸方向に並列させて配設してもよい。
【0038】
図6に示すように、開閉板47が閉じられた状態においては、例えば、図示しないロック機構によって第1開閉上板4721が固定され、山折りヒンジ48によって第1開閉上板4721が加工室4内に垂れ下がってしまうことはない。
【0039】
加工室4の開閉板47を開いた状態にして、作業者が加工室4内の加工具164にアクセスできるようにする場合には、まず、作業者が図6に示す取っ手4720を把持して、閉じられた状態の開閉板47を上側に引き上げることで、谷折りヒンジ49を支点として側板42の固定側板421の外側面4211に向かって回動させていく。さらに、山折りヒンジ48の図7に示すように折り線となる軸ピン480が第1開閉上板4721と第2開閉上板4722とで形成される山の頂になるように、山折りヒンジ48によって、第1開閉上板4721が側板42の内側面4212に向かって山折りされる。これによって、加工室4を開いた状態にしつつ、開閉板47をコンパクトに折りたたまれた状態にして、装置スペースの縮小を図ることが可能となる。
そして、図7に示すように、加工室4内にあるチャックテーブル30及び加工具164を露出した状態とすることが可能になったため、作業者が加工具164にアクセスして新しいものと交換することができる。
【0040】
なお、図7においては、第1開閉上板4721を谷折りヒンジ49上に載せて、第1開閉上板4721の重みによって、開閉板47が開かれた状態を維持している場合を示しているが、例えば、谷折りヒンジ49を完全に開いて開閉側板471の外側面を固定側板421の外側面4211に対面させて固定し、さらに、第1開閉上板4721を開閉側板471に対して斜めに立てかけるようにして、開閉板47が開かれた状態を維持してもよい。または、図7に示す固定側板421の外側面4211にアーム状の背もたれストッパーを設けて、開閉上板472が折りたたまれた状態の開閉板47が該背もたれストッパーによって支持されて、開閉板47が開かれた状態を維持してもよい。
なお、開閉側板471を谷折りヒンジ49側が低くなるように背もたれストッパーで支持することで、研削加工中などに開閉側板471の内側面に付着した研削水を加工室内に垂れ落ちさせるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
80:被加工物 801:被加工物の表面 802:被加工物の裏面
1:加工装置 10:装置ベース
30:チャックテーブル 300:吸着部 3002:保持面 301:枠体
39:カバー 390:蛇腹カバー 399:ウォータケース
11:コラム 17:昇降手段 16:加工手段 160:回転軸 164:加工具
167:流路
4:加工室 40:上板 400:開口 401:固定上板 41:側板
42:側板 421:固定側板 4211:固定側板の外側面 4212:固定側板の内側面 43:正面板 430:搬入出口 44:背板
47:開閉板 472:開閉上板 4720:取っ手 471:開閉側板
49:谷折りヒンジ 490:軸ピン 491:羽根板
48:山折りヒンジ 480:軸ピン 481:羽根板
2:従来の加工装置 46:開閉板 461:山折りヒンジ 462:谷折りヒンジ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7