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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】金属層をパターニングする方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3213 20060101AFI20240621BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20240621BHJP
   H01L 21/3065 20060101ALI20240621BHJP
   H01L 21/302 20060101ALI20240621BHJP
   H01L 21/306 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L21/88 C
H01L21/302 105Z
H01L21/302 201A
H01L21/306 F
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2021529724
(86)(22)【出願日】2019-09-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-24
(86)【国際出願番号】 US2019053778
(87)【国際公開番号】W WO2020112237
(87)【国際公開日】2020-06-04
【審査請求日】2022-09-30
(31)【優先権主張番号】62/773,999
(32)【優先日】2018-11-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ナラマス, オムカラム
(72)【発明者】
【氏名】ゴデット, ルドヴィーク
(72)【発明者】
【氏名】ワン, イーフェイ
(72)【発明者】
【氏名】フー, ジンシン
【審査官】早川 朋一
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-302798(JP,A)
【文献】特開平08-097214(JP,A)
【文献】特開2010-165732(JP,A)
【文献】特表2018-506449(JP,A)
【文献】特開平08-232083(JP,A)
【文献】国際公開第2009/066750(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3205-21/3215
H01L 21/768
H01L 23/52
H01L 23/522-23/532
H01L 21/306-21/308
H01L 21/465-21/467
C23F 1/10-1/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属相互接続層を形成する方法であって、
基板上にモリブデン層を形成すること
前記モリブデン層の上にマスキング層を形成すること
前記マスキング層をパターニングして前記モリブデン層の一部を露出すること
前記モリブデン層の露出された部分を酸素で修飾して前記モリブデン層の酸化モリブデン部分を形成すること
前記酸化モリブデン部分の多結晶構造を形成するために、250℃から550℃の間の温度及び25バールから55バールの間の圧力で、前記基板をアニーリングすること、及び
前記基板のアニーリング後に、前記基板から前記酸化モリブデン部分を除去すること
を含む、方法。
【請求項2】
前記モリブデン層の露出された部分が酸素プラズマドーピングによって修飾される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記モリブデン層の露出された部分が直接酸素注入によって修飾される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記モリブデン層の酸化モリブデン部分がドライエッチング処理によって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記モリブデン層の酸化モリブデン部分がウェットエッチング処理によって除去される、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記モリブデン層の酸化モリブデン部分が、pH10の緩衝液によってウェットエッチングされる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記モリブデン層の酸化モリブデン部分が、アンモニア溶液によってウェットエッチングされる、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記直接酸素注入が、KeVから30KeVの間の電位で行われる、請求項3に記載の方法。
【請求項9】
前記ウェットエッチングが、2分から10分の間の持続時間で行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
前記緩衝液が、四ホウ酸ナトリウム及び水酸化ナトリウムを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項11】
前記アンモニア溶液が、28%w/wから30%w/wの濃度の水酸化アンモニウムを含む、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、半導体デバイス構造を形成する方法に関する。より詳細には、本開示の実施形態は、基板上に金属層をパターニングする方法に関する。
【背景技術】
【0002】
集積回路は、単一チップ上に数百万個ものトランジスタ、コンデンサ、及び抵抗を含むことができる複雑なデバイスへと進化を遂げている。チップ設計の進化は、結果的により高い回路密度をもたらし、チップの処理能力及び速度を向上させてきた。より高い回路密度を伴う、より速い処理能力に対する要求は、そのような集積回路を製造するために用いられる材料についても、対応する要求を課す。特に、集積回路部品の寸法が10nm未満のスケールに縮小されるにつれて、そのような部品から適切な電気的性能を得るために、低抵抗率の導電性材料、並びに低誘電率の絶縁材料が用いられている。
【0003】
相互接続は、集積回路のさまざまな電子部品間の電気接続を提供し、これらの要素と、集積回路を他の回路に接続するためのデバイスの外部接触要素(例えば、ピン)との間の接続を形成する。従来、銅は、相互接続層にとって最適な材料であった。しかしながら、10nm未満のスケールでは、従来の銅の相互接続は導電率の低下を示し、銅は高度なノードにとって望ましくない材料となる。最近、相互接続材料としての銅の欠点を克服するために、代替となる材料が求められている。そのような材料の1つがモリブデンである。モリブデンの相互接続は、10nm未満のスケールでも望ましい電気的特性を示す。しかし、モリブデンは高硬度の金属であることから、モリブデン相互接続層は、半導体デバイスの製造中のパターニングが依然として困難である。
【0004】
したがって、モリブデン層をパターニングするための改善された方法が、当技術分野で必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
一実施形態では、モリブデン相互接続層をパターニングする方法が提供される。該方法は、基板上にモリブデン層を形成することを含む。次に、マスキング層がモリブデン層の上に形成され、パターニングされて、モリブデン層の領域を周囲に露出する。モリブデンの露出された領域は、酸素で修飾されて、モリブデン相互接続層の酸化モリブデン部分を形成する。修飾後、モリブデン相互接続層の酸化モリブデン部分は、エッチングプロセスによって基板から除去される。
【0006】
一実施形態では、パターニングされた基板上に金属相互接続層を形成する方法が提供される。該方法は、パターニングされた基板上にモリブデン層を形成することを含む。マスキング層がモリブデン層上に形成され、該マスキング層は、モリブデン層の望ましくない領域を周囲に露出するようにパターニングされる。次に、パターニングされた基板を中性粒子ビームに曝露して、モリブデン層の望ましくない領域を除去する。
【0007】
一実施形態では、基板上に金属相互接続層をパターニングする方法が提供される。該方法は、基板上にモリブデン相互接続層を形成することを含む。マスクがモリブデン層上に形成され、パターニングされて、モリブデン相互接続層の領域を露出する。次に、基板を基板処理チャンバの基板処理領域に配置し、約20バールから約55バールの範囲内の分圧及び約250℃から約550℃の範囲内の温度で気相HOに曝露して、後でモリブデン相互接続の露出領域を除去する。
【0008】
本開示の上記の特徴を詳細に理解できるように、その一部が添付の図面に示されている実施形態を参照することにより、上に簡単に要約されている本開示のより詳細な説明を得ることができる。しかしながら、添付の図面は例示的な実施形態を示しているにすぎず、したがって、その範囲を限定するとみなすべきではなく、他の等しく有効な実施形態も許容されうることに留意されたい。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態による、半導体デバイスなどのデバイスのモリブデン相互接続層をパターニングする方法のフロー図
図2A】本開示の一実施形態による、基板上の1つ以上の層の一部が除去される前のモリブデン層を含む半導体デバイスの一部の概略的な断面図
図2B】本開示の一実施形態による、基板上の1つ以上の層の一部が修飾された後のモリブデン層を含む半導体デバイスの一部の概略的な断面図
図2C】本開示の一実施形態による、基板上の1つ以上の層の一部が修飾された後のモリブデン層を含む半導体デバイスの一部の概略的な断面図
図2D】本開示の一実施形態による、基板上の1つ以上の層の一部が除去された後のモリブデン層を含む半導体デバイスの一部の概略的な断面図
図3】本開示の一実施形態による、半導体デバイスなどのデバイスのモリブデン相互接続層をパターニングする方法のフロー図
図4A】本開示の一実施形態による、基板上の1つ以上の層の一部が除去される前のモリブデン層を含む半導体デバイスの一部の概略的な断面図
図4B】本開示の一実施形態による、基板上の1つ以上の層の一部が除去された後のモリブデン層を含む半導体デバイスの一部の概略的な断面図
図4C】本開示の一実施形態による、基板上の1つ以上の層のさらなる部分が除去された後のモリブデン層を含む半導体デバイスの一部の概略的な断面図
図5】本開示の一実施形態による、半導体デバイスなどのデバイスのモリブデン相互接続層をパターニングする方法のフロー図
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、図面に共通する同一の要素を示すために同一の参照番号が用いられる。一実施形態の要素及び特徴は、さらなる記載がなくとも、他の実施形態に有益に組み込むことができることが企図されている。
【0011】
本開示は、デバイスの相互接続構造を製造するためのプロセスの一部として、デバイス(例えば、半導体デバイス)の金属層をパターニングして、相互接続層に特徴を形成するための方法を提供する。本開示の方法は、選択性が改善された、モリブデン層をパターニングするためのプロセスについて説明する。例えば、本開示は、他のデバイス構造又は材料を損傷することなく、アニーリング又はエッチングすることによって、モリブデン層の領域を修飾し、除去するための方法を提供する。
【0012】
図1は、一実施形態による、半導体デバイスなどのデバイスのモリブデン層をパターニングする方法100のフロー図である。幾つかの実施形態では、モリブデン層は、基板表面に直接配置することができる。幾つかの実施形態では、モリブデン層は、バリア金属層などの別の金属層上に配置することができる。他の実施形態では、モリブデン層は、二酸化ケイ素層などの誘電体層上に配置することができる。モリブデン層のパターニングは、デバイスの相互接続構造を製造するために使用することができる。パターニングする方法100は、プラズマ処理チャンバ又は他の適切な処理チャンバなどの処理チャンバ内で行うことができる。以下に、方法100のさまざまな段階におけるモリブデン層を含むデバイスを示している図2A~2Cに示される図と併せて、図1の方法100を説明する。さらには、方法100は、相互接続構造を形成するために利用されるモリブデン層に関して以下に説明されるが、該方法100はまた、他の金属含有層と共に、他の半導体デバイス製造用途において有利に使用することもできる。
【0013】
動作102では、モリブデン層202を含む半導体デバイス200(図2A参照)が、例えばエッチング処理チャンバなどのプラズマ処理チャンバ(図示せず)内に位置づけられる。半導体デバイス200は、製造工程にある、又は製造のさまざまな段階にある1つ以上の半導体デバイスを含むことができる。図2Aは、一実施形態による、基板201上に配置された1つ以上の層の一部が除去される前のモリブデン層202を含む半導体デバイス200の一部の概略的な断面図である。図2Aの図は、モリブデン層202の一部を修飾するために初期のパターニングプロセス(例えば、酸化プロセス)が行われる前の半導体デバイス200を示している。
【0014】
半導体デバイス200は、基板201を含む。基板201は、とりわけ、シリコン、結晶シリコン、酸化ケイ素、歪みシリコン、シリコンゲルマニウム、ドープされた又はドープされていないポリシリコン、シリコンオンインシュレータ(SOI)、炭素がドープされた酸化ケイ素、窒化ケイ素、ドープされたシリコン、ゲルマニウム、ヒ化ガリウム、ガラス、又はサファイアなどの適切な材料から形成することができる。幾つかの実施形態では、基板201は、200mm、300mm、450mm、又は他の直径の円形基板である。他の実施形態では、基板201は、長方形の基板又は正方形の基板である。SOIが基板201に用いられる実施形態では、該基板201は、シリコン結晶基板上に配置された埋め込み誘電体層をさらに含みうる。
【0015】
モリブデン層202は基板201上に配置される。一実施形態では、モリブデン層202は、基板201上に直接、かつ基板201と接触して配置される。他の実施形態では、モリブデン層202は、誘電体層などの中間層(図示せず)上に配置することができる。これらの実施形態では、中間層は、基板201上に直接、かつ基板201と接触して配置され、モリブデン層202は中間層上に配置される。モリブデン層202は、集積回路の複数の要素又はデバイスを接続するための相互接続層として用いられる。
【0016】
半導体デバイス200は、製造の1つ以上の段階中に、マスキング層203をさらに含む。マスキング層203は、モリブデン層202上に直接、又は誘電体層などの中間層(図示せず)上に形成することができる。幾つかの実施形態では、マスキング層は、ウェットエッチング溶液と反応しない材料で形成される。幾つかの実施形態では、マスキング層は低硬度材料で形成される。他の実施形態では、マスキング層203は、カーボンハードマスクなどのハードマスクである。カーボンハードマスクの代替として、又はカーボンハードマスクに加えて、マスキング層203は、他の高硬度材料で形成することができる。高硬度材料の例には、炭化タングステン(WC)、ホウ化炭化タングステン(tungsten boron carbide)(WBC)、窒化タングステン(WN)、ホウ化ケイ素(SiB)、炭化ホウ素(BC)、アモルファスカーボン、窒化ホウ素(BN)、炭化窒化ホウ素(BCN)、又は別の同様の材料が含まれるが、これらに限定されない。上述のマスキング層203の材料には、化合物(例えば、タングステンと炭素の等量化合物、化学量論的化合物など)、又はドープされた材料(例えば、少量の炭素を含むタングステン層)が含まれうる。本明細書に記載される他の実施形態と組み合わせることができる幾つかの実施形態では、マスキング層203は、ナフトキノンジアジド(NQD)又は他の適切な光反応性材料などの感光性材料でできたフォトレジストである。他の実施形態では、
【0017】
幾つかの実施形態では、基板201は熱酸化された基板である。熱酸化された基板を含む実施形態では、モリブデン層202は、基板201上に直接形成することができる。熱酸化された基板は、モリブデン層202に接触する表面に酸素を含む。以下に説明するようにモリブデン層202の一部を除去して熱酸化された基板を露出させると、熱酸化された基板からの酸素を使用して、半導体デバイス200の露出した表面上にパッシベーション層(図示せず)が形成される。パッシベーション層は、エッチングプロセスがモリブデン層202を打ち破る際に、さらなるエッチングを停止するか、又は実質的に低減する。例えば、熱酸化された基板からの酸素は、モリブデン層202をエッチングするために用いられるシリコン含有ガスからのシリコン原子と結合して、半導体デバイス200の露出された部分上に酸化ケイ素のパッシベーション層を形成し、エッチングプロセスを停止することができる。パッシベーション層は、本明細書では、一部には、熱酸化された基板からの酸素によって形成されると説明されているが、酸素は、モリブデン層202の下に直接ある、酸素を含む層に由来してもよい。
【0018】
幾つかの実施形態では、半導体デバイス200は、バリア層(図示せず)及び低誘電率絶縁誘電体層(図示せず)をさらに含むことができる。低誘電率絶縁誘電体層は、モリブデン層202と基板201との間の基板201上に配置される。バリア層は、モリブデン層202と低誘電率絶縁誘電体層との間の低誘電率絶縁誘電体層の上に配置することができる。バリア層は、窒化タンタル(TaN)、窒化チタン(TiN)、窒化アルミニウム(AIN)、窒化タンタルシリコン(TaSiN)、窒化チタンケイ素(TiSiN)、窒化ケイ素(SiN)、酸窒化ケイ素(SiON)、炭化ケイ素(SiC)、(イソシアン化ケイ素(silicon isocyanide))SiNC、シリコンオキシカーバイド(SiOC)、又は他の適切な材料から製造することができる。さらには、低誘電率絶縁誘電体層は、SiO含有材料、SiN含有材料、SiOC含有材料、SiC含有材料、炭素系材料、又は他の適切な材料から形成することができる。
【0019】
動作104では、マスキング層203の一部が除去されて、図2Bに示されるように、モリブデン層202の露出された部分222を形成する。図2Bは、一実施形態による、モリブデン層202上に配置されたマスキング層203の一部が除去された後の半導体デバイス200の一部の概略的な断面図である。マスキング層203のこれらの部分の除去により、図2Bにトレンチとして示されるボイド205がマスキング層203に形成され、該ボイド205の底部はモリブデン層202の露出された部分222によって形成(すなわち、境界、又は部分的に画成)されている。したがって、マスキング層203の一部の除去により、モリブデン層202の一部が露出する。
【0020】
マスキング層203に上記の材料(すなわち、WCなどの高硬度材料)を使用することにより、モリブデン層202の上の特徴を選択的にエッチングするプロセスを改善することができるが、最終的には、マスキング層203の一部又はすべてが除去されて、トランジスタ構造など、デバイス上に特徴が形成される。
【0021】
動作106では、モリブデン層202の露出された部分222が修飾される。一実施形態では、露出された部分222が酸化されて、酸化モリブデン部分223を形成する。図2Cは、一実施形態による、モリブデン層202の露出された部分222が酸化された後のモリブデン層202を含む半導体デバイス200の一部の概略的な断面図である。
【0022】
露出された部分222は、直接酸素イオン注入又は酸素プラズマドーピングを含むがこれらに限定されないさまざまな方法によって酸化することができる。例えば、注入された酸素イオンは、モリブデン層202の露出された部分222に対して実質的に垂直な経路で衝撃を受け、露出された部分222に浸透することができる。注入されたイオンは、酸素イオンにエネルギーを与えるために利用される電力及びバイアスに応じて、露出部分222にさまざまな深さで浸透することができる。例えば、露出された部分222には、約5KeVから約30KeV、例えば約10KeVから約20KeVの加速電圧に、約0.5E16イオン/cm2から約5E17イオン/cm2、例えば約1E16イオン/cm2から約1E17イオン/cm2の範囲の用量でエネルギーを与えられた酸素イオンを用いて注入することができる。例えば、露出された部分222には、10KeV及び1E17イオン/cm2の用量でエネルギーを与えられた酸素イオンを用いて注入することができる。
【0023】
イオン注入は、ビームライン又はプラズマ注入ツールによって行うことができる。本明細書に記載される実施形態に従って有利に使用することができる適切な市販の処理プラットフォームは、米国カリフォルニア州サンタクララ所在のApplied Materials,Inc.社から入手可能なVIISTA(登録商標)PLAD(商標)プラットフォームである。他の製造業者による他の適切に構成された注入技術プラットフォームもまた、本明細書の実施形態に従って使用することができることが想定されている。
【0024】
幾つかの実施形態では、露出された部分222の酸素イオン注入の後、半導体デバイス200は、アニーリングされて、酸化モリブデン部分223の多結晶構造を形成する。半導体デバイス200は、炉アニーリング又は急速熱アニーリング、例えば、ランプアニーリング又はレーザアニーリングなどのさまざまな方法によってアニーリングされる。一実施形態では、デバイス構造200は、約200℃から約600℃の間の温度、約0.5バールから約75バールの間の水蒸気圧力、及び約15分から約2時間の間の持続時間でアニーリングされる。幾つかの例では、デバイス構造200は、約250℃から約550℃の間、例えば約300℃から約500℃の間、例えば約350℃から約450℃の間の温度でアニーリングされる。幾つかの例では、デバイス構造200は、約25バールから約55バールの間、例えば約30バールから約50バールの間、例えば約35バールから約45バールの間の圧力でアニーリングされる。幾つかの例では、デバイス構造200は、約30分から約1.5時間の間、例えば45分から75分の間の持続時間の間、アニーリングされる。一例では、デバイス構造200は、325℃及び55バールの条件で約60分間アニーリングされる。
【0025】
幾つかの実施形態では、熱アニーリングは、高圧で、かつ水素、重水素、フッ素、塩素、アンモニウム、又は高圧ガスアニーリングのための他の適切なガスなどの処理ガスの存在下で行われる。半導体デバイス200を高圧レベルでアニーリングすることにより、例えば350℃未満の低温であっても、酸化モリブデン部分223の多結晶構造の形成が容易になる。
【0026】
動作108では、酸化モリブデン部分223が半導体デバイス200から除去されて、パターニングされたモリブデン層204を形成する。図2Dは、酸化モリブデン部分223が除去された後のパターニングされたモリブデン層204を含む基板201の一部の概略的な断面図である。酸化モリブデン部分223の除去により、パターニングされたモリブデン層204に、図2Dにトレンチとして示されるボイド205が形成され、該ボイド205の底部は基板201の上面207によって形成されている。
【0027】
酸化モリブデン部分223は、ウェットエッチング又はドライエッチングプロセスを含む、酸化モリブデンに対して選択的な任意の適切なエッチングプロセスによって基板201から除去することができる。例えば、酸化モリブデン部分223は、アンモニア溶液を用いたウェットエッチングによって基板201から除去される。アンモニア溶液は、酸化された部分223に対して選択的である。したがって、酸化された部分223は除去され、一方、酸化されていないパターニングされたモリブデン層204は、アンモニア溶液によって除去されない。アンモニア溶液は、約26%w/wから約30%w/w、例えば約28%w/wの濃度の水酸化アンモニウムを含みうる。半導体デバイス200は、酸化モリブデン部分223の所望の深さをエッチングするために、例えば約2分から約10分の間の持続時間でアンモニア溶液に曝されうる。
【0028】
本明細書に記載される例及び実施形態と組み合わせることができる別の例では、酸化モリブデン部分223は、pH10の緩衝液を用いたウェットエッチングによって半導体デバイス200から除去される。pH10の緩衝液は、四ホウ酸ナトリウム又は水酸化ナトリウムなどのナトリウム化合物を含む。半導体デバイス200は、酸化モリブデン部分223の所望の深さをエッチングするために、例えば約2分から約10分の間の持続時間でpH10緩衝液に曝されうる。酸化モリブデン部分223を選択的にエッチングするためのアンモニア溶液又はpH10緩衝液のいずれかの使用は、酸化されていないパターニングされたモリブデン層204又は半導体デバイス200の他の材料層及びデバイス構造を損なうことなく、酸化モリブデン部分223をエッチングする。
【0029】
図3は、一実施形態による、中性原子ビームエッチングによって半導体デバイスなどのデバイスのモリブデン層をパターニングする方法300のフロー図である。図1及び2に示される実施形態と同様に、モリブデン層202は、基板201上に直接、若しくは金属層又は誘電体層などの別の層上に配置することができる。本実施形態によるモリブデン層202のパターニングは、半導体デバイス200の相互接続構造を製造するために使用することができる。パターニングする方法300は、プラズマ処理チャンバなどの処理チャンバ内、又は中性原子ビームエッチング装置内で行われる。以下は、方法300のさまざまな段階におけるモリブデン層202を含む図2の半導体デバイス200を示す図4A~4Cに示される図と併せて、図3の方法300を説明している。さらには、方法300は、相互接続構造を形成するために利用されるモリブデン層202に関して以下に説明されるが、該方法300はまた、モリブデン以外の材料と共に、他の半導体デバイス製造用途において有利に使用することができる。
【0030】
動作302では、モリブデン層202を含む半導体デバイス200(図4A参照)は、例えばエッチング処理チャンバなどのプラズマ処理チャンバ(図示せず)内に位置づけられる。半導体デバイス200は、製造工程にある、又は製造のさまざまな段階にある1つ以上の半導体デバイスを含むことができる。図4Aは、一実施形態による、基板201上に配置された1つ以上の層の一部が除去される前のモリブデン層202を含む半導体デバイス200の一部の概略的な断面図である。図4Aの図は、モリブデン層202の一部を修飾するためにパターニングプロセス(例えば、中性ビームエッチング)が行われる前の半導体デバイス200を示している。
【0031】
動作304では、マスキング層203の一部が除去されて、図4Bに示されるように、モリブデン層202の露出された部分222を形成する。図4Bは、一実施形態による、モリブデン層202上に配置されたマスキング層203の一部が除去された後の半導体デバイス200の一部の概略的な断面図である。マスキング層203のこれらの部分の除去により、図4Bにトレンチとして示されるボイド205がマスキング層203に形成され、該ボイド205の底部は、モリブデン層202の露出された部分222によって形成(すなわち、境界、又は部分的に画成)されている。したがって、マスキング層203の一部の除去により、モリブデン層202の一部が露出する。
【0032】
動作306では、モリブデン層202の露出された部分が半導体デバイス200から除去されて、パターニングされたモリブデン層204を形成する。図4Cは、モリブデン層202の露出された部分222が除去された後のパターニングされたモリブデン層204を含む半導体デバイス200の一部の概略的な断面図である。露出された部分222の除去により、パターニングされたモリブデン層204に、図4Cにトレンチとして示されるボイド205が形成され、該ボイド205の底部は基板201の上面によって形成されている。
【0033】
図3及び4によって示される実施形態では、モリブデン層202の露出された部分222は、加速原子ビームプロセスによって半導体デバイス200から除去することができる。本明細書に記載される実施形態に従って有利に使用することができる適切な市販の処理プラットフォームは、米国マサチューセッツ州ビレリカ所在のExogenesis Corp.社から入手可能なNanoAccel(商標)プラットフォームである。他の製造業者による他の適切に構成された加速原子ビームプラットフォームもまた、本明細書の実施形態に従って使用することができることが想定されている。
【0034】
一例では、モリブデン層202の露出された部分222は、ガスクラスタイオンビーム(GCIB)エッチングによって除去することができる。モリブデン層202のGCIBエッチング中に、加圧された不活性ガスは、処理チャンバ内のモリブデン層202の露出された部分222の方へと流れ、拡大し、かつ加速されて、露出された部分222の最も外側の原子にエネルギーを伝達して、該原子を除去させることができる。一実施形態では、ガスクラスタイオンビームは、アルゴンガスから形成される。他の実施形態では、酸素(O)、窒素(N)、メタン(CH)、及び六フッ化硫黄(SF)を含めた追加のガスを不活性ガスと組み合わせて、ガスクラスタイオンビームを形成することができる。
【0035】
ガスクラスタイオンビームは、モリブデン層202の所望の部分に浸透してパターニングされたモリブデン層204を形成するように、マスキング層203のボイド205を通って実質的に垂直な経路に導かれうる。したがって、半導体デバイス200上の他のデバイス構造又は材料層は、ガスクラスタイオンビームエッチング中に損傷を受けないまま残される。ガスクラスタイオンビームは、10KeVから40KeV、例えば15KeVから35KeVの加速電圧へと加速させることができる。例えば、ガスクラスタイオンビームは、25KeVの加速電圧へと加速させることができる。半導体デバイス200は、2~20秒の間を含む、例えば約0秒から約30秒の間の任意の適切な線量時間の間、ガスクラスタイオンビームに曝露されうる。例えば、半導体デバイス200は、6、8、10、14、又は18秒の線量時間の間、ガスクラスタイオンビームに曝露されうる。
【0036】
本明細書に記載される実施形態及び例と組み合わせることができる別の例では、加速中性原子ビーム(ANAB)エッチングを使用して、半導体デバイス200からモリブデン層202の露出された部分222を除去する。GCIBエッチングと同様に、加速中性原子ビームエッチングは、加速されたガスクラスタイオンのビームを利用するが、ガスクラスタは解離され、電荷は露出された部分222の表面に衝突する前に除去される。加速された中性原子ビームは、モリブデン層202の所望の部分に浸透するように、マスキング層203のボイド205を通って実質的に垂直な経路に導かれうる。さらには、中性原子ビーム内の各原子は、比較的低いエネルギーを有し、ほんの少しの原子層の限定された表面修飾をもたらし、したがって、他の材料及び層又は半導体デバイス200へのエッチング損傷を大幅に低減又は排除する。
【0037】
加速された中性原子ビームは、10KeVから40KeV、例えば15KeVから35KeVの加速電圧へと加速される。例えば、加速された中性原子ビームは、25KeVの加速電圧へと加速される。半導体デバイス200は、2~20秒の間を含む、例えば約0秒から約30秒の間の任意の適切な線量時間の間、加速された中性原子ビームに曝露される。例えば、半導体デバイス200は、6、8、10、14、又は18秒の線量時間の間、加速された中性原子ビームに曝露されうる。アルゴンなどの不活性ガスを使用して、加速された中性原子ビームを形成することができる。幾つかの実施形態では、(O)、窒素(N)、メタン(CH)、及び六フッ化硫黄(SF)を含めた追加のガスを不活性ガスと組み合わせることができる。ANABエッチングは、任意の適切なエッチング条件で行うことができる。
【0038】
図5は、一実施形態による、高圧水アニールによって半導体デバイスなどのデバイスのモリブデン層をパターニングする方法500のフロー図である。図1~4に示される実施形態と同様に、モリブデン層は、基板表面に直接、若しくは金属層又は誘電体層などの別の層上に配置することができる。本明細書に記載される他の実施形態及び例と組み合わせることができる、本実施形態によるモリブデン層のパターニングは、デバイスの相互接続構造を製造するために使用することができる。パターニングする方法500は、エッチング処理チャンバなどのプラズマ処理チャンバ内、又は他の適切な処理装置内で行われる。方法500は、相互接続構造を形成するために利用されるモリブデン層に関して以下に説明されるが、該方法500はまた、モリブデン以外の材料と共に、他の半導体デバイス製造用途において有利に使用することもできる。
【0039】
動作302では、モリブデン層を含む半導体デバイスが、例えばエッチング処理チャンバなどのプラズマ処理チャンバ(図示せず)内に位置づけられる。半導体デバイスは、製造工程にある1つ以上の半導体デバイスを含むことができる。半導体デバイスは、例えば、図2及び4に関して説明した基板201、モリブデン層202、及びマスキング層203と同様に、基板、該基板の上に配置されたモリブデン層、及びマスキング層をさらに含む。半導体デバイスはまた、バリア層又は低誘電率絶縁層など、基板上に配置された他の材料層も含むことができる。
【0040】
動作504では、マスキング層の一部が除去されて、モリブデン層の露出された部分を形成する。マスキング層のこれらの部分の除去により、マスキング層にボイド205が形成され、該ボイド205の底部は、モリブデン層の露出された部分によって形成されている。マスキング層の一部の除去により、モリブデン層の一部が露出する。
【0041】
動作506では、半導体デバイスは、高圧水アニール(HPWA)プロセスに曝露され、半導体デバイスからモリブデン層の露出された部分が除去される。方法500は水蒸気を利用して半導体デバイスをアニーリングする高圧水アニールを説明しているが、他のガスを使用して、高圧下で半導体デバイスをアニーリングすることができることが想定されている。例えば、半導体デバイスは、水素、重水素、フッ素、塩素、アンモニウム、又は他の適切なガスを使用して高圧でアニーリングすることができる。別の例では、半導体デバイスは、水素、重水素、フッ素、塩素、アンモニウム、及び他の適切なガスを含むガスの組合せを使用してアニーリングすることができる。
【0042】
動作506では、処理チャンバは、圧力チャンバから処理チャンバに水蒸気を供給することによって加圧され、その後、デバイスの熱アニーリング及び水蒸気の排出による処理チャンバの減圧が行われる。熱アニーリングは、約250℃から約450℃の間、例えば約300℃から約400℃の間の温度で行われる。例えば、熱アニーリングは、約325℃から約375℃の間の温度で行われる。さらには、処理チャンバは、約10バールから約75バールの間、例えば約20バールから約60バールの間の圧力へと加圧される。例えば、処理チャンバは、約30バールから約50バールの間の圧力へと加圧される。デバイスを高圧水蒸気アニーリングに曝露すると、モリブデン層の露出された部分が除去され、したがって、他のデバイス構造又は材料層を損傷することなく、パターニングされたモリブデン層が形成される。
【0043】
本開示の実施形態は、デバイスの相互接続構造を製造するためのプロセスの一部として、デバイスの金属層をパターニングして相互接続層に特徴を形成する方法を含む。特に、本開示の方法は、選択性が改善された、モリブデン層をパターニングするためのプロセスについて記載している。モリブデン層のパターニングにおける選択性の向上により、大きいアンダーカット、並びに半導体デバイス内に積層された他の層及び構造に対する損傷を含めた、高硬度材料のパターニングに関連する欠点なしに、相互接続構造及び他の金属層の形成が可能になる。したがって、本明細書で提供される方法は、モリブデン及び他の高硬度金属を、相互接続構造などのデバイス構造にとってより望ましく実用的な材料にする。
【0044】
上記は本開示の実施形態を対象としているが、本開示の基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態及びさらなる実施形態を考案することができ、その範囲は、以下の特許請求の範囲によって決定される。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B
図4C
図5