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特許7507815荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーシステムを使用し、一意的チップを製作するための方法及びシステム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーシステムを使用し、一意的チップを製作するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/027 20060101AFI20240621BHJP
   H01J 37/305 20060101ALI20240621BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
H01L21/30 541W
H01L21/30 541J
H01J37/305 B
G03F7/20 504
【請求項の数】 11
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022128576
(22)【出願日】2022-08-12
(62)【分割の表示】P 2019513090の分割
【原出願日】2017-09-08
(65)【公開番号】P2022163167
(43)【公開日】2022-10-25
【審査請求日】2022-08-15
(31)【優先権主張番号】62/385,049
(32)【優先日】2016-09-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】15/389,558
(32)【優先日】2016-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/458,040
(32)【優先日】2017-02-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】504151804
【氏名又は名称】エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ.
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】ファン・ケルフィンク、マルセル・ニコラース・ヤコブス
(72)【発明者】
【氏名】カウペル、フィンセント・シルベスター
【審査官】田中 秀直
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-521641(JP,A)
【文献】特表2012-527765(JP,A)
【文献】特開2001-337439(JP,A)
【文献】特開2002-107904(JP,A)
【文献】特開2011-108830(JP,A)
【文献】特開2002-351931(JP,A)
【文献】特表2014-509812(JP,A)
【文献】特表2003-515930(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/20-7/24
G03F 9/00-9/02
H01L 21/027
H01J 37/305
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マスクレスパターンライターを備えるマスクレスリソグラフィー露光システムを使用し、電子デバイスを作成する方法であって、
前記方法は、
ベクトルベースの入力設計ファイルを事前に処理して、共通チップ設計データを備えるビットマップフォーマットのパターンデータを生成することと、
前記マスクレスパターンライターに前記パターンデータをストリーム配信する前に、前記パターンデータの中に非共通チップ設計データ又は非共通チップ設計データに関係する情報を導入することと
を含み、
前記共通チップ設計データは、前記パターンデータの制御下で前記マスクレスパターンライターを使用しウェハ上に作成される電子デバイスの共通設計レイアウト部分を定義し、前記共通設計レイアウト部分は前記ウェハ上に作成される他の電子デバイスと同一であり、
前記非共通チップ設計データは、前記パターンデータの制御下で前記マスクレスパターンライターを使用し前記ウェハ上に作成される前記電子デバイスの非共通設計レイアウト部分を定義し、前記非共通設計レイアウト部分は前記ウェハ上に作成される他の電子デバイスとは異なり、前記非共通チップ設計データは前記電子デバイスの機能に関係するものであり、
前記方法は、
一意的データジェネレータにおいて前記非共通チップ設計データを生成することであって、前記マスクレスリソグラフィー露光システムは前記一意的データジェネレータを備える、前記非共通チップ設計データを生成することと、
前記一意的データジェネレータにおいて、製造データベースから、製造されるチップに関係する製品識別情報又はシリアルナンバー情報を受信することと、
前記一意的データジェネレータにおいて、鍵管理サービスから識別/鍵の対のバッチを受信することと、
前記受信された製品識別情報又はシリアルナンバー情報、及び前記受信された識別/鍵の対を使用し、前記非共通チップ設計データの前記生成を制御することと、
をさらに含む方法。
【請求項2】
前記ウェハの前記共通設計レイアウト部分及び前記非共通設計レイアウト部分が、前記パターンデータの制御下で電子ビーム露光を使用し、前記マスクレスパターンライターによって露光される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記非共通チップ設計データが、一意的データジェネレータから受信される秘密データに基づいて生成される、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記秘密データが、秘密鍵及び秘密IDのうちの少なくとも1つを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記一意的データジェネレータが、暗号化されたフォーマットで外部プロバイダから前記秘密データを受信する、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記非共通チップ設計データが、2つ以上の層の間のビア接続を記述する設計データを含み、及び/又は、前記非共通チップ設計データが、電気回路要素のアクティブ領域を記述する設計データを含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記非共通チップ設計データの処理が、安全な操作環境において実行される、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
マスクレスパターンライターを備えるマスクレスリソグラフィー露光システムであって、
前記マスクレスリソグラフィー露光システムは、パターンデータに従ってターゲットの表面にパターンを露光するように構成され、
前記パターンデータは、ベクトルベースの入力設計ファイルを事前に処理することによって入手されるビットマップフォーマットであり、共通チップ設計データを備え、
前記マスクレスリソグラフィー露光システムは、前記マスクレスパターンライターに前記パターンデータをストリーム配信する前に、前記パターンデータの中に非共通チップ設計データを挿入するように構成され、
前記共通チップ設計データは、前記パターンデータの制御下で前記マスクレスパターンライターを使用しウェハ上に作成される電子デバイスの共通設計レイアウト部分を定義し、前記共通設計レイアウト部分は前記ウェハ上に作成される他の電子デバイスと同一であり、
前記非共通チップ設計データは、前記パターンデータの制御下で前記マスクレスパターンライターを使用し前記ウェハ上に作成される前記電子デバイスの非共通設計レイアウト部分を定義し、前記非共通設計レイアウト部分は前記ウェハ上に作成される他の電子デバイスとは異なり、前記非共通チップ設計データは前記電子デバイスの機能に関係するものであり、
前記マスクレスリソグラフィー露光システムは、前記非共通チップ設計データを生成するように構成された一意的データジェネレータをさらに備え、
前記マスクレスリソグラフィー露光システムは、
前記一意的データジェネレータにおいて、製造データベースから、製造されるチップに関係する製品識別情報又はシリアルナンバー情報を受信し、
前記一意的データジェネレータにおいて、鍵管理サービスから識別/鍵の対のバッチを受信し、
前記受信された製品識別情報又はシリアルナンバー情報、及び前記受信された識別/鍵の対を使用し、前記非共通チップ設計データの前記生成を制御するように構成される、
マスクレスリソグラフィー露光システム。
【請求項9】
前記共通チップ設計データを備える前記パターンデータを生成するために使用される前記ベクトルベースの入力設計ファイルを事前に処理するように構成されたパターンデータ処理システム、及び前記共通チップ設計データを備える前記パターンデータを受信し、前記パターンデータの中に前記非共通チップ設計データを挿入するように構成されるパターンストリーマを備える、請求項8に記載のマスクレスリソグラフィー露光システム。
【請求項10】
前記マスクレスパターンライターに前記共通チップ設計データを備える前記パターンデータをストリーム配信するように構成されたパターンストリーマを備える、請求項8又は9に記載のマスクレスリソグラフィー露光システム。
【請求項11】
前記一意的データジェネレータが、秘密データを生成するように構成される、請求項9又は10に記載のマスクレスリソグラフィー露光システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本発明は、半導体チップ等の一意的電子デバイスを作成する、つまり製作する
方法に関する。より詳細には、本発明は荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー機械を使用する一意的チップの製作に関する。結果的に、本発明は等しく、いわゆる「製造工場」、つまりこの新規の方法を適用する製造施設にだけではなく、この新しい製造の方法を使用し、生産される一意的チップにも関し、改善された製造の方法を実行するために適応されたマスクレスリソグラフィー露光システムに関する。本発明はさらに、半導体チップ等の一意的電子デバイスを製作するためのパターンデータを生成するためのコンピュータによって実装される方法に関する。また本発明は、半導体チップ等の一意的電子デバイスを製作するための非共通チップ設計データを生成するためのコンピュータによって実装される方法にも関する。本発明はさらに、コンピュータによって実装される方法に関係するデータ処理システム、コンピュータプログラム製品、及びコンピュータ可読記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
[0002] 半導体業界では、リソグラフィーシステムは、通常、一般的に半導体チップと呼ばれるシリコンウェハ上に形成される集積回路の形で係る電子デバイスを作成する、つまり製作するために使用される。フォトリソグラフィーは再利用可能な光マスクを活用して所望される回路構造を表すパターンの画像を製造プロセスの一部としてシリコンウェハ上に投射する。マスクはシリコンウェハの異なる部分に、及び次のウェハに同じ回路構造を結像するために繰り返し使用され、結果的に一連の同一のチップが各ウェハと製作される。同一回路設計を有する各チップ。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
[0003] 現代では、データセキュリティ、トレーサビリティ、及び偽造に関係する多様な技術が一意的な回路若しくはコードを有する一意的チップ、又はチップの多様化のための他の一意的なハードウェア特徴に対する強まるニーズを生じさせている。係る一意的チップは既知であり、多くの場合、チップが真に一意的となることを必要とする難読化された方法でセキュリティ関連の演算を実装する。既知の一意的チップは通常、例えばマスクベースのリソグラフィーを使用し、一連の同一のチップを製造し、次いで製造後にチップの特定の接続を中断させることによって、又は特定の特徴の検査及び制御時にチップの一意性を後に評価することによってチップの製造後に実現される。このプロセスで使用されるマスクは生産するには高価であり、単一チップごとに一意的マスクを製造することは明らかにはるかに高価すぎ、そのため、マスクベースのフォトリソグラフィーは一意的チップを製作するには不適切と見なされている。
【0004】
[0004] したがって、一意的チップを作成するためにマスクレスリソグラフィーを活用することが提案されている。マスクレスリソグラフィーを用いると、ハードマスクは使用されず、代わりに回路設計を表す必要とされるパターンが、例えばウェハ等のターゲットに転写されて、マスクレスリソグラフィーシステムによって露光される回路設計レイアウトを含むGDSIIファイル又はOASISファイル等の設計レイアウトデータファイルの形でマスクレスリソグラフィーシステムに入力される。
【0005】
[0005] マスクレスリソグラフィー及びデータ入力システムは、本発明の出願人の名前で国際公開第2010/134026号に開示されている。国際公開第2010/134026号は、参照によりその全体で本明細書に援用される。開示されたマスクレスシステムは電子ビームレット等の荷電粒子ビームレットを使用し、直接的にウェハ上にパターンを書き込む。各チップを露光するための所望されるパターンはマスクの代わりにデータとして表されるため、一意的チップの製造のために係るシステムを活用するために可能になる。作成される一意的な電子デバイス又はチップを表す露光システムに入力されるパターンデータは、各一意的電子デバイスが作成されるために、例えばGDSII入力ファイル又はOASIS入力ファイル等の異なる設計レイアウトデータ入力ファイルを使用することによって一意的にされ得る。
【0006】
[0006] ともに本発明の出願人に譲受され、参照により全体として本明細書に援用される国際公開第2011/117253号及び第2011/051301号は、荷電粒子リソグラフィーシステムを使用し、作成できる電子デバイス又はチップの多様な例を開示する。
【0007】
[0007] しかしながら、安全な、少なくとも一意的なデバイスを作成する、つまり既知のマスクレス露光システムを使用する簡単な方法は、少なくとも一意的電子デバイスを安全に生産するために適応され、最適化され得ない。不都合なことに、本明細書と関連付けられたGDSIIファイル又はOASISファイル等の設計レイアウトデータファイルの処理は、通常、リソグラフィーシステムのオペレータの演算の他に実行される。さらに、処理されたGDSIIファイル/OASISファイルはより長期にわたって使用され、記憶されてよい。電子デバイス又はチップの一意性は通常、データセキュリティ、トレーサビリティ、及び偽造防止の用途に使用されるので、セキュリティの理由から一意的な電子デバイス又はチップの作成で使用される一意的な設計データの露光及び露光時間を最小限に抑えることは、所望される、洞察力しだいで基本的、及び本発明の事実上一部と見なされる。
【課題を解決するための手段】
【0008】
[0008] 本発明は、チップレイアウトの共通又は同一部分及び非共通又は一意的部分を識別することによって先行技術の特定された問題を解決し、同一部分は複数のチップにおいて同じであり、一意的部分は単一のチップに対して一意的である。一意的部分の識別は、パターンデータ若しくはパターンデータに関係する情報を導入するために、又は非常に後期の段階で、通常は制御される一意的部分の部分が少なくともいわゆる製造工場若しくは半導体製造工場の一般的な部分の、より一般的には工場の製造プロセスの一部となった後だけにマスクレス露光システムのデータ処理システムに対して同を作成するために使用される。
【0009】
[0009] また、同一部分は共通部分と呼ばれることもある。また、同一部分は個別的に取り扱われる部分又は非共通部分と呼ばれることもある。
【0010】
[0010] 製造時、光リソグラフィーがマスクレスリソグラフィー露光と併せて適用される場合、同一部分はフォトリソグラフィー又は荷電粒子マルチビームリソグラフィーを使用し、作成されてよい。ターゲット、特に電子デバイスの一意的部分は、荷電粒子マルチビームリソグラフィーを使用し、作成される。荷電粒子リソグラフィーシステムでビームレットを制御するために使用されるパターンデータは、複数のチップの作成で使用できる共通チップ設計部分、及び一意的チップの作成で使用される一意的チップ設計部分を含むように設計されてよい。一意的チップ設計部分は特に、ウェハ等のターゲットを露光する直前にパターンデータに加えることができる。これは、一意的パターンデータの形又は一意的パターンデータを作成するために使用される情報の形のどちらかであってよい。
【0011】
[0011] 有利なことに、本方法に従って安全なデバイスを作成する方法、パターンデータを生成するためのコンピュータによって実装される方法、及び非共通チップ設計データを生成するためのコンピュータによって実装される方法は、一意的設計データがリソグラフィーシステムのオペレータの制御下に留まりながら安全なデバイスが作成されることを可能にし、一意的設計データの露光時間は最小限に抑えられ、したがって既知のマスクレス露光をベースにした製造方法の使用において一意的電子デバイスを製造する際にセキュリティを適用することを可能にする主要な新しい測定及び製造方法を形成する。有利な追
加の効果は、共通チップ設計部分が複数のチップの作成で再利用できる点で、必要とされる処理電力及びメモリが低いままとなり得ることであり、一意的チップを作成する既知の簡単な方法を活用することは、マスクレスの、概して荷電粒子をベースにしたリソグラフィーを使用し、一意的チップを生産する既知の方法を活用し、製造される一意的チップ設計ごとに容量及び処理時間を必要とするだろう。
【0012】
[0012] 本発明の態様によると、電子デバイスを作成する方法が提案される。電子デバイスは例えば半導体チップである。電子デバイスは、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーシステム等のマスクレスリソグラフィー露光システムを使用し、作成できる。マスクレスリソグラフィー露光システムは、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー機械又はeビーム機械等のマスクレスパターンライターを含むリソグラフィーサブシステムを含むことがある。方法は、マスクレスパターンライターにパターンデータをストリーム配信する前に、共通チップ設計データを含むパターンデータの中に一意的チップ設計データ又は一意的チップ設計データに関係する情報を導入することを含むことがある。
【0013】
[0013] 実施形態では、マスクレスリソグラフィー露光システムはデータ処理システムを含むことがある。パターンライターは、データ処理システムによって制御できる。データ処理システムは、電子デバイスが達成される、ウェハ等のターゲットに転写されるパターンに関係するソフトウェアデータによって供給されるように適応できる。該データ処理システムによるパターンライターへのパターン化データの提供は、露光システムに供給される該パターンデータに基づいて実現できる。方法は、データ処理システムの第1のデータエントリで、特にターゲットごとにパターンデータを処理することに関係するそのインスタンスで電子デバイスがターゲットで達成されるためにパターンデータの共通部分を供給することを含むことがある。方法は、特にターゲットのフィールド等の部分ごとにパターンデータを処理できる、第1のデータエントリに対して、データ処理システムのデータフローの下流で、そのインスタンスでデータ処理システムの第2のデータエントリで一意的パターンデータ又は情報を供給することを含むことがある。
【0014】
[0014] 実施形態では、マスクレスリソグラフィー露光システムは、暗号化された方法で実行システムのプロセスジョブジェネレータに生成された一意的チップパターン又は関連情報を入力するための入力ジェネレータ、難読化された方法でパターン化データと混合されるパターン化データに暗号化されたコードを変換するパターンライターの機械制御部分を含むことがある。
【0015】
[0015] 実施形態では、一意的パターンデータ又は関連情報は、例えば該このように作成された一意的データ又は情報を用いて作成された一意的デバイスのデバイス番号との暗号化された関連付けを活用して、特に難読化された方法で、一意的チップパターン又は関連情報の入力時に生成できる、又は一意的チップパターン又は関連情報の入力と一体化できる。
【0016】
[0016] 本発明の態様によると、半導体チップ等の電子デバイスが提案される。電子デバイスは上述された方法を使用し、作成できる。
【0017】
[0017] 本発明の態様によると、ウェハを処理する方法が提案される。ウェハの製造時、ウェハの第1の部分は、ウェハ上に作成される他のチップと同一であるチップの同一部分を作成するために露光できる。ウェハの第2の部分は、ウェハ上に作成される他のチップとは異なる該チップの一意的部分を作成するために露光できる。
【0018】
[0018] 実施形態では、ウェハの第1の部分は、例えばフッ化クリプトン(KrF)レーザー露光を使用する、フォトリソグラフィーとしても知られるマスク露光を使用し、露光され、ウェハの第2の部分は電子ビーム(e-ビーム)露光を使用し、露光できる。
【0019】
[0019] 実施形態では、ウェハの第2の部分は、他のチップと再利用可能である共通チップ設計部分、及びチップにとって一意的である一意的チップ設計部分を含むパターンデータを使用し、制御されるビームレットを使用し、露光できる。
【0020】
[0020] 実施形態では、例えば化学機械平坦化が後に続くタングステンとの化学蒸着を使用し、導電層を適用するステップは、電子ビーム露光後にだけ使用できる。
【0021】
[0021] 実施形態では、ウェハは第1の下層及び第2の下層を含むことがあり、下層は例えば、マスク露光及び電子ビーム露光の両方と使用されるSOC及びSiARCハードマスク層を含む。
【0022】
[0022] 実施形態では、プロセスの開始時、ウェハは例えばKrFレジスト層等のフォトレジスト層、及びSiO2層等の絶縁層を含むことがある。方法は、マスク露光を使用し、ウェハの第1の部分でフォトレジスト層を露光し、現像することを含むことがある。方法は、現像されたフォトレジスト層に基づいて絶縁層をエッチングし、ウェハからフォトレジスト層を剥離することを含むことがある。方法は、例えばタングステンとの化学蒸着を使用し、エッチングされ、剥離された絶縁層の上に導電層を適用することを含むことがある。方法は化学機械平坦化を含むことがあり、ウェハは最上層となる絶縁層を生じさせ、マスク露光方法によって定められるような絶縁材料及び導電材料を含む。方法は、次に、第1の下層及び第2の下層であって、例えばSOC及びSiARCハードマスク層を含む下層、及びe-ビームレジスト層(206)をウェハの上に適用することを含むことがある。方法は、電子ビーム露光を使用し、ウェハの第2の部分でe-ビームレジスト層を露光し、現像することを含むことがある。方法は、現像されたe-ビームレジスト層に基づいて第1の下層及び第2の下層をエッチングし、ウェハからe-ビームレジスト層を剥離することを含むことがある。方法は、エッチングされた第1の下層及び第2の下層に基づいて絶縁層をエッチングし、ウェハから第1の下層及び第2の下層を剥離することを含むことがある。方法は、例えばタングステンとの化学蒸着を使用し、エッチングされ、剥離された絶縁層の上に追加の導電層を適用することを含むことがある。方法は、化学機械平坦化を含むことがあり、ウェハは最上層となる絶縁層を生じさせ、マスク露光方法及び電子ビーム露光方法によって定められるような絶縁材料及び導電材料を含む。
【0023】
[0023] 実施形態では、プロセスの開始時、ウェハは例えばKrFレジスト層等のフォトレジスト層、第1の下層及び第2の下層、並びにSiO2層等の絶縁層を含むことがある。方法は、マスク露光を使用し、ウェハの第1の部分でフォトレジスト層を露光し、現像することを含むことがある。方法は、現像されたフォトレジスト層に基づいて第1の下層をエッチングし、ウェハからフォトレジスト層を剥離することを含むことがある。方法は、エッチングされた第1の下層、及びウェハの第2の部分の第1の下層の部分の上にe-ビームレジスト層を適用することを含むことがある。方法は、電子ビーム露光を使用し、ウェハの第2の部分でe-ビームレジスト層を露光し、現像することを含むことがある。方法は、現像されたe-ビームレジスト層に基づいて第1の下層及び第2の下層をエッチングし、ウェハからe-ビームレジスト層を剥離することを含むことがある。方法は、エッチングされた第1の下層及び第2の下層に基づいて絶縁層をエッチングし、ウェハから第1の下層及び第2の下層を剥離することを含むことがある。方法は、例えばタングステンとの化学蒸着を使用し、ウェハの第1の部分及び第2の部分のエッチングされ、剥離された絶縁層の上に導電層を適用することを含むことがある。方法は、化学機械平坦化を含むことがあり、ウェハは最上層となる絶縁層を生じさせ、マスク露光方法及び電子ビーム露光方法によって定められるような絶縁材料及び導電材料を含む。
【0024】
[0024] 実施形態では、ウェハの第1の部分及び第2の部分は、電子ビーム露光を使用し、露光できる。
【0025】
[0025] 実施形態では、プロセスの開始時、ウェハはe-ビームレジスト層、第1の下層及び第2の下層であって、例えばSOC及びSiARCハードマスク層を含む下層、並びにSiO2層等の絶縁層を含むことがある。方法は、電子ビーム露光を使用し、ウェハのe-ビームレジスト層を露光することを含むことがあり、ウェハの第1の部分は、他のチップと再利用可能であるパターンデータの共通チップ設計部分を使用し、制御されるビームレットを使用し、露光でき、ウェハの第2の部分は、チップに対して一意的であるパターンデータの一意的チップ設計部分を使用し、制御されるビームレットを使用し、露光できる。方法は、ウェハのe-ビームレジスト層を現像することを含むことがある。方法は、現像されたe-ビームレジスト層に基づいて第1の下層及び第2の下層をエッチングし、ウェハからe-ビームレジスト層を剥離することを含むことがある。方法は、エッチングされた第1の下層及び第2の下層に基づいて絶縁層をエッチングし、ウェハから第1の下層及び第2の下層を剥離することを含むことがある。方法は、例えばタングステンとの化学蒸着を使用し、ウェハの第1の部分及び第2の部分のエッチングされ、剥離された絶縁層の上に導電層を適用することを含むことがある。方法は、化学機械平坦化を含むことがあり、ウェハは最上層となる絶縁層を生じさせ、ウェハの第1の部分及び第2の部分の両方のために電子ビーム露光方法によって定められるような絶縁材料及び導電材料を含む。
【0026】
[0026] 本発明の態様に従って、半導体チップ等の電子デバイスが提案される。電子デバイスは、説明された方法を使用し、作成できる。
【0027】
[0027] 本発明の態様によると、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーシステム等のマスクレスリソグラフィー露光システムが提案される。システムは、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー機械又は電子ビーム露光機械等のマスクレスパターンライターを含むリソグラフィーサブシステムを含むことがある。マスクレスリソグラフィー露光システムは、パターンデータに従ってウェハ等のターゲットの表面にパターンを露光するように構成できる。パターンデータは共通チップ設計データを含むことがあり、共通チップ設計データは複数のチップに適用可能なチップレイアウト設計を記述する。マスクレスリソグラフィー露光システムは、マスクレスパターンライターにパターンデータをストリーム配信する前にパターンデータの中に一意的チップ設計データを挿入するように構成できる。
【0028】
[0028] 実施形態では、パターンデータ処理システムは、共通チップ設計データを生成するために使用されるベクトルベースの入力設計ファイルを事前処理するように構成できる。パターンデータ処理システムはパターンデータ及び共通チップ設計データからパターンデータを生成するように構成できる。
【0029】
[0029] 実施形態では、マスクレスリソグラフィー露光システムはパターンデータ処理システムを含むことがある。パターンデータ処理システムは、共通チップ設計データを含むパターンデータを生成するために使用されるベクトルベースの入力設計ファイルを事前処理するように構成できる。マスクレスリソグラフィー露光システムはパターンストリーマを含むことがある。パターンストリーマは、共通チップ設計データを含むパターンデータを受信し、パターンデータの中に一意的チップ設計データを挿入するように構成できる。
【0030】
[0030] 実施形態では、マスクレスリソグラフィー露光システムは、リソグラフィーサブシステムに共通チップ設計データを含むパターンデータをストリーム配信するように構成されたパターンストリーマを含むことがある。リソグラフィーサブシステムは、パターンデータの中に一意的チップ設計データを挿入するように構成できる。
【0031】
[0031] 実施形態では、マスクレスリソグラフィー露光システムは、リソグラフィーサブシステムの動作を制御するための要素制御ユニットを含むことがある。リソグラフィーサブシステムは、例えばプロセスジョブの形をした一意的チップ設計データを要素制御ユニットから受信するように構成できる。
【0032】
[0032] 実施形態では、マスクレスリソグラフィー露光システムは、マスクレスパターンライターの動作を制御するためのホストシステムを含むことができる。リソグラフィーサブシステムは、ホストシステムから一意的チップ設計データを受信するように構成できる。
【0033】
[0033] 実施形態では、マスクレスリソグラフィー露光システムは、秘密データに基づいて一意的チップ設計データを生成するための一意データジェネレータを含むことがある。
【0034】
[0034] 実施形態では、一意的データジェネレータは、暗号化されたフォーマットで外部プロバイダから秘密データを受信するように構成できる。
【0035】
[0035] 本発明の態様によると、パターンデータを生成するためのコンピュータによって実装される方法が提案される。パターンデータは、半導体チップ等の1つ又は複数の電子デバイスの少なくとも一部を表すことができる。電子デバイスは、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーシステム等のマスクレスリソグラフィー露光システムを使用しパターンデータの制御下で作成できる。マスクレスリソグラフィー露光システムは、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー機械又はeビーム機械等のマスクレスパターンライターを含むリソグラフィーサブシステムを含むことがある。方法は、マスクレスパターンライターにパターンデータをストリーム配信する前に、パターンデータを入手するために共通チップ設計データの中に非共通チップ設計データ又は非共通チップ設計データに関係する情報を挿入することを含むことがある。
【0036】
[0036] 実施形態では、共通チップ設計データは、パターンデータの制御下でマスクレスパターンライターを使用しウェハ上に作成される電子デバイスの共通設計レイアウト部分を定義できる。共通設計レイアウト部分は、ウェハ上に作成される他の電子デバイスと同一であることがある。非共通チップ設計データは、パターンデータの制御下でマスクレスパターンライターを使用しウェハ上に作成される該電子デバイスの非共通設計レイアウト部分を定義できる。非共通設計レイアウト部分は、ウェハ上に作成される他のチップとは異なることがある。
【0037】
[0037] 実施形態では、共通設計レイアウト部分が電子デバイスの集合のすべての電子デバイスに対して同じであることがある。非共通設計レイアウト部分は、集合の電子デバイスの部分集合に対してだけ同じであることがあり、集合の電子デバイスの他の電子デバイスに対しては異なる。
【0038】
[0038] 実施形態では、共通チップ設計データは、複数のチップに適用可能なチップレイアウト設計の少なくとも一部分を記述できる。共通チップ設計データは、チップレイアウトの少なくとも1つの層のために、複数の電気回路要素及び電気回路要素間の複数の接続の内の少なくとも1つを記述する設計データを含むことがある。
【0039】
[0039] 実施形態では、一意的又は非共通チップ設計データは、複数のチップのうちの単一のチップに適用可能なチップレイアウト設計の少なくとも一部分を記述することがある。一意的又は非共通チップ設計データは、チップレイアウトの少なくとも1つの層のために、複数の電気回路要素及び電気回路要素間の複数の接続の内の少なくとも1つを記述する設計データを含むことがある。
【0040】
[0040] 実施形態では、一意的又は非共通チップ設計データは、チップレイアウトの1つの層のためだけに、複数の電気回路要素及び電気回路要素間の複数の接続の内の少なくとも1つを記述する設計データを含むことがある。
【0041】
[0041] 実施形態では、一意的又は非共通チップ設計データは、チップレイアウトの2つ以上の層の間のビア接続を記述する設計データを含むことがある。
【0042】
[0042] 実施形態では、一意的又は非共通チップ設計データは、チップレイアウトの電気回路要素のアクティブ領域を記述する設計データを含むことがある。
【0043】
[0043] 実施形態では、方法はさらに、プロセスジョブから非共通チップ設計データ又は非共通チップ設計データに関係する情報を抽出することを含むことがある。
【0044】
[0044] 実施形態では、方法は、ベクトルベースのデータフォーマットで非共通チップ設計データ及び共通チップ設計データを処理することを含むことがある。
【0045】
[0045] 実施形態では、方法はさらに、共通チップ設計データの中に非共通チップ設計データを挿入する前に、共通チップ設計データをベクトルベースのデータフォーマットからビットマップベースのデータフォーマットにラスタ化することを含むことがある。
【0046】
[0046] 実施形態では、方法さらに、マスクレスパターンライターにパターンデータをストリーム配信する前に、ブランカーデータフォーマットにパターンデータをラスタ化することを含むことがある。
【0047】
[0047] 実施形態では、方法は、マスクレスパターンライターにパターンデータをストリーム配信することをさらに含むことがある。
【0048】
[0048] 本発明の態様によると、上述された方法を実行するように構成できるリソグラフィーシステムが提案される。
【0049】
[0049] 本発明の態様によると、上述された実施形態のうちの1つ又は複数の実施形態のデータを生成するための方法を実行するように構成されたプロセッサを備えるデータ処理システムが提案される。
【0050】
[0050] 本発明の態様によると、半導体チップ等の電子デバイスが提案される。電子デバイスは上述されたマスクレスリソグラフィー露光システムを使用し、作成できる。
【0051】
[0051] 実施形態では、電子デバイスは任意の他の作成された半導体チップとは異なる真に一意的半導体チップであることがある。
【0052】
[0052] 本発明の態様に従って、半導体チップ等の電子デバイスが提案される。電子デバイスは、集合の半導体チップのすべてに対して同じである共通設計レイアウト部分、及び集合の半導体チップの部分集合に対してだけ同じであり、集合の半導体チップの他の半導体チップに対しては異なる非共通設計レイアウト部分を含む、半導体チップの集合の要素であることがある。非共通設計レイアウト部分は、非共通設計レイアウト部分の作成中にマスクレスリソグラフィー露光システムに提供された秘密データに基づいてマスクレスリソグラフィー露光システムを使用し、作成できる。
【0053】
[0053] 本発明の態様に従って、半導体チップ等の電子デバイスが提案される。電子デバイスは半導体チップの集合の要素であることがある。半導体チップは、集合の半導体チップのすべてに対して同じである共通設計レイアウト部分、及び集合の半導体チップの部分集合だけに対して同じである非共通設計レイアウト部分を含む、半導体チップの3つ以上の層に形成される共通設計レイアウト部分及び非共通設計レイアウト部分を含むことがある。非共通設計レイアウト部分は、第1の層の上方に層の第2の層を有し、第1の層の下方に層の第3の層を有する、層の少なくとも第1の層に形成できる。
【0054】
[0054] 本発明の態様に従って、半導体チップ等の電子デバイスが提案される。電子デバイスは半導体チップの集合の要素であることがある。半導体チップは、集合の半導体チップのすべてに対して同じである共通設計レイアウト部分、及び集合の半導体チップの部分集合だけに対して同じである非共通設計レイアウト部分を含む、半導体チップの複数の層に形成される共通設計レイアウト部分及び非共通設計レイアウト部分を含むことがある。非共通設計レイアウト部分は、複数の層の金属層の間の接続、金属層と複数の層の接触層のゲートとの間の接続、複数の層のローカル相互接続層の接続、及び複数の層の内の1つのトランジスタ又はダイオードのP-ドープアクティブ領域又はN-ドープアクティブ領域の内の少なくとも1つを含むことがある。
【0055】
[0055] 実施形態では、共通設計レイアウト部分及び非共通設計レイアウト部分は、電子回路を形成するために相互接続できる。
【0056】
[0056] 実施形態では、電子デバイスはチャレンジを受け取るための少なくとも1つの入力端子、及びレスポンスを出力するための少なくとも1つの出力端子を含むことがある。電子回路は、少なくとも1つの入力端子と少なくとも1つの出力端子に接続されたチャレンジ-レスポンス回路を形成できる。チャレンジ-レスポンス回路は、少なくとも1つの入力端子に適用されたチャレンジに基づいて少なくとも1つの出力端子でレスポンスを生成するために適応できる。チャレンジ及びレスポンスは、所定の関係性を有することがある。
【0057】
[0057] 本発明の態様によると、半導体製作工場が提案される。半導体製作工場は、上述されたマスクレスリソグラフィー露光システムを含むことがある。
【0058】
[0058] 本発明の態様によると、コンピュータ可読非一時的記憶媒体上で実装されるコンピュータプログラム製品が提案され、該コンピュータ可読非一時的記憶媒体は、コンピュータプログラム製品がコンピュータによって実行されると、上述された実施形態のうちの1つ又は複数の実施形態のデータを生成するための方法をコンピュータに実行させる命令を備える。
【0059】
[0059] 本発明の態様によると、コンピュータによって実行されると、上述された実施形態のうちの1つ又は複数の実施形態のデータを生成するための方法をコンピュータに実行させる命令を備えるコンピュータ可読非一時的記憶媒体が提案される。
【0060】
[0060] 本発明の態様によると、非共通チップ設計データを生成するためのコンピュータによって実装される方法が提案される。方法は、外部プロバイダから秘密データを受信することを含むことがある。方法は、秘密データに基づいて非共通チップ設計データを生成することをさらに含むことがあり、非共通チップ設計データがマスクレスパターンライターを使用し、ウェハ上に作成される電子デバイスの非共通設計レイアウト部分を定義し、非共通設計レイアウト部分がウェハ上に作成される他のチップとは異なる。
【0061】
[0061] 実施形態では、秘密データは暗号化された形で受信できる。方法は、非共通チップ設計データを生成する前に秘密データを復号することをさらに含むことがある。
【0062】
[0062] 実施形態では、秘密データは、秘密鍵及び秘密識別のうちの少なくとも1つを含むことがある。
【0063】
[0063] 実施形態では、方法はさらに、製造データベースから製造されるチップに関係する製品識別情報又はシリアルナンバー情報を受信することをさらに含むことがある。方法はさらに、鍵管理サービスから識別/鍵の対のバッチを受信することを含むことがある。方法はさらに、受信された製品識別情報又はシリアルナンバー情報、及び受信された識別/鍵の対を使用し、非共通チップ設計データの生成を制御することを含むことがある。
【0064】
[0064] 本発明の態様によると、上述された実施形態のうちの1つ又は複数の実施形態の非共通チップ設計データを生成するための方法を実行するように構成されたプロセッサを備えるデータ処理システムが提案される。
【0065】
[0065] 本発明の態様によると、コンピュータ可読非一時的記憶媒体上で実装されるコンピュータプログラム製品が提案され、該コンピュータ可読非一時的記憶媒体は、コンピュータプログラム製品がコンピュータによって実行されると、上述された実施形態のうちの1つ又は複数の実施形態の非共通チップ設計データを生成するための方法をコンピュータに実行させる命令を備える。
【0066】
[0066] 本発明の態様によると、コンピュータによって実行されると、上述された実施形態のうちの1つ又は複数の実施形態の非共通チップ設計データを生成するための方法をコンピュータに実行させる命令を備えるコンピュータ可読非一時的記憶媒体が提案される。
【0067】
[0067] 本発明の多様な態様及び実施形態は、以下の発明を実施するための形態及び特許請求の範囲にさらに定義される。
【0068】
[0068] 以後、本発明の実施形態は追加の詳細で説明される。しかしながら、これらの実施形態が本発明の保護の範囲を制限するとして解釈されてはならないことが理解されるべきである。
【0069】
[0069] 実施形態は、ここで対応する参照記号が対応する部分を示す添付概略図面を参照してほんの一例として説明される。
【図面の簡単な説明】
【0070】
図1】[0070] 本発明の例示的な実施形態の簡略化された一意的チップ及び複数の一意的チップを有するウェハを示す図である。
図2】[0071] 荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーシステムの例示的な実施形態の簡略化された概略図である。
図3】[0072] 例示的なマスクレスリソグラフィーシステムを示す概念図である。
図4A】[0073] 本発明に係るリソグラフィーシステムのためのネットワークアーキテクチャの例示的な実施形態の概略図である。
図4B】本発明に係るリソグラフィーシステムのためのネットワークアーキテクチャの例示的な実施形態の概略図である。
図4C】本発明に係るリソグラフィーシステムのためのネットワークアーキテクチャの例示的な実施形態の概略図である。
図4D】本発明に係るリソグラフィーシステムのためのネットワークアーキテクチャの例示的な実施形態の概略図である。
図5】[0074] 数直線ラスタ化を使用するデータ経路の実施形態の例示的な機能流れ図である。
図6】[0075] 本発明の例示的実施形態に従って一意的チップを作成するプロセスを示す図である。
図7】[0076] 本発明の別の例示的実施形態に従って一意的チップを作成するプロセスを示す図である。
図8】[0077] 本発明の別の例示的実施形態に従って一意的チップを作成するプロセスを示す図である。
図9】[0078] 本発明の例示的実施形態に従って非共通チップ設計データ及びパターンデータを生成するためのコンピュータによって実装される方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0071】
[0079] 図は例示目的のためだけに意図され、特許請求の範囲によって策定される範囲又は保護の制限として役立たない。
【0072】
[0080] 以下の例では半導体チップが参照されるが、本発明がチップに制限されず、より概して個別的に取り扱われる、例えば一意的な特徴を有する電子デバイスの作成に適用することが理解されるべきである。電子デバイスは読出し専用メモリ(ROM)であってよい。例えば、個別的に取り扱われるROM負荷を有するチップのバッチは、本発明を使用し、作成され得る。係るバッチは、通常、例えば1つ又は1つ未満のウェハから作成される小型バッチである。
【0073】
[0081] また、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーによって実行されるプロセスは電子ビームつまりe-ビーム露光とも呼ばれている。電子ビーム露光方法はマスクレス露光方法である。電子ビーム露光中にウェハ等のターゲットを書き込むために使用される電子ビームもビームレットとも呼ばれている。
【0074】
[0082] 一意的チップは、他のチップに関して一意的となるように設計される。これは、例えば、元の一意的チップが損傷を受ける場合に使用するためのスペアの一意的チップを作成するために、同じチップのバッチを作成するために、又は他のなんらかの理由で本発明を使用し、複数の一意的チップを作ることができる可能性を除外しない。任意の他の半導体チップとは機能的に異なる一意的半導体チップは、真に一意的チップと呼ばれてよい。また、チップ上で視覚的に可読な一意的IDの作成は一意的チップの作成として見なされてもよい。一意的チップのコピーは、異なるウェハ上でチップの作成を繰り返すことによって作られてよい、又は単一のウェハは一意的チップの1つ又は複数のコピーを含んでよい。
【0075】
[0083] 図1は、共通部分101及び個別的に取り扱われる領域102を含む例示的な簡略化された一意的チップ100を示す。共通部分101はウェハ24上に作成される他のチップで複製されて、同じ同一の部分を有する複数のチップを生じさせることがある。個別的に取り扱われる領域102は、ウェハ24上に作成される他のチップとは異なってよい。これは、一意的チップ100及び各一意的チップが異なる個別的に取り扱われる領域を有する39の他の一意的チップを含むウェハ24が示される図1の上部に示される。結合された共通部分101及び個別的に取り扱われる領域102は、一意的チップ100を生じさせることがある。
【0076】
[0084] 個別的に取り扱われる領域102は、黒の点によって図1の真中部分に示されるビア等の特定の構造を選択し、書き込むことによって実現されてよい。他の一意的チップはビア等の異なる構造を有してよく、結果的に電気回路の層の中又は層の間で異なる相互接続を実現させる。
【0077】
[0085] 特定の構造の代わりに又は特定の構造に加えて、金属層の間の他の接続、金属層と例えば接触層の中のゲートとの間の接続、ローカル相互接続層の接続、及び/又はトランジスタ若しくはダイオードの特定の部分のPインプラント若しくはNインプラントが、個別的に取り扱われる領域102を実現するために選択され、書き込まれてよい。
【0078】
[0086] 共通部分101は、フォトリソグラフィー又は荷電粒子マルチビームリソグラフィーを使用し、作成されてよい。個別的に取り扱われる領域は、通常、荷電粒子マルチビームリソグラフィーを使用し、作成される。さらに、荷電粒子リソグラフィーシステムでビームレットを制御するために使用されるパターンデータは、ウェハ上の複数のチップに使用される共通チップ設計部分、及び個別的に取り扱われる領域に使用される一意的部分を含むように設計されてよい。背景技術の項に述べられた理由により、共通チップ設計部分及び一意的チップ設計部分を含むパターンデータを同時に生成することは望ましくない。したがって、リソグラフィーシステムは、一意的チップ設計部分のパターンデータの中への挿入を後の段階で、つまりウェハの実際のパターン化に近く可能にするように適応されている。これは、図4A図4D及び図5と併せてより詳細に説明される。
【0079】
[0087] 図2は、マスクレスパターンライターを実装するために使用されてよい荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー機械1の例示的な実施形態の簡略化された概略図を示す。係るリソグラフィー機械は、適切に複数のビームレットを生成するビームレットジェネレータ、変調されたビームレットに該ビームレットをパターン化するビームレット変調器、及びターゲットの表面の上に該ビームレットを投射するためのビームレットプロジェクタを含む。ターゲットは例えばウェハである。ビームレットジェネレータは通常ソース、及び少なくとも1つのアパーチャアレイを含む。ビームレット変調器は通常ブランキングデフレクタアレイ及びビームストップアレイを有するビームレットブランカーである。ビームレットプロジェクタは通常走査デフレクタ及び投射レンズ系を含む。
【0080】
[0088] 図2に示される実施形態では、リソグラフィー機械1は、均質の拡大する電子ビーム4を作り出すための電子ソース3を含む。ビームエネルギーは、好ましくは約1~10keVの範囲で相対的に低く維持される。他の設定値も使用され得るが、これを達成するために、加速電圧は好ましくは低く、電子ソースは好ましくは接地電位でターゲットに対して約-1~-10kVの間に維持される。
【0081】
[0089] 電子ソース3からの電子ビーム4は、二重オクタポール、及びその後電子ビーム4を平行にするためのコリメータレンズ5を通過してよい。理解されるように、コリメータレンズ5は任意のタイプの視準光学システムであってよい。その後、電子ビーム4は、1つの適切な実施形態ではアパーチャアレイ6Aであるビームスプリッタに衝突することがある。アパーチャアレイ6Aはビームの部分を遮ってよく、複数のサブビーム20がアパーチャアレイ6Aを通過できるようにしてよい。アパーチャアレイは、好ましくはスルーホールを有するプレートを含む。したがって、複数の平行な電子サブビーム20が作り出されてよい。
【0082】
[0090] 第2のアパーチャアレイ6Bは、各サブビームからいくつかのビームレット7を作成してよい。また、ビームレットはe-ビームとも呼ばれている。より多くのビームレット又はより少ないビームレットを使用することも可能であることは言うまでもないが、システムは多数のビームレット7、好ましくは約10,000~1,000,000のビームレットを生じさせてよい。平行にされたビームレットを生成するために他の既知の方法も使用されてよいことに留意されたい。これはサブビームの操作を可能にし、このことは、特にビームレットの数を5,000以上に増加させるときにシステム運用にとって有益となることが判明する。例えば、係る操作は例えば映写レンズの平面で光軸にサブビームを集中させる集光レンズ、コリメータ、又はレンズ構造によって実行される。
【0083】
[0091] 集光レンズアレイ21(又は集光レンズアレイのセット)は、ビームストップアレイ10の対応する開口部に向かってサブビーム20を集束するために、アパーチャアレイ6Aを作成するサブビームの後方に含まれてよい。第2のアパーチャアレイ6Bはサブビーム20からビームレット7を生成してよい。ビームレット作成アパーチャアレイ6Bは好ましくはビームレットブランカーアレイ9と組み合わせて含まれる。例えば、両方ともサブアセンブリを形成するためにともに組み立てられてよい。図2では、アパーチャアレイ6Bは各サブビーム20から3つのビームレット7を作り出し、ビームレット7は、3つのビームレットが端部モジュール22の映写レンズ系によってターゲットの上に投射されるように、対応する開口部でビームストップアレイ10に衝突する。実際には、はるかに多数のビームレットが端部モジュール22の映写レンズ系ごとにアパーチャアレイ6Bによって作り出されてよい。サブビームあたりのビームレットの数は200以上に増加することがあるが、一実施形態では、(7x7のアレイに配列された)49のビームレットが各サブビームから生成されてよく、単一映写レンズ系を通して向けられる。
【0084】
[0092] サブビーム20の中間段階を通してビームレット7をビーム4からステップごとに生成することは、主要な光学演算が相対的に限られた数のサブビーム20を用いて、及びターゲットから相対的に遠い位置で実行されてよいという優位点を有する。1つの係る演算は、映写レンズ系の内の1つに対応する点へのサブビームの集束である。好ましくは、演算と集束点との間の距離は集束点とターゲットとの間の距離よりも大きい。最も適切には、これと組み合わせて静電映写レンズが使用される。この集束演算は、高度ノードで、特に90nm未満の臨界寸法を有するノードで確実な荷電粒子ビームリソグラフィーを行うために、システムがスポットサイズの削減、電流の増加、及び点広がりの削減の要件を満たすことを可能にする。
【0085】
[0093] ビームレット7は次に変調器9のアレイを通過してよい。この変調器9のアレイは、それぞれ電子ビームレット7の内の1つ又は複数を偏向できる複数のブランカーを有するビームレットブランカーアレイを含んでよい。ブランカーはより詳細には、第1の電極及び第2の電極を具備する静電デフレクタであってよく、第2の電極はアース端子又は共通電極である。ビームレットブランカーアレイ9はビームストップアレイ10とともに変調装置を構成する。ビームレット制御データに基づいて、変調手段8は電子ビームレット7にパターンを加えてよい。パターンは端部モジュール22の中に存在する構成要素を使用してターゲット24の上に投射されてよい。
【0086】
[0094] 本実施形態では、ビームストップアレイ10は、ビームレットが通過するのを可能にするためのアパーチャのアレイを含む。ビームストップアレイは、他の形状も使用されてよいが、その基本的な形で、スルーホール、通常は丸い穴を具備した基板を含んでよい。一実施形態では、ビームストップアレイの基板8はスルーホールの規則的間隔のアレイを有するシリコンウェハから形成され、表面帯電を防ぐために金属の表面層で被覆されてよい。一実施形態では、金属は、CrMo等の自然酸化物膜を形成しないタイプであってよい。
【0087】
[0095] 一実施形態では、ビームストップアレイ10の通路はビームレットブランカーアレイ9の穴と位置合わせされてよい。ビームレットブランカーアレイ9及びビームレットストップアレイ10はビームレット7を遮る又は通過させるために、通常ともに機能する。ビームレットブランカーアレイ9がビームレットを偏向させる場合、ビームレットはビームレットストップアレイ10の対応するアパーチャを通過しないが、代わりにビームレットブロックアレイ10の基板によって遮られる。しかしながら、ビームレットブランカーアレイ9がビームレットを偏向させない場合、次いでビームレットはビームレットストップアレイ10の対応するアパーチャを通過し、次いでターゲット24のターゲット表面13上にスポットとして投射される。
【0088】
[0096] リソグラフィー機械1は、ビームレットブランカーアレイ9に例えばパターンビットマップデータの形をとるビームレット制御データを供給するためのデータ経路をさらに含んでよい。ビームレット制御データは光ファイバを使用し、送信されてよい。各光ファイバ端部からの変調された光ビームはビームレットブランカーアレイ9の受光素子に投射されてよい。各光ビームは受光素子に結合された1つ又は複数の変調器を制御するためにパターンデータの一部を保持してよい。
【0089】
[0097] その後、電子ビームレット7は端部モジュールに進入してよい。以下、用語「ビームレット」は変調されたビームレットを指す。係る変調されたビームレットは実際には時間的に一連の部分を含む。これらの一連の部分の内のいくつかはより低い強度を有し、好ましくはゼロ強度-つまり、ビームストップで停止される部分-を有してよい。いくつかの部分は、以後の走査期間中、ビームレットの開始位置への位置決めを可能にするためにゼロ強度を有してよい。
【0090】
[0098] 端部モジュール22は、好ましくは、多様な構成要素を含む挿入可能で置換可能なユニットとして構築される。本実施形態では、端部モジュールはビームストップアレイ10、走査デフレクタアレイ11、及び映写レンズ構成12を含んでよいが、これらのすべてが端部モジュールに含まれる必要はなく、それらは異なって配置されてもよい。
【0091】
[0099] 変調されたビームレット7はビームレットストップアレイ10を通過後、偏向されていないビームレット7の方向に実質的に垂直のX-方向及び/又はY-方向での各ビームレット7の偏向を提供する走査デフレクタアレイ11を通過してよい。本実施形態では、デフレクタアレイ11は、相対的に小さい駆動電圧の印加を可能にする走査静電デフレクタであってよい。
【0092】
[00100] 次に、ビームレットは映写レンズ構成12を通過してよく、ターゲット平面でターゲット、通常はウェハのターゲット表面24の上に投射されてよい。リソグラフィー用途の場合、ターゲットは通常荷電粒子感知層又はレジスト層を具備したウェハを含む。映写レンズ構成12はビームレットの焦点を合わせ、例えば直径約10~30ナノメートルの幾何学的なスポットサイズを生じさせてよい。係る設計の映写レンズ構成12は、例えば約100~500倍の縮小を提供する。この好ましい実施形態では、映写レンズ構成12は有利なことにターゲット表面の近くに位置する。
【0093】
[00101] いくつかの実施形態では、ビームプロテクタはターゲット表面24と焦点合わせ映写レンズ構成12との間に位置してよい。ビームプロテクタは、レジスト粒子がリソグラフィー機械の感光性素子のいずれかに到達できる前にウェハから放たれたレジスト粒子を吸収するための、必要とされるアパーチャを具備した箔又はプレートであってよい。代わりに又はさらに、走査偏向アレイ9は映写レンズ構成12とターゲット表面24との間に設けられてよい。
【0094】
[00102] 大まかに言うと、映写レンズ構成12はターゲット表面24にビームレット7を集束する。それとともに、映写レンズ構成12は、単一ピクセルのスポットサイズが正しいことをさらに保証する。走査デフレクタ11はターゲット表面24上でビームレット7を偏向させてよい。それとともに、走査デフレクタ11は、ターゲット表面24上のピクセルの位置がマイクロスケールで正しいことを保証する必要がある。特に、走査デフレクタ11の動作は、ピクセルが、究極的にはターゲット表面24上にパターンを構成するピクセルのグリッドの中にうまく収まることを保証する必要がある。ターゲット表面上でのピクセルのマクロスケール位置決めが、ターゲット24の下方に存在するウェハ位置決めシステムによって適切に可能になることが理解される。
【0095】
[00103] 係る高品質の投射は、再現性のある結果を提供するリソグラフィー機械を入手するために関連性があることがある。一般に、ターゲット表面24は基板の上部にレジスト膜を含む。レジスト膜の部分は、荷電粒子のビームレット、つまり電子の印加によって化学的に修飾されてよい。その結果として、膜の照射された部分は現像液中で多かれ少なかれ溶解性であり、ウェハ上にレジストパターンを生じさせてよい。ウェハ上のレジストパターンは、その後下位層に、つまり半導体製造の技術で既知の実装ステップ、エッチングステップ、及び/又は付着ステップによって転写されてよい。明らかに、照射が一様ではない場合、レジストは一様に現像されず、パターンの間違いにつながることがある。さらに、係るリソグラフィー機械の多くは複数のビームレットを使用する。照射の違いは、偏向ステップから生じるべきではない。
【0096】
[00104] 図3は、3つの高レベルサブシステム、つまりウェハ位置決めシステム25、電子光学コラム20、及びデータ経路30に分けられた例示的な荷電粒子リソグラフィーシステム1Aの概念図を示す。ウェハ位置決めシステム25はx-方向で電子光学コラム20の下でウェハ24を移動する。ウェハ位置システム25は、電子光学コラム20によって生成される電子ビームレットとウェハを位置合わせするためにデータ経路サブシステム30からの同期信号を具備してよい。電子光学コラム20は、図2に示される荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー機械1を含んでよい。また、ビームレットブランカーアレイ9の切替えは、パターンビットマップデータを使用し、データ経路サブシステム30を介して制御されてもよい。
【0097】
[00105] 図4A図4Dでは、データ経路サブシステム30の例示的な実施形態が、データ経路サブシステム30を形成する制御インタフェース及びデータインタフェースを有するリソグラフィーシステム301A~301Dについて示される。図は3つのインタフェース、つまりクラスタインタフェース303、クラスタ要素インタフェース305、及びリソグラフィーサブシステムインタフェース307を有する階層構成を示す。それぞれが例えば図2に示される荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー機械1を含む複数のリソグラフィーサブシステム316が示される。リソグラフィーサブシステム316上にしかないことが考えられる。
【0098】
[00106] サブシステム316は、例えばウェハ装填サブシステム(WLS)、ウェハ位置決めサブシステム(WPS)、電子ビームレットを生成するための照明光学系サブシステム(ILO)、リソグラフィー要素にビーム切替えデータをストリーム配信するためのパターンストリーム配信サブシステム(PSS)、電子ビームレットをオン及びオフに切り替えるためのビーム切替えサブシステム(BSS)、ウェハの上にビームレットを投射するための投射光学系サブシステム(POS)、ビーム測定サブシステム(BMS)、及び計測学サブシステム(MES)を含む。
【0099】
[00107] 各サブシステム316は依存せずに機能してよく、命令を記憶するためのメモリ、及び命令を実行するためのコンピュータプロセッサを含んでよい。メモリ及びプロセッサはプラグインクライアント(PIC)315として各サブシステムに実装されてよい。サブシステムの適切な実装は、例えばLinux(登録商標)オペレーティングシステムを実行するパーソナルコンピュータを含んでよい。サブシステムは、各サブシステムがこのディスク又はメモリからブートするようにそのオペレーティングシステムを記憶するためのハードディスク又は不揮発性メモリを含んでよい。以下に説明されるこれらの特徴及び他の特徴は、各サブシステムが、他のサブシステムによって課される制約を考慮する必要なく独立したユニットとして設計、構築、及び試験できる自律性のユニットであってよい設計を可能にする。例えば、各サブシステムは、他のサブシステムによってなされるメモリ及び処理能力に対する要求を考慮に入れる必要なく、その操作サイクル中にサブシステムの機能を適切に実行するために十分なメモリ及び処理能力をもって設計されてよい。これらの要件が流動的であるときに、これはシステムの開発及びアップグレード中に特に有利である。この設計により、必要とされる総メモリ及び処理能力は増加してよく、これらの構成要素の冗長性は各サブシステムの中で実装される必要がある場合がある。しかしながら、簡略化された設計はより高速の開発及びより簡略なアップグレードにつながり得る。
【0100】
[00108] サブシステム316は、制御ネットワーク420を介してコマンドを受信するように設計されてよく、他のサブシステムとは関係なくコマンドを実行し、コマンド実行の結果を報告し、要求に応じて任意の結果として生じる実行データを転送してよい。
【0101】
[00109] サブシステム316は自律性ユニットとして設計されてよいが、例えばデータネットワークハブ上の中心ディスク又はメモリからブートするように設計されてよい。これは、確実性の問題及び各サブシステムの個々のハードディスク又は不揮発性メモリのコストを削減し、中心場所でサブシステムのためにブート画像を更新することによってサブシステムのより容易なソフトウェアアップグレードを可能にする。
【0102】
[00110] クラスタインタフェース303は、リソグラフィークラスタフロントエンド306と1つ又は複数のホストシステム302との間、及び/又はクラスタフロントエンド306と1つ又は複数のオペレータコンソール304との間の通信用のインタフェースを含んでよい。
【0103】
[00111] クラスタ要素インタフェース305は、クラスタフロントエンド306と、要素制御ユニット312及び/又はデータネットワークハブ314を含むリソグラフィー要素ネットワークとの間の通信のためのインタフェースを含んでよい。要素制御ユニット312はリンク406を介してデータネットワークハブ314と通信してよく、通信は好ましくは要素制御ユニット312からデータネットワークハブ314への一方向性である。
【0104】
[00112] リソグラフィーサブシステムインタフェース307は要素制御ユニット312とリソグラフィーサブシステム316の間、及びデータネットワークハブ314とリソグラフィーサブシステム316との間のインタフェースを含んでよい。サブシステム316は制御ネットワーク420を介して要素制御ユニット312と通信してよく、サブシステム316はデータネットワーク421を介してデータネットワークハブ314と通信してよい。
【0105】
[00113] オペレータインタフェース及びより高いレベルのホスト監視コンピュータ及び自動化コンピュータに対するインタフェースは、個々のリソグラフィー要素とではなく、クラスタフロントエンド306で行われてよい。
【0106】
[00114] 好ましくは、データ経路320は、荷電粒子ビームを変調する又は切り替えることを担うサブシステム(複数可)にパターンストリーマ319を直接的に接続する。パターンストリーマ319はリソグラフィーサブシステム316にパターンデータをストリーム配信して、荷電粒子ビームの変調及び切替えを制御してよい。データの量はサブシステムでのローカルストレージにとっては大きすぎるので、パターンデータは通常ビットマップフォーマットで関連性のあるサブシステムにストリーム配信される。
【0107】
[00115] サブシステム316は、制御ネットワークを介してサポートサブシステム制御つまりSUSCとも呼ばれる要素制御ユニット312に接続されてよい。要素制御ユニット312は、メモリ及びリソグラフィーサブシステム316の動作を制御するためのコンピュータプロセッサを含んでよい。
【0108】
[00116] 図4A及び図4Bの例では、パターンストリーマ319からリソグラフィーサブシステム316へストリーム配信されるパターンデータは共通チップ設計部分のためのデータ及び一意的チップ設計部分のデータを含んでよい。図4Aでは、一意的チップ設計部分はパターンデータ処理ユニット318のパターンデータに加えられてよい。図4Bでは、一意的チップ設計部分はパターンストリーマ319のパターンデータに加えられてよい。
【0109】
[00117] 図4C及び図4Dの例では、パターンストリーマ319からリソグラフィーサブシステム316にストリーム配信されるパターンデータは、共通チップ設計部分のためのデータを含んでよい。図4Cでは、一意的チップ設計部分は要素制御ユニット312の制御下でリソグラフィーサブシステム316によってパターンデータに加えられてよい。図4Dでは、一意的チップ設計部分はホストシステム302の制御下でリソグラフィーサブシステム316によってパターンデータに加えられてよい。
【0110】
[00118] 図4A図4Dで、パターンストリーマ319は制御ネットワーク420を介して要素制御ユニット312によって制御されてよい。さらに、パターンストリーマ319はリソグラフィーサブシステム316の一部であってよい。
【0111】
[00119] 図5は、数直線ラスタ化を使用するデータ経路の実施形態の例示的な機能流れ図を示す。図3で、機能流れ図は4つのセクションに分割されている。つまり、3010は下部のデータ出力/入力のデータフォーマットを示すために使用され、3020はデータ出力/入力(平行四辺形)及び機能要素(矩形)を含むプロセスの流れを示し、3030は上部機能要素で実行されるプロセスステップを示すために使用され、3040は、例えば、設計ごとに1回3041、ウェハごとに1回3042、又はフィールドごとに1回3043等、プロセスステップが通常どの程度の頻度で実行されるのかを示すために使用される。ローマ字I、II、及びIIIは、いつ特徴データセット及び/又は選択データがデータ経路に提供され得るのかを示す。
【0112】
[00120] プロセスに対する入力は、共通チップ設計部分を定義する、GDS-II設計レイアウトデータ2007、又はOASISデータフォーマット等の任意の他の適切なフォーマットでの設計レイアウトであってよい。パターンデータ処理システム318は、下部で矢印3041によって示されるように、設計ごとに1回GDS-IIファイルを事前処理してよい1022。
【0113】
[00121] 好ましくは、事前処理1022は一意的チップ設計部分を含まず、パターンデータ事前処理システム318がより安全ではない環境に位置できるようにする。セキュリティの理由から一意的チップ設計部分の露光時間を最小限に抑えることも望ましい。チップの一意性は通常データセキュリティ、トレーサビリティ、及び偽造防止の用途に使用されるので、セキュリティ態様は重要である。破線ブロックの中の、つまりソフトウェア処理1071Aからハードウェア処理1073までのプロセスは、通常リソグラフィー機械1、1Aで実行され、より安全な操作環境を可能にする。後の段階で一意的チップ設計部分を挿入することによって、コードがリソグラフィーシステム301A~301Dの中で使用される時間の量は最小限に抑えることができる。
【0114】
[00122] 一意的チップ設計部分は、ローマ字I、II、及びIIIによって示される機能流れの多様な段階でパターンデータの中に挿入されてよい。
【0115】
[00123] 一意的チップ設計部分は、ローマ字Iによって示される、この例のGDSII入力での設計レイアウトデータ入力の処理時にパターンデータの中に挿入されてよい。この段階で、パターンデータ処理は通常ベクトルベースのデータフォーマットで実行される。この演算は通常、より安全ではない環境に位置するパターンデータ処理ユニット318で実行されるので、一意的チップ設計部分のこの段階Iでの挿入は最も好ましくない。
【0116】
[00124] より好ましくは、パターンデータの中への一意的チップ設計部分の挿入は、ローマ字IIによって示されるソフトウェア処理段階1071Aで、又はローマ字IIIによって示されるストリーム配信段階1071Bで実行されてよい。S/W処理段階1071Aは通常、下部から2番目の矢印3042によって示されるように、ウェハごとに1回実行される。ストリーム配信段階1071Bは、第3の矢印3043によって示されるように、通常フィールドごとに1回又はチップごとに1回実行される。
【0117】
[00125] S/W処理段階1071A及びストリーム配信段階1071Bはパターンストリーマ319で実施されてよい。機能流れの右側のハードウェア処理段階1073は、通常、共通チップ設計部分及び一意的チップ設計部分を含むパターンデータ2009によって制御されているブランカーを含む。
【0118】
[00126] GDS-IIフォーマットパターンデータは、通常(ともに示される3031)近接性効果補正、レジスト加熱補正、及び/又はスマート境界を含むオフライン処理1022を受けることがある。結果として生じる補正されたベクトルパターンデータ2008は、ベクトルフォーマットであってよく、3011として示される用量情報を含んでよい。このオフライン処理1022は通常、ウェハの1つ又は複数のバッチについて所与のパターン設計に1回実行される。ローマ字Iによって示されるこの段階で一意的チップ設計部分を挿入する場合、オフライン処理1022はより頻繁に、最高でウェハごとに1回又はフィールド若しくはチップごとに1回までも実行される必要がある場合がある。
【0119】
[00127] 次に、ベクトルツール入力データ2008のインライン処理はベクトルデータ2008をラスタ化して、例えば4ビットグレイスケールビットマップフォーマット3012のパターンシステムストリーマ(PSS)ビットマップデータ3021を生成するために実行されてよい。
【0120】
[00128] この処理は、通常ソフトウェアで実行される。一意的チップ設計部分は、ローマ字IIによって示されるように、この段階で加えられてよい。パターンストリーマ319は次いでPSSフォーマットデータ3021を処理してブランカーフォーマットデータ2009を生成してよく、おそらくともに3032で示されるビットマップデータに対する以前の通りのビーム位置較正、フィールドサイズ調整、及び/又はフィールド位置調整のためのX方向及び/又はY方向での完全ピクセルシフト又は部分ピクセルシフトを伴う補正を含む。代わりにエントリポイントIIに対して、一意的設計部分はローマ字IIIによって示されるようにこの段階で加えられてよい。この処理はフィールドごとに実行されてよい。ブランカーフォーマットパターンデータ2009は次いでウェハの露光のためにリソグラフィーシステムに送信されてよい3022。
【0121】
[00129] 図5に示されるように、ラスタ化は、ハードウェアで実行されるリアルタイム処理を通常伴うストリーム配信段階1071Bで実行されてよい。ビーム位置較正、フィールドサイズ調整、及び/又はフィールド位置調整3032のための補正はベクトルフォーマットPSSフォーマットデータ3021に対して実行されてよく、次いでラスタ化はこれをブランカーフォーマット2009に変換してよい。補正がベクトルデータに対して行われるとき、X方向及びY方向での完全ピクセルシフトとサブピクセルシフトの両方とも行うことができる。
【0122】
[00130] GDSII入力2007の事前処理1022は、好ましくは例えば後の段階で一意的チップ設計部分の挿入を可能にするために実行される。これに関してビット空間は中間パターンデータの中に確保されてよい、又はプレースホルダーが、一意的チップ設計データが後の段階で挿入される中間ベクトルフォーマットデータに加えられてよい。有利なことに、言及されたセキュリティの優位点に加えて、これは一意的チップごとのウェハの各露光の前に膨大な量のパターンデータを再生する必要性を回避し、このことは非常に高いCPU電力及び非常に大量のメモリを必要とするだろう。
【0123】
[00131] 図4A図4Dで、クラスタフロントエンド306とSUSC312との間の通信402は、SUSC312へのプロセスプログラム(PP)の転送のために設計されてよい。JavaScript(登録商標) Object Notation(JSON)に基づいたプロトコルがこの目的に使用されてよい。プロトコルは好ましくはプロセスジョブ(PJ)の作成のための命令を提供し、PPファイル及びあらゆる関連付けられたパラメータを転送し、SUSC312にPPに基づいたPJを作成するように命令する。追加コマンドはアボート命令及び取消し命令を含むことがある。
【0124】
[00132] SUSC312からクラスタフロントエンド306への通信は肯定応答メッセージ、進行報告、並びにエラーメッセージ及び警報メッセージを含んでよい。
【0125】
[00133] 制御ネットワーク420全体でのSUSC312とリソグラフィーサブシステム316との間の通信401は、好ましくはネットワークでの準リアルタイム性能を保証するために要素制御ユニットプロトコルだけを使用し、厳密に制御される。SUSD314とクラスタフロントエンド306との間の通信405はSUSD314からのPJ結果、ジョブトレーシング、及びデータロギングの取出しのために設計されてよい。ハイパーテキスト転送プロトコル(HTTP)はこの通信リンクに使用されてよい。
【0126】
[00134] リソグラフィーサブシステム316とSUSD314との間の通信403は、サブシステム316からのデータの片方向収集のために設計されてよい。データは、システムログ、HDF5、UDP、及び他等のさまざまなプロトコルを使用し、通信されてよい。
【0127】
[00135] 大量データは、ハンドシェーキング、エラーチェック、及び補正の大きいオーバヘッドなしにデータを送信するためにユーザデータグラムプロトコル(UDP)を使用し、送信されてよい。結果として生じる非常に低い伝送オーバヘッドのため、データはしたがってリアルタイムで受信されていると見なされてよい。
【0128】
[00136] 階層データフォーマットHDF5は、高周波数データの伝送及び記憶に使用されてよい。HDF5は大量の数値データを記憶し、編成するためによく適しているが、通常UDP環境では使用されない。CSV又はTCP等の他のデータフォーマットも特に低レベル(低量)データに使用できる。
【0129】
[00137] リソグラフィーサブシステム316の演算は、実行される一連の動作を含んでよいPPを使用し、制御されてよい。要素制御ユニット312はPPをロードされてよく、ホストシステム302又はオペレータコンソール304を通してオペレータによって要求されるようにPPをスケジュールに入れ、実行してよい。
【0130】
[00138] プロセスプログラム(PP)及びプロセスジョブ(PJ)はSEMI E30「製造装置の通信及びコントロールのための包括的モデル(GEM)」、SEMI E40「プロセス管理スタンダード」、SEMI E42「レシピ管理スタンダード:コンセプト、挙動、及びメッセージサービス」、及び/又はSEMI E139「レシピとパラメータに関する管理規定(RaP)」等のSEMI規格に基づいてよい。PPは、例えばSEMI E40規格に定められるようにレシピの役割を担ってよい。SEMI規格は、レシピに対処する方法に関する多くの要件を指定するが、規格は、レシピが好ましくは回避されるように矛盾することがある。代わりに、編集可能且つ未フォーマットのPPがいわゆるバイナリラージオブジェクト(BLOB)の形で使用されてよい。
【0131】
[00139] PPは、ウェハの処理環境を決定し、ラン又は処理サイクルの間に変更にさらされることがある命令、設定値、及びパラメータのセットの事前に計画され、再利用可能な一部分であってよい。PPはリソグラフィーツール設計者によって設計されることもあれば、ツーリングによって生成されることもある。
【0132】
[00140] PPはユーザによってリソグラフィーシステムにアップロードされてよい。PPはPJを作成するために使用されてよい。PJはリソグラフィーサブシステム316によってウェハ又はウェハのセットに適用されるための処理を指定してよい。PJは、ウェハの指定されたセットを処理するときにどのPPを使用するのかを定義してよく、PPから(及び任意選択でユーザから)のパラメータを含んでよい。PJはユーザ又はホストシステムによって開始されるシステム活動であってよい。
【0133】
[00141] PPは、ウェハの処理を制御するためだけではなく、サービスアクション、較正機能、リソグラフィー要素試験、要素設定値修正、ソフトウェア更新及び/又はアップグレードにも使用されてよい。好ましくは、それらがPJ実行に影響を与えない限りモジュール若しくはサブシステムの電源投入中の自動初期化、サブシステムの周期的且つ無条件の動作、及び予期せぬ電源遮断、緊急又はEMO活性化に対する応答等の、特定の許可された追加のカテゴリを例外として、PPに規定されるもの以外の何のサブシステム動作も発生しない。
【0134】
[00142] PPはステップに分けられてよい。大部分のステップはコマンドを含み、コマンドを実行するサブシステムを識別する。また、ステップはコマンドを実行する上で使用されるパラメータ、及びパラメータ制約を含むことがある。また、PPは、例えば並行して、順々に、又は同期して実行される等、いつステップが実行されるのかを示すためにスケジューリングパラメータを含むこともある。
【0135】
[00143] PJのコマンドステップを実行するために、要素制御ユニット312は、PJに示されるコマンドを、PJの関連するステップで示されるサブシステムに送信してよい。要素制御ユニット312はタイミングを監視してよく、サブシステムから結果を受信してよい。
【0136】
[00144] 図4Aの例で、パターンデータ処理システム318は、一意的データジェネレータ330から一意的チップ設計データ430を受信し、パターンデータの中に一意的チップ設計データを挿入するように構成されてよい。
【0137】
[00145] 図4Bの例で、パターンストリーマ319は、一意的データジェネレータ330から一意的チップ設計データ430を受信し、パターンデータの中に一意的チップ設計データを挿入するように構成されてよい。
【0138】
[00146] 図4Cの例で、要素制御ユニット312は、一意的データジェネレータ330から一意的チップ設計データ430を受信し、パターンデータへの一意的チップ設計データの挿入を制御するように構成されてよい。一意的チップ設計データは、プロセスジョブとともにリソグラフィーサブシステム316に送信されてよい。
【0139】
[00147] 図4Dの例で、ホストシステム302は、一意的データジェネレータ330から一意的チップ設計データ430を受信し、パターンデータへの一意的チップ設計データの挿入を制御するように構成されてよい。一意的チップ設計データは、プロセスジョブとともにリソグラフィーサブシステム316に送信されてよい。
【0140】
[00148] 概して、一意的チップ設計データ430は、パターンデータへの直接的な挿入を可能にするフォーマットであってよい。代わりに、一意的チップ設計データ430はパターンデータの中に挿入されるデータを生成できるようにする情報を含む。
【0141】
[00149] 一意的チップ設計データ430は、外部プロバイダ340から受信される秘密データ440に基づいて一意的データジェネレータ330によって生成されてよい。代わりに、秘密データは一意的データジェネレータ330の中で生成されてよい。秘密データ440は、一意的データジェネレータ330によって暗号化され、復号可能であってよい。秘密データ440は秘密鍵及び/又は秘密IDを含んでよい。
【0142】
[00150] 一意的データジェネレータ330はブラックボックスデバイスとして実現されてよい。一意的チップ設計データ430はバックボックスデバイスによって生成されてよい。ブラックボックスデバイスはマスクレスリソグラフィー露光システムにとって外部のソースであってよく、好ましくは製造工場の製造部分の中に位置する。ブラックボックスは、例えばIPブロックの所有者若しくは製造されたチップの所有者、又は鍵管理インフラ所有者等のサードパーティによって所有されてよい。有利なことに、ブラックボックスはリソグラフィー機械の運用に近い製造工場の中に設置することができ、それによって一意的チップ設計データの公開を最小限に抑える。これは、チップを個別的に取り扱うためのブラックボックスが通常製造工場の外部に設置され、作成された後のチップを個別的に取り扱うために使用される既知のチップ製造解決策とは対照的である。
【0143】
[00151] ブラックボックスデバイスは、一意的チップ設計データ430の作成で協調するID/鍵マネージャ及び一意的データジェネレータ330を含んでよい。ID/鍵マネージャは製造データベースから製品ID/シリアルナンバー情報を、及びおそらくマスクレスリソグラフィー露光システムの外部に位置する鍵管理サービスからID/鍵の対のバッチを受信してよい。製品ID/シリアルナンバー情報及びID/鍵の対のバッチは、一意的チップ設計データ430の生成を制御するために使用されてよい。さらに、製品ID/シリアルナンバー情報は、チップを作成された後にそのID/シリアルナンバーと照合できるようにするために作成プロセスを通してチップを追跡するために使用されてよい。代わりに又はさらに、製品ID/シリアルナンバー情報は、図示されていないが、本質的に既知のプロセスによってチップの中又はチップの上にID/シリアルナンバーを含むために使用されてよい。
【0144】
[00152] 図6は、本発明の例示的な実施形態に従って一意的チップを作成するプロセスを示す。本実施形態では、チップの同一部分はフォトリソグラフィーを使用し、作成されてよく、チップの一意的部分は荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーを使用し、作成されてよい。また、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーの電子ビーム露光方法はマッパー露光又はe-ビームとも呼ばれてもよい。
【0145】
[00153] 図6のプロセスの始まりで、ウェハは5つの層、つまり下部金属層201、絶縁層202(例えばSiO2)、及び上部レジスト層205(例えばKrFレジスト)を含んでよい。
【0146】
[00154] 同一部分(例えば、共通部分101)の作成の場合、最上層205は例えばKrFレーザーを使用し、現像ステップが後に続くマスク露光を受けてよく、マスクによって画定された構造はレジスト層205から除去される。エッチング及び剥離のステップで、これらの構造は絶縁層202の中にエッチングされてよく、レジストは除去される。
【0147】
[00155] 次に、導電層はエッチングされ、剥離された絶縁層の上に適用されてよい。例えば、タングステンとの化学蒸着(CVD-W)が使用されてよい。化学機械平坦化(CMP)は余分な導電材料を除去してよく、その結果ウェハは底部金属層、並びにマスク露光によって画定されるような絶縁材料及び導電材料を含む層を有する。
【0148】
[00156] 次に、一意的部分(例えば、個別的に取り扱われる領域102)の作成の場合、ウェハは、フォトリソグラフィー段階からのエッチングされた部分を含む絶縁層202を覆う、下層203及び204(例えば、SOC+SiARC HM)並びにe-ビームレジスト層206を受け取ってよい。最上層206は現像ステップが後に続くe-ビーム露光を受けてよく、e-ビームによって画定された構造はレジスト層206から除去されてよい。エッチング及び剥離ステップで、これらの構造はSOC下層204及びSiARC下層203の中にエッチングされてよく、レジストは除去されてよい。次に、下層203、204で作成される構造は絶縁層202の中にエッチングされてよく、下層203、204は剥離されてよい。
【0149】
[00157] 次に、導電層207はエッチングされ、剥離された絶縁層の上に適用されてよい。例えば、タングステンとの化学蒸着(CVD-W)が使用されてよい。化学機械平坦化(CMP)は余分な導電材料を除去してよく、その結果ウェハは底部金属層、並びにマスク露光及びe-ビームによって画定されるような絶縁材料及び導電材料を含む層を有する。
【0150】
[00158] 図6の実施形態では、2つのCMPステップが必要とされてよい。CMPステップによって引き起こされるディシング効果及び二重浸食効果は導電材料を含む絶縁層の厚さに影響を及ぼすことがある。これはチップのアナログ性能及び無線周波数性能にマイナスの影響を与えることがある。図7は一意的チップを作成するための改善されたプロセスを示し、単一のCMPステップだけ必要とされることがある。
【0151】
[00159] 図7は、本発明の別の例示的な実施形態に従って一意的チップを作成するプロセスを示す。本実施形態では、チップの同一部分(例えば、共通部分101)はフォトリソグラフィーを使用し、作成されてよく、チップの一意的部分(例えば、個別に扱われる領域102)は荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーを使用し、作成されてよい。
【0152】
[00160] 図7のプロセスの始めで、ウェハは5つの層、つまり底部金属層201、絶縁層202(例えばSiO2)、下層203及び204(例えば、SOC+SiARC HM)、並びに上部レジスト層205(例えばKrFレジスト)を含んでよい。有利なことに、下層203及び204は、フォトリソグラフィーと荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー段階の両方に使用され、それによって以下にさらに説明されるように、フォトリソグラフィー段階でのCMPステップの必要性を排除してよい。
【0153】
[00161] 同一部分の作成の場合、最上層205は例えばKrFレーザーを使用し、現像ステップが後に続くマスク露光を受けてよく、マスクによって画定される構造はレジスト層205から除去されてよい。エッチング及び剥離ステップで、これらの構造はSOC下層204の中にエッチングされてよく、レジストは除去される。
【0154】
[00162] 次に、一意的部分の作成の場合、ウェハは、フォトリソグラフィー段階からのエッチングされた部分を含むSOC下層204を覆う、e-ビームレジスト層206を受け取ってよい。最上層206は、現像ステップが後に続くe-ビーム露光を受けてよく、e-ビームによって定められた構造はレジスト層206から除去されてよい。エッチング及び剥離ステップでは、これらの構造はSOC下層204の中にエッチングされてよく、レジストは除去される。次に、フォトリソグラフィー段階と荷電粒子マルチビームレットリソグラフィー段階の両方でSOC下層204で作成される構造は、SiARC下層203の中に及び次に絶縁層202の中にエッチングされてよく、下層203、204は剥離されてよい。
【0155】
[00163] 次に、導電層207はチップの同一部分と一意的部分の両方のためにエッチングされ、剥離された絶縁層の上に適用されてよい。例えば、タングステンとの化学蒸着(CVD-W)が使用されてよい。化学機械平坦化(CMP)は余分な導電材料を除去してよく、その結果ウェハは底部金属層、並びにマスク露光及びe-ビームによって画定されるような絶縁材料及び導電材料を含む層を有する。
【0156】
[00164] 図8は、本発明の別の例示的な実施形態に従って一意的チップを作成するプロセスを示す。本実施形態では、チップの同一部分(例えば共通部分101)及びチップの一意的部分(例えば、個別的に取り扱われる領域102)の両方は、荷電粒子マルチビームレットリソグラフィーを使用し、作成されてよい。
【0157】
[00165] 図8のプロセスの始めで、ウェハは5つの層、つまり底部金属層201、絶縁層202(例えばSiO2)、下層203及び204(例えばSOC+SiARC HM)、並びに上部e-ビームレジスト層206(例えばKrFレジスト)を含んでよい。
【0158】
[00166] 最上層206は現像ステップが後に続くe-ビーム露光を受けてよく、e-ビームによって画定される構造はレジスト層206から除去されてよい。エッチング及び剥離ステップで、これらの構造はSOC下層204及びSiARC下層203の中にエッチングされてよく、レジストは除去されてよい。以後、構造は絶縁層202の中にエッチングされてよく、下層203、204は剥離される。
【0159】
[00167] 次に、導電層207はチップの同一部分と一意的部分の両方のためにエッチングされ、剥離された絶縁層の上に適用されてよい。例えば、タングステンとの化学蒸着(CVD-W)が使用されてよい。化学機械平坦化(CMP)は余分な導電材料を除去してよく、その結果ウェハは底部金属層、及びe-ビームによって画定されるような絶縁材料及び導電材料を含む層を有する。
【0160】
[00168] 図6及び図7の実施形態では、チップの一意的部分は、図4A図5と併せて説明されるように、共通チップ設計部分及び一意的チップ設計部分を含むパターンデータに基づいて生成されてよい。共通チップ設計部分のサイズは、フォトリソグラフィーを使用し、作成されるチップの同一部分のサイズに依存することがある。同一部分の大きい部分がフォトリソグラフィーによって覆われるとき、パターンデータの共通チップ設計部分は小さいことがある。チップの一意的部分が一意的特徴しか有さない又はおもに一意的特徴を有する場合、パターンデータが一意的チップ設計部分しか含まないことが考えられる。
【0161】
[00169] 図8の実施形態では、パターンデータは図4A図5と併せて説明されるように、チップの同一部分を作成するために使用される共通チップ設計部分、及びチップの一意的部分を作成するために使用される一意的チップ設計部分を含んでよい。
【0162】
[00170] 図9は、本発明の例示的実施形態に従って非共通チップ設計データを生成するため、及びパターンデータを生成するためのコンピュータによって実装される方法を示す。
【0163】
[00171] 非共通チップ設計データ430は、生成ステップ4002で秘密データ440から生成されてよい。非共通チップ設計データ430は、製造されるチップに関係する製品識別情報又はシリアルナンバー情報450、及び識別/鍵の対のバッチ451の制御下で生成4001されてよい。非共通チップ設計データは、例えば非共通チップ設計データをプロセスジョブの中に含めることによってさらに処理4002されてよい。
【0164】
[00172] パターンデータ2009は、非共通チップ設計データ430を共通チップ設計データ2007の中に挿入4004することによって、非共通チップ設計データ430及び共通チップ設計データ2007から生成されてよい。共通チップ設計データ2007は、例えばベクトルベースのフォーマットからビットマップベースのフォーマットにデータをラスタ化することによって処理4003されてよい。パターンデータ2009は、例えばパターンデータをブランカーデータフォーマットにラスタ化することによって処理4005されてよい。
【0165】
[00173] 本発明の1つ又は複数の実施形態は、コンピュータシステムとの使用のためのコンピュータプログラム製品として実装され得る。プログラム製品のプログラム(複数可)は、(本明細書で説明される方法を含む)実施形態の機能を定義してよく、様々なコンピュータ可読記憶媒体上に含まれることができる。コンピュータ可読記憶媒体は、非一時的記憶媒体であってよい。例示的なコンピュータ可読記憶媒体は、(i)情報が永続的に記憶されてよい書込み不可記憶媒体(例えば、CD-ROMドライブ、ROMチップ、又は任意のタイプのソリッドステート不揮発性半導体メモリによって読取り可能なCD-ROMディスク等のコンピュータ内の読取り専用メモリデバイス)、及び(ii)変更可能な情報が記憶されてよい書込み可能記憶媒体(例えば、ハードディスクドライブ又は任意のタイプのソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ、フラッシュメモリ)を含むが、それらに限定されない。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図4D
図5
図6
図7
図8
図9