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特許7507893流体中で粒子サイズを検出するための方法および装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-06-20
(45)【発行日】2024-06-28
(54)【発明の名称】流体中で粒子サイズを検出するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 15/0227 20240101AFI20240621BHJP
   G01B 11/10 20060101ALI20240621BHJP
   G01N 21/17 20060101ALI20240621BHJP
   G01N 21/53 20060101ALI20240621BHJP
【FI】
G01N15/0227 100
G01B11/10 H
G01N21/17 A
G01N21/53 Z
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2022573249
(86)(22)【出願日】2021-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-06-29
(86)【国際出願番号】 US2021027144
(87)【国際公開番号】W WO2021242426
(87)【国際公開日】2021-12-02
【審査請求日】2023-01-25
(31)【優先権主張番号】16/885,257
(32)【優先日】2020-05-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】390040660
【氏名又は名称】アプライド マテリアルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】APPLIED MATERIALS,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】3050 Bowers Avenue Santa Clara CA 95054 U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100176418
【弁理士】
【氏名又は名称】工藤 嘉晃
(72)【発明者】
【氏名】バズ-イラヴァニ メフディ
(72)【発明者】
【氏名】イーガン トッド
(72)【発明者】
【氏名】ザオ グオヘン
【審査官】山口 剛
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-086737(JP,A)
【文献】米国特許第04540283(US,A)
【文献】特開平04-232442(JP,A)
【文献】特開平03-185336(JP,A)
【文献】特開平01-229937(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 15/00 - 15/1492
G01N 21/17
G01N 21/53
G01B 11/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒子の像を撮影するためのシステムであって、
第1の撮像デバイスであり、
レンズ、および
デジタル検出器
を備える、第1の撮像デバイスと、
第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを生成するように構成されたレーザ源と
を備え、前記デジタル検出器が、前記レンズを透過した累積された光の強度のメトリックを累積するように構成されており、前記累積された光が、前記粒子から屈折した光であり、前記累積された光が、第1の時間に前記レンズを透過し、前記デジタル検出器によって蓄積された前記第1のレーザビームからの光および前記第1の時間の後に生じる第2の時間に前記レンズを透過し、前記デジタル検出器によって蓄積された前記第2のレーザビームからの光を含む、
システム。
【請求項2】
前記第1のレーザビームの経路および前記第2のレーザビームの経路に配置されたレーザターミネータであり、前記第1および第2のレーザビームの前記経路を遮断するように構成された、レーザターミネータ
を備える、請求項1に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項3】
前記粒子を受け取るための入口と、出口を通って前記粒子がプセル化するセクションを出ることを可能にするための前記出口とを有する、カプセル化するセクション
を備える、請求項1に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項4】
前記レーザ源と前記カプセル化するセクションとの間に配置されたビームディスプレーサであり、前記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成された、ビームディスプレーサ
を備える、請求項3に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項5】
記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成されたームディスプレーサ
を備える、請求項3に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項6】
前記レーザ源と前記カプセル化するセクションとの間に配置されたビームディスプレーサであり、前記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成された、ビームディスプレーサと、
前記レーザ源と前記カプセル化するセクションとの間に配置された集束レンズと
を備える、請求項3に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項7】
前記ビームディスプレーサが、前記第2のレーザビームを前記第1のレーザビームから約90度偏光させるように構成された、請求項6に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項8】
前記第2のレーザビームが前記第1のレーザビームの方向から変位し、前記第2のレーザビームが、ビームディスプレーサによって、前記第1のレーザビームの偏光に対して約90度偏光する、請求項1に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項9】
前記第1のレーザビームおよび前記第2のレーザビームを受け取るように構成されたカプセル化するセクションと、
前記第1のレーザビームを反射するように構成された第1のリフレクタと、
前記第2のレーザビームの経路を遮断するように構成されたレーザターミネータと
を備える、請求項1に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項10】
前記第1のレーザビームおよび前記第2のレーザビームを受け取るように構成されたカプセル化するセクションと、
前記第1のレーザビームおよび前記第2のレーザビームの経路を遮断するように構成されたレーザターミネータと
を備える、請求項1に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項11】
前記第1のレーザビームおよび前記第2のレーザビームを受け取るように構成されたカプセル化するセクションと、
前記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成されたビームディスプレーサと、
前記第2のレーザビームの経路を遮断するように構成されたレーザターミネータと
を備える、請求項1に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項12】
前記第1のレーザビームを発生させ、前記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成されたビームディスプレーサを備え、前記第2のレーザビームの偏光が、前記第1のレーザビーム偏光に対して約90度回転している、
請求項1に記載の粒子の像を撮影するためのシステム。
【請求項13】
第1の撮像デバイスであり、
レンズ、および
デジタル検出器
を含む第1の撮像デバイスと、
カプセル化するセクションであり、粒子を受け取るように構成された入口、および粒子がカプセル化するセクションを出ることを可能にするように構成された出口を含む、カプセル化するセクションと、
第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを生成するように構成されたレーザ源と
を備え、前記デジタル検出器が、前記レンズを透過した累積された光の強度のメトリックを累積するように構成されており、前記累積された光が、前記粒子から散乱した光であり、第1の時間に前記レンズを透過し、前記デジタル検出器によって蓄積された前記第1のレーザビームからの光および前記第1の時間の後に生じる第2の時間に前記レンズを透過し、前記デジタル検出器によって蓄積された前記第2のレーザビームからの光を含む、
粒子撮像システム。
【請求項14】
前記レーザ源と前記カプセル化するセクションとの間に配置されたビームディスプレーサであり、前記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成された、ビームディスプレーサ
を備える、請求項13に記載の粒子撮像システム。
【請求項15】
記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成されたームディスプレーサ
を備える、請求項13に記載の粒子撮像システム。
【請求項16】
前記レーザ源と前記カプセル化するセクションとの間に配置されたビームディスプレーサであり、前記第1のレーザビームを前記第2のレーザビームから変位させるように構成された、ビームディスプレーサと、
前記レーザ源と前記カプセル化するセクションとの間に配置された集束レンズと
を備える、請求項13に記載の粒子撮像システム。
【請求項17】
前記第2のレーザビームが前記第1のレーザビームから約90度偏光している、請求項13に記載の粒子撮像システム。
【請求項18】
粒子サイズを決定する方法であって、
レーザ源から第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを生成すること、
前記第2のレーザビームを前記第1のレーザビームから、ある距離だけ分離すること、
粒子がその中を通過するように流れることを可能にするように構成されたカプセル化するセクションに前記第1のレーザビームを通すこと、
第1の時間に前記第1のレーザビームを横切る粒子から散乱し、撮像デバイスのレンズを透過した第1の光の第1の強度の第1のメトリックをデジタル検出器によって累積すること、
前記第1の時間の後に生じる第2の時間に前記第2のレーザビームを横切る粒子から散乱し、前記撮像デバイスの前記レンズを透過した第2の光の第2の強度の第2のメトリックを前記デジタル検出器によって累積することであって、前記第1の光と前記第2の光のそれぞれが前記レンズを透過すること、ならびに
前記第1のメトリックおよび前記第2のメトリックに基づいて粒子サイズを分類すること
を含む方法。
【請求項19】
前記第2のレーザビームを前記第1のレーザビームから約90度偏光させること
をさらに含む、請求項18に記載の粒子サイズを決定する方法。
【請求項20】
前記第1のレーザビームをビームディスプレーサに通したときに、前記第2のレーザビームを前記第1のレーザビームから、ある距離だけ変位させること
をさらに含む、請求項18に記載の粒子サイズを決定する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書に開示された例は一般に、流体中の粒子のサイズを検出するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
粒子の検出は、半導体製造を含む多くの技術分野において重要である。集積回路デバイスにおいて日常的に観察される多くの欠陥の原因が、さかのぼれば、生産のある段階における微小な粒子の存在にあることがある。これらのスプリアス粒子(spurious particle)はしばしば、周囲大気中にまたはさらには超純水中に浮遊した状態で見つかる。これらの粒子は、生産ラインに運ばれることがあり、製造プロセス中に基板を汚染することがある。これらの小さな粒子を検出するためにさまざまな技術が使用されており、これには、粒子の拡散、空気力学的特性、光学的または電気的移動度を測定する方法および装置が含まれる。このような方法は、粒子の存在に関する有用な情報を提供するが、従来の大部分の方法は、粒子サイズを決定する際の正確さおよび精度を欠いており、このことが、適切な是正処置の決定を困難で骨の折れるものにしている。
【0003】
粒子の検出はレーザ光を用いて実行することができる。しかしながら、レーザ光の断面積では中心の方が周辺領域の近くよりも強度が大きいため、レーザ光の中心を通過する小さな粒子とレーザ光の周辺領域を通過するより大きな粒子とを識別することは難しい。例えば、レーザ光の中心を通過する第1のサイズを有するより小さな粒子は、レーザ光の周辺領域を通過するより大きな粒子と実質的に同じ光散乱レベルを有するであろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、流体中の粒子のサイズを検出するためのより正確な方法および装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本明細書には、流体中の粒子のサイズを検出するためのシステムおよび方法が開示されている。粒子の像を撮影するためのシステムは第1の撮像デバイスを含む。第1の撮像デバイスはレンズおよびデジタル検出器を含む。このシステムはさらにレーザ源を含む。レーザ源は、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを放出するように構成されている。デジタル検出器は、レンズを透過した累積された光の強度のメトリック(metric)を累積するように構成されている。累積された光は、粒子から散乱した光である。累積された光は、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームからの光を含む。
【0006】
別の例では、粒子撮像システムが第1の撮像デバイスを含む。第1の撮像デバイスはレンズおよびデジタル検出器を含む。この粒子撮像システムは、カプセル化するセクション(encapsulating section)を含む。カプセル化するセクションは、粒子を受け取るように構成された入口、および粒子がカプセル化するセクションを出ることを可能にするように構成された出口を含む。レーザ源が、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを放出するように構成されている。デジタル検出器は、レンズを透過した累積された光の強度のメトリックを累積するように構成されている。累積された光は、粒子から散乱した光であり、第1のレーザビームおよび第2のレーザビームからの光を含む。
【0007】
さらに別の例では、粒子サイズを決定する方法が開示される。この方法は、レーザ源から第1のレーザビームおよび第2のレーザビームを放出することを含む。この方法はさらに、第2のレーザビームを第1のレーザビームから、ある距離だけ分離することを含む。カプセル化するセクションに第1のレーザビームを通す。カプセル化するセクションは、粒子がその中を通過するように流れることを可能にするように構成されている。この方法は続いて、撮像デバイスのレンズを透過した第1の光の第1の強度のメトリックを累積することを含む。この第1の光は、第1のレーザビームを横切った粒子から散乱したものである。この方法はさらに、撮像デバイスのレンズを透過した第2の光の第2の強度のメトリックを累積することを含む。この第2の光は、第2のレーザビームを横切った粒子から屈折したものである。第1の強度および第2の強度に基づいて粒子サイズを分類する。
【0008】
上に挙げた本開示の特徴を詳細に理解することができるように、そのうちのいくつかが添付図面に示されている本明細書の例を参照することによって、上に概要を簡単に示した開示がより具体的に説明されていることがある。しかしながら、添付図面は例だけを示しており、したがって、添付図面を、本開示の範囲を限定するものとみなすべきではないことに留意すべきである。したがって、添付図面は、等しく有効な他の例を許容する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】波長板を有する粒子撮像システムの平面図である。
図2】ビームディスプレーサ(beam displacer)を有する別の粒子撮像システムの平面図である。
図3】プリズムを有する例示的な別の粒子撮像システムの平面図である。
図4図1~3の粒子撮像システムのうちのいずれかの粒子撮像システム内で粒子を流すのに適した気流ユニットの3次元平面図である。
図5図1~3に示された粒子撮像システムのうちのいずれかの粒子撮像システムとして使用するのに適した2つの撮像デバイスを有する粒子撮像システムの平面図である。
図6図5の撮像デバイスのレンズによって集められた光の3次元概略図である。
図7】粒子のサイズを決定する方法の流れ図である。
図8図1~5の粒子撮像システムから散乱した光を測定するのに使用される撮像デバイスの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
理解を容易にするため、可能な場合には、共通する特徴である同一の要素を示すために、同一の参照符号を使用した。特段の言及がなくとも、1つの例の要素および特徴を、別の例に有益に組み込むことが企図される。
【0011】
本明細書に開示された例は一般に、流体中を移動している粒子のサイズを検出するためのシステムおよび方法に関する。本明細書で論じる流体は大気である。しかしながら、開示された主題は、気体または液体を含む流体に対して有用であることに留意すべきである。
【0012】
粒子から反射された光が、散乱光のp偏光照明(p-polarized illumination)によって支配されるように、第1のレーザビームを構成することができる。粒子から散乱した散乱光のp偏光照明およびs偏光照明(s-polarized illumination)を集めることは、単一のレーザビームから集められた散乱光を有する従来のシステムよりも大きな正確さを提供する。直交する偏光を有する第1のレーザビームおよび第2のレーザビームに粒子を通すと2つの光パルスが発生する。この2つの光パルスはそれぞれ、撮像デバイスの少なくとも1つのデジタル検出アレイの形態のデジタル光検出器において異なる信号レベルを生み出す。散乱光のそれぞれのパルスは、粒子から集められた散乱光のp偏光照明およびs偏光照明を含むことがある。小さな粒子については、集められた散乱光中において、p偏光照明の方がs偏光照明よりも大きい。中間サイズの粒子については、散乱光のs偏光照明とp偏光照明が同様の大きさを有する。大きな粒子については、集められた散乱光内において、散乱光のs偏光照明の方がp偏光照明よりも大きい。p偏光照明およびs偏光照明の強度を分析することによって、粒子のサイズを決定することができる。
【0013】
図1は、波長板148を有する粒子撮像システム100の平面図である。一例では、波長板148が四分の一波長板である。粒子撮像システム100は、レーザ源128、気流ユニット104、第1のリフレクタ140、光吸収器144および撮像レンズ124を含む。
【0014】
気流ユニット104は、レーザ源128と第1のリフレクタ140との間に配置されている。気流ユニット104は中空角柱(hollow prism)120を含む。中空角柱120は6つの側壁を有するものとすることができるが、この形状寸法に限定されない。インフロー(inflow)112が中空角柱120に空気を導入する。空気は、アウトフロー(outflow)116を通って中空角柱120を出る。中空角柱120は、レーザ源128と第1のリフレクタ140との間に配置されている。インフロー112は、中空角柱120の6つの側壁のうちの1つの側壁に対して垂直に置かれている。アウトフロー116は、中空角柱120の6つの側壁のうちの異なる1つの側壁に対して垂直に置かれている。上流および下流という用語は、インフロー112またはアウトフロー116の向きまたは位置を限定しない相対的な用語であることを理解すべきである。
【0015】
流体中に置かれた粒子108は、インフロー112を通して中空角柱120に導入され、アウトフロー116を通って中空角柱120を出る。粒子108は、経路156に沿って気流ユニット104の中を通過するように流れる。インフロー112から流入し中空角柱120を通ってアウトフロー116から流出する流体の流れを容易にするような形で、気流ユニット104にポンプ(図示せず)が結合されていてもよい。
【0016】
レーザ源128は、第1のレーザビーム132を放出するように構成されている。第1のレーザビーム132は中空角柱120によって受け取られる。一例では、第1のレーザビーム132が中空角柱120の中を通過する。波長板148は、中空角柱120内の中空角柱120の内壁の近くに置かれている。しかしながら、波長板148を、中空角柱120の外側の中空角柱120の外壁の近くに置くこともできる。第1のレーザビーム132は波長λを有する。波長板148によって、第1のレーザビーム132の偏光は円偏光に変更される。
【0017】
第1のリフレクタ140は、中空角柱120の側壁の近くに置かれている。第1のリフレクタ140は、第1のレーザビーム132の軌道を反射して第1のレーザビーム132をレーザ源128の方向へ戻す反射面を有する。
【0018】
第2のレーザビーム136は第1のリフレクタ140から始まる。反射された第1のレーザビーム132が波長板148を2度目に通過したとき、第1のレーザビーム132の偏光は、第1のレーザビーム132の元の方向に対して約90度回転している。第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136は、同じ波長λおよび同じ断面積Aを有するものであってもよい。第1のレーザビーム132が波長板148を2度通過することによって、第2のレーザビーム136の偏光は、第1のレーザビーム132に対して約90度回転する。したがって、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136は直交する偏光を有する。第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136は等しいパワー(P)または強度を有するものであってもよい。代替例では、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136のパワーが異なるパワー(P)または強度を有するものであってもよい。
【0019】
散乱放射の強度Iは式1によって表すことができる。
【数1】
【0020】
0によって照度が表されており、nは粒子108の屈折率、n0は流体の屈折率であり、λは、真空中の光の波長である。本明細書では、この光が、第1のレーザビーム132または第2のレーザビーム136からの光を指す。波長λは、X線から遠赤外範囲までの間の任意の範囲とすることができる。dによって粒子108の直径が表されている。式1は、レーザビーム132、136の波長λに比べて小さな直径dを有する粒子による散乱強度Iを記述している。別の言い方をすれば、この粒子はλ/4よりも小さい。照度I0は、実質的に、第1のレーザビーム132のパワー(P)を第1のレーザビーム132の断面積(A)で割ったものに等しい。さらに、第2のレーザビーム136のパワー(P)および断面積(A)も、第1のレーザビーム132のパワー(P)および断面積(A)を決定するのと実質的に同じ方式で表現される。第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136はそれぞれ実質的にガウス断面分布の面積Aを有する。
【0021】
光吸収器144は、レーザ源128の近くに置かれている。第2のレーザビーム136を光吸収器144に向かって偏向させるような向きに第2のリフレクタ152が配向されている。第2のレーザビーム136の経路はリフレクタ140から始まる。第2のレーザビーム136の経路は光吸収器144で終わる。同様に、第1のレーザビーム132の経路はレーザ源128から始まる。第1のレーザビーム132の経路は第1のリフレクタ140で終わる。光吸収器144は、レーザ源128と中空角柱120との間に置くことができる。しかしながら、光吸収器144は、第2のリフレクタ152が光吸収器144内へ第2のレーザビーム136を導くことを可能にする任意の位置に置くことができることが理解される。
【0022】
撮像レンズ124は、中空角柱120の近くに配置されている。撮像レンズ124は、第1のレーザビーム132の経路および第2のレーザビーム136の経路に対して実質的に垂直に置かれている。図4~5に関して下で論じるように、撮像レンズ124は、粒子108が第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136を横切るときに粒子108の像を捕捉するように構成されている。
【0023】
図2は、ビームディスプレーサ204を有する別の粒子撮像システム200の平面図である。粒子撮像システム200は、レーザ源128、光吸収器144、気流ユニット104、撮像レンズ124およびビームディスプレーサ204を含む。
【0024】
気流ユニット104は、レーザ源128と光吸収器144との間に配置されている。気流ユニット104は中空角柱120を含む。中空角柱120は、レーザ源128と第1のリフレクタ140との間に配置されている。上述のように、中空角柱120の側壁に対して垂直にインフロー112が置かれている。中空角柱120の別の表面に対して垂直にアウトフロー116が置かれている。粒子108は、インフロー112を通して中空角柱120に導入され、アウトフロー116を通って中空角柱120を出る。
【0025】
ビームディスプレーサ204は、レーザ源128と中空角柱120との間に配置されている。レーザ源128から第1のレーザビーム132が放出され、ビームディスプレーサ204に導かれる。ビームディスプレーサ204は、第1のレーザビーム132の特性を変化させて第2のビーム136を生成する。より詳細には、第1のレーザビーム132の偏光が水平面または垂直面に対して45度の角度に配置されているとき、ビームディスプレーサ204は、第1のレーザビーム132を2つの成分に分割する。第1のレーザビーム132の第1の成分は、方向を変えずにビームディスプレーサ204から出てくる。第2のレーザビーム136は、第1のレーザビーム132とは異なる軌道でビームディスプレーサ204から出てくる。第1のレーザビーム132に対して90度偏光した第2のレーザビーム136は、第1のレーザビーム132に対して垂直方向に変位している。図2に示されているように、垂直方向は、粒子108が伝わる経路156に対して実質的に平行である。
【0026】
光吸収器144は、中空角柱120の側壁の外面の近くに置かれている。第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136は光吸収器144によって吸収され、したがって、光吸収器144は、第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136を終わらせる。したがって、光吸収器144は、第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136のそれぞれのレーザビームの経路内に光吸収器144が直接にあるような形で、中空角柱120の次に置かれている。光吸収器144は、光の大部分を吸収し、吸収した光に影響を与えない光トラップである。光吸収器144の一例は、レーザビーム132、136の一方または両方の光を捕獲するバフルである。光吸収器144は、撮像レンズ124に入る不必要なバックグラウンド吸収性迷光を低減させる。
【0027】
上に開示したように、撮像レンズ124は、第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136に対して実質的に垂直に置かれている。撮像レンズ124は、粒子108が第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136を横切るときに粒子108の像を捕捉するように構成されている。
【0028】
図3は、プリズム304を有する例示的な別の粒子撮像システム300の平面図である。粒子撮像システム300は、レーザ源128、光吸収器144、撮像レンズ124、気流ユニット104、プリズム304および集束レンズ312を含む。
【0029】
図2の構成と同様に、気流ユニット104は、レーザ源128と光吸収器144との間に配置されている。粒子108は、気流ユニット104、インフロー112、アウトフロー116および中空角柱120によって、図1~2に関して上で開示したのと実質的に同じ方式で処理される。
【0030】
第1のレーザビーム132は、レーザ源から、プリズム304へ向かう方向316に放出される。方向316は、撮像レンズ124に対して実質的に直角である。プリズム304に入った第1のビーム132の偏光は、水平面に対する所与の角度に配置される。一例では、所与の角度が約45度である。プリズム304は、レーザを、第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136に分割する。プリズム304は、レーザ源128と中空角柱120との間に置かれている。プリズム304は斜面308を含む。斜面308は、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136を分離する。斜面308は、第1のレーザビーム132に対して1つの角度に置かれている。斜面308の角度は、第1のレーザビーム132の投射角316に対して0度よりも大きく90度よりも小さい。別の言い方をすれば、斜面308は、第1のレーザビーム132に対して垂直でもなく、または平行でもない。出現した2つのレーザビーム132、136は、互いに対して直角に偏光している。例えば、第1のレーザビーム132を水平方向に偏光させることができ、その一方で、第2のレーザビーム136は垂直方向に偏光させる。一例ではプリズム304がウォラストンプリズム(Wollaston prism)である。斜面308を通過するときに、第1のレーザビーム132の軌道は1つの大きさだけ変更される。第2のレーザビーム136の軌道も、斜面308の下流側の第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136との間に下流角度320が形成されるような態様で、同じ大きさだけ変更される。下流角度320は、プリズム304のパラメータに従って変更することができる。一例では、下流角度320を約20度から約45度の間とすることができる。別の例では、下流角度320が約20度である。さらに別の例では、下流角度320が約30度である。別の構成では、下流角度320が、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136の間の分離距離(例えば距離556)および検出アレイ512、524の視野によって決定される。
【0031】
別の例では、プリム304がロションプリズム(Rochon prism)であり、その場合には、斜面308の後に出現するレーザビーム132、136のうちの一方のレーザビーム(例えば第1のレーザビーム132)が水平面に対して1つの角度をとり、もう一方のレーザビーム(例えば第2のレーザビーム136)が水平方向に沿ってそのまま進み続ける。斜面308を通過するときに、第1のレーザビーム132の軌道は1つの大きさだけ変更される。第2のレーザビーム136の軌道は変更されない。すなわち、第2のレーザビーム136は、斜面308の下流側の第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136との間に下流角度320が形成されるような態様で、水平方向に沿ってそのまま進み続ける。
【0032】
上述のとおり、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136は斜面308によって分離される。集束レンズ312を透過すると、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136は向きが互いに実質的に平行になり、ある距離だけ分離される(後に詳細に説明する)。集束レンズ312は、プリズム304と中空角柱120との間に置かれている。集束レンズ312は、第1のレーザビーム132の軌道を変化させて、斜面308の上流側の投射角βと平行にするために使用される。第2のレーザビーム136の軌道も集束レンズ312によって変化する。集束レンズ312の下流側では、第1のレーザビーム132が第2のレーザビーム136に対して実質的に平行である。したがって、集束レンズ312の下流側では、第1のレーザビーム132が投射角316で投射される。集束レンズ312の下流側では、第2のレーザビーム136が投射角316に対して平行である。
【0033】
図2の構成と同様に、図3の光吸収器144は中空角柱120の近くに置かれている。第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136は光吸収器144によって吸収される。上で開示したとおり、粒子108は、気流ユニット104、インフロー112、アウトフロー116および中空角柱120によって処理される。また、撮像レンズ124は、粒子108が第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136を横切るときに粒子108からの散乱光を受け取るように構成されている。
【0034】
図4は、図1~3の粒子撮像システムのうちのいずれかの粒子撮像システム内で粒子108を流すのに適した気流ユニット104の3次元平面図である。気流ユニット104は、始まり部分404と終わり部分408との間に配置されたカプセル化するセクション400を含む。
【0035】
始まり部分404内にはインフロー112が配置されており、インフロー112は、粒子108をカプセル化されたセクション(encapsulated section)400に導入する。粒子108は、終わり部分408内に配置されたアウトフロー116を通してカプセル化されたセクション400から除かれる。始まり部分404および終わり部分408は実質的に平行四辺形として示されているが、始まり部分404もまたは終わり部分408もこの構成に限定されない。始まり部分404および終わり部分408は、カプセル化されたセクション400の中を通過する粒子108の移動を容易にする任意の幾何学的形状をとることができる。
【0036】
第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136はそれぞれ、カプセル化されたセクション400の中を通過する。粒子108は、第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136に対して実質的に垂直な経路をたどってカプセル化されたセクション400の中を通過する。第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136は、カプセル化されたセクション400の中に投射され、この経路に、粒子108が第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136の両方を横切るような形で入射する。
【0037】
カプセル化されたセクション400は、6つの側壁によって形成されることができ、側壁は、ガラス、石英、プラスチックまたは光が透過することを許す他の適当な材料など、実質的に透明な材料から作られることができる。第1のレーザビーム132は、カプセル化されたセクション400の第1の側壁を透過し、第2の側壁を通って出る。第2の側壁は、第1の側壁の実質的に反対側にある。第2のレーザビーム136もカプセル化されたセクション400の第1の側壁を透過する。第2のレーザビーム136もカプセル化されたセクション400の第2の側壁を通って出る。別の例では、第2のレーザビーム136が、来た方向に反射されてカプセル化されたセクション400を通過し、第2のレーザビーム136は、第2の側壁を透過し、続いてカプセル化されたセクション400の第1の側壁を透過する。
【0038】
上述のように、異なる例では、気流ユニット104にポンプ(図示せず)が結合されていてもよい。このポンプは、このポンプによって、粒子108を運ぶ流体が始まり部分404に流入し、カプセル化されたセクション400を通って終わり部分408から流出するように構成されている。
【0039】
本明細書では、撮像レンズ124の説明がいずれも、第1の撮像レンズ508または第2の撮像レンズ520の一方または両方を必ず含む。したがって、図1~3に示された撮像レンズ124は、図4~5に示された第1の撮像レンズ508または第2の撮像レンズ520のいずれかでありうる。第1の撮像レンズ508は、カプセル化されたセクション400の側壁の1つに対して実質的に直角に置かれている。第2の撮像レンズ520は、カプセル化されたセクション400の残りの側壁の1つに対して実質的に直角に置かれている。第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136はそれぞれ、撮像レンズ124に対して実質的に直角の向きに配置されている。撮像レンズ124は、粒子108からの散乱光552を集める。
【0040】
図5は、図1~3に示された粒子撮像システムのうちのいずれかの粒子撮像システムとして使用するのに適した2つの撮像デバイスを有する粒子撮像システム500の平面図である。適当なシステムは他にもある。単純にするため図5に気流ユニット104は示されていない。粒子撮像システム500は、第1の撮像デバイス504および第2の撮像デバイス516を含む。
【0041】
第1の撮像デバイス504は、第1の撮像レンズ508および第1の検出アレイ512を有する。第2の撮像デバイス516は、第2の撮像レンズ520および第2の検出アレイ524を有する。第1の検出アレイ512および第2の検出アレイ524はそれぞれ、n個のピクセル行およびm個のピクセル列を有するn×mアレイである、第1の検出アレイ512および/または第2の検出アレイ524はCCDまたはCMOS撮像アレイとすることができる。nまたはmの値はいずれも、一桁の小さな数から数千までの間とすることができる。一例では、デジタル検出器が第1の検出アレイ512である。
【0042】
粒子540と第2の検出アレイ524との間に減衰器528を置くことができる。減衰器528は、第2の撮像レンズ520と第2の検出アレイ524との間に置かれる。減衰器528は、第2の検出アレイ524が、第2の検出アレイ524の飽和の前に検出することができる粒子108のサイズの範囲を増大させることを可能にする。例えば、減衰器528が利用されているとき、第2の検出アレイ524は、約100nmから約900nmまでの範囲の粒子108を検出することができる。この範囲内で、第2の検出アレイ524は、図6に示されているように、粒子108からの散乱光552内のp偏光照明とs偏光照明の両方による散乱光を検出することができる。減衰器528は、ガラス、プラスチックまたは石英などの有色の、染色されたおよび/または着色された透明材料とすることができる。減衰器528は、第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136による粒子108からの散乱光の大きさを、減衰器528が使用されてない場合に比べて約1/100にすることができる。別の例では、デジタル検出器が第2の検出アレイ524である。
【0043】
第1の撮像デバイス504の第1の撮像レンズ508によって散乱光552が集められる。散乱光552は、第1の撮像デバイス504内に電圧を発生させ、対応する信号が第1の検出アレイ512に格納される。これとは別に、第2の撮像デバイス516が、第2の撮像レンズ520によって散乱光552を捕捉する。散乱光552は、減衰器528を通過した後、第2の検出アレイに当たり、それによって、このアレイは、散乱光552の大きさに対応する電圧を発生させる。電圧の大きさに対応するメトリックが、第2の検出アレイ524のn×mピクセルの対応する値またはメトリックとともに格納される。別の例では、電流が測定され、対応する値またはメトリックがn×mピクセル像上に格納される。照度I0に対応する集められた光552が検出アレイ524内で信号を生成する。集められた散乱光552の量はさらに、第1の撮像レンズ508または第2の撮像レンズ520のそれぞれの撮像レンズの開口数(NA)の関数であることがある。
【0044】
第1のレーザビーム132は、第1の平面532に沿って投射される。第1の平面532は、第1のレーザビーム132の伝搬方向に対して垂直である。p偏光照明は、入射面に対して平行な電場方向を有することが理解される。入射面は、第1のレーザビーム132または第2のレーザビーム136の伝搬方向を含む平面であり、撮像レンズ124の主平面に対して平行である(後に詳細に説明する)。本明細書では、レーザビームが、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136の両方を指す。s偏光照明の電場の向きは入射面に対して垂直である。図6に示されているように、第1の平面532は、照明の偏光方向608を含む。
【0045】
粒子540は、経路548に沿って移動する。分かりやすくするため、粒子108は、第1の位置p(t1)では粒子540として示されており、第2の位置p(t2)では粒子544として示されている。tは時間である。図4に示されているように、粒子540は、第1の位置p(t1)で第1のレーザビーム132を横切る。変位した粒子544は、第2の位置p(t2)で第2のレーザビーム136を横切る。距離556が、第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136とを隔てている。したがって、粒子108(図1~3に示されている)は、第1の位置p(t1)と第2の位置p(t2)の間の距離556を移動する。
【0046】
距離556は、第1のレーザビーム132または第2のレーザビーム136のビーム幅(すなわち断面積A)に対して測定される。距離556は、第1のレーザビーム132のビーム幅の2倍から3倍の間とすることができる。あるいは、距離556を、第2のレーザビーム136に対して決定してもよい。
【0047】
所与の粒子540が位置p(t1)で第1のレーザビーム132を横切ると、散乱光552のp偏光照明による散乱によって散乱光552のパルスが生成される。この光パルスはメトリック(例えば電圧または電流)に変換され、このメトリックは、第1の検出アレイ512の出力上に信号P1として格納される。第2の検出アレイ524は、この光パルスの強度に対応するメトリックを信号P2として格納する。
【0048】
粒子544が位置p(t2)で第2のレーザビーム136を横切ると、散乱光552のパルスは、粒子544から散乱した散乱光552のs偏光照明を含む。この光パルスを、メトリックを有する電圧または電流に変換することができ、このメトリックは次いで、第1の検出アレイ512の出力において信号S1として格納される。第2の検出アレイ524はこの光パルスを信号S2として格納する。散乱光552の2つのパルスは、第1の検出アレイ512および第2の検出アレイ524のそれぞれの検出アレイにおいて異なる信号レベルを生み出す。
【0049】
図6は、図5に示された撮像デバイスのいずれか一方によって集められた光の3次元概略図である。x方向601およびy方向603が示されており、x方向601はy方向603に対して直角である。z方向は、x方向601とy方向603の両方に対して垂直である。
【0050】
図5に示された粒子撮像システム500の中を粒子108が通過すると、放射プロファイル604が生成される。単純にするため図6に粒子108は示されていない。しかしながら、粒子108は放射プロファイル604の中心に置かれていることが理解される。粒子108が第1のレーザビーム132または第2のレーザビーム136を横切ると、散乱光552によって放射プロファイル604が生成される。放射プロファイル604は実質的にトロイド(toroid)の形状を有する(すなわちドーナツ形である)。したがって、放射プロファイル604は、x方向601、y方向603およびz方向602のそれぞれの方向に広がっている。本明細書において、粒子108から散乱した散乱光552は、粒子108が小さな直径d(例えばd<λ/4)を有する場合に、ミー理論(Mie theory)によって支配される。λは光の波長である。この光は、第1のレーザビーム132または第2のレーザビーム136である。粒子108の直径(d)が小さい場合、例えば直径dがλ/4よりも小さい(すなわちd<λ/4である)場合、レイリー散乱が散乱光552の理論を支配する。
【0051】
一例では、照明の偏光方向608が第1のレーザビーム132の偏光を指す。照明の偏光方向608は電場の方向でもある。照明の偏光方向608は、第1の平面532と同一平面上にある。p偏光照明に関しては、照明の偏光方向608が、第1のレーザビーム132の伝搬方向620に対して垂直である。照明の偏光方向608は、粒子108がカプセル化されたセクション400(図4に示されている)の中を通過するときの粒子108の経路548に対して平行である。別の例では、照明の偏光方向608が第2のレーザビーム136の偏光を指す。
【0052】
粒子108の散乱光の量は、粒子108のサイズ、散乱光552内のp偏光照明の強度Ipおよびs偏光照明の強度Isに依存する。いくつかの例では、散乱光552内で、p偏光照明の強度Ipをs偏光照明の強度Isと実質的に等しくすることができる。
【0053】
図6Aでは、第1のレーザビーム132が伝搬方向620に沿って進んでいる。伝搬方向620はx方向601に対して平行である。第1のレーザビーム132からのレーザ光の照明の偏光方向608はz方向602に沿っており、方向602は経路548に対して平行である。上述のとおり、粒子108は経路548に沿って移動する。第1のレーザビーム132の照明の偏光方向608および伝搬方向620が入射面532を規定する。入射面532は、x方向601およびz方向602によって規定された平面と共平面をなす。小さな粒子108については、粒子108からの散乱場の形状がトロイド604の形態をとる。散乱場の一部分が、光錐(cone of light)(すなわち散乱光552)の形態で第1の撮像レンズ508によって集められる。図6Aでは、照明の偏光がp偏光と呼ばれる。
【0054】
図6Bでは、第2のレーザビーム136が伝搬方向620に沿って進んでいる。第2のレーザビーム136からのレーザ光の照明の偏光方向608は入射面532に対して垂直である。粒子108の散乱放射は、図6Aに示されたものと同じトロイド604の形状を有するが、入射光は90度回転している。それに応じて、図6Bのトロイド604は、図6Aに示されたトロイド604から90度回転している。図6Bに示された照明の偏光はS偏光と呼ばれる。
【0055】
図7は、粒子108のサイズを決定する方法700の流れ図である。ブロック704で、第1のレーザビーム132からの散乱光552の第1の強度に対応するメトリックを、第1の撮像デバイス504によって累積する。この散乱光552は、第1の撮像デバイス504の第1の撮像レンズ508を透過したものである。粒子108は第1のレーザビーム132を横切り、それによって粒子108から光が散乱する。ブロック708で、粒子108が第2のレーザビーム136を横切ったときに、散乱光552の第2の強度に対応するメトリックを第1の撮像デバイス504によって累積する。あるいは、第2の撮像デバイス516が、粒子108の散乱光552の強度に対応するメトリックを累積する。ブロック712で、レーザ源128から第1のレーザビーム132を放出する。第1のレーザビーム132を波長板148に通した後、第1のレーザビーム132から第2のレーザビーム136が生成される。第2のレーザビーム136の偏光は、第1のレーザビーム132から約90度回転している。したがって、第2のレーザビーム136は、第1のレーザビーム132とは異なる特性を有する。あるいは、第1のレーザビーム132をビームディスプレーサ204に通す。別の例では、第1のレーザビーム132をプリズム304に通す。
【0056】
ブロック716で、第1のレーザビーム132を、カプセル化するセクション400に通す。カプセル化するセクション400は、その中を通過するよう粒子108を流すように構成されている。
【0057】
ブロック720で、第2のレーザビーム136を第1のレーザビーム132から約90度偏光させる。波長板148に通すと第2のレーザビーム136は偏光する。あるいは、ビームディスプレーサ204によって第2のレーザビーム136を偏光させる。別の例では、プリズム304が、第2のレーザビーム136を、第1のレーザビーム132に対して約90度偏光させる。
【0058】
ブロック724で、第2のレーザビーム136を第1のレーザビーム132から分離する距離556を確立する。ブロック728で、第1のレーザビーム132がビームディスプレーサ204を通過する。ビームディスプレーサ204は、カプセル化するセクション400とレーザ源128との間に配置することができる。図2に示されたビームディスプレーサ204に通すと、第1のレーザビーム132は第2のレーザビーム136から変位する。別の例では、図1に示されているように、垂直角度からわずかに外れた角度に保持された第1のリフレクタ140からの第1のレーザビーム132の反射が、第1のレーザビーム132を第2のレーザビーム136から距離556だけ分離する。第1のレーザビーム132と第2のレーザビーム136の間の距離556は、図3に示されたプリズム304によって確立してもよい。
【0059】
ブロック732で、散乱光552に基づいて粒子108を分類する。サイズによる粒子108の分類は、それぞれの粒子を表す情報を複数のビンまたはカテゴリに区分けすることを含む。この例では、第2の撮像レンズ520と第2の検出アレイ524との間に減衰器528が置かれる。上述のとおり、粒子108によってp偏光から散乱した光の強度に対応するメトリックを指すP1が、第1の検出アレイ512上に信号として格納される。第2の検出アレイ524は、この光パルスの強度に対応するメトリックを、同じp偏光レーザ光ビームからの信号P2として格納する。第2のs偏光レーザ光ビームから散乱した光のパルスの強度に対応するメトリックとして、光パルスが、第1の検出アレイ512に信号S1として格納される。第2の検出アレイ524は、やはり第2のレーザ光ビームからの散乱光による光パルスに対応するメトリックを信号S2として格納する。図8に示されたコントローラ800が、粒子108を表す情報を、粒子108のサイズに基づく複数のビンに分類することができる。表1は、粒子108のサイズを分類するために信号P1、S1、P2およびS2がどのように使用されるのかを示す論理テーブルである。表1は、コントローラ800のメモリ808に記憶されている。
【0060】
例えば、粒子108は、第1のレーザビーム132および第2のレーザビーム136を横切り、2つのパルスを生成する。パルスの強度に対応するメトリックが、第1の検出アレイ512および第2の検出アレイ524のそれぞれの検出アレイ上に信号として格納される。約50nmから100nmの間のサイズを有する粒子108については、光552として散乱したp偏光照明の強度Ipの方がs偏光照明の強度Isよりも大きい。したがって、第1の検出アレイ512は信号P1を検出するが、信号S1はごくわずかである。第2の検出アレイ524は信号P2または信号S2を検出しない。
【0061】
約110nmよりも大きく約200nmよりも小さい粒子については、s偏光照明散乱光552が第1の検出アレイ512によって検出可能になる。約110nmよりも大きく約200nmよりも小さい粒子については、p偏光照明散乱光552の強度Ipが第1の検出アレイ512を飽和させる。約200nmまでのサイズを有する粒子108については、s偏光照明による散乱光552が検出可能であり続ける。同様に、信号P1は、第1の検出アレイ512を飽和させる。信号S1は、第1の検出アレイ512において検出可能である。第2の検出アレイ524は信号P2を検出することができる。しかしながら、第2の検出アレイ524において信号S2は検出できない。
【0062】
200nmよりも大きなサイズを有する粒子108については、散乱光552として散乱したp偏光照明が第1の検出アレイ512を飽和させる。さらに、散乱光552として散乱したs偏光照明も第1の検出アレイ512を飽和させる。第2の検出アレイ524内で、p偏光照明によって散乱した光の強度Ipは検出可能である。s偏光照明によって散乱した光の強度Isも第2の検出アレイ524で検出可能である。したがって、信号P1は、第1の検出アレイ512を飽和させる。信号S1は、第1の検出アレイ512を飽和させる。第2の検出アレイ524は信号P2を検出することができる。信号S2は、第2の検出アレイ524で検出可能である。
【0063】
一例では、p偏光照明による散乱光552の強度Ipが、s偏光照明による散乱光552の強度Isよりも少なくとも一桁大きい。別の言い方をすれば、p偏光照明の強度Ipは、s偏光照明の強度Isの大きさの最大10倍になりうる。粒子108のサイズは200nmよりも小さいことがある。別の例では、s偏光照明による散乱光552の強度Isの大きさが、p偏光照明による散乱光552の強度Ipよりも大きい場合、粒子108のサイズは約200nmよりも大きい可能性がある。
【0064】
【表1】
【0065】
図8は、図5の粒子撮像システムから散乱した光を測定するのに使用される第1の撮像デバイス504の平面図である。いくつかの例では、第1の撮像デバイス504が、コントローラ800に結合されたカメラ801である。コントローラ800は、互いに結合されたプロセッサ804、メモリ808および支援回路812を含む。コントローラ800はカメラ801に搭載されていてもよく、または、代替例では、コントローラ800が、カメラ801から像を受け取るリモートデバイス(図示せず)に搭載されていてもよい。カメラ801は、本明細書に開示された粒子撮像システム100の像を捕捉するように構成された少なくとも1つの撮像レンズ124を有する。
【0066】
第1の撮像デバイス504は、第1の撮像デバイス504のさまざまな構成要素にそれらの構成要素の制御を容易にするために結合された、電源、クロック、キャッシュ、入力/出力(I/O)回路などの入力制御ユニットを含む。任意選択で、第1の撮像デバイス504はディスプレイユニット(図示せず)を含むことができる。プロセッサ804は、産業環境内でそれぞれを使用することができる任意の形態の汎用マイクロプロセッサまたは汎用中央処理ユニット(CPU)の1つ、例えばプログラム可能な論理制御装置(PLC)とすることができる。コントローラ800は、第2の撮像デバイス516にも、第1の撮像デバイス504と実質的に同じ方式で結合することができることが理解される。
【0067】
メモリ808は非一過性であり、ローカルまたはリモートのランダムアクセスメモリ(RAM)、リードオンリーメモリ(ROM)または他の形態のデジタルストレージなど、容易に入手可能なメモリのうちの1つまたは複数のメモリとすることができる。メモリ808は、プロセッサ804によって実行されたときに第1の撮像デバイス504の動作を容易にする命令を含む。メモリ808内の命令は、本開示の方法を実施するプログラムなどのプログラム製品の形態をとる。プログラム製品のプログラムコードは、いくつかの異なるプログラミング言語のいずれか1つに準拠したものとすることができる。例示的なコンピュータ可読ストレージ媒体には、限定はされないが、(i)情報が永続的に記憶された非書込み可能ストレージ媒体(例えば、CD-ROMドライブによって読取り可能なCD-ROMディスク、フラッシュメモリ、ROMチップ、または任意のタイプのソリッドステート不揮発性半導体メモリなどのコンピュータ内のリードオンリーメモリデバイス)、および(ii)変更可能な情報が記憶された書込み可能ストレージ媒体(例えば、ディスケットドライブもしくはハードディスクドライブ内のフロッピーディスク、または任意のタイプのソリッドステートランダムアクセス半導体メモリ)が含まれる。本明細書に記載された方法の機能を指示するコンピュータ可読命令を担持しているとき、このようなコンピュータ可読ストレージ媒体は本開示の例となる。
【0068】
一例では、本開示が、コンピュータシステム(図示せず)とともに使用するコンピュータ可読ストレージ媒体(例えば808)上に記憶されたプログラム製品として実施されることがある。プログラム製品のプログラムは、本明細書に記載された、本開示の機能を規定する。このプログラム/命令は、図1~5に示された粒子撮像システムから集められた光を処理するように構成されたアルゴリズムを含む。
【0069】
本明細書に開示された例は一般に、流体中を移動している粒子のサイズを検出するための方法および装置に関する。以上の説明は特定の例を対象としているが、その基本的範囲を逸脱することなく他の例が考案されることもあり、その範囲は、以下の特許請求項によって決定される。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A-6B】
図7
図8